先ず、本願発明に係る本実施例の測量装置10の概略的な構成について説明する。図1は、本願発明に係る測量装置の一例としての測量装置10を模式的に示す斜視図である。図2は、測量装置10の機能構成を示すブロック図である。
測量装置10は、図1および図2に示すように、本実施例ではトータルステーションであり、測定点へ向けてパルスレーザ光線を照射し、その測定点からのパルス反射光を受光して、パルス毎に測距を行い、測距結果を平均化して高精度の距離測定を行うことができる。この測量装置10は、整準部11と、基盤部12と、托架部13と、望遠鏡部14と、を備える。
整準部11は、図示を略す三脚に取付けられる箇所であり、測量装置10(望遠鏡部14)の傾きを検出することができる。基盤部12は、その整準部11に対する傾斜角を変更可能に整準部11に設けられている。托架部13は、基盤部12に鉛直軸心を中心に回転可能に設けられている。この托架部13には、表示部16と操作入力部17とが設けられている。この操作入力部17は、測量装置10における各種機能を利用するための操作部であり、入力操作された情報を後述する制御ユニット27(図2参照)へと出力する。
望遠鏡部14は、托架部13に水平軸心を中心に回転可能に設けられている。その望遠鏡部14には、測量装置10の概略の視準方向を設定するための照星照門15が設けられている。望遠鏡部14は、測定対象物を視準する第2望遠鏡18と、その第2望遠鏡18の光学系を通して視準方向の画像(望遠画像)を取得する第2撮像部19(図2参照)と、を有する。また、望遠鏡部14は、第2望遠鏡18よりも低倍率で広範囲な視野を有する第1望遠鏡20と、その第1望遠鏡20の光学系を介して視準方向あるいは略視準方向の画像(広角画像)を取得する第1撮像部21(図2参照)と、を有する。その第1撮像部21および第2撮像部19には、例えば、撮像画像をデジタル画像信号として出力するデジタルカメラが用いられる。この望遠鏡部14には、第2望遠鏡18の光学系を共有する測距部22(図2参照)が内蔵されている。この測距部22は、測距光を射出するとともに測定対象物からの反射光を受光して測定対象物までの光波距離測定を行う。
その望遠鏡部14を水平軸心回りに回転可能とする托架部13には、水平駆動部23と水平測角部24とが設けられている(図2参照)。その水平駆動部23は、基盤部12に対して托架部13を鉛直軸心回りにすなわち水平方向に回転させることができる。水平測角部24は、その托架部13の基盤部12に対する水平回転角を検出することにより、視準方向の水平角を検出(測角)することができる。
また、托架部13には、鉛直駆動部25と鉛直測角部26とが設けられている(図2参照)。その鉛直駆動部25は、托架部13に対して望遠鏡部14を水平軸心回りにすなわち鉛直方向に回転させることができる。鉛直測角部26は、その望遠鏡部14の托架部13に対する鉛直角を検出することにより、視準方向の鉛直角を検出(測角)することができる。
さらに、托架部13には、制御ユニット27(図2参照)が内蔵されている。その制御ユニット27は、水平駆動部23および鉛直駆動部25(図2参照)の駆動を制御して托架部13および望遠鏡部14を適宜回転させることにより、当該望遠鏡部14を所定の方向に向けることができるとともに所定の範囲を走査することができる。また、制御ユニット27は、第1望遠鏡20および第2望遠鏡18の切替えを制御することにより、所要の倍率の画像を取得することができる。さらに、制御ユニット27は、測距部22(図2参照)を制御して所定の測定点の測距を行うことができる。このため、整準部11、基盤部12、托架部13、望遠鏡部14、照星照門15、測距部22、水平駆動部23、水平測角部24、鉛直駆動部25、鉛直測角部26、第1望遠鏡20(第1撮像部21)、第2望遠鏡18(第2撮像部19)が、制御ユニット27により駆動制御される測量ユニットとして機能する。
その制御ユニット27は、図2に示すように、表示部16、操作入力部17、制御演算部28、記憶部29、画像処理部30、撮像部選択部31、画像記憶部32、通信部33と、を有する。
制御演算部28は、記憶部29に格納されたプログラムにより、制御ユニット27の動作を統括的に制御する。記憶部29には、測定に必要な計算プログラムや、画像処理を行う為の画像処理プログラムや、送信用測量装置情報を生成するデータ生成プログラムや、その生成した送信用測量装置情報を送信するデータ送信プログラム等のプログラムが格納されている。この生成した各送信用測量装置情報は、後述するように、記憶部29に格納するとともに表示部16に適宜表示される。また、この各送信用測量装置情報は、通信部33を介して適宜外部ネットワーク(後述するメインサーバ42)へと送信される。
その送信用測量装置情報は、動作状況関連情報、動作情報および基本情報を含むものである。その動作状況関連情報とは、動作状況入力部(後述するが、本実施例では操作入力部17(表示部16))から入力される測量ユニットの動作状況に関連する情報すなわち測量装置10における測量に関わる各部の状態およびそれらの連動状態を示す情報であり、後述するセルフチェックガイド機能(図5および図6等参照)における処理内容、後述するトラブルシューティングガイド機能(図7および図9等参照)における処理内容、後述する問診表作成ガイド機能(図8等参照)における処理内容、等を含むものである。
また、動作情報とは、測量装置10における動作内容、すなわち測量装置10の各部における動作(測定動作およびそこで検出した各値)に加えて、測量装置10の各部におけるエラー情報や、稼働時間情報等を含むものである。そのエラー情報は、測量装置10(その各部)において、正確な動作ができなかったことや、各種設定値が許容範囲を超えてしまったこと等を示すものであり、測量装置10内において該当する現象が各検出手段で検出される度に生成される。稼働時間情報は、測量装置10内において電源のオン/オフ(駆動状態とされる)に伴って生成される。このことから、制御ユニット27(制御演算部28)が上述した各検出手段との協働により、動作情報取得部として機能する。
さらに、基本情報とは、測量装置10の識別情報、測量装置10が使用された場所の雰囲気情報(気温、湿度等)、測量装置10が使用された場所の位置情報、測量装置10が搭載しているソフトウェアのバージョン情報等である。その位置情報は、GPS機能を搭載することにより生成することができる。
制御演算部28には、測距部22、水平測角部24、および鉛直測角部26からの測定のための出力値が入力される。制御演算部28は、それらの出力値に基づき、距離測定、高低角、水平角の測定(算出)を行い、測定結果を記憶部29に格納するとともに表示部16に表示させる。また、この測定結果は、適宜通信部33を介して、外部ネットワーク(後述するメインサーバ42)へと送信される。
撮像部選択部31は、第1撮像部21と第2撮像部19との選択のために設けられている。この選択された第1撮像部21または第2撮像部19により取得(撮像)された画像は、画像記憶部32に格納されかつ表示部16に表示される。画像処理部30は、画像記憶部32に格納された画像(例えば前記第1撮像部21で取得した画像)に適宜画像処理を施し、その画像を画像記憶部32に格納するとともに表示部16に表示する。
通信部33は、外部ネットワークとの通信を可能とするものであり、制御ユニット27の制御下において、記憶部29に格納された各情報を適宜送信する。本実施例では、制御ユニット27(制御演算部28)は、後述するように無線回線によりメインサーバ42とのデータの遣り取りを行うものであることから、通信部33は、無線通信が可能とされている。この通信部33は、本実施例ではPHS(Personal Handy−phone System)方式のモデムで構成されている。
次に、本願発明に係る本実施例の測量装置通信システム40の概略的な構成について説明する。この測量装置通信システム40は、複数の測量装置(図3で括弧を付して示す符号10参照)に対して構成されるものであるが、以下では基本的に単一の測量装置10を例にあげて説明する。
この測量装置通信システム40は、上述した測量装置10(複数の測量装置)に加えて、と通信手段41とメインサーバ42とWebサーバ43と複数の端末機44とがネットワーク接続可能とされて構成されている。
通信手段41は、測量装置10(その通信部33)とメインサーバ42との通信を確立させるものであり、本実施例では、無線による通信を可能とするものとされている。この通信手段41は、例えば、図示は略すが、複数の基地局とそれらに接続された通信キャリアとを有する。通信手段41では、通信部33から通信開始要求があると、照合結果の一致する通信相手との通信を確立させるとともに、その確立された通信により通信部33から通信相手へのデータの送受信を可能とする。本実施例では、測量装置10(各測量装置(10))の通信部33をメインサーバ42に対応させる設定とされており、少なくとも各通信部33からメインサーバ42へのデータの送信が可能とされている。このため、本実施例では、通信手段41およびそこにネットワーク接続可能なメインサーバ42とWebサーバ43とは、通信部33により制御ユニット27(制御演算部28)が通信可能とされる外部ネットワークとして機能する。
そのメインサーバ42は、入出力部45とメインサーバ制御部46とメインサーバ記憶部47とを有する。入出力部45は、通信部33との間で確立された通信を通じて、当該通信部33すなわち測量装置10(その制御ユニット27)との間でのデータの遣り取りを行うものである。メインサーバ制御部46は、メインサーバ記憶部47に格納されたプログラムにより動作可能とされている。このメインサーバ制御部46は、通信部33を経て送信された各送信用測量装置情報(信号)に基づいて測量装置データを生成する機能と、その測量装置データをメインサーバ記憶部47に格納する機能と、後述するWebサーバ43(そのWeb制御部)との協働により端末機44に応じてメインサーバ記憶部47に格納された測量装置データへのアクセス可能な領域を制限する機能と、を有する。その測量装置データとは、各送信用測量装置情報を送信元となる測量装置10の識別情報に関連付けて生成されたものである。また、アクセス可能な領域を制限するとは、メインサーバ記憶部47に格納された全ての測量装置データの中から、アクセスすることができる測量装置データとアクセスすることができない測量装置データとを、端末機44毎に分けることをいう。
