JP2012116939A - トリアリールメタン系染料 - Google Patents

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Abstract

【課題】トリアリールメタン系染料が本来有する色を保ち、透過率が高く、且つ、高い耐熱性を有するトリアリールメタン系染料を提供する。
【解決手段】下記一般式(I)で表わされるトリアリールメタン系染料である。
Figure 2012116939

(一般式(I)中の符号は、明細書中に規定したとおりである。)
【選択図】なし

Description

本発明は、トリアリールメタン系染料に関する。
今日、多数の染料が知られており、大きくは天然染料及び合成染料として区別がなされている。該合成染料としては、例えば、アニリンブルー、フクシンまたはメチルオレンジなどが挙げられるが、ほとんどの合成染料は、芳香族または複素環式であり、イオン性(例えば、すべての水溶性染料)または非イオン性化合物(例えば、分散染料)のいずれかである。また、イオン性染料の場合において、アニオン(陰イオン)性染料とカチオン(陽イオン)性染料との間で区別がされる。
上記カチオン性染料は、共役結合にわたり非局在化する正の電荷を有する有機カチオンと通常無機のアニオンからなる。またこれらは通常、置換されていてもよいアミノ基が共鳴に関与する染料である。よってカチオン性染料の選択は、対イオンであるアニオンの数や種類によることが多く、対アニオンとしては、例えば塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、アルキルまたはアリール硫酸イオン、トシル酸イオン、酢酸またはシュウ酸イオン等が挙げられる。
カチオン性染料であるローダミン、サフラニンまたはビクトリアブルーは、通常、対イオンとして塩化物イオンまたはトシル酸を有する。しかし、これらの化合物は、あまり電気化学的に安定ではない。このため、これらの染料を一層化学的に安定にする新規な対アニオンを導入する技術が検討されている。
トリアリールメタン系染料の熱への耐久性を向上させるためにトリアリールメタン染料の対アニオンに塩化物イオン又はアリール硫酸イオンを用いた例が知られている(例えば、特許文献1)。しかし、特許文献1に開示されているトリアリールメタン染料を含む組成物は耐熱性が十分ではなかった。
また、特許文献2〜4ではそれぞれ高輝度、高コントラストや、耐熱性、耐光性、耐溶剤性を得ることを目的として、フタロシアニンやアントラキノンなどの色素骨格のスルホン化物を対アニオンとし、カチオンであるトリアリールメタン骨格と塩形成する手法が報告されている。
特開2008−304766号公報 特開2008−268486号公報 WO2009/107734号公報 特開2010−191358号公報
金属フタロシアニンスルホン酸と塩形成することで脆弱なトリアリールメタン染料は対応する塩化物に比較して堅牢性が向上する。同時に溶解性も著しく低下するため、着色剤として用いる場合には顔料と同様の手法で分散処理が必須となる。しかし、得られた分散液は、金属フタロシアニンのスルホン化物が緑色を呈すため、本来良好なトリアリールメタンの青色の透過光を長波長側にシフトさせてしまう(特許文献4)。そのため、ピグメントブルー15:6などの従来の青色顔料の分散液との混合着色組成物として用いられることが多く、そのトリアリールメタン−金属フタロシアニン塩の添加量も着色剤全体の概ね2〜3割にとどまり、輝度向上のための補助的な役割を有するにすぎない。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、トリアリールメタン系染料が本来有する色を保ち、透過率が高く、且つ、高い耐熱性を有するトリアリールメタン系染料を提供する。
本発明に係るトリアリールメタン系染料は、下記一般式(I)で表わされる化合物であることを特徴とする。
Figure 2012116939
(一般式(I)中、R〜Rは、各々独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表わすか、あるいはRとR、RとR、RとRが結合して環構造を形成している。Arは400nm以下の波長領域に吸収極大をもつ芳香族化合物を示し、nは2以上の整数である。)
