JP2012109063A - 光電変換素子の作製方法、光電変換素子及び光電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基板上に金属ナノ粒子を含有する分散液を塗布し、導電性基板を当該導電性基板のガラス転移温度以下で、加熱処理する手段(第1加熱工程)と、前記導電性基板を当該導電性基板のガラス転移温度以下で、塗膜裏面側又は塗膜裏面側と塗膜面側の両面のいずれかから加熱処理すると同時に、加熱水蒸気を塗膜面に接触させて塗膜面側を加熱処理する手段(第2加熱工程)を逐次行うことにより金属ナノ粒子焼結体薄膜層を形成する。
【選択図】図1
Description
しかし、これらの太陽電池は、高温もしくは真空下で製造するために、プラントのコストが高く、エネルギーペイバックタイムが長いという欠点がある。
なかでも特に注目されるのは大気中で低コストの量産が可能な色素増感型太陽電池であり、色素増感された多孔質半導体膜を用いる高効率の光電変換方法が提案されている(特許文献1)。
[1] 導電性基板
本願発明の導電性基板を構成する透明基材は、ガラス板やポリマーフィルムが好ましく、ガラス板よりも屈曲性があるポリマーフィルムである方がより好ましい。
ポリマーフィルム材料としては、無着色で透明性が高く、耐熱性が高く、耐薬品性ならびにガス遮断性に優れ、かつ低コストの材料が好ましく選ばれる。
この観点から、好ましい材料としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルホン(PSF)、ポリエステルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、透明ポリイミド(PI)、シクロオレフィンポリマー(COP)などが用いられる。
これらのなかでも化学的安定性とコストの点で特に好ましいものは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)であり、もっとも好ましいものはポリエチレンナフタレート(PEN)である。
この中で高い光学的透明性をもつ点で導電性金属酸化物が好ましく、インジウム・スズ複合酸化物(ITO)、酸化亜鉛、インジウム・亜鉛酸化物(IZO)が特に好ましい。
最も好ましいものは、耐熱性と化学安定性に優れるインジウム・亜鉛酸化物(IZO)である。
低い表面抵抗値を達成するためには、金属を用いることが好ましい。金属は、透明でないという問題は、金属メッシュ構造からなる透明導電性層を形成することにより解決でき、金属がヨウ素により腐食されるという問題は、電解液中のヨウ素をなくすか、あるいはその含有量を削減することにより解決できる。
このような補助リードは、低抵抗の金属材料(例、銅、銀、アルミニウム、白金、金、チタン、ニッケル)によって形成される。
補助リードがパターニングされた透明導電層において、補助リードを含めた表面の抵抗値は好ましくは1Ω/□以下に制御することが好ましい。このような補助リードのパターンは透明基板に蒸着、スパッタリングなどにより形成し、さらにその上に酸化スズ、ITO膜、IZO膜などからなる透明導電層を設けるのが好ましい。
本願発明の金属ナノ粒子分散液は、貴金属コロイドであって、貴金属ナノ粒子(1〜100nm)を沸点100℃以上の有機溶媒中に分散した分散液である。安定に分散させるために有機配位子を用いている。
金属ナノ粒子の平均粒径は、導電性基板上に形成する金属薄膜の厚みにより選択される。金属ナノ粒子としては、白金、パラジウム、ロジウム、金の中から1つ選ばれるものである。形成される金属ナノ粒子焼結体層の導電性、安定性から白金ナノ粒子が好ましい。有機配位子としては、金属ナノ粒子表面の金属原子に対して、アミノ基の窒素原子上の孤立電子対を利用して配位的な結合が可能なアルキルアミンが好ましい。分散溶媒中の金属ナノ粒子の分散性を維持するため、有機配位子による被覆分子層の形成を確実に行う必要があり、金属ナノ粒子100質量部あたり、アルキルアミンを2質量部〜30質量部、好ましくは4質量部〜25質量部、より好ましくは5質量部〜20質量部含まれる。
