JP2011194673A - 感熱記録紙用原紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、抄紙工程での長時間操業安定性を有するとともに、中間層上に設けた感熱記録層が、印字発色性、ヘッドマッチング性及びオフセット印刷性に優れた感熱記録紙が得られる感熱記録紙用原紙を提供する。
【解決手段】原紙上に中間層を設け、その上に、無色ないしは淡色の塩基性染料及び該染料と反応して呈色しうる顕色剤を含有する感熱記録層を設けた感熱記録紙において、原紙中に内添サイズ剤として、加熱溶融後、冷却した後に固体状態となるアルキルケテンダイマー(A)を含有し、原紙上の少なくとも片面に表面サイズ剤として、加熱溶融後、冷却した後に液体状態となるアルキルケテンダイマー(B)を塗布した感熱記録紙用原紙であり、内添サイズ剤が該アルキルケテンダイマー(A)を対パルプ0.05〜0.16質量%添加し、かつ表面サイズ剤として、液状アルキルケテンダイマー(B)が片面当たり0.03〜0.12g/m付着する感熱記録紙用原紙である。
【選択図】なし

Description

本発明は、感熱記録紙用原紙に関し、より詳しくは、抄紙工程での長時間操業安定性を有するとともに、中間層上に設けた感熱記録層が、印字発色性、ヘッドマッチング性及びオフセット印刷性に優れた感熱記録紙が得られる感熱記録紙用原紙に関するものである。
近年、情報の多様化やニーズの拡大に伴い、情報記録分野において各種の記録材料が研究・開発され実用化されているが、中でも感熱記録紙は、加熱によって発色する感熱発色層を紙、樹脂フィルム等の支持体に塗工したものである。この感熱発色層の発色機構は、加熱することにより、電子供与性の通常無色ないし淡色の染料前駆体と電子受容性の顕色剤が溶融して接触し、化学反応が起こり発色する。かかる反応を利用した感熱記録紙は、(1)加熱プロセスのみによる簡易な画像の記録が可能なこと、(2)記録装置が簡単でコンパクト化が容易になり感熱記録紙が取り扱いやすく安価であること、(3)使用する材料が1成分(感熱記録紙のみ)である等の利点を有するので、情報処理分野(卓上計算機、コンピューター等のアウトプット)、医療計測用レコーダー分野、低、高速ファクシミリ分野、自動券売機分野(乗車券、入場券等)、感熱複写機分野、POSシステムのラベル分野、荷物のタグ分野等多岐にわたり用いられている。最近では記録装置の小型化、高速化が求められており、感熱記録紙も小型化、高速化に伴い印字エネルギーの低下に対応した高感度化が望まれている。
最近は、感熱記録装置の高性能化に伴い、感熱記録紙に対する要求品質もより高度なものになっている。例えば、記録速度の向上、ヘッド寿命の長期化、プリンター電源の小型化等のため、感熱記録紙の高感度化(印字発色の高濃度化)や感熱印字時におけるスティッキングやヘッドカスをもたらさない等のヘッドマッチング性が要求される。更に、付加価値を与えるべく、オフセット印刷等で定型の印刷が施される場合があり、オフセット印刷に対する印刷強度が要求されることもある。
しかしながら、このような感熱記録紙は、例えば熱応答性が低く、高速記録の際十分な発色濃度が得られなかった。このような欠点を改善する方法として、例えば、感熱発色層と原紙との間に顔料と接着剤成分からなる中間層を設けること等が知られている(例えば、非特許文献1参照)。支持体と感熱記録層との間に中空樹脂粒子含有中間層を設けた感熱記録紙が提案され、中空粒子の場合、サーマルヘッドでの印字時の熱によりその粒子の軟化が発生し、スティッキングを発生しやすいという不具合があった。また、感度向上効果の点でも満足できるレベルではなかった。
これらの要求品質のうち、感熱記録紙の高感度化のためには、例えば、一方、熱可塑性中空樹脂粒子を中間層中に用いたもの、中間層中に中空粒子とエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体を含有させる方法が提案されているが、この中空粒子を用いた中間層上に感熱記録層を設けると、中間層の大きな粒子の部分には感熱記録層が形成されない部分ができ、ベタ画像を印字した場合に白抜けが発生しやすい。
更に、中空率が30%以上の非発泡性微小中空粒子を主成分とする中間層を設けることが提案されているが、十分な断熱効果が得られず、高感度の点で不十分である。一方、中空粒子を用いた中間層に結着剤を併用する方法が提案されているが、感熱記録紙の感度向上、及び得られる画像の精細性の点から、このような結着樹脂比率では不十分であることが知られている。
このような問題のうち感熱記録紙の高感度、精細性を解決する方策として得られる感熱記録紙では、保存性やヘッドマッチング性等が良くなっても、スティッキングや白抜け等に要求される低出力領域の感度を満たすことが未だできず問題が残る。
また、感熱記録紙用原紙の観点から、原紙上に中間層を設ける際に、中間層塗液の乾燥時に接着剤成分が原紙層へ浸み込むことがあり、中間層表面の顔料含有率が大きくなるため、平滑な表面を得られることができなくなるため、中間層上に設けられる感熱記録層も同様に、感熱記録層塗液中の接着剤成分が中間層に浸み込む結果、感熱記録層に不均一性が発生して、感熱記録時の発色濃度が低下することがあり、特に、高感度な感熱記録紙の品質要求される場合は、低出力発色領域で部分的な発色ムラ、白抜け等の問題を生じる。また、中間層中の接着剤成分と感熱発色層中の接着剤成分がより原紙に近い層に浸み込む結果、発色後の溶融成分を中間層で吸収できなくなり、感熱記録層で保持できない溶融成分が、スティッキングやヘッドカス成分として発生するため、感熱記録紙の品質が低下する問題を生じる。
感熱記録紙原紙は、通常の情報用紙と比較して高い平滑性が求められるため、紙中に含まれる填料を増加して平滑性を補うのが一般的な技術であるが、填料を増やすとサイズ性は低下する。感熱記録紙原紙を含む、情報用紙、印刷用紙のサイズ剤としては、一般的には、内添サイズ剤としてアルケニル無水コハク酸、アルキルケテンダイマー(以下、AKDと略す)、中性ロジンサイズ剤等が使用されている。これらのうち、AKDはC16〜C22の直鎖の炭化水素基の部分が疎水性となるため、比較的少量の添加量でサイズ性を発揮することができるため、広く使用されている。
サイズ性を向上させる対策として、内添AKDサイズ剤の添加量増で対応した場合、抄紙機のプレスからドライヤーにおいて、AKD由来の汚れが発生しやすい。このAKD由来の汚れは強固な固まりであり、汚れがひどくなった場合には、紙自身の表面に型が転写されて紙表面の外観を損なうことや、断紙を引き起こすことがある。
以上のような問題に対し、内添サイズ剤との定着性を向上させるための添加物を添加し、サイズ剤の歩留まり率を向上させることで、内添サイズ剤の添加量を抑えようとする試みが示されている(例えば、特許文献1、非特許文献2参照)。しかし、これらの方法では内添サイズ剤の添加量を減らした際のサイズ性が十分に得られず、また、内添サイズ剤による抄紙機の汚れを解消するまでには至らなかった。
