JP2012117307A - 鉄筋コンクリート造建物の換気システム - Google Patents

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Shoko Okamura
祥子 岡村
Yukiko Ito
由紀子 伊藤
Mitsuo Seki
光雄 関
Naoki Masuda
直記 増田
Yumi Yoshioka
有美 吉岡
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Abstract


【課題】屋根スラブ及び外壁を鉄筋コンクリート造で建築した大空間の壁−屋根−壁構造の建物で、屋内の意匠的制約をも解決した鉄筋コンクリート造建物の換気システムを提供する。
【解決手段】ボイド内蔵コンクリート外壁のボイドの上端は、前記屋根スラブの下面近傍の位置に排気口として屋内側へ開口され、ボイドの下端は床下の排気ダクトと接続され、排気ダクトは排気ファンと接続されており、屋根スラブの下面近傍領域の空気は、排気ファンにより、排気口からボイドを通じて吸引して外気中へ排出させる。
【選択図】図1

Description

この発明は、屋根スラブ及び外壁を鉄筋コンクリート造で建築した大空間の壁−屋根−壁構造の建物(例えば聖堂建物やホール、集会場など。)で、意匠性が重視される場合に、外壁の壁厚を大きく設計して剛性を高め、もって屋根スラブの支持力が大きい構成として同屋根スラブの撓みを抑制し薄厚構造を実現し、その一方では、壁厚が大きい前記外壁はその剛性の増大にさして寄与しない壁中心部に複数のボイドを上下方向に設けたボイド内蔵コンクリート壁として構成することで重量の軽減化を図り、躯体重量を軽くした分だけ基礎断面の縮小化を図り、その上で前記外壁のボイドを利用して屋根スラブの下面近傍領域に発生する熱溜まりの高温空気を排気する換気システムを構築して、屋内の意匠的制約をも解決した鉄筋コンクリート造建物の換気システムの技術分野に属する。
大空間の壁−屋根−壁構造の建物(例えば聖堂建物など)を鉄筋コンクリート造で建築する場合、通例ならば、柱と鉄筋コンクリート造壁との組み合わせで計画するのが一般的である。しかし、そのように設計、施工すると、柱型が屋内側に凹凸部として出現することになる。そのような凹凸部の露出を嫌うような意匠的制約が厳しい場合、前記柱と鉄筋コンクリート造壁とを組み合わせた構造の実施は難しい。
一方、大空間の壁−屋根−壁構造の建物などは、夏期などに屋内の上部(屋根スラブの下面近傍領域)にいわゆる熱溜まりが発生して高温空気が溜まることを避けられず、その高温空気を排除する換気システムを確立して空気調和の実効性を図ることが望まれる。しかし、前記熱溜まりの高温空気を排気するシステムを構築するには、必然的に排気口や排気ダクト、換気装置などの設備が必要となるが、意匠的制約がきつい建物では、屋内側に換気口やガラリなど、及び換気装置やダクトなどを露出させることは、意匠的美観の向上を図る観点から制限される。
上記の観点で既往の先行技術を概観すると、以下の通りである。
下記の特許文献1に開示された「換気装置」は、建物の外壁に囲まれた屋内隅部の柱型に沿って複合換気ボックスを設置し、天井懐を利用して排気を行い、外壁に貫通させた給・排気通路を利用する複合換気ボックスにより、冬期と夏期に応じた換気を行う構成が開示されている。
しかし、屋内の隅部に柱型が有るや無しやの条件の如何にかかわらず、床から天井までに及ぶ高さの複合換気ボックスを屋内(室内)に設置する構成では、意匠的制約が厳しい条件下では、適用し難い技術と言わねばならない。
次に、下記する特許文献2に開示された「省エネ建物」は、鉄筋コンクリート造建物を前提とする床暖房に関する技術を提案したもので、躯体スラブを下側床版と上側床版とに分けて、両者の間に中空スペースを確保し、同中空スペース内に電熱パネルを設置して床暖房の実効をあらしめる構成と認められる。
