JP4091193B2 - 媒質の非線形光学応答測定装置 - Google Patents

媒質の非線形光学応答測定装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光パルスなどの光の入射によって物質中に生じる非線形光学効果を測定することができる媒質の非線形光学応答測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
大強度の超短パルスレーザーなどのレーザー技術の発展に伴って、通常の光に比べて強度が大きいレーザー光によって生じる光カー効果等の物質の非線形光学効果(nonlinear optical effect)と、それに起因する様々な現象が問題となっている。すなわち、電場の2次以上の高次の項に対する物質の非線形感受率は1次の項に比べて小さい値であるため、通常の光においては線形の応答のみが測定されるが、レーザー光などの充分に大きい強度(電場)を有する光に対しては、このような2次以上の非線形項による効果が現れる。
【0003】
このような非線形光学効果による現象としては、例えば、大強度の光パルスを物質に照射することによって生じる光の自己集束効果(self-focusing effect)や、光のビーム径が細いままで伝搬するチャネリングやフィラメンテーションなどの自己束縛効果(self-trapping effect)が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年、上記した諸現象のレーザー光の制御等への利用が進められており、今後さらに高度な光制御への応用が期待されている。そのような高度な光制御への応用を実現するためには、様々な物質中における非線形光学効果の発生について、その発生条件や時間変化などの応答(以下、非線形光学応答という)を測定し、また、それによって非線形感受率などの非線形定数を決定することが必要不可欠である。
【0005】
一方、上記した諸現象は、超短パルスレーザー等を利用する上で問題を生じる場合がある。例えば、自己集束効果や自己束縛効果が生じた光パルスによって、レンズなどの光学素子・光学材料が破壊され欠陥を生じるなどの問題を生じる。また、光パルスを気体や液体に集束させようとするとレーザープラズマを生じ、その散乱などによって有効に集光することができないという問題を生じる。この問題を回避するためには光学系を真空とする必要があるが、この場合、真空にする必要性から装置構成や光パルスの使用条件が制限されてしまう。
【0006】
これらの問題を解決する上でも、物質の非線形光学応答の測定を行う必要性は高い。このためには、物質中の各部位における非線形光学効果の発生状態とその時間変化等を、直接的に測定する技術を確立することが重要である。
【0007】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、媒質中において生じる非線形光学効果による非線形光学応答を直接的に測定することができる媒質の非線形光学応答測定装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明による媒質の非線形光学応答測定装置は、光パルスによって被測定媒質内に生じる非線形光学効果を測定するための媒質の非線形光学応答測定装置であって、パルス光源によって供給された光パルスから、それぞれの出力タイミングが同期された第1の光束と第2の光束とを生成して出力する光源部と、第1の光束に基づいて励起パルスを形成し、被測定媒質に励起パルスを入射する励起光学系と、第2の光束に基づいてプローブパルスを形成し、被測定媒質に励起パルスが入射されることによって非線形光学効果が誘起された相互作用領域を含む被測定媒質の所定領域にプローブパルスを照射するプローブ光学系と、被測定媒質の所定領域を通過したプローブパルスを検出する光検出部と、を備え、励起光学系は、励起パルスを所定の偏光状態とするための励起パルス偏光手段と、励起パルスを被測定媒質に所定の入射条件によって入射させる入射光学系とを有し、プローブ光学系は、プローブパルスを所定の偏光状態とするためのプローブパルス偏光手段を有し、光検出部は、被測定媒質の所定領域を通過したプローブパルスのうち、所定の偏光成分のみを透過させる検光手段と、検光手段を透過したプローブパルスを検出・測定する光検出手段と、被測定媒質の所定領域を通過し検光手段を透過したプローブパルスを光検出手段に結像させる結像手段と、を有し、励起光学系、プローブ光学系及び光検出部を一体化して保持するとともに、励起パルスの入射軸を回転軸として回転駆動が可能なように構成されて、被測定媒質に対する励起光学系、プローブ光学系及び光検出部の設置角度を変更することが可能な光学系保持機構をさらに備え、光学系保持機構は、励起パルスの入射軸を中心軸として設置されて励起光学系を保持する励起光学系保持部と、プローブパルスの照射軸を中心軸として設置されてプローブ光学系の一部及び光検出部を保持するプローブ光学系保持部とを有して構成され、プローブ光学系保持部の所定の部分に開口部が設けられ、この開口部に励起光学系保持部が接続されていることを特徴とする。
【0009】
上記した媒質の非線形光学応答測定装置においては、超短パルス光源である高強度フェムト秒レーザーなどのパルス光源を用い、パルス光源から出力された2つの光束からそれぞれ所定の偏光状態にある励起パルス及びプローブパルスを生成して、それらを被測定媒質に入射・照射する。このとき励起パルスの入射によって、被測定媒質中に励起パルスが分布している空間領域において、励起パルス光と被測定媒質とが相互作用して非線形光学効果を生じ屈折率が変化した領域(相互作用領域)が形成される。この相互作用領域の状態を、被測定媒質を通過したプローブパルスのうち偏光状態の変化した成分を検光手段によって選択し光検出手段によって検出することによって測定する。これによって、被測定媒質中の特定の領域における非線形光学応答について、入射光の強度またはその空間分布との相関などの非線形光学効果の発生状態・条件を直接的に測定することができ、さらにその時間変化の測定や非線形定数の決定も可能となる。また特に、超短パルス光源などのパルス光源を用いることによって、高時間分解能での非線形光学応答の測定が実現されている。
【0010】
光源部については、例えば、光パルスを出力する単一のパルス光源と、光パルスを分岐して第1の光束と第2の光束とを生成する光分岐手段と、を有して構成することができる。この場合、同一のパルス光源を用いることによって2つの光束が同期され、光源部の構成を簡単化することができる。
【0011】
あるいは、光源部は、第1の光束となる光パルスを出力する励起パルス光源と、第2の光束となる光パルスを出力するプローブパルス光源と、第1の光束及び第2の光束の出力タイミングを同期させるタイミング制御手段と、を有して構成することができる。この場合、タイミング制御手段によって2つの光束が同期される。このタイミング制御手段は、例えばトリガー回路と遅延回路とから構成することができる。このような構成の場合、例えば励起パルスとプローブパルスのパルス幅や波長を異なるものとして設定することが可能である。
【0012】
また、励起光学系またはプローブ光学系のいずれか一方は、励起光学系とプローブ光学系との光路長差を設定・変更するための可変光遅延手段を有することを特徴とする。
【0013】
また、入射光学系は、その光路方向の位置が可動である可動光学系を有して構成されていることを特徴とする。
【0014】
励起パルスの入射に対するプローブパルスの照射タイミング、またはプローブパルス照射時の励起パルスの空間分布形状を、可変光遅延手段または可動光学系を用いて変更することによって、生成される相互作用領域の被測定媒質中の位置や範囲等の状態を変化させた測定を行うことが可能となる。
【0015】
