JP2010109280A - 太陽電池の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】メンテナンス等で大気開放された後に閉じられた容器の内部の気体を排気して真空度を上げる排気工程S2と、不活性ガスに酸素原子を含む混入ガスを所定濃度だけ混合させた混合ガスを排気された容器の内部に満たし、容器の内部に配置されたターゲットと基板との間に電圧を印加して、太陽電池を構成する膜を基板に製膜する本製膜工程S4と、本製膜工程S4の前に、混合ガスにおける混入ガスの濃度を、所定濃度よりも低くした混合ガスを容器の内部に供給して、基板に膜を所定期間の間だけ製膜する初期製膜工程S3と、を有することを特徴とする。
【選択図】図18
Description
その一方で、特許文献2には、膜形成時に真空容器の壁面から離れた吸着分子からなる脱ガスが、製膜対象の反射用金属膜に入り、反射率が低下することを防止するため、ベース圧力が4×10−4Paの減圧雰囲気下で膜形成を行うことが記載されている。
そのため、GZO膜をスパッタ製膜する際には、適切な酸素ガスの流量(濃度)が必要なことが判明している。
本発明の太陽電池の製造方法は、大気開放された後に閉じられた容器の内部の気体を排気して真空度を上げる排気工程と、基板を設置し、不活性ガスに酸素原子を含む混入ガスを所定濃度だけ混合させた混合ガスを排気された前記容器の内部に満たし、前記容器の内部に配置されたターゲットと前記基板との間に電圧を印加して、スパッタリング法により太陽電池を構成する膜を前記基板に製膜する本製膜工程と、該本製膜工程の前に、前記混合ガスにおける前記混入ガスの濃度を、前記所定濃度よりも低くした前記混合ガスを前記容器の内部に供給して、前記基板に前記膜を所定期間の間だけ製膜する初期製膜工程と、を有することを特徴とする。
そのため、初期製膜工程において製膜された膜と、本製膜工程において製膜された膜との間の特性の差が小さくなる。
さらに、混入ガスの流量を段階的に増やす方法と比較して、混合ガスにおける不活性ガスと混入ガスの酸素原子との混合比率を正確に調節することができる。
さらに、混入ガスの流量を時間の経過とともに増やす方法と比較して、混合ガスにおける不活性ガスと混入ガスとの混合比率の調節が容易となる。
さらに、酸素(O)と同時に生成される一酸化炭素(CO)や、炭素(C)が、過剰な酸素(O)と反応して、二酸化炭素(CO2)や、一酸化炭素(CO)を形成するため、膜が製膜される面における酸素(O)の濃度がより一定に保たれる。
以下、本発明の第1の実施形態に係る太陽電池の製造方法について図1から図19を参照して説明する。
本実施形態で説明する太陽電池パネル1は太陽電池モジュール(太陽電池)2が設けられたシリコン系太陽電池パネルであり、太陽電池パネル1には図1に示すように、基板11と、透明電極層12と、光電変換層13と、裏面電極層14と、が設けられている。
また、結晶質シリコン系とは、アモルファスシリコン系すなわち非晶質シリコン系以外のシリコン系を意味するものであり、微結晶シリコンや多結晶シリコン系も含まれる。
本実施形態では、基板11であるガラス基板の上に、光電変換層13として単層アモルファスシリコン薄膜が製膜された太陽電池パネル1の例について説明する。
さらに、裏面電極層14を、第1裏面電極層(層)14A、および第2裏面電極層14Bを積層させたものに適用して説明する。
まず、図2に示すように、基板11としてソーダフロートガラス基板が用意され、基板11の端面には、コーナ面取りやR面取り加工が施されていることが望ましい。
基板11としては、例えば、1辺が1mを超えるサイズ(例えば、縦横が1.4m×1.1m)であって、板厚が3.5mmから4.5mmのものを挙げることができる。なお、コーナ面取り等は行ってもよいし、行わなくてもよく、特に限定するものではない。
そして、図3に示すように、基板11に透明電極層12が熱CVD装置を用いて約500℃の温度条件下で製膜される。
透明電極層12は、酸化錫膜(SnO2)を主成分とする透明電極膜であって、約500nmから約800nmまでの膜厚を有するものである。この製膜処理の際、酸化錫膜の表面には、適当な凹凸のあるテクスチャーが形成される。
アルカリバリア膜は、例えば、熱CVD装置にて酸化シリコン膜(SiO2)を約500℃の温度条件下で製膜することにより形成される。酸化シリコン膜の膜厚は、約50nmから約150nmを例示することができる。