また、下記の特許文献3に記載された「輻射冷暖房システム」は、建物の天井と床を中空スラブで構成し、部屋の一部分に確保した格納室に空調機を格納し、前記中空スラブの中空部内に空調空気を循環させる構成と認められる。
更に、下記の特許文献4に記載された「建物の換気構造」は、2階建て住宅の外壁と内壁の間に外気を導入する給気通路を形成し、床下へ屋内空気を排出する排気通路を設け、夫々の通路に伝熱板を設置して熱交換を行う構成と認められる。
特開2000−257937号公報 特開2001−234604号公報 特開平10−311565号公報 特開平11−264201号公報
上記のとおり、既往の各先行技術文献1〜4を概観すると、鉄筋コンクリート造建物で、同建物屋内の換気ないし空調システムを効率的に行う技術が種々工夫、開発されていることは認められる。しかし、いわゆる聖堂建物を鉄筋コンクリート造で建築するような場合に要請される意匠的制約、とりわけ屋内に凹凸部として現れる柱型などを露出させないことや、夏期に屋根スラブの下面近傍領域に発生する熱溜まりの高温空気を排気する換気システムの排気口やダクト、換気装置などを一切屋内側に露出させない構成を実現して、意匠的美観の向上を図る要請に応え得る先行技術は未だ見当たらない。
本発明の目的は、屋根スラブ及び外壁を鉄筋コンクリート造として建築する大空間の壁−屋根−壁構造の建物、例えば聖堂建物などを建築するにあたり、意匠性を重視する要請に応えつつ、屋根スラブの下面近傍領域に発生する熱溜まりの高温空気を効果的に排気する換気システムを構築すると共に、その排気口やダクト、換気装置などの換気設備や機器類を室内側に露出させない構成を実現して、屋内の意匠的美観の向上を図ることを可能にした鉄筋コンクリート造建物及びその換気システムを提供することである。
上記課題を解決する手段として、請求項1に記載した発明に係る鉄筋コンクリート造建物の換気システムは、
壁厚中心部の上下方向に複数のボイド3を形成したボイド内蔵コンクリート外壁2により屋根スラブ1を支持させた鉄筋コンクリート造建物の換気システムであって、
前記ボイド内蔵コンクリート外壁2のボイド3の上端は、前記屋根スラブ1の下面近傍の位置に排気口4として屋内側へ開口され、
前記ボイド3の下端は床下の排気ダクト5と接続され、同排気ダクト5は排気ファン6と接続されており、
屋根スラブ1の下面近傍領域8の空気は、前記排気ファン6により、前記排気口4からボイド3を通じて吸引して外気中へ排出させることを特徴とする。
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した鉄筋コンクリート造建物の換気システムにおいて、
ボイド内蔵コンクリート外壁2の屋内側面の内装仕上げボード9は、その上端縁9aが前記屋根スラブ1の下面との間に排気用隙間10を開けて取り付けて、前記ボイド内蔵コンクリート外壁2のボイド上端の排気口4は前記内装仕上げボード9により屋内に居る人の目線から遮蔽され、
屋根スラブ1の下面近傍領域8の空気は、前記排気用隙間10を通じて前記排気口4からボイド3へと吸引され、同ボイド3を通じて排出する構成であることを特徴とする。
請求項3に記載した発明は、請求項1又は2に記載した鉄筋コンクリート造建物の換気システムにおいて、
排気ファン6により、ボイド内蔵コンクリート外壁2の排気口4からボイド3を通じて吸引した空気が流れる排気ダクト5の途中位置にダクト切り換えダンパ19a、19bが設置され、前記ダクト切り換えダンパ19bで分岐された分岐ダクト30は空気調和装置7と接続されており、
前記排気ダクト5の前記ダクト切り換えダンパ19a、19bよりも上流側位置に同排気ダクト5中を流れる空気の温度検出手段17が設置され、この温度検出手段17による温度計測データを入力する制御部20が設置されており、該制御部20は前記ダクト切り換えダンパ19a、19bの切り換え操作を自動制御する構成とされており、
一方、屋内下方部位空気の温度検出手段22、31も設置され、この温度検出手段22、31による温度計測データも前記制御部20へ入力する構成とされており、
