JP5320628B2 - スティックファスナー - Google Patents

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Description

本発明は、書類や冊子を簡単に綴るためのスティックファスナーに関する。
書類や冊子を綴り、整理保管するためのファイルは広く使用されている。従来のファイルは、一般に紙製のファイル本体と金属製のファスナーとその留め具よりなるが、廃棄する際には綴じた書類及びファイル本体とファスナー及びその留め具を分離して廃棄しなければならず、大量の書類を扱うところでは廃棄やリサイクルが面倒であった。
そのため、紙やプラスチックス製のファスナーを使用したファイルが種々提案されている。例えば、「半分に畳んだ状態で、所定位置に穴を開けた所定サイズの書類等を挟み込み収納保持するファイル本体、書類等の穴部に挿通して該書類等をファイル本体の所定位置に保持するための止め帯、書類等を保持した止め帯の先端部を挿通して固定することで書類等を押さえて保持する押さえ止め板の何れもが紙製素材で形成されることで廃棄処理に際して各構成部材を分別処理する必要がないことを特徴とした紙製素材のみにより形成されたフラットファイル。」(例えば、特許文献1参照。)が提案されている。
上記フラットファイルはそのまま廃棄やリサイクルが可能であり処分は容易であるが、全て紙製なので機械的強度が小さく、書類を綴じるには必ず押さえ止め板が必要であると共に多数の書類を綴じるのは不向きであった。
これらの欠点を改良するため、例えば、「総延伸倍率10〜40倍の延伸ポリオレフィン系樹脂からなる帯状物であって、相対的に幅の広い中央部とその両端に設けられた相対的に幅の狭い舌片を有する、曲げ戻り角が20°以下であることを特徴とする紙束綴じ具。」(例えば、特許文献2参照。)が提案されている。
上記紙束綴じ具は延伸ポリオレフィン系樹脂製であり、書類を綴じる際に折り曲げて綴じるので、ファイル本体に装着して紙束綴じ具の端部を押え止め板で固定することなく書類を綴じることも可能であるが、自己の有する形状保持性により書類を綴じているので、書類が多くなると重くなって脱落する欠点があり、多数の書類を綴じるに押え止め板が必要であった。
又、型紙等に穴を開け、穴に上記紙束綴じ具の舌片を挿入することによりファイルとして使用されるが、型紙から紙束綴じ具が脱落しないようにするために、中央部に両面粘着テープを積層したり、接着剤を塗布することにより接着されているが、両面粘着テープや接着剤で接着するのではコストが高くなると共に再使用することができなかった。
実用新案登録第3078676号 特開2005−67027号公報
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、型紙等のファイル本体に両面粘着テープや接着剤を使用しないで確実に固定できると共に再使用可能であるスティックファスナー及び多量の書類であっても、簡便に且つ確実にファイルすることができ、使用後は書類と一緒に廃棄やリサイクルが可能なスティックファスナーを提供することにある。
即ち、本発明は、
[1]帯状のスティックファスナー本体と、その両側に延設され該スティックファスナー本体より幅狭の書類固定部よりなり、該書類固定部のスティックファスナー本体との境付近に遊端部が書類固定部の外方向を向くように舌片が形成されているスティックファスナーであって、スティックファスナーは延伸ポリオレフィン系樹脂シートよりなり、180度又は90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過した時の折曲げ戻り角度θが共に20度以下である形状保持材料であることを特徴とするスティックファスナー、
[2]帯状のスティックファスナー本体と、その両側に延設され該スティックファスナー本体より幅狭の書類固定部よりなり、該書類固定部の先端部付近に遊端部が書類固定部の内方向を向くように舌片が形成されている及び/又は該書類固定部の中間部付近に遊端部が書類固定部の外方向を向くように舌片が形成されているスティックファスナーであって、スティックファスナーは延伸ポリオレフィン系樹脂シートよりなり、180度又は90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過した時の折曲げ戻り角度θが共に20度以下である形状保持材料であることを特徴とするスティックファスナー、
