JP2012120485A - 植物栽培用保水材及びこれを使用する植物の栽培方法 - Google Patents

植物栽培用保水材及びこれを使用する植物の栽培方法 Download PDF

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Abstract

【課題】夏場や降雨量の少ない乾燥地帯でも、保水性が保たれ、且つ植物の生育を阻害しない植物栽培用保水材の提供と栽培方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
シート状の下記耐水紙(A)とシート状の透水紙(B)とを合わせてなる植物栽培用保水材であって、(A)と(B)との間に吸水性樹脂(C)を有する植物栽培用保水材。
耐水紙(A):JIS P 8122を用いて測定したステキヒト法によるサイズ度が1.0〜110秒であり、且つ、JIS P 8135を用いて測定した湿潤引張強さ(横方向)が0.007〜0.4kN/mである耐水紙。
透水紙(B):JIS P 8122を用いて測定したステキヒト法によるサイズ度が15秒以下であり、且つ、JIS P 8135を用いて測定した湿潤引張強さ(横方向)が0.4kN/m以下である透水紙。
【選択図】なし

Description

本発明は、植物栽培用保水材及びこれを使用する植物の栽培方法に関する。
近年、吸水性樹脂を土壌などと混合し、その吸水・保水性を利用して植物の生育や活着、発芽などを助長する方法が提案されている。例えば、(1)砂など担体に吸水性樹脂を付着させたものを土壌と混合する方法(特許文献1)、(2)土壌と吸水性樹脂及び水溶性高分子などを混合する方法(特許文献2)、(3)粒径の大きな吸水性樹脂を使用する方法(特許文献3)、(4)吸水性樹脂とイオン封鎖剤を混合した土壌改質剤(特許文献4)などが提案されている。
土壌改質剤としては、さらに、ピートモスなどの天然素材(特許文献5)、粘土熱処理粒状物などの無機物(特許文献6)、吸水性樹脂粒子(特許文献7、特許文献8)などが提案されている。これらは、土壌と混合又は植物の根の周辺に埋め込んで、植物の根の周辺の土壌の保水性を向上させて、植物の生育を助長するものである。
さらに、植物の生育を助長する方法として、植物栽培用床の適当な深さに吸水性樹脂利用の保水層を形成させて保水性を向上させる方法(特許文献9)や、吸水性樹脂の粉末を含む吸水シートを使用して植物を育成する方法(特許文献10)などが提案されている。
吸水シートとしては、さらに、シート両面を透水性にしているもの(特許文献11)、シート片面を透水性、他方の面を非透水性にしているもの(特許文献9、特許文献10)などがある。
特開昭56−5022号公報 特開昭56−8619号公報 特開昭57−25383号公報 特開昭56−99281号公報 特開2000−160161号公報 特開2007−161745号公報 特開2003−281915号公報 特開平6−88074号公報 特開昭56−11722号公報 特開2010−22249号公報 特開昭62−201523号公報
しかしながら、上記の土壌改質剤及び吸水シートでは、土壌の保水性をある程度向上させることができるものの、十分な効果は得られていない。
土壌改質剤においては、土壌と土壌改質剤を混ぜた場合、土壌改質剤が偏在してしまい効果にばらつきがでる問題がある。一方、ばらつきを少なくするために、多くの土壌改質剤を用いて土壌と充分混合する方法があるものの、その混合作業が面倒であるという問題がある。
また、吸水シートにおいては、シート両面を透水性にしているものは、灌水した水や雨水を十分に吸水性樹脂に吸水させることが難しいという欠点がある。また、シート片面を透水性、他方の面を非透水性にしているものは、非透水性シートの強度が強すぎて植物の根の成長を阻害するという欠点がある。
特に、渇水期等においては植物栽培土壌に対する灌水は大きな制約を受ける事になり、収穫量や品質にも悪影響を及ぼす場合も多い。通常、植物栽培土壌に対し灌水された水や雨水はその殆んどが流失し極短時間しか植物の生育に寄与しないが、保水材によって、これらの流失する水分を植物の最底部下に保持し、植物に対して徐々に給水することができれば、植物の生育環境は理想的となり、灌水回数を減らし雨水の利用効率を高めることができる。
本発明は以上の点に鑑みて、植物を育生するための保水と給水能力を備え、混合するなどの面倒な作業をすることなく容易に土壌の保水性を向上させる方法を提供することで、灌水した水や雨水を植物の生育に効率良く利用させることを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく検討した結果、本発明に到達した。
すなわち本発明は、シート状の下記耐水紙(A)と下記シート状の透水紙(B)とを合わせてなる植物栽培用保水材であって、(A)と(B)との間に吸水性樹脂(C)を有する植物栽培用保水材である。
耐水紙(A):JIS P 8122を用いて測定したステキヒト法によるサイズ度が1.0〜110秒であり、且つ、JIS P 8135を用いて測定した湿潤引張強さ(横方向)が0.007〜0.4kN/mである耐水紙。
透水紙(B):JIS P 8122を用いて測定したステキヒト法によるサイズ度が15秒以下であり、且つ、JIS P 8135を用いて測定した湿潤引張強さ(横方向)が0.4kN/m以下である透水紙。
また、本発明は、植物栽培用保水材を植物の根の下側に埋めて植物を栽培する方法であって、植物培養用保水材の透水紙(B)の面を植物の根がある側に向けて敷設する植物の栽培方法である。
本発明の植物栽培用保水材は下記の効果を奏する。
(1)本発明の植物栽培用保水材は、効率よく保水することができ、また、植物に給水することができる。
(2)本発明の植物栽培用保水材は、植物の根の成長を妨げない。
