JP4339811B2 - 積層成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートと延伸オレフィン系樹脂シートの積層成形体及びこの積層成形体を芯材とし、外装建材として好適に使用できる積層成形体に関する。
塩化ビニル系樹脂は耐水性、難燃性、機械的特性等が優れ、且つ価格が比較的安価であるので、建築部材の材料として広く使用されている。例えば、雨樋は、一般的に硬質塩化ビニル系樹脂を押出成形により成形している。
しかし、硬質塩化ビニル系樹脂成形体の線膨張係数は7.0×10-3(1/℃)と大きいので、硬質塩化ビニル系樹脂製雨樋を設置する際には、雨樋の伸縮を吸収しうる継手で接続したり、端部をフリーにする必要があったが、雨樋の長さが長くなると、継手が大きくなり、外観が悪く且つ長期にわたって使用すると継手部分が破損することがあった。又、雨樋自身も伸縮の繰り返しにより、ひび割れやそりが発生し、長期間使用する際の信頼性が低いという欠点があった。
そのため、線膨張係数の低い雨樋の検討が種々なされている。例えば、塩化ビニル樹脂100重量部に対して、マイカ20〜35重量部と、炭酸カルシウム20〜40重量部と、加工助剤5〜15重量部とを添加した塩化ビニル系樹脂組成物からなることを特徴とする塩化ビニル系樹脂製雨樋(例えば、特許文献1参照。)が提案されている。
特許第2905260号公報
上記雨樋は、塩化ビニル系樹脂にマイカと炭酸カルシウムを添加し雨樋の線膨張係数を低くしているが、塩化ビニル系樹脂を主体とするものであり、マイカと炭酸カルシウムの添加量が少ないと線膨張係数が依然として高く、添加量を多くすると雨樋の耐衝撃性、耐久性が低下するという欠点があった。
又、補強材としてガラス繊維を含浸したり、金属薄板を積層した雨樋も提案されている。例えば、熱可塑性樹脂と強化繊維とからなる複合シートが所要断面形状に賦形され、かつ、その表面に熱可塑性樹脂が押出被覆されているとともに、上記複合シートは、少なくともその賦形部分に強化短繊維がランダム配向していることを特徴とする複合成形品(例えば、特許文献2参照。)、金属薄板を芯材とし、この芯材両面に合成樹脂を被覆してシート材を形成し、このシート材に折曲治具先端部を押し当てて断面略コ字型に折曲形成して成る雨樋において、内面側となる前記合成樹脂の折曲位置に、折曲治具先端部がガイドされる凹溝を設けて成ることを特徴とする雨樋(例えば、特許文献3参照。)等が提案されている。
特開平11−19998号公報 特開平9−279783号公報
しかしながら、前者の雨樋は熱可塑性樹脂と強化繊維とからなり、短繊維がランダムに配向した複合シートを作成し、所要断面形状に賦形した後に、その表面に熱可塑性樹脂を押出被覆しなければならず、その製造が困難であり、又、雨樋を施工する際に切断するとガラス繊維粉末が飛散し作業性が悪く、環境衛生上問題があり、且つ、廃棄する際に問題があった。
後者の雨樋は、金属薄板が芯材として積層されているので、重量が重くなり、切断作業が困難であり、且つ、雨樋の端部に金属薄板が露出するので経時により錆が発生し、腐食により耐久性が低下するという欠点があった。
更に、金属薄板からなる芯材やガラス繊維を使用せず、線膨張係数の低い雨樋として、例えば、20〜80℃の平均線膨張率が5×10-5(/℃)以下であるポリオレフィン延伸材料の表面に、該ポリオレフィンを溶解する低分子化合物を付着させた後、加圧・加熱により前記ポリオレフィン延伸材料を接着した、20〜80℃の平均線膨張率が5×10-5(/℃)以下であるポリオレフィン成形体(例えば、特許文献4参照。)、熱可塑性樹脂を押し出し成形した後、更に、この押し出し成形したものを延伸して引き延ばすことで分子を一方向に配向し、熱可塑性合成樹脂の線膨張係数が6×10-5/℃以下で且つ厚みが0.5mmより厚いことを特徴とする合成樹脂雨樋(例えば、特許文献5参照。)等が提案されている。
特開平10−291250号公報 特開2002−285685号公報
しかしながら、前者の雨樋はポリオレフィン延伸材料は20〜40倍と高度に延伸したシートであり、延伸方向に沿って割れやすく耐衝撃性が悪いという欠点を有しており、これを防ぐために硬質塩化ビニル系樹脂、AES樹脂等と積層しようとすると、ポリオレフィンはこれらの樹脂より融点が低いためポリオレフィンの延伸状態が崩れ、線膨張係数が高くなるという欠点があった。
更に、後者の雨樋は押し出し成形した雨樋を単に延伸したものなので、延伸方向に沿って割れやすく耐衝撃性が悪いという欠点を有していた。
本発明の目的は、上記欠点に鑑み、線膨張係数が低く、軽量で、耐衝撃性、耐久性、作業性、生産性等が優れている積層成形体、特に、雨樋等の外装建材として好適に使用できる積層成形体を提供することにある。
本発明の請求項1記載の積層体は、非晶状態の熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを、該熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度−20℃〜該熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度+20℃の温度の一対のロール間を通して引き抜いて延伸した後、該ロールの温度より高い温度で一軸延伸して得られた延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートと延伸オレフィン系樹脂シートが積層されていることを特徴とする。
請求項2記載の積層成形体は、表面が延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートであることを特徴とする請求項1記載の積層成形体である。
請求項3記載の積層体は、一軸延伸温度が、昇温速度1℃/minで測定した示差操作熱量曲線での熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化ピークの立ち上がり温度〜融解ピークの立ち上がり温度であることを特徴とする請求項1又は2記載の積層成形体である。
請求項4記載の積層体は、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートが、一軸延伸温度より高い温度で熱固定されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の積層成形体である。
請求項5記載の積層体は、熱固定温度が、一軸延伸温度〜昇温速度1℃/minで測定した示差操作熱量曲線での熱可塑性ポリエステル系樹脂の融解ピークの立ち上がり温度であることを特徴とする請求項4記載の積層成形体である。
