JP2012031492A - Cvd製膜装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】基板に製膜処理を継続するときの膜のヘイズ率分布の悪化を抑制することが可能なCVD製膜装置を提供することを目的とする。
【解決手段】基板に製膜される膜の原料ガスを含む供給ガスを供給するノズル39を有するインジェクタ35と、インジェクタを35挟んで対向する一対の面34の間に形成され、供給された供給ガスが基板とインジェクタ35との間から排気される排気流路37と、一対の面の各面34の基板近傍に形成される排気入口部34aと、を有し、排気流路37の幅方向の中央部における排気入口部34aとインジェクタ35との間の距離は、幅方向の両端部における排気入口部34aとインジェクタ35との間の距離よりも大きいことを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、製膜装置、特にCVD法(化学気相成長法)を用いた基板上への製膜に関する。
従来、SnO(酸化スズ)を主成分とする透明導電膜をコンベアで搬送される基板の上に製膜する方法として、主原料のSnCl(四塩化スズ)とHO(水)とを高温基板(500℃程度)に吹き付ける製膜方法が知られている。また、製膜する際に、透明導電膜の導電性を高めるために主原料の中にHFガス(フッ化水素ガス)を添加する製膜方法も知られている。
近年では、太陽電池に用いられる均一な膜特性を有する透明導電膜等が形成された大面積なガラス基板や、均一な膜特性を有する熱線反射膜や反射防止膜等などの光学膜が形成された大面積なガラス板などの需要が高まっている。このような大面積基板の上に均一な膜を形成するためには、膜の主原料であるSnClなどのガスを均一に基板に吹き付け、基板上で主原料ガスの濃度分布の偏りが生じないようにする必要があった。
この濃度分布の偏りを発生させないために、基板上に吹き付けられた主原料ガスなどを外部へ排気する排気流路の外側には、窒素ガスの気流によって構成される窒素ガスカーテンを形成して、主原料ガスなどを排気流路に案内する方法が知られている。このようにすることによって、主原料ガスなどが滑らかに排気流路に流されるので、排気されるガス流量分布の均一化が図られ、基板上における主原料ガスの濃度分布の偏りの発生が防止される。
しかしながら、この方法では全て気流のバランスが重要な要素となるので、たとえば、周辺の圧力状況、運転状況等の変動によって、あるいは、メンテナスのために分解し再組立した後は、炉内の圧力状況が変動し、基板上における主原料ガスの濃度分布の偏りが発生することがあった。
さらには、製膜処理を続けることで、インジェクタ付近や排気流路にも製膜物質が付着することで、主原料ガスの気流の乱れが生じ、基板上における主原料ガスの濃度分布の偏りが発生する場合があった。
基板上における主原料ガスの濃度分布の偏りが発生すると、基板全体に膜厚分布や膜質分布が生じて製膜されるので、膜特性が変化してしまい、太陽電池発電性能に分布を生じ、基板全体での太陽電池発電性能が低下するために、製品歩留まりが低下することが問題となる。
また、気流のバランスの変化で主原料ガスの気流の乱れが発生し、気相中で主原料ガスが反応して成長する小さな粒子が増加すると、透明導電膜のヘイズ分布が悪化する場合があり、太陽電池発電性能に分布を生じ、基板全体での太陽電池発電性能が低下するために、製品歩留まりが低下することが問題となる。
このため、特許文献1には、主原料ガスを吹き付けるインジェクタの内部に計量チュ―ブを配置して、その計量チューブの噴出し開口の寸法や間隔を変化させることによって主原料ガスの吹き出しを均一化することが開示されている。
特許文献2には、排気流路に設けられている圧力差発生部によって生じる排気流れのアンバランスを排気流路の間隔を調整することが可能な機構を設けることによって、圧力損失を所定値以上に制御して主原料ガスの流量分布を均一化することが開示されている。
特許文献3には、主原料ガスが吹き付けられた基板上の総粒子数を計測することによりヘイズ率の標準偏差を所定値以下になるように調整して、太陽電池の安定生産を図ることが開示されている。
特許第2790437号公報 特開2008−169437号公報 特開2010−56238号公報
従来は、特許文献1および特許文献2に記載の発明のように、排気流路における排気流量のバランスを調整して膜厚分布の改善も検討されたが、透明導電膜の製膜においては、膜厚分布が改善してもインジェクタ付近の主原料ガスの気流の乱れを調整できずに、小さな粒子が増加して最終的には透明導電膜のヘイズ分布が悪化する課題がある。
このヘイズ分布の悪化を抑制するためには、定期的にインジェクタ付近と排気流路付近に付着した物質の除去清掃のためにメンテナンスをする手法があるが、メンテナンスの間隔が短くメンテナンス頻度が多い場合には、製膜の生産性に影響を及ぼすという問題があった。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、基板に製膜される膜のヘイズ分布の悪化を抑制することが可能なCVD製膜装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明に係るCVD製膜装置は、基板に製膜される膜の原料ガスを含む供給ガスを供給するノズルを有するインジェクタと、該インジェクタを挟んで対向する一対の面の間に形成され、供給された前記供給ガスが前記基板と前記インジェクタとの間から排気される排気流路と、前記一対の面の各面の前記基板近傍に形成される前記排気入口部と、を有し、前記排気流路の幅方向の中央部における各前記排気入口部と前記インジェクタとの間の距離は、前記排気流路の前記幅方向の両端部における各前記排気入口部と前記インジェクタとの間の距離よりも大きいことを特徴とする。
本発明者らは、排気流路の入口部の幅方向における一対の面の間の間隔方向の距離を変化させることによって、膜上に付着して搬出される小さな粒子(約0.5μm以上)の発生量が変化することを見出した。これにより、排気流路の入口部の幅方向の中央部における間隔方向の距離を幅方向の端部における間隔方向の距離よりも大きくすることによって、付着する粒子数を抑制することができる。また、付着する粒子数が一定値より増加すると膜厚分布やヘイズ率の分布が悪化する相関的な現象があることから、付着する粒子数を抑制することで、膜のヘイズ率の分布の悪化を抑制することが可能となり、製膜物質の排気流路などへ付着による膜厚分布の悪化を抑制するためのCVD製膜装置の洗浄処理(インジェクタと排気流路部分の定期メンテナンス)の間隔を長くすることができる。したがって、製膜装置の稼働率を向上し、製膜の生産性を向上させることができる。
本発明のCVD製膜装置に係る前記一対の面の各前記排気入口部と前記インジェクタとの間の距離は、前記一対の面の各面を貫通する複数の棒状部材およびそれぞれの該棒状部材の軸方向に挿通するとともに前記一対の面の間に挟持される複数の距離調整手段によって調整され、前記排気流路の前記幅方向の中央部に設けられる前記距離調整手段は、前記排気流路の前記幅方向の両端部に設けられる前記距離調整手段よりもその軸方向の長さが長いことを特徴とする。
一対の面の各面を貫通する複数の棒状部材と、それぞれの棒状部材がその軸方向に挿通するとともに一対の面の各面とインジェクタとの間に挟持される複数の距離調整手段を用いて、排気流路の入口の幅方向の両端部に設けられる距離調整手段の軸方向の長さよりも排気流路の幅方向の中央部に設けられる距離調整手段の軸方向の長さを長くすることにした。そのため、複数の距離調整手段を用いて、排気流路の入口の幅方向の中央部における間隔方向の距離を排気流路の幅方向の両端部における間隔方向の距離よりも大きくすることができる。したがって、棒状部材と距離調整手段といった簡易な部材を用いて間隔方向の距離を設定、管理することできるようになり、CVD製膜装置のメンテナンスが容易になる。
