JP2015175030A - ペロブスカイト型酸化物層の形成方法、ペロブスカイト型酸化物層及びそれを用いた用途 - Google Patents

ペロブスカイト型酸化物層の形成方法、ペロブスカイト型酸化物層及びそれを用いた用途 Download PDF

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荘雄 清水
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潔 内山
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Abstract

【課題】(111)Pt/Si上などに{110}配向のペロブスカイト型酸化物を成長させるための適当な下地を提供すること。【解決手段】(101)配向の(PtxPd1−x)O(式中、0≰x<1)で表される酸化パラジウムまたはその固溶体層を下地として{110}配向のペロブスカイト型酸化物層を成長するペロブスカイト型酸化物層の成長方法。(101)配向の(PtxPd1−x)O(式中、0≰x<1)で表される酸化パラジウムまたはその固溶体層を下地とした{110}配向のペロブスカイト型酸化物層。110}配向のペロブスカイト型酸化物層を含む素子。【選択図】図2

Description

本発明は、{110}配向のペロブスカイト型酸化物層の形成方法、その製法で得られる{110}配向のペロブスカイト型酸化物層、及び、そのペロブスカイト型酸化物層を用いる電極材料、イオン伝導素子、圧電素子、強誘電素子、強磁性素子等の用途に関する。
ペロブスカイト型酸化物の例として強誘電体材料を例にして述べると、主にペロブスカイト型酸化物からなる強誘電体材料は、配向によって圧電特性、強誘電特性が大きく異なる。{100}配向、{111}配向の強誘電体材料はこれまでよく研究されている(たとえば、特許文献1、特許文献2)。
これに対して、{110}配向のPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)は最も良い圧電特性を示す配向であるとの報告が、単結晶基板を利用してされている(非特許文献1)。{110}配向のメリットとしては、BaTiO等では特性が基板の歪に対して、{100}配向、{111}配向及び{110}配向の3方位の中で最も鈍感になること、PZT等では{110}配向はエンジニアリングドメイン方向になり、圧電が大きくなることが期待されることなどがある。
しかし、{110}配向のペロブスカイト型酸化物層について、実用上最も広く利用されている(111)Pt/Si基板上での報告例はない。その理由は、(111)Pt/Si上に{110}配向のペロブスカイト型酸化物を成長させるための適当な下地がないためである。
(111)Pt/Si上に{110}配向のペロブスカイト型酸化物を成長させる下地は、これからのペロブスカイト型酸化物を利用する各種の素子の発展のために非常に重要である。
特開2005−313628号公報 特開2005−223318号公報
Y. Guo et al., J.Sol-Gel.Sci.Technol(2009)49:66-70
そこで、本発明は、{110}配向のペロブスカイト型酸化物を成長させるための適当な下地を提供し、{110}配向のペロブスカイト型酸化物層の形成方法、その製法で得られる{110}配向のペロブスカイト型酸化物層、及び、そのペロブスカイト型酸化物層を用いる電極材料、イオン伝導素子、圧電素子、強誘電素子、強磁性素子等の用途を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、下記を提供する。
(1) (101)配向の(PtPd1−x)O(式中、0≦x<1であるが、Ptが酸化されやすい0≦x<0.5が好ましい)で表される酸化パラジウムまたはその固溶体層を下地として{110}配向のペロブスカイト型酸化物層を成長することを特徴とするペロブスカイト型酸化物層の成長方法。
(2) 前記(101)配向の酸化パラジウムまたはその固溶体層が(111)配向の(PtPd1−x)(式中、0≦x<1)で表されるパラジウム金属または合金層上に形成されている、上記(1)に記載のペロブスカイト型酸化物層の成長方法。
(3) 前記(101)配向の酸化パラジウムまたはその固溶体層を前記(111)配向のパラジウム金属または合金層上に成長させる工程を含み、その成長の際に、またはその成長後に、前記(111)配向のパラジウム金属または合金層を酸化パラジウムまたはその固溶体層に変換する工程を含む、上記(2)に記載のペロブスカイト型酸化物層の成長方法。
(4) 前記(101)配向の酸化パラジウムまたはその固溶体層が前記(111)配向のパラジウム金属または合金層上に成長されており、当該(101)配向の酸化パラジウムまたはその固溶体層上に前記{110}配向のペロブスカイト型酸化物層を成長させた後、当該(101)配向の酸化パラジウムまたはその固溶体層をパラジウム金属または合金層に変換する工程を含む、上記(2)に記載のペロブスカイト型酸化物層の成長方法。
(5) 前記(111)配向のパラジウム金属または合金層をシリコン基板上に形成する工程を含む、上記(2)〜(4)に記載のペロブスカイト型酸化物層の成長方法。
