JP2011054693A - フレキシブル太陽電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、支持部材に固定しなくても屈曲した状態で使用することができると共に、曲面には磁石、接着剤、ビス等で容易に固定でき、端部がめくれたり、時間が経過しても剥れにくいフレキシブル太陽電池を提供する。
【解決手段】フレキシブル太陽電池パネルの裏面に、180度又は90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過した時の折曲げ戻り角度θが共に20度以下である形状保持材料である延伸ポリオレフィン系樹脂シートが積層されていることを特徴とするフレキシブル太陽電池。
【選択図】なし
【解決手段】フレキシブル太陽電池パネルの裏面に、180度又は90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過した時の折曲げ戻り角度θが共に20度以下である形状保持材料である延伸ポリオレフィン系樹脂シートが積層されていることを特徴とするフレキシブル太陽電池。
【選択図】なし
Description
本発明は、フレキシブル太陽電池に関する。
太陽エネルギーを利用する太陽電池はクリーンなエネルギー供給源の代表として期待されており、一般に、一般住宅、ビル等の側壁や屋根に太陽電池パネルが設置された太陽光発電装置を敷設して発電されている。又、時計や電卓に電池の代わりとして設置されて使用されている。
太陽電池としてはリジッドタイプとフレキシブルタイプがあり、自動車の屋根や電柱のように曲面に設置する場合はフレキシブル太陽電池を使用することが提案されている。例えば、ゴム磁石を介して車両の屋根に取付けられたアモルファス太陽電池素子からなるフレキシブル太陽電池(例えば、特許文献1参照。)、太陽電池を車体外表面にして取付けるための構造において、フレキシブルな基板上にアモルフェス製のフレキシブル電池素子を積層してなるフレキシブル太陽電池を平板状に形成し、このフレキシブル太陽電池の端縁の少なくとも一部に断面が外側方へ向かって先細り状に鋭角をなす端末部材を取付けたことを特徴とする車両用太陽電池(例えば、特許文献2参照。)等が提案されている。
曲面に固定するには磁石、接着剤、ビス等で固定する必要があるが、フレキシブル太陽電池の表面部材は、フッ化物重合体フィルム、ポリフッ化ビニルフィルム、ナイロンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等の透明なフレキシブル樹脂から形成されているので弾性を有しているので、端部がめくれたり、時間が経過すると剥れてしまうという欠点があった。又、フレキシブル太陽電池は使用する環境や目的に応じて、手で屈曲して使用可能であるが、屈曲後手を放すと上記弾性により元の平面形状に戻るので、支持部材で屈曲した形状に固定しないと屈曲した状態で使用することはできなかった。
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、支持部材に固定しなくても屈曲した状態で使用することができると共に、曲面には磁石、接着剤、ビス等で容易に固定でき、端部がめくれたり、時間が経過しても剥れにくいフレキシブル太陽電池を提供することにある。
即ち、本発明は、
[1]フレキシブル太陽電池パネルの裏面に、180度又は90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過した時の折曲げ戻り角度θが共に20度以下である形状保持材料である延伸ポリオレフィン系樹脂シートが積層されていることを特徴とするフレキシブル太陽電池、
[2]延伸ポリオレフィン系樹脂シートが、重量平均分子量が10万〜50万のポリオレフィン系樹脂シートが延伸倍率5倍以上に延伸されてなることを特徴とする前記[1]記載のフレキシブル太陽電池、
[3]延伸ポリオレフィン系樹脂シートが、重量平均分子量が10万〜50万のポリオレフィン系樹脂シートが圧延倍率5倍以上に圧延された後、総延伸倍率が10〜40倍に一軸延伸されてなることを特徴とする前記[1]記載のフレキシブル太陽電池、及び、
[4] 延伸ポリオレフィン系樹脂シートが、重量平均分子量が10万〜50万のポリオレフィン系樹脂シートが圧延倍率5倍以上に圧延されてなることを特徴とする前記[1]記載のフレキシブル太陽電池
に関する。
[1]フレキシブル太陽電池パネルの裏面に、180度又は90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過した時の折曲げ戻り角度θが共に20度以下である形状保持材料である延伸ポリオレフィン系樹脂シートが積層されていることを特徴とするフレキシブル太陽電池、
