JP2012094763A - 製膜装置および製膜方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】放電電極内に特別な加熱機構を保有してない放電電極の温度制御が可能な製膜装置および製膜方法を提供する。
【解決手段】基板30に製膜するためのプラズマを生成する放電電極5と、放電電極5の温度を計測する電極温度計測手段と、基板30を表面で保持する基板テーブルと、放電電極5、電極温度計測手段、および基板テーブルと、を有する製膜室1と、製膜室1内の圧力を計測する製膜室圧力計測手段と、製膜室1に気体を導入する気体導入手段と、製膜室1内を所定の圧力となるように気体を排気する気体排気手段8と、放電電極5の温度に基づいて、気体導入手段と気体排気手段8との少なくとも1つの作動状況の変化を繰り返す間欠動作を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、製膜装置に関し、特に、プラズマを用いて基板に処理を行う製膜装置に関する。
一般に、図14に示すように、複数の製膜処理室102と、ローダ103、ロード室104及びアンロード室105を有する製膜装置101が知られている。このような製膜装置101において、被処理対象の基板106は、ローダ103によりロード室104へと搬入される。
ロード室104に搬入された基板106は、ロード室104内に設けられている基板予熱ヒーター(図示せず)によって予熱されて複数の製膜処理室102のうちのいずれかに基板搬送装置(図示せず)により搬入されて、製膜処理が行われる。製膜処理室102での製膜処理が終了した基板106は、別の製膜処理室102へと基板搬送装置により搬入されて別の製膜処理が行われる。このようにして、複数の製膜処理室102のうちのいくつかに搬入されて製膜処理が終了した基板106は、アンロード室105から製膜装置101外へ搬出される。
上述するような製膜装置101において、各製膜処理室102における製膜処理は、真空度が数10Pa〜数100Paの粗引き真空排気状態であって室温より高い温度のもとで行われる。基板106が投入されていない製膜処理室102は、基板106が投入されると基板温度が早く調整されて、安定した製膜処理が行えるようにプラズマ発生用放電電極(図示せず)にヒーターを組み込んだり、熱媒体を循環させてプラズマ発生用放電電極の温度変化が少なくなるように維持して高真空排気状態で待機している(例えば、特許文献1および特許文献2)。
また、製膜処置室102内の温度を維持するために、ロット待ちなどの生産条件により製膜処理までの待機時間が長く発生した場合に製膜処理室102内の圧力を上昇させて基板加熱ヒータからの伝熱を促進させることが開示されている(例えば、特許文献3および特許文献4)。
特開昭63−259081号公報 特開2007−103635号公報 特許第3706510号公報 特開2007−110045号公報
しかし、非晶質シリコン光電変換層を形成するに当たり、プラズマCVD装置を図14に示す製膜装置101で構成した場合、非晶質シリコン薄膜からなるp層用の製膜処理室102a、102bは、プラズマ発生用放電電極に投入するRFパワーを大きくせずに製膜処理を行うため(例えば、13.56MHz、1kW/m)、放電電極は放電中の温度上昇も少ないことから、特別に熱媒体を循環して温度維持させていない。そのため、ロット待ちなどの生産条件により非晶質シリコン薄膜からなるp層の製膜処理間に長い待機時間が発生した際には、p層を製膜するための製膜処理室102a、102b内の放電電極の温度が変化(低下)して、そのまま製膜処理を再開した場合に膜質変動の要因になるという問題があった。
また、製膜装置101を構成しているロード室104の基板予熱ヒーター故障で加熱不良により基板106の温度が低い状態でp層用製膜処理室102a、102bに搬入した場合には、図15に示すように、通常の製膜処理の伝熱状態と異なり放電電極107から搬入した基板106への伝熱量が増加する(点線の矢印で示す)。そのため、放電電極107の温度が低下してしまい、製膜処理に膜質変動の要因になるという問題があった。
このような放電電極107の温度低下を防止するために、たとえば、基板106が設置される基板テーブル108の設定温度を上昇させる手法がある。しかし、放電電極107の温度状態を監視しながら、基板テーブル108の温度上昇作業を手動で行っていることから、基板テーブル108の温度が上昇しすぎた場合には、基板テーブル108の冷却時間が必要となるなど運転員による手動調整作業が煩雑であり、かつ、運転員の高度な判断が必要となるために運用の支障となっていた。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、放電電極内に特別な加熱機構を保有してない放電電極の温度制御が可能な製膜装置および製膜方法を提供する。
上記課題を解決するために、本発明の製膜装置によれば、基板に製膜するためのプラズマを生成する放電電極と、前記放電電極の温度を計測する電極温度計測手段と、前記基板を表面で保持する基板テーブルと、前記放電電極、前記電極温度計測手段、および前記基板テーブルと、を有する製膜室と、該製膜室内の圧力を計測する製膜室圧力計測手段と、前記製膜室に気体を導入する気体導入手段と、前記製膜室内を所定の圧力となるように前記気体を排気する気体排気手段と、前記放電電極の温度に基づいて、前記気体導入手段と前記気体排気手段との少なくとも1つの作動状況の変化を繰り返す間欠動作を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
電極温度計測手段が計測する放電電極の温度に基づいて、製膜室内に気体を導入する気体導入手段と気体を排気する気体排気手段の少なくとも1つの作動状況を繰り返す間欠動作を制御する制御手段を備えることとした。これにより、製膜室内の熱伝導率を間欠動作により制御することが可能となる。したがって、基板テーブルから放電電極への伝熱を過剰にならないよう適切に制御することができ、放電電極温度の急激な上昇を抑制し、放電電極の温度を所定範囲内に維持する制御をすることができる。
また、制御手段により放電電極の温度に基づいて製膜室内に気体を導入して放電電極の温度を制御するため、放電電極温度が低下した場合であっても放電電極の温度回復までの時間を低減することができる。
さらに、制御手段によって放電電極の温度を制御するため、放電電極の温度回復作業の煩雑さを低減して、運転員の負担を軽減することができる。
本発明の製膜装置によれば、前記放電電極の温度が第1所定温度未満になった場合には、前記制御手段が前記気体導入手段の作動状況として第1の所定流量を開始し、前記気体排気手段の作動状況を変化させて前記製膜室内を第1の圧力とし、前記放電電極の温度が前記第1所定温度以上になった後に、第2所定温度未満までは、前記気体導入手段の作動状況は、前記第1の所定流量と、該第1の所定流量よりも少ない第2の所定流量とを繰り返す間欠制御と、前記気体排気手段の作動状況は、前記製膜室内を前記第1の圧力と該第1の圧力より高真空である第2の圧力とを前記間欠制御に合わせて繰り返し、前記制御手段により所定の時間配分で繰り返すことを特徴とする。
放電電極の温度が第1所定温度未満になった場合に、制御手段により気体導入手段を作動開始させることとした。そのため、製膜室内に気体を導入して、製膜室内の圧力を第1の圧力へ上昇させることができる。したがって、基板テーブルから放電電極への伝熱を向上して、放電電極の温度を第1所定温度まで上昇させることができる。
また、放電電極の温度が第1所定温度以上になった後に、第2所定温度未満までは、制御手段により気体導入手段の作動状況を第1の所定流量と、第1の所定流量より少ない第2の所定流量とを繰り返す間欠制御を行なう。また、伴わせて、製膜室内を第1の圧力と、第1の圧力より高真空である第2の圧力とを繰り返すよう気体排気手段の作動状況の変化を間欠制御と所定の時間配分とで繰り返すようにした。そのため、基板テーブルから放電電極への伝熱を過剰にならないよう適切に制御することができ、放電電極の温度を所定範囲内に維持する制御をすることができる。
