JP2012097314A - 無排水による表面処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】無排水による表面処理装置において、ランニングコストの低コスト化を図って無排水操業を実質的に可能なものにする。
【解決手段】処理槽2と、この処理槽2の側方に配置された水洗槽4と、処理槽2と水洗槽4との間に配置された回収槽3と、これら各槽2〜4の配置方向に沿って連設された複数の移動体6と、移動体6を処理槽2から回収槽3を経て水洗槽4へ向かう方向で搬送しつつ各槽2〜4の上方では移動体6を下降させ各槽間では移動体6を上昇させる搬送手段7とを有し、処理槽2と回収槽3とが第1向流手段11で接続されていると共に、回収槽3と水洗槽4とが第2向流手段12で接続されており、搬送手段7は、各槽2〜4間で移動体6を上昇させるときに移動体6の外面に生じている隅角部の一つが最低位となるように当該移動体6を斜めに傾斜させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、無排水による表面処理装置に関するものである。
電気亜鉛メッキなどの表面処理を行う装置において、処理液で汚れた廃液を発生させない(無排水操業を可能にする)ための工夫が種々提案されている(例えば、特許文献1〜3等参照)。これらの装置構成として共通しているのは、個々の工程ごとに必要とされる水洗槽を、複数槽並べて設置し、向流式の多段洗浄を行う点にある。
向流式とは、工程入口である処理槽から取り出した処理品を水洗槽へ向けて搬送するのとは反対に、工程出口側の水洗槽から工程入口の処理槽へ向けて、洗浄水を順次、逆流させる方式を言う。この向流式では、工程出口に近い水洗槽ほど洗浄水は綺麗で、工程入口(処理槽)に近い水洗槽ほど、水の汚れはひどくなる(処理液濃度が高い)という状態になる。
すなわち、いずれの水洗槽からも廃液は発生せず、無排水操業が可能であるという理屈であった。なお好ましくは、処理槽に対し、槽内の処理液を一部組み上げながら水分のみ蒸発させ、蒸発後に取り出される処理液を処理槽内へ戻すという濃縮器を設けるのがよいとされている(例えば、特許文献3等参照)。
特許第3769661号公報 特開2006−322069号公報 特公平4−16560号公報
ところが、従来公知の向流式多段洗浄及び濃縮器を採用するだけでは、ランニングコストが高コストとなる問題が残されたままとなっており、無排水操業を達成することは実際上は不可能とされていた。
すなわち、処理槽から取り出した処理品を隣接の水洗槽へ浸漬させるときに、処理品による処理液の多量持ち出しが起こり、処理槽内の処理液は、常に減少してゆく状況が起こる。向流式の採用に伴い、水洗槽側から処理槽へ、処理液を含んだ洗浄水が逆流(供給)されるとしても、この逆流洗浄水の殆ど(水分)は濃縮器による蒸発で消失されるため、処理槽へ戻される処理液の量は、処理槽から持ち出される処理液の量に比して、格段に少ないものである。
このようなことから、処理槽内を一定の処理液に保持させるためには、処理槽に対して新たに多量の処理液を補充しなければならないことになり、この補充処理液に要するコストが、操業に係る採算性を妨げるほどに高コストになる原因となっているのである。のみならず、工程出口の水洗槽には多量の処理液が持ち込まれることになるから、この水洗槽に混ざり込んだ処理液成分の吸着除去を行う除去器は、頻繁に交換しなければならず、この点でも高コスト化に拍車をかけていたのである。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、ランニングコストの低コスト化を図って無排水操業を実質的に可能なものとできるようにした無排水による表面処理装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。
即ち、本発明に係る無排水による表面処理装置は、処理液を貯留する処理槽と、この処理槽の側方に配置されて洗浄水を貯留する水洗槽と、処理槽と水洗槽との間に配置されて予洗用洗浄水を貯留する回収槽と、これら処理槽、回収槽、水洗槽の配置方向に沿って連設された複数の移動体と、これら移動体を処理槽から回収槽を経て水洗槽へ向かう方向で搬送しつつ各槽の上方では処理液、予洗用洗浄水、洗浄水のそれぞれと接触する高さに移動体を下降させ各槽間では槽と槽とを隔てる槽壁より上方となる高さに移動体を上昇させる搬送手段と、を有している。
そして、処理槽と回収槽とが回収槽の予洗用洗浄水を処理槽へ送給する第1向流手段によって接続されていると共に、回収槽と水洗槽とが水洗槽の洗浄水を回収槽へ送給する第2向流手段によって接続されている。
そのうえで、前記搬送手段は、各槽間で移動体を上昇させるときに移動体の外面に生じている隅角部の一つが最低位となるように当該移動体を斜めに傾斜させることを特徴とする。
なお、「回収槽」とは、実質的には水洗槽と同じであり、この回収槽で貯留する「予洗用洗浄水」は、水洗槽で貯留される洗浄水に比べて、処理液の濃度が高い洗浄水を言うものとする。また、回収槽の設置数は特に限定されるものではない(少なくとも1槽の回収槽が設けられているという意味)。
要するに、工程出口に設置される槽を「水洗槽」とおき、この水洗槽と工程入口に設置される処理槽との間に設置される槽を、全て「回収槽」と呼ぶものである。
