JP2012107281A - プラズマ発生装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】プラズマ発生装置は、N個の真空チャンバ(2−1〜2−3)の真空チャンバ壁(15−1〜15−3)と一方の極で接続される電源(10)と、所定の周期でパルス信号を出力する発振器(11)と、電源の他方の極及び発振器に対して互いに並列に接続され、電源から供給される電力を用いて増幅したパルス信号を真空チャンバ内に配置されたN個の電極(14−1〜14−3)の何れかへ出力するN個のパルス増幅回路(13−1〜13−3)と、少なくとも(N-1)個のパルス増幅回路と発振器の間にそれぞれ接続され、各時刻において一つのパルス増幅回路にのみパルス信号が入力されるように互いに異なる遅延期間だけパルス信号を遅延させる少なくとも(N-1)個のタイミング生成回路(12−1〜12−3)を有する。
【選択図】図1
Description
しかしながら、特許文献1または2に開示された技術は、複数の真空チャンバのうちの何れかでプラズマを利用して加工している間に、他の真空チャンバについては加工対象物の搬送などを行えるようにするためのものであり、電源からの電力は、リレーを介して複数の真空チャンバのうちの何れか一つの真空チャンバ内の電極に供給される。そのため、この技術は、同時に複数の真空チャンバにてプラズマを発生させることはできない。
また、この技術では、各スイッチはスパッタ蒸発源ごとに設けられており、制御機構からスイッチへの信号によって各スイッチが異なるタイミングで開閉することにより、順次時分割で交互にパルス状電力が各スパッタ蒸発源に供給される。
しかしながら、この技術では、各スパッタ蒸発源へ電力を供給するタイミングを調節するための制御機構が必要となるので、装置構成が複雑になる。
係る構成を有することにより、このプラズマ発生装置は、装置構成を簡単化しつつ、複数の真空チャンバにて交互にプラズマを発生させることができる。
また、電源は、同時に複数のパルス増幅回路に電力を供給する必要が無く、電源の負荷が抑制されるので、電源の回路規模は、一つのパルス増幅回路のみを有するプラズマ発生装置で用いられる規模でよい。そのため、このプラズマ発生装置は、装置構成を簡単化できる。
このように、このプラズマ発生装置は、先ず、電圧が高い短パルスを真空チャンバ内に印加することでグロー放電を生じさせ、その後、真空チャンバ内に印加する電圧を、グロー放電を維持できる範囲内で低下させる。そのため、このプラズマ発生装置は、真空チャンバ内でアーク放電が生じることを抑制できるので、安定的にプラズマを発生させることができる。
これにより、このプラズマ発生装置は、複数の真空チャンバ内に同時にプラズマを発生させることができる。
これにより、このプラズマ発生装置は、一つの真空チャンバ内においてチャンバ壁と異なる電極間で交互にプラズマを発生させることができる。
このプラズマ発生装置は、複数の真空チャンバ内にそれぞれ設けられた二つの電極間でグロー放電を生じさせることで、各真空チャンバ内にプラズマを発生させる。このプラズマ発生装置では、真空チャンバごとに設けられた複数のパルス増幅回路が、一つの電源に対して並列に接続されるとともに、それぞれタイミング生成回路を介して並列に一つの発振器に接続される。そして、その発振器から生じたパルスは、各タイミング生成回路によってそれぞれ異なるタイミングで各パルス増幅回路に供給される。そして各パルス増幅回路は、電源から供給された電力を用いて入力されたパルスを増幅し、増幅されたパルスを真空チャンバ内の電極へ出力する。これにより、このプラズマ発生装置は、電源に掛かる負荷を時間的に分散することで、電源の小型化を図るとともに、複数の真空チャンバ内でプラズマを発生させる。
プラズマ発生装置1は、3個の真空チャンバ2−1〜2−3と、一つの電源10と、一つの発振器11と、真空チャンバごとに設けられた3個のタイミング生成回路12−1〜12−3と、3個のパルス増幅回路13−1〜13−3とを有する。
各真空チャンバ2−1〜2−3には、真空チャンバ内を真空にするための真空排気機構(図示せず)、圧力計及び成膜の原料となるガス活性種を供給するためのプロセスガスを真空チャンバ内に導入するためのプロセスガス導入機構(図示せず)が設けられる。さらに、各真空チャンバ2−1〜2−3には、成膜される基材(ワーク)により形成される電極14−1〜14−3を真空チャンバ内に搬入または真空チャンバから搬出するための機構を有していてもよい。
また各パルス増幅回路13−1〜13−3は、それぞれ、電源10の陰極に対して互いに並列に接続される。また各パルス増幅回路13−1〜13−3は、それぞれ、真空チャンバ内に配置され、例えば、真空チャンバ2−1〜2−3の底面を形成する絶縁体内を通される導線を介して、電極14−1〜14−3と接続される。そして各パルス増幅回路13−1〜13−3は、入力されたパルス信号を電源10からの電力を用いて増幅し、増幅されたパルス信号を電極14−1〜14−3へ出力する。