なお、第1所定温度とは、製膜の膜質に変動を生じさせない放電電極の所定温度の許容範囲の下限値であり、例えば、基板テーブル温度が165℃以上170℃未満において、放電電極の所定温度が130℃の場合、第1所定温度は125℃が好ましい。
また、第2所定温度とは、放電電極の所定温度の許容範囲の上限値であり、例えば、基板テーブル温度が165℃以上170℃未満において、放電電極の所定温度が130℃の場合、135℃が好ましい。
本発明の製膜装置によれば、前記放電電極の温度が第1所定温度未満になった場合には、前記制御手段が前記気体導入手段の作動状況として第1の所定流量を開始し、前記気体排気手段の作動状況を変化させて前記製膜室内を第1の圧力とし、前記放電電極の温度が前記第1所定温度以上になった後に、第2所定温度未満までは、前記気体導入手段の作動状況は、前記第1の所定流量を開始し、前記気体排気手段の作動状況は、前記製膜室内を前記第1の圧力と該第1の圧力より高真空である第2の圧力とを繰り返す間欠制御を前記制御手段により所定の時間配分で繰り返すことを行うことを特徴とする。
放電電極の温度が第1所定温度以上第2所定温度未満になった場合には、制御手段により気体導入手段の作動状況は、第1の所定流量を開始するとともに、気体排気手段の作動状況は、製膜室内を第1の圧力と第1の圧力より高真空である第2の圧力とを繰り返す間欠制御を、所定の時間配分で繰り返すようにした。そのため、基板テーブルから放電電極への伝熱を過剰にならないよう適切に制御することができ、オーバーシュートによる放電電極温度の急激な上昇を抑制することができる。したがって、基板テーブルから放電電極への伝熱を制御して、放電電極の温度を所定温度の許容範囲内に維持することができる。また、気体導入手段の作動は一定流量であり間欠ではないため、気体導入手段の制御は簡易化が可能となる。
本発明の製膜装置によれば、前記気体は、水素および窒素であり、前記放電電極の温度が第1所定温度未満になった場合には、前記制御手段が前記気体導入手段の作動状況として水素の第1の所定流量を開始し、前記気体排気手段の作動状況を変化させて、前記製膜室内を第1の圧力とし、前記放電電極の温度が前記第1所定温度以上になった後に、第2所定温度未満までは、前記気体導入手段の作動状況は、水素と窒素とを交互に導入することを繰り返し、前記気体排気手段の作動状況を変化させて、前記製膜室内を前記第1の圧力とし、前記制御手段により所定の時間配分で繰り返すことを行うことを特徴とする。
熱伝導率の高い水素(0.2W/mK)と熱伝導率のやや低い窒素(0.02W/mK)とを交互に製膜室内に導入することとした。これにより、製膜室内の圧力変化を緩やかにすることができる。そのため、製膜室内に設けられている熱容量の小さな部品の急激な温度変化を防止しつつ、放電電極温度の低下やオーバーシュートによる放電電極温度の急激な上昇を抑制することができる。したがって、放電電極の温度を所定温度の許容範囲内に維持するとともに、製膜室内の構成部品の急な温度変化による損傷を抑制して製膜装置の運用の信頼性を向上させることができることができる。
本発明の製膜装置によれば、前記間欠制御の所定の時間配分は、事前の試験により決めることを特徴とする。
気体導入手段の作動を、第1の所定流量と第1の所定流量より少ない第2の所定流量とを繰り返す間欠制御を行なう。また、気体排気手段の作動を、製膜室内を第1の圧力と第1の圧力より高真空である第2の圧力とを繰り返す間欠制御を行なう。このとき、制御手段により繰り返される所定の時間配分は、製膜装置の事前試験により決定するようにした。このため、製膜室の固体差による熱伝導の違いを調整できるので、製膜装置の運用の信頼性を向上させることができることができる。
本発明の製膜装置によれば、前記放電電極の温度が第2所定温度以上第3所定温度未満になった場合には、前記気体導入手段の作動状況は、前記第2の所定流量とし、前記気体排気手段の作動状況を変化させて、前記製膜室内を前記第2の圧力とし、前記制御手段により前記気体排気手段の運転を行うことを特徴とする。
放電電極の温度が第2所定温度以上第3所定温度未満になった場合には、制御手段により気体導入手段を第2の所定流量とし、気体排気手段の作動状況を変化させ製膜室内を第2の圧力とした。そのため、製膜室内を高真空状態にして、基板テーブルから放電電極への伝熱を低減することができる。したがって、放電電極温度の過昇温を防止することができる。
なお、第3所定温度とは、放電電極の所定温度が130℃の場合、例えば140℃が好ましい。
本発明の製膜装置によれば、前記制御装置は、タイマーを有し、前記製膜室に前記基板が搬入されるまでの待ち時間を検出して、検出された前記待ち時間が所定の時間よりも長い場合には、前記気体導入手段または/および前記気体排気手段を制御することを特徴とする。
製膜室に基板が搬入されるまでの待ち時間に応じて気体導入手段または/および気体排気手段の動作開始を制御することとした。そのため、待ち時間が所定の時間よりも長くなり放電電極の温度が低下し始めた場合であっても、放電電極の温度低下を抑制し、放電電極温度が所定温度にまで回復する時間を低減することができる。したがって、製膜装置の処理能力の負担を低減することができる。
なお、ここで所定の時間とは、製膜装置の特性にもよるが、3分以上20分以内が好ましい。
本発明の製膜方法によれば、基板に製膜するためのプラズマを生成する放電電極と、基板を表面で保持する基板テーブルと、前記製膜室内の圧力を計測する製膜室圧力計測手段と、前記製膜室に気体を導入する気体導入手段と、前記製膜室内を所定の圧力となるように前記気体を排気する気体排気手段と、を有する製膜室に、前記放電電極の温度に基づいて、前記気体導入手段と前記気体排気手段との少なくとも1つの作動状況の変化を繰り返す間欠動作を制御することを特徴とする。
電極温度計測手段が計測する放電電極の温度に基づいて、製膜室に気体を所定時間で間欠に導入する気体導入手段を制御する制御手段を備えることとした。これとともに、製膜室内の圧力を所定時間で間欠な変化を繰り返すよう制御する。この所定時間を適切に選定することで、製膜室内の熱伝導率を適宜に選定して制御することが可能となる。したがって、基板テーブルから放電電極への伝熱を制御して、放電電極の温度を制御することができる。
また、制御手段により放電電極の温度に基づいて製膜室に気体を導入して放電電極の温度を制御するため、放電電極温度が低下した場合であっても放電電極の温度回復までの時間を低減することができる。
さらに、制御手段によって放電電極の温度を制御するため、放電電極の温度回復作業の煩雑さを低減して、運転員の負担を軽減することができる。
第1実施形態に係るプラズマCVD装置の製膜処理室の概略を説明する概略構成図である。 図1に示したプラズマCVD装置によって製膜される電池特性と、放電電極温度との関係を示すグラフである。 放電電極温度が125℃未満の場合における、圧力250Paの昇温運転状況を示すグラフである。 の熱伝達率と圧力との関係を示すグラフである。 図1に示したプラズマCVD装置による間欠昇温運転を示す模擬図である。 放電電極温度が125℃以上135℃未満の場合における、圧力250Paの昇温運転状況を示すグラフである。 第2実施形態に係るプラズマCVD装置による間欠昇温運転を示す模擬図である。 第3実施形態に係るプラズマCVD装置による間欠昇温運転を示す模擬図である。 各実施形態の薄膜太陽電池モジュールの構成を説明する模式図である。 各実施形態の薄膜太陽電池モジュールの製造工程を説明する模式図の一部である。 各実施形態の薄膜太陽電池モジュールの製造工程を説明する模式図の一部である。 各実施形態の薄膜太陽電池モジュールの製造工程を説明する模式図の一部である。 各実施形態の薄膜太陽電池モジュールの製造工程を説明する模式図の一部である。 従来のプラズマCVD装置の概略構成図である。 図14に示した製膜室の内部構成を示す概略図である。
