JP2008268177A - 時計 - Google Patents

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Abstract

【課題】ぜんまいを駆動源とした場合の欠点を解消し、精度安定や持続時間の延長を実現できる時計を提供すること。
【解決手段】本発明の時計は、ぜんまいと、ぜんまいが出力するトルクによって回転する出力車としての太陽車47と、太陽車47と同期して回転するレバーとしての太陽レバー70と、この太陽レバー70を押圧する押圧部材としてのばね部材71と、を備え、ばね部材71は、ぜんまいが巻き戻るに従って、太陽車47の出力トルクが大きくなるように太陽レバー70を押圧する。
【選択図】図2

Description

本発明は、時計に係り、特にぜんまいの巻上げ時に駆動される巻上げ輪列、および巻き解け時に駆動される巻戻り輪列を備えた時計に関する。
ぜんまいを機械エネルギ源として輪列を駆動するウォッチ(腕時計)としては、従来からの機械式時計の他、近年では、特許文献1に記載された電子制御式機械時計が知られている。これらの時計に一般に用いられるぜんまいは、巻き上げていった最後の巻締め時には、図4中に実線Aで示すように、ぜんまいに蓄積されるトルクが急激に大きくなり、ぜんまいが開放し始めた際に非常に大きなトルクを出力してしまうので、ぜんまいにより回転される輪列の回転速度を制御する調速機や脱進機等の規制部に大きなトルクが加わってこれらの部品が破壊するおそれがある。
このため、特にクロック(置き時計や掛け時計)においては、ぜんまいの巻上げを一定巻数で停止する巻止め機構が設けられていた。この巻止め機構としては、香箱真に固定されて共に回転する指と呼ばれる回転部材と、香箱に取り付けられたモールトの十字架と呼ばれる歯車とを備えたモールト十字架式巻止め機構が用いられていた。しかし、このモールト十字架式巻上げ機構は、指および歯車の強度を十分に確保する必要性から比較的大型となるうえ、香箱に重ねて配置しなければならないため、内部の部品配置スペースを確保できるクロックにしか用いることができず、内部のスペースが小さいウォッチに適用することは困難であった。
そこで、本発明者等は、特許文献2において、ウォッチのような内部の部品配置スペースが小さい時計であっても、著しく大きなトルクが出力されるのを防ぐこと、すなわち、ぜんまいからのトルクが常に設定範囲内で出力されるようにした時計を提案している。
特開平8−5758号公報 特開平2000−2773号公報
ところで、ぜんまいを駆動源とした時計の場合、ぜんまいが解けるに従ってぜんまいから出力されるトルクは小さくなる。このことは、特許文献2にあるように、ぜんまいからのトルクが常に設定範囲内で出力されるようにした場合でも同じであり、設定範囲内で徐々に小さくなる。
そのため、従来からの機械式時計では、ぜんまいの巻き解け側において、トルクが小さくなると、調速機を構成するテンプの振り角が小さくなり、精度が悪くなる。また、電子制御式機械時計の場合では、発電機を駆動するトルクが小さくなるに従い、発電するために必要なエネルギを確保できなくなるため、持続時間を長くすることができないという問題がある。
反対に、ぜんまいの巻上げ側においては、急激に高いトルクが出力されることはないが、機械式時計では、テンプの振り角が大きくなってやはり、精度が悪くなる。また、電子制御式機械時計の場合では、発電ブレーキだけでは制御範囲を超えてしまう可能性があり、精度保証ができないという問題がある。
本発明の目的は、ぜんまいを駆動源とした場合の欠点を解消し、精度安定や持続時間の延長を実現できる時計を提供することにある。
本発明の時計は、ぜんまいと、前記ぜんまいが出力するトルクによって回転する出力車と、前記出力車と同期して回転するレバーと、このレバーを押圧する押圧部材と、を備え、前記押圧部材は、前記ぜんまいが巻き戻るに従って、前記出力車の出力トルクが大きくなるように前記レバーを押圧することを特徴とする。
本発明によれば、時計を駆動するための全体のトルクとしては、ぜんまいから出力されるトルクと、押圧部材が押圧することで出力車に付加されるトルクとを合成したトルクとなる。ここで、ぜんまいが巻き戻るに従って出力車におけるトルクが大きくなることにより、巻き戻るに従って小さくなるぜんまいのトルクを補うことが可能となる。従って、ぜんまいのトルク特性における巻き上げ側および巻き戻り側の両側でのトルク差が大きいことによる精度悪化を解消でき、精度を安定させることができる。また、特に巻き戻り側で出力車でのトルクが大きくなることにより、ぜんまいとしては従来よりもさらに巻き戻った状態でも時計を駆動できることになり、時計を駆動している持続時間を延ばすことができる。
本発明の時計では、前記押圧部材は、前記ぜんまいの最大巻き上げ側では、前記レバーを前記回転中心または前記回転中心近傍の側に向けて押圧し、前記ぜんまいが巻き戻るに従って、前記レバーを前記出力車の出力トルクが大きくなるように押圧することが好ましい。
本発明によれば、ぜんまいのフル巻き状態では、レバーをその回転中心またはその近傍の側に向けて押圧するため、レバーにより押圧されることで出力車に付加されるトルクをゼロまたはゼロに近くすることができるうえ、レバーを安定した位置に維持させることができる。レバーが安定して位置することはすなわち、ぜんまいからすれば、巻き戻り時の負荷となるから、ぜんまいが有するフル巻き側での大きなトルクを確実に軽減させることができる。反対に、ぜんまいの巻き戻り側では、押圧部材はレバーを出力車の出力トルクが大きくなる側に向けて押圧するので、出力車に出力トルクを確実に生じさせることができる。これらのことにより、ぜんまいが巻き戻るに従って、出力車で生じるトルクを確実に大きくでき、このトルクとぜんまいからのトルクとの合成による全体のトルクをより安定した大きさで出力できる。
