JP5749976B2 - しおり - Google Patents

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Description

本発明は、書籍に挟んで使用するしおりに関する。
しおりは、書籍を読む際に何処まで読んだかわかるように、書籍の間に挟んで使用されるが、従来のしおりは紙や合成樹脂シート製のものが多く、開いた際に落ちてしまうという欠点があった。これを解消するために多くの提案がなされている。例えば、「可撓性のあるベース部材に曲率のある切込みを入れたことを特徴とするクリップしおり。」(例えば、特許文献1参照。)、「書籍等に使用するしおりであって、繰り返し折り曲げ可能な薄板で形成されたしおり本体と、前記しおり本体の一端部に剥離可能に貼着された剥離台紙と、しおり本体の前記剥離台紙に対向する部分に設けられた前記書籍等に対して前記しおり本体を着脱可能にする為のシ−ル部とを備えたしおり。」(例えば、特許文献2参照。)等が提案されている。
前者のしおりは書籍の1頁又は数頁を切込みの間に挟みこむことにより、落ちないようにして使用されるが、多数の頁又は表表紙から読んだ頁までを固定するのは困難であった。又、後者のしおりは、剥離台紙をシール部から剥がし、シール部を書籍の読んだページに貼り付けておけば、書籍を開いた際にしおりが落ちることはない。しかし、シール部を書籍の表紙に貼着し、しおり本体を折り曲げて書籍の間に挟むようにして使用する際、しおり本体が紙や薄い合成樹脂シートで製造されている場合はしおり本体を折畳んで書籍の間に挟むことは可能であるが、書籍を開いた際にしおり本体で挟んだ部分を保持することはできず、例えば、片手で書籍を読むのは困難であった。又、しおり本体が厚い合成樹脂シートで製造されている場合はしおり本体を折畳むと破壊されたり、折畳むことができても折り目が白化してしまい好適に使用することはできなかった。
特開平5−345491号公報 特開2007−62340号公報 特公昭57−57097号公報
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、書籍の間に挟んで使用できる共に多数の頁又は表紙から所定の頁までを固定することができるしおりを提供することにある。又、異なる目的は、書籍の間に挟んで使用する際、多数の頁又は表紙から所定の頁までを固定することでき書籍を開いても脱落しないしおりを提供することにある。
即ち、本発明は、
[1]180度又は90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過した時の折曲げ戻り角度θが共に20度以下である形状保持性を有する延伸ポリオレフィン系樹脂シートよりなることを特徴とするしおり、
[2]延伸ポリオレフィン系樹脂シートの一面の少なくとも一部分に、粘着性微小粒子よりなる微粘着性粘着剤層が積層されていることを特徴とする上記[1]記載のしおり、及び、
[3]延伸ポリオレフィン系樹脂シートが長尺シートであり、一端部付近に粘着性微小粒子よりなる微粘着性粘着剤層が積層され、他端部付近に該微粘着性粘着剤層より剥離力の大きい粘着剤層が積層されていることを特徴とする上記[1]又は[2]記載のしおり
に関する。
請求項1記載のしおりの構成は上述の通りであり、書籍の間に挟んで使用できる共に屈曲した形状をそのままの形状で保持する形状保持性を有しているので、多数の頁又は表紙から読んだ頁までを折畳んで保持することにより固定することができる。又、請求項2記載のしおりは、延伸ポリオレフィン系樹脂シートの一面の少なくとも一部分に、粘着性微小粒子よりなる微粘着性粘着剤層が積層されているので、書籍に貼着することができ、脱落することが防止でき、且つ、微粘着性なので貼り付けたり、剥がしたりを繰り返しても書籍が汚れたり、破壊されたりすることがない。更に、請求項3記載のしおりは、延伸ポリオレフィン系樹脂シートが長尺シートであり、一端部付近に粘着性微小粒子よりなる微粘着性粘着剤層が積層され、他端部付近に該微粘着性粘着剤層より剥離力の大きい粘着剤層が積層されているので、剥離力の大きい粘着剤層を書籍の表紙に貼着することにより好適に使用できる。
実施例1のしおりを示す断面図である。 実施例2のしおりを示す断面図である。 実施例2のしおりを本に使用した状態を示す側面図である。
請求項1記載のしおりは、180度又は90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過した時の折曲げ戻り角度θが共に20度以下である形状保持性を有する延伸ポリオレフィン系樹脂シートよりなることを特徴とする。
