JP2010109280A - 太陽電池の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】太陽電池の発電性能を安定させるとともに、太陽電池の製造時における歩留まりの向上を図ることができる太陽電池の製造方法を提供する。
【解決手段】メンテナンス等で大気開放された後に閉じられた容器の内部の気体を排気して真空度を上げる排気工程S2と、不活性ガスに酸素原子を含む混入ガスを所定濃度だけ混合させた混合ガスを排気された容器の内部に満たし、容器の内部に配置されたターゲットと基板との間に電圧を印加して、太陽電池を構成する膜を基板に製膜する本製膜工程S4と、本製膜工程S4の前に、混合ガスにおける混入ガスの濃度を、所定濃度よりも低くした混合ガスを容器の内部に供給して、基板に膜を所定期間の間だけ製膜する初期製膜工程S3と、を有することを特徴とする。
【選択図】図18

Description

本発明は、太陽電池の製造方法に関し、特に発電層を製膜で作成する薄膜系太陽電池の製造方法に関する。
一般に、薄膜太陽電池の構成膜の一部である透明導電膜となる酸化亜鉛膜(GaをドープしたZnOであるGZO膜など)をスパッタ製膜する際には、アルゴン(Ar)ガスに酸素(O)ガスを若干混合して、透過性に優れた安定した酸化膜を形成するように工夫がなされている(例えば、特許文献1および2参照。)。
例えば、特許文献1には、酸化亜鉛のスパッタ製膜中に酸素流量を変化させて導電率を連続的に変化させることが記載されている。
その一方で、特許文献2には、膜形成時に真空容器の壁面から離れた吸着分子からなる脱ガスが、製膜対象の反射用金属膜に入り、反射率が低下することを防止するため、ベース圧力が4×10−4Paの減圧雰囲気下で膜形成を行うことが記載されている。
供給される酸素ガスの流量が少ないと、製膜されたGZO膜における光の透過率は、波長が600nm以上の長波長側で低下するが、一方、供給される酸素ガスの流量が多いと、波長が400nm以下の短波長側で低下する。
そのため、GZO膜をスパッタ製膜する際には、適切な酸素ガスの流量(濃度)が必要なことが判明している。
特開2003−273134号公報 特開2003−174177号公報
その一方で、太陽電池を量産する場合には、数十時間の製膜処理を実施した後、言い換えると、数百枚から数千枚程度の太陽電池に対して製膜処理を実施した後、ターゲット交換を行うために、真空チャンバを開放したメンテナンスが行われている。
このように、スパッタリング装置を大気開放してメンテナンスを行った後は、原因が不明瞭のまま、GZO膜の特性が安定して製膜されるまで、つまり太陽電池の性能が安定するまで時間を要し、その間に生産された太陽電池モジュールの性能が低い状態にあるという問題があった。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、太陽電池の発電性能を安定させるとともに、太陽電池の製造時における歩留まりの向上を図ることができる太陽電池の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明の太陽電池の製造方法は、大気開放された後に閉じられた容器の内部の気体を排気して真空度を上げる排気工程と、基板を設置し、不活性ガスに酸素原子を含む混入ガスを所定濃度だけ混合させた混合ガスを排気された前記容器の内部に満たし、前記容器の内部に配置されたターゲットと前記基板との間に電圧を印加して、スパッタリング法により太陽電池を構成する膜を前記基板に製膜する本製膜工程と、該本製膜工程の前に、前記混合ガスにおける前記混入ガスの濃度を、前記所定濃度よりも低くした前記混合ガスを前記容器の内部に供給して、前記基板に前記膜を所定期間の間だけ製膜する初期製膜工程と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、大気開放時に容器の内面などに吸着した酸素ガスや水蒸気ガスなどが、初期製膜工程において容器の内面から脱着するため、当該工程における容器の内部に満たされた混合ガスに、脱着した酸素ガスや、水蒸気ガスの分解により生じた酸素ガスが混ざる。つまり、初期製膜工程における容器の内部は、本製膜工程における混合ガスに近い比率で混合された不活性ガスと混入ガスの雰囲気となり、これにより容器の内部が満たされる。
そのため、初期製膜工程において製膜された膜と、本製膜工程において製膜された膜との間の特性の差が小さくなる。
さらに、所定の処理基板枚数(所定期間)だけ初期製膜工程を継続した後に、言い換えると、容器の内面から脱着する酸素ガスや水蒸気ガスなどの量が減少するころに本製膜工程に切り替わるため、容器の内部に満たされる混合ガスにおける不活性ガスと混入ガスの酸素原子との混合比率は、初期製膜工程と本製膜工程との間で略一定となる。
上記発明においては、前記初期製膜工程において、前記容器に供給される前記混入ガスの流量を時間の経過とともに増やすことが望ましい。
本発明によれば、初期製膜工程において容器の内面から脱着する酸素ガスや水蒸気ガスなどの量が基板処理枚数(時間の経過)とともに徐々に減少しても、容器に供給される混入ガスの流量が基板処理枚数(時間の経過)とともに増えるため、容器の内部に満たされる混合ガスにおける不活性ガスと混入ガスの酸素原子との混合比率は略一定となる。
さらに、混入ガスの流量を段階的に増やす方法と比較して、混合ガスにおける不活性ガスと混入ガスの酸素原子との混合比率を正確に調節することができる。
上記発明においては、前記初期製膜工程において、前記容器に供給される前記混入ガスの流量を段階的に増やすことが望ましい。
