JP2012120485A - 植物栽培用保水材及びこれを使用する植物の栽培方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
シート状の下記耐水紙(A)とシート状の透水紙(B)とを合わせてなる植物栽培用保水材であって、(A)と(B)との間に吸水性樹脂(C)を有する植物栽培用保水材。
耐水紙(A):JIS P 8122を用いて測定したステキヒト法によるサイズ度が1.0〜110秒であり、且つ、JIS P 8135を用いて測定した湿潤引張強さ(横方向)が0.007〜0.4kN/mである耐水紙。
透水紙(B):JIS P 8122を用いて測定したステキヒト法によるサイズ度が15秒以下であり、且つ、JIS P 8135を用いて測定した湿潤引張強さ(横方向)が0.4kN/m以下である透水紙。
【選択図】なし
Description
土壌改質剤としては、さらに、ピートモスなどの天然素材(特許文献5)、粘土熱処理粒状物などの無機物(特許文献6)、吸水性樹脂粒子(特許文献7、特許文献8)などが提案されている。これらは、土壌と混合又は植物の根の周辺に埋め込んで、植物の根の周辺の土壌の保水性を向上させて、植物の生育を助長するものである。
さらに、植物の生育を助長する方法として、植物栽培用床の適当な深さに吸水性樹脂利用の保水層を形成させて保水性を向上させる方法(特許文献9)や、吸水性樹脂の粉末を含む吸水シートを使用して植物を育成する方法(特許文献10)などが提案されている。
吸水シートとしては、さらに、シート両面を透水性にしているもの(特許文献11)、シート片面を透水性、他方の面を非透水性にしているもの(特許文献9、特許文献10)などがある。
土壌改質剤においては、土壌と土壌改質剤を混ぜた場合、土壌改質剤が偏在してしまい効果にばらつきがでる問題がある。一方、ばらつきを少なくするために、多くの土壌改質剤を用いて土壌と充分混合する方法があるものの、その混合作業が面倒であるという問題がある。
また、吸水シートにおいては、シート両面を透水性にしているものは、灌水した水や雨水を十分に吸水性樹脂に吸水させることが難しいという欠点がある。また、シート片面を透水性、他方の面を非透水性にしているものは、非透水性シートの強度が強すぎて植物の根の成長を阻害するという欠点がある。
特に、渇水期等においては植物栽培土壌に対する灌水は大きな制約を受ける事になり、収穫量や品質にも悪影響を及ぼす場合も多い。通常、植物栽培土壌に対し灌水された水や雨水はその殆んどが流失し極短時間しか植物の生育に寄与しないが、保水材によって、これらの流失する水分を植物の最底部下に保持し、植物に対して徐々に給水することができれば、植物の生育環境は理想的となり、灌水回数を減らし雨水の利用効率を高めることができる。
すなわち本発明は、シート状の下記耐水紙(A)と下記シート状の透水紙(B)とを合わせてなる植物栽培用保水材であって、(A)と(B)との間に吸水性樹脂(C)を有する植物栽培用保水材である。
耐水紙(A):JIS P 8122を用いて測定したステキヒト法によるサイズ度が1.0〜110秒であり、且つ、JIS P 8135を用いて測定した湿潤引張強さ(横方向)が0.007〜0.4kN/mである耐水紙。
透水紙(B):JIS P 8122を用いて測定したステキヒト法によるサイズ度が15秒以下であり、且つ、JIS P 8135を用いて測定した湿潤引張強さ(横方向)が0.4kN/m以下である透水紙。
また、本発明は、植物栽培用保水材を植物の根の下側に埋めて植物を栽培する方法であって、植物培養用保水材の透水紙(B)の面を植物の根がある側に向けて敷設する植物の栽培方法である。
(1)本発明の植物栽培用保水材は、効率よく保水することができ、また、植物に給水することができる。
(2)本発明の植物栽培用保水材は、植物の根の成長を妨げない。
