JPH10281876A - 偏光性イメージング装置 - Google Patents

偏光性イメージング装置

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JPH10281876A
JPH10281876A JP9110697A JP9110697A JPH10281876A JP H10281876 A JPH10281876 A JP H10281876A JP 9110697 A JP9110697 A JP 9110697A JP 9110697 A JP9110697 A JP 9110697A JP H10281876 A JPH10281876 A JP H10281876A
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隆之 菅
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義太郎 中野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 試料のうち所定の領域のみについて照射光
(励起光)の照射に伴って発生した被測定光(蛍光、ラ
マン散乱光)の偏光性を2次元的に測定して、試料中の
分子の状態を高精度に検出する。 【解決手段】 パルスレーザ光源10から出力され偏光
子11および1/2波長板12を経たパルス励起光は、
s偏光の直線偏光とされ、プリズム30に入射し、励起
側カバーガラス42と試料40との境界面で全反射す
る。試料40中に生じたエバネセント波により励起され
て発生した蛍光は、対物レンズ50により集光され、偏
光ビームスプリッタ53によりp偏光およびs偏光それ
ぞれの直線偏光成分に分岐されて、イメージインテンシ
ファイア60および61それぞれにより撮像される。画
像演算部63により、蛍光異方性比の2次元画像は、撮
像された像に基づいて偏光応答補正がなされて求められ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、照射光が照射され
た試料から発生する被測定光(蛍光、ラマン散乱光)の
偏光性の2次元画像を検出する偏光性イメージング技術
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】試料に照射光が照射されると、その試料
から蛍光やラマン散乱光等の被測定光が発生し、その被
測定光の偏光性を測定することにより、試料に関する様
々な情報を得ることができる。被測定光が蛍光である場
合、その偏光性を測定することにより、蛍光分子あるい
は蛍光分子が標識された分子の配向や回転ブラウン運動
に関する情報が得られる。例えば、蛍光分子が蛍光プロ
ーブである場合、蛍光プローブがフリーな場合とターゲ
ットに結合した場合とで回転ブラウン運動が異なること
から、その蛍光の偏光性を測定することにより、フリー
な蛍光プローブとターゲットに結合した蛍光プローブと
の識別が可能になる。一方、被測定光がラマン散乱光で
ある場合、その偏光性を測定することにより、試料中の
分子の対称性や配向に関する情報を得ることができる。
【0003】従来、蛍光およびラマン散乱光の偏光測定
は、分光光度計タイプ(図7)による測定か、或いは、
落射照明方式(図8)による顕微鏡下での測定であっ
た。分光光度計タイプ(図7)のものは、直線偏光の照
射光(励起光)を試料に照射し、その照射方向とは90
度異なる受光方向から被測定光(蛍光、ラマン散乱光)
を検出するものである。また、落射照明方式(図8)に
よるものでは、照射光(励起光)は、偏光子110およ
び1/2波長板111により所定の方位の直線偏光とさ
れた後、ダイクロイックミラー112および対物レンズ
113を経て、ステージ121上の試料120に照射さ
れ、試料120で発生した被測定光(蛍光、ラマン散乱
光)は、対物レンズ113、ダイクロイックミラー11
2、照射光カットフィルタ130およびバンドパスフィ
ルタ131を経た後、偏光ビームスプリッタ132によ
りs偏光成分およびp偏光成分とに分岐され、その被測
定光のs偏光成分およびp偏光成分それぞれの画像が検
出される。
【0004】落射照明方式で蛍光の偏光性を顕微鏡下で
測定した例として、D.Axelrod, "Carbocyanine Dye Ori
entation in Red Cell Membrane studied by Microscop
ic Fluorescence Polarization", Biophys.J., Vol.26,
pp.557-574 (1979) およびK.Suzuki, et al, "Spatiot
emporal Relationships Among Early Events of Fertil
ization in Sea Urchin Eggs Revealed by Multiview M
icroscopy", Biophys.J., Vol.68, pp.739-748 (1995)
の報告がある。
【0005】D.Axelrod の論文に記載されている技術
は、顕微鏡下で直線偏光の定常光を落射照明方式により
試料に照射し、発生した蛍光の偏光性を測定することに
より、生体膜に導入された蛍光プローブの配向および運
動性を調べるものである。ここで用いられている光検出
器は光電子増倍管であり、蛍光像画面上の絞りを走査す
ることにより2次元的な蛍光偏光画像を得ている。ま
た、K.Suzukiの論文に記載されている技術は、非偏光の
定常光を落射照明方式により試料に照射し、発生した蛍
光を偏光ビームスプリッタにより互いに直交する直線偏
光成分に分岐し、その2分岐された蛍光画像を単一のカ
メラにより同時に撮像することにより、卵の受精過程に
おける膜の配向性を解析するものである。
【0006】蛍光およびラマン散乱光の偏光性の測定に
おいて重要になるのは、受光光学系および光検出器の偏
