JP2012116974A - 感光性樹脂組成物およびタッチパネル用絶縁膜 - Google Patents

感光性樹脂組成物およびタッチパネル用絶縁膜 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、基材や下地などとの密着性が良好であり、膜硬度、耐熱性および耐酸性が高く、かつ透過率が高く、特に波長400nm付近の透過率が高い感光性樹脂組成物と、それを用いたタッチパネル用絶縁膜を提供することを目的とする。
【解決手段】側鎖にエチレン性不飽和二重結合を有する樹脂(A1)を含む樹脂(A)、光ラジカル重合開始剤(B)、光カチオン重合開始剤(C)、エチレン性不飽和単量体(D)、エポキシ化合物(E)、及びオキセタン化合物(F)を含み、エチレン性不飽和単量体(D)の重量をMet、エポキシ化合物(E)の重量をMce、オキセタン化合物(F)の重量をMcoとしたとき、(Mce+Mco)/(Met+Mce+Mco)が、0.4以上0.9以下であることを特徴とする感光性樹脂組成物により解決される。
【選択図】なし

Description

本発明は感光性樹脂組成物およびそれを用いたタッチパネル用絶縁膜に関する。
近年、電子機器の高機能化や多様化や小型軽量化が進むに伴い、液晶等の表示素子の前面に透明タッチパネルを装着し、この透明タッチパネルを通して表示素子に表示された文字や記号、絵柄などの視認、選択を行い、透明タッチパネルの操作によって機器の各機能の切り替えを行うものが増えている。
タッチパネルは、例えば、銀行ATM、自動販売機、携帯情報端末(PDA、UMPC)、複写機、ファクシミリ、携帯ゲーム機、案内板、カーナビゲーション、マルチメディアステーション(コンビニエンスストアに設置されている多機能端末)、携帯電話、鉄道車両のモニタ装置、クイズ番組などの回答用機器等の入力機器として急激に普及している。
既存のタッチパネルの方式としては、抵抗膜方式、光学方式、静電容量方式、超音波方式、圧力方式、電磁波誘導方式、画像認識方式、振動検出方式などに分けられる。
液晶などの表示装置上に配置されるタッチパネルとしての具体例としては、抵抗膜方式や静電容量方式があり、抵抗膜方式は押圧された位置を電圧によって検知する方式であり、静電容量方式は押圧することによって起きる静電容量の変化を捉えて位置を検出するものである。
静電容量方式は、特許文献1〜3などが開示され、接触した位置の誤認識を防ぐ為にその積層構造の中に絶縁膜や保護膜を設けることが行なわれている。
この絶縁膜や保護膜において要求される性能は、基材、下地、その他の層(ガラス、無機材料、金属材料、ITOなどの透明電極、有機材料など)との密着性、ITOのエッチング液などへの耐性(耐酸性)、300℃を超える焼成工程での耐熱性、積層基板にした際の透過率が求められている。
また、タッチパネル用途に用いられる絶縁膜や保護膜は高い表面硬度が要求され、特許文献4には、樹脂成分に無機酸化物微粒子を添加する方法が開示されている。しかし、このような方法では、高い表面硬度や密着性は得られるものの、高温での焼成工程後に黄変し、透過率が低くなるという欠点があった。また特許文献5には光ラジカル重合システムと光カチオン重合システムを組み合わせることにより、感放射線感度、現像性および保存安定性が良好である感光性樹脂組成物が開示されているが、十分な表面硬度や密着性を得ることは困難であった。
すなわち従来の感光性樹脂組成物では、基材との密着性や、膜硬度、耐性にも優れ、透過率など、すべてを満足することはできなかった。
特開2008−65748号公報 特開2009−15489号公報 特開2010−44453号公報 特開2000−281863号公報 特開2010−27033号公報
本発明の目的は、基材や下地などとの密着性が良好であり、膜硬度、耐熱性および耐酸性が高く、かつ透過率が高く、特に波長400nm付近の透過率が高い感光性樹脂組成物と、それを用いたタッチパネル用絶縁膜を提供することを目的とする。
本発明者は、前記の課題を解決しうる新たな手段について鋭意検討の結果、下記に記載する材料を含む感光性樹脂組成物が前述の課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、側鎖にエチレン性不飽和二重結合を有する樹脂(A1)を含む樹脂(A)、光ラジカル重合開始剤(B)、光カチオン重合開始剤(C)、エチレン性不飽和単量体(D)、エポキシ化合物(E)、及びオキセタン化合物(F)を含み、エチレン性不飽和単量体(D)の重量をMet、エポキシ化合物(E)の重量をMce、オキセタン化合物(F)の重量をMcoとしたとき、(Mce+Mco)/(Met+Mce+Mco)が、0.4以上0.9以下であることを特徴とする感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、側鎖にエチレン性不飽和二重結合を有する樹脂(A1)が、下記(a1)、(a2)及び(a3)を共重合させて共重合体(a6)を得て、得られた共重合体(a6)と不飽和1塩基酸(a4)とを反応させて共重合体(a7)を得て、更に得られた共重合体(a7)と多塩基酸無水物(a5)とを反応させて得られる樹脂(A1−a)を含むことを特徴とする前記感光性樹脂組成物に関する。
(a1);1分子中に脂環式骨格と、不飽和結合とを有する化合物
(a2);1分子中にエポキシ基と不飽和結合とを有する化合物
(a3);(a1)及び(a2)以外の不飽和結合を有する化合物
(a4);不飽和1塩基酸
(a5);多塩基酸無水物
また、本発明は、Mce/(Mce+Mco)が、0.4以上0.95以下であることを特徴とする前記感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、感光性樹脂組成物の固形分重量をNV、光ラジカル重合開始剤(B)の重量をIr、光カチオン重合開始剤(C)の重量をIcとしたとき、(Ir+Ic)/NVが、0.01以上0.15以下であることを特徴とする前記感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、光ラジカル重合開始剤(B)の重量をIr、光カチオン重合開始剤(C)の重量をIcとしたとき、Ic/(Ir+Ic)が、0.2以上0.5以下であることを特徴とする前記感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、エポキシ化合物(E)が、下記式(2−1)または式(2−2)で表される化合物であることを特徴とする前記感光性樹脂組成物に関する。
式(2−1)
Figure 2012116974

式(2−2)
Figure 2012116974
また、本発明は、オキセタン化合物(F)が、下記式(3−1)または式(3−5)で表される化合物であることを特徴とする前記感光性樹脂組成物に関する。
式(3−1)
Figure 2012116974

式(3−5)
Figure 2012116974
また、本発明は、光ラジカル重合開始剤(B)が、アセトフェノン系光重合開始剤またはオキシムエステル系光重合開始剤であることを特徴とする前記感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、光ラジカル重合開始剤(B)が、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オンまたは1,2−オクタジオン−1−[4−(フェニルチオ)−,2−(o−ベンゾイルオキシム)]であることを特徴とする前記感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、さらに、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、インジウム、スズ、アンチモンおよびセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一つの元素からなる無機酸化物微粒子を含むことを特徴とする前記感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、前記感光性樹脂組成物を用いて形成されるタッチパネル用絶縁膜に関する。
本発明の感光性樹脂組成物は、硬度が高く基材や下地などとの密着性が良好であり、また透過率が高く、特に波長400nm付近の透過率が高く、ITOエッチング液(王水)やMetalのエッチング液(硝酸−酢酸−リン酸の混合液)に対する耐性(耐酸性)に優れるため、「タッチパネル用絶縁膜」の形成に好適である。
まず、本発明の感光性樹脂組成物について説明する。
本発明の感光性樹脂組成物は、側鎖にエチレン性不飽和二重結合を有する樹脂(A1)を含む樹脂(A)、光ラジカル重合開始剤(B)、光カチオン重合開始剤(C)、エチレン性不飽和単量体(D)、エポキシ化合物(E)、及びオキセタン化合物(F)を含み、エチレン性不飽和単量体(D)の重量をMet、エポキシ化合物(E)の重量をMce、オキセタン化合物(F)の重量をMcoとしたとき、(Mce+Mco)/(Met+Mce+Mco)が、0.4以上0.9以下であることを特徴とする。
