JP2006205561A - 感熱記録体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 記録感度および画質、耐水性に優れ、さらには印字走行性(ヘッドカス、スティック)の良好な感熱記録体を提供。
【解決手段】 支持体上に顔料とバインダーとを主成分として含有する下塗層、無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料および電子受容性顕色剤とを主成分として含有する感熱記録層を設けた感熱記録体において、該下塗層がカルボキシ変性ポリビニルアルコールとエピクロロヒドリン系樹脂を含有することを特徴とする感熱記録体。
【選択図】なし

Description

本発明は、記録感度、画質、耐水性、印字走行性(ヘッドカス、スティック)に優れた感熱記録体に関するものである。
一般に、感熱記録体は通常無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料とフェノール性化合物などの電子受容性顕色剤とを、それぞれ微細な粒子に磨砕分散した後、両者を混合し、バインダー、充填剤、感度向上剤、滑剤及びその他の助剤を添加して得られた塗料を、紙、合成紙、フィルム、プラスチック等の支持体に塗工したものであり、サーマルヘッド、ホットスタンプ、熱ペン、レーザー光などの加熱による瞬時の化学反応により発色し、記録画像が得られる。感熱記録体は、ファクシミリ、コンピューターの端末プリンター、自動券売機、計測用レコーダーなどに広範囲に使用されている。近年、記録装置の多様化や高性能化の進展に伴って高速印字および高速の画像形成も可能となってきており、感熱記録体の記録感度に対してより優れた品質が求められている。また、用途の多様化に伴い、低濃度から高濃度にいたるいずれの領域においても、高画質の記録画像が得られることも求められている。
これらの要求を満たす方法として、スーパーカレンダーなどにより感熱記録層表面の平滑度を高めることが一般的に行われているが、必ずしも満足すべき画質が得られなくなってきている。また、高画質を得るためには下塗層の塗工均一性が重要であることが知られており、特許文献1ではスーパーカレンダーにより下塗層の平滑性を向上することが提案されているが、カレンダー圧によって下塗層の多孔性が損なわれ断熱性を失い感度が低下してしまう。さらに、ドット再現性に優れた感熱記録材料を提供するために、特許文献2および3では第一中間層、第二中間層を積層する方法が提案されているが、工程が複雑になるなど製造上不利である。さらには、感度を向上させるために、下塗層中に無機顔料よりも熱伝導率の低い有機微粒子を含有させる特許文献4や空気の断熱性を加味するため中空粒子を含有させる特許文献5が提案されている。しかし、これらの方法は、感度の向上に効果は見られるが、ヘッドカスの付着やスティックなどによる印字障害が発生しやすく不十分な技術であった。
また近年においては、各種チケット用、レシート用、ラベル用、銀行のATM用、ガスや電気の検針用、車馬券などの金券用などにも感熱記録体の用途が拡大してきており、このため、感熱記録体に対して従来では問題になっていなかった耐水性のような厳しい特性が要求され始めている。これらの用途の場合、屋外で使用されることが多く、雨などの水分や湿気などによって記録部の判読が困難とならないよう、従来に比べて過酷な環境下での使用に耐える品質性能が必要となる。
特開昭56−867921号 特開2000−108518号 特開平05−270134号 特開昭60−3697号 特開昭59−225987号
そこで、本発明は、記録感度および画質、耐水性に優れ、さらには印字走行性(ヘッドカス、スティック)の良好な感熱記録体を提供することを課題とする。
本発明者らは鋭意検討の結果、カルボキシル基含有樹脂とエピクロロヒドリン系樹脂を含有した下塗り層を設けることで上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、支持体上に顔料とバインダーとを主成分とする下塗り層、無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料および電子受容性顕色剤とを主成分として含有する感熱記録層を設けた感熱記録体において、該下塗り層がカルボキシル基含有樹脂、特にカルボキシ変性ポリビニルアルコールとエピクロロヒドリン系樹脂を含有することを特徴とする感熱記録体とすることにより、課題を解決するものである。
本発明によれば、記録感度および画質、耐水性に優れ、さらには印字走行性(ヘッドカス、スティック)の良好な感熱記録体を得ることができる。
本発明は、カルボキシル基含有樹脂とエピクロロヒドリン系樹脂とを含有した下塗り層を設けることによって、優れた記録感度および画質、耐水性、さらには印字走行性(ヘッドカス、スティック)の良好な感熱記録体を得ることができる。
本発明において、下塗層に含有されるカルボキシル基含有樹脂とは、カルボキシル基を有するバインダーである。例えば、メタクリル酸、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ターシャーリーブチルアミノエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸テトラヒドロフリフリルなどのカルボキシル基を有する一官能性アクリルモノマーを含む樹脂、酸化でんぷん、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールにカルボキシル基を導入したカルボキシ変性ポリビニルアルコールなどが挙げられ、単独あるいは2種類以上を組み合わせて用いることができる。また、上記カルボキシル基含有樹脂と併用できるバインダーとして、デンプンおよび変性デンプン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の水溶性高分子やスチレン・ブタジエン共重合体、アクリル酸系共重合体等の合成樹脂エマルジョン等が挙げられる。
なお、目標とする品質に合わせて、カルボキシル基含有樹脂と併用するバインダーの組み合わせは任意に選択することができ、配合量は適宜調整することが可能である。
本発明において、カルボキシル基含有樹脂として、耐熱性、耐溶剤性が優れているカルボキシ変性ポリビニルアルコールを用いるのが好ましい。
