JP2012107355A - 手袋 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、ゴムや合成樹脂を基材とする手袋であって、使用する際に手袋の手首部分から手袋の装着口の部分が垂れ下がったり折れ曲がったりすることがなく、作業性の優れた手袋を提供する。
【解決手段】基材がゴム又は合成樹脂よりなる手袋であって、手首部分から装着口方向に、手袋の基材より引張弾性率の高い合成樹脂シート又は合成樹脂ロッドが積層されていることを特徴とする手袋。
【選択図】図1
【解決手段】基材がゴム又は合成樹脂よりなる手袋であって、手首部分から装着口方向に、手袋の基材より引張弾性率の高い合成樹脂シート又は合成樹脂ロッドが積層されていることを特徴とする手袋。
【選択図】図1
Description
本発明は、使用する際に手袋の手首部分から装着口部分が垂れ下がったり折れ曲がったりすることがなく、作業性の優れた手袋に関する。
従来から、家庭用や医療用手袋は広く使用されており、これら手袋は手型を防水性のゴム又は合成樹脂原料に浸漬することによって製造されたり(例えば、特許文献1参照。)、2枚のゴムや合成樹脂フィルムを重ねて手袋の輪郭線に沿って熱融着することにより製造されている(例えば、特許文献2参照。)。
上記手袋は厚くなるとごわごわして掴みにくくなるし、掴んだ対象物が手にフィットしにくくなり、作業性が低下するので、一般的に手袋は薄いほうが好ましい。しかし、手袋はゴムや合成樹脂フィルムから製造されているので、薄くなると引張弾性率が小さく、手袋の手首部分から装着口の間の部分が垂れ下がったり折れ曲がったりして使用しにくく、作業性が低下するという欠点があった。
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、ゴムや合成樹脂を基材とする手袋であって、使用する際に手袋の手首部分から装着口部分が垂れ下がったり折れ曲がったりすることがなく、作業性の良い手袋を提供することにある。
即ち、本発明は、
[1]基材がゴム又は合成樹脂よりなる手袋であって、手首部分から装着口方向に、手袋の基材より引張弾性率の高い合成樹脂シート又は合成樹脂ロッドが積層されていることを特徴とする手袋、
[2]基材の引張弾性率が200MPa以下であり、合成樹脂シート又は合成樹脂ロッドの引張弾性率が700MPa以上であることを特徴とする前記[1]記載の手袋、及び、
[3]合成樹脂シート又は合成樹脂ロッドが、延伸ポリオレフィン系樹脂シート又はロッドよりなり、長さ方向と略直角方向に180度又は90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過した時の折曲げ戻り角度θが共に20度以下の形状保持性を有する形状保持材料であることを特徴とする前記[1]又は[2]記載の手袋
に関する。
[1]基材がゴム又は合成樹脂よりなる手袋であって、手首部分から装着口方向に、手袋の基材より引張弾性率の高い合成樹脂シート又は合成樹脂ロッドが積層されていることを特徴とする手袋、
[2]基材の引張弾性率が200MPa以下であり、合成樹脂シート又は合成樹脂ロッドの引張弾性率が700MPa以上であることを特徴とする前記[1]記載の手袋、及び、
[3]合成樹脂シート又は合成樹脂ロッドが、延伸ポリオレフィン系樹脂シート又はロッドよりなり、長さ方向と略直角方向に180度又は90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過した時の折曲げ戻り角度θが共に20度以下の形状保持性を有する形状保持材料であることを特徴とする前記[1]又は[2]記載の手袋
に関する。
本発明の手袋の構成は上述の通りであり、使用する際に手袋の手首部分から装着口部分が垂れ下がったり折れ曲がったりすることがなく、作業性が優れている。
本発明の手袋は、基材がゴム又は合成樹脂よりなる手袋であって、手首部分から装着口方向に、手袋の基材より引張弾性率の高い合成樹脂シート又は合成樹脂ロッドが積層されていることを特徴とする。
次に、図面を参照して説明する。図1は本発明の手袋の一例を示す平面図である。図中1は、手を挿入可能に形成された、基材がゴム又は合成樹脂よりなる手袋であり、手袋1の手首部分2から装着口3方向に手袋1の基材より引張弾性率の高い合成樹脂シート4が積層されている。尚、手袋1の手首部分2は手に装着した際に、その端部が手の上腕部や肘に届くようにより長くてもよい。