本発明の感光性樹脂組成物に放射線を照射した場合、エチレン性不飽和二重結合のラジカル重合とエポキシ化合物、オキセタン化合物のカチオン重合の2種の重合反応が並行して進行する。ラジカル重合は放射線の照射による進行速度が速いため、露光後に強固な架橋を形成せしめ、塗膜の硬度に大きく寄与する。また、カチオン重合ではラジカル重合に比べ硬化収縮が少ないため、ラジカル重合の欠点である収縮応力による密着性不良が生じにくい。これら2種類の重合反応を組み合わせることにより、露光後に架橋反応が進行し硬度の高い塗膜が得られると共に、硬化収縮も少なく基材への密着性にも優れた塗膜が得られる。(Mce+Mco)/(Met+Mce+Mco)が0.4以上0.9以下となる感光性樹脂組成物ではラジカル重合とカチオン重合がバランスよく進行するため硬度・密着性に共に優れる。(Mce+Mco)/(Met+Mce+Mco)が0.4を下回る場合、カチオン重合反応が効率良く進行しないため、密着性が悪くなる。(Mce+Mco)/(Met+Mce+Mco)が0.9を上回る場合、ラジカル重合が十分に進行せず、露光後の架橋が弱い塗膜となるため、硬度が低くなる。
<樹脂(A)>
本発明の感光性樹脂組成物は、側鎖にエチレン性不飽和二重結合を有する樹脂(A1)を含むことを特徴とする。
(樹脂(A1))
樹脂(A1)は、側鎖にエチレン性不飽和二重結合を有する樹脂であれば、特に制限されないが、なかでも主鎖が直鎖状であることが好ましく、アルカリ現像性を付与するためにアルカリ可溶性を付与した樹脂であることがより好ましい。特に、特定構造を有する樹脂(A1−a)が、透過率・硬度において優れた塗膜を形成できるため好ましい。
樹脂(A1)としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1, 6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等のモノマー・オリゴマーと、(メタ)アクリル酸などの酸価を有するモノマー・オリゴマーとを重合した高分子化合物の水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基に、イソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性の置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を導入した樹脂が用いられる。また、スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いることができる。
[樹脂(A1−a)]
なかでも側鎖にエチレン性不飽和二重結合を有する樹脂(A1)として、下記(a1)、(a2)及び(a3)を共重合させて共重合体(a6)を得て、得られた共重合体(a6)と不飽和1塩基酸(a4)とを反応させて共重合体(a7)を得て、更に得られた共重合体(a7)と(a5)とを反応させて得られる樹脂(A1−a)を含むことにより、基材や下地などとの密着性が良好となり、誘電率と誘電正接が低く良好な電気特性を持つ塗膜を得る事ができる。
(a1);1分子中に脂環式骨格と、不飽和結合とを有する化合物
(a2);1分子中にエポキシ基と不飽和結合とを有する化合物
(a3);(a1)及び(a2)以外の不飽和結合を有する化合物
(a4);不飽和1塩基酸
(a5);多塩基酸無水物
(a1);1分子中に脂環式骨格と、不飽和結合とを有する化合物として具体的には、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、メンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキセニル(メタ)アクリレート、シクロヘプテニル(メタ)アクリレート、シクロオクテニル(メタ)アクリレート、メンタジエニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ピナニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ノルボルネニル(メタ)アクリレート、ピネニル(メタ)アクリレートおよびこれらの脂環式環上に置換基を有する誘導体が挙げられる。これらの単量体の脂環式環上の置換基としてはアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等が挙げられる。
中でも、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートが好ましく、最も好ましいものとしては、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは、それぞれ単独で、または複数を組み合わせて用いることができる。
(a2);1分子中に不飽和結合とエポキシ基とを有する化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、β−プロピルグリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル−α−エチルアクリレート、3−メチル−3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、4−メチル−4,5−エポキシペンチル(メタ)アクリレート、5−メチル−5,6−エポキシヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテルなどが挙げられ、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
(a3);(a1)及び(a2)以外の不飽和結合を有する化合物として具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレートのような不飽和カルボン酸の無置換または置換アルキルエステル;
オリゴエチレングリコールモノアルキル(メタ)アクリレート、のようなグリコール類のモノ飽和カルボン酸エステル化合物;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレートのような不飽和カルボン酸の芳香環を含むエステル化合物;
スチレン、α―メチルスチレン、α−フェニルスチレンおよびビニルトルエンのような芳香族ビニル化合物;
酢酸ビニルおよびプロピオン酸ビニルのようなカルボン酸ビニルエステル;
(メタ)アクリロニトリルおよびα−クロロアクリロニトリルのようなシアン化ビニル化合物;
N―シクロヘキシルマレイミドやN−フェニルマレイミド、N―ベンジルマレイミドのようなN−置換マレイミド化合物などが挙げられる。これらは、それぞれ単独で、または組み合わせて用いることが可能である。
(a4);不飽和1塩基酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体などのモノカルボン酸などが挙げられる。中でも(メタ)アクリル酸が好ましい。
(a5);多塩基酸無水物としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸等の二塩基酸無水物:無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の多塩基酸無水物が挙げられる。中でもテトラヒドロ無水フタル酸または無水コハク酸が好ましい。
[樹脂(A1−a)の製造方法]
樹脂(A1−a)は、(a1)、(a2)及び(a3)を共重合させて共重合体(a6)を得て、得られた共重合体(a6)と下記(a4)とを反応させて共重合体(a7)を得て、更に得られた共重合体(a7)と多塩基酸無水物(a5)とを反応させて得られる共重合体である。
まず共重合体(a6)を得るために(a1)、(a2)および(a3)を共重合させる。この共重合時は、通常の条件下で行われる。例えば、攪拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えたフラスコに(a1)、(a2)および(a3)の合計量に対して、重量基準で、0.5〜20倍量の溶剤を導入し、フラスコ内雰囲気を空気から窒素に置換する。その後、溶剤を40〜140℃に昇温した後、(a1)、(a2)および(a3)の所定量、(a1)、(a2)および(a3)の合計量に対して、質量基準で0〜20倍量の溶剤、および重合開始剤を(a1)、(a2)および(a3)の重量比に対して、0.1〜10部添加した溶液(室温または加熱下にて攪拌溶解)を滴下ロートから0.1〜8時間かけて前記のフラスコに滴下し、さらに40〜140℃で1〜10時間攪拌する。
なお、上記の工程において、重合開始剤の一部または全量をフラスコ側に仕込んでも良いし、
(a1)、(a2)および(a3)の一部または全量をフラスコ側に仕込んでもよい。また、分子量や分子量分布を制御するために、α−メチルスチレンダイマーやメルカプト化合物を連鎖移動剤として使用してもよい。α−メチルスチレンダイマーやメルカプト化合物の使用量は、(a1)〜(a3)の合計量に対して、質量基準で、0.005〜5部である。なお、上記した重合条件は、製造設備や重合による発熱量等などを考慮し、仕込み方法や反応温度を適宜調整してもよい。
