JP2012117556A - インコア - Google Patents

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Abstract

【課題】使用時に筒部の外周面とパイプの内周面との間の空隙部に水が残留するのを抑制し、衛生上の問題を解決することができるインコアを提供する。
【解決手段】インコア10は、樹脂パイプ14の端部に内挿される筒部11の一端に樹脂パイプ14の端面が当接する鍔部12が設けられて構成され、樹脂パイプ14の端部に内挿された状態で筒状をなす継手内に挿着されるようになっている。筒部11の外周面には該筒部11の軸線方向に延びる突条17が設けられている。鍔部12の内端面12aには樹脂パイプ14の端面が当接したとき、鍔部12の内端面12aと樹脂パイプ14の端面との間に隙間を形成するための突起18が設けられている。該突起18は、突条17の延長線と筒部11の軸線とを通る面上に設けられ、鍔部12側ほど高くなる傾斜状に形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば水道配管、温水配管等に使用されるパイプ用の継手において、パイプの端部に内挿されて使用されるインコアに関する。
一般に、インコアは筒部の一端に鍔部が設けられて構成され、筒部が樹脂パイプの端部に内挿された状態で該樹脂パイプが筒状をなす継手内に挿入される。このインコアにより、樹脂パイプが継手に接続されるとき補強される。この種のインコアについて本願出願人は既に提案を行った(特許文献1を参照)。すなわち、このインコアでは、筒部の外周面に樹脂パイプの内周面に接触する複数の突条部がそれぞれ筒部の軸線方向に延びるように形成されている。斯かる突条部により、インコアを樹脂パイプの端部に容易に装着できるとともに、樹脂パイプから不用意な脱落を防ぐことができる。
特開2003−90486号公報
しかしながら、特許文献1に記載の従来構成では、インコアが樹脂パイプの端部に内挿され、その状態で樹脂パイプが継手内に挿入されたとき、樹脂パイプの端面がインコアの鍔部の内端面に密着し、インコアの筒部の外周面と樹脂パイプの内周面との間の空隙部に水が溜まった状態となる場合がある。この場合、その空隙部に入った水は滞留して死水となる。この死水は時間の経過とともに残留塩素濃度が低下し、死水中にバクテリア等の雑菌が繁茂して不衛生であるという問題があった。
そこで本発明の目的とするところは、使用時に筒部の外周面とパイプの内周面との間の空隙部に水が残留するのを抑制し、衛生上の問題を解決することができるインコアを提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載のインコアは、パイプの端部に内挿される筒部と、その一端に設けられパイプの端面が当接する鍔部とを備え、パイプの端部に内挿された状態で筒状をなす継手内に挿着されるように構成されたインコアであって、
前記筒部の外周面には該筒部の軸線方向に延びる突条を設けるとともに、鍔部の内端面にはパイプの端面が当接したとき鍔部の内端面とパイプの端面との間に隙間を形成するための突起を設けたことを特徴とする。
請求項2に記載のインコアは、請求項1に係る発明において、前記突起は、突条の延長線と筒部の軸線とを通る面上に設けられていることを特徴とする。
請求項3に記載のインコアは、請求項1又は請求項2に係る発明において、前記突条は、鍔部側ほど高くなる傾斜状に形成されていることを特徴とする。
請求項4に記載のインコアは、請求項1から請求項3のいずれか1項に係る発明において、前記鍔部には、該鍔部の外端側から内端側へ貫通する貫通孔が設けられていることを特徴とする。
請求項5に記載のインコアは、請求項4に係る発明において、前記貫通孔は、インコアがパイプの端部に内挿されたとき、突条を境とする筒部の周方向両側における筒部の外周面とパイプの内周面との間の空隙部に連通するように形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
本発明のインコアでは、その筒部の外周面には該筒部の軸線方向に延びる突条が設けられるとともに、鍔部の内端面にはパイプの端部が当接したとき鍔部の内端面とパイプの端面との間に隙間を形成するための突起が設けられている。このため、インコアがパイプの端部に内挿されたとき、パイプの端面とインコアの鍔部の内端面との間には突起によって隙間が形成される。従って、この隙間を介してインコアの筒部の外周面とパイプの内周面との間の空隙部が外部と連通される。その結果、該空隙部に入った水はそこに滞留することが回避される。