上記基材を構成するゴム及び合成樹脂としては、従来から手袋の基材として使用されているゴム及び合成樹脂であれば特に限定されず、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、アクリル酸エステル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、低密度エチレン樹脂、線状低密度エチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂等があげられる。
手袋は手に装着して使用するのであるから、基材の剛性は小さいほうが好ましく、JIS K 7113に準拠して測定した引張弾性率は200MPa以下が好ましい。
手袋は手に装着して使用するのであるから、基材の剛性は小さいほうが好ましく、JIS K 7113に準拠して測定した引張弾性率は200MPa以下が好ましい。
上記手袋の製造方法は、従来から手袋の製造方法として使用されている製造方法であれば特に限定されず、例えば、上記ゴム及び合成樹脂の溶剤溶液又はエマルションに手型を浸漬し乾燥する方法、2枚の上記ゴム又は合成樹脂フィルムを積層し、手袋の輪郭線に沿って熱融着する方法が挙げられる。
手袋の厚みは特に限定されるものではないが、薄すぎると機械的強度が小さくなり、破れやすくなり、厚くなりすぎると硬くなり、手袋としての柔軟性に欠けると共に作業性が低下するので、一般的には0.002〜0.5mmであり、好ましくは0.01〜0.45mmである。
上記手袋の手首部分から装着口方向に積層されている合成樹脂シート又は合成樹脂ロッドは、手袋を使用する際に手袋の手首部分から装着口部分が垂れ下がったり折れ曲がったりすることがないように、手袋の手首部分から装着口部分に剛性を付与するものであるので、基材より引張弾性率の高い合成樹脂シート又は合成樹脂ロッドである。合成樹脂シート又は合成樹脂ロッドの引張弾性率は、手袋の基材より高ければよいが、手袋の手首部分の形状を保持するためのものであるから700MPa以上が好ましい。
合成樹脂シート又は合成樹脂ロッドを構成する合成樹脂は、基材より引張弾性率の高い合成樹脂であれば特に限定されず、例えば、高密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
上記合成樹脂シートの厚みは特に限定されるものではないが、薄くなると曲げ強度が低下し、手袋の手首部分から装着口部分が垂れ下がったり折れ曲がったりすることを防止する効果が低下し、厚くなると折り曲げにくく且つごわごわするようになって、違和感が大きくなるので0.02〜2mmが好ましい。又、合成樹脂シートの幅も特に限定されるものではないが、幅が狭くなると曲げ強度が低下し、手袋の手首部分から装着口部分が垂れ下がったり折れ曲がったりすることを防止する効果が低下し、幅が広くなると折り曲げにくく且つごわごわするようになって、違和感が大きくなるので0.5〜10mmが好ましい。
上記合成樹脂ロッドの太さは、特に限定されるものではないが、細くなると曲げ強度が低下し、手袋の手首部分から装着口部分が垂れ下がったり折れ曲がったりすることを防止する効果が低下し、太くなると折り曲げにくく且つごわごわするようになって、違和感が大きくなるので0.05〜3.0mmが好ましい。
上記合成樹脂シート又は合成樹脂ロッドを手袋に積層する数は、特に限定されず、手首部分から装着口の部分の形状を保持するために要求される強度と見栄えから適宜決定されればよいが、一般に1〜8本程度であり、合成樹脂シ−トの厚さが薄かったり幅が小さい場合や合成樹脂ロッドが細く形状保持性が小さい場合には多くすればよい。尚、複数の合成樹脂シート又は合成樹脂ロッドを手袋に積層する際には、略平行に積層するのが好ましい。又、合成樹脂シート又は合成樹脂ロッドは手袋の手首部分から装着口方向に断続的に積層されていてもよいが、連続した合成樹脂シート又は合成樹脂ロッドが積層されているのが好ましい。
