JP2012116152A - 感熱記録体 - Google Patents

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有希子 佐藤
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Yoshimi Midorikawa
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Abstract

【課題】感熱記録体の裏面(感熱記録層の反対面)に印刷した場合においても、感熱記録面に印字した画像品質、特にバーコード読取り性と再印字性に優れると共に、感熱記録層塗工液等の塗工工程で良好な操業性を有しながら、古紙再生時の離解性が良好な感熱記録体を提供する。
【解決手段】支持体上に、無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料及び電子受容性顕色剤を含有する感熱記録層を設けた感熱記録体において、該支持体に機械パルプを5重量%以上含有させ、支持体のサイズ剤処理を調節することにより、支持体の感熱記録層を設ける面の点滴吸水度を50秒以上とすると共に、支持体の60分間の水浸漬後におけるJIS P8135に規定される湿潤引張強さの測定値を、JIS P8124に規定される坪量の値で除した値を2以上11以下とする。
【選択図】なし

Description

この発明は、感熱記録体の裏面印刷した際の印刷裏抜けに優れ、且つ感熱記録面の印字品質、特にバーコード読取り性と再印字性に優れると共に、感熱記録層塗工液等の塗工工程で良好な操業性を有しながら、古紙再生時の離解性が良好な感熱記録体に関する。
感熱記録体は通常無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料(以下、「ロイコ染料」ともいう)とフェノール性化合物等の電子受容性顕色剤(以下、「顕色剤」ともいう)とを、それぞれ微細な粒子に磨砕分散した後、両者を混合し、バインダー、充填剤、感度向上剤、滑剤及びその他の助剤を添加して得られた塗液を、紙、合成紙、フィルム、プラスチック等の支持体に塗工したものであり、サーマルヘッド、ホットスタンプ、熱ペン、レーザー光等の加熱による瞬時の化学反応により発色し、記録画像が得られる。感熱記録体は、ファクシミリ、コンピューターの端末プリンタ、自動券売機、計測用レコーダー、スーパーマーケットやコンビニ等のレシート等の記録媒体として広範囲に使用されており、レシートの記録媒体として使用される場合には、裏面に広告等を印刷する機会が増えており、感熱記録体には従来から要求されている発色感度、画質などの品質のほか、一般印刷適性(印刷裏抜け防止、着肉性、印刷作業性など)が求められている。
感熱記録体の裏面に一般印刷を施した場合、感熱記録体の支持体の不透明度が不十分であると、印刷した際に反対面(感熱記録層のある面)へインキが浸透し、感熱記録層に印字した文字等が読み取りにくくなる問題(即ち、印刷裏抜け)が生じる。このため、感熱記録体の支持体の不透明度を向上させることが重要となる。
一般に紙の不透明度を向上させる方法として、紙を嵩高にすることが知られている。感熱記録体の分野では、多価アルコールなどの嵩高剤を添加した支持体を用いて、発色感度を向上させた感熱記録体が開示されている(特許文献1)。
また機械パルプは新聞紙や雑誌等の原料として用いられているが、一般に機械パルプを使用することで紙が嵩高になることが知られている(特許文献2など)。
また、裏面にインクジェット記録適性を持たせた感熱記録体において、支持体と感熱記録層との間に二層の下塗り層を設けることにより、インクジェット記録された場合に感熱記録面に対するインクジェットのインクによる影響を抑制する方法が開示されている(特許文献3)。
一方、近年の資源保護運動の高まりから、オフィスや工場から排出される紙ゴミなどの古紙を回収し、原料として再利用することが望まれているが、一般に感熱記録体は古紙再生時の離解性が劣るため、混入の禁忌品とされている。
これは、感熱記録体の支持体に、感熱記録層塗工液等の塗工工程での断紙を防ぐ意味から、支持体の湿潤強度を高めるために湿潤強度増強剤が含有されていることによる。古紙再生処理を想定した場合、離解が素早く行われることが好ましく、その意味からは湿潤強度の低いものが好ましい。しかし、このような湿潤強度の低い感熱記録体は、感熱記録層塗工液等の塗工工程において、塗工機でかけられるテンションに支持体が耐えられず、断紙、機械停止という操業性の低下を招くという問題がある。
感熱記録体の古紙再生に関しては、例えば、支持体に湿潤強度増強剤としてグリオキザール及び/又はジアルデヒドデンプンを使用し、5分間および60分間の水浸漬後における支持体のJIS P8135に規定される湿潤引張強さの測定値を、JIS P8124に規定される坪量の値で除した値を特定の範囲とすることで、塗工工程での断紙が発生しない湿潤強度を有し、かつ古紙再生時の離解性を良好とした感熱記録体が開示されている(特許文献4)。
特開2002−293023 特開平6−286308 特開2008−105222 特開平7−164737
しかし不透明度を向上させるために支持体に嵩高剤を用いた場合、支持体の剛度が低下するため印刷作業性が低下する。また、支持体の表面強度も低下するため、一般印刷時にピッキング(インキのタック(粘着性)により支持体表層が引き剥がされること)等のトラブルが発生する。
また支持体に機械パルプを用いた場合、支持体上に感熱記録層を塗工する際に、塗工液が支持体中に含浸しやすく、塗工層の被覆性や平滑性が低下し(沈み込み)、印字濃度や再印字性(保存後の印字濃度)が低下する。
そのため、本発明は、感熱記録体の裏面(感熱記録層の反対面)に印刷した場合においても、感熱記録面に印字した画像品質、特にバーコード読取り性と再印字性に優れると共に、感熱記録層塗工液等の塗工工程で良好な操業性を有しながら、古紙再生時の離解性が良好な感熱記録体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を鋭意検討した結果、支持体上に、無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料及び電子受容性顕色剤を含有する感熱記録層を設けた感熱記録体であって、該支持体が機械パルプを5重量%以上含有するパルプから成り、該支持体の感熱記録層を設ける面の点滴吸水度(滴下水の量を0.001mlとする以外は、紙パルプ技術協会 J.TAPPI No.32−2:2000に規定される点滴吸水度に準じる。)が50秒以上であり、該支持体の60分間の水浸漬後におけるJIS P8135に規定される湿潤引張強さの測定値を、JIS P8124に規定される坪量の値で除した値が2以上11以下であることにより、上記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、支持体上に、無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料及び電子受容性顕色剤を含有する感熱記録層を設けた感熱記録体であって、該支持体が機械パルプを5重量%以上含有するパルプから成り、該支持体の感熱記録層を設ける面の点滴吸水度(滴下水の量を0.001mlとする以外は、紙パルプ技術協会 J.TAPPI No.32−2:2000に規定される点滴吸水度に準じる。)が50秒以上であり、該支持体の60分間の水浸漬後におけるJIS P8135に規定される湿潤引張強さの測定値を、JIS P8124に規定される坪量の値で除した値が2以上11以下であることを特徴とする感熱記録体である。