[2]延伸ポリオレフィン系樹脂シートが、重量平均分子量が10万〜50万のポリオレフィン系樹脂シートが延伸倍率5倍以上に延伸されてなることを特徴とする前記[1]記載のフレキシブル太陽電池、
[3]延伸ポリオレフィン系樹脂シートが、重量平均分子量が10万〜50万のポリオレフィン系樹脂シートが圧延倍率5倍以上に圧延された後、総延伸倍率が10〜40倍に一軸延伸されてなることを特徴とする前記[1]記載のフレキシブル太陽電池、及び、
[4] 延伸ポリオレフィン系樹脂シートが、重量平均分子量が10万〜50万のポリオレフィン系樹脂シートが圧延倍率5倍以上に圧延されてなることを特徴とする前記[1]記載のフレキシブル太陽電池
に関する。
本発明のフレキシブル太陽電池の構成は上述の通りであり、屈曲した形状をそのままの形状で保持する形状保持性を有しており、支持部材に固定しなくても屈曲した状態で使用することができると共に、曲面には磁石、接着剤、ビス等で容易に固定でき、端部がめくれたり、時間が経過しても剥れにくい。
本発明のフレキシブル太陽電池は、フレキシブル太陽電池パネルの裏面に、180度又は90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過した時の折曲げ戻り角度θが共に20度以下である形状保持材料である延伸ポリオレフィン系樹脂シートが積層されていることを特徴とする。
上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートは、180度又は90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過した時の折曲げ戻り角度θが共に20度以下である形状保持材料である。
上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートは形状保持性を有しているが、形状保持性は、延伸ポリオレフィン系樹脂シートを延伸方向と直角方向に180度又は90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過した時の折曲げ戻り角度θが共に20度以下であり、好ましくは180度折曲げ戻り角度θが20度以下で且つ90度折曲げ戻り角度θが20度未満、更に好ましくは180度折曲げ戻り角度θが20度以下で且つ90度折曲げ戻り角度θが15度以下である。180度及び90度折曲げ時の折曲げ戻り角度θのいずれか一方、特に90度折曲げ戻り角度θが20度を越えると、充分な形状保持性が得られないことがある。
上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートを構成するポリオレフィン系樹脂としては、フィルム形成能を有する任意のオレフィン系樹脂が使用でき、例えば、高密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、線状低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ペンテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体、エチレン―酢酸ビニル共重合体、エチレン―(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン―塩化ビニル共重合体、エチレン―プロピレン―ブテン共重合体等が挙げられ、高密度ポリエチレン樹脂及びポリプロピレン樹脂が好適に使用される。
上記ポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量は、重量平均分子量が10万未満の場合には、脆くなり、延伸性が低下したり、十分な機械的強度又は耐クリープ性を有する延伸ポリオレフィン系樹脂シートを得ることができにくくなり、逆に、50万を超えると、溶融粘度が高くなり、熱溶融成形加工性が低下し、均一なシートが得られにくくなるので10万〜50万が好ましい。尚、本発明において、重量平均分子量はゲルパーミェーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定された値である。
又、上記ポリオレフィン系樹脂のメルトインデックス(以下、MI)はフィルム成形性が優れている0.1〜20(g/10分)が好ましく、より好ましくは0.2〜10(g/10分)である。尚、MIとは、JIS K 7210に規定されている熱可塑性樹脂の溶融粘度を表す指標である。更に、高密度ポリエチレン樹脂の場合は、密度は小さくなると延伸しても機械的強度が向上しなくなるので、0.94g/cm3以上が好ましい。