カルボキシ変性ポリビニルアルコールは、水溶性高分子に反応性を高める目的でカルボキシル基を導入したものであり、ポリビニルアルコールとフマル酸、無水フタル酸、無水メリト酸、無水イタコン酸などの多価カルボン酸との反応物、あるいはこれらの反応物のエステル化物、さらに酢酸ビニルとマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、アクリル酸、メタアクリル酸などのエチレン性不飽和ジカルボン酸との共重合物の鹸化物として得られる。具体的には例えば特開昭53−91995号公報などに例示されている製造方法が挙げられる。
本発明の下塗り層において、カルボキシル基含有樹脂としてカルボキシ変性ポリビニルアルコールを用いた場合、塗料の保水性や塗工層強度の点から、カルボキシ変性ポリビニルアルコールの重合度は1500以上、鹸化度は85%以上が好ましい。また、塗液の流動性を改善する効果のあるカルボキシ変性ポリビニルアルコールの含有量としては、顔料100重量部に対して0.5〜10重量部含有することが好ましく、より好ましくは顔料100重量部に対して1〜5重量部である。カルボキシ変性ポリビニルアルコールの含有量が少なすぎるとその作用が十分に発揮されず、多すぎると塗液粘度が高くなり高濃度塗工が困難となってしまう。塗液の濃度を下げた場合、同じ塗布量を得るためには塗液を多量に塗工しなければならず、乾燥負荷も増大し好ましくない。
また、カルボキシ変性ポリビニルアルコールは、低ハーキュレス粘度(回転力(シェア)がかかっている状態での流動性が高く、シェアの低いところでは不動化しやすい特性)であること、保水性が高い特性を有している。このため、カルボキシ変性ポリビニルアルコールを含有した塗料を塗工した場合、塗工時には塗料は滑らかに延びるが塗工後は直ちに不動化し易く、支持体へのバインダーの浸透を抑えることができるため、均質で凹凸のない下塗り層が形成される。つまり、下塗り層にカルボキシ変性ポリビニルアルコールを含有させることにより、優れた記録感度および画質である感熱記録体を得ることができる。
本発明では下塗層に含有されたカルボキシル基含有樹脂の架橋剤としてエピクロロヒドリン系樹脂を用いることで優れた品質が得られる。
本発明に使用されるエピクロロヒドリン系樹脂の具体例としては、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、ポリアミンエピクロロヒドリン樹脂などを挙げることができ、単独又は併用することもできる。また、エピクロロヒドリン系樹脂の主鎖に存在するアミンとしては第1級から第4級までのものを使用することができ、特に制限はない。さらに、カチオン化度および分子量は、耐水性が良好なことから、カチオン化度5meq/g・Solid以下(pH7での測定値)、分子量50万以上が好ましい。具体例としては、スミレーズレジン650(30)(住友化学社製)、スミレーズレジン675A(住友化学社製)、スミレーズレジン6615(住友化学社製)、WS4002(星光PMC社製)、WS4020(星光PMC社製)、WS4024(星光PMC社製)、WS4046(星光PMC社製)、WS4010(星光PMC社製)、CP8970(星光PMC社製)などが挙げられる。
本発明に用いられるエピクロロヒドリン系樹脂の含有比率としては、カルボキシル基含有樹脂100重量部に対して1〜100重量部含有させることが好ましく、より好ましくはカルボキシル基含有樹脂100重量部に対して5〜100重量部であることが望ましい。含有量が少なすぎると架橋反応が不十分となり良好な耐水性が得られず、多すぎると塗液の粘度増加やゲル化により操業性の問題が生じてしまうので好ましくない。
本発明において、エピクロロヒドリン系樹脂を含有させることによって優れた効果が発現する理由について、カルボキシル基含有樹脂にカルボキシ変性ポリビニルアルコールを使用した場合を例にして説明する。
本発明で用いられるエピクロロヒドリン系樹脂は多反応性官能基を有する架橋剤であり、エピクロロヒドリン系樹脂のアミンあるいはアミド部分がカルボキシ変性ポリビニルアルコールのカルボキシ基と架橋反応した際に網目構造を形成する。このため、カルボキシ変性ポリビニルアルコールとエピクロロヒドリン系樹脂を含有させた下塗り層は断熱効果の高いポーラスな層になり、電子供与性ロイコ染料と電子受容性顕色剤との発色反応においてサーマルヘッドからの熱を有効に使用できるため感度、画質が向上するものと推測される。また、サーマルヘッドからの熱で塗工層中の耐熱性の低い材料が溶融してしまい発生するヘッドカスやスティックの問題においても、ポーラスな下塗層の空隙に溶融物が吸着されることで溶融物の発生を抑制するため優れた印字走行性が得られたと推測される。
一方、一般的な架橋剤であるグリオキザールは2反応性官能基であり、カルボキシ変性ポリビニルアルコールの水酸基と架橋反応はするものの、網目構造は形成しないため、下塗り層にエピクロロヒドリン系樹脂を含有させた場合と比較して、感度、画質、印字走行性などが劣ると結果になったと推測される。
また、グリオキザールとカルボキシ変性ポリビニルアルコールの反応性より、エピクロロヒドリン系樹脂とカルボキシ変性ポリビニルアルコールの反応性の方が高いため、優れた耐水性が発現すると推測される。
本発明において、エピクロロヒドリン系樹脂はpHが6.0以上で良好な架橋反応が起こるアルカリ硬化型の樹脂であるため、エピクロロヒドリン系樹脂を含有した下塗層塗液のpHは6.0以上にすることが好ましい。
また、本発明においてエピクロロヒドリン系樹脂を添加する際は、pHを6.5〜10に調整することで凝集物の発生しない下塗層塗液を得ることができる。
一般にエピクロロヒドリン系樹脂の水溶液は水溶液中に遊離しているアミンを水溶液中に留めるために塩酸や硫酸で酸性にしている。このため、エピクロロヒドリン系樹脂のアミノ基は−NH で存在しているため、表面がマイナスに帯電している顔料に対して凝集を起こしやすい。一方、本発明のように、エピクロロヒドリン系樹脂の水溶液のpHを中性からアルカリ性領域にすることで、エピクロロヒドリン系樹脂のアミノ基は−NHの状態、つまりイオン的にニュートラルな状態なり、顔料に対して凝集を起こしにくくなっていると考えられる。このため、下塗層中において、エピクロロヒドリン系樹脂とバインダーが均一に架橋反応することにより、強固な下塗層となり、優れた耐水性が得られると共に、よりポーラスな塗工層が得られると考えられる。また、エピクロロヒドリン系樹脂の水溶液のpHを6.5以上にすることで炭酸カルシウムなどの顔料の溶解を抑制できる。
