JP2012110873A - バイオマス原料糖化用触媒 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、短時間でもセルロース等のバイオマス原料を効率よく糖化し、生成物として、特にグルコースの収率が高い触媒を提供する。
【解決手段】本発明は、結晶化度が所定範囲内の担体に、所定量のスルホ基が結合し、さらに触媒成分として少なくともルテニウム又はパラジウムが担持されたバイオマス原料糖化用触媒に関する。本発明によれば、分解しにくい非食性バイオマス資源も、硫酸を用いることなく効率的に糖化することができ、工業用規模で処理可能となる。
【選択図】なし

Description

本発明は、バイオマス原料を工業用利用可能にするための技術に関し、特に、非食性バイオマスであるセルロース等を効率的にグルコース等に糖化するための触媒を提供する。
化石資源に代わる再生可能な工業用資源として、セルロースやデンプンなどのバイオマスの利用が期待されている。バイオマスは、エネルギー源として利用してCOを発生させても、その分だけ植物を育成すれば、大気中のCOを育成過程における光合成によって有機物に固定できるものである。このため、バイオマスによるCOの排出は、化石資源による場合と異なり、ライフサイクル中における正味のCO量を増減させないものと考えられ、カーボンニュートラルといわれている。
このようなバイオマスの具体的な利用法としては、サトウキビやトウモロコシに含まれるデンプンを用いたエタノールの製造が知られているが、食用資源を原料とすると、その需要が増加した場合に、食料価格や家畜用飼料の価格等を押し上げ、社会的問題となる。このため、将来的にバイオマスを原料として大規模に資源利用するには、稲わらなど食用部分でない非食性バイオマスの利用が必要と考えられており、代表的な非食性バイオマスとして、植物の葉や茎等に含まれるセルロース、ヘミセルロース、リグニン等の利用が注目されている。
これらセルロースに代表される非食性バイオマスを原料として利用する際は、まず、資源利用しやすいグルコースやキシロースなどの構成糖に糖化(分解)するが、主成分であるセルロースが安定的な構造であることから、非常に分解しにくい性質を有している。このような非食性バイオマス原料を糖化する方法としては、セルロースを硫酸等の強酸により、高温条件下で長時間加熱処理する酸糖化法が知られている(特許文献1)。しかしながら、このような硫酸を用いる方法は、製造装置を腐食させる原因になることに加え、生成したグルコース等の過分解を抑制するための反応制御も必要になる。また、硫酸も生成物であるグルコース等も液体のため、反応後の分離作業が煩雑であり、使用後の硫酸廃棄には中和作業も必要である。
以上のように、セルロース等の非食性バイオマスを利用するに際しては、硫酸を用いずに糖化できる技術が求められている。そのような技術として、固体触媒を利用する技術が検討されている。例えば、グルコース、スクロース、セルロース等にスルホ基を導入して担体とした触媒(特許文献2)や、活性炭を担体としたスルホ基含有触媒(特許文献3)、細孔の内壁面等にスルホ基を導入したメソポーラス有機シリカの触媒(特許文献4)が提案されている。
特開平11−313700号公報 特開2009−67730号公報 特開2009−201405号公報 特開2006−88041号公報
しかしながら、上記特許文献2〜4記載のスルホ基含有触媒では、セルロース等の糖化にあたり、実験室レベルの触媒性能は有するものの、工業用レベルでの実用にあたり充分な触媒性能は有していなかった。すなわち、従来の触媒は、セルロース等を糖化するために数時間から数十時間という反応時間を要するものであった。また、生成物であるグルコース等の収率も充分ではなかった。このため、工業用規模で大量の非食性バイオマスを糖化したい場合には実用的でなかった。また、触媒反応に長時間を要するということは、その分過剰に熱エネルギーを消費することとなり、エネルギー資源としてカーボンニュートラルなバイオマスを選択したことの意義に欠ける結果となる。そこで、本発明は、短時間でもセルロース等のバイオマス原料を効率よく糖化することができ、生成物として、特にグルコースの収率が高い触媒の提供を目的とした。
