JP2012092883A - 減衰力可変ダンパ - Google Patents
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Abstract
【課題】圧電体を使用して高い応答性で減衰力を変化できる減衰力可変ダンパを提供することを課題とする。
【解決手段】シリンダ2に摺動可能に収納されて第1流体室2aと第2流体室2bに区画するピストン組立体3と、ピストン組立体3に形成される下部機構室30Lを経由して第1流体室2aと第2流体室2bを連通する流体通路を、下部機構室30Lを摺動して開閉するロアピストン32と、ロアピストン32を摺動させるピストン作動部32bと、電圧が印加された圧電素子積層体40の伸長で摺動し作動油を介してピストン作動部32bを摺動させるアッパピストン31と、を備える減衰力可変ダンパ1とする。そして、アッパピストン31に形成され、圧電素子積層体40に電圧が印加されていない定常状態のときにピストン作動部32bと当接するプッシュロッド31を備えることを特徴とする。
【選択図】図2
【解決手段】シリンダ2に摺動可能に収納されて第1流体室2aと第2流体室2bに区画するピストン組立体3と、ピストン組立体3に形成される下部機構室30Lを経由して第1流体室2aと第2流体室2bを連通する流体通路を、下部機構室30Lを摺動して開閉するロアピストン32と、ロアピストン32を摺動させるピストン作動部32bと、電圧が印加された圧電素子積層体40の伸長で摺動し作動油を介してピストン作動部32bを摺動させるアッパピストン31と、を備える減衰力可変ダンパ1とする。そして、アッパピストン31に形成され、圧電素子積層体40に電圧が印加されていない定常状態のときにピストン作動部32bと当接するプッシュロッド31を備えることを特徴とする。
【選択図】図2
Description
本発明は、車両に備わる減衰力可変ダンパに関する。
車体を支持して振動を吸収するダンパとして、減衰力を可変に構成される減衰力可変ダンパが広く知られている。
そして、このような減衰力可変ダンパの減衰力を、圧電体の伸縮変位で変化させる技術が特許文献1に開示されている。
特許文献1に開示される技術によると、ピストンが挿入されるシリンダ内に充填される作動油の流路を圧電体の伸縮変位を利用して開閉し、ピストンがシリンダ内を摺動するときの流体抵抗を変化させることで減衰力を変化させることができる。
そして、このような減衰力可変ダンパの減衰力を、圧電体の伸縮変位で変化させる技術が特許文献1に開示されている。
特許文献1に開示される技術によると、ピストンが挿入されるシリンダ内に充填される作動油の流路を圧電体の伸縮変位を利用して開閉し、ピストンがシリンダ内を摺動するときの流体抵抗を変化させることで減衰力を変化させることができる。
特許文献1に開示される技術によると、ピストンに組み込まれるスプールを圧電体の伸長にともなって摺動させて作動油の流路を閉じることができる。
また、特許文献1には、非圧縮性液体を利用して圧電体の微小な変位(伸長)を増幅してスプールを摺動する技術が開示されている。この技術によると、圧電体の変位に応じて上下動するプランジャとスプールの間に非圧縮性液体を密封充填する。そして、スプールが非圧縮性液体と接する面の面積とプランジャが非圧縮性液体と接する面の面積を異なる面積にすることでプランジャの動作量、すなわち、圧電体の変位量を増幅してスプールに伝達し、圧電体の変位量に対するスプールの動作量を増幅している。
また、特許文献1には、非圧縮性液体を利用して圧電体の微小な変位(伸長)を増幅してスプールを摺動する技術が開示されている。この技術によると、圧電体の変位に応じて上下動するプランジャとスプールの間に非圧縮性液体を密封充填する。そして、スプールが非圧縮性液体と接する面の面積とプランジャが非圧縮性液体と接する面の面積を異なる面積にすることでプランジャの動作量、すなわち、圧電体の変位量を増幅してスプールに伝達し、圧電体の変位量に対するスプールの動作量を増幅している。
特許文献1に開示される技術は、完全な非圧縮性液体を利用することができれば減衰力可変ダンパの減衰力を変化させるときの応答性を高めることができる。