また、有機配位子は、加熱処理により金属ナノ粒子表面から容易に離脱できる必要があるが、分散液の保存安定性の観点から50℃以下で容易に蒸散することがないものが好ましい。したがって、常圧(1気圧)における沸点は、60℃〜300℃、好ましくは100℃〜300℃のアルキルアミンを用いることが好ましい。
かかる有機溶媒としては、エタノール、イソプロパノール、クロロホルム、トルエン、α-ターピネオールなどがある。
本発明の金属ナノ粒子焼結体層は、基本的に、金属ナノ粒子を導電性基板に塗布する工程、導電性基板を当該導電性基板のガラス転移温度以下で、加熱処理する第1加熱工程、導電性基板を当該導電性基板のガラス転移温度以下で、塗膜裏面側又は塗膜裏面側と塗膜面側の両面のいずれかから加熱処理すると同時に、加熱水蒸気を塗膜面に接触させて塗膜面側を加熱処理する第2加熱工程からなり、必要に応じて、第2加熱工程後に、導電性基板を当該導電性基板のガラス転移温度以下で、加熱処理する第3加熱工程を加えることにより形成される。以下に各工程について説明する。
本発明の金属ナノ粒子分散液の塗布方法は、金属ナノ粒子焼結体層を担持した導電性基板(以下、「本発明の基板」という。)の製造方法により適宜選択することができる。本発明の基板をバッチ方式で製造する場合は、スピン塗布、ドクターブレード塗布、バー塗布を採用できる。また、本発明の基板をロール状の導電性基板へ連続塗布する場合は、バー塗布、グラビアロール塗布、ダイ塗布を採用することができる。塗布方式により金属ナノ粒子分散液の液物性(粘度、表面張力など)を調整することが望ましい。
本発明の第1加熱工程は、金属ナノ粒子分散液の分散媒を蒸散させて導電性基板上に金属ナノ粒子分散ゲルを形成することを目的に行われる。ゲル形成を迅速に行うためには金属ナノ粒子分散液を塗布した導電性基板を当該導電性基板のガラス転移温度以下、具体的には当該ガラス転移温度に近い温度で加熱して分散媒を蒸散させる必要がある。一方、迅速乾燥という観点のほかに、塗布面から分散媒の蒸散に伴う乾燥ムラを防ぎ金属ナノ粒子分散ゲル膜の均一性を保つという観点も重要である。このためには、裏面側からの加熱風の供給、パネルヒーターによる塗布面と裏面の同時加熱、塗膜面に沿った徐風層流加熱風の供給が好ましい。
本発明の第2加熱工程は、主として金属ナノ粒子表面に形成されている被覆剤分子層を金属ナノ粒子表面から離脱させることを目的に行われる。被覆分子層が消失することにより、金属ナノ粒子相互が接触して金属ナノ粒子の融着が進行し、焼結体層が形成されるからである。本発明では、加熱水蒸気を連続的に塗膜面に接触させることによりその被覆分子層を迅速に金属ナノ粒子層から離脱させている。水の熱容量の大きさに着目したものである。さらに、被覆分子が離脱した瞬間に塗膜裏面側と塗膜面側から均一に熱が加えられることにより、金属ナノ粒子の低温融着反応が塗膜全体で効率よく進行する。加熱温度は、導電性基板のガラス転移温度以下で行われる。本発明は、前記被覆剤の沸点が導電性基板のガラス転移温度より高い場合に、金属ナノ粒子表面に形成されている被覆剤分子層を金属ナノ粒子表面から迅速に離脱させて、導電性基板上に金属ナノ粒子焼結体層を形成する方法だからである。
本発明の第3加熱工程は、分散媒の蒸散、金属ナノ粒子の融着を十分なものとするために必要に応じて行われる。加熱方法は本発明の第1加熱工程と同様である。
図1に示すように、本発明に用いられる色素増感型光電変換素子用光電極1は、基本的に透明基材11と透明導電層からなる導電性基板12、色素14を担持した金属酸化物半導体多孔質層13から構成されている。
導電性基板については、上述した通りである。
(1)半導体微粒子
本願発明の多孔質半導体微粒子層は、ナノサイズの細孔が内部に網目状に形成されたいわゆるメソポーラスな半導体膜からなっている。