(3)土壌改質剤と土壌を混ぜるなどの作業がなく簡単な作業で土壌の保水性が向上できる。
本発明において、耐水紙とは紙表面を耐水処理したものであり、透水紙とは耐水処理していないものをいう。
また、耐水紙(A)の湿潤引張強さ(横方向)は、0.007〜0.4kN/mであり、0.01〜0.2が好ましく、特に好ましくは0.02〜0.1kN/mである。
横方向とは、紙の繊維が並んでいる方向と垂直の方向であり、紙において湿潤引張強さが弱い方向である。
耐水紙(A)に使用する紙は、紙表面を耐水処理した際に、上記サイズ度及び湿潤引張強さ(横方向)を満たすものであれば特に限定されないが、例えば、ティシュペーパー、ちり紙及び新聞用紙等が使用できる。
耐水処理としては、例えば、油、合成樹脂エマルジョン又は合成樹脂を塗布又は含浸したもの(A−1)及びサイズ剤を塗布したもの(A−2)が挙げられる。
合成樹脂エマルジョンとしては、スチレン−ブタジエンラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエンラテックス等の合成ゴム系ラテックス、スチレン−アクリルエマルジョン、エチレン−アクリル酸エマルジョン等が挙げられる。合成樹脂エマルジョンの形態としては、液状物等が挙げられる。
合成樹脂としては、アクリル樹脂、酢ビ樹脂、スチレン樹脂、オレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂又は共重合体(アクリルモノマー、酢酸ビニル、スチレンモノマー、オレフィン、エポキシアクリレートモノマー、ウレタンアクリレートモノマー及びポリエステルアクリレートモノマーからなる群から選ばれる2種以上の共重合体)等を単独又は2種以上混合したもの等が挙げられる。合成樹脂の形態としては、液状物等が挙げられる。
(A−1)として、好ましくはスチレン−アクリルエマルジョン、エチレン−アクリル酸エマルジョンが挙げられる。
さらに、水溶性樹脂PVA(ポリビニルアルコール)又はデンプンに尿素樹脂、メラミン樹脂、グリオキサール又はケトンアルデヒド樹脂等を混合して塗布した紙、石油系ワックスエマルション、脂肪酸誘導体水溶液又はエマルション合成樹脂を塗布した紙等がある。
また、(A−1)として、パラフィン紙、油紙、アスファルト紙、ターポリン紙、温床紙等の市販されている物も使用できる。
本発明において、サイズ剤としては、紙のサイズ剤として用いられているものが使用でき、例えば、石油樹脂エマルジョン、スチレン−無水マレイン酸共重合体アルキルエステルのアンモニウム塩、スチレン−マレイン酸共重合物のソーダ塩、メタクリル酸アルキルエステル/メタクリル酸共重合物のソーダ塩、ロジン、高級脂肪酸塩、アルキルケテンダイマー(AKD)、エポキシ化脂肪酸アミド、アルキルアミン−エピハロヒドリン重縮合物及びデンプン等が挙げられる。
(A−2)として、好ましくはスチレン−無水マレイン酸共重合体アルキルエステルのアンモニウム塩、スチレン−マレイン酸共重合物のソーダ塩、メタクリル酸アルキルエステル/メタクリル酸共重合物のソーダ塩が挙げられる。
上記透水紙(B)のJIS P 8122を用いて測定した(B)のステキヒト法によるサイズ度は、水を速やかに吸水性樹脂に行き渡らせるという観点から、10秒以下が好ましく、特に好ましくは1秒以下である。
水溶性又は親水性の糊としては、水溶性ポリマー、糖類、タンパク質等があげられる。
重合方法としては公知の重合方法が適用でき、たとえば、水溶液重合、懸濁重合、塊状重合、逆相懸濁重合及び乳化重合が挙げられる。これらの重合には、公知の重合開始剤、連鎖移動剤及び/又は溶媒等が使用できる。
水溶液重合法で重合させる方法は、公知の方法でよく、例えばラジカル重合開始剤を用いて重合させる方法、放射線、紫外線、電子線等を照射する方法が挙げられる。