本発明に係るトリアリールメタン系染料は、アニオン部が400nm以下の波長領域に吸収極大をもつ芳香族化合物にスルホナト基が2つ以上結合し当該スルホナト基の全てがトリアリールメタンカチオンとイオン結合している構造を有するため、トリアリールメタンが本来有する色を保ち、透過率が高く、結晶状態が保持されることにより、耐熱性に優れている。
本発明に係るトリアリールメタン系染料においては、染料の着色力の観点から、前記一般式(I)におけるArが炭素数9〜20の芳香族化合物であることが好ましく、中でもナフタレンであることがより好ましい。
本発明に係るトリアリールメタン系染料においては、前記一般式(I)におけるnが2又は3であることが耐熱性の観点から好ましい。
本発明に係るトリアリールメタン系染料においては、前記一般式(I)におけるRが水素原子であり、R〜R及びRが各々独立に炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、R〜R及びRがすべて同一であることが製造および原料調達の容易さの点からより好ましい。
本発明のトリアリールメタン系染料は、実質的に溶解しない溶媒に分散させて用いることが、耐熱性の観点から好ましい。
本発明によれば、トリアリールメタン系染料が本来有する色を保ち、透過率が高く、且つ、高い耐熱性を有するトリアリールメタン系染料を提供することができる。
比較例及び参考例の染料の分光スペクトルである。 実施例及び参考例の染料の分光スペクトルである。
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明に係るトリアリールメタン系染料は、下記一般式(I)で表わされる化合物であることを特徴とする。
Figure 2012116939
(一般式(I)中、R〜Rは、各々独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表わすか、あるいはRとR、RとR、RとRが結合して環構造を形成している。Arは400nm以下の波長領域に吸収極大をもつ芳香族化合物を示し、nは2以上の整数である。)
なお、一般式(I)中、2つあるnは同じ整数であることを示す。一般式(I)中、nはArに置換されたスルホナト基の置換数を表わし、Arに置換されたスルホナト基の全てがトリアリールメタンカチオンとイオン結合を形成していることを表わす。すなわち、本発明に係るトリアリールメタン系染料は正塩である。
本発明に係るトリアリールメタン系染料は、アニオン部が400nm以下の波長領域に吸収極大をもつ芳香族化合物にスルホナト基が2つ以上結合し当該スルホナト基の全てがトリアリールメタンカチオンとイオン結合している構造を有するため、トリアリールメタンが本来有する色を保ち、透過率が高く、結晶状態が保持されることにより、耐熱性に優れている。
アニオン部が400nm以下の波長領域に吸収極大をもつ芳香族化合物であることから、アニオン部は可視光をほとんど吸収せず、トリアリールメタンの本来の色が保持され、かつ、トリアリールメタンが有する高い透過率が保持される。更にトリアリールメタンカチオンを1分子中に2つ以上有するので、トリアリールメタンカチオンが1つの染料と比較して単位重量当たりの着色力が高い。また更に、芳香族化合物Arのアニオン部にトリアリールメタンカチオンを2つ以上有するため耐熱性が高い。これは、一分子あたりの分子量が増大することの効果に加え、固体状態での凝集力がより高まることにより、結晶状態を保持し、イオン対の解離や分解を抑制できるためと推測される。
前記Arは400nm以下の波長領域に吸収極大をもつ芳香族化合物であれば特に限定されない。芳香族化合物には、炭素環からなる芳香族化合物の他、複素環からなる芳香族化合物が包含される。炭素環からなる芳香族化合物としては、ベンゼン環からなる芳香族化合物;ナフタレン環、テトラリン環、インデン環、フルオレン環、アントラセン環、フェナントレン環等の縮合多環式炭素環からなる芳香族化合物;ビフェニル、ターフェニル、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、スチルベン等の鎖状多環式炭素環からなる芳香族化合物が挙げられる。当該鎖状多環式炭素環からなる芳香族化合物においては、ジフェニルエーテル等のように鎖状骨格中にO、S等のヘテロ原子を有していてもよい。一方、複素環からなる芳香族化合物としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール等の5員複素環からなる芳香族化合物;ピラン、ピロン、ピリジン、ピロン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン等の6員複素環からなる芳香族化合物;ベンゾフラン、チオナフテン、インドール、カルバゾール、クマリン、ベンゾ−ピロン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン等の縮合多環式複素環からなる芳香族化合物が挙げられる。これらの芳香族は置換基を有していてもよい。
