JP7135914B2 - 時計 - Google Patents
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Description
一方、ムーブメントの厚さ寸法を増加させないように、差動ギアをバレルシステムと平面視で重ならない位置に配置した場合、バレルシステムと差動ギアとの間の歯車もバレルシステムと平面視で重ならない位置に配置しなければならず、ムーブメントの平面寸法が増大する。
以下、実施形態に係る時計1を図1~8に基づいて説明する。
図1は、時計1を示す正面図である。時計1は、ユーザーの手首に装着される腕時計であり、円筒状の外装ケース2を備え、外装ケース2の内周側に、文字板3が配置されている。外装ケース2の二つの開口のうち、表面側の開口は、カバーガラスで塞がれており、裏面側の開口は裏蓋で塞がれている。
りゅうず7を0段位置で回転すると、後述するように、ムーブメント10に設けた第1ぜんまい20および第2ぜんまい30を巻き上げることができる。第1ぜんまい20および第2ぜんまい30の巻上げに連動して、パワーリザーブ針5が移動する。本実施形態の時計1は、第1ぜんまい20および第2ぜんまい30をフルに巻き上げた場合に、約40時間の持続時間を確保できる。
りゅうず7を1段位置に引いて回転すると、日車6を移動して日付を合わせることができる。りゅうず7を2段位置に引くと秒針4Cが停止し、2段位置でりゅうず7を回転すると、時針4A、分針4Bが移動して時刻を合わせることができる。りゅうず7による日車6や時針4A、分針4Bの修正方法は、従来の機械時計と同様であるため説明を省略する。
次に、ムーブメント10について図2~8を参照して説明する。なお、図2は、ムーブメント10の要部を裏蓋側から見た平面図であり、図3、図4はムーブメント10の要部の断面図であり、図5は図2において第1ぜんまい20、第2ぜんまい30を削除した平面図である。図6、図7は、ムーブメント10の要部を示す斜視図であり、図8は、ムーブメント10の要部を文字板側から見た平面図である。
ムーブメント10は、図2、3に示すように、第1ぜんまい20が収納される第1香箱21および第2ぜんまい30が収納される第2香箱31を備える。時針4A、分針4B、秒針4Cおよびパワーリザーブ針5は、後述するように、ムーブメント10の指針軸に取り付けられ、ムーブメント10の第1ぜんまい20および第2ぜんまい30によって駆動される。
第1ぜんまい20は、第1香箱21に収納されている。第1香箱21は、第1香箱車22と、第1香箱真23を備えている。第1香箱真23には、図6、7にも示すように、第1香箱真23と一体に回転する第1角穴車24が取り付けられている。
手動巻上機構40は、図2、6、7に示すように、りゅうず7が取り付けられた巻真41と、つづみ車42と、きち車43と、丸穴車44と、角穴第1伝え車45と、角穴第2伝え車46と、角穴第3伝え車47とを備える。角穴第3伝え車47は、第1角穴車24に噛み合っている。
このため、利用者がりゅうず7を0段位置で回転操作すると、巻真41およびつづみ車42が回転する。りゅうず7が0段位置の場合、つづみ車42はきち車43に噛み合っており、つづみ車42の回転は、きち車43から丸穴車44、角穴第1伝え車45、角穴第2伝え車46、角穴第3伝え車47に順次伝達される。このため、第1角穴車24および第1香箱真23が回転し、第1ぜんまい20が巻き上げられる。
自動巻上機構50は、図3に示す回転錘51と、回転錘51を回動自在に軸支し、外輪に回転錘51と一体で回転する歯車を備える図示略のベアリングと、このベアリングの歯車に噛み合う図2に示す偏心車53と、爪レバー54と、伝え車55とを備える。
偏心車53は、回転錘51の回動により、正逆両方向に回動する。爪レバー54は、偏心車53の回転軸に対して偏心した軸によって、偏心車53に対して回動自在に取り付けられている。
偏心車53が回転錘51に連動して回動すると、偏心車53に取り付けられた爪レバー54は、伝え車55に近づく方向および遠ざかる方向に進退運動し、伝え車55を一方向に回転する。伝え車55には、図7に示すように、第1角穴車24に噛み合う第2伝え車56が一体に設けられ、第1角穴車24は、第2伝え車56の回転に連動して回転する。第1角穴車24が回転すると、第1香箱真23が第1角穴車24と一体で回転し、第1ぜんまい20が巻き上げられる。