請求項6記載の積層体は、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの延伸倍率が3〜8倍であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の積層成形体である。
請求項7記載の積層体は、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートと延伸オレフィン系樹脂シートまたは、2枚以上の延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートが、延伸方向が略同一方向になるように積層されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の積層成形体である。
請求項8記載の積層体は、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートと延伸オレフィン系樹脂シートまたは、2枚以上の延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートが、延伸方向が略同一方向になるように積層されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の積層成形体である。
請求項9記載の積層体は、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートと延伸オレフィン系樹脂シートまたは、2枚以上の延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートが、熱可塑性ポリエステル系樹脂の融点より低い融点を有するホットメルト型接着剤、反応性接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤及びゴム系接着剤よりなる群から選ばれた1種類又は2種類以上の接着剤で接着されていることを特徴とする請求項8記載の積層成形体である。
請求項10記載の積層体は、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートと延伸オレフィン系樹脂シートまたは、2枚以上の延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの間に、織布及び/又は不織布が積層されていることを特徴とする請求項8記載の積層成形体である。
請求項11記載の積層体は、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートと延伸オレフィン系樹脂シートまたは、2枚以上の延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの間に、熱可塑性ポリエステル系樹脂の融点より低い融点を有するホットメルト型接着剤、反応性接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤及びゴム系接着剤よりなる群から選ばれた1種類又は2種類以上の接着剤が含浸している織布及び/又は不織布が積層・接着されていることを特徴とする請求項8記載の積層成形体である。
請求項12記載の積層体は、延伸オレフィン系樹脂シートが、総延伸倍率10〜40倍のポリエチレン系樹脂シートであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項記載の積層成形体である。
請求項13記載の積層体は、総延伸倍率10〜40倍が、圧延倍率5〜10倍と延伸倍率1.3〜4倍よりなることを特徴とする請求項12記載の積層成形体である。
請求項14記載の積層体は、更に、両面に熱可塑性樹脂層が積層されていることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項記載の積層成形体である。
請求項15記載の積層体は、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートと熱可塑性樹脂層が、熱可塑性ポリエステル系樹脂の融点より低い融点を有するホットメルト型接着剤反応性接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤及びゴム系接着剤よりなる群から選ばれた1種類又は2種類以上の接着剤で接着されていることを特徴とする請求項14記載の積層成形体である。
請求項16記載の積層体は、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートと熱可塑性樹脂層の間に、織布及び/又は不織布が積層されていることを特徴とする請求項14記載の積層成形体である。
請求項17記載の積層体は、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートと熱可塑性樹脂層の間に、熱可塑性ポリエステル系樹脂の融点より低い融点を有するホットメルト型接着剤、反応性接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤及びゴム系接着剤よりなる群から選ばれた1種類又は2種類以上の接着剤が含浸している織布及び/又は不織布が積層・接着されていることを特徴とする請求項14記載の積層成形体である。
請求項18記載の積層体は、積層成形体が、外装建材であることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項記載の積層成形体である。
本発明で使用される熱可塑性ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリグリコール酸、ポリ(L−乳酸)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート/ヒドロキシバリレート)、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンサクシネート/乳酸、ポリブチレンサクシネート/カーボネート、ポリブチレンサクシネート/テレフタレート、ポリブチレンアジペート/テレフタレート、ポリテトラメチレナジペート/テレフタレート、ポリブチレンサクシネート/アジペート/テレフタレート等が挙げられ、耐熱性の優れたポリエチレンテレフタレートが好ましい。
又、極限粘度が低すぎるとシート作成時にドローダウンを起こしやすく、高すぎると、延伸しても機械的強度(特に弾性率)が上昇しないので、0.6〜1.0が好ましい。
熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの厚みは特に限定されないが、0.1mm未満では、延伸後のシート厚みが薄くなりすぎ、取扱いに際しての強度が十分な大きさとならないことがあり、5mmを超えると延伸が困難となることがあるので0.1〜5mmが好ましく、より好ましくは0.2〜3mmである。