メインサーバ記憶部47には、メインサーバ制御部46における動作のためのプログラムが格納されているとともに、メインサーバ制御部46により生成された各測量装置データが順次格納される。この格納された各測量装置データは、各端末機44がWebサーバ43を介して適宜取得することが可能とされている。
Webサーバ43は、図示は略すがWeb記憶部に格納されたプログラムに基づいて動作するWeb制御部を有する。このWebサーバ43(Web制御部)は、自らにアクセスしてきた端末機44に閲覧用画面61(図4参照)を表示させる機能と、メインサーバ制御部46との協働により端末機44に応じてメインサーバ記憶部47に格納された測量装置データへのアクセス可能な領域を制限する機能と、を有する。Webサーバ43は、メインサーバ制御部46との協働により、自らにアクセスしてきた端末機44の端末機識別情報に基づいて、メインサーバ記憶部47に格納された全ての測量装置データのうち、当該端末機44がアクセスすることができる測量装置データ群を設定して、当該測量装置データ群の当該端末機44での閲覧を可能とする。このため、Webサーバ43は、メインサーバ制御部46との協働により、メインサーバ記憶部47に格納された測量装置データへのアクセス可能な領域(全ての測量装置データにおける取得可能な領域)を設定する閲覧領域設定手段として機能する。
その閲覧用画面61は、使用者が閲覧したい製品の指定や、その指定した製品に関して閲覧したい具体的な測量装置データの項目を選択可能とするものである(図4参照)。閲覧用画面61は、本実施例では、図4に示すように、閲覧対象指定部62と、実行命令部63と、閲覧項目選択部64と、閲覧表示部65と、を有する。
閲覧対象指定部62は、使用者が閲覧したい製品の指定を行う箇所であり、図示した例では、製造期間指定欄62aと製品指定欄62bと品番指定欄62cとを有する。製造期間指定欄62aは、製造期間を指定するものであり、始期と終期とを製造年月日で入力することができる。製品指定欄62bは、製品名を指定するものであり、図示した例では、2種類の製品のうち該当する製品名を選択可能とする選択箇所62b1、62b2を有する。品番指定欄62cは、所望の品番を入力することが可能とされている。なお、製造期間指定欄62aおよび品番指定欄62cは、一覧表示の中から選択するものであってもよく、製品指定欄62bは、入力により指定するものであってもよい。
実行命令部63は、閲覧対象指定部62で指定された製品に関する測量装置データの取得を実行させるためのものである。すなわち、閲覧対象指定部62の各項目を設定した後に実行命令部63を選択することが、設定した各項目に該当する製品に関する測量装置データを取得させる操作となる。
閲覧項目選択部64は、上述したように取得した測量装置データにおいて、閲覧したい項目を選択するものであり、図示した例では、エラー情報選択箇所64aと、稼働時間選択箇所64bと、セルフチェック選択箇所64cと、トラブルシューティング選択箇所64dと、を有する。
エラー情報選択箇所64aは、選択した各測量装置において、蓄積された動作情報としての上述したエラー情報を表示させるためのものである。稼働時間選択箇所64bは、選択した各測量装置において、動作情報としての上述した稼働時間情報を表示させるためのものである。なお、稼働時間情報としては、1回の稼働時間や通算稼働時間等が適宜選択的にもしくは双方が同時に閲覧表示部65に表示される。
セルフチェック選択箇所64cは、選択した各測量装置において、蓄積されたセルフチェック情報(セルフチェックガイド機能における処理内容)を表示させるためのものである。このセルフチェック情報については、後に詳細に説明する。
トラブルシューティング選択箇所64dは、選択した各測量装置において、蓄積されたトラブルシューティング情報(トラブルシューティングガイド機能における処理内容)を表示させるためのものである。このトラブルシューティング情報については、後に詳細に説明する。なお、図示は略すが、さらに問診表選択箇所を設けて、選択した各測量装置において、蓄積された問診表情報(問診表作成ガイド機能における処理内容)を表示させる構成としてもよい。
閲覧表示部65は、取得した測量装置データのうち、閲覧項目選択部64で選択された項目を適宜表示する。この表示方法は、選択された項目に応じて見易いように、例えば、項目に拘らず測量装置毎に表示することや、エラー情報であれば発生した時間軸に沿って表示すること等のように適宜表示させる。
次に、測量装置10におけるセルフチェックガイド機能およびトラブルシューティングガイド機能について説明する。このセルフチェックガイド機能およびトラブルシューティングガイド機能は、使用者により実行要求がなされた場合に実行する。先ずは、セルフチェックガイド機能について、図5および図6を用いて説明する。なお、このセルフチェックガイド機能およびトラブルシューティングガイド機能では、使用者が、表示部16での表示にしたがって適宜選択や入力を求められる場面があるが、この選択や入力は、操作入力部17によるものであってもよく表示部16にタッチパネルの機能を搭載して直接画面に触れて行うものであってもよい。このため、操作入力部17が、場合によっては表示部16との双方が、動作状況入力部として機能する。
このセルフチェックガイド機能は、制御ユニット27の制御演算部28の制御下で行われ、測量装置10の保守点検、すなわち測量装置10(測量ユニット)を用いて適切に測量を行うことができる状態を保つように各部を点検するとともに各設定値の調整を行うために、使用者にセルフチェックの項目を選択可能に表示部16に表示するとともに、その項目に応じて点検もしくは調整の内容およびその結果を表示部16に表示するものである。
図5は、本実施例における制御演算部28(制御ユニット27)にて実行されるセルフチェック(保守点検)制御処理内容を示すフローチャートである。図6は、保守点検制御処理により表示部16に表示されるセルフチェック用画面71を模式的に示す説明図であり、(a)は保守点検(セルフチェック)の項目一覧を表示している状態を示し、(b)は保守点検(セルフチェック)の内容およびその結果を表示している状態を示している。以下、図5のフローチャートの各ステップについて図6を用いて説明する。
ステップS1では、保守点検(セルフチェック)の項目一覧(図6(a)の符号71a参照)を表示部16に表示させて、ステップS2へ進む。この保守点検の項目とは、例えば、各部における設定値の調整や、各部が正常な動作をするかの点検である。本実施例では、表示部16に、セルフチェック用画面71として保守点検(セルフチェック)の項目一覧である保守点検項目表示71aを表示させる(図6(a)参照)。
ステップS2では、ステップS1でのセルフチェック項目一覧の表示に続き、実行する項目の詳細(図6(b)の符号71b参照)を表示部16に表示させるとともに、その実行する項目に関する現在の数値(状態)を適宜送信用ファイルとして記憶部29に格納して、ステップS3へ進む。本実施例では、表示部16に、セルフチェック用画面71として、該当する項目の保守点検(調整を含む)のために使用者が実行すべきチェック動作の手順や、該当する項目の保守点検のために自動で行われるチェック動作(自動的な確認動作)の内容を示すチェック内容71bを表示させる(図6(b)参照)。この実行する項目に関する現在の数値(状態)とは、例えば、調整を行うものにおける調整前の数値であり、その記憶部29への格納は必要に応じて適宜実行される。このステップS2では、保守点検事項として登録してある全ての項目を順に行うべく、所定の順序にしたがって未だ実行されていない項目を表示する。これは、保守点検では、基本的に全ての項目を実行することが望ましいことによる。なお、この実行する項目は、ステップS1でのセルフチェック項目一覧の表示において選択されたものとしてもよい。
ステップS3では、ステップS2での実行項目内容表示に続き、実行されたチェック動作が正常であったか否かを判断し、Yesの場合はステップS4へ進み、Noの場合はステップS5へ進む。このステップS3では、実行されたチェック動作が、正しいものすなわちステップS2において表示部16に表示した項目の詳細の内容に適合するものであったか否かを判断する。本実施例では、表示部16に、セルフチェック用画面71として、実行終了のための選択箇所71c(図6(b)参照)を表示させるとともに、その選択箇所71cが選択されることによりチェック動作が実行されたものと判断し、その選択箇所71cを表示してから選択されるまでの間における各部に為された動作によりチェック動作の正否を判断する。なお、上述したように、該当する項目によっては、自動で行われるチェック動作(例えば、後述するセルフチェック(保守点検)の1つの項目例としてのチルト調整におけるステップS53(図10参照))を実行する場合もあることから、選択箇所71cの選択による判断を行わない構成であってもよく、該当する項目に適合するものとすることが望ましい。
ステップS4では、ステップS3での該当するセルフチェック項目のチェック動作が正しく実行されたとの判断に続き、そのチェック動作により調整された後の数値(状態)を送信用ファイルとして記憶部29に格納して、ステップS7へ進む。
ステップS5では、ステップS3での該当するセルフチェック項目のチェック動作が正しく実行されなかったとの判断に続き、再度チェックを行うか否かの判断を行い、Yesの場合(再度行う)はステップS2へ戻り、Noの場合(行わない)はステップS6へ進む。本実施例では、表示部16に、セルフチェック用画面71として、実行終了のための選択箇所71cと再試行のための選択箇所71d(図6(b)参照)とを表示するとともに、選択箇所71cが選択されると再度のチェックは行わないことが選択されたものと判断し、選択箇所71dが選択されると再度チェックを行うことが選択されたものと判断する。