本発明によれば、初期製膜工程において容器の内面から脱着する酸素ガスなどの量が時間の経過とともに徐々に減少しても、容器に供給される混入ガスの流量が基板処理枚数(時間の経過)とともに増えるため、容器の内部に満たされる混合ガスにおける不活性ガスと混入ガスの酸素原子との混合比率は、初期製膜工程と本製膜工程との間で略一定となる。
さらに、混入ガスの流量を時間の経過とともに増やす方法と比較して、混合ガスにおける不活性ガスと混入ガスとの混合比率の調節が容易となる。
上記発明においては、前記混入ガスは酸素ガスであることが望ましい。
本発明によれば、酸素ガス(O)は酸素(O)のみから構成されているため、ターゲットと基板との間の領域に酸素(O)を効率的に供給することができる。
上記発明においては、前記混入ガスは二酸化炭素ガスであることが望ましい。
本発明によれば、二酸化炭素ガス(CO)が分解されることにより、ターゲットと基板との間の領域に酸素(O)を供給することができる。
さらに、酸素(O)と同時に生成される一酸化炭素(CO)や、炭素(C)が、過剰な酸素(O)と反応して、二酸化炭素(CO)や、一酸化炭素(CO)を形成するため、膜が製膜される面における酸素(O)の濃度がより一定に保たれる。
本発明の太陽電池の製造方法によれば、混合ガスにおける酸素原子を含む混入ガスの濃度を低くした混合ガスを容器の内部に供給して、基板に膜を所定の基板処理枚数(所定期間)の間だけ製膜した後に、所定濃度の混入ガスを含む混合ガスを用いて基板に膜を製膜することにより、透明導電膜の特性を安定化させるので、太陽電池の発電性能を安定させるとともに、太陽電池の製造時における歩留まりの向上を図ることができるという効果を奏する。
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態に係る太陽電池の製造方法について図1から図19を参照して説明する。
図1には、本実施形態の太陽電池の製造方法により製造される太陽電池の構成を説明する模式図が示されている。
本実施形態で説明する太陽電池パネル1は太陽電池モジュール(太陽電池)2が設けられたシリコン系太陽電池パネルであり、太陽電池パネル1には図1に示すように、基板11と、透明電極層12と、光電変換層13と、裏面電極層14と、が設けられている。
なお、シリコン系とはシリコン(Si)やシリコンカーバイト(SiC)やシリコンゲルマニウム(SiGe)を含む総称である。
また、結晶質シリコン系とは、アモルファスシリコン系すなわち非晶質シリコン系以外のシリコン系を意味するものであり、微結晶シリコンや多結晶シリコン系も含まれる。
次に、上述の構成を有する太陽電池パネル1の製造工程について説明する。
本実施形態では、基板11であるガラス基板の上に、光電変換層13として単層アモルファスシリコン薄膜が製膜された太陽電池パネル1の例について説明する。
つまり、本実施形態では光電変換層13を、アモルファスp層22A、アモルファスi層23A、およびアモルファスn層24Aを積層させたものに適用して説明する。
さらに、裏面電極層14を、第1裏面電極層(層)14A、および第2裏面電極層14Bを積層させたものに適用して説明する。
図2には、図1の太陽電池の製造工程を説明する模式図が示されている。
まず、図2に示すように、基板11としてソーダフロートガラス基板が用意され、基板11の端面には、コーナ面取りやR面取り加工が施されていることが望ましい。
基板11としては、例えば、1辺が1mを超えるサイズ(例えば、縦横が1.4m×1.1m)であって、板厚が3.5mmから4.5mmのものを挙げることができる。なお、コーナ面取り等は行ってもよいし、行わなくてもよく、特に限定するものではない。
図3には、図1の太陽電池パネルの製造工程における透明導電層を形成する工程を説明する模式図が示されている。
そして、図3に示すように、基板11に透明電極層12が熱CVD装置を用いて約500℃の温度条件下で製膜される。
透明電極層12は、酸化錫膜(SnO)を主成分とする透明電極膜であって、約500nmから約800nmまでの膜厚を有するものである。この製膜処理の際、酸化錫膜の表面には、適当な凹凸のあるテクスチャーが形成される。
なお、基板11と透明電極層12との間にアルカリバリア膜(図示されず)を形成してもよいし、形成しなくてもよく、特に限定するものではない。
アルカリバリア膜は、例えば、熱CVD装置にて酸化シリコン膜(SiO)を約500℃の温度条件下で製膜することにより形成される。酸化シリコン膜の膜厚は、約50nmから約150nmを例示することができる。
図4には、図1の太陽電池パネルの製造工程における透明導電層溝を形成する工程を説明する模式図が示されている。
透明電極層12が製膜されると、図4に示すように、透明電極層溝15が形成される。
具体的には、基板11がX−Yテーブルに設置され、YAGレーザの第1高調波(1064nm)が、図の矢印に示すように、透明電極層12の膜面側から照射される。透明電極層12はレーザ光によりレーザエッチングされ、約6mmから15mmまでの範囲の間隔をあけて透明電極層溝15が形成される。この透明電極層溝15により、透明電極層12は短冊状に区切られる。
入射されるYAGレーザのレーザパワーは、透明電極層溝15の加工速度が適切な速度になるように調節される。透明電極層12に対して照射されるレーザ光は、基板11に対して、発電セル3(図11など参照。)の直列接続方向と略直交する方向に相対移動される。
図5には、図1の太陽電池パネルの製造工程における光電変換層を積層する工程を説明する模式図が示されている。
透明電極層溝15が形成されると、図5に示すように、光電変換層13が透明電極層12に積層される。
具体的には、光電変換層13はSiHガスとHガスとを主原料に、プラズマCVD装置を用いて、約30Paから約1000Paまでの範囲の減圧雰囲気下で、基板11の温度を約200℃に保った条件の下で製膜される。光電変換層13は、図1に示すように、光、例えば太陽光が入射する側から、アモルファスp層22A、アモルファスi層23A、アモルファスn層24Aが、この順に並ぶように積層される。