本発明のCVD製膜装置に係る各前記距離調整手段は、その軸方向に直交する断面形状が前記排気流路の前記幅方向の設置位置に応じて異なることを特徴とする。
距離調整手段の軸方向に直交する断面形状を排気流路の入口の幅方向に設置する位置に応じて変えることとした。そのため、メンテナンス作業時において、排気流路の幅方向の中央部に設置する距離調整手段と、排気流路の幅方向の両端部に設置する距離調整手段とを容易に区別して排気流路部分を組立てることができる。したがって、距離調整手段の設置の間違いによる、排気流路の入口の幅方向の間隔方向の距離の誤設定を防止することができる。
本発明のCVD製膜装置に係る各前記棒状部材が貫通する前記一対の面に設けられる複数の貫通孔は、前記排気流路の前記幅方向の少なくとも両端部の孔径が前記幅方向に長くなることを特徴とする。
一対の面の各面に設けられて各棒状部材が貫通する貫通孔の孔径を、排気流路の幅方向の中央部に対して、少なくとも両端部は排気流路の幅方向に長くすることとした。また、中央部から両端部に向かうにしたがって排気流路の幅方向に長くすることが更に好ましい。そのため、室温でメンテナンス後に、製膜処理温度まで昇温させた際に、排気流路を形成する一対の面が熱膨張した場合であっても、貫通孔の孔径によって熱膨張差を吸収して排気流路を形成する壁面の平面度が変形することを抑制することができる。したがって、間隔方向の距離を維持することができる。
本発明のCVD製膜装置に係る前記原料ガスは、SnClおよびHOを主成分とすることを特徴とする。
SnClおよびHOによって製膜される透明導電膜の分布が悪化した場合や、主原料ガスの気流の乱れにより透明導電膜のヘイズ率が高く膜の表面に高低差が大きく生じる部分が発生することにより、この透明導電膜の上に形成する積層膜(たとえば光電変換層)において、周囲の積層膜との間に膜応力の差が生じて、局所的に積層膜の膜剥離が生じる恐れがある。
そこで、本発明では、ヘイズ率の分布の悪化を抑制することが可能なCVD製膜装置を用いて、SnClおよびHOを主成分とする原料ガスによって製膜することとした。そのため、局所的な積層膜の剥離を従来よりも低減することができる。したがって、製膜の品質を安定させて、製品の歩留まりを向上させることができる。
本発明に係る基板の製膜方法は、基板に製膜される膜の原料ガスを含む供給ガスを供給するノズルを有するインジェクタと、該インジェクタを挟んで対向する一対の面の間に形成され、供給された前記供給ガスが前記基板と前記インジェクタとの間から排気される排気流路と、前記一対の面の各面の前記基板近傍に形成される前記排気入口部と、を有し、前記排気流路の幅方向の中央部における各前記排気入口部と前記インジェクタとの間の距離が前記排気流路の前記幅方向の両端部における各前記排気入口部と前記インジェクタとの間の距離よりも大きいCVD製膜装置を用いて前記基板を製膜することを特徴とする。
排気流路の入口部の幅方向の中央部における間隔方向の距離を幅方向の端部における間隔方向の距離よりも大きくしたCVD製膜装置を用いて基板を製膜することとした。これにより、基板に付着する粒子数を抑制することができる。したがって、膜厚分布やヘイズ率の分布の悪化を抑制した製膜をおこなうことができる。
本発明によれば、排気流路の入口部の幅方向の中央部における間隔方向の距離を幅方向の端部における間隔方向の距離よりも大きくすることによって、付着する粒子数を抑制することができる。また、付着する粒子数が一定値より増加すると膜厚分布やヘイズ率の分布が悪化する相関的な現象があることから、付着する粒子数を抑制することで、膜のヘイズ率の分布の悪化を抑制することが可能となり、製膜物質の排気流路などへ付着による膜厚分布の悪化を抑制するためのCVD製膜装置の洗浄処理(インジェクタと排気流路部分の定期メンテナンス)の間隔を長くすることができる。したがって、製膜装置の稼働率を向上し、製膜の生産性を向上させることができる。
本発明の第1実施形態にかかる大気圧熱CVD装置の全体概略構成を示す縦断面図である。 図1の第4チャンバの下部構造を示す断面図である。 膜に付着して搬出された粒子数の時間的な推移の比較について示したグラフである。 太陽電池モジュールの特性を比較した図表である。 図1に示す排気流路の幅方向の中央部における排気入口部の排気スリット幅を変化させた場合のヘイズ率の比較を示したグラフである。 本発明の第2実施形態について第4チャンバを側面視した立体構成図である。 各実施形態の大気圧熱CVD装置により製造される光電変換装置の構成の概略図である。 各実施形態の各実施形態の大気圧熱CVD装置により製造される太陽電池パネルの製造工程を示す概略図である。 各実施形態の各実施形態の大気圧熱CVD装置により製造される太陽電池パネルの製造工程を示す概略図である。 各実施形態の各実施形態の大気圧熱CVD装置により製造される太陽電池パネルの製造工程を示す概略図である。 各実施形態の各実施形態の大気圧熱CVD装置により製造される太陽電池パネルの製造工程を示す概略図である。 各実施形態の各実施形態の大気圧熱CVD装置により製造される太陽電池パネルの製造工程を示す概略図である。
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態にかかるCVD装置について図1から図5を参照して説明する。
図1は、本実施形態にかかる大気圧熱CVD装置(CVD製膜装置)1の全体概略構成を示す縦断面図である。図2は、図1の第4チャンバ21の下部構造を示す断面図である。
この大気圧熱CVD装置1は、透光性の基板3(面積が1m以上の大面積基板、例えば1.4m×1.1m×3.0mm〜4.5mmのソーダガラス基板)上に熱CVD法により透明電極膜を製膜する。本実施形態の説明では、透明電極膜は、アルカリバリア膜および透明導電膜を含む。
大気圧熱CVD装置1には、直方体形状の室である製膜室5と、基板3が製膜室5内を通過するように基板3を搬送方向Lに搬送するコンベア7とが備えられている。
製膜室5は、長手方向の一方の端部に入口部9が、他方の端部に出口部11が備えられている。製膜室5には、入口部9から出口部11に向けて、加熱部13と、第1チャンバ15と、第2チャンバ17と、第3チャンバ19と、第4チャンバ21と、第5チャンバ23と、第6チャンバ25と、第7チャンバ27と、水冷部29と、が順に備えられている。
入口部9には、たとえば、窒素ガスを噴出することで、製膜室5内の雰囲気ガスが入口部9から流出することを防止する入口シール部31が備えられている。
出口部11には、たとえば、窒素ガスを噴出することで、製膜室5内の雰囲気ガスが出口部11から流出することを防止する出口シール部33が備えられている。
コンベア7の上面は、入口部9から出口部11へ向かって製膜室5を貫くように設けられている。コンベア7の上面は、出口部11から出た後、製膜室5の下側を通り、入口部9へ戻る。基板3は、コンベア7に載せられ、入口部9から製膜室5へ進入し、所定の処理をされ、出口部11から送出される。
加熱部13は、電気炉であり、製膜室5内部の水冷部29手前までの雰囲気を所定の温度、たとえば、500℃に維持する。この高温雰囲気中を通過する基板3は、コンベア7に載せられた状態で進行に伴いこの所定の温度付近まで昇温される。
水冷部29は、第7チャンバ27の搬送方向L下流側に設けられ、通過する基板3を所定の温度以下に降温する。
透明電極膜は、反射防止膜やアルカリバリア膜を含んで形成しても良い。第1チャンバ15は、その下を通過する基板3上に反射防止膜を形成する。第1チャンバ15は、たとえば、原料ガスとしてTTIP(テトライソプロポキシチタニウム)ガスを通過する基板3上に送出することにより、熱CVD法によって基板3上にTiO膜を形成する。反射防止膜は、省略しても良い。