ステップS6では、ステップS5での再度のチェックは行わないとの判断に続き、ステップS2で表示した項目が正しく実行されなかった旨を送信用ファイルとして記憶部29に格納して、ステップS11へ進む。
ステップS7では、ステップS4での調整後の数値(状態)の格納に続き、その数値(状態)が規格内であるか否かを判断して、Yesの場合(規格内である)はステップS8へ進み、Noの場合(規格内ではない)はステップS9へ進む。このステップS7では、セルフチェック項目に関するチェック動作自体は正しく行われた場合であっても、それにより調整された数値が規格内であるすなわち設定された許容範囲内となっているとは限らないことから、調整後の数値(状態)が規格内であるか否かを判断する。この判断は、セルフチェック項目毎に設定された規格値を記憶部29に格納しておき、該当する規格値との比較により行う。
ステップS8では、ステップS7での調整後の数値(状態)が規格内であるとの判断に続き、その旨を表示部16に表示させるとともに、その旨を送信用ファイルとして記憶部29に格納して、ステップS11へ進む。本実施例では、表示部16に、セルフチェック用画面71として、チェック動作の結果を示すチェック動作結果表示71eを表示させる(図6(b)参照)。
ステップS9では、ステップS7での調整後の数値(状態)が規格内ではないとの判断に続き、その旨を表示部16に表示させるとともに、再度チェックを行うか否かの判断を行い、Yesの場合(再度行う)はステップS2へ戻り、Noの場合(行わない)はステップS10へ進む。本実施例では、表示部16に、セルフチェック用画面71として、チェック動作の結果を示すチェック動作結果表示71eを表示させ、かつ実行終了のための選択箇所71cと再試行のための選択箇所71d(図6(b)参照)とを表示させるとともに、選択箇所71cが選択されると再度のチェックは行わないことが選択されたものと判断し、選択箇所71dが選択されると再度チェックを行うことが選択されたものと判断する。
ステップS10では、ステップS9での再度のチェックは行わないとの判断に続き、ステップS2で表示した項目の詳細に沿うチェック動作による調整後の数値(状態)が規格内ではなかった旨を送信用ファイルとして記憶部29に格納して、ステップS11へ進む。
ステップS11では、ステップS6でのチェック動作が正しく実行されなかった旨の格納、あるいは、ステップS8での調整後の数値(状態)が規格内であるとの表示、あるいは、ステップS10での調整後の数値(状態)が規格内ではなかった旨の格納に続き、保守点検として登録してある全ての項目のチェック動作が終了したか否かを判断し、Yesの場合はステップS12へ進み、Noの場合はステップS2へ戻る。このステップS11では、各チェック動作が正しく実行されたか否か、もしくは調整後の数値(状態)が規格内であるか否か、に拘らず、全ての項目のチェック動作が終了したか否かを判断する。なお、上述したように、ステップS2において実行する項目を選択可能な構成とする場合、このステップS11は保守点検(セルフチェック)を終了するか否かの判断を行い、Yesの場合はステップS12へ進み、Noの場合はステップS2へ戻るものとすればよい。
ステップS12では、ステップS11での全ての項目のチェック動作が終了したとの判断に続き、記憶部29に格納された送信用ファイルを、通信部33を介してメインサーバ42へと送信して、セルフチェック(保守点検)制御処理を終了する。これにより、セルフチェック(保守点検)ガイド機能(図5および図6等参照)における処理内容、すなわち保守点検前後の数値(状態)(ステップS2およびステップS4)と、各項目のチェック動作が正しく行われたか否か(ステップS4およびステップS6)と、各項目のチェック動作により適切に調整されたか否か(ステップS8およびステップS10)と、が測量装置10の識別情報と関連付けてメインサーバ42のメインサーバ記憶部47に格納される。なお、上述したように、ステップS2において実行する項目を選択可能な構成とする場合、その選択された項目の情報も、当該処理内容として送信する。また、このとき、測量装置10の識別情報、使用時間情報、位置情報、搭載しているソフトウェアのバージョン情報等の基本情報を、併せて送信する構成とすることが望ましい。
ここで、図5のフローチャートでは、保守点検項目において数値の調整を行うものに対する処理内容とされていたが、保守点検項目では単なる動作点検に関するものもある。この場合、単なる動作点検に関するものに対しては、図5のフローチャートにおいて、ステップS4およびステップS7〜ステップS10を行う必要はなく、ステップS3もしくはステップS6の後にステップS11へと進むものとすればよい。また、この図5のフローチャートは、セルフチェック(保守点検)としての制御処理の一例を示すものであり、設定された各項目に適合させるべく当該項目毎に処理内容を変更させることもできる。
この測量装置10では、使用者は、操作入力部17(表示部16)においてセルフチェックガイド機能を実行する旨の選択を行うと、図5のフローチャートのステップS1により、表示部16で保守点検(セルフチェック)の項目一覧(保守点検項目表示71a(図6(a)参照))を表示する。この後、図5のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2へと進むことにより、表示部16で、セルフチェック(保守点検)の項目の詳細(チェック内容71b(図6(b)参照))を表示するとともに、実行終了のための選択箇所71c(図6(b)参照)を表示する。その後、使用者は、該当するチェック動作を実行した後に、選択箇所71cを選択する。
すると、測量装置10では、チェック動作が正しく行われなかった場合、図5のフローチャートにおいて、ステップS3→ステップS5へと進むことにより、表示部16で再試行の否応を選択させるために選択箇所71cと選択箇所71d(図6(b)参照)とを表示する。使用者が再試行を行うこと(選択箇所71d)を選択した場合、再びチェック動作を実行することとなり(ステップS5→ステップS2)、使用者が再試行を行わないこと(選択箇所71c)を選択した場合、当該項目に関する保守点検を終了する(ステップS5→ステップS6→ステップS11)。
また、測量装置10では、チェック動作が正しく行われた場合、図5のフローチャートにおいて、ステップS4→ステップS7へと進むことにより、当該チェック動作により適切に調整されたか否かを判断し、適切に調整された場合、その旨を表示部16で表示(チェック動作結果表示71e)(ステップS8)し、当該チェック動作により適切に調整されなかった場合、その旨を表示部16で表示(チェック動作結果表示71e)するとともに表示部16で再試行の否応を選択させるために選択箇所71cと選択箇所71d(図6(b)参照)とを表示する(ステップS9)。使用者が再試行を行うことを選択(選択箇所71d)した場合、再びチェック動作を実行することとなり(ステップS9→ステップS2)、使用者が再試行を行わないことを選択(選択箇所71c)した場合、当該項目に関する保守点検を終了する(ステップS9→ステップS10)。
測量装置10では、この動作を繰り返すことにより(ステップS11)、セルフチェック(保守点検)に関する全ての項目のチェック動作を使用者に実行させることができる。このとき、測量装置10は、そのセルフチェック(保守点検)ガイド機能における処理内容をメインサーバ42へと送信する(ステップS12)。このことから、測量装置10において、図5のフローチャートが、表示部16および動作状況入力部としての操作入力部17(表示部16)との協働により、保守点検(セルフチェック)の実行を誘導する保守点検(セルフチェック)実行ガイド手段となる。
次に、トラブルシューティングガイド機能について、図7から図9を用いて説明する。このトラブルシューティングガイド機能は、制御ユニット27の制御演算部28の制御下で行われ、測量装置10(測量ユニット)において設定された精度での測量を行う(以下では、適切な測量という)ことができない場合、その原因を特定することを可能とするための項目を選択可能に表示部16に表示し、その選択内容に応じて解決方法を表示部16に表示するとともに、その解決方法として使用者が実行すべきチェック動作の手順等を表示部16に表示するものである。
図7は、本実施例における制御演算部28にて実行されるトラブルシューティング制御処理内容を示すフローチャートであり、図8は、そのための問診表作成制御処理内容を示すフローチャートである。図9は、トラブルシューティング制御処理により表示部16に表示されるトラブルシューティング用画面72を模式的に示す説明図であり、(a)は測量装置10における症状の一覧を表示している状態を示し、(b)は解決方法の内容およびその実行に対する選択候補を表示している状態を示している。以下、図7および図8のフローチャートの各ステップについて図9を用いて説明する。
ステップS21では、測量装置10における症状の一覧(図9(a)の符号72a参照))を表示部16に表示させて、ステップS22へ進む。この測量装置10における症状とは、測量装置10における各種測定機能のうちのいずれの動作においてどのように適切な測量が行えなかったのかをいう。本実施例では、表示部16に、トラブルシューティング用画面72として、測量装置10における各種測定機能のそれぞれの動作を示す動作一覧表示72aを表示させ、いずれの動作において適切な測量が行えなかったのかを選択させる(図9(a)参照)。
ステップS22では、ステップS21での症状の一覧の表示に続き、選択された症状を送信用ファイルとして記憶部29に格納して、ステップS23へ進む。本実施例では、表示部16に、トラブルシューティング用画面72として、作成完了のための選択箇所72bとその破棄のための選択箇所72c(図9(a)参照)とを表示するとともに、一覧の症状のうちいずれか1つを指し示した状態で選択箇所72bが選択されると当該症状が選択されたものと判断する。