芳香族化合物が有する置換基としては、スルホ基のほか、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン原子等が挙げられる。本発明に係るトリアリールメタン系染料を後述する実質的に溶解しない溶媒に分散させて用いる場合には、置換基を有しないことが、溶媒への溶解性を低下させる点から好ましい。
Arは炭素数が9〜20の芳香族化合物であることが好ましく、炭素数が10〜14の縮合多環式炭素環からなる芳香族化合物がより好ましい。炭素数が9以上であることが得られた正塩の堅牢性の観点から好ましい。一方、炭素数が上記範囲より大きい場合、Ar自身の着色による色変化を生じたり、1分子あたりの分子量が大きくなり、結果として染料の着色力が低下する恐れがある。中でも、ナフタレンであることがより好ましい。
前記nは、前記芳香族化合物中の置換可能な水素原子数を上限として任意の値をとることができるが、nが2〜4であることが好ましく、中でもnが2又は3であることがより好ましい。nが上記範囲より大きい場合、分子内及び分子間の立体障害が大きくなり、染料の耐熱性が低下してしまう恐れがあるからである。
芳香族化合物におけるスルホナト基の置換位置は特に限定されないが、カチオン部がイオン結合しやすい点から、スルホナト基が置換された炭素原子同士が隣接していないことが好ましい。
本発明に係るトリアリールメタン系染料において、前記一般式(I)におけるR〜Rは、各々独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表わすか、あるいはRとR、RとR、RとRが結合して環構造を形成している。
〜Rにおけるアルキル基とは、特に限定されないが、炭素数1〜20の直鎖又は分枝状アルキル基等が挙げられ、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数が1〜5であることが、製造および原料調達の容易さの点から、より好ましい。中でも、R〜Rにおけるアルキル基がエチル基又はメチル基であることが特に好ましい。アルキル基が有してもよい置換基としては、特に限定されないが、例えば、アリール基、ハロゲン原子、水酸基等が挙げられる。
〜Rにおけるアリール基とは、特に限定されないが、例えばフェニル基、ナフチル基、フェニルメチル基等が挙げられる。アリール基が有してもよい置換基としては、例えばアルキル基、ハロゲン原子等が挙げられる。
とR、RとR、RとRが結合して環構造を形成しているとは、RとR、RとR、RとRが窒素原子を介して環構造を形成していることをいう。環構造は特に限定されないが、例えばピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環等が挙げられる。
中でも化学的安定性の点からR〜Rとしては、各々独立に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基、又はRとR、RとR、RとRが結合してピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環を形成していることが好ましい。
〜Rはそれぞれ独立に上記構造をとることができるが、中でも色純度の点からRが水素原子であることが好ましく、さらに製造および原料調達の容易さの点からR〜R及びRがすべて同一であることがより好ましい。
本発明に係るトリアリールメタン系染料は、通常の染料と同様に溶媒に溶解させて用いることもできる他、実質的に溶解しない溶媒に分散させて用いることができる。
本発明に係るトリアリールメタン系染料は、実質的に溶解しない溶媒に分散させて用いた場合、その結晶状態を保持したまま溶媒中に分散されるため、溶媒に溶解させて用いた場合に比べ、染料のイオン対の解離や分解が生じにくく、耐熱性が高くなる。また、本発明に係るトリアリールメタン系染料は正塩であるため、酸性塩を用いた場合のように、分散が好適に進行しない場合や、分散液が保存時にゲル化するといった問題が生じず、分散性及び分散安定性が高い。