光応答補正である。受光光学系および光検出器は、異な
る偏光方位の光に対しても等しく応答するのが理想であ
るが、実際の光学素子や光電変換面は、異なる偏光方位
の光に対して異なる応答をする。したがって、真の蛍光
やラマン散乱光の偏光性を測定するためには、その補正
が必要となる。
【0007】従来の分光光度計タイプの偏光測定におい
ては、図7に示すように、水平偏光励起光に対して90
度方向で受光される蛍光の水平成分強度と垂直成分強度
とは等しくなるべきことから偏光応答補正を行ってい
る。また、顕微鏡下での偏光測定において、D.Axelrod
の論文に記載されている技術では、全くの非偏光の光を
受光光学系(試料から光検出器までの光学系)および光
検出器に通すことにより偏光応答補正を行っている。さ
らに、K.Suzukiの論文に記載されている技術では、均一
で等方的な試料を非偏光の励起光で照射し、その試料か
ら発生する蛍光が全く無偏光であることを利用して偏光
応答補正を行っている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
分光光度計タイプの偏光性の測定では、空間的な分解能
がない。また、上記の落射照明方式による顕微鏡下での
偏光性の測定では、空間分解能はあるものの、落射照明
方式であるため受光光軸方向についての分解能が十分で
はない。すなわち、フォーカス面上の注目している分子
から発生する蛍光またはラマン散乱光だけでなく、デフ
ォーカス領域にある注目していない分子から発生する蛍
光またはラマン散乱光も受光され検出されるため、この
デフォーカス領域にある分子から発生する蛍光またはラ
マン散乱光はノイズとなる。さらに、落射照明方式の場
合、図8に示すようにダイクロイックミラー112およ
び対物レンズ113を照明光が通過するため、それらに
より散乱光および自家蛍光が発生し、これらがバックグ
ラウンドノイズとなる。
【0009】さらに、D.Axelrod の論文や K.Suzuki の
論文に記載されている技術では、装置の偏光応答補正に
おいて非偏光の光を用いているが、この非偏光の光は本
来観察すべき被測定光とは異なっており補正精度が低
い。また、理想的な非偏光の光を作成するのは困難であ
る。
【0010】本発明は、上記問題点を解消する為になさ
れたものであり、試料のうち所定の領域のみについて、
照射光の照射に伴って発生した被測定光(蛍光、ラマン
散乱光)の偏光性を2次元的に測定して、試料中の分子
の状態を高精度に検出することができる偏光性イメージ
ング装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係る偏光性イメ
ージング装置は、(1) 直線偏光の照射光を出力する光源
部と、(2) 試料に接して配される透明部材と、(3) 照射
光を透明部材の側から透明部材と試料との境界面へ第1
の入射面に沿ってs偏光入射させて境界面で全反射さ
せ、試料をエバネセント照射する照射光学系と、(4) 境
界面に垂直な入射光軸を有し、エバネセント照射された
試料から発生した被測定光を入力し、第1の入射面と平
行な第1の偏光方位およびこれに直交する第2の偏光方
位それぞれの直線偏光成分に分岐して、互いに異なる第
1および第2の結像面それぞれに結像する受光光学系
と、(5) 第1の結像面に結像された被測定光の第1の偏
光方位の直線偏光成分を撮像する第1の撮像手段と、
(6) 第2の結像面に結像された被測定光の第2の偏光方
位の直線偏光成分を撮像する第2の撮像手段と、(7) 第
1および第2の撮像手段それぞれにより撮像された被測
定光の第1および第2の偏光方位それぞれの直線偏光成
分の画像に基づいて、被測定光の偏光性の2次元画像を
求める画像演算手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】この偏光性イメージング装置によれば、光
源部から出射された直線偏光の照射光(CW光およびパ
ルス光の何れでもよい)は、照射光学系により、試料に
接して配される透明部材の側から透明部材と試料との境
界面へ第1の入射面に沿ってs偏光入射され、その境界
面で全反射され、これに伴い、試料はエバネセント照射
される。エバネセント照射された試料から発生した被測
定光(蛍光、ラマン散乱光)は、その境界面に垂直な入
射光軸を有する受光光学系に入力し、第1の入射面と平
行な第1の偏光方位およびこれに直交する第2の偏光方
位それぞれの直線偏光成分に分岐されて、互いに異なる
第1および第2の結像面それぞれに結像される。その結
像された被測定光の第1および第2の偏光方位それぞれ
の直線偏光成分は、第1および第2の撮像手段それぞれ
により撮像され、被測定光の偏光性の2次元画像は、画
像演算手段により、その画像に基づいて求められる。
【0013】また、さらに、(1) 光源部は照射光として
パルス光を出射するとともに、(2)パルス光の出射タイ
ミングに同期して第1および第2の撮像手段それぞれの
撮像タイミングを制御する制御手段を更に備える、こと
を特徴とする。この場合には、第1および第2の撮像手
段それぞれの撮像タイミングは、制御手段により、光源
部から照射光として出射されるパルス光の出射タイミン
グに同期して制御される。
【0014】また、さらに、(1) 照射光が第1の入射面
に沿って入射したときに発生する被測定光の第1および
第2の偏光方位それぞれの直線偏光成分に基づいて、偏
光応答補正因子を算出する偏光応答補正因子獲得手段を
更に備え、(2) 画像演算手段は被測定光の偏光性の2次
元画像を偏光応答補正因子に基づいて偏光応答補正して
求める、ことを特徴とする。この場合には、速やかに偏
光解消する等方的な試料について、偏光応答補正因子獲
得手段により、照射光が第1の入射面に沿って入射した
ときに発生する被測定光の第1および第2の偏光方位そ
れぞれの直線偏光成分に基づいて偏光応答補正因子が算
出され、画像演算手段により、被測定光の偏光性の2次
元画像は、偏光応答補正因子に基づいて偏光応答補正さ