(3)土壌改質剤と土壌を混ぜるなどの作業がなく簡単な作業で土壌の保水性が向上できる。
また、本発明の植物の栽培方法は、灌水による水や雨水が植物栽培用保水材に効率よく保水され、保水した水を給水し、植物が効率良く水を吸収できる。
本発明は、シート状の耐水紙(A)とシート状の透水紙(B)とを合わせてなる植物栽培用保水材であって、(A)と(B)との間に吸水性樹脂(C)を有し、JIS P 8122を用いて測定した(A)のステキヒト法によるサイズ度が1.0〜110秒であり、且つ、JIS P 8135を用いて測定した(A)の湿潤引張強さ(横方向)が0.007〜0.4kN/mであり、JIS P 8122を用いて測定した(B)のステキヒト法によるサイズ度が15秒以下であり、且つ、JIS P 8135を用いて測定した(B)の湿潤引張強さ(横方向)が0.4kN/m以下である植物栽培用保水材である。
本発明において、耐水紙とは紙表面を耐水処理したものであり、透水紙とは耐水処理していないものをいう。
本発明において、耐水紙(A)のステキヒト法によるサイズ度は、1.0〜110秒であり、10.0〜90秒が好ましく、特に好ましくは20.0〜60秒である。本発明の耐水紙(A)のステキヒト法によるサイズ度は、耐水紙(A)において、下記の耐水処理されている部分を用いて測定したものである。
また、耐水紙(A)の湿潤引張強さ(横方向)は、0.007〜0.4kN/mであり、0.01〜0.2が好ましく、特に好ましくは0.02〜0.1kN/mである。
横方向とは、紙の繊維が並んでいる方向と垂直の方向であり、紙において湿潤引張強さが弱い方向である。
本発明において、耐水紙(A)のステキヒト法によるサイズ度が1.0秒未満であると、吸水性樹脂が水を完全に吸収するまで、吸水性樹脂付近に水を留めておくことができず、サイズ度が110秒より大きい場合、耐水紙の湿潤引張強さが大きくなり、植物の根が耐水紙(A)を貫通することができない。また、耐水紙(A)の湿潤引張強さ(横方向)が0.007kN/m未満であると、シートの形状を保持することができず、湿潤引張強さ(横方向)が0.4kN/mより大きいと、植物の根が耐水紙(A)を貫通することができない。
耐水紙(A)は、紙表面を耐水処理したもので、上記サイズ度及び湿潤引張強さ(横方向)を満たすものであれば特に限定されない。
耐水紙(A)に使用する紙は、紙表面を耐水処理した際に、上記サイズ度及び湿潤引張強さ(横方向)を満たすものであれば特に限定されないが、例えば、ティシュペーパー、ちり紙及び新聞用紙等が使用できる。
耐水処理としては、例えば、油、合成樹脂エマルジョン又は合成樹脂を塗布又は含浸したもの(A−1)及びサイズ剤を塗布したもの(A−2)が挙げられる。
(A−1)において、油としては、植物油、動物油、鉱物油、油脂、蝋、アスファルト等が挙げられる。
合成樹脂エマルジョンとしては、スチレン−ブタジエンラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエンラテックス等の合成ゴム系ラテックス、スチレン−アクリルエマルジョン、エチレン−アクリル酸エマルジョン等が挙げられる。合成樹脂エマルジョンの形態としては、液状物等が挙げられる。
合成樹脂としては、アクリル樹脂、酢ビ樹脂、スチレン樹脂、オレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂又は共重合体(アクリルモノマー、酢酸ビニル、スチレンモノマー、オレフィン、エポキシアクリレートモノマー、ウレタンアクリレートモノマー及びポリエステルアクリレートモノマーからなる群から選ばれる2種以上の共重合体)等を単独又は2種以上混合したもの等が挙げられる。合成樹脂の形態としては、液状物等が挙げられる。
(A−1)として、好ましくはスチレン−アクリルエマルジョン、エチレン−アクリル酸エマルジョンが挙げられる。
耐水処理する前の紙の表面に合成樹脂エマルジョン又は合成樹脂を塗布又は含浸させる方法としては、バー、ロッド、エアーナイフ、ドクターナイフ、グラビアロール、各種ロール、カーテン及びスプレー等のコーター塗布法又はサイズプレスなどの含浸加工法のような通常行われている方法が適用できる。
(A−1)の表面に、油、合成樹脂エマルジョン又は合成樹脂を塗布又は含浸させる面積率(塗布又は含浸面積/全表面積)(%)は、一定時間水を保水するという観点から、50〜100%が好ましく、さらに好ましくは70〜100%、特に好ましくは90〜100%である。
(A−1)において、油、合成樹脂エマルジョン又は合成樹脂を塗布又は含浸させる単位面積当たりの合成樹脂の重量(g/m2)は、一定時間水を保水するという観点から、使用する耐水紙(A)の単位面積(m2)当たり、0.01〜10が好ましく、さらに好ましくは0.04〜8である。
(A−1)として、具体的には、紙にパラフィン蝋を塗布したもの、スチレン−アクリル共重合物を塗布した紙、セリサイト、SBR(スチレン・ブタジエン共重合ラテックス)及びシランカップリング剤等を混合して塗布した紙、ポリエチレン樹脂及び/又は合成ゴム系ディスパージョンとパラフィン系ワックス又は脂肪酸エステル等との混合物を塗布した紙、アクリル酸アルキルエステル及び/又はアクリル酸エステルと不飽和芳香族モノマーとの共重合ディスパージョン(i)を塗布した紙、前記共重合ディスパージョン(i)とパラフィンワックスとの混合物を塗布した紙、スチレンとアクリル樹脂とセラミック微粉末の混合物を塗布した紙等がある。
さらに、水溶性樹脂PVA(ポリビニルアルコール)又はデンプンに尿素樹脂、メラミン樹脂、グリオキサール又はケトンアルデヒド樹脂等を混合して塗布した紙、石油系ワックスエマルション、脂肪酸誘導体水溶液又はエマルション合成樹脂を塗布した紙等がある。
また、(A−1)として、パラフィン紙、油紙、アスファルト紙、ターポリン紙、温床紙等の市販されている物も使用できる。