以上の課題を解決する本発明は、バイオマス原料の糖化に用いられる触媒において、スルホ基が結合した担体に、触媒成分として貴金属が担持されたものであり、貴金属は少なくともルテニウム又はパラジウムのいずれかであり、担体は、結晶化度が1.8〜2.4であるセルロースの炭化物からなり、担体の質量に対し2.4〜7.0質量%のスルホ基が結合しているバイオマス原料糖化用触媒に関する。本発明の触媒は、数分〜数十分という短時間でもセルロース等を糖化可能としつつ、生成物であるグルコースの収率も高いものとなる。このため、工業用の大規模プラント等でバイオマス原料を糖化する場合にも、好適なものとなる。
本発明の触媒は、主にセルロース、ヘミセルロース、リグニン等を含有する草、木材、おが屑、パルプ、古紙等の非食性バイオマスを糖化するために好適である。また、デンプン、スクロース、セロビオース等を含有するジャガイモ、麦、米、トウモロコシ、甜菜、食品残渣等の可食性バイオマスも糖化できる。そして、上記バイオマス原料の糖化により、生成物として、グルコース、スクロース、フルクトース、オリゴ糖(2〜4糖)、ヒドロキシメチルフルフラール(5−HMF)等を得ることができる。本発明の触媒は、特に、非食性バイオマスとしてセルロースを糖化するために好適であり、生成物として、特にグルコースを高収率で得ることが可能となる。以下、本発明の触媒について詳細に説明する。
上記特許文献に記載された従来の触媒は、主にスルホ基の結合した担体のみから構成されるのに対し、本発明の触媒は、スルホ基が結合した担体に、さらに触媒成分である貴金属が担持されたものである。そして、本発明では、この貴金属の種類を、ルテニウムかパラジウムの2種より選択されるものとしている点に、さらなる特徴点がある。すなわち、貴金属としては一般的に、ルテニウムとパラジウム以外にも、金、銀、白金、ロジウム、イリジウム、オスミウム等が知られているが、本発明では、貴金属として、上記貴金属のうち利用可能な貴金属をルテニウム及び/又はパラジウムの2種に限定するものである。これは、本発明者等が、バイオマス原料を糖化するための触媒について鋭意検討した結果に基づくものであり、ルテニウム又はパラジウムを担持した触媒は、他の貴金属を用いた触媒よりも、セルロース等の分解しにくい非食性バイオマスを糖化しやすいものとなる。
次に、上記貴金属を担持する担体としては、スルホ基(−SOH)が結合したものを用いる。また、スルホ基を結合させる量は、担体の質量に対し2.4〜7.0質量%の範囲内とする。スルホ基の結合量が上記範囲内であると、バイオマス原料として、セルロース等の糖化が進行しやすいものとなり、生成物の収率も高いものとできる。スルホ基は、2.4質量%未満であるとセルロース等の分解が進行しにくい傾向となり、7.0質量%を超える量は担体に確実に担持することが困難となる。
また、本発明者等の検討によれば、バイオマス原料の糖化により得られるグルコース収率を特に高いものにするためには、担体自体の選択も重要であることが分かった。具体的には、本発明の触媒にはセルロースの炭化物を用いる。セルロースの炭化物を用いた場合、グルコースの収率が高くなる傾向があるからである。さらに、本発明では、セルロースの炭化物の中でも、特に結晶化度が1.8〜2.4である担体を用いる。触媒によるバイオマス原料の糖化効率が高い傾向となり、糖化のための加熱時間短縮が可能となるからである。結晶化度は、2.2〜2.4の範囲であることがより好ましい。このような結晶化度であると、担体が結晶性の低いアモルファスな状態となり、スルホ基が担体に結合しやすくなるため、分解効率が高くなるものと考えられる。結晶化度が1.8未満であると触媒の安定性が低くなる。また、結晶化度が2.4を超えると、スルホ基が結合しにくく、糖化効率が低くなる傾向があり、生成物が充分な収率で得られにくい。
また、本発明の触媒において、貴金属含有量は、担体に対し0.1〜50質量%が好ましく、2〜30質量%が特に好ましい。貴金属含有量が0.1質量%未満であると、反応速度が遅くなり、セルロース等を短時間の熱処理で糖化することが困難となる。50質量%を超えると、触媒粒子の凝集を生じ、耐久性に問題が生じる。
以上説明した本発明の触媒を製造する場合、セルロース粉末を担体であるセルロースの炭化物とするための熱処理条件は、加熱温度400〜900℃で、加熱時間1〜10時間とする。熱処理後の担体は、ルテニウム又はパラジウムの少なくともいずれかの貴金属を含む溶液に浸漬して加熱した後、還元して貴金属を担体に担持することが好ましい。その後、貴金属を担持した担体を、濃硫酸又は濃硫酸と発煙硫酸との混合溶液に浸漬して、担体にスルホ基を結合させる方法が好適である。
