JP2012108117A - イメージング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高いS/Nで、テラヘルツ波電場振幅に信号強度が比例したイメージを取得でき、被観察物の成分分布を高速且つ正確に検出可能なイメージング装置を提供する。
【解決手段】電気光学結晶14と、第1の電磁波を被観察物15と相互作用させて電気光学結晶14に照射する第1の照射系21と、電気光学結晶14に第2の電磁波を照射する第2の照射系22と、電気光学結晶14と相互作用した第2の電磁波を1/2波長板と偏光ビームスプリッタとにより少なくとも2つの異なる偏光成分に分離して、該分離された異なる偏光成分によるそれぞれのイメージを撮像するイメージ検出部24と、イメージ検出部24から得られるイメージの信号を処理する信号処理部25とを備え、第1の電磁波は、パルス状のテラヘルツ波であり、第2の電磁波は、テラヘルツ波よりも波長が短いパルス状の電磁波であり、信号処理部25は、異なる偏光成分によるそれぞれのイメージの信号を差分処理する。
【選択図】図1

Description

本発明は、テラヘルツ波を使用するイメージング装置に関するものである。
近年、透明な物質(例えば、水)のセンシング技術やイメージング技術として、テラヘルツ波を使用する技術が開発されている。テラヘルツ波を使用するイメージング技術には、CCDカメラやCMOSカメラを使用したものがあり、被観察物や検出系を走査するイメージング技術と比べて短時間にイメージングを行うことができるという利点がある。このようなイメージング技術として、本発明者らは、電気光学結晶とCCDカメラとを使用したイメージング装置を開発している(非特許文献1参照)。
非特許文献1に開示されているイメージング装置では、テラヘルツ波を、被観察物を透過させることにより、その被観察物の成分分布に応じたテラヘルツ透過波を電気光学結晶に照射する。これにより、電気光学結晶のポッケルス効果によって、前記透過テラヘルツ波の強度分布に応じた屈折率の異方性分布を前記電気光学結晶内に生じさせることができる。その異方性分布が保たれた状態で、前記電気光学結晶に近赤外レーザパルスビームを照射すると、前記異方性分布に応じて近赤外レーザパルスビームの、ビーム内の偏光面分布を変化させる。そして、この近赤外レーザパルスビームの偏光面を1/4波長板により調整し、偏光子により前記異方性分布を近赤外レーザパルスビームの強度分布として取り出してCCDカメラで検出することにより、電気光学結晶に入射した被観察物の成分分布を反映したテラヘルツ波電場、つまり被観察物の成分分布を2次元イメージとして検出している。
また、非特許文献1に開示されているイメージング装置では、1/4波長板を光軸中心に回転させてCCDカメラに入射する近赤外レーザパルスビームの偏光面を調整することにより、テラヘルツ波電場振幅に比例する信号を得ることが可能となっている。非特許文献1のイメージング装置の構成において、1/4波長板で近赤外レーザパルスビームに与える位相変化をδ、電気光学結晶固有の屈折率異方性(テラヘルツ波が入射していない状態において電気光学結晶が有している屈折率異方性)による位相変化をθ、テラヘルツ波を照射したときの電気光学結晶内で生じる屈折率異方性による位相変化をΓとすると、CCDカメラで検出される信号強度はsin(θ+δ+Γ)に比例し、この式はθ、δ、Γが1よりも十分小さい場合において、(θ+δ+Γ)と近似できる(例えば、R. Rungsawang, K. Tukamoto, and T. Hattori, Jpn. J. Appl. Phys., Part 1 44, 1771 (2005). を参照)。この位相変化Γはテラヘルツ波電場振幅に比例するため、Γを検出することによって、テラヘルツ波電場振幅を検出することができる。しかし、(θ+δ+Γ)には、Γに比例する信号成分が存在するため、テラヘルツ波電場振幅に非線形な信号が検出されてしまう。そこで、非特許文献1に開示されているイメージング装置では、1/4波長板を回転させてδを増加させ、|θ+δ|>>Γの条件を満たすことにより、Γ に比例する信号よりも(θ+δ)Γに比例する信号の寄与を十分に大きくし、テラヘルツ波電場振幅に比例する信号を得ている。
また、非特許文献1に開示されているイメージング装置では、遅延光路を用いて、パルス幅が数ピコ秒のテラヘルツ波とパルス幅が約100フェムト秒の近赤外レーザパルスビームとが電気光学結晶に入射するタイミングを相対的に変化させながらイメージングを行うことにより、電気光学結晶に入射するテラヘルツ波電場の振幅強度分布をサブピコ秒の時間分解能で時間分解して複数枚のイメージとして検出し、イメージ内の各領域におけるテラヘルツ波電場振幅の時間変化を検出可能としている。この各領域において得られた電場の時間波形をフーリエ変換することで、テラヘルツ波のスペクトル分布を得ることが可能となり、これにより被観察物の各部分でのスペクトル情報を得ることが可能となっている。
また、非特許文献2には、ウォラストンプリズムを用いて、電気光学結晶を透過した近赤外光レーザパルスを2つの直交する偏光成分で分岐し、その後方に配置された1枚のレンズでその各々のイメージを検出する手法が述べられている。この手法では、1/4波長板でδを増加させ、また、検出した2つの異なる偏光成分のイメージで差分を取ってバックグラウンド信号を取り除くことによって、位相変化Γに線形な成分のみを取り出すことが可能となっている。
A. Doi, F. Blanchard, H. Hirori, and K. Tanaka, "Near-fieldTHz imaging of free induction decay from a tyrosine crystal," Opt. Express18, 18419-18424 (2010). X. Wang, Y. Cui, W. Sun, J. Ye, and Y. Zhang, "Terahertz real-time imaging with balanced electro-optic detection," Opt. Commun. 283, 4626-4632 (2010).