本発明により、感熱記録体の裏面(即ち、感熱記録層の反対面)に印刷した場合においても、感熱記録面に印字した画像の品質、特にバーコード読取り性に優れ(即ち、印刷裏抜けが少ない)、再印字性に優れると共に、感熱記録層塗工液等の塗工工程で良好な操業性を有しながら、古紙再生時の離解性が良好な感熱記録体を得ることができる。
支持体に機械パルプを含有させると、次のような効果を発現する。
木材繊維の形態がほとんどそのまま残って単繊維化している化学パルプに比べ、機械パルプは大部分が破断した繊維及び繊維束である。そのため機械パルプを含有したシートは嵩が高くなることにより、高い不透明性を有している。さらに、機械パルプは疎水性のリグニンで固められているため、インキに対する高い吸着性を有しているとともに機械パルプ自体が空隙を有している。そのため機械パルプを含有したシートは疎水性であるインキの着肉性に優れる。
これに対して、親水性である嵩高剤を含有したシートは、嵩が高くなることにより、高い不透明性を有しているが、疎水性であるインキに対する着肉性が不十分であるため、印刷した際に反対面へインキが浸透しやすいという問題(即ち、印刷裏抜け)が発生する。
本発明において、支持体を構成する機械パルプとは木材を物理的に破砕して得られたパルプを指し、破砕前に薬品或いは熱による処理を行ったパルプを含む。機械パルプとしては、例えば、グランドパルプ(GP)、リファイナグランドパルプ(RGP)、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等が挙げられるが、前述の方法によるものであればこれらに限定されず、単独で又は2種以上を同時に用いることができる。
特に、サーモメカニカルパルプ(TMP)は、他の機械パルプに比べて比散乱係数が高く、高い不透明度を得られることから、本願発明の感熱記録体の支持体として好ましく用いられる。
本発明において、この機械パルプと、化学パルプ(針葉樹の晒クラフトパルプ(NBKP)、未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹の晒クラフトパルプ(LBKP)、未晒クラフトパルプ(LUKP))、非木材パルプなどを支持体の要求される品質に応じて、適宜配合することができる。
本発明の支持体に古紙パルプを用いてもよい。
古紙パルプとは、古紙を原料とし、脱墨工程にてこれらの古紙に含まれるインキを除去したパルプを指す。古紙に含まれるインキとしては、印刷インキ(日本印刷学会編、“印刷工学便覧”、技報堂、p.606、1983)、ノンインパクトプリンティングインキ(“最新・特殊機能インキ”、シーエムシー、p1、1990)や主に新聞、更紙系雑誌に用いられる非加熱の浸透乾燥方式のオフセットインキ(後藤朋之、日本印刷学会誌、38(5)、7、(2001)など)が挙げられる。
古紙は、新聞、チラシ、更紙系雑誌、ダンボールなどの機械パルプを主原料パルプとして含有する古紙と、コート紙系雑誌、感熱・感圧紙、模造・色上質紙、コピー用紙、コンピューターアウトプット用紙などの化学パルプを主原料パルプとして含有する古紙に大分される。
古紙に含まれる機械パルプや化学パルプは、その性質を保持している。古紙に含まれる機械パルプは、上述したように、嵩が高く、機械パルプを含む古紙を含有したシートは高い不透明性を有している。
非木材パルプとしては、バガスパルプやワラパルプなどが挙げられる。
本発明において、支持体の全パルプに対する機械パルプの配合割合は、5重量%以上、好ましくは5〜95重量%の範囲、より好ましくは10〜50重量%、更に好ましくは10〜25重量%である。
機械パルプの配合割合が支持体のパルプ全体に対して5重量%未満では十分な不透明度を得ることが難しくなり、インキ裏抜け防止効果が期待できない。一方、機械パルプの配合割合を25重量%より多くすると、インキ裏抜け防止効果は向上するが支持体表面の平滑性が低下する傾向が見られる。その結果、支持体上に感熱記録層を塗工した際の塗工面の均一性が低下し、印字した画像の精細性は低下するため、バーコード読取り性の向上効果は飽和する傾向が見られる。特に機械パルプの配合割合を50重量%より多くすると、印字した画像の精細性の低下が大きく印字濃度、再印字性が低下すると共に、パルプ繊維の絡み合い(繊維間結合)の減少に伴い支持体の強度が低下するため、印刷時にインキのタック(粘着性)により、支持体表層が引き剥がされる紙剥けなどの問題が発生することがある。
古紙パルプを使用する場合、この機械パルプには古紙パルプが含有する機械パルプも含まれ、古紙パルプ中の機械パルプの配合割合は、JIS P8120に準じて測定される。支持体のパルプ全体に対する古紙パルプの配合割合は、インキ裏抜け防止効果と印字画像の精細さのバランスを最適化する目的で、好ましくは5〜95重量%の範囲、より好ましくは5〜80重量%、更に好ましくは5〜60重量%である。
また白色度や不透明度を向上させるために、支持体に填料を添加してもよい。填料としては、従来一般的に使用されている公知の填料、具体例としては、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、ホワイトカーボン、酸化チタン等の無機填料、スチレン−メタクリル共重合体樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂等の有機填料等が挙げられる。填料の添加量は特に制限されるものではないが、支持体の灰分として2〜20%になるように調整して添加することが好ましい。なお、支持体の灰分が20%を超えるとパルプ繊維の絡み合いが阻害されるため、十分な強度が得られなくなる恐れがある。なお、支持体の灰分はJIS P8251に準じて測定される。
本発明の感熱記録体の支持体においては、感熱記録層を設ける面の点滴吸水度を50秒以上とする。
この点滴吸水度は、滴下水の量を1μl(0.001ml)とした以外は、紙パルプ技術協会 J.TAPPI No.32−2:2000(紙−吸水試験方法−第2部:滴下法)に準じて測定する。即ち、測定用試験片(紙)を水平に張り、その測定面(即ち、感熱記録層を設ける面)に、蒸留水1μl(0.001ml)を滴下したときの、目視観察で水滴が吸収されるまでの時間を測定する。この測定用試験片(紙)の大きさは、この測定ができるものであればよく、例えば、直径が少なくとも40mm程度の円形のものを用いてもよい。点滴吸水度は、時間(秒)で表わされ、点滴吸水度が高いほど吸水性は低く、点滴吸水度が低いほど吸水性は高い。
支持体の感熱記録層を設ける面の点滴吸水度が50秒以上であることにより、支持体上に感熱記録層を塗工した際の塗工液の沈み込みを抑制して塗工層の有効層厚が大きくなり、かつ均一な塗工面が得られるため、印字した画像の精細性が向上してバーコード読取り性、印字濃度、再印字性が良好となる。点滴吸水度は、好ましくは80秒以上であり、更に好ましくは100秒以上である。点滴吸水度が高いとバーコード読取り性、印字濃度、再印字性は良好となる。支持体の感熱記録層を設ける面の点滴吸水度が50秒未満であると、支持体上に感熱記録層を塗工した際の塗工液の沈み込みが大きく、十分なバーコード読取り性、印字濃度、再印字性が得られない。一方、点滴吸水度が高すぎると、一般印刷において、インキのハジキによる印刷ムラ(特に網点部での濃度ムラ)が発生したり、インキの定着性低下による再転写(印刷後にインキが他の印刷物や印刷版胴に転写すること。)などの問題が生じてくることから、点滴吸水度は好ましくは300秒以下、より好ましくは200秒以下である。
