JP2012111890A - ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】天然ゴムおよび合成イソプレンゴムから選択された少なくとも1種の加硫可能なジエン系ゴム成分100質量部に対し、パラ系アラミド繊維とステアリン酸とからなるマスターバッチを1〜5質量部およびコバルトアセチルアセトナートをコバルトとして0.03〜0.5質量部配合してなることを特徴とするゴム組成物と、該ゴム組成物からなるタイヤベルトエッジテープ用として使用し、これをベルトエッジテープ3に使用した空気入りタイヤ1。
【選択図】図1
Description
しかしながら、近年の車両の大型化、低床化の拡大、タイヤ軽量化に伴い、ベルト層5のエッジセパレーションを更に抑制することが求められている。また、発熱性の改善も求められている。
すなわち本発明は以下のとおりである。
1.天然ゴムおよび合成イソプレンゴムから選択された少なくとも1種の加硫可能なジエン系ゴム成分100質量部に対し、パラ系アラミド繊維とステアリン酸とからなるマスターバッチを1〜5質量部およびコバルトアセチルアセトナートをコバルトとして0.03〜0.5質量部配合してなることを特徴とするゴム組成物。
2.前記1に記載のゴム組成物からなるタイヤベルトエッジテープ用ゴム組成物。
3.前記2に記載のタイヤベルトエッジテープ用ゴム組成物をベルトエッジテープに使用した空気入りタイヤ。
とくに本発明のゴム組成物は、図1に示すように、空気入りタイヤ1におけるベルト層5のエッジ部を被覆するエッジテープ3、すなわちベルトエッジテープに有効に利用することができる。
(ジエン系ゴム成分)
本発明で使用されるジエン系ゴム成分は、天然ゴム(NR)および合成イソプレンゴム(IR)から選択された少なくとも1種の加硫可能なゴム成分からなる。なお本発明においては、必要に応じてブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)を使用することもできる。なおBRおよび/またはSBRを使用する場合、下記で説明する亜鉛化合物および有機チオスルフェート化合物の配合量は、BRおよび/またはSBRを加えたジエン系ゴムの合計100質量部に対して決定される。
本発明で使用されるマスターバッチは、パラ系アラミド繊維とステアリン酸とからなる。
パラ系アラミド繊維とは、芳香族ポリアミド繊維のことである。パラ系のアラミド繊維を含有するマスターバッチを用いると、メタ系などと比較して本発明の効果が一層向上する。
パラ系アラミド繊維としては、特に限定されないが、たとえば、ポリパラフェニレンテレフタラミド(PPTA)などを用いることができる。
マスターバッチ中におけるステアリン酸の含有量は、パラ系アラミド繊維100質量部に対して50〜300質量部であることが好ましく、60〜200質量部であることがより好ましい。ステアリン酸の含有量が、パラ系アラミド繊維100質量部に対して50質量部未満であると、加工性が悪化したり、あるいはパラ系アラミド繊維の分散性が悪化する傾向にあり、また、パラ系アラミド繊維100質量部に対して300質量部を超えると、ゴム強度が低下する傾向にある。
本発明で使用するマスターバッチは、ステアリン酸中にパラ系アラミド繊維を投入し、攪拌させて分散させた後、水分を除去することにより製造することができる。また、必要に応じて有機過酸化物等を投入してもよい。
本発明で使用するマスターバッチは、市販されているものを利用することができ、例えば帝人(株)製サルフロン3001が挙げられる。
本発明において使用するコバルトアセチルアセトナートは公知の化合物である。コバルトアセチルアセトナートは、市販されているものを利用することができ、例えば、コバルトアセチルアセトナート(III)(Co(acac)3)として、日本化学産業(株)製ナーセム第二コバルト等が挙げられる。
本発明のゴム組成物は、各種充填剤を配合することができる。充填剤としてはとくに制限されず、適宜選択すればよいが、例えばカーボンブラック、シリカ、無機充填剤等が挙げられる。無機充填剤としては、例えばクレー、タルク、炭酸カルシウム等を挙げることができる。
本発明のゴム組成物は、前記ジエン系ゴム成分100質量部に対し、前記マスターバッチを1〜5質量部およびコバルトアセチルアセトナートをコバルトとして0.03〜0.5質量部配合してなることを特徴とする。