[3]更に、書類固定部のスティックファスナー本体との境付近に遊端部が書類固定部の外方向を向くように舌片が形成されていることを特徴とする前記[2]記載のスティックファスナー、
[4]延伸ポリオレフィン系樹脂シートが、重量平均分子量が10万〜50万のポリオレフィン系樹脂シートが延伸倍率5倍以上に延伸されてなることを特徴とする前記[1]、[2]又は[3]記載のスティックファスナー、
[5]延伸ポリオレフィン系樹脂シートが、重量平均分子量が10万〜50万のポリオレフィン系樹脂シートが圧延倍率5倍以上に圧延された後、総延伸倍率が10〜40倍に一軸延伸されてなることを特徴とする前記[1]、[2]又は[3]記載のスティックファスナー、及び、
[6]延伸ポリオレフィン系樹脂シートが、重量平均分子量が10万〜50万のポリオレフィン系樹脂シートが圧延倍率5倍以上に圧延されてなることを特徴とする前記[1]、[2]又は[3]記載のスティックファスナー
に関する。
本発明のスティックファスナーの構成は上述の通りであり、型紙等のファイル本体に両面粘着テープや接着剤を使用しないで確実に固定できると共に再使用可能であり、多量の書類であっても、簡便に且つ確実にファイルすることができ、使用後は書類と一緒に廃棄やリサイクルが可能である。
本発明のスティックファスナーの一例を示す平面図である。 本発明のスティックファスナーをファイル本体に固定したファイルの一例を示す側面図である。 図2で示したファイルに書類を綴じた状態の一例を示す側面図である。 図2で示したファイルに書類を綴じた状態の異なる例を示す側面図である。 図4における要部拡大断面図である。
次に本発明を、図面を参照して説明する。図1は本発明のスティックファスナーの一例を示す平面図であり、図2は本発明のスティックファスナーをファイル本体に固定したファイルの一例を示す側面図であり、図3は図2で示したファイルに書類を綴じた状態の一例を示す側面図である。又、図4は図2で示したファイルに書類を綴じた状態の異なる例を示す側面図であり、図5は図4における要部拡大断面図である。
図中1は本発明のスティックファスナーであり、帯状のスティックファスナー本体11とその両側に延設されている本発明のスティックファスナー本体11の幅より幅狭の書類固定部12、12’よりなる。書類固定部12、12’は書類に穿設された貫通孔に挿入し折り曲げることにより、スティックファスナー本体11と書類固定部12、12’の間に書類を挟持するので、折り曲げやすくなるようにスティックファスナー本体11より幅狭になされると共に貫通孔に挿入しやすくなるように先端部は薄く尖った形状になされている。
スティックファスナー1(スティックファスナー本体11と書類固定部12、12’)は延伸ポリオレフィン系樹脂シートよりなり、180度又は90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過した時の折曲げ戻り角度θが共に20度以下である形状保持材料である。スティックファスナー本体11と書類固定部12、12’は一枚の延伸ポリオレフィン系樹脂シートよりなるのが好ましい。
上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートは形状保持性を有しているが、形状保持性は、延伸ポリオレフィン系樹脂シートを延伸方向と直角となるように180度又は90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過した時の折曲げ戻り角度θが共に20度以下であり、好ましくは180度折曲げ戻り角度θが20度以下で且つ90度折曲げ戻り角度θが20度未満、更に好ましくは180度折曲げ戻り角度θが20度以下で且つ90度折曲げ戻り角度θが15度以下である。180度及び90度折曲げ時の折曲げ戻り角度θのいずれか一方、特に90度折曲げ戻り角度θが20度を越えると、充分な形状保持性が得られないことがある。