第2チャンバ17および第3チャンバ19は、それぞれ下を通過する基板3上にアルカリバリア膜を形成する。第2チャンバ17および第3チャンバ19は、原料ガスとしてSiHガスおよびOガスを通過する基板3上に送出することで、熱CVD法により基板3上にSiO膜を形成する。
第4チャンバ21から第7チャンバ27までは、それぞれ下を通過する基板3上に透明導電膜を形成する。すなわち、第4チャンバ21から第7チャンバ27までは、原料ガスとしてSnClガス、HOガスおよびHFガスをNガスで希釈して送出することで、熱CVD法により基板3上にFがドープされたSnO膜を形成する。
第1チャンバ15から第7チャンバ27までは、製膜内容に応じて適宜選択して用いられる。
第1チャンバ15から第7チャンバ27までの構造について、基本的には略同等であるので、以下、たとえば、第4チャンバ21を例として図2を用いて説明する。
第4チャンバ21には、図示しない供給源から供給された原料ガスを下方に向けて噴射するインジェクタ35と、インジェクタ35の搬送方向L(図1参照)における前方(搬送方向Lの下流側、+X方向)および後方(搬送方向Lの上流側、−X方向)にそれぞれ設けられた排気流路37と、が備えられている。
インジェクタ35は、横断面が略矩形状をし、幅方向(搬送方向Lに直交する方向;図2の紙面に直交する方向、±Y方向)に延在するように配置されている。インジェクタ35のY方向(幅方向)の長さは、後述する排気流路37のY方向(幅方向)の長さと略同等とされている。インジェクタ35は、耐薬品性を有する金属(例えば、SUS304など)から形成され、基板3と対向するとともにY方向に伸びるように配置されている。
コンベア7(図1参照)、言い換えると基板3に対向するインジェクタ35の下面には、搬送方向Lにおける略中央位置に、幅方向略全幅にわたりノズル部(ノズル)39が取り付けられている。ノズル部39は、基板3に製膜されるSnO膜(膜)の原料ガスであるSnClガス、HOガスおよびHFガスを吹き付ける(供給する)ものである。
インジェクタ35の下部にあるノズル部39には、原料ガスであるSnClガスを供給するスリット状の第1吹出口43Aと、NガスおよびHFガス、または、Nガスのみを供給する一対のスリット状の第2吹出口43Bと、水蒸気(HO)およびNガスを供給する一対のスリット状の第3吹出口43Cが形成されている。第2吹出口43Bと第3吹出口43Cから供給される原料ガスを含む供給ガス類は上記に限定されず、たとえば、HFガスと水蒸気(HO)を上記とは逆の第3吹出口43Cと第2吹出口43Bから供給しても良い。
これらの第1吹出口43A、第2吹出口43Bおよび第3吹出口43Cは、Y方向(幅方向)に延びるように形成され、第1吹出口43Aから+X方向および−X方向(前後方行)に向かって第2吹出口43B、第3吹出口43Cの順に並んで配置されている。
コンベア7は、基板3をインジェクタ35および排気流路37に対向するように支持し、基板3を、たとえば、+X方向に搬送するものである。
基板3に吹き付けられた原料ガスを含む供給ガスは、製膜に用いられた後、基板3とインジェクタ35との間から前後(±X方向)の排気流路37を通って排出される。排気流路37は、対向している一対の壁面(面)34とインジェクタ35の壁面36との間に形成されている。排気流路37は、耐薬品性を有する金属(例えば、SUS304など)等から形成され、排気流路37の排気入口部34aが基板3に対向するとともにインジェクタ35を挟むように配置されている。
排気流路37を形成している一対の壁面34の基板3近傍の排気入口部34aは、Y方向に直交する断面形状が略台形形状になっている。排気入口部34aは、一対の壁面34に対向しているインジェクタ35の壁面36との間に排気隙間を形成するように設けられている。壁面34、36の間に形成されている排気流路37は、その上流となる排気入口部34aと壁面36との間を経由して、下流(+Z方向)では間隔が広くなっていて、流速を低下させ圧力損出を少なく排気することが可能となっている。
なお、排気入口部34aのY方向に直交する断面形状は、台形形状に拘るものではなく、排気流路37の入口部分において、排気入口部34aと壁面36との間に形成された排気隙間(排気スリット幅)により、排気ガス流量に対して適度な圧力損出を発生し、Y方向へ均一な排気を行なえるものであればよい。
壁面34の排気入口34a付近と壁面36との間には、複数のボルト38により、壁面34をスペーサー(距離調整手段)39とカラー(距離調整手段)40とを挟んで、壁面36に固定されている。
このスペーサー39とカラー40とによって、壁面34に取り付けられている排気入口部34aと壁面36との間隔が調整されている。壁面34、36は、Y−Z平面に沿うように配置され、スペーサー39とカラー40とは、Z−X平面に平行になるように配置されている。
排気流路37における透明導電膜など製膜物質が付着する面(たとえば、壁面34、36)は、付着した透明導電膜の剥落を防止するため粗面処理が施されている。粗面処理としては、例えば、粒子粗さが#60番から#300番のアルミナ粒子を用いたサンドブラストなどが挙げられる。あるいは、400℃の熱に耐えられる耐熱布や、ガラス繊維や、開口率が1%以下の金網や、無機材が塗布された金網などを壁面34、36に配置してもよい。
第4チャンバ21の前方には、供給ガス流41の搬送方向L下流側への拡散を抑制するとともに前方の排気流路37へ案内する前窒素ガスカーテン(図示せず)が、後方には、供給ガス流41の搬送方向L上流側への拡散を抑制するとともに後方の排気流路37へ案内する後窒素ガスカーテン(図示せず)が備えられている。供給ガス流41、前窒素ガスカーテンあるいは後窒素ガスカーテンが混合し、排気ガス(流体)として排気流路37を流れることになる。
前窒素ガスカーテンおよび後窒素ガスカーテンは、不活性ガスを用いることが好ましく、コストの点で窒素ガスが好適である。また、前窒素ガスカーテンおよび後窒素ガスカーテンは、不活性ガスに限るものではなく、供給ガスと反応しなければ、その他のガスであってもよい。
なお、基板3の搬送方向Lにおいて下流側(+X方向)に位置するものを「後」、上流側(−X方向)に位置するものを「前」として各名称を示す。
ここで、排気流路37の入口付近に設けられ、排気入口部34aと壁面36とのX方向の隙間の距離(以降、排気スリット幅と称する。)を調整するスペーサー39とカラー40とは、壁面34を貫通している複数(例えば、3本)のボルト(棒状部材)38により、壁面34、36の間に挟持されている。カラー40は筒状部材であり、各々のX方向の長さが異なるものである。
ボルト38は、その軸方向(X方向)に直交する断面形状が略円状の棒状部材である。ボルト38は、排気流路37のY方向に等間隔に設けられている。各ボルト38は、壁面34に設けられている各貫通孔(図示せず)と各スペーサー39とを貫通してナット(図示せず)によって壁面34に固定されている。各貫通孔は、その形状が円状とされており、その孔径は、ボルト38の外径よりも若干大きいものとされている。
スペーサー39は、筒状部材であるが、ボルト38とカラー40との軸方向(X方向)の位置関係を決定するものであり、その形状は筒状に限定されない。例えば、ボルト38の断面サイズを変えておくことでボルト38にスペーサー39の機能を持たせ、スペーサー39を省略することができる。
カラー40は、筒形状を成しており、その軸方向(X方向)の断面形状が円形状となっている。カラー40は、その軸中心部をボルト38が貫通している。カラー40は、ボルト38と同数(たとえば、3本)設けられている。
各カラー40のX方向の長さと各スペーサー39のX方向の長さを合わせたものが、壁面34と壁面36との間のX方向の隙間の距離となる。このため、各スペーサー39のX方向の長さを所定の同じ長さとして、各カラー40のX方向の長さを変えることによって、壁面34と壁面36との間のX方向の隙間の距離を調整することが好ましい。