しかしながら、本発明者らによる更なる実験検討によると、非特許文献1に開示のイメージング装置には、改良すべき点があることが判明した。すなわち、かかるイメージング装置では、テラヘルツ波の電場振幅が大きい場合、つまり、上述した|θ+δ|>>Γを満たさない場合には、CCDカメラで検出される信号がテラヘルツ波の電場振幅に対して比例せず非線形となって、テラヘルツ波の強度分布に応じたイメージが得られない場合のあることが判明した。
また、非特許文献1においては、1/4波長板の回転量を調整してδを増加させることによりCCDカメラに入射する近赤外レーザパルスビームの光量を増やし、それによって、Γが大きい場合にも|θ+δ|>> Γを満たしてテラヘルツ波電場振幅に比例する信号を得ることは可能である。
しかし、この場合、テラヘルツ波電場信号が検出されていない状態においてもCCDカメラに入射する近赤外レーザパルスビームの信号(バックグラウンド信号)が増加することになり、S/Nが悪くなる。このように、1/4波長板と偏光子、そしてCCDカメラを組み合わせたイメージング装置(もしくは特許文献1の場合は偏光子の回転によって上記δの調整と等価な効果を得られる。)においては、電場振幅の大きいテラヘルツ波においてテラヘルツ波電場振幅に比例する信号を得ることと、S/Nを高めることとはトレードオフの関係にあると言える。
また、非特許文献2においては、1/4波長板によって位相変化を与え、ウォラストンプリズムによって2つの直交する偏光成分に分岐して、それぞれ信号の検出を行っている。この手法では、1つの偏光成分において、上述と同様にsin(θ+δ+Γ)に比例する強度の信号を取得しているが、1/4波長板によってδとしてπ/2の位相変化が与えられている。この場合、δが大きいために、信号強度は(θ+δ+Γ)と近似できず、Γに対してほぼ線形な値をとるようになる。また、この手法では、δが大きいために、検出されるバックグラウンド信号も非常に大きくなるが、直交する異なる2つの偏光成分で取得した信号で差分をとることにより、そのバックグラウンド信号を打ち消している。しかし、この構成ではウォラストンプリズムやその後方のレンズの配置によっては、2つのイメージに簡単に歪みが生じ、両イメージの結像状態が異なるものとなる。その結果、イメージの差分を行う際に、両イメージの対応する位置同士で正しく差分を行うことができず、正確な試料のイメージを得ることができなくなる。特に微細な試料を測定する際には、差分の空間的なずれは試料のイメージに大きく寄与するため、正しく両イメージの差分を行うことが重要となる。
したがって、かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、カメラを使用しながら、テラヘルツ波の電場振幅が大きい場合においても、高いS/Nで、テラヘルツ波電場振幅に信号強度が比例したイメージを取得でき、被観察物の成分分布を高速且つ正確に検出可能なイメージング装置を提供することにある。
上記目的を達成する第1の観点に係るイメージング装置の発明は、
電気光学結晶と、
第1の電磁波を被観察物と相互作用させて前記電気光学結晶に照射する第1の照射系と、
前記電気光学結晶に第2の電磁波を照射する第2の照射系と、
前記電気光学結晶と相互作用した前記第2の電磁波を2つに分離してそれぞれのイメージを撮像するイメージ検出部と、
該イメージ検出部から得られるイメージ信号を処理する信号処理部とを備え、
前記第1の電磁波は、パルス状のテラヘルツ波であり、
前記第2の電磁波は、前記テラヘルツ波よりも波長が短いパルス状の電磁波であり、
前記信号処理部は、前記異なる偏光成分によるそれぞれのイメージの信号を差分処理するものであり、
前記イメージ検出部は、1/2波長板と、偏光ビームスプリッタと、固体撮像カメラとを備え、
前記1/2波長板と前記偏光ビームスプリッタとにより前記第2の電磁波を直交する2つの偏光成分に分離し、該分離された2つの偏光成分を固体撮像カメラに独立して入射させてそれぞれのイメージを撮像する、
ことを特徴とするものである。
さらに、上記目的を達成する第2の観点に係るイメージング装置の発明は、
電気光学結晶と、
第1の電磁波を被観察物と相互作用させて前記電気光学結晶に照射する第1の照射系と、
前記電気光学結晶に第2の電磁波を照射する第2の照射系と、
前記電気光学結晶と相互作用した前記第2の電磁波の少なくとも2つの異なる偏光成分を順次選択して、それぞれの偏光成分によるイメージを撮像するイメージ検出部と、
該イメージ検出部から得られるイメージの信号を処理する信号処理部とを備え、
前記第1の電磁波は、パルス状のテラヘルツ波であり、
前記第2の電磁波は、前記テラヘルツ波よりも波長が短いパルス状の電磁波であり、
前記信号処理部は、前記異なる偏光成分によるそれぞれのイメージの信号を差分処理する、
ことを特徴とするものである。
第3の観点に係る発明は、第2の観点に係るイメージング装置において、
前記イメージ検出部は、入射する前記第2の電磁波の光軸を中心に回転可能な波長板と、偏光子と、固体撮像カメラとを備え、
前記波長板の第1の回転位置において、当該波長板および前記偏光子を順次透過する前記第2の電磁波の第1の偏光成分を前記固体撮像カメラに入射させてイメージを撮像し、
その後、前記波長板の前記第1の回転位置とは異なる第2の回転位置において、当該波長板および前記偏光子を順次透過する前記第2の電磁波の前記第1の偏光成分とは異なる第2の偏光成分を前記固体撮像カメラに入射させてイメージを撮像する、
ことを特徴とするものである。
第4の観点に係る発明は、第2の観点に係るイメージング装置において、
前記イメージ検出部は、入射する前記第2の電磁波の光軸を中心に回転可能な偏光子と、固体撮像カメラとを備え、
前記偏光子の第1の回転位置において、当該偏光子を透過する前記第2の電磁波の第1の偏光成分を前記固体撮像カメラに入射させてイメージを撮像し、