サイズ剤を塗布したもの(A−2)において、サイズ剤は、紙がインキ、墨又は水を吸う性質を適度にコントロールし、これにより水やインキのにじみを防止する機能を発揮する薬剤又は表面紙力を中心にした紙の表面特性向上する薬剤である。
本発明において、サイズ剤としては、紙のサイズ剤として用いられているものが使用でき、例えば、石油樹脂エマルジョン、スチレン−無水マレイン酸共重合体アルキルエステルのアンモニウム塩、スチレン−マレイン酸共重合物のソーダ塩、メタクリル酸アルキルエステル/メタクリル酸共重合物のソーダ塩、ロジン、高級脂肪酸塩、アルキルケテンダイマー(AKD)、エポキシ化脂肪酸アミド、アルキルアミン−エピハロヒドリン重縮合物及びデンプン等が挙げられる。
(A−2)として、好ましくはスチレン−無水マレイン酸共重合体アルキルエステルのアンモニウム塩、スチレン−マレイン酸共重合物のソーダ塩、メタクリル酸アルキルエステル/メタクリル酸共重合物のソーダ塩が挙げられる。
紙の表面にサイズ剤を塗布させる方法としては、バー、ロッド、エアーナイフ、ドクターナイフ、グラビアロール、各種ロール、カーテン、スプレーなどのコーター塗布法のような公知の方法が適用できる。
(A−2)の表面において、サイズ剤を塗布させる面積率(塗布面積/全表面積)(%)は、一定時間水を保水するという観点から、50〜100%が好ましく、さらに好ましくは70〜100%、特に好ましくは90〜100%である。
(A−2)において、サイズ剤を塗布させる単位面積当たりのサイズ剤の重量(g/m2)は、一定時間水を保水するという観点から、使用する耐水紙(A)の単位面積(m2)当たり、0.01〜2が好ましく、さらに好ましくは0.04〜1である。
耐水紙(A)の坪量(g/m2)としては、一定時間水を保水するという観点から、使用する耐水紙(A)の単位面積(m2)当たり、15〜100が好ましく、さらに好ましくは20〜90であり、特に好ましくは25〜80である。
本発明の植物栽培用保水材に使用する耐水紙(A)は、上記耐水紙(A)を1枚又は2枚以上を重ねたものを使用してもいい。2枚以上を重ねる場合は、重ねたもののステキヒト法によるサイズ度及び湿潤引張強さ(横方向)が上記範囲内であればいい。
耐水紙(A)と耐水紙(A)でない紙とを各々1枚以上重ね合わせたものが、上記ステキヒト法によるサイズ度及び湿潤引張強さ(横方向)を満たす場合は、複数枚重ね合わせたものを耐水紙(A)として使用してもよい。
本発明において、透水紙(B)とは、シート状の紙であり、JIS P 8122を用いて測定した(B)のステキヒト法によるサイズ度が15秒以下であり、且つJIS P 8135を用いて測定した湿潤引張強さ(横方向)が0.4kN/m以下のものである。
上記透水紙(B)のJIS P 8122を用いて測定した(B)のステキヒト法によるサイズ度は、水を速やかに吸水性樹脂に行き渡らせるという観点から、10秒以下が好ましく、特に好ましくは1秒以下である。
本発明の透水紙(B)としては、水崩壊性の紙(B−1)及び水崩壊しない紙(B−2)が挙げられる。
水崩壊性の紙(B−1)において、水崩壊性とは、JIS P 4501のトイレットペーパーほぐれやすさ試験に準拠して測定した水解性が300秒以内のものであり、効率よく保水する観点から、120秒以内が好ましく、さらに好ましくは60秒以内である。
水崩壊性の紙(B−1)としては、パルプ繊維を水溶性若しくは親水性の糊等で接着させたものが挙げられる。
水溶性又は親水性の糊としては、水溶性ポリマー、糖類、タンパク質等があげられる。
水溶性ポリマーとしては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)等があげられる。この中でも、水崩壊性の観点から、CMC、PVAが好ましく、より好ましくは、CMCである。
糖類としては、グルコース、スクロース、ソルビトール、トレハロース等が挙げられる。
タンパク質としては、ウシ血清アルブミン等のアルブミン、シルクプロテイン等が挙げられる。
(B−1)として、具体的には、トイレットペーパーが挙げられる。
水崩壊しない紙(B−2)は、上記透水性及び湿潤引張強さ(横方向)を満たす水崩壊性の紙(B−1)以外の紙であり、具体的にはティシュペーパー等が挙げられる。
透水紙(B)の坪量(g/m2)は、透水性、植物栽培用保水材の保形性及び厚さを確保する観点から、使用する透水紙(B)の単位面積(m2)当たり、5〜200が好ましく、特に好ましくは10〜100である。
本発明の植物栽培用保水材に使用する透水紙(B)は、1枚の紙又は2枚以上を重ねた紙を使用してもいい。2枚以上を重ねる場合は、重ねたもののステキヒト法によるサイズ度及び湿潤引張強さ(横方向)が上記範囲内であればいい。
本発明において吸水性樹脂(C)としては、デンプン−アクリロニトリルグラフト重合体の加水分解物、セルロース−アクリロニトリルグラフト重合物の加水分解物、カルボキシメチルセルロースの架橋物、架橋ポリアクリルアミドの部分加水分解物、架橋された(メタ)アクリル酸−アクリルアミド共重合体、架橋されたスルホン化ポリスチレン、特開昭52−14689号及び特開昭52−27455号公報で開示されているビニルエステル−不飽和カルボン酸共重合体ケン化物、架橋されたポリ(メタ)アクリル酸(塩)、架橋された(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、架橋されたイソブチレン−無水マレイン酸共重合体及び架橋されたカルボン酸変性ポリビニルアルコール、自己架橋型ポリアクリル酸塩等が挙げられ、これらの2種以上を併用してもよい。
重合方法としては公知の重合方法が適用でき、たとえば、水溶液重合、懸濁重合、塊状重合、逆相懸濁重合及び乳化重合が挙げられる。これらの重合には、公知の重合開始剤、連鎖移動剤及び/又は溶媒等が使用できる。