このような構成であると、各槽の間を移動する移動体が、外面に生じている隅角部の一つが最低位となるように斜めに傾斜させられることで、積極的且つ高効率で液切れされ、各槽から持ち出される処理液や予洗用洗浄水の量は、可及的に少量となる。そのため、処理槽では、補充する処理液の量を可及的に少量に抑えることができ、ランニングコストの低コスト化が図られる。
また、水洗槽(工程出口に設置される槽)では、処理液の持ち込みが可及的少量に抑えられることが奏功して、混ざり込んだ処理液成分の吸着除去を行う除去器の交換頻度が、極めて軽減される。それらの結果として、無排水操業を実質的に可能なものとできる。
前記搬送手段は、上昇し且つ傾斜した状態の移動体が槽壁を乗り越えるタイミングに合わせて、当該移動体の傾斜を解消させつつ、搬送方向下流側の槽内へ向けて下降開始させるように動作する構成にするのが好適である。
具体的には、前記搬送手段は、各槽に沿った槽外を移動する搬送枠と、この搬送枠から各槽の上方へ向けて上下揺動自在に片持ち支持されて各槽の上方を通過する位置で前記移動体を保持する昇降枠と、前記搬送枠の移動に伴って搬送される昇降枠に対して各槽の槽外位置で当接することによりこの昇降枠に前記移動体を上昇させるための揺動力を付与するカムと、を有したものとするのが好適である。
なお、「槽外」とは、各槽の側方である場合だけでなく、槽の上方など、要するに槽内の貯液に接触しない領域を言うものとする。
前記搬送手段は、前記昇降枠に対し各槽の槽外位置で搬送方向に平面視直交する軸心まわりに回転自在に保持された転動輪と、前記昇降枠が下方揺動したときにのみ前記転動輪に当接する高さで設置された回転付与レールと、前記転動輪が前記回転付与レールに当接して回転する回転動力を前記移動体に伝えて当該移動体を搬送方向に平面視直交する軸心まわりに回転させる回転駆動部と、を有したものとするのが好適である。
前記移動体は、処理品を収納するバレル又は処理品を保持するホルダー又は処理品自体とすればよい。
本発明に係る無排水による表面処理装置は、ランニングコストを低コスト化でき、もって無排水操業を実質的に可能なものとできる。
図4のB−B線断面図であって移動体を上昇させた状態に示している。 図4のA−A線断面図であって移動体を下降させた状態に示している。 図2のC−C線矢視図である。 本発明に係る無排水による表面処理装置の第1実施形態を示した平面図である。 本発明に係る無排水による表面処理装置の第1実施形態を模式的に示した正面断面図である。 本発明に係る無排水による表面処理装置の第2実施形態を示した側断面図(図2に対応させた図)である。 本発明に係る無排水による表面処理装置の第3実施形態を示した側断面図(図1に対応させた図)である。 本発明に係る無排水による表面処理装置の第4実施形態を模式的に示した正面断面図(図5に対応させた図)である。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
[第1実施形態]
図1乃至図5は、本発明に係る表面処理装置1の第1実施形態を示している。この表面処理装置1では、無排水操業が可能となっている。
図4及び図5に示すように、この表面処理装置1は、処理液を貯留する処理槽2と、予洗用洗浄水を貯留する回収槽3(3A〜3C)と、洗浄水を貯留する水洗槽4とを有しており、また、これら各槽2,3,4に沿って移動する複数の移動体6と、これら移動体6を移動させるための搬送手段7とを有している。
なお、この表面処理装置1は、例えば電気亜鉛メッキなどを行うメッキライン10のうち、前処理工程やメッキ処理工程、或いは後処理工程などの各々の一工程を構成するものとして用いられる。
図5に示すように、処理槽2は工程入口に設けられ、この処理槽2の側方となる工程出口に水洗槽4が設けられる。そしてこれら処理槽2と水洗槽4との間に、単数又は複数の回収槽3が設けられている。本第1実施形態では、回収槽3として三槽(3A〜3C)が設けられているものとした。
なお、図5では理解を容易にするため、処理槽2、回収槽3(3A〜3C)、水洗槽4をそれぞれ独立した槽(それぞれ四方を取り囲む槽壁を有しているもの)として示してあるが、隣接する槽同士が、それらを区画する槽壁を共有する構造として一体的に連設形成されたものとしてもよい(後述の図3では共有槽壁の例とした)。
これら処理槽2、回収槽3(3A〜3C)、水洗槽4に対し、処理品は、最初に処理槽2へ浸漬され、次に処理槽2に隣接する回収槽3Aに浸漬され、続いてこの回収槽3Aに隣接する回収槽3Bに浸漬され、以下同様に、回収槽3C、水洗槽4へと浸漬され、その後に次工程へ送られるようになっている。
処理槽2には、当該工程が亜鉛のジンケート浴を行う場合におけるメッキ処理工程であれば、亜鉛素材を苛性ソーダ等の処理液素材で融解して所定の亜鉛濃度に調整した処理液が貯留される。
これに対し、水洗槽4には洗浄水が貯留され、回収槽3には予洗用洗浄水が貯留される。この予洗用洗浄水は、使用開始時点では、水洗槽4で貯留される洗浄水と同じもの(即ち、水)である。しかし、後述するように、回収槽3を使用するにしたがい、予洗用洗浄水は水洗槽4で貯留される洗浄水に比べて処理液の濃度が高くなる。