上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートは、180度又は90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過した時の折曲げ戻り角度θが共に20度以下である形状保持材料である。
上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートは形状保持性を有しているが、形状保持性は、延伸ポリオレフィン系樹脂シートを延伸方向と直角方向に180度又は90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過した時の折曲げ戻り角度θが共に20度以下であり、好ましくは180度折曲げ戻り角度θが20度以下で且つ90度折曲げ戻り角度θが20度未満、更に好ましくは180度折曲げ戻り角度θが20度以下で且つ90度折曲げ戻り角度θが15度以下である。180度及び90度折曲げ時の折曲げ戻り角度θのいずれか一方、特に90度折曲げ戻り角度θが20度を越えると、充分な形状保持性が得られないことがある。
上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートを構成するポリオレフィン系樹脂としては、フィルム形成能を有する任意のオレフィン系樹脂が使用でき、例えば、高密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、線状低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ペンテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体、エチレン―酢酸ビニル共重合体、エチレン―(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン―塩化ビニル共重合体、エチレン―プロピレン―ブテン共重合体等が挙げられ、高密度ポリエチレン樹脂及びポリプロピレン樹脂が好適に使用される。
上記ポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量は、重量平均分子量が10万未満の場合には、脆くなり、延伸性が低下したり、十分な機械的強度又は耐クリープ性を有する延伸ポリオレフィン系樹脂シートを得ることができにくくなり、逆に、50万を超えると、溶融粘度が高くなり、熱溶融成形加工性が低下し、均一なシートが得られにくくなるので10万〜50万が好ましい。尚、本発明において、重量平均分子量はゲルパーミェーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定された値である。
又、上記ポリオレフィン系樹脂のメルトインデックス(以下、MI)はフィルム成形性が優れている0.1〜20(g/10分)が好ましく、より好ましくは0.2〜10(g/10分)である。尚、MIとは、JIS K 7210に規定されている熱可塑性樹脂の溶融粘度を表す指標である。更に、高密度ポリエチレン樹脂の場合は、密度は小さくなると延伸しても機械的強度が向上しなくなるので、0.94g/cm3 以上が好ましい。
上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートとしては、重量平均分子量が10万〜50万のポリオレフィン系樹脂シートが延伸倍率5倍以上に一軸延伸された形状保持性を有する延伸ポリオレフィン系樹脂シートが好ましい。
この場合は、ポリオレフィン系樹脂としては極限粘度[η]3.5dl/g未満の高密度ポリエチレン樹脂が好ましく、ガラス繊維、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、アルミナ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカアルミナ、酸化チタン、酸化カルシウム、珪酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭素繊維、カーボンブラック等の無機機充填材を添加するのが好ましい。
延伸前のポリオレフィン系樹脂シートの厚みは特に限定されるものではないが、厚過ぎると、延伸が困難になるし、逆に、薄過ぎると、延伸後のポリオレフィン系樹脂シートの厚みが薄くなり過ぎ、形状保持性が低下するので、0.2〜5.0mmが望ましい。