本発明の時計では、前記レバーは、回転中心から外方に延設されてその先端部が前記押圧部材で押圧されており、前記押圧部材は、前記ぜんまいの最大巻き上げ側では、前記レバーの先端部を前記回転中心側に向けて押圧し、前記ぜんまいが巻き戻るに従って、前記レバーの先端部を前記出力車の出力トルクが大きくなるように押圧することが好ましい。
本発明によれば、レバーの押圧方向がぜんまいの巻き状態によって変化することにより、上記発明と同様の効果が得られる。
本発明の時計では、前記押圧部材は、前記出力車から減速されて回転する押圧車と、前記押圧車に一体に設けられ、前記ぜんまいが巻き戻るに従って前記レバーとは離間した位置から前記レバーに近接し接触する押圧カムとを有し、前記押圧カムは、前記レバーに接触した状態において前記レバーを前記出力車の出力トルクが大きくなるように押圧することが好ましい。
この発明によれば、押圧車は出力車に対して所定の減速比分、トルクが大きいため、出力車と同期して回転するレバーを押圧車と一体の押圧カムによって押圧することが可能となる。すなわち、押圧カムとレバーとが接触した状態となる時計の持続時間末期において、押圧カムがレバーを押圧するので、前述のように、巻き戻るに従って小さくなるぜんまいのトルクを補うことが可能となる。
本発明の時計では、前記レバーには、当該レバーの回転中心側と外方側とを結ぶ方向に沿って直線移動可能なスライダ部材と、前記レバーの回転中心を中心とする円形における弦方向に略沿って前記スライダ部材をガイドするガイド部材とが設けられ、前記ガイド部材は、前記ぜんまいが巻き戻るに従って前記レバーの回転中心側から外方側へと前記スライダ部材をガイドし、前記押圧部材は、前記ガイド部材および前記スライダ部材を介して前記レバーを前記出力車の出力トルクが大きくなるように押圧することが好ましい。
この発明では、ガイド部材およびスライダ部材を介してレバーが押圧されるため、レバーが回転してもガイド部材に対する押圧部材の押圧力が変動しない。このため、一定の押圧力で安定的にレバーを押圧することが可能となる。
そのうえ、本発明によれば、ぜんまいが巻き戻る際にスライダ部材がレバーの回転中心側から外方側へと移動することにより、レバーの回転中心から次第に離れた位置で押圧部材がレバーを押圧することとなるので、押圧によって出力車に付加されるトルクをぜんまいが巻き戻るに従って次第に大きくすることが可能となる。すなわち、ぜんまいが出力するトルクが小さくなるほど出力車に付加されるトルクが大きくなり、このような付加トルクによって適時にぜんまいの出力トルクが補われることにより、これらのトルクが合成されたトルクが時計の持続時間において略一定となる。これにより、時計の精度がより一層安定するとともに、時計の持続時間をより一層延ばすことができる。
本発明の時計では、前記レバーは、楕円形の少なくとも一部を含んだ外周形状を有し、前記レバーにおいて前記押圧部材により押圧される押圧位置は、前記ぜんまいが巻き戻るに従って、前記レバーの外周部における楕円形長軸側の位置から、楕円形長軸と楕円形短軸との間の中点位置に向かって変化することが好ましい。
この発明では、楕円形の少なくとも一部を含んだ外周形状を有するカムを用いることにより、上述のスライダ部材およびガイド部材を用いた場合と同様の効果がより簡略な構成で得られる。すなわち、押圧部材による押圧方向が、ぜんまいが巻戻るに従ってレバーの回転中心から次第に離れた方向を向くため、押圧部材の押圧によってレバーおよび出力車に付加されるトルクがぜんまいが巻戻るに従って次第に大きくなる。つまり、ぜんまいが出力するトルクが小さくなるほど出力車に付加されるトルクが大きくなり、このような付加トルクによって適時にぜんまいのトルクが補われることにより、これらのトルクが合成されたトルクが時計の持続時間において略一定となる。これにより、時計の精度がより一層安定するとともに、時計の持続時間をより一層延ばすことができる。
本発明の時計では、前記レバーの外周部の一部には、前記レバーの回転中心からの距離が他の部分における前記回転中心からの距離よりも短い凹部が形成され、前記押圧部材は、第1部材と、前記第1部材により押圧され前記第1部材および前記レバーの間に介在する第2部材とを有し、前記第2部材は、前記レバー側に突出して前記凹部に係合する係合凸部を有し、前記レバーにおいて前記第2部材により押圧される押圧位置は、前記ぜんまいが巻き戻るに従って前記凹部以外の位置から前記凹部へと変化することが好ましい。
この発明では、第2部材によりレバーの凹部以外の位置が押圧される際には、係合凸部の先端部がレバーの凹部以外の部分に摺動しこの摺動抵抗によって出力車に負荷が掛かる。これにより、ぜんまいの出力トルクが過大な場合にその過大なトルクを負荷の分だけ小さくできるので、精度を安定させることができる。
一方、ぜんまいが巻き戻り、第2部材の係合凸部がレバーの凹部に係合した際には、係合凸部がレバーを出力車の出力トルクが大きくなるように押圧する。すなわち、係合凸部が凹部に係合した状態となる時計の持続時間末期において、前述のように、小さくなったぜんまいのトルクを補うことが可能となる。
本発明の時計では、前記押圧部材はばね部材であることが好ましく、薄板状のばね素材を打抜加工等することにより、ばね部材を安価でかつ容易に製造できるうえ、時計内での限られた配置スペースへも確実に収容できる。
本発明の時計によれば、ぜんまいから出力されるトルクと、出力車で生じるトルクとを合わせることにより、よりフラットな出力カーブのトルクで時計を駆動でき、精度安定や持続時間の延長を実現できるという効果がある。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以降の説明において、既に説明した構成と同様の構成については、同一符号を付して、説明を省略もしくは簡略化する。