その後、前記偏光子の前記第1の回転位置とは異なる第2の回転位置において、当該偏光子を透過する前記第2の電磁波の前記第1の偏光成分とは異なる第2の偏光成分を前記固体撮像カメラに入射させてイメージを撮像する、
ことを特徴とするものである。
第5の観点に係る発明は、第2の観点に係るイメージング装置において、
前記イメージ検出部は、液晶偏光回転素子と、偏光子と、固体撮像カメラとを備え、
前記液晶偏光回転素子の第1の状態において、当該液晶偏光回転素子および前記偏光子を順次透過する前記第2の電磁波の第1の偏光成分を前記固体撮像カメラに入射させてイメージを撮像し、
その後、前記液晶偏光回転素子の前記第1の状態とは異なる第2の状態において、当該液晶偏光回転素子および前記偏光子を順次透過する前記第2の電磁波の前記第1の偏光成分とは異なる第2の偏光成分を前記固体撮像カメラに入射させてイメージを撮像する、
ことを特徴とするものである。
第6の観点に係る発明は、第1〜5のいずれかの観点に係るイメージング装置において、
前記第1の照射系は、前記被観察物と相互作用して該被観察物を透過する前記第1の電磁波を前記電気光学結晶に照射する、
ことを特徴とするものである。
第7の観点に係る発明は、第1〜5のいずれかの観点に係るイメージング装置において、
前記第1の照射系は、前記被観察物と相互作用して該被観察物で反射される前記第1の電磁波を前記電気光学結晶に照射する、
ことを特徴とするものである。
第8の観点に係る発明は、第1〜5のいずれかの観点に係るイメージング装置において、
前記第1の照射系は、前記被観察物の載置面を全反射面とする全反射プリズムを備え、
前記載置面で全反射して前記被観察物と相互作用した前記第1の電磁波を前記電気光学結晶に照射する、
ことを特徴とするものである。
本発明に係るイメージング装置によれば、カメラを使用しながら、テラヘルツ波の電場振幅が大きい場合においても、高いS/Nで、テラヘルツ波電場振幅に信号強度が比例したイメージを取得でき、被観察物の成分分布を高速且つ正確にイメージングすることが可能となる。
本発明の第1実施の形態に係るイメージング装置の全体の概略構成図である。 図1のイメージ検出部の要部構成図である。 EOサンプリング法によるテラヘルツ波電場波形と、テラヘルツ波電場波形とを比較して示す図である。 EOサンプリング法によるテラヘルツ波電場波形のフーリエ変換パワースペクトルと、テラヘルツ波電場波形のフーリエ変換パワースペクトルとを比較して示す図である。 本発明の第2実施の形態に係るイメージング装置におけるイメージ検出部の要部構成図である。 本発明の第3実施の形態に係るイメージング装置におけるイメージ検出部の要部構成図である。 本発明の第4実施の形態に係るイメージング装置におけるイメージ検出部の要部構成図である。 本発明の第5実施の形態に係るイメージング装置における第1照射系の概略構成図である。 本発明の第6実施の形態に係るイメージング装置における第1照射系の概略構成図である。
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して説明する。
(第1実施の形態)
図1は、本発明の第1実施の形態に係るイメージング装置の全体の概略構成図である。このイメージング装置は、フェムト秒の近赤外レーザパルスビーム(第2の電磁波)を射出するレーザ光源11と、該レーザ光源11からの近赤外レーザパルスビームを2つの光束に分離するビームスプリッタ12と、該ビームスプリッタ12で分離された一方の近赤外レーザパルスビームによりテラヘルツ波(第1の電磁波)を発生するテラヘルツ波発生部13と、電気光学結晶14とを備える。さらに、イメージング装置は、テラヘルツ波発生部13で発生したテラヘルツ波を、被観察物15を経て電気光学結晶14に照射する第1の照射系21と、ビームスプリッタ12で分離された他方の近赤外レーザパルスビームを電気光学結晶14に照射する第2の照射系22と、電気光学結晶14の後段に配置された結像レンズ系23と、電気光学結晶14と相互作用して結像レンズ系23を経た近赤外レーザパルスビームを異なる偏光成分に分離してそれぞれの偏光成分によるイメージを撮像するイメージ検出部24と、該イメージ検出部24から得られるイメージを処理する信号処理部25とを備える。
テラヘルツ波発生部13は、反射ミラー31,32,33と、集光レンズ34と、テラヘルツ波発生素子35とを備える。そして、テラヘルツ波発生部13は、ビームスプリッタ12で分離された一方の近赤外レーザパルスビームを、反射ミラー31,32,33で順次反射させて、集光レンズ34によりテラヘルツ波発生素子35に集光し、これによりテラヘルツ波発生素子35からテラヘルツ波を放射させる。テラヘルツ波発生素子35は、公知の非線形光学結晶や光伝導アンテナ等から構成される。なお、図1では、3枚の反射ミラー31,32,33を用いているが、光学素子のレイアウトによっては、省略あるいは適宜の枚数とすることができる。
第1の照射系21は、照射レンズ41と、結像レンズ系42とを備える。そして、第1の照射系21は、照射レンズ41によりテラヘルツ波発生素子35から放射されるテラヘルツ波を被観察物15に照射し、これにより被観察物15と相互作用して該被観察物15を透過するテラヘルツ波を、結像レンズ系42を経て電気光学結晶14に照射する。これにより、テラヘルツ波による被観察物15の成分分布像を、電気光学結晶14に結像させる。
第2の照射系22は、1/2波長板51と、光路長調整光学系52と、反射ミラー53と、ビームエキスパンダ54と、ダイクロイックミラー55とを備える。なお、光路長調整光学系52は、光路を平行に折り返す2つの反射ミラーを有し、両矢印方向に移動可能に構成される。そして、第2の照射系22は、ビームスプリッタ12で分離された他方の近赤外レーザパルスビームを、1/2波長板51、光路長調整光学系52および反射ミラー53を経てビームエキスパンダ54に入射させ、該ビームエキスパンダ54によりビーム径を拡大してダイクロイックミラー55を経て、第1の照射系21の光軸とほぼ同軸にして電気光学結晶14に照射する。