れて求められる。
【0015】また、さらに、照射光学系は、第1の入射
面に直交する第2の入射面を更に有し、第1および第2
の入射面のうちの選択された一方の面に沿って照射光を
s偏光入射させる、ことを特徴とする。この場合には、
第1および第2の入射面それぞれに沿ってs偏光入射し
た照射光によりエバネセント照射された試料から発生し
た被測定光の偏光性の2次元画像が得られる。
【0016】また、さらに、(1) 照射光が第1の入射面
に沿って入射したときに発生する被測定光の第1および
第2の偏光方位それぞれの直線偏光成分、ならびに、照
射光が第2の入射面に沿って入射したときに発生する被
測定光の第1および第2の偏光方位それぞれの直線偏光
成分に基づいて、偏光応答補正因子を算出する偏光応答
補正因子獲得手段を更に備え、(2) 画像演算手段は、被
測定光の偏光性の2次元画像を偏光応答補正因子に基づ
いて偏光応答補正して求める、ことを特徴とする。この
場合には、等方的な試料について、偏光応答補正因子獲
得手段により、照射光が第1の入射面に沿って入射した
ときに発生する被測定光の第1および第2の偏光方位そ
れぞれの直線偏光成分、ならびに、照射光が第2の入射
面に沿って入射したときに発生する被測定光の第1およ
び第2の偏光方位それぞれの直線偏光成分に基づいて、
偏光応答補正因子が算出され、画像演算手段により、被
測定光の偏光性の2次元画像は、偏光応答補正因子に基
づいて偏光応答補正されて求められる。
【0017】また、さらに、(1) 試料を境界面に平行な
面上で回転させる回転手段を更に備え、(2) 偏光応答補
正因子獲得手段は、照射光が第1の入射面に沿って入射
したときに発生する被測定光の第1および第2の偏光方
位それぞれの直線偏光成分、ならびに、回転手段により
試料が90度回転された後に照射光が第2の入射面に沿
って入射したときに発生する被測定光の第1および第2
の偏光方位それぞれの直線偏光成分に基づいて、偏光応
答補正因子を算出する、ことを特徴とする。この場合に
は、非等方的な試料についても、偏光応答補正因子獲得
手段により、照射光が第1の入射面に沿って入射したと
きに発生する被測定光の第1および第2の偏光方位それ
ぞれの直線偏光成分、ならびに、回転手段により境界面
に平行な面上で試料が90度回転された後に照射光が第
2の入射面に沿って入射したときに発生する被測定光の
第1および第2の偏光方位それぞれの直線偏光成分に基
づいて、偏光応答補正因子が算出され、画像演算手段に
より、被測定光の偏光性の2次元画像は、偏光応答補正
因子に基づいて偏光応答補正されて求められる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
の実施の形態を詳細に説明する。尚、図面の説明におい
て同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省
略する。また、本発明は、蛍光の偏光性イメージングだ
けでなく、ラマン散乱光の偏光性イメージングにも適用
可能であるが、以下では前者の場合について説明する。
【0019】先ず、本実施形態に係る偏光性イメージン
グ装置の構成の説明に先立って、本発明に係る偏光性イ
メージング装置が採用する蛍光偏光解消法について説明
する。蛍光偏光解消法は、蛍光分子または蛍光分子によ
り標識された分子(例えば、蛋白など)の運動を知る上
で有効な手段である。すなわち、励起光により励起され
た蛍光分子が蛍光を発生するまでの励起寿命中に回転ブ
ラウン運動により不規則な回転を行うと、その励起され
た蛍光分子の分子軸が乱れ、発生する蛍光の偏光性が解
消される。
【0020】この蛍光偏光解消の度合いは、蛍光分子ま
たは蛍光分子により標識された分子のブラウン運動の速
さによって決まるので、逆に蛍光偏光解消の度合いから
蛍光分子の励起寿命つまり蛍光寿命を時間基準として蛍
光分子または蛍光分子により標識された分子の運動を知
ることができる。例えば、ターゲットに結合している蛍
光プローブとフリーな蛍光プローブとを考えたとき、フ
リーな蛍光プローブは、ターゲットに結合した蛍光プロ
ーブより速いブラウン運動を行うので、偏光解消が速
い。したがって、蛍光偏光解消法により、ターゲットに
結合した蛍光プローブとフリーな蛍光プローブとの識別
が可能となる。すなわち、蛍光プローブが結合している
ターゲットのみを検出することが可能となる。
【0021】この蛍光偏光解消法の考え方に基づいて、
定常光(CW光)励起により発生した蛍光の偏光解消を
測定することで蛍光プローブがターゲットに結合してい
るか否かを識別することも可能であるが、フリーな蛍光
プローブの数がターゲットに結合した蛍光プローブの数
に比べて圧倒的に多い場合(これは極めて一般的な場合
である)には検出感度が悪い。
【0022】そこで、以下に述べる本実施形態に係る偏
光性イメージング装置では、図1に示すように、フリー
な蛍光プローブがターゲットに結合した蛍光プローブよ
り速く偏光解消を起こすことを利用して、パルス励起光
を照射して発生した蛍光のうち偏光解消の速い成分を時
間ゲート法により取り除いて光検出器により撮像するこ
とにより、フリーな蛍光プローブの数がターゲットに結
合した蛍光プローブの数に比べて圧倒的に多い場合であ
っても、ターゲットに結合した蛍光プローブの存在する
試料中の位置を検出するものである。なお、本発明は、
定常光(CW光)照射の場合にも適用可能である。
【0023】次に、本実施形態に係る偏光性イメージン
グ装置の構成について、図2および図3を参照しながら
説明する。図2は、本実施形態に係る偏光性イメージン
グ装置の全体を側方(励起側カバーガラス42と試料4
0との境界面に平行な方向)から見た構成図であり、図
3は、本実施形態に係る偏光性イメージング装置のうち
の光源部および照射光学系を上方(励起側カバーガラス
42と試料40との境界面に垂直な方向)から見た構成
図である。
【0024】試料40中の蛍光プローブを励起する直線