それぞれから導かれる構成成分の比率としては、前記の共重合体(a6)を構成する構成成分の合計モル数に対してモル分率で、(a1)から導かれる構成単位2〜40モル%、(a2)から導かれる構成単位2〜95モル%、(a3)から導かれる構成単位3〜65モル%であることが好ましく、可とう性および耐熱性のバランスから(a1)から導かれる構成単位5〜35モル%、(a2)から導かれる構成単位5〜80モル%、(a3)から導かれる構成単15〜50モル%であることがより好ましい。
次に、前記の共重合体(a6)に不飽和1塩基酸(a4)を付加して樹脂(A)に光や熱硬化性を付与する。共重合体(a6)と不飽和1塩基酸(a4)との反応は、例えば、特開2001−89533号公報に記載の条件で行われることができる。具体的には、フラスコ内雰囲気を窒素から空気に置換し、前記共重合体(a6)から導かれる構成単位に対して、モル分率で、5〜100モル%の不飽和1塩基酸(a4)、カルボキシル基とエポキシ基の反応触媒として、例えば、トリスジメチルアミノメチルフェノールを(a1)〜(a4)の合計量に対して、質量基準で、0.01〜5%、および重合禁止剤として、例えばハイドロキノンを(a1)〜(a4)の合計量に対して、質量基準で、0.001〜5%をフラスコ内に入れて、60〜130℃で、1〜10時間反応することにより、前記の共重合体(a6)と不飽和1塩基酸(a4)とを反応させることができる。なお、重合条件と同様に、製造設備や重合による発熱量等を考慮し、仕込み方法や反応温度を適宜調整してもよい。
不飽和1塩基酸(a4)の付加量は、(a1)〜(a3)を共重合させて得られた樹脂中のエポキシ基に対して5〜100モル%、好ましくは10〜95モル%である。(a2)の組成比が上記範囲内にあると、十分な光硬化性や熱硬化性が得られ、信頼性に優れるので好ましい。
次に、前記共重合体(a7)と(a5)とを反応させて樹脂(A)にアルカリ溶解性を付与する。
共重合体(a7)と(a5)の反応は、例えば、特開2001−89533号公報に記載の条件で行われることができる。具体的には、前記共重合体(a7)と不飽和1塩基酸(a4)から導かれる構成単位に対して、モル分率で、5〜100モル%の(a5)、反応触媒として、例えば、トリエチルアミンを(a1)〜(a4)の合計量に対して、質量基準で、0.01〜5%をフラスコ内に入れて、60〜130℃で、1〜10時間反応することにより、前記の共重合体(a7)と(a5)とを反応させることができる。なお、重合条件と同様に、製造設備や重合による発熱量等などを考慮し、仕込み方法や反応温度を適宜調整してもよい。
(a5)の付加量は、共重合体(a7)のアルコール性の水酸基のモル数に対して、5〜100モル%、好ましくは10〜95モル%である。
樹脂(A1−a)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは、3000〜100000であり、より好ましくは5000〜50000である。樹脂(A1−a)の重量平均分子量が、前記の範囲にあると、塗工性が良好であり、また現像時に膜減りが生じにくく、さらに現像時に未露光部分の現像性が良好である傾向にあり、好ましい。
樹脂(A1−a)の分子量分布[重量平均分子量/数平均分子量]は、好ましくは1.5〜6.0であり、より好ましくは、1.8〜4.0である。分子量分布が、前記の範囲にあると、現像性に優れるので好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物に用いられる樹脂(A1)の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分を基準(100重量%)として、通常5〜90重量%、好ましくは10〜70重量%である。樹脂(A1)の含有量が、前記の範囲にあると、現像液への溶解性に優れ、現像残渣が発生し難く、また現像時に露光部の膜減りが生じ難いため好ましい。
(その他の樹脂(A2))
本発明の感光性樹脂組成物の樹脂(A)は、樹脂(A1)に加えて、その他の樹脂(A2)を含んでいても良い。その他の樹脂(A2)としては、側鎖にエチレン性不飽和二重結合を有さない樹脂であって、熱硬化性樹脂であっても良い。
<エポキシ化合物(E)>
エポキシ化合物(E)としては公知の化合物が挙げられ、具体的にはジシクロペンタジエンジオキサイド、リモネンジオキサイド、4−ビニルシクロヘキセンジオキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、1,2:8,9ジエポキシリモネン、3、4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3、'4'−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ハロゲ
ン化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、o−、m−、p−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等が用いられる。
中でも式(2−1)、または式(2−2)で表される1,2:8,9ジエポキシリモネン、3、4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3、'4'−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートが硬度・密
着性の点で優れるため好ましい。これらはそれぞれを単独で用いても良く、ともに含んでいても良い。
式(2−1)
Figure 2012116974

式(2−2)
Figure 2012116974
エポキシ化合物(E)の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分を基準(100重量%)として、通常0.5〜50重量%、好ましくは1〜40重量%である。エポキシ化合物(E)の含有量が、前記の範囲にあると硬度・密着性に優れた塗膜が得られるため好ましい。
<オキセタン化合物(F)>
オキセタン化合物(F)としては公知の化合物が挙げられる。オキセタン化合物(F)は、オキセタン基が1官能であるもの、オキセタン基が2官能以上であるものが挙げられる。オキセタン基が1官能であるものとしては、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(2−メタクリロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−{[3−(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン等が挙げられる。
中でもオキセタン基が1官能であるものとして、好ましくは下記式(3−1)、式(3−2)で表される、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、または3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタンが好ましい。
式(3−1)
Figure 2012116974

式(3−2)
Figure 2012116974
オキセタン基が2官能のものとしては、4,4’−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル(例えば、宇部興産社製、OXBP)、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ベンゼン(例えば、宇部興産社製、OXTP)、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン(例えば、東亞合成社製、OXT−121)、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル(例えば、東亞合成社製、OXT−221)等が挙げられ、好ましくは、下記一般式(3−3):
一般式(3−3)
Figure 2012116974
[式(3−3)中、R2は、同一若しくは異なっていても良く、炭素数が1〜10の炭化水素基、炭素数が1〜10のアルコキシ基、又は炭素数が1〜10のヒドロキシアルキレン基を表す。R3は、炭素数が1〜30の2価の有機基を表す。n1は1〜20の整数である。]で表されるものが好ましい。
2の炭素数として、より好ましくは、1〜4であり、更に好ましくは、1又は2であり、特に好ましくは、1である。
中でも、下記一般式(3−4)が好ましい。
一般式(3−4)
Figure 2012116974

2は、1〜10の整数で表されるものが好ましい。
また、オキセタン化合物(F)としては、オキセタニルシルセスキオキサン等のオキセタン基を有するシルセスキオキサンも挙げられる。
具体例としては、下記式(3−5)のジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(2−フェノキシメチル)オキセタン、1,4−ビス{[(3−エチル3−3オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル等が挙げられる。
