JP2012102382A - 圧電薄膜素子、圧電薄膜の製造方法、及び圧電薄膜デバイス - Google Patents

圧電薄膜素子、圧電薄膜の製造方法、及び圧電薄膜デバイス Download PDF

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和史 末永
Kenji Shibata
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和俊 渡辺
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明 野本
Fumimasa Horikiri
文正 堀切
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Abstract

【課題】長寿命、かつ高い圧電定数を示す非鉛系デバイスを歩留り良く生産できる圧電薄膜素子、圧電薄膜の製造方法、及び圧電薄膜デバイスを提供する。
【解決手段】本発明に係る圧電薄膜素子1は、基板10と、基板10上に設けられ、一般式(NaLi)NbO(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦0.2、x+y+z=1)で表されるニオブ酸化物系ペロブスカイト構造を有する圧電薄膜40とを備え、圧電薄膜40が、CH、C、C、C、C、CHOH、COH、及びCからなる群から選択される有機分子、又は水酸基、アシル基、カルボニル基、アルキニル基、及びカルボキシル基からなる群から選択される基を含む分子、又はO−H結合、C−O結合、C=O結合、C≡C結合、及びO−O結合からなる群から選択される結合を含む分子を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、圧電薄膜素子、圧電薄膜の製造方法、及び圧電薄膜デバイスに関する。特に、本発明は、ニオブ酸リチウムカリウムナトリウム等を用いた圧電薄膜の結晶配向性制御による圧電特性の向上を図った圧電薄膜素子、圧電薄膜の製造方法、及び圧電薄膜デバイスに関する。
圧電体は種々の目的に応じて様々な圧電素子に加工される。例えば、電圧の印加により変形を生じるアクチュエータ、又は圧電素子の変形に応じて電圧を発生させるセンサ等の機能性電子部品として広く利用されている。アクチュエータやセンサの用途に利用されている圧電体としては、大きな圧電特性を有する鉛系の誘電体、特にPZTと呼ばれるPb(Zr1−xTi)O系のペロブスカイト型強誘電体が広く用いられており、通常、個々の元素を含む酸化物を焼結して形成される。
また、近年、環境への配慮から鉛を含有しない圧電体が望まれており、ニオブ酸リチウムカリウムナトリウム(一般式:(NaLi)NbO(0<x<1、0<y<1、0<z<1、x+y+z=1))等の開発が進められている。ニオブ酸リチウムカリウムナトリウムは、PZTに匹敵する圧電特性を有することから、鉛を含まない圧電材料として期待されている。
また、各種の電子部品の小型化及び高性能化が進むにつれ、圧電素子においても小型化及び高性能化が強く求められるようになっている。しかしながら、従来からの圧電材料の製法である焼結法等により作製した圧電材料は、圧電材料の厚さが所定の厚さ、特に10μm以下の厚さになると、圧電材料を構成する結晶粒の大きさが圧電材料の厚さに近づき、その影響が無視できなくなる。そのため、圧電材料の特性のばらつき及び劣化が顕著になるので、圧電材料の特性のばらつき及び劣化を回避すべく、焼結法に代わる薄膜技術等を応用した圧電材料の製造法が研究されている。
従来の鉛を用いない圧電薄膜素子として、アルカリニオブ酸化物系のペロブスカイト化合物から形成される誘電体膜を用いる圧電薄膜素子が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の圧電薄膜素子は、MgO等から形成される基板と、基板上に形成される下部電極と、BaTiO等から形成され、下部電極の上に形成されるバッファ層と、一般式が(NaLi)NbO(0<x<1、0<y<1、x+y+z=1)で表されるアルカリニオブ酸化物系のペロブスカイト化合物から構成され、バッファ層上に形成される圧電薄膜と、圧電薄膜の上に形成される上部電極とを備え、圧電薄膜が、スパッタリング法(RFマグネトロンスパッタリング法)、CVD法、PLD法、又は塗布法等により形成される。
特許文献1に記載の圧電薄膜素子は、上記のような構成を備えるので、良好な圧電特性が得られる。
特開2007−19302号公報
ここで、量産成膜に実績のあるスパッタリング法では、圧電薄膜の原料である焼結体ターゲットとして、圧電薄膜の組成と同一の組成で構成されたターゲットを用いる。しかしながら、ターゲット精製の段階で、カーボン、水素等がターゲットに混入することがある。また、スパッタ成膜室中の残留ガス中、及び/又は成膜の動作ガスである不活性ガス中に、不純物として、カーボン若しくは水素を含む分子、又は水等が混入することがある。そして、従来は、圧電素子の基幹部位である非鉛系の圧電薄膜において、当該圧電薄膜に含まれる有機分子、及び/又はO−H結合を有する分子(例えば、水酸基を含む分子、水分子等)等の数と圧電特性との相関を定量的に管理しておらず、長寿命、かつ高い圧電定数を示す非鉛系デバイスを歩留り良く生産することが困難であった。
したがって、本発明の目的は、長寿命、かつ高い圧電定数を示す非鉛系デバイスを歩留り良く生産できる圧電薄膜素子、圧電薄膜の製造方法、及び圧電薄膜デバイスを提供することにある。
(1)本発明は、上記課題を解決することを目的として、基板と、基板上に設けられ、一般式(NaLi)NbO(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦0.2、x+y+z=1)で表されるニオブ酸化物系ペロブスカイト構造を有する圧電薄膜とを備え、圧電薄膜が、CH、C、C、C、C、CHOH、COH、及びCからなる群から選択される有機分子、又は水酸基、アシル基、カルボニル基、アルキニル基、及びカルボキシル基からなる群から選択される基を含む分子、又はO−H結合、C−O結合、C=O結合、C≡C結合、及びO−O結合からなる群から選択される結合を含む分子を有する圧電薄膜素子が提供される。
(2)また、上記圧電薄膜素子において、圧電薄膜から脱離する有機分子の数が、1×10−5Pa以下の真空中、800℃以下の温度において、圧電薄膜の単位面積当たり1×1013個/cm以上2×1016個/cm以下にすることもできる。
(3)また、上記圧電薄膜素子において、有機分子が、C分子であり、圧電薄膜から脱離するC分子の数が、580℃以上800℃以下の温度範囲において、圧電薄膜の単位面積当たり2×1016個/cm以下であってもよい。
(4)また、上記圧電薄膜素子において、圧電薄膜から脱離する水酸基又はO−H結合を含む分子の数が、圧電薄膜の単位面積当たり1.5×1016個/cm以下であってもよい。