上記方法では、セルロースを炭化して担体を調製する際の加熱温度を400〜900℃、1〜10時間としている。このような炭化条件であると、結晶化度が1.8〜2.4である炭化物となりやすい。これに対し、高結晶性カーボンとして知られているグラファイトは、一般的に、2000℃以上の高温で熱処理して製造されており、例えば市販のグラファイトは、結晶化度約8.1という結晶性の高いものであった。
セルロース由来の炭素担体の調製において、加熱温度は400〜600℃が好ましい。さらに好ましくは500〜600℃であり、担体の安定性が向上する。加熱温度は、400℃未満であると結晶化度が低い傾向となる。また、900℃を超えると結晶化度が高くなる傾向があり、担体に充分なスルホ基を修飾することが難しくなり、グルコースの選択性および収率が低下する。加熱時間は、1時間未満では結晶化度が低い傾向となり、10時間の処理で上記結晶化度の範囲内の炭化物を得られるため、それ以上の加熱時間は不要となる。尚、以上の担体調製に用いるセルロース原料としては、綿、木、木粉、古紙等由来のセルロース粉末を使用できる。
貴金属を担持するための溶液は、ルテニウム又はパラジウムの少なくともいずれかの貴金属を含む化合物を、水又は有機溶剤等の溶媒と混合して調製できる。貴金属を含む化合物としては、貴金属の硝酸塩、硫酸塩、塩化物等を用いることができ、特に硝酸塩又は塩化物を用いることが好ましい。そして、上記溶液に担体を浸漬し、80〜120℃で5〜10時間の加熱処理によって貴金属を担持することが好ましい。浸漬加熱処理後の還元処理は、水素雰囲気下で行うことが好ましく、還元処理条件は400〜600℃、1〜5時間が好ましい。
貴金属担持後、担体にスルホ基を結合させるには、濃硫酸又は濃硫酸と発煙硫酸との混合溶液を用いた浸漬法により行うことができ、特に濃硫酸と発煙硫酸との混合溶液を用いた浸漬法が好適である。スルホ基導入の際は温度80〜140℃で10〜16時間の加熱処理条件が好適である。加熱処理後、80〜200℃の熱水で洗浄し、担体に結合しなかった過剰なスルホ基を除去することが好ましい。
このように本発明の方法では、担体に貴金属とスルホ基とを導入するに際し、貴金属を担体に担持してからスルホ基を結合させる順序で触媒を製造する。これとは逆に、担体にスルホ基を結合させてから貴金属を担持すると、製造された触媒中のスルホ基含有量が低くなる傾向となり、糖化のための加熱時間を短縮しにくいものとなる。これは、スルホ基を先に導入すると、その後の貴金属担持における還元の際、スルホ基が離脱しやすいためと考えられる。
以上で説明したように、本発明によれば、分解しにくい非食性バイオマスも、硫酸を用いることなく短時間で糖化することができる。このため、非食性バイオマスを工業用資源として用いるために好適となる。
以下、本発明における最良の実施形態について説明する。
第1実施形態:種々の貴金属を担持した触媒を製造し、セルロース糖化性能を比較した。また、担体に貴金属を担持せず、スルホ基のみを結合させた触媒についても同様に性能を評価した。
[担体の調製]
セルロース粉末(SIGMA−ALDRICH製、平均粒径20μm以下、微結晶、高純度品、コットンリンター由来)を、窒素ガス雰囲気中にて500℃で1時間加熱して、担体であるセルロースの炭化物とした。
[貴金属の担持]
塩化ルテニウム溶液 0.71g(Ru濃度8.4質量%、Ru量60mg)にイオン交換水40mlを添加して塩化ルテニウム水溶液を調製し、担体2.94gを浸漬させた。これを80℃で5時間撹拌した後、120℃で12時間乾燥させた。乾燥後、100%水素ガス雰囲気中で、400℃にて1時間還元処理し、担体に金属ルテニウムを2質量%担持させた(以上を実施例1とする)。
また、塩化ルテニウム溶液に代えて、担体0.294gに対し硝酸パラジウム溶液0.029g(Pd濃度:20.5質量%、Pd量:6mg)を用いた場合、塩化白金溶液0.039g(Pt濃度:15.3質量%、Pt量:6mg)を用いた場合、塩化金酸溶液0.0198g(Au濃度:30.239質量%、Au量:6mg)を用いた場合、塩化イリジウム結晶0.012g(Ir濃度:51.48質量%、Ir量:6mg)を用いた場合、硝酸Rh溶液0.074g(Rh濃度:8.1質量%、Rh量:6mg)を用いた場合、及び貴金属を担持しない場合について、実施例1と同様の条件で触媒を製造した。
[スルホ基の結合]
貴金属を担持した担体を、濃硫酸20mlと発煙硫酸20mlの混合溶液(SO濃度:25体積%)に浸漬させ、80℃で10時間撹拌して担体にスルホ基(-SOH)を結合させた。その後、80℃の純水3Lで洗浄を行って触媒を製造した。
[触媒成分含有量の測定]