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態に係るプラズマCVD装置および製膜方法について図1から図6を参照して説明する。
図1は、本実施形態のタンデム型シリコン系の薄膜太陽電池モジュールの非晶質シリコン薄膜からなるp層(光入射側にある第1セル層のp層)用の製膜に用いるプラズマCVD装置製膜処理室の概略構成を示し、プラズマCVD装置製膜処理室の側面から見た図である。
非晶質シリコン薄膜からなるp層用の製膜に用いるプラズマCVD装置(製膜装置)の製膜処理室1は、真空容器である製膜室2と、導電性の平板である対向電極3と、対向電極3の温度を維持し均一化する均熱板11と、均熱板11及び対向電極3を保持する均熱板保持機構4と、対向電極3との間でプラズマを発生する放電電極5と、プラズマ発生範囲を制限する防着板6と、防着板6を支持する支持部7、高周波電力を放電電極5に供給する高周波給電伝送路22及び整合器23と、製膜室2内に雰囲気ガスであるH(気体)を導入する気体導入装置(気体導入手段)と、製膜室2内の雰囲気ガスを排気する高真空排気部(気体排気手段)8及び低真空排気部9と、製膜室2を保持する台10と、放電電極5の温度を計測する放電電極用熱電対(電極温度計測手段)と、製膜室2内の圧力を計測する製膜室用圧力計(製膜室圧力計測手段)と、放電電極5の温度に基づいて気体導入装置を制御する製膜室制御装置(制御手段)と、を具備している。
ここで、X方向は、図1の左右方向であり、Y方向は、図1の紙面に対して垂直方向である。また、製膜室2は、台10上に鉛直方向Zから角度αだけ傾けて保持される。傾きの角度αはZ方向(鉛直方向)に対して7°から12°までの範囲内の所定角度である。この鉛直方向Zから角度αだけ傾けたY方向と垂直の方向をZ’方向とする。
製膜室2は、真空容器であり、その内部で基板30に微結晶シリコン膜など製膜する。製膜室2は、台10上でZ’方向、すなわち鉛直方向Zに対してα=7°〜12°の所定の角度を傾けて保持されている。このため、対向電極3の基板30の製膜処理面の法線が、水平方向(X方向)に対して7°〜12°上に向く。基板30を鉛直方向Zから僅かに傾けることは、プラズマCVD装置の設置スペースの増加を抑えながら基板30の自重を利用して少ない手間で基板30を保持し、更に基板30と対向電極3の密着性を向上して基板30の温度分布と電位分布を均一化することが出来て好ましい。
本実施形態では、基板30は、面積が1mを越える大型の基板として、ガラス基板(例えば1.4m×1.1m×板厚:3.0mm〜4.5mm)が例示される。
対向電極3は、基板30を保持可能な保持手段(図示されず)を有する非磁性材料の導電性の板である。セルフクリーニングを行う場合は耐フッ素ラジカル性からニッケル合金やアルミやアルミ合金の使用が望ましい。対向電極3は、放電電極5に対向する電極(例示:接地側)となる。対向電極3は、一方の面を均熱板11の表面に密接し、製膜時に他方の面を基板30の表面と密接して基板テーブルとなる。均熱板11は、内部に温度制御された均熱板用熱媒体を循環したり、または温度制御されたヒーターを組み込むことで、自身の温度を制御して、全体が概ね均一な温度を有し、接触している対向電極3の温度を所定温度に均一化する機能を有する。
均熱板用熱媒体は、非導電性媒体であり、水素やヘリウムなどの高熱伝導性ガス、フッ素系不活性液体、不活性オイル、及び純水等が使用でき、中でも150℃〜250℃の範囲でも圧力が上がらずに制御が容易であることから、フッ素系不活性液体(例えば商品名:ガルデン、F05など)の使用が好適である。
均熱板保持機構4は、基板テーブル及び対向電極3を製膜室2の側面(図1の右側)に対して略平行となるように保持する。基板テーブル(対向電極3)及び基板30は、基板30の搬入搬出時は、基板30の移動が可能なように放電電極5との距離が広がっているのに対し、製膜時は、放電電極5へと近づける。それにより、基板30と放電電極5との距離dは、例えば、3mm〜30mmとすることができる。
放電電極5は、二本の横電極の間に設けられた各棒状の縦電極を略平行に組み合わせて構成され、更に複数の電極単位に分割構成しても良い。放電電極5を分割構成する場合は、好ましくは給電点の数に合わせて分割形成する。高周波給電伝送路22a、22bを接続する給電点25、26とから、それぞれ高周波電力を供給して、放電電極5と対向電極3との間に原料ガスのプラズマを発生させ基板30に膜を製膜する。
防着板6は、共通電位に接地された状態で保持されていて、プラズマの広がる範囲を抑えて、膜が製膜される範囲を制限する。支持部7は、放電電極5を防着板6と製膜室2の側面(図1の左側)に対して略平行となるように絶縁的に保持する。防着板6は、放電電極5における対向電極3と反対側の空間を覆うように支持部7で保持されている。支持部7は、製膜室2の側面(図1における左側の側面)内側へ延びて、防着板6を製膜室2の側面に対して略平行に保持できるようと結合されている。
整合器23a、23bは、出力側のインピーダンスを整合し、図示されない高周波電源から高周波給電伝送路24a、24bを介して高周波給電伝送路22a、22bを介して高周波電力を放電電極5へ送電する。
高周波給電伝送路24aと高周波給電伝送路24bへ出力する高周波電力うち、一方の周波数及び位相を一定とし他方の周波数を僅かにずらし位相を変調させてもよい。この電圧位相制御により、給電点25と給電点26との間に発生する定在波を、給電点25と給電点26との間で振動させて、プラズマを均一化し基板30上に製膜される膜の均一性を向上させるので好ましい。
支持部7は、製膜室2の側面(図1における左側の側面)から内側へ垂直に延びている部材である。支持部7は防着板6と結合され、放電電極5における対向電極3と反対側の空間を覆うように防着板6を保持している。それと共に、支持部7は放電電極5と絶縁的に結合され、放電電極5を製膜室2の側面(図1における左側の側面)に対して略平行に保持している。
高真空排気部8は、粗引き排気された製膜室2内の気体をさらに排気して、製膜室2内を高真空とする高真空排気用の真空ポンプである。弁12は、高真空排気部8と製膜室2との経路を開閉する弁である。
低真空排気部9は、初めに製膜室2内の気体を排気して、製膜室2内を低真空とする粗引き排気用の真空ポンプである。製膜時における製膜排出ガスも低真空排気部9から排気される。弁13は、低真空排気部9と製膜室2との経路を開閉する。
台10は、上面に配置された保持部14を介して製膜室2を保持するものである。台10の内部には低真空排気部9が配置される領域が形成されている。低真空排気部9は必ずしも台10の内部にある必要は無く、製膜室2側に設けてもよいし高真空排気部8と同様に製膜室2の上部から排気してもよい。
気体導入装置(図示せず)は、製膜室2に対する導入ガスライン(図示せず)に設けられており、製膜室2にHガスやNガスやSiHなど製膜材料ガスを導入する。気体導入装置は、製膜室制御装置(図示せず)に接続されており、製膜室制御装置からの信号によって製膜室2に導入されるHやNなどの導入量を制御する。
放電電極用熱電対(図示せず)は、放電電極5の温度を計測するものである。放電電極用熱電対は、放電電極5の中央部に設けられている。放電電極用熱電対は、製膜室制御装置に接続されており、放電電極用熱電対が計測した温度データは製膜室制御装置に送信される。
製膜室用圧力計(図示せず)は、製膜室2内の圧力を計測するものである。製膜室用圧力計は、製膜室制御装置に接続されており、製膜室用圧力計が計測した圧力データは製膜室制御装置に送信される。