しかしながら、完全な非圧縮性液体は存在せず、プランジャの上下動にともなって非圧縮性液体であってもわずかながら圧縮する。
また、スプールが停止した状態にあるとき、スプールには静摩擦力が作用している。したがって、圧電体の変位に応じてプランジャが上下動したとき、非圧縮性液体の圧力が静摩擦力に打ち勝つまでの間は非圧縮性液体がわずかに圧縮し、スプールが動作を開始するまでにわずかな遅れが生じる。そして、この遅れによって、減衰力可変ダンパの減衰力が変化するときの応答性が悪化するという問題がある。
しかしながら、完全な非圧縮性液体は存在せず、プランジャの上下動にともなって非圧縮性液体であってもわずかながら圧縮する。
また、スプールが停止した状態にあるとき、スプールには静摩擦力が作用している。したがって、圧電体の変位に応じてプランジャが上下動したとき、非圧縮性液体の圧力が静摩擦力に打ち勝つまでの間は非圧縮性液体がわずかに圧縮し、スプールが動作を開始するまでにわずかな遅れが生じる。そして、この遅れによって、減衰力可変ダンパの減衰力が変化するときの応答性が悪化するという問題がある。
そこで、本発明は、圧電体を使用して高い応答性で減衰力を変化できる減衰力可変ダンパを提供することを課題とする。
前記課題を解決するために本発明の請求項1は、作動油が充填されたシリンダと、前記シリンダに摺動可能に収納されて当該シリンダを第1流体室と第2流体室とに区画するピストン組立体と、前記ピストン組立体内に形成されて前記作動油が充填される第2空間を経由して前記第1流体室と前記第2流体室とを連通する流体通路と、前記第2空間内を摺動して前記流体通路を開閉する第2ピストンと、前記ピストン組立体内に形成されて前記作動油が充填される第1空間内を摺動する第1ピストンと、電圧が印加されたときに、収縮した定常状態から伸長し、前記第1ピストンを直接的に押して当該第1ピストンを摺動させる圧電体と、前記第1空間と前記第2空間を連通する流路部と、前記流路部内を摺動して前記第2ピストンを摺動させるピストン作動部と、を備え、前記第1ピストンに形成されて前記第1空間内で前記作動油に接する第1平面と、前記ピストン作動部に形成されて前記流路部内で前記作動油に接する第2平面と、前記第1空間と、前記流路部と、で囲まれて前記作動油で満たされ、前記第1ピストンの摺動方向への前記第1平面の投影面積が、前記ピストン作動部の摺動方向への前記第2平面の投影面積より大きい液密部が形成される減衰力可変ダンパとする。そして、前記第1ピストンと前記ピストン作動部の少なくとも一方には、前記圧電体が前記定常状態のときに、前記液密部を貫通して他方と当接する接触部を備えることを特徴とする。
この発明によると、第1ピストンの第1平面とピストン作動部の第2平面の間に作動油が充填する液密部を形成し、第1ピストンの摺動方向への第1平面の投影面積をピストン作動部の摺動方向への第2平面の投影面積より大きくして、第1ピストンの動作量に対するピストン作動部の動作量を増幅することができる。そして、圧電体の伸長で第1ピストンを摺動させるとともに、第1ピストンの動作量を増幅してピストン作動部を摺動できる。さらに、圧電体が収縮した定常状態のとき、接触部を介して第1ピストンの第1平面とピストン作動部の第2平面を直接接触した状態にしておくことができる。したがって、圧電体が定常状態のときに電圧が印加されて圧電体が伸長し、第1ピストンが摺動するときには、接触部でピストン作動部を直接押してピストン作動部を摺動するように構成できる。
また、請求項2に係る発明は請求項1に記載の減衰力可変ダンパであって、前記圧電体が前記定常状態のときに電圧が印加されて伸長した場合、前記ピストン作動部は前記第1ピストンが摺動を開始するのと同時に摺動を開始し、その後、前記接触部が前記第1ピストン又は前記ピストン作動部から離反することを特徴とする。
この発明によると、ピストン作動部の摺動と第1ピストンの摺動を同時に開始することができ、その後、接触部が第1ピストン又はピストン作動部から離反する構成にすることができる。従って、第1ピストンの動作量に対するピストン作動部の動作量が増幅したときには接触部が第1ピストン又はピストン作動部から離反し、接触部によってピストン作動部の動作量の増幅が規制されることがない。
本発明によると、圧電体を使用して高い応答性で減衰力を変化できる減衰力可変ダンパを提供できる。