(6) 前記パラジウム金属または合金層上に形成されている(101)配向の酸化パラジウムまたはその固溶体層が、前記パラジウム金属または合金層の表面を酸化する工程によって形成される、上記(2)〜(5)に記載のペロブスカイト型酸化物層の成長方法。
(7) {110}配向のペロブスカイト型酸化物層を(101)配向の(PtPd1−x)O(式中、0≦x<1であるが、Ptが酸化されやすい0≦x<0.5が好ましい。)で表される酸化パラジウムまたはその固溶体層上に有することを特徴とするペロブスカイト型酸化物層。
(8) 前記(101)配向の酸化パラジウムまたはその固溶体層を(111)配向の金属パラジウムまたはその固溶体層上に有する、上記(7)に記載のペロブスカイト型酸化物層。
(9) {110}配向のペロブスカイト型酸化物層を(111)配向の(PtPd1−x)(式中、0≦x<1)で表されるパラジウム金属または合金層上に有することを特徴とするペロブスカイト型酸化物層。
(10) 前記ペロブスカイト型酸化物が、一般式ABO(式中、AはLi, Na, K, Rb, Mg, Ca, Sr, Ba, Pb, Bi, La, Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho, Er,Tm,Yb,Lu, Yなどから選ばれる1種または2種以上であり、Bは、Mg,Sc,Ti,V,Cr,Mn,Fe, Co, Ni, Cu,Zn,Zr, Nb, Mo, Ru, In, Sn, Hf, Ta, W, Ir, Pb, Biなどから選ばれる1種または2種以上であり、酸化物は固溶体を含む。)で表される酸化物である、上記(7)〜(9)に記載のペロブスカイト型酸化物層。
(11) 上記(7)〜(10)に記載のペロブスカイト型酸化物層を含むことを特徴とする素子。
(12) 前記ペロブスカイト型酸化物層を電極材料として含む、上記(11)に記載の素子。
(13) 誘電体素子、イオ伝導素子、電気伝導素子、圧電素子、強誘電素子、強磁性素子のいずれかである、上記(11)に記載の素子。
本発明によれば、{110}配向のペロブスカイト型酸化物を成長させることが可能な下地が提供され、実用上広く利用されている(111)Pt/Si基板を含む多くの基板上にも{110}配向のペロブスカイト型酸化物層を形成することが可能にされ、その下地を用いて{110}配向のペロブスカイト型酸化物層を形成する製法と、その製法で得られる{110}配向のペロブスカイト型酸化物層、及び、そのペロブスカイト型酸化物層を用いる電極材料、イオン伝導素子、圧電素子、強誘電素子、強磁性素子等の用途が提供される。{110}配向のペロブスカイト型酸化物層では、他の方位と同等の強誘電特性、電気伝導性などの目的特性を有し、かつ、BaTiO等では特性が基板の歪に対し{100}配向、{111}配向及び{110}配向の3方位の中で最も鈍感になる、PZT等ではエンジニアリングドメイン方向になり、圧電特性が大きくなるなどの固有の効果がある。
PdとPdOの平衡状態図である。 {110}配向のペロブスカイト型酸化物層を(111)Pt/Si基板上に形成した本発明の好ましい実施例の層構成および原理を示す図である。 (111)Pt//Si基板および(101)PdO/(111)Pt/Si基板のX線回折分析の結果を示すチャートである。 PdO/Pd/Pt/Si上、Pt/Si上、及びLNO/Pt/Si上に形成した3方向の配向をしたSrRuOのX線回折分析の結果を示すチャートである。 3方向の配向をしたSr(Zr0.80.2)OのX線回折分析の結果を示すチャートである。 3方向の配向をしたSr(Zr0.80.2)Oの電気伝導度のアレニウスプロット結果と文献値を示すグラフである。 (111)Pt//Si基板上にSrRuOを製膜して形成した(110)SrRuO/(101)PdO/(111)Pd/(111)Pt/Si基板、及びそのX線回折分析の結果を示すチャートである。なお、本開示ではSrRuOの結晶面および結晶軸は立方晶として表記している。 Si基板上にSrRuOを製膜して形成した(110)SrRuO/(101)PdO/111)Pd/Si基板、及びそのX線回折分析の結果を示すチャートである。
(発明の原理)
本発明によれば、(101)配向の酸化パラジウムPdO層を下地とすることで、{110}配向のペロブスカイト型酸化物層が容易に形成される。(101)配向の酸化パラジウム(PdO)層は、(111)Pt/Si基板を含む多くの基板上にも簡単に形成することはできるので、その有用性は高い。(101)配向の酸化パラジウム(PdO)層は、その上に{110}配向のペロブスカイト型酸化物層を形成した後は、パラジウム金属または合金層に変換することも可能である。酸化パラジウムPdOに換えて、(PtPd1−x)O(式中、0<x<1であるが、Ptが酸化されやすい0≦x<0.5が好ましい)で表される酸化パラジウムの固溶体でも同様の結果が得られる。
[本発明の誘電体層の製造方法]
本発明のペロブスカイト型酸化物層の形成方法は、(101)配向の(PtPd1−x)O(式中、0≦x<1であるが、Ptが酸化されやすい0≦x<0.5が好ましい)で表される酸化パラジウムまたはその固溶体層を下地として{110}配向のペロブスカイト型酸化物層を成長することを特徴とする方法である。