透明電極層12が製膜されると、図4に示すように、透明電極層溝15が形成される。
具体的には、基板11がX−Yテーブルに設置され、YAGレーザの第1高調波(1064nm)が、図の矢印に示すように、透明電極層12の膜面側から照射される。透明電極層12はレーザ光によりレーザエッチングされ、約6mmから15mmまでの範囲の間隔をあけて透明電極層溝15が形成される。この透明電極層溝15により、透明電極層12は短冊状に区切られる。
透明電極層溝15が形成されると、図5に示すように、光電変換層13が透明電極層12に積層される。
具体的には、光電変換層13はSiH4ガスとH2ガスとを主原料に、プラズマCVD装置を用いて、約30Paから約1000Paまでの範囲の減圧雰囲気下で、基板11の温度を約200℃に保った条件の下で製膜される。光電変換層13は、図1に示すように、光、例えば太陽光が入射する側から、アモルファスp層22A、アモルファスi層23A、アモルファスn層24Aが、この順に並ぶように積層される。
またp層膜とi層膜の間には界面特性の向上のためにバッファー層を設けても良い。
光電変換層13が積層されると、図6に示すように、接続溝17が形成される。
具体的には、基板11がX−Yテーブルに設置され、レーザダイオード励起YAGレーザの第2高調波(532nm)が、図の矢印に示すように、光電変換層13の膜面側から照射される。光電変換層13は、レーザ光によりレーザエッチングされ、接続溝17が形成される。
基板11側から照射した場合、レーザ光のエネルギーは、光電変換層13のアモルファスシリコン層で吸収されて高い蒸気圧が発生する。この高い蒸気圧を利用して光電変換層13がエッチングされるため、更に安定したレーザエッチング加工を行うことが可能となる。
さらに、接続溝17の位置は、前工程で加工された透明電極層溝15と交差しないように位置決め公差を考慮した上で選定される。
接続溝17が形成されると、図7に示すように、裏面電極層14が光電変換層13に積層される。具体的には、GZO膜である第1裏面電極層14A、および、Ag膜とTi膜、または、Ag膜とAl膜からなる第2裏面電極層14Bが積層される。
このとき、接続溝17の中にも裏面電極層14が積層され、透明電極層12と裏面電極層14とを接続する接続部18が形成される。
第1裏面電極層14Aの製膜方法は、本実施形態の特徴であるため後述する。
具体的には、約150nmから約500nmまでの範囲の膜厚を有するAg膜を積層し、その後に、約10nmから約20nmまでの範囲の膜厚を有するTi膜が積層される。あるいは、約25nmから100nmの膜厚を有するAg膜と、約15nmから500nmの膜厚を有するAl膜との積層構造としてもよい。
裏面電極層14が積層されると、図9に示すように、分離溝16が形成される。
レーザ光は、約1kHzから約10kHzまでの範囲でパルス発振され、適切な加工速度になるようにレーザパワーが調節されている。
光電変換層溝16が形成されると、図10および図11に示すように、絶縁溝19が形成される。絶縁溝19は、発電領域を区分することにより、基板11の端周辺の膜端部において直列接続部分が短絡し易い部分を切り離して、その影響を除去するものである。
このとき、Y方向絶縁溝は後工程で基板11の周囲膜除去領域20の膜面研磨除去処理を行うので設ける必要がない。
なお、ここまでに説明した工程においてYAGレーザをレーザ光として用いているが、YAGレーザに限られることなく、YVO4レーザや、ファイバーレーザなども同様にレーザ光として使用してもよい。
絶縁溝19が形成されると、基板11周辺(周囲膜除去領域20)の積層膜、つまり第1裏面電極層14Aおよび第2裏面電極層14B、光電変換層13および透明電極層12が除去されて周囲膜除去領域20が形成される。この積層膜は段差を有するとともに剥離しやすいため、当該積層膜を除去することにより、後工程において行われるEVA等を介したバックシート51の接着が健全に行われ、シール面を確保することができる。
上述の積層膜は、基板11の端から5mmから20mmまでの範囲内で、基板11の全周囲にわたり除去され周囲膜除去領域20を形成する。
積層膜を除去する際に発生した研磨屑や砥粒は、基板11を洗浄処理することにより除去される。