本発明で使用される延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートは、非晶状態の熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを、該熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度−20℃〜該熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度+20℃の温度の一対のロール間を通して引き抜いて延伸した後、該ロールの温度より高い温度で一軸延伸して得られた延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートである
上記引抜延伸する際の一対のロールの温度は、低温であると熱可塑性ポリエステル系樹脂シートが硬すぎて引き抜くことができず、高温になると熱可塑性ポリエステル系樹脂シートが柔らかくなりシートを引き抜く張力によりシートが切断されるので、該熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度−20℃〜該熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度+20℃の温度範囲であり、好ましくは該熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度〜該熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度+10℃の温度範囲である。
又、非晶状態の熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを引き抜く際に、ロールは回転している必要はないが、温度分布を均一にするために引き抜き方向にわずかに回転していてもよい。
上記一次延伸の延伸倍率は、特に限定されるものではないが、延伸倍率が低いと、引張強度、引張弾性率に優れたシートが得られず、高くなると延伸時にシートの破断が生じやすくなるので、2〜9倍が好ましく、より好ましくは2.5〜7倍である。
引抜延伸された熱可塑性ポリエステル系樹脂シートのポリエステル系樹脂は、延伸の阻害要因となる熱による等方的な結晶化及び配向が抑えられた状態で分子鎖は高度に配向しているので強度及び弾性率が優れているが結晶化度は低いので、加熱されると配向は容易に緩和され弾性率は低下してしまうという欠点を有している。
しかし、この引抜延伸された熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを、該ロールの温度より高い温度で一軸延伸することにより配向が緩和されることなく結晶化度が上昇し、加熱されても配向が容易に緩和されない耐熱性の優れた一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートが得られる。
上記一軸延伸する方法としてはロール延伸法が好適に用いられる。ロール延伸法とは、速度の異なる2対のロール間に延伸原反を挟み、延伸原反を加熱しつつ引っ張る方法であり、一軸方向のみに強く分子配向させることができる。この場合、2対のロールの速度比が延伸倍率となる。
上記一軸延伸する際の温度は、引抜延伸する際の一対のロールの温度より高い温度であればよいが、高すぎると引抜延伸された熱可塑性ポリエステル系樹脂シートが溶融して切断されるので、昇温速度1℃/minで測定した示差操作熱量曲線での熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化ピークの立ち上がり温度〜融解ピークの立ち上がり温度の温度範囲が好ましい。
尚、ポリエチレンテレフタレートの結晶化ピークの立ち上がり温度は約120℃であり、融解ピークの立ち上がり温度は約230℃である。従って、ポリエチレンテレフタレートシートを一軸延伸する際は約120℃〜約230℃で一軸延伸するのが好ましい。
上記一軸延伸の延伸倍率は、特に限定されるものではないが、延伸倍率が低いと、引張強度、引張弾性係数等の優れたシートが得られず、高くなると延伸時にシートの破断が生じやすくなるので、1.1〜3倍が好ましく、さらに好ましくは1.2〜2倍である。又、一次延伸と一軸延伸の合計延伸倍率は、同様の理由で、2.5〜10倍が好ましく、より好ましくは3〜8倍である。
延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの線膨張係数は、大きいと温度差により大きく伸縮するので、小さいほうが好ましく、特に負であるのが好ましい。又、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートは積層成形体の芯材として積層されるのであるから、強度は大きいほうが好ましく、弾性率は9GPa以上が好ましい。
一軸延伸された延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートは、耐熱性を向上させるために更に、熱固定されるのが好ましい。
熱固定温度は、一軸延伸温度より低いと熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化が進まないので耐熱性が向上せず、昇温速度1℃/minで測定した示差操作熱量曲線での熱可塑性ポリエステル系樹脂の融解ピークの立ち上がり温度より高くなると熱可塑性ポリエステル系樹脂が溶解して延伸(配向)が消滅し引張弾性率、引張強度等が低下するので、一軸延伸温度〜昇温速度1℃/minで測定した示差操作熱量曲線での熱可塑性ポリエステル系樹脂の融解ピークの立ち上がり温度が好ましい。
又、熱固定する際に、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートに負荷がかかっていると延伸され、フリーの状態では収縮するので、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートに負荷はかかっていないが熱により収縮しないように固定した状態で行うことが好ましく、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートに圧力もかかっていないのが好ましい。例えば、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの両端をピンチロール等で負荷がかからないように保持した状態で熱固定するのが好ましい。従って、加熱は熱風、ヒーター等で行うのが好ましい。