本実施形態では、アモルファスp層22Aは、BドープしたアモルファスSiCを主とした膜厚が約10nmから約30nmの層であり、アモルファスi層23Aは、アモルファスSiを主とした膜厚が約200nmから約350nmの層であり、アモルファスn層24Aは、微結晶Siを含有するアモルファスSiにpドープしたSi層を主とした膜厚が約30nmから約50nmの層である場合に適用して説明する。
またp層膜とi層膜の間には界面特性の向上のためにバッファー層を設けても良い。
図6には、図1の太陽電池パネルの製造工程における接続溝を形成する工程を説明する模式図が示されている。
光電変換層13が積層されると、図6に示すように、接続溝17が形成される。
具体的には、基板11がX−Yテーブルに設置され、レーザダイオード励起YAGレーザの第2高調波(532nm)が、図の矢印に示すように、光電変換層13の膜面側から照射される。光電変換層13は、レーザ光によりレーザエッチングされ、接続溝17が形成される。
また、レーザ光は光電変換層13の膜面側から照射してもよいし、反対側の基板11側から照射しても良く、特に限定するものではない。
基板11側から照射した場合、レーザ光のエネルギーは、光電変換層13のアモルファスシリコン層で吸収されて高い蒸気圧が発生する。この高い蒸気圧を利用して光電変換層13がエッチングされるため、更に安定したレーザエッチング加工を行うことが可能となる。
レーザ光は、約10kHzから約20kHzまでの範囲でパルス発振され、適切な加工速度になるようにレーザパワーが調節されている。
さらに、接続溝17の位置は、前工程で加工された透明電極層溝15と交差しないように位置決め公差を考慮した上で選定される。
図7および図8には、図1の太陽電池パネルの製造工程における裏面電極層を積層する工程を説明する模式図が示されている。
接続溝17が形成されると、図7に示すように、裏面電極層14が光電変換層13に積層される。具体的には、GZO膜である第1裏面電極層14A、および、Ag膜とTi膜、または、Ag膜とAl膜からなる第2裏面電極層14Bが積層される。
このとき、接続溝17の中にも裏面電極層14が積層され、透明電極層12と裏面電極層14とを接続する接続部18が形成される。
第1裏面電極層14Aは、膜厚が約50nmから約100nmまでのGaをドープしたZnO膜であり、スパッタリング装置により製膜される層である。
第1裏面電極層14Aの製膜方法は、本実施形態の特徴であるため後述する。
第2裏面電極層14Bは、スパッタリング装置を用いて、減圧雰囲気下で、約150℃から約200℃までの範囲の温度条件下で製膜される。
具体的には、約150nmから約500nmまでの範囲の膜厚を有するAg膜を積層し、その後に、約10nmから約20nmまでの範囲の膜厚を有するTi膜が積層される。あるいは、約25nmから100nmの膜厚を有するAg膜と、約15nmから500nmの膜厚を有するAl膜との積層構造としてもよい。
上述のように、光電変換層13(図1参照)と第2裏面電極層14BのAg膜との間に第1裏面電極層14Aが製膜されると、光電変換層13と第2裏面電極層14Bとの間の接触抵抗が低減されるとともに、光の反射が向上される。
図9には、図1の太陽電池パネルの製造工程における分離溝を加工する工程を説明する模式図が示されている。
裏面電極層14が積層されると、図9に示すように、分離溝16が形成される。
具体的には、基板11がX−Yテーブルに設置され、レーザダイオード励起YAGレーザの第2高調波(532nm)が、図の矢印に示すように、基板11側から照射される。入射されたレーザ光は光電変換層13で吸収され、光電変換層13内で高いガス蒸気圧が発生する。このガス蒸気圧により第1裏面電極層14Aおよび第2裏面電極層14Bは爆裂して除去される。
レーザ光は、約1kHzから約10kHzまでの範囲でパルス発振され、適切な加工速度になるようにレーザパワーが調節されている。
図10には、図1の太陽電池パネルの製造工程における絶縁溝を加工する工程を説明する模式図が示されている。図11には、図10の絶縁溝の構成を説明する太陽電池パネルを裏面電極層側から見た図が示されている。
光電変換層溝16が形成されると、図10および図11に示すように、絶縁溝19が形成される。絶縁溝19は、発電領域を区分することにより、基板11の端周辺の膜端部において直列接続部分が短絡し易い部分を切り離して、その影響を除去するものである。
なお、図10では、光電変換層13が直列に接続された方向に切断したX方向断面図となっているため、本来であれば絶縁溝19位置には裏面電極層14(第1裏面電極層Aおよび第2裏面電極層14B)/光電変換層13/透明電極層12の膜研磨除去をした周囲膜除去領域20がある状態(図11参照。)が表れるべきであるが、基板11の端部への加工の説明の便宜上、この位置にY方向断面を表して形成された絶縁溝をX方向絶縁溝19として説明する。
絶縁溝19を形成する際には、基板11がX−Yテーブルに設置され、レーザダイオード励起YAGレーザの第2高調波(532nm)が、基板11側から入射される。入射されたレーザ光は透明電極層12と光電変換層13において吸収され、高いガス蒸気圧が発生する。このガス蒸気圧により第1裏面電極層14Aおよび第2裏面電極層14Bが爆裂して、裏面電極層14(第1裏面電極層14Aおよび第2裏面電極層14B)、光電変換層13および透明電極層12が除去される。
レーザ光は、約1kHzから約10kHzまでの範囲でパルス発振され、適切な加工速度になるようにレーザパワーが調節されている。照射されるレーザ光は、基板11の端部から5mmから20mmまで範囲内の位置をX方向(図11参照。)に移動される。