(5)また、上記圧電薄膜素子において、O−H結合を含む分子が、HO分子であり、圧電薄膜から脱離するHOの数が、200℃以上380℃以下の温度範囲において、圧電薄膜の単位面積当たり1.5×1016個/cm以下であってもよい。
(6)また、上記圧電薄膜素子において、圧電薄膜から脱離する有機分子の数が、圧電薄膜の単位質量当たり1.7×1017個/g以下であってもよい。
(7)また、上記圧電薄膜素子において、有機分子が、C分子であり、圧電薄膜から脱離するC分子の数が、580℃以上800℃以下の温度範囲において、圧電薄膜の単位質量当たり1.7×1017個/g以下であってもよい。
(8)また、上記圧電薄膜素子において、圧電薄膜から脱離する水酸基又はO−H結合を含む分子の数が、圧電薄膜の単位質量当たり1.3×1017個/g以下であってもよい。
(9)また、上記圧電薄膜素子において、O−H結合を含む分子が、HO分子であり、圧電薄膜から脱離するHOの数が、200℃以上380℃以下の温度範囲において、圧電薄膜の単位質量当たり1.3×1017個/g以下であってもよい。
(10)また、上記圧電薄膜素子において、圧電薄膜が、ペロブスカイト構造を有するABOの結晶(ただし、AはLi、Na、K、La、Sr、Nd、Ba、及びBiからなる群から少なくとも1つ選択される元素、BはZr、Ti、Mn、Mg、Nb、Sn、Sb、Ta、及びInからなる群から少なくとも1つ選択される元素、Oは酸素を表す。)、ABOの非晶質、若しくはABOの結晶とABOの非晶質とが混合した組成を有してもよい。
(11)また、上記圧電薄膜素子において、基板と圧電薄膜との間に設けられる下部電極層を更に備え、下部電極層を構成する材料の結晶配向性が、基板の表面に対して垂直方向に優先配向した単層構造若しくは積層構造を有してもよい。
(12)また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、基板を準備する基板準備工程と、基板上に圧電薄膜を形成する圧電薄膜形成工程と、真空中、不活性ガス雰囲気中、若しくは大気中で圧電薄膜に熱処理を施す熱処理工程とを備え、熱処理工程が、圧電薄膜に含まれる有機分子、又は水酸基、アシル基、カルボニル基、及びカルボキシル基からなる群から選択される基を含む第1分子、又はO−H結合、C−O結合、C=O結合、及びO−O結合からなる群から選択される結合を含む第2分子の数を低減させることにより、熱処理後の圧電薄膜から有機分子、第1分子、及び第2分子の脱離する数を低減させる圧電薄膜の製造方法が提供される。
(13)また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、上記(1)〜(11)のいずれか1つに記載の圧電薄膜素子を備える圧電薄膜デバイスが提供される。
本発明に係る圧電薄膜素子、圧電薄膜の製造方法、及び圧電薄膜デバイスによれば、長寿命、かつ高い圧電定数を示す非鉛系デバイスを歩留り良く生産できる圧電薄膜素子、圧電薄膜の製造方法、及び圧電薄膜デバイスを提供できる。
本発明の実施の形態に係る圧電薄膜素子の断面図である。 実施例1に係る圧電薄膜付きの基板の断面の概要図である。 実施例に係る圧電薄膜を成膜する成膜装置の概要図である。 実施例1に係る圧電薄膜40の2θ/θスキャンのX線回折パターンである。 KNNの結晶構造を示す図である。 実施例1に係る圧電薄膜の積層体について昇温脱離ガス分析法で測定した結果得られた各種M/zの昇温脱離ガス分析スペクトルである。 実施例1に係る圧電薄膜の積層体に熱処理を施した試料について、昇温脱離ガス分析法で測定した結果得られた各種M/zの昇温脱離ガス分析スペクトルである。 (a)は、実施例1に係る圧電薄膜の積層体から熱脱離したM/z=28の分子をCとみなした場合におけるC分子の数の熱処理前後の比較図である。(b)は、実施例1に係る圧電薄膜の積層体から熱脱離したM/z=18の分子をHOとみなした場合におけるHO分子の数の熱処理前後の比較図である。(c)は、実施例1に係る圧電薄膜の積層体から熱脱離したM/z=2の分子をHとみなした場合におけるH分子の数の熱処理前後の比較図である。 実施例1に係る圧電薄膜の積層体から熱脱離したM/z=28の分子をCとみなした場合におけるC分子の数と圧電定数との相関図である。 実施例1に係る圧電薄膜の積層体から熱脱離したM/z=18の分子をHOとみなした場合におけるHO分子の数と圧電定数との相関図である。 実施例1に係る圧電薄膜の積層体から熱脱離したM/z=28の分子をCとみなした場合におけるC分子の数と圧電定数の相対標準偏差との相関図である。 実施例1に係る圧電薄膜の積層体から熱脱離したM/z=18の分子をHOとみなした場合におけるHO分子の数と圧電定数の相対標準偏差との相関図である。
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る圧電薄膜素子の断面の概要を示す。
(圧電薄膜素子1の構成)
本実施の形態に係る圧電薄膜素子1は、例えば、鉛を含まない圧電材料から形成される圧電薄膜40を備えることにより、環境負荷の小さい高精細高速インクジェットプリンタ用ヘッド、又は小型で低価格であるジャイロセンサ等に応用することができる。
具体的に、本実施の形態に係る圧電薄膜素子1は、一方の表面に酸化膜12を有する基板10と、接着層20を介して基板10の上(すなわち、酸化膜12の表面)に設けられる下部電極30と、下部電極30の上に設けられ、ニオブ酸化物系ペロブスカイト構造を有する材料から主として形成される圧電薄膜40と、圧電薄膜40上に設けられる上部電極50とを備える。また、圧電薄膜40は、一般式(NaLi)NbO(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦0.2、x+y+z=1)で表される材料から形成される。更に、下部電極30を構成する材料は、基板10の表面に対して所定の方向に優先的に配向している。
ここで、圧電薄膜40は、擬立方晶、正方晶、斜方晶、単斜晶、及び菱面体晶からなる群から選択される少なくとも一つの結晶構造を有して形成される。なお、圧電薄膜40は、擬立方晶、正方晶、斜方晶、単斜晶、及び菱面体晶のいずれか一つの結晶構造を有して形成されるか、これらの結晶構造のうち二つ以上の結晶構造が混合した状態を有して形成される。また、圧電薄膜40は、これらの結晶構造の結晶軸のうち2軸以下の予め定められた軸に優先的に配向した状態で形成される。
更に、圧電薄膜40は、有機分子、又は水酸基、アシル基、カルボニル基、アルキニル基、及びカルボキシル基からなる群から選択される基を含む分子、又はO−H結合、C−O結合、C=O結合、C≡C結合、及びO−O結合からなる群から選択される結合を含む分子を有する。有機分子としては、例えば、CH、C、C、C、C、CHOH、COH、及びCからなる群から選択される分子があげられる。