よって、本発明のインコアによれば、使用時に筒部の外周面とパイプの内周面との間の空隙部に水が残留することを抑制することができ、衛生上の問題を解決することができる。
本発明の実施形態におけるインコアを示す斜視図。 インコアを示す半断面図。 インコアを示す左側面図。 インコアを示す右側面図。 インコアの要部を拡大して示す右側面図。 継手を分解して示す斜視図。 インコアを樹脂パイプに内挿した状態を示す要部拡大断面図。 継手に、インコアを内挿した樹脂パイプを継手に挿入する前の状態を示す半断面図。 図8の状態からインコアを内挿した樹脂パイプを継手にさらに挿入した状態を示す半断面図。 図9の状態からインコアを内挿した樹脂パイプを継手の当接面まで挿入した状態を示す半断面図。
以下、本発明を具体化した実施形態を図1〜図10に従って詳細に説明する。
まず、インコアについて説明する。図1に示すように、インコア10は、円筒状をなす筒部11の一端(図1の左端)に該筒部11と直交するように外周方へ円環状に延びる鍔部12が設けられて構成されている。筒部11の内端部(図1の右端部)外周には外端側ほど縮径するテーパ面13が形成され、インコア10を樹脂パイプ14の端部に内挿する際にスムーズに挿入できるようになっている。そして、インコア10の筒部11が樹脂パイプ14の端部に内挿され、鍔部12の内端面12aに樹脂パイプ14の端面14aが当接するようになっている。
このインコア10は、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリアセタール樹脂(POM)等の合成樹脂(エンジニアリングプラスチック)により形成されている。なお、インコア10の筒部11の外周面11a及び内周面は筒部11の鍔部12側が厚くなるようにテーパ状に形成され、インコア10の成形時における型抜きが容易になるように構成されている。樹脂パイプ14はポリオレフィン(架橋ポリエチレン、ポリブデン等)等の合成樹脂により形成され、その端面14aは、樹脂パイプ14の軸線と直交するように切断されている。
図9及び図10に示すように、インコア10が樹脂パイプ14の端部に内挿された状態で継手15を構成する筒状の継手本体16内に挿着されるように構成されている。鍔部12の外周面は外端側ほど縮径するテーパ部12bとなり、インコア10が装着された樹脂パイプ14を継手15に挿入する際に挿入しやすくなっている。
図1〜図4に示すように、インコア10の筒部11の外周には、断面円弧状をなす突条17が筒部11の軸線方向に延びるように形成されている。この突条17は、鍔部12側ほど高くなる傾斜状に形成されるとともに、鍔部12側ほど幅広になるようにテーパ状に形成されている。該突条17は、筒部11の周方向に120°間隔をおいて3本設けられている。該突条17を設けることにより、筒部11の外周面11aが樹脂パイプ14の内周面14bに密着するのを防止して樹脂パイプ14の端部にインコア10を容易に挿入できるとともに、挿入後にインコア10が樹脂パイプ14から脱落するのを抑制することができる。
図1及び図5に示すように、鍔部12の内端面12aには、1つの突条17(図1の上端部の突条)の延長線と筒部11の軸線とを通る面上において、筒部11側へ突出する突起18が設けられている。この突起18は、数字の「1」により、0.1mm程度の高さに形成されている。図7に示すように、該突起18により、樹脂パイプ14の端面14aが鍔部12の内端面12aに当接したとき鍔部12の内端面12aと樹脂パイプ14の端面14aとの間に隙間19が形成されるようになっている。この隙間19により、インコア10の筒部11の外周面11aと樹脂パイプ14の内周面14bとの間の空隙部20に残った水が外部と通ずるように構成されている。
前記突条17の延長線と筒部11の軸線とを通る面を跨ぐように、鍔部12には該鍔部12の外端側から内端側へ貫通する貫通孔21が断面円弧状に形成されている。図5に示すように、この貫通孔21は、インコア10が樹脂パイプ14の端部に内挿されたとき、突条17を境とする筒部11の周方向両側における筒部11の外周面11aと樹脂パイプ14の内周面14bとの間の第1空隙部20a及び第2空隙部20bに連通するように形成されている。この貫通孔21を介して、第1空隙部20a及び第2空隙部20bに存在する水が外部に出入りできるようになっている。
次に、継手15について説明する。図6及び図8に示すように、継手15は合金(真鍮、青銅等)等の金属製の略円筒状をなす継手本体16に、同じく合金(真鍮、青銅等)等の金属製の略円筒状をなすキャップ22が螺合されて構成されている。キャップ22には樹脂パイプ14を挿入するための挿入孔23が開口されている。そして、キャップ22が継手本体16に螺合された状態で、樹脂パイプ14がキャップ22の挿入孔23を介して継手本体16内に挿入されるようになっている。継手本体16内には、当接面24が継手本体16の軸線と直交するように円環状に形成され、樹脂パイプ14を継手本体16内に挿入したときには、樹脂パイプ14の挿入が当接面24で停止されるようになっている。