上記延伸された延伸ポリオレフィン系樹脂シートは、延伸倍率は5倍以上であって、形状保持性を有していればよいが、10〜40倍が好ましい。又、延伸方法は、従来公知の任意の方法が採用されればよく、例えば、ロール一軸延伸法、ゾーン一軸延伸法等の一軸延伸法により、ヒータや熱風により加熱しながら延伸する方法が挙げられる。
一軸延伸する際に10〜40倍と高度に延伸する場合は、一軸延伸を複数回繰り返す多段一軸延伸する方法が好ましい。多段一軸延伸を行う場合の延伸回数は2〜20回が好ましく、より好ましくは3〜15回、更に好ましくは4〜10回である。又、ロール一軸延伸法により多段延伸を行う場合には、繰出ピンチロール、引取ピンチロール及びこれらのロール間に一定速度で回転する少なくとも1つの、好ましくは複数の接触ロールを設置することが望ましい。このような接触ロールを設置することにより、均一延伸性が高められ、安定な延伸成形を行うことができる。
上記接触ロールは、ピンチされることなく、ポリオレフィン系樹脂シートに摩擦力を与えることにより一軸延伸を行う。又、接触ロールは繰出ロール及び/又は引取ロールに対し、ギア、チェーン、プーリー、ベルト若しくはこれらの組み合わせからなる連結部材により連結されていてもよい。
一軸延伸温度は、低くなると均一に延伸できず、高くなるとシートが溶融切断するので、延伸するポリオレフィン系樹脂シートのポリオレフィン系樹脂の「融点−60℃」〜融点の範囲が好ましく、より好ましくは、ポリオレフィン系樹脂の「融点−50℃」〜「融点−5℃」である。
上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートの寸法安定性を向上させるために、延伸ポリオレフィン系樹脂シートはポリオレフィン系樹脂の「融点−60℃」〜融点の温度でアニールしてもよい。アニール温度は、低くなると寸法安定性が向上せず、長時間使用するとそりが発生し、高くなるとポリオレフィン系樹脂が溶解して配向が消滅し引張弾性率、引張強度等が低下するので、ポリオレフィン系樹脂の「融点−60℃」〜融点の温度でアニールするのが好ましい。
アニールとは生産ライン中で熱処理を行うことであり、アニールする際に、延伸ポリオレフィン系樹脂シートに大きな張力がかかっていると延伸され、張力がかかっていないか、非常に小さい状態では収縮するので、延伸ポリオレフィン系樹脂シートの延伸方向の長さが実質的に変化しないようにした状態で行うことが好ましく、延伸ポリオレフィン系樹脂シートに圧力もかかっていないのが好ましい。即ち、アニールされた延伸ポリオレフィン系樹脂シートの長さが、アニール前の延伸ポリオレフィン系樹脂シートの長さの1.0以下になるようにアニールするのが好ましい。
従って、延伸ポリオレフィン系樹脂シートをピンチロール等のロールで加熱室内を移動しながら連続的にアニールする場合は、入口側と出口側のポリオレフィン系樹脂シートの送り速度比を1.0以下になるように設定してアニールするのが好ましい。
アニールする際の加熱方法は、特に限定されるものではなく、例えば、熱風、ヒータ、加熱板、温水等で加熱する方法があげられる。アニールする時間は、特に限定されず、延伸されたポリオレフィン系樹脂シートの厚さやアニール温度により異なるが、一般に10秒以上が好ましく、より好ましくは30秒〜60分であり、更に好ましくは1〜20分である。
又、異なる好ましい延伸ポリオレフィン系樹脂シートとして、重量平均分子量が10万〜50万のポリオレフィン系樹脂シートが圧延倍率5倍以上に圧延された後、総延伸倍率が10〜40倍に一軸延伸された延伸ポリオレフィン系樹脂シートが挙げられる。
上記圧延前のポリオレフィン系樹脂シートの厚みは特に限定されるものではないが、厚過ぎると、延伸が困難になるし、圧延工程において、ポリオレフィン系樹脂シートを圧延ロールで押しつぶすのに大きな加圧力や引取力が必要となり、圧延ロールの撓みなどにより幅方向に均一な圧延が困難となることがある、逆に、薄過ぎると、圧延後のポリオレフィン系樹脂シートの厚みが薄くなり過ぎ、均一な圧延が困難となるだけでなく、圧延ロール同士が接触して圧延ロールの寿命が短くなることがあるので、0.2〜5.0mmが望ましい。
上記ポリオレフィン系樹脂シートは、先ず、最初に圧延倍率5倍以上に圧延されるが、圧延温度は、低くなると均一に圧延できず、高くなると溶融切断するので、圧延する際のロール温度は、圧延するポリオレフィン系樹脂シートのオレフィン系樹脂の「融点−40℃」〜融点の範囲が好ましく、より好ましくは、オレフィン系樹脂の「融点−30℃」〜「融点−5℃」である。尚、本発明において、融点とは示差走査型熱量測定機(DSC)で熱分析を行った際に認められる、結晶の融解に伴う吸熱ピークの最大点をいう。