暖房期に、排気ダクト5を流れる空気の温度が屋内下方部位空気の温度よりも高温であると前記制御部20が演算したときはダクト切り換えダンパ19a、19bを切り換えて排出空気を空気調和装置7へ取り込み、同空気調和装置7が屋内の暖房用空気として利用するものとし、逆に排気ダクト5を流れる空気の温度が屋内下方部位空気の温度よりも低温であると制御部20が演算したときは前記ダクト切り換えダンパ19a、19bは切り換えず排気ダクト5を流れる空気はそのまま外気中へ放出する操作が制御部20による自動制御として行なわれる構成であることを特徴とする。
本発明に係る鉄筋コンクリート造建物は、ボイド内蔵コンクリート外壁2が、屋根スラブ1を支持するのに必要十分な剛性を発揮する大きな壁厚で形成されるので、この外壁2で支持した屋根スラブ1は、撓みの発生を可及的に抑制され、ひいては同屋根スラブ1を薄く軽量に設計・施工できる。
一方、前記のように壁厚が大きい外壁2には、その剛性と曲げ強度の増大にさして寄与しない壁厚中心部に、複数のボイド3を上下方向に形成したボイド内蔵コンクリート外壁2として構成し軽量化するので、躯体全体の重量を軽減化することができ、基礎梁12の断面を小さく設計・施工することが可能となり、トータルコストの引き下げや施工性の向上及び工期の短縮化などに効果が得られる。
上記のようにして、本発明によれば大空間の壁−屋根−壁構造で大空間の鉄筋コンクリート造建物を実現でき、しかも室内側に柱型のような凹凸部を出現させない壁式構造なので、例えば聖堂建物のように屋内の意匠的美観が特に重視される建物としての適性を有するものとなる。
しかもボイド内蔵コンクリート外壁2のボイド3の上端を、屋根スラブ1の下面近傍領域に生ずる熱溜まり8の高温空気の排気口10として開口させ、同ボイド3の下端は床下に設置した排気ダクト5と接続し、同排気ダクト5と接続した排気ファン6により熱溜まり8の高温空気は前記開口4からボイド3を通じて排気する構成としたので、換気性能に優れて屋内の空気調和を良好に行わせる。その上、建物屋内に換気用ダクトや換気装置などの設備類を露出させないので、屋内の意匠的美観に優れた建物を実現できる。
とりわけ請求項2に記載した発明によれば、ボイド内蔵コンクリート外壁2の屋内側面の内装仕上げボード9は、その上端縁9aが屋根スラブ1の下面との間に排気用隙間10を形成するように取り付けて、ボイド上端の前記排気口4は屋内に居る人々の目線から遮蔽した構成なので、排気口4の存在さえも見せない屋内意匠を実現できる。
更に、請求項3に記載した発明によれば、屋根スラブ1の下面近傍領域に生ずる熱溜まり8から前記排気孔4を通じて吸引した空気の温度、及び屋内下方部位の空気温度も計測して、それぞれの計測データを制御部20へ入力して比較する演算処理を行わせ、排気温度が屋内下方部位の空気温度(いわゆる室温)よりも高温であるときは、制御部20がダクト分岐ダンパ19a、19bの開閉を自動制御して、排気ダクト5を流れる空気を空気調和装置7へ取りこみ、暖房期の屋内暖房用空気として利用するので、排熱量の有効利用が図られ、空気調和を効率的、経済的に行うことができる。逆に、排気ダクト5を流れる空気の温度が屋内下方部位の空気温度(室温)よりも低温であるときは、排気ダクト5を流れる空気はそのまま大気中へ放出することで、省エネに寄与する換気システムを実現できる。
本発明による大空間の壁−屋根−壁構造の鉄筋コンクリート造建物を概念的に示した主要部の縦断面図である。 図1に示した建物の右側面図である。 図2中に指示したIII−III線矢視の断面図である。 図3中に指示した円IV部分の詳細構造を拡大して示した断面図である。 図1中に指示した円V部分の詳細構造を拡大して示した断面図である。 図1中に指示した円VI部分の詳細構造を拡大して示した断面図である。 図1に示した建物の換気システムのフローを制御系と共に示した回路図である。 冷房時の冷気吹き出し口の設置位置を例示した説明図である。
本発明による鉄筋コンクリート造建物の換気システムは、壁厚中心部の上下方向に複数のボイド3を形成したボイド内蔵コンクリート外壁2により屋根スラブ1が支持させた鉄筋コンクリート造建物の換気システムであって、