マスターバッチの配合量が1質量部未満であると、添加量が少な過ぎて発熱性が悪化する。逆に5質量部を超えるとエッジセパレーションが生じやすくなる。
コバルトアセチルアセトナートの配合量がコバルトとして0.03質量部未満であると添加量が少な過ぎてエッジセパレーションが悪化する。逆に0.5質量部を超えるとエッジセパレーションおよび発熱性が悪化する。
好ましい前記マスターバッチの配合量は、ジエン系ゴム成分100質量部に対し、1.5〜4.5質量部である。
好ましい前記コバルトアセチルアセトナートの配合量はジエン系ゴム成分100質量部に対し、コバルトとして0.05〜0.45質量部である。
サンプルの調製
表1に示す配合(質量部)において、加硫系(加硫促進剤、硫黄)を除く成分を1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練した後、ミキサー外に放出させて室温冷却した。続いて、該組成物を同バンバリーミキサーに再度入れ、加硫系を加えて混練し、ゴム組成物を得た。次に得られたゴム組成物を所定の金型中で160℃で20分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を調製した。得られた加硫ゴム試験片について以下に示す試験法で性能を評価した。
室内ドラム試験:295/80R22.5サイズのタイヤをリム組み(リムサイズ:22.5×8.25)して、空気圧850kPaを充填した後、室内ドラム試験機(ドラム径:1707mm)にて負荷荷重を51.5kN、速度45km/hとして25000km走行させた。走行後のタイヤを周上の6箇所において周方向長さ20cmのトレッド片に切断し、これら6つのトレッド片を解体してベルト層に発生したセパレーションの平均長さを測定した。
発熱性:東洋精機製作所(株)製の粘弾性スペクトロメーターを用い、初期歪10%、振幅±2%、周波数20Hzの条件にて、100℃のtanδを測定した。結果は、比較例1の値を100として指数で示した。指数が大きいほど低発熱性であり、良好であることを示す。
結果を表1に併せて示す。
*2:カーボンブラック(キャボットジャパン(株)製ショウブラックN326)
*3:亜鉛華(正同化学工業(株)製酸化亜鉛3種)
*4:老化防止剤(住友化学(株)製アンチゲン6C)
*5:有機金属塩−1(DIC(株)製ナフテン酸コバルト10%(Co含有量=10質量%))
*6:有機金属塩−2(日本化学産業(株)製ナーセム第二コバルト(Co含有量=16質量%))
*7:マスターバッチ(帝人(株)製サルフロン3001、パラ系アラミド繊維の繊維長および直径はそれぞれ約6mmおよび約14μm。マスターバッチ中におけるステアリン酸/パラ系アラミド繊維(質量比)=1.25)
*8:加硫促進剤(大内新興化学工業(株)製ノクセラーDZ−G)
*9:遅延剤(FLEXSYS社製サントガードPVI)
*10:硫黄(アクゾノーベル社製クリステックスHS OT 20)
これに対し、比較例1は、マスターバッチを配合しているものの、コバルトアセチルアセトナートの替わりにナフテン酸コバルトを配合しているので、実施例に比べ、エッジセパレーションおよび発熱性に改善が見られなかった。
比較例2は、コバルトアセチルアセトナートの配合量が本発明で規定する下限未満であるので、エッジセパレーションが抑制されなかった。
比較例3は、コバルトアセチルアセトナートの配合量が本発明で規定する上限を超えているので、エッジセパレーションおよび発熱性がいずれも悪化した。
比較例4は、マスターバッチの配合量が本発明で規定する下限未満であるので、発熱性が悪化した。
比較例5は、マスターバッチの配合量が本発明で規定する上限を超えているので、エッジセパレーションが悪化した。
2 ベルトエッジクッション
3 ベルトエッジテープ
4 エッジカバーシート
5 ベルト層
6 カーカス
Claims (3)
- 天然ゴムおよび合成イソプレンゴムから選択された少なくとも1種の加硫可能なジエン系ゴム成分100質量部に対し、パラ系アラミド繊維とステアリン酸とからなるマスターバッチを1〜5質量部およびコバルトアセチルアセトナートをコバルトとして0.03〜0.5質量部配合してなることを特徴とするゴム組成物。
- 請求項1に記載のゴム組成物からなるタイヤベルトエッジテープ用ゴム組成物。
- 請求項2に記載のタイヤベルトエッジテープ用ゴム組成物をベルトエッジテープに使用した空気入りタイヤ。
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