エピクロロヒドリン系樹脂のpH調整剤としては、水に溶解した際にアルカリ性を示すものであれば何れも使用することが可能であるが、水酸化ナトリウム及び水酸化カルシウムなどの水酸化物、珪酸ナトリウム等の珪酸塩、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、及び炭酸水素ナトリウムなどの炭酸塩並びに炭酸水素塩、リン酸ナトリウム及びリン酸水素二ナトリウムなどのリン酸塩並びにリン酸水素塩などの、水溶性アルカリ性塩類の水溶液や、アンモニア水などを例示することができる。
本発明において、下塗層に含有される顔料としては、(焼成)クレー、(焼成)カオリン、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、無定形シリカ、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウムなどが挙げられる。特に、吸油量(JIS K 5101法に基づく)が80cc/100g〜120cc/100gの焼成カオリンを用い場合、充分な断熱効果が与えられ、バインダーが顔料に多量に吸収されることがないため、均一な塗工層が形成される。この結果、高い記録感度と優れた画質のバランスのとれた感熱記録体を得ることができる。
しかしながら、形状が扁平である焼成カオリンを用いた場合、紡錘形、立方形、球形の炭酸カルシウムなどに比べて塗料の流動性に劣る傾向があり、また焼成されていることから表面にシラノールのOH基(水酸基)が存在しないため、水との結合性が弱くなり保水性が低い塗料になる。
これに対しては、本発明では、高い保水性を有するカルボキシ変性ポリビニルアルコールの添加、あるいは炭酸カルシウムの併用により、焼成クレーを用いた場合の塗料適性(保水性、流動性)を改善することが望ましい。
なお、炭酸カルシウムの添加量は全顔料に対する含有比率が30%以下となるように用いることが望ましい。この範囲で炭酸カルシウムを含有することにより、塗料の流動性が良好になり、均一な塗工層が形成されて画質が向上すると考えられる。一方、含有量が30%より多い場合は、発色感度が低くなる傾向があるため好ましくない。
本発明の下塗層においてはエピクロロヒドリン系樹脂と併用し、第二の架橋剤としてメラミン系樹脂または変性ポリアミン/アミド系樹脂を含有させることによって、さらに優れた記録感度および画質、耐水性、さらには印字走行性(ヘッドカス、スティック)の良好な感熱記録体を得ることができる。
本発明において、第二の架橋剤に使用されるメラミン系樹脂としては、メラミンホルムアルデヒド樹脂、メラミン尿素樹脂などを挙げることができ、具体例としてはスミレーズレジン613−s(住友化学社製)などが挙げられる。
本発明おいて、第二の架橋剤に使用される変性ポリアミン/アミド系樹脂としては、一般的に印刷適性向上剤と呼ばれるものであり、ポリアミド尿素系樹脂やポリエチレンイミンなどのポリアルキレンポリアミンなどが挙げられる。具体例としてはスミレーズレジン302(住友化学社製)、スミレーズレジン712(住友化学社製)、スミレーズレジン703(住友化学社製)、スミレーズレジン636(住友化学社製)、スミレーズレジンSPI−100(住友化学社製)、スミレーズレジンSPI−102A(住友化学社製)、スミレーズレジンSPI−106N(住友化学社製)、スミレーズレジンSPI−203(50)(住友化学社製)、スミレーズレジンSPI−198(住友化学社製)、プリンティブA−700(旭化成社製)、プリンティブA−600(旭化成社製)、PA6500(星光PMC社製)、PA6504(星光PMC社製)、PA6634(星光PMC社製)、PA6638(星光PMC社製)、PA6640(星光PMC社製)、PA6644(星光PMC社製)、PA6646(星光PMC社製)、PA6654(星光PMC社製)、PA6702(星光PMC社製)、PA6704(星光PMC社製)、CP8994(星光PMC社製)などが挙げられる。
本発明において、第二の架橋剤として用いられるメラミン系樹脂または変性ポリアミン/アミド系樹脂の含有比率としてはエピクロロヒドリン系樹脂と同様に、カルボキシル基含有樹脂100重量部に対してそれぞれ1〜100重量部含有させることが好ましく、より好ましくはカルボキシル基含有樹脂100重量部に対して5〜100重量部であることが望ましい。含有量が少なすぎると架橋反応が不十分となり良好な耐水性が得られず、多すぎると塗液の粘度増加やゲル化により操業性の問題が生じてしまうので好ましくない。
本発明において、第二の架橋剤を添加することにより優れた効果が得られる理由について、カルボキシル基含有樹脂にカルボキシ変性ポリビニルアルコールを使用した場合を例にして説明する。
第二の架橋剤としてメラミン系樹脂を用いた場合、第一の反応としてカルボキシル基と水酸基を有しているカルボキシ変性ポリビニルアルコールに対して、架橋剤であるエピクロロヒドリン系樹脂のアミンあるいはアミド部分などとカルボキシ変性ポリビニルアルコールのカルボキシル基、メラミン系樹脂とカルボキシ変性ポリビニルアルコールの水酸基の架橋反応が起こる。次に第二の反応として、第一の反応でメラミン系樹脂とカルボキシ変性ポリビニルアルコールが架橋反応することにより、メラミン系樹脂に電子的な偏りが生じるため、メラミン系樹脂の官能基あるいは特定部位の反応性が高くなり、もう一方の架橋剤であるエピクロロヒドリン系樹脂のアミンあるいはアミドなどの部分と反応が起こる。この第一および第二の反応により、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、エピクロロヒドリン系樹脂、メラミン系樹脂の三者間のより強固な三次元的分子間架橋構造を形成し、よりポーラスな下塗層をとなるため、優れた耐水性、発色性、画質、印字走行性(ヘッドカス、スティック)が得られると推測される。