このとき、Y方向絶縁溝は後工程で基板11の周囲膜除去領域20の膜面研磨除去処理を行うので設ける必要がない。
絶縁溝19は、基板11の端より5mmから15mmまでの範囲内の位置まで形成されていることが好ましい。このようにすることで、太陽電池パネル端部から太陽電池モジュール2内部への外部湿分の侵入を抑制することができる。
なお、ここまでに説明した工程においてYAGレーザをレーザ光として用いているが、YAGレーザに限られることなく、YVO4レーザや、ファイバーレーザなども同様にレーザ光として使用してもよい。
図12には、太陽電池パネルを基板側から見た図が示されている。
絶縁溝19が形成されると、基板11周辺(周囲膜除去領域20)の積層膜、つまり第1裏面電極層14Aおよび第2裏面電極層14B、光電変換層13および透明電極層12が除去されて周囲膜除去領域20が形成される。この積層膜は段差を有するとともに剥離しやすいため、当該積層膜を除去することにより、後工程において行われるEVA等を介したバックシート51の接着が健全に行われ、シール面を確保することができる。
上述の積層膜は、基板11の端から5mmから20mmまでの範囲内で、基板11の全周囲にわたり除去され周囲膜除去領域20を形成する。
X方向については、上述の絶縁溝19から基板端側の積層膜が砥石研磨やブラスト研磨などを用いて除去される。一方、Y方向については、透明電極層溝15よりも基板端側の積層膜が砥石研磨やブラスト研磨などを用いて除去される。
積層膜を除去する際に発生した研磨屑や砥粒は、基板11を洗浄処理することにより除去される。
端子箱取付け部分ではバックシート51に開口貫通窓が設けられ、集電板が取出される。この開口貫通窓部分には複数層の絶縁材が設置され、外部からの湿分などの浸入が抑制される。
直列に配列された発電セル3のうち、一方端の発電セル3と、他方端部の発電セル3とから延びる銅箔端子を用いて発電された電力が太陽電池パネル裏側の端子箱に集電されている。当該端子箱は、集電された電力が取り出されるように構成されている。
なお、上述の銅箔端子には、各部との短絡を防止する絶縁シートが配置されている。例えば、当該絶縁シートは銅箔端子より幅が広く形成されている。
集電に用いられる銅箔端子などが設けられると、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)等による接着充填材シートが配置される。接着充填材シートは、太陽電池モジュール2の全体を覆うものであって、基板11からはみ出さないように配置されている。
接着充填材シートの上には、防水効果の高いバックシート51が設置される。本実施形態では、バックシート51はPET(ポリエチレンテレフタレート)シート/アルミニウム箔/PETシートの3層構造を有するものに適用して説明する。
接着充填材シートおよびバックシート51を所定の位置に配置した後、ラミネータを用いてバックシート51内の脱気を行い、約150℃から約160℃までの範囲の温度を加えながらプレスを行う。これにより、バックシート51が太陽電池モジュール2に密着され、接着充填材シートのEVAが架橋されることにより、バックシート51が太陽電池モジュール2に接着される。
図13には、図1の太陽電池パネルの製造工程における端子箱を取り付ける工程を説明する模式図が示されている。図14には、図1の太陽電池パネルの製造工程における密封工程を説明する模式図が示されている。
バックシート51の接着が行われると、図13に示すように、太陽電池モジュール2の裏側に端子箱52が接着剤を用いて取付けられる。
その後、端子箱52の出力ケーブルに銅箔端子がハンダ等を用いて接続され、端子箱52の内部が封止剤(ポッティング剤)で充填されて密封される。これにより、太陽電池パネル1が完成する。
図15は、図1の太陽電池パネルの製造工程における性能検査工程を説明する模式図を示している。図16は、図1の太陽電池パネルの製造工程における外観検査工程を説明する模式図を示している。
上述のようにして製造された太陽電池パネル1に対しては、図15および図16に示すように、発電検査、ならびに所定の性能試験が行われる。発電検査は、AM1.5、全天日射基準太陽光(1000W/m)のソーラシミュレータを用いて行われる。
一方、上述の発電検査に前後して、太陽電池パネル1の外観検査をはじめ所定の性能検査が行われる。
次に、本実施形態の特徴である第1裏面電極層14Aの製膜について説明する。
まず、第1裏面電極層14Aを製膜するスパッタリング装置101について説明する。
図17には、図1の第1裏面電極層を製膜するスパッタリング装置の概略構成を説明する模式図が示されている。
スパッタリング装置101には、図17に示すように、真空容器(容器)102と、真空ポンプ103と、ヒータ104と、搬送部105と、ターゲット106と、電源107と、ガス供給部108と、が設けられている。
真空容器102は、内部で第1裏面電極層14AであるGZO膜を製膜するスパッタリングが行われる容器である。
真空容器102の内部には、ヒータ104や、搬送部105や、ターゲット106が配置されている。その一方で、真空容器102には、真空ポンプ103や、アルゴンガスなどを供給するガス供給部108などが接続されている。
真空ポンプ103は、真空容器102の内部の気体などを外部に排出し、真空容器102の内部を所定圧力まで減圧するポンプである。本実施形態において真空ポンプ103は、真空容器102を締め切った状態でその内部を、約10−6Paから約10−5Paの高真空雰囲気とすることができ、ガス供給部108からスパッタガスを供給した時には約0.1Paから約0.5Paの減圧雰囲気とすることができるものに適用して説明する。
なお、真空ポンプ103としては、ドライポンプ、ターボ分子ポンプ、クライオポンプなど公知のポンプを用いることができ、特に限定するものではない。