処理槽2、回収槽3(3A〜3C)、水洗槽4は、互いに向流接続されている。すなわち、処理槽2と回収槽3(処理槽2に隣接する回収槽3A)とが、回収槽3の予洗用洗浄水を処理槽2へ送給する第1向流手段11によって接続されている。また回収槽3(水洗槽4と隣接する3C)と水洗槽4とが、水洗槽4の洗浄水を回収槽3へ送給する第2向流手段12によって接続されている。各回収槽3A〜3Cの相互間についても、3C→3B、3B→3Aへ向けた予洗用洗浄水の送給ができるように、中間向流手段13によって接続されている。
なお、第1向流手段11、第2向流手段12、及び中間向流手段13は、各槽間の水位差によりオーバーフローさせる構造にしてもよいし、配管部材による接続構造にしてもよい。また、ポンプを併用させる構造にして、強制送給させるものとしてもよい。
更に、本第1実施形態において、処理槽2には配管部材16を介して予備槽15が接続されており、処理槽2の処理液を予備槽15へ送給できるようになっている。この予備槽15には、ヒーター17が設けられ、槽内の処理液を加熱昇温(例えば、25℃〜45℃、又は45℃より高温)させることができるようになっている。また、この予備槽15には濃縮器18が設けられ、この濃縮器18に対して、ポンプ19を具備した吸い上げ管20が接続されている。
濃縮器18は、吸い上げ管20によって予備槽15から送り込まれる昇温後の処理液を器体内部でスプレー散布し、この散布した処理液に上昇する空気流をぶつけるようにすることで、処理液に含まれた水分を蒸発させ、蒸発後に残る処理液成分を予備槽15へ滴下させるようにするものである。
移動体6は、処理品を収納するバレルとしてある。図1及び図2に示すように、本第1実施形態において移動体6は、正六角形の角筒形とされた胴体部6aと、この胴体部6aの両端側を、端部に近くなるにしたがって角錐台形にしぼませた胴端部6bとを有した空洞箱状のものとしている。従って、この移動体6の外面には、角筒形の胴体部6aと角錐台形の胴端部6bとの境界部分の全周を取り囲むようにして、隅角部6cが生じたものとなっている。
この移動体6は、空洞とされた胴体部6a及び胴端部6bの内部に、小物の処理品(例えば、ボルトやナットなど)を多数、収納できるものとしてある。また胴体部6a及び胴端部6bは、多孔材や網材などの板素材によって形成されており、透水性を具備したものとなっている。
また、移動体6における一端側(図1及び図2の各左側)には開口部が形成されており、この開口部を介して処理品の出し入れができるようになっている。この開口部は、当該開口部の外周側に設けられた枢支部25を支点として揺動する蓋部材26により、開閉可能とされている。
このような移動体6は、図4に示すように複数設けられており、これら複数の移動体6は、処理槽2、回収槽3(3A〜3C)、水洗槽4の配置方向(図4の左右方向)に沿って連設されている。
搬送手段7は、全ての移動体6を、一斉に、処理槽2から回収槽3を経て水洗槽4へ向かう方向で搬送するものである。そしてこの搬送手段7には、搬送枠30、昇降枠31、及びカム32を有して構成される移動部昇降機構33と、転動輪34、回転付与レール35、及び回転駆動部36を有して構成される移動部回転機構37とを具備している。
まず、移動部昇降機構33について説明する。
この移動部昇降機構33が有する搬送枠30、及び昇降枠31は、それぞれの移動体6に対応させて、各別に設けられている。またこの移動部昇降機構33が有するカム32は、移動体6の移動方向に沿って複数設けられている。なお、この移動部昇降機構33は、更に移動体6の移動をガイドするガイドレール40を有している。
ガイドレール40は、処理槽2、回収槽3(3A〜3C)、水洗槽4の配置方向に沿って、各槽2〜4の槽外に設けられている。なお、このガイドレール40は、本発明に係る表面処理装置1がメッキライン10(図4参照)の一工程として、他の工程と共にライン中に一体的に組み込まれている場合では、全工程をエンドレスで巡回するようにして、一連に設けられたものとなっている。
搬送枠30は、起立状態で設けられており、その下端部などに設けられた車輪42を介してガイドレール40に沿って移動するようになっている。この搬送枠30は、各槽2〜4に沿った槽外を移動する。なお、ガイドレール40に対して搬送枠30がガイドされる構造(ガイドレール40から離反しないようにする構造)は、特に限定されるものではない。車輪42の取付向きやその有無についても限定されない。
各移動体6に対応する搬送枠30相互間は、チェーンやワイヤロープなどの屈曲性を有した連結部材43によって、互いに所定間隔をおいて連結されている。この連結部材43に対し、スプロケットなどを噛合させ、このスプロケットを回転駆動させることで、搬送のための駆動が与えられるようになっている。
昇降枠31は、搬送枠30から各槽2〜4の上方へ向けて略水平に突出するように、片持ち支持されている。搬送枠30に対して昇降枠31が支持される部分には、軸心を搬送方向に沿って水平にした枢軸45が設けられており、この枢軸45を中心として昇降枠31は、各槽2〜4の上方を通過する先端側が上下するように、揺動自在となっている。
この昇降枠31に対して、上下揺動する先端側で前記した移動体6が支持されている。すなわち、昇降枠31には、移動体6における両端の胴端部6bをそれらの両外側から挟持するようにして、一対の支持部材46,47が下方突出状に設けられている。
支持部材46,47のうち、移動体6において開口部が設けられた側(蓋部材26が設けられた方)の胴端部6bを支持する方の支持部材46は、この開口部の外周部を回転自在に外嵌している。