第二の架橋剤として変性ポリアミン/アミド系樹脂を用いた場合、カルボキシ変性ポリビニルアルコールのカルボキシル基と、架橋剤であるエピクロロヒドリン系樹脂のアミンあるいはアミド部分が、架橋反応を引き起こし一次的な耐水化を発現する。次に、変性ポリアミン/アミド系樹脂の親水性部位とカルボキシ変性ポリビニルアルコールとエピクロロヒドリン系樹脂で形成された親水性のある架橋部位が引き合うため、この架橋部位は変性ポリアミン/アミド系樹脂の疎水基を外側にして包まれた状態、つまり親水性のある架橋部位が疎水性基で水から保護された状態となり、二次的な耐水化が発現する。このため、より強固な耐水性が得られると推測される。また、変性ポリアミン/ポリアミド系樹脂の親水性部位がカルボキシ変性ポリビニルアルコールの水酸基に引き付けられ、カルボキシ変性ポリビニルアルコールが変性ポリアミン/アミド系樹脂の疎水基を外側にして包まれた状態になるとともに、変性ポリアミン/アミド系樹脂のカチオン性部位がカルボキシ変性ポリビニルアルコールのカルボキシル基と一種の架橋反応していることも、高い耐水化が発現している一因であると考えられる。また、カルボキシ変性ポリビニルアルコールとエピクロロヒドリン系樹脂の架橋反応により三次元的な構造を有していること、カチオン性である変性ポリアミン/アミド系樹脂がアニオン性の顔料に対して分散効果を発揮するため、よりポーラスな下塗層になると推測される。
このような理由から、本発明の下塗層においてはエピクロロヒドリン系樹脂と併用し、第二の架橋剤としてメラミン系樹脂または変性ポリアミン/アミド系樹脂を含有させることによって、より優れた感度および画質、耐水性と印字走行性(ヘッドカス、スティック)が得られたと考えられる。
本発明において、下塗り層の塗布量は1〜15g/m程度で、通常の塗工機を用いて紙、再生紙、合成紙、フィルム、プラスチックフィルム、発泡プラスチックフィルム、不織布などの適当な材質の支持体上に塗布することによって容易に行われる。また、これらを組み合わせた複合シートを支持体として使用してもよい。塗工方法としてはエアーナイフ法、ブレード法、グラビア法、ロールコーター法、カーテン法などの既知の塗布方法をいずれも利用してよいが、高濃度の塗工が可能で塗液が支持体に浸透しにくく、均一な層構成が形成されることからブレード塗工によって下塗層を形成することが好ましい。
次に、本発明で使用される各種材料を例示するが、バインダーや架橋剤、顔料などは上記課題に対する所望の効果を阻害しない範囲で下塗層にも使用でき、また下塗層のみならず感熱記録層などをはじめとする必要に応じて設けられた各塗工層にも使用することができる。
本発明で使用するバインダーとしては、重合度が200〜1900の完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、アセトアセチル化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アマイド変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコール、オレフィン変性ポリビニルアルコール、ニトリル変性ポリビニルアルコール、ピロリドン変性ポリビニルアルコール、シリコーン変性ポリビニルアルコール、その他の変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体並びにエチルセルロース、アセチルセルロースのようなセルロース誘導体、カゼイン、アラビヤゴム、酸化澱粉、エーテル化澱粉、ジアルデヒド澱粉、エステル化澱粉、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリビニルブチラール、ポリスチロースおよびそれらの共重合体、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、ケトン樹脂、クマロ樹脂などを例示することができる。これらの高分子物質は水、アルコール、ケトン類、エステル類、炭化水素などの溶剤に溶かして使用するほか、水又は他の媒体中に乳化又はペースト状に分散した状態で使用し、要求品質に応じて併用することも出来る。
本発明でエピクロロヒドリン系樹脂と併用できる架橋剤としては、グリオキザール、メチロールメラミン、メラミンホルムアルデヒド樹脂、メラミン尿素樹脂、ポリアミンエピクロロヒドリン樹脂、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、ポリアミド尿素系樹脂、ポリアルキレンポリアミン、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ソーダ、塩化第二鉄、塩化マグネシウム、ホウ砂、ホウ酸、ミョウバン、塩化アンモニウムなどを例示することができる。
本発明で使用する顔料としては、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、ケイソウ土、タルク、酸化チタン、水酸化アルミニウムなどの無機または有機充填剤などが挙げられる。下塗層中に用いる顔料としては発色感度と画質のバランスなどを考慮した場合、焼成カオリンが好ましい。
本発明で使用する滑剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩、ワックス類、シリコーン樹脂類などが挙げられる。
また、本発明においては、上記課題に対する所望の効果を阻害しない範囲で、記録画像の耐油性効果などを示す画像安定剤として、4,4’−ブチリデン(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジメチル−4,4’−スルホニルジフェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、4−ベンジルオキシ−4’−(2,3−エポキシ−2−メチルプロポキシ)ジフェニルスルホン等を添加することもできる。
このほかにベンゾフェノン系やベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤、分散剤、消泡剤、酸化防止剤、蛍光染料等を使用することができる。
本発明で使用する電子供与性ロイコ染料としては、従来の感圧あるいは感熱記録紙分野で公知のものは全て使用可能であり、特に制限されるものではないが、トリフェニルメタン系化合物、フルオラン系化合物、フルオレン系、ジビニル系化合物等が好ましい。以下に代表的な無色ないし淡色の染料(染料前駆体)の具体例を示す。また、これらの染料前駆体は単独または2種以上混合して使用してもよい。
<トリフェニルメタン系ロイコ染料>