〔第1実施形態〕
図1には、本発明の第1実施形態に係る時計1の概略平面図が示されている。この図1において、時計1は、電子制御式機械時計であり、ぜんまい10と、ぜんまい10による機械的エネルギで駆動される駆動輪列20と、ぜんまい10の機械的エネルギの残量を表示するぜんまい残量表示機構30とを備えている。
ぜんまい10は、香箱11に収納されており、このぜんまい10の外端は、時計1が手巻き時計の場合には、香箱11の外周に形成された香箱歯車12に固定されており、また時計1が自動巻時計の場合には、香箱11の内周に当接され、所定値以上のトルクが付加されるとぜんまい10が香箱11内周に対して滑るように構成されている。また、ぜんまい10の内端は、香箱11の中心に設けられた香箱真13に固定されており、香箱真13は、角穴車15と一体的に回転可能な香箱真かな14とともに、一体的に回転可能となっている。角穴車15は、巻き上げ部16に接続されており、巻き上げ部16の一部である巻真17を回転させると、角穴車15が回転し、ぜんまい10が巻き上げられるようになっている。
駆動輪列20は、香箱歯車12と噛み合う二番車2、二番車2と噛み合う三番車3、二番車2と同軸上に配置されて三番車3と噛み合う四番車4、四番車4と噛み合う五番車5、五番車5と噛み合う六番車6により構成された増速輪列である。二番車2と一体の図示しない筒かなには分針が取り付けられ、筒かなから日の裏車を介して回転が伝達される筒車には時針が取り付けられる。また、四番車4の軸部先端には秒針が取り付けられる。さらに、時計1が電子制御式機械時計である本実施形態では、最も高速となる六番車6の回転は発電機7のロータ8に伝達され、発電機7にて発電された電気的エネルギによりロータ8の回転制御を行い、駆動輪列20を調速するように構成されている。なお、図1において、二番車2および四番車4の外径寸法は略同じであるため、図中では互いに重なった状態で図示してある。
図2には、ぜんまい残量表示機構30の部分拡大図が示されている。図1および図2に示されるように、ぜんまい残量表示機構30は、巻き上げ輪列40と、巻き戻り輪列50と、パワーリザーブ表示輪列60とを備えている。
巻き上げ輪列40は、香箱真かな14に噛合される第一遊星伝え車41と、この第一遊星伝え車41に噛合する第二遊星伝え車42と、第二遊星伝え車42に噛合する第三遊星伝え車43と、第三遊星伝え車43に噛合する第二太陽車44と、第二太陽車44に噛合する第一の遊星車45Aおよびこの第一の遊星車45Aと一体とされた第二の遊星車45Bを有する遊星車45と、第二太陽車44と同軸上に配置され、遊星車45を遊星回転可能に固定する遊星中間車46と、第二の遊星車45Bに噛合する太陽車47とを備えている。
一方、巻き戻り輪列50は、出力車としての太陽車47と、遊星車45と、遊星中間車46と、遊星中間車46に噛合する第五遊星伝え車51と、第五遊星伝え車51に噛合する第四遊星伝え車52とを備えて構成される。第四遊星伝え車52は、香箱歯車12に噛合されている。
パワーリザーブ表示輪列60は、太陽車47に噛合する円弧歯車61と、円弧歯車61に噛合するとともに、パワーリザーブ針63が固定されるパワーリザーブ針車62とを備えて構成される。円弧歯車61は、中心軸61Aを中心とする仮想円上の二箇所に部分的に円弧状に複数の歯が形成されており、一方が太陽車47に噛合され、他方がパワーリザーブ針車62に噛合されている。このような円弧歯車61によれば、太陽車47の回転運動が円弧歯車61を介してパワーリザーブ針車62に伝達されることにより、パワーリザーブ針63のレイアウトの自由度を高めることができる。
このような巻き上げ輪列40、巻き戻り輪列50、およびパワーリザーブ表示輪列60によれば、ぜんまい10の巻上げ操作で香箱真かな14が回転されると、そのトルクは第一遊星伝え車41から順次減速して第二遊星伝え車42、第三遊星伝え車43、第二太陽車44、遊星車45、および太陽車47に伝達されるようになっている。ここで、ぜんまい10の巻上げ時には香箱歯車12は回転が遅くほぼ停止状態の為、遊星中間車46から第四遊星伝え車52までは固定状態とされ、遊星車45はその場で回転して太陽車47を回転させる。太陽車47に伝達されたトルクは円弧歯車61、およびパワーリザーブ針車62に伝達され、パワーリザーブ針63が回動するようになっている。
また、ぜんまい10が巻戻る時には、香箱真かな14が停止しているために、第一遊星伝え車41から第二太陽車44までは停止している。そして、香箱歯車12が回転されると、そのトルクは第四遊星伝え車52から順次減速して第五遊星伝え車51、および遊星中間車46に伝達される。この際、第二の遊星車45Bが噛合している第二太陽車44が停止しているため、遊星車45は第二太陽車44の回りを自転しながら公転する。これにより、遊星車45Aに噛合している太陽車47がぜんまい10の巻上げ操作時とは逆方向に回転する。この太陽車47に伝達されたトルクは、円弧歯車61、およびパワーリザーブ針車62に伝達され、パワーリザーブ針63が巻き上げ操作時とは逆方向に回動するようになっている。
なお、本実施形態では、香箱歯車12(香箱真かな14)から太陽車47まで減速比は1/27に設定されており、ぜんまい10の巻数が「7.5」の場合(回転角は360°×7.5=2700°)、太陽車47つまりパワーリザーブ針63は100°回動するよ
うに設定されている。ここで、これらの減速比およびパワーリザーブ針63の作動角の設定は、時計1の大きさや、仕様などによって適宜設定されればよい。
