JP2012096119A - バルーンカテーテル - Google Patents

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Abstract

【課題】 バルーンが設けられた領域及びその周辺領域において構成を良好なものとし、バルーンカテーテルの操作性の向上を図る。
【解決手段】 バルーンカテーテル10は、ディスタールシャフト13と、インナーシャフト14と、バルーン16と、先端チップ体18とを備えている。各シャフト13,14は共にチューブ状をなしており、さらにディスタールシャフト13にインナーシャフト14が内挿されている。インナーシャフト14はディスタールシャフト13よりも先端側に延長させて設けられており、その先端部に対して先端チップ体18が接合されている。また、バルーン16は、基端側がディスタールシャフト13の先端部に接合され、且つ先端側が先端チップ体18の基端部に接合されて設けられている。当該構成において、インナーシャフト14の延長領域36には先端側が小径となるように段差部37が形成されている。
【選択図】図4

Description

本発明は、血管の狭窄部位又は閉塞部位の拡張治療をする際などにおいて生体内に挿入して用いられるバルーンカテーテルに関するものである。
従来から、PTCA(経皮的冠動脈形成術)といった治療等においては、バルーンカテーテルが用いられている。一般的なバルーンカテーテルは、例えば特許文献1や特許文献2に示すように、カテーテルシャフトの先端部に、内圧調節により膨張・収縮自在のバルーンを接合して構成されている。詳細には、カテーテルシャフトは、外側シャフトと、当該外側シャフトのルーメンを貫通させて設けられた内側シャフトとを備えており、内側シャフトは外側シャフトよりも先端側に延長させて設置されている。そして、内側シャフトのその延長部分及び外側シャフトの先端部位に対して、それぞれ先端側及び基端側を保持させてバルーンが設けられている。バルーンを膨張・圧縮させる圧縮流体は外側シャフトのルーメンを介して流通される。また、内側シャフトのルーメンには、患者の動脈内への挿入時にガイドワイヤが挿通される。
バルーンカテーテルを用いてPTCAを行う場合には、先ずガイディングカテーテルを大腿動脈などから挿入して大動脈を経て冠状動脈の入口に先端を配置した後、ガイドワイヤを冠状動脈等の狭窄部位又は閉塞部位を通過させる。そして、そのガイドワイヤに沿ってバルーンカテーテルを挿入しバルーンを狭窄部位又は閉塞部位に一致させ、圧縮流体をバルーンに供給してこのバルーンを膨張させて拡張治療する。この拡張治療をした後は、バルーンを減圧し収縮させ、バルーンカテーテルを体外へ除去する
特開2002−253678号公報 特開平11−33122号公報
ここで、バルーンカテーテルに要求される性能としては、例えば特許文献1に示されているように、狭窄部位の通過性、屈曲血管の追随性、血管内へ医療用バルーンカテーテルを挿入する際の力の伝達性及びこの伝達性と関連する性能として耐キンク性が挙げられる。これに対して、上記特許文献1では、外側シャフトについて先端側に向けて剛性を緩やかに低くすることで、上記各性能を向上させる構成が開示されている。一方、上記特許文献2では、バルーンよりも先端部位を先細りさせることで、上記各性能のうち通過性及び追随性を向上させる構成が開示されている。しかしながら、いずれの構成においてもバルーンが設けられた部位の構成を良好なものとすることで上記各性能を向上させる技術は開示されておらず、この点について改良の余地がある。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、バルーンが設けられた領域及びその周辺領域において構成を良好なものとし、バルーンカテーテルの操作性の向上を図ることを主たる目的とするものである。
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて作用、効果等を示しつつ説明する。なお以下では、理解を容易にするため、発明の実施の形態において対応する構成例を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
本発明のバルーンカテーテル(バルーンカテーテル10)は、内腔(内腔13a)に流体が流通される外側チューブ(ディスタールシャフト13)と、当該外側チューブの内腔を通るようにして設けられるとともに、外側チューブよりも先端側に延長させて設けられ、内腔(内腔14a)にガイドワイヤ(ガイドワイヤG)が挿通される内側チューブ(インナーシャフト14)と、前記外側チューブの先端領域及び前記内側チューブの延長領域に保持され、前記外側チューブの内腔を流体が流通することにより膨張又は収縮する中空のバルーン(バルーン16,61,91)と、を備えており、前記バルーンは、先端に向けて縮径された先端側テーパ領域(44,95)、膨張時においてバルーンの最大径部位となる直管領域(43,94)及び基端に向けて縮径された基端側テーパ領域(42,93)を先端側からこの順で有しており、前記バルーンは、前記先端側テーパ領域、前記最大外径領域および前記基端側テーパ領域が前記内側チューブの周りに巻きついた収縮状態を有し、前記先端側テーパ領域におけるバルーンカテーテルの軸線方向に沿った長さ寸法が、前記基端側テーパ領域におけるバルーンカテーテルの軸線方向に沿った長さ寸法よりも大きく、前記先端側テーパ領域のバルーンカテーテルの軸線方向に沿った長さ寸法は、前記直管領域と略同一であることを特徴とする。
本構成によれば、バルーンの全体長に対する先端側テーパ領域の比率を高めることができ、当該先端側テーパ領域の傾斜を極力緩やかなものとすることが可能となる。これにより、バルーンを収縮状態とした際における先端側から直管領域に至る部分において外径の変化が緩やかなものとなり、バルーンカテーテルを体内に挿入する際の通過性が向上する。外径の変化が急激な場合、その箇所にて段差状となってしまい、血管における狭窄部位等を通過しづらくなってしまうからである。なお、先端側テーパ領域のバルーンカテーテルの軸線方向に沿った長さ寸法を直管領域と略同一とすることで、バルーンの全体長に対する先端側テーパ領域の比率をより高めることができ、上記効果はより顕著なものとなる。
また本発明は、バルーンカテーテル(バルーンカテーテル10)は、内腔(内腔13a)に流体が流通される外側チューブ(ディスタールシャフト13)と、当該外側チューブの内腔を通るようにして設けられるとともに、外側チューブよりも先端側に延長させて設けられ、内腔(内腔14a)にガイドワイヤ(ガイドワイヤG)が挿通される内側チューブ(インナーシャフト14)と、前記外側チューブの先端領域及び前記内側チューブの延長領域に保持され、前記外側チューブの内腔を流体が流通することにより膨張又は収縮する中空のバルーン(バルーン16,61,91)と、を備えており、前記内側チューブにおける前記バルーンに覆われた被覆領域(延長領域36)は、基端側から先端側に向けて連続的に又は段階的に剛性が低くなるようにして形成されていることを特徴とする。
本構成によれば、バルーンにより被覆された領域において基端側よりも先端側の剛性が低くなり、結果的にバルーンカテーテルのバルーンが設けられた領域において基端側よりも先端側の剛性が低くなる。これにより、バルーンカテーテルの屈曲血管(又はガイドワイヤ)への追随性と、体内へバルーンカテーテルを挿入する際の力の伝達性とを、バルーンが設けられた領域において高めることができる。
なお、「前記外側チューブの先端領域及び前記内側チューブの延長領域に保持され、」には、外側チューブの先端領域や内側チューブの延長領域にバルーンが接合(固定)される構成だけでなく、バルーンが接合(固定)された別部材が外側チューブ又は内側チューブに接合(固定)される構成も含まれる。
また、「剛性」とは、具体的には「曲げこわさ(曲げモーメント)」のことをいい、ヤング率(縦弾性係数)と断面二次モーメントとの積に比例する値のことをいう。
前記被覆領域を、軸線方向に対して垂直方向の断面積が基端側から先端側に向けて連続的に又は段階的に小さくなるようして形成することで、当該被覆領域の剛性を基端側から先端側に向けて連続的に又は段階的に低くすると良い。この場合、被覆領域の断面積を変化させるという比較的簡素な手法により、上記の優れた効果を奏することができる。
前記被覆領域を基端側から先端側に向けて連続的に又は段階的に外径が小さくなるようにして形成することで、当該被覆領域の前記断面積を基端側から先端側に向けて連続的に又は段階的に小さくすると良い。この場合、被覆領域の外径を変化させる(又は肉厚を薄肉化させる)という比較的簡素な手法により、上記の優れた効果を奏することができる。また、本構成によれば、狭窄部位を通過させる際のバルーンカテーテルの通過性をも高めることが可能となる。