さらに、励起パルス偏光手段及びプローブパルス偏光手段は、少なくとも一方に波長板または偏光子を含んで構成されて、励起パルス及びプローブパルスの偏光状態はそれぞれ所定の直線偏光に設定され、プローブパルスの被測定媒質への照射軸は、励起パルスの被測定媒質への入射軸を含み励起パルスの直線偏光の軸に対して垂直な平面内にあって、プローブパルスの直線偏光の軸は、前記平面に対して45度の傾きとして設定され、検光手段は、被測定媒質の所定領域を通過したプローブパルスのうち、被測定媒質に照射されるプローブパルスの直線偏光と直交した偏光成分のみを透過させることを特徴とする。
【0016】
また、プローブパルスの照射軸の、励起パルスの入射軸に対する照射角度が90度であることを特徴とする。
【0017】
このように各パルスの偏光状態及び検光手段等を設定することによって、効率的な測定装置の構成とすることができる。
【0018】
また、プローブパルスの照射軸の、励起パルスの入射軸に対する照射角度が0度より大きく90度より小さい角度に設定され、プローブ光学系は、プローブパルスの波面を励起パルスの波面に一致させて被測定媒質に照射するための波面変換手段を有することを特徴とすることによって、時間分解能を損なうことなく、かつ、励起パルス及びプローブパルスの相互作用長を長くとる測定を行うことができる。
【0019】
また、励起光学系、プローブ光学系及び光検出部の一部または全部を一体化して保持するとともに、励起パルスの入射軸を回転軸として回転駆動が可能なように構成されて、被測定媒質に対する励起光学系、プローブ光学系及び光検出部の設置角度を変更することが可能な光学系保持機構をさらに備えることを特徴とすることによって、相互作用領域を異なる角度から測定し、得られたデータに対して例えばX線CTと同様の画像再構成法を用いて、相互作用領域内に生じた非線形光学効果についての3次元情報等を得ることが可能となる。
【0020】
また、光検出部は、被測定媒質の所定領域を通過したプローブパルスの2次元の光像を1次元の光像に変換する光像変換手段をさらに有し、光検出手段は一次元光検出器を有して構成されていることを特徴とする。
【0021】
シリンドリカルレンズなどを用いた光像変換手段によって2次元光像を1次元光像に集束・変換し、一次元光検出器によって1次元画像として検出して、その1次元画像の時間に対する変化を測定することによって、光飛跡の移動に伴う相互作用領域の移動・時間変化の測定を効率的に行うことができる。
【0022】
また、光検出部は、被測定媒質の所定領域を通過したプローブパルスの2次元の光像を1次元の光像に変換する光像変換手段と、光像変換手段及び光検出手段の間に設置される分光手段とを有するとともに、プローブ光学系は、プローブパルスをチャープさせるパルスストレッチャーを有することを特徴とする。
【0023】
プローブ光学系にパルスストレッチャーを設置してプローブパルスをチャープ、すなわち時間波形を波長によって広げて、各波長成分が時間情報と対応するようにし、一方、光検出部においてシリンドリカルレンズなどの光像変換手段からの1次元光像を分光手段によって分光し、分光によって生成された2次元光像を光検出手段によって測定する。これによって、分光された波長軸が時間軸に対応した測定像を得ることができる。
【0024】
また、励起光学系またはプローブ光学系の少なくとも一方は、励起パルスまたはプローブパルスの波長を変化させる波長変換手段を有することを特徴としても良い。あるいは、励起光学系は、励起パルスの個々の波形またはパルス列の構成などの時間波形を変化させる波形変換手段を有することを特徴としても良い。波長または波形の変換手段を備えることによって、様々な状態の光パルスに対する非線形光学応答とその変化の測定を行うことができる。
【0025】
さらに、光検出手段からの画像データの処理を行う画像処理手段を有することによって、例えば画像データから自己相関波形を導出するなどの画像処理や必要な演算等をリアルタイムで行うことが可能となり、測定をより効率化できる。
【0026】
また、本発明による媒質の非線形光学応答測定装置は、光パルスによって被測定媒質内に生じる非線形光学効果を測定するための媒質の非線形光学応答測定装置であって、パルス光源によって供給された光パルスから、それぞれの出力タイミングが同期された第1の光束と第2の光束とを生成して出力する光源部と、第1の光束に基づいて励起パルスを形成し、被測定媒質に励起パルスを入射する励起光学系と、第2の光束に基づいてプローブパルスを形成し、被測定媒質に励起パルスが入射されることによって非線形光学効果が誘起された相互作用領域を含む被測定媒質の所定領域にプローブパルスを照射するプローブ光学系と、被測定媒質の所定領域を通過したプローブパルスを検出する光検出部と、を備え、励起光学系は、励起パルスを所定の偏光状態とするための励起パルス偏光手段と、励起パルスを被測定媒質に所定の入射条件によって入射させる入射光学系とを有し、プローブ光学系は、プローブパルスを所定の偏光状態とするためのプローブパルス偏光手段を有し、光検出部は、被測定媒質の所定領域を通過したプローブパルスのうち、所定の偏光成分のみを透過させる検光手段と、検光手段を透過したプローブパルスを検出・測定する光検出手段と、被測定媒質の所定領域を通過し検光手段を透過したプローブパルスを光検出手段に結像させる結像手段と、を有し、光源部のパルス光源としてパルスレーザーを用い、パルスレーザーのレーザー媒質を被測定媒質とし、パルスレーザーの共振器内の光パルスを励起パルスとし、パルスレーザーから出力された光パルスからプローブパルスを形成して、測定されたレーザー媒質中に生じている非線形光学効果の発生状態についての情報に基づいてパルスレーザーのレーザー制御装置にフィードバックを行って、パルスレーザーの動作の最適化、安定化を行うことを特徴とする。これは、媒質の非線形光学応答測定装置を他の装置であるパルスレーザー中における非線形光学応答の測定に利用するものである。
【0027】
また、このような装置は、動熱力学の観測または制御に適用することが可能である。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図面と共に本発明による媒質の非線形光学応答測定装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0029】
図1は、本発明に係る媒質の非線形光学応答測定装置の第1の実施形態を示すブロック図である。本実施形態における媒質の非線形光学応答測定装置は、光源部1、励起光学系2、プローブ光学系3、及び光検出部5とから構成されている。
【0030】
光源部1は、光パルスを生成・出射する超短パルス光源11と、光分岐器12とを有して構成される。超短パルス光源11から出射された光パルスは、光分岐器12によって、励起光学系2へと導光される第1の光束とプローブ光学系3へと導光される第2の光束とに分岐される。
【0031】
光源部1から出力された第1の光束及び第2の光束は、それぞれ励起パルス及びプローブパルスとされて、測定対象となる物質である被測定媒質4へと導かれる。励起光学系2は、光源部1からの第1の光束に基づいて励起パルスを形成し、所定の入射軸から被測定媒質4に入射する。この励起光学系2は、励起光学系2とプローブ光学系3との遅延時間差を設定・変更するための可変光遅延器21と、励起パルスを所定の偏光状態とするための波長板23及び偏光子24からなる励起パルス偏光手段22と、励起パルスを被測定媒質4へと所定の入射条件によって入射させる入射光学系25とを有して構成されている。
【0032】
一方、プローブ光学系3は、光源部1からの第2の光束に基づいてプローブパルスを形成し、所定の照射軸から被測定媒質4に照射する。このプローブ光学系3は、プローブパルスを所定の偏光状態とするための波長板33及び偏光子34からなるプローブパルス偏光手段32を有して構成されている。