ヒータ104は、第1裏面電極層14Aが製膜される基板11などを、所定の温度に加熱するものである。本実施形態においてヒータ104は、基板11などを約150℃に加熱することができるものに適用して説明する。
なお、ヒータ104としては、公知のヒータを用いることができ、特に限定するものではない。
搬送部105は、第1裏面電極層14Aが製膜される基板11などを、真空容器102の内部で搬送するものである。
なお、搬送部105としては、公知のものを用いることができ、特に限定するものではない。
真空容器102には、さらに、図17に示すように、ゲート弁109およびゲート弁110と、が設けられている。
ゲート弁109は、真空状態の隣室(図示せず)から、搬送部105により基板11を搬入する際に開かれ、その他の間は閉じられるものである。
ゲート弁110は、基板11に対する製膜が終了して、基板11を真空状態の隣室(図示せず)に搬出する際に開かれ、その他の間は閉じられるものである。
本実施形態においては、ターゲット106は、第1裏面電極層14Aの製膜に用いられるものであり、0.5wt%のGaがドープされた酸化亜鉛(GZO)からなるものである。ここで、第1裏面電極層14Aの材質は、Gaがドープされた酸化亜鉛(GZO)の他に、Alがドープされた酸化亜鉛(AZO)や、酸化インジュウム化合物(ITO)など、スパッタリング法で製膜できる酸化物からなる透明導電性薄膜であり、光学特性と電気的特性が適切となるものを選定しても良い。
ターゲット106は、電源107から直流高電圧が印加されるように構成されている。
電源107は、ターゲット106に直流高電圧を印加するものであって、ターゲット106と基板11との間にプラズマを形成するものである。本実施形態においては電源107を25Aの電流と、250Vの電圧を印加することができる直流電源(DC電源)に適用して説明する。
なお、電源107としては、公知の電源を用いることができ、特に限定するものではない。
また、電源107はDC電源に限ることなく、高周波RF電源(例えば、周波数が13.56MHzなど)を使用することも可能である。更に、ターゲット裏面に磁石を設けることにより、製膜速度を向上させたDCマグネトロン・スパッタリングを用いても良い。
ガス供給部108は、第1裏面電極層14Aの製膜、つまりスパッタリング時に用いられるスパッタガスを真空容器102の内部に供給するものである。具体的には、不活性ガスであるアルゴンガス(Ar)や、アルゴンガスに混入される混入ガスである酸素ガス(O)などを、真空容器102の内部に供給するものである。
本実施形態においてガス供給部108は、真空容器102の内部のスパッタガス、つまり、アルゴンガス(Ar)と酸素ガス(O)との混合ガスにおける混合比率を調節できるものに適用して説明する。
次に、第1裏面電極層14Aの製膜方法について説明する。
図18には、図1の第1裏面電極層の製膜方法を説明するフローチャートが示されている。
一般に、スパッタリング装置101において、第1裏面電極層14Aの製膜処理を数十時間の実施した後、言い換えると、数百枚から数千枚程度の太陽電池に対して製膜処理を実施した後には、ターゲット106の交換などを行うメンテナンスが行われる(ステップS1)。
上述のメンテナンスを行う際には、真空容器102を大気に開放して行われる。そのため、真空容器102に内面などには、空気つまり窒素ガス(N)や酸素ガス(O)や水蒸気ガス(HO)などが吸着する。
メンテナンスが終了すると真空容器102が閉じられ、真空ポンプ103により真空容器102の内部の気体が排出され、約10−6Paから約10−5Paの高真空雰囲気まで減圧される(ステップS2(排気工程))。このとき、真空容器102に内面などに吸着した窒素ガス(N)や酸素ガス(O)や水蒸気ガス(HO)などの多くは、排出ガスとともに排気される。
その後、ゲート弁109を開にして真空状態の隣室(図示せず)より基板11を真空容器102に搬入する。基板11が真空容器102に搬入されると、ゲート弁109は閉じられる。ガス供給部108から真空容器102の内部に100vol%のアルゴンガス(Ar)が供給されるとともに、基板11などが搬送部105により搬送される。そして、電源107からターゲット106に直流高電圧が印加され、ターゲット106と基板11などとの間にプラズマが形成される。
言い換えると、第1裏面電極層14Aの製膜処理が行われる(ステップS3(初期製膜工程))。
このとき、真空容器102の内面に吸着していた酸素ガス(O)などが当該内面から脱着し、ガス供給部108から供給されたアルゴンガス(Ar)と混合する。
また、真空容器102に内面から脱着し水蒸気ガス(HO)は、アルゴンプラズマ雰囲気中で分解されて酸素原子(O)が発生し、アルゴンガス(Ar)と混合する。
真空容器102の内部におけるプラズマが形成された領域ではアルゴンガス(Ar)がイオン化し、イオン化したアルゴンがターゲット106に衝突する。すると、ターゲット106を構成する物質つまりGZOがターゲット106からはじき飛ばされ、雰囲気中の酸素原子(O)と適宜な反応を行い、基板11などの上、具体的には、光電変換層13の上に付着成長して、第1裏面電極層14AであるGZO膜が製膜される。
GZO膜の製膜が終了すると、真空容器102内の高真空排気が行われた後、ゲート弁110が開かれ、基板11は真空状態の隣室(図示せず)へ搬出される。その後、ゲート弁110は閉じられる。
図19には、第1裏面電極層の各波長に対する内部透過率を説明するグラフが示されている。
ここで、GZO膜をアルゴンガス雰囲気で減圧スパッタリング法を用いて製膜する場合、図19に示すように、GZO膜における内部透過率(%)は酸素流量つまり酸素添加量に依存している。