サイズ性を向上させる別の方法として、スチレン−アクリル系、スチレン−マレイン系、オレフィン系、AKD系等の各種表面サイズ剤を使用することが挙げられる。しかしながら、スチレン−アクリル系、スチレン−マレイン系、オレフィン系のサイズ剤では十分なサイズ性改善効果が得られない。一方、AKD系表面サイズ剤を使用した場合は、サイズ性改善効果は得られるものの、サイズプレスでのロール表面汚れや、アフタードライヤーでのドラム表面汚れが発生することがある。
近年、中性紙の表面サイズ剤として適用するための低融点のAKDサイズ剤が報告されている(例えば、非特許文献3参照)。従来、内添サイズ剤や表面サイズ剤に使用されてきたAKD(以下、固体AKD(A)とする)は、加熱溶融した後に室温に冷却すると、非常に硬い固化物が形成されるのに対し、融点が40℃以下の低融点AKD(以下、液状AKD(B)とする)は、加熱溶融した後に室温に冷却すると液体のままか、非常に軟らかい固化物が形成される。このため、操業時にサイズプレスをはじめとするコーター周りやアフタードライヤーでの汚れの発生が抑制される。
更に、感熱記録紙用原紙の原料として、蒸解・漂白工程からマット工程・乾燥工程を経ずに直接抄紙工程に送られる直送パルプを用いることは操業面・コスト面から非常に有効である。しかしながら、直送パルプの場合には、ドライシート化された市販のパルプに比較して、アニオン性の物質を多く含んでおり、抄紙機でのAKDサイズ剤の歩留まりを悪化させてしまう。その結果、感熱記録用原紙に一定のサイズ性を付与するために添加するAKDサイズ剤の添加量が増加し、結果、抄紙機のウエットパート周りを汚してしまう。
脱墨再生パルプを50重量%以上含有する原料パルプから得られた抄造紙からなり、かつ特定のブリストウ水転移量と引裂強さを有する感熱記録紙用支持体並びに支持体上に未発泡粒子を塗布し加熱発泡させてなる発泡層を設け、支持体として、脱墨再生パルプを50重量%以上含有する原料パルプから得られた抄造紙からなり、かつサイズ性が小さいか、表面の平滑性が低いか、及び塗布工程で塗布液中の水分が支持体に吸収される時間をとるか、という条件の少なくとも一つを満足するものを使用した感熱記録紙が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この感熱記録紙用支持体によると、小径ロールにしたときに巻ぐせカールがつきにくい感熱記録紙が得られ、また上記感熱記録紙によると、ポール状の白抜けのない、ベタ黒発色均一性に優れた高濃度画像が得られる。
サイズ剤としてアルキルケテンダイマーを使用した中性紙上に、ロイコ染料と呈色剤を含有する記録層を設けた感熱記録紙で、記録層中にジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩を含有させた感熱記録紙が開示されている(例えば、特許文献3参照)。この感熱記録紙では、サイズ剤としてアルキルケテンダイマーを含有する中性紙を支持体として用いた感熱記録紙により、長期保存による地肌カブリが少なく、かつ記録像の保存性に優れた感熱記録紙ができる。
この感熱記録紙では、支持体上に未発泡粒子を塗布し加熱発泡させてなる発泡層を設け、更にその上に感熱発色層を設けた感熱記録紙において、該支持体が、脱墨再生パルプを50重量%以上含有する原料パルプから得られた抄造紙であり、かつ(イ)該支持体のステキヒトサイズ度が5秒以下、または(ロ)該支持体の未発泡粒子を塗布する面のベック平滑度が50秒以下、あるいは(ハ)発泡粒子塗布液の支持体への着液から定着までが1秒以上で製造された感熱記録紙が開示されている(例えば、特許文献4参照)。この感熱記録紙では、低エネルギーで、ピンホール状の白抜けのないベタ黒発色均一性に優れた高濃度画像が得られる。
支持体上に、少なくとも無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料及び電子受容性顕色剤を含有する感熱記録層を有する感熱記録体において、前記支持体がカチオン性共重合体または両性共重合体で処理された填料を含有する感熱記録体が開示されている(例えば、特許文献5参照)。この技術では、操業上の問題(抄紙機の汚れ等)がなく製造できる高い平滑性及び高いサイズ性を有する支持体を用いることによって、発色感度及び画像再現性に優れた感熱記録体が得られる。
支持体上に、少なくとも無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料及び電子受容性顕色剤を含有する感熱記録層を有する感熱記録体で、記支持体が疎水性基を有するとともにカチオン性基の少なくとも一部が4級化されてなる両イオン性共重合体を有効成分とする内添サイズ剤を含有した感熱記録体が開示されている(例えば、特許文献6参照)。この技術では、高い平滑性及び高いサイズ性を有する支持体を用い、発色感度及び画像再現性に優れた感熱記録体が得られる。
以上、各種技術により、感熱記録紙用原紙からの技術検討は行われているが、感熱記録紙原紙のサイズ性と原紙表面の濡れ性について、中間層、感熱記録層も含めて、性能が不十分であり、満足する性能を有する感熱記録紙用原紙はなかった。
特許公開2000−27092号公報 特許特開平5−147367号公報 特許公開平8−197846号公報 特許公開2001−88441号公報 特許公開2010−30059号公報 特許公開2010−30060号公報
紙パ技協紙、第45巻第9号973−978頁 紙パ技協誌、第47巻第2号、p56−p60(1993) 永尾和樹、他3名、"新規なAKD系表面サイズ剤について"、紙パルプ技術タイムス、2007年7月、第50巻、第7号、p.15−17
本発明は、抄紙工程での長時間操業安定性を有するとともに、中間層上に設けた感熱記録層が、印字発色性、ヘッドマッチング性及びオフセット印刷性に優れた感熱記録紙が得られる感熱記録紙用原紙を提供するものである。
本発明の上記課題は、以下の方法によって達成された。
(1)原紙上に中間層を設け、その上に、無色ないしは淡色の塩基性染料及び該染料と反応して呈色しうる顕色剤を含有する感熱記録層を設けた感熱記録紙において、原紙中に内添サイズ剤として、アルキルケテンダイマー(A)を含有し、原紙上の少なくとも片面に表面サイズ剤として、アルキルケテンダイマー(B)で表面サイズ処理した感熱記録紙用原紙。
(2)該アルキルケテンダイマー(B)が加熱溶融後、冷却した後に液体状態であり、かつ、該アルキルケテンダイマー(A)が加熱溶融後、冷却した後に固体状態であることを特徴とする(1)記載の感熱記録紙用原紙。
(3)該アルキルケテンダイマー(B)のアルキル鎖が分岐構造を有し、また、該アルキルケテンダイマー(A)のアルキル鎖が直鎖構造を有する(1)記載の感熱記録紙用原紙。
(4)内添サイズ剤が該アルキルケテンダイマー(A)を対パルプ0.05〜0.16質量%添加し、かつ表面サイズ剤として、アルキルケテンダイマー(B)が片面当たり0.03〜0.12g/m付着する(1)または(2)記載の感熱記録紙用原紙である。