そして、本実施の形態において、圧電薄膜40から脱離する有機分子の数は、1×10−5Pa以下の真空中、800℃以下の温度において、圧電薄膜40の単位面積当たり1×1013個/cm以上2×1016個/cm以下、好ましくは0個/cm以上0.75×1016個/cm以下、より好ましくは0個/cmに制御される。例えば、有機分子がC分子である場合、圧電薄膜40から脱離するC分子の数は、580℃以上800℃以下の温度範囲において、圧電薄膜40の単位面積当たり2×1016個/cm以下、好ましくは0.75×1016個/cm以下、より好ましくは6×1015個/cm以下に制御される。
また、圧電薄膜40から脱離する水酸基又はO−H結合を含む分子の数は、圧電薄膜40の単位面積当たり1.5×1016個/cm以下、好ましく1×1016個/cm以下に制御される。例えば、O−H結合を含む分子がHO分子である場合、圧電薄膜40から脱離するHOの数は、200℃以上380℃以下の温度範囲において、圧電薄膜40の単位面積当たり1.5×1016個/cm以下、好ましく1×1016個/cm以下に制御される。
更に、圧電薄膜40から脱離する有機分子の数は、圧電薄膜40の単位質量当たり1.7×1017個/g以下、好ましくは0.61×1017個/g以下に制御される。例えば、有機分子がC分子である場合、圧電薄膜40から脱離するC分子の数は、580℃以上800℃以下の温度範囲において、圧電薄膜40の単位質量当たり1.7×1017個/g以下、好ましくは0.61×1017個/g以下に制御される。
また、圧電薄膜40から脱離する水酸基又はO−H結合を含む分子の数は、圧電薄膜40の単位質量当たり1.3×1017個/g以下、好ましく0.82×1017個/g以下に制御される。例えば、O−H結合を含む分子がHO分子の場合、圧電薄膜40から脱離するHOの数は、200℃以上380℃以下の温度範囲において、圧電薄膜40の単位質量当たり1.3×1017個/g以下、好ましく0.82×1017個/g以下に制御される。
(基板10)
基板10としては、例えば、Si基板、MgO基板、ZnO基板、SrTiO基板、SrRuO基板、ガラス基板、石英ガラス基板、GaAs基板、GaN基板、サファイア基板、Ge基板、ステンレス基板等を用いることができる。本実施の形態においては、価格が低廉で、かつ、工業的に使用の実績が豊富なSi基板を用いることが好ましい。
酸化膜12としては、基板10がSiから形成される場合、熱酸化により基板10の表面に形成される熱酸化膜を用いることができる。また、Chemical Vapor Deposition(CVD)法を用い、基板10の表面にSi酸化膜を形成することにより、酸化膜12を形成することもできる。なお、Siを除く他の材料から基板10を形成する場合、基板10の表面に酸化膜12を設けずに、石英ガラス基板、MgO基板、SrTiO基板、SrRuO基板等の酸化物からなる基板上に、Pt等からなる下部電極30を直接、形成することもできる。
(下部電極30)
下部電極30は、Pt若しくはPtを含む合金からなる金属層の単層構造を有する。また、下部電極30は、Pt若しくはPtを含む合金から形成される電極層と、Au等の導電性材料からなる電極層とを含む積層構造を有して形成することもできる。更に、下部電極30は、Ru、Ir、Sn、及びInからなる群から選択される少なくとも1つの元素を含む金属層、Ru、Ir、Sn、及びInからなる群から選択される少なくとも1つの元素の酸化物を含む酸化物層、又はRu、Ir、Sn、及びInからなる群から選択される少なくとも1つの元素と圧電薄膜40を構成する元素との化合物を含む化合物層を有して形成することもできる。また、下部電極30は、Pt若しくはPtを含む合金から形成される電極層及び/又は導電性材料からなる電極層、金属層、酸化物層、及び化合物層からなる群から選択される少なくとも一つを含む積層構造から形成することもできる。
また、下部電極30は、下部電極30を構成する材料の結晶配向性が基板10(例えば、Si基板)の表面に対して垂直方向に沿って優先的に配向した結晶配向性の単層を有して形成される。例えば、下部電極30は、(111)面に配向して形成されるPtからなる単層を有して形成することができる。更に、基板10と下部電極30との間に、基板10と下部電極30との密着性を向上させる接着層20を設けることもできる。接着層20は、例えば、Ti等の金属材料からなる薄膜から形成することができる。
(圧電薄膜40)
また、圧電薄膜40は、上述のとおり、(NaLi)NbO(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦0.2、x+y+z=1)で表されるペロブスカイト構造を有する酸化物から主として形成される。なお、圧電薄膜40を構成するニオブ酸カリウムナトリウム、又はニオブ酸リチウムカリウムナトリウムに、所定量のCu、Ta、及び/又はV等をドープすることもできる。
すなわち、圧電薄膜40は、ABO結晶又は非晶質のABO(ただし、AはLi、Na、K、La、Sr、Nd、Ba、及びBiからなる群から選択される少なくとも1つの元素であり、BはZr、Ti、Mn、Mg、Nb、Sn、Sb、Ta、及びInからなる群から選択される少なくとも1つの元素であり、Oは酸素である)の少なくとも一方を含んで形成される。すなわち、圧電薄膜40は、ABO結晶若しくは非晶質のABOのいずれか一方、又はABO結晶及び非晶質のABOの双方を含んで形成することができる。
ここで、圧電薄膜40は、RFスパッタリング法、イオンビームスパッタ法、又はCVD法等を用いて形成される。
(圧電薄膜40について本発明者が得た知見)
従来は、スパッタリング用ターゲットに含まれる有機系ガス、水酸基を含むガス、及び水素等、並びにスパッタリング成膜室に存在、あるいは発生する残留ガスとしての有機系ガス、水酸基を含むガス、及び水素等のうち、ニオブ酸リチウムカリウムナトリウム膜(なお、ニオブ酸カリウムナトリウム膜を含む)に含有される含有量について、詳細な分析と、分析結果をベースにした成膜の制御はなされていなかった。
すなわち、これまでは、圧電薄膜のスパッタリング成膜時に有機分子、水酸基を含む分子等が圧電薄膜に打ち込まれていたものの、成膜投入電力(Power)、成膜温度、基板と原料ターゲットとの間の距離の変化、及び膜形成後の熱処理の条件等と、圧電薄膜に打ち込まれて圧電薄膜中に存在するこれら分子の量との関係が不明瞭なままになっていた。
換言すれば、本実施の形態において見出された圧電薄膜の特性を決定する要因の一つである有機分子、水酸基を含む分子等の圧電薄膜中の含有量について正確に定量化せず、定性的な評価結果を基準に圧電薄膜を作製していたので、所望の圧電定数を再現性よく得ることができなかった。実際に、有機系ガス、水酸基を含む分子等の含有量が異なるニオブ酸リチウムカリウムナトリウム膜の圧電特性が製造ロットごとで異なっていることが判明した。