偏光のパルス励起光を出力する光源部は、パルスレーザ
光源10、偏光子11および1/2波長板12を備えて
構成される。すなわち、パルスレーザ光源10は、試料
40中の蛍光プローブを励起し得る波長のパルス励起光
を一定繰り返し周波数で出射する。偏光子11は、その
パルス励起光を直線偏光とし、1/2波長板12は、そ
の直線偏光とされたパルス励起光をs偏光とする。な
お、パルス励起光について言うs偏光とは、後述する励
起側カバーガラス42と試料40との境界面でパルス励
起光が全反射する際に、そのパルス励起光の偏光方位が
入射面に垂直であることを意味する。
【0025】1/2波長板12から出射されたパルス励
起光をプリズム30に入射させる照射光学系は、光路切
替ミラー20、ミラー21,22およびステアリングミ
ラー23,24を備えて構成される。すなわち、1/2
波長板12から出射されたパルス励起光は、先ず、光路
切替ミラー20に入射する。この光路切替ミラー20
は、着脱自在のものであって、装着されているか否かに
依ってパルス励起光のその後の光路を切り換えるもので
ある。すなわち、パルス励起光は、光路切替ミラー20
が装着されているときには、光路切替ミラー20により
反射されてミラー21に入射するが、光路切替ミラー2
0が装着されていないときには、ミラー22に入射す
る。
【0026】ミラー21に入射したパルス励起光は、ミ
ラー21により反射され、ステアリングミラー23に入
射する。このステアリングミラー23は、パルス励起光
をプリズム30に入射させるべく、そのパルス励起光の
進行方向を変えるものである。ステアリングミラー24
も同様に、ミラー22により反射されたパルス励起光を
プリズム30に入射させるべく、そのパルス励起光の進
行方向を変えるものである。
【0027】ここで、光路切替ミラー20、ミラー2
1,22およびステアリングミラー23,24からなる
照射光学系は、ステアリングミラー23で反射され試料
40の境界面に入射するパルス励起光の入射面と、ステ
アリングミラー24で反射され試料40の境界面に入射
するパルス励起光の入射面とが互いに直交するよう配さ
れる。
【0028】ステアリングミラー23および24の何れ
かにより反射されたパルス励起光が入射するプリズム3
0は、その底面が励起側カバーガラス42と実質的に接
しており、また、この励起側カバーガラス42は、試料
40と接している。ステアリングミラー23および24
の何れかにより反射されたパルス励起光は、プリズム3
0の側面に入射し、さらに励起側カバーガラス42に入
射し、この励起側カバーガラス42と試料40との境界
面で全反射する。このようにパルス励起光が試料40の
境界面で全反射すると、境界面近傍の試料40の領域に
エバネセント波が生じる。このエバネセント波の強度分
布は、境界面からの距離に依存して指数関数的に減衰
し、その深さ(境界面からの距離)は、パルス励起光の
波長における励起側カバーガラス42および試料40そ
れぞれの屈折率ならびに入射角度に応じた値である。こ
のエバネセント波が生じ得る試料40中の領域がエバネ
セント励起され、その領域にある蛍光プローブから蛍光
が生じる。
【0029】また、プリズム30、励起側カバーガラス
42および試料40は、回転ステージ31に配置されて
いる。回転ステージ31は、中央部に開口が設けられ、
後述する対物レンズ50の光軸に直交する平面上に、プ
リズム30、励起側カバーガラス42および試料40等
を配置するものであり、また、対物レンズ50の光軸を
中心にして回転自在なものである。なお、プリズム30
は、回転ステージ31により光軸を中心として90度回
転しても、回転前と同一形状となることが好ましい。す
なわち、プリズム30は、例えば底面形状が正方形であ
る立方体、直方体あるいは正四角錐であって、その底面
の中心点が回転ステージ31の回転中心線上にあること
が好ましい。
【0030】エバネセント励起された試料40から発生
する蛍光は、対物レンズ50、励起光カットフィルタ5
1、バンドパスフィルタ52、偏光ビームスプリッタ5
3および結像レンズ54,55を備えて構成される受光
光学系により、撮像手段であるゲート機能付きイメージ
インテンシファイア60,61それぞれの受光面に結像
される。すなわち、対物レンズ50は、試料40につい
てプリズム30と反対側に配されており、その視野内で
発生した蛍光を入力する。励起光カットフィルタ51
は、対物レンズ50から出力された蛍光を透過させる一
方、パルス励起光の散乱成分を遮断し、バンドパスフィ
ルタ52は、励起光カットフィルタ51を透過した蛍光
の波長を含む所定帯域の光のみを透過させ、偏光ビーム
スプリッタ53は、バンドパスフィルタ52を透過した
蛍光をs偏光成分とp偏光成分とに分岐する。結像レン
ズ54は、蛍光のp偏光成分を入力して、ゲート機能付
きイメージインテンシファイア60の撮像面に結像す
る。結像レンズ55は、蛍光のs偏光成分を入力して、
ゲート機能付きイメージインテンシファイア61の撮像
面に結像する。なお、蛍光について言うp偏光およびs
偏光それぞれは、偏光ビームスプリッタ53の偏光膜へ
蛍光が入射する際における入射面に平行および垂直それ
ぞれを意味する。
【0031】ゲート機能付きイメージインテンシファイ
ア60は、その撮像面に結像された蛍光のp偏光成分の
画像を、また、ゲート機能付きイメージインテンシファ
イア61は、その撮像面に結像された蛍光のs偏光成分
の画像を、それぞれ、ゲートコントローラ62から出力
されるゲート信号が指示するタイミングで撮像する。ゲ
ートコントローラ62は、パルスレーザ光源10から出
力されるパルス励起光出射タイミングを示すタイミング
信号を入力し、そのタイミング信号に同期して、パルス
励起光出射時刻を基準として或時刻tから或時刻t+Δ
tまでの一定時間Δtを示すゲート信号を出力する。し
たがって、ゲート機能付きイメージインテンシファイア
60および61それぞれは、ゲートコントローラ62か