多孔質半導体微粒子層を形成する半導体微粒子としては、金属の酸化物及び金属カルコゲニドを使用することができる。
金属酸化物及び金属カルコゲニドを構成する金属元素としては、例えば、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、カドミウム、亜鉛、鉛、アンチモン、ビスマス、カドミウム、鉛などが挙げられる。
TiO2、ZnO、SnO2、WO3、Nb2O3が好ましく、チタン酸化物、亜鉛酸化物、スズ酸化物およびこれらの複合体がさらに好ましく、二酸化チタンが最も好ましい。
これらの半導体粒子の一次粒子は、平均粒径が2nm〜80nmであることが好ましく、10nm〜60nmがさらに好ましく、2nm〜30nmが最も好ましい。
本願発明の光電変換素子において、上記の半導体粒子によって作られる多孔質半導体粒子層は、色素によって増感されているので色素を多孔質膜の表面に吸着分子として持っている。
多孔質半導体粒子層は、2種類以上の微粒子群を含むことができる。2種以上の微粒子群は、例えば、粒径分布が異なるものであることができる。粒径分布が異なる2種類以上の微粒子群を含む場合、最も小さい粒子群の平均サイズは20nm以下が好ましい。
この超微粒子に対して、光散乱により光吸収を高める目的で、平均粒径が200nmを越える大きな粒子を、質量割合として5%〜30質量%の割合で添加することが好ましい。
このような低温製膜は、バインダーフリーコーティング法により行うことができる。バインダーフリーコーティング法は、粒子を分散し粘度を上げるための添加剤や樹脂バインダーなどの絶縁材料を一切含まず、金属酸化物半導体ナノ微粒子のみからなる粒子分散液をコーティングして多孔質半導体微粒子層を作製する方法である。簡単な製造工程を実現できるメリットがある。
多孔質半導体粒子層の増感に用いる色素分子としては、電気化学の分野で色素分子を用いる半導体電極の分光増感にこれまで用いられてきた各種の有機系、金属錯体系の増感材料が用いられる。
また、光電変換の波長領域をできるだけ広くし、かつ、変換効率を上げるために、二種類以上の色素を混合して用いてもよく、光源の波長域と強度分布に合わせて、混合する色素とその混合割合を選択してもよい。
そのほか「機能材料」、2003年6月号、第5〜18ページに記載されている合成色素と天然色素や、「ジャーナル・オブ・フィジカル・ケミストリー(J.Phys.Chem.)」、B.第107巻、第597ページ(2003年)に記載されるクマリンを中心とする有機色素を用いることもできる。
半導体微粒子に色素を吸着させるためは、色素の溶液中によく乾燥した半導体微粒子層を有する導電性支持体を浸漬する方法、あるいは色素の溶液を半導体微粒子層に塗布する方法を用いることができる。
浸漬法の場合は、色素の吸着は室温で行ってもよいし、特開平7−249790号公報に記載されているように加熱還流して行ってもよい。
塗布法としては、ワイヤーバー法、スライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法、スピン法、スプレー法等の塗布方法や、凸版、オフセット、グラビア、スクリーン印刷等の印刷方法が利用できる。
色素の全使用量は、導電性支持体の単位表面積(1m2)当たり0.01〜100mmolとすることが好ましい。
色素の吸着量が少なすぎると増感効果が不十分となり、また色素の吸着量が多すぎると半導体微粒子に付着していない色素が浮遊し、増感効果を低減させる。
色素の吸着量を増大させるために吸着前に半導体微粒子を加熱処理するのが好ましい。また、加熱処理の後に半導体微粒子表面に水が吸着するのを避けるため、加熱処理後には常温に戻さず半導体微粒子層の温度が40℃〜80℃で素早く色素を吸着させるのが好ましい。
共吸着させる化合物としてはカルボキシル基を有するステロイド化合物(例 コール酸、ケノデオキシコール酸)が挙げられる。また、紫外線吸収剤を併用してもよい。