圧延ロールによりポリオレフィン系樹脂シートに負荷される加圧力(線圧)が小さ過ぎると所定の圧延倍率を得ることが出来なくなることがあり、逆に大き過ぎると圧延ロールの撓みが生じるだけでなく、圧延ロールと原反シートとの間ですべりが生じ易くなり、均一な圧延が困難となることがあるので加圧力は、100MPa〜3000MPaが好ましく、より好ましくは、300MPa〜1000MPaである。
上記圧延倍率は、圧延倍率が5倍未満の場合には、後で行われる一軸延伸時のネッキングを抑制する効果が得られなかったり、高倍率一軸延伸を行うことができなかったり、一軸延伸工程に負担がかかることになるので、5倍以上であり、好ましくは7倍以上である。圧延倍率に特に上限はないが、圧延倍率が高いほど圧延設備に負荷がかかるので10倍以下が好ましい。尚、圧延倍率は(ポリオレフィン系樹脂シートの断面積)/(圧延後ポリオレフィン系樹脂シートの断面積)で定義されるが、圧延の前後においてポリオレフィン系樹脂シートの幅は殆ど変化しないので、(ポリオレフィン系樹脂シートの厚み)/(圧延後のポリオレフィン系樹脂シートの厚み)であってもよい。
圧延されたポリオレフィン系樹脂シートは、次に、総延伸倍率が10〜40倍に一軸延伸される。一軸延伸方法は、特に限定されず、前述の一軸延伸方法が採用されればよい。又、一軸延伸倍率は、総延伸倍率が10〜40倍であるから、圧延倍率を考慮し、総延伸倍率がこの範囲にはいるように決定すればよいが、一軸延伸が少ないと機械的強度が向上しないので、1.3倍以上が好ましく、より好ましくは1.5倍以上であり、更に好ましくは1.8倍以上である。又、上限は特に限定されるものではないが、4倍以下が好ましく、より好ましくは3.5倍以下である。尚、総延伸倍率は圧延倍率と一軸延伸倍率を乗じた数値である。
又、更に異なる好ましい延伸ポリオレフィン系樹脂シートとして、重量平均分子量が10万〜50万のポリオレフィン系樹脂シートが圧延倍率5倍以上に圧延された延伸ポリオレフィン系樹脂シートが挙げられる。即ち、圧延のみで一軸延伸をしなくても、180度及び90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過した時の折曲げ戻り角度θが共に20度以下である形状保持性を有する延伸ポリオレフィン系樹脂シートも好適に使用できる。
上記圧延前のポリオレフィン系樹脂シートの厚みは特に限定されるものではないが、厚過ぎると、圧延工程において、ポリオレフィン系樹脂シートを圧延ロールで押しつぶすのに大きな加圧力や引取力が必要となり、圧延ロールの撓みなどにより幅方向に均一な圧延が困難となることがあり、逆に、薄過ぎると、圧延後のポリオレフィン系樹脂シートの厚みが薄くなり過ぎ、均一な圧延が困難となるだけでなく、圧延ロール同士が接触して圧延ロールの寿命が短くなることがあるので、0.2〜5.0mmが望ましい。
上記圧延工程を含む延伸方法で延伸された延伸ポリオレフィン系樹脂シートも寸法安定性を向上させるために、延伸ポリオレフィン系樹脂シートはポリオレフィン系樹脂の「融点−60℃」〜融点であって、圧延温度以下の温度でアニールしてもよい。
アニール温度は、低くなると寸法安定性が向上せず、長時間使用するとそりが発生し、高くなるとポリオレフィン系樹脂が溶解して配向が消滅し引張弾性率、引張強度等が低下するので、ポリオレフィン系樹脂の「融点−60℃」〜融点であって、圧延温度以下の温度でアニールするのが好ましい。その他のアニール方法は前述の通りである。
アニールした延伸ポリオレフィン系樹脂シートを、更に、40℃〜ポリオレフィン系樹脂の融点の温度範囲でエージングしてもよい。エージングすることによりアニールされたポリオレフィン系樹脂シートの寸法安定性はより優れたものとなる。
エージングとは、生産ライン中連続で処理するものではなく、延伸ポリオレフィン系樹脂シートをカット巻回等の一度加工した、枚葉物、巻物等の熱処理を、比較的長い時間(分、時間単位)じっくり寝かせて熱処理することを意味する。エージング温度は、低くなると常温で放置するのと同様になり、高くなると熱変形するので40℃〜ポリオレフィン系樹脂の融点の温度範囲であり、エージング時間は短時間では効果がなく、長時間しすぎても効果が増大することはないので12時間〜7日が好ましい。
延伸ポリオレフィン系樹脂シートの厚みは特に限定されるものではないが、薄くなると形状保持性が低下し、厚くなるとしおりとしては使用しにくくなるので0.04〜2mmが好ましく、より好ましくは0.05〜1mmである。