熱固定する時間は、特に限定されず、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの厚さや熱固定温度により異なるが、一般に10秒〜5分が好ましい。
上記延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートは、2枚以上が積層されてもよく、積層する場合はその延伸方向が略同一になるように積層されるのが好ましい。
延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シート同士の積層方法は、従来公知の任意の方法が採用されればよいが、熱融着すると延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの延伸が緩和されるので、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを構成する熱可塑性ポリエステル系樹脂の融点より低い融点を有するポリエステル系、ポリオレフィン系等のホットメルト型接着剤や反応性ホットメルト型接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤、及びゴム系接着剤よりなる群から選らばれた1種類又は2種類以上の接着剤で接着されるのが好ましい。
又、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの間に織布及び/又は不織布が積層されてもよい。織布及び/又は不織布が積層されると、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの接着性が向上し、得られた積層成形体の引張強度、耐衝撃性等が向上する。
上記織布及び/又は不織布としては、特に限定されず、従来公知の任意の織布及び不織布が使用可能であり、例えば、綿、スフ等の天然繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、アクリル繊維等の合成繊維、ガラス繊維、炭素繊維等の無機繊維等の繊維からなる織布及び不織布が挙げられる。
又、織布及び不織布の目付量、厚み等は、特に限定されるものではないが、一般に、目付量は10〜500g/m2 が好ましく、厚みは0.03〜4mmが好ましい。
延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートと織布及び/又は不織布の積層方法は、従来公知の任意の方法が採用されればよいが、熱融着すると延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの延伸が緩和されるので、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを構成する熱可塑性ポリエステル系樹脂の融点より低い融点を有するポリエステル系、ポリオレフィン系等のホットメルト型接着剤や反応性ホットメルト型接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤、及びゴム系接着剤よりなる群から選らばれた1種類又は2種類以上の接着剤で接着されるのが好ましい。
又、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートと織布及び/又は不織布を、より簡便に積層し強固に接着し耐衝撃性を向上させるには、熱可塑性ポリエステル系樹脂の融点より低い融点を有するホットメルト型接着剤、反応性接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤及びゴム系接着剤よりなる群から選ばれた1種類又は2種類以上の接着剤を含浸した織布及び/又は不織布を、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの間に積層し接着するのが好ましい。
本発明で使用される延伸オレフィン系樹脂シートは、総延伸倍率10〜40倍の延伸オレフィン系樹脂シートが好ましい。
上記延伸オレフィン系樹脂シートを構成するオレフィン系樹脂としては、フィルム形成能を有する任意のオレフィン系樹脂が使用でき、例えば、高密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、線状低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ペンテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体等が挙げられ、高密度ポリエチレン樹脂が好適に使用される。
上記オレフィン系樹脂には、該オレフィン系樹脂に対して親和性を有する重合性不飽和化合物が添加されてもよい。このようにするすることにより、得られる延伸オレフィン系樹脂シートの耐熱性が向上し、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートと積層するのが容易となる。
延伸オレフィン系樹脂シートは、10〜40倍と高度に延伸され、且つ、引張強度、弾性率等の機械的強度が高いものが好ましいが、オレフィン系樹脂として高密度ポリエチレン樹脂を用いる場合、その密度は小さくなると延伸しても機械的強度が向上しなくなるので、0.94g/cm3 以上が好ましい。
又、高密度ポリエチレン樹脂の重量平均分子量は、小さくなり過ぎると延伸しても機械的強度があまり向上せず、大きくなり過ぎるとフィルム成形や延伸がしにくくなるので、20万〜50万が好ましく、メルトインデックス(MI)はフィルム成形性が優れている0.1〜20が好ましく、より好ましくは0.2〜10である。
延伸オレフィン系樹脂シートの総延伸倍率は小さいと引張強度、引張弾性率等が向上せず、大きくなると横裂けしやすくなるので10〜40倍が好ましく、より好ましくは10〜30倍である。
オレフィン系樹脂シートの延伸方法は、従来公知の任意の方法が採用されてよいが、10〜40倍と高度に延伸するのであるから、オレフィン系樹脂シートを圧延した後、延伸又は延伸を複数回繰り返す多段延伸する方法が好ましい。
即ち、圧延倍率が5〜10倍になるように圧延した後、延伸倍率が1.3〜4倍になるように延伸して、総延伸倍率が10〜40倍となされたオレフィン系樹脂シートが好ましい。なお、総延伸倍率とは、圧延倍率と延伸倍率の積をいう。
上記圧延は、オレフィン系樹脂シートを一対の反対方向に回転するロールに供給し、押圧してシートの厚みを薄くすると共に伸長する方法であり、圧延されたシートは延伸シートとは異なり、オレフィン系樹脂が配向されることなく緻密になっているので、高度に延伸しやすくなっている。