製造時にサイズ剤由来の汚れによる抄紙機の操業性低下を起こすことなく、抄紙工程での長時間操業安定性を有するとともに、中間層上に設けた感熱記録層が、印字発色性及びヘッドマッチング性及びオフセット印刷性に優れた感熱記録紙用原紙を提供することができる。
本発明の感熱記録紙用原紙は、原紙中に内添サイズ剤として、アルキルケテンダイマー(A)を含有し、原紙上の少なくとも片面に表面サイズ剤として、アルキルケテンダイマー(B)で表面サイズ処理を行う。また、該アルキルケテンダイマー(B)が加熱溶融後、冷却した後に液体状態であり、かつ、該アルキルケテンダイマー(A)が加熱溶融後、冷却した後に固体状態であることが好ましい。内添サイズ剤と表面サイズ剤と2種のAKDを使用することにより、感熱記録紙用原紙に、抄紙機の操業性低下を起こすことなく、最適なサイズ性を付与することができる。本発明の感熱記録用原紙上に中間層を塗布する際には、中間層塗工液中に含まれるバインダーの感熱記録用原紙へのマイグレーションを防止することが必要であり、原紙表面に塗布される表面サイズ剤としてAKDを使用することで、中間層塗工液を塗布する際に、ハジキを発生させることなく原紙表面での塗工液の原紙への浸透を抑えることができる。また、原紙表面で抑えきれなかった塗工液の原紙内への浸透を、原紙内に含まれるAKDで抑えることができる。特に、原紙内に存在する加熱溶融後、冷却した後に固体状態であるアルキルケテンダイマー(以下、固体AKD(A))と表面サイズ処理される液状AKD(B)の組み合わせで使用することで、中間層塗布時または感熱記録層塗布時に、最適な表面サイズ性と濡れ性を維持する結果、原紙上に設ける中間層塗工液、感熱記録層塗工液中に含まれるバインダーの、原紙中へのマイグレーションを効果的に抑制できる。また、原紙表面の濡れ性が低下による中間層塗工液の塗布ムラが発生することなく、表面の均一性が維持され、その上に形成される感熱記録層が均一に塗布され、乾燥し形成されることになり、感熱記録時の発色ムラが発生することはなく、特に低感度領域においてその効果は著しい。更に、原紙中へのバインダーのマイグレーションが抑制されることで、本発明の感熱記録用原紙を用いた感熱紙では、オフセット印刷等で印刷を行った場合に、面ムケや版汚れを起こさないでオフセット印刷を行うことが可能となる。
本発明の表面サイズ剤として使用される液状AKD(B)は、分子量の小さいアルキル基部を有するアルキルケテンダイマータイプと、分岐状の構造を有し、固形AKDと同じ分子量レベルのアルキル基を有するアルキルケテンダイマータイプがある。サイズ性の点においては、分岐構造を有するタイプの方が優れており、好ましい。
本発明の感熱記録紙用原紙は、内添サイズ剤として固体AKD(A)を対パルプ0.05〜0.16質量%添加し、かつ表面サイズ剤として液状AKD(B)が0.05〜0.12g/m付着することが好ましい。内添サイズ剤としての固体AKD(A)の添加量が対パルプ0.05質量%未満の場合は、原紙のサイズ性が低いため、表面サイズ剤として原紙上に塗布される液状AKD(B)が原紙表面にとどまらず、原紙内部に浸透してしまうため、サイズ性が発現しにくくなる。逆に、内添サイズ剤としての固体AKD(A)の添加量が対パルプ0.16質量%を超える場合は、抄紙機において操業時に汚れが発生し、原紙表面に固体AKDの汚れ由来の欠点が生じ、最終的に感熱紙表面の外観を損なう。
表面サイズ剤としての液状AKD(B)の付着量が0.05g/mより少ない場合、十分なサイズ性向上効果が得られない。また、液状AKD(B)の付着量が0.12g/mより多い場合には、サイズ性は十分に確保することができるが、効果も飽和する。
本発明の液状AKD(B)以外の表面処理液に使用できるバインダーとしては、酸化澱粉、エステル化澱粉、酵素変性澱粉、カチオン化澱粉等の澱粉類、ポリビニルアルコール及びその誘導体、カゼイン、大豆タンパク質類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体が挙げられる。また、表面サイズ剤として、スチレン−アクリル系、オレフィン系表面サイズ剤を併用することも可能である。
本発明の液状AKD(B)及びバインダーを感熱記録紙用原紙の原紙上に塗工する方法としては、特に制限はなく、サイズプレス、フィルムプレスコーター、ゲートロールコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター等が選択できる。なお、本発明において抄紙機上での高速塗布を考慮した場合、フィルムプレスコーターやゲートロールコーターを使用すると好ましい。
本発明の感熱記録紙用原紙を製造する際に使用されるパルプとしては、針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒しクラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒し亜硫酸パルプ(NBSP)、広葉樹晒し亜硫酸パルプ(LBSP)、TMP、CTMP、BCTMP、GP、RGP、CGP、木綿パルプ等の各種パルプやDIP等の各種古紙パルプ、ケナフ等の非木材繊維が挙げられ、必要に応じて、1種または2種以上を併用して用いることができる。
古紙パルプの配合率としては、全パルプのうち古紙パルプの配合比率が20〜100%であっても、固形サイズ剤の添加量、液状AKDの塗布量を調整して、サイズ性を調整することで、古紙パルプ配合の感熱記録紙用原紙を提供することができる。
本発明の感熱記録紙用原紙に内添する填料は特に限定されるものではなく、公知の填料の中から適宜選択して使用することができる。このような填料としては、例えばタルク、カオリン、イライト、クレー、炭酸カルシウム、二酸化チタン等の無機填料、及びプラスチックピグメント等の有機填料等を挙げることができる。本発明においてはカオリン、イライト、炭酸カルシウムを単独または2種類以上を併用して用いることが好ましい。
本発明にかかる感熱記録紙用原紙の灰分は5〜25質量%、望ましくは7〜20質量%であることが好ましい。5質量%未満では、良好な地合、平滑性が得にくい。また、25質量%を超える場合には、平滑性が飽和する一方で、原紙のサイズ性が低下し、原紙の表面強度が低下し、中間層や記録層を塗工する際に断紙が発生しやすくなる。
本発明において、平滑性の良い原紙を製造するためには、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、コンビネーション抄紙機、丸網抄紙機、ヤンキー抄紙機等が使用可能であるが、地合が良い原紙を得るためには、コンビネーション抄紙機の使用が好ましい。
また、本発明では、平滑性の良い原紙を得るため、マシンカレンダー、ソフトニップカレンダー、スーパーカレンダー等でカレンダー処理されることが好ましい。