上記のように被覆領域の先端側の外径を基端側よりも小さくすることは、前記内側チューブの被覆領域における長さ方向の途中位置に段差部(段差部37,71,105)を形成することで実現できる。
なお、前記バルーンが、先端側固定領域(先端側レッグ領域45,96)、先端に向けて縮径された先端側テーパ領域(先端側コーン領域44,62,95)、膨張時においてバルーンの最大径部位となる直管領域(直管領域43,64,94)、基端に向けて縮径された基端側テーパ領域(基端側コーン領域42,63,93)及び基端側固定領域(基端側レッグ領域41,65,92)を先端側からこの順で有している構成においては、前記段差部の位置を、前記バルーンの先端側テーパ領域に覆われた領域よりも基端側であって、前記バルーンと前記外側チューブとの固定部位よりも先端側とすると良い。この場合、バルーンが収縮状態となった際に当該バルーンの内側チューブ周りの巻きつきにより剛性が周囲よりも高くなる領域において、基端側から先端側に向けて段階的に剛性を低くすることができる。
また、上記段差部の位置を、前記バルーンの直管領域に覆われた領域よりも基端側であって、前記バルーンと前記外側チューブとの固定部位よりも先端側とするのが好ましい。この場合、バルーンの内側チューブ周りの巻きつき部位における特に剛性が高くなる直管領域の部位に対して、内側チューブの剛性が低下された領域が配置されることとなり、直管領域による剛性の高まりを極力抑えることができる。
さらにまた、上記段差部の位置を、前記バルーンの基端側テーパ領域よりも基端側であって、前記バルーンと前記外側チューブとの固定部位よりも先端側とするのが好ましい。この場合、バルーンの内側チューブ周りの巻きつき部位には、その全体に亘って内側チューブの剛性が低下された領域が配置されることとなり、バルーンの内側チューブ周りの巻きつきによる剛性の高まりを極力抑えることができる。
前記被覆領域に造影体(造影環47,72,74,109)をさらに備えた構成においては、当該造影体を前記段差部よりも先端側に配置すると良い。このように比較的剛性が高くなる造影体を、被覆領域において段差部よりも先端側の剛性が低下された領域に配置することで、造影体による剛性の変化の影響が低減される。
前記造影体を、その基端(端面47a,72a)を前記段差部に当接させて取り付けると良い。この場合、バルーンカテーテルの体内への挿入時や、血管の狭窄部位をバルーン部分が通過する際に、造影体に対して基端側に向けて負荷が掛かったとしてもその負荷が段差部にて受けられ、造影体の位置がずれてしまうことが防止される。さらにまた、造影体を内側チューブに取り付ける際の位置決めの容易化が図られる。
上記のように被覆領域の先端側の外径を基端側よりも小さくすることは、前記被覆領域に先端側に向けて細くなるテーパ領域(テーパ領域111)を形成することで実現できる。特に、本構成によれば、剛性の変化が連続的となり、バルーンカテーテルの耐キンク性をも高めることができる。
また、上記のようにテーパ領域を形成する構成においては、前記被覆領域の全体を前記テーパ領域とすると良い。この場合、剛性の変化が被覆領域の全体に亘って連続的となり、バルーンカテーテルの耐キンク性をより高めることができる。
前記ガイドワイヤが挿通される挿通孔(内腔18a)を有するとともに、当該挿通孔が前記内側チューブの内腔に連通されるようにして前記被覆領域の先端側に固定され、且つ当該被覆領域よりも剛性が低い先端チップ体(先端チップ体18)をさらに設け、前記バルーンを、その先端側(先端側レッグ領域45,96)が前記先端チップ体に固定されていることで、当該先端チップ体を介して前記内側チューブに保持された構成とすると良い。このように先端チップ体を設けることで、バルーンカテーテルの追随性が高められる。また、先端チップ体と内側チューブとの固定部位はバルーンにより被覆された領域内にあるため、バルーンカテーテルの体内への挿入時などにおける先端チップ体の離脱の可能性が低減される。さらにまた、剛性が低下された被覆領域の先端側に対して先端チップ体が固定されているため、内側チューブと先端チップ体との固定部位において極端に剛性が高くならないようにすることができ、バルーンカテーテルの耐キンク性を高めることが可能となる。
なお、前記バルーンが、先端側固定領域(先端側レッグ領域45,96)、先端に向けて縮径された先端側テーパ領域(先端側コーン領域44,62,95)、膨張時においてバルーンの最大径部位となる直管領域(直管領域43,64,94)、基端に向けて縮径された基端側テーパ領域(基端側コーン領域42,63,93)及び基端側固定領域(基端側レッグ領域41,65,92)を先端側からこの順で有している構成においては、前記内側チューブと前記先端チップ体との固定部位を前記先端側テーパ領域により覆われた領域に配置すると良い。バルーンが収縮状態である場合、バルーンカテーテルにおける先端側テーパ領域の部分では、バルーンの内側チューブ周りに巻かれる量に応じて基端側から先端側に向けて剛性が低くなる。一方、内側チューブと先端チップ体との固定部位は、内側チューブにおける当該固定部位よりも基端側に比して剛性が高くなる。かかる事情において、上記のように固定部位を、先端側テーパ領域に覆われる領域に配置することにより、当該固定部位における剛性の高まりの影響が低減され、その基端側との剛性のバランスが良好なものとなる。
前記内側チューブの先端が前記バルーンと前記先端チップ体との固定部位よりも基端側に位置するように内側チューブを設けると良い。内側チューブをバルーンと先端チップ体との固定部位に対して内外に重ねる構成も想定されるが、この場合、上記固定部位がそれよりも先端側に対して剛性が極端に高くなってしまうおそれがある。これに対して、内側チューブの先端をバルーンと先端チップ体との固定部位に対して基端側とすることで、上記固定部位における剛性を低くすることができ、バルーンカテーテルの耐キンク性が高められる。
前記被覆領域に造影体(造影環74,109)をさらに備えた構成においては、当該造影体を、その先端を前記被覆領域と前記先端チップ体との固定部位にて生じている段差部(段差部73,108)に当接させて取り付けると良い。この場合、バルーンカテーテルの体内への挿入時や、血管の狭窄部位をバルーン周辺が通過する際に、造影体に対して負荷が掛かりづらくなり、造影体の位置がずれてしまうことが防止される。さらにまた、造影体を内側チューブに取り付ける際の位置決めの容易化が図られる。
なお、被覆領域に造影体を2つ備えた構成においては、一方の造影体を被覆領域の外径を変化させるために形成した段差部(第1段差部ともいう)に基端を当接させて取り付けるとともに、他方の造影体を被覆領域と先端チップ体との固定部位にて生じている段差部(第2段差部ともいう)に先端を当接させて取り付けると良い。
さらに、当該構成においては、バルーンの直管領域の基端部及び先端部に対応した位置のそれぞれに造影体が設置されるように、第1段差部及び第2段差部の位置を設定すると良い。具体的には、バルーンの直管領域と基端側テーパ領域との境界線上付近に第1段差部を形成するとともに、バルーンの直管領域と先端側テーパ領域との境界線上付近に第2段差部が位置するように先端チップ体と内側チューブの延長領域との固定部位の位置を設定する。この場合、治療中において直管領域の位置の把握をより容易に行うことができるとともに、その容易化が各段差部を用いて実現される。さらにまた、各段差部に造影体を当接させたことによる上記各効果をも奏することができる。
前記先端チップ体における前記内側チューブに固定される固定領域(チップ基端部51)がそれよりも先端側であって当該固定領域に近接した領域に比して剛性が低くなるように、当該固定領域に剛性低下構造(スリット52)を設けると良い。これにより、内側チューブと先端チップ体との固定部位にて剛性が局所的に高くなってしまうことが抑制され、バルーンカテーテルの耐キンク性が高められる。
なお、「剛性低下構造」としては、軸線方向(長さ方向)に延びるスリット、溝又は螺旋状の切り込みや、先端チップ体の管壁を貫通する孔部などが考えられる。
また、先端チップ体におけるバルーンよりも先端側に、先端に向けて細くなるようにチップテーパ領域(チップ先端領域53)を設けると良い。この場合、狭窄部位を通過させる際のバルーンカテーテルの通過性を高めることができる。特に、上記チップテーパ領域を研磨により形成すると良い。例えば、熱を加えてテーパ状を形成する構成も想定されるが、この場合、先端チップ体が硬化してしまうおそれがある。これに対して、研磨によりテーパ状を形成することで、かかる硬化が防止され、チップテーパ領域を設けたことによる上記効果が確実に発揮される。