図19においてグラフAは酸素流量が0.0vol%の場合、グラフBは0.2vol%の場合、グラフCは0.4vol%の場合、グラフDは0.5vol%の場合、グラフEは1.0vol%の場合、グラフFは5.0vol%の場合の内部透過率(%)を示している。
図19に示すように、酸素添加量が0.5vol%から5.0vol%までの場合には、長波長領域での透過率が高くなり、波長が450nmから800nmまでの領域で、95%以上の透過率を得ることができる。
その一方で、酸素添加量が0.0vol%から0.4vol%までの場合には、波長が長くなるほど透過率が減少し、波長が600nm以上では95%以下の透過率となる。
また、波長が400nmから450nmまでの短波長側の領域では、酸素添加量が1.0vol%以下の場合に透過率を向上することが出来る。
本実施形態の太陽電池パネル1の場合、つまり、単層アモルファスシリコン薄膜を光電変換層13として用いる場合には、約400nmから約800nmの波長の光を用いて発電する。そのため、第1裏面電極層14AであるGZO膜に対して、上述の波長範囲における透過率が高いことが求められている。
すると、図に示すように、酸素添加量を約1.0vol%として製膜されたGZO膜が、本実施形態の太陽電池パネル1の第1裏面電極層14Aとして好ましいことが分かる。
上述のように、真空容器102を開放したメンテナンスの後における第1裏面電極層14Aの製膜処理の場合、ガス供給部108から100vol%のアルゴンガス(Ar)を供給しても、真空容器102の内面から脱着する酸素ガス(O)や水蒸気ガス(HO)などがあるため、真空容器102の内部では、アルゴンガス(Ar)が99vol%、酸素ガス(O)が1vol%に近いガス組成の混合ガスとなる。
なお、このときガス供給部108から供給されるガスの流量と組成は、真空容器102の容量などに応じて変化させてもよく、特に限定するものではない。つまり、真空ポンプ103からの真空排気量とのバランスで真空容器102の内部において、アルゴンガス(Ar)が99vol%、酸素ガス(O)が1vol%の比率で混合された混合ガスで、所定の雰囲気圧力(約0.1Paから約0.5Pa)になればよく、特に限定するものではない。
具体的には、真空容器102の容積が、上述の実施形態の場合よりも小さい場合には、真空容器102の内面から脱着する酸素ガス(O)や水蒸気ガス(HO)などが少ないため、ガス供給部108から、アルゴンガス(Ar)が99.5vol%、酸素ガス(O)が0.5vol%の比率で混合された混合ガスが供給されていてもよい。
さらに、真空容器102の内面から脱着する酸素ガスなどの量は、基板処理枚数(時間の経過)とともに減少するため、ガス供給部108から供給される混合ガスにおける酸素ガス(混入ガス)の比率を、基板処理枚数(時間の経過)とともに増やしてもよく、特に限定するものではない。
このようにすることで、ステップS3の製膜処理において真空容器102の内面から脱着する酸素ガス(O)や水蒸気ガス(HO)などの量が基板処理枚数(時間の経過)とともに徐々に減少しても、真空容器102に供給される酸素ガス(O)の流量が基板処理枚数(時間の経過)とともに増えるため、真空容器102の内部に満たされる混合ガスにおけるアルゴンガス(Ar)と酸素原子(O)との混合比率を略一定にすることができる。
さらに、酸素ガス(O)の流量を段階的に増やす方法と比較して、混合ガスにおけるアルゴンガス(Ar)と酸素ガス(O)との混合比率を正確に調節することができる。
あるいは、ガス供給部108から供給される混合ガスにおける酸素ガス(O)の比率を、基板処理枚数(時間の経過)とともに段階的に増やしてよく、特に限定するものではない。
このようにすることで、酸素ガス(O)の流量を基板処理枚数(時間の経過)とともに増やす方法と比較して、混合ガスにおけるアルゴンガス(Ar)と酸素ガス(O)との混合比率の調節が容易となる。
さらに別に、真空容器102の内部に満たされる混合ガスにおける酸素ガス(O)や酸素原子(O)の比率、言い換えると、酸素分圧を質量分析計などで計測しながら、ガス供給部108から供給される混合ガスにおける酸素ガス(O)の比率を調節してもよく、特に限定するものではない。
このようにすることで、混合ガスにおけるアルゴンガス(Ar)と酸素ガス(O)との混合比率を正確に調節することができる。
ガス供給部108から100vol%のアルゴンガス(Ar)を供給しつつ行う第1裏面電極層14Aの製膜処理が順次搬送される基板1に対して繰り返されて、初期製膜工程(ステップS3)が所定の製膜処理枚数(所定期間)だけ継続されると、次に、ガス供給部108から99vol%のアルゴンガス(Ar)と、1vol%の酸素ガス(O)を混合させた混合ガスを供給しつつ第1裏面電極層14Aの製膜処理が行われる(ステップS4(本製膜工程))。
上述の所定期間としては、真空容器102の内面から脱着する酸素ガス(O)や水蒸気ガス(HO)などの量が減少するころを例示することができる。つまり、真空容器102の内部の混合ガスにおける酸素ガス(O)の比率が低下するころを例示することができる。そのため、当該期間は真空容器102の容量と真空ポンプの排気能力に依存する。
上記の構成によれば、真空容器102の内面から酸素ガス(O)や水蒸気ガス(HO)などが脱着するため、ステップS3の製膜処理における真空容器102の内部には、ステップS4の製膜処理における混合ガスに近い比率で混合されたアルゴンガス(Ar)と酸素ガス(O)が満たされる。そのためステップS3の初期製膜工程の期間の製膜処理において製膜された第1裏面電極層14Aと、ステップS4の本製膜処理工程の期間の製膜処理において製膜された第1裏面電極層14Aとの間の特性の差が小さくなる。
つまり、太陽電池パネル1の発電性能を安定させるとともに、太陽電池パネル1の製造時における歩留まりの向上を図ることができる。