上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートとしては、重量平均分子量が10万〜50万のポリオレフィン系樹脂シートが延伸倍率5倍以上に一軸延伸された形状保持性を有する延伸ポリオレフィン系樹脂シートが好ましい。
この場合は、ポリオレフィン系樹脂としては極限粘度[η]3.5dl/g未満の高密度ポリエチレン樹脂が好ましく、ガラス繊維、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、アルミナ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカアルミナ、酸化チタン、酸化カルシウム、珪酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭素繊維、カーボンブラック等の無機機充填材を添加するのが好ましい。
延伸前のポリオレフィン系樹脂シートの厚みは特に限定されるものではないが、厚過ぎると、延伸が困難になるし、逆に、薄過ぎると、延伸後のポリオレフィン系樹脂シートの厚みが薄くなり過ぎ、形状保持性が低下するので、0.2〜15.0mmが望ましい。
上記延伸された延伸ポリオレフィン系樹脂シートは、延伸倍率は5倍以上であって、形状保持性を有していればよいが、10〜40倍が好ましい。又、延伸方法は、従来公知の任意の方法が採用されればよく、例えば、ロール一軸延伸法、ゾーン一軸延伸法等の一軸延伸法により、ヒータや熱風により加熱しながら延伸する方法が挙げられる。
一軸延伸する際に10〜40倍と高度に延伸する場合は、一軸延伸を複数回繰り返す多段一軸延伸する方法が好ましい。多段一軸延伸を行う場合の延伸回数は2〜20回が好ましく、より好ましくは3〜15回、更に好ましくは4〜10回である。又、ロール一軸延伸法により多段延伸を行う場合には、繰出ピンチロール、引取ピンチロール及びこれらのロール間に一定速度で回転する少なくとも1つの、好ましくは複数の接触ロールを設置することが望ましい。このような接触ロールを設置することにより、均一延伸性が高められ、安定な延伸成形を行うことができる。
上記接触ロールは、ピンチされることなく、ポリオレフィン系樹脂シートに摩擦力を与えることにより一軸延伸を行う。又、接触ロールは繰出ロール及び/又は引取ロールに対し、ギア、チェーン、プーリー、ベルト若しくはこれらの組み合わせからなる連結部材により連結されていてもよい。
一軸延伸温度は、低くなると均一に延伸できず、高くなるとシートが溶融切断するので、延伸するポリオレフィン系樹脂シートのポリオレフィン系樹脂の「融点−60℃」〜融点の範囲が好ましく、より好ましくは、ポリオレフィン系樹脂の「融点−50℃」〜「融点−5℃」である。
上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートの寸法安定性を向上させるために、延伸ポリオレフィン系樹脂シートはポリオレフィン系樹脂の「融点−60℃」〜融点の温度でアニールしてもよい。アニール温度は、低くなると寸法安定性が向上せず、長時間使用するとそりが発生し、高くなるとポリオレフィン系樹脂が溶解して配向が消滅し引張弾性率、引張強度等が低下するので、ポリオレフィン系樹脂の「融点−60℃」〜融点の温度でアニールするのが好ましい。
アニールとは生産ライン中で熱処理を行うことであり、アニールする際に、延伸ポリオレフィン系樹脂シートに大きな張力がかかっていると延伸され、張力がかかっていないか、非常に小さい状態では収縮するので、延伸ポリオレフィン系樹脂シートの延伸方向の長さが実質的に変化しないようにした状態で行うことが好ましく、延伸ポリオレフィン系樹脂シートに圧力もかかっていないのが好ましい。即ち、アニールされた延伸ポリオレフィン系樹脂シートの長さが、アニール前の延伸ポリオレフィン系樹脂シートの長さの1.0以下になるようにアニールするのが好ましい。
従って、延伸ポリオレフィン系樹脂シートをピンチロール等のロールで加熱室内を移動しながら連続的にアニールする場合は、入口側と出口側のポリオレフィン系樹脂シートの送り速度比を1.0以下になるように設定してアニールするのが好ましい。
アニールする際の加熱方法は、特に限定されるものではなく、例えば、熱風、ヒータ、加熱板、温水等で加熱する方法があげられる。アニールする時間は、特に限定されず、延伸されたポリオレフィン系樹脂シートの厚さやアニール温度により異なるが、一般に10秒以上が好ましく、より好ましくは30秒〜60分であり、更に好ましくは1〜20分である。