製膜室制御装置は、製膜室2に設けられている高真空排気部8、低真空排気部9および気体導入装置の動作や基板テーブル(基板テーブル一方の面を均熱板11の表面に密接し、製膜時に他方の面を基板30の表面と密接して対向電極3となる)に導かれる均熱板用熱媒体の温度を制御する。製膜室制御装置は、製膜室用圧力計および放電電極用熱電対からの圧力データと温度データとに基づいて高真空排気部8、低真空排気部9および気体導入装置の動作や基板テーブルに導かれる均熱板用熱媒体の温度を制御している。
上述するように、第1セル層の非晶質シリコン薄膜からなるp層を製膜するためのプラズマCVD装置の製膜室2内にロード室(図示せず)から基板30が搬入される際に、製膜処理に待機時間が発生することがある。この場合には、待機時間の発生により、放電電極温度が約5℃/Hrから10℃/Hr低下してしまうことが分かった。
また、ロード室に設けられている基板予熱ヒーター(図示せず)による基板30の予熱不良が発生した場合には、ロード室から製膜室2内に搬入された基板30に製膜処理を行う際に放電電極温度が約3℃/Hrから5℃/Hrの割合で低下してしまうことも分かった。
このように、放電電極温度が低下したプラズマCVD装置によって製膜される第1セル層の非晶質シリコンp層の影響について、図2を用いて説明する。
図2の縦軸には、放電電極温度を130℃の平均を1.0とした場合の曲線因子(F.F)を示し、横軸には、第1セル層の非晶質シリコンp層を製膜する際の放電電極5の温度を示している。
図2に示すように、放電電極5の温度が130℃よりも低くなるにつれて曲線因子が低下していることが分かる。そのため、放電電極温度が130℃よりも低い場合には、製膜される膜質変動の要因となることが判明した。
また、第1セル層の非晶質シリコンp層は、図2に示すように、放電電極温度が135℃程度で曲線因子(F.F)が飽和する。放電電極温度が135℃以上に上昇した場合には、第1セル層の非晶質シリコンp層の製膜処理の際の基板30の表面温度が高くなる。これにより、第1セル層の非晶質シリコンp層のハンドギャップが低下して、第1セル層の非晶質シリコンp層から非晶質シリコンi層への入射光量が低減する傾向となり、発電電流が低下するという弊害を生じることが判明した。
上述した理由により、製膜膜質管理のために重要な第1セル層の非晶質シリコンp層用のプラズマCVD装置の放電電極5の好適な所定温度とし130℃を選定した場合には、放電電極温度としては、125℃(第1所定温度)以上135℃(第2所定温度)未満の温度が好ましいことが本発明者らにより判明した。
また、放電電極温度を130℃の許容範囲内である125℃以上135℃未満にする場合には、基板テーブルの所定温度が165℃から170℃までの間であることが好適であることも判明した。
そこで、本実施形態におけるプラズマCVD装置の製膜処理室1では、以下のように放電電極温度を制御することとした。
まず、製膜処理の待機時間が発生した基板30をロード室から第1セル層の非晶質シリコンp層を製膜する製膜室2内に搬入して、基板30を基板テーブルに搭載する。基板30が搭載された基板テーブルを製膜位置に移動する。
ここで、図3には、放電電極温度が第1所定温度である125℃未満の場合における放電電極温度、均熱板用熱媒体の入口および出口温度、均熱板の時間経過に伴う温度変化が示されている。
図3の縦軸は温度を示し、横軸は時間経過を示し、横軸の補助線は20分毎の時間を示している。また、図3中の四角印は均熱板用熱媒体の入口温度を示し、バツ印は均熱板用熱媒体の出口温度を示し、*印は均熱板の温度を示し、丸印は放電電極温度を示している。
製膜処理の待機時間が発生する等して温度が低下した基板30を製膜室2に搬入して製膜処理を行った際には、放電電極5の温度が低下する。この事象を模擬できるように、図3に示すように、均熱板用熱媒体の入口温度および出口温度、均熱板11の温度を一時的に低下させて、放電電極温度も図3中の(1)に示すように125℃未満に低下した状況を再現している。図3の(1)では、均熱板用熱媒体の入口温度を140℃に変更した後、基板テーブル(対向電極3)に密着する均熱板11の温度は約20分で約140℃に落ち着き、その後に放電電極5の温度が徐々に低下する。放電電極温度の温度低下の割合は、2℃/Hrであった。
そこで、本実施形態のプラズマCVD装置の製膜処理室1では、放電電極5の好適な所定温度を130℃に選定しているので、放電電極用熱電対によって測定される放電電極温度が125℃未満になった際には、製膜室制御装置が製膜室2へと3SLMのHを導入するように気体導入装置を制御することとした。これによって、気体導入装置から導入ガスラインを経て製膜室2へとHが導入される。また、製膜室2内へのHの導入と共に、均熱板11内を循環する均熱板用熱媒体の温度を175℃に温度制御することとした。なお、この際、低真空排気部9の作動により、製膜室2内の圧力を第1の圧力として250Paになるよう弁13の開度の制御を開始する。
製膜室2内にHが導入されることによって、製膜室2内の圧力が250Paに上昇する。製膜室2内の圧力が上昇するため、熱源である均熱板11に接している基板テーブルから放電電極5へと熱が伝達される。図3には、(5)の時点で均熱板用熱媒体の入口温度を175℃に変更し、製膜室2内にHが導入されて昇温が開始されて、放電電極温度が(2)に示すように0.13℃/分(約8℃/Hr)の割合で温度回復することが示されている。このとき、基板テーブルを製膜位置に移動するほうが、基板テーブルと放電電極5との距離が短縮されて、伝達が促進されるのでさらに好ましい。
この放電電極温度の回復の割合は、製膜処理の待機時間発生による放電電極温度の温度低下割合である約2℃/Hr(上述の均熱板温度低下の模擬試験時の放電電極温度の低下割合)を相殺して放電電極温度を上昇させうるが、ここで、放電電極温度の回復がオーバーシュートすることによって放電電極温度が上昇し過ぎないようにする必要がある。
図4には、Hの熱伝達率と圧力との関係を示すグラフが示されている。
図4の縦軸は、ガス熱伝導率を示し、横軸は、ガス圧力を示している。
上述したように製膜室2内の圧力を250Paに上昇させるとして説明したが、製膜室2内の圧力は、製膜室2内にHを導入することにより放電電極温度が上昇しオーバーシュートを抑制する範囲であれば良い。
そのため、図4に示すように、ガス圧力が十分高い(10000Pa)時の熱伝導率に対して50%から70%の間のガス熱伝導が可能な100Paから500Paの範囲を選定して、熱伝導率が高すぎないようにすることが好ましい。
また、製膜室2へ導入されるHの流量については、3SLMとして説明したが、製膜レシピでのHの流量、または、製膜レシピでのHの流量の50%から100%の範囲の流量とすることが好ましい。このようなHの流量にすることにより、製膜開始時の製膜室2内の温度雰囲気に近い状態を創出して、製膜条件へ影響が及ぶことを防止することができる。
次に、放電電極温度が125℃(第1所定温度)以上135℃(第2所定温度)未満になった際の放電電極温度の制御について、図5および図6を用いて説明する。図5には、間欠昇温運転の模擬図が示されており、図6には、放電電極温度が125℃以上135℃未満の場合の間欠昇温運転状況が示されている。図6において、縦軸は温度を示し、横軸は時間経過を示し、横軸の補助線は20分毎の時間を示している。
製膜処理に多少の待機時間の発生や、製膜室2へ搬入する基板温度低下などによる放電電極温度の低下に対して、前述した図3に示したように昇温が開始され放電電極温度が125℃以上135℃未満になった場合には、基板テーブルを製膜位置に移動した後、製膜室制御装置によって製膜室2内へと第1の所定流量として3SLMのHを約5分間導入して、製膜室2内の圧力を第1の圧力として250Paにするように気体導入装置を制御することとした。また、製膜室2内へのHの導入と共に、均熱板11内を循環する均熱板用熱媒体の温度が175℃になるように温度制御を行うこととした。なお、製膜室2内へHを導入する際には、低真空排気部9は作動により、製膜室2内の圧力を第1の圧力である250Paになるよう弁13の開度の制御をしている。