(ペロブスカイト型酸化物層)
(110)面のペロブスカイト型酸化物は単位胞の[110]と[100]の2方向の格子面間隔が異なるが、それらの面間隔が(101)配向の酸化パラジウムまたはその固溶体層の単位胞の[101]と[100]の方向の格子面間隔と整合するので、{110}配向のペロブスカイト型酸化物層を(101)配向の酸化パラジウムまたはその固溶体層を下地として成長させることができる。
ペロブスカイト型酸化物は、ABO(式中、AはLi, Na, K, Rb, Mg, Ca, Sr, Ba, Pb, Bi, La, Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho, Er,Tm,Yb,Lu, Yなどから選ばれ、Bは、Mg,Sc,Ti,V,Cr,Mn,Fe, Co, Ni, Cu,Zn,Zr, Nb, Mo, Ru, In, Sn, Hf, Ta, W, Ir, Pb, Biなどから選ばれる。A,Bは複数であることができ、酸化物は固溶体を含む。)で表される酸化物であり、たとえば、BaTiO, PbTiO, KNbO、PbVOなどが挙げられる。
本発明において、ペロブスカイト型酸化物層は{110}配向していることを特徴とし、このペロブスカイト型酸化物の{110}配向は(101)配向の(PtPd1−x)O(式中、0≦x<1)で表される酸化パラジウムまたはその固溶体層上にペロブスカイト型酸化物を成長することで実現される。
{110}配向したペロブスカイト型酸化物は、(101)配向の(PtPd1−x)O(式中、0≦x<1)で表される酸化パラジウムまたはその固溶体と格子整合するが、ペロブスカイト型酸化物の[110]と(PtPd1−x)Oの[101]およびペロブスカイト型酸化物の[100]と(PtPd1−x)Oの[100]の格子面間隔寸法の差は小さいほど、得られる{110}配向したペロブスカイト型酸化物の結晶性が優れるので、好ましい。これらの格子整合はそれぞれにおいて、あるいは少なくとも一方において、30%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。また、整合する結晶面の2つの方向の格子寸法のうち一方の差が小さいと、他方の差が大きくても、配向した結晶が成長できる可能性が高いようである。たとえば、一方の格子寸法の差が10%以下であれば、他方の方向の格子寸法の差が70%程度(好ましくは50%以下)でも、結晶どうしが格子整合しうる。
図2を参照すると、(101)配向の酸化パラジウムの単位胞の[100]と[110]の方向の格子面間隔は3.03Åと6.13Åであり、{110}配向したペロブスカイト型酸化物の単位胞の[110]と[100]の2方向の格子面間隔は3.93Åと5.56Åである。したがって、格子整合すべき結晶面における室温での格子不整合の割合は、長軸方向では[110]SRO/[101]PdO=(5.56Å−6.13Å)/6.13Å=−9.3%であり、短軸方向では[100]SRO/[100]PdO=(3.93Å−3.03Å)/3.03Å=29.7%であるが、{110}配向したペロブスカイト型酸化物は(101)配向の酸化パラジウムに対して格子整合し、一軸配向した結晶成長をすることが確認されている。なお、酸化パラジウムの格子定数(a軸、b軸)は3.03Å、5.33Åであり、ペロブスカイト型酸化物の格子定数は、たとえば、PZTではa軸が4.0Å、c軸が4.15Åである。
本発明によれば、{110}配向したペロブスカイト型酸化物は、一軸配向することができ、結晶配向度が特に99%以上であるが、結晶配向度は80%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。ここで結晶配向度とは、X線回折分析において、{110}配向由来のhh0の回折強度が他の回折強度全部を足した強度に対する割合を意味する。
また、{110}配向したペロブスカイト型酸化物の{110}ピークの半値幅は、好ましくは10°以下、より好ましくは3°以下であることができる。
(ペロブスカイト型酸化物層の成長条件)
(101)配向の酸化パラジウムまたはその固溶体層上にペロブスカイト型酸化物を形成する方法は、下地を酸化パラジウムまたはその固溶体層とする以外は、従来知られているペロブスカイト型酸化物を形成する方法と同じでよい。
成長方法としては化学気相析出法、溶液法、スパッタリング法、パルスレーザ堆積法、水熱法などのいずれでもよく、原料は製法に応じて有機金属原料、ターゲット材(金属、金属酸化物等)、無機粉末などが用いられる。成長の条件としては、一般的には、雰囲気として、減圧または真空中(酸素中、酸素分圧のある雰囲気)、大気圧、水熱中、温度は100−300℃(水熱法)、400−1300℃(他の方法)、圧力は超高真空から加圧条件まで、時間は1分から30時間である。このようにして一旦成長した後、減圧または真空中(酸素中、酸素分圧のある雰囲気)、大気圧、水熱中で熱処理することができる。
具体的な成長条件の例を下記に示す。
成長方法:RFマグネトロンスパッタ法
原料:ペロブスカイトターゲット