さらに、各カラー40のX方向の長さは、壁面34に取り付けられている排気入口部34aと壁面36との間のX方向の隙間の距離である排気スリット幅と同じになるように、各スペーサー39のX方向の長さを設定しておくと、排気スリット幅を調整、管理するにあたり好ましい。
本実施形態では、各カラー40のX方向の長さは、各カラー40を挟持している壁面34、36によって形成されている排気流路37の幅方向の位置によって異なっている。排気流路37入口付近(排気入口部34aの位置を調整し固定できる場所)の幅方向の略中央部に設けられている中央部用カラー40aの長さは、排気流路37入口付近の幅方向の両端部に設けられている端部用カラー40b(図2では、1箇所のみを示す)の長さに比べて長いものとなっている。
中央部用カラー40aの長さは、排気流路37のY方向の長さが1200mmの場合には、壁面34に取り付けられている排気入口部34aと壁面36との間のX方向の隙間の距離の規定である規定排気スリット幅(例えば、2mmから10mm)よりも+30%長いものとされ、端部用カラー40bの長さは、規定排気スリット幅と同じ長さとされている。
このように、長さの長い中央部用カラー40aを排気流路37の幅方向の中央部に設け、中央部用カラー40aよりも長さの短い端部用カラー40bを排気流路37の幅方向の両端部に設けることによって、排気流路37の幅方向の中央部における排気入口部34aと壁面36との間の排気スリット幅を、排気流路37の幅方向の両端部における排気入口部34aと壁面36との間の排気スリット幅よりも大きくすることができる。
なお、上記説明では、各スペーサー39のX方向の長さは同一であり、各カラー40のX方向の長さを調整することで、壁面34および壁面34に取り付けられている排気入口部34aと、壁面36とによって形成されている排気流路37の幅方向の距離と排気スリット幅とを調整設定している。しかし、本発明は、これに限らず、各スペーサー39と各カラー40とを一体構造として、このスペーサー39とカラー40とを合わせた各筒状部材のX方向の長さを調整してもよい。
次に、膜に付着した粒子数の時間的な推移の従来例と本発明との比較について図3を用いて説明する。
図3(A)の従来例は、排気流路37の入口付近に設けられている、排気入口部34aと壁面36との排気スリット幅を排気流路37の幅方向の中央部および両端部ともに規定排気スリット幅になるようにした場合であり、図3(B)の本発明は、排気流路37の幅方向の中央部の排気スリット幅を規定排気スリット幅(例えば、2mmから10mm)より+30%長いものとして、排気流路37の幅方向の両端部のX方向の距離を規定排気スリット幅にした場合である。図3(A)、(B)の縦軸は、膜に付着して搬出された粒子をカウントした数を示し、横軸は、時間を示している。図3(A)、(B)ともに第4チャンバ21をメンテナンスした後(縦軸に平行している一点鎖線)から製膜を開始している。
本実施形態における粒数は、1.4m×1.1mの基板面内の42点において、CCDカメラにより各観察領域(0.6mm×0.8mm)内の粒子数を計測し、基板面内の42点で各観察領域内の粒子数を合計したものを粒数として表示してある。ここで、各粒子径は、観測が容易でヘイズ率への相関が見られる粒径0.5μm以上の粒子数を計測している。
図3(A)では、メンテナンスから製膜処理を繰り返して時間が経過してゆくとともに粒数が徐々に増加し、本製膜装置の生産における正常範囲を示す管理値である通常生産上限レベルである0.4P〜0.5P個以下(横軸に平行している点線)を越えると、急速に粒数が増加し、この粒数に相関して、膜厚分布の悪化やヘイズ率分布の悪化も生じることが判明している。膜厚分布の悪化を抑制するための洗浄処理(定期メンテナンス)を行うにあたり、本製膜装置の生産運用経験より設定した管理値であるP個以上(横軸に平行している実線)を超えた場合に、製膜処理を停止して、洗浄処理のメンテナンスが必要になる。本実施形態では、Pは1000粒を表している。
一方、図3(B)から明らかなように、本発明の場合には、本製膜装置の生産運用経験より設定した管理値であるP個以上(横軸に平行している実線)を超えることがなく、図3(A)の場合のように、粒子数の急増がみられない。
さらに、通常生産上限レベルである0.4P〜0.5P個以下(横軸に平行している点線)の粒子数を、より多くの製膜処理を実施しても維持することができるようになっている。
また、図4には、従来例および本発明によって製膜された太陽電池モジュールの特性を示す図表が示されている。
図4の変更前は、図3の場合の従来例と同様に、排気入口部34aと壁面36とのX方向の隙間であって、排気流路37の入口近傍に設けられる排気スリット幅を排気流路37の幅方向の中央部および両端部ともに規定排気スリット幅になるように調整した場合を示し、図4の変更後は、排気入口部34aと壁面36とのX方向の隙間であって、距離排気流路37の入口近傍に設けられる排気スリット幅の幅方向の中央部を規定排気スリット幅より+30%長いものとして、排気流路37の幅方向の両端部の排気スリット幅を規定排気スリット幅にした本発明の場合を示している。
図4の図表中に示している平均値は、変更前(従来例)または変更後(本発明)によって連続的に製膜して製造した約200枚の基板3の太陽電池モジュールの平均値を表している。図4では、最大出力(Pmax)、短絡電流(Isc)、開放電圧(Voc)、形状因子(FF)、ヘイズ率の各特性値について、変更前の各特性値を1.0として変更後の特性値との比較を行っている。
変更前に対して排気流路37の入口付近に設けられる排気スリット幅を排気流路37の幅方向の中央部が規定排気スリット幅より+30%長いものとして、両端部を規定排気スリット幅になるように調整した場合(変更後の場合)の太陽電池モジュールの特性への影響を調査したところ、図4に示すように、太陽電池モジュールの特性には変化がない。また、ヘイズ率の分布が均一化したことで、ヘイズ率の平均値は若干小さくなっているが、ヘイズ率の標準偏差が大きく改善し、安定な連続生産処理が実施されていることが分かる。
すなわち、太陽電池モジュールの特性を維持しながら、製膜処理を繰り返してもヘイズ率の分布が大きくならないよう抑制できていることを示している。
次に、図5を用いて、排気流路37の幅方向の中央部の排気スリット幅を変化させた場合について説明する。図5の右図には、従来例、本発明および比較例によって製膜された透明導電膜のヘイズ率を比較したグラフが示されている。
図5の右図の従来例(○印)は、図3の場合と同様に、排気流路37の入口付近に設けられる排気スリット幅を排気流路37の幅方向の中央部および両端部ともに規定排気スリット幅になるように調整した場合を示している。また、図5の右図の本発明(△印)は、排気流路37の幅方向の中央部の排気流路37の入口付近に設けられる排気スリット幅を規定排気スリット幅より+30%長いものとして、排気流路37の幅方向の両端部の排気流路37の入口付近に設けられる排気スリット幅を規定排気スリット幅にした場合を示している。さらに図5の右図の比較例(◇印)は、本発明とは逆に、排気流路37の幅方向の中央部の排気流路37の入口付近に設けられる排気スリット幅を規定排気スリット幅よりも−30%短くし、排気流路37の幅方向の両端部の排気流路37の入口付近に設けられる排気スリット幅を規定排気スリット幅に調整した場合を示している。
図5の左図には、これら3つの例の比較に用いた基板3を示している。基板3は、縦1.4m、横1.1mであり、基板3の横方向に15ブロックに製膜領域を分割されている。この横方向の分割番号は、図5の右図の横軸に示されているブロックの番号に対応している。
図5の右図の縦軸は、図5の左図に示した基板3の縦方向(長手方向)のヘイズ率を平均化したものを示し、図5の右図の横軸は、基板3の横方向に15ブロックに製膜領域を分割したブロックの番号を示している。