また、他方の支持部材47は、移動体6における他側の胴端部6bから突出して設けられた自転軸48を回転自在に保持するようになっている。なお、自転軸48は、移動体6に対して、当該移動体6における胴体部6aの中心軸と同軸となるように配置されており、且つ、移動体6と一体回転するように設けられている。
すなわち、昇降枠31に対し、移動体6は自転軸48まわりで回転自在に保持されている。昇降枠31が搬送枠30から突出する方向と、移動体6における自転軸48の軸心方向とは略平行している。
図2に示すように、昇降枠31が上下揺動の下方位置にあるときは、移動体6は、各槽2〜4に対して処理液、予洗用洗浄水、洗浄水のそれぞれと接触する高さとされる。これに対し、図1に示すように、昇降枠31が上下揺動の上方位置にあるときには、移動体6は、各槽2〜4を隔てる槽壁より上方となる高さに保持されるようになっている。
この上昇時の移動体6は、単に槽壁より高くされるだけではなく、胴体部6aと胴端部6bとの間に生じている隅角部6cが最低位となるように、斜めに傾斜した状態とされる。
そのため、例えば移動体6(内部の処理品を含む)に処理液が付着していた場合でも、この処理液は、最低位とされた隅角部6cに集中し、容易に下方へ流下乃至滴下するようになる。すなわち、可及的速やか且つ高効率で液切れされることになる。
カム32は、各槽2〜4に対応する配置とされており、それぞれ、各槽2〜4の槽外位置に設けられている。本第1実施形態では、各槽2〜4を介して搬送枠30を見るようにしたとき、搬送枠30を通り越した裏側位置にカム32が配置されているものとした。
このような配置であることに起因して、このカム32は、図3に示すように、上底よりも下底を短くした逆台形状を有して、架設フレーム49から下方へ突出する状態で設けられたものとしてある。従って、搬送枠30の搬送に伴って昇降枠31が移動される際に、このカム32は、昇降枠31のうち、各槽2〜4の槽外位置を通過する部分に対してその上から当接するようになっている。
換言すれば、カム32の下端縁に昇降枠31が当接するようになっており、この当接により昇降枠31は押し下げられ、昇降枠31にはその先端部で保持する移動体6を上昇させるための揺動力が付与されることとなる。
本第1実施形態では、昇降枠31にカムフォロワー50を設けて、このカムフォロワー50によりカム32との当接が行われるようにしてある。このカムフォロワー50を設けることにより、カム32の下端縁と昇降枠31との当接が円滑になり、またカム32の下端縁に当接したままでの昇降枠31の円滑な移動が可能になる。また、昇降枠31と搬送枠30との間に、昇降枠31を引き上げる方向でバネ51を設けてある。このバネ51を設けることにより、カム32に昇降枠31(カムフォロワー50)が当接したとき、この昇降枠31が確実に上方揺動するようになっている。
なお、カム32は、各槽2〜4を介して搬送枠30を見るようにしたとき、搬送枠30の手前となる表側位置に配置することも可能である。この場合、カム32は、下底よりも上底を短くした台形状とし、その上底側、即ち、カム32の上端縁に昇降枠31(カムフォロワー等)が乗り上げることで、昇降枠31との当接が行われるようにする。
一方、搬送枠30の搬送に伴って昇降枠31が移動する方向において、カム32の配置は次の関係が成り立つようにしてある。すなわち、カム32に昇降枠31(カムフォロワー50)が当接して昇降枠31(移動体6)が上昇したとき、次に、この上昇状態の昇降枠31が各槽2〜4間の槽壁を乗り越えるタイミングに合わせて、昇降枠31を下降開始させることができるように、カム32の配置を決めてある。
このようなカム32の配置にすることで、昇降枠31の上昇時に、一緒に上昇し且つ傾斜状態とされる移動体6は、各槽2〜4間の槽壁を乗り越えるタイミングで、当該移動体6の傾斜を解消させつつ下降開始し、搬送方向の下流側に設置された槽内へ下降するようになる。従って、搬送方向の下流側に設置された槽の貯液に対し、迅速に移動体6(内部の処理品)が接触することになり、接触時間を可及的に長くできることになる。この点で、好適と言える。
次に、搬送手段7が具備する移動部回転機構37について説明する。
この移動部回転機構37は、前記したように転動輪34、回転付与レール35、及び回転駆動部36を有している。転動輪34、及び回転駆動部36は、それぞれの移動体6(昇降枠31)に対応させて、各別に設けられている。また回転付与レール35は、移動部昇降機構33のカム32やガイドレール40と同様に、各槽2〜4の槽外となる位置に固定状態で設けられている。
転動輪34は、昇降枠31に対し、各槽2〜4の槽外位置となるように配置され、且つ、回転自在に保持されている。本第1実施形態では、移動体6から突出した自転軸48が保持される方の支持部材47に対し、転動輪34に一体回転する状態で連結された輪軸55が貫通保持され、もって、この輪軸55と共に転動輪34が回転自在となっている。すなわち、この輪軸55は、昇降枠31の搬送方向に対して平面視直交する方向に軸心を向けており、転動輪34は、この輪軸55を中心としてそのまわりで回転自在となっている。輪軸55は、昇降枠31が下方揺動したときも、各槽2〜4の槽壁よりも高い位置になるように配置され、槽壁との接触干渉が防止されている。