その理由は以下のとおりである。つまり、圧電薄膜に含まれる有機分子、水酸基を含む分子等の分子の数は生産ロットごとに変化するものの、これらの分子の圧電薄膜中の含有量を厳密に制御せずに圧電薄膜を形成していたことに起因する。
例えば、スパッタリング成膜前の成膜室の真空引きの時間を短くして背圧(Back pressure)を高くしてしまうこと、スパッタ動作ガスであるArに含まれる水分を除去しないこと、原料ターゲットに残留した有機系あるいは水酸基を含む化合物を低減させないこと等により、有機系分子及び水酸基を含む分子が、スパッタリング成膜中にスパッタ粒子と共に基板上の圧電薄膜に取り込まれる。その結果、有機系分子及び水酸基を含む分子を含有した多結晶粒の圧電薄膜が形成される。
この場合において、電子線マイクロアナライザ(EPMA)等によって、圧電薄膜の主成分の定性分析等の結果を得ることができるものの、EPMAの検出下限は低い。また、EPMAでは元素の存在を測定できるだけであり、圧電薄膜中に含まれる微量の有機分子、水酸基を含む分子等を精度よく測定、評価できない。
したがって、スパッタリング成膜における圧電薄膜の成膜中に、微量な有機系ガス、水酸基を含むガス等が圧電薄膜に含まれることに起因する圧電薄膜の特性への影響が不明なままとなる。その結果、成膜中の原料に起因する圧電薄膜の特性への影響、及び残留ガスに起因する圧電薄膜の特性への影響を把握することができず、圧電定数の向上及び圧電薄膜の安定的な生産の妨げになると考えたのである。
そこで、本実施の形態に係る圧電薄膜40であるニオブ酸リチウムカリウムナトリウム膜中の有機分子、水酸基を含む分子等の含有量を厳密に管理及び制御すべく、本発明者は、スパッタリング成膜法において、ニオブ酸リチウムカリウムナトリウム膜そのものの成膜温度、スパッタリング動作ガスの種類、ガス圧力、真空度、投入電力、及び成膜後の熱処理について、圧電薄膜40の圧電特性が向上する作製条件を見出した。更に、この作製条件の最適化も図ることで、圧電薄膜40の圧電特性がより向上することを見出した。
この作製条件の装置ごとの最適化、及び様々な環境下に応じた最適化、並びに評価及び管理方法等を詳細かつ厳密に検討することにより、適切な量の有機分子、水酸基を含む分子、及び/又はカルボニル基又はアシル基を含む分子等を含有させたニオブ酸リチウムカリウムナトリウム薄膜を再現よく形成できることを本発明者は見出した。
多結晶あるいはエピタキシャル成長させた単結晶のニオブ酸リチウムカリウムナトリウム膜中の単位面積当たり若しくは単位体積当たりのC、HOの含有量を最適な含有量に制御すべく、成膜温度、動作ガス、圧力、真空度、及び投入電力の検討・制御に加え、当該膜に熱処理を施した。熱処理は、例えば、赤外線ランプによる熱輻射、若しくは伝熱板を介したヒータ加熱による熱伝導を利用した。
こうして作製した圧電薄膜としてのニオブ酸リチウムカリウムナトリウム膜については、昇温脱離ガス分析法(Thermal Desorption Spectroscopy、以下「TDS」と称する)を用いてニオブ酸リチウムカリウムナトリウム膜から脱離する各種分子の数を定量的に評価し、当該膜に含まれる有機分子、水酸基等を有する分子の含有量を見積もることができる。
また、圧電薄膜40の圧電特性が向上する作製条件に合わせてスパッタリング成膜に用いる原料ターゲット材に含まれる有機分子、水酸基を有する分子の数を最適な値に制御すること、スパッタリング成膜室に残留する有機分子、水酸基を有する分子等のガスの量を成膜前、成膜時、及び成膜後のそれぞれの段階で測定すると共に管理することによって、結果として、作製される圧電薄膜に含まれる有機分子、水酸基を有する分子の量を厳密に制御することができ、高い圧電定数を示すニオブ酸リチウムカリウムナトリウム膜を安定的に再現性よく得られる。
更に、成膜後において、圧電薄膜が成膜された積層体そのものに熱処理を施すことにより、圧電薄膜中に取り込まれた有機分子、水酸基を有する分子の量を最適化する効果も期待される。
(上部電極50)
上部電極50は、Pt若しくはPtを含む合金から形成することができる。また、上部電極50は、Pt若しくはPtを含む合金から形成される電極層と、導電性材料からなる電極層とを含む積層構造を有して形成することもできる。更に、上部電極50は、Ru、Ir、Sn、及びInからなる群から選択される少なくとも1つの元素を含む金属層、Ru、Ir、Sn、及びInからなる群から選択される少なくとも1つの元素の酸化物を含む酸化物層、又はRu、Ir、Sn、及びInからなる群から選択される少なくとも1つの元素と圧電薄膜40を構成する元素との化合物を含む化合物層を有して形成することもできる。
(圧電薄膜40の製造方法)
圧電薄膜40は、RFスパッタリング法、イオンビームスパッタ法、又はCVD法等を用いて形成することができる。
具体的には、まず、基板10を準備する(基板準備工程)。次に、準備した基板10の上に接着層20、及び下部電極30を形成した後、圧電薄膜40を形成する(圧電薄膜形成工程)。ここで、圧電薄膜40をRFスパッタリング法で形成する場合、原料であるスパッタリング用ターゲットに含まれる有機分子、又は水酸基、アシル基、カルボニル基、及びカルボキシル基からなる群から選択される基を含む第1分子、又はO−H結合、C−O結合、C=O結合、及びO−O結合からなる群から選択される結合を含む第2分子の量を制御する。具体的には、ターゲットを構成する材料、焼結温度、焼結時間を制御することにより、ターゲットに含まれる有機分子、第1分子、及び第2分子の量を制御する。
次に、圧電薄膜形成工程である圧電薄膜40のスパッタ成膜工程において、ガス導入前のスパッタリング成膜室の真空度を10−4Pa以下に制御し、その後、スパッタリング動作ガスとして、動作ガス圧を0.1Pa以上に設定して成膜する。本実施の形態では、これらの制御により、圧電薄膜40に含まれる有機分子、第1分子、及び第2分子の量を制御し、良好な圧電特性を有する圧電薄膜40を形成することができる。
更に、形成した圧電薄膜40に、真空中、不活性ガス雰囲気中、若しくは大気中で熱処理を施す(熱処理工程)。この熱処理工程により、圧電薄膜40に含まれる有機分子、第1分子、又は第2分子の数が低減する。これにより、熱処理後に得られる圧電薄膜40から脱離する有機分子、第1分子、及び第2分子の数が低減する。
(スパッタリングターゲットの作製)
本実施の形態において用いるスパッタリングターゲットは以下のようにして作製することができる。
まず、KCO粉末、NaCO粉末、及びNb粉末を原料粉末として秤量する。そして、ボールミルを用いて秤量したこれらの原料粉末を24時間、混合する。次に、混合した後の原料粉末を850℃で10時間、仮焼成する。仮焼成後、仮焼成した原料粉末を再びボールミルで粉砕し、200MPaの圧力で成形することにより成形体を作製する。次に、成形体を1000℃以上1250℃以下の温度で焼成する。これにより、本実施の形態において用いるスパッタリングターゲットを作製することができる。
