JP2012116444A - 車体側部構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】 センターピラーリンフォースの下端を直接的にサイドシルストレングスに接続しない場合に、追加の部品を設けることなく発生する応力を抑えることができ、且つ他の面でも優れた効果を発揮する車体側部構造を提供する。
【解決手段】 本発明の車体側部構造110は、センターピラーインナ114、センターピラーリンフォース116、およびサイドボディアウタ118のそれぞれに設けられたフランジ面120〜124と、センターピラーインナ114のフランジ面120のうちセンターピラーリンフォース116のフランジ面122の下端の周辺に形成された、車内側に突き出た第1のビード形状部126と、サイドボディアウタ118のフランジ面124のうちセンターピラーリンフォース116のフランジ面122の下端の周辺に形成された、車外側に突き出た第2のビード形状部128と、を有することを特徴とする。
【選択図】図4

Description

本発明は、センターピラーインナ、センターピラーリンフォースおよびサイドボディアウタを有する自動車等の車体側部構造に関する。
特許文献1および2には、自動車の車体側部構造が例示されている。特許文献1および2に記載されているように、自動車の車体側部の略中央に、上下方向に延びる柱状のセンターピラーが備えられる場合がある。かかるセンターピラーは、車体側部の外面に露出するアウタパネル(サイドボディアウタ)と、その内側に設置されるインナパネル(センターピラーインナ)との間に、補強部材としてのリンフォース(センターピラーリンフォース)を介在させ構築されるのが一般的である。
近年、補強部材としてのセンターピラーリンフォースの下端を下方まで延ばさず、センターピラーリンフォースの下端を直接的にサイドシルストレングスに接続しない構造が採用されている。これにより、側突時のセンターピラーの変形場所の限定を図っている。
特許第3838468号公報 特許第3921864号公報
しかしながら、上述した構造では、悪路走行等で車体が捩じられた際に発生する応力がセンターピラーリンフォースの下端とサイドシルストレングスとの間の区間に集中することとなる。特に、その溶接点では多大な応力が発生する。そのため、亀裂発生等の問題が起こる可能性があった。
そこで、本発明は、センターピラーリンフォースの下端を直接的にサイドシルストレングスに接続しない場合に、追加の部品を設けることなく発生する応力を抑えることができ、且つ他の面でも優れた効果を発揮する車体側部構造を提供する。
上記課題を解決するために本発明の代表的な構成は、車体側部の略中央にて上下方向に延び、車体側部の下部にて車体前後方向に延びるサイドシルストレングスに下端が結合するセンターピラーインナと、センターピラーインナの車外側にて上下方向に延び、サイドシルストレングスよりも高い位置に下端が位置するセンターピラーリンフォースと、センターピラーインナおよびセンターピラーリンフォースの車外側に配置され、車体側部の外面を形成するサイドボディアウタとを含む車体側部構造において、センターピラーインナ、センターピラーリンフォース、およびサイドボディアウタのそれぞれに設けられた、リアドア開口部の前端またはフロントドア開口部の後端へと張り出した車体側面に対し略平行なフランジ面と、センターピラーインナのフランジ面のうちセンターピラーリンフォースのフランジ面の下端の周辺に形成された、車内側に突き出た第1のビード形状部と、サイドボディアウタのフランジ面のうちセンターピラーリンフォースのフランジ面の下端の周辺に形成された、車外側に突き出た第2のビード形状部と、を有し、センターピラーインナ、センターピラーリンフォース、およびサイドボディアウタがそれぞれに設けられたフランジ面で、互いに接合されていることを特徴とする。
センターピラーインナ、センターピラーリンフォースおよびサイドボディアウタは互いにそれぞれのフランジ面で接合される。上記構成では、センターピラーリンフォースのフランジ面の下端の周辺を避けるように、センターピラーインナのフランジ面に第1のビード形状部が形成され、サイドボディアウタのフランジ面に第2のビード形状部が形成される。これにより、車体捩じれ時の各部材の動きがある程度許容されるため、発生する応力を抑えることができる。その結果、各溶接点にかかる応力を緩和することができ、亀裂発生等の問題が生じる可能性を排除することができる。
また、センターピラーインナのフランジ面の第1のビード形状部、センターピラーリンフォースのフランジ面の下端、サイドボディアウタのフランジ面の第2のビード形状部のそれぞれの間に、クリアランス(隙間)が設定されることとなるため、捩じり変形による各部材同士の擦れが回避される。これにより、錆や異音の発生を防止することができる。