したがって、本実施形態の時計1は、りゅうず7を操作することによる手巻巻上げと、回転錘51の回動させることによる自動巻上げの両方で、第1ぜんまい20を巻き上げることができる。
第2ぜんまい30は、図3、4に示すように、第2香箱31に収納されている。第2香箱31は、第2香箱車32と、第2香箱真33を備えている。第2香箱真33は、第2角穴車34と一体に回転可能とされている。
第2ぜんまい30は、第1ぜんまい20によって巻き上げられる。すなわち、第1ぜんまい20が巻き上げられて第2ぜんまい30を巻き上げ可能なトルクが蓄積されると、第1香箱21の第1香箱車22が回転する。第1香箱車22は、香箱中間車27を介して第2香箱31の第2角穴車34に噛み合っており、第1香箱車22が回転すると、第2角穴車34および第2香箱真33が回転し、第2ぜんまい30が巻き上げられる。
また、第1香箱21および第2香箱31は、地板11を巻真41の軸方向で仮想的に2分割した2つの領域のうち、一方の領域に配置されている。巻真41の軸方向は、文字板3の3時および9時のアワーマーク3Bを結ぶ方向であり、地板11は、12時側と6時側の2つの領域に仮想的に分割される。そして、本実施形態の時計1では、12時側の領域に第1香箱21および第2香箱31を配置している。
時計1は、駆動源である第1ぜんまい20および第2ぜんまい30の持続時間を示すパワーリザーブ表示機構を備える。パワーリザーブ表示機構は、遊星歯車機構60と、パワーリザーブ輪列70と、図1に示す文字板3上に配置された扇形のサブダイヤル3Cと、パワーリザーブ針5とを備える。サブダイヤル3Cには、持続時間を示す数字が印字されている。
ここで、図2に示すように、第2香箱31は、平面視において、第1香箱21および遊星歯車機構60の間に配置されている。なお、本実施形態において、平面視とは、第1香箱真23および第2香箱真33の軸方向から見た状態を意味し、側面視とは、第1香箱真23および第2香箱真33の軸方向に垂直な方向から見た状態を意味する。
巻上げ表示輪列71は、第1遊星伝え車72と、香箱遊星伝え車73と、第2遊星伝え車74と、第3遊星伝え車75とを備える。第1遊星伝え車72は、第1角穴車24に噛み合っており、第1角穴車24が手動巻上機構40または自動巻上機構50で回転すると、第1角穴車24、第1遊星伝え車72、香箱遊星伝え車73、第2遊星伝え車74、第3遊星伝え車75は連動して回転する。第3遊星伝え車75の回転軸には、図2、3に示すように、遊星歯車機構60に噛み合うかな75Aが設けられている。
第1遊星伝え車72、第2遊星伝え車74は、地板11に固定された軸部材によって回転自在に取り付けられている。第3遊星伝え車75は、地板11および二番受13によって回転自在に軸支されている。香箱遊星伝え車73は、図3、7に示すように、第2香箱31の第2香箱真33に回転自在に軸支されている。
第1遊星伝え車72、香箱遊星伝え車73、第2遊星伝え車74は、第2香箱31に平面視で重なる位置に配置されている。このため、第1遊星伝え車72、香箱遊星伝え車73、第2遊星伝え車74は、平面視で互いに重ならないように配置されている。
第四遊星伝え車77、第五遊星伝え車78は、地板11および二番受13に回転自在に軸支されている。
第1太陽車61は、地板11などに回転自在に軸支された表示真611と、表示真611に固定された第1太陽歯車612とを備える。表示真611には、かな613が一体に形成され、このかな613に噛み合うとともに、地板11に揺動自在に軸支されたレバー状の巻印中間車65を介して回動する巻印車66にパワーリザーブ針5を取り付けている。すなわち、巻印車66は地板11に回動自在に軸支され、巻印車66の軸は、文字板3を貫通して文字板3の表面に突出し、前記パワーリザーブ針5が取り付けられている。なお、図3に点線で示すように、表示真611の裏蓋側端部にパワーリザーブ針5を取り付けてもよい。この場合、パワーリザーブ針5は、裏蓋にガラス等の窓部を設けることで裏蓋側から視認できる。
したがって、パワーリザーブ針5は、第1太陽車61の回動に連動して回動するように構成されている。
遊星車64は、遊星歯車641と、遊星歯車641に一体に固定された遊星かな642とを備え、遊星中間車63の回転軸632に回動自在に軸支されている。
遊星歯車641は、第2太陽かな622に噛み合い、遊星かな642は第1太陽歯車612に噛み合っている。
このようなパワーリザーブ表示機構において、第1ぜんまい20および第2ぜんまい30の巻上げ時および巻戻し時の動作について説明する。