また、太陽車47には、香箱真かな14が回転するとぜんまい10の巻上げ量に対応したトルクが伝達されて所定方向の回転として加算され、ぜんまい10が巻き戻されて香箱歯車12が回転するとぜんまい10の巻戻し量に対応したトルクが伝達されて反対方向の回転として減算される。従って、太陽車47を共通に含んだ巻き上げ輪列40および巻き戻り輪列50によりぜんまい10の巻数が算出され、太陽車47の回転位置によりぜんまい10の巻数が示される。
以下では、本発明の最も特徴的な構成を図2に基づいて説明する。図2において、太陽車47の回転軸には、その中心から外方に延出した太陽レバー70が固定されている。従って、太陽レバー70は、太陽車47と連動して回転するとともに、パワーリザーブ針63と同期してぜんまい10の残量に応じて作動する。この太陽レバー70の先端側には、押圧部材としてのばね部材71が当接している。ばね部材71は、薄板状のばね素材を打抜加工等することで製作されている。
ここで、図2に示す状態は、ぜんまい10がおおよそ巻き戻った側にある場合であり、パワーリザーブ針63の位置で言えば、図4に示すように、残量表示が略ゼロを示す位置にある。この時、ばね部材71は、太陽レバー70を反時計方向(図2中の矢印参照)、
つまり、ぜんまい10が巻き戻ることで回転する方向に押圧している。また、持続時間に達した状態では、太陽レバー70の一方の側縁70Aは、第五遊星伝え車51に接触し、太陽車47の戻り側への回転をロックする。このことにより、ぜんまい10のさらなる巻き戻りが防止されるため、パワーリザーブ針63がゼロ表示位置からさらに戻った位置を示すことがないうえ、トルク不足によって調速が不能になるといった事態も生じない。
一方、図3に示す状態は、ぜんまい10がおおよそ巻上がった側にある場合であり、パワーリザーブ針63の位置で言えば、図4に示すように、残量表示が略フルを示す位置にある。この時、ばね部材71は、太陽レバー70を回転中心側(図3中の矢印参照)に押圧している。また、ぜんまい10が完全に巻上がった状態では、太陽レバー70の他方の側縁70Bは、地板1Aに打ち込まれているピン72に接触することとなり、太陽車47の巻き上げ側への回転をロックする。このことにより、ぜんまい10のさらなる巻き上がりが防止されるため、パワーリザーブ針63がフル表示位置からさらに進んだ位置を示すことがない。
このようなばね部材71は、ぜんまい10が巻き上がった状態では、太陽レバー70をその回転中心側に向けて押圧する力が最大となるため、ぜんまい10が巻き戻ろうとした際に最大の負荷となる。このため、駆動輪列20を駆動するための全体のトルクは、この負荷分だけ小さくなる。反対に、ぜんまい10が巻き戻った状態では、太陽レバー70をその巻き戻し側への回転方向に押圧するため、この押圧分のトルクが、巻き戻ろうとする太陽車47に補助力として働くことになる。このため、駆動輪列20を駆動するための全体のトルクは、太陽車47側から伝達される補助トルク分だけ増加する。
すなわち、ばね部材71が太陽レバー70を押圧することで生じる太陽車47でのトルクだけを見ると、図4に実線Bで示すように、ぜんまい10が巻き上がった状態で最も小さくなり(ぜんまい10からすれば巻き戻ろうとする際の負荷となる)、ぜんまい10が巻き戻るに従って徐々に大きくなる。そして、途中からは、ばね部材71の押圧力による太陽車47でのトルクが、太陽車47の減算側(巻き戻り側)への回転をアシストする方向に作用し始め、ぜんまいが巻き戻るに従ってアシスト分が大きくなる。従って、駆動輪列20を駆動するための全体のトルクは、ぜんまい10の本来のトルクと、太陽レバー70が押圧されることで生じるトルクとが合成されたものとなり、実線Cで示すトルクカーブを描いて出力されることになる。
すなわち、本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
(1)従来の持続時間内においては、実線Aで示すように、出力トルクがT2からT1に下がり、変動量が大きい。このため、巻き上げ側および巻き戻り側の両側において、前述したような精度悪化といった問題が生じていた。これに対して本実施形態によれば、従来の持続時間内では、トルクの変動が小さく、略一定したトルクを出力させることができ、精度を向上させることができる。また、実線Cのトルクカーブによれば、運針に必要な最低のトルクT1は、従来の持続時間を超えて維持されるため、従来に比して持続時間を延長できる(図中4の点線矢印参照)。
(2)ぜんまい10が巻き上がった状態では、ばね部材71が太陽レバー70をその回転中心側に向けて押圧するため、巻き戻ろうとするぜんまい10に対して負荷が掛かる。本実施形態では、ピン72によってぜんまい10の巻き上げ過ぎが防止されているものの、ばね部材71により太陽レバー70が回転中心側に向けて押圧されることにより、ぜんまい10がフルに巻き上げられた状態、もしくはこれに近い状態におけるぜんまい10の過大なトルクが駆動輪列20や調速部に作用することをより確実に防止できる。これにより、時計の計時精度および表示精度をより一層向上させることができる。
(3)ぜんまい10がフルに巻き上げられて最大のトルクを出力する状態においてばね部材71が最も撓み、最大のばね力によってぜんまい10に負荷が与えられるため、ぜんまい10の過大な出力トルクを効率的に低減できる。
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について図5および図6を参照して説明する。本実施形態では、太陽車にトルクを付加する押圧部材の構成が第1実施形態とは相違する。
図5は、本実施形態の時計の要部を示す平面図である。本実施形態における出力車としての太陽車87の回転軸には、太陽レバー80が固定されている。