【0033】
以上の構成において、励起パルスは励起光学系2を介して被測定媒質4に例えば集束して入射される。このとき、集光された励起パルスは被測定媒質4中の所定領域で大強度・高密度の光束を形成し、そのような励起パルスの光が分布している空間領域内において、光カー効果等の非線形光学効果により被測定媒質4中の屈折率の変化が誘起される。このような励起パルスと被測定媒質4との相互作用によって非線形光学効果を生じた領域を、ここでは相互作用領域と呼ぶ。
【0034】
ここで、相互作用領域を含む被測定媒質4の所定領域にプローブパルスをプローブ光学系3を介して照射すると、相互作用領域内における屈折率の異方性によって、相互作用領域を通過したプローブパルス成分のみ、被測定媒質4のその他の領域を通過したプローブパルス成分に対してその偏光状態が変化する。この変化した光成分を光検出部5を用いて検出することによって、相互作用領域の像を測定し、その画像データの強度分布等から相互作用領域内に生じた非線形光学効果の発生状態(非線形光学応答の位置・光強度依存性等)を、また、画像データの時間変化から非線形光学効果の時間変化(非線形光学応答の時間依存性)を測定することができ、さらにそれらの情報から非線形定数を決定することができる。
【0035】
光検出部5は、被測定媒質4の所定領域を通過したプローブパルスのうち所定の偏光成分のみを透過させる検光子51と、検光子51を透過したプローブパルス成分を結像させる結像レンズ52と、結像したプローブパルスの光像を測定するための光検出手段であるカメラ53とを有して構成されている。これによって、相互作用領域を通過したプローブパルス成分を検光子51によって選択的に透過し、カメラ53によってこのプローブパルス成分を測定・撮像して、被測定媒質4中における非線形光学応答を測定する。
【0036】
なお、上記した実施形態においては、偏光手段22、32はそれぞれ波長板23、33及び偏光子24、34とから構成されているが、これは偏光手段22、32の構成の一例を示したものであって、励起光学系2及びプローブ光学系3に入力される光束の偏光状態と、設定する励起パルス及びプローブパルスの偏光状態によって、その他の構成、例えば波長板のみからなる構成等、を用いることができる。
【0037】
また、励起光学系2における入射光学系として、励起パルスを集束して被測定媒質4に入射させる入射光学系25を用いているが、励起パルスの強度や被測定媒質4とする物質の種類等の測定条件によって、集束を行わない光学系を入射光学系として用いても良い。
【0038】
図2は、図1に示した実施形態による媒質の非線形光学応答測定装置について、具体的な構成とともに示す一実施例である。
【0039】
本実施例においては、波長800nm、パルス幅100fs、パルス当たりのエネルギーが7mJのチタン・サファイアレーザーを超短パルス光源11として用い、このパルス光源11からの光パルスは、例えばハーフミラーなどからなる光分岐器12によって第1の光束l1及び第2の光束l2に分岐される。ここで、この光パルスは、図2中において紙面、すなわち後述する励起パルスの被測定媒質4への入射軸及びプローブパルスの照射軸を含む平面(以下、測定平面という)、に対して水平な方向の直線偏光を有している。なお、必要があれば、パルス光源11と光分岐器12との間に波長板などを設置しても良い。この場合、光分岐器12として例えばプリズム型の偏光ビームスプリッターを用いることが可能である。
【0040】
第1の光束l1は、励起光学系によって励起パルスleとされて被測定媒質4へと導かれ、一方、第2の光束l2は、プローブ光学系によってプローブパルスlpとされて被測定媒質4へと導かれる。
【0041】
励起パルスleとプローブパルスlpとの被測定媒質4への入射・照射のタイミングは、励起光学系における可変光遅延器21と、プローブ光学系における光路部分30とによって調整・設定または変更される。
【0042】
プローブ光学系の光路部分30は、装置の構成時に設定され固定されるものであって、遅延時間が固定された光遅延器としての機能を有し、励起光学系に対する光路長差とそれによる遅延時間差の初期条件を調整・設定するために用いられる。一方、励起光学系の可変光遅延器21は、可動直角ミラー21aを有して構成されており、この可動直角ミラー21aを移動させることによって光路長を変化させて、プローブ光学系に対する光路長差とそれによる遅延時間差を変更・設定することが可能なように構成されている。
【0043】
励起パルスleとプローブパルスlpとのそれぞれの偏光状態は、励起光学系における励起パルス偏光手段である波長板23及び偏光子24と、プローブ光学系におけるプローブパルス偏光手段である波長板33及び偏光子34とによってそれぞれ設定される。
【0044】
励起パルス偏光手段の波長板23は本実施形態においては1/2波長板であり、可変光遅延器21を通過した第1の光束l1は、1/2波長板23によってその直線偏光の方向が90度回転されて測定平面に対して垂直な直線偏光を有するように変換され、さらに垂直な直線偏光を有する成分のみを透過する偏光子24を通過する。これによって、測定平面に対して垂直な直線偏光を有する励起パルスleが得られる。なお、この偏光子24は垂直な直線偏光を有する成分をより確実に選択するためのものであって、設置しない構成とすることも可能である。
【0045】
一方、プローブパルス偏光手段の波長板33は1/4波長板であり、光路部分30を通過した第2の光束l2は、1/4波長板33によってその直線偏光が円偏光に変換され、さらに測定平面に対して45度傾いた直線偏光を有する成分のみを透過する偏光子34を通過する。これによって、測定平面に対して45度傾いた直線偏光を有するプローブパルスlpが得られる。ここで、1/4波長板33を1/2波長板として、直接45度傾いた直線偏光を有するプローブパルスを生成し、これを用いても良い。
【0046】
上記のようにして得られた励起パルスle及びプローブパルスlpは、それぞれ所定の入射軸及び照射軸によって被測定媒質4に入射及び照射される。
【0047】
励起光学系からの励起パルスleは、焦点距離50mmの平凸レンズである集束レンズ25aを通って、所定の入射軸によって被測定媒質4に集光されつつ入射される。このとき被測定媒質4内に、励起パルスleと被測定媒質4との相互作用によって、光カー効果等の非線形光学効果を生じた相互作用領域が生成される。この相互作用領域内では被測定媒質4の屈折率が変化し、特にその屈折率にプローブパルスlpの照射軸に垂直な面内での異方性を生じる。
【0048】
この相互作用領域を含む被測定媒質4の所定領域に対して、プローブ光学系からのプローブパルスlpが、励起パルスleの入射軸に対して垂直な軸を照射軸として照射される。このプローブパルスlpのうち、被測定媒質4を透過した成分である透過プローブパルスlp’が光検出部によって検出される。
【0049】
透過プローブパルスlp’は、対物レンズ54を介して検光子51に入射する。この検光子51は、透過プローブパルスlp’のうち、被測定媒質4に照射されたプローブパルスlpの直線偏光に対して直交した直線偏光成分のみを透過するように構成されている。したがって、被測定媒質4の非線形光学効果による屈折率の異方性を生じていない領域を透過した透過プローブパルスlp’の成分は検光子51を透過せず、相互作用領域を通過して相互作用領域内の屈折率の異方性によってその偏光状態が変化を受けた透過プローブパルスlp’の成分のみが検光子51を透過する。すなわち、検光子51を通過した透過プローブパルスlp’の成分による光像は、非線形光学効果による屈折率変化が誘起された相互作用領域の像に対応している。
【0050】