以下、本発明を実施するための形態について、適宜図を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る減衰力可変ダンパ1は、シリンダ2、ピストンヘッドとなるピストン組立体3、およびピストンロッド4を有するダンパ1aと、ダンパ1aの減衰力を制御する制御装置10と、を備えて構成される。
ピストン組立体3は、作動油Oilが封入されるシリンダ2内を摺動可能に備わり、シリンダ2の内部を摺動方向に2つの流体室(第1流体室2a、第2流体室2b)に区画している。以下、第1流体室2aの側を上方、第2流体室2bの側を下方とする。
なお、本実施形態において、シリンダ2に封入される作動油Oilは、シリコーン油など非圧縮性液体であってもよいし、潤滑油のような圧縮性のある液体(圧縮性液体)であってもよい。
図1に示すように、本実施形態に係る減衰力可変ダンパ1は、シリンダ2、ピストンヘッドとなるピストン組立体3、およびピストンロッド4を有するダンパ1aと、ダンパ1aの減衰力を制御する制御装置10と、を備えて構成される。
ピストン組立体3は、作動油Oilが封入されるシリンダ2内を摺動可能に備わり、シリンダ2の内部を摺動方向に2つの流体室(第1流体室2a、第2流体室2b)に区画している。以下、第1流体室2aの側を上方、第2流体室2bの側を下方とする。
なお、本実施形態において、シリンダ2に封入される作動油Oilは、シリコーン油など非圧縮性液体であってもよいし、潤滑油のような圧縮性のある液体(圧縮性液体)であってもよい。
ピストン組立体3の上方にはピストンロッド4が取り付けられ、ピストン組立体3と一体に動作(上下動)する。そして、ピストンロッド4は上方でシリンダ2の外部に延出し、ピストン組立体3の動作(上下動)をシリンダ2の外部に伝達する。
なお、シリンダ2の内部の上端部にはオイルシール2cが備わり、シリンダ2とピストンロッド4の隙間から作動油Oilが漏出することを防止している。
なお、シリンダ2の内部の上端部にはオイルシール2cが備わり、シリンダ2とピストンロッド4の隙間から作動油Oilが漏出することを防止している。
また、本実施形態に係るピストン組立体3には、ダンパ1aの減衰力を調整する減衰力調整機構が組み込まれ、この減衰力調整機構は制御装置10で制御される。制御装置10が出力する電圧などの制御信号は、ピストンロッド4の内部に配線される図示しない制御線を経由してピストン組立体3の減衰力調整機構に入力される。
図2の(a)に示すように、ピストン組立体3の内部には空洞の第1空間(以下、上部機構室30Uと称する)と第2空間(以下、下部機構室30Lと称する)とが上下方向に形成され、上部機構室30Uと下部機構室30Lとは流路部30aで連通している。
ピストン組立体3が円柱状の場合、例えば、上部機構室30Uと下部機構室30Lは同じ直径の円筒形空間として形成され、流路部30aは上部機構室30Uより小さい直径の管状空間として形成されることが好ましい。
ピストン組立体3が円柱状の場合、例えば、上部機構室30Uと下部機構室30Lは同じ直径の円筒形空間として形成され、流路部30aは上部機構室30Uより小さい直径の管状空間として形成されることが好ましい。
下部機構室30Lは、例えばピストン組立体3の下側(底部3a)に開口する流通孔34と減衰力調節孔35と、によって第2流体室2bと連通する。
流通孔34と減衰力調節孔35の配置は限定するものではないが、例えば図2の(b)に示すように、ピストン組立体3の底部3aの略中心に1つの流通孔34が開口し、その周囲に複数(図2の(b)では8つを図示)の減衰力調節孔35が配置される。
さらに、下部機構室30Lは、作動油流路36で第1流体室2aと連通する。
この構成によって、流通孔34、減衰力調節孔35、および作動油流路36は、下部機構室30Lを経由して第1流体室2aと第2流体室2bを連通する流体通路を形成する。
流通孔34と減衰力調節孔35の配置は限定するものではないが、例えば図2の(b)に示すように、ピストン組立体3の底部3aの略中心に1つの流通孔34が開口し、その周囲に複数(図2の(b)では8つを図示)の減衰力調節孔35が配置される。
さらに、下部機構室30Lは、作動油流路36で第1流体室2aと連通する。