太陽レバー80は、その回転中心から太陽車87の回転方向と交差する方向に沿って、太陽車87の周縁を越える位置まで延びており、太陽車87の回転に同期して回転する。ここで、太陽レバー80に関して図5に二点鎖線で示した位置は、ぜんまい10がおおよそ巻き上がった際の太陽レバー80を示し、実線で示した位置は、ぜんまい10がおおよそ巻き戻って時計の持続時間の末期に到達した際の太陽レバー80を示している。
本実施形態では、第1実施形態(図2)で設けられていたぜんまい残量表示機構30や、太陽車47の巻き上げ側への回転をロックするピン72が設けられていないが、これらぜんまい残量表示機構30およびピン72と略同様の構成が図5に示した構成に設けられていてもよい。なお、後述の第3〜第5実施形態においても同様である。
本実施形態では、太陽車87に噛合し、太陽車87から減速されて回転する押圧車82が設けられている。本実施形態における押圧部材は、押圧車82と、この押圧車82の回転軸に一体に設けられた押圧カム81とを有して構成されている。
押圧カム81は、押圧車82の回転軸に固定された側の一端部から押圧車82の回転方向と交差する方向に延びている。押圧カム81に関して図5に二点鎖線で示した位置は、ぜんまい10がおおよそ巻き上がった際の押圧カム81を示し、実線で示した位置は、ぜんまい10がおおよそ巻き戻って時計の持続時間の末期に到達した際の押圧カム81を示している。
ここで、押圧車82は太陽車87に対して所定の減速比分、トルクが大きいため、押圧カム81は太陽レバー80とは離間した位置(図5の二点鎖線参照)から次第に太陽レバー80に近接し、接触する(図5の実線参照)。この状態において、押圧カム81は太陽レバー80を図5における太い矢印方向に向けて押圧する。この押圧カム81の押圧によって太陽車87にトルクが生じる。このトルクは、ぜんまい10の巻き戻り時に減算側へ回転しようとする太陽車87に補助力として働く。
図6は、本実施形態に関し、時計を駆動するためのトルクと、時計の持続時間との関係を示す。実線A〜Cは、第1実施形態(図4)と同様にそれぞれ、ぜんまい10が出力するトルク(実線A参照)、太陽車87の減算側への回転の補助力として押圧部材により付加される付加トルク(実線B参照)、ぜんまい10による出力トルクと押圧部材による付加トルクとが合成されたトルク(実線C参照)を示す。
ここで、本実施形態では、ぜんまい10が巻き上がった状態から、ぜんまい10が巻き戻って押圧カム81が太陽レバー80に接触するまでの間、押圧カム81と太陽レバー80とは離間した位置にあるため、実線Bに示すように押圧部材(押圧車82および押圧カム81)による付加トルクはゼロであり、付加トルクとぜんまい10の出力トルクとが合成されたトルクはぜんまい10の出力トルクに等しい(実線C参照)。
本実施形態では、押圧カム81が太陽レバー80に接触した状態となる持続時間末期から付加トルクが生じる。この付加トルクは、ぜんまい10が巻き戻るに従って次第に大きくなる。この付加トルクとぜんまい10の出力トルクとが合成されたトルクは実線Cに示すように、付加トルク分だけ増加する。
以上の第2実施形態によれば、第1実施形態で述べた(1)と略同様の効果が得られる。
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態について図7〜図9を参照して説明する。第1実施形態では、押圧部材(ばね部材71)によって太陽レバーが直接押圧されていたが、本実施形態では、押圧部材が他の部材を介して太陽レバーを押圧する。
図7は、本実施形態の時計の要部を示す平面図である。
太陽レバー80には、太陽レバー80の回転中心側と外方側とを結ぶ方向に沿って直線移動可能なスライダ部材92と、太陽レバー80の回転中心を中心とする円における弦方向にほぼ沿ってスライダ部材92をガイドするガイド部材93とが設けられている。
ガイド部材93には、スライダ部材92が有する凸部が係合する長孔930が形成されている。ガイド部材93の一端部931は地板1Aに軸支されており、ガイド部材93の他端部932は、ばね部材71によって押圧されている。すなわち、ばね部材71は、ガイド部材93およびスライダ部材92を介して太陽レバー80を押圧している。
ここで、図7は、ぜんまい10がおおよそ巻き戻って時計の持続時間末期に到達した際の状態を示す。この状態において、スライダ部材92は長孔930におけるガイド部材93の軸支側とは反対側の端部で且つ、太陽レバー80の先端部に位置している。この状態において、ばね部材71は太陽レバー80を図7における太い矢印方向に向けて押圧する。このばね部材71の押圧により、太陽車47を減算側に向けて回転させるトルクが生じる。
一方、図8は、ぜんまい10がおおよそ巻き上がった状態を示す。この状態において、スライダ部材92は長孔930におけるガイド部材93の軸支側の端部で且つ、太陽レバー80の基端部近傍に位置している。この状態において、図8の太い矢印のように、ばね部材71が太陽レバー80を太陽レバー80の回転中心近傍に向けて押圧することにより、太陽車47の回転に負荷が掛かる。この図8の状態では、太陽車47に減算側へ回転させるトルクが付加されることはない。
本実施形態では、太陽レバー80が回転するとガイド部材93に対してスライダ部材92が移動する。つまり、太陽レバー80が回転してもガイド部材93の位置は変わらないため、ガイド部材93を押圧するばね部材71の撓み量は一定である。すなわち、スライダ部材92およびガイド部材93を介して、ばね部材71は太陽レバー80を一定のばね力で安定的に押圧する。
図8の状態からぜんまい10が巻き戻ると、スライダ部材92が太陽レバー80の回転中心側から外方側へと移動し、これによって太陽レバー80は、回転中心から次第に離れた位置でばね部材71により押圧される。これにより、太陽車47への付加トルクはぜんまい10が巻き戻るに従って大きくなる。