比較例の場合には、図5の右図に示すように、基板3の中央部分(ブロック番号7、8)からブロック番号15に渡って従来例よりもヘイズ率が増加している。このように、ブロック番号7、8のヘイズ率の値が他のブロック部よりも大きな領域、すなわち、局所的なブロック部のヘイズ分布の高低差が大きい領域は、SnClおよびHOなどの主原料ガスの気流の乱れにより、透明導電膜のヘイズ率が高く膜の表面に高低差が大きく生じる部分が発生している。この透明導電膜の表面に高低差が大きく生じる部分に、積層膜(たとえば光電変換層)を形成する場合においては、積層膜の成長方向に局所的な偏りが生じ、周囲の積層膜との間に膜応力の差が生じて、局所的に積層膜の膜剥離が生じるおそれがある。
これに対して、本発明の場合には、図5の右図に示すように、従来例および比較例に比べてほぼ全ブロックに渡ってヘイズ率の分布が改善している。特に、本発明の場合には、基板3の中央部分(ブロック番号7、8)のヘイズ率の分布が従来例よりも改善されて平均化されていることが分かる。そのため、本発明の場合には、透明導電膜の上に製膜する積層膜の剥離が発生する基板数量を従来の剥離発生基板数の約20%へ低減することができる。
このように、図3から図5に示すように、排気流路37の幅方向の中央部の排気流路37の入口付近に設けられる排気スリット幅を規定排気スリット幅より+30%長いものとして、排気流路37の幅方向の両端部の排気スリット幅を規定排気スリット幅にした本発明の場合には、従来例と比較して、太陽電池モジュールの特性を変えることなく、付着する粒子数の時間的な増加を抑制して、該粒子数に相関のある膜厚分布やヘイズ率分布の悪化を抑制できるので、メンテナンスまでの製膜数量を増加するとともにヘイズ率の分布を改善することが可能となる。そのため、第4チャンバ21の定期メンテナンスの期間を延長し、CVD製膜装置1の稼働率を向上することが可能となる。
上記は、排気流路37の幅方向の中央部の排気流路37の入口付近に設けられる排気スリット幅を規定排気スリット幅より+30%長いものについて、メンテナンスまでの製膜数量を増加とヘイズ率の分布の改善効果とについて説明したが、規定排気スリット幅より+20%長いもの、および+50%長いものについても同様な効果を得ることができた。
従って、排気流路37の幅方向の中央部の排気流路37の入口付近に設けられる排気スリット幅を規定排気スリット幅より+20%から+50%長くしたものについては、メンテナンスまでの製膜数量の増加とヘイズ率の分布の改善効果とを得るに好ましい。
一方、排気流路37の幅方向の中央部の排気流路37の入口付近に設けられる排気スリット幅が、規定排気スリット幅より+20%未満の距離となる場合は、設定精度の影響もあり、その顕著な効果が確認できなかった。また、規定排気スリット幅より+50%よりも長くなると、メンテナンス初期状態から排気流路37の幅方向の中央部と両端部とで排気流量の分布が生じて、透明導電膜の膜厚分布やヘイズ率分布が悪化し始めた。
また、以上においては、第4チャンバ21を例として透明導電膜(SnO膜)を製膜時の排気流路37の幅方向の中央部の排気流路37の入口付近に設けられる排気スリット幅について述べてきたが、第5チャンバ23〜第7チャンバ27についても同様であり、同様の効果を得ることができる。さらには、第2チャンバ17、第3チャンバ19のアルカリバリア膜(SiO膜)を製膜時の排気流路37の幅方向の中央部の排気流路37の入口付近に設けられる排気スリット幅についても同様であり、同様の効果を得ることができる。
以上述べたように、本実施形態に係る大気圧熱CVD装置1によれば、以下の効果を奏する。
排気流路37の入口付近の幅方向の中央部における排気スリット幅(X方向の隙間の距離)を排気流路37の幅方向の両端部における排気スリット幅よりも大きくすることによって、付着する粒子数を抑制することができる。また、付着する粒子数は、膜厚分布の悪化やヘイズ率分布の悪化と相関性があることから、付着する粒子数を抑制することで、膜のヘイズ率の分布の悪化を抑制することが可能となり、製膜物質の排気流路を形成している壁面(面)34、36などに付着することによる膜厚分布の悪化を抑制するための大気圧熱CVD装置(CVD製膜装置)1の洗浄処理(定期メンテナンス)の間隔を長くすることができる。したがって、大気圧熱CVD装置1の稼働率を向上し、製膜の生産性を向上させることができる。
対向している一対の壁面34を貫通している3本(複数)のボルト(棒状部材)38と、それぞれのボルト38がその軸方向に挿通するとともに一対の壁面の各壁面34とインジェクタ35との間に挟持されている3つのカラー(距離調整手段)40を有するスペーサー(距離調整手段)39を用いて、排気流路37の幅方向の両端部に設けられている端部用カラー40bの軸方向(X方向)の長さよりも排気流路37の幅方向の中央部に設けられている中央部用カラー40aの軸方向(X方向)の長さを長くすることにした。このように、長さの異なる複数の中央部用カラー40aおよび端部用カラー40bを用いて、排気流路37の幅方向の中央部における排気入口部34aの排気スリット幅を排気流路37の幅方向の両端部における排気スリット幅よりも大きくすることができる。したがって、ボルト38とスペーサー39とカラー40といった簡易な部材を用いて排気流路37の入口付近に設けられる排気スリット幅を設定、管理することできるようになり、大気圧熱CVD装置1のメンテナンスが容易になる。
透明導電膜(SnO膜)のヘイズ率の分布の悪化を抑制することが可能な大気圧熱CVD装置1を用いて、SnClおよびHOを主成分とする原料ガスによって製膜することとした。そのため、ヘイズ分布による透明導電膜の上に形成する太陽電池光電変換層などの積層膜の成長方向に局所的な偏りを抑制し、周囲の積層膜との間に膜応力の差が生じることを抑制して、積層膜の局所膜剥離を従来よりも低減することができる。したがって、製膜の品質を安定させて、製品の歩留まりを向上させることができる。
〔第2実施形態〕
本実施形態は、第1実施形態と基本的に同様であるが、第1実施形態とは、ボルト、スペーサーおよびカラーの数と、貫通孔の形状とが異なっている。よって、本実施形態においては、この異なっている部分を説明し、その他の重複するものについては説明を省略する。
なお、第1実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその重複した説明を省略する。
図6には、第2実施形態について第4チャンバ21を側面視した立体構成図が示されている。
排気流路(図示せず)の入口付近に設けられる排気スリット幅(X方向の距離)を調整するスペーサー(距離調整手段)39と複数(例えば、5本)のカラー(距離調整手段)40とは、壁面34を貫通している複数(例えば、5本)のボルト(棒状部材)38と、それぞれのボルト38が挿通するとともに壁面34と壁面34に対向しているインジェクタ(図示せず)の壁面(図示せず)との間に挟持されている。
ボルト38は、排気流路のY向に等間隔に設けられている。各ボルト38は、壁面34に設けられている各貫通孔42を貫通して壁面34とインジェクタの壁面との間を接続している。
カラー40は、ボルト38と同数(たとえば、5本)設けられている。カラー40の軸方向(X方向)の長さは、各カラー40を挟持している壁面34および壁面34に対向しているインジェクタの壁面によって形成されている排気流路の幅方向(Y方向)の位置によって異なっている。排気流路の幅方向の略中央部に設けられている中央部用カラー40aの長さは、中央部用カラー40aと端部用カラー40bとの排気流路の幅方向の略中央に設けられている中間部用カラー40cや端部用カラー40bの長さに比べて長いものとなっている。
排気流路の幅方向の長さが1200mmの場合には、中央部用カラー40aの長さは、規定排気スリット幅(例えば、2mmから10mm)よりも+30%長いものとされ、端部用カラー40bの長さは、規定排気スリット幅と同じ長さとされている。また、中間部用カラー40cの長さは、規定排気スリット幅よりも+15%長いものとされている。