本発明の感熱記録紙の感熱記録層を構成する電子供与性の通常無色ないし淡色の染料前駆体としては、一般に感圧記録材料や、感熱記録紙に用いられている染料前駆体に代表されるが、特に限定されるものではない。
具体的な染料前駆体の例としては、(1)トリアリールメタン系化合物:3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フェニルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3−p−ジメチルアミノフェニル−3−(1−メチルピロール−2−イル)−6−ジメチルアミノフタリド等、
(2)ジフェニルメタン系化合物:4,4′−ビス(ジメチルアミノフェニル)ベンズヒドリルベンジルエーテル、N−クロロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等、
(3)キサンテン系化合物:ローダミンBアニリノラクタム、ローダミンB−p−クロロアニリノラクタム、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェニルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3,4−ジクロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−トリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−トリル)アミノ−6−メチル−7−フェネチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(4−ニトロアニリノ)フルオラン、3−(N−メチル−N−プロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン等、
(4)チアジン系化合物:ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー等、
(5)スピロ系化合物:3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3,3′−ジクロロスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシベンゾ)スピロピラン、3−プロピルスピロベンゾピラン等を挙げることができる。またこれらの染料前駆体は必要に応じて2種以上混合して使用することができる。
本発明の感熱記録紙の感熱記録層を構成する染料前駆体を発色させる電子受容性化合物としては、一般に感圧記録材料、または感熱記録紙に用いられる電子受容性化合物に代表されるが、特に制限されることはない。例えば粘土物質、フェノール誘導体、芳香族カルボン酸及びその誘導体、N,N′−ジアリールチオ尿素、N−スルホニル尿素等の尿素誘導体、またこれらの多価金属塩等を用いることができる。
具体的な例としては、酸性白土、活性白土、ゼオライト、ベントナイト、カオリン等の粘土物質、p−フェニルフェノール、p−ヒドロキシアセトフェノン、4−ヒドロキシ−4′−メチルジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−n−プロポキシジフェニルスルホン、3−フェニルスルホニル−4−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−ベンゼンスルホニルオキシジフェニルスルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ジ−〔2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン、1,3−ジ−〔2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン、1,4−ジ−〔2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、N−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、N−(2−ヒドロキシフェニル)−p−トルエンスルホンアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)−p−トルエンスルホンアミド、4,4′−ビス(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、N−(p−トルエンスルホニル)−N′−フェニル尿素、N−(p−トルエンスルホニル)−N′−(3−p−トルエンスルホニルオキシフェニル)ウレア、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3′−ジアリル−4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、4,4′−チオビス(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)、ジ(2−ヒドロキシナフチル)メタン、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸クロロベンジル、4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、没食子酸ベンジル、没食子酸ステアリル、サリチルアニリド、5−クロロサリチルアニリド、ノボラックフェノール樹脂、変性テルペンフェノール樹脂、3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸、3,5−ジ−t−ノニルサリチル酸、3,5−ジドデシルサリチル酸、3−メチル−5−t−ドデシルサリチル酸、5−シクロヘキシルサリチル酸、3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)サリチル酸、3−メチル−5−(α−メチルベンジル)サリチル酸等、4−n−オクチルオキシカルボニルアミノサリチル酸、4−{2−(4−メトキシフェノキシ)エトキシ}サリチル酸及びこれらの亜鉛、ニッケル、アルミニウム、カルシウム等の金属塩等が挙げることができるが、本発明に関わる電子受容性化合物は、これに限定されるものではなく、必要に応じて2種類以上併用して使用することができる。
本発明にかかる感熱記録紙を構成する感熱記録層は、その熱応答性を向上させるために、熱可融性物質を含有させることができる。この場合、60℃〜180℃の融点を持つものが好ましく、特に80℃〜140℃の融点を持つものがより好ましく用いられる。