本発明においては、支持体の感熱記録層を設ける面の点滴吸水度は、支持体をサイズ剤で処理することにより調節する。サイズ剤は、支持体の抄造工程で内添してもよいし、抄造後塗工(外添)してもよいが、抄造後塗工(外添)することが好ましい。このようなサイズ剤の種類、使用量、添加方法を、支持体を構成するパルプに応じて適宜選択し調節することなどにより、所望の点滴吸水度を得ることができる。
内添とは、いわゆるウエットエンドでパルプスラリー中にサイズ剤を添加し、抄造と同時に支持体内部にサイズ剤を含有させる方法のことであり、外添とは、支持体の抄造後、ブレードコーター、ゲートロールコーター、サイズプレスコーター、ロッドメタリングサイズプレスなどに代表される塗工機を用いて、サイズ剤を支持体表面に塗工する方法である。
内添のためのサイズ剤(内添サイズ剤)としては、酸性抄造の場合、強化ロジンサイズ剤、エマルジョンサイズ剤、合成系サイズ剤などが、中性抄造の場合、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニルコハク酸無水物(ASA)などが用いられる。
また、外添のためのサイズ剤(外添サイズ剤)としては、スチレン−マレイン酸系共重合体樹脂、スチレン−アクリル酸系共重合体樹脂などのカチオン性ポリマーやアニオン性ポリマー、スチレン系ポリマー、イソシアネート系ポリマーなどのカチオン性ポリマー、ロジン、トール油及びフタル酸などのアルキド樹脂ケン化物、石油樹脂とロジンのケン化物などのアニオン性低分子化合物、α−オレフィン−マレイン酸系共重合体樹脂、アクリル酸エステル−アクリル酸系共重合体樹脂、アルキルケテンダイマー(AKD)などが挙げられるが、中性抄紙下でセルロース中のカルボキシル基と相互作用しやすいスチレン−アクリル酸系共重合体樹脂のカチオン性ポリマーやアルキルケテンダイマー(AKD)が好ましく、特にスチレン−アクリル酸系共重合体樹脂のカチオン性ポリマーがより好ましい。
一般に、支持体中に前述の機械パルプを含有させると、支持体が嵩高になり、支持体中の空隙が増大するため、点滴吸水度は低下する傾向が見られる。
また、支持体が古紙パルプを含有する場合、古紙パルプに含有される界面活性剤などの影響により支持体の点滴吸水度が低下する傾向が見られる。
このような場合においても、サイズ剤の種類、使用量、添加方法を適宜選択し調節して、所望の点滴吸水度を得ることができる。
なお、サイズ剤を抄造工程で内添しただけの場合や、感熱記録層を設ける面とその反対面(即ち、印刷面)に同じサイズ剤の塗工を施した場合には、感熱記録層を設ける面の点滴吸水度は、感熱記録体におけるその反対面を測定したものと同じになる。
支持体の抄造方法は特に限定されるものではなく、トップワイヤーなどを含む長網マシン、円網マシン、この両者の併用マシン、ヤンキードライヤーマシンなどを用いることができる。また、抄造方法としては、酸性抄造、中性抄造、アルカリ性抄造方式から適宜選択することができ、特に限定されるものではない。
サイズ剤を支持体の抄造工程で内添する場合の添加量は、所望の点滴吸水度を与えるような量にすればよいが、好ましくは固形分で対パルプ重量あたり0.05〜1重量%、より好ましくは0.05〜0.5重量%である。
支持体にサイズ剤を外添するためには、支持体の抄造後に、例えばブレードコーター、ゲートロールコーター、サイズプレスコーター、ロッドメタリングサイズプレスなど公知の塗工装置を用いて、前述の外添に用いるサイズ剤を含む塗工液を支持体に含浸させ、あるいは塗工する。
サイズ剤を外添する場合の塗工量は、所望の点滴吸水度を与えるような量にすればよいが、ブレードコーター等の片面塗工が可能である塗工装置を用いた場合は、好ましくは支持体の感熱記録層を設ける面の乾燥塗工量が0.005〜0.25g/mであり、より好ましくは支持体の感熱記録層を設ける面の乾燥塗工量が0.025〜0.125g/mである。
また、ゲートロールコーター、サイズプレスコーター等の両面同時塗工を行う塗工装置を用いた場合は、支持体の両面に均等に塗工されるため、支持体の感熱記録層を設ける面の塗工量は、両面を合わせた塗工量の半分となる。
前記塗工液の固形分濃度は、組成や塗工装置等により適宜調整されるが、通常5〜15重量%程度である。
本発明においては、支持体の60分間の水浸漬後におけるJIS P8135に規定される湿潤引張強さの測定値を、JIS P8124に規定される坪量の値で除した値を2以上11以下とする。本発明の感熱記録体は上記範囲内の湿潤引張強さを有するものとしたことから、感熱記録層塗工液等の塗工工程においては、断紙を引き起こさず良好な操業性を有しながら、古紙再生時の離解処理工程においては、離解不良を起こさず良好な離解性を有する。支持体の60分間の水浸漬後におけるJIS P8135に規定される湿潤引張強さの測定値を、JIS P8124に規定される坪量の値で除した値を4以上9以下とすると、より好ましい。
本発明において、支持体の60分間の水浸漬後におけるJIS P8135に規定される湿潤引張強さの測定値を、JIS P8124に規定される坪量の値で除した値を2以上11以下とする方法としては、例えば、前述の機械パルプ、化学パルプなどの支持体を構成するパルプの種類や配合割合、JIS P8121に準じて測定されるフリーネス(カナダ標準濾水度、以下「CSF」ともいう。)を調整する方法、支持体の抄造工程で、カチオン化澱粉、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂などに代表される紙力剤を内添する方法、支持体の抄造後に前述の紙力剤を含む塗工液を支持体に含浸させ、あるいは塗工(外添)する方法等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの方法は単独で又は2種以上を組み合わせて同時に用いることができる。
本発明においては、湿潤引張強さが容易に得られ、且つ所望の範囲に調整することが容易であるため、支持体の抄造工程で紙力剤を内添する方法、もしくは支持体の抄造後に紙力剤を含む塗工液を支持体に含浸させ、あるいは塗工(外添)する方法が好ましく、支持体の抄造工程で紙力剤を内添する方法がより好ましく、両者の併用が最も好ましい。