検光子51を通過した透過プローブパルスlp’の成分による光像は、結像レンズ52によってCCDカメラ53上に結像されて撮像され、これによって、被測定媒質4中における非線形光学応答が測定される。なお、本実施例においては、対物レンズ54は倍率10倍のものを用い、CCDカメラ53のカメラレンズの焦点を無限大として測定を行っている。また、CCDカメラ53は横640×縦480画素を有して16ビットの強度情報が得られるものを使用し、走査線の影響を低減するために、CCDカメラ53は測定平面に対して90度傾けて画素構造の縦方向が励起パルスleの被測定媒質4中での伝搬方向(入射軸方向)と一致するように設置した。この条件において、CCDカメラ53の画素間隔に対応する測定面上の距離は4.8μmである。
【0051】
また、図2に示した測定装置においては、励起パルスleが被測定媒質4内の非常に小さい領域内に集光されるが、この場合、これに伴って被測定媒質4がブレークダウンを起こしレーザープラズマが生成されて、プラズマ発光が起こることがある。このようなプラズマ発光は広帯域のスペクトル成分を有する白色光である。この発光の影響を除去するため、検光子51及び結像レンズ52の間にプローブパルスlpと異なるスペクトル成分を除くための波長800nmの干渉フィルター55を設置している。
【0052】
一方、プローブパルスlpと同一のスペクトル成分については、非線形光学応答の測定前に、プローブパルスlpを照射せず他の条件を測定時の条件と同一とした測定を行い、この測定結果の画像データを非線形光学応答測定時の測定結果の画像データから減算することによって、透過プローブパルスlp’による相互作用領域の光像の選択的な測定・撮像を行う。ただし、励起パルスleがプラズマ発光を伴わない条件によって測定を行うこともできるが、その場合には、上記したような画像データの減算処理は行わなくても良い。
【0053】
また、励起パルスleのパルス当たりのエネルギーは、各光学要素における損失等によって、集束レンズ25aの直前において3.5mJであった。なお、図2に示した実施例による媒質の非線形光学応答測定装置によって、後述するように非線形光学応答の測定を実際に行ったが、この測定においては、さらにNDフィルターによって励起パルスleを減光して、パルス当たり2.3mJとして測定を行った。また、この測定においては、被測定媒質4としては常温・一気圧の空気を用いた。ただし、測定装置全体を空気雰囲気中に設置して測定を行い、その空気のうちの所定領域にある部分をそのまま被測定媒質4とした。
【0054】
以下に、本発明に係る媒質の非線形光学応答測定装置による効果を、上記した実施例による装置構成及び測定条件によって行った測定の結果とともに説明する。本媒質の非線形光学応答測定装置においては、光源として超短パルス光を出力可能な超短パルスレーザーをパルス光源11として用い、その超短パルスの光束を光分岐器12によって分岐させて励起パルスle及びプローブパルスlpを形成している。このように非常に短い光パルスの時間幅を有する超短パルスを用いることによって、高時間分解能での非線形光学応答の測定が可能となる。また、その超短パルスを分岐させて用いることによって、励起パルスle及びプローブパルスlpの被測定媒質4への入射・照射のタイミングの同期が実現できる。
【0055】
特に、上記した実施例での超短パルスのパルス幅100fsのように充分に短い時間幅の光パルスを用いることによって、被測定媒質4中での特定の時間における非線形光学効果の発生状態にほぼ対応した相互作用領域の像を、2次元画像として直接的に測定することがはじめて可能となる。実際の測定結果では、66.7fsの遅延時間間隔で48個の非線形光学応答のデータを連続的に取得し、光パルスによって生じる非線形光学効果の空間分布構造及びその時間変化など、相互作用領域内における非線形光学応答についての詳細な測定に成功している。
【0056】
さらに、上記した実施形態においては、励起光学系2は可変光遅延器21を備えており、これによって励起パルスle及びプローブパルスlpの入射・照射の相互のタイミングを変更することができる。このとき、このタイミングの変化はプローブパルスlpが照射されるときの励起パルスleの入射軸方向への位置の変化となり、したがって、相互のタイミングを連続的に変化させることによって、被測定媒質4中における励起パルスleの移動に対応する相互作用領域の移動・時間変化を、高時間分解能の連続的な画像として測定することができる。
【0057】
図3(a)に、このようにして測定された被測定媒質4中における相互作用領域の移動を模式的に示す。横軸は、励起パルスle及びプローブパルスlpの入射・照射の相互のタイミングの変化である遅延時間を表す。一方、縦軸は、励起パルスleの伝搬距離(相互作用領域の移動距離)を表す。ここで図3(a)においては、CCDカメラ53によって得られた2次元画像のうち、励起パルスleの入射軸に垂直な方向についての画像データを加算して、励起パルスleの入射軸方向、すなわち励起パルスleの伝搬方向についての1次元画像(以下、これを演算画像とよぶ)にそれぞれの遅延時間に対する画像データを変換してそれを図中の縦方向に表示し、その1次元画像データを連続的に並べることによって相互作用領域の移動(斜線部分によって示されている)を示している。
【0058】
図3(a)より、本発明による媒質の非線形光学応答測定装置によって、相互作用領域の移動・時間変化の様子が、高時間分解能で明確に測定されていることがわかる。この相互作用領域の移動の像の傾きは、被測定媒質4中における光速度に相当する。また、中央付近の横方向強度プロファイルは、自己相関波形となり、これから相互作用領域の範囲についての情報等を得ることが可能となる。
【0059】
なお、上記した空気を被測定媒質4とした測定の結果においては、透過プローブパルスの強度は励起パルスの強度の2乗にほぼ比例し、主に被測定媒質4中における光カー効果によって非線形光学効果が生じていることがわかった。このとき、得られた測定像の画像データは励起パルスの強度の2乗分布に対応している。したがって、例えば各画素の画像データの強度についてそれぞれ平方根をとるか、またはarcsin2などの演算を行って測定像とすることによって、光パルスの強度の空間分布が反映された測定像を得ることができる。
【0060】
また、被測定媒質4中の特定の測定点について、励起パルスle通過後における透過プローブパルスlp’の強度の時間変化を測定することによって、非線形光学効果によって被測定媒質4に生じる複屈折の緩和時間を測定することができる。このような測定を行う場合には、被測定媒質4中において励起パルスleが最も集束される位置の近傍を測定点とすることによって、プローブパルスlpが測定点を通過する時間を短くして、測定の時間分解能を向上させることができる。また、図2における集束レンズ25aとして、例えば焦点距離200mmの平凸レンズなど長焦点のレンズを用いることによって、励起パルスleの集束状態の急速な変化を避けて測定条件をより良好とすることができる。このような測定は、単一の光パルスによって行うことができ、短い測定時間による測定が可能である。
【0061】
このような条件によって、透過プローブパルスlp’の強度の時間変化を測定した。測定点付近における前記した演算画像の伝搬方向の軸(距離)を、(距離)/(被測定媒質中の光速度)として時間軸に変換して横軸にとり、加算した画像データ(強度)を正規化し縦軸として作成した図を図3(b)に示す。このとき、被測定媒質中の光速度が未知の場合には、図3(a)の図から求めることができる。
【0062】
ここで、被測定媒質4としてはCS2(常温で液体)を用いて測定を行った。このグラフにおいて、励起パルスleの入射により非線形光学効果が生じた後、時間とともに非線形光学効果が緩和されていく時間変化が示されており、これによって、非線形光学効果による複屈折の緩和時間を決定することができる。
【0063】
