JP2010167640A - 延伸ポリオレフィン系樹脂シート及びその積層シート - Google Patents

延伸ポリオレフィン系樹脂シート及びその積層シート Download PDF

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Hidenobu Yano
英伸 矢野
Atsuto Tadokoro
淳人 田所
Kenji Wakayama
賢治 若山
Yoshinori Nita
好則 仁田
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Abstract

【課題】本発明は、引張強度、引張剛性、耐衝撃性等の優れ、人体の保護部材として好適に使用できる延伸ポリオレフィン系樹脂シート及びその積層シートを提供する。
【解決手段】重量平均分子量が10万〜50万のポリオレフィン系樹脂60〜99.9重量%と重量平均分子量100万以上の超高分子量ポリオレフィン系樹脂40〜0.1重量%よりなるシートが、「該ポリオレフィン系樹脂の融点−40℃」〜「該ポリオレフィン系樹脂の融点」の温度範囲で圧延倍率が5〜10倍に圧延延伸されてなることを特徴とする延伸ポリオレフィン系樹脂シート及びその積層シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、引張強度、引張剛性、耐衝撃性等の優れた延伸ポリオレフィン系樹脂シート及びその積層シートに関する。
従来から、野球、サッカー、アメリカンフットボール、アイスホッケー、空手等のスポーツでは競技中に人同士がぶつかったり、ボールやパックが人にぶつかって発生する衝撃から人体を保護するために、合成樹脂製の保護部材が広く使用されている。
上記保護部材としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂製の板状体及び該板状体にポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂等の合成樹脂発泡体を積層したものが一般的に使用されている。
又、合成樹脂製の板状体の機械的強度を向上させるために、合成樹脂シ−トを延伸した後積層したシート状物が提案されている。例えば、重量平均分子量が10万〜50万のポリオレフィン系樹脂シートが圧延倍率5倍以上に圧延された後、総延伸倍率が5〜40倍に一軸延伸されてなる延伸ポリオレフィン系樹脂シート又はその延伸ポリオレフィン系樹脂シートを積層したシート状物からなる保護部材が(例えば、特許文献1参照。)提案されている。
しかし、上記保護部材では、引張強度、引張剛性、耐衝撃性等が不充分であり、激しい衝撃が加わった際には割れたり折れたりすることがあり、より引張強度、引張剛性、耐衝撃性等の優れた素材が求められていた。
特開2008−274486号公報
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、引張強度、引張剛性、耐衝撃性等の優れ、人体の保護部材として好適に使用できる延伸ポリオレフィン系樹脂シート及びその積層シートを提供することにある。
即ち、本発明は、
[1]重量平均分子量が10万〜50万のポリオレフィン系樹脂60〜99.9重量%と重量平均分子量100万以上の超高分子量ポリオレフィン系樹脂40〜0.1重量%よりなるシートが、「該ポリオレフィン系樹脂の融点−40℃」〜「該ポリオレフィン系樹脂の融点」の温度範囲で圧延倍率が5〜10倍に圧延延伸されてなることを特徴とする延伸ポリオレフィン系樹脂シート、
[2]ポリオレフィン系樹脂が、高密度ポリエチレン樹脂であることを特徴とする前記[1]記載の延伸ポリオレフィン系樹脂シート、
[3]超高分子量ポリオレフィン系樹脂が、超高分子量ポリエチレン樹脂であることを特徴とする前記[1]又は[2]記載の延伸ポリオレフィン系樹脂シート、
[4]更に、総延伸倍率が6〜15倍に一軸延伸されてなることを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれか1項記載の延伸ポリオレフィン系樹脂シート、
[5]前記[1]〜[4]のいずれか1項記載の延伸ポリオレフィン系樹脂シートが複数枚積層されてなることを特徴とする積層シート、及び、