継手本体16の基端外周面には雄ねじ部25が螺刻され、図示しない水道管等の管体に螺合可能になっている。継手本体16の内周面には、内奥部から順に第1環状溝26及び第2環状溝27が凹設されている。第1環状溝26及び第2環状溝27には、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)等のゴムにより形成された断面円形状をなす第1シールリング28及び第2シールリング29がそれぞれ嵌着されている。そして、樹脂パイプ14を継手本体16内に挿入したときには、第1シールリング28及び第2シールリング29が樹脂パイプ14の外周面を押圧し、樹脂パイプ14の外周面と継手本体16の内周面との間の間隙をシールするようになっている。
継手本体16内には、スペーサ30を介装した一対の抜け止めリング31が、継手本体16とキャップ22との間に挟持されるように配置されている。そして、継手本体16内に挿入される樹脂パイプ14の外周面に対し抜け止めリング31が食い込んで係合することにより、樹脂パイプ14が継手本体16内に抜け止め保持されるようになっている。
次に、上記のように構成されたインコア10及び継手15の作用を説明する。
さて、インコア10の筒部11を樹脂パイプ14の端部に内挿し、樹脂パイプ14の端面14aがインコア10の鍔部12の内端面12aに当接するまで挿入する。このとき、インコア10の筒部11の外周面11aには3本の突条17がその軸線方向に延びるように設けられていることから、樹脂パイプ14の内周面14bがその突条17にガイドされてインコア10が樹脂パイプ14内に円滑に内挿される。
図7に示すように、樹脂パイプ14の端面14aがインコア10の鍔部12の内端面12aに当接した状態では、鍔部12の内端面12aと樹脂パイプ14の端面14aとの間に突起18による隙間19が形成される。この隙間19は、インコア10の筒部11の外周面11aと樹脂パイプ14の内周面14bとの間の空隙部20に連通するとともに、貫通孔21に連通している。このため、前記空隙部20に溜まった水は隙間19を介して或いは隙間19から貫通孔21を介して外部に通じ、流れ出すことができて死水の形成が防止される。
続いて、継手本体16に、スペーサ30が介装された一対の抜け止めリング31を挿入した後、キャップ22を継手本体16に締め付ける。次いで、図8に示すように、インコア10が内挿された側の樹脂パイプ14の端部をキャップ22の挿入孔23から継手本体16内に挿入する。
この際、図9に示すように、インコア10の鍔部12の外端面が継手本体16内の当接面24まで到達せず、第2シールリング29に当たって止まる場合がある。このときには、施工時の圧力検査において、インコア10の鍔部12と第2シールリング29との間はシールされるが、輸送流体としての液体がその圧力により、インコア10の貫通孔21から鍔部12の内端面12aと樹脂パイプ14の端面14aとの間の隙間19を通って流れ出て、継手本体16の先端部から漏れ出す。従って、このような漏れがあるか否かを確認することにより、継手本体16内への樹脂パイプ14の挿入が十分か否かを確認することができる。
その後、インコア10が内挿された樹脂パイプ14を継手本体16内の当接面24に当たるまで挿入することにより図10に示す状態に到る。この状態で、継手15に対する樹脂パイプ14の接続が完了する。
以上の実施形態によって発揮される効果について、以下にまとめて記載する。
(1)本実施形態のインコア10によれば、その筒部11の外周には該筒部11の軸線方向に延びる突条17が設けられるとともに、鍔部12の内端面12aには樹脂パイプ14の端面14aが当接したとき鍔部12の内端面12aと樹脂パイプ14の端面14aとの間に隙間19を形成するための突起18が設けられている。このため、インコア10が樹脂パイプ14に内挿されたとき、樹脂パイプ14の端面14aとインコア10の鍔部12の内端面12aとの間に形成された隙間19を介してインコア10の筒部11の外周面11aと樹脂パイプ14の内周面14bとの間の空隙部20が外部と連通される。その結果、該空隙部20に入った水はそこに滞留することなく、出入りが可能となり、死水の形成が回避される。
よって、本実施形態のインコア10によれば、使用時に筒部11の外周面11aと樹脂パイプ14の内周面14bとの間の空隙部20に水が残留することを有効に抑制することができ、雑菌の発生を抑えて衛生上の問題を解決することができる。