なお、上記した相互のタイミングを変更する手段である可変光遅延器21については、励起光学系2ではなくプローブ光学系3に設置する構成、または両光学系2、3に設置する構成としても良い。また、特定のタイミングでの非線形光学応答の測定のみを行い、時間変化を測定する必要がない場合には、可変光遅延器などのタイミング調整手段を有しない構成としても良い。
【0064】
また、上記のように可変光遅延器を用いて測定を行った場合、遅延時間を変化させると、測定時における励起パルスleの伝搬軸方向の位置(生成される相互作用領域の位置)が変化するとともに、集光状態の変化によって光パルスの空間分布(生成される相互作用領域の形状)が変化する。これに対し、相互作用領域の空間分布変化の測定については、例えば図2に示す実施例において可変光遅延器21を用いずに遅延時間を固定し、入射光学系である集束レンズ25aを光軸方向に可動な構成の可動光学系とすることによって、被測定媒質4中の同一の測定点での励起パルスleの集束状態を変化させて、可変光遅延器21を用いた場合と同様の測定を行うことが可能である。
【0065】
このように可動な集束レンズ25aを用いた装置とした場合、常に同じタイミング条件で測定を行うことが可能となり、測定点が移動しないためにCCDカメラ53の撮像範囲による測定範囲の制限がなく、より広い集束状態の範囲について非線形光学応答の測定を行うことが可能となる。また、プローブパルスlpの空間ビームパターンが常に同じとなり、得られる画像の精度が向上される。
【0066】
また、図2に示した実施例では、プローブパルスlpの照射軸は、励起パルスleの入射軸に対して垂直の照射角度を有して設定されているが、この照射角度は必ずしも90度である必要はない。例えば、照射角度を0度より大きく90度より小さい角度とし、回折格子などを用いて構成された波面変換手段によってプローブパルスlpの波面を励起パルスleの波面と一致させて照射を行うことにより、時間分解能を損なうことなく、かつ励起パルスle及びプローブパルスlpの相互作用長をより長くとることが可能となる。
【0067】
被測定媒質4については、気体・液体または固体などの様々な物質に対して本測定装置を適用することができる。なお、気体または液体の非線形光学効果の応答速度は固体の場合に比べて一般に高速である。
【0068】
被測定媒質を気体または液体とした場合の設置方法としては、例えば空気等の場合には上記のように装置全体が被測定媒質となる空気中に設置された構成とすることができるが、このような設置方法以外にも様々な方法が考えられる。例えば、励起パルスle及びプローブパルスlpが入射・照射される所定の領域と、それ以外の装置の一部とを含む領域に対して囲いを設置し、その囲いの内部を被測定媒質によって満たすという方法がある。囲いを設置する領域としては、例えば図2に点線によって示した領域40aまたは40bなどが可能であり、また、これ以外の領域に設定することもできる。
【0069】
この場合、囲いのうち少なくとも光パルスの入射・照射または出射が行われる部位を構成するための材質は、以下の条件、(1)入射する光パルスの波長に対して充分な透過率があること、(2)励起パルスの測定平面に垂直な偏光成分を充分透過させること、(3)プローブパルスの偏光状態を乱さないこと、(4)入射光のパルス幅を大きく変えるような分散を持たないこと、(5)入射光の光エネルギーに対して充分な耐性があること、などを満たすものを用いることが好ましい。なお、被測定媒質についても、上記した諸条件に関して、媒質の選択時またはデータ解析時において充分に考慮することが必要である。
【0070】
この場合の囲いについては、図4に囲い40としてその一例を示すように、光パルスの入射・照射または出射が行われる部位以外は、背景光の影響を低減するため黒色などに塗装すること(図4中の斜線部分)が望ましい。また、光パルスの入射・照射または出射が行われる部位は、例えば両面に反射防止膜が施された石英ガラスなどからなる窓状に形成する。
【0071】
図4においては、図2に示す領域40bのように囲いが光検出部をすべてその内部に含む場合に用いられる囲い40を示し、励起パルス入射面41に形成された入射窓41aが示されている。また、プローブパルス照射面43についても同様に照射窓(図示していない)が形成されている。なお、図2に示す領域40aのように光検出部の一部が囲い40の外部に設置される場合には、さらにプローブパルス出射面44に出射窓を設ける必要がある。また、励起パルス出射面42についても必要があれば出射窓を有する構成としても良い。また、囲いを設置する領域が小さい場合など、観測中における被測定媒質の変性が問題となるときには、ポンプ等を接続して被測定媒質を循環させる構成とすることが望ましい。
【0072】
被測定媒質が気体であれば、光パルスの入射・照射または出射が行われる部位について、窓ではなく開口部とすることも可能である。この場合、開口部から放出されてしまう被測定媒質である気体を、ボンベからホース等を介して囲いの内部に連続的に供給することが必要である。
【0073】
また、無害の気体を被測定媒質とする場合において、囲いを用いずに、ボンベ等に接続されたホースの出力口を被測定媒質の領域近傍の所定の位置とし、気体をその領域に噴射することによって供給して、被測定媒質として用いることも可能である。この場合、気体の純度という点ではやや劣るが、実行が容易であって装置が簡単化するとともに、窓材による光の吸収・反射等の問題が生じない、という利点がある。
【0074】
さらに、被測定媒質の領域に、被測定媒質となる気体または液体を充填したセルを設置して被測定媒質とする方法がある。この方法は、特に液体や、有毒ガス等の取り扱いが困難な気体とする場合に適している。また、用いる被測定媒質の分量を少なくすることができる。この場合、セルを構成するための容器は、上記した囲いの材質についての好ましい条件を同様に満たすものを用いることが望ましい。
【0075】
このとき、入射光の偏光方向が確定していることに対応して、図5にセル45として(a)上面図、及び(b)側面図を示すように、励起パルス入射面46あるいは励起パルス出射面47を、その法線(図5(b)中に点線で示す)が光軸に対してブルースター角θbとなるように形成することによって、励起パルス入射面46については反射を抑制させ透過率を増加させることができ、また、励起パルス出射面47についてはセルの出射端面で反射して被測定媒質内に戻る光を抑制して時間分解能の精度を向上させることができる。これは、被測定媒質中における泡の発生が問題となる液体を用いた場合に、反射光が泡で散乱することを防ぐことができるので特に有効である。
【0076】
なお、励起パルスleの入射・出射面に対して上記のようにブルースター角を用いるときには、特に液体を被測定媒質とした場合、空気と屈折率が大きく異なるので、励起パルスleの進行方向が変化することを考慮してその光路を設定する必要がある。
【0077】
また、プローブパルスlpの照射・出射面については、反射防止膜が施されていることが望ましい。また、プローブパルスlpの偏光状態に影響を与えない範囲において、図6(a)及び(b)にそれぞれ上面図によってその例を示すように、光の反射を抑制する目的でプローブパルス照射面48、プローブパルス出射面49を水平方向等について斜めに形成して、セルが上面からみて台形状(例えば図6(a)の形状)または平行四辺形状(例えば図6(b)の形状)などになるようにしても良い。この場合にも同様に、光パルスの進行方向の変化を考慮して光路を設定する。
【0078】
このようにセルを用いた場合、被測定媒質である気体または液体を適宜交換または循環等できるように上部等に2つのコックを設置しておくと良い。また、特に被測定媒質を気体としたときにその純度を高める方法として、最初に一方のコックからセル内を真空引きし、そのコックを閉じた後、他方のコックから気体を充填する方法を用いることができる。なお、セルの形状については、上記したものに限らず、光パルスのエネルギー、偏光状態、光路等の諸条件に応じて、様々な形状・構成とすることができる。