ステップS23では、ステップS22での選択された症状の格納に続き、その選択された症状に対応する解決方法を表示部16に表示させるとともに、その旨を送信用ファイルとして記憶部29に格納して、ステップS24へ進む。このステップS23では、選択された症状に対応する解決方法の中から、既に表示した解決方法を除いて、いずれか1つの解決方法を選択し、当該解決方法を表示させる。このステップS23では、表示部16に表示させる解決方法として、最も可能性の高い解決方法を表示させることが望ましい。この最も可能性の高い解決方法とは、選択された症状を解決する観点から最も可能性の高いものをいい、測量装置10における症状の傾向等に基づいて設定すればよい。ステップS23では、選択項目として設定した症状毎に設定された解決方法を記憶部29に格納しておき、その中で設定された順序に基づいて表示する解決方法を選択する。本実施例では、表示部16に、トラブルシューティング用画面72として、解決方法として使用者が実行すべきチェック動作の手順等を示す解決方法詳細内容72dを表示させる(図9(b)参照)。
ステップS24では、ステップS23での対応する解決方法の表示とその格納に続き、表示した解決方法が実行されるか否かを判断し、Yesの場合はステップS25へ進み、Noの場合はステップS28へ進む。このステップS24では、表示部16表示した解決方法を、使用者が実行する意思があるか否かを判断する。本実施例では、表示部16に、トラブルシューティング用画面72として、実行せずに他の解決方法を要求するための選択箇所72e(図9(b)参照)を表示するとともに、その選択箇所72eが選択されることにより使用者が実行する意思がないものと判断し、逆に選択箇所72eが選択されない場合、ステップS25での選択が為されるまで判断を保留するものとする。
ステップS25では、ステップS24での表示した解決方法が実行されるとの判断に続き、その実行により症状が解決したか否かの判断を行い、Yesの場合はステップS26へ進み、Noの場合はステップS27へ進む。このステップS25では、表示部16に実行して解決した旨のための選択箇所72fと実行して解決しなかった旨のための選択箇所72g(図9(b)参照)とを表示するとともに、選択箇所72fが選択されると症状が解決したものと判断し、選択箇所72gが選択されると症状が解決しなかったものと判断する。
ステップS26では、ステップS25での症状が解決したものとの判断に続き、その旨を送信用ファイルとして記憶部29に格納して、ステップS30へ進む。このステップS26では、いずれの解決方法により症状が解決したのかを送信用ファイルとして記憶部29に格納する。
ステップS27では、ステップS25での症状が解決しなかったものとの判断に続き、その旨を送信用ファイルとして記憶部29に格納して、ステップS28へ進む。このステップS27では、いずれの解決方法で症状が解決しなかったのかを送信用ファイルとして記憶部29に格納する。
ステップS28では、ステップS24での解決方法が実行されないとの判断、あるいは、ステップS27での症状が解決しなかった旨の格納に続き、既に表示した解決方法(ステップS23)を除いてステップS22で選択された症状に対応する解決方法があるか否かを判断して、Yesの場合はステップS23へ戻り、Noの場合はステップS29へ進む。このステップS28では、既に表示した解決方法を除いて、選択された症状に対応して設定された他の解決方法が記憶部29に格納されているか否かを判断することにより、他の解決方法の有無を判断する。
ステップS29では、ステップS28での他の解決方法がないとの判断に続き、その旨を表示部16に表示させるとともに、その旨を送信用ファイルとして記憶部29に格納して、ステップS30へ進む。本実施例では、表示部16に、トラブルシューティング用画面72として、他の解決方法がない旨を示す解決方法詳細内容72dを表示させる(図9(b)参照)。
ステップS30では、ステップS26での症状が解決した旨の格納、あるいは、ステップS29での他の解決方法がない旨の格納および表示に続き、記憶部29に格納された送信用ファイルを、通信部33を介してメインサーバ42へと送信して、トラブルシューティング制御処理を終了する。これにより、トラブルシューティングガイド機能における処理内容、すなわち選択された症状(ステップS22)と、それに対応して表示した解決方法(ステップS23)と、実行した解決方法およびそれにより解決したか否か(ステップS26およびステップS27)と、実行したか否かに拘らず全ての解決方法を提示(表示部16に表示)させた旨(ステップS29)と、が測量装置10の識別情報と関連付けてメインサーバ42のメインサーバ記憶部47に格納される。このとき、測量装置10の識別情報、使用時間情報、位置情報、搭載しているソフトウェアのバージョン情報等を基本情報を、併せて送信する構成とすることが望ましい。
なお、図7のフローチャートのステップS22で提示(表示部16に表示)する解決方法としては、セルフチェック(保守点検)(図5のフローチャート参照)での項目に該当するものもあることから、図5のフローチャートと適宜リンクさせるようにプログラムを組む(制御処理を行う)ものであってもよい。
ここで、トラブルシューティングガイド機能としては、測量装置10において適切な測量が行えない具体的な原因を特定することにより、ステップS23にてより適切な解決方法を提示(表示部16での表示)させることができることから、ステップS21に代えて使用者の選択により問診表を作成させることが望ましい。これは、単に症状から判断したのでは、解決方法の選択肢が多岐に渡ることとなって、ステップS23〜ステップS29の動作を選択肢の個数に応じて繰り返すこととなる虞があることによる。その問診表を作成させるための問診表作成制御処理内容である図8のフローチャートの各ステップについて説明する。この問診表作成制御処理は、制御ユニット27の制御演算部28の制御下で行われる。
ステップS41では、測量装置10における大まかな症状の選択画面(例えば、図13の符号73d参照))を表示部16に表示させて、ステップS42へ進む。この大まかな症状とは、例えば、測量装置10における各種機能のうちのいずれの機能において適切な測量が行えなかったのかをいい、具体例としては、適切な測量が行えなかったのが、測距機能に分類されるものであるのか、測角機能に分類されるものであるのか、自動追尾機能に分類されるものであるのか等をいう。
ステップS42では、ステップS41での大まかな症状の選択画面の表示に続き、選択された大まかな症状における詳細な項目の選択画面(例えば、図13の符号73e参照))を表示部16に表示させて、ステップS43へ進む。この詳細な項目とは、例えば、選択された機能においてどのような項目の適切な測量が行えなかったのかをいい、具体例としては、選択されたのが測距機能である場合、測距をしなかったのか、測距値にバラツキが生じてしまっているのか、異常な(あり得ない)測距値が測定結果となってしまうのか等をいい、選択されたのが測角機能である場合、誤差の内容が倍角差であるのか観測差であるのか較差であるのか正反差であるのか等をいう。
ステップS43では、ステップS42での詳細な項目の選択画面の表示に続き、選択された大まかな症状において選択された詳細な項目を送信用ファイルとして記憶部29に格納して、ステップS44へ進む。
ステップS44では、ステップS43での選択された大まかな症状において選択された詳細な項目の格納に続き、記憶部29に格納された送信用ファイルを、通信部33を介してメインサーバ42へと送信して、問診表作成制御処理を終了する。これにより、使用者に適切な問診表を作成させることができるとともに、その問診表の情報に測量装置10の識別情報と関連付けてメインサーバ42のメインサーバ記憶部47に格納させることができる。このことから、測量装置10において、図8のフローチャートが、表示部16および動作状況入力部としての操作入力部17(表示部16)との協働により、問診表の作成を誘導する問診表作成ガイド手段となる。なお、本実施例では、問診表作成ガイド手段となる図8のフローチャートにおいて、ステップS41およびステップS43の2段階の選択で分類する構成とされていたが、この段階数を増やしてもよく、この本実施例の構成に限定されるものではない。このように段階数を増やすことで、より適切な問診表を作成させることができる。
この測量装置10では、使用者は、操作入力部17(表示部16)においてトラブルシューティングガイド機能を実行する旨の選択を行うと、図7のフローチャートのステップS21により、表示部16で測量装置10における症状の一覧(動作一覧表示72a(図9(a)参照))を表示する。なお、上述したように、このステップS21に代えて、図8のフローチャートにより、問診表を作成するものであってもよい。
この後、図7のフローチャートにおいて、ステップS22→ステップS23→ステップS24→ステップS25へと進むことにより、表示部16で、選択された症状に対応する解決方法を解決方法詳細内容72dに表示するとともに、実行せずに他の解決方法を要求する選択箇所72eと、実行して解決した旨の選択箇所72fと、実行して解決しなかった旨の選択箇所72gと、を表示する(図9(b)参照)。使用者は、選択箇所72e、72f、72gを適宜選択する。
このため、測量装置10では、解決方法を実行して解決した場合、選択箇所72fが選択されて当該選択された症状に対するトラブルシューティング処理を終了する。
また、表示した解決方法を実行して解決しなかった場合、選択箇所72gが選択されるので、図7のフローチャートにおいて、ステップS27→ステップS28へと進むことにより他の解決方法の有無を判断し、他の解決方法があればステップS28→ステップS23へと進むことにより表示部16で他の解決方法(解決方法詳細内容72d)を表示し、他の解決方法がなければステップS28→ステップS29へと進むことにより表示部16で他の解決方法がない旨(解決方法詳細内容72d)を表示する。
さらに、測量装置10では、選択箇所72eの選択により他の解決方法が要求された場合、図7のフローチャートにおいて、ステップS24→ステップS28へと進むことにより他の解決方法の有無を判断し、他の解決方法があればステップS28→ステップS23へと進むことにより表示部16で他の解決方法(解決方法詳細内容72d)を表示し、他の解決方法がなければステップS28→ステップS29へと進むことにより表示部16で他の解決方法がない旨(解決方法詳細内容72d)を表示する。