具体的な例としては、ステアリン酸アミド、N−ヒドロキシメチルステアリン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、N−ステアリル尿素、ベンジル−2−ナフチルエーテル、m−ターフェニル、4−ベンジルビフェニル、2,2′−ビス(4−メトキシフェノキシ)ジエチルエーテル、α、α′−ジフェノキシキシレン、ビス(4−メトキシフェニル)エーテル、アジピン酸ジフェニル、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ジ(4−クロルベンジル)エステル、シュウ酸(4−メチルベンジル)エステル、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジベンジル、ベンゼンスルホン酸フェニルエステル、ビス(4−アリルオキシフェニル)スルホン、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジフェノキシエタン、4−アセチルアセトフェノン、アセト酢酸アニリド類、脂肪酸アニリド類等公知の熱可融性物質が挙げられる。これらの化合物は単独もしくは2種以上併用して使用することもできる。また、十分な熱応答性を得るためには、感熱記録層の総固形分中、熱可融性物質が5〜50質量%を占めることが好ましい。
本発明にかかる感熱記録紙を構成する感熱記録層は、各発色成分を微粉砕して得られる各々の水性分散液と接着剤等を混合し、基紙上に塗工、乾燥することにより得られる。感熱記録層の層構成は、単一であっても多層であっても良い。
感熱記録層に用いられる接着剤としては、通常の塗工で用いられる種々の接着剤を用いることができる。
具体的な例としては、澱粉類、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、アルギン酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、ポリアクリル酸のアルカリ塩、ポリマレイン酸のアルカリ塩、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、エチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩等の水溶性接着剤、及びスチレン/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン三元共重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル/アクリル酸エステル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリアクリル酸エステル、スチレン/アクリル酸エステル共重合体、ポリウレタン等の水分散性接着剤等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
感熱記録層には、顔料として、ケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、重質炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸亜鉛、非晶質シリカ、非晶質ケイ酸カルシウム、コロイダルシリカ等の無機顔料、メラミン樹脂フィラー、尿素−ホルマリン樹脂フィラー、ポリエチレンパウダー、ナイロンパウダー等の有機顔料を使用することができる。
また、感熱記録層には、ヘッド摩耗防止、スティッキング防止等の目的から、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩、ステアリン酸アミド等の高級脂肪酸アミド、パラフィン、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレン、カットワックス等の滑剤、分散・湿潤剤として、アニオン性、ノニオン性の高分子量のものを含む界面活性剤、更には蛍光染料、消泡剤等が必要に応じて添加される。
本発明では感熱記録層中に保存性改良剤を添加することも可能である。かかる保存性改良剤としては例えば次のものが挙げられる。2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2′−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4′−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、1−〔α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−〔α′,α′−ビス(4″−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、4,4′−チオビス(3−メチルフェノール)、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′,5,5′−テトラブロモジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′,5,5′−テトラメチルジフェニルスルホン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン等のヒンダードフェノール化合物、1,4−ジグリシジルオキシベンゼン、4,4′−ジグリシジルオキシジフェニルスルホン、4−ベンジルオキシ−4′−(2−メチルグリシジルオキシ)ジフェニルスルホン、テレフタル酸ジグリシジル、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等のエポキシ化合物、N,N′−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、2,2′−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェイトのナトリウムまたは多価金属塩、ビス(4−エチレンイミノカルボニルアミノフェニル)メタン等が挙げられる。中でも1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタンは耐水性に優れた効果を持ち、また地肌カブリを起こしにくいため、好ましく用いられる。
これらの物質を含む感熱記録層用塗料は、一般に水を分散媒体とし、ボールミル、アトライター、サンドミル等の攪拌・粉砕機により染料及び呈色剤を一緒にまたは別々に分散する等して調製される。
感熱記録層の塗工量は、通常染料前駆体の塗工量で0.1〜2.0g/mが適当である。0.1g/mよりも少量である場合には十分な記録画像が得られず、また、2.0g/mを超えて多くても、熱応答性の向上が見られず、コスト的にも不利である。
本発明の感熱記録紙は、基紙と感熱記録層の間に必要に応じて単層あるいは複数層の顔料あるいは接着剤からなる中間層を1層以上設けることができる。本発明における感熱記録紙が中間層を設けたものである場合、その中間層の塗工量は1〜30g/mが好ましく、3〜20g/mがより好ましい。