手動巻上機構40や自動巻上機構50によって第1角穴車24が回転されると、第1香箱真23が回転して第1ぜんまい20が巻き上げられる。また、第1香箱真23の回転に伴い、巻上げ表示輪列71の第1遊星伝え車72、香箱遊星伝え車73、第2遊星伝え車74、第3遊星伝え車75が回転し、そのトルクは第2太陽車62、遊星車64、第1太陽車61に伝達される。ここで、第1ぜんまい20の巻上げ時および第1ぜんまい20によって第2ぜんまい30がフルに巻き上げられるまでは、第2香箱31の第2香箱車32は回転が遅くほぼ停止状態のため、巻戻し表示輪列76の第四遊星伝え車77、第五遊星伝え車78は停止状態であり、第五遊星伝え車78のかな78Aに噛み合う遊星中間車63も停止状態である。このため、遊星中間車63の回転軸632に軸支された遊星車64はその場で回転、つまり自転して第1太陽車61および表示真611を第1方向に回転させる。第1太陽車61および表示真611が第1方向に回転すると巻印中間車65を介して巻印車66が回転し、パワーリザーブ針5は時計回り方向つまりサブダイヤル3Cで指示する持続時間が増加する方向に回転する。
発電機80は、図2、7に示すように、ローター81およびコイルブロック82、83を備えて構成される。ローター81は、ローター磁石81A、ローターかな81B、ローター慣性円板81Cを備えている。ローター慣性円板81Cは、第2香箱車32からの駆動トルク変動に対しローター81の回転数変動を少なくする。コイルブロック82、83は、各コアにコイルをそれぞれ巻線して構成されたものである。
したがって、発電機80は、外部からのトルクでローター81が回転すると、コイルブロック82、83によって誘起電力を発生し、電気エネルギーを出力してIC等に供給できる。また、コイルをショートさせることで、ローター81にブレーキを加えることができ、ブレーキ力を制御することで、ローター81の回転周期を一定に調速できる。
この発電機80は、地板11を12時側および6時側に2分割した場合に、6時側の領域、つまり第1香箱21、第2香箱31が配置される12側の領域と異なる領域に配置されている。
次に、第1ぜんまい20および第2ぜんまい30からの機械的エネルギーによって時針4A、分針4B、秒針4Cを駆動する輪列90について説明する。
前記輪列90は、図2、5、6、7にも示すように、二番車92、三番車93、四番車94、五番車95、六番車96を備えている。第2香箱車32の回転は、二番車92へ伝達された後、三番車93、四番車94、五番車95、六番車96と順次増速され、ローター81へと伝達される。
二番車92には図示しない筒かなを介して分針4Bが固定され、四番車94には秒針4Cが固定されている。また、筒かなには図示しない日の裏車を介して図8に示す筒車97が接続され、この筒車97に時針4Aが固定されている。
筒車97には、日回し中間車97Aが取り付けられ、日回し中間車97Aで回転される日回し車98には日車6を回転する日回し爪が取り付けられている。
また、日車6の内歯には、日車6のガタツキを押さえる日ジャンパー99が係合されている。本実施形態では、日ジャンパー99は、地板11に取り付けられた軸部材100によって揺動可能に取り付けられている。
実施形態の時計1では、第2香箱31の第2香箱真33を、巻上げ表示輪列71の香箱遊星伝え車73の回転軸として兼用しているので、ムーブメント10の平面および断面レイアウトを効率化でき、ムーブメント10を小型化できる。したがって、時計1のデザイン自由度を向上でき、意匠性に優れた時計1を提供できる。
例えば、香箱遊星伝え車73の回転軸を第2香箱真33と平面視で重ならない位置に配置する場合、第2香箱真33と香箱遊星伝え車73とが干渉しないようにレイアウトする必要があり、ムーブメント10が大型化する。これに対し、本実施形態の時計1では、第2香箱真33を香箱遊星伝え車73の回転軸として利用するため、ムーブメント10を小型化できる。
これに対し、本実施形態の時計1では、第1ぜんまい20および第2ぜんまい30の2つのぜんまいを備えているので、1つのぜんまいで同じ持続時間を確保する場合に比べてムーブメント10の平面サイズを小さくできる。
さらに、第1ぜんまい20が収納される第1香箱21を、文字板3の平面視で1~2時位置側に設けたので、手動巻上機構40の近くに配置できる。このため、手動巻上機構40の歯車数も抑制でき、レイアウトの効率化を図ることができる。