ら出力されるゲート信号の指示に基づいて、時刻tから
の一定時間Δtだけ、それぞれの撮像面に結像されてい
る蛍光を撮像する。
【0032】画像演算部63は、ゲート機能付きイメー
ジインテンシファイア60および61それぞれにより撮
像されたp偏光成分およびs偏光成分それぞれの蛍光画
像を入力する。そして、画像演算部63は、これらの蛍
光画像に基づいて、蛍光異方性比の2次元画像を求め、
更に偏光応答補正を行い、試料40における偏光性の2
次元画像を獲得する。蛍光異方性比および偏光応答補正
については後述する。
【0033】次に、本実施形態に係る偏光性イメージン
グ装置におけるプリズム30、回転ステージ31および
対物レンズ50等について、図4に示す断面図を参照し
て詳細に説明する。この図に示すように、試料40は、
スペーサ44を挟んで互いに平行に配された励起側カバ
ーガラス42と受光側カバーガラス43との間の空隙に
満たされた外液40A中にあって、励起側カバーガラス
42に接している。励起側カバーガラス42の上面は、
プリズム30の底面と対向しており、これらの面の間に
はオイル41が満たされている。このオイル41は、プ
リズム30の底面と励起側カバーガラス42の上面との
間に空気層が存在すると、プリズム30の底面でパルス
励起光が全反射するので、これを防止するために設けら
れたものである。また、受光側カバーガラス43の下方
に、対物レンズ50が配されている。
【0034】したがって、プリズム30およびオイル4
1を経て励起側カバーガラス42に入射したs偏光のパ
ルス励起光は、励起側カバーガラス42と試料40との
間の境界面に所定の入射角度で入射して、その境界面で
全反射する。パルス励起光の全反射の際に生じたエバネ
セント波により、境界面近傍の試料40はエバネセント
励起され、試料40から発生した蛍光は、受光側カバー
ガラス43を透過して、対物レンズ50に入射する。
【0035】次に、励起側カバーガラス42と試料40
との境界面におけるパルス励起光の全反射に伴い発生す
るエバネセント波の偏光状態について、図5を参照して
説明する。s偏光の直線偏光のパルス励起光が励起側カ
バーガラス42側から境界面に入射して全反射する際に
は、試料40中に発生するエバネセント波はs偏光成分
のみである(図5(a))。しかし、p偏光の直線偏光
のパルス励起光が励起側カバーガラス42側から境界面
に入射して全反射する際には、試料40中に発生するエ
バネセント波は、その電場ベクトルが入射面に平行な面
上にある楕円偏光となる(図5(b))。したがって、
偏光性イメージングに際しては、励起光が受光光軸に垂
直な面内にのみ偏光成分をもつ直線偏光であることが望
ましいから、図5(a)に示すようにパルス励起光をs
偏光入射させる必要がある。
【0036】なお、図2および図3で、パルス励起光が
ステアリングミラー23により反射されて境界面にs偏
光入射すると、これに伴い試料40中に発生するエバネ
セント波は、偏光ビームスプリッタ53に関してs偏光
となる。このようにして試料40を励起することを、s
偏光励起という。一方、パルス励起光がステアリングミ
ラー24により反射されて境界面にs偏光入射すると、
これに伴い試料40中に発生するエバネセント波は、偏
光ビームスプリッタ53に関してp偏光となる。このよ
うにして試料40を励起することを、p偏光励起とい
う。
【0037】次に、本実施形態に係る偏光性イメージン
グ装置の動作を説明するとともに、蛍光異方性比の2次
元画像を取得する方法について説明する。
【0038】光路切替ミラー20を装着して、直線偏光
のパルス励起光を、光路切替ミラー20、ミラー21お
よびステアリングミラー23により順次反射させてプリ
ズム30に入射させ、試料40の境界面で全反射させ
て、試料40をs偏光励起する。これにより試料40の
境界面近傍で発生した蛍光のp偏光成分およびs偏光成
分の画像を、ゲート機能付きイメージインテンシファイ
ア60および61それぞれにより、ゲートコントローラ
62から出力されるゲート信号の指示のもとに時刻tか
ら一定時間Δtに亘り撮像する。このようにして得られ
たp偏光蛍光画像およびs偏光蛍光画像それぞれを、I
spおよびIssそれぞれで表す。
【0039】また、光路切替ミラー20を取り外して、
直線偏光のパルス励起光を、ミラー22およびステアリ
ングミラー24により順次反射させてプリズム30に入
射させ、試料40の境界面で全反射させて、試料40を
p偏光励起する。これにより試料40の境界面近傍で発
生した蛍光のp偏光成分およびs偏光成分の画像を、ゲ
ート機能付きイメージインテンシファイア60および6
1それぞれにより、ゲートコントローラ62から出力さ
れるゲート信号の指示のもとに時刻tから一定時間Δt
に亘り撮像する。このようにして得られたp偏光蛍光画
像およびs偏光蛍光画像それぞれを、IppおよびIps
れぞれで表す。
【0040】画像演算部63は、このようにして撮像さ
れた蛍光画像Isp,Iss,IppおよびIpsを入力し、こ
れらに基づいて、s偏光励起に対する蛍光異方性比rs
を、 rs=(Iss−Isp)/(Iss+2Isp) …(1a) なる式で、また、p偏光励起に対する蛍光異方性比rp
を、 rp=(Ipp−Ips)/(Ipp+2Ips) …(1b) なる式で、それぞれ求める。この蛍光異方性比rsおよ
びrpそれぞれは、試料40上の位置変数および時間変
数tの関数であり、偏光性の2次元画像を表すものであ
る。
【0041】しかし、実際には、受光光学系(対物レン
ズ50からゲート機能付きイメージインテンシファイア
60,61それぞれの撮像面に到るまでの光学系)およ
びゲート機能付きイメージインテンシファイア60,6
1は、蛍光の偏光方位に依って異なる応答を示す。すな
わち、試料40で発生する真の蛍光画像をIsp,Iss
ppおよびIpsで表し、また、受光光学系を経てゲート
機能付きイメージインテンシファイア60,61それぞ