上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートを構成するポリオレフィン系樹脂としては、フィルム形成能を有する任意のオレフィン系樹脂が使用でき、例えば、高密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、線状低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ペンテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体、エチレン―酢酸ビニル共重合体、エチレン―(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン―塩化ビニル共重合体、エチレン―プロピレン―ブテン共重合体等が挙げられ、高密度ポリエチレン樹脂及びポリプロピレン樹脂が好適に使用される。
上記ポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量は、重量平均分子量が10万未満の場合には、脆くなり、延伸性が低下したり、十分な機械的強度又は耐クリープ性を有する延伸ポリオレフィン系樹脂シートを得ることができにくくなり、逆に、50万を超えると、溶融粘度が高くなり、熱溶融成形加工性が低下し、均一なシートが得られにくくなるので10万〜50万が好ましい。尚、本発明において、重量平均分子量はゲルパーミェーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定された値である。
又、上記ポリオレフィン系樹脂のメルトインデックス(以下、MI)はフィルム成形性が優れている0.1〜20(g/10分)が好ましく、より好ましくは0.2〜10(g/10分)である。尚、MIとは、JIS K 7210に規定されている熱可塑性樹脂の溶融粘度を表す指標である。更に、高密度ポリエチレン樹脂の場合は、密度は小さくなると延伸しても機械的強度が向上しなくなるので、0.94g/cm以上が好ましい。
上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートとしては、重量平均分子量が10万〜50万のポリオレフィン系樹脂シートが延伸倍率5倍以上に一軸延伸された形状保持性を有する延伸ポリオレフィン系樹脂シートが好ましい。
この場合は、ポリオレフィン系樹脂としては極限粘度[η]3.5dl/g未満の高密度ポリエチレン樹脂が好ましく、ガラス繊維、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、アルミナ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカアルミナ、酸化チタン、酸化カルシウム、珪酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭素繊維、カーボンブラック等の無機機充填材を添加するのが好ましい。
延伸前のポリオレフィン系樹脂シートの厚みは特に限定されるものではないが、厚過ぎると、延伸が困難になるし、逆に、薄過ぎると、延伸後のポリオレフィン系樹脂シートの厚みが薄くなり過ぎ、形状保持性が低下するので、0.2〜15.0mmが好ましい。
上記延伸された延伸ポリオレフィン系樹脂シートは、延伸倍率は5倍以上であって、形状保持性を有していればよいが、10〜40倍が好ましい。又、延伸方法は、従来公知の任意の方法が採用されればよく、例えば、ロール一軸延伸法、ゾーン一軸延伸法等の一軸延伸法により、ヒータや熱風により加熱しながら延伸する方法が挙げられる。
一軸延伸する際に10〜40倍と高度に延伸する場合は、一軸延伸を複数回繰り返す多段一軸延伸する方法が好ましい。多段一軸延伸を行う場合の延伸回数は2〜20回が好ましく、より好ましくは3〜15回、更に好ましくは4〜10回である。又、ロール一軸延伸法により多段延伸を行う場合には、繰出ピンチロール、引取ピンチロール及びこれらのロール間に一定速度で回転する少なくとも1つの、好ましくは複数の接触ロールを設置することが望ましい。このような接触ロールを設置することにより、均一延伸性が高められ、安定な延伸成形を行うことができる。
上記接触ロールは、ピンチされることなく、ポリオレフィン系樹脂シートに摩擦力を与えることにより一軸延伸を行う。又、接触ロールは繰出ロール及び/又は引取ロールに対し、ギア、チェーン、プーリー、ベルト若しくはこれらの組み合わせからなる連結部材により連結されていてもよい。
一軸延伸温度は、低くなると均一に延伸できず、高くなるとシートが溶融切断するので、延伸するポリオレフィン系樹脂シートのポリオレフィン系樹脂の「融点−60℃」〜融点の範囲が好ましく、より好ましくは、ポリオレフィン系樹脂の「融点−50℃」〜「融点−5℃」である。