ここで、各々のボルト38が貫通している貫通孔42は、排気流路の幅方向の位置によってその形状が異なっている。すなわち、中央部用カラー40aに挿通されている中央部ボルト38aが貫通している中央部貫通孔(図示せず)は、その形状が円状とされている。中央部貫通孔は、その内径がボルト38の外径よりも極若干量だけ大きいものとなっていて、位置決めが正確にできるようになっている。
中間部用カラー40cに挿通されているボルト38が貫通している中間部貫通孔42cは、その形状が排気通路の幅方向に大きい横長円状とされている。
また、端部用カラー40bに挿通されているボルト38が貫通している端部貫通孔42bは、その形状が排気通路の幅方向に中間部貫通孔42cよりも大きい横長円状とされている。
以上述べたように、本実施形態に係る大気圧熱CVD装置によれば、以下の効果を奏する。
壁面34と壁面34に対向しているインジェクタの壁面とに設けられているボルト(棒状部材)38が貫通している壁面34の中央部貫通孔の内径をボルト38の外径よりも極若干量大きな円状とし、ボルト38が貫通している中間部貫通孔42c、およびボルト38が貫通している端部貫通孔42bの各孔径を、排気流路の幅方向(Y方向)に大きくすることとした。
また、ボルト38が貫通している中央部貫通孔の内径がボルト38の外径よりも極若干量大きな円状にし、ボルト38が貫通している中間部貫通孔42c、ボルト38が貫通している端部貫通孔42bの各孔径を、排気流路の幅方向(Y方向)の中央部から両端部に向かうにしたがって、排気流路の幅方向に大きくするとさらに好ましい。
そのため、熱膨張によって排気流路を形成している壁面34と壁面34に対向しているインジェクタの壁面との間に温度差が生じ熱膨張量に差異が生じた場合であっても、各貫通孔42の孔径によって熱膨張方向を制御して壁面34と壁面34に対向しているインジェクタの壁面の位置関係と平面度を維持しながら、変形を抑制し熱膨張差を吸収することができる。したがって、排気流路のX方向(間隔方向)の距離を維持することができる。
なお、第1実施形態および第2実施形態では、ボルト38、スペーサー39およびカラー40の数を、3本または5本として説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、ボルト38とスペーサー39とカラー40とをさらに増加させても良い。ボルト38とスペーサー39とおよびカラー40との数をさらに増加させた場合には、おのおのに挿通されているカラー40の軸方向(X方向)の長さは、規定排気スリット幅の+30%から規定排気スリット幅の+0%の間で細かく分割された長さとされ、排気流路の幅方向の中央部から両端部に向かって各カラー40の長さが短くなるように設けられる。
このようにボルト38、スペーサー39およびカラー40の数をさらに増加させた場合には、排気流路の幅方向における排気流路の入口付近に設けられる排気スリット幅(X方向の距離)の設定および管理が更に簡易かつ確実になる。
〔第3実施形態〕
本実施形態は、第2実施形態と基本的に同様であるが、第2実施形態とは、カラーの軸方向の断面形状が異なっている。よって、本実施形態においては、この異なっている部分を説明し、その他の重複するものについては説明を省略する。
中央部用カラーは、その軸方向の断面形状が円形状となっている。端部用カラーは、その軸方向の断面形状が四角形状となっている。中間部用カラーは、その軸方向の断面形状が三角形状となっている。
以上述べたように、本実施形態に係る大気圧熱CVD装置によれば、以下の効果を奏する。
各カラー(距離調整手段)は、排気流路の幅方向の設置場所に応じてX方向の長さが微妙に異なるために、設置位置を間違えるおそれがあるが、各カラーの軸方向に直交している断面形状を中央部用カラー(排気流路の幅方向の中央部に設置する距離調整手段)の場合には、円形状、中間部用カラー(中央部用カラーと端部用カラーとの略中央の排気流路の幅方向に設置する距離調整手段)は、三角形状、端部用カラー(排気流路の幅方向の両端部に設置する距離調整手段)は、四角形状として、排気流路の幅方向に設置する各位置に応じて変えることとした。そのため、中央部用カラーと、中間部用カラーと、端部用カラーとを容易に区別することができる。したがって、各カラーの設置間違いを防止することができる。
なお、本実施形態では、中央部用カラーを円形状、中央部用カラーを三角形状、端部用カラーを四角形状として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、中央部用カラー、中間部用カラー、端部用カラーの形状を変えることによって容易に区別することができるものであればよい。
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
たとえば、上記の実施の形態においては、この発明を太陽電池の透明導電膜を製膜する大気圧熱CVD装置に適応して説明したが、ガラス板に熱線反射膜や反射防止膜等などの光学膜を製膜する開放型の熱CVD装置に適用することもでき、特に限定するものではない。
〔第4実施形態〕
上述した各実施形態の大気圧熱CVD装置は、以下に説明するように、薄膜系太陽電池の製造工程に好適に用いられる。
図7には、上述した各実施形態の大気圧熱CVD装置(CVD製膜装置)により製造される光電変換装置の構成の概略図を示す。図8から図12には、各実施形態の大気圧熱CVD装置により製造される太陽電池パネルの製造工程を示す概略図を示す。
光電変換装置50は、タンデム型シリコン系太陽電池であり、基板3、透明電極層51、太陽電池光電変換層52としての第1セル層53(非晶質シリコン系)及び第2セル層54(結晶シリコン系)、中間コンタクト層55、及び裏面電極層56を備える。なお、ここで、シリコン系とは、シリコン(Si)やシリコンカーバイト(SiC)やシリコンゲルマニウム(SiGe)を含む総称である。また、結晶質シリコン系とは、非晶質シリコン系以外のシリコン系を意味するものであり、微結晶シリコンや多結晶シリコンも含まれる。
(1)図8(a):
基板3としてソーダフロートガラス基板(例えば1.4m×1.1m×板厚:3.0mm〜4.5mm)を使用する。基板端面は、熱応力や衝撃などによる破損防止にコーナー面取りやR面取り加工されていることが望ましい。
(2)図8(b):
透明電極層51を製膜する大気圧熱CVD装置1(図1参照)は、基板3を搬送しながら、基板搬送方向に対して直交する基板3の幅方向に対して均一に原料ガスを各インジェクタ15、17、19、21、23、25、27(図1参照)から送出する
基板3には、大気圧熱CVD装置1の第1チャンバ15から原料ガスとしてTTIP(テトライソプロポキシチタニウム)ガスを送出して、膜厚5nm以上50nm以下の、好ましくは膜厚7nm以上15nm以下のTiO膜を製膜する。これによって、透明電極層51へ入射する光の反射率の調整が可能となる。
次に、大気圧熱CVD装置1の第2チャンバ17または第3チャンバ19から原料ガスとしてSiHガスおよびOガスを送出して、膜厚20nm以上150nm以下のSiO膜を製膜して、アルカリバリア膜とする。
ここで、図2に示したように、第2チャンバ17または第3チャンバ19の排気流路37の幅方向(Y方向)の中央部における排気流路37の入口付近に設けられる排気スリット幅(X方向の距離)を排気流路37の幅方向の両端部における排気スリット幅(X方向の距離)よりも大きくすることにより製膜処理を続けることで、インジェクタ35付近や排気流路37付近への製膜物質などの付着による主原料ガスの気流の乱れを抑制し、粒子の発生数を抑制して、粒子数増加に相関があるSiO膜の膜厚分布の悪化を抑制して製膜することができる。