一方、真空チャンバ2−1〜2−3の内壁である真空チャンバ壁15−1〜15−3は、鉄、銅などの導電体により、例えば、円筒形または釣鐘型に形成され、それぞれ、電源10の接地される側と接続される。そのため、真空チャンバ壁15−1〜15−3も電極として機能し、電極14−1〜14−3にパルスが伝達されると、チャンバ壁15−1〜15−3と電極14−1〜14−3との間でグロー放電が生じ、それにより各真空チャンバ内にプロセスガスのプラズマが生成される。
プロセスガスが導入された後、各真空チャンバ内の圧力は、プロセスガス導入機構または真空排気機構を制御することにより、例えば、100〜101kPaの範囲内の所定の圧力に調整される。
その後、プラズマ発生装置1は、真空チャンバ壁15−1〜15−3と電極14−1〜14−3との間にパルス状の直流電力を印加することで、各真空チャンバ内にプラズマを生成させ、そのプラズマ中でガスが分解されることにより生成された活性種によりワークの表面に膜を形成する。例えば、ワークは、DLCコーティングされる。
以下、プラズマ発生装置1の各部について説明する。
本実施形態では、発振器11が発生するパルス信号には、相対的に電圧が高く、かつ相対的に持続時間が短い高電圧短パルスと、その高電圧短パルスに引き続き、高電圧短パルスの電圧の絶対値よりも低い電圧の絶対値を持ち、かつ高電圧短パルスの持続時間よりも長い持続時間を持つ低電圧長パルスが含まれる。
これにより、真空チャンバ内に先ず高電圧が印加されるので、真空チャンバ内にグロー放電が生じ易くなる。そして一旦グロー放電が生じた後、真空チャンバ内に印加される電圧が低下するので、プラズマ発生装置1は、真空チャンバ内にアーク放電が生じることを抑制できる。そのため、このプラズマ発生装置1は、真空チャンバ内に安定的にプラズマを発生させることができる。
例えば、高電圧短パルスの持続時間は1μsecであり、一方、低電圧長パルスの持続時間は5μsecである。また、発振器11が出力する高電圧短パルスの電圧は、数Vであり、低電圧長パルスの電圧は、高電圧短パルスの電圧の略1/2である。
さらに、パルスの発振周期は、真空チャンバ内にパルス信号が印加されなくなってから次のパルス信号が印加されるまでの期間が、過渡的にプラズマが発生可能な状態が続く期間よりも短くなるように設定されることが好ましい。この場合、例えば、発振周期は数μsec〜数十μsec程度に設定される。これにより、プラズマ発生装置1は、複数の真空チャンバ内に同時にプラズマを発生させることができる。
デジタル信号発生器21は、例えば、組み込み型のプロセッサ及びその周辺回路を有し、直流電源23から供給される駆動電圧(例えば、5V)により動作する。そしてデジタル信号発生器21は、高電圧短パルスとそれに続く低電圧長パルスとを含むデジタル波形信号を所定の周期ごとに生成し、そのデジタル波形信号を、デジタル/アナログコンバータ22へ出力する。
デジタル/アナログコンバータ22は、例えば、抵抗ラダー型のデジタル/アナログコンバータであり、直流電源23から供給される駆動電圧を用いて、デジタル波形信号をアナログのパルス信号へ変換する。例えば、デジタル/アナログコンバータ22により変換されたパルス信号に含まれる、高電圧短パルスの電圧の絶対値が5Vであり、低電圧長パルスの電圧の絶対値が2.5Vとなる。
そしてデジタル/アナログコンバータ22は、パルス信号を各タイミング生成回路12−1〜12−3へ出力する。
なお、発振器11は、上記のような、2段階のステップ状に減衰する波形を持つパルス信号を周期的に生成可能な他の回路により構成されてもよい。
図3は、タイミング生成回路12−1〜12−3から出力されるパルス信号のタイミングチャートの一例である。
図3において、横軸は時間を表し、縦軸は電圧を表す。そしてグラフ301は、タイミング生成回路12−1から出力される電圧の時間変化を表す。同様にグラフ302は、タイミング生成回路12−2から出力される電圧の時間変化を表す。さらにグラフ303は、タイミング生成回路12−3から出力される電圧の時間変化を表す。そしてグラフ301〜303において、2段階のステップ状に電圧が変化する期間が一つのパルス信号310である。なお、この実施形態では、パルス信号は真空チャンバ内の陰極に印加されるので、パルス信号310は負の電圧値を持つ。すなわち、高電圧短パルスの電圧の方が、低電圧長パルスの電圧よりも低い。
図3に示されるように、タイミング生成回路12−1〜12−3は、一つのパルス増幅回路にパルス信号が入力されている間、他のパルス増幅回路にはパルス信号が入力されないように互いに異なる遅延時間だけパルス信号を遅延させる。
そのため、例えば、期間t1では、パルス増幅回路13−1にのみパルス信号が入力される。同様に、期間t2では、パルス増幅回路13−2にのみパルス信号が入力される。また、期間t3では、パルス増幅回路13−3にのみパルス信号が入力される。そのため、電源10に対して同時に複数のパルス増幅回路による負荷が掛かることが防止されるので、電源10は、一つのパルス増幅回路だけが接続されている場合の電源の回路と同程度の規模の回路とすることができる。