ラジカル重合開始剤を用いて重合させる場合、ラジカル重合開始剤としては、アゾ化合物[アゾビスイソバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル、4,4'−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)、2,2'−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)ハイドロクロライド等]、無機過酸化物[過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等]、有機過酸化物[ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等]、レドックス開始剤[アルカリ金属塩の亜硫酸塩もしくは重亜硫酸塩、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸アンモニウム、L−アスコルビン酸等の還元剤と、アルカリ金属塩の過硫酸塩、過硫酸アンモニウム、過酸化水素水等の過酸化物の組み合わせ]等が挙げられる。これらは2種類以上を併用してもよい。
<吸水性樹脂の吸収倍率>
縦20cm横10cm幅約5mmのナイロン製の網袋(250メッシュ)に吸水性樹脂の試料(サンプル量;0.1g)を入れ、これを袋ごと過剰のイオン交換水に浸す。浸漬60分後に袋ごと空中に引き上げ、静置して30分間水切りした後、質量(Xg)を測定して下式より吸収倍率を求める。[網袋のみを用いて上記と同様の操作を行い、この分の質量(Yg)をブランクとする。]吸収倍率=(X−Y)/0.1
フィラー(D)の形状としては、粉末状、粒状、繊維状及び綿状があり、好ましくは繊維状及び綿状である。フィラー(D)は、適度な通気性を有するもの、地面に取り付けた際に土壌に悪影響を与えないもの及び/又は土壌表面若しくは内部において分解され易い性質を有しているものが好ましく、特願平11−327876号公報に記載されたものが挙げられる。例えば、パーライト、バーミキュライト、ロックファイバー等の無機多孔質、木屑、モミガラ、ソバカス、米ヌカ、木綿、ワラ、草炭、羊毛、オガクズ、パルプ、紙屑等が挙げられる。(D)の添加量(g/m2)としては、植物栽培用保水材の単位面積(m2)当たり、0〜500が好ましく、さらに好ましくは0〜300である。
結合させる方法としては、(A)と(B)を重ね合わせて圧着する方法が挙げられる。
圧着する方法としては、エンボス加工が挙げられる。
また、耐水紙(A)、透水紙(B)及び吸水性樹脂(C)以外にフィラー(D)を使用する場合の植物栽培用保水材の製造方法としては、以下の3つの方法が挙げられる。
(1)(C)と(D)との混合物を(B)に散布した後、(B)の片面であり且つ(C)と(D)との混合物が散布された面に(A)を合わせ、エンボス加工により結合する方法。
(2)(C)を(B)に散布し、さらに(D)を(B)に散布した後、(B)の片面であり且つ(C)と(D)が散布された面に(A)を合わせ、エンボス加工により結合する方法。
(3)(D)を(B)に散布し、さらに(C)を(B)に散布した後、(B)の片面であり且つ(C)と(D)が散布された面に(A)を合わせ、エンボス加工により結合する方法。
植物栽培用保水材の形状が皿状であるとは、吸水性樹脂(C)がゲル膨潤するために必要な量の水を保持できる容量を持った容器状のものであることを意味する。
また、凹みにおいて、灌水した水や雨水を吸水性樹脂に行き渡らせるために、凹んでいる内側が透水紙(B)の面であり、外側が耐水紙(A)の面であることが好ましい。
箱状とは、箱の全6面のうち1面(上面)を取り除いたもので、箱状の場合の凹みの大きさは栽培する植物の種類や大きさによって適宜選択されるが、保水性及び水膨潤した吸水性樹脂の容積の観点から、底面積3cm2〜7m2及び深さ1cm〜3mの箱状が好ましく、さらに好ましくは底面積3cm2〜3m2及び深さ1cm〜1.5mである。