雰囲気:酸素雰囲気(Ar:O=20:5)
温度:約500℃
圧力:200mTorr
時間:220Min(膜厚約50nm)
熱処理等:なし
(酸化パラジウムまたはその固溶体層)
(PtPd1−x)O(式中、0≦x<1であるが、酸化されやすい0≦x<0.5が好ましい)で表される酸化パラジウムまたはその固溶体層は{110}配向のペロブスカイト型酸化物層を成長する下地として機能し、(101)配向している必要がある。PdOと(PtPd1−x)Oは全く同じ結晶構造であり、格子定数もほぼ同じであり、酸化パラジウムが固溶体を形成する組成であれば、酸化パラジウムと同様に、{110}配向のペロブスカイト型酸化物層を成長する下地としての効果を奏する。
本発明において(101)配向の酸化パラジウムまたはその固溶体層における「層」の表現は、基板上に形成した膜状物であっても、それ自体自己支持性の基板そのものであってもよい。
(101)配向の(PtPd1−x)O(式中、0≦x<1)で表される酸化パラジウムまたはその固溶体層を提供する方法は限定されないが、本発明によれば、たとえば、(111)配向の(PtPd1−x)(式中、0≦x<1)で表されるパラジウム金属または合金層を酸素含有雰囲気で熱処理することでパラジウム金属または合金層の表面を酸化して形成することができる。あるいは(111)配向のパラジウム金属または合金層上に(PtPd1−x)O(式中、0≦x<1)で表される酸化パラジウムまたはその固溶体層を成長することで形成することができる。(111)配向の(PtPd1−x)(式中、0≦x<1)で表されるパラジウム金属または合金層を酸素含有雰囲気中で熱処理するなどの方法で、(111)配向のパラジウム金属または合金層上に(PtPd1−x)O(式中、0≦x<1)で表される酸化パラジウムまたはその固溶体層を形成すると、(101)配向の酸化パラジウムまたはその固溶体層が成長する理由は不明であるが、その事実は実験的に確認されている。(111)配向のパラジウム金属または合金層は面心立方構造であり、{110}配向のペロブスカイト型酸化物層とは格子定数が異なり、(111)配向のパラジウム金属または合金層上に{110}配向のペロブスカイト型酸化物層を成長させることはできないが、(111)配向のパラジウム金属または合金層上に酸化パラジウムまたはその固溶体層を形成すると、酸化パラジウムまたはその固溶体層は(101)配向になり、その格子定数は{110}配向のペロブスカイト型酸化物層の格子定数とa軸、b軸の2軸方向ともに整合(ほぼ一致)するため、その上に{110}配向のペロブスカイト型酸化物層を成長させることが可能になることを見出した。
(101)配向の(PtPd1−x)O(式中、0≦x<1)で表される酸化パラジウムまたはその固溶体層の組成は、下地としての(111)配向のパラジウム金属または合金層上に(PtPd1−x)O(式中、0≦x<1)で表される酸化パラジウムまたはその固溶体層の組成(xの値)と同じでなくても、これらの化学式の範囲内であれば、格子整合して(101)配向の酸化パラジウムまたはその固溶体層が形成されることが可能であるので、組成に特に制限はない。
(PtPd1−x)O(式中、0≦x<1)で表される(111)配向のパラジウム金属または合金層上に(101)配向の酸化パラジウムまたはその固溶体層を形成する方法は、従来知られている方法で形成することができ、限定されない。(PtPd1−x)O(式中、0≦x<1)で表される酸化パラジウムが形成される条件で、(PtPd1−x)(式中、0≦x<1)で表されるパラジウム金属または合金層を熱処理するか、パラジウム金属または合金層上に酸化パラジウムまたは固溶体層を堆積すればよい。図1にPdとPdOの平衡状態図を示す。温度と酸素濃度を調整すれば、PdOを形成することができることがわかる。(PtPd1−x)合金と(PtPd1−x)O固溶体の平衡状態図も同様である。
(101)配向の(PtPd1−x)O(式中、0≦x<1)で表される酸化パラジウムまたはその固溶体層は、上記の如く、(111)配向の(PtPd1−x)(式中、0≦x<1)で表されるパラジウム金属または合金層の表面を酸化することによって形成することが可能であるが、その熱処理条件は、図1に示すような(PtPd1−x)O(式中、0≦x<1)で表される酸化パラジウムまたはその固溶体が形成される条件であればよい。具体的には、たとえば、酸素含有雰囲気中で600〜800℃に加熱すればよい。加熱時間は数分でも十分である。
パラジウム金属または合金層上に酸化パラジウムまたは固溶体層を堆積する方法としては、金属の酸化、酸化物の直接作成(化学気相析出法、溶液法、スパッタリング法、パルスレーザ堆積法、水熱法)等を利用することができる。原料は、製法に応じて有機金属原料、ターゲット材(金属、金属酸化物等)、無機粉末などから適宜選択される。成長の条件は、一般的に、雰囲気として減圧または真空中(酸素中、酸素分圧のある雰囲気)、大気圧、水熱中など、温度は100−300℃(水熱法)、400−1300℃(他の方法)(図1のPdO安定領域)、圧力は超高真空から加圧条件まで(図1のPdO安定領域)、時間は1分から30時間が好ましい。一旦成長した後、減圧または真空中(酸素中、酸素分圧のある雰囲気)、大気圧、水熱中で熱処理することができる。