電流ブースト回路31は、電源10から電極14−1〜14−3へ流れる電流を増幅する。例えば、電流ブースト回路31は、パルス信号が各電極へ伝達される際に真空チャンバ壁と電極間に数10ミリアンペア〜数アンペア程度の電流が流れるように、電流を増幅する。なお、電流ブースト回路31として、例えば、プラズマ発生装置において使用される公知の様々な電流ブースト回路の何れかを用いることができる。
またこのプラズマ発生装置は、ステップ状に減衰する2段階の波形を持つパルスを各真空チャンバに印加するので、真空チャンバ内でグロー放電を容易に生じさせることができるとともに、アーク放電が生じることを抑制できる。そのため、このプラズマ発生装置は、各真空チャンバ内に安定的にプラズマを発生させることができる。
この実施形態においても、プラズマ発生装置41は、真空チャンバごとにパルスが印加されるタイミングが異なるように、一つの発振器から出力されたパルスを、その発振器に対して並列に接続された異なる遅延時間を持つ複数のタイミング生成回路を介してパルス増幅回路により増幅して各真空チャンバに印加する。そのため、プラズマ発生装置41についても、上述した実施形態によるプラズマ発生装置により得られる効果と同様の効果が得られる。
上記のように、当業者は、本発明の範囲内で様々な修正を行うことが可能である。
2−1〜2−4 真空チャンバ
10 電源
11 発振器
12−1〜12−3 タイミング生成回路
13−1〜13−3 パルス増幅回路
14−1〜14−3 電極(ワーク)
15−1〜15−3 真空チャンバ壁
16−1〜16−3 ターゲット
21 デジタル信号発生器
22 デジタル/アナログコンバータ
23 直流電源
31 電流ブースト回路
32 増幅回路
Claims (4)
- 2以上であるN個の真空チャンバ(2−1〜2−3)の真空チャンバ壁(15−1〜15−3)と前記真空チャンバ内にそれぞれ配置されるN個の電極(14−1〜14−3)との間に電圧を印加することで前記真空チャンバ内にプラズマを発生させるプラズマ発生装置であって、
前記真空チャンバ壁と一方の極で接続される電源(10)と、
所定の周期でパルス信号を出力する発振器(11)と、
前記電源の他方の極及び前記発振器に対して互いに並列に接続され、かつ、前記電源から供給される電力を用いて前記パルス信号を増幅し、増幅されたパルス信号を前記N個の電極の何れかへ出力するN個のパルス増幅回路(13−1〜13−3)と、
前記N個のパルス増幅回路のうちの少なくとも(N-1)個のパルス増幅回路と前記発振器の間にそれぞれ接続され、前記N個のパルス増幅回路のうちの一つのパルス増幅回路に前記パルス信号が入力されている間、前記N個のパルス増幅回路のうちの他のパルス増幅回路には前記パルス信号が入力されないように、互いに異なる遅延期間だけ前記パルス信号を遅延させる少なくとも(N-1)個のタイミング生成回路(12−1〜12−3)と、
を有することを特徴とするプラズマ発生装置。 - 前記発振器(11)は、第1の電圧を有し、かつ第1の持続期間を持つ短パルスと、該短パルスに続く、前記第1の電圧の絶対値よりも小さい絶対値を持つ第2の電圧を有し、かつ前記第1の持続期間よりも長い第2の持続期間を持つ長パルスとを含む信号を前記パルス信号として出力する、請求項1に記載のプラズマ発生装置。
- 前記所定の周期は、前記各真空チャンバについて、増幅されたパルス信号が印加されなくなってから次の増幅されたパルス信号が印加されるまでの期間中も、過渡現象によりプラズマが発生可能なように設定される、請求項1または2に記載のプラズマ発生装置。
- 真空チャンバ(2−1)の真空チャンバ壁(15−1)と前記真空チャンバ内に配置される2以上であるN個の電極(14−1〜14−3)との間に電圧を印加することで前記真空チャンバ内にプラズマを発生させるプラズマ発生装置であって、
前記真空チャンバ壁と一方の極で接続される電源(10)と、
所定の周期でパルス信号を出力する発振器(11)と、
前記電源の他方の極及び前記発振器に対して互いに並列に接続され、かつ、前記電源から供給される電力を用いて前記パルス信号を増幅し、増幅されたパルス信号を前記N個の電極の何れかへ出力するN個のパルス増幅回路(13−1〜13−3)と、
前記N個のパルス増幅回路のうちの少なくとも(N-1)個のパルス増幅回路と前記発振器の間にそれぞれ接続され、前記N個のパルス増幅回路のうちの一つのパルス増幅回路に前記パルス信号が入力されている間、前記N個のパルス増幅回路のうちの他のパルス増幅回路には前記パルス信号が入力されないように、互いに異なる遅延期間だけ前記パルス信号を遅延させる少なくとも(N-1)個のタイミング生成回路(12−1〜12−3)と、
を有することを特徴とするプラズマ発生装置。
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