なお、(K+Na)/Nb比率、及びNa/(K+Na)比率は、KCO粉末、NaCO粉末、及びNb粉末の混合比率を調整することで制御できる。また、作製した焼結体ターゲットとしてのスパッタリングターゲットは、スパッタリング成膜に用いる前にエネルギー分散型X線蛍光分析(EDX)により、K、Na、及びNbの原子数%を測定し、それぞれの(K+Na)/Nb比率、及びNa/(K+Na)比率を算出することができる。
(実施の形態の効果)
本実施の形態に係る圧電薄膜素子1は、圧電薄膜素子1を構成する基板10、接着層20、下部電極30、及び圧電薄膜40の材料を適切に選定すると共に、圧電薄膜40の形成に用いるスパッタリングターゲット、スパッタリング成膜室の背圧、成膜後の熱処理温度を最適化して形成される。したがって、本実施の形態においては、圧電薄膜40に含まれる有機分子、O−H結合を含む分子、水素等の含有量を昇温脱離ガス分析法等によって精密に測定して定量化を図ると共に、その含有量を制御することができるので、圧電特性が向上した圧電薄膜素子1を提供することができる。
すなわち、圧電薄膜40に含まれる有機分子、O−H結合を含む分子、水素等の含有量を制御することにより、有機分子、O−H結合を含む分子、水素等の不純物の混入に起因する圧電薄膜素子1の圧電定数の低下、圧電定数のばらつきを抑制できる。したがって、ニオブ酸リチウムカリウムナトリウム等の薄膜の圧電体としての圧電薄膜40に含まれる不純物を高精度に制御できるので、圧電特性に優れた薄膜圧電体素子及び薄膜圧電体デバイスを提供できる。
また、本実施の形態に係る圧電薄膜素子1によれば、環境負荷を低減させ、かつ高性能な圧電薄膜素子1を用いた小型のモータ、センサ、及びアクチュエータ等の小型システム装置(例えば、Micro Electro Mechanical System[MEMS])等の圧電薄膜デバイスを実現することができ、また、圧電薄膜デバイスの製造歩留りを向上させることができる。
更に、本実施の形態に係る圧電薄膜素子1を予め定められた形状に成型すると共に、圧電薄膜素子に電圧を印加する電圧印加部、及び当該電圧を検出する電圧検知部を更に備えることにより、各種アクチュエータ、又は各種センサ等の薄膜圧電体デバイスを作製することができる。
また、本実施の形態に係る圧電薄膜素子1は、下部電極30として結晶配向性を制御したPt電極、若しくはPt合金等を用いているので、Ptの触媒活性によるOH基分解の促進によって圧電薄膜40が還元されることに伴う圧電薄膜40の劣化を抑制できる。更に、Ru、Ir等の金属、これらの金属の酸化物、又はPtと圧電薄膜40の中に含まれる元素との化合物の存在により、下部電極30の上に高精度で圧電薄膜40を形成することを制御することができると共に、圧電薄膜素子10としての耐環境性を向上させることができる。
図2は、実施例1に係る圧電薄膜付きの基板の断面の概要を示す。
実施例1においては、酸化膜を有するSi基板14上に接着層20を形成し、接着層20の上に下部電極30とペロブスカイト構造のニオブ酸カリウムナトリウム(以下、KNNと記す)からなる圧電薄膜40とをこの順に形成した圧電薄膜素子2を作製した。
以下に実施例1に係る圧電薄膜付きの基板の製造方法の詳細を説明する。
まず、Si基板14の表面に熱酸化膜を形成した。次に、熱酸化膜の上に厚さ2nmのTi膜を接着層20として形成した。そして、接着層20の上に下部電極30を形成した。なお、下部電極30は、厚さ200nmのPtから形成した。
ここで、接着層20及び下部電極30は、スパッタリング法により形成した。スパッタリング用ターゲットとしては金属ターゲットを用い、成膜時のスパッタリング投入電力を100Wに制御した。また、スパッタリング用ガスには100%のArガスを用いた。なお、スパッタリング用ガスとしては、ArとOとの混合ガス、又は、He、Ne、Kr、及びNからなる群から選択される一つ以上の不活性ガスを含むガスを用いることができる。また、成膜時には基板温度を350℃に設定し、多結晶のPtからなる薄膜を形成した。なお、下部電極30をAuから形成する場合においても、成膜時の基板温度を350℃に設定することにより、多結晶のAuからなる薄膜を形成することができる。
図3は、実施例に係る圧電薄膜を成膜する成膜装置の概要を示す。
次に、下部電極30の上に、図3に示す成膜装置としてのRFマグネトロンスパッタリング装置100を用い、圧電薄膜40として膜厚3μmのニオブ酸リチウムカリウムナトリウム(KNN)薄膜を形成した。圧電薄膜40の形成は、形成温度を400〜500℃の範囲に制御し、ArとOとを5:5で混合した混合ガスのプラズマを用いたスパッタリング成膜で実施した。アルゴンイオンが焼結体ターゲット60に衝突することにより、焼結体ターゲット60を構成する薄膜材料200がSi基板14上に堆積する。
また、原料ターゲットとしての焼結体ターゲット60は、有機分子、水酸基を有する分子、及びカルボニル基又はアシル基を有する分子の含有量を適切な範囲内の量に制御した(NaLi)NbO(ただし、x=0.5、y=0.5、z=0)のセラミックターゲットを用いた。そして、1μm〜5μm程度の厚さを有する圧電薄膜40を下部電極30の上に成膜した。更に、成膜後に、圧電薄膜40の中に含まれる有機分子、水酸基を有する分子等の数を制御することを目的として、真空中で300℃以上の加熱処理を圧電薄膜40に施した。なお、加熱処理は、酸素中、不活性ガス中、酸素と不活性ガスとの混合ガス中、又は大気中で実施することもできる。
図4は、実施例1に係る圧電薄膜40の2θ/θスキャンのX線回折パターンを示す。また、図5は、KNNの結晶構造を示す。
以上のようにして作製したKNN圧電体薄膜である圧電薄膜40について、走査電子顕微鏡等で断面形状を観察した。その結果、圧電薄膜40の組織は柱状構造から構成されていることが示された。また、圧電薄膜40の結晶構造をX線回折装置で調べた結果、基板加熱により形成した実施例1の下部電極30(つまり、Pt薄膜)構成するPtは、図4のX線回折パターン(2θ/θスキャン測定)に示すように、Si基板14の表面に垂直な向きに沿って、(111)面に配向していることが示された。この(111)に優先配向した下部電極30としてのPt膜上に圧電薄膜40を形成した結果、作製された圧電薄膜40は、図5に示す擬立方晶のペロブスカイト型の結晶構造を有する多結晶薄膜であることが判明した。
また、図4のX線回折パターンから分かるように、001、002、003の回折ピークのみを確認できることから、圧電薄膜40が概ね(001)に優先配向していることが示された。更に実施例1においては、Arを意図的に含有させた圧電薄膜40について、圧電薄膜40に含まれるArの含有量を定量的に評価することを目的として、蛍光X線分析装置により圧電薄膜40を測定した。