また、先端チップ体の挿通孔の直径をガイドワイヤの外径と略同一とすると良い。具体的には、0.014mmとすると良い。これに伴って、先端チップ体の外径も小さくすることができ、狭窄部位を通過させる際のバルーンカテーテルの通過性が高められる。
前記バルーンが、先端側固定領域(先端側レッグ領域45,96)、先端に向けて縮径された先端側テーパ領域(先端側コーン領域44,95)、膨張時においてバルーンの最大径部位となる直管領域(直管領域43,94)、基端に向けて縮径された基端側テーパ領域(基端側コーン領域42,93)及び基端側固定領域(基端側レッグ領域41,92)を先端側からこの順で有している構成においては、前記先端側テーパ領域におけるバルーンカテーテルの軸線方向に沿った長さ寸法を、前記基端側テーパ領域におけるバルーンカテーテルの軸線方向に沿った長さ寸法よりも大きくすると良い。この場合、バルーンの全体長に対する先端側テーパ領域の比率を高めることができ、当該先端側テーパ領域の傾斜を極力緩やかなものとすることが可能となる。これにより、バルーンを収縮状態とした際における先端側から直管領域に至る部分において外径の変化が緩やかなものとなり、バルーンカテーテルを体内に挿入する際の通過性が向上する。外径の変化が急激な場合、その箇所にて段差状となってしまい、血管における狭窄部位等を通過しづらくなってしまうからである。
なお、先端側テーパ領域のバルーンカテーテルの軸線方向に沿った長さ寸法を直管領域と略同一とすることで、バルーンの全体長に対する先端側テーパ領域の比率をより高めることができ、上記効果はより顕著なものとなる。
上記各手段に加えて又は代えて、以下の手段が考えられる。
内腔(内腔13a)に流体が流通される外側チューブ(ディスタールシャフト13)と、当該外側チューブの内腔を通るようにして設けられるとともに、外側チューブよりも先端側に延長させて設けられ、内腔(内腔14a)にガイドワイヤ(ガイドワイヤG)が挿通される内側チューブ体(インナーシャフト14,先端チップ体18)と、前記外側チューブの先端領域及び前記内側チューブ体の延長領域に固定され、前記外側チューブの内腔を流体が流通することにより膨張又は収縮する中空のバルーン(バルーン91)と、を備えており、さらに当該バルーンは、前記内側チューブ体の外周面に固定される先端側固定領域(先端側レッグ領域96)、先端に向けて縮径された先端側テーパ領域(先端側コーン領域95)、膨張時においてバルーンの最大径部位となる直管領域(直管領域94)を先端側からこの順で有しており、前記内側チューブ体における前記バルーンよりも先端側に突出した先端領域(チップ先端領域53)の外周面を先端に向けて縮径されるようにテーパ状に形成するとともに、前記バルーンの収縮状態において、前記先端領域、前記先端側固定領域及び前記先端側テーパ領域の各外周面が先端側に向けて連続的なテーパ状となるように各領域を形成したことを特徴とする。
この場合、バルーンの収縮状態において、バルーンカテーテルの先端部の外周面が先端側に向けて縮径されるように連続的なテーパ状となり、バルーンカテーテルの追随性及び通過性を高めることができる。
また、前記バルーンの収縮状態において、前記先端領域、前記先端側固定領域及び前記先端側テーパ領域の各外周面が先端側に向けて連続的なテーパ状となり、且つ同一面上となるように各領域を形成することが好ましい。この場合、上記効果はより顕著なものとなる。
なお、「内側チューブ体」は、単一の部材で構成されているものに限定されることはなく、複数部材で構成されていてもよい。例えば、内側チューブ体は、ガイドワイヤが挿通される内腔(内腔14a)を有する内側チューブ(インナーシャフト14)と、前記ガイドワイヤが挿通される内腔(内腔18a)を有するとともに当該内腔が前記内側チューブの内腔に連通されるようにして当該内側チューブの先端側に固定され、且つ当該内側チューブよりも剛性が低い先端チップ体(先端チップ体18)とを備えた構成としてもよい。
第1の実施形態におけるバルーンカテーテルの概略全体側面図。 プロキシマルシャフトとミッドシャフトとの接合部分の構成を示す縦断面図。 ポート部周辺の構成を示す縦断面図。 バルーン周辺の構成を説明するための説明図。 第2の実施形態におけるバルーン周辺の構成を説明するための説明図。 第3の実施形態におけるバルーン周辺の構成を説明するための説明図。 収縮状態におけるバルーン周辺の構成を説明するための説明図。 別のバルーン周辺の構成を説明するための説明図。 別のバルーン周辺の構成を説明するための説明図。
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図面に基づいて説明する。図1はバルーンカテーテル10の概略全体側面図である。
図1に示すように、バルーンカテーテル10は、カテーテルシャフト11〜14と、当該カテーテルシャフト11〜14の基端部(近位端部)に取り付けられたハブ15と、カテーテルシャフト11〜14の先端部(遠位端部)に取り付けられたバルーン16とを備えている。
カテーテルシャフト11〜14は、複数の管状シャフト(チューブ)から構成されており、基端側から見て、基端シャフトとしてのプロキシマルシャフト11と、中間シャフトとしてのミッドシャフト12と、先端シャフトとしてのディスタールシャフト13とがある。また、ディスタールシャフト13には、インナーシャフト14が内挿されている。この点、ディスタールシャフト13を外側シャフト(外側チューブ)と称することができ、インナーシャフト14を内側シャフト(内側チューブ)と称することができる。
これら各シャフト11〜14のうち、プロキシマルシャフト11,ミッドシャフト12及びディスタールシャフト13の各内腔11a〜13aにより、ハブ15を介して供給された圧縮流体をバルーン16内に導く流体用ルーメンが形成されている。また、インナーシャフト14の内腔14aにより、ガイドワイヤ用ルーメンが形成されている。
プロキシマルシャフト11は、ステンレスやニッケルチタン合金などといった金属により形成されている。なお、金属製に限定されることはなく、合成樹脂製としてもよい。プロキシマルシャフト11は1m強の長さを有しており、その基端部に上記ハブ15が接合され、先端部にミッドシャフト12が接合されている。なお、プロキシマルシャフト11の外周に、PTFEといったフッ素樹脂などをコーティングしてもよい。
ミッドシャフト12は、合成樹脂製であり、剛性がプロキシマルシャフト11よりも低くなるように、その材料、肉厚及び外径などが設定されている。バルーンカテーテル10においては、要求される主たる性能の一部として、屈曲血管(又は、ガイドワイヤG)への追随性(trackability)と、体内へバルーンカテーテル10を挿入する際の力の伝達性(pushability)とがある。そして、これら両性能を高めるためには、バルーンカテーテル10の先端側の剛性を基端側に対して低くする必要がある。この場合に、上記のようにプロキシマルシャフト11よりも剛性が低いミッドシャフト12を設けることで、上記追随性及び伝達性が高められている。なお、プロキシマルシャフト11には、剛性調整用のコアワイヤ17が設けられており、当該コアワイヤ17はミッドシャフト12内に入り込んでいる(図2参照)。また、このコアワイヤ17はディスタールシャフト13内にまで入り込んでいる。
ここで、プロキシマルシャフト11とミッドシャフト12との接合部分(図1におけるC1の領域)の構成について、図2を用いて詳細に説明する。図2はプロキシマルシャフト11とミッドシャフト12との接合部分の構成を示す縦断面図である。
図2に示すように、プロキシマルシャフト11には、先端に向けて細くなるようにテーパ領域21が形成されており、さらにその先端側には他の部位よりも剛性を低下させた剛性低下領域22が形成されている。これら各領域21,22のうち、剛性低下領域22の方がテーパ領域21よりも長さ寸法(軸線方向の長さ寸法)が大きくなっている。
テーパ領域21は、内径及び外径を先端側に向けて連続的に小さくすることにより形成されているが、これに限定されることはなく、内径を一定とし、肉厚を連続的に薄肉化することにより形成してもよい。このテーパ領域21は、それよりも基端側の領域に比して剛性が低くなっており、さらには先端側に向けて連続的に剛性が低くなっている。