圧延温度は、低くなると均一に圧延できず、高くなると溶融切断するので、圧延する際のロール温度は、圧延するオレフィン系樹脂シートのオレフィン系樹脂の「融点−40℃」〜「融点」の範囲が好ましく、より好ましくは、オレフィン系樹脂の「融点−30℃」〜「融点−5℃」である。
尚、上記融点とは示差走査型熱量測定機(DSC)で熱分析を行った際に認められる、結晶の融解に伴う吸熱ピークの最大点をいう。
又、圧延倍率は小さいと後の延伸に負担がかかり、大きくするのは圧延が困難になるので5〜10倍が好ましい。尚、圧延倍率は、圧延前のシートの断面積を圧延後のシートの断面積で徐した値である。
上記延伸は、従来公知の任意の方法でよく、例えば、ロール延伸法、ゾーン延伸法により、ヒータや熱風により加熱しながら延伸する方法が挙げられる。
延伸温度は、低くなると均一に延伸できず、高くなるとシートが溶融切断するので、延伸するオレフィン系樹脂シートのオレフィン系樹脂の「融点−60℃」〜「融点」の範囲が好ましく、より好ましくは、オレフィン系樹脂の「融点−50℃」〜「融点−5℃」である。
又、延伸倍率は、総延伸倍率が10〜40倍であるから、圧延倍率を考慮し、総延伸倍率がこの範囲にはいるように決定すればよいが、延伸倍率が小さいと引張強度、引張弾性率等が向上しせず、延伸倍率が大きいとシートを曲げたときに横割れしたり音がなったりするので、1.3〜4倍が好ましく、より好ましくは1.5〜3.0倍である。
上記延伸オレフィン系樹脂シートは、薄くなると機械的強度が低下し、厚くなると、延伸方向に割れやすくなるため、その厚みは一般に0.05〜1mmであり、好ましくは0.1〜0.5mmである。
延伸オレフィン系樹脂シートは、用途や延伸オレフィン系樹脂シートの厚みにより適宜積層されてもよい。
上記延伸オレフィン系樹脂シートの積層方法は、従来公知の任意の積層方法が採用されてよく、例えば、延伸オレフィン系樹脂シートを重ね合わせ、ゴム系、アクリル系、ウレタン系、シリコン系等の接着剤や粘着剤で接着する方法、エチレンー酢酸ビニル共重合体、線状低密度ポリエチレン樹脂等のホットメルト型接着剤で接着する方法、延伸オレフィン系樹脂シート間に線状低密度ポリエチレン樹脂等の低融点樹脂を積層し、熱融着する方法等が挙げられる。
ホットメルト型接着剤で接着する際には、ホットメルト接着剤を溶融し、塗布しながら接着してもよいし、ホットメルト型接着剤シートを積層し、加熱加圧しながら接着してもよいが、加熱温度が高くなると、延伸オレフィン系樹脂シートが収縮するようになるので、延伸オレフィン系樹脂シートが実質的に熱収縮しない温度、即ち、延伸オレフィン系樹脂シートを構成する熱可塑性樹脂の「融点−10℃」以下で接着されるのが好ましい。尚、延伸オレフィン系樹脂シート間に低融点樹脂を積層し、熱融着する方法においても同様である。
更に、延伸オレフィン系樹脂シート間に前述の織布及び/又は不織布積層してもよいし、オレフィン系樹脂の融点より低い融点を有するホットメルト型接着剤、反応性接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤及びゴム系接着剤よりなる群から選ばれた1種類又は2種類以上の接着剤を含浸した織布及び/又は不織布を、延伸オレフィン系樹脂シートの間に積層し接着してもよい。
本発明の積層成形体は、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートと延伸オレフィン系樹脂シートが積層されていればよく、その積層順及び積層枚数は適宜決定されればよいが、表面は延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートが好ましい。
又、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートと延伸オレフィン系樹脂シートの積層方法も特に限定されるものではなく、前述した延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シート同士及び延伸オレフィン系樹脂シート同士を積層する方法と同一の方法で、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シート及び延伸オレフィン系樹脂シートが収縮しない温度で積層すればよい。
上記積層成形体は、その両面に熱可塑性樹脂層が積層されてもよい。
熱可塑性樹脂は、上記積層成形体の両面に積層され、延伸オレフィン系樹脂シート及び延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートが衝撃により延伸方向に沿って割れや亀裂が発生しないように保護すると共に、オレフィン系樹脂及びポリエステル系樹脂が直接雨水や太陽光線に曝されて加水分解や劣化を受け耐久性が低下することを防ぐものである。
又、熱可塑性樹脂を溶融して延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シート又は延伸オレフィン系樹脂シートに積層する場合は、熱可塑性樹脂の融点が熱可塑性ポリエステル系樹脂又はオレフィン系樹脂の融点より高いと、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シート又は延伸オレフィン系樹脂シートの結晶が緩和され線膨張係数が高くなるので、熱可塑性樹脂は積層される延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂又はオレフィン系樹脂より融点の低い樹脂が好ましい。
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、硬質塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、スチレン樹脂、AS樹脂、メチルメタクリレート樹脂、エチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等が挙げられる。又、フッ素系塗料、アクリルシリコン系塗料、ウレタン系塗料等の塗料であってもよい。
上記熱可塑性樹脂の厚みは、特に限定されず、その用途により適宜決定されればよいが、薄すぎると上記保護効果が低下し、厚くなると重くなると共に延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの低線膨張係数の効果が減少されるので0.1〜3mmが好ましい。
延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シート又は延伸オレフィン系樹脂シートの両面に熱可塑性樹脂層を積層する方法は、特に限定されず、従来公知の任意の積層方法が採用されてよく、例えば、下記の方法が挙げられる。