なお、蛍光X線分析法は、対象物質にX線を照射したときに発生する蛍光X線の波長(エネルギー)及び強度を測定することにより、対象物質の元素種、及び含有量を分析できる解析法である(例えば、合志陽一、佐藤公隆編、エネルギー分散型X線分析、学会出版センター、1989年、中井泉編、蛍光X線分析の実際、朝倉書店、2005年を参照。)。
図6は、実施例1に係る圧電薄膜の積層体について昇温脱離ガス分析法で測定した結果得られた各種M/zの昇温脱離ガス分析スペクトルを示す。
まず、昇温脱離分析法とは、超高真空中に設置した試料を赤外線ランプヒーター等を用いて加熱し、加熱により試料から熱脱離するガスを個々のマスナンバー(M/z)の分子について、四重極質量分析計(Quadrupole mass spectrometer[以下「QMS」と記述する])等の質量分析計を用いて脱離する分子の数を測定する方法である。なお、昇温脱離分析(TDS)における脱離分子の数の測定検出下限は1×1013個/cmである。したがって、以下に説明する実施例に係る圧電薄膜から脱離する有機分子の数は、圧電薄膜の単位面積当たり1×1013個/cm以上になるが、好ましくは0個/cmである。
QMSにおいては熱脱離した分子がイオン源でイオン化され、特定の質量M/z(マスナンバー)を有する分子及び単原子イオンが分別されて検出される。ここで注目する質量の信号強度(ここでは電流値)を試料温度に対してプロットすることで熱脱離のスペクトルが得られる。
実施例1に係る圧電薄膜40の積層体におけるTDS測定においては、10−10Torrのオーダーの超高真空中に、石英ガラス状に当該積層体を設置し、30℃/分の昇温速度で1000℃まで加熱することにより測定を実施した。また、TDS測定用に10mm×2.5mmの大きさの試料を作製した。当該試料の構成は、KNN[3μm]/Pt[200nm]/Ti[2nm]/SiO/Si基板とした。ここで、測定装置は電子科学(株)製のEMD−WA1000Sを用いた。
なお、装置構成及び測定原理の詳細については、例えば、特許第2619731号公報、C.Okada et al., Jpn.J.Appl.Phys.32(1993)のpp.L1186−L118、及び理化学辞典 第5版 p.643(岩波書店 1998年)等を参照することにより把握できる。
図7は、実施例1に係る圧電薄膜の積層体に熱処理を施した試料について、昇温脱離ガス分析法で測定した結果得られた各種M/zの昇温脱離ガス分析スペクトルを示す。
図6及び図7の横軸は試料の表面温度(加熱温度)、縦軸はQMSで検出された個々の分子の数に対応する電流値を示している。ここで見られる特徴的なスペクトルは、580℃から800℃の温度範囲にわたるM/z=28のピークである。この温度範囲において、KNNに含有する有機分子の数の大小を見積もることができる。
図6はKNN膜中の有機分子を制御する前のKNNのTDS測定結果を示す。試料1、試料3、及び試料5は、ウェハ上での位置が異なったものであり、M/z=28の量に明確な違いがあることが示された。また、M/z=18についても、試料のウェハ上での位置において差が存在し、60℃から380℃にわたるブロードなピークに違いがあることが示された。
なお、120℃から130℃の付近で観察された比較的鋭いピークは、KNN膜中ではなく、試料が大気中に曝されたときに試料の表面に吸着した水や有機系の汚染物であり、KNN圧電薄膜に含有される水酸基を有する分子及び有機分子ではない。そのため、KNN膜中の膜質変化とは本質的に関係ない。ただし、200℃を超えるようなブロードなピークは、KNN膜中で結合している分子であるとみなされ、KNN膜中の有機分子や水酸基を有する分子の制御や管理に関係のあるプロセスパラメータである。
一方、図7には、比較のため、KNNに含有される有機分子及び水酸基を有する分子の数について、実際に制御(すなわち低減する制御)したときのTDSスペクトルを示す。当該制御は大気中で800℃の熱処理をKNNからなる圧電薄膜の積層体に施す制御であり、当該熱処理を施した圧電薄膜の積層体についての測定結果を図7に示している。この図7と図6とを比較すると分かるように、熱処理を施すことによって、前述した温度範囲のM/z=28とM/z=18とのブロードなピークの高さ及びそれらの面積積分値に有意な差が存在することが示された。つまり、熱処理がKNN膜中の有機分子及び水酸基を有する分子の数の制御を可能とするプロセスパラメータの一つであることが示された。
次に、上述したTDS測定スペクトルから得られる各M/zのピークについて、表1〜表12にEMD−WA1000Sの装置に固有な係数に基づいて導き出された各分子の定量解析値を示す。
Figure 2012102382
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これらの表に示すように、実施例においては、それぞれのマスナンバーにおいて、M/z=2についてはH(水素)、M/z=16についてはCH(メタン)及びNH(アンモニア)、M/z=18についてはHO(水)、M/z=26についてはC(アセチレン)、M/z=28についてはCO(一酸化炭素)、N(窒素)、C(エチレン)、及びC(エタン)、M/z=30についてはNO(一酸化窒素)及びSiH(シラン)、M/z=31についてはCHOH(メタノール)、M/z=32についてはO(酸素)、M/z=40についてはAr(アルゴン)、M/z=44についてはCO(二酸化炭素)及びC(プロパン)とみなして、それぞれの熱脱離した分子の数を計算した。
なお、実施例1で示したKNN[膜厚約3μm]/Pt[膜厚約200nm]/Ti[膜厚約2nm]/SiO[膜厚約190nm]/<100>Si基板[厚み約525μm]で構成された10mm×2.5mmの試料について、単位質量当たりの各分子種の熱脱離量を示している。
表1〜表3は、熱処理を施す前の実施例1に係るKNNからなる圧電薄膜の積層体(つまり、Si基板上にKNNからなる圧電薄膜を形成した積層体)について、当該圧電薄膜から核温度範囲で熱脱離したガス分子(M/z毎に示す)の個数を、圧電薄膜の単位質量当たりの個数として温度範囲ごとにそれぞれ定量化して示している。
一方、表4〜表6には表1〜表3に示したKNNからなる圧電薄膜の積層体に800℃の熱処理を施した試料について、当該積層体から熱脱離した各分子の定量値を当該積層体の単位質量当たりで示している。略全分子種について、脱離量が減少していることが分かる。また、表7〜表9と表10〜表12には、熱処理前と800℃の熱処理済みのKNNからなる圧電薄膜の表面の単位面積当たりの各分子の脱離量を列記した。実施例1においては、熱脱離した有機分子及び水酸基を有する分子の起源が主にKNNからなる圧電薄膜である可能性が高いことから、KNNからなる電薄膜中に含まれるこれらの分子の存在及びその化学結合の存在量をより正確に見積もることができると考えられる。