SiO膜を下地とした透明電極層51には、大気圧熱CVD装置1の第4チャンバ21から第7チャンバ27までの各チャンバから原料ガスとしてSnClガスおよびHOガスなどを送出して、膜厚約500nm以上800nm以下のSnO膜が製膜される。この際、SnO膜に光透過性と導電性とを確保させるため、原料ガスにF含有ガスのHFガスを混在させてFをドーピングしながら製膜する。
ここで、図2に示したように、第4チャンバ21から第7チャンバ27の各チャンバの排気流路37の幅方向の中央部における排気流路37の入口付近に設けられる排気スリット幅(X方向の距離)を排気流路37の幅方向の両端部における排気流路37の入口付近に設けられる排気スリット幅よりも大きくすることにより製膜処理を続けることで、インジェクタ35付近や排気流路37付近への製膜物質などの付着による主原料ガスの気流の乱れを抑制し、粒子の発生数を抑制して、粒子数増加に相関があるSnO膜のヘイズ率の分布の悪化や膜厚分布の悪化を抑制して製膜することができる。そのため、その後の工程で製膜される太陽電池光電変換層52の積層膜の成長方向と膜応力分布の局所的な偏りを生じさせることがなくなるため、透明導電膜(SnO膜)と太陽電池光電変換層52との間に生じる局所的な剥離を抑制することができる。
(3)図8(c):
その後、基板3をX−Yテーブルに設置して、YAGレーザーの第1高調波(1064nm)を、図の矢印に示すように、SnO膜の膜面側から照射する。加工速度に適切となるようにレーザーパワーを調整して、SnO膜を発電セルの直列接続方向に対して垂直な方向へ、基板3とレーザー光を相対移動して、溝57を形成するように幅約6mmから15mmの所定幅の短冊状にレーザーエッチングする。
(4)図8(d):
第1セル層53(図7参照)として、非晶質シリコン薄膜からなるp層、i層及びn層を、プラズマCVD装置により製膜する。SiHガス及びHガスを主原料にして、減圧雰囲気:30Pa以上1000Pa以下、基板温度:約200℃にて、透明電極層51上に太陽光の入射する側から非晶質シリコンp層、非晶質シリコンi層、非晶質シリコンn層の順で製膜する。非晶質シリコンp層は、非晶質のBドープシリコンを主とし、膜厚10nm以上30nm以下である。非晶質シリコンi層は、膜厚200nm以上350nm以下である。非晶質シリコンn層は、非晶質シリコンに微結晶シリコンを含有するPドープシリコンを主とし、膜厚30nm以上50nm以下である。非晶質シリコンp層と非晶質シリコンi層の間には、界面特性の向上のためにバッファー層を設けても良い。
次に、第1セル層53の上に、プラズマCVD装置により、減圧雰囲気:3000Pa以下、基板温度:約200℃、プラズマ発生周波数:40MHz以上100MHz以下にて、第2セル層54としての結晶質シリコンp層、結晶質シリコンi層、及び、結晶質シリコンn層を順次製膜する。結晶質シリコンp層は、Bドープした微結晶シリコンを主とし、膜厚10nm以上50nm以下である。結晶質シリコンi層は、微結晶シリコンを主とし、膜厚は1.2μm以上3.0μm以下である。結晶質シリコンn層は、Pドープした微結晶シリコンを主とし、膜厚20nm以上50nm以下である。結晶質シリコンn層は、アモルファスn層であっても良い。
微結晶シリコンを主とするi層膜をプラズマCVD法で形成するにあたり、プラズマ放電電極と基板3の表面との距離dは、3mm以上10mm以下にすることが好ましい。3mmより小さい場合、大型基板に対応する製膜室内の各構成機器精度から距離dを一定に保つことが難しくなるとともに、近過ぎて放電が不安定になる恐れがある。10mmより大きい場合、十分な製膜速度(1nm/s以上)を得難くなるとともに、プラズマの均一性が低下しイオン衝撃により膜質が低下する。
第1セル層53と第2セル層54(図7参照)との間に、接触性を改善するとともに電流整合性を取るために半反射膜となる中間コンタクト層55(図7参照)を設ける。中間コンタクト層55として、膜厚:20nm以上100nm以下のZnO(GaまたはALドープZnO)膜を、ターゲット:GaドープZnO焼結体を用いてスパッタリング装置により製膜する。また、中間コンタクト層55を設けない場合もある。
(5)図8(e)
基板3をX−Yテーブルに設置して、レーザーダイオード励起YAGレーザーの第2高調波(532nm)を、図の矢印に示すように、太陽電池光電変換層52の膜面側から照射する。パルス発振:10kHzから20kHzとして、加工速度に適切となるようにレーザーパワーを調整して、透明電極層51のレーザーエッチングラインの約100μmから150μmの横側を、溝58を形成するようにレーザーエッチングする。またこのレーザーは基板3側から照射しても良く、この場合は、太陽電池光電変換層52の非晶質シリコン系の第1セル層53で吸収されたエネルギーにより発生する高い蒸気圧を利用して太陽電池光電変換層52をエッチングできるので、更に安定したレーザーエッチング加工を行うことが可能となる。レーザーエッチングラインの位置は、前工程でのエッチングラインと交差しないように位置決め交差を考慮して選定する。
(6)図9(a)
裏面電極層56としてAg膜/Ti膜を、スパッタリング装置により、減圧雰囲気、製膜温度:150℃から200℃にて製膜する。本実施形態では、Ag膜:150nm以上500nm以下、これを保護するものとして防食効果の高いTi膜:10nm以上20nm以下を、この順に積層する。あるいは、裏面電極層56を25nmから100nmの膜厚を有するAg膜と、15nmから500nmの膜厚を有するAl膜との積層構造としても良い。また、600nm以上の長波長側反射光が必要なものにおいては、約100nm以上450nm以下の膜厚を有するCu膜と、約5nm以上150nm以下の膜厚を有するTi膜との積層構造としても良い。結晶質シリコンn層と裏面電極層56との接触抵抗低減と光反射向上を目的に、太陽電池光電変換層52と裏面電極層56との間に、スパッタリング装置により、膜厚:50nm以上100nm以下のZnO(GaまたはALドープZnO)膜を製膜して設けても良い。
(7)図9(b)
基板3をX−Yテーブルに設置して、レーザーダイオード励起YAGレーザーの第2高調波(532nm)を、図の矢印に示すように、基板3側から照射する。レーザー光が太陽電池光電変換層52で吸収され、このとき発生する高いガス蒸気圧を利用して裏面電極層56が爆裂して除去される。パルス発振:1kHz以上50kHz以下として加工速度に適切となるようにレーザーパワーを調整して、透明電極層51のレーザーエッチングラインの250μmから400μmの横側を、溝59を形成するようにレーザーエッチングする。
(8)図9(c)と図10(a)
発電領域を区分して、基板端周辺の膜端部においてレーザーエッチングによる直列接続部分が短絡し易い影響を除去する。基板3をX−Yテーブルに設置して、レーザーダイオード励起YAGレーザーの第2高調波(532nm)を、基板3側から照射する。レーザー光が透明電極層51と太陽電池光電変換層52で吸収され、このとき発生する高いガス蒸気圧を利用して裏面電極層56が爆裂して、裏面電極層56/太陽電池光電変換層52/透明電極層51が除去される。パルス発振:1kHz以上50kHz以下として加工速度に適切となるようにレーザーパワーを調整して、基板3の端部から5nmから20mmの位置を、図9(c)に示すように、X方向絶縁溝60を形成するようにレーザーエッチングする。なお、図9(c)では、太陽電池光電変換層52が直列に接続された方向に切断したX方向断面図となっているため、本来であれば絶縁溝60位置には、裏面電極層56/太陽電池光電変換層52/透明電極層51の膜研磨除去をした周囲膜除去領域61相当領域がある状態(図10(a)参照)が表れるべきであるが、基板3の端部への加工の説明の便宜上、この位置にY方向断面を表して形成された絶縁溝をX方向絶縁溝60として説明する。このとき、Y方向絶縁溝は、後工程で基板3周囲膜除去領域61の膜面研磨除去処理を行うので設ける必要がない。