又、異なる好ましい延伸ポリオレフィン系樹脂シートとして、重量平均分子量が10万〜50万のポリオレフィン系樹脂シートが圧延倍率5倍以上に圧延された後、総延伸倍率が10〜40倍に一軸延伸された延伸ポリオレフィン系樹脂シートが挙げられる。
上記圧延前のポリオレフィン系樹脂シートの厚みは特に限定されるものではないが、厚過ぎると、延伸が困難になるし、圧延工程において、ポリオレフィン系樹脂シートを圧延ロールで押しつぶすのに大きな加圧力や引取力が必要となり、圧延ロールの撓みなどにより幅方向に均一な圧延が困難となることがある、逆に、薄過ぎると、圧延後のポリオレフィン系樹脂シートの厚みが薄くなり過ぎ、均一な圧延が困難となるだけでなく、圧延ロール同士が接触して圧延ロールの寿命が短くなることがあるので、0.2〜15.0mmが望ましい。
上記ポリオレフィン系樹脂シートは、先ず、最初に圧延倍率5倍以上に圧延されるが、圧延温度は、低くなると均一に圧延できず、高くなると溶融切断するので、圧延する際のロール温度は、圧延するポリオレフィン系樹脂シートのオレフィン系樹脂の「融点−40℃」〜融点の範囲が好ましく、より好ましくは、オレフィン系樹脂の「融点−30℃」〜「融点−5℃」である。尚、本発明において、融点とは示差走査型熱量測定機(DSC)で熱分析を行った際に認められる、結晶の融解に伴う吸熱ピークの最大点をいう。
圧延ロールによりポリオレフィン系樹脂シートに負荷される加圧力(線圧)が小さ過ぎると所定の圧延倍率を得ることが出来なくなることがあり、逆に大き過ぎると圧延ロールの撓みが生じるだけでなく、圧延ロールと原反シートとの間ですべりが生じ易くなり、均一な圧延が困難となることがあるので加圧力は、100MPa〜3000MPaが好ましく、より好ましくは、300MPa〜1000MPaである。
上記圧延倍率は、圧延倍率が5倍未満の場合には、後で行われる一軸延伸時のネッキングを抑制する効果が得られなかったり、高倍率一軸延伸を行うことができなかったり、一軸延伸工程に負担がかかることになるので、5倍以上であり、好ましくは7倍以上である。圧延倍率に特に上限はないが、圧延倍率が高いほど圧延設備に負荷がかかるので10倍以下が好ましい。尚、圧延倍率は(ポリオレフィン系樹脂シートの断面積)/(圧延後ポリオレフィン系樹脂シートの断面積)で定義されるが、圧延の前後においてポリオレフィン系樹脂シートの幅は殆ど変化しないので、(ポリオレフィン系樹脂シートの厚み)/(圧延後のポリオレフィン系樹脂シートの厚み)であってもよい。
圧延されたポリオレフィン系樹脂シートは、次に、総延伸倍率が10〜40倍に一軸延伸される。一軸延伸方法は、特に限定されず、前述の一軸延伸方法が採用されればよい。又、一軸延伸倍率は、総延伸倍率が10〜40倍であるから、圧延倍率を考慮し、総延伸倍率がこの範囲にはいるように決定すればよいが、一軸延伸が少ないと機械的強度が向上しないので、1.3倍以上が好ましく、より好ましくは1.5倍以上であり、更に好ましくは1.8倍以上である。又、上限は特に限定されるものではないが、4倍以下が好ましく、より好ましくは3.5倍以下である。尚、総延伸倍率は圧延倍率と一軸延伸倍率を乗じた数値である。
又、更に異なる好ましい延伸ポリオレフィン系樹脂シートとして、重量平均分子量が10万〜50万のポリオレフィン系樹脂シートが圧延倍率5倍以上に圧延された延伸ポリオレフィン系樹脂シートが挙げられる。即ち、圧延のみで一軸延伸をしなくても、180度及び90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過した時の折曲げ戻り角度θが共に20度以下である形状保持性を有する延伸ポリオレフィン系樹脂シートも好適に使用できる。
上記圧延前のポリオレフィン系樹脂シートの厚みは特に限定されるものではないが、厚過ぎると、圧延工程において、ポリオレフィン系樹脂シートを圧延ロールで押しつぶすのに大きな加圧力や引取力が必要となり、圧延ロールの撓みなどにより幅方向に均一な圧延が困難となることがあり、逆に、薄過ぎると、圧延後のポリオレフィン系樹脂シートの厚みが薄くなり過ぎ、均一な圧延が困難となるだけでなく、圧延ロール同士が接触して圧延ロールの寿命が短くなることがあるので、0.2〜15.0mmが望ましい。
上記圧延工程を含む延伸方法で延伸された延伸ポリオレフィン系樹脂シートも寸法安定性を向上させるために、延伸ポリオレフィン系樹脂シートはポリオレフィン系樹脂の「融点−60℃」〜融点であって、圧延温度以下の温度でアニールしてもよい。