本発明において、皿状には鉢状及び御椀状のものを含む。
(1)ハンキングバスケット、プランター、植木鉢又はポット等の容器に植物栽培用保水材を敷く。容器を使用しない場合は、土壌に穴を掘り、植物栽培用保水材を敷く。植物を植えたときに、植物栽培用保水材の透水紙(B)の面を植物の根のある側に向くように植物栽培用保水材を敷く。
(2)植物栽培用保水材の上に、化学肥料等を混合した土壌を積層する。
(3)積層した土壌の上に、植物の種又は苗を植える。
(4)植物の種又は苗を植えた周辺に灌水する。
(5)数日おきに灌水する。
1.耐水紙(A)
スチレン共重合体サイズ剤を塗布したティシュを耐水紙(A1)〜(A7)として使用した。サイズ剤の塗布面積率(塗布面積/全表面積)は100%とした。(A1)〜(A7)の坪量(g/m2)、サイズ剤の塗布量(g/m2)、ステキヒト法によるサイズ度(秒)及び湿潤引張強さ(横方向)(kN/m)は表1に記載した。
2.透水紙(B)
透水紙(B)として、ティシュペーパー(セルロース)(150mm×150mm)を使用した。JIS P 8122を用いて測定した(B)のステキヒト法によるサイズ度は1秒であった。さらに、湿潤引張強さ(横方向)は、0.004kN/mであった。
3.吸水性樹脂(C)
(1)吸水性樹脂(C1)
アクリル酸重合体の部分塩架橋物(1):平均粒径350μm、吸水倍率約400g/g、三洋化成工業(株)製 サンフレッシュ GT−1
(2)吸水性樹脂(C2)
アクリル酸重合体の部分塩架橋物(2):平均粒径350μm、吸水倍率600g/g、三洋化成工業(株)製 サンフレッシュ ST−250*
4.フィラー(D)
フィラー(D)として、粉砕パルプ(セルロース)を使用した。
1.ステキヒト法によるサイズ度
JIS P 8122に準じて測定した。
2.湿潤引張強さ(横方向)
JIS P 8135に準じて測定した。
1.ステキヒト法によるサイズ度
JIS P 8122に準じて測定した。
2.湿潤引張強さ(横方向)
JIS P 8135に準じて測定した。
表1に記載の構成に従って、透水紙(B)上に吸水性樹脂(C1)又は(C2)とフィラー(D)を混合したものを均一に散布した後、各々耐水紙(A1)〜(A5)を重ね合わせ、更にエンボス加工した。この様にして本発明の植物栽培用保水材(S1)〜(S7)を作成した。
表1に記載の構成に従って、透水紙(B)上に吸水性樹脂(C2)を均一に散布した後、耐水紙(A1)を重ね合わせ、更にエンボス加工した。この様にして本発明の植物栽培用保水材(S8)を作成した。
表2に記載の構成に従って、透水紙(B)上に吸水性樹脂(C1)とフィラー(D)を混合したものを均一に散布した後、各々耐水紙(A6)又は(A7)を重ね合わせ、更にエンボス加工した。この様にして比較用の植物栽培用保水材(S’1)及び(S’2)を作成した。
表2に記載の構成に従って、透水紙(B)上に吸水性樹脂(C2)を均一に散布した後、耐水紙(A6)を重ね合わせ、更にエンボス加工した。この様にして比較用の植物栽培用保水材(S’5)を作成した。
表2に記載の通り、吸水性樹脂(C1)を含水ゲル状にした植物栽培用保水材(S’3)及び吸水性樹脂(C1)を粉末の状態で使用した植物栽培用保水材(S’4)を用いた。
実施例9〜16、比較例7、8、12
30cm(縦)×20cm(横)×20cm(深さ)のプラスチック製のプランターに、植物栽培用保水材(S1)〜(S8)及び(S’1)、(S’2)、(S’5)を透水紙面を上側(砂質土壌をのせる側)にして容器形状に合わせて皿状(30cm(縦)×20cm(横)×5cm(深さ))に敷き詰めた後、砂質土壌(川砂)7.5kgに化学肥料(窒素:リン酸:カリ=1:1:1)10gを加え十分に混合した土壌を積層した。さらにキュウリの種を20粒播種し、その上に砂質土壌0.5kgを均一に入れ、初期灌水として水道水600gを灌水した。これらに3日おきに1回、60gの水道水を追加灌水し、14日間後の生育状況(根張り、地上部生育状態)を観察した。