(2)インコア10の鍔部12の突起18は、筒部11の突条17の延長線と筒部11の軸線とを通る面上に設けられている。このため、インコア10の筒部11の外周面11aと樹脂パイプ14の内周面14bとの間の空隙部20が突条17部分で形成されやすく、その空隙部20に対応するように突起18による隙間19を設けることができ、死水の形成を有効に防止することができる。
(3)インコア10の筒部11の突条17は、鍔部12側ほど高くなる傾斜状に形成されている。そのため、樹脂パイプ14の端部が突条17によって若干浮き上がるとともに、樹脂パイプ14の端面14aがわずかに傾斜し、鍔部12の突起18による隙間19を形成しやすくすることができ、かつ樹脂パイプ14に挿入されたインコア10の脱落を一層防止することができる。
(4)インコア10の鍔部12には、該鍔部12の外端側から内端側へ貫通する貫通孔21が形成されている。従って、インコア10の筒部11の外周面11aと樹脂パイプ14の内周面14bとの間の空隙部20と貫通孔21との間の水の流動を一層容易に行うことができ、空隙部20における死水を効果的に防止することができる。
(5)インコア10の鍔部12の貫通孔21は、インコア10が樹脂パイプ14の端部に内挿されたとき、突条17を境とする筒部11の周方向両側における筒部11の外周面11aと樹脂パイプ14の内周面14bとの間の第1空隙部20aと第2空隙部20bとに連通するように形成されている。このため、1つの貫通孔21により、該貫通孔21と、突条17を境とする筒部11の周方向両側における第1空隙部20a及び第2空隙部20bとを連通させることができ、簡単な構成で空隙部20における死水を有効に防止することができる。さらに、複数の貫通孔21を形成することなく、1つの貫通孔21を形成するだけであることから、鍔部12の強度低下を防止することができる。
なお、前記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 前記突条17を、同一高さで同一幅、又は鍔部12側ほど高くなる傾斜状で同一幅、或いは同一高さで鍔部12側ほど幅広等に形成することができる。
・ また、突条17の数を、前記実施形態の突条17と筒部11の軸線とを通る面上に180°対向するように2つ設けたり、適宜の位置に4つ以上設けたりすることも可能である。この場合、突条17を筒部11の周方向に均等間隔で設けることにより、インコア10を樹脂パイプ14の端部に安定した状態で挿入することができる。
・ 前記突起18を、突条17の延長線と筒部11の軸線とを通る面上以外の位置に設けることも可能である。
・ 前記突起18を、2、8等の数字のほか、アルファベット等任意の形状に形成することができる。さらに、突起18の数を2つ以上に設定することができ、この場合隙間19を広げることができる。
・ パイプとして、樹脂パイプ14のほかに銅パイプ等の軟らかい金属製のパイプを使用することも可能である。
10…インコア、11…筒部、11a…外周面、12…鍔部、12a…内端面、14…樹脂パイプ、14a…端面、14b…内周面、15…継手、17…突条、18…突起、19…隙間、20…空隙部、20a…第1空隙部、20b…第2空隙部、21…貫通孔。

Claims (5)

  1. パイプの端部に内挿される筒部と、その一端に設けられパイプの端面が当接する鍔部とを備え、パイプの端部に内挿された状態で筒状をなす継手内に挿着されるように構成されたインコアであって、
    前記筒部の外周面には該筒部の軸線方向に延びる突条を設けるとともに、鍔部の内端面にはパイプの端面が当接したとき鍔部の内端面とパイプの端面との間に隙間を形成するための突起を設けたことを特徴とするインコア。
  2. 前記突起は、突条の延長線と筒部の軸線とを通る面上に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のインコア。
  3. 前記突条は、鍔部側ほど高くなる傾斜状に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインコア。
  4. 前記鍔部には、該鍔部の外端側から内端側へ貫通する貫通孔が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のインコア。
  5. 前記貫通孔は、インコアがパイプの端部に内挿されたとき、突条を境とする筒部の周方向両側における筒部の外周面とパイプの内周面との間の空隙部に連通するように形成されていることを特徴とする請求項4に記載のインコア。
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