れにより実際に撮像される蛍光画像をIsp',Iss',I
pp'およびIps'で表すと、 Isp'=Tp・Isp …(2a) Iss'=Ts・Iss …(2b) Ipp'=Tp・Ipp …(2c) Ips'=Ts・Ips …(2d) なる関係が成立する。
【0042】ここで、Tp は、対物レンズ50からゲー
ト機能付きイメージインテンシファイア60の撮像面に
到るまでの受光光学系およびゲート機能付きイメージイ
ンテンシファイア60のp偏光の蛍光に対する応答を表
し、また、Ts は、対物レンズ50からゲート機能付き
イメージインテンシファイア61の撮像面に到るまでの
受光光学系およびゲート機能付きイメージインテンシフ
ァイア61のs偏光の蛍光に対する応答を表す。
【0043】したがって、蛍光異方性比rsおよびrp
れぞれは、ゲート機能付きイメージインテンシファイア
60,61それぞれにより実際に撮像された蛍光画像I
sp',Iss',Ipp'およびIps'で表すと、 rs=(G・Iss'−Isp')/(G・Iss'+2Isp') …(3a) rp=(Ipp'−G・Ips')/(Ipp'+2G・Ips') …(3b) で表される。ここで、Gは、 G=Tp/Ts …(4) で定義される偏光応答補正因子である。すなわち、画像
演算部63は、ゲート機能付きイメージインテンシファ
イア60および61それぞれにより実際に撮像された蛍
光画像に基づいて、 (4)式で定義される偏光応答補正因
子Gを用い、(3a)式および(3b)式により蛍光異方性比r
sおよびrpの偏光応答補正を行うことで、真の偏光性の
2次元画像を求めることができる。
【0044】次に、本実施形態に係る偏光性イメージン
グ装置における偏光応答補正因子Gの算出方法を説明す
る。最も好適には、この偏光応答補正因子Gの算出に際
して、本来の偏光性イメージングを測定しようとする試
料に標識される蛍光プローブと同一の蛍光プローブの溶
液を標準試料として用意し、これを試料40として用い
る。
【0045】このような標準試料を用いれば、本来の蛍
光標識された試料から発生する蛍光と同一スペクトルの
蛍光が発生することに加え、さらに、蛍光プローブがフ
リーな状態で存在するために蛍光の偏光性が速く解消す
るので、図6に示すようにゲート機能付きイメージイン
テンシファイア60および61それぞれにおいてゲート
を開く時間を十分に長くすることができ、したがって、
精度のよい偏光応答補正因子Gを求めることができるの
で好適である。
【0046】また、光路切替ミラー20を取り外して、
パルス励起光をミラー22およびステアリングミラー2
4を経てプリズム30に入射させ、試料40の境界面で
パルス励起光を全反射させて、試料40をp偏光励起す
る。ゲートコントローラ62は、試料40から発生した
蛍光の偏光性が十分に解消された時刻tから始まるゲー
ト時間Δtを示すゲート信号を出力する(図6)。
【0047】このとき、試料40は等方的であるので、
時刻tから時間Δtの間に試料40から発生する真の蛍
光のp偏光成分Ippおよびs偏光成分Ipsそれぞれは互
いに等しく、 Ipp=Ips …(5) なる関係が成立する。したがって、偏光応答補正因子G
は、 G=Ipp'/Ips' …(6) なる式で得られ、また、真の蛍光異方性比rsおよびrp
すなわち真の偏光性の2次元画像は、この (6)式で表さ
れる偏光応答補正因子Gを(3a)式または(3b)式に代入し
て得られる。このようにして、偏光性の2次元画像を高
精度に検出することができ、蛍光プローブが結合したタ
ーゲットを高精度に検出することができる。
【0048】以上のように、偏光応答補正因子Gの算出
に際して標準試料を用いる場合、照射光学系は、パルス
励起光をプリズム30に対して1方向のみから入射させ
るだけでよく、光路切替ミラー20、ミラー21および
ステアリングミラー23は不要である。
【0049】しかし、このような蛍光の偏光性が速く解
消し且つ等方的な理想的な標準試料ではなく、一般の試
料(測定対象である試料)を用いてより高精度に偏光応
答補正因子Gを求める場合には、上記の求め方は採用で
きない。このような場合には、以下のようにして偏光応
答補正因子Gを求める。以下では、偏光応答補正因子G
の求め方を、試料40中の蛍光プローブの分子軸が配向
しておらず全くランダムに分布している場合と、試料4
0中の蛍光プローブの分子軸が配向して分布している場
合とに分けて説明する。
【0050】試料40中の蛍光プローブの分子軸が配向
しておらず全くランダムに分布している場合における偏
光応答補正因子Gは以下のようにして求める。この場合
には、試料40が等方的であるので、p偏光励起により
発生する蛍光のp偏光成分Ippとs偏光成分Ipsとの比
は、s偏光励起により発生する蛍光のs偏光成分Iss
p偏光成分Ispとの比と相等しく、 Ips/Ipp=Isp/Iss …(7) となる。そして、この (7)式および(2a)式乃至(2d)式か
ら、偏光応答補正因子Gを表す式として、 G=[(Ipp'・Isp')/(Ips'・Iss')]1/2 …(8) が得られる。
【0051】また、試料40中の蛍光プローブの分子軸
が配向して分布している場合における偏光応答補正因子
Gは以下のようにして求める。なお、細胞膜等、実際の
測定対象はこのような系に近い場合が多い。この場合に
は、p偏光励起時における試料40の方位とs偏光励起
時における試料40の方位とを、回転ステージ31を回
転させることにより、90度異なるものとする。このよ
うにすれば、試料40が或方位にあるときにp偏光励起
により試料40中に発生するエバネセント波と、回転ス
テージ31により試料40を90度回転した後にs偏光
励起により試料40中に発生するエバネセント波とは、
試料40中では同一の偏光方位となる。したがって、試
料40が或方位にあるときにp偏光励起により発生する
蛍光のp偏光成分Ippとs偏光成分Ipsとの比は、試料
40を90度回転した後にs偏光励起により発生する蛍