【0079】
なお、従来、このような非線形光学効果を測定する装置としては、例えば Opt. Commun., vol.51, pp.433-437 (1984)に記載された装置がある。この装置はプローブパルス光の干渉計測によって3次の非線形感受率を測定するものであって、測定内容が限定されており、また、干渉を用いているために計算によってはじめて非線形定数が求められる。したがって、このような装置によっては、本測定装置のように非線形光学応答を直接的に測定することは不可能である。
【0080】
図7は、本発明に係る媒質の非線形光学応答測定装置の第2の実施形態を示すブロック図である。本実施形態における媒質の非線形光学応答測定装置は、光源部1、励起光学系2、及びプローブ光学系3については第1の実施形態と同様である。一方、光検出部5については、検光子51及び結像レンズ52の後段に、透過プローブパルスの2次元の光像を1次元の光像に変換する光像変換手段であるシリンドリカルレンズ56と、シリンドリカルレンズ56によって生成された1次元の光像を検出するための一次元光検出器57とが設置されている。特に、このシリンドリカルレンズ56を、励起パルスの入射軸に垂直な方向について一次元光検出器57上に透過プローブパルスを集束して1次元光像を形成するように設置することによって、図3(a)に示したような相互作用領域の移動についての画像をより効率的に生成することが可能となる。
【0081】
図8は、本発明に係る媒質の非線形光学応答測定装置の第3の実施形態を示すブロック図である。本実施形態における媒質の非線形光学応答測定装置は、光源部1、及び励起光学系2については第1の実施形態と同様である。一方、光検出部5については、第2の実施形態と同様に光像変換手段としてシリンドリカルレンズ56が用いられ、このシリンドリカルレンズ56の後段に、分光器58が設置されて、シリンドリカルレンズ56によって生成された1次元光像を分光器58の入射スリットに入射して分光し、分光器58の出力結像位置とカメラ53の受光面とを一致させて、分光器58からの2次元の出力像をカメラ53で観測する。
【0082】
このとき、プローブ光学系3に、図8に示すようにパルスストレッチャー37を設置し、パルスストレッチャー37を通過したプローブパルスをチャープさせてパルス幅を広げる(図8中にその光路上の各点における時間軸に対する波長成分分布を示した)。このように時間波形を広げることによって、プローブパルスの各波長成分と時間情報とを対応させることができる。なお、パルスストレッチャー37としては、例えば光ファイバー、回折格子対、プリズム対、後述する波形変換手段等からなるものを用いることができる。
【0083】
このような構成を用いて得られる測定像の一例を図9に示す。横軸は波長であるが、前述のようにこれは時間軸に変換・対応されており、したがって、図9に示した図3と等価な図が一回の測定によって観測できることとなる。なお、測定精度を向上するために、あらかじめプローブパルスのスペクトルを取得しておいて、得られた測定像にフィルターをかけるなどすることが好ましい。
【0084】
図10は、本発明に係る媒質の非線形光学応答測定装置の第4の実施形態を示すブロック図である。本実施形態における媒質の非線形光学応答測定装置は、その装置構成については第1の実施形態と同様であるが、装置各部の制御や画像データについての演算等を行う制御部6がさらに設置されている。この制御部6は、画像処理装置61、制御装置62、及び表示装置63を有して構成されている。
【0085】
画像処理装置61はCCDカメラ53に接続されており、この画像処理装置61によってCCDカメラ53で撮像された測定像の整理や解析・必要な演算等が行われる。例えば、図2に示した実施例について上記したプローブパルスの照射時・非照射時の画像データの減算や、図3(a)に示した図の生成などは、CCDカメラ53によって画像データを取得した後、解析を行うことによって得ることができるが、図10に示すようにCCDカメラ53を画像処理装置61に接続することによって、測定時にリアルタイムで上記したような画像処理を行うことが可能である。また、各画素の画像データに対して、例えば平方根の演算を行うなど所定の関数による演算処理を行うことも可能である。
【0086】
この画像処理装置61はさらに装置全体を制御するための制御装置62に接続されている。この制御装置62は、画像処理装置61を介した画像データ等の取得、得られたデータの表示装置63による表示等を行う。また、制御装置62は可変光遅延器21に接続されており、遅延時間を測定と相関させて制御することができる。また、必要があればパルス光源11等にさらに接続される構成としても良い。
【0087】
図11は、本発明に係る媒質の非線形光学応答測定装置の第5の実施形態を示すブロック図である。本実施形態における媒質の非線形光学応答測定装置は、T字状に構成された光学系保持機構7によって各部が一体化されて保持されている。この光学系保持機構7は、励起パルスの入射軸を中心軸として設置されて励起光学系を保持する円筒状の励起光学系保持部71と、プローブパルスの照射軸を中心軸として設置されてプローブ光学系の一部及び光検出部を保持する円筒状のプローブ光学系保持部72とを有して構成されている。
【0088】
本実施形態においては、パルス光源11と光分岐器12の間に1/4波長板13が設置されており、光分岐器12によって分岐される第1の光束及び第2の光束は円偏光を有している。これに対して、励起パルス偏光手段及びプローブパルス偏光手段は、それぞれ偏光子24及び34のみによって構成されて、励起パルス及びプローブパルスの直線偏光状態を選択している。
【0089】
励起光学系保持部71は複数の円筒部分に分割されており、それぞれの間に光遅延器21、偏光子24、及び入射光学系25が固定されている。このように励起光学系保持部71を分割して形成し、その間の部位に各光学要素を設置することによって、各光学要素の交換を容易にするとともに、光遅延器21の光路を妨げない構成とすることができる。なお、分割された励起光学系保持部71の各部は連結部73によって連結されて一体化されている。
【0090】
プローブ光学系保持部72の中心部には、被測定媒質4が配置され、この被測定媒質4に対面する所定の部分には開口部72aが設けられており、この開口部72aに励起光学系保持部71が接続されて、被測定媒質4への励起パルスの入射が行われる。開口部72aに対向する面にも開口部72bが設けられている。また、プローブ光学系保持部72の上部にはプローブ光学系の偏光子34が保持されている。
【0091】
本実施形態においては、プローブ光学系の光路に光ファイバー35を用いており、この光路の途中に光ファイバー用の可変光遅延器31が設置されている。また、光ファイバー35への入射・出射のために、集光レンズ36a、36c及びコリメートレンズ36b、36dが配置されている。
【0092】
なお、このように光ファイバーを用いた場合には光ファイバーの分散によってプローブパルスのパルス幅が広がってしまい、非線形光学応答測定の時間分解能が劣化してしまう。このため、分散シフトファイバー、グレーティングファイバーや、回折格子対、プリズム対等を用いることによってパルス幅の広がりを補正し、被測定媒質4においてパルス幅が短い光パルスとなるように構成することが望ましい。
【0093】
プローブ光学系保持部72の下部には光検出部の各要素、すなわち対物レンズ54、検光子51、結像レンズ52、及びCCDカメラ53が保持されている。
【0094】