剛性低下領域22は、テーパ領域21及びそれよりも基端側に比して、外径が小さくなっていることにより剛性が低下されている(L2<L1)。この場合、剛性低下領域22の外径及び肉厚は全体に亘って同一となっている。また、剛性低下領域22には、剛性低下構造がさらに付与されている。かかる剛性低下構造として詳細には、螺旋状の切り込み23がシャフトの長さ方向に連続させて形成されている。また、先端側に向けて切り込みのピッチが狭くなるように形成されている。このピッチとは図2の状態で見て長さ方向に並ぶ切り込み23間の距離のことをいう。上記構成により剛性低下領域22は先端に向けて連続的に剛性が低下している。なお、剛性低下構造は上記の螺旋状の切り込み23に限定されることはなく、例えば長さ方向に延びるスリット又は溝や、プロキシマルシャフト11の管壁を貫通する孔を剛性低下構造としてもよい。
ミッドシャフト12は、その内腔12a内にプロキシマルシャフト11の剛性低下領域22を内挿した状態で、基端部25がテーパ領域21に対して接着剤又は熱溶着などにより接合されている。この場合、剛性低下領域22に対しては接合が行われていない。つまり、プロキシマルシャフト11において、テーパ領域21のみがミッドシャフト12に対する接合領域となっており、テーパ領域21よりも基端側及び剛性低下領域22はミッドシャフト12に対する接合領域となっていない。
ミッドシャフト12は、その外径及び内径が全体に亘ってほぼ同一となっており、外径L3はプロキシマルシャフト11におけるテーパ領域21よりも基端側の外径L1に比して小さくなっている(外径L3<L1)。なお、ミッドシャフト12の外径L3をプロキシマルシャフト11の上記外径L1と略同一としてもよい。
上記のようにプロキシマルシャフト11に剛性低下領域22が形成され、その剛性低下領域22がミッドシャフト12に内挿されていることにより、剛性が相対的に高いプロキシマルシャフト11と剛性が相対的に低いミッドシャフト12との接合部分において基端側から先端側に向けて剛性が連続的に低下する傾向となり、バルーンカテーテル10の体内への導入時などにおける耐キンク性が高められる。
特に、剛性低下領域22を接合領域として使用しない構成としたことにより、接着剤などにより切り込み23などが塞がれることが防止され、剛性低下領域22の機能を確実に発揮させることができる。また、剛性低下領域22の外径及び肉厚を全体に亘って同一とした、すなわち、剛性低下領域22を積極的にテーパ状などにしないようにしたことにより、切り込み23のピッチなどといった剛性低下構造の設計や形成が容易となる。
さらには、プロキシマルシャフト11にテーパ領域21を形成し、当該テーパ領域21に対してミッドシャフト12を接合するようにしたことにより、接合領域における剛性の局所的な高まりを抑えつつ、当該接合領域においてバルーンカテーテル10の外径が大きくなってしまうことが防止できる。バルーンカテーテル10はガイディングカテーテルを介して体内に挿入されるものであり、かかる事情において、バルーンカテーテル10の長さ方向の途中位置にて外径が大きくなる構成を想定すると、ガイディングカテーテル内でバルーンカテーテル10の操作性の自由度が低下してしまうことが懸念される。特に、近年ではガイディングカテーテル内に2本のカテーテルを挿入する治療方法があり、この場合には途中位置にて外径が極力大きくならないようにする必要がある。これに対して、上記のとおりテーパ領域21を形成し当該テーパ領域21を接合領域とすることで、上記各問題を解決することが可能となる。ちなみに、上記接合に関する構成を、バルーン16を有しないカテーテルに対して適用してもよい。
ミッドシャフト12の先端部には、ディスタールシャフト13の基端部が接合されている。ディスタールシャフト13は、合成樹脂製であり、剛性がミッドシャフト12よりも低くなるように、その材料、肉厚及び外径などが設定されている。また、ディスタールシャフト13には、既に説明したようにインナーシャフト14が内挿されている。インナーシャフト14は、合成樹脂製であり、剛性がミッドシャフト12よりも低くなるように、その材料、肉厚及び外径などが設定されている。さらに言うと、ディスタールシャフト13とインナーシャフト14との二重構造となった部位の剛性がミッドシャフト12よりも低くなるように、それらディスタールシャフト13及びインナーシャフト14の材料、肉厚及び外径などが設定されている。なお、かかる剛性の調整がコアワイヤ17により行われているのであれば、ディスタールシャフト13やインナーシャフト14自体の剛性はミッドシャフト12よりも高くても良い。ディスタールシャフト13の基端部に対して、インナーシャフト14用のポート部31が形成されている。
ここで、ポート部31及びそれに関連する構成(図1におけるC2の領域)について、図3を用いて詳細に説明する。図3はポート部31周辺の構成を示す縦断面図である。
図3に示すように、ディスタールシャフト13には、外周面から外方に開放するようにポート部31が形成されている。ポート部31は筒状をなしており、ディスタールシャフト13の外周面から内腔13a側に若干入り込むようにして形成されている。このポート部31に対してインナーシャフト14の基端部35が挿入され、ポート部31の内周面と基端部35の外周面とが接合されている。この接合は、熱溶着により行われているが、接着剤などを用いて接合するようにしてもよい。
上記構成において、ポート部31は、ディスタールシャフト13におけるポート部31よりも先端側の領域の外周面に対して外方に突出させずに形成されている。詳細には、ポート部31はそれよりも先端側の領域の外周面に対して内側に窪ませて形成されている。言い換えると、ポート部31におけるディスタールシャフト13の外周側壁部が一部除去されている。なお、このように窪ませた構成において、ポート部31と基端部35との接合がポート部31の内周面全体に亘って確保されていることにより、ハブ15側から供給された圧縮流体がポート部31周辺にて漏れ出してしまうことが抑制されている。インナーシャフト14の基端部35はそのポート部31の外側開口の形状に合わせて形成されており、当該基端部35はポート部31よりも外方に延出していない。なお、インナーシャフト14の基端部35がポート部31の外側開口よりも内側に入り込んだ構成としてもよい。
上記のようにポート部31周辺の外径がその先端側よりも小さくなるように形成されていることにより、ポート部31周辺において当該ポート部31の先端側よりも剛性が極端に高くなることが抑制されている。つまり、ディスタールシャフト13においてポート部31周辺は、当該ポート部31が形成されておりさらには当該ポート部31とインナーシャフト14との接合領域とがあることにより、先端側に対して剛性が自ずと高くなる。これに対して、上記のようにポート部31を窪ませることにより、当該ポート部31周辺の剛性の低下が見込まれ、先端側よりも剛性が極端に高くなることが抑制される。
また、ポート部31がその先端側の外周面よりも外方に張り出した構成を想定すると、バルーンカテーテル10の長さ方向の途中位置にて外径が大きくなってしまう。そうすると、既に説明したようにガイディングカテーテル内でのバルーンカテーテル10の操作性が低下してしまうという問題が生じ得る。これに対して、上記のとおりポート部31がその先端側の外周面よりも外方に張り出していないため、上記問題が解消される。
次に、バルーン16周辺の構成(図1におけるC3の領域)について図4を用いて詳細に説明する。図4はバルーン16周辺の構成を説明するための説明図である。なお、図4はバルーン16が膨張状態である場合を示す。
図4に示すように、ディスタールシャフト13に内挿させて設けられたインナーシャフト14は、ディスタールシャフト13よりも先端側に延長されている。このインナーシャフト14の延長領域36の先端部に対して先端チップ体18が設けられている。かかる構成において、バルーン16は、その基端側がディスタールシャフト13に対して接合されるとともに、その先端側が先端チップ体18に対して接合され、インナーシャフト14の延長領域36の外周面を覆うようにして設けられている。この点、延長領域36をバルーン16により被覆された被覆領域と称することができる。
バルーン16は、合成樹脂製であり、膨張状態において内径及び外径が複数段階で代わるように形成されている。つまり、バルーン16は、ディスタールシャフト13に接合される基端側レッグ領域(基端側接合領域)41と、先端側に向けて内径及び外径が拡径されるようにテーパ状をなす基端側コーン領域(基端側傾斜領域又は基端側テーパ領域)42と、長さ方向の全体に亘って内径及び外径が同一でありバルーン16の最大外径領域をなす直管領域43と、先端側に向けて内径及び外径が縮径されるようにテーパ状をなす先端側コーン領域(先端側傾斜領域又は先端側テーパ領域)44と、先端チップ体18に接合される先端側レッグ領域(先端側接合部)45とを、基端側からこの順で有している。