このように、測量装置10では、使用者が適切な測量が行えなかった場合、使用者がその解決方法を知ることができ、それに基づいて適切な測量が行えるような対策を実行する、すなわちトラブルシューティングを実行することができる。このとき、測量装置10は、そのトラブルシューティングガイド機能における処理内容をメインサーバ42へと送信する(ステップS30)。このことから、測量装置10において、図7のフローチャートが、表示部16および動作状況入力部としての操作入力部17(表示部16)との協働により、症状の解決方法の探索およびその解決方法の実行を誘導するトラブルシューティング実行ガイド手段となる。
次に、測量装置10におけるセルフチェックガイド機能および問診表作成ガイド機能の具体的な一例について説明する。上述したように、セルフチェックガイド機能では、保守点検項目を大きく分類すると、数値の調整を行うものと、単なる動作点検に関するものと、の2種類がある。先ずは、数値の調整を行うものとしてのセルフチェックガイド機能の具体例として、チルトオフセット値の調整のための制御処理内容を示す図10のフローチャートの各ステップについて説明する。このチルトオフセット値とは、測量装置10が測量のために所望の場所に据え付けられた状態において、正確な水平状態での測量を可能とするための補正値である。この具体例の図10のフローチャートでは、セルフチェックの項目としてチルトオフセット値の調整が選択された場合を示すものであることから、項目一覧表示(図5のステップS1に相当する)を省略している。
ステップS51では、現在の(調整前の)チルトオフセット値を送信用ファイルとして記憶部29に格納して、ステップS52へ進む。
ステップS52では、ステップS51での現在のチルトオフセット値の格納に続き、チルト調整の実行を誘導する旨を表示部16に表示させるとともに、そこの表示から30秒のカウントを開始して、ステップS53へ進む。このステップS52では、使用者に整準部11に対して望遠鏡部14(その基準位置)が水平状態となるように、基盤部12に設けられた調整機構による調整を実行させるものである。このことから、ここでのカウント時間は、調整を実行のために確保する時間の一例であって適宜変更することができる。
ステップS53では、ステップS52での表示から30秒のカウントが終了したことに続き、基盤部12に対して托架部13の正反をとり、ステップS54へ進む。この正反をとるとは、水平駆動部23により、基盤部12に対して托架部13を水平方向に正方向へ基準位置へと回転させて水平状態を確認し、逆方向へ基準位置へと回転させて水平状態を確認することをいう。このとき、それぞれの水平状態の確認の際の数値を送信用ファイルとして記憶部29に格納する。
ステップS54では、ステップS53での托架部13の正反をとることに続き、実行された正反をとる動作(チェック動作)が正常であったか否かを判断し、Yesの場合はステップS55へ進み、Noの場合はステップS59へ進む。このステップS54では、実行されたチェック動作が、正しいものすなわち托架部13の正反を適切にとることができたか否かを判断する。このステップS51からステップS54までの処理が、図5のステップS2からステップS3までの処理に相当する。
ステップS55では、ステップS54での托架部13の正反が適切にとることができたとの判断に続き、その水平状態の確認の際の数値が規格内であるか否かを判断して、Yesの場合(規格内である)はステップS56へ進み、Noの場合(規格内ではない)はステップS60へ進む。この判断は、水平状態の確認のために設定された規格値を記憶部29に格納しておき、その規格値との比較により行う。このステップS55の処理が、図5のステップS7の処理に相当する。
ステップS56では、ステップS55での水平状態の確認の際の数値が規格内であるとの判断に続き、その旨を表示部16に表示させるとともに、その旨を送信用ファイルとして記憶部29に格納して、ステップS57へ進む。このステップS56の処理が、図5のステップS8の処理に相当する。
ステップS57では、ステップS56での上記数値が規格内である旨の表示および格納に続き、当該数値に基づいて新たなチルトオフセット値を設定して、ステップS58へ進む。このチルトオフセット値の設定については、従来と同様であることから詳細な説明は省略する。
ステップS58では、ステップS57での新たなチルトオフセット値の設定に続き、その新たなチルトオフセット値を記憶部29に格納して、保守点検(セルフチェック)制御処理の具体例としてのチルトオフセット値の調整を終了する。
ステップS59では、ステップS54での托架部13の正反を適切にとることができなかったとの判断に続き、そのエラー内容を送信用ファイルとして記憶部29に格納して、ステップS61へ進む。このエラー内容とは、正反をとる動作、すなわち水平駆動部23により、基盤部12に対して托架部13を水平方向に正方向へ基準位置へと回転させて水平状態を確認し、逆方向へ基準位置へと回転させて水平状態を確認する際、いずれの動作を適切に行えなかったのかをいう。このステップS59の処理が、図5のステップS6の処理に相当する。なお、この制御処理において図5のフローチャートとは異なり、再調整(再チェック)を行うか否かの判断の前に格納するのは、このチルトオフセット値の調整の場合、自動による確認動作(ステップS53)を行うことから、このような自動確認動作が適切に行われなかったことは測量装置10自体のエラーであり、その情報も蓄積することが望ましいことによる。
ステップS60では、ステップS55での水平状態の確認の際の数値が規格内ではないとの判断に続き、その旨を表示部16に表示させるとともに、その旨を送信用ファイルとして記憶部29に格納して、ステップS61へ進む。
ステップS61では、ステップS59での正反をとる際のエラー内容の格納、あるいは、ステップS60での上記数値が規格内ではない旨の表示および格納に続き、再度調整を行うか否かの判断を行い、Yesの場合(再度行う)はステップS52へ戻り、Noの場合(行わない)はその旨を送信用ファイルとして記憶部29に格納して、保守点検(セルフチェック)制御処理の具体例としてのチルトオフセット値の調整を終了する。このステップS61の処理が、図5のステップS5またはステップS9の処理に相当する。
このチルトオフセット値に関する各情報は、図5におけるセルフチェック(保守点検)の制御処理と同様に、記憶部29に格納された送信用ファイルが通信部33を介してメインサーバ42へと送信されることにより、測量装置10の識別情報と関連付けてメインサーバ42のメインサーバ記憶部47に格納される。
この測量装置10では、使用者は、操作入力部17(表示部16)においてセルフチェックガイド機能におけるチルトオフセット値の調整を実行する旨の選択を行うと、図10のフローチャートにおいて、ステップS51→ステップS52へと進むことにより、表示部16で、チルト調整の実行を誘導する旨を表示する。その後、使用者は、基盤部12に設けられた調整機構により、整準部11に対して望遠鏡部14(その基準位置)が水平状態となるように調整する。
すると、測量装置10では、図10のフローチャートにおいて、ステップS52→ステップS53へと進むことにより、表示から30秒が経過すると、自動で基盤部12に対して托架部13の正反をとる。その正反をとる動作を適切に行えなかった場合、表示部16で、再試行の否応を選択させるための表示をする(ステップS54→ステップS59→ステップS61)。使用者が再試行を行うことを選択した場合、再びチェック動作を実行することとなり(ステップS61→ステップS52)、使用者が再試行を行わないことを選択した場合、チルトオフセット値の調整を終了する(ステップS61→終了)。
また、測量装置10では、正反をとる動作を適切に行えた場合、図10のフローチャートにおいて、ステップS54→ステップS55へと進むことにより、正反をとる動作により得られた値が規格内であったか否かを判断し、規格値内ではなかった場合、その旨を表示部16で表示(ステップS60)するとともに表示部16で再試行の否応を選択させるために表示をする(ステップS61)。使用者が再試行を行うことを選択した場合、再びチェック動作を実行することとなり(ステップS61→ステップS52)、使用者が再試行を行わないことを選択した場合、チルトオフセット値の調整を終了する(ステップS61→終了)。
さらに、規格値内である場合(ステップS55)、その旨を表示部16で表示(ステップS56)し、正反をとる動作により得られた値に基づいて新たなチルトオフセット値を設定し(ステップS57)、その新たなチルトオフセット値を格納する(ステップS58)。
測量装置10では、これにより、セルフチェック(保守点検)としてのチルトオフセット値の調整を使用者に実行させることができる。このとき、測量装置10は、そのチルトオフセット値の調整における処理内容をメインサーバ42へと送信する。
次に、測量装置10におけるセルフチェックガイド機能における単なる動作点検に関するものとして、水平駆動部23による基盤部12に対する托架部13の回転駆動時間の確認のための制御処理内容を示す図11のフローチャートの各ステップについて説明する。この回転駆動時間とは、基盤部12に対して水平方向に回転可能とされた托架部13の1周に要する時間であり、水平方向での托架部13の回転速度を示すものである。この具体例の図11のフローチャートでは、セルフチェックの項目として托架部13の回転駆動時間の確認が選択された場合を示すものであることから、項目表示(図5のステップS1に相当する)を省略している。
ステップS71では、回転駆動時間の確認のための開始時間を検出(測定)して、ステップS72へ進む。
ステップS72では、ステップS71での開始時間を測定に続き、その測定された開始時間と同時に水平駆動部23により基盤部12に対する托架部13の基準位置から当該基準位置までの回転駆動を開始して、ステップS73へ進む。
ステップS73では、ステップS72での托架部13の回転駆動の開始に続き、托架部13が1回転するとその回転駆動を終了するとともにその終了すると同時に回転駆動時間の確認のための終了時間を検出(測定)して、ステップS74へ進む。