上記ポリオレフィン系樹脂シートに、必要に応じて、熱安定剤、耐熱向上剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、衝撃改良剤、防曇剤、難燃剤、着色剤等が添加されてもよい。
又、延伸ポリオレフィン系樹脂シートは上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートを2枚以上積層した積層延伸ポリオレフィン系樹脂シートでもよい。積層されている各延伸ポリオレフィン系樹脂シートの延伸方向は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
延伸方向が異なる延伸ポリオレフィン系樹脂シートが複数層積層された積層延伸ポリオレフィン系樹脂シートとしては、例えば、延伸方向が直交するように2枚の延伸ポリオレフィン系樹脂シートが積層された積層延伸ポリオレフィン系樹脂シート、延伸方向を60度ずつずらして3枚の延伸ポリオレフィン系樹脂シートが積層された積層延伸ポリオレフィン系樹脂シート、延伸方向を45度ずつずらして4枚の延伸ポリオレフィン系樹脂シートが積層された積層延伸ポリオレフィン系樹脂シート等があげられる。
上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートは延伸方向と直交する方向に屈曲すると形状保持性を有しており、延伸方向が異なる2枚以上の延伸ポリオレフィン系樹脂シートが接着されていると2枚以上の延伸ポリオレフィン系樹脂シートの延伸方向により任意の方向への形状保持性が向上し、延伸ポリオレフィン系樹脂シートの延伸方向と屈曲方向が同一であっても延伸ポリオレフィン系樹脂シートが割れにくくなる。
延伸ポリオレフィン系樹脂シートを積層する方法は、従来公知の任意の方法が採用されればよく、例えば、第2のポリオレフィン系樹脂シートを延伸ポリオレフィン系樹脂シートの間に供給して加熱接着する方法、延伸ポリオレフィン系樹脂シートの間に第2のポリオレフィン系樹脂を溶融押出して接着積層する方法等があげられる。
上記第2のポリオレフィン系樹脂としては、延伸ポリオレフィン系樹脂シートを接着するのであるから、前述の延伸ポリオレフィン系樹脂シートを構成するポリオレフィン系樹脂と同一種類のものが好ましいが、延伸ポリオレフィン系樹脂シートを熱融着する際に接着剤として作用するのであるから、延伸ポリオレフィン系樹脂シートを構成するポリオレフィン系樹脂の溶融温度より低い溶融温度のポリオレフィン系樹脂が好ましく、線状低密度ポリエチレン樹脂が好ましい。
第2のポリオレフィン系樹脂(シート)の厚さは特に限定されるものではないが、薄くなりすぎると接着しにくくなり、厚すぎると延伸ポリオレフィン系樹脂シートの形状保持性が低下するので、一般に2〜80μmであり、好ましくは5〜20μmである。
尚、上記積層延伸ポリオレフィン系樹脂シートにおいても、積層された延伸ポリオレフィン系樹脂シートのうちの少なくとも一層の延伸ポリオレフィン系樹脂シートの延伸方向と直角となるように180度及び90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過した時の折曲げ戻り角度θが共に20度以下である形状保持性を有する。
積層する延伸ポリオレフィン系樹脂シートの厚みは特に限定されるものではないが、薄くなると形状保持性が低下するので0.02〜0.5mmが好ましい。積層延伸ポリオレフィン系樹脂シートは上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートを積層するので、厚いシートも製造可能であるが、厚すぎると曲げにくくなり、形状保持性も低下し、しおりとして使用しにくくなるので0.04〜2mmが好ましく、より好ましくは0.05〜1mmである。
上記しおり(延伸ポリオレフィン系樹脂シート)の形状は、特に限定されず、従来公知の任意の形状が可能であり、例えば、正方形、長方形(長尺タイプ)、円形、楕円形、しずく形(楕円形の長径方向の一端部が尖った形状)等があげられる。
請求項1記載のしおりはそのまま書籍の間に挟んでしおりとして好適に使用できる。又、このしおりは形状保持性を有しているので、折り曲げるとそのままの形状を保持することができ、従って、折り曲げることにより書籍の表紙と所定の頁を挟んで留めることができる。
請求項2記載のしおりは、延伸ポリオレフィン系樹脂シートの一面の少なくとも一部分に、粘着性微小粒子よりなる微粘着性粘着剤層が積層されていることを特徴とする。