先端側コーン領域44の長さ寸法X1は、基端側コーン領域42の長さ寸法X3よりも大きくなっている(X1>X3)。さらに言うと、先端側コーン領域44におけるバルーンカテーテル10の軸線方向の長さ寸法X1は、直管領域43の上記軸線方向の長さ寸法X2と略同一となっている(X1≒X2)。上記のように先端側コーン領域44の長さ寸法が設定されていることにより、バルーン16の全体長に対する先端側コーン領域44の比率を高めることができ、当該先端側コーン領域44の傾斜を極力緩やかなものとすることが可能となる。これにより、バルーン16が収縮し、バルーン16における基端側コーン領域42、直管領域43及び先端側コーン領域44(これらの領域を含めて膨張及び収縮領域)がインナーシャフト14及び先端チップ体18の外周面の周りに巻きついた状態(以下、この状態をバルーン16の収縮状態ともいう)では、先端側から直管領域43に至る部分において外径の変化が緩やかなものとなり、バルーンカテーテル10を体内に挿入する際の通過性(crossability)が向上する。外径の変化が急激な場合、その箇所にて段差状となってしまい、血管における狭窄部位等を通過しづらくなってしまうからである。
なお、バルーン16が複数羽式(例えば、3枚羽式)で形成された構成においては、バルーン16の収縮状態では、それら各羽が個別にインナーシャフト14の延長領域36及び先端チップ体18周りに巻きついた状態となる。詳細には、バルーン16が膨張状態から収縮状態となる場合、軸線方向に対して垂直に起立する羽が等間隔で複数形成されるようにバルーン16の膨張及び収縮領域が折りたたまれ、その後、各羽が内側チューブ14の延長領域36及び先端チップ体18周りに巻きつき収縮状態となる。
バルーン16の先端側レッグ領域45は、先端チップ体18の外周面に対して接合されている。これに対して、基端側レッグ領域41のディスタールシャフト13に対する接合については、特徴的な構成を有している。そこで、以下にかかる構成について説明する。なお、各接合は熱溶着により行われているが、接着剤を用いて接合するようにしてもよい。
ディスタールシャフト13はその先端部32の内径が基端側に対して拡径されている(以下、先端部32を先端拡径部32ともいう)。なお、本実施形態では、ディスタールシャフト13の先端拡径部32の外径も基端側に対して拡径されているが、当該外径を基端側と同一としてもよい。つまり、ディスタールシャフト13の先端拡径部32を基端側に対して薄肉化することにより、先端拡径部32の内径を拡径させてもよい。
バルーン16の基端側レッグ領域41の外周面は、上記ディスタールシャフト13の先端拡径部32の内周面に対して熱溶着により接合されている。この場合、基端側レッグ領域41の外周面の全体が先端拡径部32の内周面に対して接合されている。
基端側レッグ領域41と先端拡径部32との接合作業について簡単に説明する。基端側レッグ領域41と先端拡径部32との接合に際しては、外周面が平坦な金属棒を先端拡径部32及び基端側レッグ領域41の内腔側に配置し、その状態で先端拡径部32の外周面側から溶着機器を用いて加熱及び加圧を行う。これにより、基端側レッグ領域41と先端拡径部32とが熱溶着により接合される。この場合に、上記のとおり金属棒が内側に配置されているため、基端側レッグ領域41と先端拡径部32との接合部分の平坦性が高められ、基端側レッグ領域41が先端拡径部32の内側に位置するようにした構成において、ハブ15を介して供給された圧縮流体のバルーン16内部への流入又は内部からの流出に対する影響が低減されている。
上記のように基端側レッグ領域41と先端拡径部32との位置関係が設定されていることにより、熱溶着に際してバルーン16の基端側コーン領域42や直管領域43に対して熱が極力掛からないようにすることができる。基端側コーン領域42や直管領域43に対して熱が掛かるとその部位が硬化してしまい、バルーン16における膨張・収縮に関する特性が低下してしまうそれがあるが、本構成によれば、かかる特性の低下の抑制が図られる。
また、従来のように基端側レッグ領域41がディスタールシャフト13に対して外周側となるように接合されていた構成においては、熱溶着の影響が基端側コーン領域42や直管領域43に極力及ばないようにすべく、基端側レッグ領域41の全体に亘って熱を掛けるのではなく、基端側レッグ領域41における基端寄りの一部にのみ熱を掛けるようにしていた。この場合、熱溶着の領域が狭くなり、バルーン16とディスタールシャフト13との接合強度が十分に確保できないおそれがあった。これに対して、本実施形態における構成によれば、上記のとおり基端側レッグ領域41の全体を使って接合を行うことができるため、接合強度を十分に確保することができる。
また、従来の構成においては、上記のとおり基端側レッグ領域41における基端寄りの一部しか接合されないため、基端側レッグ領域41の先端側がディスタールシャフト13に対して浮いてしまう。これに対して、本実施形態における構成によれば、従来のように基端側レッグ領域41が浮いてしまうことがないため、バルーン16とディスタールシャフト13との接合部分の外径を従来よりも小さく抑えることが可能となる。
なお、上記のとおり先端側コーン領域44は、基端側コーン領域42に比して長さ寸法が大きくなっている。したがって、先端側レッグ領域45を先端チップ体18の外周面に対して熱溶着により接合するようにしたとしても、直管領域43への熱の影響は低い。その一方、先端側レッグ領域45についても、基端側レッグ領域41と同様の構成を適用しようとすると、先端チップ体18の構成の複雑化を招くおそれがあり、体内に挿入されるバルーンカテーテル10において構成の複雑化は好ましくない。よって、先端側レッグ領域45については、上記のとおり先端チップ体18の外周面に対して接合するのが好ましい。
インナーシャフト14の延長領域36について詳細に説明する。
インナーシャフト14の延長領域36は、上記のとおりバルーン16によりその外周面が覆われている。延長領域36は、図4(b)に示すように、基端側から先端側に向けて外径が段階的に小さくなるように、長さ方向の途中位置にて肉厚が薄肉化されており、この肉厚が変化する部分において段差状となっている(この段差状となった部位を、段差部37という)。但し、上記のように外径を変化させた構成において、内径は同一となっている。これにより、延長領域36における軸線方向に対して垂直方向の断面積が先端側に向けて段階的に小さくなり、結果的に延長領域36の剛性(曲げこわさ又は曲げモーメント)が先端側に向けて段階的に低くなっている。そして、これに伴って、バルーンカテーテル10のバルーン16が設けられた領域において、先端側が低くなるように剛性を変化させることができる。よって、バルーンカテーテル10の追随性及び伝達性をバルーン16が設けられた領域においても高めることができる。また、上記段差部37の位置は、延長領域36においてバルーン16の直管領域43に覆われた部位となっている。これにより、バルーン16が設けられた領域の中間寄りの位置にて剛性を変化させることができる。
延長領域36には、X線投影下でのバルーン16の視認性を向上させ、且つ目的とする治療箇所へのバルーン16の位置決めを容易に行うために、金属製の造影環(造影マーカ部材又は造影体)47が設けられている。
造影環47は基端側の端面47aを段差部37に当接させて設置されている。これにより、バルーンカテーテル10の体内への挿入時や、血管の狭窄部位をバルーン16周辺が通過する際に、造影環47に対して基端側に向けて負荷が掛かったとしてもその負荷が段差部37にて受けられ、造影環47の位置がずれてしまうことが防止される。また、造影環47をインナーシャフト14に取り付ける際の位置決めの容易化が図られる。さらにまた、剛性がバルーン16などより高い造影環47を、インナーシャフト14において段差部37よりも先端側の剛性が低下された領域に配置することで、造影環47による剛性の変化の影響が低減される。ちなみに、造影環47は造影機能を果たすのであれば、金属製に限定されることはなく合成樹脂製であってもよい。
なお、インナーシャフト14の内腔14aには、ガイドワイヤGの滑り性を高めるために、コーティング層が形成されている。このコーティング層として、ポリエチレンオキサイドや無水マレイン酸といった親水性の材料を用いてもよく、PTFE等のフッ素樹脂といった疎水性の材料を用いてもよい。疎水性の材料を用いることにより、コーティング層の膨潤を防ぐことができる。
図4(c)に示すように、延長領域36のシャフト先端部38に対して、上記先端チップ体18が取り付けられている。先端チップ体18は、合成樹脂により管状に形成されており、剛性がインナーシャフト14よりも低くなるように、その材料、肉厚及び外径などが設定されている。