なお、図1では、ダイクロイックミラー55は、第1の照射系21のテラヘルツ波は透過させ、第2の照射系22の近赤外レーザパルスビームは反射させるように構成されているが、光学系のレイアウトによっては、反射と透過とが逆であってもよい。また、反射ミラー53は、光学素子のレイアウトによっては、省略あるいは適宜の枚数とすることできる。
イメージ検出部24は、図2に示すように、1/2波長板61と、偏光ビームスプリッタ62と、2つの固体撮像カメラ63,64とを備える。そして、イメージ検出部24は、電気光学結晶14と相互作用して該電気光学結晶14を透過する近赤外レーザパルスビームを、結像レンズ系23および1/2波長板61を経て、偏光ビームスプリッタ62で偏光面が直交するP偏光成分とS偏光成分とに分離し、それぞれの偏光成分を固体撮像カメラ63,64に独立して入射させる。これにより、固体撮像カメラ63,64で、それぞれの偏光成分によるイメージを同時に撮像する。なお、固体撮像カメラ63,64は、CCDカメラやCMOSカメラで構成される。
信号処理部25は、イメージ検出部24から得られる異なる偏光成分によるそれぞれのイメージの信号を差分処理する。また、信号処理部25は、電気光学結晶14内で、第1の照射系21からのテラヘルツ波と第2の照射系22からの近赤外レーザパルスビームとが時間的に重なるように、光路長調整光学系52による光路長の調整を制御する。なお、信号処理部25は、例えば、CPUで構成される。
本実施の形態に係るイメージング装置において、電気光学結晶14にテラヘルツ波が入射されると、テラヘルツ波電場によるポッケルス効果によって電気光学結晶14内に屈折率の異方性が生じる。つまり、テラヘルツ波電場の振幅の分布の情報が、屈折率異方性の分布として電気光学結晶14に書き込まれる。したがって、これと同時に、電気光学結晶14を近赤外レーザパルスビームが透過すれば、テラヘルツ波による屈折率異方性の分布によって近赤外レーザパルスビームのビーム内に偏光面の空間分布が生じる。つまり、テラヘルツ波の情報が近赤外レーザパルスビームの偏光面の変化として読み出される。なお、電気光学結晶14として、ZnTe結晶やGaP結晶、LiNbO3 結晶などが使用可能である。
ここで、テラヘルツ波の照射による電気光学結晶14の屈折率異方性は、テラヘルツ波の照射が停止されると瞬時に消失する。そのため、図1に示すイメージング装置では、信号処理部25により光路長調整光学系52を制御して、近赤外レーザパルスビームの光路長を調整することで、テラヘルツ波と近赤外レーザパルスビームとが電気光学結晶14内で時間的に重なるように構成している。これにより、被観察物15の成分分布に基づくテラヘルツ波の情報を、近赤外レーザパルスビームで読み出すことが可能となる。なお、第2の照射系22の1/2波長板51は、近赤外レーザパルスビームが電気光学結晶14の屈折率異方性によって偏光面が変化するように、その偏光面の状態を調整するために使用されるもので、必要に応じて設けられる。
電気光学結晶14を透過した近赤外レーザパルスビームは、結像レンズ系23を経てイメージ検出部24に入射され、該イメージ検出部24で近赤外レーザパルスビームの偏光面の変化が検出される。つまり、イメージ検出部24では、図2に示したように、近赤外レーザパルスビームが1/2波長板61を経て偏光ビームスプリッタ62に入射されて、P偏光成分とS偏光成分とに分離される。ここで、1/2波長板61は、テラヘルツ波が電気光学結晶14に入射されていない状態で、近赤外レーザパルスが直線偏光で、且つ偏光ビームスプリッタ62によるP偏光成分とS偏光成分との分離比が1対1となるように、入射する近赤外レーザパルスビームの偏光面を調整するものである。
図2に示すイメージ検出部24は、1/2波長板61の他に、第1の偏光ビームスプリッタ71および第2の偏光ビームスプリッタ72と、第1の光路長調整光学系73および第2の光路長調整光学系74と、反射ミラー75と、固体撮像カメラ76とを備える。1/2波長板61の後に第1の偏光ビームスプリッタ71を透過した近赤外レーザパルスビームのP偏光成分は、第1の光路長調整光学系73で光路が折り返された後、第2の偏光ビームスプリッタ72を透過し、さらに反射ミラー75で反射されて、固体撮像カメラ76の第1の撮像領域に入射して撮像される。また、第1の偏光ビームスプリッタ71で反射された近赤外レーザパルスビームのS偏光成分は、第2の光路長調整光学系74で光路が折り返された後、第2の偏光ビームスプリッタ72および反射ミラー75で順次反射されて、固体撮像カメラ76の第1の撮像領域とは異なる第2の撮像領域に入射して撮像される。
ここで、第1の照射系21により被観察物15を透過したテラヘルツ波が電気光学結晶14に照射されて、電気光学結晶14内に屈折率の異方性が生じると、電気光学結晶14を透過する近赤外レーザパルスビームの偏光面が変化し、偏光ビームスプリッタ71を透過後のP偏光成分とS偏光成分との比が1対1ではなくなる。その結果、固体撮像カメラ76で撮像される近赤外レーザパルスビームによるイメージは、電気光学結晶14に入射されたテラヘルツ波の振幅の分布が反映されたものとなる。