中間層に用いられる顔料あるいは接着剤としては、通常の塗工で用いられる種々の顔料及び接着剤を用いることができる。その具体例としては感熱記録層に用いられるものと同様のものが挙げられる。中間層用塗液中に含有される助剤としては、公知の界面活性剤、着色染料、蛍光染料、滑剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
中間層の顔料としては、一般的には焼成カオリンが用いられるが、それ以外にもケイソウ土、タルク、カオリン、重質炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸亜鉛、非晶質シリカ、非晶質ケイ酸カルシウム、コロイダルシリカ等の無機顔料、メラミン樹脂フィラー、尿素−ホルマリン樹脂フィラー、ポリエチレンパウダー、ナイロンパウダー、有機中空粒子、有機椀型粒子、貫通孔を有する有機粒子等の有機顔料を用いることができる。
中間層の接着剤としては、通常の塗工で用いられる種々の水溶性樹脂または水分散性樹脂を用いることができる。例えば、澱粉類、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、アルギン酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、ポリアクリル酸のアルカリ塩、ポリマレイン酸のアルカリ塩、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、エチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩等の水溶性樹脂、及びスチレン/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン三元共重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル/アクリル酸エステル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリアクリル酸エステル、スチレン/アクリル酸エステル共重合体、ポリウレタン等の水分散性樹脂等が挙げられる。
本発明にかかる感熱記録紙は、記録部の耐薬品性をより高めたり、あるいは記録走行性を高めるために、感熱記録層上に保護層を設けることができる。かかる保護層は、成膜性を有する水溶性樹脂または水分散性樹脂等の接着剤を主成分とし、接着剤が溶解または分散された中に、必要により紫外線吸収剤、及び感熱記録層に添加しうる助剤等を添加して調製された保護層用塗液を感熱記録層上に、乾燥後の塗布量が0.2〜10g/m、より好ましくは0.5〜5g/m程度となるように塗布乾燥して形成される。中間層は二層以上の多層構造としても良い。
保護層の水溶性樹脂または水分散性樹脂としては、従来公知の水溶性高分子または水分散性樹脂から適宜選択される。即ち、水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、澱粉またはその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、ポリアクリル酸のアルカリ塩、ポリマレイン酸のアルカリ塩、スチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、エチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン、キトサンの酸中和物等を用いることができる。
水分散性樹脂としては、例えば、スチレン/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン三元共重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル/アクリル酸エステル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリアクリル酸エステル、スチレン/アクリル酸エステル共重合体、ポリウレタン等を用いることができる。
また、保護層には、耐スティッキング等の記録走行性、筆記性等を向上させる目的で、本発明の効果を損なわない限り、顔料を含有させることが可能である。顔料の具体例としては、ケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、重質炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸亜鉛、非晶質シリカ、非晶質ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム化合物、コロイダルシリカ等の無機顔料、メラミン樹脂フィラー、尿素−ホルマリン樹脂フィラー、ポリエチレンパウダー、ナイロンパウダー等の有機顔料を使用することができる。
また、保護層には、ヘッド摩耗防止、耐スティッキング等記録走行性向上の目的から、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩、ステアリン酸アミド等の高級脂肪酸アミド、パラフィン、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレン、カットワックス等の滑剤が必要に応じて添加される。なお、必要に応じて感熱記録体の裏面側にも保護層を設け、一層保存性を高めることも可能である。
保護層形成用塗液の調製方法については特に限定するものではなく、一般に水を分散媒体とし、マイクロカプセル、乳化剤、バインダー、必要に応じて添加される顔料等を混合して調製される。
感熱記録層、保護層、または中間層の形成方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の技術に従って形成することができる。具体的な例としては、エアナイフ塗工、ロッドブレード塗工、バー塗工、ブレード塗工、グラビア塗工、カーテン塗工、Eバー塗工等の方法により塗液を塗工し、乾燥により感熱記録層、保護層または中間層を形成させることができる。
また、平版、凸版、フレキソ、グラビア、スクリーン、ホットメルト等の方式による各種印刷機等によって各層を形成しても良い。
また、必要に応じて、中間層塗工後、感熱記録層塗工後、または保護層塗工後、スーパーカレンダー処理をし、画質を向上させることもできる。また、感熱記録紙裏面の全面、あるいは部分的に粘着剤処理を施して粘着ラベルに加工したり、また、タグ用途においても裏面を部分的に粘着加工を施すことは可能であり、磁気記録層や印刷用塗被層更には熱転写記録層を設ける等、感熱記録紙製造分野における各種の公知技術が必要に応じて付加しうるものである。