絶縁溝60は、基板3の端より5nmから15mmの位置にてエッチングを終了させることにより太陽電池パネル端部からの太陽電池モジュール62内部へ外部から水分浸入の抑制に、有効な効果を呈するので好ましい。
尚、以上までの工程におけるレーザー光はYAGレーザーとしているが、YVO4レーザーやファイバーレーザーなどが同様に使用できるものがある。
(9)図10((a):太陽電池膜面側から見た図、(b):受光面の基板側から見た図)
後工程のEVA等を介したバックシート64(図11参照)との健全な接着・シール面を確保するために、基板3周辺(周囲膜除去領域61)の積層膜は、段差があるとともに剥離し易いため、この膜を除去して周囲膜除去領域61を形成する。基板3の端から5〜20mmで基板3の全周囲にわたり膜を除去するにあたり、X方向は前述の図9(c)の工程で設けた絶縁溝60よりも基板端側において、Y方向は基板端側部付近の溝57よりも基板端側において、裏面電極層56/太陽電池光電変換層52/透明電極層51を、砥石研磨やブラスト研磨などを用いて除去を行う。研磨屑や砥粒は、基板3を洗浄処理して除去する。
(10)図11(a)および図11(b)
直列に並んだ一方端の太陽電池発電セル65(図10参照)の裏面電極層56(図9参照)と、他方端部の太陽電池発電セル65に接続した集電用セルの裏面電極層56とから銅箔を用いて集電して太陽電池パネル裏側の端子箱63の部分から電力が取出せるように処理する。集電用銅箔は、各部との短絡を防止するために銅箔幅より広い絶縁シートを配置する。
集電用銅箔などが所定位置に配置された後に、太陽電池モジュール62の全体を覆い、基板からはみ出さないようにEVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)等による接着充填材シートを配置する。
接着充填材シートの上に、防水効果の高いバックシート64を設置する。バックシート64は、本実施形態では防水防湿効果が高いようにPETシート/AL箔/PETシートの3層構造よりなる。
バックシート64の端子箱63の取付け部分には、開口貫通窓を設けて集電用銅箔を取出す。この開口貫通窓部分では、バックシート64と裏面電極層56との間に絶縁体を複数層設置して外部からの水分などの浸入を抑制する。
バックシート64までを所定位置に配置したものを、ラミネータ装置により減圧雰囲気で内部の脱気を行い約150〜160℃でプレスしながら、接着充填材シート(EVA)を架橋させて密着し、密封処理をする。
なお、接着充填材シートは、EVAに限定されるものではなく、PVB(ポリビニルブチラール)など類似の機能を保有する接着充填剤を利用することが可能である。この場合は、圧着する手順、温度や時間など条件を適正化して処理を行う。
(11)図11(a)
太陽電池モジュール62(図10参照)の裏側に端子箱63を接着剤で取付ける。
(12)図11(b)
銅箔と端子箱63の出力ケーブルとをハンダ等で接続し、端子箱63の内部を封止剤(ポッティング剤)で充填して密閉する。これで太陽電池パネル70が完成する。
(13)図11(c)
図11(b)までの工程で形成された太陽電池パネル70について発電検査ならびに、所定の性能試験を行う。発電検査は、AM1.5、全天日射基準太陽光(1000W/m)のソーラシミュレータを用いて行う。なお、発電検査は、太陽電池パネル70が完全に完成した後に行っても良いし、アルミフレーム枠66L、66S(図12参照)を取り付ける前に行っても良く、特に限定するものではない。
(14)図11(d)
発電検査(図11(c))に前後して、外観検査をはじめ所定の性能検査を行う。
(15)図12
太陽電池モジュール62の周囲において、太陽電池モジュール62へ強度を付加するとともに、取付け座となるアルミフレーム枠66L、66Sを取り付ける。太陽電池モジュール62とアルミフレーム枠66L、66Sとの間にはゴム製のガスケット等を介して、弾力性を保持しながら確実に保持することが好ましい。これで太陽電池パネル70が完成する。
上記工程により製造された光電変換装置50は、SiO膜およびSnO膜の膜厚分布とヘイズ率分布が製膜処理を継続することで時間的に分布が悪化することを抑制して製膜される。そのため、上記工程で製造される光電変換装置50の製膜処理における大気圧熱CVD装置1の定期メンテナンスの間隔を長くして製膜の生産性を向上させることができるので、光電変換装置50の生産性が向上する。
上記の実施形態では、太陽電池としてタンデム型シリコン系太陽電池について説明したが、本発明は、この例に限定されるものではない。例えば、アモルファスシリコン太陽電池、微結晶シリコンをはじめとする結晶質シリコン太陽電池、シリコンゲルマニウム太陽電池、また、上記の各太陽電池から適宜選択して多接合したトリプル型太陽電池などの他の種類の薄膜太陽電池にも同様に適用可能である。
更に本発明は、金属基板などのような非透光性基板上に製造された、基板とは反対の側から光が入射するタイプの太陽電池にも同様に適用可能である。
1 大気圧熱CVD装置(CVD製膜装置)
3 基板
34 壁面(面)
34a 排気入口部
35 インジェクタ
36 壁面(面)
37 排気流路
39 ノズル

Claims (6)

  1. 基板に製膜される膜の原料ガスを含む供給ガスを供給するノズルを有するインジェクタと、
    該インジェクタを挟んで対向する一対の面の間に形成され、供給された前記供給ガスが前記基板と前記インジェクタとの間から排気される排気流路と、
    前記一対の面の各面の前記基板近傍に形成される前記排気入口部と、を有し、
    前記排気流路の幅方向の中央部における各前記排気入口部と前記インジェクタとの間の距離は、前記排気流路の前記幅方向の両端部における各前記排気入口部と前記インジェクタとの間の距離よりも大きいことを特徴とするCVD製膜装置。
  2. 前記一対の面の各前記排気入口部と前記インジェクタとの間の距離は、前記一対の面の各面を貫通する複数の棒状部材およびそれぞれの該棒状部材の軸方向に挿通するとともに前記一対の面の間に挟持される複数の距離調整手段によって調整され、
    前記排気流路の前記幅方向の中央部に設けられる前記距離調整手段は、前記排気流路の前記幅方向の両端部に設けられる前記距離調整手段よりもその軸方向の長さが長いことを特徴とする請求項1に記載のCVD製膜装置。
  3. 各前記距離調整手段は、その軸方向に直交する断面形状が前記排気流路の前記幅方向の設置位置に応じて異なることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のCVD製膜装置。
  4. 各前記棒状部材が貫通する前記一対の面に設けられる複数の貫通孔は、前記排気流路の前記幅方向の少なくとも両端部の孔径が前記幅方向に長くなることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のCVD製膜装置。
  5. 前記原料ガスは、SnClおよびHOを主成分とすることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のCVD製膜装置。
  6. 基板に製膜される膜の原料ガスを含む供給ガスを供給するノズルを有するインジェクタと、
    該インジェクタを挟んで対向する一対の面の間に形成され、供給された前記供給ガスが前記基板と前記インジェクタとの間から排気される排気流路と、
    前記一対の面の各面の前記基板近傍に形成される前記排気入口部と、を有し、
    前記排気流路の幅方向の中央部における各前記排気入口部と前記インジェクタとの間の距離が前記排気流路の前記幅方向の両端部における各前記排気入口部と前記インジェクタとの間の距離よりも大きいCVD製膜装置を用いて前記基板を製膜することを特徴とする基板の製膜方法。
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