したがって、信号処理部25において、固体撮像カメラ76から得られるS偏光成分とP偏光成分のイメージについて、イメージ内の同一位置の信号の差分を演算すれば、高いS/Nでテラヘルツ波電場振幅に信号強度が比例したイメージを取得することができる。すなわち、テラヘルツ波が電気光学結晶14に入射していない状態では、偏光ビームスプリッタ71で分離されるP偏光成分とS偏光成分との比が1対1であるため、差分処理されたイメージの信号強度(振幅)はゼロとなる。つまり、バックグランド成分がゼロとなる。これに対し、被観察物15を透過したテラヘルツ波が電気光学結晶14に入射した状態では、近赤外レーザパルスビームの偏光面が変化して、偏光ビームスプリッタ71で分離されるP偏光成分とS偏光成分との比が1対1でなくなる。その結果、差分処理されたイメージの信号強度は、テラヘルツ波の電場振幅を反映してゼロではない強度を有するようになる。
ここで、P偏光成分およびS偏光成分によるイメージを検出するということは、テラヘルツ波が電気光学結晶14に入射していない状態においても、高強度の近赤外レーザパルスビームが固体撮像カメラ76に入射することであり、非特許文献1において1/4波長板による位相変化量を増した場合と等価になる。すなわち、テラヘルツ波電場振幅が大きい場合においても、P偏光成分あるいはS偏光成分のいずれか一方のみによるイメージングで、テラヘルツ波電場振幅に比例した信号を得ることができることになる。しかし、この場合は、バックグラウンド成分、つまりテラヘルツ波が電気光学結晶14に入射していない状態でも、固体撮像カメラ76で取得されるイメージの信号強度が大きくなって、高いS/Nを得ることができなくなる。
本実施の形態によるイメージング装置によれば、同時に検出されるP偏光成分によるイメージの信号とS偏光成分によるイメージの信号との差分処理を行うので、レーザ光源11から射出されるフェムト秒の近赤外レーザパルスビームの強度が揺らいだ場合においても、バックグラウンド成分を常にゼロに保つことが可能となり、高いS/Nを実現することができる。すなわち、CCDカメラやCMOSカメラ等の固体撮像カメラ76を使用して、テラヘルツ波電場振幅が大きい場合においても、高いS/Nで、テラヘルツ波電場振幅に信号強度が比例したイメージを取得することができる。これにより、被観察物15の成分分布を正確に反映したイメージングを行うことができる。また、カメラを使用することにより、試料や検出系を走査するイメージング技術と比べて、非常に高速にイメージを取得することができる。
また、偏光ビームスプリッタ71と72を用いることで、偏光ビームスプリッタを1つだけ用いた場合と比べ、より高いS/Nを実現できる。即ち、P偏光成分とS偏光成分は偏光ビームスプリッタを2度透過するため、偏光ビームスプリッタの消光比は1個のみの場合の2乗の値となる。本装置ではP偏光成分とS偏光成分の光量変化がテラヘルツ波信号に寄与するため、消光比を高くすることで、より高いS/Nで測定を行うことが可能となる。
また、検出部24では、第1の光路長調整光学系73および第2の光路長調整光学系74は、それぞれ矢印方向に移動可能に構成されて、第1の偏光ビームスプリッタ71と固体撮像カメラ76との間の光路長および固体撮像カメラにおけるイメージの結像位置をそれぞれ調節できる。これにより、P偏光成分およびS偏光成分によるそれぞれのイメージを、固体撮像カメラ76の任意の位置に、同じフォーカス状態で撮像することができる。このようにすることで、P偏光成分とS偏光成分でフォーカスを合わせて同じ結像状態でイメージを取得することが容易に可能となる。この場合、それらの画像で差分演算を行った際に、対応する位置同士で正確に差分処理を行うことができ、正しい試料のイメージを取得することが可能となる。
なお、信号処理部25でのイメージの信号の差分処理では、偏光ビームスプリッタ71、72や固体撮像カメラ76に汚れや傷がある場合、もしくはP偏光成分とS偏光成分で差分を行う際のイメージの位置に誤差がある場合には、バックグランド成分がゼロにならない場合がある。この場合は、バックグラウンド信号を保存して、テラヘルツ波が入射したときに差分処理した信号から、保存したバックグラウンド信号をさらに差分処理もしくは除算処理することにより、バックグラウンド成分によるコントラストの低下を軽減することができる。
また、光路長調整光学系52により電気光学結晶14に重ねて入射される近赤外レーザパルスビームとテラヘルツ波とのタイミングをずらして、つまりテラヘルツ波の検出タイミングを変えれば、電気光学結晶14に入射するテラヘルツ波の時間発展(進行)を複数枚のイメージとして検出することができる。そして、各々のタイミングで検出した固体撮像カメラ76からのイメージの信号を、信号処理部25で差分処理し、その差分処理によって生成されたイメージを複数の領域に分割して、各領域内の信号の平均値もしくは加算値を算出すれば、各領域でのテラヘルツ波の電場の時間波形を得ることができる。さらに、この時間波形をフーリエ変換すれば、テラヘルツ波のスペクトルを得ることができる。このようにすれば、電気光学結晶14に入射するテラヘルツ波は被観察物15の情報(成分分布)を含んでいるので、差分イメージをより細かい領域で分割して、より細かい分割でスペクトルデータを得ることにより、被観察物15の各位置におけるスペクトル情報を取得することができる。
図3は、テラヘルツ波電場の時間波形を検出する手法であるEOサンプリング法で取得したテラヘルツ波電場波形と、本実施の形態によるイメージング装置で取得したテラヘルツ波電場波形とを比較して示す図である。本実施の形態における固体撮像カメラ76としては、CMOSカメラを使用しており、両者の比較において、電気光学結晶14での近赤外レーザパルスビームの領域が等しくなるようにしている。また、EOサンプリング法の測定では、光学的チョッパーとロックイン増幅器によるノイズ低減を図っており、ロックイン増幅器の時定数と本実施の形態のCMOSカメラの1枚のイメージの信号蓄積時間が等しくなるようにしている。図3において、横軸は時間を示し、縦軸は正規化した電場振幅を示す。図3から明らかなように、両方の波形はほぼ一致している。これにより、本実施の形態によるイメージング装置によれば、テラヘルツ波を固体撮像カメラ76でイメージングしながら、テラヘルツ波の電場振幅に比例した信号を正確に取得できることがわかる。