前記ボイド内蔵コンクリート外壁2の各ボイド3の上端は、前記屋根スラブ1の下面近傍の位置に排気口4として屋内側へ開口させる。
前記ボイド3の下端は床下の排気ダクト5と接続し、同排気ダクト5は排気ファン6と接続する。
こうして屋根スラブ1の下面近傍領域8の空気は、前記排気ファン6により、前記排気口4からボイド3を通じて吸引して外気中へ排出する換気システムが成立する。
上記ボイド内蔵コンクリート外壁2の屋内側面の内装仕上げボード9は、その上端縁9aを、前記屋根スラブ1の下面との間に排気用隙間10を開けて取り付け、前記ボイド内蔵コンクリート外壁2のボイド上端の排気口4は、前記内装仕上げボード9により屋内に居る人の目線から遮蔽した構成とする。
かくして屋根スラブ1の下面近傍領域8の空気は、前記排気用隙間10を通じて前記排気口4からボイド3へと吸引させ、同ボイド3を通じて排出する。
本発明の換気システムは、上記の排気ファン6により、ボイド内蔵コンクリート外壁2の排気口4からボイド3を通じて吸引した空気が流れる排気ダクト5の途中位置にダクト切り換えダンパ19a、19bを設置し、前記ダクト切り換えダンパ19bで分岐された分岐ダクト30を空気調和装置7と接続する。
前記排気ダクト5の前記ダクト切り換えダンパ19a、19bよりも上流側位置に同排気ダクト5中を流れる空気の温度検出手段17を設置し、この温度検出手段17による温度計測データを入力する制御部20が設置されている。該制御部20は、前記空気調和装置7をはじめダクト切り換えダンパ19a、19bの切り換え操作も自動制御する。
一方、屋内下方部位空気の温度検出手段22、31も設置し、この温度検出手段22、31による温度計測データも前記制御部20へ入力する。
暖房期に、排気ダクト5を流れる空気(排気)の温度が屋内下方部位の空気温度よりも高温であると前記制御部20が演算したときは、ダクト切り換えダンパ19a、19bを切り換えて前記排気ダクト5を流れる空気は空気調和装置7へ取り込み、同空気調和装置7による屋内の暖房用空気として利用する。逆に、前記排気ダクト5を流れる空気の温度が屋内下方部位空気の温度よりも低温であると演算したときは、前記ダクト切り換えダンパ19a、19bは切り換えず、排気ダクト5を流れる空気(排気)はそのまま外気中へ放出する操作を制御部20の自動制御として行なわせる。
図1に例示した鉄筋コンクリート造建物は、壁−屋根−壁構造で、屋根スラブ1の最高部が地上11mに及ぶ大空間の聖堂建物をイメージしたもので、屋根スラブ1は外壁2により支持された構造である。しかも外壁2は、屋根スラブ1の支持に必要十分な剛性と強度を発揮するように、一例として680mm位に大きな壁厚で構成されていると共に、強度、剛性の増大にさして寄与しない壁厚中心部の上下方向に、直径が300mm程度のボイド3を複数本形成したボイド内蔵コンクリート外壁2として構成され、このボイド内蔵コンクリート外壁2により鉄筋コンクリート造の屋根スラブ1が一体的構造に支持されている。
こうして屋根スラブ1は、高剛性のボイド内蔵コンクリート外壁2で一体的に支持される結果、十分大きい固定モーメントの作用を受けて撓みを抑制されるため、ひいてはスラブ厚さは300mm程度に薄く軽量に設計、施工されている。したがって、屋根スラブ1及びボイド内蔵コンクリート外壁2より成る躯体重量は軽量化され、これらを支持する基礎梁12及び支持杭11の断面寸法も縮小化され、且つ支持杭11の本数を減らす設計・施工で構築されている。
次に、図2〜図4に基づいて詳しい説明を続ける。
図2は、図1に示した上記建物のうち、地上高さが大きい右側のボイド内蔵コンクリート外壁2の立面を例示したもので、図1のように片傾斜の屋根スラブ1は、図2の方向に見ると山形の波形構造であることを示している。また、図2と図3で明かなように、当該右側のボイド内蔵コンクリート外壁2は、ステンドグラス部15が地上から屋根まで設けられている。しかもこのボイド内蔵コンクリート外壁2の水平断面形状は、図3に示したとおり、くの字形にうねった波形構造とされ、ボイド3は、一例として一つのくの字傾斜壁に3本づつを一単位として並列に一定の間隔をあけて配置した構成とされている。