(1)積層する延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シート又は延伸オレフィン系樹脂シートの面上に熱可塑性樹脂を押出被覆して積層する方法。
(2)積層する延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シート又は延伸オレフィン系樹脂シートの面上に熱可塑性樹脂シートを熱プレスにより接着して積層する方法。
(3)積層する延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シート又は延伸オレフィン系樹脂シートの両面に、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを構成する熱可塑性ポリエステル系樹脂又は延伸オレフィン系樹脂シートを構成するオレフィン系樹脂の融点より低い融点を有するポリエステル系、ポリオレフィン系等のホットメルト型接着剤や反応性ホットメルト型接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤、ゴム系接着剤等の接着剤で熱可塑性樹脂シートを接着して積層する方法。
上記(1)、(2)の方法において接着力を高めるため、以下の方法が採用される。
(a)積層する延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シート又は延伸オレフィン系樹脂シートの表面を削って、表面に凹凸を形成し、熱可塑性樹脂を押出被覆するか、熱可塑性樹脂シートを押し付け、アンカー効果により積層する方法。
(b)上記積成形体に多数の貫通孔を形成し、熱可塑性樹脂を押出被覆するか、熱可塑性樹脂シートを押し付け、貫通孔を通じて両面の熱可塑性樹脂シートを融着して積層する方法。
(c)積層する延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シート又は延伸オレフィン系樹脂シートの面上に、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを構成する熱可塑性ポリエステル系樹脂又は延伸オレフィン系樹脂シートを構成するオレフィン系樹脂の融点より低い融点を有するポリエステル系、ポリオレフィン系等のホットメルト型接着剤や反応性ホットメルト型接着剤で熱可塑性樹脂シートを接着した後、熱可塑性樹脂を押出被覆するか、熱可塑性樹脂シートを押し付けて積層する方法。
これらの積層方法の中ではホットメルト型接着剤等の接着剤で接着積層する方法が好適に用いられる。
又、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シート又は延伸オレフィン系樹脂シートと熱可塑性樹脂層の間に織布及び/又は不織布が積層されてもよい。織布及び/又は不織布が積層されると、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シート又は延伸オレフィン系樹脂シートと熱可塑性樹脂層の接着性が向上し、得られた積層成形体の引張強度、耐衝撃性等が向上する。
上記織布及び/又は不織布としては、特に限定されず、従来公知の任意の織布及び不織布が使用可能であり、例えば、綿、スフ等の天然繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、アクリル繊維等の合成繊維、ガラス繊維、炭素繊維等の無機繊維等の繊維からなる織布及び不織布が挙げられる。
又、織布及び不織布の目付量、厚み等は、特に限定されるものではないが、一般に、目付量は10〜500g/m2 が好ましく、厚みは0.03〜4mmが好ましい。
延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートと織布及び/又は不織布並びに織布及び/又は不織布と熱可塑性樹脂層の積層方法は、従来公知の任意の方法が採用されればよいが、高温で加熱すると延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シート又は延伸オレフィン系樹脂シートの延伸が緩和されるので、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを構成する熱可塑性ポリエステル系樹脂又は延伸オレフィン系樹脂シートを構成するオレフィン系樹脂の融点より低い融点を有するポリエステル系、ポリオレフィン系等のホットメルト型接着剤や反応性ホットメルト型接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤、及びゴム系接着剤よりなる群から選らばれた1種類又は2種類以上の接着剤で接着されるのが好ましい。
又、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シート又は延伸オレフィン系樹脂シートと織布及び/又は不織布並びに織布及び/又は不織布と熱可塑性樹脂層を、より簡便に積層し強固に接着し耐衝撃性を向上させるには、熱可塑性ポリエステル系樹脂又は延伸オレフィン系樹脂シートの融点より低い融点を有するホットメルト型接着剤、反応性接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤及びゴム系接着剤よりなる群から選ばれた1種類又は2種類以上の接着剤を含浸した織布及び/又は不織布を、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シート又は延伸オレフィン系樹脂シートと熱可塑性樹脂層の間に積層し接着するのが好ましい。
上記積層成形体は、異型成形、曲げ加工等の成形方法により所定形状に成形することができ、所定形状の積層成形体が得られる。
又、積層成形体の耐候性や意匠性を向上させるために、熱可塑性樹脂層の表面に異なる樹脂層を積層したり、塗料を塗装してもよい。
本発明の積層成形体は、外装建材として、特に雨樋として好適に用いられる。
本発明の請求項1記載の積層成形体の構成は上述の通りであり、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートと延伸オレフィン系樹脂シートが積層されているので、線膨張係数が低く、軽量で、引張強度、耐衝撃性、耐熱性、耐久性、作業性、生産性等が優れ、且つ、高温で長時間使用しても機械的強度が低下することがない。従って、雨樋等の外装建材として好適に使用できる。
請求項2記載の積層成形体の構成は上述の通りであり、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートと延伸オレフィン系樹脂シートが積層され、その両面が延伸ポリエステル系樹脂シートであるので、より線膨張係数が低く、軽量で、引張強度、耐衝撃性、耐熱性、耐久性、作業性、生産性等が優れ、且つ、高温で長時間使用しても機械的強度が低下することがない。又、熱可塑性樹脂との接着性が優れており、熱可塑性樹脂を容易に積層でき、従って、雨樋等の外装建材として好適に使用できる。