この構成によって、流通孔34、減衰力調節孔35、および作動油流路36は、下部機構室30Lを経由して第1流体室2aと第2流体室2bを連通する流体通路を形成する。
ピストン組立体3が上下動するとき、シリンダ2に封入される作動油Oilが流通孔34、減衰力調節孔35、下部機構室30L、作動油流路36を介して第1流体室2aと第2流体室2bの間を流れ、ダンパ1a(図1参照)の減衰力を発生する。
なお、ピストン組立体3には、周囲に広がってピストン組立体3とともにシリンダ2の内部を摺動するシール部材33が取り付けられる。シール部材33は、シリンダ2の内壁に常時密着するように備わって第1流体室2aと第2流体室2bの間を密閉している。
そして、本実施形態に係る減衰力可変ダンパ1(図1参照)は、ピストン組立体3に備わる複数の減衰力調節孔35を後記するロアピストン32によって開閉することで、ダンパ1a(図1参照)の減衰力を調節するように構成される。
そのため、下部機構室30Lには、上下方向に摺動して複数の減衰力調節孔35を開閉する第2ピストン(ロアピストン32)が収容されている。
また、上部機構室30Uには、上下方向に摺動してロアピストン32を動作する第1ピストン(アッパピストン31)が収容されている。
そのため、下部機構室30Lには、上下方向に摺動して複数の減衰力調節孔35を開閉する第2ピストン(ロアピストン32)が収容されている。
また、上部機構室30Uには、上下方向に摺動してロアピストン32を動作する第1ピストン(アッパピストン31)が収容されている。
ロアピストン32は、下動したときにピストン組立体3の底部3aに着地して複数の減衰力調節孔35の全てを閉じるとともに、上動したときに底部3aから離反して複数の減衰力調節孔35の全てを開く開閉部32aを含んで構成され、上部機構室30Uに充填される作動油Oilに接してロアピストン32を下動させるピストン作動部32bが一体に形成されている。
ピストン作動部32bは、開閉部32aの上方に形成されて流路部30a内に収容され、その上面には流路部30aの径方向の断面積とほぼ等しい面積(投影面積)の第2平面32cが形成される。ここでいう投影面積は、第2平面32cを上下方向、すなわち、ピストン作動部32bの摺動方向に投影したときの面積を示す。
なお、ピストン作動部32bと流路部30aの側壁の間は、例えば、シール部材32b1で密閉されることが好ましい。
また、ロアピストン32の下方には、ロアピストン32を上方に移動させるためのリターンスプリング37が備わっている。
ピストン作動部32bは、開閉部32aの上方に形成されて流路部30a内に収容され、その上面には流路部30aの径方向の断面積とほぼ等しい面積(投影面積)の第2平面32cが形成される。ここでいう投影面積は、第2平面32cを上下方向、すなわち、ピストン作動部32bの摺動方向に投影したときの面積を示す。
なお、ピストン作動部32bと流路部30aの側壁の間は、例えば、シール部材32b1で密閉されることが好ましい。
また、ロアピストン32の下方には、ロアピストン32を上方に移動させるためのリターンスプリング37が備わっている。
第2平面32cは、上部機構室30U内の作動油Oilの油圧をロアピストン32の上下動に変換する。この構成によって、上部機構室30Uの容積が減少して作動油Oilが上部機構室30Uから流路部30aに押し出されると、押し出された作動油Oilの油圧でロアピストン32が下動する。
また、図3の(a)に示すように、ロアピストン32の開閉部32aは、複数の減衰力調節孔35(図2の(b)参照)が配置される半径と略同等の半径の円状に形成され、ピストン作動部32bから周囲に広がる複数(図3の(a)には4つを例示)のアーム32a1でピストン作動部32bに取り付けられる。
図3の(b)に示すように、複数のアーム32a1は、ピストン作動部32bの底面32dよりさらに下方に伸び、開閉部32aはピストン作動部32bの底面32dより下方に配置されることが好ましい。この構成によって、開閉部32aが下部機構室30Lの底部3a(図2の(a)参照)に着地して減衰力調節孔35(図2の(a)参照)を閉じたとき、下部機構室30Lの底部3aとピストン作動部32bの底面32dとの間に所定の空間を確保できる。そして、流通孔34を常に開放した状態にすることができる。