先端チップ体18のチップ基端部51は延長領域36のシャフト先端部38を覆っている。そして、チップ基端部51の内周面とシャフト先端部38の外周面とが熱溶着により接合されている。先端チップ体18の内腔18aはインナーシャフト14の内腔14aに連通されており、さらに両内腔14a,18aは同一軸線上にある。これら両内腔14a,18aにより、ガイドワイヤ用ルーメンが形成されている。なお、先端チップ体18の内径は、ガイドワイヤGの外径と略同一となっており、具体的には0.014mmとなっている。
ここで、シャフト先端部38は、バルーン16の先端側レッグ領域45と先端チップ体18との接合位置よりも基端側にある。例えば、シャフト先端部38を先端側レッグ領域45よりも先端側とする構成も想定されるが、この場合、シャフト先端部38と先端チップ体18との接合位置がバルーン16外に位置することとなり、血管の狭窄部位を通過する際などに先端チップ体18が離脱してしまうおそれがある。これに対して、シャフト先端部38を先端側レッグ領域45よりも基端側とすることで、かかる不都合が発生する可能性が低減される。また、シャフト先端部38を、先端側レッグ領域45と先端チップ体18との接合位置と内外に重ねる構成も想定されるが、この場合、上記接合領域がそれよりも先端側に対して剛性が極端に高くなってしまうおそれがある。これに対して、シャフト先端部38を先端側レッグ領域45よりも基端側とすることで、この接合領域における剛性を低くすることができ、バルーンカテーテル10の耐キンク性が高められる。
また、シャフト先端部38とチップ基端部51との接合部位は、バルーン16の先端側レッグ領域45により覆われた領域よりも基端側にあり、より詳細には、バルーン16の先端側コーン領域44により覆われた領域にある。つまり、上記接合部位は、バルーン16が収縮状態にある場合に、当該バルーン16の先端側コーン領域44が巻きつく領域内にある。ここで、バルーン16が収縮状態である場合、バルーンカテーテル10における先端側コーン領域44の部分では、バルーン16の巻かれる量に応じて、基端側から先端側に向けて剛性が低くなる。一方、シャフト先端部38とチップ基端部51との接合部位は、延長領域36における当該接合部位よりも基端側に比して剛性が高くなる。かかる事情において、上記のようにシャフト先端部38とチップ基端部51との接合部位を、先端側コーン領域44が巻きつく領域内に設定したことにより、当該接合部位における剛性の高まりの影響が低減され、その基端側との剛性のバランスが良好なものとなる。
チップ基端部51には、先端チップ体18用の剛性低下構造が設けられている。詳細には、チップ基端部51には、長さ方向に延びるスリット52が周方向に並設されている。これにより、先端チップ体18とインナーシャフト14との接合位置にて剛性が局所的に高くなってしまうことが抑制され、耐キンク性が高められている。但し、スリット52の先端側の端部は、シャフト先端部38よりも先端側にまでは達していない。
なお、先端チップ体18用の剛性低下構造はスリット52に限定されることはなく、例えば長さ方向に延びる溝又は螺旋状の切り込みや、先端チップ体18の管壁を貫通する孔を剛性低下構造としてもよい。また、上記剛性低下構造を先端チップ体18に対して設けるのではなく、インナーシャフト14のシャフト先端部38に対して設けても良い。
先端チップ体18におけるバルーン16よりも先端側のチップ先端領域53は、肉厚を薄肉化することにより先細り形状をしている。すなわち、チップ先端領域53の外周面は、先端側に向けて細くなるようにテーパ形状をなしている。これにより、バルーンカテーテル10の通過性が高められている。また、先端チップ体18の剛性が先端側に向けて緩やかに低下することとなり、バルーンカテーテル10の追随性、伝達性及び耐キンク性が高められる。
ここで、先端チップ体18のテーパ状は研磨により形成されている。例えば、熱を加えてテーパ状を形成する構成も想定されるが、この場合、先端チップ体18が硬化してしまうおそれがある。これに対して、研磨によりテーパ状を形成することで、かかる硬化が防止され、チップ先端領域53をテーパ状としたことによる上記効果が確実に発揮される。
上記構成のバルーンカテーテル10は、以下のように使用される。
先ず血管内に挿入されたシースイントロデューサにガイディングカテーテルを挿通し、押引操作して冠動脈入口部まで導入する。次いで、ガイドワイヤGをバルーンカテーテル10のガイドワイヤ用ルーメン及びガイディングカテーテル内に挿通し、冠動脈入口部から治療対象箇所(例えば、狭窄部位)を経て抹消部位まで導入する。続いて、ガイドワイヤGに沿ってバルーンカテーテル10を、押引又は捻り操作を加えながら治療対象箇所まで導入する。この場合に、上記のとおり本バルーンカテーテル10は、通過性、追随性、伝達性及び耐キンク性が高められているため、導入操作を良好に行うことができる。バルーン16が治療対象箇所に到達したら、加圧器でバルーン16を拡張し治療を行う。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
インナーシャフト14における延長領域36には、基端側に対して先端側の外径が小さくなるように、長さ方向の途中位置に段差部37を形成した。これにより、延長領域36の剛性が基端側に対して先端側が低くなる。そして、これに伴って、バルーンカテーテル10のバルーン16が設けられた領域において、先端側が低くなるように剛性を変化させることができる。よって、バルーンカテーテル10の追随性及び伝達性をバルーン16が設けられた領域において高めることができる。
さらにまた、上記のように段差部37を形成したことで、バルーンカテーテル10の先端部の外径が小さくなり、狭窄部位を通過させる際のバルーンカテーテル10の通過性をも高めることができる。
上記のように延長領域36の先端側の剛性を基端側よりも低くした構成において、その先端側の領域に対して先端チップ体18を接合するようにした。これにより、インナーシャフト14と先端チップ体18との接合位置において極端に剛性が高くならないようにすることができ、バルーンカテーテル10の耐キンク性を高めることができる。
(第2の実施形態)
本実施形態では、バルーン周辺の構成が上記第1の実施形態と異なっている。そこで、以下にかかる相違点について図5を用いて説明する。なお、図5において上記第1の実施形態と同様の構成については同一の番号を付すとともにその説明を省略する。
本実施形態におけるバルーン61は、上記第1の実施形態におけるバルーン16と異なり、先端側コーン領域62の長さ寸法X4は、基端側コーン領域63の長さ寸法X6と略同一となっている(X4≒X6)。また、これら各コーン領域62,63の長さ寸法X4,X6は、直管領域64の長さ寸法X5よりも小さくなっている(X4≒X6<X5)。
インナーシャフト14の延長領域36は、上記第1の実施形態と同様に、その外周面がバルーン61により覆われており、長さ方向の途中位置には、基端側から先端側に向けて外径が段階的に小さくなるように段差部71が形成されている。この場合に、段差部71の位置が上記第1の実施形態と異なっている。つまり、段差部71は、図5(a)に示すように、延長領域36の途中位置であって、バルーン61における基端側コーン領域63と直管領域64との境界線上に位置している。そして、図5(b)に示すように、段差部71に基端側の端面72aを当接させて造影環72が取り付けられている。
また、延長領域36のシャフト先端部38には、上記第1の実施形態と同様に、シャフト先端部38を外側から覆うように先端チップ体18が接合されている。この場合に、シャフト先端部38とチップ基端部51との接合部位は、その基端側に比べ肉厚となっており、段差状となっている。つまり、接合部位は、延長領域36及び先端チップ体18の周囲の領域に比して拡径されている。この段差状を形成する段差部73は、図5(a)に示すように、延長領域36の途中位置であって、バルーン61における直管領域64と先端側コーン領域62との境界線上に位置するように形成されている。そして、図5(c)に示すように、段差部73に先端側の端面74aを当接させて造影環74が取り付けられている。
以上のように本実施形態では、インナーシャフト14の延長領域36に対して2つの造影環72,74が取り付けられており、一方の第1造影環72はバルーン61の直管領域64における基端側の境界に対して配置され、他方の第2造影環74はバルーン61の直管領域64における先端側の境界に対して配置されている。この場合、X線投影下でのバルーン61の直管領域64の視認性が向上され、目的とする治療箇所へのバルーン61の位置決めをより容易に行うことが可能となる。
当該構成において、第1造影環72についてはその基端側の端面72aがインナーシャフト14の延長領域36に形成された段差部71に当接されているため、上記第1の実施形態の造影環47について説明した効果と同様の効果を得ることができる。