図9は、本実施形態に関し、時計を駆動するためのトルクと、時計の持続時間との関係を示す。実線A〜Cは、第1実施形態(図4)の場合と同様にそれぞれ、ぜんまい10が出力するトルク(実線A参照)、太陽車47の減算側への回転の補助力として押圧部材により付加される付加トルク(実線B参照)、ぜんまい10による出力トルクと押圧部材による付加トルクとが合成されたトルク(実線C参照)を示す。
ここで、ぜんまい10がおおよそ巻き上がった状態では(図8)、ばね部材71により太陽レバー80が回転中心近傍に向けて押圧されていることから、太陽車47の回転に負荷が掛かっている。すなわち、巻き戻ろうとするぜんまい10に負荷が掛かっている。この状態では、ばね部材71によって太陽車47に付加される減算側へのトルクが図9の実線Bに示すように最小となる。
この状態からぜんまい10が巻き戻ると、スライダ部材92がガイド部材93の長孔930に沿って移動する。このとき、前述のようにばね部材71が一定のばね力で太陽レバー80を押圧するとともに、ばね部材71による太陽レバー80の押圧位置がスライダ部材92の移動によって太陽レバー80の回転中心側から先端側へと変化する。これにより、ばね部材71による太陽車47への付加トルクは次第に大きくなり、太陽車47を減算側に回転させる補助力として働く。この付加トルクとぜんまい10の出力トルクとが合成されたトルクは、図9の実線Cに示すように、ばね部材71による付加トルク分だけ増加する。
ここで、ばね部材71により押圧される太陽レバー80の押圧位置がスライダ部材92の移動によって変化することにより、ぜんまい10が巻き戻ってぜんまい10の出力トルクが小さくなるほど太陽車47に付加されるトルクが大きくなる。このように太陽車47に付加されるトルクによって適時にぜんまい10の出力トルクが補われることにより、図9に示すように、これらのトルクが合成されたトルクが時計の持続時間において略一定となる。
以上の第3実施形態によれば、第1実施形態で述べた(1)および(2)と略同様の効果に加え、次のような効果が得られる。
(4)スライダ部材92およびガイド部材93を介して太陽レバー80を一定のばね力で押圧しつつ、スライダ部材92の移動によって太陽レバー80の押圧位置を変化させることにより、付加トルクとぜんまい10の出力トルクとが合成されたトルクが時計の持続時間において略一定となる。これによって精度がより一層安定するとともに、時計の持続時間をより一層延ばすことができる。
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態について図10〜図12を参照して説明する。本実施形態では、太陽レバーの形状が前記各実施形態とは相違する。
図10は、本実施形態の時計の要部を示す平面図である。本実施形態では、レバーとしての太陽カム100が設けられている。太陽カム100は、楕円形の略1/4の外周形状を有している。
なお、前記各実施形態とは異なり、本実施形態では第三遊星伝え車43および第四遊星伝え車52が設けられておらず、第二遊星伝え車42が第二太陽車44に噛合するとともに、第五遊星伝え車51が香箱歯車12に噛合している。このような構成とすることにより、太陽車47の回転方向を前記各実施形態における太陽車の回転方向とは逆方向(図10中、時計回り方向)とし、太陽カム100を押圧するばね部材71を地板1Aの空いたスペースに配置し易くしている。但し、地板1A上の図10における左側部分にばね部材71の配置スペースが確保できる場合などには、前記各実施形態と同様に第三遊星伝え車43および第四遊星伝え車52を備えた輪列構成としてよい。
ここで、図10は、ぜんまい10がおおよそ巻き戻って時計の持続時間末期に到達した際の状態を示す。この状態では、太陽カム100において回転中心からの距離が大きい長軸部100Aと回転中心からの距離が小さい短軸部100Bとの間の略中点位置がばね部材71によって押圧される。このとき、図10における太い矢印方向のように、ばね部材71による押圧力の方向が太陽車47を減算側に回転させる側に向いており、これによって太陽車47にトルクが付加される。
一方、図11は、ぜんまい10がおおよそ巻き上がった状態を示す。この状態では、太陽カム100において回転中心からの距離が大きい長軸部100Aがばね部材71によって押圧される。このとき、図11における太い矢印のように、ばね部材71による押圧力の方向が太陽カム100の回転中心側に向いており、これによって太陽車47に負荷が掛かる。この図11の状態では、太陽車47に減算側へ回転させるトルクが付加されることはない。
図11の状態からぜんまい10が巻き戻ると、ばね部材71により押圧される太陽カム100の押圧位置が長軸部100A側の位置(図11参照)から、長軸部100Aと短軸部100Bとの間の中点位置(図10参照)に向かって変化する。このような太陽カム100の回転により、ばね部材71による押圧方向(太陽カム100とばね部材71との接線に直交する方向(法線方向))は、太陽カム100の回転中心から次第に離れた方向を向く。この押圧方向における太陽カム100の回転中心から太陽車47を減算側に回転させる側への離間距離は、ばね部材71が長軸部100A側の位置に接した状態(図11)から、長軸部100Aと短軸部100Bとの間の中点位置に接した状態(図10)となるまでの間では、次第に増加する。図11の状態では、太陽カム100の回転中心からばね部材71による押圧位置までの距離に応じた押圧力と、押圧方向における太陽カム100の回転中心からの離間距離との積により、太陽カム100を回転させるモーメントが最大となる。以上により、太陽車47への付加トルクはぜんまい10が巻き戻るに従って大きくなる。
なお、本実施形態の太陽カム100は、楕円形の略1/4の形状であるが、これに限らず、太陽カム100は、長軸部100Aと、長軸部100Aおよび短軸部100Bの間の中点位置とを含むような楕円の1/8の形状とすればよい。