図3の(b)に示すように、複数のアーム32a1は、ピストン作動部32bの底面32dよりさらに下方に伸び、開閉部32aはピストン作動部32bの底面32dより下方に配置されることが好ましい。この構成によって、開閉部32aが下部機構室30Lの底部3a(図2の(a)参照)に着地して減衰力調節孔35(図2の(a)参照)を閉じたとき、下部機構室30Lの底部3aとピストン作動部32bの底面32dとの間に所定の空間を確保できる。そして、流通孔34を常に開放した状態にすることができる。
説明を図2に戻す。アッパピストン31の下面には、上部機構室30Uの径方向の断面積とほぼ等しい投影面積の第1平面31aが形成される。
なお、ここでいう投影面積は、第1平面31aを上下方向、すなわち、アッパピストン31の摺動方向に投影したときの面積を示す。また、アッパピストン31と上部機構室30Uの側壁の間は、例えば、シール部材31cで密閉されることが好ましい。
そして、第1平面31a、第2平面32c、上部機構室30U、および流路部30aで囲まれた密閉空間を形成する。この密閉空間には作動油Oilが満たされ、特許請求の範囲に記載される液密部を形成する。
なお、ここでいう投影面積は、第1平面31aを上下方向、すなわち、アッパピストン31の摺動方向に投影したときの面積を示す。また、アッパピストン31と上部機構室30Uの側壁の間は、例えば、シール部材31cで密閉されることが好ましい。
そして、第1平面31a、第2平面32c、上部機構室30U、および流路部30aで囲まれた密閉空間を形成する。この密閉空間には作動油Oilが満たされ、特許請求の範囲に記載される液密部を形成する。
液密部に満たされる作動油Oilが圧縮性液体の場合、アッパピストン31が下動すると上部機構室30Uの容積が減少して作動油Oilはわずかに圧縮し、限界まで圧縮したときに流路部30aに押し出される。
つまり、アッパピストン31は下動して、作動油Oilを上部機構室30Uから流路部30aに押し出す機能を有する。
つまり、アッパピストン31は下動して、作動油Oilを上部機構室30Uから流路部30aに押し出す機能を有する。
径方向の断面積がSupの円筒形空間として上部機構室30Uが形成されるとき、アッパピストン31が動作量ΔLupだけ下動すると、上部機構室30Uの容積は、ΔVup(=ΔLup×Sup)だけ減少する。そして、作動油Oilの圧縮を考慮しなければ、減少した容積ΔVupに相当する量の作動油Oilが上部機構室30Uから流路部30aに押し出され、押し出された作動油Oilはロアピストン32のピストン作動部32bを動作量ΔLdnだけ動作(下動)させる。
径方向の断面積がSmidの管状空間として流路部30aが形成されるとき、ピストン作動部32bがΔLdnだけ下方に動作すると流路部30aには、ΔVmid(=ΔLdn×Smid)の空間が形成され、上部機構室30Uから押し出された作動油Oilが流路部30aに流れ込む。したがって、「ΔVup=ΔVmid」、つまり、「ΔLup×Sup=ΔLdn×Smid」になる。
径方向の断面積がSmidの管状空間として流路部30aが形成されるとき、ピストン作動部32bがΔLdnだけ下方に動作すると流路部30aには、ΔVmid(=ΔLdn×Smid)の空間が形成され、上部機構室30Uから押し出された作動油Oilが流路部30aに流れ込む。したがって、「ΔVup=ΔVmid」、つまり、「ΔLup×Sup=ΔLdn×Smid」になる。
また、流路部30aは上部機構室30Uより直径の小さな管状空間として形成されることから、「Sup>Smid」である。したがって、「ΔLup<ΔLdn」となる。
すなわち、アッパピストン31の動作量ΔLupが、ピストン作動部32b(ロアピストン32)の動作量ΔLdnに増幅される。
このように、上部機構室30U、流路部30a、アッパピストン31の第1平面31a、ロアピストン32のピストン作動部32b(第2平面32c)と、を含んで、アッパピストン31の動作量(ΔLup)をロアピストン32の動作量(ΔLdn)に増幅する「動作量増幅機構」が構成される。
すなわち、アッパピストン31の動作量ΔLupが、ピストン作動部32b(ロアピストン32)の動作量ΔLdnに増幅される。