図5に示すように、製膜室制御装置は、気体導入装置を制御して製膜室2内へ約5分間Hの導入を行う。その後、製膜室制御装置は、約3分間Hの導入を第1の所定流量として0SLM(停止)すると共に、第2の圧力として第1の圧力より高真空であり、たとえば1Pa以下の高真空状態なるよう高真空排気部8の弁12を操作して製膜室2内を排気して製膜室2内を高真空状態にする。製膜室制御装置は、このように、所定の期間配分として製膜室2内へのHの5分間の導入と、製膜室2内の3分間の排気と、を繰り返して行う間欠昇温運転の制御(間欠制御)を行う。
図5のようなHの導入と排気との間欠昇温運転を行うことによって、放電電極温度は、図3(3)に示すように、0.045℃/分(約3℃/Hr)の割合で温度回復する。0.045℃/分(約3℃/Hr)の割合で放電電極温度を温度回復させることによって、製膜処理の待機時間発生等による放電電極温度の温度低下割合である約2℃/Hr(前述の均熱板温度低下の模擬試験時の放電電極温度の低下割合)を相殺し、かつ、放電電極温度の回復がオーバーシュートすることによって放電電極温度が上昇し過ぎないようにすることができる。
このような間欠昇温運転を行うことによって、図6に示すように、放電電極温度を所定温度である130℃に漸近させて製膜処理をすることができる。
なお、間欠昇温運転は、非晶質シリコンp層の製膜条件およびプラズマCVD装置の製膜処理室1に依存性が高い。そのため、間欠昇温運転の所定の期間配分の間隔比(Duty比)としては、ここでは、5分間のH導入と3分間の排気として説明したが、最適間隔比としては、放電電極温度の温度上昇を簡易に行うことが可能であり、かつ、オーバーシュートしない条件が望ましく、放電電極温度が昇温して静定した際に所定温度である130℃になるように事前の試験により選定されることが好ましい。
次に、放電電極温度が135℃(第2所定温度)以上140℃(第3所定温度)未満になった際の放電電極温度の制御について説明する。
放電電極5の温度が135℃以上へと上昇すると、第1セル層91の非晶質シリコン薄膜からなるp層の膜質が変化しバンドギャップが低下して、p層からi層へ入射する光量が低下するため、発電電流の低下を生じる。このため放電電極5の温度は、135℃未満とすることが好ましい。
製膜室制御装置は、放電電極用熱電対によって測定された放電電極温度が135℃以上140℃未満の場合には、高真空排気部8の弁12を操作して製膜室2内を排気して高真空状態にする。この際、気体導入装置から製膜室2内にHは導入されない。製膜室2内を高真空状態に維持したまま、放電電極温度が135℃以下になるまで待機する。このように、高真空状態のまま放電電極温度が低下するまで待機することによって、放電電極温度の過昇温を防止することができる。
次に、放電電極温度が140℃(第3所定温度)以上になった際の放電電極温度の制御について説明する。
製膜室制御装置は、放電電極用熱電対によって測定された放電電極温度が140℃以上になった場合には、均熱板11内を循環している均熱板用熱媒体の循環流量を低減するか、熱媒体設定温度を175℃にするための温度制御を変更する。これによって、熱源である均熱板11に接している基板テーブルからの熱伝達を抑制して放電電極温度の過昇温を防止することができる。
以上述べたように、本実施形態に係るプラズマCVD装置の製膜処理装置1および製膜方法によれば、以下の効果を奏する。
放電電極用熱電対(電極温度計測手段)が計測する放電電極5の温度に基づいて、製膜室2にH(気体)を導入する気体導入装置(気体導入手段)を制御する製膜室制御装置(制御手段)を備えることとした。これにより、製膜室2内の圧力を制御して、均熱板11に接している基板テーブルから放電電極5への熱伝導率を制御することが可能となる。したがって、放電電極5の温度を制御することができる。
また、製膜室制御装置(図示せず)が放電電極5の温度に基づいて製膜室2内に熱伝導率の高いHを導入して放電電極5の温度を制御するため、放電電極温度が低下した場合であっても放電電極5の温度回復までの時間を低減することができる。
さらに、製膜室制御装置によって放電電極5の温度を制御するため、放電電極5の温度回復作業の煩雑さを低減して運転員の負担を軽減することができる。
放電電極5の温度が125℃(第1所定温度)未満になった場合に、製膜室制御装置により気体導入装置(図示せず)の作動を開始することとした。そのため、製膜室2内にHを導入して、製膜室2内の圧力を上昇させることができる。したがって、均熱板11に接している基板テーブルから放電電極5への伝熱を制御して、放電電極5の温度を130℃(所定温度)まで上昇させることができる。
放電電極5の温度が125℃以上135℃(第2所定温度)未満になった場合には、製膜室制御装置により気体導入装置の作動変化(第1の所定流量と第2の所定流量)と、真空排気部(気体排気手段)8の作動変化(第1の圧力と第2の圧力)を所定の時間配分で繰り返す間欠昇温運転による制御(間欠制御)を行うこととした。そのため、所定の時間配分を適切に設定することで、製膜室2内に搬入された温度低下のある基板30による放電電極温度の低下やロット待ち時間による放電電極温度の低下に対して、オーバーシュートによる放電電極温度の急激な上昇を抑制しながら、放電電極温度を上昇することができる。したがって、均熱板11に接している基板テーブルから放電電極5への伝熱を制御して、放電電極5の温度を130℃の許容範囲である125℃以上135℃未満内に維持することができる。
放電電極5の温度が135℃以上140℃(第3所定温度)未満になった場合には、製膜室制御装置により高真空排気部8の弁12を開にすることとした。そのため、製膜室2内を高真空状態にすることができる。したがって、放電電極温度の過昇温を防止することができる。
〔第2実施形態〕
本実施形態は、第1実施形態と基本的に同様であるが、第1実施形態とは、間欠昇温運転の制御の際に製膜室内に雰囲気ガスとして水素と窒素とが交互に導入される点で異なっている。よって、本実施形態においては、この異なっている部分を説明し、その他の重複する構成要素、製膜方法については、同一の符号を付してその重複した説明を省略する。
図7には、本実施形態の間欠昇温運転の模擬図が示されている。
製膜室制御装置(制御手段)は、放電電極用熱電対(電極温度計測手段)によって測定された放電電極温度が125℃以上(第1所定温度)135℃(第2所定温度)未満の場合には、気体導入装置(気体導入手段)を制御して製膜室内へ第1の所定流量として3SLMのH(気体)を約5分間導入して製膜室内の圧力を第1の圧力である250Paにした後に、Hの導入を第2の所定流量として0SLM(停止)して、N(気体)を第1の所定流量として3SLMの約3分間導入する。このように、製膜室制御装置は、所定の製膜室へのHの導入を5分間とNの3分間の導入とを繰り返して、図7に示すように製膜室内の圧力が250Paでほほ一定(圧力変化を緩やかにした)の所定の時間配分で間欠昇温運転の制御(間欠制御)を行う。
このように、熱伝達率の高いH(0.2W/mK)と、Hに比べて熱伝達率のやや低いN(0.02W/mK)とを交互に製膜室内に導入することによって間欠の効果を図ることができる。
以上述べたように、本実施形態に係るプラズマCVD装置(製膜装置)および製膜方法によれば、以下の効果を奏する。