アニール温度は、低くなると寸法安定性が向上せず、長時間使用するとそりが発生し、高くなるとポリオレフィン系樹脂が溶解して配向が消滅し引張弾性率、引張強度等が低下するので、ポリオレフィン系樹脂の「融点−60℃」〜融点であって、圧延温度以下の温度でアニールするのが好ましい。その他のアニール方法は前述の通りである。
アニールした延伸ポリオレフィン系樹脂シートを、更に、40℃〜ポリオレフィン系樹脂の融点の温度範囲でエージングしてもよい。エージングすることによりアニールされたポリオレフィン系樹脂シートの寸法安定性はより優れたものとなる。
エージングとは、生産ライン中連続で処理するものではなく、延伸ポリオレフィン系樹脂シートをカット巻回等の一度加工した、枚葉物、巻物等の熱処理を、比較的長い時間(分、時間単位)じっくり寝かせて熱処理することを意味する。エージング温度は、低くなると常温で放置するのと同様になり、高くなると熱変形するので40℃〜ポリオレフィン系樹脂の融点の温度範囲であり、エージング時間は短時間では効果がなく、長時間しすぎても効果が増大することはないので12時間〜7日が好ましい。
延伸ポリオレフィン系樹脂シートの厚みは特に限定されるものではないが、薄くなると形状保持性が低下するので0.04〜2mmが好ましい。
上記ポリオレフィン系樹脂シートに、必要に応じて、熱安定剤、耐熱向上剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、衝撃改良剤、防曇剤、難燃剤、着色剤等が添加されてもよい。
又、延伸ポリオレフィン系樹脂シートは上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートを2枚以上積層した積層延伸ポリオレフィン系樹脂シートでもよい。積層されている各延伸ポリオレフィン系樹脂シートの延伸方向は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
延伸方向が異なる延伸ポリオレフィン系樹脂シートが複数層積層された積層延伸ポリオレフィン系樹脂シートとしては、例えば、延伸方向が直交するように2枚の延伸ポリオレフィン系樹脂シートが積層された積層延伸ポリオレフィン系樹脂シート、延伸方向を60度ずつずらして3枚の延伸ポリオレフィン系樹脂シートが積層された積層延伸ポリオレフィン系樹脂シート、延伸方向を45度ずつずらして4枚の延伸ポリオレフィン系樹脂シートが積層された積層延伸ポリオレフィン系樹脂シート等があげられる。
上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートは延伸方向と直交する方向に屈曲すると形状保持性を有しており、延伸方向が異なる2枚以上の延伸ポリオレフィン系樹脂シートが接着されていると2枚以上の延伸ポリオレフィン系樹脂シートの延伸方向により任意の方向への形状保持性が向上し、延伸ポリオレフィン系樹脂シートの延伸方向と屈曲方向が同一であっても延伸ポリオレフィン系樹脂シートが割れにくくなる。
延伸ポリオレフィン系樹脂シートを積層する方法は、従来公知の任意の方法が採用されればよく、例えば、第2のポリオレフィン系樹脂シートを延伸ポリオレフィン系樹脂シートの間に供給して加熱接着する方法、延伸ポリオレフィン系樹脂シートの間に第2のポリオレフィン系樹脂を溶融押出して接着積層する方法等があげられる。
上記第2のポリオレフィン系樹脂としては、延伸ポリオレフィン系樹脂シートを接着するのであるから、前述の延伸ポリオレフィン系樹脂シートを構成するポリオレフィン系樹脂と同一種類のものが好ましいが、延伸ポリオレフィン系樹脂シートを熱融着する際に接着剤として作用するのであるから、延伸ポリオレフィン系樹脂シートを構成するポリオレフィン系樹脂の溶融温度より低い溶融温度のポリオレフィン系樹脂が好ましく、線状低密度ポリエチレン樹脂が好ましい。
第2のポリオレフィン系樹脂(シート)の厚さは特に限定されるものではないが、薄くなりすぎると接着しにくくなり、厚すぎると延伸ポリオレフィン系樹脂シートの形状保持性が低下するので、一般に5〜150μmであり、好ましくは20〜80μmである。
尚、上記積層延伸ポリオレフィン系樹脂シートにおいても、積層された延伸ポリオレフィン系樹脂シートのうちの少なくとも一層の延伸ポリオレフィン系樹脂シートの延伸方向と直角となるように180度及び90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過した時の折曲げ戻り角度θが共に20度以下である形状保持性を有する。