光のs偏光成分Issとp偏光成分Ispとの比と相等しく
なり、結局、 (7)式と同様の関係式が成り立ち、偏光応
答補正因子Gは (8)式で表される。
【0052】本発明は、上記実施形態に限定されるもの
ではなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施形
態では、試料40に照射する励起光はパルス励起光とし
たが、これに限られるものではなく、励起光は定常光
(CW光)であってもよい。この場合には、その定常光
である励起光をs偏光入射させて境界面で全反射させ
て、蛍光をも定常的に発生させる。そして、その蛍光の
偏光方位に応じて2分岐し、p偏光成分およびs偏光成
分それぞれの画像を撮像する。このようにして得られた
p偏光成分とs偏光成分との比は、偏光解消の度合いに
応じたものとなり、したがって、蛍光プローブが結合さ
れたターゲットを検出することができる。なお、この場
合には、ゲートコントローラは不要であり、撮像手段は
ゲート機能付きである必要はない。
【0053】また、上記実施形態では、偏光性を示す指
標として蛍光異方性比rを用いたが、これに限られるも
のではない。例えば、 p=(Ipp'−G・Ips')/(Ipp'+G・Ips') …(9) で定義される偏光度p、あるいは、 q=(Ipp'/Ips')−G …(10) で定義される偏光度合いqを用いて、これを偏光性すな
わち偏光解消の度合いを示す指標としてもよい。
【0054】また、上記実施形態は、試料40に励起光
をエバネセント照射して発生する蛍光の偏光性の2次元
画像を得るものであったが、蛍光検出に限られるもので
はなく、ラマン散乱光の偏光性の2次元画像の獲得にも
適用可能である。この場合にも同様の構成であり同様の
作用である。ただし、その性質上、上述した標準試料を
用いた偏光応答補正因子Gの獲得方法は採用できない。
【0055】
【発明の効果】以上、詳細に説明したとおり本発明によ
れば、光源部から出射された直線偏光の照射光(CW光
およびパルス光の何れでもよい)は、照射光学系によ
り、試料に接して配される透明部材の側から透明部材と
試料との境界面へ第1の入射面に沿ってs偏光入射さ
れ、その境界面で全反射され、これに伴い、試料はエバ
ネセント照射される。エバネセント照射された試料から
発生した被測定光(蛍光、ラマン散乱光)は、その境界
面に垂直な入射光軸を有する受光光学系に入力し、第1
の入射面と平行な第1の偏光方位およびこれに直交する
第2の偏光方位それぞれの直線偏光成分に分岐されて、
互いに異なる第1および第2の結像面それぞれに結像さ
れる。その結像された被測定光の第1および第2の偏光
方位それぞれの直線偏光成分は、第1および第2の撮像
手段それぞれにより撮像され、被測定光の偏光性の2次
元画像は、画像演算手段により、その画像に基づいて求
められる。
【0056】このような構成としたので、照射光が照射
された試料の特定領域のみから発生する被測定光の偏光
性の2次元画像を検出することができるので、空間分解
能が優れ、また、その特定領域以外の領域から発生する
被測定光が無い或いは微弱であるので、試料中の目的と
するターゲットの位置をS/B比よく特定することがで
きる。また、照射光は境界面で全反射するので直接には
受光光学系に入力せず、受光光学系で自家蛍光が発生し
ないので、この点でもS/B比が優れる。したがって、
試料中のターゲットの挙動等を高分解能かつ高精度に解
析することができるので、例えば細胞における諸機能の
解明に貢献し得るものである。
【0057】また、特に、照射光としてパルス光を出射
するとともに、第1および第2の撮像手段それぞれの撮
像タイミングをパルス光出射タイミングに同期して制御
する場合には、被測定光の偏光性の検出感度が高い。す
なわち、蛍光の偏光性イメージングの場合には、散乱光
および自家蛍光を除去できるので、偏光画像のコントラ
ストが向上する。一方、ラマン散乱光の偏光性イメージ
ングの場合には、ノイズとなる蛍光成分を除去できるの
で、偏光画像のコントラストが向上するだけでなく、ま
た、短寿命の過渡的状態のラマン偏光性イメージングを
得ることができる。
【0058】また、被測定試料とは別に速やかに偏光解
消する等方的な標準試料について、照射光が第1の入射
面に沿って入射したときに発生する被測定光の第1およ
び第2の偏光方位それぞれの直線偏光成分に基づいて偏
光応答補正因子を算出し、被測定試料からの被測定光の
偏光性の2次元画像を偏光応答補正因子に基づいて偏光
応答補正して求める場合には、更に精度が良い偏光性イ
メージングが可能となる。
【0059】また、照射光学系が第1の入射面に直交す
る第2の入射面を更に有し、第1および第2の入射面の
うちの選択された一方の面に沿って照射光をs偏光入射
させる場合には、第1および第2の入射面それぞれに沿
ってs偏光入射した照射光によりエバネセント照射され
た試料から発生した被測定光の偏光性の2次元画像が得
られるので、非等方的な試料の測定に好適である。
【0060】また、被測定試料に対して照射光が第1の
入射面に沿って入射したときに発生する被測定光の第1
および第2の偏光方位それぞれの直線偏光成分ならびに
照射光が第2の入射面に沿って入射したときに発生する
被測定光の第1および第2の偏光方位それぞれの直線偏
光成分に基づいて偏光応答補正因子を算出し、被測定光
の偏光性の2次元画像を偏光応答補正因子に基づいて偏
光応答補正して求める場合には、等方的な試料について
更に精度の良い偏光性イメージングが可能となる。
【0061】また、被測定試料に対して照射光が第1の
入射面に沿って入射したときに発生する被測定光の第1
および第2の偏光方位それぞれの直線偏光成分ならびに
回転手段により境界面に平行な面上で試料が90度回転
された後に照射光が第2の入射面に沿って入射したとき
に発生する被測定光の第1および第2の偏光方位それぞ
れの直線偏光成分に基づいて偏光応答補正因子を算出