上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートの寸法安定性を向上させるために、延伸ポリオレフィン系樹脂シートはポリオレフィン系樹脂の「融点−60℃」〜融点の温度でアニールしてもよい。アニール温度は、低くなると寸法安定性が向上せず、長時間使用するとそりが発生し、高くなるとポリオレフィン系樹脂が溶解して配向が消滅し引張弾性率、引張強度等が低下するので、ポリオレフィン系樹脂の「融点−60℃」〜融点の温度でアニールするのが好ましい。
アニールとは生産ライン中で熱処理を行うことであり、アニールする際に、延伸ポリオレフィン系樹脂シートに大きな張力がかかっていると延伸され、張力がかかっていないか、非常に小さい状態では収縮するので、延伸ポリオレフィン系樹脂シートの延伸方向の長さが実質的に変化しないようにした状態で行うことが好ましく、延伸ポリオレフィン系樹脂シートに圧力もかかっていないのが好ましい。即ち、アニールされた延伸ポリオレフィン系樹脂シートの長さが、アニール前の延伸ポリオレフィン系樹脂シートの長さの1.0以下になるようにアニールするのが好ましい。
従って、延伸ポリオレフィン系樹脂シートをピンチロール等のロールで加熱室内を移動しながら連続的にアニールする場合は、入口側と出口側のポリオレフィン系樹脂シートの送り速度比を1.0以下になるように設定してアニールするのが好ましい。
アニールする際の加熱方法は、特に限定されるものではなく、例えば、熱風、ヒータ、加熱板、温水等で加熱する方法があげられる。アニールする時間は、特に限定されず、延伸されたポリオレフィン系樹脂シートの厚さやアニール温度により異なるが、一般に10秒以上が好ましく、より好ましくは30秒〜60分であり、更に好ましくは1〜20分である。
又、異なる好ましい延伸ポリオレフィン系樹脂シートとして、重量平均分子量が10万〜50万のポリオレフィン系樹脂シートが圧延倍率5倍以上に圧延された後、総延伸倍率が10〜40倍に一軸延伸された延伸ポリオレフィン系樹脂シートが挙げられる。
上記圧延前のポリオレフィン系樹脂シートの厚みは特に限定されるものではないが、厚過ぎると、延伸が困難になるし、圧延工程において、ポリオレフィン系樹脂シートを圧延ロールで押しつぶすのに大きな加圧力や引取力が必要となり、圧延ロールの撓みなどにより幅方向に均一な圧延が困難となることがある、逆に、薄過ぎると、圧延後のポリオレフィン系樹脂シートの厚みが薄くなり過ぎ、均一な圧延が困難となるだけでなく、圧延ロール同士が接触して圧延ロールの寿命が短くなることがあるので、0.2〜15.0mmが好ましい。
上記ポリオレフィン系樹脂シートは、先ず、最初に圧延倍率5倍以上に圧延されるが、圧延温度は、低くなると均一に圧延できず、高くなると溶融切断するので、圧延する際のロール温度は、圧延するポリオレフィン系樹脂シートのオレフィン系樹脂の「融点−40℃」〜融点の範囲が好ましく、より好ましくは、オレフィン系樹脂の「融点−30℃」〜「融点−5℃」である。尚、本発明において、融点とは示差走査型熱量測定機(DSC)で熱分析を行った際に認められる、結晶の融解に伴う吸熱ピークの最大点をいう。
圧延ロールによりポリオレフィン系樹脂シートに負荷される加圧力(線圧)が小さ過ぎると所定の圧延倍率を得ることが出来なくなることがあり、逆に大き過ぎると圧延ロールの撓みが生じるだけでなく、圧延ロールと原反シートとの間ですべりが生じ易くなり、均一な圧延が困難となることがあるので加圧力は、100MPa〜3000MPaが好ましく、より好ましくは、300MPa〜1000MPaである。
上記圧延倍率は、圧延倍率が5倍未満の場合には、後で行われる一軸延伸時のネッキングを抑制する効果が得られなかったり、高倍率一軸延伸を行うことができなかったり、一軸延伸工程に負担がかかることになるので、5倍以上であり、好ましくは7倍以上である。圧延倍率に特に上限はないが、圧延倍率が高いほど圧延設備に負荷がかかるので10倍以下が好ましい。尚、圧延倍率は(ポリオレフィン系樹脂シートの断面積)/(圧延後ポリオレフィン系樹脂シートの断面積)で定義されるが、圧延の前後においてポリオレフィン系樹脂シートの幅は殆ど変化しないので、(ポリオレフィン系樹脂シートの厚み)/(圧延後のポリオレフィン系樹脂シートの厚み)であってもよい。