また、図4は、図3の電場の時間波形のフーリエ変換パワースペクトルを示す。この図において、本実施の形態によるイメージング装置で取得したスペクトルとEOサンプリング法で取得したスペクトルで、S/Nが同程度であることが分かる。EOサンプリング法はテラヘルツ波の分光測定によく用いられる手法であり、図4の結果より、本実施の形態によるイメージング装置で、P偏光成分とS偏光成分で差分処理を行ってバックグラウンド信号を除去することで、分光測定に十分な高いS/Nを実現できていると言える。
次に、本発明の第2〜6実施の形態に係るイメージング装置について説明する。なお、第2〜6実施の形態は、図1に示したイメージング装置において、主としてイメージ検出部24の構成が異なるので、イメージ検出部24の構成のみを図示して説明する。また、以下の実施の形態に示す固体撮像カメラは、第1実施の形態の場合と同様に、CCDカメラやCMOSカメラで構成される。
(第2実施の形態)
図5は、本発明の第2実施の形態に係るイメージング装置におけるイメージ検出部の要部構成図である。図5に示すイメージ検出部24は、1/2波長板61と、第1の偏光ビームスプリッタ81および第2の偏光ビームスプリッタ82と、1/2波長板83と、光路長調整光学系84と、1/4波長板85と、光路長調整ミラー86と、固体撮像カメラ87とを備える。そして、イメージ検出部24は、図1に示した結像レンズ系23を経て入射する近赤外レーザパルスビームを、1/2波長板61を経て第1の偏光ビームスプリッタ81によりP偏光成分とS偏光成分とに分離する。
第1の偏光ビームスプリッタ81を透過した近赤外レーザパルスビームのP偏光成分は、1/2波長板83を透過して第2の偏光ビームスプリッタ82においてS偏光になるように偏光面を変換された後、光路長調整光学系84で光路が折り返される。そして、第2の偏光ビームスプリッタ82で反射されて、固体撮像カメラ87の第1の撮像領域に入射して撮像される。また、第1の偏光ビームスプリッタ81で反射された近赤外レーザパルスビームのS偏光成分は、1/4波長板85を透過して光路長調整ミラー86で反射された後、再び1/4波長板85を透過して第2の偏光ビームスプリッタ82においてP偏光になるように偏光面を変換される。そして、第2の偏光ビームスプリッタ82を透過して、固体撮像カメラ87の第1の撮像領域とは異なる第2の撮像領域に入射して撮像される。
光路長調整光学系84および光路長調整ミラー86は、両矢印方向に移動可能に構成されて、第1実施の形態の場合と同様に、第1の偏光ビームスプリッタ81で分離されるP偏光成分およびS偏光成分が、同じ光路長で固体撮像カメラ87に入射するように、それぞれの光路長を調整する。または、偏光ビームスプリッタ81を透過したP偏光成分の固体撮像カメラ87における結像位置を調整する。その他の構成および動作は、第1実施の形態の撮像装置と同様である。
本実施の形態によるイメージング装置によれば、第1実施の形態と同様の効果が得られる。さらに、本実施の形態においては、第1の偏光ビームスプリッタ81で分離されるP偏光成分を、1/2波長板83を透過させることで第2の偏光ビームスプリッタ82においてS偏光になるように偏光面を変換し、第1の偏光ビームスプリッタ81で分離されるS偏光成分は、1/4波長板85を2回透過させることで第2の偏光ビームスプリッタ82においてP偏光になるように偏光面を変換している。これにより、図2の構成と比較して、固体撮像カメラ87までの光路長を短くできる。その結果、図1に示した結像レンズ系23の焦点距離を短くでき、図2の構成と比較して装置のコンパクト化が図れる利点がある。
(第3実施の形態)
図6は、本発明の第3実施の形態に係るイメージング装置におけるイメージ検出部の要部構成図である。図6に示すイメージ検出部24は、1/4波長板101と、偏光子102と、固体撮像カメラ103とを備える。偏光子102は、テラヘルツ波が電気光学結晶14に入射していない状態において、近赤外レーザパルスビームが固体撮像カメラ103に入射しない向きにその回転角が設定されている。そして、イメージ検出部24は、1/4波長板101の光軸を中心とする異なる2つの回転位置において、図1に示した結像レンズ系23を経て入射する近赤外レーザパルスビームによるイメージを、1/4波長板101および偏光子102を経て固体撮像カメラ103で順次撮像する。つまり、1/4波長板101により、入射する近赤外レーザパルスビームの第1の偏光成分および第2の偏光成分を順次選択して、それぞれの偏光成分によるイメージを固体撮像カメラ103で撮像する。また、図1の信号処理部25は、固体撮像カメラ103から順次得られるイメージの信号を差分処理する。その他の構成および動作は、第1実施の形態の撮像装置と同様である。
本実施の形態によるイメージング装置によれば、テラヘルツ波電場振幅に対して非線形な信号成分を除去し、比例した成分のみを残して、テラヘルツ波電場振幅の正確な時間波形を得ることができる。つまり、上記のように、1/4波長板101で近赤外レーザパルスビームに与える位相変化をδ、電気光学結晶固有の屈折率異方性による位相変化をθ、テラヘルツ波が入射することによって電気光学結晶内で生じる屈折率異方性による位相変化をΓとすると、固体撮像カメラで検出される信号の強度は(θ+δ+Γ)に比例し、Γに比例する信号成分が存在してラヘルツ波電場振幅に非線形な信号が検出されてしまう。しかし、1/4波長板101の回転角が異なる2状態(即ち、δが異なる2状態)の信号で差分を取ることにより、このΓに比例する信号成分を除去し、Γに比例する成分を残して、テラヘルツ波電場振幅に比例した信号のみを検出することができる。また、偏光成分の異なる各イメージを、固体撮像カメラ103の全撮像領域を用いて撮像できるので、図2、図5のように、撮像領域を分割して撮像する場合と比較して、同じ画素数の固体撮像カメラを用いた場合のイメージの拡大倍率を大きくでき、より高精度のイメージングが可能となる。また、非特許文献1のように、1/4波長板の回転量が小さく(即ち、バックグラウンド信号が小さく)、非線形な信号が検出される状態においても、差分処理によって比例した信号のみを取得することができる。よって、1/4波長板の回転量を増やしてバックグラウンド信号が増加する場合よりも、S/Nが良い状態で、テラヘルツ波電場振幅に比例した信号を取得することができる。また、本実施の形態では位相変化δを与えるために1/4波長板を使用したが、代わりに1/2波長板を使用しても良い。