本発明にかかる感熱記録紙において、保護層の形成後に平滑化処理を施すことは記録像の発色感度や画質を高めるだけでなく、光沢度を高める上で好ましく、平滑化処理後のベック(Bekk)平滑度(JIS P 8119)が300秒以上、好ましくは500秒以上となるように処理するのが望ましい。その際に使用する平滑化装置としては、弾性ロールと金属ロールを組み合わせたスーパーカレンダーやグロスカレンダー等が用いられるが、弾性ロールとしてはASTM D−2240で規定されるショアーD硬度が60〜90°、好ましくは70〜90°である弾性ロールを使用することが好ましい。また、処理時のニップ線圧は、使用する弾性ロールの硬度や目的とする平滑度に応じて適宜選択すべきものであるが、30〜300kg/cmの範囲で調節するのが望ましい。
なお、弾性ロールの弾性層を構成する材質としては、例えば天然ゴム、スチレンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化エチレンゴム、ブチルゴム、多硫化ゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等のゴム類、各種プラスチック樹脂、コットン、ペーパー、ウール、テトロン、ナイロンあるいはこれらの混合物が挙げられ、一方、金属ロールとしては、チルドロール、合金チルドロール、鋼鉄製ロール、更には表面を硬質クロムメッキした金属ロール等が使用される。
また、本発明にかかる感熱記録紙においては、必要に応じて裏面をインクジェット記録層等の任意の情報記録層とすることもできる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部及び%は、特に指定のない限り全て質量部及び質量%を示す。
<原紙の作製>
下記条件で感熱記録紙用原紙1〜4を作製した。
<原紙1>
濾水度350mlCSFの直送のLBKP90%、濾水度350mlCSFの直送のNBKP10%からなるパルプ配合とし、全パルプ100%に対して、下記の薬品を配合し調製したパルプスラリーを用いて坪量53g/mの原紙を長網抄紙機において抄紙した。なお、原紙灰分は7%であった。
<内添薬品配合>
硫酸バンド 1.0%
軽質炭酸カルシウム(商品名:TP121、奥多摩工業社製) 14.0%
カチオン化澱粉(商品名:CATO3210、日本NSC社製) 1.0%
AKDサイズ剤(商品名:サイズパインK−903−20、荒川化学社工業社製)
0.08%
歩留まり剤(商品名:ハイモロックND200C、ハイモ社製) 0.02%
<原紙2>
AKDサイズ剤の配合量を0.08%から0.05%に変更した以外は、原紙1と同一の内容で原紙2を作成した。
<原紙3>
AKDサイズ剤の配合量を0.08%から0.16%に変更した以外は、原紙1と同一の内容で原紙3を作成した。
<原紙4>
AKDサイズ剤の配合量を0.08%から0.20%に変更した以外は、原紙1と同一の内容で原紙4を作成した。
<サイズプレス液処理>
実施例1〜11と比較例1〜5の感熱記録用原紙は、表1記載の原紙の上に、酸化澱粉(商品名:MS3800、日本食品化工社製)と表1記載の表面サイズ剤を表1記載の濃度で調液した後、インクラインドサイズプレス方式(以下、ISP)で原紙に塗布した。サイズプレスでのウエット付着量は、40g/mであった。サイズプレス後はシリンダードライヤーで乾燥し、カレンダーで平滑化処理を行い、坪量42g/m、密度0.75g/cmに調整し、感熱記録紙用原紙を得た。
Figure 2011194673
実施例12の感熱記録用原紙は、表1記載の原紙の上に、酸化澱粉(商品名:MS3800、日本食品化工社製)と表1記載の表面サイズ剤を表1記載の濃度で調液した後、ゲートロールコーター方式(以下、GRC)で原紙に塗布した。ゲートロールコーターでのウエット付着量は、片面6g/mであった。表面塗布後は、シリンダードライヤーで乾燥し、カレンダーで平滑化処理を行い、坪量42g/m、密度0.75g/cmに調整し、感熱記録紙用原紙を得た。
実施例13の感熱記録用原紙は、表1記載の原紙の上に、酸化澱粉(商品名:MS3800、日本食品化工社製)と表1記載の表面サイズ剤を表1記載の濃度で調液した後、フィルムプレス方式(以下、Filmpress)で原紙に塗布した。フィルムプレスでのウエット付着量は、片面10g/mであった。表面塗布後は、シリンダードライヤーで乾燥し、カレンダーで平滑化処理を行い、坪量42g/m、密度0.75g/cmに調整し、感熱記録紙用原紙を得た。
<アンダー層塗液作成>
焼成カオリン(商品名:アンシレックス、エンゲルハート社製) 100部
10%ヘキサメタリン酸ソーダ 4部
20%リン酸エステル化澱粉 30部
48%スチレンブタジエン系共重合ラテックス 40部
水 50部
<アンダー層塗布>
上記成分からなるアンダー層塗液をドライ塗布量6g/mとなるよう、ブレードコーターで塗布し、シリンダードライヤーで乾燥した。
<感熱層塗液作成>
下記成分からなるA液、及びB液をそれぞれ10時間分散させて作成した後、それぞれダイノミルを用いて体積平均0.8μmに粉砕した。
<A液>
10%ポリビニルアルコール溶液 100部
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン 100部
水 150部
<B液>
15%スチレン無水マレイン酸共重合体アンモニウム塩 35部
4、4′−イソプロピリデンジフェノール 55部
2−ベンジルオキシ−ナフタレン 40部
N−メチロールステアリン 10部
水 200部
<感熱層塗液>
10%ポリビニルアルコール溶液 50部
炭酸カルシウム 10部
A液 10部
B液 35部
40%ステアリン酸亜鉛分散液 4部
水 25部
<感熱層塗布>
上記成分からなる感熱層塗液をドライ塗布量5g/mとなるよう、エアーナイフコーターで塗布し、シリンダードライヤーで乾燥した。
<評価>
実施例1〜13と比較例1〜5の感熱記録紙用原紙について、製造時における操業性と製造された感熱記録紙原紙の品質を下記の項目について評価した。
(操業性(原紙抄造工程))
感熱記録紙原紙を製造した際の、抄紙機におけるプレス工程からドライヤー工程にかけての各ペーパーロールの汚れ具合を目視評価した。
3:ロール部分に汚れなし。
2:ロール部分を斜光で見た場合に僅かに曇りがある。
1:ロール部分に汚れが見られ、紙離れも不安定になる。
なお、本発明の評価結果では、「2」以上あれば問題がないと判断する。
(操業性(サイズプレス工程))
感熱記録紙原紙にサイズプレスを行った際のサイズ工程の塗工装置周りからドライヤー工程にかけての各ペーパーロールの汚れ具合を目視評価した。
3:ペーパーロール部分に汚れなし。
2:ペーパーロール部分を斜光で見た場合に僅かに曇りがある。
1:ペーパーロール部分に汚れが見られ、紙離れも不安定になる。
なお、本発明の評価結果では、「2」以上あれば問題がないと判断する。
(印字発色性)
得られた感熱記録紙の印字テストを大倉電機製ファクシミリ試験機TH−PMDを用いて行った。ドット密度8ドット/mm、ヘッド抵抗1681Ωのサーマルヘッドを使用し、ヘッド電圧23V、印字パルス幅1.0ミリ秒で通電して印字し、光学濃度をマクベスRD−918型反射濃度計で測定した。数値の大きい方が印字発色性に優れる。光学濃度としては、1.20以上が望ましい。