請求項14記載の積層成形体の構成は上述の通りであり、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートと延伸オレフィン系樹脂シートよりなる積層成形体の両面に熱可塑性樹脂層が積層されているので、更に、線膨張係数が低く、軽量で、引張強度、耐衝撃性、耐熱性、耐候性、耐久性、作業性、生産性等が優れ、且つ、高温で長時間使用しても機械的強度が低下することがない。従って、雨樋等の外装建材として好適に使用できる。
肉厚の熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの延伸シートは延伸の際の冷却ムラ等により、結晶化が促進されヒケが発生し、厚みが不均一になり品質が低下するが、薄厚の熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを積層することにより、肉厚精度が向上し、積層成形体は欠点箇所のなく均一な品質を有する。
又、織布及び/又は不織布が、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シート間及び/又は延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートと熱可塑性樹脂層間に積層されることにより、積層成形体の引張強度、耐衝撃性等がより向上する。
次に、本発明の実施例を挙げて、詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
厚さ1mmのポリエチレンテレフタレートシート(帝人化成社製、商品名「A−PETシートFR」:極限粘度0.7)を延伸装置(協和エンジニアリング社製)に供給し、75℃に予熱した後、70℃に加熱された一対のロール(ロール間隔0.2mm)間を2m/minの速度で引き抜き、更に、熱風加熱槽中でポリエチレンテレフタレートシート表面温度を180℃に加熱し、出口速度2.5m/minに設定してロール延伸して、延伸倍率が約5倍、厚さ0.2mmの延伸ポリエチレンテレフタレートシートを得た。
尚、上記ポリエチレンテレフタレートシートのガラス転移温度は72℃、昇温速度1℃/minで測定した示差操作熱量曲線での結晶化ピークの立ち上がり温度は約118℃であり、融解ピークの立ち上がり温度は約230℃であった。
重量平均分子量(Mw)3.3×105 、融点135℃の高密度ポリエチレン樹脂(日本ポリケム社製)を、同方向二軸混練押出機(プラスチック工学研究所製)に供給して樹脂温度200℃で溶融混練した後、溶融混練物をロール温度110℃に制御したカレンダー成形機にて、厚さ4.8mmにシート成形してポリエチレン樹脂シートを得た。
得られたポリエチレン樹脂シートを120℃に加熱した圧延成形機(積水工機製作所製)を用いて圧延倍率8.0倍に圧延し、厚さ0.6mmの圧延シートを得た。
得られた圧延シートを110℃に加熱された熱風加熱式の多段延伸装置(協和エンジニアリング製)にて3.0倍の多段延伸を行い、総延伸倍率24.0倍、厚さ0.2mmの延伸ポリエチレン樹脂シートを得た。
得られた延伸ポリエチレンシートの両面に、ポリエステル系ホットメルト型接着剤(東洋紡績社製、商品名「バイロンGM−920」、融点107℃)を0.05mmの厚さで溶融押出コーティングして接着剤積層延伸ポリエチレンシートを得た。
得られた2枚の延伸ポリエチレンテレフタレートシートの間に、1枚の接着剤積層延伸ポリエチレンシートを延伸方向を合わせて挟み、150℃の熱ロールプレスの間を通過させて、厚さ0.61mmの三層積層体を得た。
得られた三層積層成形体を80℃ギヤオーブンに供給し7日間耐熱試験をした後、引張弾性率をJIS K 7113に準拠して測定したところ13GPaであった。
(比較例1)
実施例1で得られた延伸ポリエチレンテレフタレートシートの両面に、ポリエステル系ホットメルト型接着剤(東洋紡績社製、商品名「バイロンGM−920」、融点107℃)を0.05mmの厚さで溶融押出コーティングして接着剤積層延伸ポリエチレンテレフタレートシートを得た。
実施例1で得られた2枚の延伸ポリエチレンテレフタレートシートの間に、得られた接着剤積層延伸ポリエチレンテレフタレートシートを延伸方向を合わせて挟み、150℃の熱ロールプレスの間を通過させて、0.61mmの三層積層体を得た。
得られた三層積層体の両面に、塩化ビニル樹脂(徳山積水社製、品番「TS1000R」)を190℃で押出被覆して、三層積層体の両面に塩化ビニル樹脂が積層された厚さ0.61mmの積層成形体を得た。
得られた三層積層成形体を80℃ギヤオーブンに供給し7日間耐熱試験をした後、引張弾性率をJIS K 7113に準拠して測定したところ10GPaであった。
(実施例2)
実施例1で得られたで得られた三層積層体の両面に、塩化ビニル樹脂(徳山積水社製、品番「TS1000R」)を190℃で押出被覆して、三層積層体の両面に塩化ビニル樹脂が積層された厚さ1.61mmの五層積層成形体を得た。
得られた五層積層成形体の線膨張係数をJIS K7197に準拠して測定した結果0.3×10-5/℃であった。
(比較例2)
比較例1で得られたで得られた三層積層体の両面に、塩化ビニル樹脂(徳山積水社製、品番「TS1000R」)を190℃で押出被覆して、三層積層体の両面に塩化ビニル樹脂が積層された厚さ1.61mmの五層積層成形体を得た。
得られた五層積層成形体の線膨張係数をJIS K7197に準拠して測定した結果1.5×10-5/℃であった。
(比較例3)
実施例1で得られた延伸ポリエチレン樹脂シートの両面に、融点120℃、厚さ0.05mmの線状低密度ポリエチレン樹脂シート(積水フィルム社製)を160℃の加熱ロールにて熱融着(シート温度125℃)して厚さ0.21mmの接着剤積層延伸ポリエチレン樹脂シートを得た。
実施例1で得られた2枚の延伸ポリエチレン樹脂シートの間に、得られた接着剤積層延伸ポリエチレン樹脂シートを延伸方向を合わせて挟み、160℃の熱ロールプレスの間を通過させて、三層積層体を得た。
得られた三層積層体の両面に、塩化ビニル樹脂(徳山積水社製、品番「TS1000R」)を190℃で押出被覆したが、三層積層体の両面に塩化ビニル樹脂が積層された積層成形体が得られなかった。

Claims (18)