水溶液重合法で重合させる方法は、公知の方法でよく、例えばラジカル重合開始剤を用いて重合させる方法、放射線、紫外線、電子線等を照射する方法が挙げられる。
ラジカル重合開始剤を用いて重合させる場合、ラジカル重合開始剤としては、アゾ化合物[アゾビスイソバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル、4,4'−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)、2,2'−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)ハイドロクロライド等]、無機過酸化物[過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等]、有機過酸化物[ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等]、レドックス開始剤[アルカリ金属塩の亜硫酸塩もしくは重亜硫酸塩、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸アンモニウム、L−アスコルビン酸等の還元剤と、アルカリ金属塩の過硫酸塩、過硫酸アンモニウム、過酸化水素水等の過酸化物の組み合わせ]等が挙げられる。これらは2種類以上を併用してもよい。
これら吸水性樹脂(C)のうち、植物の生育性の観点から、架橋ポリアクリルアミド共重合体、架橋されたポリアクリル酸(塩)、架橋されたアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体及び架橋されたカルボン酸変性ポリビニルアルコールが好ましく、さらに好ましくは架橋アクリルアミド共重合体及び架橋されたポリアクリル酸(塩)である。
(C)の質量に対する水の吸水倍率は、必要とする保水量に応じて決められるが、好ましくは10〜1500倍であり、より好ましくは100〜1000倍である。また、(C)の形状は、好ましくは粉末状又は粒状であり、その平均粒径はシートを形成する点から、好ましくは10〜2000μmであり、より好ましくは20〜1000μmである。粒度分布は、特に限定はない。吸水性樹脂の吸収倍率は次に示す方法により測定して得られる値とする。
<吸水性樹脂の吸収倍率>
縦20cm横10cm幅約5mmのナイロン製の網袋(250メッシュ)に吸水性樹脂の試料(サンプル量;0.1g)を入れ、これを袋ごと過剰のイオン交換水に浸す。浸漬60分後に袋ごと空中に引き上げ、静置して30分間水切りした後、質量(Xg)を測定して下式より吸収倍率を求める。[網袋のみを用いて上記と同様の操作を行い、この分の質量(Yg)をブランクとする。]吸収倍率=(X−Y)/0.1
(C)の添加量及びどのような吸水倍率のものを選ぶかに関しては、必要とする保水量に応じて決められる。(C)の添加量(g/m2)としては、保水性の観点から、植物栽培用保水材の単位面積(m2)当たり、10〜150が好ましく、さらに好ましくは15〜140、特に好ましくは20〜130である。(C)の添加量(g/m2)が10以上であると、植物栽培用保水材に(C)を均一に散布することができ、均一な植物栽培用保水材を作成できる。また、150以内であるとシートの成形が容易にできる。
本発明の植物栽培用保水材は、必要によりさらに他の添加物を添加することも可能である。該添加物としては、フィラー(D)、肥料成分(E)、防腐剤(F)、殺菌剤(G)、殺虫剤(H)、除草剤(I)、植物ホルモン剤(J)及び界面活性剤(K)などが挙げられる。
フィラー(D)は、加工時に吸水性樹脂のシート上での偏在やシート上からの脱落を防ぐためという観点から、耐水紙(A)及び透水紙(B)の間に存在させることが好ましい。
フィラー(D)の形状としては、粉末状、粒状、繊維状及び綿状があり、好ましくは繊維状及び綿状である。フィラー(D)は、適度な通気性を有するもの、地面に取り付けた際に土壌に悪影響を与えないもの及び/又は土壌表面若しくは内部において分解され易い性質を有しているものが好ましく、特願平11−327876号公報に記載されたものが挙げられる。例えば、パーライト、バーミキュライト、ロックファイバー等の無機多孔質、木屑、モミガラ、ソバカス、米ヌカ、木綿、ワラ、草炭、羊毛、オガクズ、パルプ、紙屑等が挙げられる。(D)の添加量(g/m2)としては、植物栽培用保水材の単位面積(m2)当たり、0〜500が好ましく、さらに好ましくは0〜300である。
肥料成分(E)としては、窒素質肥料、リン酸質肥料、カリ質肥料、有機質肥料、複合肥料、石灰質肥料、ケイ酸質肥料、苦土肥料、マンガン質肥料、ホウ素質肥料、微量要素複合肥料等の普通肥料と、その他の特殊肥料(緩効性肥料等)を挙げることができる。これらの肥料成分は液状又は粉末などの固体状である場合が多く、吸水性樹脂に対して添加することによって、或いは吸水性樹脂に注水する水に含有させることによって、植物栽培用保水材中に存在させることができる。
防腐剤(F)としては、ハロゲン供給剤(塩素供給剤が好ましく、例えばクロロ−シアヌル酸類又はその塩が挙げられ、特に好ましくはジクロロイソシアヌル酸モノ−ナトリウム又はカリウムである。);ヒドロキシキノン類,亜硫酸塩;及び銀又は銅塩等が挙げられ、これらを2種以上併用してもよい。
殺菌剤(G)としては、TPN、キャブタン、ピンクロゾリン剤、ブラシミドン剤、ベンチアゾール剤、第4級アンモニウム塩、フエノール化合物、第4ピリジニウム塩、過酸、ホルムアルデヒド、抗生物質(ペニシリン、ストレプトマイシン、クロラムフェニルアルコール等)、N−クロルスクシンイミド、石灰、いおう、有機硫黄剤(ジネブ、マンネブ、チオジアジン剤、チウラム剤等)、モノ及びジチオカルバベート、チオジアジン、スルホンアミド、フタルイミド、石油エーテル、ナフトキノン、ベンゾキノン、ジスルフイド、第二水銀化合物、テトラヒドロフタルイミド、アルセネート、第二銅塩、有機銅剤(8‐オキシキノリン銅等)、グアニジン塩、トリアジン、グリオキサリジン塩、キノリニウム塩、フエニルクロトネート等が挙げられ、これらを2種以上併用してもよい。