圧延されたポリオレフィン系樹脂シートは、次に、総延伸倍率が10〜40倍に一軸延伸される。一軸延伸方法は、特に限定されず、前述の一軸延伸方法が採用されればよい。又、一軸延伸倍率は、総延伸倍率が10〜40倍であるから、圧延倍率を考慮し、総延伸倍率がこの範囲にはいるように決定すればよいが、一軸延伸が少ないと機械的強度が向上しないので、1.3倍以上が好ましく、より好ましくは1.5倍以上であり、更に好ましくは1.8倍以上である。又、上限は特に限定されるものではないが、4倍以下が好ましく、より好ましくは3.5倍以下である。尚、総延伸倍率は圧延倍率と一軸延伸倍率を乗じた数値である。
又、更に異なる好ましい延伸ポリオレフィン系樹脂シートとして、重量平均分子量が10万〜50万のポリオレフィン系樹脂シートが圧延倍率5倍以上に圧延された延伸ポリオレフィン系樹脂シートが挙げられる。即ち、圧延のみで一軸延伸をしなくても、180度及び90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過した時の折曲げ戻り角度θが共に20度以下である形状保持性を有する延伸ポリオレフィン系樹脂シートも好適に使用できる。
上記圧延前のポリオレフィン系樹脂シートの厚みは特に限定されるものではないが、厚過ぎると、圧延工程において、ポリオレフィン系樹脂シートを圧延ロールで押しつぶすのに大きな加圧力や引取力が必要となり、圧延ロールの撓みなどにより幅方向に均一な圧延が困難となることがある、逆に、薄過ぎると、圧延後のポリオレフィン系樹脂シートの厚みが薄くなり過ぎ、均一な圧延が困難となるだけでなく、圧延ロール同士が接触して圧延ロールの寿命が短くなることがあるので、0.2〜15.0mmが好ましい。
上記圧延工程を含む延伸方法で延伸された延伸ポリオレフィン系樹脂シートも寸法安定性を向上させるために、延伸ポリオレフィン系樹脂シートはポリオレフィン系樹脂の「融点−60℃」〜融点であって、圧延温度以下の温度でアニールしてもよい。
アニール温度は、低くなると寸法安定性が向上せず、長時間使用するとそりが発生し、高くなるとポリオレフィン系樹脂が溶解して配向が消滅し引張弾性率、引張強度等が低下するので、ポリオレフィン系樹脂の「融点−60℃」〜融点であって、圧延温度以下の温度でアニールするのが好ましい。その他のアニール方法は前述の通りである。
アニールした延伸ポリオレフィン系樹脂シートを、更に、40℃〜ポリオレフィン系樹脂の融点の温度範囲でエージングしてもよい。エージングすることによりアニールされたポリオレフィン系樹脂シートの寸法安定性はより優れたものとなる。
エージングとは、生産ライン中連続で処理するものではなく、延伸ポリオレフィン系樹脂シートをカット巻回等の一度加工した、枚葉物、巻物等の熱処理を、比較的長い時間(分、時間単位)じっくり寝かせて熱処理することを意味する。エージング温度は、低くなると常温で放置するのと同様になり、高くなると熱変形するので40℃〜ポリオレフィン系樹脂の融点の温度範囲であり、エージング時間は短時間では効果がなく、長時間しすぎても効果が増大することはないので12時間〜7日が好ましい。
上記ポリオレフィン系樹脂シートに、必要に応じて、熱安定剤、耐熱向上剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、衝撃改良剤、防曇剤、難燃剤、着色剤等が添加されてもよい。
又、延伸ポリオレフィン系樹脂シートは上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートを2枚以上積層した積層延伸ポリオレフィン系樹脂シートでもよい。積層されている各延伸ポリオレフィン系樹脂シートの延伸方向は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
延伸方向が異なる延伸ポリオレフィン系樹脂シートが複数層積層された積層延伸ポリオレフィン系樹脂シートとしては、例えば、延伸方向が直交するように2枚の延伸ポリオレフィン系樹脂シートが積層された積層延伸ポリオレフィン系樹脂シート、延伸方向を60度ずつずらして3枚の延伸ポリオレフィン系樹脂シートが積層された積層延伸ポリオレフィン系樹脂シート、延伸方向を45度ずつずらして4枚の延伸ポリオレフィン系樹脂シートが積層された積層延伸ポリオレフィン系樹脂シート等があげられる。