[6]延伸ポリオレフィン系樹脂シートの延伸方向が交差するように積層されていることを特徴とする前記[5]記載の積層シート
に関する。
本発明の延伸ポリオレフィン系樹脂シートの構成は上述の通りであり、重量平均分子量が10万〜50万のポリオレフィン系樹脂60〜99.9重量%と重量平均分子量100万以上の超高分子量ポリオレフィン系樹脂40〜0.1重量%よりなるシートを「該ポリオレフィン樹脂の融点−40℃」〜「該ポリオレフィン樹脂の融点」の温度範囲で圧延倍率が5〜10倍に圧延延伸したシートであるから、重量平均分子量が10万〜50万のポリオレフィン系樹脂中に均一に超高分子量ポリオレフィン系樹脂が分散した状態で圧延されており、引張強度、引張剛性、耐衝撃性等が優れている。圧延後、総延伸倍率が6〜15倍に一軸延伸された延伸ポリオレフィン系樹脂シートはより引張強度、引張剛性等が優れている。又、積層シートは、上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートが複数枚積層されているので引張強度、引張剛性、耐衝撃性等が更に優れている。
本発明の延伸ポリオレフィン系樹脂シートは、重量平均分子量が10万〜50万のポリオレフィン系樹脂60〜99.9重量%と重量平均分子量100万以上の超高分子量ポリオレフィン系樹脂40〜0.1重量%よりなるシートが、「該ポリオレフィン系樹脂の融点−40℃」〜「該ポリオレフィン系樹脂の融点」の温度範囲で圧延倍率が5〜10倍に圧延延伸されてなることを特徴とする。
上記シートは、重量平均分子量が10万〜50万のポリオレフィン系樹脂60〜99.9重量%と重量平均分子量100万以上の超高分子量ポリオレフィン系樹脂40〜0.1重量%よりなる。
上記ポリオレフィン系樹脂は、フィルム形成能を有するオレフィン系樹脂であり、例えば、高密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、線状低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ペンテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体、エチレン―酢酸ビニル共重合体、エチレン―(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン―塩化ビニル共重合体、エチレン―プロピレン―ブテン共重合体等が挙げられ、高密度ポリエチレン樹脂及びポリプロピレン樹脂が好適に使用される。
上記ポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量は、重量平均分子量が10万未満の場合には、脆くなり、延伸性が低下したり、十分な機械的強度又は耐クリープ性を有する延伸ポリオレフィン系樹脂シートを得ることができにくくなり、逆に、50万を超えると、溶融粘度が高くなり、熱溶融成形加工性が低下し、均一なシートが得られにくくなるので10万〜50万である。尚、本発明において、重量平均分子量はゲルパーミェーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定された値である。
又、上記ポリオレフィン系樹脂のメルトインデックス(以下、MI)はフィルム成形性が優れている0.1〜20(g/10分)が好ましく、より好ましくは0.2〜10(g/10分)である。尚、MIとは、JIS K 7210に規定されている熱可塑性樹脂の溶融粘度を表す指標である。更に、高密度ポリエチレン樹脂の場合は、密度は小さくなると延伸しても機械的強度が向上しなくなるので、0.94g/cm以上が好ましい。
上記超高分子量ポリオレフィン系樹脂は、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン等のオレフィンモノマーを所謂チーグラー重合により重合することにより得られるポリオレフィン系樹脂であって、重量平均分子量100万以上のポリマーである。超高分子量ポリオレフィン系樹脂は、重量平均分子量が大きくなるにしたがって融点が高くなると共に溶融粘度が高くなり、ポリオレフィン系樹脂との相溶性が低下し、延伸性能が低下するので100万〜600万が好ましい。又、その平均粒子径は大きくなると溶融しにくくなると共にポリオレフィン系樹脂中での分散性が低下するので300μm以下が好ましく、より好ましくは200μm以下である。