ここで、この光学系保持機構7は、固定・保持されている各光学系の光学要素等とともに励起パルスの入射軸を中心軸として回転可能に構成されている。このような構成とすることによって、被測定媒質4中における相互作用領域での非線形光学応答を異なる角度から測定することが可能となる。したがって、例えばX線CTと同様の画像再構成法を用いて、特定の遅延時間における非線形光学応答についての3次元情報等を得ることができる。
【0095】
図12は、本発明に係る媒質の非線形光学応答測定装置の第6の実施形態を示すブロック図である。本実施形態における媒質の非線形光学応答測定装置では、光源として用いられている超短パルスレーザーであるパルス光源11のレーザー媒質4aを被測定媒質としている。このとき、励起パルスはパルス光源11のレーザー共振器内に存在する光パルスであり、プローブパルスは光分岐器12によって分岐されたパルス光源11の出力レーザーパルスを用いている。
【0096】
このような構成において、カメラ53によって得られた測定像からレーザー媒質4a中に生じている非線形光学効果の発生状態についての情報を得て、その情報をレーザー制御装置14を介してレーザーにフィードバックすることによって、パルスレーザーの最適化や安定化に利用することができる。また、レーザー装置自体を改良するためのデータについても得ることができる。このような測定は、分散補償プリズムを被測定媒質としても行うことができる。また、レーザーを対象とした本実施形態は本発明による媒質の非線形光学応答測定装置の利用の一例であって、レーザー以外の様々な装置に対しても同様の応用が可能である。なお、レーザー媒質4a中の光の偏光状態を考慮すると、図中の2つのプリズムは紙面に垂直に配置することが望ましい。
【0097】
図13は、本発明に係る媒質の非線形光学応答測定装置の第7の実施形態を示すブロック図であり、ここでは光源部1に単一のパルス光源を用いるのではなく、励起パルス及びプローブパルスに対してそれぞれ別の励起パルス光源11a及びプローブパルス光源11bを用いている。
【0098】
励起パルスに対するプローブパルスのタイミングは、可変光遅延器21に加えてタイミング制御回路15によって制御されている。タイミング制御回路15は、トリガー回路16及び遅延回路17を有して構成されており、これによって両パルスを同期させるとともに、遅延時間差の設定・変更を行うことができる。この場合、励起光学系2及びプローブ光学系3がともに可変光遅延器を有しない構成としても良い。また、このように2つの光源を用いた場合、励起パルス及びプローブパルスのパルス幅や波長を異なるものとすることができる。特に、励起パルスに対してプローブパルスのパルス幅をさらに短くするようにプローブパルス光源11bを選択することによって、さらに高時間分解能での測定が可能となる。
【0099】
本発明による媒質の非線形光学応答測定装置は、上記した実施形態・実施例に限られるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、励起光学系またはプローブ光学系の光路上に、励起パルスまたはプローブパルスの波長を変化させる波長変換手段を設置しても良い。励起光学系に波長変換手段を用いることによって、異なる波長の光が被測定媒質に入射したときの非線形光学応答とその変化を測定することができる。また、プローブ光学系に波長変換手段を用いることによって、励起パルスとプローブパルスとの波長を異なるものとし、例えば被測定媒質中においてレーザープラズマ発光が発生している場合に、プローブパルスの波長をこのプラズマに吸収または散乱されにくい波長として、測定の効率を向上することができる。このような波長変換手段としては、例えば光パラメトリック増幅器、和・差周波発生装置、SHG結晶等がある。
【0100】
また、励起光学系の光路上に、励起パルスの波形等を変化させる波形変換手段を設置して、様々な時間波形の光パルスによる非線形光学応答を測定するようにしても良い。波形変換手段としては、例えば特開平10−206234号公報に開示されているものであって、パルス列生成器及び波形生成器などがある。このうち、パルス列生成器とは光パルスをパルス列に変換等するものであって、例えばエタロンなどを用いることができる。また、波形生成器とは光パルスの波形等の状態を変化させるものであって、例えば空間光変調器などを用いることができる。
【0101】
本発明による媒質の非線形光学応答測定装置を用いた非線形光学効果の測定は、例えば図12に示したように様々な装置の各部における測定に用いることができる。この場合、対象とする装置のうち非線形光学応答を測定しようとする所定の部分が、被測定媒質とされる。
【0102】
さらに、媒質中の光速度等の測定が可能であり、これによって媒質の屈折率の測定や、レーザープラズマが生成されている場合におけるプラズマ密度、プラズマ温度、プラズマの誘電率等を測定することが可能である。このような測定は、例えば非平衡高エネルギー状態の測定、半導体のレーザーアブレーション、液晶のレーザーアブレーション、レーザー加工等に用いるレーザーの飛跡の測定等、動熱力学の測定・制御に適用することができる。また、図14に示すように、化学プラントや半導体製造プラント等の反応過程Aで生成される反応生成物を被測定媒質とし、非線形光学応答の測定Bを行うことによって、ここから得られた情報をプラント等の制御部Cを介してフィードバックして、反応過程の最適化、安定化に利用するなど、様々な応用が可能である。
【0103】
【発明の効果】
本発明による媒質の非線形光学応答測定装置は、以上詳細に説明したように、次のような効果を得る。すなわち、超短パルスレーザーなどから出力される同期した2つの光パルスをそれぞれ所定の偏光状態とし、被測定媒質中に非線形光学効果を誘起させる励起パルス及び測定プローブであるプローブパルスとして用いることによって、高時間分解能での非線形光学応答の測定を行うことができる。
【0104】
測定方法としては、測定対象となる物質である被測定媒質に対して、この被測定媒質内において励起パルス光により非線形光学効果を生じた領域(相互作用領域)の屈折率変化を、プローブパルスの偏光状態の変化を利用して検出する。これによって、非線形光学効果の発生状態や時間変化などの物質の非線形光学応答を、CCDカメラ等の光検出器によって直接的に検出・測定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る媒質の非線形光学応答測定装置の第1の実施形態を示すブロック図である。
【図2】図1に示した実施形態による媒質の非線形光学応答測定装置の一実施例を示す構成図である。
【図3】図2に示した媒質の非線形光学応答測定装置によって測定された(a)相互作用領域の移動、及び(b)非線形光学効果の時間変化、を示す図である。
【図4】被測定媒質に用いられる囲いの一例を示す斜視図である。
【図5】被測定媒質に用いられるセルの一例を示す(a)上面図、及び(b)側面図である。
【図6】被測定媒質に用いられるセルの他の例を示す上面図である。
【図7】本発明に係る媒質の非線形光学応答測定装置の第2の実施形態を示すブロック図である。
【図8】本発明に係る媒質の非線形光学応答測定装置の第3の実施形態を示すブロック図である。
【図9】図8に示した媒質の非線形光学応答測定装置によって測定される光像を示す図である。
【図10】本発明に係る媒質の非線形光学応答測定装置の第4の実施形態を示すブロック図である。
【図11】本発明に係る媒質の非線形光学応答測定装置の第5の実施形態を示すブロック図である。
【図12】本発明に係る媒質の非線形光学応答測定装置の第6の実施形態を示すブロック図である。
【図13】本発明に係る媒質の非線形光学応答測定装置の第7の実施形態を示すブロック図である。
【図14】本発明に係る媒質の非線形光学応答測定装置の利用形態の一例を示す図である。
【符号の説明】
1…光源部、11…超短パルス光源、11a…励起パルス光源、11b…プローブパルス光源、12…光分岐器、13…波長板、14…レーザー制御装置、15…タイミング制御回路、16…トリガー回路、17…遅延回路、