式(3−5)
Figure 2012116974
オキセタン化合物(F)の中でも、特に式(3−1)の3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、または式(3−5)のジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテルが硬度が高くなる点で好ましい。これらはそれぞれを単独で用いても良く、ともに含んでいても良い。
本発明の感光性樹脂組成物に用いられるオキセタン化合物(F)の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分を基準(100重量%)として、通常0.5〜50重量%、好ましくは1〜40重量%である。オキセタン化合物(F)の含有量が、前記の範囲にあると硬度が高く、優れた塗膜が得られるため好ましい。
また、感光性樹脂組成物に含まれるエポキシ化合物(E)、オキセタン化合物(F)それぞれの重量をMce、Mcoとしたとき、Mce/(Mce+Mco)が0.4以上0.95以下であることが好ましく、0.5以上0.9以下であることがより好ましい。
Mce/(Mce+Mco)が0.4を下回ると、密着性に優れたエポキシ化合物が少ない組成物となり、密着性が悪くなる。また、Mce/(Mce+Mco)が0.95を上回ると、硬度に優れたオキセタン化合物が少ない組成物となり、硬度が低くなる。
<エチレン性不飽和単量体(D)>
本発明の感光性樹脂組成物はエチレン性不飽和単量体(D)を含む。エチレン性不飽和単量体(D)としては、単官能モノマーの他、2官能、その他の多官能モノマーを用いることが出来る。
単官能モノマーの具体例としては、ノニルフェニルカルビトールアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、N−ビニルピロリドンなどが挙げられる。
また2官能モノマーの具体例としては、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
その他の多官能モノマーの具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレ−ト、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物などが挙げられる。
透過率の観点からジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレ−トが好ましい。中でも透過率を維持しつつ、さらに耐熱性および密着性を付与できることから、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレ−トが特に好ましい。
エチレン性不飽和単量体(D)の含有量としては感光性樹脂組成物の固形分の合計100重量%中、5〜50重量%の量で用いることが好ましい。
<光ラジカル重合開始剤(B)>
光ラジカル重合開始剤(B)としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等のアセトフェノン系光重合開始剤、1,2−オクタジオン−1−[4−(フェニルチオ)−,2−(o−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(o−アセチルオキシム)等のオキシムエステル系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系光重合開始剤、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系光重合開始剤、ボレート系光重合開始剤、カルバゾール系光重合開始剤、イミダゾール系光重合開始剤等が用いられる。
なかでもアセトフェノン系光重合開始剤、オキシムエステル系光重合開始剤は感度が高く、添加量が少なくて良いため、透過率が高くなることから、好ましい。
また、アセトフェノン系光重合開始剤、オキシムエステル系光重合開始剤のなかでも、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、1,2−オクタジオン−1−[4−(フェニルチオ)−,2−(o−ベンゾイルオキシム)]、とりわけ、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、1,2−オクタジオン−1−[4−(フェニルチオ)−,2−(o−ベンゾイルオキシム)]は、加熱工程時に黄変しないため、絶縁膜としての透過率が高く、特に波長400nm付近の透過率が高い感光性樹脂組成物を提供することができるため、より好ましい。これらはそれぞれを単独で用いても良く、ともに含んでいても良い。
光ラジカル重合開始剤(B)は、感光性樹脂組成物の固形分の合計100重量%中、1〜30重量%の量で用いることが好ましく、透過率の観点から1〜10重量%の量で用いることがより好ましい。
光ラジカル重合開始剤(B)は、単独あるいは2種以上混合して用いるが、増感剤として、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等の化合物を併用することもできる。
増感剤は、光ラジカル重合開始剤(B)100重量部に対して、0.1〜150重量部の量で用いることができる。
<光カチオン重合開始剤(C)>
光カチオン重合開始剤(C)としては、例えば米国特許第3379653号に記載されたような金属フルオロホウ素錯塩及び三フッ素化ホウ素錯化合物;米国特許第3586616号に記載されているようなビス(ペルフルオロアルキルスルホニル)メタン金属塩;米国特許第3708296号に記載されているようなアリールジアゾニウム化合物;米国特許第4058400号に記載されているようなVIa族元素の芳香族オニウム塩;米国特許第4069055号に記載されているようなVa族元素の芳香族オニウム塩;米国特許第4068091号に記載されているようなIIIa〜Va族元素のジカルボニルキレート;米国特許第4139655号に記載されているようなチオピリリウム塩;米国特許第4161478号に記載されているようなMF6 -陰イオン(ここでMは、リン、アンチモン及びヒ素から選択される)の形のVIb元素;米国特許第4231951号に記載されているようなアリールスルホニウム塩;米国特許第4256828号に記載されているような芳香族ヨードニウム錯塩及び芳香族スルホニウム錯塩;W.R.Wattらによって「ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス(Journal of Polymer Science)、ポリマーケミストリー(Polymer Chemistry)版」、第22巻、1789項(1984年)に記載されているようなビス[4−(ジフェリルスルホニオ)フェニル]スルフィド−ビス−ヘキサフルオロ金属塩(例えば、リン酸塩、ヒ酸塩、アンチモン酸塩等);鉄化合物の混合配位子金属塩;シラノール−アルミニウム錯体;等が挙げられる。これらの化合物は、紫外線重合開始剤ともいう。これらの光カチオン重合開始剤(C)は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
光カチオン重合開始剤(C)のうち、アリールスルホニウム錯塩、ハロゲン含有錯イオンの芳香族ヨードニウム錯塩又は芳香族スルホニウム錯塩、II族、V族及びVI族元素の芳香族オニウム塩が好適である。
光カチオン重合開始剤(C)は、感光性樹脂組成物の固形分の合計100重量%中、0.1〜30重量%の量で用いることが好ましく、感度と透過率の観点から1〜20重量%の量で用いることがより好ましい。
また、感光性樹脂組成物の固形分全重量(NV)に含まれる光ラジカル重合開始剤(B)の重量をIr、光カチオン重合開始剤(C)の重量をIcとしたとき、(Ir+Ic)/NVが0.01以上0.15以下であることが好ましく、0.02以上0.12以下であることがより好ましい。(Ir+Ic)/NVが0.01を下回ると、放射線露光後の架橋が弱く、塗膜の硬度が低くなるため好ましくない。(Ir+Ic)/NVが0.15を上回ると、重合開始剤由来の着色が目立つようになり、透過率が低くなるため好ましくない。
また、感光性樹脂組成物の固形分に含まれる光ラジカル重合開始剤(B)の重量をIr、光カチオン重合開始剤(C)の重量をIcとしたとき、Ic/(Ir+Ic)が、0.2以上0.5以下であることが好ましく、0.25以上0.45以下であることがより好ましい。Ic/(Ir+Ic)が0.2を下回ると、カチオン重合よりもラジカル重合が進行しやすくなり、硬化収縮が促進され収縮応力により密着性が悪くなる。Ic/(Ir+Ic)が0.5を上回ると、ラジカル重合の寄与が少なくなり、硬度が低くなる。
<無機酸化物微粒子>