図1に示すように、本願発明の光電極、電荷輸送層、対極(正電極)をこの順に積層し、電解液を封止剤で封止することにより、色素増感型太陽電池を製造することができる。このような色素増感太陽電池も本発明に含まれる。
電荷輸送層は、色素の酸化体に電子を補充する機能を有する電荷輸送材料を含有する。本発明で用いる電荷輸送材料としては、イオンが関わる電荷輸送材料であっても、固体中のキャリア移動が関わる電荷輸送材料であってもよい。
イオンが関わる電荷輸送材料としては、酸化還元対イオンを含有する溶融塩電解質組成物、酸化還元対のイオンが溶解した溶液(電解液)、酸化還元対の溶液をポリマーマトリックスのゲル含浸したいわゆるゲル電解質組成物、固体電解質組成物がある。
固体中のキャリア移動が関わる電解質材料としては、電子輸送材料や正孔(ホール)輸送材料などがある。
本発明の光電極は、電荷輸送層としてイオンが関わる電荷輸送材料を用いる場合に、特に有効である。
溶融塩電解質組成物は、常温で液体であることが好ましい。主成分である溶融塩は室温において液状であるか、または低融点の電解質である。一般的な例としては、WO95/18456号、特開平8−259543号に記載のピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾリウム塩等がある。具体例は、特開2001−320068号の段落番号0066〜0082に詳しく記載されている。また、溶融塩は単独で使用しても2種以上混合して使用してもよい。
電解液は、電解質、溶媒及び添加物から構成されることが好ましい。電解液に用いる電解質の例としては、ヨウ素とヨウ化物(例 金属ヨウ化物、4級アンモニウム化合物ヨウ素塩)の組み合わせ、臭素と臭化物(例 金属臭化物、4級アンモニウム化合物臭素塩)の組み合わせ等がある。電解質は混合してもよい。
電解液に使用する溶媒は、低粘度でイオン移動度が高いか、高誘電率で有効キャリア濃度を高めることができるか、あるいはその両方であるために優れたイオン伝導性を発現できるものが好ましい。多孔質半導体微粒子層に色素を吸着して得られる色素増感半導体薄膜層を光電極とするため、多孔質半導体微粒子層への浸透性が光電変換効率を向上するために必要だからである。また、電解液量を保持するために高沸点であること、特に沸点が200℃以上であることが好ましい。さらに、溶質として用いる無機塩の溶解性の観点から、非プロトン性極性溶媒であることも好ましい。
本発明では、ポリマー添加、オイルゲル化剤添加、多官能モノマー類を含む重合、ポリマーの架橋反応等の手段により、前述の溶融塩電解質組成物や電解液をゲル化(固体化)させて使用することができる。溶融電解質をゲル化した例は特開2000−58140号に記載され、電解液をゲル化した例は、特開平11−185863号に記載されている。
対向電極は光電変換素子を光化学電池としたときに正極として作用するものである。一般的には、導電性材料からなる対極導電層の単層構造または対極導電層と支持体基板から構成されている。対極導電層に用いる導電剤としては、金属(例、白金、金、銀、銅、アルミニウム、マグネシウム、インジウムなど)、炭素、導電性金属酸化物(例、インジウム−スズ複合酸化物、フッ素ドープ酸化スズなど)がある。この中でも、白金、金、銀、銅、アルミニウム及びマグネシウムが用いられている。
対極に用いる基板は、ガラス基板又はプラスチック基板であり、これに導電性材料を塗布又は蒸着して用いることができる。
対極導電層の厚さは特に制限されないが、3nm〜10μmが好ましい。対極導電層の表面抵抗は低いほどよい。50Ω/□以下が好ましく、20Ω/□以下がより好ましい。
本発明の対向電極は、耐久性と経済性の観点から、上述した白金層を担持した導電性基板を用いている。
電極として作用する光電極層及び対向電極層の一方又は両方に、逆電流防止と導電性基板と半導体微粒子層との密着性向上を目的とした下塗り層、保護層、反射防止層等の機能性層を設けてもよい。これらの機能性層は、その材質に応じて塗布法、蒸着法、貼り付け法などによって形成することができる。
このような機能性層を多層に形成する場合、同時多層塗布法や逐次塗布法が利用できる。生産性の観点からは同時多層塗布法が好ましい。同時多層塗布法では、生産性及び塗膜の均一性の観点からスライドホッパー法やエクストルージョン法が好ましい。
機能性層の形成には、光電極層及び対向電極層の材質に応じて蒸着法や貼り付け法等を用いることができる。
(1)封止材
本発明の素子シール部は、電解液を封止することができるものであれば特に限定されるものではないが、電解液に対する耐性(耐薬品性)や、高温高湿耐久性(耐湿熱性)に優れていることが好ましい。電解液の漏洩を効果的かつ持続的に抑制するためには、耐薬品性と耐湿熱性に優れる必要があるからである。
取扱い性に優れるという観点から、アクリル系樹脂封止材、フッ素系樹脂封止材、シリコーン系樹脂封止材が好ましい。
前記素子シール部と前記透明基材等の被接着部材との密着強度としては、特に限定されるものではないが、例えば、上記素子シール部が、上述したアクリル系樹脂封止材、フッ素系樹脂封止材またはシリコーン系樹脂封止材等を用いて形成される場合は、0.5N/15mm幅〜15N/15mm幅の範囲内であることが好ましい。
本発明の封止材中には、電極間距離を規制するためにスペーサーを混在させる。このような目的で用いられるスペーサーとしては、真円球樹脂粒子、無機粒子、ガラスビーズなどを適宜選択することができる。
また、前記素子シール部の幅としては、特に限定されるものではないが、例えば0.5mm〜5mmの範囲内、中でも0.8mm〜3mmの範囲内であることが好ましい。素子シール部の幅が小さすぎると、電解質に対して充分な耐久性を発揮できない可能性があり、素子シール部の幅が大きすぎると、色素増感型太陽電池素子において発電に寄与する素子面積が減少するため、モジュール面積に対して有効な面積が低下し、有効発電効率が減少してしまう可能性があるからである。
このセパレータ層は、色素増感多孔質半導体フィルム電極と対向電極との間に挿入し、フレキシブルな電極である両極が物理的に接触することを防止することを目的とする。
(実施例1)
透明導電性フィルム(ITO/PEN 帝人デュポン製、膜厚200μm、サイズ5cm×5cm)にデシルアミンを被覆剤分子として用いた白金コロイド溶液(以下、PtDAコロイドトルエン溶液;Pt 5wt%、田中貴金属工業製)250μLをスピンコーター(ミカサ製 1H−7D型)を用いてITO/PENフィルム上に塗布した。塗膜形成したITO/PENフィルムを塗膜面を上にして(裏面側)、デジタルホトスターラー(アズワン製 DP2S型)の上に載せ、25℃から150℃まで毎分25℃の速度で150℃まで昇温し、150℃で5min加熱した。塗布面側も裏面側と同様の加熱を行った。その後、裏面側を150℃で5min加熱したまま、塗膜面側からスチームアイロンを塗布面から2cm離して加熱蒸気を塗布面に5min吹き付けた。
実施例1と同様に水蒸気加熱処理をした後、さらに塗膜形成したITO/PENフィルムを塗膜面を上にして(裏面側)、150℃に設定したデジタルホトスターラー(アズワン製 DP2S型)の上に載せ、150℃で5min加熱した。塗布面側も裏面側と同様の加熱を行った。
透明導電性フィルム(ITO/PEN 帝人デュポン製、膜厚200μm、サイズ5cm×5cm)にPtDAコロイドトルエン溶液(Pt 5wt%、田中貴金属工業製)250μLをスピンコーター(ミカサ製 1H−7D型)を用いてITO/PENフィルム上に塗布した。塗膜形成したITO/PENフィルムを塗膜面を上にして(裏面側)、デジタルホトスターラー(アズワン製 DP2S型)の上に載せ、25℃から150℃まで毎分25℃の速度で150℃まで昇温し、150℃で5min加熱した。塗布面側も裏面側と同様の加熱を行った。その後、裏面側を150℃で5min加熱したまま、塗膜面側から表面温度を150℃としたスチームアイロンを塗布面にほぼ接触させた状態で加熱蒸気を塗布面に5min吹き付けた。その後、さらに塗膜形成したITO/PENフィルムを塗膜面を上にして(裏面側)、150℃に設定したデジタルホトスターラー(アズワン製 DP2S型)の上に載せ、150℃で5min加熱した。塗布面側も裏面側と同様の加熱を行った。