このように、上部機構室30U、流路部30a、アッパピストン31の第1平面31a、ロアピストン32のピストン作動部32b(第2平面32c)と、を含んで、アッパピストン31の動作量(ΔLup)をロアピストン32の動作量(ΔLdn)に増幅する「動作量増幅機構」が構成される。
一方、アッパピストン31がΔLupだけ上動すると、上部機構室30Uの容積は、ΔVup(=ΔLup×Sup)だけ増大し、上部機構室30Uに充填される作動油Oilの油圧が低下する。その結果、ピストン作動部32bに第2平面32cを介して作用する油圧が低下し、ロアピストン32は上動しやすい状態になる。
そしてロアピストン32は、リターンスプリング37(図2の(a)参照)によって上動する。
そしてロアピストン32は、リターンスプリング37(図2の(a)参照)によって上動する。
なお、リターンスプリング37が備わらない構成、または、弾性力の弱いリターンスプリング37を備える構成、とすることも可能である。この場合、ロアピストン32は下記のように上動する。
ピストン組立体3が下動するとき、図4の(a)に示すように、ロアピストン32は開閉部32aで閉じている減衰力調節孔35から下部機構室30Lに流入しようとする作動油Oilや開放された状態の流通孔34から流入する作動油Oilから上方に向かう力を受ける。アッパピストン31が上動してロアピストン32が上動しやすい状態になっていると、ロアピストン32は作動油Oilから受ける上向きの力によって上動する。
ピストン組立体3が下動するとき、図4の(a)に示すように、ロアピストン32は開閉部32aで閉じている減衰力調節孔35から下部機構室30Lに流入しようとする作動油Oilや開放された状態の流通孔34から流入する作動油Oilから上方に向かう力を受ける。アッパピストン31が上動してロアピストン32が上動しやすい状態になっていると、ロアピストン32は作動油Oilから受ける上向きの力によって上動する。
一方、ダンパ1a(図1参照)が伸長してピストン組立体3が上動するとき、図4の(b)に示すように、下部機構室30Lには第1流体室2a(図2の(a)参照)から作動油流路36を介して作動油Oilが流れ込む。そして、図4の(c)に示すように下部機構室30Lに流れ込んだ作動油Oilの一部は、開閉部32aに下方を向いたP1の力を作用させる。
また、下部機構室30Lに流れ込んだ作動油Oilの他の一部は、下部機構室30Lの底部3aとピストン作動部32bの底面32dの間に形成される空間に流れ込み、その一部は流通孔34から第2流体室2b(図2の(a)参照)に流出し、残った作動油Oilは当該空間内でピストン作動部32bの底面32dに上方を向いたP2の力を作用させる。
また、下部機構室30Lに流れ込んだ作動油Oilの他の一部は、下部機構室30Lの底部3aとピストン作動部32bの底面32dの間に形成される空間に流れ込み、その一部は流通孔34から第2流体室2b(図2の(a)参照)に流出し、残った作動油Oilは当該空間内でピストン作動部32bの底面32dに上方を向いたP2の力を作用させる。
したがって、開閉部32aに作用する下方を向いた力P1より、ピストン作動部32bの底面32dに作用する上方を向いた力P2が大きくなるように構成すると、アッパピストン31が上動して上動しやすい状態になっているロアピストン32は、作動油Oilから受ける上向きの力P2によって上動する。
例えば、下方を向いた力P1を受ける開閉部32aの面積より、上方を向いた力P2を受けるピストン作動部32bの底面32dの面積を大きくすると、上方を向いた力P2を、下方を向いた力P1より大きくすることができ、ロアピストン32を上動させることができる。
このように構成することによって、リターンスプリング37が備わらない構成、または、弾性力の弱いリターンスプリング37を備える構成であっても、アッパピストン31が上下動した場合にロアピストン32を上動させることができる。
また、図2の(a)に示すように、本実施形態に係るアッパピストン31は、圧電体によって動作(上下動)するように構成される。
圧電体は、例えば、複数の圧電素子(ピエゾ素子)が上下方向に積層して構成される圧電素子積層体40であり、制御装置10から所定の電圧が印加されると上下方向に伸長し、電圧の印加が停止すると収縮するように構成される。