上記粘着性微小粒子よりなる微粘着性粘着剤としては、従来公知の任意の粘着性微小粒子よりなる微粘着剤が使用可能であり、例えば、粘着性微小粒子が、サスペンジョン重合された炭素数4〜10の第1級又は第2級アルコールのアクリル酸エステルと2−アクリルアミド−2メチルプロパンスルフォン酸及び/又は2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸塩との共重合体よりなる粘着性粘着剤(例えば、特許文献3)が挙げられる。
上記微粘着性粘着剤層の粘着力は、再剥離性を有し、書籍の紙を破壊しない程度であればよく、一般に剥離力が0.05〜0.5N/25mm幅であるのが好ましい。
尚、剥離力の測定方法は下記の通りである。
厚さ40μmのポリエステルシートに粘着剤を厚さが40±5μmになるように塗布し、80℃で3分間乾燥した後、ステンレススチール板に積層し1kgのロールで3往復押圧して貼着する。その後、23℃、相対湿度65%で1時間放置した後、180°方向に300mm/分の速度で引き剥がして剥離力を測定する。
微粘着性粘着剤層は延伸ポリオレフィン系樹脂シートの一面の少なくとも一部分に積層されていればよく、複数個所に積層されていてもよい。又、微粘着性粘着剤層の厚さは、特に限定されず、一般に10〜40μmである。
請求項2記載のしおりは、そのまま書籍の間に挟んで使用でき、微粘着性粘着剤層で書籍に貼着されているので、書籍を開いても脱落することがない。又、微粘着性粘着剤層は微粘着性なので書籍の紙から剥離する際に紙を破壊することはない。
請求項3記載のしおりは、延伸ポリオレフィン系樹脂シートが長尺シートであり、一端部付近に粘着性微小粒子よりなる微粘着性粘着剤層が積層され、他端部付近に該微粘着性粘着剤層より剥離力の大きい粘着剤層が積層されていることを特徴とする。
上記微粘着性粘着剤層より剥離力の大きい粘着剤層を構成する粘着剤は、微粘着性粘着剤層より剥離力が大きい粘着剤であれば、特に限定されず、従来公知の任意の粘着剤が使用可能であり、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤等があげられ、微粘着性粘着剤であってもよい。上記粘着剤の剥離力は微粘着性粘着剤の剥離力より大きければよいが、しおりであるから0.5〜2.0N/25mm幅が好ましい。又、この粘着剤層の厚さは、特に限定されず、一般に10〜40μmである。
上記微粘着性粘着剤層及び微粘着性粘着剤層より剥離力の大きい粘着剤層には離型紙が積層されていてもよい。
請求項3記載のしおりは、剥離力が大きい粘着剤層でしおりを書籍の表紙に貼着し、微粘着性粘着剤層で書籍の所定頁に貼着することにより、多数の頁又は表紙から所定の頁までを固定することでき書籍を開いても脱落しない。
次に、本発明の実施例を、図面を参照して説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図1は実施例1のしおりを示す断面図である。図中1は延伸ポリオレフィン系樹脂シートであり、一部分に粘着性微小粒子よりなる微粘着性粘着剤層2が積層され、微粘着性粘着剤層2の表面には離型紙3が積層されている。微粘着性粘着剤層2の厚さは20μmであり、剥離力は0.1N/25mm幅であった。
尚、延伸ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法は以下のとおりである。
重量平均分子量(Mw)33万、融点135℃の高密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製)を、同方向二軸混練押出機(プラスチック工学研究所製)に供給して樹脂温度200℃で溶融混練した後、溶融混練物をロール温度110℃に制御したカレンダー成形機にて、幅350mm、厚さ11.3mmにシート成形してポリエチレン樹脂シートを得た。
得られたポリエチレン樹脂シートを125℃に加熱した圧延成形機(積水工機製作所製)を用いて圧延倍率10.3倍に圧延し、幅350mm、厚さ1.10mmの圧延ポリエチレン樹脂シートを得た。得られた圧延ポリエチレン樹脂シートを110℃に加熱された熱風加熱式の多段延伸装置(協和エンジニアリング製)にて1.72倍の多段延伸を行い、総延伸倍率18倍、幅280mm、厚さ800μmの延伸ポリエチレン樹脂シートを得た。
得られた延伸ポリエチレン樹脂シートをピンチロールが設置され、125℃に設定されているライン長19.25mの熱風加熱槽に、入口速度2.75m/minで供給し、出口速度2.75m/minに設定して7分間1次アニールを行い、続いて同様にして2次アニールを行って、アニールされた延伸ポリエチレン樹脂シートを得、その後60℃の恒温槽に供給し、24時間エージングして、エージングされた延伸ポリエチレン樹脂シートを得た。