本発明の感光性樹脂組成物には無機酸化物微粒子が含まれることが好ましい。無機酸化物微粒子は、得られる硬化性組成物の硬化被膜の無色性の観点から、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、インジウム、スズ、アンチモンおよびセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一つの元素の酸化物粒子であることが好ましい。なかでも透過率の観点から、ケイ素、ジルコニウム、またはアルミニウムの酸化物粒子が好ましく、とくにケイ素の酸化物粒子が好ましい。樹脂(A1)と無機酸化物微粒子を用いることで、硬度を高くすることが出来、透過率の高い塗膜を得ることができる。
無機酸化物微粒子は、分散液中あるいは塗布液中で、分散安定化を図るために、あるいはバインダー成分との親和性、結合性を高めるために、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理、界面活性剤やカップリング剤等による化学的表面処理がなされていても良い。
酸化物粒子の平均一次粒子径は、1nm〜1000nmが好ましく、3nm〜100nmがさらに好ましく、5nm〜30nmが特に好ましい。平均一次粒子径が1000nmを超えると、硬化物としたときの透明性が低下したり、被膜としたときの表面状態が悪化する傾向がある。また、粒子の分散性を改良するために各種の界面活性剤やアミン類を添加してもよい。
無機酸化物微粒子の平均一次粒子径は、たとえばBET法を用いて測定される。具体的には、BET法にて得られた無機酸化物微粒子の比表面積を得、無機酸化物の比重を用いて体積と表面積の比を算出し、粒子を真球であると仮定して、これらの比から粒子径を求め、平均一次粒子径とする方法がある。
無機酸化物粒子は、有機溶媒分散物として用いるのが好ましい。有機溶媒分散物として用いる場合、他の成分との相溶性、分散性の観点から、分散媒は、有機溶剤が好ましい。このような有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類; アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類; 酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ − ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類; エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類; ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類; ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N − メチルピロリドン等のアミド類を挙げることができる。中でも、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレンが好ましい。
本発明に特に好ましく用いられるケイ素の酸化物微粒子分散液として市販されている商品としては、日産化学工業(株)製MA−ST−MS、IPA −ST、IPA−ST−MS、IPA−ST−L、IPA−ST−ZL、IPA−ST −UP、EG−ST、NPC−ST−30、MEK−ST、MEK− ST−L、MIBK−ST、NBA−ST、XBA−ST、DMAC−ST、ST−UP、ST−OUP、ST−20、ST−40、ST−C 、ST−N、ST−O、ST−50、ST−OL等、触媒化成工業(株)製中空シリカCS60−IPA等を挙げることができる。また粉体シリカとしては、日本アエロジル(株)製アエロジル130 、アエロジル300、アエロジル380、アエロジルTT600、アエロジルOX50、旭硝子(株)製シルデックスH31、H32、H51、H52、H121、H122、日本シリカ工業(株)製E220A、E220、富士シリシア(株)製SYLYSIA470、日本板硝子(株)製SGフレ−ク等を挙げることができる。
本発明に好ましく用いられるジルコニアの酸化物微粒子分散液として市販されている商品としては、日産化学工業(株)製ZR−40BL、ZR−30BS、ZR−30AL、ZR−30AH等、住友大阪セメント(株)製HXU−110JCを挙げることができる。
本発明に好ましく用いられるアルミニウムの酸化物微粒子分散液として市販されている商品としては、日産化学工業(株)製アルミナゾル−100、アルミナゾル−200、アルミナゾル−520、住友大阪セメント(株)製AS−150I、AS−150Tが挙げられる。
その他、本発明に好ましく用いられる無機酸化物微粒子分散液を以下に示す。アンチモンの酸化物微粒子分散液では日産化学工業(株)製セルナックスCX−Z330H、アルミニウム、チタニウム、スズ、インジウム、亜鉛等の酸化物微粒子分散液としては、シーアイ化成(株)製ナノテック等を挙げることができる。
無機酸化物微粒子の添加量は感光性組成物における固形分合計100重量%中、10重量%〜40重量%が好ましく、20重量%〜35重量%がさらに好ましい。添加量が10重量%未満である場合は鉛筆硬度、耐酸性の向上などの効果が得られにくく、一方で40重量%を超える場合は、密着性が低下するなどの問題がある。
<密着促進添加剤>
本発明の感光性樹脂組成物は、さらに密着促進添加剤を含むことでガラス基材、ITOなどとの密着性が向上するために好ましい。
密着促進添加剤としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
中でもシラン系の添加剤を含むとガラス基材、ITOなどとの密着性が向上するため好ましく、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。
密着促進添加剤は、感光性樹脂組成物の固形分の合計100重量%中、0.1〜10重量%の量で用いることが好ましい。密着性の観点から0.1重量%未満では密着促進添加剤量が少ないために密着性改善効果が得られにくく、10重量%を超える場合は感光性樹脂組成物中の樹脂やエチレン性不飽和単量体、光重合開始剤などが相対的に減少するため、密着性や硬度などの特性が悪化する。
<その他の成分>
本発明の感光性樹脂組成物には、その他必要に応じて溶剤、界面活性剤、貯蔵安定剤、レベリング剤などを使用することもできる。
(溶剤)
溶剤としては、例えば1,2,3−トリクロロプロパン、1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,4−ジオキサン、2−ヘプタノン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、3−メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテート、4−ヘプタノン、m−キシレン、m−ジエチルベンゼン、m−ジクロロベンゼン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、n−ブチルアルコール、n−ブチルベンゼン、n−プロピルアセテート、N−メチルピロリドン、o−キシレン、o−クロロトルエン、o−ジエチルベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−クロロトルエン、p−ジエチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、γ―ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n−アミル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いる。
特に溶剤の乾燥性を考慮し、ダイコートや印刷法などにおいては160℃以上の高沸点溶剤を含むことが好ましく、たとえば、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール(bp174℃)、1,3−ブタンジオール(bp203℃)、3−メチル−1,3−ブタンジオール(bp203℃)、2−メチル−1,3−プロパンジオール(bp213℃)、ジイソブチルケトン(bp168.1℃)、エチレングリコールモノブチルエーテル(bp171.2℃)、エチレングリコールモノヘキシルエーテル(bp208.1℃)、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(bp191.5℃)、エチレングリコールジブチルエーテル(bp203.3℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(bp194.0℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(bp202.0℃)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(bp188.4℃)、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(bp207.3℃)、プロピレングリコールモノブチルエーテル(bp170.2℃)、プロピレングリコールジアセテート(bp190.0℃)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(bp187.2℃)、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル(bp197.8℃)、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル(bp212.0℃)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(bp175℃)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(bp206.3℃)、3−エトキシプロピオン酸エチル(bp169.7℃)、3−メトキシブチルアセテート(bp172.5℃)、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート(bp188℃)、γ−ブチロラクトン(bp204℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(bp166.1℃)、N−メチルピロリドン(bp202℃)、p−クロロトルエン(bp162.0℃)、o−ジエチルベンゼン(bp183.4℃)、m−ジエチルベンゼン(bp181.1℃)、p−ジエチルベンゼン(bp183.8℃)、o−ジクロロベンゼン(bp180.5℃)、m−ジクロロベンゼン(bp173.0℃)、n−ブチルベンゼン(bp183.3℃)、sec−ブチルベンゼン(bp178.3℃)、tert−ブチルベンゼン(bp169.1℃)、シクロヘキサノール(bp161.1℃)、シクロヘキシルアセテート(bp173℃)、メチルシクロヘキサノール(bp174℃)等が挙げられ、160℃以上の高沸点溶剤は溶剤の全量を基準として5〜50重量%が好ましい。
溶剤は、固形分の合計100重量部に対して、200〜4000重量部の量で用いることができる。
(貯蔵安定剤)
貯蔵安定剤としては、例えばベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、トリエチルホスフィン、トリフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤は、感光性樹脂組成物の合計100重量部中、0.1〜5重量部の量で用いることができる。
(レベリング剤)
本発明の着色組成物には、透明基板上での組成物のレベリング性をよくするため、レベリング剤を添加することが好ましい。レベリング剤としては、主鎖にポリエーテル構造又はポリエステル構造を有するジメチルシロキサンが好ましい。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、東レ・ダウコーニング社製FZ−2122、ビックケミー社製BYK−330などが挙げられる。主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、ビックケミー社製BYK−310、BYK−370などが挙げられる。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンと、主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンとは、併用することもできる。レベリング剤の含有量は通常、感光性樹脂組成物の合計100重量%を基準として、0.003〜0.5重量%用いることが好ましい。
レベリング剤として特に好ましいものとしては、分子内に疎水基と親水基を有するいわゆる界面活性剤の一種で、親水基を有しながらも水に対する溶解性が小さく、着色組成物に添加した場合、その表面張力低下能が低いという特徴を有し、さらに表面張力低下能が低いにも拘らずガラス板への濡れ性が良好なものが有用であり、泡立ちによる塗膜の欠陥が出現しない添加量において十分に帯電性を抑止できるものが好ましく使用できる。このような好ましい特性を有するレベリング剤として、ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンが好ましく使用できる。ポリアルキレンオキサイド単位としては、ポリエチレンオキサイド単位、ポリプロピレンオキサイド単位があり、ジメチルポリシロキサンは、ポリエチレンオキサイド単位とポリプロピレンオキサイド単位とを共に有していてもよい。
また、ポリアルキレンオキサイド単位のジメチルポリシロキサンとの結合形態は、ポリアルキレンオキサイド単位がジメチルポリシロキサンの繰り返し単位中に結合したペンダント型、ジメチルポリシロキサンの末端に結合した末端変性型、ジメチルポリシロキサンと交互に繰り返し結合した直鎖状のブロックコポリマー型のいずれであってもよい。ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンは、東レ・ダウコーニング株式会社から市販されており、例えば、FZ−2110、FZ−2122、FZ−2130、FZ−2166、FZ−2191、FZ−2203、FZ−2207が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
レベリング剤には、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、または両性の界面活性剤を補助的に加えることも可能である。界面活性剤は、2種以上混合して使用しても構わない。
レベリング剤に補助的に加えるアニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどが挙げられる。
レベリング剤に補助的に加えるカオチン性界面活性剤としては、アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。レベリング剤に補助的に加えるノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどの;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤、また、フッ素系やシリコーン系の界面活性剤が挙げられる。
<感光性樹脂組成物の製法>
本発明の感光性樹脂組成物は、側鎖にエチレン性不飽和二重結合を有する樹脂(A1)を含む樹脂(A)、光ラジカル重合開始剤(B)、光カチオン重合開始剤(C)、エチレン性不飽和単量体(D)と、エポキシ化合物(E)、オキセタン化合物(F)および溶剤等を攪拌・混合して得ることが出来る。
本発明の感光性樹脂組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵、異物の除去を行うことが好ましい。
<タッチパネル用絶縁膜>
本発明による感光性樹脂組成物をガラス基材、ITO上、金属膜上、有機膜上などにスピンコートなどの回転塗布、ダイコートなどの流延塗布、ロールコートによる塗布、ロール転写法による塗布などにより塗膜を形成する。
また、本発明の感光性樹脂組成物は、絶縁膜用途、保護膜用途、平坦膜用途のいずれで使用されても良く、さらに各々の用途において、フォトリソグラフィによりパターン形成されていても構わない。
以下に、実施例により本発明を説明する。なお、実施例中の「部」および「%」とは、それぞれ「重量部」および「重量%」を表す。
実施例に先立ち、樹脂の重量平均分子量、および酸価の測定方法について説明する。
(樹脂の重量平均分子量)
ゲルパーミエーションクロマトグラフ測定装置(「Shodex GPC System−21H」昭和電工製)を用い、ポリスチレン換算で測定した。
(酸価)
樹脂溶液0.5〜1gに、アセトン80mlおよび水10mlを加えて攪拌して均一に溶解させ、0.1mol/LのKOH水溶液を滴定液として、自動滴定装置(「COM−555」平沼産業製)を用いて滴定し、樹脂溶液の酸価を測定した。そして、樹脂溶液の酸価と樹脂溶液の固形分濃度から、樹脂の固形分あたりの酸価を算出した。
続いて、樹脂(A1)溶液およびその他の樹脂(A2)溶液の製造方法について説明する。
<樹脂(A1)溶液の製造方法>
(樹脂溶液(A1−1)の調製)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら120℃に加熱して、同温度で滴下管よりスチレン5.2部、グリシジルメタクリレート35.5部、ジシクロペンタニルメタクリレート41.0部、アゾビスイソブチロニトリル1.0部の混合物を2.5時間かけて滴下し重合反応を行った。
次にフラスコ内を空気置換し、アクリル酸17.0部にトリスジメチルアミノメチルフェノール0.3部、およびハイドロキノン0.3部を投入し、120℃で5時間反応を続け固形分酸価=0.8となったところで反応を終了し、重量平均分子量が約12000(GPCによる測定)の樹脂溶液を得た。
さらにテトラヒドロ無水フタル酸30.4部、トリエチルアミン0.5部を加え120℃で4時間反応させ、不揮発分が40%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加して樹脂溶液(A1−1)を調製した。