図12は、本実施形態に関し、時計を駆動するためのトルクと、時計の持続時間との関係を示す。実線A〜Cは、第1実施形態(図4)の場合と同様にそれぞれ、ぜんまい10が出力するトルク(実線A参照)、太陽車47の減算側への回転の補助力として押圧部材により付加される付加トルク(実線B参照)、ぜんまい10による出力トルクと押圧部材による付加トルクとが合成されたトルク(実線C参照)を示す。これらのトルクと時計の持続時間との関係は、第3実施形態(図9)と同様となる。
すなわち、ぜんまい10がおおよそ巻き上がった状態では(図11)、ばね部材71により太陽カム100が回転中心に向けて押圧されていることから、太陽車47に負荷が掛かり、これによってぜんまい10にも負荷が掛かっている。この状態では、ばね部材71によって太陽車47に付加される減算側へのトルクが図11の実線Bに示すように最小となる。
この状態からぜんまい10が巻き戻ると、ばね部材71により押圧される太陽カム100の押圧位置が長軸部100A側から長軸部100Aと短軸部100Bとの間の中点位置に向かって変化するため、ばね部材71による太陽車47への付加トルクは次第に大きくなり、太陽車47を減算側に回転させる補助力として働く。この付加トルクとぜんまい10の出力トルクとが合成されたトルクは、図12の実線Cに示すように、ばね部材71による付加トルク分だけ増加する。
ここで、ぜんまい10が巻き戻ってぜんまい10の出力トルクが小さくなるほど太陽車47に付加されるトルクが大きくなる。このように太陽車47に付加されるトルクによって適時にぜんまい10の出力トルクが補われることにより、図11に示すように、これらのトルクが合成されたトルクが時計の持続時間において略一定となる。
以上の第4実施形態によれば、第1実施形態で述べた(1)および(2)と略同様の効果に加え、次のような効果が得られる。
(5)楕円形の一部の形状を含んだ外周形状を有する太陽カム100を有することにより、簡略な構成によって、精度をより一層安定させることができるとともに、時計の持続時間をより一層延ばすことができる。
〔第5実施形態〕
次に、本発明の第5実施形態について図13〜図15を参照して説明する。本実施形態では、太陽レバーの構成および押圧部材の構成が前記各実施形態とは相違する。
図13は、本実施形態の時計の要部を示す平面図である。本実施形態では、前記各実施形態における太陽レバーと略同様に機能する太陽カム110が設けられている。太陽カム110の外周部の一部には、周縁部から略V字状に窪む凹部110Aが形成されている。
また、本実施形態の押圧部材は、第1部材としてのばね部材71と、ばね部材71に軸支され、ばね部材71と太陽カム110との間に介在する第2部材としての押圧補助部材112とを有して構成されている。押圧補助部材112は、太陽カム110側に突出して凹部110Aに係合する係合凸部112Aを有している。
ここで、図13は、ぜんまい10がおおよそ巻き戻って時計の持続時間末期に到達した際の状態を示す。この状態において、押圧補助部材112の係合凸部112Aは太陽カム110の凹部110Aの内周部に係合している。この状態において、ばね部材71は、図13における太い矢印方向に向けて押圧補助部材112を介して太陽カム110を押圧する。このばね部材71および押圧補助部材112による押圧により、太陽車47に減算側へのトルクが付加される。
一方、図14は、ぜんまい10がおおよそ巻き上がった状態を示す。本実施形態では、ぜんまい10が巻き上がった状態から、ぜんまい10が巻き戻って係合凸部112Aが凹部110Aに係合するまでの間、図14の太い矢印のように、係合凸部112Aが太陽カム110の回転中心に向けて太陽カム110を押圧する。この際、係合凸部112Aは太陽カム110の外周部を摺動し、摺動抵抗によって太陽車47に負荷が加えられる。
図15は、本実施形態に関し、時計を駆動するためのトルクと、時計の持続時間との関係を示す。実線A〜Cは、第1実施形態(図4)の場合と同様にそれぞれ、ぜんまい10が出力するトルク(実線A参照)、太陽車47の減算側への回転の補助力として押圧部材により付加される付加トルク(実線B参照)、ぜんまい10による出力トルクと押圧部材による付加トルクとが合成されたトルク(実線C参照)を示す。
ここで、本実施形態では、ぜんまい10が巻き上がった状態から、ぜんまい10が巻き戻って凹部110Aに係合凸部112Aが係合するまでの間、図5の実線Bのように、太陽車47の回転に負荷が加えられる。
そして、凹部110Aに係合凸部112Aが係合すると押圧力の方向が変化する。すなわち、係合凸部112Aが凹部110Aの内周部を図13の矢印方向に押圧し、これによって、太陽車47を減算側に回転させる付加トルクが生じる。この付加トルクとぜんまい10が出力するトルクとが合成された全体のトルクは実線Cに示すように、付加トルク分だけ増加する。
以上の第5実施形態によれば、第1実施形態で述べた(1)と略同様の効果が得られる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、第1実施形態では、本発明のレバーとしての太陽レバー70が太陽車47に取り付けられていたが、本発明のレバーとしては、太陽車47といった出力車と同期して回転すればよいから、出力車と噛み合うことで同期して回転する車を別に設け、この車にレバーを取り付けてもよい。
また、前記各実施形態では、ぜんまい10の巻数を示す太陽車47と同期して回転するレバー70を押圧することにより、太陽車47の出力トルクを増大させていたが、押圧部材により押圧される出力車としては、このような太陽車47に限られない。例えば、駆動輪列20を構成する番車や、駆動輪列20中の番車に連動する適宜な歯車などを出力車として構成することが考えられる。