本発明において、支持体の抄造工程で紙力剤を内添する方法、もしくは支持体の抄造後に紙力剤を含む塗工液を支持体に含浸させ、あるいは塗工(外添)する方法で使用可能な紙力剤の例としては、澱粉、酵素変性澱粉、熱化学変性澱粉、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉(例えば、ヒドロキシエチル化澱粉など)、アルデヒド化澱粉、カチオン化澱粉などの澱粉類、ポリアミド樹脂、ポリアミン樹脂、ポリアミド−ポリアミン樹脂、ポリアミド−エピクロルヒドリン樹脂、ポリアミド−ポリアミン−エピクロルヒドリン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂(カチオン性、アニオン性、両性)、ポリアミド−ポリ尿素−ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ化ポリアミド樹脂などのポリアミド/ポリアミン系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリエチレンイミン樹脂、ケトンアルデヒド樹脂、ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、末端アルキル変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類、スチレン・ブタジエン共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリル酸エステル、脂肪酸ジアミドなどを挙げることが可能であり、これらは、単独又は2種類以上混合して用いられる。
本発明においては、澱粉類、ポリアミド/ポリアミン系樹脂が好ましく、ポリアミド/ポリアミン系樹脂がより好ましい。ポリアミド/ポリアミン系樹脂の中でも、ポリアミド−エピクロルヒドリン樹脂、ポリアミド−ポリアミン−エピクロルヒドリン樹脂は、前記湿潤引張強さ(湿潤状態下における紙力)及び乾燥状態下の紙力の双方が容易に得られ、且つ前記湿潤引張強さを所望の範囲に調整することが容易であるため、特に好ましく用いられる。
支持体の抄造工程で紙力剤を内添する方法では、必要に応じて、更に支持体に抄造工程で通常使用される薬品類、例えば消泡剤、着色剤等の各種助剤を適宜配合してもよい。また、支持体の抄造後に紙力剤を含む塗工液を支持体に含浸させ、あるいは塗工(外添)する方法では、必要に応じて、更に該塗工液に顔料、分散剤、可塑剤、pH調整剤、消泡剤、保水剤、防腐剤、接着剤、着色染料、紫外線防止剤等の各種助剤を適宜配合してもよい。
本発明において、感熱記録体の支持体の坪量は、好ましくは30〜100g/m、より好ましくは40〜80g/m、更に好ましくは40〜50g/mである。この場合、感熱記録体の裏面に印刷した場合においても、優れたバーコード読取り性が得られるなどの本発明の効果が最大限に発揮される。支持体の坪量が30g/m未満であると感熱記録体の支持体として十分な強度を得られない恐れがある。また、支持体の坪量が100g/mを超えると、カレンダー等により塗工層表面を処理した際に平滑性が得られにくくなり、印字濃度、再印字性が低下する傾向が見られると共に、古紙再生時の離解処理工程において、離解性が低下する傾向が見られる。支持体の坪量はJIS P8124に準じて測定される。
以下、本発明の感熱記録層に使用される各種材料を例示するが、これらの材料は感熱記録層等をはじめとする必要に応じて設けられた各塗工層にも使用することができる。
本発明で使用するロイコ染料としては、従来の感圧あるいは感熱記録紙分野で公知のものは全て使用可能であり、特に制限されるものではないが、トリフェニルメタン系化合物、フルオラン系化合物、フルオレン系、ジビニル系化合物等が好ましい。以下に代表的な無色ないし淡色の染料(染料前駆体)の具体例を示す。また、これらの染料前駆体は単独又は2種以上混合して使用してもよい。
<トリフェニルメタン系ロイコ染料>
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド〔別名クリスタルバイオレットラクトン〕、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド〔別名マラカイトグリーンラクトン〕
<フルオラン系ロイコ染料>
3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−メチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−n−オクチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−n−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−p−メチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−ベンゾ〔a〕フルオラン、3−ジエチルアミノ−ベンゾ〔c〕フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−p−メチルアニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−キシルアミノ)−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイディノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−エトキシプロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、2−(4−オキサヘキシル)−3−ジメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−(4−オキサヘキシル)−3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−(4−オキサヘキシル)−3−ジプロピルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−メトキシ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−クロロ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ニトロ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−アミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−フェニル−6−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ベンジル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ヒドロキシ−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジブチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2,4−ジメチル−6−〔(4−ジメチルアミノ)アニリノ〕−フルオラン
<フルオレン系ロイコ染料>
3,6,6'−トリス(ジメチルアミノ)スピロ〔フルオレン−9,3'−フタリド〕、 3,6,6'−トリス(ジエチルアミノ)スピロ〔フルオレン−9,3'−フタリド〕
<ジビニル系ロイコ染料>
3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド、3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス−〔1,1−ビス(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド、3,3−ビス−〔1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド
<その他>
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−シクロヘキシルエチルアミノ−2−メトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(3'−ニトロ)アニリノラクタム、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(4'−ニトロ)アニリノラクタム、1,1−ビス−〔2',2',2'',2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジニトリルエタン、1,1−ビス−〔2',2',2'',2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2−β−ナフトイルエタン、1,1−ビス−〔2',2',2'',2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジアセチルエタン、ビス−〔2,2,2',2'−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−メチルマロン酸ジメチルエステル
本発明で用いられる顕色剤としては、従来の感圧あるいは感熱記録紙の分野で公知のものがすべて使用可能であり、特に制限されるものではないが、例えば、活性白土、アタパルジャイト、コロイダルシリカ、珪酸アルミニウムなどの無機酸性物質、4,4'−イソプロピリデンジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、ヒドロキノンモノベンジルエーテル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−n−プロポキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシ−4'−メチルジフェニルスルホン、4−ヒドロキシフェニル−4'−ベンジルオキシフェニルスルホン、3,4−ジヒドロキシフェニル−4'−メチルフェニルスルホン、特開平8−59603号公報記載のアミノベンゼンスルホンアミド誘導体、ビス(4−ヒドロキシフェニルチオエトキシ)メタン、1,5−ジ(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3−オキサペンタン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,4−ビス[α−メチル−α−(4'−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、1,3−ビス[α−メチル−α−(4'−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、ジ(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、2,2'−チオビス(3−tert−オクチルフェノール)、2,2'−チオビス(4−tert−オクチルフェノール)、WO97/16420号に記載のジフェニルスルホン架橋型化合物等のフェノール性化合物、WO02/081229号あるいは特開2002−301873号公報記載の化合物、またN,N'−ジ−m−クロロフェニルチオウレア等のチオ尿素化合物、p−クロロ安息香酸、没食子酸ステアリル、ビス[4−(n−オクチルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸亜鉛]2水和物、4−[2−(p−メトキシフェノキシ)エチルオキシ]サリチル酸、4−[3−(p−トリルスルホニル)プロピルオキシ]サリチル酸、5−[p−(2−p−メトキシフェノキシエトキシ)クミル]サリチル酸の芳香族カルボン酸、及びこれらの芳香族カルボン酸の亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、チタン、マンガン、スズ、ニッケル等の多価金属塩との塩、さらにはチオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体、テレフタルアルデヒド酸と他の芳香族カルボン酸との複合亜鉛塩等が挙げられる。これらの顕色剤は、単独又は2種以上混合して使用することもできる。WO97/16420号に記載のジフェニルスルホン架橋型化合物は、日本曹達(株)製商品名D−90として入手可能である。また、WO02/081229号等に記載の化合物は、日本曹達(株)製商品名NKK−395、D−100として入手可能である。この他、特開平10−258577号公報記載の高級脂肪酸金属複塩や多価ヒドロキシ芳香族化合物などの金属キレート型発色成分を含有することもできる。
本発明の感熱記録体に使用する増感剤としては、従来公知の増感剤を使用することができる。かかる増感剤としては、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド等の脂肪酸アマイド、エチレンビスアミド、モンタン酸ワックス、ポリエチレンワックス、1,2−ジ−(3−メチルフェノキシ)エタン、p−ベンジルビフェニル、β−ベンジルオキシナフタレン、4−ビフェニル−p−トリルエーテル、m−ターフェニル、1,2−ジフェノキシエタン、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ジ(p−クロロベンジル)、シュウ酸ジ(p−メチルベンジル)、テレフタル酸ジベンジル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−α−ナフチルカーボネート、1,4−ジエトキシナフタレン、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル、o−キシレン−ビス−(フェニルエーテル)、4−(m−メチルフェノキシメチル)ビフェニル、4,4'−エチレンジオキシ−ビス−安息香酸ジベンジルエステル、ジベンゾイルオキシメタン、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エチレン、ビス[2−(4−メトキシ−フェノキシ)エチル]エーテル、p−ニトロ安息香酸メチル、p−トルエンスルホン酸フェニルなどを例示することができるが、特にこれらに制限されるものではない。これらの増感剤は、単独又は2種以上混合して使用してもよい。
本発明で使用するバインダーとしては、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、アセトアセチル化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アマイド変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコール、オレフィン変性ポリビニルアルコール、ニトリル変性ポリビニルアルコール、ピロリドン変性ポリビニルアルコール、シリコーン変性ポリビニルアルコール、その他の変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体並びにエチルセルロース、アセチルセルロースのようなセルロース誘導体、カゼイン、アラビヤゴム、酸化澱粉、エーテル化澱粉、ジアルデヒド澱粉、エステル化澱粉、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリビニルブチラール、ポリスチロース及びそれらの共重合体、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、ケトン樹脂、クマロン樹脂などを例示することができる。これらの高分子物質は水、アルコール、ケトン類、エステル類、炭化水素などの溶剤に溶かして使用するほか、水又は他の媒体中に乳化又はペースト状に分散した状態で使用し、要求品質に応じて併用することもできる。