なお、本発明において、トリアリールメタン系染料を実質的に溶解しない溶媒とは、以下の評価方法により判定することができる。
20mLサンプル管瓶に評価する溶媒を10g投入し、更に前記トリアリールメタン系染料0.1gを投入し、ふたをして20秒間よく振った後、10分間静置する。この上澄み液5gをろ過し不要物を除く。得られたろ液の吸光スペクトルを紫外可視分光光度計(例えば、島津製作所社製 UV−2500PC)で1cmセルを用いて測定し、波長595nmにおける吸光度(595nm)を求める。このとき、595nmにおける吸光度が2未満であれば当該溶媒は、トリアリールメタン系染料を実質的に溶解しない溶媒であると評価できる。
実質的に溶解しない溶媒としては、本発明に係るトリアリールメタン系染料を実質的に溶解しない溶媒であれば特に限定されないが、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル、メトキシエチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシブチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエステル系溶媒が挙げられる。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。
(実施例1:トリアリールメタン系染料(A)の合成)
東京化成工業(株)製 Disodium Naphthalene−2,6−sulfonate1.62g(50.2mmol)をメタノール50mL、水50mLの混合液に50−55℃で加熱溶解させ、東京化成工業(株)製 Basic Blue 7(CI−42595)5g(97.3mmol)を加え、同温で1時間攪拌した。エバポレータで溶液中のメタノールを濃縮し、水を100mL加え沈殿物を濾取し、水で洗浄した。該ケーキを減圧乾燥して下記化学式(A)で表される実施例1のトリアリールメタン系染料(A)5.2g(収率86%)を得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI) (m/z):478(+)、143(2−)(2価)
・元素分析値:CHN実測値 (73.12%、6.77%、6.86%);理論値(73.40%、6.97%、6.76%)
Figure 2012116939
(実施例2:トリアリールメタン系染料(B)の合成)
東京化成工業(株)製 Trisodium Naphthalene−1,3,6−sulfonate3.0g(6.9mmol)をメタノール100mL、水100mLの混合液に50−55℃で加熱溶解させ、東京化成工業(株)製 Basic Blue 7(CI−42595)10.7g(20.7mmol)を加え、同温で1時間攪拌した。エバポレータで溶液中のメタノールを濃縮し、水を30mL加え沈殿物を濾取し、水で洗浄した。該ケーキを減圧乾燥して下記化学式(B)で表される実施例2のトリアリールメタン系染料(B)11.2g(収率90%)を得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI) (m/z):478(+)、122(3−)(3価)
・元素分析値:CHN実測値 (72.88%、6.78%、6.85%);理論値(72.67%、6.99%、7.00%)
Figure 2012116939
(比較例1:トリアリールメタン系染料(C)の合成)
実施例1の合成において、Disodium Naphthalene−2,6−sulfonateの代わりに、東京化成(株)製2−ナフタレンスルホン酸ナトリウムを2倍モル用いた以外は、実施例1と同様にして下記化学式(C)で表わされる比較例1のトリアリールメタン系染料(C)を収率90%で得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI)(m/z):478(+)、207(−)
・元素分析値:CHN実測値(76.07%、6.67%、6.35%);理論値(75.29%、6.91%、6.13%)
Figure 2012116939
(比較例2:トリアリールメタン系染料(D)の合成)