上記合成樹脂シート又は合成樹脂ロッドは、手袋を使用する際に手袋の手首部分から装着口部分が垂れ下がったり折れ曲がったりすることがないように、手袋の手首部分から装着口部分に剛性を付与するものであるが、手袋の手首部分から装着口部分を折畳んだ際には折畳んだ形状に保持されるのが好ましいので、延伸ポリオレフィン系樹脂シート又はロッドよりなり、長さ方向と略直角方向に180度又は90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過した時の折曲げ戻り角度θが共に20度以下の形状保持性を有する形状保持材料であるのが好ましい。
上記形状保持材料の形状保持性は、延伸ポリオレフィン系樹脂シート又はロッドを延伸方向と直角方向に180度又は90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過した時の折曲げ戻り角度θが共に20度以下であり、好ましくは180度折曲げ戻り角度θが20度以下で且つ90度折曲げ戻り角度θが20度未満、更に好ましくは180度折曲げ戻り角度θが20度以下で且つ90度折曲げ戻り角度θが15度以下である。180度及び90度折曲げ時の折曲げ戻り角度θのいずれか一方、特に90度折曲げ戻り角度θが20度を越えると、充分な形状保持性が得られないことがある。
上記延伸ポリオレフィン系樹脂シート又はロッドを構成するポリオレフィン系樹脂としては、フィルム形成能を有する任意のオレフィン系樹脂が使用でき、例えば、高密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、線状低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ペンテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体等が挙げられ、高密度ポリエチレン樹脂及びポリプロピレン樹脂が好適に使用される。
上記ポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量は、重量平均分子量が10万未満の場合には、脆くなり、延伸性が低下したり、十分な機械的強度又は耐クリープ性を有する延伸ポリオレフィン系樹脂シートを得ることができにくくなり、逆に、50万を超えると、溶融粘度が高くなり、熱溶融成形加工性が低下し、均一なシートが得られにくくなるので10万〜50万が好ましい。尚、本発明において、重量平均分子量はゲルパーミェーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定された値である。
又、上記ポリオレフィン系樹脂のメルトインデックス(以下、MI)はフィルム成形性が優れている0.1〜20(g/10分)が好ましく、より好ましくは0.2〜10(g/10分)である。尚、MIとは、JIS K 7210に規定されている熱可塑性樹脂の溶融粘度を表す指標である。更に、高密度ポリエチレン樹脂の場合は、密度は小さくなると延伸しても機械的強度が向上しなくなるので、0.94g/cm3以上が好ましい。
上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートとしては、重量平均分子量が10万〜50万のポリオレフィン系樹脂シートが延伸倍率5倍以上に一軸延伸された形状保持性を有する延伸ポリオレフィン系樹脂シートが好ましい。
この場合は、ポリオレフィン系樹脂としては極限粘度[η]3.5dl/g未満の高密度ポリエチレン樹脂が好ましく、ガラス繊維、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、アルミナ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカアルミナ、酸化チタン、酸化カルシウム、珪酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭素繊維、カーボンブラック等の無機機充填材を添加するのが好ましい。
延伸前のポリオレフィン系樹脂シートの厚みは特に限定されるものではないが、厚過ぎると、延伸が困難になるし、逆に、薄過ぎると、延伸後のポリオレフィン系樹脂シートの厚みが薄くなり過ぎ、形状保持性が低下するので、0.2〜5.0mmが望ましい。
上記延伸された延伸ポリオレフィン系樹脂シートは、延伸倍率は5倍以上であって、形状保持性を有していればよいが、10〜40倍が好ましい。又、延伸方法は、従来公知の任意の方法が採用されればよく、例えば、ロール一軸延伸法、ゾーン一軸延伸法等の一軸延伸法により、ヒータや熱風により加熱しながら延伸する方法が挙げられる。