ポリオレフィン系樹脂と超高分子量ポリオレフィン系樹脂の比率は、ポリオレフィン系樹脂の比率が小さくなると圧延延伸及び一軸延伸が困難になって、延伸シートの製造が困難になり、逆にポリオレフィン系樹脂の比率が大きくなると引張強度、引張剛性、耐衝撃性等の物性の向上効果が低下するので、ポリオレフィン系樹脂60〜99.9重量%と超高分子量ポリオレフィン系樹脂40〜0.1重量%であり、好ましくはポリオレフィン系樹脂65〜90重量%と超高分子量ポリオレフィン系樹脂35〜10重量%である。
又、ポリオレフィン系樹脂と超高分子量ポリオレフィン系樹脂の組み合わせは、ポリオレフィン系樹脂と超高分子量ポリオレフィン系樹脂との相溶性が低下すると圧延延伸及び一軸延伸の際に分離して孔が発生したり、切断して延伸ができなくなるので、高密度ポリエチレン樹脂と超高分子量ポリエチレン樹脂の組み合わせが好ましい。
上記シートの製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の任意の方法が採用されればよいが、ポリオレフィン系樹脂中に超高分子量ポリオレフィン系樹脂が均一に分散されて相溶されるのが好ましいので、ポリオレフィン系樹脂粉末又はペレットと超高分子量ポリオレフィン系樹脂粉末を押出機に供給し、Tダイによりシート状に溶融押出成形するのが好ましい。
溶融押出温度は低温になると溶融押出できなくなり、高温になるとポリオレフィン系樹脂が分解するようになるので、ポリオレフィン系樹脂が高密度ポリエチレン樹脂の場合は140〜200℃が好ましい。
このようにして溶融押出成形された、高密度ポリエチレン樹脂と超高分子量ポリエチレン樹脂からなるシートは、周囲が溶融した超高分子量ポリエチレン樹脂粉末が溶融高密度ポリエチレン樹脂中に均一に分散された状態でシート状に押出されて冷却されて製造されるので、高密度ポリエチレン樹脂中に超高分子量ポリエチレン樹脂が均一に分散され相溶していると考えられる。
上記シートの厚みは、特に限定されるものではないが、薄すぎても厚すぎても圧延が困難になるので、0.2〜5.0mmが望ましい。
本発明の延伸ポリオレフィン系樹脂シートは、上記シートが、「該ポリオレフィン系樹脂の融点−40℃」〜「該ポリオレフィン系樹脂の融点」の温度範囲で圧延倍率が5〜10倍に圧延延伸されてなる延伸シートである。
上記圧延延伸とは、一対の反対方向に回転するロールにシートを供給し、ロールで押圧してシートの厚みを薄くすると共に延伸する方法であり、圧延されたシートはポリオレフィン系樹脂が配向されることなく緻密になる。
上記圧延温度は、低くなると均一に圧延できず、高くなると溶融切断するので、圧延する際の温度は、圧延する「ポリオレフィン系樹脂の融点−40℃」〜「ポリオレフィン系樹脂の融点」の範囲であり、「ポリオレフィン系樹脂融点−30℃」〜「ポリオレフィン系樹脂の融点−5℃」が好ましい。尚、本発明において、融点とは示差走査型熱量測定機(DSC)で熱分析を行った際に認められる、結晶の融解に伴う吸熱ピークの最大点をいう。
圧延ロールによりシートに負荷される加圧力(線圧)が小さ過ぎると所定の圧延倍率を得ることが出来なくなることがあり、逆に大き過ぎると圧延ロールの撓みが生じるだけでなく、圧延ロールとシートとの間ですべりが生じ易くなり、均一な圧延が困難となることがあるので加圧力は、100MPa〜3000MPaが好ましく、より好ましくは、300MPa〜1000MPaである。
上記圧延倍率は、小さいと引張強度、引張剛性、耐衝撃性等の向上効果が小さく、後工程で一軸延伸する際のネッキングを抑制する効果が得られなかったり、高倍率一軸延伸を行うことができなかったり、一軸延伸工程に負担がかかることになる。又、圧延倍率を高くすると圧延設備に負荷がかかり、圧延できなくなる。従って、圧延倍率は5〜10倍である。尚、圧延倍率は(圧延前のシートの断面積)/(圧延後のシートの断面積)で定義されるが、圧延の前後においてシートの幅は殆ど変化しないので、(圧延前のシートの厚み)/(圧延後のシートの厚み)であってもよい。
本発明の延伸ポリオレフィン系樹脂シートの厚みは、特に限定されるものではないが、薄くなると引張強度、引張剛性、耐衝撃性等が低下するので0.04〜2mmが好ましい。