熱伝導率の高いH(0.2W/mK)と熱伝導率のやや低いN(0.02W/mK)とを交互に製膜室内に導入することとした。これにより、製膜室内の圧力変化をほぼ一定(緩やか)にすることができる。そのため、所定の時間配分を適切に設定することで、製膜室内に設けられている熱容量の小さな部品の急激な温度変化による破損を防止しつつ、放電電極温度の低下に対して、オーバーシュートによる放電電極温度の急激な上昇を抑制しながら、放電電極温度を上昇することができる。したがって、放電電極温度を所定温度である130℃の許容範囲内(125℃(第1所定温度)以上135℃(第2所定温度)未満)に維持するとともに、部品の損傷を抑制してプラズマCVD装置(製膜装置)の運用の信頼性を向上させることができることができる。
〔第3実施形態〕
本実施形態は、第1実施形態と基本的に同様であるが、第1実施形態とは、低真空排気部の作動を行う際には、気体導入装置の運転を継続して行う点で異なっている。よって、本実施形態においては、この異なっている部分を説明し、その他の重複する構成要素、製膜方法については、同一の符号を付してその重複した説明を省略する。
図8には、本実施形態の間欠昇温運転の模擬図が示されている。
製膜室制御装置(制御手段)は、放電電極用熱電対(電極温度計測手段)によって測定された放電電極温度が125℃(第1所定温度)以上135℃(第2所定温度)未満の場合には、図8に示すように、製膜室制御装置が製膜室へと第1の所定流量として3SLMのH(気体)を連続的に導入し続けるように気体導入装置(気体導入手段)の運転が行われる。気体導入装置の運転を開始して製膜室内へ3SLMのHを約5分間導入している間は、製膜室制御装置によって低真空排気部(気体排気手段)9の作動により、製膜室内の圧力を第1の圧力である250Paになるよう弁13(図1参照)の開度の制御を行なう。次に、Hを導入し続けながら製膜室制御装置が低真空排気部9の作動を変更して製膜室内の圧力が第1の圧力(250Pa)よりも真空度が高い第2の圧力として、たとえば10Paまで減圧するよう弁13の開度の制御を行なう。低真空排気部9は、作動開始から約3分後に製膜室制御装置によってその作動が変更され、再び第1の圧力である250Paになるよう弁13の開度の制御をする。
このように、製膜室制御装置は、図8に示すように、低真空排気部9の作動で弁13の開度の制御を第1の圧力(250Pa)と第2の圧力(10Pa)との間で、所定の時間配分で間欠昇温運転の制御(間欠制御)を繰り返し、その間、気体導入装置から製膜室内に3SLMのHを連続的に導入する。低真空排気部9を作動させて製膜室内を排気している間も気体導入装置から製膜室内にHを連続的に導入することによって、製膜室内の圧力変化を緩やかにすることができる。
以上述べたように、本実施形態に係るプラズマCVD装置(製膜装置)の製膜処理室および製膜方法によれば、以下の効果を奏する。
低真空排気部(気体排気手段)9の運転とともに気体導入装置(気体導入手段)の作動を開始して、製膜室内を排気中であっても製膜室内にH(気体)を導入することとした。そのため、製膜室内の圧力変化を緩やかにすることができる。これにより、所定の時間配分を適切に設定することで、製膜室内の熱容量の小さな部品の急激な温度変化を防止しながら、放電電極温度を上昇することができる。したがって、部品の損傷を抑制してプラズマCVD装置(製膜装置)運用の信頼性を向上させることができる。
〔第4実施形態〕
本実施形態は、第1実施形態と基本的に同様であるが、第1実施形態とは、製膜室制御装置がタイマーを備え、基板が製膜室に搬入される待ち時間に応じて高真空排気部または/および気体導入装置を制御する点で異なっている。よって、本実施形態においては、この異なっている部分を説明し、その他の重複する構成要素、製膜方法については、同一の符号を付してその重複した説明を省略する。
製膜室制御装置(制御手段)は、その内部にタイマーを備えている。製膜室制御装置内に設けられているタイマーは、製膜室に基板が搬入されるまでの待ち時間を検出する。製膜室制御装置は、タイマーが検出した待ち時間が製膜室制御装置に設定されている所定の時間よりも長い場合には、放電電極用熱電対(電極温度計測手段)によって計測された放電電極の温度に応じて前述した第1実施形態のように高真空排気部(気体排気手段)または/および気体導入装置(気体導入手段)の動作を制御する。
所定の時間は例えば3分としても良い。これにより、基板がロード室から搬出された後、製膜室に搬入されて非晶質シリコン薄膜からなるp層の製膜処理が行われるまでの時間が3分以上になった場合に、放電電極温度が低下することを抑制することができる。
なお、本発明者らによると、製膜処理の待機時間が3分以上の場合に放電電極の温度が低下する割合が3℃以内であり、予熱低下温度の割合が0.15℃/分であることが観測から分かった。そのため、製膜室制御装置に設定されている所定の時間としては、3分以上20分以内であれば良いことが判明した。
以上述べたように、本実施形態に係るプラズマCVD装置(製膜装置)の製膜処理室および製膜方法によれば、以下の効果を奏する。
製膜室に基板が搬入されるまでの待ち時間に応じて気体導入装置(気体導入手段)または/および高真空排気部(気体排気手段)を制御することとした。そのため、製膜処理までの待ち時間が3分(所定の時間)よりも長くなり基板の温度が低下して放電電極の温度が低下した場合であっても、放電電極温度が130℃(所定温度)にまで回復する時間を低減することができる。したがって、プラズマCVD装置(製膜装置)の製膜処理室の処理能力の負担を低減することができる。
〔第5実施形態〕
上述した各実施形態のプラズマCVD装置および製膜方法は、以下に説明する太陽電池の製造工程に好適に用いられる。
図9は、各実施形態のプラズマCVD装置および製膜方法によって製膜されるタンデム型シリコン系の薄膜太陽電池モジュールの構成を説明する模式図である。図10から図11は、各実施形態のプラズマCVD装置および製膜方法によって製膜されるタンデム型シリコン系の薄膜太陽電池モジュールの製造工程を説明する模式図である。
各実施形態で説明した第1セル層91(非晶質シリコン系)のp層製膜を実施したタンデム型シリコン系の薄膜太陽電池モジュールは、図9に示すように、光電変換層31を形成したタンデム型シリコン系の薄膜太陽電池モジュールとなり、図示しない接着充填シート(EVA)とバックシート(PET/AL/PET構造)で密閉処理を施し、薄膜太陽電池モジュールの周囲に図示しないガスケットを介して、アルミフレーム枠(図示せず)が取付けられる。
光電変換装置32は、基板30、透明電極層33、光電変換層31としての第1セル層91(非晶質シリコン系)及び第2セル層92(結晶シリコン系)、中間コンタクト層93、及び裏面電極層34を備えている。なお、ここで、シリコン系とは、シリコン(Si)やシリコンカーバイト(SiC)やシリコンゲルマニウム(SiGe)を含む総称である。また、結晶質シリコン系とは、非晶質シリコン系以外のシリコン系を意味するものであり、微結晶シリコンや多結晶シリコンも含まれる。
(1)図10(a):
基板30としてソーダフロートガラス基板(例えば1.4m×1.1m×板厚:3.0mm〜4.5mm)を使用する。基板30端面は、熱応力や衝撃などによる破損防止にコーナー面取りやR面取り加工されていることが望ましい。
(2)図10(b):
透明電極層33として酸化錫膜(SnO)を主成分とする透明電極膜を膜厚約500nm〜800nm、熱CVD装置(図示せず)にて約500℃で製膜処理する。この際、透明電極膜の表面は、適当な凹凸のあるテクスチャー膜(図示せず)を形成しても良い。アルカリバリア膜は、酸化シリコン膜(SiO)を約50nm〜150nm、熱CDV装置にて約500℃で製膜(図示せず)を形成しても良い。
(3)図10(c):
その後、基板30をX−Yテーブル(図示せず)に設置して、YAGレーザーの第1高調波(1064nm)を、図の矢印に示すように、透明電極膜の膜面側から照射する。加工速度に適切となるようにレーザーパワーを調整して、透明電極膜を発電セルの直列接続方向に対して垂直な方向へ、基板30とレーザー光を相対移動して、溝40を形成するように幅約6mmから15mmの所定幅の短冊状にレーザーエッチングする。