(樹脂溶液(A1−2)の調製)
樹脂溶液(A1−1)のジシクロペンタニルメタクリレートをジシクロペンテニルメタクリレートにした以外は樹脂溶液(A1−1)と同様の方法にて合成反応を行い、樹脂溶液(A1−2)を調製した。重量平均分子量は12500であった。
(樹脂溶液(A1−3)の調製)
樹脂溶液(A1−1)のジシクロペンタニルメタクリレートをジシクロペンタニルオキシエチルメタクリレートにした以外は樹脂溶液(A1−1)と同様の方法にて合成反応を行い、樹脂溶液(A1−3)を調製した。重量平均分子量は12500であった。
(樹脂溶液(A1−4)の調製)
樹脂溶液(A1−1)のジシクロペンタニルメタクリレートをジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレートにした以外は樹脂溶液(A1−1)と同様の方法にて合成反応を行い、樹脂溶液(A1−4)を調製した。重量平均分子量は12500であった。
(樹脂溶液(A1−5)の調製)
温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管及び撹拌装置を備えたセパラブル4口フラスコにPGMEA370部を仕込み、80℃に昇温し、フラスコ内を窒素置換した後、滴下管より、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亜合成社製アロニックスM110)18部、ベンジルメタクリレート10部、グリシジルメタクリレート18.2部、メタクリル酸メチル25部、及び2,2'−アゾビスイソブチロニトリル2.0部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下後、更に100℃で
3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン50部で溶解させたものを添加し、更に100℃で1時間反応を続けた。次に、容器内を空気置換に替え、アクリル酸9.3部(グリシジル基の当量)にトリスジメチルアミノフェノール0.5部及びハイドロキノン0.1部を上記容器内に投入し、120℃で6時間反応を続け固形分酸価0.5となったところで反応を終了し、アクリル樹脂の溶液を得た。更に、引き続きテトラヒドロ無水フタル酸19.5部(生成した水酸基の当量)、トリエチルアミン0.5部を加え120℃で3.5時間反応させアクリル樹脂の溶液を得た。
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにPGMEAを添加してアクリル樹脂溶液(A1−5)を調製した。重量平均分子量(Mw)は19000であった。
<その他の樹脂(A2)溶液の製造方法>
(樹脂溶液(A2−1)の調製)
温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管及び撹拌装置を備えたセパラブル4口フラスコに、PGMEA70.0部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管よりn−ブチルメタクリレート13.3部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート4.6部、メタクリル酸4.3部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成株式会社社製「アロニックスM110」)7.4部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4部の混合を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、固形分30重量%、重量平均分子量26000のアクリル樹脂の溶液を得た。
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにPGMEAを添加してアクリル樹脂溶液(A2−1)を調製した。
[実施例1〜31、比較例1〜7]
表1、2に示した組成、および配合量の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過して、実施例1〜31、比較例1〜7にそれぞれ相当する感光性樹脂組成物1〜38(R1〜R38)を得た。R1〜R38に含まれる光ラジカル重合開始剤(B)の重量Ir、光カチオン重合開始剤の重量(C)の重量Ic、エチレン性不飽和単量体の重量(D)の重量Met、エポキシ化合物(E)の重量Mce、オキセタン化合物(F)の重量Mcoから算出したパラメータを表1、2示す。
Figure 2012116974
Figure 2012116974
《無機酸化物微粒子》
・ZR−40BL(日産化学社製);ジルコニアの酸化物微粒子の水酸化テトラメチルアンモニウム分散液(固型分40%)
・PMA−ST(日産化学社製);ケイ素の酸化物微粒子のPGMEA分散液(固型分30%)
《エチレン性不飽和単量体(D)》
・DPCA30;カヤキュア DPCA30(日本化薬社製)
カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
《エポキシ化合物(E)》
・セロキサイド3000(ダイセル化学工業社製):1,2:8,9ジエポキシリモネン
・セロキサイド2021P(ダイセル化学工業社製):3、4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3、'4'−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート
《オキセタン化合物(F)》
・アロンオキセタンOXT−212(東亞合成社製):3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン
・アロンオキセタンOXT−221(東亞合成社製):ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル
・アロンオキセタンOXT−101(東亞合成社製):3−エチル3−ヒドロキシメチルオキセタン
《密着性促進添加剤》
・KBM−403(信越化学社製);3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
《光カチオン重合開始剤(C)》
・CPI−110P(サンアプロ社製);ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート
《光ラジカル重合開始剤(B)》
・イルガキュアOXE−01(チバ・ジャパン社製);1,2−オクタジオン−1−[4−(フェニルチオ)−,2−(o−ベンゾイルオキシム) ]
・イルガキュア184(チバ・ジャパン社製);1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
・イルガキュア907(チバ・ジャパン社製);2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン
・イルガキュア369(チバ・ジャパン社製);2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン
・イルガキュアOXE−02(チバ・ジャパン社製);エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(o−アセチルオキシム)
・アデカアークルズN−1414:3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−オクチルカルバゾール
《レベリング剤》
・BYK−330 2%(ビックケミー社製);ポリエーテル構造含有ジメチルシロキサンのPGMEA溶液(固型分1%に調整)
《溶剤》
・PGMEA;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
・EEP;3−エトキシプロピオン酸エチル
<感光性樹脂組成物の評価>
以下に示す評価方法にて感光性樹脂組成物(R1〜R38)をそれぞれ評価した。結果を表1,2に示す。
(透過率の測定・感度の評価)
感光性樹脂組成物(R1〜R38)を、100mm×100mm、0.7mm厚のガラス基板(コーニング社製ガラス イーグル2000)に、スピンコーターを用いて230℃20分加熱後の仕上がり膜厚が2.0μmとなるように塗布した基板を得た。次に、減圧乾燥後、超高圧水銀ランプを用いて、照度20mW/c 、露光量50mJ/c で紫外線露光を行った。塗布基板を230℃で20分加熱
、放冷後、顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用いて、得られた塗膜の波長400nmにおける透過率を求めた。膜厚は、アルバック社製の触針式膜厚計DECTAC−3で測定した。
○;透過率 97%以上 :良好なレベル
△;透過率 95%以上97%未満 :○と比較すると劣るが実用可能なレベル
×;透過率 95%未満 :実用には適さないレベル
(追加ベーク後の透過率の測定)