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド〔別名クリスタルバイオレットラクトン〕
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド
〔別名マラカイトグリーンラクトン〕
<フルオラン系ロイコ染料>
3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−メチルアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−n−オクチルアニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−n−オクチルアミノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ベンジルアミノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ジベンジルアミノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−p−メチルアニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン
3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン
3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−ベンゾ〔a〕フルオラン
3−ジエチルアミノ−ベンゾ〔c〕フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−クロロフルオラン
3−ジブチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン
3−ジブチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−p−メチルアニリノフルオラン
3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン
3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジ−n−ペンチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン
3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン
3−ジ−n−ペンチルアミノ−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン
3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−キシルアミノ)−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン
3−(N−エチル−p−トルイディノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−クロロ−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−エトキシプロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン
2−(4−オキサヘキシル)−3−ジメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
2−(4−オキサヘキシル)−3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
2−(4−オキサヘキシル)−3−ジプロピルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
2−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−メトキシ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−クロロ−3−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−クロロ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−ニトロ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−アミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−フェニル−6−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−ベンジル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−ヒドロキシ−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン 3−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジブチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2,4−ジメチル−6−〔(4−ジメチルアミノ)アニリノ〕−フルオラン
<フルオレン系ロイコ染料>
3,6,6’−トリス(ジメチルアミノ)スピロ〔フルオレン−9,3’−フタリド〕
3,6,6’−トリス(ジエチルアミノ)スピロ〔フルオレン−9,3’−フタリド〕
<ジビニル系ロイコ染料>
3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド
3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド
3,3−ビス−〔1,1−ビス(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド
3,3−ビス−〔1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド
<その他>