ステップS74では、ステップS73での終了時間を測定に続き、ステップS72からステップS73での回転駆動が正常であったか否かを判断し、Yesの場合はステップS75へ進み、Noの場合はステップS77へ進む。このステップS74では、実行した回転駆動が正しいもの、すなわち托架部13を適切に一周させることができたか否かを判断する。このステップS71からステップS74までの処理が、図5のステップS2からステップS3までの処理に相当する。
ステップS75では、ステップS74での適切に回転駆動させることができたとの判断に続き、その回転駆動に要した時間が規格内であるか否かを判断して、Yesの場合(規格内である)はステップS76へ進み、Noの場合(規格内ではない)はステップS78へ進む。この判断は、托架部13を一周させるために設定された規格値を記憶部29に格納しておくとともに、ステップS73で測定した終了時間からステップS71で測定した開始時間を減算して実際に托架部13が一周することに要した時間(実時間)を算出し、その実時間と規格値との比較により行う。このステップS75の処理が、図5のステップS7の処理に相当する。
ステップS76では、ステップS75での回転駆動に要した時間が規格内であるとの判断に続き、その旨を表示部16に表示させるとともに、その旨および実時間を送信用ファイルとして記憶部29に格納して、保守点検(セルフチェック)制御処理の具体例としての托架部13の回転駆動時間の確認を終了する。このステップS76の処理が、図5のステップS8の処理に相当する。
ステップS77では、ステップS74での適切に回転駆動させることができなかったとの判断に続き、そのエラー内容を送信用ファイルとして記憶部29に格納して、ステップS79へ進む。このエラー内容とは、水平駆動部23により基盤部12に対する托架部13の基準位置から当該基準位置までの回転駆動、およびそれらの開始時間および終了時間の測定する際、いずれの動作を適切に行えなかったのかをいう。このステップS79の処理が、図5のステップS6の処理に相当する。なお、この制御処理において図5のフローチャートとは異なり、再調整(再チェック)を行うか否かの判断の前に格納するのは、この回転駆動時間の確認の場合、自動による確認動作(ステップS71からステップS73)を行うことから、このような自動確認動作が適切に行われなかったことは測量装置10自体のエラーであり、その情報も蓄積することが望ましいことによる。
ステップS78では、ステップS75での回転駆動に要した時間が規格内ではないとの判断に続き、その旨を表示部16に表示させるとともに、その旨を送信用ファイルとして記憶部29に格納して、ステップS79へ進む。
ステップS79では、ステップS77での回転駆動のエラー内容の格納、あるいは、ステップS78での回転駆動に要した時間が規格内ではない旨の表示および格納に続き、再度調整を行うか否かの判断を行い、Yesの場合(再度行う)はステップS71へ戻り、Noの場合(行わない)はその旨を送信用ファイルとして記憶部29に格納して、保守点検(セルフチェック)制御処理の具体例としての回転駆動時間の確認を終了する。このステップS61の処理が、図5のステップS7またはステップS9の処理に相当する。
この回転駆動時間の確認に関する各情報は、図5におけるセルフチェック(保守点検)の制御処理と同様に、記憶部29に格納された送信用ファイルが通信部33を介してメインサーバ42へと送信されることにより、測量装置10の識別情報と関連付けてメインサーバ42のメインサーバ記憶部47に格納される。
この測量装置10では、使用者は、操作入力部17(表示部16)においてセルフチェックガイド機能における回転駆動時間の確認を実行する旨の選択を行うと、図11のフローチャートにおいて、ステップS71→ステップS72→ステップS73へと進むことにより、自動で基盤部12に対して托架部13を水平方向に一周させるとともにその一周に要した時間を取得する。その回転駆動を適切に行えなかった場合、表示部16で、再試行の否応を選択させるための表示をする(ステップS74→ステップS77→ステップS79)。使用者が再試行を行うことを選択した場合、再びチェック動作を実行することとなり(ステップS79→ステップS71)、使用者が再試行を行わないことを選択した場合、回転駆動時間の確認を終了する(ステップS79→終了)。
また、測量装置10では、適切に回転駆動させた場合、図11のフローチャートにおいて、ステップS74→ステップS75へと進むことにより、一周に要した時間が規格内であったか否かを判断し、規格値内ではなかった場合、その旨を表示部16で表示(ステップS78)するとともに表示部16で再試行の否応を選択させるために表示をする(ステップS79)。使用者が再試行を行うことを選択した場合、再びチェック動作を実行することとなり(ステップS79→ステップS71)、使用者が再試行を行わないことを選択した場合、回転駆動時間の確認を終了する(ステップS79→終了)。
さらに、規格値内である場合(ステップS75)、その旨を表示部16で表示(ステップS76)し、回転駆動時間の確認を終了する。
測量装置10では、これにより、セルフチェック(保守点検)としての回転駆動時間の確認の機能を使用者に実行させることができる。このとき、測量装置10は、その回転駆動時間の確認における処理内容をメインサーバ42へと送信する。
次に、測量装置10における問診表作成ガイド機能の具体的な一例について説明する。この問診表を作成させるための問診表作成制御処理内容である具体例の図10のフローチャートでは、理解容易のために、大まかな症状の分類として、測距機能と測角機能との2種類のみを設定したものとしている。以下、図12のフローチャートの各ステップについて図13を用いて説明する。
ステップS81では、問診表作成ガイド画面73(図13参照)を表示部16に表示させて、ステップS82へ進む。この問診表作成ガイド画面73は、図13に示すように、天候設定欄73aと、気温設定欄73bと、発生頻度設定欄73cと、大症状分類欄73dと、中症状分類欄73eと、詳細選択欄73fと、作成完了のための選択箇所73gと、記載事項の破棄のための選択箇所73hと、を有する。この天候設定欄73a、気温設定欄73b、発生頻度設定欄73c、大症状分類欄73d、中症状分類欄73e、および詳細選択欄73fは、図を正面視して右端の三角形の記号箇所を選択することにより、各欄における選択候補を整列させて表示する所謂プルダウンメニューとされている。天候設定欄73aは、問診表を作成する際、測量装置10が据え置かれた環境での天候を選択するものである。気温設定欄73bは、問診表を作成する際、その環境での気温を選択するものである。なお、この気温は、温度検知部を設けて、当該温度検知部からの検出値により取得するものであってもよい。発生頻度設定欄73cは、当該問診表を作成する症状がどのくらいの頻度で生じているかを選択するものである。大症状分類欄73dは、図8のフローチャートにおける大まかな症状(ステップS41)に相当するものであり、この例では、上述したように測距機能と測角機能との2種類のみを設定している。中症状分類欄73eおよび詳細選択欄73fは、図8のフローチャートにおける詳細な項目(ステップS42)に相当するものであり、この例では、大症状分類欄73dの下位に中症状分類欄73eが位置しており、その中症状分類欄73eの下位に詳細選択欄73fが位置するものとされている。このため、中症状分類欄73eは、大症状分類欄73dが選択されて初めて選択可能となり、詳細選択欄73fは、中症状分類欄73eが選択されて初めて選択可能となるように設定されている。
ステップS82では、ステップS81での問診表作成ガイド画面73の表示に続き、基本情報を生成し送信用ファイルとして記憶部29に格納して、ステップS83へ進む。この基本情報とは、上述したように、測量装置10の識別情報、使用時間情報、位置情報、搭載しているソフトウェアのバージョン情報等をいう。このとき、この具体例では、天候設定欄73a、気温設定欄73bおよび発生頻度設定欄73cで選択された各情報も送信用ファイルとして記憶部29に格納する。
ステップS83では、ステップS82での基本情報の生成と格納に続き、大症状分類欄73dにおいて測距機能が選択されたか否かを判断し、Yesの場合はステップS84へ進み、Noの場合はステップS87へ進む。すなわち、ステップS83では、いずれの大症状が選択されたのかを判断して、測距機能が選択された場合はステップS84へ進み、測角機能が選択された場合はステップS87へ進む。
ステップS84では、ステップS83での測距機能が選択されたとの判断に続き、中症状分類欄73eにおいて測距機能に関連する中症状としての選択項目を表示部16に整列させて表示させて、ステップS85へ進む。ステップS84では、中症状としての選択項目を表示させるものとしているが、さらに図13に示す詳細選択欄73fを選択させてさらに詳細な情報を得るものとしてもよい。この中症状では、測距機能の分類としてのものであることから、例えば、測距をしなかったのか、測距値にバラツキが生じてしまっているのか、異常な(あり得ない)測距値が測定結果となってしまうのか等があげられる。ここで、測距をしなかった場合、後述するステップS85での記載を必要としないので、二点鎖線で示す矢印のように、ステップS86へと進む。
ステップS85では、ステップS84での中症状としての選択項目の表示に続き、その表示した中から選択された中症状が生じた際の具体的な状況の記載のための記載欄を表示部16に表示させて、ステップS86へ進む。この具体的な状況とは、例えば、測距機能の中症状として測距値誤差が選択された場合、具体的にどのような操作(方法)により当該誤差を確認したのか、をいう。この記載は、例えば、図13に示す詳細選択欄73fを用いることにより、実現することができる。
ステップS86では、ステップS85での具体的な状況の記載のための記載欄の表示に続き、その記載された内容を送信用ファイルとして記憶部29に格納して、ステップS89へ進む。これにより、測距機能における中症状を特定することができ、当該症状に対する問診表を作成することができる。