上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートは延伸方向と直交する方向に屈曲すると形状保持性を有しており、延伸方向が異なる2枚以上の延伸ポリオレフィン系樹脂シートが接着されていると2枚以上の延伸ポリオレフィン系樹脂シートの延伸方向により任意の方向への形状保持性が向上し、延伸ポリオレフィン系樹脂シートの延伸方向と屈曲方向が同一であっても延伸ポリオレフィン系樹脂シートが割れにくくなる。
延伸ポリオレフィン系樹脂シートを積層する方法は、従来公知の任意の方法が採用されればよく、例えば、第2のポリオレフィン系樹脂シートを延伸ポリオレフィン系樹脂シートの間に供給して加熱接着する方法、延伸ポリオレフィン系樹脂シートの間に第2のポリオレフィン系樹脂を溶融押出して接着積層する方法等があげられる。
上記第2のポリオレフィン系樹脂としては、延伸ポリオレフィン系樹脂シートを接着するのであるから、前述の延伸ポリオレフィン系樹脂シートを構成するポリオレフィン系樹脂と同一種類のものが好ましいが、延伸ポリオレフィン系樹脂シートを熱融着する際に接着剤として作用するのであるから、延伸ポリオレフィン系樹脂シートを構成するポリオレフィン系樹脂の溶融温度より低い溶融温度のポリオレフィン系樹脂が好ましく、線状低密度ポリエチレン樹脂が好ましい。
第2のポリオレフィン系樹脂(シート)の厚さは特に限定されるものではないが、薄くなりすぎると接着しにくくなり、厚すぎると延伸ポリオレフィン系樹脂シートの形状保持性が低下するので、一般に5〜150μmであり、好ましくは20〜80μmである。
尚、上記積層延伸ポリオレフィン系樹脂シートにおいても、積層された延伸ポリオレフィン系樹脂シートのうちの少なくとも一層の延伸ポリオレフィン系樹脂シートの延伸方向と直角となるように180度及び90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過した時の折曲げ戻り角度θが共に20度以下である形状保持性を有する。
延伸ポリオレフィン系樹脂シートの厚みは特に限定されるものではないが、薄くなると形状保持性が低下するので0.04〜2mmが好ましい。積層延伸ポリオレフィン系樹脂シートは上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートを積層するので、厚いシートも製造可能であるが、厚すぎると曲げにくくなり、形状保持性も低下するので0.08〜4.0mmが好ましい。
尚、延伸ポリオレフィン系樹脂シートは延伸方向と直角方向に形状保持性を有しているので、スティックファスナーの長さ方向(書類固定部12から書類固定部12’への方向)と延伸ポリオレフィン系樹脂シートの延伸方向が一致しているのが好ましい。又、積層延伸ポリオレフィン系樹脂シートの場合は積層延伸ポリオレフィン系樹脂シートを構成する少なくとも一層の延伸ポリオレフィン系樹脂シートの延伸方向と、スティックファスナーの長さ方向が一致しているのが好ましい。
書類固定部12、12’のスティックファスナー本体11との境付近に遊端部が書類固定部12、12’の外方向(図1において、書類固定部12では左方向、書類固定部12’では右方向)に向くように舌片13,13’が形成されている。舌片13,13’は書類固定部12、12’の内側部分を一部分残して略半楕円形状に打抜くことにより形成されている。
図2に示したように、書類固定部12、12’とスティックファスナー本体11との境を折り曲げ、書類固定部12、12’をファイル本体2に穿設された貫通孔に挿入し、舌片13,13’を外側に略直角に折り曲げることにより、舌片13,13’は形状保持性を有しているので、折り曲げられた形状を保持し、スティックファスナー1はファイル本体2に容易且つ確実に固定される。
尚、舌片13,13’は内側方向に折り曲げられても良い。又、舌片13,13’の形状は、遊端部を有し折り曲げることのできる形状であればよく、例えば、半円形状、半楕円形状、半四角形条、三角形状等が挙げられる。
又、書類固定部12、12’の先端部付近に遊端部が書類固定部12、12’の内方向(図1において、書類固定部12では右方向、書類固定部12’では左方向)を向くように舌片15、15’が形成されている。舌片15,15’は書類固定部12、12’の外側部分を一部分残して略半楕円形状に打抜くことにより形成されている。