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3−(4−シクロヘキシルエチルアミノ−2−メトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド
3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(3’−ニトロ)アニリノラクタム
3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(4’−ニトロ)アニリノラクタム
1,1−ビス−〔2’,2’,2'',2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジニトリルエタン
1,1−ビス−〔2’,2’,2'',2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2−β−ナフトイルエタン
1,1−ビス−〔2’,2’,2'',2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジアセチルエタン
ビス−〔2,2,2’,2’−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−メチルマロン酸ジメチルエステル
本発明で用いられる電子受容性顕色剤としては、従来の感圧あるいは感熱記録紙の分野で公知のものはすべて使用可能であり、特に制限されるものではないが、例えば、活性白土、アタパルジャイト、コロイダルシリカ、珪酸アルミニウムなどの無機酸性物質、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、ヒドロキノンモノベンジルエーテル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−n−プロポキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシ−4’−メチルジフェニルスルホン、4−ヒドロキシフェニル−4’−ベンジルオキシフェニルスルホン、3,4−ジヒドロキシフェニル−4’−メチルフェニルスルホン、特開平8−59603号公報記載のアミノベンゼンスルホンアミド誘導体、ビス(4−ヒドロキシフェニルチオエトキシ)メタン、1,5−ジ(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3−オキサペンタン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,4−ビス[α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、
1,3−ビス[α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、ジ(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、2,2’−チオビス(3−tert−オクチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェノール)、国際公開WO97/16420号に記載のジフェニルスルホン架橋型化合物等のフェノール性化合物、国際公開WO02/081229号あるいは特開2002−301873号公報記載の化合物、またN,N’−ジ−m−クロロフェニルチオウレア等のチオ尿素化合物、p−クロロ安息香酸、没食子酸ステアリル、ビス[4−(n−オクチルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸亜鉛]2水和物、4−[2−(p−メトキシフェノキシ)エチルオキシ]サリチル酸、4−[3−(p−トリルスルホニル)プロピルオキシ]サリチル酸、5−[p−(2−p−メトキシフェノキシエトキシ)クミル]サリチル酸の芳香族カルボン酸、およびこれらの芳香族カルボン酸の亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、チタン、マンガン、スズ、ニッケル等の多価金属塩との塩、さらにはチオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体、テレフタルアルデヒド酸と他の芳香族カルボン酸との複合亜鉛塩等が挙げられる。これらの顕色剤は、単独または2種以上混合して使用することもできる。国際公開WO97/16420号に記載のジフェニルスルホン架橋型化合物は、日本曹達(株)製商品名D−90として入手可能である。また、国際公開WO02/081229号等に記載の化合物は、日本曹達(株)製商品名NKK−395、D−100として入手可能である。この他、特開平10−258577号公報記載の高級脂肪酸金属複塩や多価ヒドロキシ芳香族化合物などの金属キレート型発色成分を含有することもできる。
本発明の感熱記録体に使用する増感剤としては、従来公知の増感剤を使用することができる。かかる増感剤としては、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミドなどの脂肪酸アマイド、エチレンビスアミド、モンタン酸ワックス、ポリエチレンワックス、1,2−ジ−(3−メチルフェノキシ)エタン、p−ベンジルビフェニル、β−ベンジルオキシナフタレン、4−ビフェニル−p−トリルエーテル、m−ターフェニル、1,2−ジフェノキシエタン、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ジ(p−クロロベンジル)、シュウ酸ジ(p−メチルベンジル)、テレフタル酸ジベンジル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−α−ナフチルカーボネート、1,4−ジエトキシナフタレン、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル、o−キシレン−ビス−(フェニルエーテル)、4−(m−メチルフェノキシメチル)ビフェニル、4,4’−エチレンジオキシ−ビス−安息香酸ジベンジルエステル、ジベンゾイルオキシメタン、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エチレン、ビス[2−(4−メトキシ−フェノキシ)エチル]エーテル、p−ニトロ安息香酸メチル、p−トルエンスルホン酸フェニルなどを例示することができるが、特にこれらに制限されるものではない。これらの増感剤は、単独または2種以上混合して使用してもよい。