ステップS87では、ステップS83での測角機能が選択されたとの判断に続き、中症状分類欄73eにおいて測角機能に関連する中症状としての選択項目を表示部16に整列させて表示させて、ステップS88へ進む。ステップS87では、ステップS84と同様に、中症状としての選択項目を表示させるものとしているが、さらに図13に示す詳細選択欄73fを選択させてさらに詳細な情報を得るものとしてもよい。この中症状では、測角機能の分類としてのものであることから、例えば、水平角誤差であるのか高度誤差であるのか等があげられる。
ステップS88では、ステップS87での中症状としての選択項目の表示に続き、その表示した中から選択された中症状の確認のための動作を自動的に実行する(自己診断)とともに、その実行内容およびそれにより確認した値を送信用ファイルとして記憶部29に格納して、ステップS89へ進む。中症状の確認動作の自動的な実行とは、例えば、上述した自動で基盤部12に対して托架部13の正反をとることのようなものをいう。これにより、測角機能における中症状を特定するとともにその自己診断結果を取得することができ、当該症状に対する問診表を作成することができる。
ステップS89では、ステップS86での具体的な状況の記載内容の格納、あるいは、ステップS88での自己診断内容の格納に続き、作成した問診表を送信用ファイルとして記憶部29に格納して、ステップS90へ進む。
ステップS90では、ステップS89での作成した問診表の格納に続き、記憶部29に格納された送信用ファイルを、通信部33を介してメインサーバ42へと送信して、問診表作成制御処理を終了する。これにより、使用者に適切な問診表を作成させることができるとともに、その問診表の情報に測量装置10の識別情報と関連付けてメインサーバ42のメインサーバ記憶部47に格納させることができる。
なお、この図10のフローチャートでは、測距機能である場合に、具体的な状況の記載の要求とその格納(ステップS85→ステップS86)を行う構成とされ、測角機能である場合に、自己診断(ステップS88)を行う構成とされていたが、測距機能の際に自己診断を行ってもよく、測角機能の際に具体的な状況の記載の要求とその格納を行ってもよく、上記した例に限定されるものではない。
この測量装置10では、使用者は、操作入力部17(表示部16)において問診表作成ガイド機能を実行する旨の選択を行うと、図12のフローチャートのステップS81により、図13に示すように、表示部16で問診表作成ガイド画面73を表示する。その天候設定欄73a、気温設定欄73bおよび発生頻度設定欄73cが選択されて、大症状分類欄73dにて測距機能が選択されると、その測距機能に関する中症状分類欄73eが選択可能となる(ステップS81→ステップS82→ステップS83→ステップS84)。その後、中症状分類欄73eにて中症状が選択されると、ステップS84→ステップS85へと進むことにより、その中症状が生じた状況の記載を要求し、使用者がその記載を終えると、その記載をふくむことにより問診表を生成することができる。この使用者が記載を終えたか否かの判断は、図13の例では、選択箇所73gが選択されることにより行う。
また、測量装置10では、大症状分類欄73dにて測角機能が選択されると、その測角機能に関する中症状分類欄73eが選択可能となる(ステップS81→ステップS82→ステップS83→ステップS87)。その後、中症状分類欄73eにて中症状が選択されると、ステップS87→ステップS88へと進むことにより、その中症状に対応する自己診断を行うとともにその診断結果を格納し、その診断結果をふくむことにより問診表を生成することができる。
測量装置10では、これにより、適切な問診表の作成を使用者に実行させることができる。このとき、測量装置10は、その問診表作成制御処理における処理内容をメインサーバ42へと送信する。
この測量装置10では、セルフチェックガイド機能、トラブルシューティングガイド機能もしくは問診表作成ガイド機能を実行すると、それらに関する情報(セルフチェックガイド機能における処理内容、トラブルシューティングガイド機能における処理内容もしくは作成させた問診表)を、通信部33を介してメインサーバ42へと送信する(図3参照)。これにより、測量装置10の識別情報と関連付けて各情報が、図3に示すように、メインサーバ42のメインサーバ記憶部47に格納される。
他方、各端末機44は、上述したように、それぞれがWebサーバ43を介してメインサーバ42にアクセスすることが可能とされている。ここで、Webサーバ43は、端末機44に応じて、メインサーバ記憶部47に格納された測量装置データへのアクセス可能な領域を制限する機能を有していることから、全ての端末機44で、メインサーバ記憶部47に格納された全ての情報を閲覧することができる訳ではない。
この制限は、例えば、端末機441が測量装置を製造する製造会社であるとすると、自らが製造した型番に該当する測量装置データを閲覧可能とするとともに、端末機442が測量装置を販売するディーラであるとすると、そこで取り扱った(販売した)品番に該当する測量装置データを閲覧可能とする、等のように行う。
このため、端末機441では、自らが図4に示す閲覧用画面61の製品指定欄62bの選択箇所62b1、62b2双方の製品名の製品を製造している場合、選択箇所62b1および選択箇所62b2のいずれか一方もしくは双方を選択することができ、他の閲覧対象指定部62において各項目を適宜指定することにより、指定対象となる製品に関するセルフチェックガイド機能における処理内容、トラブルシューティングガイド機能における処理内容、および作成させた問診表を取得することができる。本実施例では、上記した情報に加えて、セルフチェックガイド機能、トラブルシューティングガイド機能および作成させた問診表作成ガイド機能を実行した際の基本情報や、エラー情報や稼働時間情報を併せて閲覧することができる。
また、端末機442では、自らが扱った各製品の各品番の中から閲覧対象指定部62において各項目を適宜指定することにより、指定対象となる製品に関するセルフチェックガイド機能における処理内容、トラブルシューティングガイド機能における処理内容、および作成させた問診表を取得することができる。本実施例では、上記した情報に加えて、セルフチェックガイド機能、トラブルシューティングガイド機能および作成させた問診表作成ガイド機能を実行した際の基本情報や、エラー情報や稼働時間情報を併せて閲覧することができる。
このように、本願発明に係る測量装置10では、動作状況入力部としての操作入力部17(表示部16)から入力される測量ユニットの動作状況に関連する情報すなわち測量に関わる各部の状態およびそれらの連動状態を示す情報である動作状況関連情報を適宜外部ネットワークへと送信することができるので、その送信された動作状況関連情報を取得することにより、当該測量装置10の動作状況関連情報を迅速に取得することができる。これにより、例えば、この測量装置10において適切な測量が行えない状況が生じている場合であっても、送信された動作状況関連情報を取得することにより、その動作状況関連情報に基づいて適切な測量を阻害する原因を迅速に取得(把握)することができる。
また、測量装置10では、動作状況関連情報を適宜外部ネットワークへと送信することができるので、その送信された動作状況関連情報を取得することにより、当該測量装置10の動作状況関連情報を迅速に取得することができることから、その測量装置10の使用に関する実態を把握することができる。
さらに、測量装置10では、動作状況関連情報に加えて動作情報を適宜外部ネットワークへと送信することができるので、その送信された動作状況関連情報および動作情報を取得することにより、測量装置10の使用に関する実態をより詳細に把握することができる。このため、例えば、この測量装置10において適切な測量が行えない状況が生じている場合であっても、動作情報としてのエラー情報を動作状況関連情報と照らし合わすことにより、適切な測量を阻害する原因をより正確に取得(把握)することができる。
測量装置10では、動作状況関連情報に加えて基本情報を適宜外部ネットワークへと送信することができるので、その送信された動作状況関連情報および基本情報を取得することにより、測量装置10の使用に関する実態をより詳細に把握することができる。このため、例えば、この測量装置10において適切な測量が行えない状況が生じている場合であっても、基本情報としての測量装置10が使用された場所の雰囲気情報(気温、湿度等)を動作状況関連情報と照らし合わすことにより、適切な測量を阻害する原因をより正確に取得(把握)することができる。これは、測量装置10では、様々な環境下において使用されるものであることから、その使用された場所の雰囲気(気温、湿度等)が適切な測量できない原因として大きく影響を及ぼしている場合があることによる。
測量装置10では、動作状況関連情報に加えて動作情報および基本情報を適宜外部ネットワークへと送信することができるので、その送信された動作状況関連情報、動作情報および基本情報を取得することにより、測量装置10の使用に関する実態をより詳細に把握することができる。これにより、例えば、この測量装置10において適切な測量が行えない状況が生じている場合であっても、送信された各情報を取得することにより、各情報に基づいて様々な観点から適切な測量を阻害する原因を調査することができるので、その阻害原因をより正確に特定(解明)することができる。
測量装置10では、セルフチェック(保守点検)ガイド機能を有していることから、使用者がセルフチェック(保守点検)を適切に実行することを容易なものとすることができる。また、使用者が、使用するための事前の設定の不備等の誤った使用方法で測量装置10を使用している場合、その旨を示唆することができる。
測量装置10では、動作状況関連情報として、セルフチェック(保守点検)ガイド機能における処理内容を送信可能であることから、その送信された情報を取得することにより、当該測量装置10のセルフチェックガイド機能における処理内容を迅速に取得することができることから、その測量装置10の使用に関する実態を把握することができるとともに、当該測量装置10の状態を把握することができる。