一軸延伸する際に10〜40倍と高度に延伸する場合は、一軸延伸を複数回繰り返す多段一軸延伸する方法が好ましい。多段一軸延伸を行う場合の延伸回数は2〜20回が好ましく、より好ましくは3〜15回、更に好ましくは4〜10回である。又、ロール一軸延伸法により多段延伸を行う場合には、繰出ピンチロール、引取ピンチロール及びこれらのロール間に一定速度で回転する少なくとも1つの、好ましくは複数の接触ロールを設置することが望ましい。このような接触ロールを設置することにより、均一延伸性が高められ、安定な延伸成形を行うことができる。
上記接触ロールは、ピンチされることなく、ポリオレフィン系樹脂シートに摩擦力を与えることにより一軸延伸を行う。又、接触ロールは繰出ロール及び/又は引取ロールに対し、ギア、チェーン、プーリー、ベルト若しくはこれらの組み合わせからなる連結部材により連結されていてもよい。
一軸延伸温度は、低くなると均一に延伸できず、高くなるとシートが溶融切断するので、延伸するポリオレフィン系樹脂シートのポリオレフィン系樹脂の「融点−60℃」〜融点の範囲が好ましく、より好ましくは、ポリオレフィン系樹脂の「融点−50℃」〜「融点−5℃」である。
上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートの寸法安定性を向上させるために、延伸ポリオレフィン系樹脂シートはポリオレフィン系樹脂の「融点−60℃」〜融点の温度でアニールしてもよい。アニール温度は、低くなると寸法安定性が向上せず、長時間使用するとそりが発生し、高くなるとポリオレフィン系樹脂が溶解して配向が消滅し引張弾性率、引張強度等が低下するので、ポリオレフィン系樹脂の「融点−60℃」〜融点の温度でアニールするのが好ましい。
アニールとは生産ライン中で熱処理を行うことであり、アニールする際に、延伸ポリオレフィン系樹脂シートに大きな張力がかかっていると延伸され、張力がかかっていないか、非常に小さい状態では収縮するので、延伸ポリオレフィン系樹脂シートの延伸方向の長さが実質的に変化しないようにした状態で行うことが好ましく、延伸ポリオレフィン系樹脂シートに圧力もかかっていないのが好ましい。即ち、アニールされた延伸ポリオレフィン系樹脂シートの長さが、アニール前の延伸ポリオレフィン系樹脂シートの長さの1.0以下になるようにアニールするのが好ましい。
従って、延伸ポリオレフィン系樹脂シートをピンチロール等のロールで加熱室内を移動しながら連続的にアニールする場合は、入口側と出口側のポリオレフィン系樹脂シートの送り速度比を1.0以下になるように設定してアニールするのが好ましい。
アニールする際の加熱方法は、特に限定されるものではなく、例えば、熱風、ヒータ、加熱板、温水等で加熱する方法があげられる。アニールする時間は、特に限定されず、延伸されたポリオレフィン系樹脂シートの厚さやアニール温度により異なるが、一般に10秒以上が好ましく、より好ましくは30秒〜60分であり、更に好ましくは1〜20分である。
又、異なる好ましい延伸ポリオレフィン系樹脂シートとして、重量平均分子量が10万〜50万のポリオレフィン系樹脂シートが圧延倍率5倍以上に圧延された後、総延伸倍率が10〜40倍に一軸延伸された延伸ポリオレフィン系樹脂シートが挙げられる。
上記圧延前のポリオレフィン系樹脂シートの厚みは特に限定されるものではないが、厚過ぎると、延伸が困難になるし、圧延工程において、ポリオレフィン系樹脂シートを圧延ロールで押しつぶすのに大きな加圧力や引取力が必要となり、圧延ロールの撓みなどにより幅方向に均一な圧延が困難となることがある、逆に、薄過ぎると、圧延後のポリオレフィン系樹脂シートの厚みが薄くなり過ぎ、均一な圧延が困難となるだけでなく、圧延ロール同士が接触して圧延ロールの寿命が短くなることがあるので、0.2〜5.0mmが望ましい。
上記ポリオレフィン系樹脂シートは、先ず、最初に圧延倍率5倍以上に圧延されるが、圧延温度は、低くなると均一に圧延できず、高くなると溶融切断するので、圧延する際のロール温度は、圧延するポリオレフィン系樹脂シートのオレフィン系樹脂の「融点−40℃」〜融点の範囲が好ましく、より好ましくは、オレフィン系樹脂の「融点−30℃」〜「融点−5℃」である。尚、融点とは示差走査型熱量測定機(DSC)で熱分析を行った際に認められる、結晶の融解に伴う吸熱ピークの最大点をいう。