以上の結果をもとに、KNNからなる圧電薄膜の圧電特性、主に圧電定数への影響が大きいと予想される、有機分子の一つC、水分子(HO)、及び水素分子(H)の熱脱離量について、熱処理の有無(800℃)での比較図を図8に示す。
まず、図8(a)に示すように、Cについて580℃から800℃の範囲における熱脱離量は、熱処理によって低減できることが分かる。また、図8(b)に示すように、HOについて、60℃から380℃の範囲で脱離する量も熱処理を施すことによって、異なる試料全てについて低減していることを確認した。更に、HO及びCに含まれる共通の元素であるHで構成されるH分子も図8(c)から分かるように、熱処理によって減少することが示された。
図9は、実施例1に係る圧電薄膜の積層体から熱脱離したM/z=28の分子をCとみなした場合におけるC分子の数と圧電定数との相関を示す。
具体的に、有機分子及び水酸基を有する分子の含有量を制御したKNNからなる圧電薄膜について、図9に当該圧電薄膜の圧電特性のC分子の脱離量に対する変化を示す。横軸はKNNからなる圧電薄膜が含有するC分子のKNNからなる圧電薄膜の表面の単位面積当たりにおける熱脱離量(580℃〜800℃)、縦軸は圧電定数である。ここでは、一例として、6.7MV/mの電界を印加したときの圧電定数を示す。
なお、実施例において圧電定数の単位は任意単位であるが、実際の圧電定数の具体的な例としては、電極面に垂直(厚み方向)な伸縮の変化量であるd33、又は電極面に沿った方向の伸縮の変化量であるd31がある。実施例において用いる任意単位の圧電定数とd33又はd31とは比例関係にある。
図9に示すように、Cの熱による脱離量が減少するにしたがって圧電定数が高くなることが示された。すなわち、KNNからなる圧電薄膜中の有機分子及び有機分子中の結合の減少に伴い、圧電特性が向上することが示された。なお、実施例においては、4インチ径のSiウェハ上に形成した圧電特性の分布のばらつきが大きいKNNからなる圧電薄膜で評価した。その結果、ウェハの中心部と周縁部とでは、同じ依存性があることが示された。
特に、高性能な圧電素子として応用される圧電定数が80以上のレベルを達成するためには、ウェハの中心部におけるCの熱脱離量を0.75×1016個/cm以下に低減することが要求される。また、ウェハの周縁部ではCの熱脱離量を2×1016個/cm以下に抑制することが要求される。
図10は、実施例1に係る圧電薄膜の積層体から熱脱離したM/z=18の分子をHOとみなした場合におけるHO分子の数と圧電定数との相関を示す。
すなわち、図10は、圧電特性のHO分子の脱離量に対する変化を示す。横軸はKNNからなる圧電薄膜に含まれるHO分子のKNNからなる圧電薄膜の表面の単位面積当たりの熱脱離量(200℃〜380℃)、縦軸は圧電定数を示す。
図9と同様に、HOの熱による脱離量が減少するにしたがい、圧電定数が増加することが示された。また、図9で示したように圧電定数が80のレベルを超えるようにするためには、HOの含有量を制御することが要求される。具体的には、ウェハの中心部でHOの熱脱離量を1×1016個/cm以下に抑制すると共に、ウェハの周縁部では1.5×1016個/cm以下に抑制することが要求される。
図11は、実施例1に係る圧電薄膜の積層体から熱脱離したM/z=28の分子をCとみなした場合におけるC分子の数と圧電定数の相対標準偏差との相関を示す。
すなわち、図11は、KNNからなる圧電薄膜に含まれる有機分子の一つであるCの熱脱離量に対する4インチウェハ上のおける圧電特性の不均一性(つまり、ばらつき)を表した圧電定数の相対標準偏差の変化を示す。
図11を参照すると、Cの熱脱離量が減少するにしたがい、約1.3×1016/cmまでは圧電定数の相対標準偏差が大きくなる(つまり、不均一が顕著になる)傾向が確認された。しかしながら、この値以下ではCの脱離量が減少するにしたがい、圧電定数の相対標準偏差は小さくなる傾向を示し、圧電特性の均一化が促進されていることが示された。
図12は、実施例1に係る圧電薄膜の積層体から熱脱離したM/z=18の分子をHOとみなした場合におけるHO分子の数と圧電定数の相対標準偏差との相関を示す。すなわち、図12は、図11と同様に、HOの熱脱離量に対する圧電定数の相対標準偏差の変化を示す。
図12に示すようにHOの熱脱離量が減少するにしたがい、略単調に圧電定数の相対標準偏差は減少した。これは、KNNからなる圧電薄膜に含まれる水酸基を有する分子を低減させることにより、ウェハ上での圧電特性の均一化を促進することができることを表している。KNNからなる圧電薄膜の中に含まれる有機分子及び水酸基を有する分子の低減が圧電定数の向上及び均一化に効果がある原因は明確ではない。ただし、予想されることとして、KNNからなる圧電薄膜と有機分子との結合の存在による局所的な酸素欠損、又は高触媒活性であるPtからなる電極により誘発される水酸基を有する分子を介した還元反応による酸素欠損の増加が、圧電特性の低下及びウェハ上での圧電特性の不均一化を起こしている可能性がある。
また、「末永和史、電子情報通信学会技術研究報告 SDM、シリコン材料・デバイス、100(653)、19−23」に記載されているように、鉛系であるPZT(Pb(Zr,Ti)O)薄膜について、圧電特性に密接に関係している強誘電性の劣化が、層間絶縁層に用いるP−TEOS(Plasma Tetra Ethyl Oxysilane)膜に含まれる水酸基及び水素量が増加すると共に顕著になる報告があり、前述のKNNからなる圧電薄膜中の有機分子及び水酸基を有する分子が圧電特性に影響することと定性的に一致している。
以上のように、基板上に少なくとも下部電極、圧電薄膜、及び上部電極を配した圧電薄膜の積層体において、当該圧電薄膜が擬立方晶、正方晶、斜方晶、単斜晶、又は菱面体晶の結晶構造、若しくはこられの結晶構造のうち少なくとも一つが共存した状態を有しており、当該圧電薄膜に含まれる有機分子の脱離分子の数が、圧電薄膜の単位面積当たり2×1016個/cm以下、好ましくは0.75×1016個/cm以下に、あるいは圧電薄膜に含まれる水酸基を有する分子の脱離分子の数が、圧電薄膜の単位面積当たり1.5×1016個/cm以下、好ましく1×1016個/cm以下に制御することによって、新規の高性能な圧電体の製造ができることが示された。
なお、圧電薄膜素子の製造は、以下の工程を経ることがより好ましい。
すなわち、図3に示すRFマグネトロンスパッタリング装置100を用いてKNNからなる圧電薄膜に含まれる有機分子、水酸基を有する分子、カルボニル基若しくはアシル基を有する分子等の量を適切な量に制御すべく、次に示す条件でKNNからなる圧電薄膜をウェハ上に成膜することが好ましい。
まず、スパッタリング成膜室へガスを導入する前におけるスパッタリング成膜室内の真空度を10−4Pa以下の背圧に制御し、その後、スパッタリング動作ガスとして、ArガスとOガスとの混合ガス、又はArガスを成膜室に導入する。この時、スパッタリング成膜室内の動作ガス圧を0.1Pa以上に設定することにより、スパッタリング成膜室内に残留する水分、並びにスパッタリング成膜室の内部部品及びターゲットから発生する不純物ガスを動作ガスの1/1000以下に低減する。