  1. 非晶状態の熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを、該熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度−20℃〜該熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度+20℃の温度の一対のロール間を通して引き抜いて延伸した後、該ロールの温度より高い温度で一軸延伸して得られた延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートと延伸オレフィン系樹脂シートが積層されていることを特徴とする積層成形体。
  2. 表面が延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートであることを特徴とする請求項1記載の積層成形体。
  3. 一軸延伸温度が、昇温速度1℃/minで測定した示差操作熱量曲線での熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化ピークの立ち上がり温度〜融解ピークの立ち上がり温度であることを特徴とする請求項1又は2記載の積層成形体。
  4. 延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートが、一軸延伸温度より高い温度で熱固定されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の積層成形体。
  5. 熱固定温度が、一軸延伸温度〜昇温速度1℃/minで測定した示差操作熱量曲線での熱可塑性ポリエステル系樹脂の融解ピークの立ち上がり温度であることを特徴とする請求項記載の積層成形体。
  6. 延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの延伸倍率が3〜8倍であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の積層成形体。
  7. 延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの線膨張係数が負であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の積層成形体。
  8. 延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートと延伸オレフィン系樹脂シートまたは、2枚以上の一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートが、延伸方向が略同一方向になるように積層されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の積層成形体。
  9. 延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートと延伸オレフィン系樹脂シートまたは、2枚以上の延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートが、熱可塑性ポリエステル系樹脂の融点より低い融点を有するホットメルト型接着剤、反応性接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤及びゴム系接着剤よりなる群から選ばれた1種類又は2種類以上の接着剤で接着されていることを特徴とする請求項記載の積層成形体。
  10. 延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートと延伸オレフィン系樹脂シートまたは、2枚以上の延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの間に、織布及び/又は不織布が積層されていることを特徴とする請求項記載の積層成形体。
  11. 延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートと延伸オレフィン系樹脂シートまたは、2枚以上の延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの間に、熱可塑性ポリエステル系樹脂の融点より低い融点を有するホットメルト型接着剤、反応性接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤及びゴム系接着剤よりなる群から選ばれた1種類又は2種類以上の接着剤が含浸している織布及び/又は不織布が積層・接着されていることを特徴とする請求項記載の積層成形体。
  12. 延伸オレフィン系樹脂シートが、総延伸倍率10〜40倍のポリエチレン系樹脂シートであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項記載の積層成形体。
  13. 総延伸倍率10〜40倍が、圧延倍率5〜10倍と延伸倍率1.3〜4倍よりなることを特徴とする請求項12記載の積層成形体。
  14. 更に、両面に熱可塑性樹脂層が積層されていることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項記載の積層成形体。
  15. 延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートと熱可塑性樹脂層が、熱可塑性ポリエステル系樹脂の融点より低い融点を有するホットメルト型接着剤反応性接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤及びゴム系接着剤よりなる群から選ばれた1種類又は2種類以上の接着剤で接着されていることを特徴とする請求項14記載の積層成形体。
  16. 延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートと熱可塑性樹脂層の間に、織布及び/又は不織布が積層されていることを特徴とする請求項14記載の積層成形体。
  17. 延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートと熱可塑性樹脂層の間に、熱可塑性ポリエステル系樹脂の融点より低い融点を有するホットメルト型接着剤、反応性接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤及びゴム系接着剤よりなる群から選ばれた1種類又は2種類以上の接着剤が含浸している織布及び/又は不織布が積層・接着されていることを特徴とする請求項14記載の積層成形体。
  18. 積層成形体が、外装建材であることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項記載の積層成形体。
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