2…励起光学系、21…可変光遅延器、21a…可動直角ミラー、22…励起パルス偏光手段、23…波長板、24…偏光子、25…入射光学系、25a…集束レンズ、
3…プローブ光学系、30…光路部分、31…可変光遅延器、32…プローブパルス偏光手段、33…波長板、34…偏光子、35…光ファイバー、36a、36c…集光レンズ、36b、36d…コリメートレンズ、37…パルスストレッチャー、
4…被測定媒質、4a…レーザー媒質、40…囲い、45…セル、
5…光検出部、51…検光子、52…結像レンズ、53…カメラ、54…対物レンズ、55…干渉フィルター、56…シリンドリカルレンズ、57…一次元光検出器、58…分光器、
6…制御部、61…画像処理装置、62…制御装置、63…表示装置、
7…光学系保持機構、71…励起光学系保持部、72…プローブ光学系保持部、72a、72b…開口部、73…連結部。

Claims (13)

  1. 光パルスによって被測定媒質内に生じる非線形光学効果を測定するための媒質の非線形光学応答測定装置であって、
    パルス光源によって供給された光パルスから、それぞれの出力タイミングが同期された第1の光束と第2の光束とを生成して出力する光源部と、
    前記第1の光束に基づいて励起パルスを形成し、前記被測定媒質に前記励起パルスを入射する励起光学系と、
    前記第2の光束に基づいてプローブパルスを形成し、前記被測定媒質に前記励起パルスが入射されることによって非線形光学効果が誘起された相互作用領域を含む前記被測定媒質の所定領域に前記プローブパルスを照射するプローブ光学系と、
    前記被測定媒質の所定領域を通過した前記プローブパルスを検出する光検出部と、を備え、
    前記励起光学系は、前記励起パルスを所定の偏光状態とするための励起パルス偏光手段と、前記励起パルスを前記被測定媒質に所定の入射条件によって入射させる入射光学系とを有し、前記プローブ光学系は、前記プローブパルスを所定の偏光状態とするためのプローブパルス偏光手段を有し、
    前記光検出部は、前記被測定媒質の所定領域を通過した前記プローブパルスのうち、所定の偏光成分のみを透過させる検光手段と、前記検光手段を透過した前記プローブパルスを検出・測定する光検出手段と、前記被測定媒質の所定領域を通過し前記検光手段を透過した前記プローブパルスを前記光検出手段に結像させる結像手段と、を有し、
    前記励起光学系、前記プローブ光学系及び前記光検出部を一体化して保持するとともに、前記励起パルスの入射軸を回転軸として回転駆動が可能なように構成されて、前記被測定媒質に対する前記励起光学系、前記プローブ光学系及び前記光検出部の設置角度を変更することが可能な光学系保持機構をさらに備え
    前記光学系保持機構は、前記励起パルスの入射軸を中心軸として設置されて前記励起光学系を保持する励起光学系保持部と、前記プローブパルスの照射軸を中心軸として設置されて前記プローブ光学系の一部及び前記光検出部を保持するプローブ光学系保持部とを有して構成され、
    前記プローブ光学系保持部の所定の部分に開口部が設けられ、この開口部に前記励起光学系保持部が接続されていることを特徴とする媒質の非線形光学応答測定装置。
  2. 前記光源部は、光パルスを出力する単一のパルス光源と、前記光パルスを分岐して前記第1の光束と前記第2の光束とを生成する光分岐手段と、を有することを特徴とする請求項1記載の媒質の非線形光学応答測定装置。
  3. 前記光源部は、前記第1の光束となる光パルスを出力する励起パルス光源と、前記第2の光束となる光パルスを出力するプローブパルス光源と、前記第1の光束及び前記第2の光束の出力タイミングを同期させるタイミング制御手段と、を有することを特徴とする請求項1記載の媒質の非線形光学応答測定装置。
  4. 前記励起光学系または前記プローブ光学系のいずれか一方は、前記励起光学系と前記プローブ光学系との光路長差を設定・変更するための可変光遅延手段を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の媒質の非線形光学応答測定装置。
  5. 前記入射光学系は、その光路方向の位置が可動である可動光学系を有して構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の媒質の非線形光学応答測定装置。
  6. 前記励起パルス偏光手段及び前記プローブパルス偏光手段は、少なくとも一方に波長板または偏光子を含んで構成されて、前記励起パルス及び前記プローブパルスの偏光状態はそれぞれ所定の直線偏光に設定され、
    前記プローブパルスの前記被測定媒質への照射軸は、前記励起パルスの前記被測定媒質への入射軸を含み前記励起パルスの直線偏光の軸に対して垂直な平面内にあって、前記プローブパルスの直線偏光の軸は、前記平面に対して45度の傾きとして設定され、
    前記検光手段は、前記被測定媒質の所定領域を通過した前記プローブパルスのうち、前記被測定媒質に照射される前記プローブパルスの直線偏光と直交した偏光成分のみを透過させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の媒質の非線形光学応答測定装置。
  7. 前記プローブパルスの前記照射軸の、前記励起パルスの前記入射軸に対する照射角度が90度であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載の媒質の非線形光学応答測定装置。
  8. 前記プローブパルスの前記照射軸の、前記励起パルスの前記入射軸に対する照射角度が0度より大きく90度より小さい角度に設定され、
    前記プローブ光学系は、前記プローブパルスの波面を前記励起パルスの波面に一致させて前記被測定媒質に照射するための波面変換手段を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項記載の媒質の非線形光学応答測定装置。
  9. 前記光検出部は、前記被測定媒質の所定領域を通過した前記プローブパルスの2次元の光像を1次元の光像に変換する光像変換手段をさらに有し、前記光検出手段は一次元光検出器を有して構成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項記載の媒質の非線形光学応答測定装置。
  10. 前記光検出部は、前記被測定媒質の所定領域を通過した前記プローブパルスの2次元の光像を1次元の光像に変換する光像変換手段と、前記光像変換手段及び前記光検出手段の間に設置される分光手段とを有するとともに、前記プローブ光学系は、前記プローブパルスをチャープさせるパルスストレッチャーを有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項記載の媒質の非線形光学応答測定装置。
  11. 前記励起光学系または前記プローブ光学系の少なくとも一方は、前記励起パルスまたは前記プローブパルスの波長を変化させる波長変換手段を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項記載の媒質の非線形光学応答測定装置。
  12. 前記励起光学系は、前記励起パルスの時間波形を変化させる波形変換手段を有することを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項記載の媒質の非線形光学応答測定装置。
  13. 前記光検出手段からの画像データの処理を行う画像処理手段を有することを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項記載の媒質の非線形光学応答測定装置。
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