実施例1の合成において、Disodium Naphthalene−2,6−sulfonateの代わりに、和光純薬工業(株)製p−トルエンスルホン酸を2倍モル用いた以外は、実施例1と同様にして下記化学式(D)で表わされる比較例2のトリアリールメタン系染料(D)を収率92%で得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI)(m/z):478(+)、171(−)
・元素分析値:CHN実測値(73.71%、7.45%、6.23%);理論値(73.93%、7.29%、6.47%)
Figure 2012116939
[評価方法]
(グラム吸光係数の測定)
顔料Xmgを精秤し、100mLメスフラスコに入れ、メタノールで溶解しメスアップする。溶液をホールピペットで5mL抜き取り、新しい100mLメスフラスコに入れメタノールでメスアップする。この溶液を1cm石英製セルに入れ、分光光度計(例えば、株式会社日立ハイテクノロジーズ社製 U−3500分光光度計など)を用いて吸収スペクトルを測定する。吸収スペクトルから最大吸収波長における吸光度(Abs)を求め、下記式よりグラム吸光係数(εg)を求めた。
C(濃度)=(X/100)×(5/100) (g/mL)
εg=Abs/(C×B) (mL/g・cm) B=セル長(1cm)
(モル吸光係数の測定)
前記最大吸収波長における吸光度(Abs)を用いて、下記式よりmol吸光係数(ε)を求めた。
ε=Abs/(モル濃度[mol/L]×B) B:セル長(1cm)
(分解点の測定)
実施例1、2及び比較例1、2のトリアリールメタン系染料それぞれ約5mgを石英製パンにいれ、株式会社リガク社製、差動型示差熱天秤(TG−DTA) TG8120を用い、リファレンスとして石英製パンにアルミナ、昇温速度10℃/分として800℃まで測定を行った。得られたTG曲線のピークの外挿温度を分解点とした。分解点の温度は耐熱性を示す指標とすることができる。
(熱安定性の測定)
実施例1、2及び比較例1、2のトリアリールメタン系染料それぞれ約5mgを石英製パンにいれ、株式会社リガク社製、差動型示差熱天秤(TG−DTA) TG8120を用い、リファレンスとして石英製パンにアルミナ、昇温速度10℃/分で230℃まで昇温し230℃到達時点から60分同温で保持したのち重量減少率を測定した。重量減少率は耐熱性を示す指標とすることができる。
(塗膜の分光変化:色の耐熱性評価)
P(HEMA)[ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、分子量30万、アルドリッチ社製]0.72gをメタノール10.8gに溶解した。当該P(HEMA)溶解液と、実施例1、2および比較例1、2のトリアリールメタン系染料それぞれ0.4gとを混合し、均一な溶液とした。この溶液をガラス基板上にスピン塗布し、80℃のホットプレート上で2分間乾燥させ、200℃のクリーンオーブンで30分間ポストベークし、得られた塗膜の色度を測定し、加熱前後の色差(ΔEab)を求めた。色度の測定は分光輝度計OSP200(オリンパス製)を用いた。
各測定結果を表1に示す。
Figure 2012116939
表1の結果から次のことが明らかにされた。
対アニオンとして2つのスルホナト基を導入したナフタレンジスルホン酸塩や3つのスルホナト基を導入した実施例1および2のトリアリールメタン染料は、グラム吸光係数およびモル吸光係数が、スルホナト基が一つである比較例1および2のトリアリールメタン染料と比べ高い。特にモル吸光係数は実施例1および2の染料では1モルあたりの発色に寄与するトリアリールメタン骨格の含有量がアニオンに対して2倍と3倍モル量であるため、高い着色力を有すると言える。また、230℃1時間加熱したときの重量減少率は実施例1及び2で比較例1及び2に比べ少なく、色の変化も小さいことから、より耐熱性が高いことが分かる。これは単一分子の分子量が増大することの効果に加え、固体状態での凝集力がより高まることで、熱による運動を低下させ、結果としてイオン対の解離や分解を抑制できたためと推察できる。
(染料の色及び透過率の測定)
実施例1及び2のトリアリールメタン系染料(A)、(B)及び下記化学式で表わされる化合物(E)(参考例1)、化合物(F)(比較例3)並びに化合物(G)(参考例2)のメタノール溶液をそれぞれ作製し、透過率のピークの値が90%前後になるように濃度を適宜調整した。化合物(E)及び(G)は、東京化成(株)製のものを用いた。また、化合物(F)は、特許文献4に記載の手法に従って、化合物(E)と(G)から合成したものを用いた。透過率は、紫外可視分光光度計(島津製作所社製 UV−2500PC)で1cmセルを用いて測定した。