図21は、ターゲット106の交換を行うメンテナンスによる太陽電池パネルの最大出力の変化と短絡電流の影響を示すものであり、メンテナンスによる真空容器102の大気開放の前後における太陽電池パネルの性能変化を示すものである。
ここで、図21のグラフにおける横軸は時間経過を示し、縦軸は太陽電池パネルの各性能を示すものであり、各メンテナンス停止期間の間の製膜処理期間における太陽電池パネルの各性能の平均値を基準値(1.0)として正規化したものである。
図21に示すグラフの左側では、酸素(O)濃度が一定の混合ガス、つまり99vol%のアルゴンガス(Ar)と、1vol%の酸素ガス(O)を混合させた混合ガスを供給し続けた場合を示ししている。
この場合においては、メンテナンスを行うためのスパッタリング装置101の運転停止(以後「メンテナンス停止」と表記する。)後から製膜処理を再開して約3時間の間に製膜処理された太陽電池パネルの最大出力と短絡電流の値は、メンテナンス停止前に製膜処理された太陽電池パネルの最大出力と短絡電流の値より低い状態にある。
具体的には、製膜処理が再開された直後に製膜処理された太陽電池パネルの最大出力の値は、メンテナンス停止前に製膜処理された太陽電池パネルの最大出力の値より約3%低い状況にあり、そこから時間の経過とともに徐々に最大出力や短絡電流などの性能が回復してゆく状況が示されている。この時、太陽電池パネルの最大出力が低下しているのは短絡電流が低いことが要因となっている。
一方、図22に示すグラフの右側では、酸素(O)濃度を変化させた混合ガスを供給した場合を示している。
具体的には、初期製膜処理工程では100vol%のアルゴンガス(Ar)(つまり、酸素ガス(O)なし)を供給し、メンテナンス停止後から製膜処理を再開して約3時間経過した後から、酸素ガス(O)を追加し、99vol%のアルゴンガス(Ar)と、1vol%の酸素ガス(O)とを混合させた混合ガスを供給した場合を示している。
この場合では、メンテナンス停止後から製膜処理を再開して約3時間の間に製膜処理された太陽電池パネルを含めて、メンテナンス停止後から製膜処理された太陽電池パネルの最大出力と短絡電流の値は安定した状態にあり、製膜処理が再開された直後から歩留りよく太陽電池パネルが生産される状況が示されている。
さらに、所定期間だけステップS3の製膜処理を継続した後に、言い換えると、真空容器102の内面から脱着する酸素ガス(O)や水蒸気ガス(HO)などの量が減少し、真空容器102の内部のガスにおける酸素ガス(O)の混合比率が低下するころにステップS4の製膜処理に切り替わるため、真空容器102の内部に満たされる混合ガスにおけるアルゴンガス(Ar)と酸素ガス(O)との混合比率を略一定にすることができる。
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について図20および図22を参照して説明する。
本実施形態における太陽電池パネルの製造方法の基本は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、第1裏面電極層の製膜方法が異なっている。よって、本実施形態においては、図20および図22を用いて第1裏面電極層の製膜方法のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図20は、本実施形態の太陽電池パネルにおける第1裏面電極層の製膜方法を説明するフローチャートが示されている。
なお、第1の実施形態と同一の要素および工程については、同一の符号を付してその説明を省略する。
メンテナンスが行われた(ステップS1)後、真空容器102の内部の排気がされ、真空容器102の内部が所定の圧力まで減圧される(ステップS2)と、基板11が真空容器102の内部に搬入されて、100vol%のアルゴンガスを供給しつつ所定の減圧圧力を維持しながら第1裏面電極層14Aの製膜処理が行われる(ステップS3)。
100vol%のアルゴンガスを供給しつつ行う第1裏面電極層14Aの製膜処理が所定処理枚数(所定期間)だけ継続されると、次に、ガス供給部108から99vol%のアルゴンガスと、1vol%の二酸化炭素ガスを混合させた混合ガスを供給しつつ第1裏面電極層14Aの製膜処理が行われる(ステップS14(本製膜工程))。
二酸化炭素ガス(CO)は、ターゲット106と基板11との間のプラズマが形成された領域において分解され酸素(O)を放出する。そのため、第1の実施形態のように酸素ガス(O)が供給された場合と同様な作用が奏される。
図22には、混合ガスにおける二酸化炭素ガスの濃度を変化させた場合の、太陽電池パネルの最大出力および短絡電流の変化を説明するグラフが示されている。
なお、上述のように、ガス供給部108から供給される混合ガスに、1vol%の二酸化炭素ガス(CO)を混合させてもよいし、図22に示すように、2vol%の二酸化炭素ガス(CO)を混合させてもよく、特に限定するものではない。
具体的には、ガス供給部108から供給される混合ガスに2vol%の二酸化炭素ガス(CO)を混合させても、この方法により製造された太陽電池パネル1の最大出力(図22における白抜きの棒グラフ)および短絡電流(図22におけるハッチングが施されたグラフ)は、1vol%の酸素ガス(O)を混合させた場合と比較して変化が小さい。言い換えると、太陽電池パネル1の性能に与える影響が小さいため、混合される二酸化炭素ガス(CO)の濃度を厳密に管理する必要が無くなるという効果がある。
これは、以下の理由によると考えられる。
つまり、二酸化炭素ガス(CO)を混合する場合には、アルゴンガスのプラズマ中で、二酸化炭素ガス(CO)から酸素(O)が形成されるとともに、一酸化炭素(CO)や、炭素(C)も形成される。この一酸化炭素(CO)や、炭素(C)は、過剰に存在する酸素(O)と結合して、二酸化炭素(CO)や一酸化炭素(CO)となる。