本発明の感熱記録体に使用する電子供与性ロイコ染料、電子受容性顕色剤、その他の各種成分の種類及び量は要求される性能及び記録適性に従って決定され、特に限定されるものではないが、通常、電子供与性ロイコ染料1部に対して電子受容性顕色剤0.5〜10部、増感剤0.5〜10部程度が使用される。
上記組成からなる塗液を紙、再生紙、合成紙、フィルム、プラスチックフィルム、発泡プラスチックフィルム、不織布等任意の支持体に塗布することによって目的とする感熱記録体が得られる。またこれらを組み合わせた複合シートを支持体として使用してもよい。
電子供与性ロイコ染料、電子受容性顕色剤並びに必要に応じて添加する材料は、ボールミル、アトライター、サンドグライダーなどの粉砕機あるいは適当な乳化装置によって数ミクロン以下の粒子径になるまで微粒化し、バインダーおよび目的に応じて各種の添加材料を加えて塗液とする。塗布する手段は特に限定されるものではなく、周知慣用技術に従って塗布することができ、例えばエアーナイフコーター、ロッドブレードコーター、ベントブレードコーター、ベベルブレードコーター、ロールコーター、カーテンコーターなど各種コーターを備えたオフマシン塗工機やオンマシン塗工機が適宜選択され使用される。感熱記録層の塗布量は特に限定されず、通常乾燥重量で2〜12g/mの範囲である。また、感熱記録層上に設ける保護層の塗布量は特に限定されず、通常1〜5g/mの範囲である。
本発明の感熱記録体はさらに、支持体の感熱記録層とは反対面にバックコート層を設け、カールの矯正を図ることも可能である。また、各層の塗工後にスーパーカレンダーがけなどの平滑化処理を施すなど、感熱記録体分野における各種公知の技術を必要適宜付加することができる。
以下に本発明の感熱記録体を実施例によって説明する。尚、説明中、部及び%はそれぞれ重量部及び重量%を示す。各種溶液、分散液、あるいは塗液を以下のように調製した。
[実施例1]
下記配合からなる配合物を攪拌分散して、下塗層塗液を調製した。
U液(下塗層塗液)
焼成カオリン
(エンゲルハード社製商品名:アンシレックス90
<吸油量90cc/100g>) 100部
スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(固形分48%) 40部
カルボキシ変性ポリビニルアルコール
(クラレ社製商品名:KL−118<重合度:約1700、
鹸化度:95〜99モル%、酢酸ナトリウム:3%以下>)10%水溶液
30部
ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂
(星光PMC社製商品名:WS4020、固形分25%<カチオン化度:2.7、
分子量:220万、4級アミン>) 4.0部
水 160部
次いで、下塗層塗液を支持体(60g/mの基紙)の片面に塗布した後、乾燥を行ない、塗布量10g/mの下塗層塗工紙を得た。
下記配合の顕色剤分散液(A液)、ロイコ染料分散液(B液)、および増感剤分散液(C液)を、それぞれ別々にサンドグラインダーで平均粒子径0.5ミクロンになるまで湿式磨砕を行なった。
A液(顕色剤分散液)
4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン 6.0部
ポリビニルアルコール10%水溶液 18.8部
水 11.2部
B液(ロイコ染料分散液)
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(ODB−2)
3.0部
ポリビニルアルコール10%水溶液 6.9部
水 3.9部
C液(増感剤分散液)
シュウ酸ジベンジル 6.0部
ポリビニルアルコール10%水溶液 18.8部
水 11.2部
次いで、下記の割合で分散液を混合して感熱記録層の塗液とした。
感熱記録層塗液
A液(顕色剤分散液) 36.0部
B液(ロイコ染料分散液) 13.8部
C液(増感剤分散液) 36.0部
カオリンクレー(50%分散液) 12.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール(クラレ社製商品名:PVA−117)
10%水溶液 15部
グリオキザール40%水溶液 1.5部
次いで、感熱記録層塗液を前記下塗層塗工紙の下塗層上に塗布量6.0g/mとなるように塗布した後、乾燥を行ない、このシートをスーパーカレンダーで平滑度が500〜600秒になるように処理して感熱記録体を得た。
[実施例2]
実施例1のU液(下塗層塗液)に配合したカルボキシ変性ポリビニルアルコールを他のカルボキシ変性ポリビニルアルコール(クラレ社製商品名:KL−318<重合度:約1700、鹸化度:85〜90モル%、酢酸ナトリウム:3%以下>)に変えた以外は実施例1と同様に感熱記録体を作製した。
[実施例3]
実施例1のU液(下塗層塗液)に配合したカルボキシ変性ポリビニルアルコールを他のカルボキシ変性ポリビニルアルコール(日本合成化学社製商品名:T350<重合度:約1700、鹸化度:93〜95モル%、酢酸ナトリウム:3%以下>)に変えた以外は実施例1と同様に感熱記録体を作製した。
[実施例4]
実施例1のU液(下塗層塗液)に配合したポリアミドエピクロロヒドリン樹脂4.0部をポリアミンエピクロロヒドリン樹脂(星光PMC社製商品名:WS4010、固形分20%<カチオン化度:3.9、分子量:80万、4級アミン>)5.0部に変えた以外は実施例1と同様に感熱記録体を作製した。
[実施例5]
実施例1のU液(下塗層塗液)に配合したポリアミドエピクロロヒドリン樹脂4.0部を他のポリアミドエピクロロヒドリン樹脂(星光PMC社製商品名:SRD150、固形分50%<カチオン化度:6.7、分子量:40万、4級アミン>)2.0部に変えた以外は実施例1と同様に感熱記録体を作製した。
[実施例6]
実施例1のU液(下塗層塗液)に配合した焼成カオリン100部をシリカ(水沢化学社製商品名:ミズカシルP−604<吸油量:135cc/100g>)100部に変えた以外は実施例1と同様に感熱記録体を作製した。
[実施例7]
実施例1のU液(下塗層塗液)にメラミンホルムアルデヒド樹脂(住友化学社製商品名:スミレーズレジン613−s、固形分60%)1.67部を加えた以外は実施例1と同様に感熱記録体を作製した。
[実施例8]