回転付与レール35は、昇降枠31が下方揺動したときにのみ、転動輪34に当接する高さで設置されている。この回転付与レール35は、その長手方向を昇降枠31の搬送方向に沿わせるようになっている。なお、この回転付与レール35は、昇降枠31が下方揺動している区間だけに設けてもよいし、昇降枠31の搬送区間全長にわたって設けてもよい。
本第1実施形態では、転動輪34をスプロケット(又は平歯車)とし、回転付与レール35は、転動輪34に採用したスプロケットと噛合可能なチェーン(又は前記平歯車と噛合可能なラックレール)とした。このような組み合わせとすることで、昇降枠31の下方揺動時に転動輪34と回転付与レール35とが互いに噛合し、転動輪34の回転が、スリップを生じることなく、確実に行われることになる。但し、これは限定されるものではなく、転動輪34を外周面の平滑なローラとし、回転付与レール35を上面の平滑な条材等としてもよい。
回転駆動部36は、転動輪34が回転付与レール35に当接することにより回転する回転動力を、移動体6に伝えるためのものである。本第1実施形態では、転動輪34の輪軸55と一体回転する入力歯車36aから、中間歯車36bを介して、移動体6の自転軸48に一体回転可能に設けられた出力歯車36cへ回転を伝える歯車伝動機構により、この回転駆動部36を構成してある。
この回転駆動部36から回転駆動を受けた移動体6は、昇降枠31が搬送枠30と共に移動するのに伴い、自転軸48(すなわち、搬送方向に平面視直交する軸心)まわりに回転するものとなる。
次に、本発明に係る表面処理装置1の動作について説明する。
まず、搬送手段7が、チェーン等の連結部材43による牽引動作として各搬送枠30を搬送させると、この搬送枠30と共に、昇降枠31及び移動体6が移動される。この移動により、昇降枠31によって保持された移動体6が、各槽2〜4の配置方向(図4の左右方向)に沿ってそれらの上方を通過するようになる。各移動体6には、ボルトやナット等の小物の処理品が多数、入れられているものとする。
このように各移動体6が移動されるなかにあって、処理槽2の上方を移動体6が通過するときには、図2に示すように、昇降枠31は下方揺動した状態となっている。そのため、この昇降枠31の先端部に設けられた移動体6は、処理槽2内に貯留された処理液と接触する高さに保持されるようになっている。
このとき、転動輪34が回転付与レール35と当接して回転動力を受ける。そのため、この回転動力が回転駆動部36を介して移動体6の自転軸48へ伝えられ、移動体6は自転軸48のまわりに回転するようになる。
かくして、移動体6内に入れられた処理品には、その全表面に満遍なく且つ確実に処理液が接触するものとなる。亜鉛のジンケート浴を行う場合、処理槽2内の処理液を陽極とし、移動体6内の処理品を陰極として処理電流が印加され、表面処理が実施される。なお、処理液に対して陽極電極を接触させるための構造や、処理品に対して陰極電極を接触させるための構造などは、従来公知の各種構造を採用可能であり、何ら限定されるものではない。
搬送手段7の搬送に伴う移動体6の移動が続行されて、移動体6が処理槽2から出るべきタイミングに近づくと、図1及び図3に示すように、槽外に設けられたカム32の下縁部に対し、昇降枠31に設けられたカムフォロワー50が当接するようになる。そのため、この当接によって昇降枠31が上方揺動し、この昇降枠31の先端部が上昇するのに伴って移動体6も上昇されるようになる。
移動体6が上昇することにより、転動輪34が回転付与レール35から離れ、移動体6の回転は停止する。また、上昇した移動体6は、自転軸48が水平になる状態を越えて、その更に上方へ傾くように保持される。このような上昇により、移動体6は、処理槽2と、これに隣接する回収槽3Aとを隔てる槽壁より上方となる高さに持ち上げられることになり、この槽壁の上方を乗り越えることができるようになる。
また、このような上昇姿勢とされた移動体6は、斜めに傾斜していることになり、その外面に生じている隅角部6cが最低位となっている。そのため、移動体6の外面に付着する処理液、移動体6内に残る処理液、更には移動体6内の処理品に付着する処理液が、最低位となっている隅角部6cへ向けて集中するようになり、この隅角部6cから下方、すなわち、処理槽2内へ流下乃至滴下するようになる。
かくして、処理槽2から、これに隣接する回収槽3Aへ移動体6が搬送されても、移動体6による処理液の持ち出しは可及的に防止される。それ故、回収槽3Aに貯留された予洗用洗浄水に処理液が混入することが抑制され、この予洗用洗浄水が汚れる(処理液濃度が高くなる)ことが可及的に防止されるものとなる。
搬送手段7の搬送に伴う移動体6の移動が続行されて、上昇し且つ傾斜した状態の移動体6が、処理槽2と回収槽3Aとを隔てる槽壁を乗り越えるとき、カムフォロワー50がカム32に設けられた搬送方向下流側(図3左側)の斜辺部へ移行し、これによって昇降枠31が下方揺動を始める。従って移動体6は、上昇時の傾斜姿勢(図1参照)を解消させつつ回収槽3A内へ向けて下降開始する。
以降、移動体6は各槽に対して同様な下降動作及び上昇動作をする。すなわち、回収槽3Aの上方では予洗用洗浄水と接触する高さに下降し、当該回収槽3Aの槽内を移動後に上昇して槽壁を乗り越える。また、次の回収槽3Bの上方で予洗用洗浄水と接触する高さに下降し、当該回収槽3Bの槽内を移動後に上昇して槽壁を乗り越える。