具体的な成長条件の例を下記に示す。
成長方法:パラジウム層の酸素中アニール処理
雰囲気:酸素雰囲気(1atm)
温度:750℃
圧力:1atm
時間:15min
熱処理等:アニール処理
(111)配向のパラジウム金属または合金層は、従来から誘電体素子の分野で広く利用されている(111)Pt/Si基板上にも、パラジウム金属または合金層を堆積して形成することができるので、本発明の{110}配向のペロブスカイト型酸化物層の製造方法は従来の製造工程、製造設備を利用して実施することができ、有利である。(111)Pt/Si基板およびその上に(111)配向のパラジウム金属または合金層を形成する方法は知られている。代表的には、表面酸化されたシリコン基板にLaNiO(LNO)などのバッファ層を介して白金層を堆積して(111)配向の白金層を形成し、その上にパラジウム金属または合金層を堆積することで(111)配向のパラジウム金属または合金層を形成することができる。
さらに、(101)配向の(PtPd1−x)O(式中、0≦x<1)で表される酸化パラジウムまたはその固溶体層は、(111)配向のパラジウム金属または合金層以外の下地の上においても、形成することが可能である。
たとえば、(111)白金層や、(PtPd1−x)O(式中、0≦x<1)などの面心立法構造(FCC)を有する物質(金属)の上に直接に(101)配向の酸化パラジウムまたはその固溶体層を堆積することも可能である。
下地の例としては、Pt, Pd, Rh, Ag, 他FCC構造を有する金属あるいはその上に同じ配向を持って成長可能な結晶構造が挙げられ、成長方法としては、金属の酸化、酸化物の直接作成(化学気相析出法、溶液法、スパッタリング法、パルスレーザ堆積法、水熱法)などがある。原料は製法に応じて有機金属原料、ターゲット材(金属、金属酸化物等)、無機粉末などから選択される。成長条件は、一般的に、雰囲気として減圧または真空中(酸素中、酸素分圧のある雰囲気)、大気圧、水熱中など、温度は100−300℃(水熱法)、400−1300℃(他の方法)、圧力は超高真空から加圧条件まで、時間は1分から30時間程度であることが好ましい。成長後、減圧または真空中(酸素中、酸素分圧のある雰囲気)、大気圧、水熱中などで熱処理することができる。
本発明においては、(101)配向の(PtPd1−x)O(式中、0≦x<1)で表される酸化パラジウムまたはその固溶体層が下地として提供されればよく、(101)配向の酸化パラジウムまたはその固溶体層を形成する方法、(101)配向の酸化パラジウムまたはその固溶体層に対する基板の有無や種類は問わない。
((101)配向の酸化パラジウムまたはその固溶体層/パラジウム金属または合金層の変形例)
(パラジウム金属または合金層の(101)配向の酸化パラジウムまたはその固溶体層への変換)
(111)配向のパラジウム金属または合金層上に(101)配向の酸化パラジウムまたはその固溶体層を形成する際に、あるいは形成後に、さらには、(101)配向の酸化パラジウムまたはその固溶体層上に{110}配向のペロブスカイト型酸化物層した後に、酸素含有雰囲気で熱処理することで、パラジウム金属または合金層の一部または全部を(101)配向の酸化パラジウムまたはその固溶体層に変換してもよい。
変換処理方法及び条件は、図1に示すPdOの安定条件であればよく、時間は短時間でよい。
((101)配向の酸化パラジウムまたはその固溶体層のパラジウム金属または合金層への変換)
また、(111)配向のパラジウム金属または合金層上に(101)配向の酸化パラジウムまたはその固溶体層を形成し、(101)配向の酸化パラジウムまたはその固溶体層上に{110}配向のペロブスカイト型酸化物層を形成した後であれば、酸化パラジウムまたはその固溶体層の一部または全部をパラジウム金属または合金層に変換してもよい。
変換処理方法及び条件は、図1に示すPdの安定条件であればよく、時間は短時間でよい。
[本発明のペロブスカイト型酸化物層]
(酸化パラジウムまたはその固溶体層上のペロブスカイト型酸化物層)
本発明によれば、上記の製造方法により、{110}配向のペロブスカイト型酸化物層を(101)配向の(PtPd1−x)O(式中、0≦x<1)で表される酸化パラジウムまたはその固溶体層上に有することを特徴とするペロブスカイト型酸化物層が提供される。
本発明の{110}配向のペロブスカイト型酸化物層は、上記の製造方法において記載したものであることができる。
本発明の{110}配向のペロブスカイト型構造は、(101)配向の酸化パラジウムまたはその固溶体層上にエピタキシャル成長するが、{110}結晶配向度は80%以上、さらには90%以上、特に99%以上であることが好ましい。ここで結晶配向度とは、X線回折分析において、{110}配向由来のhh0の回折強度が他の回折強度全部を足した強度に対する割合を意味する。本発明の{110}配向のペロブスカイト型酸化物層の{110}ピークの半値幅は10°以下であることが好ましく、さらには3°以下であることがより好ましい。