ちなみに図4は、ボイド内蔵コンクリート外壁2における各ボイド3の構造を詳しく示しており、ボイド形成用として、一例としてスパイラル鋼管を壁厚の中心部の上下方向に埋設してボイド3がコンクリート壁中に形成されている。
このボイド内蔵コンクリート外壁2は、上記の通り壁厚は大きいが、3本ずつのボイド3を一単位(但し、3本の限りではない。)として上下方向に長く形成した分だけ、かなり軽量化されているし、コンクリート量も節減されている。
こうして上記したように屋根スラブ1も薄く施工され、ボイド内蔵コンクリート外壁2もボイド3により軽量化しているので、躯体の全体重量は軽量化され、その分だけ同躯体を支持する基礎梁12及び支持杭11の断面も小さく経済的な設計・施工として構築されているのである。
次に図5は、図1の右側に位置するボイド内蔵コンクリート外壁2の上部に円Vで指示した 、屋根スラブ1に近い上部構造を拡大して示したもので、当該ボイド内蔵コンクリート外壁2のボイド3の上端は屋内側へ屈曲させた上で、屋根スラブ1の下面近傍の位置に排気口4として開口されている。したがって、前記排気口4は、太陽光の直射を受けた屋根スラブ1の下面近傍領域に生じやすい、所謂熱溜まり8(図1も参照)の高温空気を誘引し吸い込むことに効果的に機能する。
しかも前記ボイド内蔵コンクリート外壁2の屋内側面の内装仕上げボード9は、その上端縁9aが、前記屋根スラブ1の下面との間に一定大きさの排気用隙間10を開けた配置で取り付けられ、もって前記ボイド上端の排気口4は、図1のように屋内の床14上に立つ人々の目線からは見えないように遮蔽され、換気システムの設備や機器類を屋内に露出させないとの意匠的制約に応えている。
その上、上記の排気用隙間10の形状に関しても、ボイド内蔵コンクリート外壁2の壁面と同方向に細長いスリット形状に形成し、屋内の床14上に立つ人々が見上げても、視認することは困難な構成として、意匠的美観に優れた内装とされている。
前記排気用隙間10を形成する内装仕上げボード9は、ボイド内蔵コンクリート外壁2への取り付け具を兼ねたチャンバー下塞ぎ材9bを、上記ボイド3の上端の排気口4よりも少し下の位置へ横方向に長く気密状態に設置して、上記熱溜まり8の高温空気は、排気用隙間10を通じて排気口4へ広範に効率良く誘引してボイド3へ吸入し排気できる構成とされ、排気効率に優れた構成とされている。こうしてボイド内蔵コンクリート外壁2の各ボイド3…を利用して排気する構成としたことにより、換気用ダクトを屋内に露出させない構成が実現されている。のみならず、ボイド内蔵コンクリート外壁2の各ボイド3…を利用して排気する構成であるが故に、夏期には高温の外気で外壁が熱せられることを、各ボイド3…の排気により緩和でき、逆に寒冷期には寒気の侵入をやはり各ボイド3…の排気により緩和できるので、空気調和装置による屋内の温度管理の効率を高めること(恒温管理)にも効果が得られる。
図5において、符号1aは屋根スラブ1の上面に施工した屋根材(金属板葺きで、シート防水と断熱材を含む。)、同じく符号16はボイド内蔵コンクリート外壁2の外面及び内装仕上げボード9の内面に施工したスタッコ塗り仕上げを示す。
次に、図6は、逆に図1の右側に位置するボイド内蔵コンクリート外壁2の下部に円VIで指示した基礎梁12近傍の下部構造を拡大して示している。この図6で明かなとおり、ボイド内蔵コンクリート外壁2は基礎梁12の上に建築されている。そして、各ボイド3の下端は、前記基礎梁12と一連に施工された基礎スラブ13と、その上に組み立てた床板14との間の床下空間に設置した排気ダクト5と接続されている。この排気ダクト5は、図3に例示したように、上記3本を一単位とするダクト3群を一つに集約するヘッダーを兼ねる構成として敷設され、最終的には図7に示すように1本に纏められ、図7に示したように当該建物外に用意された機械室に排気ファン6及び空気調和装置7と接続されている。