(4)図10(d):
第1セル層91として、非晶質シリコン薄膜からなるp層を図1に示したプラズマCVD装置(製膜装置)により製膜し、その後、i層及びn層をプラズマCVD装置により製膜する。SiHガス及びHガスを主原料にして、減圧雰囲気:30Pa以上1000Pa以下、基板温度:約200℃にて、透明電極層33上に太陽光の入射する側から非晶質シリコンp層、非晶質シリコンi層、非晶質シリコンn層の順で製膜する。非晶質シリコンp層は、非晶質のBドープシリコンを主とし、膜厚10nm以上30nm以下である。非晶質シリコンi層は、膜厚200nm以上350nm以下である。非晶質シリコンn層は、非晶質シリコンに微結晶シリコンを含有するPドープシリコンを主とし、膜厚30nm以上50nm以下である。非晶質シリコンp層と非晶質シリコンi層の間には、界面特性の向上のためにバッファー層を設けても良い。
次に、第1セル層91の上に、プラズマCVD装置により、減圧雰囲気:3000Pa以下、基板温度:約200℃、プラズマ発生周波数:40MHz以上100MHz以下にて、第2セル層92としての結晶質シリコンp層、結晶質シリコンi層、及び、結晶質シリコンn層を順次製膜する。結晶質シリコンp層は、Bドープした微結晶シリコンを主とし、膜厚10nm以上50nm以下である。結晶質シリコンi層は、微結晶シリコンを主とし、膜厚は1.2μm以上3.0μm以下である。結晶質シリコンn層は、Pドープした微結晶シリコンを主とし、膜厚20nm以上50nm以下である。結晶質シリコンn層は、アモルファスn層であっても良い。
微結晶シリコンを主とするi層膜をプラズマCVD法で形成するにあたり、プラズマ放電電極と基板30の表面との距離dは、3mm以上10mm以下にすることが好ましい。3mmより小さい場合、大型基板30に対応する製膜室内の各構成機器精度から距離dを一定に保つことが難しくなるとともに、近過ぎて放電が不安定になる恐れがある。10mmより大きい場合、十分な製膜速度(1nm/s以上)を得難くなるとともに、プラズマの均一性が低下しイオン衝撃により膜質が低下する。
第1セル層91と第2セル層92との間に、接触性を改善するとともに電流整合性を取るために半反射膜となる中間コンタクト層93を設ける。中間コンタクト層93として、膜厚:20nm以上100nm以下のZnO(GaまたはALドープZnO)膜を、ターゲット:GaドープZnO焼結体を用いてスパッタリング装置(図示せず)により製膜する。また、中間コンタクト層93を設けない場合もある。
(5)図10(e)
基板30をX−Yテーブルに設置して、レーザーダイオード励起YAGレーザーの第2高調波(532nm)を、図の矢印に示すように、光電変換層31の膜面側から照射する。パルス発振:10kHzから20kHzとして、加工速度に適切となるようにレーザーパワーを調整して、透明電極層33のレーザーエッチングラインの約100μmから150μmの横側を、溝41を形成するようにレーザーエッチングする。またこのレーザーは基板30側から照射しても良く、この場合は、光電変換層31の非晶質シリコン系の第1セル層91で吸収されたエネルギーにより発生する高い蒸気圧を利用して光電変換層31をエッチングできるので、更に安定したレーザーエッチング加工を行うことが可能となる。レーザーエッチングラインの位置は、前工程でのエッチングラインと交差しないように位置決め交差を考慮して選定する。
(6)図11(a)
裏面電極層34としてAg膜/Ti膜を、スパッタリング装置により、減圧雰囲気、製膜温度:150℃から200℃にて製膜する。本実施形態では、Ag膜:150nm以上500nm以下、これを保護するものとして防食効果の高いTi膜:10nm以上20nm以下を、この順に積層する。あるいは、裏面電極層34を25nmから100nmの膜厚を有するAg膜と、15nmから500nmの膜厚を有するAl膜との積層構造としても良い。また、600nm以上の長波長側反射光が必要なものにおいては、約100nm以上450nm以下の膜厚を有するCu膜と、約5nm以上150nm以下の膜厚を有するTi膜との積層構造としても良い。結晶質シリコンn層と裏面電極層34との接触抵抗低減と光反射向上を目的に、光電変換層31と裏面電極層34との間に、スパッタリング装置により、膜厚:50nm以上100nm以下のZnO(GaまたはALドープZnO)膜を製膜して設けても良い。
(7)図11(b)
基板30をX−Yテーブルに設置して、レーザーダイオード励起YAGレーザーの第2高調波(532nm)を、図の矢印に示すように、基板30側から照射する。レーザー光が光電変換層31で吸収され、このとき発生する高いガス蒸気圧を利用して裏面電極層34が爆裂して除去される。パルス発振:1kHz以上50kHz以下として加工速度に適切となるようにレーザーパワーを調整して、透明電極層33のレーザーエッチングラインの250μmから400μmの横側を、溝42を形成するようにレーザーエッチングする。
(8)図11(c)と図12(a)
発電領域を区分して、基板30端周辺の膜端部においてレーザーエッチングによる直列接続部分が短絡し易い影響を除去する。基板30をX−Yテーブルに設置して、レーザーダイオード励起YAGレーザーの第2高調波(532nm)を、基板30側から照射する。レーザー光が透明電極層33と光電変換層31で吸収され、このとき発生する高いガス蒸気圧を利用して裏面電極層34が爆裂して、裏面電極層34/光電変換層31/透明電極層33が除去される。パルス発振:1kHz以上50kHz以下として加工速度に適切となるようにレーザーパワーを調整して、基板30の端部から5nmから20mmの位置を、図11(c)に示すように、X方向絶縁溝46を形成するようにレーザーエッチングする。なお、図11(c)では、光電変換層31が直列に接続された方向に切断したX方向断面図となっているため、本来であれば絶縁溝46位置には、裏面電極層34/光電変換層31/透明電極層33の膜研磨除去をした周囲膜除去領域44相当領域がある状態(図12(a)参照)が表れるべきであるが、基板30の端部への加工の説明の便宜上、この位置にY方向断面を表して形成された絶縁溝をX方向絶縁溝46として説明する。このとき、Y方向絶縁溝は、後工程で基板30の周囲膜除去領域44の膜面研磨除去処理を行うので設ける必要がない。
絶縁溝46は、基板30の端より5nmから15mmの位置にてエッチングを終了させることにより薄膜太陽電池パネル端部からの薄膜太陽電池モジュール内部へ外部から水分浸入の抑制に、有効な効果を呈するので好ましい。
尚、以上までの工程におけるレーザー光は、YAGレーザーとしているが、YVO4レーザーやファイバーレーザーなどが同様に使用できるものがある。
(9)図12((a):太陽電池膜面側から見た図、(b):受光面の基板側から見た図)
後工程のEVA等を介したバックシート64(図13参照)との健全な接着・シール面を確保するために、基板30周辺(周囲膜除去領域44)の積層膜は、段差があるとともに剥離し易いため、この膜を除去して周囲膜除去領域44を形成する。基板30の端から5〜20mmで基板30の全周囲にわたり膜を除去するにあたり、X方向は、前述の図11(c)の工程で設けた絶縁溝46よりも基板30端側において、Y方向は、基板30端側部付近の溝40よりも基板30端側において、裏面電極層34/光電変換層31/透明電極層33を、砥石研磨やブラスト研磨などを用いて除去を行う。研磨屑や砥粒は、基板30を洗浄処理して除去する。
(10)図13(a)および図13(b)
直列に並んだ一方端の太陽電池発電セル65(図12参照)の裏面電極層34(図11参照)と、他方端部の太陽電池発電セル65に接続した集電用セルの裏面電極層34とから銅箔を用いて集電して薄膜太陽電池パネル51裏側の端子箱63(図13(a)参照)の部分から電力が取出せるように処理する。集電用銅箔は、各部との短絡を防止するために銅箔幅より広い絶縁シートを配置する。