本発明の{110}配向のペロブスカイト型酸化物層では、上記の(101)配向の(PtPd1−x)O(式中、0≦x<1)で表される酸化パラジウムまたはその固溶体層は(111)配向の(PtPd1−x)(式中、0≦x<1)で表されるパラジウム金属または合金層上に有することができる。
(111)配向のパラジウム金属または合金層をシリコン基板((111)Pt/Si基板)上あるいはガラス基板上など各種の基板上に形成することは知られており、好ましいものである。
たとえば、S. Ito et al., Applied Physics Letters 90, 142910 (2007)に、(111)Si,多結晶Al、(100)SrTiO,(100)MgO、非晶質SiOからなる基板上への(111)Ptの堆積が報告されている。
(パラジウム金属または合金層上のペロブスカイト型酸化物層)
また、本発明によれば、{110}配向のペロブスカイト型酸化物層を、Si基板上に形成した(111)配向のパラジウム金属または合金層上に直接に有することを特徴とするペロブスカイト型酸化物層も提供される。上記に述べたように、{110}配向のペロブスカイト型酸化物層は(101)配向の酸化パラジウムまたはその固溶体層を下地として成長されるが、一旦、{110}配向のペロブスカイト型酸化物層を成長させた後は、下地の(101)配向の酸化パラジウムまたはその固溶体層をパラジウム金属または合金層に変換することができるからである。
(図面による代表例の説明)
図2を参照して、本発明の代表例として、(111)Pt(2)/(100)Si基板(1)上に(101)PdO(4)/(111)Pd(3)を利用して(110)配向ペロブスカイト型酸化物(5)を成長する概念を説明する。
(111)Pt(2)/(100)Si基板(1)は知られており、(111)Ptは面心立方構造である。(111)Pt(2)/(100)Si基板(1)上にPdを堆積すると、Pdも面心立方構造であり、それらの格子定数は3.89Å(室温)であり、近似しているので、(111)Pd(3)が成長する。(111)Pd(3)上にPdO(4)を堆積すると、理由は不明であるが、斜方晶のPdO構造である(101)配向のPdO(4)が成長することが実験的に確認されている。この(101)配向のPdO(4)の格子定数は、3.03Åと5.33Åであり、{110}配向のペロブスカイト型酸化物(5)の2次元の格子定数と2次元ともほぼ一致する。そのため、(101)配向のPdO(4)上にペロブスカイト型酸化物(5)を成長させると、{110}配向のペロブスカイト型酸化物(5)が得られる。
上記したように、図2において、(111)Pd(3)は全部を(101)配向のPdO(4)に変換することができるし、{110}配向のペロブスカイト型酸化物(5)を形成した後であれば、(101)配向のPdO(4)は全部を(111)Pd(3)に変換することができる。また、(100)Si基板(1)を用いる場合であっても(111)Pt(2)は必須ではなく、あるいは(100)Si基板(1)も必須ではない。
(ペロブスカイト型酸化物層を含む素子)
本発明の{110}配向のペロブスカイト型酸化物層は、電気導電性、圧電特性、強誘電特性等を有し、かつ(101)(Pt、Pd)Oを下地とすることで簡易に作成できるので、シリコン基板やガラス基板上にも形成でき、誘電体素子、イオ伝導素子、電気伝導素子、圧電素子、強誘電素子、強磁性素子などの用途に有利に利用できる。
多くの場合、シリコン基板やガラス基板上に{110}配向のペロブスカイト型酸化物層を電極材料として形成したり、強誘電性材料や強磁性材料として形成したりして、ペロブスカイト型酸化物層を利用する各種の素子が製造される。
たとえば、SrRuOは特にペロブスカイト構造の誘電体材料と組み合わせて使用されるペロブスカイト構造の導電性材料あるいは電極材料として、またSr(Zr,Y)Oはイオン伝導体材料として、BaTiOは誘電体材料として、Pb(Zr, Ti)Oは圧電体材料および強誘電体材料として、使用できる。
(実施例1)
図2に示す構造を持つペロブスカイト型酸化物層を形成した。
(111)Pt/(100)Si基板は、より具体的には(111)Pt/LaNiO/SiO/(100)Siの構造を有し、表面にSiO膜が自己形成されているSi基板上に、マグネトロンスパッタ法でLaNiO及びPtターゲットを用いてLaNiO層及び(111)Pt層をそれぞれ形成したものである。
この(111)Pt/(100)Si基板上に、マグネトロンスパッタ法でPdターゲットを用い、製膜圧力20mTorr(Ar:O=80:20)の酸素含有雰囲気中、500℃でPdを厚さ100nm程度に堆積した。
得られたPd/(111)Pt/(100)Si基板をX線回折測定装置を用いて分析した。結果を図3の(a)に示す。(111)Pt及び(111)Pdのピーク(2θ=39.9°及び40.2°)だけが観測され、(111)Pt上に(111)Pd層が形成されたことがわかる。
次いで、この(111)Pd/(111)Pt/(100)Si基板を、製膜チャンバから取出し、アニール炉で、酸素雰囲気中750℃で15分間アニールしてPdの表面をPdOに変換した。