殺虫剤(H)としては、例えば、MEP、MPP、ベンフラカルブ、カルボフラン、カルボスルファン、エチルチオメトン、チオシクラム、PHC、カルタップ、ベンスルタップ、ダイアジノン、プロバホス、アセフェート、ベンダイオカルブ、バミドチオン、エトキサゾール等が挙げられ、これらを2種以上併用してもよい。
除草剤(I)としては、例えば、ブタクロール、クロロニトロフェン、ニトロフェン、シハロホップブチル、カフェンストロール、ベンスルフロンメチル、ダイムロン、テクルクロール、イマゾスルフロン、プレチカクロール、ジメタメトリン、ペントキサゾン、イソプロピルアンモニウム=N−(ホスホノメチル)グリシナート等が挙げられ、これらを2種以上併用してもよい。
植物ホルモン剤(J)としては、2,4‐D等のオーキシン類、カイネチン等のサイトカイニン類、ジベレリン等が挙げられ、2種以上併用してもよい。尚、上記の成分を混合すると各成分が分解する恐れがあるならば、各成分を耐水紙(A)及び透水紙(B)それぞれ別々の紙に含有させ、それらの紙を重ねて施用することができる。
界面活性剤(K)としては、従来公知の非イオン性界面活性剤(例えば、ポリエチレングリコール型、多価アルコール型界面活性剤等)、アニオン性界面活性剤(例えば、セッケン、硫酸エステル塩型、スルホン酸塩型、リン酸エステル塩型界面活性剤等)、カチオン性界面活性剤(例えば、アミン塩型、第4級アンモニウム塩型界面活性剤等)、両性界面活性剤(例えば、アミノ酸型、ベタイン型界面活性剤等)等が挙げられ、これらを2種以上併用してもよい。
上記(E)、(F)、(G)、(H)、(I)、(J)及び(K)の添加量は、栽培する植物の種類や大きさによって適宜選択され、特に制限されない。
本発明において、耐水紙(A)及び透水紙(B)は合わさっていればよいが、植物栽培用保水材中の吸水性樹脂の脱落を防ぐという観点から、結合していることが好ましい。
結合させる方法としては、(A)と(B)を重ね合わせて圧着する方法が挙げられる。
圧着する方法としては、エンボス加工が挙げられる。
本発明において、植物栽培用保水材の製造方法としては、耐水紙(A)と透水紙(B)の間に吸水性樹脂(C)を有するものが作成できれば特に限定されない。例えば(B)の片面に(C)を散布した後、(B)の片面であり且つ(C)が散布されている面に(A)を合わせたのち、エンボス加工により結合する方法が挙げられる。
また、耐水紙(A)、透水紙(B)及び吸水性樹脂(C)以外にフィラー(D)を使用する場合の植物栽培用保水材の製造方法としては、以下の3つの方法が挙げられる。
(1)(C)と(D)との混合物を(B)に散布した後、(B)の片面であり且つ(C)と(D)との混合物が散布された面に(A)を合わせ、エンボス加工により結合する方法。
(2)(C)を(B)に散布し、さらに(D)を(B)に散布した後、(B)の片面であり且つ(C)と(D)が散布された面に(A)を合わせ、エンボス加工により結合する方法。
(3)(D)を(B)に散布し、さらに(C)を(B)に散布した後、(B)の片面であり且つ(C)と(D)が散布された面に(A)を合わせ、エンボス加工により結合する方法。
本発明において、植物栽培用保水材の形態としては、長さ及び幅は、栽培する植物の種類や大きさによって適宜選択され、特に制限されない。また、植物栽培用保水材の厚みは、流通コスト、製造の点から、できる限り薄いものが好ましい。流通コスト及び製造の容易性の観点から、0.01mm〜20mmが好ましく、さらに好ましくは0.02mm〜10mmである。
植物栽培用保水材の形状としては、特に限定されないが、灌水した水や雨水を一定時間吸水性樹脂(C)付近に保持するという観点から、植物栽培用保水材の一部又は全体として1個以上の凹みがあることが好ましく、さらに好ましくは植物栽培用保水材の形状が皿状であることである。
植物栽培用保水材の形状が皿状であるとは、吸水性樹脂(C)がゲル膨潤するために必要な量の水を保持できる容量を持った容器状のものであることを意味する。
また、凹みにおいて、灌水した水や雨水を吸水性樹脂に行き渡らせるために、凹んでいる内側が透水紙(B)の面であり、外側が耐水紙(A)の面であることが好ましい。
上記凹みの形状としては、吸水性樹脂(C)がゲル膨潤するために必要な量の水を保持できる形状であれば特に限定されないが、例えば、箱状、錐体面状、半球面状及びこれらに近似している形状等が挙げられる。
箱状とは、箱の全6面のうち1面(上面)を取り除いたもので、箱状の場合の凹みの大きさは栽培する植物の種類や大きさによって適宜選択されるが、保水性及び水膨潤した吸水性樹脂の容積の観点から、底面積3cm2〜7m2及び深さ1cm〜3mの箱状が好ましく、さらに好ましくは底面積3cm2〜3m2及び深さ1cm〜1.5mである。
錐体面状とは円錐及び角錐を含む形状であり、錐体面状の場合の凹みの大きさは栽培する植物の種類や大きさによって適宜選択されるが、保水性及び水膨潤した吸水性樹脂の容積の観点から、開口部面積3cm2〜7m2及び深さ1cm〜3mの錐体面状が好ましく、さらに好ましくは開口部面積3cm2〜3m2及び深さ1cm〜1.5mである。錐状において、底面は凹みの穴の面である。
上記凹みが半球面状である場合の凹みの大きさは栽培する植物の種類や大きさによって適宜選択されるが、保水性及び水膨潤した吸水性樹脂の容積の観点から、半径1cm〜3mの半球面状が好ましく、さらに好ましくは半径1cm〜1.5mである。