ヘッドマッチング性として、スティッキング性とカス付着性を評価した。
(スティッキング性)
感熱記録材料のヘッドマッチング性の評価をG3感熱ファクシミリ装置(松下電器製、KX−PW3TA)を用いて行った。画像電子学会No.3ファクシミリテストチャートを送画し、ステッキング(印字部の横段状の白抜け)の発生状況を目視で判定した。評価は以下の指標に従い、数値の大きい方がスティッキングに優れる。
5:スティッキングが殆どない。
4:スティッキングが僅かにあるが、実用上問題ない。
3:スティッキングがややあるものの、実用可能である。
2:スティッキングが多く、実用不可である。
1:スティッキングが非常に多く、実用不可である。
(カス付着性)
また、上記のテストチャートの送画を連続で1時間行った後、サーマルヘッドのカス付着を目視で判定した。評価は以下の指標に従い、数値の大きい方がヘッドカス付着が少なく良好である。
5:ヘッドカスが殆どない。
4:ヘッドカスが僅かにあるが、実用上問題ない。
3:ヘッドカスがややあるものの、実用可能である。
2:ヘッドカスが多く、実用不可である。
1:ヘッドカスが非常に多く、実用不可である。
(ドライ印刷強度)
感熱記録紙の接着強度の評価をRIテスター(明製作所製)を用いて行った。タックNO.10の墨インキで数回重ね刷りをし、印刷面のピッキング(感熱記録層表面の剥離)を目視で判定した。評価は以下の指標に従い、数値の大きい方が接着強度に優れる。
5:剥離が殆どない。
4:剥離が僅かにあるが、実用上問題ない。
3:剥離がややあるものの、実用上問題ない。
2:剥離が多く、実用不可である。
1:剥離が非常に多く、実用不可である。
(ウエット印刷強度)
感熱記録紙の耐水性の評価をRIテスターを用いて行った。モルトンロールでテストピース表面に給水した直後に、タックNO.12の紅インキで印刷を行い、印刷面のピッキングを目視で判定した。評価は上記接着強度の場合と同様に行った。
以上の評価結果を表2に示す。
Figure 2011194673
実施例1〜5と比較例1を比較すると、表面サイズ剤である液状AKDを塗布することで、ヘッドマッチング性が向上し、オフセット印刷に対する印刷強度が改善する。
実施例3、7と比較例2を比較することで、原紙に内添配合する固体AKDの添加量を増やしてサイズ性を改良する方法では、抄紙機の操業性が悪く、内添配合の固体AKDと表面サイズの液状AKDを併用することで、抄紙工程での長時間操業安定性を有するとともに、中間層上に設けた感熱記録層が、印字発色性、ヘッドマッチング性及び印刷性に優れた感熱記録紙が得られる。
実施例2、10と比較例3〜5を比較することで、表面サイズ剤として、スチレンアクリル系サイズ剤やオレフィン系サイズ剤では、原紙上に設ける中間層塗工液、感熱記録層塗工液中に含まれるバインダーの原紙中へのマイグレーションを抑える効果が十分ではなく、固体AKDを表面サイズ剤として使用した場合には、サイズプレスでの操業性が悪化する。表面サイズ剤として液状AKDを使用することで、抄紙工程での長時間操業安定性を有するとともに、中間層上に設けた感熱記録層が、印字発色性、ヘッドマッチング性及び印刷性に優れた感熱記録紙が得られる。
実施例2〜4と実施例1、5、実施例9〜10と実施例8、11を比較すると、液状AKDを原紙表面に片面あたり、0.03〜0.12g/m塗布することで、抄紙工程での長時間操業安定性を有するとともに、中間層上に設けた感熱記録層が、印字発色性、ヘッドマッチング性及び印刷性に優れた感熱記録紙が得られる。液状AKDの塗布量が、0.12g/m以上になった場合には、サイズプレス工程での操業性がやや悪化することがわかる。
実施例2と実施例6を比較することで、内添配合する固体AKDとしては、対パルプ0.05%以上の添加量が、中間層上に設けた感熱記録層が、印字発色性、ヘッドマッチング性及び印刷性に優れた感熱記録紙が得るために必要であり、実施例3と実施例7を比較することで、内添配合する固体AKDとしては、対パルプ0.16%まで添加すると、中間層上に設けた感熱記録層が、印字発色性、ヘッドマッチング性及び印刷性の向上効果が飽和する一方で、抄紙工程での操業性がやや悪化することがわかる。
実施例1、2、4と実施例8、9、10を比較することで、表面サイズとして使用する液状AKDとしては、アルキル鎖が分岐構造を有した液状AKDの方が、中間層上に設けた感熱記録層が、印字発色性、ヘッドマッチング性及び印刷性の向上効果に優れていることがわかる。
実施例2と実施例12、13を比較することで、液状AKDを原紙表面に塗布する方法としては、原紙表面に液状AKDが分布するように塗布するゲートロールコーター方式やフィルムプレス方式の塗布方法の方が、サイズプレス方式に比較して、原紙上に設ける中間層塗工液、感熱記録層塗工液中に含まれるバインダーの原紙中へのマイグレーションを抑える効果に優れ、中間層上に設けた感熱記録層が、印字発色性、ヘッドマッチング性及び印刷性に優れた感熱記録紙を提供することができる。
本発明では、原紙に内添サイズ剤として、固体エマルション状態で使用するAKD(A)と、液体状態で使用するAKD(B)を表面サイズ剤として使用することにより、生産時における操業性が良く、中間層層及び感熱層の塗工適性が良く、サイズ性に優れた感熱記録紙原紙を提供することができた。

Claims (4)

  1. 原紙上に中間層を設け、その上に、無色ないしは淡色の塩基性染料及び該染料と反応して呈色しうる顕色剤を含有する感熱記録層を設けた感熱記録紙において、原紙中に内添サイズ剤として、アルキルケテンダイマー(A)を含有し、原紙上の少なくとも片面に表面サイズ剤として、アルキルケテンダイマー(B)で表面サイズ処理したことを特徴とする感熱記録紙用原紙。
  2. 該アルキルケテンダイマー(B)が加熱溶融後、冷却した後に液体状態であり、かつ、該アルキルケテンダイマー(A)が加熱溶融後、冷却した後に固体状態であることを特徴とする請求項1記載の感熱記録紙原紙。
  3. 該アルキルケテンダイマー(B)のアルキル鎖が分岐構造を有し、また、該アルキルケテンダイマー(A)のアルキル鎖が直鎖構造を有する請求項1記載の感熱記録紙原紙。
  4. 内添サイズ剤が該アルキルケテンダイマー(A)を対パルプ0.05〜0.16質量%添加し、かつ表面サイズ剤として、液状アルキルケテンダイマー(B)が片面当たり0.03〜0.12g/m付着する請求項1または2記載の感熱記録紙用原紙。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104370861A (zh) * 2014-11-06 2015-02-25 周元幸 液体支链akd的制备原料、制法及其应用
JP2015182417A (ja) * 2014-03-26 2015-10-22 北越紀州製紙株式会社 感熱記録紙用の原紙及び該原紙を用いた感熱記録紙

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