そのため、過剰な二酸化炭素ガス(CO)が混合された混合ガスが供給されても、第1裏面電極層14AであるGZO膜における膜の成長面の近傍では、比較的一定の適切な酸素(O)濃度が保たれやすくなる。その結果、第1裏面電極層14Aにおける透過率が適切な値に保たれやすいためと考えられる。
なお、上述の実施形態のように、ステップS3に係る製膜処理を所定時間だけ継続下後に、ステップS14に係る製膜処理を行ってもよいし、ステップS3に係る製膜処理の継続時間を短縮して、ステップS14に係る製膜処理を行ってもよく、特に限定するものではない。
つまり、上述のように二酸化炭素ガス(CO)を混合する場合には、真空容器102の内部に酸素(O)が過剰に存在していても、第1裏面電極層14AであるGZO膜における膜の成長面の近傍では、適切な酸素(O)濃度が保たれやすく、第1裏面電極層14Aにおける透過率が適切な値に保たれるためである。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記の実施の形態においては、光電変換層として単層アモルファスシリコン薄膜が製膜された太陽電池パネルに適用して説明したが、光電変換層として微結晶シリコンをはじめとする結晶質シリコン太陽電池や、シリコンゲルマニウム太陽電池、また、アモルファスシリコン太陽電池と結晶質シリコン太陽電池やシリコンゲルマニウム太陽電池とを各1層から複数層に積層させた多接合型(タンデム型)太陽電池のような他の種類の薄膜太陽電池にも同様に適用可能である。
更に本発明は、金属基板などのような非透光性基板上に製造された、基板とは反対の側から光が入射するタイプの太陽電池にも同様に適用可能である。
本発明の第1の実施形態の太陽電池の製造方法により製造される太陽電池の構成を説明する模式図である。 図1の太陽電池の製造工程を説明する模式図である。 図1の太陽電池パネルの製造工程における透明導電層を形成する工程を説明する模式図である。 図1の太陽電池パネルの製造工程における透明導電層溝を形成する工程を説明する模式図である。 図1の太陽電池パネルの製造工程における光電変換層を積層する工程を説明する模式図である。 図1の太陽電池パネルの製造工程における接続溝を形成する工程を説明する模式図である。 図1の太陽電池パネルの製造工程における裏面電極層を積層する工程を説明する模式図である。 図1の太陽電池パネルの製造工程における裏面電極層を積層する工程を説明する模式図である。 図1の太陽電池パネルの製造工程における光電変換層溝を加工する工程を説明する模式図である。 図1の太陽電池パネルの製造工程における絶縁溝を加工する工程を説明する模式図である。 図10の絶縁溝の構成を説明する太陽電池パネルを裏面電極層側から見た図である。 太陽電池パネルを基板側から見た図である。 図1の太陽電池パネルの製造工程における端子箱を取り付ける工程を説明する模式図である。 図1の太陽電池パネルの製造工程における密封工程を説明する模式図である。 図1の太陽電池パネルの製造工程における性能検査工程を説明する模式図を示している。 図1の太陽電池パネルの製造工程における外観検査工程を説明する模式図である。 図1の第1裏面電極層を製膜するスパッタリング装置の概略構成を説明する模式図である。 図1の第1裏面電極層の製膜方法を説明するフローチャートである。 第1裏面電極層の各波長に対する内部透過率を説明するグラフである。 本発明の第2の実施形態に係る太陽電池パネルにおける第1裏面電極層の製膜方法を説明するフローチャートである。 本発明の第1の実施形態に係るメンテナンス後の混合ガスにおける酸素ガスの濃度を変化させた場合の、太陽電池パネルの最大出力および短絡電流の変化を説明するグラフである。 本発明の第2の実施形態に係る混合ガスにおける二酸化炭素ガスの濃度を変化させた場合の、太陽電池パネルの最大出力および短絡電流の変化を説明するグラフである。
符号の説明
2 太陽電池モジュール(太陽電池)
11 基板
14A 第1裏面電極層(層)
102 真空容器(容器)
S2 排気工程
S3 初期製膜工程
S4,S14 本製膜工程

Claims (5)

  1. 大気開放された後に閉じられた容器の内部の気体を排気して真空度を上げる排気工程と、
    基板を設置し、不活性ガスに酸素原子を含む混入ガスを所定濃度だけ混合させた混合ガスを排気された前記容器の内部に満たし、前記容器の内部に配置されたターゲットと前記基板との間に電圧を印加して、スパッタリング法により太陽電池を構成する膜を前記基板に製膜する本製膜工程と、
    該本製膜工程の前に、前記混合ガスにおける前記混入ガスの濃度を、前記所定濃度よりも低くした前記混合ガスを前記容器の内部に供給して、前記基板に前記膜を所定期間の間だけ製膜する初期製膜工程と、
    を有することを特徴とする太陽電池の製造方法。
  2. 前記初期製膜工程において、前記容器に供給される前記混入ガスの流量を時間の経過とともに増やすことを特徴とする請求項1記載の太陽電池の製造方法。
  3. 前記初期製膜工程において、前記容器に供給される前記混入ガスの流量を段階的に増やすことを特徴とする請求項1記載の太陽電池の製造方法。
  4. 前記混入ガスは酸素ガスであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の太陽電池の製造方法。
  5. 前記混入ガスは二酸化炭素ガスであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の太陽電池の製造方法。
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