その上、第1香箱21の直径を第2香箱31に比べて小さくしているので、その周囲にボタンスイッチを配置することができる。このため、クロノグラフ機能などを有し、ボタン数も増やす必要がある多機能時計を構成する場合にも同じムーブメント10を利用することができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記実施形態では、第2香箱31の第2香箱真33を、香箱遊星伝え車73の回転軸として兼用していたが、さらに他の部品の軸として利用してもよい。例えば、図9に示すムーブメント10Aでは、第2香箱真33の文字板側の端部を地板11から突出させ、第2香箱真33を香箱遊星伝え車73の回転軸に加えて、日ジャンパー99の軸部材に兼用している。このように、第2香箱真33を、香箱遊星伝え車73の回転軸および日ジャンパー99の軸部材に利用すれば、軸部材100を設ける必要が無く、レイアウトの効率化が図れ、コストも低減できる。
また、時計1は、発電機80および輪列90を備える電子制御式機械時計に限らず、ガンギ、アンクルなどの一般的な調速機構を備える機械時計でもよく、2つのぜんまい10、20を備えた時計であればよい。
Claims (7)
- 第1香箱真、第1ぜんまい、および第1香箱車を有する第1香箱と、
第2香箱真、第2ぜんまい、および第2香箱車を有し、前記第1香箱真および前記第2香箱真の軸方向から見た平面視で、前記第1香箱と重ならない位置に配置され、前記第1香箱の回転が伝達される第2香箱と、
前記第1香箱真と一体に回転する歯車の回転が伝達されると第1方向に回転し、前記第2香箱車の回転が伝達されると前記第1方向とは逆の第2方向に回転する表示真を有し、前記第1香箱および前記第2香箱と前記平面視で重ならない位置に配置された遊星歯車機構と、
前記第1香箱真と一体に回転する歯車の回転を前記遊星歯車機構に伝達する複数の歯車を有し、前記複数の歯車のうちの1つの歯車が前記第2香箱真に軸支されるパワーリザーブ輪列と、
を備える時計。 - 請求項1に記載の時計において、
前記遊星歯車機構は、
前記表示真と、前記表示真と一体に回転する第1太陽歯車とを有する第1太陽車と、
前記第1香箱真と一体に回転する歯車の回転が伝達される第2太陽歯車と、前記第2太陽歯車に一体に回転する第2太陽かなとを有し、前記表示真を回転軸とする第2太陽車と、
前記第2香箱車の回転が伝達され、前記表示真を回転軸とする遊星中間車と、
前記遊星中間車の回転軸に対して偏心した回転軸で前記遊星中間車に回転自在に支持され、前記第2太陽かなに噛み合う遊星歯車と、前記第1太陽歯車に噛み合う遊星かなとを有する遊星車と、を備え、
前記パワーリザーブ輪列は、
前記第1香箱真と一体に回転する歯車の回転を、前記第2太陽歯車に伝達する複数の歯車で構成される巻上げ表示輪列と、
前記第2香箱車の回転を、前記遊星中間車に伝達する複数の歯車で構成される巻戻し表示輪列と、を備え、
前記巻上げ表示輪列は、前記1つの歯車を有する
時計。 - 請求項1または請求項2に記載の時計において、
前記第2香箱真は、前記1つの歯車以外の他の部品の軸に兼用されている時計。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の時計において、
前記第2香箱は、前記第1香箱および前記遊星歯車機構の間に配置される時計。 - 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の時計において、
前記パワーリザーブ輪列において、前記第1香箱または前記第2香箱に前記平面視で重なる歯車は、前記平面視で互いに重ならないように配置されている時計。 - 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の時計において、
前記第1香箱真および前記第2香箱真を軸支する地板と、
前記地板に対して回動自在に配置される巻真とを備え、
前記第1香箱および前記第2香箱は、前記地板を前記巻真の軸方向に沿って前記平面視で仮想的に2分割した領域の一方の領域に配置されている時計。 - 請求項6に記載の時計において、
前記第2香箱車によって回転される輪列と、
前記輪列によって駆動されて誘起電力を発生し電気エネルギーを出力する発電機と、
前記輪列に取り付けられた指針と、を備え、
前記発電機は、前記地板を前記巻真の軸方向に沿って前記平面視で仮想的に2分割した領域の他方の領域に配置されている時計。
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