なお、上述の銅箔端子には、各部との短絡を防止する絶縁シートが配置されている。例えば、当該絶縁シートは銅箔端子より幅が広く形成されている。
接着充填材シートの上には、防水効果の高いバックシート51が設置される。本実施形態では、バックシート51はPET(ポリエチレンテレフタレート)シート/アルミニウム箔/PETシートの3層構造を有するものに適用して説明する。
バックシート51の接着が行われると、図13に示すように、太陽電池モジュール2の裏側に端子箱52が接着剤を用いて取付けられる。
その後、端子箱52の出力ケーブルに銅箔端子がハンダ等を用いて接続され、端子箱52の内部が封止剤(ポッティング剤)で充填されて密封される。これにより、太陽電池パネル1が完成する。
上述のようにして製造された太陽電池パネル1に対しては、図15および図16に示すように、発電検査、ならびに所定の性能試験が行われる。発電検査は、AM1.5、全天日射基準太陽光(1000W/m2)のソーラシミュレータを用いて行われる。
一方、上述の発電検査に前後して、太陽電池パネル1の外観検査をはじめ所定の性能検査が行われる。
まず、第1裏面電極層14Aを製膜するスパッタリング装置101について説明する。
図17には、図1の第1裏面電極層を製膜するスパッタリング装置の概略構成を説明する模式図が示されている。
真空容器102の内部には、ヒータ104や、搬送部105や、ターゲット106が配置されている。その一方で、真空容器102には、真空ポンプ103や、アルゴンガスなどを供給するガス供給部108などが接続されている。
なお、真空ポンプ103としては、ドライポンプ、ターボ分子ポンプ、クライオポンプなど公知のポンプを用いることができ、特に限定するものではない。
なお、ヒータ104としては、公知のヒータを用いることができ、特に限定するものではない。
なお、搬送部105としては、公知のものを用いることができ、特に限定するものではない。
ゲート弁109は、真空状態の隣室(図示せず)から、搬送部105により基板11を搬入する際に開かれ、その他の間は閉じられるものである。
ゲート弁110は、基板11に対する製膜が終了して、基板11を真空状態の隣室(図示せず)に搬出する際に開かれ、その他の間は閉じられるものである。
ターゲット106は、電源107から直流高電圧が印加されるように構成されている。
なお、電源107としては、公知の電源を用いることができ、特に限定するものではない。
図18には、図1の第1裏面電極層の製膜方法を説明するフローチャートが示されている。
上述のメンテナンスを行う際には、真空容器102を大気に開放して行われる。そのため、真空容器102に内面などには、空気つまり窒素ガス(N2)や酸素ガス(O2)や水蒸気ガス(H2O)などが吸着する。
言い換えると、第1裏面電極層14Aの製膜処理が行われる(ステップS3(初期製膜工程))。
また、真空容器102に内面から脱着し水蒸気ガス(H2O)は、アルゴンプラズマ雰囲気中で分解されて酸素原子(O)が発生し、アルゴンガス(Ar)と混合する。
ここで、GZO膜をアルゴンガス雰囲気で減圧スパッタリング法を用いて製膜する場合、図19に示すように、GZO膜における内部透過率(%)は酸素流量つまり酸素添加量に依存している。
図19においてグラフAは酸素流量が0.0vol%の場合、グラフBは0.2vol%の場合、グラフCは0.4vol%の場合、グラフDは0.5vol%の場合、グラフEは1.0vol%の場合、グラフFは5.0vol%の場合の内部透過率(%)を示している。
その一方で、酸素添加量が0.0vol%から0.4vol%までの場合には、波長が長くなるほど透過率が減少し、波長が600nm以上では95%以下の透過率となる。
また、波長が400nmから450nmまでの短波長側の領域では、酸素添加量が1.0vol%以下の場合に透過率を向上することが出来る。
さらに、酸素ガス(O2)の流量を段階的に増やす方法と比較して、混合ガスにおけるアルゴンガス(Ar)と酸素ガス(O2)との混合比率を正確に調節することができる。
つまり、太陽電池パネル1の発電性能を安定させるとともに、太陽電池パネル1の製造時における歩留まりの向上を図ることができる。
ここで、図21のグラフにおける横軸は時間経過を示し、縦軸は太陽電池パネルの各性能を示すものであり、各メンテナンス停止期間の間の製膜処理期間における太陽電池パネルの各性能の平均値を基準値(1.0)として正規化したものである。