尚、本発明の延伸ポリオレフィン系樹脂シートは薄い場合(90度又は180度屈曲しても破断しない場合)は形状保持性を有している。形状保持性とはシートを180度又は90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過した時の折曲げ戻り角度θが共に20度以下であるであることを意味し、形状保持性を有している場合は引張強度、引張剛性、耐衝撃性等の優れた形状保持材として使用することができる。
上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートは寸法安定性を向上させるために、「ポリオレフィン系樹脂の融点−60℃」〜「ポリオレフィン系樹脂の融点」であって、圧延温度以下の温度でアニールされてもよい。
アニール温度は、低くなると寸法安定性が向上せず、長時間使用するとそりが発生し、高くなると引張弾性率、引張強度等が低下するので、ポリオレフィン系樹脂の融点−60℃」〜「ポリオレフィン系樹脂の融点」であって、圧延温度以下の温度でアニールされるのが好ましい。
アニールとは生産ライン中で熱処理を行うことであり、アニールする際に、延伸ポリオレフィン系樹脂シートに大きな張力がかかっていると延伸され、張力がかかっていないか、非常に小さい状態では収縮するので、延伸ポリオレフィン系樹脂シートの圧延延伸方向の長さが実質的に変化しないようにした状態で行うことが好ましく、延伸ポリオレフィン系樹脂シートに圧力もかかっていないのが好ましい。即ち、アニールされた延伸ポリオレフィン系樹脂シートの長さが、アニール前の延伸ポリオレフィン系樹脂シートの長さの1.0以下になるようにアニールするのが好ましい。
従って、延伸ポリオレフィン系樹脂シートをピンチロール等のロールで加熱室内を移動しながら連続的にアニールする場合は、入口側と出口側のポリオレフィン系樹脂シートの送り速度比を1.0以下になるように設定してアニールするのが好ましい。
アニールする際の加熱方法は、特に限定されるものではなく、例えば、熱風、ヒータ、加熱板、温水等で加熱する方法があげられる。アニールする時間は、特に限定されず、圧延延伸されたポリオレフィン系樹脂シートの厚さやアニール温度により異なるが、一般に10秒以上が好ましく、より好ましくは30秒〜60分であり、更に好ましくは1〜20分である。
アニールされた延伸ポリオレフィン系樹脂シートは、更に、40℃〜ポリオレフィン系樹脂の融点の温度範囲でエージングされてもよい。エージングすることによりアニールされたポリオレフィン系樹脂シートの寸法安定性はより優れたものとなる。
エージングとは、生産ライン中連続で処理するものではなく、延伸ポリオレフィン系樹脂シートをカット巻回等の一度加工した、枚葉物、巻物等の熱処理を、比較的長い時間(分、時間単位)じっくり寝かせて熱処理することを意味する。エージング温度は、低くなると常温で放置するのと同様になり、高くなると熱変形するので「40℃」〜「ポリオレフィン系樹脂の融点」の温度範囲が好ましく、エージング時間は短時間では効果がなく、長時間しすぎても効果が増大することはないので12時間〜7日が好ましい。
本発明の延伸ポリオレフィン系樹脂シートは、圧延後、更に、総延伸倍率が6〜15倍に一軸延伸されてもよい。重量平均分子量が10万〜50万のポリオレフィン系樹脂60〜99.9重量%と重量平均分子量100万以上の超高分子量ポリオレフィン系樹脂40〜0.1重量%よりなるシートを一軸延伸しようとすると、ポリオレフィン系樹脂と超高分子量ポリオレフィン系樹脂が分離して孔が発生したり、切断したりして、均一に延伸された延伸シートを得ることはできないが、「ポリオレフィン系樹脂の融点−40℃」〜「ポリオレフィン系樹脂の融点」の温度範囲で圧延倍率が5〜10倍に圧延延伸されてなる延伸ポリオレフィン系樹脂シートは、ポリオレフィン系樹脂が配向されることなく緻密になっているので、α―オレフィンのオリゴマー等の柔軟化剤、可塑剤、界面活性剤、滑剤等を添加しなくても総延伸倍率が6〜15倍に一軸延伸可能である。