以下に、図7の換気処理システムの構成について説明を進める。
上記した排気ダクト5で導く排気、つまり建物の屋根スラブ1の下面近傍領域の熱溜まり8から排気用隙間10及び排気口4を通じて吸引した高温空気(以下、単に空気又は排気という。)は、排気ダクト5の終端近傍に設置した排気ファン6と接続されており、この排気ファン6の排風力で吸引、排気が行われる。
前記排気ダクト5の比較的上流位置に、同排気ダクト5内を流れる空気の温度を検出する手段としての温度センサー17が設置されている。この温度センサー17と前記排気ファン6との中間位置に、相反する開閉動作を行う一対のダクト切り換えダンパ19a、19bが設置され、その一方のダクト切り換えダンパ19bで分岐された分岐ダクト30が空気調和装置7と接続されている。
そして、前記一対のダクト切り換えダンパ19a、19bの開閉操作、及び空気調和装置7の運転を自動制御する制御部20が設置されており、前記温度センサー17の温度計測データは制御部20へ入力される。
一方、上記鉄筋コンクリート造建物の屋内下方部位の空気(室内の体感温度)の温度検出手段として、図7の場合は、空気調和装置7の運転を自動制御するための温度センサー31aと31bが設置されている。
更に、ダクト切り換えダンパ19cを介して上記の排気ダクト5と接続された換気ダクト21は、建物の屋内下方部位(およそ床上3m〜4m)に設けた吸い込み口25と接続されており、やはり排気ファン6の排風力により、同吸い込み口25を通じて室内空気を取り出す構成とされている。この換気ダクト21の途中位置にも、換気ダクト21内を流れる室内空気の温度を計測する温度センサー22が設置されており、それぞれの温度計測データは、上記の制御部20へ入力する構成とされている。
要するに、温度センサー31aと31bの計測データに基づいて、制御部20は、空気調和装置7の運転状態を自動制御(フィードバック制御)して、建物屋内の居住環境(体感温度)が最適に管理される。
一方、上記排気ダクト5内を流れる空気の温度を検出する温度センサー17の計測データと、及び換気ダクト21の途中位置に設置した温度センサー22が計測した、同換気ダクト21内を流れる室内空気の温度データは、上記の制御部20へ入力して、次のような制御が行われる。
即ち、制御部20では、温度センサー17が計測した排気ダクト5内を流れる空気の温度(熱溜まり8から来る高温空気の温度)と、換気ダクト21内を流れる屋内下方部位から導いた空気の温度(室温)を計測した温度センサー22の計測データとを常時比較する演算処理が行われる。
そして、暖房期に、排気ダクト5内を流れる空気(排気)の温度が、換気ダクト21内を流れる空気の温度(室温)よりも高温であるとの演算結果が得られたときは、上記した一対のダクト切り換えダンパ19a、19bにおける一方のダンパ19aを閉じ、他方のダンパ19aを開いて、排気を分岐ダクト30から空気調和装置7へ取りこむ操作が自動制御として行われる。もとより空気調和装置7は、新鮮外気の取り入れルート26を常備しているが、分岐ダクト30から取り入れた空気の熱量を暖房用空気として利用することにより、熱エネルギー消費量の節約を図る省エネ運転が実施される。
こうして空気調和装置7で調和処理した空気は、送風ファン23により給気ルート24を通じて建物内下部の床14近傍の低い位置から吹き出させ、上方の屋根スラブ1の下面近傍領域の熱溜まり8に生ずる高温空気は上記下排気口4からボイド3を通じて排気する、一方向の貫流換気システムが構成されている。
因みに、図8は、上記の空気調和装置7で処理した調和空気を、建物内下部の床14上に設置した座席27の背後側下部に吹き出し口28を設置して吹き出させる場合を示している。こうすると、人体発熱などにより暖められた空気は対流現象により上昇して、上記屋根スラブ1の下面近傍領域の熱溜まり8へと至る循環流を形成して、屋内全体に満遍なく効率の良い換気効果が実現される。