具体的には、製膜処理が再開された直後に製膜処理された太陽電池パネルの最大出力の値は、メンテナンス停止前に製膜処理された太陽電池パネルの最大出力の値より約3%低い状況にあり、そこから時間の経過とともに徐々に最大出力や短絡電流などの性能が回復してゆく状況が示されている。この時、太陽電池パネルの最大出力が低下しているのは短絡電流が低いことが要因となっている。
具体的には、初期製膜処理工程では100vol%のアルゴンガス(Ar)(つまり、酸素ガス(O2)なし)を供給し、メンテナンス停止後から製膜処理を再開して約3時間経過した後から、酸素ガス(O2)を追加し、99vol%のアルゴンガス(Ar)と、1vol%の酸素ガス(O2)とを混合させた混合ガスを供給した場合を示している。
次に、本発明の第2の実施形態について図20および図22を参照して説明する。
本実施形態における太陽電池パネルの製造方法の基本は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、第1裏面電極層の製膜方法が異なっている。よって、本実施形態においては、図20および図22を用いて第1裏面電極層の製膜方法のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図20は、本実施形態の太陽電池パネルにおける第1裏面電極層の製膜方法を説明するフローチャートが示されている。
なお、第1の実施形態と同一の要素および工程については、同一の符号を付してその説明を省略する。
なお、上述のように、ガス供給部108から供給される混合ガスに、1vol%の二酸化炭素ガス(CO2)を混合させてもよいし、図22に示すように、2vol%の二酸化炭素ガス(CO2)を混合させてもよく、特に限定するものではない。
つまり、二酸化炭素ガス(CO2)を混合する場合には、アルゴンガスのプラズマ中で、二酸化炭素ガス(CO2)から酸素(O)が形成されるとともに、一酸化炭素(CO)や、炭素(C)も形成される。この一酸化炭素(CO)や、炭素(C)は、過剰に存在する酸素(O)と結合して、二酸化炭素(CO2)や一酸化炭素(CO)となる。
例えば、上記の実施の形態においては、光電変換層として単層アモルファスシリコン薄膜が製膜された太陽電池パネルに適用して説明したが、光電変換層として微結晶シリコンをはじめとする結晶質シリコン太陽電池や、シリコンゲルマニウム太陽電池、また、アモルファスシリコン太陽電池と結晶質シリコン太陽電池やシリコンゲルマニウム太陽電池とを各1層から複数層に積層させた多接合型(タンデム型)太陽電池のような他の種類の薄膜太陽電池にも同様に適用可能である。
11 基板
14A 第1裏面電極層(層)
102 真空容器(容器)
S2 排気工程
S3 初期製膜工程
S4,S14 本製膜工程
Claims (5)
- 大気開放された後に閉じられた容器の内部の気体を排気して真空度を上げる排気工程と、
基板を設置し、不活性ガスに酸素原子を含む混入ガスを所定濃度だけ混合させた混合ガスを排気された前記容器の内部に満たし、前記容器の内部に配置されたターゲットと前記基板との間に電圧を印加して、スパッタリング法により太陽電池を構成する膜を前記基板に製膜する本製膜工程と、
該本製膜工程の前に、前記混合ガスにおける前記混入ガスの濃度を、前記所定濃度よりも低くした前記混合ガスを前記容器の内部に供給して、前記基板に前記膜を所定期間の間だけ製膜する初期製膜工程と、
を有することを特徴とする太陽電池の製造方法。 - 前記初期製膜工程において、前記容器に供給される前記混入ガスの流量を時間の経過とともに増やすことを特徴とする請求項1記載の太陽電池の製造方法。
- 前記初期製膜工程において、前記容器に供給される前記混入ガスの流量を段階的に増やすことを特徴とする請求項1記載の太陽電池の製造方法。
- 前記混入ガスは酸素ガスであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の太陽電池の製造方法。
- 前記混入ガスは二酸化炭素ガスであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の太陽電池の製造方法。
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