本発明で使用する架橋剤としては、グリオキザール、メチロールメラミン、メラミンホルムアルデヒド樹脂、メラミン尿素樹脂、ポリアミンエピクロロヒドリン樹脂、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ソーダ、塩化第二鉄、塩化マグネシウム、ホウ砂、ホウ酸、ミョウバン、塩化アンモニウムなどを例示することができる。
本発明で使用する顔料としては、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、ケイソウ土、タルク、酸化チタン、水酸化アルミニウムなどの無機顔料などが挙げられる。
本発明で使用する滑剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩、ワックス類、シリコーン樹脂類などが挙げられる。
また、本発明においては、上記課題に対する所望の効果を阻害しない範囲で、記録画像の耐油性効果などを示す画像安定剤として、4,4'−ブチリデン(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2'−ジ−t−ブチル−5,5'−ジメチル−4,4'−スルホニルジフェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、4−ベンジルオキシ−4'−(2,3−エポキシ−2−メチルプロポキシ)ジフェニルスルホン等を添加することもできる。
このほかにベンゾフェノン系やトリアゾール系の紫外線吸収剤、分散剤、界面活性剤、消泡剤、酸化防止剤、蛍光染料等を使用することができる。
本発明の感熱記録体に使用するロイコ染料、顕色剤、増感剤、その他の各種成分の種類及び量は要求される性能及び記録適性に従って決定され、特に限定されるものではないが、通常、ロイコ染料1重量部に対して顕色剤0.5〜10重量部、増感剤0.5〜10重量部程度が使用される。
ロイコ染料、顕色剤並びに必要に応じて添加する材料は、ボールミル、アトライター、サンドグライダーなどの粉砕機あるいは適当な乳化装置によって数ミクロン以下の粒子径になるまで微粒化し、バインダー及び目的に応じて各種の添加材料を加えて塗工液とする。
前記感熱記録層の塗工量は特に限定されないが、乾燥塗工量が2.0〜12.0g/mの範囲とすることが好ましい。特に乾燥塗工量が4.0〜8.0g/mの範囲であると、良好なバーコード読取り性、印字濃度、再印字性が得られるため好ましい。感熱記録層の乾燥塗工量が2.0g/m未満であると、支持体が感熱記録層により十分に被覆されず、バーコード読み取り性や印字濃度が不十分となるおそれがある。感熱記録層の乾燥塗工量が12.0g/mを超えると、印字強度が低下する可能性がある。
本発明の感熱記録体においては、支持体と前記感熱記録層との間に下塗り層を設けてもよい。この下塗り層は、主としてバインダーと顔料とから成る。
前記下塗り層のバインダーとしては、一般的に使用されている水溶性高分子あるいは疎水性高分子のエマルジョン等が適宜使用可能である。具体例としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、等のセルロース誘導体、デンプンとその誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン等の水溶性高分子、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、スチレン/ブタジエン共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン/酢酸ビニル共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル系共重合体等の疎水性高分子のエマルジョンを用いることができる。これらのバインダーは1種又は2種以上用いてもよい。
前記下塗り層の顔料としては、従来一般的に使用されている公知の顔料、具体例としては炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、焼成カオリン、クレー、タルク等の無機顔料などを使用することができる。これらの顔料は1種又は2種以上用いてもよい。下塗り層中の顔料は、下塗り層の全固形分に対して、通常50〜95重量%、好ましくは70〜90重量%である。
下塗り層の塗工液には必要に応じて、分散剤、可塑剤、pH調整剤、消泡剤、保水剤、防腐剤、着色染料、紫外線防止剤等の各種助剤を適宜配合してもよい。
本発明の感熱記録体の支持体は、感熱記録層を設ける面の点滴吸水度が50秒以上であるように設計されており、下塗り層の塗工液においても感熱記録層の塗工液と同様に、塗工液の支持体への沈み込みを抑制する効果がある。そのため、下塗り層の乾燥後の塗工量が少なくても、下塗り層の有効層厚が大きく、かつ均一な塗工面が得られる。この塗工面の上に感熱記録層の塗工液を塗工することにより、下塗り層を設けない場合よりも感熱記録層の塗工液の沈み込みは抑制され、感熱記録層の有効層厚が大きく、かつ均一性の高い塗工面が得られる。その結果、感熱記録面に印字した画像の品質、即ち、バーコード読み取り性、印字濃度、再印字性は特に良好となる。
更に、感熱記録体の裏面(即ち、感熱記録層の反対面)に印刷した際に、下塗り層は感熱記録面へインキが浸透することを抑制する効果がある。本発明では、前述の通り下塗り層の有効層厚が大きく、かつ均一な塗工面が得られるため、下塗り層を厚くしたり、下塗り層を多層にして、インキが浸透しないようなバリア性を持たせる必要は無い。従って、本発明の感熱記録体においては、下塗り層の乾燥後の塗工量は比較的少ない。
下塗り層の乾燥塗工量は、好ましくは15g/m以下、より好ましくは1〜15g/m、更に好ましくは3〜10g/mである。
また、本発明の感熱記録体の感熱記録層を設ける面の反対面(即ち、印刷面)は、感熱記録層を設ける面と同じであってもよいが、印刷に適するように適宜表面処理等を施してもよい。
本発明の感熱記録体は、必要に応じて、感熱記録層上に保護層、その他感熱記録体に常用される塗工層を設けてもよい。
感熱記録層、下塗り層、保護層など各塗工層の塗工には、カーテンコーター、エアーナイフコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、ロールコーター、リップコーター及びバーコーター等、汎用の塗工機を用いることができる。
以下、実施例にて本発明を例証するが本発明を限定することを意図するものではない。
なお、各実施例中、特にことわらない限り「部」は「重量部」、「%」は「重量%」を示す。各パルプのフリーネス(カナダ標準濾水度、以下「CSF」ともいう。)はJIS P8121に準じて測定した。