更に、書類固定部12、12’の中間部付近(即ち、舌片13,13’と舌片15、15’の中間部)に遊端部が書類固定部12、12’の外方向(図1において、書類固定部12では左方向、書類固定部12’では右方向)を向くように舌片が形成されている。舌片14,14’は書類固定部12、12’の内側部分を一部分残して略半楕円形状に打抜くことにより形成されている。
図3に示したように、書類固定部12、12’を書類3に穿設された貫通孔に挿入し、書類3の厚さに応じて、書類3の外面に当接するように、書類固定部12、12’を外方向に折り曲げると共に、舌片14,14’を内方向であって、書類3の外面に当接するように略直角に折り曲げることにより、書類固定部12、12’及び舌片14,14’は形状保持性を有しているので、折り曲げられた形状を保持し、書類3はファイル本体2に容易且つ確実に固定される。書類固定部12、12’と舌片14,14’の折り曲げ方向は特に限定されるものではないが、より確実に固定するためには、逆方向に折り曲げるのが好ましい。
より多くの書類を固定するには、図4及び図5に示したように、書類固定部12、12’を書類3に穿設された貫通孔に挿入し、書類3の厚さに応じて、書類3の外面に当接するように、書類固定部12、12’を内方向に折り曲げると共に、舌片14,14’を外方向に略直角に折り曲げることにより、書類固定部12、12’及び舌片14,14’は形状保持性を有しているので、折り曲げられた形状を保持し、書類3はファイル本体2に容易且つ確実に固定されている。更に、書類固定部12の先端部付近の舌片15を下方向に折り曲げると共に、書類固定部12’の先端部付近の舌片15’を上方向に折り曲げ、舌片15’を上方向に折り曲げることにより書類固定部12’に形成された貫通孔16’に舌片15を挿入すると共に書類固定部12の先端部付近の舌片15を下方向に折り曲げることにより書類固定部12に形成された貫通孔16に舌片15’を挿入することにより、書類固定部12の先端部と書類固定部12’の先端部はしっかりと係止されている。従って、書類固定部12と書類固定部12’の先端部は容易にはずれないので、書類が多くなっても確実に固定される。
尚、舌片14,14’及び舌片15,15’ の形状も、遊端部を有し折り曲げることのできる形状であればよく、例えば、半円形状、半楕円形状、半四角形条、三角形状等が挙げられる。
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
重量平均分子量(Mw)33万、融点135℃の高密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製)を、同方向二軸混練押出機(プラスチック工学研究所製)に供給して樹脂温度200℃で溶融混練した後、溶融混練物をロール温度110℃に制御したカレンダー成形機にて、幅350mm、厚さ11.3mmにシート成形してポリエチレン樹脂シートを得た。
得られたポリエチレン樹脂シートを125℃に加熱した圧延成形機(積水工機製作所製)を用いて圧延倍率10.3倍に圧延し、幅350mm、厚さ1.10mmの圧延ポリエチレン樹脂シートを得た。得られた圧延ポリエチレン樹脂シートを110℃に加熱された熱風加熱式の多段延伸装置(協和エンジニアリング製)にて1.72倍の多段延伸を行い、総延伸倍率18倍、幅280mm、厚さ0.80mmの延伸ポリエチレン樹脂シートを得た。
得られた延伸ポリエチレン樹脂シートをピンチロールが設置され、125℃に設定されているライン長19.25mの熱風加熱槽に、入口速度2.75m/minで供給し、出口速度2.75m/minに設定して7分間1次アニールを行い、続いて同様にして2次アニールを行って、アニールされた延伸ポリエチレン樹脂シートを得、その後60℃の恒温槽に供給し、24時間エージングして、エージングされた延伸ポリエチレン樹脂シートを得た。
得られた延伸ポリエチレン樹脂シートを幅10mm、長さ15cmに切断し、延伸ポリエチレン樹脂シートの延伸方向と直交するように180度及び90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過時の折曲げ戻り角度θを測定したところ、それぞれ4度〜7度であった。