そしてまた、移動体6は、次の回収槽3Cの上方で予洗用洗浄水と接触する高さに下降し、当該回収槽3Cの槽内を移動後に上昇して槽壁を乗り越え、次の水洗槽4の上方では、洗浄水と接触する高さに下降し、当該水洗槽4の槽内を移動後に上昇して槽壁を乗り越えるといった具合に、各動作を繰り返し、そのうえで次工程へと搬送されてゆくものである。
この間、回収槽3Aから3Bへの予洗用洗浄水の持ち出し、回収槽3Bから3Cへの予洗用洗浄水の持ち出し、回収槽3Cから水洗槽4への予洗用洗浄水の持ち出しが、それぞれ可及的に防止され、もって、各槽での洗浄水の汚れ(処理液濃度が高くなる状況)が可及的に防止されるという効果は、同様に得られることになる。
図5に示すように、各槽2〜4間では、常に、水洗槽4から第2向流手段12を介して 回収槽3Cへと洗浄水が向流送給され、各回収槽3C→3B→3Aへと中間向流手段13を介して予洗用洗浄水が向流送給され、回収槽3Aから第1向流手段11を介して処理槽2へと予洗用洗浄水が向流送給されている。
そして処理槽2からは、配管部材16によって予備槽15へ処理液が送給される。この予備槽15では、濃縮器18で取り出された高濃度の処理液が再び予備槽15へと戻されることで、予備槽15内の処理液が所定濃度に調整、保持されるようになっている。この処理液が前記吸い上げ管20に接続された支流配管57を介して処理槽2へ送給されることから、処理槽2内の処理液も、所定の処理液濃度を保持するようになっている。
このように、水洗槽4、回収槽3(3A〜3C)、処理槽2、更には予備槽15の、いずれの槽からも廃液は全く生じないものである。従って、本発明に係る表面処理装置1では専用の排水設備を設ける必要は全くない。そのため、水質規制の制限を受けることもなく、環境問題で設置が困難な場所にも導入が可能となる。当然に、排水処理に要する排水設備維持費や排水処理費を削減でき、製品のコストダウンも可能となる。
なお、本発明に係る表面処理装置1において、水洗槽4に対する洗浄水の補給、処理槽2又は予備槽15に対する処理液の補充は必要ではあるが、いずれも適量の範囲内である。付言すれば、従来、無排水を謳いながらも、実際の無排水操業が不可能であった表面処理装置(前記特許文献1〜3等)とは比較にならないほど、大幅な低コスト化が可能となっている。
また、水洗槽4では、使用時間が長時間にわたれば、洗浄水に少量の処理液成分が混ざり込むようになるものの、前記したように移動体6による各槽での貯液持ち出しは可及的に抑えられるので、混ざり込んだ処理液成分の吸着除去を行う除去器58の交換頻度は極めて軽減できるものとなる。従って、これらの処理コストは、無排水操業の実施を妨げるほど(ランニングコストに過剰な負担を強いるほど)には至らない。
[第2実施形態]
図6は、本発明に係る表面処理装置1の第2実施形態を示している。
本第2実施形態では、コップ形(有底円筒形)に形成された処理品Wを対象にしている。そして、この処理品Wの特徴的な形状に伴い、移動体6が、処理品のホルダーとして構成されているものである。
なお、搬送枠30から昇降枠31が各槽2〜4の上方へ向けて略水平に突出するように、片持ち支持されている点、搬送枠30に対して昇降枠31が枢軸45を中心として上下揺動自在となっている点は、第1実施形態と同じである。
また、この昇降枠31において、下方突出する支持部材47が1本だけとされている点は第1実施形態と異なるが、この支持部材47に対し、移動部回転機構37の回転駆動部36を構成する歯車伝動機構(入力歯車36a、中間歯車36b、出力歯車36c)が設けられていることは、第1実施形態と同じである。
移動体6は、支持部材47に設けられた回転駆動部36の出力歯車36cを基礎として、この出力歯車36cからその回転軸方向に沿って突出する状態に連結された複数本の支持杆71と、出力歯車36cに近接した位置で支持杆71により保持された円盤形のホルダー部材72と、このホルダー部材72と対を成すように、出力歯車36cから離れた位置で支持杆71により保持された円盤形のホルダー73とを有している。
一対のホルダー部材72,73の相互間で、前記したコップ形の処理品Wが保持されるようになっており、支持杆71は、処理品Wと干渉しないように、出力歯車36cの外周部に沿って2〜6カ所の均等間隔で配置されている。なお、支持杆71は陰極電極として利用される。
出力歯車36cに近接する方のホルダー部材72は、コップ形をした処理品Wのコップ口側を支持するもので、処理品Wのコップ口側をガタツキの無い嵌合状態に嵌め込む位置決め凸部74が形成されている。このホルダー部材72には、処理品W内へ向けて突出するようにして陽極電極75が支持されている。またこのホルダー部材72には、処理品Wの筒内面及び陽極電極75に対して処理液を接触流通させるための通孔が形成されている。
これに対し、出力歯車36cから離れた方のホルダー部材73は、コップ形をした処理品Wのコップ底側を支持するもので、処理品Wを通り抜け可能な抜き差し口76が形成されていると共に、この抜き差し口76を閉鎖することのできる蓋部材77が設けられている。この蓋部材77は、枢支部25を支点として揺動自在となっており、この揺動により、抜き差し口76を開放状態にしたり、閉鎖状態にしたりする。蓋部材77には、抜き差し口76を閉鎖したときに処理品Wのコップ底側を押圧するようになる押えピン80が設けられている。