なお、以下の実施例と比較例において、発明の効果を明らかにする目的で密度が同程度となるように、支持体はマシンカレンダー処理によって密度が0.7g/cm程度となるように調整した。
また、点滴吸水度は、下塗り層を設けていない紙支持体の感熱記録層を設ける面の点滴吸水度を指す。
下記のように支持体を用意した。
(支持体1)
CSF90mlのTMP20部とCSF300mlのLBKP80部からなるパルプ100部に対して、紙力剤1(ポリアミド−エピクロルヒドリン樹脂、星光PMC社製WS4024、固形分24%)1.0部(固形分換算で0.24部)、硫酸アルミニウム0.7部と炭酸カルシウム10部を添加・混合した原料を、長網抄造機で抄造した。その両面に、紙力剤2(ヒドロキシエチル化澱粉、STALEY社製ETHYLEX2035)及びカチオン性サイズ剤(スチレン−アクリル酸系共重合体樹脂のカチオン性ポリマー、ハリマ化成株式会社製LC−5)からなるクリヤーサイズ塗工液を、ヒドロキシエチル化澱粉の支持体両面の乾燥塗工量が0.67g/m(感熱記録層を設ける面の乾燥塗工量が0.335g/m)、カチオン性サイズ剤の支持体両面の乾燥塗工量が0.15g/m(感熱記録層を設ける面の乾燥塗工量が0.075g/m)になるように、ゲートロールコーターで塗工した。カレンダーで密度が0.7g/cmになるように処理することにより、坪量48g/m、灰分5%の紙支持体を得た。
この紙支持体の感熱記録層を設ける面の点滴吸水度は170秒であり、該支持体の60分間の水浸漬後におけるJIS P8135に規定される湿潤引張強さの測定値を、JIS P8124に規定される坪量の値で除した値は6.3であった。
次に、上記で得た紙支持体の片面に、下記配合からなる下塗り層用塗工液をロッドブレード法で塗工・乾燥して、下塗り層の乾燥塗工量を8.0g/mとした。以下、下塗り層が設けられた支持体を支持体1という。
<下塗り層用塗工液>
焼成カオリン(エンゲルハード社製:アンシレックス90) 100部
スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(日本ゼオン社製:ST5526、
固形分48%) 40部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製:PVA117、
固形分10%) 30部
水 146部
[実施例1]
(感熱記録層)
下記配合の顕色剤分散液(A液)、ロイコ染料分散液(B液)及び増感剤分散液(C液)を、それぞれ別々にサンドグラインダーで平均粒子径が0.5μmになるまで湿式磨砕を行なった。
顕色剤分散液(A液)
4−ヒドロキシ−4'−イソプロポキシジフェニルスルホン 6.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製:PVA117、
固形分10%) 18.8部
水 11.2部
ロイコ染料分散液(B液)
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(ODB−2)
2.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製:PVA117、
固形分10%) 4.6部
水 2.6部
増感剤分散液(C液)
シュウ酸ジベンジル 6.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製:PVA117、
固形分10%) 18.8部
水 11.2部
次に下記の割合で分散液を混合して感熱記録層用塗工液を調製し、この感熱記録層用塗工液を、上記で得た支持体1の下塗り層上に乾燥塗工量が6.0g/mとなるようにロッドブレード法で塗工・乾燥した。このシートをスーパーカレンダーで感熱記録面の平滑度が500〜1000秒になるように処理して、感熱記録体を得た。
<感熱記録層用塗工液>
顕色剤分散液(A液) 36.0部
ロイコ染料分散液(B液) 9.2部
増感剤分散液(C液) 36.0部
軽質炭酸カルシウム分散液(白石カルシウム社製:ブリリアント15、
固形分:50%) 20.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製:PVA117、
固形分10%) 10.0部
[実施例2]
紙力剤1(ポリアミド−エピクロルヒドリン樹脂)をパルプ100部に対して0.4部(固形分換算で0.10部)とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。紙支持体の感熱記録層を設ける面の点滴吸水度は170秒であり、該支持体の60分間の水浸漬後におけるJIS P8135に規定される湿潤引張強さの測定値を、JIS P8124に規定される坪量の値で除した値は2.5であった。
[実施例3]
紙力剤1(ポリアミド−エピクロルヒドリン樹脂)をパルプ100部に対して2.1部(固形分換算で0.50部)とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。紙支持体の感熱記録層を設ける面の点滴吸水度は170秒であり、該支持体の60分間の水浸漬後におけるJIS P8135に規定される湿潤引張強さの測定値を、JIS P8124に規定される坪量の値で除した値は9.5であった。
[実施例4]
紙支持体を坪量40g/mとした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。紙支持体の感熱記録層を設ける面の点滴吸水度は170秒であり、該支持体の60分間の水浸漬後におけるJIS P8135に規定される湿潤引張強さの測定値を、JIS P8124に規定される坪量の値で除した値は7.2であった。
[実施例5]
紙支持体を坪量60g/mとした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。紙支持体の感熱記録層を設ける面の点滴吸水度は170秒であり、該支持体の60分間の水浸漬後におけるJIS P8135に規定される湿潤引張強さの測定値を、JIS P8124に規定される坪量の値で除した値は5.0であった。
[実施例6]
パルプ配合を、TMP70部、LBKP30部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。紙支持体の感熱記録層を設ける面の点滴吸水度は100秒であり、該支持体の60分間の水浸漬後におけるJIS P8135に規定される湿潤引張強さの測定値を、JIS P8124に規定される坪量の値で除した値は6.4であった。
[実施例7]
パルプ配合を、TMP10部、RGP(CSF70ml)10部、NBKP(CSF470ml)5部、LBKP75部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。この紙支持体の感熱記録層を設ける面の点滴吸水度は155秒であり、該支持体の60分間の水浸漬後におけるJIS P8135に規定される湿潤引張強さの測定値を、JIS P8124に規定される坪量の値で除した値は7.3であった。
[実施例8]