得られた延伸ポリエチレン樹脂シートを図1に示した形状に切断した。スティックファスナー本体11の長さは70mm、幅10mmであり、書類固定部12、12’の長さは65mm、幅5mmであった。又、書類固定部12、12’の先端部をプレスして、図2に示したようにテーパー状であり、先端に近ずくにしたがって薄くなるように成形した。
次に、図1に示した各略半円形の金型で書類固定部12、12’をプレスすることにより打ち抜いて舌片13、13’、14、14’、15、15’を形成して本発明のスティックファスナー1を得た。舌片13、13’は長さ4mm、幅3mmであり、根元部(遊端部の反対側)がスティックファスナー本体11から2mmになるように形成した。舌片14、14’は長さ8mm、幅3mmであり、根元部(遊端部の反対側)がスティックファスナー本体11から10mmになるように形成した。又、舌片15、15’は長さ5mm、幅3mmであり、根元部(遊端部の反対側)がスティックファスナー本体11から55mmになるように形成した。
A4の型紙であるファイル本体2の一端部付近に長さ5mm、幅1mmの長方形の貫通孔を70mm間隔で穿設した。次に、得られたスティックファスナー1の書類固定部12、12’を直角に折り曲げ、ファイル本体2に形成された貫通孔に挿入すると共に、舌片13、13’を外方向に直角に折り曲げて、図2に示したように、ファイル本体2にスティックファスナー1を固定してファイルを得た。ファイル本体2とスティックファスナー1は強固に固定されていた。
次に、穴あけ機で貫通孔を形成したA4の普通紙3(100枚、厚さ約10mm)の貫通孔に書類固定部12、12’を挿入し、普通紙3の上面に沿って内側に折り曲げると共に舌片14、14’を普通紙3の上面に沿って外方に折り曲げて図4に示したように、普通紙3をファイルした。又、書類固定部12の舌片15を下方向に折り曲げると共に、書類固定部12’の舌片15’を上方向に折り曲げ、舌片15’を上方向に折り曲げることにより書類固定部12’に形成された貫通孔16’に舌片15を挿入すると共に書類固定部12の舌片15を下方向に折り曲げることにより書類固定部12に形成された貫通孔16に舌片15’を挿入することにより、書類固定部12の先端部と書類固定部12’の先端部を係止した。普通紙3はファイルにしっかりと固定されており、普通紙3が下になるように、ファイル本体2を5分間保持したが、普通紙3がファイルから脱落することはなかった。
本発明のスティックファスナーは、パンチングにより綴り穴の形成された書類を確実にファイルして保存することができるので文具分野において好適に使用できる。
1 スティックファスナー
11 スティックファスナー本体
12 書類固定部
13、14、15 舌片
16 貫通孔
2 ファイル本体
3 書類

Claims (5)

  1. 帯状のスティックファスナー本体と、その両側に延設され該スティックファスナー本体より幅狭の書類固定部よりなり、該書類固定部の先端部付近に遊端部が書類固定部の内方向を向くように舌片が形成されている及び/又は該書類固定部の中間部付近に遊端部が書類固定部の外方向を向くように舌片が形成されているスティックファスナーであって、スティックファスナーは延伸ポリオレフィン系樹脂シートよりなり、180度又は90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過した時の折曲げ戻り角度θが共に20度以下である形状保持材料であることを特徴とするスティックファスナー。
  2. 更に、書類固定部のスティックファスナー本体との境付近に遊端部が書類固定部の外方向を向くように舌片が形成されていることを特徴とする請求項1記載のスティックファスナー。
  3. 延伸ポリオレフィン系樹脂シートが、重量平均分子量が10万〜50万のポリオレフィン系樹脂シートが延伸倍率5倍以上に延伸されてなることを特徴とする請求項1又は2記載のスティックファスナー。
  4. 延伸ポリオレフィン系樹脂シートが、重量平均分子量が10万〜50万のポリオレフィン系樹脂シートが圧延倍率5倍以上に圧延された後、総延伸倍率が10〜40倍に一軸延伸されてなることを特徴とする請求項1又は2記載のスティックファスナー。
  5. 延伸ポリオレフィン系樹脂シートが、重量平均分子量が10万〜50万のポリオレフィン系樹脂シートが圧延倍率5倍以上に圧延されてなることを特徴とする請求項1又は2記載のスティックファスナー。
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