一軸延伸倍率は、一軸延伸が少ないと引張強度、引張剛性等が向上しないので、1.2倍以上が好ましく、より好ましくは1.5倍以上である。又、大きくなると耐衝撃性が低下し、ポリオレフィン系樹脂と超高分子量ポリオレフィン系樹脂が分離して孔が発生したり、切断したりするので3倍以下が好ましく、より好ましくは2.5倍以下である。又、総延伸倍率は、小さいと引張強度、引張剛性等が向上せず、大きいと耐衝撃性が低下するので6〜15倍である。従って、一軸延伸倍率は圧延倍率を考慮し、総延伸倍率がこの範囲にはいるように決定する必要がある。尚、総延伸倍率は圧延倍率と一軸延伸倍率を乗じた数値である。
上記一軸延伸方法は、従来公知の任意の方法が採用されればよく、例えば、ロール一軸延伸法、ゾーン一軸延伸法等の一軸延伸法により、ヒータや熱風により加熱しながら延伸する方法が挙げられる。一軸延伸する際に高度に延伸する場合は、一軸延伸を複数回繰り返す多段一軸延伸する方法が好ましい。多段一軸延伸を行う場合の延伸回数は2〜20回が好ましく、より好ましくは3〜15回、更に好ましくは4〜10回である。又、ロール一軸延伸法により多段延伸を行う場合には、繰出ピンチロール、引取ピンチロール及びこれらのロール間に一定速度で回転する少なくとも1つの、好ましくは複数の接触ロールを設置することが望ましい。このような接触ロールを設置することにより、均一延伸性が高められ、安定な延伸成形を行うことができる。
上記接触ロールは、ピンチされることなく、ポリオレフィン系樹脂シートに摩擦力を与えることにより一軸延伸を行う。又、接触ロールは繰出ロール及び/又は引取ロールに対し、ギア、チェーン、プーリー、ベルト若しくはこれらの組み合わせからなる連結部材により連結されていてもよい。
一軸延伸温度は、低くなると均一に延伸できず、高くなるとシートが溶融切断するので、延伸するポリオレフィン系樹脂シートの「ポリオレフィン系樹脂の融点−60℃」〜「ポリオレフィン系樹脂の融点」の範囲が好ましく、より好ましくは、「ポリオレフィン系樹脂の融点−50℃」〜「ポリオレフィン系樹脂の融点−5℃」である。
上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートの寸法安定性を向上させるために、前述の通りアニール及びエージングをほどこしてもよい。
請求項1〜4に記載の延伸ポリオレフィン系樹脂シートが複数枚積層されてなる積層シートは、引張強度、引張剛性、耐衝撃性等がより優れており、板状体、それを賦形した異形成形体等として使用できる。尚、請求項1〜3に記載の延伸ポリオレフィン系樹脂シート及び請求項4記載の延伸ポリオレフィン系樹脂シート同士が積層されてもよいし、両者が混在して積層されてもよい。
上記積層シートにおける各延伸ポリオレフィン系樹脂シートの延伸方向は同一であってもよいし、異なっていてもよい。延伸方向が異なるように積層する際の延伸方向の角度は適宜決定されればよいし、一定角度差であってもよいし、ランダムな角度さであってもよい。延伸方向が異なる延伸ポリオレフィン系樹脂シートが複数層積層された積層シートとしては、例えば、延伸方向が直交するように2枚の延伸ポリオレフィン系樹脂シートが積層された積層シート、延伸方向を60度ずつずらして3枚の延伸ポリオレフィン系樹脂シートが積層された積層シート、延伸方向を45度ずつずらして4枚の延伸ポリオレフィン系樹脂シートが積層された積層シート、延伸方向を5度ずつずらして36枚の延伸ポリオレフィン系樹脂シートが積層された積層シート等があげられる。
上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートは延伸方向と平行方向には割れやすく、耐衝撃性が低いが、延伸方向が異なる2枚以上の延伸ポリオレフィン系樹脂シートを積層することにより割れにくくなり耐衝撃性が向上する。
積層シートの厚みは、特に限定されるものではなく、要求される引張強度、引張剛性、耐衝撃性等にしたがって適宜決定されればよいが、一般に0.04〜10mmである。
延伸ポリオレフィン系樹脂シートを積層する方法は、特に限定されず、例えば、両面粘着テープで接着する方法、粘着剤で接着する方法、ホットメルト接着剤、イソシネート系瞬間接着剤、反応性接着剤等の接着剤で接着する方法、熱融着する方法等が挙げられるが、延伸ポリオレフィン系樹脂シートの間に該ポリオレフィン系樹脂より融点の低いポリオレフィン系樹脂フィルムを積層し、加熱加圧して熱融着する方法及び延伸ポリオレフィン系樹脂シートの1面又は両面の一部又は前面に該ポリオレフィン系樹脂より融点の低い第2のポリオレフィン系樹脂層を積層しておき、加熱加圧して熱融着する方法が好ましい。