得られた延伸ポリエチレン樹脂シートを幅10mm、長さ150mmに切断し、延伸ポリエチレン樹脂シートの延伸方向と直交するように180度及び90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過時の折曲げ戻り角度θを測定したところ、それぞれ4度〜7度であった。
(実施例2)
図2は実施例2のしおりを示す断面図である。図中11は積層延伸ポリオレフィン系樹脂シートであり、一端部付近に粘着性微小粒子よりなる微粘着性粘着剤層2が積層され、微粘着性粘着剤層2の表面には離型紙3が積層されている。又、積層延伸ポリオレフィン系樹脂シート11の他端部付近にはアクリル系粘着剤よりなる、微粘着性粘着剤層3より剥離力の大きい粘着剤層4が積層され、粘着剤層4の表面には離型紙3が積層されている。微粘着性粘着剤層2の厚さは20μmであり、剥離力は0.1N/25mm幅であった。又、粘着剤層4の厚さは20μmであり、剥離力は1.0N/25mm幅であった。
図3は実施例2のしおりを本に使用した状態を示す側面図である。図中5は書籍であり、
離型紙3を剥離し、粘着剤層4を書籍5の表紙に貼着し、積層延伸ポリオレフィン系樹脂シート11を二つ折りすることにより、微粘着性粘着剤層2を所定の頁に貼着して固定されている。頁をめくるたびに微粘着性粘着剤層2を剥離し、次の頁に再度貼着することによりしおりとして好適に使用できた。
尚、積層延伸ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法は以下のとおりである。
重量平均分子量(Mw)33万、融点135℃の高密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製)を、同方向二軸混練押出機(プラスチック工学研究所製)に供給して樹脂温度200℃で溶融混練した後、溶融混練物をロール温度110℃に制御したカレンダー成形機にて、幅350mm、厚さ5.66mmにシート成形してポリエチレン樹脂シートを得た。
得られたポリエチレン樹脂シートを125℃に加熱した圧延成形機(積水工機製作所製)を用いて圧延倍率10.3倍に圧延し、幅350mm、厚さ0.55mmの圧延ポリエチレン樹脂シートを得た。得られた圧延ポリエチレン樹脂シートを110℃に加熱された熱風加熱式の多段延伸装置(協和エンジニアリング製)にて1.72倍の多段延伸を行い、総延伸倍率18倍、幅280mm、厚さ400μmの延伸ポリエチレン樹脂シートを得た。
得られた延伸ポリエチレン樹脂シートをピンチロールが設置され、125℃に設定されているライン長19.25mの熱風加熱槽に、入口速度2.75m/minで供給し、出口速度2.75m/minに設定して7分間1次アニールを行い、続いて同様にして2次アニールを行って、アニールされた延伸ポリエチレン樹脂シートを得、その後60℃の恒温槽に供給し、24時間エージングして、エージングされた延伸ポリエチレン樹脂シートを得た。
得られた2枚の延伸ポリエチレン樹脂シートを、それぞれの延伸方向が直交するように積層すると共にその間に厚さ30μmの線状低密度ポリエチレンフィルム(積水フィルム工業社製、商品名「2TN」)を積層し、加熱プレス機に供給し、加熱温度120℃、圧力4.4MPaの条件で15分間プレスして厚さ830μmの2層の積層延伸ポリエチレン樹脂シートを得た。
得られた積層延伸ポリエチレン樹脂シートを幅100mm、長さ150mmに切断し、一方の延伸ポリエチレン樹脂シートの延伸方向と直交するように120度及び90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過時の折曲げ戻り角度θを測定したところ、それぞれ17度〜19度であった。
本発明のしおりは書籍用のしおりとして好適に使用できる。
1 延伸ポリオレフィン系樹脂シート
2 微粘着性粘着剤層
3 離型紙
4 微粘着性粘着剤層より剥離力の大きい粘着剤層
5 書籍

Claims (1)

  1. 180度又は90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過した時の折曲げ戻り角度θが共に20度以下である形状保持性を有する延伸ポリオレフィン系樹脂シートよりなり、該延伸ポリオレフィン系樹脂シートは長尺シートであり、一端部付近に粘着性微小粒子よりなる微粘着性粘着剤層が積層され、他端部付近に該微粘着性粘着剤層より剥離力の大きい粘着剤層が積層されていることを特徴とするしおり。
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