パルプ配合を、TMP5部とCSF300mlの古紙パルプ(機械パルプの配合割合10%、以下同じ。)95部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。紙支持体の感熱記録層を設ける面の点滴吸水度は155秒であり、該支持体の60分間の水浸漬後におけるJIS P8135に規定される湿潤引張強さの測定値を、JIS P8124に規定される坪量の値で除した値は4.8であった。
[実施例9]
パルプ配合を、TMP40部、古紙パルプ60部とした以外は、実施例4と同様にして感熱記録体を得た。紙支持体の感熱記録層を設ける面の点滴吸水度は130秒であり、該支持体の60分間の水浸漬後におけるJIS P8135に規定される湿潤引張強さの測定値を、JIS P8124に規定される坪量の値で除した値は5.6であった。
[実施例10]
紙力剤1(ポリアミド−エピクロルヒドリン樹脂)を紙力剤3(変性ポリアクリルアミド樹脂、星光PMC社製DS383、固形分20%)に変え、パルプ100部に対して1.2部(固形分換算で0.24部)とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。紙支持体の感熱記録層を設ける面の点滴吸水度は170秒であり、該支持体の60分間の水浸漬後におけるJIS P8135に規定される湿潤引張強さの測定値を、JIS P8124に規定される坪量の値で除した値は4.2であった。
[実施例11]
支持体に下塗り層を設けない以外は実施例1と同様に、感熱記録層用塗工液を塗工して、感熱記録体を得た。
[比較例1]
パルプ配合を、LBKP100部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。紙支持体の感熱記録層を設ける面の点滴吸水度は190秒であり、該支持体の60分間の水浸漬後におけるJIS P8135に規定される湿潤引張強さの測定値を、JIS P8124に規定される坪量の値で除した値は6.1であった。
[比較例2]
パルプ配合を、LBKP100部として、パルプスラリーに対して、嵩高剤(花王株式会社製KB115、多価アルコールと飽和脂肪酸のエステル体)を対パルプ重量当たり0.5%となるように添加した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。紙支持体の感熱記録層を設ける面の点滴吸水度は160秒であり、該支持体の60分間の水浸漬後におけるJIS P8135に規定される湿潤引張強さの測定値を、JIS P8124に規定される坪量の値で除した値は5.2であった。
[比較例3]
嵩向上の為、LBKP製造時のリファイナーの強度を変更し、フリーネス(CSF)が570mlのLBKPを用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。紙支持体の感熱記録層を設ける面の点滴吸水度は140秒であり、該支持体の60分間の水浸漬後におけるJIS P8135に規定される湿潤引張強さの測定値を、JIS P8124に規定される坪量の値で除した値は4.6であった。
[比較例4]
カチオン性サイズ剤の支持体両面を合わせた乾燥塗工量を0.02g/m(感熱記録層を設ける面の乾燥塗工量が0.01g/m)とした以外は、実施例8と同様にして感熱記録体を得た。紙支持体の感熱記録層を設ける面の点滴吸水度は10秒であり、該支持体の60分間の水浸漬後におけるJIS P8135に規定される湿潤引張強さの測定値を、JIS P8124に規定される坪量の値で除した値は4.8であった。
[比較例5]
紙力剤1(ポリアミド−エピクロルヒドリン樹脂)をパルプ100部に対して0.04部(固形分換算で0.01部)とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。紙支持体の感熱記録層を設ける面の点滴吸水度は170秒であり、該支持体の60分間の水浸漬後におけるJIS P8135に規定される湿潤引張強さの測定値を、JIS P8124に規定される坪量の値で除した値は1.5であった。
[比較例6]
紙力剤1(ポリアミド−エピクロルヒドリン樹脂)をパルプ100部に対して8.3部(固形分換算で2.0部)とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。紙支持体の感熱記録層を設ける面の点滴吸水度は170秒であり、該支持体の60分間の水浸漬後におけるJIS P8135に規定される湿潤引張強さの測定値を、JIS P8124に規定される坪量の値で除した値は12.5であった。
[印字濃度]
感熱記録体に、大倉電機社製のTH−PMDを使用して、印加エネルギー0.35mJ/dotで印字を行ない、印字後の印字濃度をマクベス濃度計(RD−914、アンバーフィルター使用)で測定した。
[再印字性](保存後の印字濃度)
40℃、90%RHの環境下で感熱記録体を24時間保存した。保存後の感熱記録体に、大倉電機社製のTH−PMDを使用して、印加エネルギー0.35mJ/dotで印字を行ない、印字濃度をマクベス濃度計(RD−914、アンバーフィルター使用)で測定した。
[バーコード読取性(印刷裏抜け)]
作製した感熱記録体の感熱記録面と反対の面に、RI印刷機を用いてオフセット輪転印刷用インキ(墨)を印刷し乾燥させた後、感熱記録面にゼブラ社製ラベルプリンタ140XiIIIにてバーコード印字(CODE39)した後、印字されたバーコードをバーコードリーダー(日本システックス社製、Quick Check PC600)にて評価した。評価はANSIグレード(CEN法、測定回数10回の平均)にて行った。
評価値が1.5以上であれば、バーコード読取性において実用上問題ないレベルであり、一方、評価値が1.5未満であると、バーコード読取性において実用上問題が発生する。
[操業性]
感熱記録体の製造工程において、合計長100,000mの紙支持体上に下塗り層用塗工液および/または感熱記録層用塗工液を塗工する際の断紙の頻度を下記の基準で評価した。
良:断紙が発生しない
可:断紙が1回発生する
不可:断紙が2回以上発生する
[離解性]
JIS P8220に規定される標準離解機を用いて、パルプ濃度4.5%、NaOH濃度0.09%、温度50℃で5分間離解した後の離解状態を、下記の基準で目視で評価した。
良:未離解片がない
可:微少な未離解片がある
不可:未離解片がある
評価結果を下表に示す。なお、表中の点滴吸水度は、支持体の感熱記録層を設ける面の点滴吸水度を指す。
Figure 2012116152

Claims (2)

  1. 支持体上に、無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料及び電子受容性顕色剤を含有する感熱記録層を設けた感熱記録体であって、該支持体が機械パルプを5重量%以上含有するパルプから成り、該支持体の感熱記録層を設ける面の点滴吸水度(滴下水の量を0.001mlとする以外は、紙パルプ技術協会 J.TAPPI No.32−2:2000に規定される点滴吸水度に準じる。)が50秒以上であり、該支持体の60分間の水浸漬後におけるJIS P8135に規定される湿潤引張強さの測定値を、JIS P8124に規定される坪量の値で除した値が2以上11以下であることを特徴とする感熱記録体。
  2. 前記支持体と前記感熱記録層との間にバインダーと顔料とから成る下塗り層を設け、その塗工量が15g/m以下である請求項1に記載の感熱記録体。
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