延伸ポリオレフィン系樹脂シートの厚みは特に限定されるものではないが、薄くなると形状保持性が低下するので0.04〜2.0mmが好ましい。積層延伸ポリオレフィン系樹脂シートは上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートを積層するので、厚いシートも製造可能であるが、厚すぎると曲げにくくなり、形状保持性も低下するので0.08〜4.0mmが好ましい。
上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートはフレキシブル太陽電池パネルの裏面に積層されるが、フレキシブル太陽電池パネルの裏面の全面に積層されてもよいし、部分的に積層されてもよい。又、積層方法も特に限定されず、従来公知の任意の方法で積層されればよいが、接着剤で接着積層されるのが好ましい。
上記接着剤としては、延伸ポリオレフィン系樹脂シートをフレキシブル太陽電池パネルの裏面に接着しうる接着剤であれば特に限定されず、例えば、ポリエステル系、ポリオレフィン系等のホットメルト型接着剤、反応性接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤及びゴム系、アクリル系、ウレタン系、シリコン系等の粘着剤が挙げられる。接着剤の厚さは、一般に、10〜200μmである。
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
重量平均分子量(Mw)33万、融点135℃の高密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製)を、同方向二軸混練押出機(プラスチック工学研究所製)に供給して樹脂温度200℃で溶融混練した後、溶融混練物をロール温度110℃に制御したカレンダー成形機にて、幅350mm、厚さ11.3mmにシート成形してポリエチレン樹脂シートを得た。
重量平均分子量(Mw)33万、融点135℃の高密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製)を、同方向二軸混練押出機(プラスチック工学研究所製)に供給して樹脂温度200℃で溶融混練した後、溶融混練物をロール温度110℃に制御したカレンダー成形機にて、幅350mm、厚さ11.3mmにシート成形してポリエチレン樹脂シートを得た。
得られたポリエチレン樹脂シートを125℃に加熱した圧延成形機(積水工機製作所製)を用いて圧延倍率10.3倍に圧延し、幅350mm、厚さ1.10mmの圧延ポリエチレン樹脂シートを得た。得られた圧延ポリエチレン樹脂シートを110℃に加熱された熱風加熱式の多段延伸装置(協和エンジニアリング製)にて1.72倍の多段延伸を行い、総延伸倍率18倍、幅280mm、厚さ0.80mmの延伸ポリエチレン樹脂シートを得た。
得られた延伸ポリエチレン樹脂シートをピンチロールが設置され、125℃に設定されているライン長19.25mの熱風加熱槽に、入口速度2.75m/minで供給し、出口速度2.75m/minに設定して7分間1次アニールを行い、続いて同様にして2次アニールを行って、アニールされた延伸ポリエチレン樹脂シートを得、その後60℃の恒温槽に供給し、24時間エージングして、エージングされた延伸ポリエチレン樹脂シートを得た。
得られた延伸ポリエチレン樹脂シートを幅10mm、長さ150mmに切断し、延伸ポリエチレン樹脂シートの延伸方向と直交するように180度及び90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過時の折曲げ戻り角度θを測定したところ、それぞれ4度〜7度であった。
得られた延伸ポリエチレン樹脂シートを延伸方向と長さ方向が一致するように、幅100mm、長さ150mmに切断し、その一面にアクリル系粘着剤を塗布し、厚さ40μmの接着剤層を形成し、100×150mmのフレキシブル太陽電池パネルの裏面に接着した。
裏面に延伸ポリエチレン樹脂シートを接着して得られたフレキシブル太陽電池パネルを延伸ポリエチレン樹脂シートの延伸方向と直交するように120度及び90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過時の折曲げ戻り角度θを測定したところ、それぞれ10度〜15度であった。
(実施例2)
重量平均分子量(Mw)33万、融点135℃の高密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製)を、同方向二軸混練押出機(プラスチック工学研究所製)に供給して樹脂温度200℃で溶融混練した後、溶融混練物をロール温度110℃に制御したカレンダー成形機にて、幅350mm、厚さ5.6mmにシート成形してポリエチレン樹脂シートを得た。