実施例1のU液(下塗層塗液)に変性ポリアミン系樹脂(住友化学社製商品名:スミレーズレジンSPI−102A、固形分45%)2.22部を加えた以外は実施例1と同様に感熱記録体を作製した。
[実施例9]
実施例1のU液(下塗層塗液)に変性ポリアミド系樹脂(住友化学社製商品名:スミレーズレジンSPI−106N、固形分60%)1.67部を加えた以外は実施例1と同様に感熱記録体を作製した。
[実施例10]
実施例6のU液(下塗層塗液)に変性ポリアミン系樹脂(住友化学社製商品名:スミレーズレジンSPI−102A、固形分45%)2.22部を加えた以外は実施例6と同様に感熱記録体を作製した。
[実施例11]
実施例1のU液(下塗層塗液)に配合した焼成カオリン100部を焼成カオリン95部と炭酸カルシウム(白石工業社製商品名:ブリリアント15<吸油量:44cc/100g>)5部に変えた以外は実施例1と同様に感熱記録体を作製した。
[実施例12]
実施例1のU液(下塗層塗液)に配合した焼成カオリン100部を焼成カオリン80部と炭酸カルシウム(白石工業社製商品名:ブリリアント15<吸油量:44cc/100g>)20部に変えた以外は実施例1と同様に感熱記録体を作製した。
[実施例13]
実施例1のU液(下塗層塗液)に配合した焼成カオリン100部を焼成カオリン60部と炭酸カルシウム(白石工業社製商品名:ブリリアント15<吸油量:44cc/100g>)40部に変えた以外は実施例1と同様に感熱記録体を作製した。
[比較例1]
実施例1のU液(下塗層塗液)に配合したカルボキシ変性ポリビニルアルコールを完全鹸化ポリビニルアルコール(クラレ社製商品名:PVA117<重合度:約1700、鹸化度:98〜99モル%、酢酸ナトリウム:1%以下>)に変えた以外は実施例1と同様に感熱記録体を作製した。
[比較例2]
実施例1のU液(下塗層塗液)に配合したカルボキシ変性ポリビニルアルコールを部分鹸化ポリビニルアルコール(クラレ社製商品名:PVA217<重合度:約1700、鹸化度:87〜89モル%、酢酸ナトリウム:1%以下>)に変えた以外は実施例1と同様に感熱記録体を作製した。
[比較例3]
実施例1のU液(下塗層塗液)に配合したポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を配合しなかった以外は、実施例1と同様に感熱記録体を作製した。
[比較例4]
実施例1のU液(下塗層塗液)に配合したポリアミドエピクロロヒドリン樹脂4.0部をグリオキザール40%水溶液2.5部に変えた以外は実施例1と同様に感熱記録体を作製した。
[比較例5]
実施例7のU液(下塗層塗液)に配合したポリアミドエピクロロヒドリン樹脂4.0部をグリオキザール40%水溶液2.5部に変えた以外は実施例7と同様に感熱記録体を作製した。
[比較例6]
実施例8のU液(下塗層塗液)に配合したポリアミドエピクロロヒドリン樹脂4.0部をグリオキザール40%水溶液2.5部に変えた以外は実施例8と同様に感熱記録体を作製した。
<下塗層表面性評価>
ベック式平滑度計で測定し評価した。
<記録感度評価>
作製した感熱記録体について、MARKPOINT社製感熱プリンター(ROHM社製サーマルヘッド、KM2004‐A3を装着)を用い印加エネルギー0.096mJ/dotで印字した。記録部の記録濃度は、マクベス濃度計(RD−914、アンバーフィルター使用)で測定し評価した。
<画質評価>
作製した感熱記録体について、MARKPOINT社製感熱プリンター(ROHM社製サーマルヘッド、KM2004‐A3を装着)を用い印加エネルギー0.096mJ/dotで印字したベタ印字部を目視で評価した。
◎:白抜け部分が観察されない
○:白抜け部分が僅かに観察されるが実用上問題ない
△:白抜け部分がやや多く観察されるが、実用可能である
×:白抜け部分が非常に多く、実用不可である
<耐水性評価>
記録感度評価で得られた記録後の感熱記録体の記録面に水を50μl垂らし、記録面を指で強くこすり耐水性の程度の評価を行なった。評価基準については下記に示す。
◎:ぬるぬる感が全くなく、塗工層の剥離もない
○:僅かなぬるぬる感はあるが、塗工層の剥離がない
△:ぬるぬる感があり、若干の塗工層剥離が見受けられた
×:塗工層が溶け出し、かつ塗工層が剥がれたため記録部の判定が困難
<印字走行性評価>
(1)ヘッドカス試験
大倉電機社製のTH−PMD(感熱記録紙印字試験機、京セラ社製サーマルヘッドを装着)を使用し、作製した感熱記録体に印加エネルギー0.41mJ/dotで印字を行なった際の、ヘッドカス付着の有無について次の基準で評価した。
◎:ヘッドカスの付着が全く見られない
○:ヘッドカスの付着が僅かに見られるが、印字障害は発生しない
△:ヘッドカスの付着が多く見られるが、印字障害は発生しない
×:ヘッドカスの付着が顕著に見られ、印字障害が発生した
(2)スティック試験
大倉電機社製のTH−PMD(感熱記録紙印字試験機、京セラ社製サーマルヘッドを装着)を使用し、作製した感熱記録体に印加エネルギー0.41mJ/dot、−10℃の環境下で印字を行なった際の、スティックの具合および記録時の騒音について次の基準で評価した。
◎:白飛びの発生がなく、騒音もほとんどない
○:白飛びの発生はないが、僅かに騒音がある
△:若干の白飛びが発生し、騒音も大きい
×:白飛びが頻発し、騒音も大きい
Figure 2006205561

Claims (4)

  1. 支持体上に、顔料とバインダーとを主成分として含有する下塗層、無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料および電子受容性顕色剤とを主成分として含有する感熱記録層を設けた感熱記録体において、該下塗層がカルボキシル基含有樹脂とエピクロロヒドリン系樹脂を含有することを特徴とする感熱記録体。
  2. カルボキシル基含有樹脂がカルボキシ変性ポリビニルアルコールである請求項1記載の感熱記録体。
  3. 請求項1に記載の感熱記録体において、JIS K−5101法による吸油量が80ml/100g〜120ml/100gの焼成カオリンを含有することを特徴とする感熱記録体。
  4. 請求項1または2に記載の感熱記録体において、下塗層にメラミン系樹脂または変性ポリアミン/アミド系樹脂を含有することを特徴とする感熱記録体。
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