得られたPdO/(111)Pd/(111)Pt/(100)Si基板をX線回折測定装置を用いて分析した。結果を図3の(b)〜(d)に示す。図3(b)に(111)Pd及び(101)PdOのピーク(2θ=40.2°及び34.0°)が見られ、(101)PdOが形成されたことがわかる。この(101)PdOのロッキングカーブを図3(c)に示すが、半値幅は2.7°であり、結晶性が優れることがわかる。図3(d)に(101)PdOの極点観測結果を示すが、一軸配向した(101)PdO層が形成されたことがわかる。
次いで、(101)PdO/(111)Pd/(111)Pt/(100)Si基板上に、マグネトロンスパッタ法でSrO及びRuOをターゲットとして温度500℃、製膜圧力200mTorr(Ar:O=20:5)でSrRuOを厚さ50nm程度に堆積した。
得られたSrRuO/(101)PdO/(111)Pd/(111)Pt/(100)Si基板をX線回折測定装置を用いて分析した。結果を図4(b)(e)に示す。図4(b)から2θ=32.4°、及び34.1°ピークが見られ、それぞれ(110)SrRuOおよび(101)PdOであることを示している。図4(e)のPsi=60.0°の極点観測から(110)SrRuOが一軸配向し、高い結晶性で形成されていることがわかる。
(比較例1〜2)
実施例1の下地と比較するために、従来から公知のPt/Si基板と、LNO/Pt//Si基板の上に、酸素分圧をそれぞれ18mTorrにしたこと以外は実施例1と同じ条件でSrRuOを堆積し、得られたSrRuOをX線回折測定装置を用いて分析した。結果をそれぞれ図4の(a)(d)および(c)(f)に示す。
通常のXRD回析分析では、それぞれ(111)SrRuOおよび(200)SrRuOのピークが見られるが、いずれも(110)SrRuOのピークは観察されない。また、図4(e)のPsi=35.3°およびPsi=45.0°の極点観測結果から、結晶性も実施例1と比べて高くないことが見られる。
(実施例2および比較例3〜4)
実施例1で作成した(101)PdO/(111)Pd/(111)Pt/(100)Si基板からなる下地の上に、Sr(Zr0.80.2)O3-δ(簡単に「SZYO」とも表記する)を(110)配向で成長させた。
SZYO層の形成方法は、パルスレーザ堆積法(PLD)とし、SZYOターゲットを用い、温度400℃、酸素分圧50mTorr,レーザ周波数8Hz,レーザ出力密度0.53mJで厚さ3μm程度に成膜した。
比較のために、比較例3としてSrRuO/Pt/Si基板と、比較例4としてSrRuO/LNO/Pt/Si基板の上に、実施例2と同じ条件でSZYOを堆積した。
得られたSZYO層をX線回折測定装置を用いて分析した。結果をそれぞれ図5の(a)(b)(c)にXRD回析分析の結果、(d)(e)(f)にロッキングカーブ、(g)(h)(i)にSr(Zr0.80.2)O3-δ面での極点観察結果を示す。
図5から、実施例2では(110)Sr(Zr0.80.2)O3-δの高いピークが観察されるが、比較例3では(111)Sr(Zr0.80.2)O3-δのピークのピークが観察され、比較例4では(200)Sr(Zr0.80.2)O3-δのピークが観察されることが見られる。また、図5から実施例2ではSr(Zr0.80.2)O3-δが(110)方向に単一配向していることが認められる。
実施例2の(110)Sr(Zr0.80.2)O3-δのピーク、比較例3の(111)Sr(Zr0.80.2)O3-δのピーク、比較例4での(200)Sr(Zr0.80.2)O3-δのピークのロッキングカーブにおける半値幅はそれぞれ1.7°、1.7°、6.8°であった。
(実施例3)
実施例2の(110)SrRuO、比較例3〜4の(111)Sr(Zr0.80.2)O3-δおよび(100)Sr(Zr0.80.2)O3-δについて、湿潤空気中での電気伝導度を温度の関数として測定して、アレニウスプロットの結果を図5に示す。併せて、文献値から、空気中で測定されたSr(Zr0.80.2)O3-δのもっとも高いデータも図6に示している。
図6から、本発明によれば、得られる(110)SrRuOの特性は他の方位である(111)および(100)のSrRuOの特性と同等であり、文献値(M. Arab. Pour. Yazdi, et al. Solid. State. Ionics. 180, 1246-1251 (2009))の最高値と比べても同等であることが認められる。
(実施例4)
実施例1と同様に、(111)Pt/(100)Si基板を用い、マグネトロンスパッタ法でPdターゲットを用い、製膜圧力20mTorr(Ar:O=80:20)の酸素含有雰囲気中、500℃でPdを厚さ100nm程度に堆積した。
次いで、(111)Pd/(111)Pt/(100)Si基板上に、マグネトロンスパッタ法でSrRuO3をターゲットとして温度500℃、圧力200mTorr(Ar:O=20:5)の酸素含有雰囲気中で、SrRuOを厚さ50nm程度に堆積した。
SrRuOを製膜して得られたものを、X線回折測定装置を用いて分析した。結果を図7(a)(b)に示す。
図7から、SrRuOの製膜中に、(111)Pd層の表面が酸化されて(101)PdO層が形成されたことが確認され、最終的に、(110)SrRuO/(101)PdO/(111)Pd/(111)Pt/(100)Si基板が得られていることがわかる。(110)SrRuOは一軸配向している。