実施例9〜16、比較例7、8及び12において、「キュウリの種」を「大根の種」に変更する以外は同様にして、実施例17〜24、比較例13、14及び18を実施した。
30cm(縦)×20cm(横)×20cm(深さ)のプラスチック製のプランターに、植物栽培用保水材(S’3)(含水ゲル状の吸水性樹脂((C1)7.8gに水600gを吸水させたもの))607.8gを均一に敷き、砂質土壌7.5kgに化学肥料(窒素:リン酸:カリ=1:1:1)10gを加え十分に混合した土壌を積層し、キュウリの種を20粒播種し、その上に砂質土壌0.5kgを均一に入れた。これらに3日おきに1回、60gの水道水を追加灌水し、14日間後の生育状況(根のシート貫通有無、根張り、地上部生育状態)を観察した。
比較例9において、「キュウリの種」を「大根の種」に変更する以外は同様にして、比較例15を実施した。
30cm(縦)×20cm(横)×20cm(深さ)のプラスチック製のプランターに、植物栽培用保水材(S’4)(粉末状の吸水性樹脂)7.8gを均一に敷き、砂質土壌7.5kgに化学肥料(窒素:リン酸:カリ=1:1:1)10gを加え十分に混合した土壌を積層した。その後、キュウリの種を20粒播種し、その上に砂質土壌0.5kgを均一に入れ、初期灌水として水道水600gを灌水した。これらに追加灌水として水道水を3日おきに1回、1回分の灌水量(60g)を6時間間隔で3分割(20g)して投入し、14日間後の生育状況(根のシート貫通有無、根張り、地上部生育状態)を観察した。
比較例10において、「キュウリの種」を「大根の種」に変更する以外は同様にして、比較例16を実施した。
30cm(縦)×20cm(横×20cm(深さ)のプラスチック製のプランターに、植物栽培用保水材(S’4)(粉末状の吸水性樹脂)7.8gを均一に敷き、砂質土壌7.5kgに化学肥料(窒素:リン酸:カリ=1:1:1)10gを加え十分に混合した土壌を積層した。その後、キュウリの種を20粒播種し、その上に砂質土壌0.5kgを均一に入れ、初期灌水として水道水600gを灌水した。これらに3日おきに1回、60gの水道水を追加灌水し、14日間後の生育状況(根のシート貫通有無、根張り、地上部生育状態)を観察した。
比較例11において、「キュウリの種」を「大根の種」に変更する以外は同様にして、比較例17を実施した。
30cm(縦)×20cm(横)×20cm(深さ)のプラスチック製のプランターに、植物栽培用保水材(S1)を透水紙面を上側(砂質土壌をのせる側)にして容器形状に合わせて皿状(30cm(縦)×20cm(横)×5cm(深さ))に敷き詰めた後、砂質土壌(川砂)7.5kgに化学肥料(窒素:リン酸:カリ=1:1:1)10gを加え十分に混合した土壌を積層し、芝を全面に植え付け、初期灌水として水道水600gを灌水し、28日間、7日おきの生育状況(地上部生育状態)を観察した。この間、7日おきに1回、水道水600gの追加灌水を行った。
30cm(縦)×20cm(横)×20cm(深さ)のプラスチック製のプランターに、植物栽培用保水材(S’3)(含水ゲル状の吸水性樹脂((C1)7.8gに水600gを吸水させたもの))607.8gを均一に敷き、砂質土壌7.5kgに化学肥料(窒素:リン酸:カリ=1:1:1)10gを加え十分に混合した土壌を積層し、芝を全面に植え付け、28日間、7日おきの生育状況(地上部生育状態)を観察した。この間、7日おきに1回、水道水600gの追加灌水を行った。
30cm(縦)×20cm(横)×20cm(深さ)のプラスチック製のプランターに、砂質土壌7.5kgに化学肥料(窒素:リン酸:カリ=1:1:1)10gを加え十分に混合した土壌を積層し、芝を全面に植え付け、初期灌水として水道水600gを灌水し、28日間、7日おきの生育状況(地上部生育状態)を観察した。この間、7日おきに1回、水道水600gの追加灌水を行った。