なお、図6においては、1/4波長板101を取り除き、偏光子102の光軸を中心とする異なる2つの回転位置において固体撮像カメラ103でイメージを順次撮像し、信号処理部25によってそのイメージの信号を差分処理しても良い。この場合、偏光子102の回転によって、上記の1/4波長板101を回転させてδを変化させる場合と同等の効果が得られ、バックグラウンド信号が小さくしてS/Nを高く保った状態で、テラヘルツ電場振幅に比例した信号のみを検出することができる。
(第4実施の形態)
図7は、本発明の第4実施の形態に係るイメージング装置におけるイメージ検出部の要部構成図である。図7に示すイメージ検出部24は、図6に示した構成において、1/4波長板101に代えて液晶偏光回転素子105を用いたものである。液晶偏光回転素子105は、例えば、TN液晶を有し、電圧のオン・オフ制御により入射する近赤外レーザパルスビームの第1の偏光成分および第2の偏光成分を順次選択して透過させる。そして、それぞれの偏光成分によるイメージを、偏光子102を経て固体撮像カメラ103で順次撮像する。その他の構成および動作は、第3実施の形態の撮像装置と同様である。
本実施の形態によるイメージング装置によれば、第3実施の形態と同様の効果が得られる。また、液晶偏光回転素子105の電圧をオン・オフ制御して、近赤外レーザパルスビームの第1の偏光成分および第2の偏光成分を順次選択することができるので、構成も簡単にできる利点がある。
上記の各実施の形態では、図1に示したように、第1の照射系21において、テラヘルツ波発生素子35で発生され、被観察物15と相互作用して該被観察物15を透過したテラヘルツ波(第1の電磁波)を、結像レンズ系42を経て電気光学結晶14に照射させている。本発明の他の構成では、第1の照射系21において、テラヘルツ波を被観察物15で反射させることにより、あるいは、全反射減衰分光法により、被観察物15と相互作用したテラヘルツ波を、結像レンズ系42を経て電気光学結晶14に照射する。以下、これらの実施の形態を、第5実施の形態および第6実施の形態として説明する。なお、第5実施の形態および第6実施の形態は、上記各実施の形態のイメージング装置と、図1に示した第1の照射系21の一部の構成が異なるので、主として異なる部分の構成のみを図示して説明する。
(第5実施の形態)
図8は、本発明の第5実施の形態に係るイメージング装置における第1照射系の概略構成図である。図8に示す第1照射系21は、照射レンズ41と結像レンズ系42との間に配置された反射ミラー111,112を備える。そして、第1照射系21は、照射レンズ41からのテラヘルツ波を反射ミラー111で反射させて被観察物15に照射し、該被観察物15と相互作用して反射されるテラヘルツ波を、反射ミラー112で反射させて結像レンズ系42に導く。これにより、被観察物15がテラヘルツ波を透過しない場合に、その成分分布を正確にイメージングすることが可能となる。
(第6実施の形態)
図9は、本発明の第6実施の形態に係るイメージング装置における第1照射系の概略構成図である。図9に示す第1照射系21は、照射レンズ41と結像レンズ系42との間に配置された全反射プリズム115を備える。全反射プリズム115は、全反射面115aが被観察物15の載置面となっている。そして、第1照射系21は、照射レンズ41からのテラヘルツ波を、全反射プリズム115の入射面115bから入射させて、全反射面115aで全反射させた後、射出面115cから射出されて結像レンズ系42に導く。
かかる構成において、全反射面115aでテラヘルツ波が全反射すると、全反射面115aからテラヘルツ波のエバネッセント波成分が発生して被観察物15に入射する。そして、被観察物15とエバネッセント波成分との相互作用により、エバネッセント波成分が被観察物15に吸収されると、全反射面115aで全反射して電気光学結晶14に入射するテラヘルツ波の強度が減衰する。つまり、本実施の形態においては、全反射減衰分光法によりテラヘルツ波を被観察物15と相互作用させる。
このように、エバネッセント波の吸収を検出する全反射減衰分光法を適用することで、被観察物15が水のようなテラヘルツ波を非常に強く吸収する物質の場合においても、比例したイメージの信号を得ることができ、被観察物15の成分分布を正確にイメージングすることが可能となる。
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。例えば、イメージ検出部24は、電気光学結晶14で反射される近赤外レーザパルスビーム(第2の電磁波)からテラヘルツ波の電場情報を取得するように構成することもできる。
さらに、上記各実施の形態において、イメージ検出部24は、直交する2つの偏光成分によるイメージに限らず、任意の数の異なる偏光成分によるイメージを検出し、それらのイメージの信号を信号処理部25において適宜差分処理して、被観察物15をイメージングすることもできる。
11 レーザ光源
12 ビームスプリッタ
13 テラヘルツ波発生部
14 電気光学結晶
15 被観察物