集電用銅箔などが所定位置に配置された後に、薄膜太陽電池モジュール62(図12参照)の全体を覆い、基板30からはみ出さないようにEVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)等による接着充填材シート(図示せず)を配置する。
接着充填材シートの上に、防水効果の高いバックシート64を設置する。バックシート64は、本実施形態では防水防湿効果が高いようにPETシート/AL箔/PETシートの3層構造よりなる。
バックシート64の端子箱63の取付け部分には、開口貫通窓を設けて集電用銅箔を取出す。この開口貫通窓部分では、バックシート64と裏面電極層34との間に絶縁体を複数層設置して外部からの水分などの浸入を抑制する。
バックシート64までを所定位置に配置したものを、ラミネータ装置(図示せず)により減圧雰囲気で内部の脱気を行い約150〜160℃でプレスしながら、接着充填材シート(EVA)を架橋させて密着し、密封処理をする。
なお、接着充填材シートは、EVAに限定されるものではなく、PVB(ポリビニルブチラール)など類似の機能を保有する接着充填剤を利用することが可能である。この場合は、圧着する手順、温度や時間など条件を適正化して処理を行う。
(11)図13(a)
薄膜太陽電池モジュール62(図12参照)の裏側に端子箱63を接着剤で取付ける。
(12)図13(b)
銅箔と端子箱63の出力ケーブルとをハンダ等で接続し、端子箱63の内部を封止剤(ポッティング剤)で充填して密閉する。これで薄膜太陽電池パネル51(図13(c)参照)が完成する。
(13)図13(c)
図13(b)までの工程で形成された薄膜太陽電池パネル51について発電検査ならびに、所定の性能試験を行う。発電検査は、AM1.5、全天日射基準太陽光(1000W/m)のソーラシミュレータを用いて行う。なお、発電検査は、薄膜太陽電池モジュール62が完全に完成した後に行っても良いし、アルミフレーム枠を取り付ける前に行っても良く、特に限定するものではない。
(14)図13(d)
発電検査(図13(c))に前後して、外観検査をはじめ所定の性能検査を行う。
上記の実施形態では、太陽電池としてタンデム型シリコン系太陽電池について説明したが、本発明は、この例に限定されるものではない。例えば、アモルファスシリコン太陽電池、微結晶シリコンをはじめとする結晶質シリコン太陽電池、シリコンゲルマニウム太陽電池、また、上記の各太陽電池から適宜選択して多接合したトリプル型太陽電池などの他の種類の薄膜太陽電池にも同様に適用可能である。
また、本実施形態において、プラズマCVD装置は、一辺が1mを越える大面積な基板30に対して、アモルファス太陽電池や結晶質太陽電池や液晶ディスプレイ用TFT(Thin Film Transistor)などに用いられる非晶質シリコン、微結晶シリコンなどの結晶質シリコン、窒化シリコン等からなる膜の製膜処理を行うことが可能な大型にも同様に適用可能である。
1 プラズマCVD装置(製膜装置)の製膜処理室(製膜室)
2 製膜室
5 放電電極
8 高真空排気部(気体排気手段)
30 基板

Claims (8)

  1. 基板に製膜するためのプラズマを生成する放電電極と、
    前記放電電極の温度を計測する電極温度計測手段と、
    前記基板を表面で保持する基板テーブルと、
    前記放電電極、前記電極温度計測手段、および前記基板テーブルと、を有する製膜室と、
    該製膜室内の圧力を計測する製膜室圧力計測手段と、
    前記製膜室に気体を導入する気体導入手段と、
    前記製膜室内を所定の圧力となるように前記気体を排気する気体排気手段と、
    前記放電電極の温度に基づいて、前記気体導入手段と前記気体排気手段との少なくとも1つの作動状況の変化を繰り返す間欠動作を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする製膜装置。
  2. 前記放電電極の温度が第1所定温度未満になった場合には、
    前記制御手段が前記気体導入手段の作動状況として第1の所定流量を開始し、
    前記気体排気手段の作動状況を変化させて前記製膜室内を第1の圧力とし、
    前記放電電極の温度が前記第1所定温度以上になった後に、第2所定温度未満までは、
    前記気体導入手段の作動状況は、前記第1の所定流量と、該第1の所定流量よりも少ない第2の所定流量とを繰り返す間欠制御と、
    前記気体排気手段の作動状況は、前記製膜室内を前記第1の圧力と該第1の圧力より高真空である第2の圧力とを前記間欠制御に合わせて繰り返し、
    前記制御手段により所定の時間配分で繰り返すことを特徴とする請求項1に記載の製膜装置。
  3. 前記放電電極の温度が第1所定温度未満になった場合には、
    前記制御手段が前記気体導入手段の作動状況として第1の所定流量を開始し、
    前記気体排気手段の作動状況を変化させて前記製膜室内を第1の圧力とし、
    前記放電電極の温度が前記第1所定温度以上になった後に、第2所定温度未満までは、
    前記気体導入手段の作動状況は、前記第1の所定流量を開始し、
    前記気体排気手段の作動状況は、前記製膜室内を前記第1の圧力と該第1の圧力より高真空である第2の圧力とを繰り返す間欠制御を前記制御手段により所定の時間配分で繰り返すことを行うことを特徴とする請求項1に記載の製膜装置。
  4. 前記気体は、水素および窒素であり、
    前記放電電極の温度が第1所定温度未満になった場合には、
    前記制御手段が前記気体導入手段の作動状況として水素の第1の所定流量を開始し、
    前記気体排気手段の作動状況を変化させて、前記製膜室内を第1の圧力とし、
    前記放電電極の温度が前記第1所定温度以上になった後に、第2所定温度未満までは、
    前記気体導入手段の作動状況は、水素と窒素とを交互に導入することを繰り返し、
    前記気体排気手段の作動状況を変化させて、前記製膜室内を前記第1の圧力とし、
    前記制御手段により所定の時間配分で繰り返すことを行うことを特徴とする請求項1に記載の製膜装置。
  5. 前記間欠制御の所定の時間配分は、事前の試験により決めることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれかに記載の製膜装置。
  6. 前記放電電極の温度が前記第2所定温度以上第3所定温度未満になった場合には、
    前記気体導入手段の作動状況は、前記第2の所定流量とし、
    前記気体排気手段の作動状況を変化させて、前記製膜室内を前記第2の圧力とし、
    前記制御手段により前記気体排気手段の運転を行うことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の製膜装置。
  7. 前記制御装置は、タイマーを有し、前記製膜室に前記基板が搬入されるまでの待ち時間を検出して、検出された前記待ち時間が所定の時間よりも長い場合には、前記気体導入手段または/および前記気体排気手段を制御することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の製膜装置。
  8. 基板に製膜するためのプラズマを生成する放電電極と、 基板を表面で保持する基板テーブルと、 前記製膜室内の圧力を計測する製膜室圧力計測手段と、
    前記製膜室に気体を導入する気体導入手段と、
    前記製膜室内を所定の圧力となるように前記気体を排気する気体排気手段と、
    を有する製膜室に、
    前記放電電極の温度に基づいて、前記気体導入手段と前記気体排気手段との少なくとも1つの作動状況の変化を繰り返す間欠動作を制御することを特徴とする製膜方法。
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