また、第2造影環74についてはその先端側の端面74aが、インナーシャフト14と先端チップ体18との接合領域の段差部73に当接されている。これにより、バルーンカテーテル10の体内への挿入時や、血管の狭窄部位をバルーン61周辺が通過する際に、第2造影環74に対して負荷が掛かりづらくなり、第2造影環74の位置がずれてしまうことが防止される。また、第2造影環74をインナーシャフト14に取り付ける際の位置決めの容易化が図られる。また、剛性がバルーン61などより高い第2造影環74を、インナーシャフト14において剛性が低下された領域に配置することで、第2造影環74による剛性の変化の影響が低減される。また、インナーシャフト14と先端チップ体18との接合領域は、周囲に比べ剛性が高くなるが、その接合領域の段差部73に当接させて第2造影環74を取り付けることで、剛性が高い領域の集約化が図られる。
なお、本実施形態では、ディスタールシャフト13には、上記第1の実施形態で示した先端拡径部32が形成されておらず、バルーン61の基端側レッグ領域65は、ディスタールシャフト13の先端部を外側から覆うように接合されている。また、造影環(造影体)72,74の数は2個に限定されることはなく、3個以上であってもよい。
(第3の実施形態)
本実施形態では、バルーン周辺の構成が上記第1の実施形態と異なっている。そこで、以下にかかる相違点について図6及び図7を用いて説明する。図6はバルーン91周辺の構成を説明するための説明図、図7はバルーン91を収縮状態とした際における当該バルーン91周辺の構成を説明するための説明図である。なお、図6及び図7において上記第1の実施形態と同様の構成については同一の番号を付すとともにその説明を省略する。
本実施形態におけるバルーン91は、上記第1の実施形態におけるバルーン16と類似した構成を備えている。つまり、基端側レッグ領域92、基端側コーン領域93、直管領域94、先端側コーン領域95及び先端側レッグ領域96を有しており、先端側コーン領域95におけるバルーンカテーテル10の軸線方向の長さ寸法X7は、基端側コーン領域93における上記軸線方向の長さ寸法X9よりも大きくなっている(X7>X9)。また、先端側コーン領域95におけるバルーンカテーテル10の軸線方向の長さ寸法X7は、直管領域94における上記軸線方向の長さ寸法X8と略同一となっている(X7≒X8)。
但し、各レッグ領域92,96の接合部位の構成が上記第1の実施形態と異なっている。先ず、基端側レッグ領域92の接合部位の構成について説明する。
基端側レッグ領域92は、上記第1の実施形態と同様に、その外周面がディスタールシャフト13に形成された先端拡径部101の内周面に接合されている。但し、先端拡径部101は上記第1の実施形態よりも長さ寸法が小さくなっており、基端側レッグ領域92はその基端部のみが先端拡径部101により外側から覆われ、その覆われた部位のみが接合されている。かかる構成とすることにより、基端側コーン領域93に対して、基端側レッグ領域92とディスタールシャフト13との接合部分を所定範囲に亘って離間させることができる。よって、基端側コーン領域93や直管領域94に対する、基端側レッグ領域92とディスタールシャフト13とを熱溶着する際の熱の影響が低減される。
次に、先端側レッグ領域96の接合部位の構成について説明する。
図6(b)に示すように、先端側レッグ領域96は、その内周面が先端チップ体18の外周面に接合されている。この場合に、先端側レッグ領域96は、その外周面96aが先端側に向けて縮径されるようにテーパ状をなしている(以下、テーパ状外周面96aともいう)。そして、このテーパ状外周面96aの傾斜角度は、先端チップ体18におけるチップ先端領域53のテーパ状に形成された外周面の傾斜角度と略同一となっており、テーパ状外周面96aとチップ先端領域53の外周面とはその傾斜が連続的となっている。すなわち、両外周面の間には、軸線方向に対して垂直方向に延びる面が介在していない。これにより、狭窄部位を通過させる際のバルーンカテーテル10の通過性が高められている。
さらにまた、上記のとおり、バルーン91の先端側コーン領域95はその長さ寸法が基端側コーン領域93よりも大きくなっており、バルーン91を収縮状態とした際において折りたたみ羽98の先端側コーン領域95における傾斜が緩やかなものとなっている。特に、上記のとおり先端側コーン領域95の長さ寸法が基端側コーン領域93の長さ寸法よりも大きいことにより、折りたたみ羽98の先端側の起点部分99におけるバルーン91の厚みが抑えられ、起点部分99における段差の発生が抑えられている。そして、図7に示すように、バルーン91の収縮状態における先端側コーン領域95の外周面の傾斜角度は、先端側レッグ領域96のテーパ状外周面96a及び先端チップ体18におけるチップ先端領域53の外周面の傾斜角度と略同一となっている。よって、バルーン91の収縮状態において、先端側コーン領域95、先端側レッグ領域96及びチップ先端領域53の各外周面はその傾斜が連続的となっており、各外周面の間には軸線方向に対して垂直方向に延びる面が介在していない。また、各外周面は同一面上にある。これにより、狭窄部位を通過させる際のバルーンカテーテル10の通過性が高められている。
次に、インナーシャフト14の延長領域36及びそれに関連する構成について説明する。
インナーシャフト14の延長領域36は、上記第1の実施形態と同様にその外周面がバルーン91により覆われており、長さ方向の途中位置には、基端側から先端側に向けて外径が段階的に小さくなるように段差部105が形成されている。この場合に、段差部105の位置が上記第1の実施形態と異なっている。つまり、段差部105は、延長領域36の途中位置であって、バルーン91における基端側レッグ領域92と基端側コーン領域93との境界線上に位置している。なお、上記第1の実施形態と異なり、当該段差部105に対して造影環は設けられていない。
インナーシャフト14のシャフト先端部38の位置は、上記第1の実施形態と異なり、直管領域94に覆われた領域となっている。そして、当該シャフト先端部38を外側から覆うように先端チップ体18のチップ基端部51が接合されている。つまり、本実施形態では、インナーシャフト14と先端チップ体18との接合部位の位置は、直管領域94に覆われた領域となっている。この点、先端チップ体18は、そのチップ基端部51が直管領域94により覆われた領域に位置するように基端側に延長させて設けられていると言える。
シャフト先端部38とチップ基端部51との接合部位は、その基端側に比べ肉厚となっており、段差状となっている。この段差状を形成する段差部108に先端側の端面109aを当接させて造影環109が取り付けられている。
以上のように本実施形態では、延長領域36の段差部105は、延長領域36の途中位置であって、バルーン91における基端側レッグ領域92と基端側コーン領域93との境界線上に位置している。これにより、バルーン91における膨張及び収縮領域としての基端側コーン領域93、直管領域94及び先端側コーン領域95により覆われる領域には、延長領域36における剛性が低下された先端側の領域及び延長領域36よりも剛性が低い先端チップ体18が配置されることとなる。上記膨張及び収縮領域は、バルーン91の収縮状態において内側にあるシャフト部分に巻きつく領域であるため、当該収縮状態ではかかる領域の剛性が自ずと高くなる。この場合に、上記のように段差部105の位置を設定することにより、上記内側にあるシャフト部分の剛性が低下され、結果的にバルーン91の収縮状態において膨張及び収縮領域の剛性を低下させることができる。これにより、バルーンカテーテル10の追随性を高めることができる。
なお、段差部105の位置は、バルーン91の先端側コーン領域95に覆われた領域よりも基端側であって、バルーン91とディスタールシャフト13との接合部位よりも先端側としてもよい。また、バルーン91の直管領域94に覆われた領域よりも基端側であって、バルーン91とディスタールシャフト13との接合部位よりも先端側とするのが好ましい。この場合、少なくとも直管領域94に覆われた領域には、延長領域36における剛性が低下された先端側の領域及び延長領域36よりも剛性が低い先端チップ体18が配置されることとなる。また、本実施形態における構成のとおり、バルーン91の基端側コーン領域93に覆われた領域よりも基端側であって、バルーン91とディスタールシャフト13との接合部位よりも先端側とするのがより好ましい。