重量平均分子量(Mw)33万、融点135℃の高密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製)を、同方向二軸混練押出機(プラスチック工学研究所製)に供給して樹脂温度200℃で溶融混練した後、溶融混練物をロール温度110℃に制御したカレンダー成形機にて、幅350mm、厚さ5.6mmにシート成形してポリエチレン樹脂シートを得た。
得られたポリエチレン樹脂シートを125℃に加熱した圧延成形機(積水工機製作所製)を用いて圧延倍率10.3倍に圧延し、幅350mm、厚さ0.55の圧延ポリエチレン樹脂シートを得た。得られた圧延ポリエチレン樹脂シートを110℃に加熱された熱風加熱式の多段延伸装置(協和エンジニアリング製)にて1.72倍の多段延伸を行い、総延伸倍率18倍、幅280mm、厚さ0.40mmの延伸ポリエチレン樹脂シートを得た。
得られた延伸ポリエチレン樹脂シートをピンチロールが設置され、125℃に設定されているライン長19.25mの熱風加熱槽に、入口速度2.75m/minで供給し、出口速度2.75m/minに設定して7分間1次アニールを行い、続いて同様にして2次アニールを行って、アニールされた延伸ポリエチレン樹脂シートを得、その後60℃の恒温槽に供給し、24時間エージングして、エージングされた延伸ポリエチレン樹脂シートを得た。
得られた2枚の延伸ポリエチレン樹脂シートを、それぞれの延伸方向が直交するように積層すると共にその間に厚さ30μmの線状低密度ポリエチレンフィルム(積水フィルム工業社製、商品名「2TN」)を積層し、加熱プレス機に供給し、加熱温度120℃、圧力4.4MPaの条件で15分間プレスして厚さ0.83mmの4層の積層延伸ポリエチレン樹脂シートを得た。
得られた積層延伸ポリエチレン樹脂シートを幅100mm、長さ150mmに切断し、その一面に線状低密度ポリエチレン樹脂を溶融押出して厚さ50μmの接着剤層を形成すると同時に100×150mmのフレキシブル太陽電池パネルの裏面に接着した。
裏面に積層延伸ポリエチレン樹脂シートを接着して得られたフレキシブル太陽電池パネルを延伸ポリエチレン樹脂シートの延伸方向と直交するように120度及び90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過時の折曲げ戻り角度θを測定したところ、それぞれ17度〜19度であった。
本発明のフレキシブル太陽電池パネルは、屈曲した形状をそのままの形状で保持する形状保持性を有しており、支持部材に固定しなくても屈曲した状態で使用することができるので太陽光との角度を所定の角度に保つことができ、何処でも効率よく発電することができる。又、曲面には磁石、接着剤、ビス等で容易に固定でき、端部がめくれたり、時間が経過しても剥れにくいので、曲面を有する物体に確実に固定することができ、効率よく発電することができる。
Claims (4)
- フレキシブル太陽電池パネルの裏面に、180度又は90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過した時の折曲げ戻り角度θが共に20度以下である形状保持材料である延伸ポリオレフィン系樹脂シートが積層されていることを特徴とするフレキシブル太陽電池。
- 延伸ポリオレフィン系樹脂シートが、重量平均分子量が10万〜50万のポリオレフィン系樹脂シートが延伸倍率5倍以上に延伸されてなることを特徴とする請求項1記載のフレキシブル太陽電池。
- 延伸ポリオレフィン系樹脂シートが、重量平均分子量が10万〜50万のポリオレフィン系樹脂シートが圧延倍率5倍以上に圧延された後、総延伸倍率が10〜40倍に一軸延伸されてなることを特徴とする請求項1記載のフレキシブル太陽電池。
- 延伸ポリオレフィン系樹脂シートが、重量平均分子量が10万〜50万のポリオレフィン系樹脂シートが圧延倍率5倍以上に圧延されてなることを特徴とする請求項1記載のフレキシブル太陽電池。
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-
2009
- 2009-08-31 JP JP2009200925A patent/JP2011054693A/ja not_active Withdrawn
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CN111725333A (zh) * | 2020-06-30 | 2020-09-29 | 广东德恒龙焱能源科技有限公司 | 一种高效太阳能薄膜电池 |
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