上記ポリオレフィン系樹脂フィルム及び第2のポリオレフィン系樹脂層を構成するポリオレフィン系樹脂としては、延伸ポリオレフィン系樹脂シートを接着するのであるから、延伸ポリオレフィン系樹脂シートを構成するポリオレフィン系樹脂と同一種類のものであって、延伸ポリオレフィン系樹脂シートを構成するポリオレフィン系樹脂の溶融温度より低い溶融温度のポリオレフィン系樹脂が好ましく、例えば、線状低密度ポリエチレン樹脂、エチレン―酢酸ビニル共重合体等が好ましい。
第2のポリオレフィン系樹脂を延伸ポリオレフィン系樹脂シートに積層する方法は従来公知の任意の方法が採用されればよく、例えば、第2のポリオレフィン系樹脂シートと延伸ポリオレフィン系樹脂シートを接着剤で接着する方法、延伸ポリオレフィン系樹脂シートに第2のポリオレフィン系樹脂を溶融押出して積層する方法等があげられる。
又、ポリオレフィン系樹脂フィルム及び第2のポリオレフィン系樹脂層の厚さは特に限定されるものではないが、薄くなりすぎると接着しにくくなり、厚すぎると引張強度、引張剛性、耐衝撃性等形状保持性が低下するので、一般に5〜150μmであり、好ましくは20〜80μmである。
次に本発明の実施例を説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
重量平均分子量(Mw)33万、融点133℃、密度0.956、MI0.37g/10minの高密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製、商品名「HY420」)70重量部と重量平均分子量(Mw)200〜600万、融点141℃、密度0.928、MI測定不能、平均粒子径150μmの超高分子量ポリエチレン樹脂(DSM社製、商品名「UH210」)30重量部を、同方向二軸混練押出機(テクノベル社製)に供給して樹脂温度239℃で溶融押出し、ペレタイザー(三和電機工業社製)でペレタイズしてペレットを得た。
得られたペレットを同方向二軸混練押出機(プラスチック工学研究所製)に供給し、樹脂温度226℃で溶融混練し、溶融混練物をロール温度115℃に制御したカレンダー成形機にて、厚さ4.5mmにシート成形してシートを得た。
得られたシートを125℃に加熱した圧延成形機(積水工機製作所製)を用いて圧力110MPaで圧延し、圧延倍率6倍、厚さ0.65mmの延伸ポリエチレン樹脂シートを得た。
得られた2枚の延伸ポリエチレン樹脂シートを、それぞれの延伸方向が直交するように積層すると共にその間に厚さ50μmの線状低密度ポリエチレンフィルム(積水フィルム工業社製、商品名「2TN」)を積層し、加熱プレス機に供給し、加熱温度120℃、圧力4.4MPaの条件で15分間プレスして厚さ1.35mmの2層の積層シートを得た。
又、得られた3枚の延伸ポリエチレン樹脂シートを、それぞれの延伸方向を45度回転して積層すると共にそれぞれの延伸ポリエチレン樹脂シートの間に厚さ50μmの線状低密度ポリエチレンフィルム(積水フィルム工業社製、商品名「2TN」)を積層し、加熱プレス機(テスター産業株式会社製)に供給し、加熱温度120℃、圧力4.4MPaの条件で15分間プレスして厚さ1.82mmの3層の積層シートを得た。
得られた延伸ポリエチレン樹脂シート、2層の積層シート及び3層の積層シートについて、JIS K 7113の引張試験方法に準拠して23℃、50%RHで引張試験を行い、引張破断強度、引張剛性及び伸びを測定して結果を表1に示した。又、JIS K 7211に準拠してデュポン衝撃試験を行い、結果を表1に示した。
実施例1で得られた延伸ポリエチレン樹脂シートを110℃に加熱された熱風加熱式の多段延伸装置(協和エンジニアリング製)にて1.67倍の多段延伸を行い、総延伸倍率10倍、厚さ0.50mmの延伸ポリエチレン樹脂シートを得た。
得られた延伸ポリエチレン樹脂シートをピンチロールが設置され、125℃に設定されているライン長19.25mの熱風加熱槽に、入口速度2.75m/minで供給し、出口速度2.75m/minに設定して7分間1次アニールを行い、続いて同様にして2次アニールを行って、アニールされた延伸ポリエチレン樹脂シートを得、その後60℃の恒温槽に供給し、24時間エージングして、エージングされた延伸ポリエチレン樹脂シートを得た。