植物栽培用保水材が皿状である場合、凹みの大きさは、栽培する植物の種類や大きさによって適宜選択されるが、水膨潤した吸水性樹脂の容積の観点から、底面の面積3cm2〜7m2及び深さ1cm〜3mが好ましく、さらに好ましくは底面の面積3cm2〜3m2及び深さ1cm〜1.5mである。
本発明において、皿状には鉢状及び御椀状のものを含む。
本発明の栽培方法は、植物栽培用保水材を植物の根の下側に埋めて植物を栽培する方法であって、植物培養用保水材の透水紙(B)の面を植物の根がある側に向けて敷設する植物の栽培方法である。植物栽培用保水材は、植物の下側だけでなく、植物の根の下側及び側面を囲うように存在してもいい。植物の下側及び側面を囲うことで、植物の根の近辺の土壌の保水性がさらに良好となり、根の生長をさらに助長するので好ましい。また、灌水による水や雨水で膨潤した吸水性樹脂から給水された水を、より多くの根が効率良く吸収できるので好ましい。
植物栽培用保水材を植物の根の下側に埋める場合、植物の根の先端から植物培養用保水材までの距離は、植物の種類及び大きさによって適宜選択されるが、植物が効率良く吸水性樹脂(C)から水を吸収するという観点から、1cm〜0.5mが好ましく、さらに好ましくは1cm〜0.3mである。本発明の植物栽培用保水材は、植物の根の付近に存在していても、植物の根が貫通できる強度であるため、植物の根の生育を妨げず、また、保水性及び給水性に優れているので、植物が植物栽培用保水材から効率よく水を吸収でき、植物の生育が良好となる。
本発明において、透水紙(B)の面を植物の根がある側に向けることにより、灌水した水や雨水がすべての吸水性樹脂(C)に水が行き渡り、灌水した水や雨水が流失することなく効率よく保水され、植物の根の近辺の広範囲の土壌の保水性が著しく良好となる。また、植物栽培用保水材は、保水量が多ければ多いほど給水量も多くなるので、効率よく保水することで、より給水能力も向上し、植物の根が効率よく水を吸収することができる。
植物栽培土壌に植物栽培用保水材を施設する場合、苗又は種1つに植物栽培用保水材1枚が好ましいが、育苗箱などに複数の苗を植える又は複数の種を播種する場合などは、植物栽培用保水材に対し苗及び種の数は限定せず、適宜選択する。
本発明の栽培方法は、植物栽培用保水材を植物の根の下側に埋め、植物培養用保水材の透水紙(B)の面を植物の根がある側に向けて敷設する以外は、従来の栽培方法と同様の方法が利用できる。1例を下記に示す。
(1)ハンキングバスケット、プランター、植木鉢又はポット等の容器に植物栽培用保水材を敷く。容器を使用しない場合は、土壌に穴を掘り、植物栽培用保水材を敷く。植物を植えたときに、植物栽培用保水材の透水紙(B)の面を植物の根のある側に向くように植物栽培用保水材を敷く。
(2)植物栽培用保水材の上に、化学肥料等を混合した土壌を積層する。
(3)積層した土壌の上に、植物の種又は苗を植える。
(4)植物の種又は苗を植えた周辺に灌水する。
(5)数日おきに灌水する。
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されない。 実施例及び比較例で用いた植物栽培用保水材の原料資材の組成、耐水紙の物性試験方法、植物栽培用保水材の作成方法、栽培試験方法を示す。
[1]原料資材の組成
1.耐水紙(A)
スチレン共重合体サイズ剤を塗布したティシュを耐水紙(A1)〜(A7)として使用した。サイズ剤の塗布面積率(塗布面積/全表面積)は100%とした。(A1)〜(A7)の坪量(g/m2)、サイズ剤の塗布量(g/m2)、ステキヒト法によるサイズ度(秒)及び湿潤引張強さ(横方向)(kN/m)は表1に記載した。
2.透水紙(B)
透水紙(B)として、ティシュペーパー(セルロース)(150mm×150mm)を使用した。JIS P 8122を用いて測定した(B)のステキヒト法によるサイズ度は1秒であった。さらに、湿潤引張強さ(横方向)は、0.004kN/mであった。
3.吸水性樹脂(C)
(1)吸水性樹脂(C1)
アクリル酸重合体の部分塩架橋物(1):平均粒径350μm、吸水倍率約400g/g、三洋化成工業(株)製 サンフレッシュ GT−1
(2)吸水性樹脂(C2)
アクリル酸重合体の部分塩架橋物(2):平均粒径350μm、吸水倍率600g/g、三洋化成工業(株)製 サンフレッシュ ST−250*
4.フィラー(D)
フィラー(D)として、粉砕パルプ(セルロース)を使用した。
[2−1]耐水紙(A)の耐水性試験方法
1.ステキヒト法によるサイズ度
JIS P 8122に準じて測定した。
2.湿潤引張強さ(横方向)
JIS P 8135に準じて測定した。
[2−2]透水紙(B)の強度試験方法
1.ステキヒト法によるサイズ度
JIS P 8122に準じて測定した。
2.湿潤引張強さ(横方向)
JIS P 8135に準じて測定した。
[3−1] 植物栽培用保水材(S1)〜(S7)の作成(実施例1〜7)
表1に記載の構成に従って、透水紙(B)上に吸水性樹脂(C1)又は(C2)とフィラー(D)を混合したものを均一に散布した後、各々耐水紙(A1)〜(A5)を重ね合わせ、更にエンボス加工した。この様にして本発明の植物栽培用保水材(S1)〜(S7)を作成した。
[3−2] 植物栽培用保水材(S8)の作成(実施例8)
表1に記載の構成に従って、透水紙(B)上に吸水性樹脂(C2)を均一に散布した後、耐水紙(A1)を重ね合わせ、更にエンボス加工した。この様にして本発明の植物栽培用保水材(S8)を作成した。
[3−3]比較用の植物栽培用保水材(S’1)及び(S’2)の作成(比較例1及び2)
表2に記載の構成に従って、透水紙(B)上に吸水性樹脂(C1)とフィラー(D)を混合したものを均一に散布した後、各々耐水紙(A6)又は(A7)を重ね合わせ、更にエンボス加工した。この様にして比較用の植物栽培用保水材(S’1)及び(S’2)を作成した。