次に、スパッタリング成膜時のプラズマ放電出力として、原料ターゲットの単位面積当たりのスパッタリング投入電力密度pを0.05W/mm以下に設定する。スパッタリング投入電力密度「p」は、スパッタ投入電力を「P」、KNNからなるターゲットの面積を「S」にすると、p=P/Sで定義される。この場合において投入電力の単位は「W」であり、原料であるKNNからなるターゲットの面積の単位の例は、mm、cm、又はm等である。また、スパッタリング時における成膜温度を600℃以下に制御すると共に、原料ターゲットと成膜する基板(ウェハ)との間の距離を300mm以下に設定する。
以上の条件で作製したKNNからなる圧電薄膜に対し、当該圧電薄膜に含まれる有機分子、水酸基を有する分子、及びカルボニル基若しくはアシル基を有する分子等を更に低減させるべく、圧電薄膜に熱処理を施す。熱処理は、圧力が1.33Pa以下に制御された真空条件下で実施した。そして、熱処理は2回に分けて実施した。具体的には、室温から100℃以上400℃以下の温度範囲内の温度まで加熱する第1の熱処理工程と、室温から600℃以上900℃以下の温度範囲内の温度まで加熱する第2の熱処理工程とを実施した。なお、第1の熱処理工程及び第2の熱処理工程の時間はそれぞれ2時間に制御した。
以上、本発明の実施の形態及び実施例を説明したが、上記に記載した実施の形態及び実施例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態及び実施例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
1、2 圧電薄膜素子
10 基板
12 酸化膜
14 Si基板
20 接着層
30 下部電極
40 圧電薄膜
50 上部電極
60 焼結体ターゲット
100 RFマグネトロンスパッタリング装置
200 薄膜材料

Claims (13)

  1. 基板と、
    前記基板上に設けられ、一般式(NaLi)NbO(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦0.2、x+y+z=1)で表されるニオブ酸化物系ペロブスカイト構造を有する圧電薄膜と
    を備え、
    前記圧電薄膜が、CH、C、C、C、C、CHOH、COH、及びCからなる群から選択される有機分子、又は水酸基、アシル基、カルボニル基、アルキニル基、及びカルボキシル基からなる群から選択される基を含む分子、又はO−H結合、C−O結合、C=O結合、C≡C結合、及びO−O結合からなる群から選択される結合を含む分子を有する圧電薄膜素子。
  2. 前記圧電薄膜から脱離する有機分子の数が、1×10−5Pa以下の真空中、800℃以下の温度において、前記圧電薄膜の単位面積当たり1×1013個/cm以上2×1016個/cm以下である請求項1に記載の圧電薄膜素子。
  3. 前記有機分子が、C分子であり、
    前記圧電薄膜から脱離する前記C分子の数が、580℃以上800℃以下の温度範囲において、前記圧電薄膜の単位面積当たり2×1016個/cm以下である請求項2に記載の圧電薄膜素子。
  4. 前記圧電薄膜から脱離する前記水酸基、又は前記O−H結合を含む分子の数が、前記圧電薄膜の単位面積当たり1.5×1016個/cm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の圧電薄膜素子。
  5. 前記O−H結合を含む分子が、HO分子であり、
    前記圧電薄膜から脱離する前記HOの数が、200℃以上380℃以下の温度範囲において、前記圧電薄膜の単位面積当たり1.5×1016個/cm以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の圧電薄膜素子。
  6. 前記圧電薄膜から脱離する前記有機分子の数が、前記圧電薄膜の単位質量当たり1.7×1017個/g以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の圧電薄膜素子。
  7. 前記有機分子が、C分子であり、
    前記圧電薄膜から脱離する前記C分子の数が、580℃以上800℃以下の温度範囲において、前記圧電薄膜の単位質量当たり1.7×1017個/g以下である請求項6に記載の圧電薄膜素子。
  8. 前記圧電薄膜から脱離する前記水酸基又は前記O−H結合を含む分子の数が、前記圧電薄膜の単位質量当たり1.3×1017個/g以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載の圧電薄膜素子。
  9. 前記O−H結合を含む分子が、HO分子であり、
    前記圧電薄膜から脱離する前記HOの数が、200℃以上380℃以下の温度範囲において、前記圧電薄膜の単位質量当たり1.3×1017個/g以下である請求項1〜8のいずれか1項に記載の圧電薄膜素子。
  10. 前記圧電薄膜が、ペロブスカイト構造を有するABOの結晶(ただし、AはLi、Na、K、La、Sr、Nd、Ba、及びBiからなる群から少なくとも1つ選択される元素、BはZr、Ti、Mn、Mg、Nb、Sn、Sb、Ta、及びInからなる群から少なくとも1つ選択される元素、Oは酸素を表す。)、ABOの非晶質、若しくは前記ABOの結晶と前記ABOの非晶質とが混合した組成を有する請求項1〜9のいずれか1項に記載の圧電薄膜素子。
  11. 前記基板と前記圧電薄膜との間に設けられる下部電極層
    を更に備え、
    前記下部電極層を構成する材料の結晶配向性が、前記基板の表面に対して垂直方向に優先配向した単層構造若しくは積層構造を有する請求項1〜10のいずれか1項に記載の圧電薄膜素子。
  12. 基板を準備する基板準備工程と、
    前記基板上に圧電薄膜を形成する圧電薄膜形成工程と、
    真空中、不活性ガス雰囲気中、若しくは大気中で前記圧電薄膜に熱処理を施す熱処理工程と
    を備え、
    前記熱処理工程が、前記圧電薄膜に含まれる有機分子、又は水酸基、アシル基、カルボニル基、及びカルボキシル基からなる群から選択される基を含む第1分子、又はO−H結合、C−O結合、C=O結合、及びO−O結合からなる群から選択される結合を含む第2分子の数を低減させることにより、前記熱処理の後の前記圧電薄膜から前記有機分子、前記第1分子、及び前記第2分子の脱離する数を低減させる圧電薄膜の製造方法。
  13. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の圧電薄膜素子を備える圧電薄膜デバイス。
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