加熱蒸気をホットプレート加熱に替えたほかは、実施例1と同様とした。
(比較例2)
裏面加熱を行わない他は、比較例1と同様とした。
(比較例3)
塗布面加熱を行わない他は、比較例1と同様とした。
白金塗布面にメンディングテープ(CAT.NO.810−1−12C 住友スリーエム製)を圧着させ、2分間放置後、手で剥がした。その後剥離面の状態を目視評価した。剥離が認められない場合を○、わずかに剥離が認められる場合を△、大部分が剥離した場合を×と判断した。
白金塗布面に綿棒(アズピュア工業用綿棒AP−6 アズワン製)を押し付け、塗布面を10往復させた。その後塗布面の状態を目視評価した。削れが認められない場合を○、わずかに削れが認められる場合を△、大部分が削れた場合を×と判断した。
ルテニウム錯体色素(N719, ソラロニクス社製)0.0713gを200mLのメスフラスコに入れた。これをエタノール50mL, tert-ブタノール50mL及びアセトニトリル100mLからなる混合溶媒に溶かし、全量を200mLとすることで、0.3mMの色素溶液を調製した。
透明導電性フィルム(ITO/PEN 帝人デュポン製、膜厚200μm、サイズ5cm×5cm)の透明導電膜層を表にして、平滑なガラス台の上に真空ポンプを使って固定した。
ポリマー成分を含まないバインダーフリー酸化チタンペースト(PECC−C01−06、ペクセル・テクノロジーズ(株)製)をベーカー式アプリケータを用いて、塗布厚み50μmで塗布した。ペーストを常温で乾燥させた後、150℃のホットプレート上で、さらに10分間加熱焼成して、酸化チタンナノ多孔膜フィルムを作製した。酸化チタンナノ多孔質膜の厚さを表面粗さ測定機(SURFCOM 130A、東京精密製)にて測定し結果、5.5μmであった。
酸化チタンナノ多孔膜フィルムを放冷後、1.5×2.0cmのサイズにカットした。さらに、カットしたフィルムの短辺(1.5cmの辺)の一方から、2mm内側より、酸化チタン膜を直径6mmの円となるように爪楊枝で削り、電極を作製した。
この酸化チタン電極を、上記のように調製した0.3mMのN719色素液に浸けた。このとき、充分な色素吸着を行うため、色素溶液は、電極一枚当たり、2mL以上を目安とした。
色素溶液を40℃に保ちながら、色素を吸着させた。3時間後、シャーレから色素吸着済み酸化チタン膜を取り出し、アセトニトリル溶液にて洗浄して乾燥させた。
ヨウ素(0.04M)、ヨウ化リチウム(0.4M)、ヨウ化テトラブチルアンモニウム(0.4M)、n−メチルベンゾイミダゾール(0.3M)を含むアセトニトリル溶液を調製し、これを電解液とした。
透明導電性フィルム(ITO/PEN 帝人デュポン製、膜厚200μm、サイズ5cm×5cm)に、PtDAコロイドトルエン溶液(Pt 5wt%、田中貴金属工業製)250μLをスピンコーター(ミカサ製 1H−7D型)を用いてITO/PENフィルム上に塗布した。塗膜形成したITO/PENフィルムを塗膜面を上にしてデジタルホトスターラー(アズワン製 DP2S型)の上に載せ、25℃から150℃まで毎分25℃の速度で150℃まで昇温し、150℃で5min加熱した。塗布面側も裏面側と同様の加熱を行った。その後、裏面側を150℃で5min加熱したまま、塗膜面側から表面温度を150℃としたスチームアイロンを塗布面にほぼ接触させた状態で加熱蒸気を塗布面に5min吹き付けた。
25μm厚の熱融着フィルム(SOLARONIX社製)を1.2cm×1.9cmに切り出し、フィルムの内側直径9mmを円形状にくりぬき、電解液を保持させるためのスペースを設けた。このフィルムを白金対極上に110℃で熱融着させた。対極上に電解液を滴下し、上から光電極を重ね合わせた。みの虫クリップで両側を挟むことで色素増感型光電変換素子を作製した。このとき、光電変換部の有効面積を規定するため、直径5.5mmの円形状のくり抜き部分を有する黒色遮光マスクを使用した。作製した光電変換素子の光電極フィルムの上に遮光マスクを置くことにより、有効面積を0.2376cm2とした。