上記の第2のビード形状部は、第1のビード形状部よりもセンターピラーリンフォースのフランジ面の下端から離れる距離が小さく、且つ第1のビード形状部よりも上下方向に長いと好ましい。
第1のビード形状部は、側突時の車体変形によって、センターピラーリンフォースのフランジ面の下端(エッジ)がセンターピラーインナを分断することがないよう、そのエッジを逃げる役割も担っている。そこで、センターピラーリンフォースのフランジ面の下端から第2のビード形状部が離れる距離を第1のビード形状部のそれよりも抑えることで、これらのフランジ面を被覆するセンターピラーロアトリムを不具合なく装着可能にする。なお、第2のビード形状部が離れる距離が小さい分、第2のビード形状部を上下方向に長くすることで、その機能を好適に発揮させることができる。
本発明によれば、センターピラーリンフォースの下端を直接的にサイドシルストレングスに接続しない場合において、車体捩じれ時に発生する応力を抑えることができる。センターピラーインナのフランジ面の第1のビード形状部、センターピラーリンフォースのフランジ面の下端、サイドボディアウタのフランジ面の第2のビード形状部のそれぞれの間に、クリアランス(隙間)が設定されるため、捩じり変形による各部材同士の擦れが回避され、錆や異音の発生を防止できる。また、応力が緩和されるため各所に補強を重点的に施す必要がなくなり、コストや重量の削減にも寄与する。
本実施形態にかかる車体側部構造が適用される自動車の斜視図である。 図1の要部拡大図である。 図2のサイドボディアウタを取り外した図である。 図2のA−A断面図である。 図4のB−B断面図、C−C断面図、およびD−D断面図である。 比較例にかかる車体側部構造の断面図である。 図6のE−E断面図、F−F断面図、およびG−G断面図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
図1は、本実施形態にかかる車体側部構造110が適用される自動車100の斜視図である。図1では図示の便宜上、フロントドアおよびリアドアを取り外した状態を示している。なお、図中の矢印FRは車体前方を示すものとし、図中のINは車内側、図中のOUTは車外側を示すものとする。図1に示すように、自動車100は小型車(いわゆる軽自動車)であり、車体側部の略中央にセンターピラー112を備えている。センターピラー112の前方にはフロントドア開口部102が位置し、センターピラー112の後方にはリアドア開口部104が位置する。
図2は図1の要部拡大図であり、センターピラー112の下端の周辺を拡大して図示している。図3は、図2のサイドボディアウタ118を取り外した図である。なお、図3では、センターピラーインナ114にハッチをかけて図示する。以下、自動車100の車体右側の構造について説明するが、左側も同様の構造を有するため説明を省略する。
図2および図3に示すように、センターピラー112は、上下方向に延びるセンターピラーインナ114の車外側に、順に、上下方向に延びるセンターピラーリンフォース116および車体側部の外面を形成するサイドボディアウタ118を重ねたものである。なお、自動車は車種によってリンフォースの形状や数など(補強構造等)に違いがあり、本実施形態に挙げる構造に限定されるわけではない。例えば、車体側部構造110として、センターピラー112にセンターピラーリンフォース116以外の補強部材が設定されていてもよい。
センターピラーインナ114の下端は、車体側部の下部にて車体前後方向に延びるサイドシルストレングス130に結合する。一方、センターピラーリンフォース116の下端は、直接的にサイドシルストレングス130に接続されず、このサイドシルストレングス130よりも高い位置に位置する。
これより、図3において、センターピラーリンフォース116が重なっていない、センターピラーインナ114中ハッチング表示した部分は、サイドボディアウタ118と合わさることとなる。センターピラーリンフォース116が介在した部分の方が、介在していない部分よりも強度的に強くなるため、かかる構造により側突時のセンターピラー112の変形場所の限定を図ることが可能となる。
センターピラーインナ114、センターピラーリンフォース116、およびサイドボディアウタ118のそれぞれには、リアドア開口部104の前端へと張り出すように車体側面に対し略平行なフランジ面120、122、124が形成される。また、フロントドア開口部102の後端へと張り出すように、同様のフランジ面が形成される。
センターピラーインナ114、センターピラーリンフォース116、およびサイドボディアウタ118のWL(water line)断面は、両側に形成されたフランジ面により、略ハット形状(文字「Ω」のように開口部分の両端部にフランジ面が付された形状)となる(図5参照)。センターピラーインナ114、センターピラーリンフォース116、およびサイドボディアウタ118は、互いにそれぞれのフランジ面120、122、124がスポット溶接等で溶接されることで接合される。