測量装置10では、問診表作成ガイド機能を有していることから、使用者が適切な測量が行えない状況、すなわち測量装置10における各種測定機能のうちのいずれの動作においてどのように適切な測量が行えなかったのかという症状をより正確に反映した問診票を作成することを容易なものとすることができる。
測量装置10では、動作状況関連情報として、問診表作成ガイド機能における処理内容を送信可能であることから、その送信された情報を取得することにより、当該測量装置10の問診表作成ガイド機能における処理内容を迅速に取得することができることから、その測量装置10において生じた適切な測量が行えない状況、すなわち測量装置10における各種測定機能のうちのいずれの動作においてどのように適切な測量が行えなかったのかという症状をより正確にかつ迅速に取得(把握)することができる。
測量装置10では、トラブルシューティングガイド機能を有していることから、使用者に当該測量装置10の症状に対応する解決方法を知らせることができるとともに、使用者がその解決方法を適切に実行することを容易なものとすることができる。
測量装置10では、動作状況関連情報として、トラブルシューティングガイド機能における処理内容を送信可能であることから、その送信された情報を取得することにより、当該測量装置10のトラブルシューティングガイド機能における処理内容を迅速に取得することができることから、その測量装置10において生じた適切な測量が行えない状況をより正確にかつ迅速に取得(把握)することができるとともに、それに対して提示した解決方法が有効であったか否かの情報も併せて取得(把握)することができる。
測量装置10を備える測量装置通信システム40では、端末機44により測量装置10の動作状況関連情報を取得することができるので、例えば、その測量装置10において適切な測量が行えない状況が生じている場合であっても、取得した動作状況関連情報に基づいて適切な測量を阻害する原因を迅速に取得(把握)することができる。このため、製造会社やディーラは、顧客(使用者)に対して迅速に当該測量装置10の状況に適合する解決方法を提示することができる。
測量装置通信システム40では、端末機44により複数の測量装置10の動作状況関連情報を取得することができるので、製造会社やディーラは、各測量装置10の使用に関する実態を迅速に把握することができる。
測量装置通信システム40では、端末機44により複数の測量装置10の動作状況関連情報に加えて動作情報を取得することができるので、各測量装置10の使用に関する実態をより詳細に把握することができる。このため、例えば、測量装置10において適切な測量が行えない状況が生じている場合であっても、動作情報としてのエラー情報を動作状況関連情報と照らし合わすことにより、適切な測量を阻害する原因をより正確に取得(把握)することができる。このことから、製造会社やディーラは、顧客(使用者)に対して迅速に当該測量装置10の状況により適合する解決方法を提示することができる。また、製造会社やディーラは、複数の測量装置10に関する蓄積されたデータに基づいて、測量装置10におけるエラー情報が生じる傾向を把握することができるので、製品(測量装置10)のMTBF(Mean Time Between Failure)(故障が生じるまでの累積使用時間の平均値)を算出することができ、当該製品(測量装置10)の信頼度ひいては品質を確認することができる。さらに、製造会社やディーラは、複数の測量装置10に関する蓄積されたデータに基づいて、製品(測量装置10)がどのような環境下で使用されているのかをより具体的に把握することができる。
測量装置通信システム40では、端末機44により複数の測量装置10の動作状況関連情報に加えて基本情報を取得することができるので、各測量装置10の使用に関する実態をより詳細に把握することができる。このため、例えば、測量装置10において適切な測量が行えない状況が生じている場合であっても、基本情報としての測量装置10が使用された場所の雰囲気情報(気温、湿度等)を動作状況関連情報と照らし合わすことにより、適切な測量を阻害する原因をより正確に取得(把握)することができる。このことから、製造会社やディーラは、顧客(使用者)に対して迅速に当該測量装置10の状況により適合する解決方法を提示することができる。
測量装置通信システム40では、端末機44により複数の測量装置10の動作状況関連情報に加えて動作情報および基本情報を取得することができるので、その送信された動作状況関連情報、動作情報および基本情報を取得することにより、各測量装置10の使用に関する実態をより詳細に把握することができる。これにより、例えば、測量装置10において適切な測量が行えない状況が生じている場合であっても、当該測量装置10の各情報を取得することにより、各情報に基づいて様々な観点から適切な測量を阻害する原因を調査することができるので、その阻害原因をより正確に特定(解明)することができる。
測量装置通信システム40では、端末機44により複数の測量装置10の動作状況関連情報としてのセルフチェック(保守点検)ガイド機能における処理内容を取得することができることから、各測量装置10の使用に関する実態を把握することができるとともに、測量装置10の状態を把握することができる。このことは、製造会社やディーラが、複数の測量装置10に関する蓄積されたデータに基づいて、測量装置10における保守点検(セルフチェック)の各項目に対する経年的な設定状態のずれ等の情報を把握することができるので、そのようなずれ等が生じる前に顧客(使用者)に対して通知することができる。この通知は、測量装置10が通信部33を有していることから、製造会社やディーラ(端末機44)が直接もしくはメインサーバ42から行うことができる。
測量装置通信システム40では、端末機44により複数の測量装置10の動作状況関連情報としての問診表作成ガイド機能における処理内容を取得することができることから、各測量装置10において生じた適切な測量が行えない状況、すなわち各測量装置10における各種測定機能のうちのいずれの動作においてどのように適切な測量が行えなかったのかという症状をより正確にかつ迅速に取得(把握)することができる。このことから、製造会社やディーラは、顧客(使用者)に対して迅速に当該測量装置10の状況により適合する解決方法を提示することができる。
測量装置通信システム40では、端末機44により複数の測量装置10の動作状況関連情報としてのトラブルシューティングガイド機能における処理内容を取得することができることから、各測量装置10において生じた適切な測量が行えない状況をより正確にかつ迅速に取得(把握)することができるとともに、それに対して提示した解決方法が有効であったか否かの情報も併せて取得(把握)することができる。
したがって、本願発明に係る測量装置10では、適切な測量を阻害する原因を正確にかつ迅速に取得(把握)することを可能とすることができる。
なお、上記した実施例では、本発明に係る測量装置10について説明したが、少なくとも対象物までの距離と方向とを測定可能な測量ユニットと、該測量ユニットを駆動制御する制御ユニットと、を備える測量装置であって、前記制御ユニットと外部ネットワークとの通信を可能とする通信部と、前記測量ユニットの動作状況に関連する動作状況関連情報の入力のための動作状況入力部と、を備え、前記制御ユニットは、前記動作状況入力部から入力された前記動作状況関連情報を、前記通信部を介して前記外部ネットワークに送信する測量装置であればよく、上記した実施例に限定されるものではない。
また、上記した実施例では、本発明に係る測量装置通信システム40について説明したが、少なくとも対象物までの距離と方向とを測定可能な測量ユニットが制御ユニットにより駆動制御され、入力された前記測量ユニットの動作状況に関連する動作状況関連情報を外部ネットワークへ向けて送信可能な測量装置と、前記外部ネットワークを経て前記測量装置から送信された前記動作状況関連情報を、送信元となる前記測量装置の測量装置識別情報に関連付けて格納可能なメインサーバと、前記測量装置識別情報が関連付けられた前記動作状況関連情報を取得可能な端末機と、該端末機と前記メインサーバとのネットワーク接続を可能とするとともに、前記端末機の端末機識別情報に基づいて前記メインサーバに格納された前記動作状況関連情報へのアクセス可能な領域を設定する閲覧領域設定手段と、を備える測量装置通信システムであればよく、上記した実施例に限定されるものではない。
さらに、上記した実施例では、保守点検(セルフチェック)ガイド機能として図5のフローチャートに示す制御処理を行うものとされていたが、測量装置10(測量ユニット)を用いて適切に測量を行うことができる状態を保つように各部を点検するとともに各設定値の調整を行うために、使用者にセルフチェックの項目を選択可能に表示部16に表示するとともに、その項目に応じて点検もしくは調整の内容およびその結果を表示部16に表示するものであればよく、上記した実施例に限定されるものではない。
上記した実施例では、トラブルシューティングガイド機能として図7のフローチャートに示す制御処理を行うものとされていたが、測量装置10(測量ユニット)において適切な測量ができない場合、その原因を特定することを可能とするための項目を選択可能に表示部16に表示し、その選択内容に応じて解決方法を表示部16に表示するとともに、その解決方法として使用者が実行すべきチェック動作の手順等を表示部16に表示するものであればよく、上記した実施例に限定されるものではない。
上記した実施例では、問診表作成ガイド機能として図8のフローチャートに示す制御処理を行うものとされていたが、問診表の作成を誘導するものであればよく、上記した実施例に限定されるものではない。
上記した実施例では、測量装置通信システム40において、基本的に測量装置10(各測量装置)から送信された各情報を端末機44で取得するものとされていたが、端末機44もしくはメインサーバ42から測量装置10(各測量装置)へと情報を送信することにより、測量装置10(各測量装置)のメンテナンスやプログラムの更新等を行うものであってもよく、上記した実施例に限定されるものではない。
以上、本発明の測量装置を実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。