実施例1〜2、参考例1〜2及び比較例3の分光スペクトルを図1および図2に示す。図1の結果から、参考例1の示す分光スペクトルがトリアリールメタン系染料単体の透過光を示すが、比較例3は参考例1のカチオン部と参考例2のアニオン部の2:1の塩であるため、その分光スペクトルは参考例1から参考例2の領域にシフトし、トリアリールメタン系染料単体のスペクトルとは異なっている。
トリアリールメタン系染料(参考例1)の純粋な色を得ようとする場合、比較例3のように可視光を吸収するアニオンを用いることは適さないといえる。
図2の結果から、実施例1及び2は、トリアリールメタンカチオンが無色透明なアニオンと塩形成しているため、参考例1とほぼ同じ分光スペクトルを得ることができるため、参考例1からの色変化が小さい。よって本発明に係る染料は、トリアリールメタン系染料が本来有する色を保つことができる。
また、実施例1及び2の透過幅は可視光を吸収するアニオンを有する比較例3の透過幅と比較して狭い。よって、実施例1及び2の透過幅を比較例3の透過幅とそろえた場合、実施例1及び2の透過率のピークの値は、比較例3よりも高くなる。したがって、本発明によれば透過率の高いトリアリールメタン系染料を得ることができる。
Figure 2012116939
Figure 2012116939
Figure 2012116939
<評価:溶媒への不溶性>
20mLサンプル管瓶に実施例1、2及び比較例1、2のトリアリールメタン系染料(A)〜(D)それぞれ0.1gずつをPGMEA10gに投入し、ふたをして20秒間よく振った後、10分間静置した。この上澄み液5gをろ過し不溶物を除いた。得られたろ液の吸光スペクトルを紫外可視分光硬度計(島津製作所社製 UV−2500PC)で1cmセルを用いて測定し、波長595nmにおける吸光度(595nm)を求めた。
上記条件で測定した吸光度(595nm)が2以下であれば、実質的に溶解しないといえる。結果は表2のとおりであった。
○:吸光度(595nm)<2
×:吸光度(595nm)≧2
Figure 2012116939
実施例1及び2のスルホナト基を2つ又は3つ有するトリアリールメタン系染料(A)及び(B)はPGMEAに実質的に溶解しなかった。比較例1及び2のスルホナト基が1つであるトリアリールメタン系染料(C)及び(D)はPGMEAに溶解した。
以上より、PGMEAは実施例1及び2のトリアリールメタン系染料に対しては、実質的に溶解しない溶媒であることがいえる。
実施例1及び2のトリアリールメタン系染料は、PGMEA中で分散可能であった。したがって、本発明に係るトリアリールメタン系染料は、実質的に溶解しない溶媒に分散させて用いることができる。

Claims (7)

  1. 下記一般式(I)で表わされるトリアリールメタン系染料。
    Figure 2012116939
    (一般式(I)中、R〜Rは、各々独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表わすか、あるいはRとR、RとR、RとRが結合して環構造を形成している。Arは400nm以下の波長領域に吸収極大をもつ芳香族化合物を示し、nは2以上の整数である。)
  2. 前記一般式(I)におけるArが炭素数9〜20の芳香族化合物である、請求項1に記載のトリアリールメタン系染料。
  3. 前記一般式(I)におけるArがナフタレンである、請求項1又は2に記載のトリアリールメタン系染料。
  4. 前記一般式(I)におけるnが2又は3である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のトリアリールメタン系染料。
  5. 前記一般式(I)におけるRが水素原子であり、R〜R及びRが各々独立に炭素数1〜20のアルキル基である請求項1乃至4のいずれか一項に記載のトリアリールメタン系染料。
  6. 〜R及びRがすべて同一である請求項5に記載のトリアリールメタン系染料。
  7. 実質的に溶解しない溶媒に分散させて用いる、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のトリアリールメタン系染料。
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