圧延ロールによりポリオレフィン系樹脂シートに負荷される加圧力(線圧)が小さ過ぎると所定の圧延倍率を得ることが出来なくなることがあり、逆に大き過ぎると圧延ロールの撓みが生じるだけでなく、圧延ロールと原反シートとの間ですべりが生じ易くなり、均一な圧延が困難となることがあるので加圧力は、100MPa〜3000MPaが好ましく、より好ましくは、300MPa〜1000MPaである。
上記圧延倍率は、圧延倍率が5倍未満の場合には、後で行われる一軸延伸時のネッキングを抑制する効果が得られなかったり、高倍率一軸延伸を行うことができなかったり、一軸延伸工程に負担がかかることになるので、5倍以上であり、好ましくは7倍以上である。圧延倍率に特に上限はないが、圧延倍率が高いほど圧延設備に負荷がかかるので10倍以下が好ましい。尚、圧延倍率は(ポリオレフィン系樹脂シートの断面積)/(圧延後ポリオレフィン系樹脂シートの断面積)で定義されるが、圧延の前後においてポリオレフィン系樹脂シートの幅は殆ど変化しないので、(ポリオレフィン系樹脂シートの厚み)/(圧延後のポリオレフィン系樹脂シートの厚み)であってもよい。
圧延されたポリオレフィン系樹脂シートは、次に、総延伸倍率が10〜40倍に一軸延伸される。一軸延伸方法は、特に限定されず、前述の一軸延伸方法が採用されればよい。又、一軸延伸倍率は、総延伸倍率が10〜40倍であるから、圧延倍率を考慮し、総延伸倍率がこの範囲にはいるように決定すればよいが、一軸延伸が少ないと機械的強度が向上しないので、1.3倍以上が好ましく、より好ましくは1.5倍以上であり、更に好ましくは1.8倍以上である。又、上限は特に限定されるものではないが、4倍以下が好ましく、より好ましくは3.5倍以下である。尚、総延伸倍率は圧延倍率と一軸延伸倍率を乗じた数値である。
更に異なる好ましい延伸ポリオレフィン系樹脂シートとして、重量平均分子量が10万〜50万のポリオレフィン系樹脂シートが圧延倍率5倍以上に圧延された延伸ポリオレフィン系樹脂シートが挙げられる。即ち、圧延のみで一軸延伸をしなくても、延伸方向(圧延方向)と直角方向に180度及び90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過した時の折曲げ戻り角度θが共に20度以下である形状保持性を有する延伸ポリオレフィン系樹脂シートも好適に使用できる。
上記圧延前のポリオレフィン系樹脂シートの厚みも特に限定されるものではないが、厚過ぎると、延伸が困難になるし、圧延工程において、ポリオレフィン系樹脂シートを圧延ロールで押しつぶすのに大きな加圧力や引取力が必要となり、圧延ロールの撓みなどにより幅方向に均一な圧延が困難となることがある、逆に、薄過ぎると、圧延後のポリオレフィン系樹脂シートの厚みが薄くなり過ぎ、均一な圧延が困難となるだけでなく、圧延ロール同士が接触して圧延ロールの寿命が短くなることがあるので、0.2〜5.0mmが望ましい。
上記圧延工程を含む延伸方法で延伸された延伸ポリオレフィン系樹脂シートも寸法安定性を向上させるために、延伸ポリオレフィン系樹脂シートはポリオレフィン系樹脂の「融点−60℃」〜融点であって、圧延温度以下の温度でアニールしてもよい。
アニール温度は、低くなると寸法安定性が向上せず、長時間使用するとそりが発生し、高くなるとポリオレフィン系樹脂が溶解して配向が消滅し引張弾性率、引張強度等が低下するので、ポリオレフィン系樹脂の「融点−60℃」〜融点であって、圧延温度以下の温度でアニールするのが好ましい。その他のアニール方法は前述の通りである。
アニールした延伸ポリオレフィン系樹脂シートを、更に、40℃〜ポリオレフィン系樹脂の融点の温度範囲でエージングしてもよい。エージングすることによりアニールされたポリオレフィン系樹脂シートの寸法安定性はより優れたものとなる。
エージングとは、生産ライン中連続で処理するものではなく、延伸ポリオレフィン系樹脂シートをカット巻回等の一度加工した、枚葉物、巻物等の熱処理を、比較的長い時間(分、時間単位)じっくり寝かせて熱処理することを意味する。エージング温度は、低くなると常温で放置するのと同様になり、高くなると熱変形するので40℃〜ポリオレフィン系樹脂の融点の温度範囲であり、エージング時間は短時間では効果がなく、長時間しすぎても効果が増大することはないので12時間〜7日が好ましい。