・根のシート貫通有無
○:植物栽培用保水材を貫通した
×:植物栽培用保水材を貫通しなかった
・根張り
◎:根の長さが8cm以上
○:根の長さが5cm以上8cm未満
△:根の長さが3cm以上5cm未満
×:根の長さが3cm未満
・地上部生育状態
◎:地上部の長さが12cm以上
○:地上部の長さが8cm以上12cm未満
△:地上部の長さが4cm以上8cm未満
×:地上部の長さが4cm未満
・根のシート貫通有無
○:植物栽培用保水材を貫通した
×:植物栽培用保水材を貫通しなかった
・根張り
◎:根の長さが8cm以上
○:根の長さが5cm以上8cm未満
△:根の長さが3cm以上5cm未満
×:根の長さが3cm未満
・地上部生育状態
◎:地上部の長さが10cm以上
○:地上部の長さが8cm以上10cm未満
△:地上部の長さが3cm以上8cm未満
×:地上部の長さが3cm未満
一方、シート両面を透水性(ステキヒト法によるサイズ度が1.0秒未満のもの)にしている従来のもの(S’1)及び(S’5)を使用した栽培方法(比較例7、12、比較例13、18)や耐水紙のサイズ度が110秒より大きいもの(S’2)を使用した栽培方法(比較例8及び14)に比べ、根張り及び地上部生育状態の評価結果が悪く、キュウリ及び大根の生育状態が悪いことがわかる。
さらに、シートを用いず直接土壌下に粉末状の吸水性樹脂を敷いた((S’4)を使用したもの)栽培方法(比較例10、11、16及び17)のうち、比較例11及び17は生育状態が非常に悪かった。また、追加灌水間隔を3日に3回おきに分けたもの(比較例10及び16)は、植物栽培用保水材使用時に近い性能を示したが、本発明の栽培方法よりも劣っていた。また、シートを用いず直接土壌下に含水ゲル状の吸水性樹脂を敷いた(S’3)栽培方法(比較例9及び比較例15)でも、生育状態が悪かった。
本発明の植物栽培用保水材(S1)を使用した栽培方法(実施例25)は、植物栽培用保水材(S’3)を使用した栽培方法(比較例19)及び植物栽培用保水材を使用しない栽培方法(比較例20)に比べ、長期間に渡り芝の生育状態の評価結果が良好であることがわかる。
一方、耐水紙(A)の湿潤引張強さ(横方向)が規定の範囲を超えている比較の植物栽培用保水材(S’2)を使用して栽培したもの(比較例8、14)については、植物の根が、湿潤引張強さ(横方向)が0.004kN/mである透水紙(B)は貫通していたものの、耐水紙(A)を貫通せず、植物の生長を妨げていた。
また、本発明の栽培方法は、少量の灌水でも効率よく保水され、さらに保水した水が植物に給水されるので、植物が水を効率よく吸収でき、植物の生育に優れていることがわかる。
Claims (4)
- シート状の下記耐水紙(A)とシート状の下記透水紙(B)とを合わせてなる植物栽培用保水材であって、(A)と(B)との間に吸水性樹脂(C)を有する植物栽培用保水材。
耐水紙(A):JIS P 8122を用いて測定したステキヒト法によるサイズ度が1.0〜110秒であり、且つ、JIS P 8135を用いて測定した湿潤引張強さ(横方向)が0.007〜0.4kN/mである耐水紙。
透水紙(B):JIS P 8122を用いて測定したステキヒト法によるサイズ度が15秒以下であり、且つ、JIS P 8135を用いて測定した湿潤引張強さ(横方向)が0.4kN/m以下である透水紙。 - 植物栽培用保水材の形状が皿状である請求項1に記載の植物栽培用保水材。
- 植物栽培用保水材を植物の根の下側に埋めて植物を栽培する方法であって、請求項1又は2に記載の植物培養用保水材の透水紙(B)の面を植物の根がある側に向けて敷設する植物の栽培方法。
- 植物培養用保水材を植物の根の側面を囲うように埋設する請求項3に記載の栽培方法。
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