[3−4]比較用の植物栽培用保水材(S’5)の作成(比較例5)
表2に記載の構成に従って、透水紙(B)上に吸水性樹脂(C2)を均一に散布した後、耐水紙(A6)を重ね合わせ、更にエンボス加工した。この様にして比較用の植物栽培用保水材(S’5)を作成した。
[3−5]比較用の植物栽培用保水材(S’3)及び(S’4)の作成(比較例3及び4)
表2に記載の通り、吸水性樹脂(C1)を含水ゲル状にした植物栽培用保水材(S’3)及び吸水性樹脂(C1)を粉末の状態で使用した植物栽培用保水材(S’4)を用いた。
Figure 2012120485
Figure 2012120485
[4]栽培試験方法
実施例9〜16、比較例7、8、12
30cm(縦)×20cm(横)×20cm(深さ)のプラスチック製のプランターに、植物栽培用保水材(S1)〜(S8)及び(S’1)、(S’2)、(S’5)を透水紙面を上側(砂質土壌をのせる側)にして容器形状に合わせて皿状(30cm(縦)×20cm(横)×5cm(深さ))に敷き詰めた後、砂質土壌(川砂)7.5kgに化学肥料(窒素:リン酸:カリ=1:1:1)10gを加え十分に混合した土壌を積層した。さらにキュウリの種を20粒播種し、その上に砂質土壌0.5kgを均一に入れ、初期灌水として水道水600gを灌水した。これらに3日おきに1回、60gの水道水を追加灌水し、14日間後の生育状況(根張り、地上部生育状態)を観察した。
実施例17〜24、比較例13、14、18
実施例9〜16、比較例7、8及び12において、「キュウリの種」を「大根の種」に変更する以外は同様にして、実施例17〜24、比較例13、14及び18を実施した。
比較例9
30cm(縦)×20cm(横)×20cm(深さ)のプラスチック製のプランターに、植物栽培用保水材(S’3)(含水ゲル状の吸水性樹脂((C1)7.8gに水600gを吸水させたもの))607.8gを均一に敷き、砂質土壌7.5kgに化学肥料(窒素:リン酸:カリ=1:1:1)10gを加え十分に混合した土壌を積層し、キュウリの種を20粒播種し、その上に砂質土壌0.5kgを均一に入れた。これらに3日おきに1回、60gの水道水を追加灌水し、14日間後の生育状況(根のシート貫通有無、根張り、地上部生育状態)を観察した。
比較例15
比較例9において、「キュウリの種」を「大根の種」に変更する以外は同様にして、比較例15を実施した。
比較例10
30cm(縦)×20cm(横)×20cm(深さ)のプラスチック製のプランターに、植物栽培用保水材(S’4)(粉末状の吸水性樹脂)7.8gを均一に敷き、砂質土壌7.5kgに化学肥料(窒素:リン酸:カリ=1:1:1)10gを加え十分に混合した土壌を積層した。その後、キュウリの種を20粒播種し、その上に砂質土壌0.5kgを均一に入れ、初期灌水として水道水600gを灌水した。これらに追加灌水として水道水を3日おきに1回、1回分の灌水量(60g)を6時間間隔で3分割(20g)して投入し、14日間後の生育状況(根のシート貫通有無、根張り、地上部生育状態)を観察した。
比較例16
比較例10において、「キュウリの種」を「大根の種」に変更する以外は同様にして、比較例16を実施した。
比較例11
30cm(縦)×20cm(横×20cm(深さ)のプラスチック製のプランターに、植物栽培用保水材(S’4)(粉末状の吸水性樹脂)7.8gを均一に敷き、砂質土壌7.5kgに化学肥料(窒素:リン酸:カリ=1:1:1)10gを加え十分に混合した土壌を積層した。その後、キュウリの種を20粒播種し、その上に砂質土壌0.5kgを均一に入れ、初期灌水として水道水600gを灌水した。これらに3日おきに1回、60gの水道水を追加灌水し、14日間後の生育状況(根のシート貫通有無、根張り、地上部生育状態)を観察した。
比較例17
比較例11において、「キュウリの種」を「大根の種」に変更する以外は同様にして、比較例17を実施した。
実施例25
30cm(縦)×20cm(横)×20cm(深さ)のプラスチック製のプランターに、植物栽培用保水材(S1)を透水紙面を上側(砂質土壌をのせる側)にして容器形状に合わせて皿状(30cm(縦)×20cm(横)×5cm(深さ))に敷き詰めた後、砂質土壌(川砂)7.5kgに化学肥料(窒素:リン酸:カリ=1:1:1)10gを加え十分に混合した土壌を積層し、芝を全面に植え付け、初期灌水として水道水600gを灌水し、28日間、7日おきの生育状況(地上部生育状態)を観察した。この間、7日おきに1回、水道水600gの追加灌水を行った。
比較例19
30cm(縦)×20cm(横)×20cm(深さ)のプラスチック製のプランターに、植物栽培用保水材(S’3)(含水ゲル状の吸水性樹脂((C1)7.8gに水600gを吸水させたもの))607.8gを均一に敷き、砂質土壌7.5kgに化学肥料(窒素:リン酸:カリ=1:1:1)10gを加え十分に混合した土壌を積層し、芝を全面に植え付け、28日間、7日おきの生育状況(地上部生育状態)を観察した。この間、7日おきに1回、水道水600gの追加灌水を行った。
比較例20
30cm(縦)×20cm(横)×20cm(深さ)のプラスチック製のプランターに、砂質土壌7.5kgに化学肥料(窒素:リン酸:カリ=1:1:1)10gを加え十分に混合した土壌を積層し、芝を全面に植え付け、初期灌水として水道水600gを灌水し、28日間、7日おきの生育状況(地上部生育状態)を観察した。この間、7日おきに1回、水道水600gの追加灌水を行った。
実施例9〜16及び比較例7〜12について、キュウリの根のシート貫通有無及び根張り及び地上部生育状態を観察し、下記の基準で評価した。結果を表3及び4に示す。
・根のシート貫通有無
○:植物栽培用保水材を貫通した
×:植物栽培用保水材を貫通しなかった
・根張り
◎:根の長さが8cm以上
○:根の長さが5cm以上8cm未満
△:根の長さが3cm以上5cm未満