上記ポリオレフィン系樹脂シートに、必要に応じて、熱安定剤、耐熱向上剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、衝撃改良剤、防曇剤、難燃剤、着色剤等が添加されてもよい。
又、延伸ポリオレフィン系樹脂シートは上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートを2枚以上積層した積層延伸ポリオレフィン系樹脂シートでもよい。積層されている各延伸ポリオレフィン系樹脂シートの延伸方向は同一であってもよいし、異なっていてもよいが、少なくとも1層の延伸ポリオレフィン系樹脂シートは長さ方向に延伸されている。
延伸方向が異なる延伸ポリオレフィン系樹脂シートが複数層積層された積層延伸ポリオレフィン系樹脂シートとしては、例えば、延伸方向が直交するように2枚の延伸ポリオレフィン系樹脂シートが積層された積層延伸ポリオレフィン系樹脂シート、延伸方向を60度ずつずらして3枚の延伸ポリオレフィン系樹脂シートが積層された積層延伸ポリオレフィン系樹脂シート、延伸方向を45度ずつずらして4枚の延伸ポリオレフィン系樹脂シートが積層された積層延伸ポリオレフィン系樹脂シート等があげられる。
上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートは延伸方向と直交する方向に屈曲すると形状保持性を有しており、延伸方向が異なる2枚以上の延伸ポリオレフィン系樹脂シートが接着されていると2枚以上の延伸ポリオレフィン系樹脂シートの延伸方向により任意の方向への形状保持性が向上し、延伸ポリオレフィン系樹脂シートの延伸方向と屈曲方向が同一であっても延伸ポリオレフィン系樹脂シートが割れにくくなる。
延伸ポリオレフィン系樹脂シートを積層する方法は、従来公知の任意の方法が採用されればよく、例えば、第2のポリオレフィン系樹脂シートを延伸ポリオレフィン系樹脂シートの間に供給して加熱接着する方法、延伸ポリオレフィン系樹脂シートの間に第2のポリオレフィン系樹脂を溶融押出して接着積層する方法等があげられる。
上記第2のポリオレフィン系樹脂としては、延伸ポリオレフィン系樹脂シートを接着するのであるから、前述の延伸ポリオレフィン系樹脂シートを構成するポリオレフィン系樹脂と同一種類のものが好ましいが、延伸ポリオレフィン系樹脂シートを熱融着する際に接着剤として作用するのであるから、延伸ポリオレフィン系樹脂シートを構成するポリオレフィン系樹脂の溶融温度より低い溶融温度のポリオレフィン系樹脂が好ましく、線状低密度ポリエチレン樹脂が好ましい。
第2のポリオレフィン系樹脂(シート)の厚さは特に限定されるものではないが、薄くなりすぎると接着しにくくなり、厚すぎると延伸ポリオレフィン系樹脂シートの形状保持性が低下するので、一般に5〜150μmであり、好ましくは20〜80μmである。
尚、上記積層延伸ポリオレフィン系樹脂シートにおいても、積層された延伸ポリオレフィン系樹脂シートのうちの少なくとも一層の延伸ポリオレフィン系樹脂シートの延伸方向と直角となるように180度及び90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過した時の折曲げ戻り角度θが共に20度以下である形状保持性を有する。
延伸ポリオレフィン系樹脂シートの厚みは特に限定されるものではないが、薄くなると形状保持性が低下するので0.02〜2mmが好ましい。積層延伸ポリオレフィン系樹脂シートは上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートを積層するので、厚いシートも製造可能であるが、厚すぎると曲げにくくなり、形状保持性も低下するので0.02〜2.0mmが好ましい。又、積層延伸ポリオレフィン系樹脂シート中の少なくとも1層は長さ方向に延伸されているのが好ましい。
延伸ポリオレフィン系樹脂シートの幅も特に限定されるものではないが、幅が狭くなると形状保持性が低下するので0.5〜10mmが好ましい。