得られた延伸ポリエチレン樹脂シートを使用し、実施例1行ったと同様に積層、プレスして、厚さ1.09mmの2層の積層シート及び厚さ1.66mmの3層の積層シートを得た。
得られた延伸ポリエチレン樹脂シート、2層の積層シート及び3層の積層シートについて、実施例1で行ったと同様にして引張試験及びデュポン衝撃試験を行い、結果を表1に示した。
又、得られた延伸ポリエチレン樹脂シートを幅1cm、長さ10cmに切断し、90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過時の折曲げ戻り角度θを測定したところ、9度であった。
[比較例1]
重量平均分子量(Mw)33万、融点133℃、密度0.956、MI0.37g/10minの高密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製、商品名「HY420」)を同方向二軸混練押出機(プラスチック工学研究所製)に供給し、樹脂温度193℃で溶融混練し、溶融混練物をロール温度110℃に制御したカレンダー成形機にて、厚さ5.0mmにシート成形してシートを得た。
得られたシートを実施例1で行ったと同様にして圧延して厚さ0.65mmの延伸ポリエチレン樹脂シートを得、実施例1行ったと同様に積層、プレスして、厚さ1.35mmの2層の積層シート及び厚さ1.82mmの3層の積層シートを得た。
得られた延伸ポリエチレン樹脂シート、2層の積層シート及び3層の積層シートについて、実施例1で行ったと同様にして引張試験及びデュポン衝撃試験を行い、結果を表1に示した。
[比較例2]
比較例1で得られた延伸ポリエチレン樹脂シートを110℃に加熱された熱風加熱式の多段延伸装置(協和エンジニアリング製)にて1.88倍の多段延伸を行い、次いで、アニール及びエージングを行って総延伸倍率15倍、厚さ0.40mmの延伸ポリエチレン樹脂シートを得た。
得られた延伸ポリエチレン樹脂シートを使用して実施例1行ったと同様に積層、プレスして、厚さ0.85mmの2層の積層シート及び厚さ1.29mmの3層の積層シートを得た。
得られた延伸ポリエチレン樹脂シート、2層の積層シート及び3層の積層シートについて、実施例1で行ったと同様にして引張試験及びデュポン衝撃試験を行い、結果を表1に示した。
Figure 2010167640
本発明の延伸ポリエチレン樹脂シート及びその積層シートは、野球、サッカー、アメリカンフットボール、アイスホッケー、空手等のスポーツにおいて、競技中に人同士がぶつかったり、ボールやパックが人にぶつかって発生する衝撃から人体を保護するための保護部材として好適に使用できる。

Claims (6)

  1. 重量平均分子量が10万〜50万のポリオレフィン系樹脂60〜99.9重量%と重量平均分子量100万以上の超高分子量ポリオレフィン系樹脂40〜0.1重量%よりなるシートが、「該ポリオレフィン系樹脂の融点−40℃」〜「該ポリオレフィン系樹脂の融点」の温度範囲で圧延倍率が5〜10倍に圧延延伸されてなることを特徴とする延伸ポリオレフィン系樹脂シート。
  2. ポリオレフィン系樹脂が、高密度ポリエチレン樹脂であることを特徴とする請求項1記載の延伸ポリオレフィン系樹脂シート。
  3. 超高分子量ポリオレフィン系樹脂が、超高分子量ポリエチレン樹脂であることを特徴とする請求項1又は2記載の延伸ポリオレフィン系樹脂シート。
  4. 更に、総延伸倍率が6〜15倍に一軸延伸されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の延伸ポリオレフィン系樹脂シート。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載の延伸ポリオレフィン系樹脂シートが複数枚積層されてなることを特徴とする積層シート。
  6. 延伸ポリオレフィン系樹脂シートの延伸方向が交差するように積層されていることを特徴とする請求項5記載の積層シート。
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