図4は、図2のA−A断面図である。図5は、図4のB−B断面図、C−C断面図、およびD−D断面図である。図5(a)が図4のA−A断面図、図5(b)が図4のC−C断面図、図5(c)が図4のD−D断面図である。なお、図5(a)〜(c)は理解を容易にするために模式的に図示したものである。
図4および図5(a)〜(c)に示すように、リアドア開口部104側において、センターピラーインナ114のフランジ面120のうち、センターピラーリンフォース116のフランジ面122の下端の周辺には車内側に突き出た第1のビード形状部(以下、単に「ビード形状部126」)が形成される。リアドア開口部104側において、サイドボディアウタ118のフランジ面124のうち、センターピラーリンフォース116のフランジ面122の下端の周辺には車外側に突き出た第2のビード形状部(以下、単に「ビード形状部128」と称する)が形成される。センターピラーインナ114のビード形状部126、サイドボディアウタ118のビード形状部128は、車体前後方向(TL方向)にそれぞれのフランジ面120、124にかけて延びるように形成される。
ビード形状部126、128を設けることで、センターピラーインナ114のフランジ面120、サイドボディアウタ118のフランジ面124が、センターピラーリンフォース116のフランジ面122の下端の周辺では離れることとなる。これにより、各部材の動きがある程度許容されるため、悪路走行等で車体が捩じられた際などに発生する応力を抑えることができる。その結果、各溶接点に発生する応力を緩和することができ、亀裂発生等の問題が生じる可能性を排除することができる。
センターピラーインナ114、センターピラーリンフォース116、およびサイドボディアウタ118のフランジ面120、122、124には、接合後、樹脂等で形成され可撓性を有するセンターピラーロアトリムが装着される。
ここで、センターピラーインナ114のビード形状部126は、側突時の車体変形によって、センターピラーリンフォース116のフランジ面122の下端(エッジ)がセンターピラーインナ114を分断することがないよう、そのエッジを逃げる役割を担う。これより、車体側部構造110では、サイドボディアウタ118のフランジ面124のビード形状部128は、センターピラーインナ114のフランジ面120のビード形状部126よりもセンターピラーリンフォース116のフランジ面122の下端から離れる距離が小さくなるように形成される。
サイドボディアウタ118のフランジ面124のビード形状部128がフランジ面122の下端から離れる距離を、センターピラーインナ114のフランジ面120のビード形状部126よりも抑えることで、上記の役割を害することなく、センターピラーロアトリムを不具合なく装着可能にできる。なお、サイドボディアウタ118のフランジ面124のビード形状部128は、センターピラーインナ114のフランジ面120のビード形状部126よりも上下方向に長くなるように形成される。距離が小さい分、ビード形状部128を上下方向に長くすることで、その機能(応力の抑制)を好適に発揮させることができる。また、センターピラーロアトリムの組付に影響無くかつ外観への影響もない。
図6は、比較例にかかる車体側部構造210の断面図であり、本実施形態にかかる車体側部構造110の図4のA−A断面に相当する。図7は、図6のE−E断面図、F−F断面図、およびG−G断面図である。図7(a)が図6のE−E断面図、図7(b)が図6のF−F断面図、図7(c)が図6のG−G断面図である。なお、図7(a)〜(c)は理解を容易にするために模式的に図示したものである。
図6および図7(a)〜(c)に示すように、比較例にかかる車体側部構造210では、センターピラーリンフォース216のフランジ面222の下端が直接的にサイドシルストレングスに接続されず、センターピラーインナ214のフランジ面220に上述したビード形状部126に相当するビード形状部226が設けられる。サイドボディアウタ218のフランジ面224には、上述したビード形状部128に相当するものは設けられていない。
かかる車体側部構造210では、センターピラーインナ214のフランジ面220にビード形状部226が存在するため、センターピラーリンフォース216のフランジ面222の下端の周辺をスポット溶接により、センターピラーインナ214およびサイドボディアウタ218に接合することができない。そのため、この部分にて各部材の動きは強く拘束されず、車体が捩じられた際には、センターピラーリンフォース216のフランジ面222の下端とサイドボディアウタ218のフランジ面224とが摺れ、錆や異音が発生する可能性がある。