このような構成の移動体6において、その外形状は、円盤形とされた一対のホルダー部材72,73を両端とする円柱形状となっている。すなわち、この移動体6の外面には、ホルダー部材72,73の外周部(外縁)を取り囲むようにして、隅角部6cが生じたものとなっている。
従って、本第2実施形態では、搬送手段7による搬送枠30の搬送に伴って昇降枠31が移動しつつ、この昇降枠31に保持された移動体6は、処理槽2などの各槽の上方で槽内へ向けた下降動作をし、またこの下降動作後に、槽壁を乗り越えるための上昇動作を行う。そして移動体6が上昇したときには、当該移動体6が、外形状の円柱形状をその長手方向が水平になる状態を越えて、その更に上方へ傾けるように保持される。
すなわち、移動体6は、このときの上昇により、出力歯車36cに近接する方のホルダー部材72の外周面に生じた隅角部6cが最低位となっている(図6中の二点鎖線を参照)。そのため、移動体6の外面や内面に付着残留する処理液が、最低位となっている隅角部6cへ向けて集中するようになる。そのため、これらの処理液が、この隅角部6cから下方、すなわち、処理槽2等の槽内へ流下乃至滴下するようになる。
付言すれば、移動体6の内部に収納されたコップ形の処理品Wについても、コップ口側の周方向一カ所が、当該移動体6のなかで最低位となっている。そのため、処理品Wの外面や内面に付着残留する処理液が、処理品Wのなかで最低位となる部分から、移動体6に伝わり、この移動体6のなかで最低位となっている隅角部6cへ集中したり、或いは処理品Wから直接的に処理槽2等の槽内へ流下乃至滴下するようになる。
かくして、各槽間を移動体6が搬送されても、移動体6による処理液の持ち出しは可及的に防止され、搬送方向の下流側に設置される槽の貯液が汚れる(処理液濃度が高くなる)ことが可及的に防止されるものとなる。
なお、本第2実施形態でも、移動体6の下降時には昇降枠31に設けられた転動輪34が回転付与レール35に当接して回転駆動部36を回転駆動される構成である。そのため、この回転駆動部36により、移動体6が、出力歯車36cの回転中心(すなわち、搬送方向に平面視直交する軸心)まわりに回転するものとなる。
本第2実施形態におけるその他の構成や動作状況及び作用効果は、第1実施形態と略同様であり、ここでの詳説は省略する。
[第3実施形態]
図7は、本発明に係る表面処理装置1の第3実施形態を示している。
本第3実施形態では、板状乃至ブロック状に形成された処理品Wを対象にしている。そして、この処理品Wの特徴的な形状に伴い、移動体6が、処理品W自体として構成されているものである。
なお、搬送枠30から昇降枠31が各槽2〜4の上方へ向けて略水平に突出するように、片持ち支持されている点、搬送枠30に対して昇降枠31が枢軸45を中心として上下揺動自在となっている点は、第1、第2実施形態と同じである。
昇降枠31には、移動体6(すなわち、処理品W)を着脱自在な状態として保持できるようにした保持機構85が設けられている。この保持機構85は、例えば、移動体6を挟持するクランプ装置であったり、移動体6を吊り下げるハンガー装置であったり、或いは移動体6をねじ止めする取付部材であったりする。このように、保持機構85の構造は、移動体6の形状や構造等に応じて適宜変更可能なものであり、何ら限定されるものではない。
移動体6は、板状乃至ブロック状であるために、その外面には、二辺(又は二面)6d,6e間に隅角部6cが生じたものとなっている。
従って、本第3実施形態では、移動体6各槽間の槽壁を乗り越えるための上昇動作を行ったときに、前記隅角部6cが最低位となるように傾斜して保持されることになる。そのため、移動体6の外面に付着残留する処理液が、最低位となっている隅角部6cへ向けて集中し、この処理液が、この隅角部6cから下方、すなわち、処理槽2等の槽内へ流下乃至滴下するようになる。
かくして、各槽間を移動体6が搬送されても、移動体6による処理液の持ち出しは可及的に防止され、搬送下流側に設置される槽の貯液が汚れる(処理液濃度が高くなる)ことが可及的に防止されるものとなる。
なお、本第3実施形態では移動部回転機構37を備えず、昇降枠31に回転駆動部36も設けられていない。本第3実施形態におけるその他の構成や動作状況及び作用効果は、第1、第2実施形態と略同様であり、ここでの詳説は省略する。
[第4実施形態]
図8は、本発明に係る表面処理装置1の第4実施形態を示している。本第4実施形態では、回収槽3(3A)から処理槽2へ向流接続するための第1向流手段11が、回収槽3Aから直接、処理槽2へ接続されるのではなく、一旦、予備槽15へ接続され、この予備槽15を介して支流配管57により処理槽2へ接続されるといった向流接続構造となっている。
このような向流接続構造を採用すると、回収槽3Aから処理槽2へ向流により送給される予洗用洗浄水から、予め、予備槽15(濃縮器18)において余剰の水分が除去されることになり、予備槽15から処理槽2へは、所定濃度に調整された後の処理液が送給されることになる。従って、処理槽2に貯留される処理液が、常に所定濃度に保持されていることになって、安定した表面処理が実施されるといった利点が得られる。
本第4実施形態におけるその他の構成や動作状況及び作用効果は、第1実施形態と略同様であり、ここでの詳説は省略する。