透過率の測定用に作製したものと同じ方法で得た感光性樹脂組成物塗布基板を250℃60分加熱、放冷後、顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用いて、得られた塗膜の波長400nmにおける透過率を求めた。
○;透過率 97%以上 :良好なレベル
△;透過率 95%以上97%未満 :○と比較すると劣るが実用可能なレベル
×;透過率 95%未満 :実用には適さないレベル
(ガラス密着性およびITOに対する密着性の測定)
透過率の測定用に作製したものと同じ方法で得た感光性樹脂組成物塗布基板をJIS K5600−5−6に準じた付着性(クロスカット法)試験により塗膜の密着性を評価し、碁盤目25個中の剥離個数を数えた。
基材はコーニング社製ガラス イーグル2000、三容真空工業社製 ITO膜を使用した。
○;碁盤目の剥離個数 2個未満
△;碁盤目の剥離個数 2個以上10個以下
×;碁盤目の剥離個数 10個より多い
(鉛筆硬度の測定)
透過率の測定用に作製したものと同じ方法で得た感光性樹脂組成物塗布基板について、JIS K5600−5−4に準じた引っかき硬度(鉛筆法)試験により絶縁膜の表面硬度を測定した。この値が4Hまたはそれより硬いとき、表面硬度は良好といえる。硬度が3Hの場合は、実用可能な最低限の硬度、2H以下は実用には適さない硬度である。
○;4H以上
△;3H
×;2H以下
(耐酸性後密着性)
透過率の測定用に作製したものと同じ方法で得た基板を王水(硝酸:塩酸=1/3)に室温で5分間浸漬し、純水にて洗浄後、48時間放置した。こうして得られた基板をJIS K5600−5−6に準じた付着性(クロスカット法)試験により塗膜の密着性を評価し、碁盤目25個中の剥離個数を数えた。
○;碁盤目の剥離個数 2個未満
△;碁盤目の剥離個数 2個以上10個以下
×;碁盤目の剥離個数 10個より多い
(耐酸性後膜硬度)
透過率の測定用に作製したものと同じ方法で得た基板を王水(硝酸:塩酸=1/3)に室温で5分間浸漬し、純水にて洗浄後、48時間放置した。こうして得られた基板についてJIS K5600−5−4に準じた引っかき硬度(鉛筆法)試験により絶縁膜の表面硬度を測定した。この値が4Hまたはそれより硬いとき、表面硬度は良好といえる。硬度が3Hの場合は、実用可能な最低限の硬度、2H以下は実用には適さない硬度である。
○;4H以上
△;3H
×;2H以下
表1、2に示すように本発明の特徴である樹脂(A1)、光ラジカル重合開始剤(B)、光カチオン重合開始剤(C)、エチレン性不飽和単量体(D)、エポキシ化合物(E)、及びオキセタン化合物(F)を含み、前記エチレン性不飽和単量体(D)の重量をMet、前記エポキシ化合物(E)の重量をMce、前記オキセタン化合物(F)の重量をMcoとしたとき、(Mce+Mco)/(Met+Mce+Mco)が0.4以上0.9以下である感光性樹脂組成物R1〜31は透過率、耐酸性、密着性、鉛筆硬度においていずれも良好あるいは実用上差し支えのない結果となった。
また、ラジカル重合開始剤として2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オンか1,2−オクタジオン−1−[4−(フェニルチオ)−,2−(o−ベンゾイルオキシム)]を用いた感光性樹脂組成物については、特に透過率が高い結果となった。
実施例10、11、12を比較すると、無機酸化物微粒子を含む実施例11、12は無機酸化物微粒子を含まぬ実施例10と比較して硬度が良好であった。また、酸化物微粒子がケイ素である実施例12の感光性樹脂組成物については特に透過率、耐酸性、密着性、鉛筆硬度が良好な結果となった。
さらに、密着性促進添加剤3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを用いた場合には密着性が優れる結果となった。
エポキシ化合物(E)、オキセタン化合物(F)を含まない比較例1の樹脂組成物およびオキセタン化合物(F)を含まない比較例2の樹脂組成物では、密着性が悪い結果となった。エポキシ化合物(E)を含まない比較例3の樹脂組成物と光ラジカル重合開始剤(B)、エチレン性不飽和単量体(D)を含まない比較例4の樹脂組成物では、硬度が悪い結果となった。また、比較例4の樹脂組成物では透過率も低かった。(Mce+Mco)/(Met+Mce+Mco)が0.4を下回る比較例5の樹脂組成物では密着性が悪い結果となった。(Mce+Mco)/(Met+Mce+Mco)が0.9を上回る比較例6の樹脂組成物では硬度・密着性が悪い結果となった。
比較例1、2、5、6の樹脂組成物については、耐酸性も悪い結果であった。
また、樹脂(A1)を含まない比較例7の樹脂組成物では追加ベークを行った後の透過率が低く、耐酸性が悪かった。また、密着性についても悪い傾向が見られた。

Claims (11)

  1. 側鎖にエチレン性不飽和二重結合を有する樹脂(A1)を含む樹脂(A)、光ラジカル重合開始剤(B)、光カチオン重合開始剤(C)、エチレン性不飽和単量体(D)、エポキシ化合物(E)、及びオキセタン化合物(F)を含み、エチレン性不飽和単量体(D)の重量をMet、エポキシ化合物(E)の重量をMce、オキセタン化合物(F)の重量をMcoとしたとき、(Mce+Mco)/(Met+Mce+Mco)が、0.4以上0.9以下であることを特徴とする感光性樹脂組成物。
  2. 側鎖にエチレン性不飽和二重結合を有する樹脂(A1)が、下記(a1)、(a2)及び(a3)を共重合させて共重合体(a6)を得て、得られた共重合体(a6)と不飽和1塩基酸(a4)とを反応させて共重合体(a7)を得て、更に得られた共重合体(a7)と多塩基酸無水物(a5)とを反応させて得られる樹脂(A1−a)を含むことを特徴とする請求項1記載の感光性樹脂組成物。
    (a1);1分子中に脂環式骨格と、不飽和結合とを有する化合物
    (a2);1分子中にエポキシ基と不飽和結合とを有する化合物
    (a3);(a1)及び(a2)以外の不飽和結合を有する化合物
    (a4);不飽和1塩基酸
    (a5);多塩基酸無水物
  3. Mce/(Mce+Mco)が、0.4以上0.95以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. 感光性樹脂組成物の固形分重量をNV、光ラジカル重合開始剤(B)の重量をIr、光カチオン重合開始剤(C)の重量をIcとしたとき、(Ir+Ic)/NVが、0.01以上0.15以下であることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  5. 光ラジカル重合開始剤(B)の重量をIr、光カチオン重合開始剤(C)の重量をIcとしたとき、Ic/(Ir+Ic)が、0.2以上0.5以下であることを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  6. エポキシ化合物(E)が、下記式(2−1)または式(2−2)で表される化合物であることを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
    式(2−1)
    Figure 2012116974

    式(2−2)
    Figure 2012116974
  7. オキセタン化合物(F)が、下記式(3−1)または式(3−5)で表される化合物であることを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
    式(3−1)
    Figure 2012116974

    式(3−5)
    Figure 2012116974
  8. 光ラジカル重合開始剤(B)が、アセトフェノン系光重合開始剤またはオキシムエステル系光重合開始剤であることを特徴とする請求項1乃至7いずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  9. 光ラジカル重合開始剤(B)が、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オンまたは1,2−オクタジオン−1−[4−(フェニルチオ)−,2−(o−ベンゾイルオキシム)]であることを特徴とする請求項8に記載の感光性樹脂組成物。
  10. さらに、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、インジウム、スズ、アンチモンおよびセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一つの元素からなる無機酸化物微粒子を含むことを特徴とする請求項1乃至9いずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  11. 請求項1〜10いずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を用いて形成されるタッチパネル用絶縁膜。
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