光源として、150Wキセノンランプ光源にAM1.5Gフィルタを装着した擬似太陽光照射装置(PEC−L11型、ペクセル・テクノロジーズ(株)製)光源を用いた。光量は、1sun(AM1.5G、100mWcm-2(JIS−C−8912のクラスA))に調整した。作製した色素増感型太陽電池をソースメータ(2400型ソースメータ、Keithley社製)に接続した。
電流電圧特性は、1Sunの光照射下、バイアス電圧を、0Vから0.8Vまで、0.01V単位で変化させながら出力電流を測定することで、短絡電流密度(Jsc)、開放電圧(Voc)、曲線因子(FF)、及びエネルギー変換効率(Eff.)を評価した。出力電流の測定は、各電圧ステップにおいて、電圧を変化後、0.05秒後から0.15秒後の値を積算することで行った。バイアス電圧を、逆方向に0.8V〜0Vまでステップさせる測定も行い、順方向と逆方向の測定の平均値によりエネルギー変換効率(η)を評価した。
第2加熱工程において水蒸気を用いた加熱処理を行うことで、導電性基板上に形成した白金薄膜層の塗膜物性(密着性と塗膜強度)が改善した。特に、パネルヒーターによる加熱と水蒸気を用いた処理とを併せて行うことで前記塗膜物性はより改善される。
11 透明基板
12 透明電極層
13 半導体粒子(層)
14 増感色素
2 電解液層
3 対向電極層
31 透明基板
32 白金層を担持した透明導電層
41 光電極層側の入射光
42 対向電極側の入射光
5 電流
Claims (8)
- 平均粒径1〜100nmの金属ナノ粒子を含有する分散液を用いて、導電性基板上に金属ナノ粒子焼結体薄膜層を形成する方法であって、
前記金属ナノ粒子分散液を前記導電性基板に塗布して塗膜を形成する工程、前記塗膜を加熱処理する工程(第1加熱工程)、前記第1加熱工程後の塗膜をさらに加熱する工程(第2加熱工程)、とからなることを特徴とする金属ナノ粒子焼結体薄膜層の形成方法。 - 前記第1加熱工程が前記導電性基板を当該導電性基板のガラス転移温度以下で、加熱処理することを特徴とする請求項1に記載の金属ナノ粒子焼結体薄膜層の形成方法。
- 前記第2加熱工程が、前記導電性基板を当該導電性基板のガラス転移温度以下で、塗膜裏面側又は塗膜裏面側と塗膜面側の両面のいずれかから加熱処理すると同時に、加熱水蒸気を塗膜面に接触させて塗膜面側を加熱処理することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の金属ナノ粒子焼結体薄膜層の形成方法。
- 前記第2加熱工程後に、前記導電性基板を当該導電性基板のガラス転移温度以下で、加熱処理する工程(第3加熱工程)を加えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の金属ナノ粒子焼結体薄膜層の形成方法。
- 前記金属ナノ粒子が、白金、パラジウム、ロジウム及び金の中から選ばれる少なくとも1種の貴金属ナノ粒子であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の金属ナノ粒子焼結体薄膜層の形成方法。
- 前記金属ナノ粒子を含有する分散液が貴金属ナノ粒子を有機配位子によりミセル化したコロイド溶液であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の金属ナノ粒子焼結体薄膜層の形成方法。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載した金属ナノ粒子焼結体薄膜層を担持した導電性基板。
- 請求項7に記載した導電性基板を対極基板として用いた色素増感型太陽電池。
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