以上の方法で得られた実施例及び比較例の触媒について、スルホ基含有量は、CS分析装置(HORIBA製 EMIA−920V)により、硫黄量の測定結果に基づき算出した。結果を表1に示す。
[セルロース糖化性能の測定]
非食性バイオマス原料であるセルロースの糖化性能を測定した。純水40g(2222.2mmol)に、ボールミルで粉砕したセルロース0.320g(1.974mmol)と触媒0.050gを混合し、SUS製密閉型反応容器にて230℃で1分間反応させた。その後、ヒーターから反応容器を取り外し、ファンにて空冷した。室温付近まで冷却した後、水溶性生成物と反応残渣および触媒をろ過分離した。得られた水溶性生成物を用いて、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)でセルロース糖化後の生成物を分析した。測定は、カラム温度75℃、溶離液は純水(0.6ml/min)として、示差屈折計を用いて行った。以下に示す結果において、グルコース(Glc)収率、セルロース転化率、グルコース選択率は、下記式に従い算出した。なお、セルロース転化率の算出には、反応残渣および触媒を120℃にて12時間乾燥して、その乾燥質量を用いた。
Figure 2012110873
Figure 2012110873
以上の結果より、貴金属としてルテニウム又はパラジウムを担持した実施例1、2の触媒は、グルコース収率が特に高いものとなることが分かった。これに対し、ルテニウム又はパラジウム以外の貴金属を担持した比較例1〜4の触媒は、グルコース収率が実施例よりも低いものであった。また、貴金属を全く担持しなかった比較例5の触媒は、特にグルコース収率の低いものであった。
第2実施形態:本実施形態では、担体について検討した。まず、セルロースを炭化物とする際の処理温度を、第一実施形態と異なる温度として担体を調製し、調製した担体についてラマン分光光度計により結晶化度の分析を行った。これらの担体を用いて製造した触媒について、セルロース糖化性能も測定した。また、担体として、セルロースの炭化物に代えて、カーボンナノパウダー、メソポーラスカーボン、グラファイト、気相成長法炭素繊維を用いて製造した触媒について、セルロース糖化性能を評価した。セルロースの炭化物を担体とした触媒について、セルロース糖化の際の反応温度を低温長時間とした場合の性能評価も行った。
[担体調製における処理温度の検討]
表2に示す各処理温度において、第一実施形態と同じセルロースを、窒素ガス雰囲気中で1時間炭化させて担体を調製した。炭化した担体について、ラマン分光光度計(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製 DXR Smart Raman)で結晶化度を測定した。具体的には、結晶性カーボンに起因する1,585cm−1付近に出現するラマンバンド(Gバンド)の強度を、アモルファスカーボンに起因する1,350cm−1付近に出現するラマンバンド(Dバンド)の強度で割る(G/D)ことで結晶化度を算出した。また、これら担体を用いて、第一実施形態の実施例1と同様の方法で触媒を製造し、同触媒を用いたセルロース糖化性能を測定した。結果を以下に示す。
Figure 2012110873
以上の結果より、セルロースの処理温度400〜900℃として調製した担体を用いた実施例の触媒は、グルコース糖化性能を有することが確認できた。中でも、処理温度が400〜600℃である実施例1、3、4の触媒は、特にグルコース収率の高いものとなった。処理温度900℃の場合にグルコース収率が低下した要因としては、担体の炭化物表面にあるカルボキシル基やヒドロキシル基等の官能基の減少、担体表面の一部における炭素結晶構造の変化、担体表面の表面積低下、あるいは担体に充分なスルホ基を修飾することが難しくなる等が考えられる。
[担体種類の検討]
また、セルロースの炭化物以外の担体として、カーボンナノパウダー(表面積100m/g、粒子径50nm:和光純薬社製、製品名Carbon nano powder)を用いた場合、メソポーラスカーボン(表面積200m/g、平均細孔径6.4nm、粒子径<200nm:和光純薬社製、製品名Mesoporouscarbon)を用いた場合、グラファイト(表面積5m/g、和光純薬社製、製品名Graphite)を用いた場合、気相成長法炭素繊維(表面積50m/g、昭和電工製、製品名VGCF(登録商標))を用いた場合についても、実施例1と同様に触媒を製造し、セルロース糖化性能を測定した。結果を以下に示す。
Figure 2012110873