上記延伸ポリオレフィン系樹脂ロッドは、上述のポリオレフィン系樹脂シートの製造と同様にポリオレフィン系樹脂ロッドを一軸延伸や圧延することにより製造されてもよいが、ポリオレフィン系樹脂ロッドを一軸延伸又は圧延して適当な太さの形状保持性を有するロッドを得ることは困難なので、上述の形状保持性を有する延伸ポリオレフィン系樹脂シートを製造し、切断又は切り出して延伸ポリオレフィン系樹脂ロッドを製造するのが好ましい。
延伸ポリオレフィン系樹脂ロッドの太さは、特に限定されるものではないが、細くなると形状保持性が低下するので0.05〜3.0mmが好ましい。又、その断面形状も特に限定されず、例えば、円形、楕円形、四角形、六角形、八角形、十六角形等が挙げられる。更に、上記延伸ポリオレフィン系樹脂ロッドを束ねたり撚ったりして、太い延伸ポリオレフィン系樹脂ロッドを形成しても良い。
上記合成樹脂シート又は合成樹脂ロッドを手袋に積層する方法は、特に限定されず、例えば、合成樹脂シート又は合成樹脂ロッド及び/又は手袋の一面に接着剤層を積層し接着する方法が挙げられる。上記接着剤としては、合成樹脂シート又は合成樹脂ロッドを手袋に接着しうる接着剤であれば特に限定されず、例えば、ポリエステル系、ポリオレフィン系等のホットメルト型接着剤、反応性接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤及びゴム系、アクリル系、ウレタン系、シリコン系等の粘着剤が挙げられる。接着剤層の厚さは、一般に、5〜50μmである。又、手袋が積層フィルムよりなる場合は、積層されたフィルムの間に合成樹脂シート又は合成樹脂ロッドを介在させてもよい。
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
重量平均分子量(Mw)33万、融点135℃の高密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製)を、同方向二軸混練押出機(プラスチック工学研究所製)に供給して樹脂温度200℃で溶融混練した後、溶融混練物をロール温度110℃に制御したカレンダー成形機にて、幅370mm、厚さ4.0mmにシート成形してポリエチレン樹脂シートを得た。
重量平均分子量(Mw)33万、融点135℃の高密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製)を、同方向二軸混練押出機(プラスチック工学研究所製)に供給して樹脂温度200℃で溶融混練した後、溶融混練物をロール温度110℃に制御したカレンダー成形機にて、幅370mm、厚さ4.0mmにシート成形してポリエチレン樹脂シートを得た。
得られたポリエチレン樹脂シートを125℃に加熱した圧延成形機(積水工機製作所製)を用いて圧延倍率9.0倍に圧延し、厚さ0.50mmの圧延ポリエチレン樹脂シートを得た。得られた圧延ポリエチレン樹脂シートを110℃に加熱された熱風加熱式の多段延伸装置(協和エンジニアリング製)にて1.82倍の多段延伸を行い、総延伸倍率16倍、幅280mm、厚さ0.34mmの延伸ポリエチレン樹脂シートを得た。
得られた延伸ポリエチレン樹脂シートをピンチロールが設置され、125℃に設定されているライン長19.25mの熱風加熱槽に、入口速度2.75m/minで供給し、出口速度2.75m/minに設定して7分間1次アニールを行い、続いて同様にして2次アニールを行って、アニールされた延伸ポリエチレン樹脂シートを得、その後60℃の恒温槽に供給し、24時間エージングして、エージングされた延伸ポリエチレン樹脂シートを得た。
得られた延伸ポリエチレン樹脂シートを、長さ方向が延伸方向になるように幅10mm、長さ15cmに切断し、延伸ポリエチレン樹脂シートの延伸方向と直交するように180度及び90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過時の折曲げ戻り角度θを測定したところ、それぞれ4度〜7度であった。又、JIS K 7113に準拠して測定した引張弾性率は12,000MPaであった。
得られた延伸ポリエチレン樹脂シートを、長さ方向が延伸方向になるように幅4mm、長さ100mmに切断して形状保持材料4を得、その一面に厚さ20μmのアクリル系粘着剤層を積層した。
厚さ12μmの低密度エチレン樹脂フィルムを2枚重あわせ、手袋の輪郭線に沿って熱融着すると共に打ち抜いて、図1に示した形状の手袋1を得た。得られた手袋1の手首部分2から装着口3方向に、2本の形状保持材料4、4を略平行になるように接着して本発明の手袋を得た。尚、上記低密度エチレン樹脂フィルムのJIS K 7113に準拠して測定した引張弾性率は150MPaであった。