また、シャフト先端部38とチップ基端部51との接合部位は、直管領域94により覆われた領域にある。バルーン91の収縮状態においては、直管領域94の部分が内側のシャフト部分に対するバルーン91の巻きつき量が多くなる部分であり、その剛性はそれよりも基端側及び先端側に対して高くなる。また、この剛性の高まりは、直管領域94が設けられた全域に及ぶ。一方、シャフト先端部38とチップ基端部51との接合部位は、延長領域36におけるそれよりも基端側及び先端チップ体18におけるそれよりも先端側に比して剛性が高くなる。また、造影環109が設けられた部位も、延長領域36におけるそれよりも基端側及び先端チップ体18におけるそれよりも先端側に比して剛性が高くなる。但し、この接合部位及び造影環109における剛性は、直管領域94が巻きつくことによる剛性に比べ低くなっている。かかる事情において、上記のように接合部位及び造影環109を直管領域94により覆われた領域に配置することで、当該接合部位及び造影環109における剛性の影響が直管領域94の巻きつきによる剛性の高まりにより小さなものとなり、結果的に接合部位及び造影環109による剛性の影響が低減される。
(他の実施形態)
本発明は上記各実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施しても良い。
(1)インナーシャフト14の延長領域36についての変形例を、図8,図9を用いて以下に説明する。
図8に示す構成では、インナーシャフト14の延長領域36には上記各実施形態にて示した段差部37,71,105は形成されておらず、代わりに、先端側に向けて外径が縮径されるようにテーパ領域111が形成されている。このテーパ領域111は延長領域36の途中位置に形成されている。したがって、延長領域36においてテーパ領域111よりも基端側は大径領域112となっており、先端側は小径領域113となっている。本構成であっても、延長領域36の剛性が基端側に対して先端側が低くなり、これに伴って、バルーンカテーテル10のバルーン16,61,91が設けられた領域において、先端側が低くなるように剛性を変化させることができる。特に、本構成によれば、剛性の変化が上記各実施形態に比べ連続的となり、バルーンカテーテル10の耐キンク性をも高めることができる。
図9に示す構成では、上記テーパ領域111がインナーシャフト14の延長領域36の全体に亘って形成されている。これにより、延長領域36の剛性が基端側から先端側に向けて連続的に低くなり、さらにその剛性の変化が延長領域36の全体に亘って生じることとなる。したがって、バルーンカテーテル10の耐キンク性を上記図8の構成よりも高めることができる。ちなみに、インナーシャフト14のテーパ領域111の基端位置を、延長領域36よりも基端側としても良い。この場合、バルーンカテーテル10の剛性の変化がより良好なものとなる。
なお、上記図8及び図9において、インナーシャフト14に造影手段を設ける場合、上記各実施形態と同様に造影環としてもよく、その他、金属粉を含んだインクなどを延長領域36の外周面に印刷する構成としてもよい。
(2)上記各実施形態では、インナーシャフト14の延長領域36において基端側よりも先端側の外径を小さくすることで、先端側の剛性を低下させたが、かかるシャフトの剛性低下構造を変更してもよい。例えば、インナーシャフト14の剛性低下構造として、延長領域36に対して、管壁を貫通しない程度の溝を長さ方向に沿って形成する。この場合に、その溝幅を先端側に向けて広くしたり、溝の数を先端側に向けて増やすことで、先端側に向けて緩やかに剛性を低下させることができる。
なお、スリットや螺旋状の切り込みを、インナーシャフト14の剛性低下構造として設けるのは好ましくない。この場合、ガイドワイヤ用ルーメンが延長領域36の途中位置にて外側に開口してしまい、ガイドワイヤGがその開口から出てしまうおそれがあるからである。
(3)また、インナーシャフト14の延長領域の外径をその長さ方向の全体に亘って同一とし、代わりに、延長領域36の内径を基端側から先端側に向けて段階的に又は連続的に大きくする構成としてもよい。当該構成であっても、延長領域36の軸線方向に対して垂直方向の断面の断面積は、基端側から先端側に向けて段階的に又は連続的に小さくなり、それに伴って、剛性も基端側から先端側に向けて段階的に又は連続的に小さくなる。
(4)上記各実施形態では、造影環47,72,74,109を、インナーシャフト14の延長領域36において段差部37,71,105よりも先端側の縮径された領域に取り付けたが、これに代えて、段差部37,71,105よりも基端側の領域に取り付けても良い。この場合、造影環47,72,74,109の剛性に対する影響を低減できない点で上記各実施形態よりも劣るものの、延長領域36の剛性は基端側よりも先端側が低くなるため、従来の構成に比べ、バルーンカテーテル10の追随性及び伝達性を高めることができる。
(5)インナーシャフト14と先端チップ体18との接合関係を上記各実施形態とは逆にしてもよい。すなわち、インナーシャフト14のシャフト先端部38の外周面を覆うように先端チップ体18のチップ基端部51を接合してもよい。
(6)先端チップ体18を不具備としてもよい。この場合、インナーシャフト14をバルーン16よりも先端側まで突出させ、さらにその突出させた部位を先細りさせることにより、インナーシャフト14の先端部が先端チップ部として機能とすることとなる。なお、本構成においては、バルーン16の先端側をインナーシャフト14に接合することで、バルーン16をインナーシャフト14に保持させることができる。
(7)上記各実施形態では、バルーン16の基端側をディスタールシャフト13に接合することで、バルーン16をディスタールシャフト13に保持させる構成としたが、これに代えて、バルーン16の基端側とディスタールシャフト13との間に別部材を介在させて、ディスタールシャフト13にバルーン16を保持させる構成としてもよい。
(8)上記各実施形態において、ミッドシャフト12とディスタールシャフト13とを単一のシャフトとして設けても良い。この場合、プロキシマルシャフト11が基端側シャフトとなり、ミッドシャフト12とディスタールシャフト13とを単一ものとしたシャフトが先端側シャフトとなる。かかる構成のカテーテルシャフトを有するバルーンカテーテルに対して本発明を適用したとしても、上記各実施形態と同様の効果を得ることができる。
(9)上記各実施形態では、カテーテルシャフトの長さ方向の途中位置にガイドワイヤG用のポート部31を設けたが、これに代えて、カテーテルシャフトの基端部にガイドワイヤG用のポート部を設け、ガイドワイヤ用ルーメンを形成するインナーシャフトをカテーテルシャフトの全体に亘って内挿する構成としてもよい。
10…バルーンカテーテル、13…外側チューブとしてのディスタールシャフト、13a…内腔、14…インナーシャフト、14a…内腔、16…バルーン、18…先端チップ体、18a…内腔、36…被覆領域としての延長領域、37…段差部、41…基端側レッグ領域、42…基端側コーン領域、43…直管領域、44…先端側コーン領域、45…先端側レッグ領域、47…造影環、47a…端面、52…剛性低下構造としてのスリット、53…チップ先端領域、61…バルーン、71…段差部、72…造影環、72a…端面、73…段差部、74…造影環、74a…端面、91…バルーン、92…基端側レッグ領域、93…基端側コーン領域、94…直管領域、95…先端側コーン領域、96…先端側レッグ領域、105…段差部、108…段差部、109…造影環、111…テーパ領域。

Claims (1)

  1. 内腔に流体が流通される外側チューブと、
    当該外側チューブの内腔を通るようにして設けられるとともに、外側チューブよりも先端側に延長させて設けられ、内腔にガイドワイヤが挿通される内側チューブと、
    前記外側チューブの先端領域及び前記内側チューブの延長領域に保持され、前記外側チューブの内腔を流体が流通することにより膨張又は収縮する中空のバルーンとを備えており、
    前記バルーンは、先端に向けて縮径された先端側テーパ領域、膨張時においてバルーンの最大径部位となる直管領域及び基端に向けて縮径された基端側テーパ領域を先端側からこの順で有しており、
    前記バルーンは、前記先端側テーパ領域、前記直管領域及び前記基端側テーパ領域が前記内側チューブの周りに巻きついた収縮状態を有し、
    前記先端側テーパ領域におけるバルーンカテーテルの軸線方向に沿った長さ寸法が、前記基端側テーパ領域におけるバルーンカテーテルの軸線方向に沿った長さ寸法よりも大きく、前記先端側テーパ領域のバルーンカテーテルの軸線方向に沿った長さ寸法は、前記直管領域と略同一であることを特徴とするバルーンカテーテル。
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