し、被測定光の偏光性の2次元画像を偏光応答補正因子
に基づいて偏光応答補正して求める場合には、非等方的
な試料についても更に精度の良い偏光性イメージングが
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フリーな蛍光プローブおよびターゲットに結合
した蛍光プローブそれぞれの偏光解消の説明図である。
【図2】本実施形態に係る偏光性イメージング装置の全
体を側方(励起側カバーガラス42と試料40との境界
面に平行な方向)から見た構成図である。
【図3】本実施形態に係る偏光性イメージング装置のう
ちの光源部および照射光学系を上方(励起側カバーガラ
ス42と試料40との境界面に垂直な方向)から見た構
成図である。
【図4】本実施形態に係る偏光性イメージング装置にお
けるプリズム30、回転ステージ31および対物レンズ
50等の断面図である。
【図5】励起側カバーガラス42と試料40との境界面
におけるパルス励起光の全反射に伴い発生するエバネセ
ント波の偏光状態の説明図である。
【図6】偏光応答補正因子Gの算出方法の説明図であ
る。
【図7】分光光度計タイプの蛍光の偏光性測定装置の構
成図である。
【図8】落射照明方式による顕微鏡下での蛍光またはラ
マン散乱光の偏光性測定装置の構成図である。
【符号の説明】
10…パルスレーザ光源、11…偏光子、12…1/2
波長板、20…光路切替ミラー、21,22…ミラー、
23,24…ステアリングミラー、30…プリズム、3
1…回転ステージ、40…試料、41…オイル、42…
励起側カバーガラス、43…受光側カバーガラス、44
…スペーサ、50…対物レンズ、51…励起光カットフ
ィルタ、52…バンドパスフィルタ、53…偏光ビーム
スプリッタ、54,55…結像レンズ、60,61…ゲ
ート機能付イメージインテンシファイア、62…ゲート
コントローラ、63…画像演算部。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直線偏光の照射光を出力する光源部と、 試料に接して配される透明部材と、 前記照射光を前記透明部材の側から前記透明部材と前記
    試料との境界面へ第1の入射面に沿ってs偏光入射させ
    て前記境界面で全反射させ、前記試料をエバネセント照
    射する照射光学系と、 前記境界面に垂直な入射光軸を有し、エバネセント照射
    された前記試料から発生した被測定光を入力し、前記第
    1の入射面と平行な第1の偏光方位およびこれに直交す
    る第2の偏光方位それぞれの直線偏光成分に分岐して、
    互いに異なる第1および第2の結像面それぞれに結像す
    る受光光学系と、 前記第1の結像面に結像された前記被測定光の前記第1
    の偏光方位の直線偏光成分を撮像する第1の撮像手段
    と、 前記第2の結像面に結像された前記被測定光の前記第2
    の偏光方位の直線偏光成分を撮像する第2の撮像手段
    と、 前記第1および前記第2の撮像手段それぞれにより撮像
    された前記被測定光の前記第1および前記第2の偏光方
    位それぞれの直線偏光成分の画像に基づいて、前記被測
    定光の偏光性の2次元画像を求める画像演算手段と、 を備えることを特徴とする偏光性イメージング装置。
  2. 【請求項2】 前記光源部は、前記照射光としてパルス
    光を出射するとともに、 前記パルス光の出射タイミングに同期して前記第1およ
    び前記第2の撮像手段それぞれの撮像タイミングを制御
    する制御手段を更に備える、 ことを特徴とする請求項1記載の偏光性イメージング装
    置。
  3. 【請求項3】 前記照射光が前記第1の入射面に沿って
    入射したときに発生する被測定光の前記第1および前記
    第2の偏光方位それぞれの直線偏光成分に基づいて、偏
    光応答補正因子を算出する偏光応答補正因子獲得手段を
    更に備え、 前記画像演算手段は、前記被測定光の偏光性の2次元画
    像を前記偏光応答補正因子に基づいて偏光応答補正して
    求める、 ことを特徴とする請求項1記載の偏光性イメージング装
    置。
  4. 【請求項4】 前記照射光学系は、前記第1の入射面に
    直交する第2の入射面を更に有し、前記第1および前記
    第2の入射面のうちの選択された一方の面に沿って前記
    照射光をs偏光入射させる、ことを特徴とする請求項1
    記載の偏光性イメージング装置。
  5. 【請求項5】 前記照射光が前記第1の入射面に沿って
    入射したときに発生する被測定光の前記第1および前記
    第2の偏光方位それぞれの直線偏光成分、ならびに、前
    記照射光が前記第2の入射面に沿って入射したときに発
    生する被測定光の前記第1および前記第2の偏光方位そ
    れぞれの直線偏光成分に基づいて、偏光応答補正因子を
    算出する偏光応答補正因子獲得手段を更に備え、 前記画像演算手段は、前記被測定光の偏光性の2次元画
    像を前記偏光応答補正因子に基づいて偏光応答補正して
    求める、 ことを特徴とする請求項4記載の偏光性イメージング装
    置。
  6. 【請求項6】 前記試料を前記境界面に平行な面上で回
    転させる回転手段を更に備え、 前記偏光応答補正因子獲得手段は、前記照射光が前記第
    1の入射面に沿って入射したときに発生する被測定光の
    前記第1および前記第2の偏光方位それぞれの直線偏光
    成分、ならびに、前記回転手段により前記試料が90度
    回転された後に前記照射光が前記第2の入射面に沿って
    入射したときに発生する被測定光の前記第1および前記
    第2の偏光方位それぞれの直線偏光成分に基づいて、偏
    光応答補正因子を算出する、 ことを特徴とする請求項5記載の偏光性イメージング装
    置。
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