これに対し本実施形態にかかる車体側部構造110では、センターピラーインナ114のフランジ面120のビード形状部126、センターピラーリンフォース116のフランジ面122の下端、サイドボディアウタ118のフランジ面124のビード形状部128のそれぞれの間に、クリアランス(隙間)が設定されることとなる。そのため、捩じり変形による各部材同士の擦れは回避され、錆や異音の発生を防止できる。
車体側部構造110では、上述したように発生する応力が抑えられるため、各所に補強を重点的に施す必要がない。そのため、例えば板厚を落とすことができ、コストや重量の削減にも寄与する。表1に、センターピラーインナ114、センターピラーリンフォース116、サイドボディアウタ118、サイドシルストレングス130の板厚を例示する。なお、この板厚は例示にすぎないが各部材の大小関係を表1のように設定することで、製品精度の高い車体を実現することができる。
Figure 2012116444
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明した。なお、応力集中を抑える手段として、可能な限りフランジ面120、122、124を広くして、スポット溶接点を増やして応力の分散を図ることも考えられる。しかし、このような対策を講じた場合には各部材が強く拘束されることになるため、ランフラットタイヤを装着した場合などでは極めて高い応力が発生してしまい、逆効果となるおそれもある。
本実施形態の車体側部構造110では、各部材の動きがある程度許容されるため、高い応力の発生を回避することができる。そのため、ランフラットタイヤを装着したとしても不具合を生じることがない。特に、この車体側部構造110は、車両レイアウト上、応力低減の対策が限られ(例えば、フランジ面120、122、124を広くしたりできない)小型車等に適用することで、有効となる。
なお、上記実施形態では、ビード形状部126、128をリアドア開口部104側に設定する場合について説明した。これは、実際の試験により、リアドア開口部104側の方がフロントドア開口部102側よりも、応力、錆や異音の問題が発生するおそれがある評価結果が出たためである。しかし、当然ながらフロントドア開口部102側に適用してもよく、この場合にも同様の効果を奏する。
なお、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、センターピラーインナ、センターピラーリンフォースおよびサイドボディアウタを有する自動車等の車体側部構造として利用することができる。
100…自動車、102…フロントドア開口部、104…リアドア開口部、110…車体側部構造、112…センターピラー、114…センターピラーインナ、116…センターピラーリンフォース、118…サイドボディアウタ、120、122、124…フランジ面、126、128…ビード形状部、130…サイドシルストレングス、210…車体側部構造、214…センターピラーインナ、216…センターピラーリンフォース、218…サイドボディアウタ、220、222、224…フランジ面、226…ビード形状部

Claims (2)

  1. 車体側部の略中央にて上下方向に延び、車体側部の下部にて車体前後方向に延びるサイドシルストレングスに下端が結合するセンターピラーインナと、該センターピラーインナの車外側にて上下方向に延び、該サイドシルストレングスよりも高い位置に下端が位置するセンターピラーリンフォースと、該センターピラーインナおよび該センターピラーリンフォースの車外側に配置され、車体側部の外面を形成するサイドボディアウタとを含む車体側部構造において、
    前記センターピラーインナ、前記センターピラーリンフォース、および前記サイドボディアウタのそれぞれに設けられた、リアドア開口部の前端またはフロントドア開口部の後端へと張り出した車体側面に対し略平行なフランジ面と、
    前記センターピラーインナのフランジ面のうち前記センターピラーリンフォースのフランジ面の下端の周辺に形成された、車内側に突き出た第1のビード形状部と、
    前記サイドボディアウタのフランジ面のうち前記センターピラーリンフォースのフランジ面の下端の周辺に形成された、車外側に突き出た第2のビード形状部と、
    を有し、
    前記センターピラーインナ、前記センターピラーリンフォース、および前記サイドボディアウタがそれぞれに設けられた前記フランジ面で、互いに接合されていることを特徴とする車体側部構造。
  2. 前記第2のビード形状部は、前記第1のビード形状部よりも前記センターピラーリンフォースのフランジ面の下端から離れる距離が小さく、前記第1のビード形状部よりも上下方向に長いことを特徴とする請求項1に記載の車体側部構造。
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