[その他の実施形態]
本発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
例えば、搬送手段7が具備する移動部回転機構37において、転動輪34と回転付与レール35との当接で回転動力を生じさせる構造に代え、それぞれの昇降枠31に、移動体6の回転駆動用の小型モータを搭載させるようにしてもよい。このような小型モータの搭載構造を採用すると、移動体6が各槽2〜4内を移動するとき(各槽の貯液内へ浸漬されているとき)の回転数を、貯液の種類に応じて可変制御(回転の停止を含む)することができる。また、各槽2〜4間の槽壁を越えるとき、上昇し且つ傾斜した状態にある移動体6を回転させて、遠心脱水効果を得たり、移動体6内の処理品を攪拌させて液切れ効果を高めたりすることができる利点がある。
移動体6を傾斜させる方向は、図1や図6に図示した方向とは逆方向(図1、図6において左下がりとなる方向)にすることもできる。
予備槽15は必ずしも必要ではない。すなわち、予備槽15を省略し、そのうえで処理槽2に対して濃縮器18やヒーター17を設けるようにしてもよい。なお、場合によっては、予備槽15(濃縮器18やヒーター17を設けたもの)を併用しつつ、処理槽2にも濃縮器18やヒーター17を設けるようにしてもよい。
本発明に係る表面処理装置1は、設置する工程の種類が限定されるものではなく、また表面処理の種類が限定されるものでもない。
1 表面処理装置
2 処理槽
3 回収槽
3A〜3C 回収槽
4 水洗槽
5 移動体
6 移動体
6a 胴体部
6b 胴端部
6c 隅角部
7 搬送手段
10 メッキライン
11 向流手段
12 向流手段
13 中間向流手段
15 予備槽
16 配管部材
17 ヒーター
18 濃縮器
19 ポンプ
20 管
25 枢支部
26 蓋部材
30 搬送枠
31 昇降枠
32 カム
33 移動部昇降機構
34 転動輪
35 回転付与レール
36 回転駆動部
36a 入力歯車
36b 中間歯車
36c 出力歯車
37 移動部回転機構
40 ガイドレール
41 支持部材
42 車輪
43 連結部材
45 枢軸
46 支持部材
47 支持部材
48 自転軸
49 架設フレーム
50 カムフォロワー
51 バネ
55 輪軸
57 支流配管
58 除去器
71 支持杆
72 ホルダー部材
73 ホルダー部材
74 凸部
75 謡曲電極
76 口
77 蓋部材
80 押えピン
85 保持機構
W 処理品

Claims (5)

  1. 処理液を貯留する処理槽と、
    この処理槽の側方に配置されて洗浄水を貯留する水洗槽と、
    処理槽と水洗槽との間に配置されて予洗用洗浄水を貯留する回収槽と、
    これら処理槽、回収槽、水洗槽の配置方向に沿って連設された複数の移動体と、
    これら移動体を処理槽から回収槽を経て水洗槽へ向かう方向で搬送しつつ各槽の上方では処理液、予洗用洗浄水、洗浄水のそれぞれと接触する高さに移動体を下降させ各槽間では槽と槽とを隔てる槽壁より上方となる高さに移動体を上昇させる搬送手段と、を有し、
    処理槽と回収槽とが回収槽の予洗用洗浄水を処理槽へ送給する第1向流手段によって接続されていると共に、回収槽と水洗槽とが水洗槽の洗浄水を回収槽へ送給する第2向流手段によって接続されており、
    前記搬送手段は、各槽間で移動体を上昇させるときに移動体の外面に生じている隅角部の一つが最低位となるように当該移動体を斜めに傾斜させる
    ことを特徴とする無排水による表面処理装置。
  2. 前記搬送手段は、
    上昇し且つ傾斜した状態の移動体が槽壁を乗り越えるタイミングに合わせて当該移動体の傾斜を解消させつつ搬送方向下流側の槽内へ向けて下降開始させるように動作する
    ことを特徴とする請求項1記載の無排水による表面処理装置。
  3. 前記搬送手段は、
    各槽に沿った槽外を移動する搬送枠と、
    この搬送枠から各槽の上方へ向けて上下揺動自在に片持ち支持されて各槽の上方を通過する位置で前記移動体を保持する昇降枠と、
    前記搬送枠の移動に伴って搬送される昇降枠に対して各槽の槽外位置で当接することによりこの昇降枠に前記移動体を上昇させるための揺動力を付与するカムと、
    を有していることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の無排水による表面処理装置。
  4. 前記搬送手段は、
    前記昇降枠に対し各槽の槽外位置で搬送方向に平面視直交する軸心まわりに回転自在に保持された転動輪と、
    前記昇降枠が下方揺動したときにのみ前記転動輪に当接する高さで設置された回転付与レールと、
    前記転動輪が前記回転付与レールに当接して回転する回転動力を前記移動体に伝えて当該移動体を搬送方向に平面視直交する軸心まわりに回転させる回転駆動部と、
    を有していることを特徴とする請求項3記載の無排水による表面処理装置。
  5. 前記移動体は、処理品を収納するバレル又は処理品を保持するホルダー又は処理品自体であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の無排水による表面処理装置。
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