21 第1の照射系
22 第2の照射系
23 結像レンズ系
24 イメージ検出部
25 信号処理部
31,32,33,53,75,111,112 反射ミラー
34 集光レンズ
35 テラヘルツ波発生素子
41 照射レンズ
42 結像レンズ系
51,61,83 1/2波長板
52,84 光路長調整光学系
54 ビームエキスパンダ
55 ダイクロイックミラー
76,87,103 固体撮像カメラ
71,81 第1の偏光ビームスプリッタ
72,82 第2の偏光ビームスプリッタ
73 第1の光路長調整光学系
74 第2の光路長調整光学系
85,101 1/4波長板
86 光路長調整ミラー
102 偏光子
105 液晶偏光回転素子
115 全反射プリズム
115a 全反射面
115b 入射面
115c 出射面

Claims (8)

  1. 電気光学結晶と、
    第1の電磁波を被観察物と相互作用させて前記電気光学結晶に照射する第1の照射系と、
    前記電気光学結晶に第2の電磁波を照射する第2の照射系と、
    前記電気光学結晶と相互作用した前記第2の電磁波を少なくとも2つの異なる偏光成分に分離して、該分離された前記異なる偏光成分によるそれぞれのイメージを撮像するイメージ検出部と、
    該イメージ検出部から得られるイメージ信号を処理する信号処理部とを備え、
    前記第1の電磁波は、パルス状のテラヘルツ波であり、
    前記第2の電磁波は、前記テラヘルツ波よりも波長が短いパルス状の電磁波であり、
    前記信号処理部は、前記異なる偏光成分によるそれぞれのイメージの信号を差分処理するものであり、
    前記イメージ検出部は、1/2波長板と、偏光ビームスプリッタと、固体撮像カメラとを備え、
    前記1/2波長板と前記偏光ビームスプリッタとにより前記第2の電磁波を直交する2つの偏光成分に分離し、該分離された2つの偏光成分を固体撮像カメラに独立して入射させてそれぞれのイメージを撮像する、
    ことを特徴とするイメージング装置。
  2. 電気光学結晶と、
    第1の電磁波を被観察物と相互作用させて前記電気光学結晶に照射する第1の照射系と、
    前記電気光学結晶に第2の電磁波を照射する第2の照射系と、
    前記電気光学結晶と相互作用した前記第2の電磁波の少なくとも2つの異なる偏光成分を順次選択して、それぞれの偏光成分によるイメージを撮像するイメージ検出部と、
    該イメージ検出部から得られるイメージの信号を処理する信号処理部とを備え、
    前記第1の電磁波は、パルス状のテラヘルツ波であり、
    前記第2の電磁波は、前記テラヘルツ波よりも波長が短いパルス状の電磁波であり、
    前記信号処理部は、前記異なる偏光成分によるそれぞれのイメージの信号を差分処理する、
    ことを特徴とするイメージング装置。
  3. 前記イメージ検出部は、入射する前記第2の電磁波の光軸を中心に回転可能な波長板と、偏光子と、固体撮像カメラとを備え、
    前記波長板の第1の回転位置において、当該波長板および前記偏光子を順次透過する前記第2の電磁波の第1の偏光成分を前記固体撮像カメラに入射させてイメージを撮像し、
    その後、前記波長板の前記第1の回転位置とは異なる第2の回転位置において、当該波長板および前記偏光子を順次透過する前記第2の電磁波の前記第1の偏光成分とは異なる第2の偏光成分を前記固体撮像カメラに入射させてイメージを撮像する、
    ことを特徴とする請求項2に記載のイメージング装置。
  4. 前記イメージ検出部は、入射する前記第2の電磁波の光軸を中心に回転可能な偏光子と、固体撮像カメラとを備え、
    前記偏光子の第1の回転位置において、当該偏光子を透過する前記第2の電磁波の第1の偏光成分を前記固体撮像カメラに入射させてイメージを撮像し、
    その後、前記偏光子の前記第1の回転位置とは異なる第2の回転位置において、当該偏光子を透過する前記第2の電磁波の前記第1の偏光成分とは異なる第2の偏光成分を前記固体撮像カメラに入射させてイメージを撮像する、
    ことを特徴とする請求項2に記載のイメージング装置。
  5. 前記イメージ検出部は、液晶偏光回転素子と、偏光子と、固体撮像カメラとを備え、
    前記液晶偏光回転素子の第1の状態において、当該液晶偏光回転素子および前記偏光子を順次透過する前記第2の電磁波の第1の偏光成分を前記固体撮像カメラに入射させてイメージを撮像し、
    その後、前記液晶偏光回転素子の前記第1の状態とは異なる第2の状態において、当該液晶偏光回転素子および前記偏光子を順次透過する前記第2の電磁波の前記第1の偏光成分とは異なる第2の偏光成分を前記固体撮像カメラに入射させてイメージを撮像する、
    ことを特徴とする請求項2に記載のイメージング装置。
  6. 前記第1の照射系は、前記被観察物と相互作用して該被観察物を透過する前記第1の電磁波を前記電気光学結晶に照射する、
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のイメージング装置。
  7. 前記第1の照射系は、前記被観察物と相互作用して該被観察物で反射される前記第1の電磁波を前記電気光学結晶に照射する、
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のイメージング装置。
  8. 前記第1の照射系は、前記被観察物の載置面を全反射面とする全反射プリズムを備え、
    前記載置面で全反射して前記被観察物と相互作用した前記第1の電磁波を前記電気光学結晶に照射する、
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のイメージング装置。
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