表3より、担体の種類によって、結晶化度及びスルホ基含有量が大きく異なるものとなることがわかった。結晶化度についてみると、結晶化度が1.8〜2.4の範囲内である実施例1に対し、1.8未満である比較例6、7はグルコース収率が低く、結晶化度が2.4を大きく上回る比較例8、9ではグルコース収率が著しく低かった。また、スルホ基含有量についてみると、実施例1のように、スルホ基含有量2.4〜7.0質量%の範囲内であると、特にグルコース収率が高くなることが分かった。これに対し、スルホ基含有量が2.4質量%未満である比較例7〜9は、グルコース収率が低いものとなった。
すなわち、結晶化度及びスルホ基含有量がいずれも好適範囲内である実施例1と比較して、セルロース炭化物以外の担体を用いた比較例6〜9は、結晶化度及び/又はスルホ基含有量が、好適範囲内とはならず、グルコース収率の低いものであった。例えば、スルホ基含有量は2.4〜7.0質量%の範囲内であるが、結晶化度が1.8未満である比較例6は、グルコース収率が実施例1よりも低いものであった。また、比較例6は、セルロース転化率が実施例1とほぼ同等であるものの、グルコース選択率が実施例1よりも低いものであった。
[セルロース糖化における反応条件の検討]
また、上記実施例1について、150℃、24hの反応条件でのセルロース糖化性能を評価した。結果を以下に示す。
Figure 2012110873
表4より、実施例1の触媒では、150℃、24時間という低温長時間で反応させた場合よりも、230℃、1分という高温短時間の反応条件とした方が、グルコース収率が高くなることが分かった。
第3実施形態:触媒の製造方法について検討した。実施例1では、貴金属の担持後にスルホ基を結合させたのに対し、スルホ基を結合させた後に貴金属を担持して製造した触媒について、セルロース糖化性能を測定した。
比較例10:実施例1と同じ担体を用いて、担体を濃硫酸と発煙硫酸(SO濃度:25体積%)の混合溶液に浸漬させ、80℃で10時間撹拌してスルホ基を結合させた後、80℃の純水3Lで洗浄を行った。洗浄後の担体を、硝酸ルテニウム溶液0.71g(Ru濃度:8.4質量%、Ru量:60mg)に浸漬し、80℃で5時間撹拌して貴金属であるRuを担持した。その後、120℃で12時間乾燥させ、さらに、100%水素ガス雰囲気中、400℃で1時間還元処理を行い、触媒を製造した。得られた触媒について、セルロース糖化性能を評価した。結果を以下に示す。
Figure 2012110873
以上の結果より、ルテニウム担持後にスルホ基を結合させて得られた実施例1の触媒は、先にスルホ基を結合させた比較例10と比較して、触媒性能が良好であることが分かった。
第4実施形態:バイオマス原料としてデンプンを用いて、糖化性能を測定した。糖化性能の測定は、セルロースの代わりにデンプンを用いたことを除いて、第一実施形態と同様の方法で行った。結果を以下に示す。
Figure 2012110873
実施例1の触媒では、1,4-β-グリコシド結合を有するセルロースのみならず、1,4-α-グリコシド結合を有するデンプンを原料とした場合にも、グルコースを収率良く得られることが分かった。
本発明によれば、カーボンニュートラルなバイオマス原料のうち、特に非食性のセルロースもエネルギー資源等として工業用に利用可能となる。

Claims (3)

  1. バイオマス原料の糖化に用いられる触媒において、
    スルホ基が結合した担体に、触媒成分として貴金属が担持されたものであり、
    貴金属は少なくともルテニウム又はパラジウムのいずれかであり、
    担体は、結晶化度が1.8〜2.4であるセルロースの炭化物からなり、担体の質量に対し2.4〜7.0質量%のスルホ基が結合していることを特徴とするバイオマス原料糖化用触媒。
  2. 貴金属含有量が、担体の質量に対し0.1〜50質量%である請求項1に記載のバイオマス原料糖化用触媒。
  3. 請求項1又は請求項2に記載されたバイオマス原料糖化用触媒の製造方法において、
    セルロース粉末を400〜900℃で1〜10時間加熱して担体であるセルロースの炭化物とし、
    ルテニウム又はパラジウムの少なくともいずれかの貴金属を含む溶液に担体を浸漬し加熱した後、還元して貴金属を担体に担持し、
    貴金属を担持した担体を濃硫酸又は濃硫酸と発煙硫酸との混合溶液に浸漬して、担体にスルホ基を結合させるバイオマス原料糖化用触媒の製造方法。
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