×:根の長さが3cm未満
・地上部生育状態
◎:地上部の長さが12cm以上
○:地上部の長さが8cm以上12cm未満
△:地上部の長さが4cm以上8cm未満
×:地上部の長さが4cm未満
Figure 2012120485
Figure 2012120485
実施例17〜24及び比較例13〜18について、大根の根のシート貫通有無及び根張り及び地上部生育状態を観察し、下記の基準で評価した。結果を表5及び6に示す。
・根のシート貫通有無
○:植物栽培用保水材を貫通した
×:植物栽培用保水材を貫通しなかった
・根張り
◎:根の長さが8cm以上
○:根の長さが5cm以上8cm未満
△:根の長さが3cm以上5cm未満
×:根の長さが3cm未満
・地上部生育状態
◎:地上部の長さが10cm以上
○:地上部の長さが8cm以上10cm未満
△:地上部の長さが3cm以上8cm未満
×:地上部の長さが3cm未満
Figure 2012120485
Figure 2012120485
実施例25及び比較例19〜20について、芝の地上部生育状態を観察し、下記の基準で評価した。結果を表7に示す。
地上部生育状態
○:枯れていない
×:全部枯れている
Figure 2012120485
表3〜6から、本発明の植物栽培用保水材(S1)〜(S8)を使用した栽培方法(実施例9〜24)は、根張り及び地上部生育状態の評価結果が良好であり、キュウリ及び大根の生育状態がよいことがわかる。
一方、シート両面を透水性(ステキヒト法によるサイズ度が1.0秒未満のもの)にしている従来のもの(S’1)及び(S’5)を使用した栽培方法(比較例7、12、比較例13、18)や耐水紙のサイズ度が110秒より大きいもの(S’2)を使用した栽培方法(比較例8及び14)に比べ、根張り及び地上部生育状態の評価結果が悪く、キュウリ及び大根の生育状態が悪いことがわかる。
さらに、シートを用いず直接土壌下に粉末状の吸水性樹脂を敷いた((S’4)を使用したもの)栽培方法(比較例10、11、16及び17)のうち、比較例11及び17は生育状態が非常に悪かった。また、追加灌水間隔を3日に3回おきに分けたもの(比較例10及び16)は、植物栽培用保水材使用時に近い性能を示したが、本発明の栽培方法よりも劣っていた。また、シートを用いず直接土壌下に含水ゲル状の吸水性樹脂を敷いた(S’3)栽培方法(比較例9及び比較例15)でも、生育状態が悪かった。
また、表7から、含水ゲル状の吸水性樹脂を使用した比較例19は18日目に芝が枯れ、何も用いなかった比較例20は5日目に芝が枯れたのに対し、本発明の植物栽培用保水材(S1)を使用した実施例25は、28日目でも芝が枯れていなかった。
本発明の植物栽培用保水材(S1)を使用した栽培方法(実施例25)は、植物栽培用保水材(S’3)を使用した栽培方法(比較例19)及び植物栽培用保水材を使用しない栽培方法(比較例20)に比べ、長期間に渡り芝の生育状態の評価結果が良好であることがわかる。
また表3〜6の根のシート貫通有無及び根張りの評価結果において、本発明の植物栽培用保水材(S1)〜(S8)や比較例の植物栽培用保水材(S’1)及び(S’5)を使用して栽培したものは、植物の根が植物栽培用保水材を貫通しており、植物栽培用保水材(S1)〜(S8)を使用して栽培したものは、根張りの状態も良好であった。
一方、耐水紙(A)の湿潤引張強さ(横方向)が規定の範囲を超えている比較の植物栽培用保水材(S’2)を使用して栽培したもの(比較例8、14)については、植物の根が、湿潤引張強さ(横方向)が0.004kN/mである透水紙(B)は貫通していたものの、耐水紙(A)を貫通せず、植物の生長を妨げていた。
したがって、本発明の植物栽培用保水材(S1)〜(S8)は保水性が優れており、また、保水した水を植物に給水できるので、少量の水でも植物を生育できることがわかる。また、植物の根が貫通できるため、植物の生育を阻害しないことが分かる。
また、本発明の栽培方法は、少量の灌水でも効率よく保水され、さらに保水した水が植物に給水されるので、植物が水を効率よく吸収でき、植物の生育に優れていることがわかる。
植物栽培土壌に対し、灌水された水や雨水はその殆んどが流失し極短時間しか植物の生育に寄与しないが、本発明の植物栽培用保水材は、これらの流失する水分を植物の最底部下に保持し、植物に対して徐々に給水することができる。したがって、植物の生育や活着、発芽などを助長する保水材として有用である。また、本発明の植物栽培用保水材を使用することによって、植物の生育環境は理想的となり、灌水回数を減らし雨水の利用効率を高めて、多大の経済的効果が得られる。

Claims (4)

  1. シート状の下記耐水紙(A)とシート状の下記透水紙(B)とを合わせてなる植物栽培用保水材であって、(A)と(B)との間に吸水性樹脂(C)を有する植物栽培用保水材。
    耐水紙(A):JIS P 8122を用いて測定したステキヒト法によるサイズ度が1.0〜110秒であり、且つ、JIS P 8135を用いて測定した湿潤引張強さ(横方向)が0.007〜0.4kN/mである耐水紙。
    透水紙(B):JIS P 8122を用いて測定したステキヒト法によるサイズ度が15秒以下であり、且つ、JIS P 8135を用いて測定した湿潤引張強さ(横方向)が0.4kN/m以下である透水紙。
  2. 植物栽培用保水材の形状が皿状である請求項1に記載の植物栽培用保水材。
  3. 植物栽培用保水材を植物の根の下側に埋めて植物を栽培する方法であって、請求項1又は2に記載の植物培養用保水材の透水紙(B)の面を植物の根がある側に向けて敷設する植物の栽培方法。
  4. 植物培養用保水材を植物の根の側面を囲うように埋設する請求項3に記載の栽培方法。
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