もっとも上記した制御部20の演算結果として、温度センサー17が計測した排気ダクト5内を流れる空気(排気)の温度が、温度センサー22により計測した換気ダクト21内を流れる室内空気の温度よりも低温であると判断されたときは、上記一対のダクト切り換えダンパ19a、19bは元の通り、分岐ダクト30側のダンパ19bを閉じ、排気ダクト19aを開いて排気は外気中へ放出する。
とはいえ、冷房期において、空気調和装置7が冷房運転をしているときに、温度センサー17が計測した排気ダクト5内を流れる空気(排気)の温度が、新鮮外気の取り入れルート26から取り入れる外気温よりも低温であるときは、やはり上記一対をなすダクト切り換え弁19bを開き、19aを閉じて冷房に利用する制御を行うこともできる。
以上に本発明を図示した実施例に基づいて説明したが、もとより本発明は上記実施例の構成に限定されるものではない。いわゆる当業者が必要に応じて行うであろう設計変更その他の応用、改変の範囲まで含むことを念のため申し添える。
1 屋根スラブ
2 ボイド内蔵コンクリート外壁
3 ボイド
4 排気口
5 排気ダクト
6 排気ファン
7 空気調和装置
8 屋根スラブの下面近傍領域(熱溜まり)
9 内装仕上げボード
9a 内装仕上げボードの上端縁
10 排気用隙間
17 温度検出手段(温度センサー)
19a、b ダクト切り換えダンパ
20 制御部
22、31 温度検出手段(温度センサー)
30 分岐ダクト

Claims (3)

  1. 壁厚中心部の上下方向に複数のボイドを形成したボイド内蔵コンクリート外壁により屋根スラブを支持させた鉄筋コンクリート造建物の換気システムであって、
    前記ボイド内蔵コンクリート外壁のボイドの上端は、前記屋根スラブの下面近傍の位置に排気口として屋内側へ開口されており、
    前記ボイドの下端は床下の排気ダクトと接続され、同排気ダクトは排気ファンと接続されており、
    屋根スラブの下面近傍領域の空気は、前記排気ファンにより、前記排気口からボイドを通じて吸引して外気中へ排出させることを特徴とする、鉄筋コンクリート造建物の換気システム。
  2. ボイド内蔵コンクリート外壁の屋内側面の内装仕上げボードは、その上端縁が前記屋根スラブの下面との間に排気用隙間を開けて取り付けて、ボイド内蔵コンクリート外壁のボイド上端の前記排気口は前記内装仕上げボードにより屋内に居る人の目線から遮蔽され、 屋根スラブの下面近傍領域の空気は、前記排気用隙間を通じて前記排気口からボイドへと吸引され、同ボイドを通じて排出する構成であることを特徴とする、請求項1に記載した鉄筋コンクリート造建物の換気システム。
  3. 排気ファンにより、ボイド内蔵コンクリート外壁の排気口からボイドを通じて吸引した空気が流れる排気ダクトの途中位置にダクト切り換えダンパが設置され、前記ダクト切り換えダンパで分岐された分岐ダクトは空気調和装置と接続されており、
    前記排気ダクトの前記ダクト切り換えダンパよりも上流側位置に同排気ダクト中を流れる空気の温度検出手段が設置され、前記温度検出手段による温度計測データを入力する制御部が設置されており、該制御部は前記ダクト切り換えダンパの切り換え操作を自動制御する構成とされており、
    一方、屋内下方部位の空気温度検出手段も設置され、この温度検出手段による温度計測データも前記制御部へ入力する構成とされており、
    暖房期に、排気ダクトを流れる空気の温度が屋内下方部位の空気の温度よりも高温であると制御部が演算したときは、前記制御部がダクト切り換えダンパを分岐ダクトへ切り換えて前記空気を空気調和装置へ取り込み、同空気調和装置による屋内の暖房用空気として利用するものとし、逆に排気ダクトを流れる空気の温度が屋内下方部位の空気温度よりも低温であると前記制御部が演算したときは、前記ダクト切り換えダンパは切り換えず、排気ダクトを流れる空気はそのまま外気中へ放出する操作が制御部の自動制御として行なわれる構成であることを特徴とする、請求項1又は2に記載した鉄筋コンクリート造建物の換気システム。
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