前記実施形態では、ぜんまい10の巻き上げ残量を表示する残量表示機構30が設けられていたが、このような残量表示機構30は必要に応じて設けられればよく、設けられていない構成も本発明に含まれる。
前記実施形態では、本発明に係る押圧部材としてばね部材を採用した例を説明したが、押圧部材としてはばね部材に限定されず、押圧力をゴム等の弾性体の弾性力にて発揮できるようにした押圧部材であってもよく、任意である。
本発明の時計としては、前記実施形態のような発電機7を備えた電子制御式機械時計に限らず、脱進機やテンプを調速機として備えた機械式時計であってもよい。
また、レバーや押圧部材の形状等は前記各実施形態には限定されない。例えば、第5実施形態の太陽カム110における凹部以外の外周部形状を第4実施形態の太陽カム100と略同様に楕円形としてもよい。これにより、第4実施形態による作用効果と第5実施形態による作用効果との両方が得られる。
本発明の第1実施形態に係る時計の概略平面図。 前記時計の要部を示す平面図。 前記時計の要部の異なる状態を示す平面図。 前記時計を駆動するためのトルクを説明するための図。 本発明の第2実施形態に係る時計の要部を示す平面図。 前記時計を駆動するためのトルクを説明するための図。 本発明の第3実施形態に係る時計の要部を示す平面図。 前記時計の要部の異なる状態を示す平面図。 前記時計を駆動するためのトルクを説明するための図。 本発明の第4実施形態に係る時計の要部を示す平面図。 前記時計の要部の異なる状態を示す平面図。 前記時計を駆動するためのトルクを説明するための図。 本発明の第5実施形態に係る時計の要部を示す平面図。 前記時計の要部の異なる状態を示す平面図。 前記時計を駆動するためのトルクを説明するための図。
符号の説明
1…時計、10…ぜんまい、47,87…出力車である太陽車、70,80…レバーである太陽レバー、71…押圧部材であるばね部材、81…押圧カム、82…押圧車、92…スライダ部材、93…ガイド部材、100…レバーである太陽カム、110…レバーである太陽カム、110A…凹部、112…第2部材である押圧補助部材、112A…係合凸部。

Claims (8)

  1. ぜんまいと、
    前記ぜんまいが出力するトルクによって回転する出力車と、
    前記出力車と同期して回転するレバーと、
    このレバーを押圧する押圧部材と、を備え、
    前記押圧部材は、前記ぜんまいが巻き戻るに従って、前記出力車の出力トルクが大きくなるように前記レバーを押圧する
    ことを特徴とする時計。
  2. 請求項1に記載の時計において、
    前記押圧部材は、前記ぜんまいの最大巻き上げ側では、前記レバーを前記回転中心または前記回転中心近傍の側に向けて押圧し、
    前記ぜんまいが巻き戻るに従って、前記レバーを前記出力車の出力トルクが大きくなるように押圧する
    ことを特徴とする時計。
  3. 請求項2に記載の時計において、
    前記レバーは、回転中心から外方に延設されてその先端部が前記押圧部材で押圧されており、
    前記押圧部材は、前記ぜんまいの最大巻き上げ側では、前記レバーの先端部を前記回転中心側に向けて押圧し、
    前記ぜんまいが巻き戻るに従って、前記レバーの先端部を前記出力車の出力トルクが大きくなるように押圧する
    ことを特徴とする時計。
  4. 請求項1または2に記載の時計において、
    前記押圧部材は、前記出力車から減速されて回転する押圧車と、前記押圧車に一体に設けられ、前記ぜんまいが巻き戻るに従って前記レバーとは離間した位置から前記レバーに近接し接触する押圧カムとを有し、
    前記押圧カムは、前記レバーに接触した状態において前記レバーを前記出力車の出力トルクが大きくなるように押圧する
    ことを特徴とする時計。
  5. 請求項1または2に記載の時計において、
    前記レバーには、当該レバーの回転中心側と外方側とを結ぶ方向に沿って直線移動可能なスライダ部材と、前記レバーの回転中心を中心とする円形における弦方向に略沿って前記スライダ部材をガイドするガイド部材とが設けられ、
    前記ガイド部材は、前記ぜんまいが巻き戻るに従って前記レバーの回転中心側から外方側へと前記スライダ部材をガイドし、
    前記押圧部材は、前記ガイド部材および前記スライダ部材を介して前記レバーを前記出力車の出力トルクが大きくなるように押圧する
    ことを特徴とする時計。
  6. 請求項1または2に記載の時計において、
    前記レバーは、楕円形の少なくとも一部を含んだ外周形状を有し、
    前記レバーにおいて前記押圧部材により押圧される押圧位置は、前記ぜんまいが巻き戻るに従って、前記レバーの外周部における楕円形長軸側の位置から、楕円形長軸と楕円形短軸との間の中点位置に向かって変化する
    ことを特徴とする時計。
  7. 請求項1、2、および6のいずれかに記載の時計において、
    前記レバーの外周部の一部には、前記レバーの回転中心からの距離が他の部分における前記回転中心からの距離よりも短い凹部が形成され、
    前記押圧部材は、第1部材と、前記第1部材により押圧され前記第1部材および前記レバーの間に介在する第2部材とを有し、
    前記第2部材は、前記レバー側に突出して前記凹部に係合する係合凸部を有し、
    前記レバーにおいて前記第2部材により押圧される押圧位置は、前記ぜんまいが巻き戻るに従って前記凹部以外の位置から前記凹部へと変化する
    ことを特徴とする時計。
  8. 請求項1から請求項7のいずれかに記載の時計において、
    前記押圧部材は、ばね部材である
    ことを特徴とする時計。
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