(実施例5)
(100)Si基板を用い、マグネトロンスパッタ法でPdターゲットを用い、圧力20mTorr(Ar:O=100:0)の酸素不含有雰囲気中500℃で(111)Pd層を厚さ100nm程度に堆積した。
次いで、(111)Pd/(100)Si基板上に、マグネトロンスパッタ法でSrO及びRuOをターゲットとして温度500℃、圧力200mTorr(Ar:O=20:5)の酸素含有雰囲気中でSrRuOを厚さ50nm程度に堆積した。
SrRuOを製膜して得られたものを、X線回折測定装置を用いて分析した。結果を図8(a)(b)に示す。
図8から、SrRuOの製膜中に、(111)Pd層の表面が酸化されて(101)PdO層が形成されたことが確認され、最終的に、(110)SrRuO/(101)PdO/(111)Pd/(100)Si基板が得られているが、(111)Pt層が存在しない結果として、(111)Pd層、(101)PdO層及び(110)SrRuO層の結晶性が実施例4と比べて低いことがわかる。
(実施例6)
(111)配向の単結晶SrTiO基板上にPd層を堆積し、表面酸化したところ、X線回折分析の極点測定結果により(111)SrTiO基板上に(111)Pd層、その上に(101)配向のPdO膜が形成されていることが確認された。
(101)PdO層上にSrRuO薄膜を堆積したところ、X線回折分析の極点測定結果により(110)配向SrRuO薄膜が形成されていることが確認された。

Claims (13)

  1. (101)配向の(PtPd1−x)O(式中、0≦x<1)で表される酸化パラジウムまたはその固溶体層を下地として{110}配向のペロブスカイト型酸化物層を成長することを特徴とするペロブスカイト型酸化物層の成長方法。
  2. 前記(101)配向の酸化パラジウムまたはその固溶体層が(111)配向の(PtPd1−x)(式中、0≦x<1)で表されるパラジウム金属または合金層上に形成されている、請求項1に記載のペロブスカイト型酸化物層の成長方法。
  3. 前記(101)配向の酸化パラジウムまたはその固溶体層を前記(111)配向のパラジウム金属または合金層上に成長させる工程を含み、その成長の際に、またはその成長後に、前記(111)配向のパラジウム金属または合金層を酸化パラジウムまたはその固溶体層に変換する工程を含む、請求項2に記載のペロブスカイト型酸化物層の成長方法。
  4. 前記(101)配向の酸化パラジウムまたはその固溶体層が前記(111)配向のパラジウム金属または合金層上に成長されており、当該(101)配向の酸化パラジウムまたはその固溶体層上に前記{110}配向のペロブスカイト型酸化物層を成長させた後、当該(101)配向の酸化パラジウムまたはその固溶体層をパラジウム金属または合金層に変換する工程を含む、請求項2に記載のペロブスカイト型酸化物層の成長方法。
  5. 前記(111)配向のパラジウム金属または合金層をシリコン基板上に形成する工程を含む、請求項2〜4のいずれか1項に記載のペロブスカイト型酸化物層の成長方法。
  6. 前記パラジウム金属または合金層上に形成されている(101)配向の酸化パラジウムまたはその固溶体層が、前記パラジウム金属または合金層の表面を酸化する工程によって形成される、請求項2〜5のいずれか1項に記載のペロブスカイト型酸化物層の成長方法。
  7. {110}配向のペロブスカイト型酸化物層を(101)配向の(PtPd1−x)O(式中、0≦x<1)で表される酸化パラジウムまたはその固溶体層上に有することを特徴とするペロブスカイト型酸化物層。
  8. 前記(101)配向の酸化パラジウムまたはその固溶体層を(111)配向の金属パラジウムまたはその固溶体層上に有する、請求項7に記載のペロブスカイト型酸化物層。
  9. {110}配向のペロブスカイト型酸化物層を(111)配向の(PtPd1−x)(式中、0≦x<1)で表されるパラジウム金属または合金層上に有することを特徴とするペロブスカイト型酸化物層。
  10. 前記ペロブスカイト型酸化物が、一般式ABO(式中、AはLi, Na, K, Rb, Mg, Ca, Sr, Ba, Pb, Bi, La, Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho, Er,Tm,Yb,Lu, Yから選ばれる1種または2種以上であり、Bは、Mg,Sc,Ti,V,Cr,Mn,Fe, Co, Ni, Cu,Zn,Zr, Nb, Mo, Ru, In, Sn, Hf, Ta, W, Ir, Pb, Biから選ばれる1種または2種以上であり、酸化物は固溶体を含む。)で表される酸化物である、請求項7〜9のいずれか1項に記載のペロブスカイト型酸化物層。
  11. 請求項7〜10のいずれか1項に記載のペロブスカイト型酸化物層を含むことを特徴とする素子。
  12. 前記ペロブスカイト型酸化物層を電極材料として含む、請求項11に記載の素子。
  13. 誘電体素子、イオン伝導素子、電気伝導素子、圧電素子、強誘電素子、強磁性素子のいずれかである、請求項11に記載の素子。
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