得られた手袋1の装着口3を開口し、手袋1内に手を挿入した後、手を下方に垂れ下げたが、手袋の手首部分が垂れ下がることはなかった。又、形状保持材料4を長さ方向に折り曲げると、形状保持材料4(手袋1の手首部分)は折り曲げた形状を保持しており、手袋1の手首部分は手首に密着した状態が保持できた。
(実施例2)
ポリプロピレン樹脂(住友化学社製、商品名「FH105」、Tm=約160℃)を一軸押出機に供給し、240℃で溶融混練し、押出して、厚さ0.2mmのポリプロピレン樹脂シートを得た。
ポリプロピレン樹脂(住友化学社製、商品名「FH105」、Tm=約160℃)を一軸押出機に供給し、240℃で溶融混練し、押出して、厚さ0.2mmのポリプロピレン樹脂シートを得た。
得られたポリプロピレン樹脂シートを、長さ方向が押出し方向になるように幅4mm、長さ100mmに切断し、その一面に厚さ20μmのアクリル系粘着剤層を積層した。尚、JIS K 7113に準拠して測定したところ得られたポリプロピレン樹脂シートの引張弾性率は732MPaであった。
実施例1で得られた手袋に、実施例1で行ったと同様にして得られた2本のポリプロピレン樹脂シートを略平行になるように接着して本発明の手袋を得た。得られた手袋の装着口を開口し、手袋内に手を挿入した後、手を下方に垂れ下げたが、手袋の手首部分が垂れ下がることはなかった。
本発明の手袋は、容易に装着でき、使用する際に手袋の手首部分が垂れ下がったり折れ曲がったりすることがなく、作業性が良いので家庭等において好適に使用できる。
1 手袋
2 手首部分
3 装着口
4 形状保持材料
2 手首部分
3 装着口
4 形状保持材料
Claims (3)
- 基材がゴム又は合成樹脂よりなる手袋であって、手首部分から装着口方向に、手袋の基材より引張弾性率の高い合成樹脂シート又は合成樹脂ロッドが積層されていることを特徴とする手袋。
- 基材の引張弾性率が200MPa以下であり、合成樹脂シート又は合成樹脂ロッドの引張弾性率が700MPa以上であることを特徴とする請求項1記載の手袋。
- 合成樹脂シート又は合成樹脂ロッドが、延伸ポリオレフィン系樹脂シート又はロッドよりなり、長さ方向と略直角方向に180度又は90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過した時の折曲げ戻り角度θが共に20度以下の形状保持性を有する形状保持材料であることを特徴とする請求項1又は2記載の手袋。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010256341A JP2012107355A (ja) | 2010-11-16 | 2010-11-16 | 手袋 |
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JP2010256341A JP2012107355A (ja) | 2010-11-16 | 2010-11-16 | 手袋 |
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JP2012107355A true JP2012107355A (ja) | 2012-06-07 |
Family
ID=46493243
Family Applications (1)
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JP2010256341A Withdrawn JP2012107355A (ja) | 2010-11-16 | 2010-11-16 | 手袋 |
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-
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- 2010-11-16 JP JP2010256341A patent/JP2012107355A/ja not_active Withdrawn
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