圧電素子単体の変位量は微小であるが、複数の圧電素子を上下方向に積層した圧電素子積層体40を使用することで、必要な変位量を得ることができる。
以下、圧電素子積層体40に電圧が印加されて伸長した状態を伸長状態、電圧の印加が停止して収縮した状態を定常状態と称する。
圧電体は、例えば、複数の圧電素子(ピエゾ素子)が上下方向に積層して構成される圧電素子積層体40であり、制御装置10から所定の電圧が印加されると上下方向に伸長し、電圧の印加が停止すると収縮するように構成される。
圧電素子単体の変位量は微小であるが、複数の圧電素子を上下方向に積層した圧電素子積層体40を使用することで、必要な変位量を得ることができる。
以下、圧電素子積層体40に電圧が印加されて伸長した状態を伸長状態、電圧の印加が停止して収縮した状態を定常状態と称する。
例えば、ピストンロッド4の下側内部に、ピストン組立体3の上部機構室30Uと連通するような空間からなる圧電素子収納室41が形成され、圧電素子収納室41には、上下方向に摺動可能に動作部材43が収納される。
動作部材43は上方が開口して下方に底部を有する略有底円筒状に形成され、内側に圧電素子積層体40が収納される。そして動作部材43は、圧電素子積層体40が定常状態のときに上方と圧電素子収納室41の上端部との間にわずかな間隙を形成し、下方が動作部材43の底部に接するように収納され、圧電素子積層体40が伸長すると動作部材43が下動するように構成される。
動作部材43は上方が開口して下方に底部を有する略有底円筒状に形成され、内側に圧電素子積層体40が収納される。そして動作部材43は、圧電素子積層体40が定常状態のときに上方と圧電素子収納室41の上端部との間にわずかな間隙を形成し、下方が動作部材43の底部に接するように収納され、圧電素子積層体40が伸長すると動作部材43が下動するように構成される。
また、動作部材43は上方向に付勢される構成が好ましい。例えば、動作部材43の上部に、周囲に広がるフランジ43aを形成し、フランジ43aを上方向に付勢するように、動作部材43の周囲に圧縮バネ42を備える構成とすればよい。また、図示はしないが、フランジ43aを上方に引き上げるように引張りバネを備える構成としてもよい。
なお、圧縮バネ42の弾性力は、圧電素子積層体40が伸長するときに発生する荷重より小さいことが好ましい。
また、圧電素子積層体40が定常状態のときに動作部材43の上方と圧電素子収納室41の上端部との間にわずかな間隙が形成されることで、圧縮バネ42の弾性力で圧電素子積層体40に予荷重(セット荷重)を常に与えることができる。
なお、圧縮バネ42の弾性力は、圧電素子積層体40が伸長するときに発生する荷重より小さいことが好ましい。
また、圧電素子積層体40が定常状態のときに動作部材43の上方と圧電素子収納室41の上端部との間にわずかな間隙が形成されることで、圧縮バネ42の弾性力で圧電素子積層体40に予荷重(セット荷重)を常に与えることができる。
このように圧縮バネ42を備えると、動作部材43にはフランジ43aを介して圧縮バネ42から周囲に均等に上向きの力(付勢力)が作用し、圧電素子積層体40が伸長したときに動作部材43が傾くことなく下動する。また、圧電素子積層体40への電力供給が停止して圧電素子積層体40が収縮するときに動作部材43が傾くことなく上動する。
さらに、圧電素子積層体40が定常状態のときに、動作部材43の例えば底部が、アッパピストン31の例えば上部と接し、動作部材43の下動にともなってアッパピストン31が下動するように構成すると、圧電素子積層体40の伸長でアッパピストン31を押して下動させることができる。
さらに、動作部材43とアッパピストン31とが互いに係合する係合部43b、31dをそれぞれ形成し、動作部材43の上動に伴ってアッパピストン31が上動するように構成すると、圧電素子積層体40への電圧の印加が停止したときに圧縮バネ42の付勢力でアッパピストン31を上動させることができる。
さらに、動作部材43とアッパピストン31とが互いに係合する係合部43b、31dをそれぞれ形成し、動作部材43の上動に伴ってアッパピストン31が上動するように構成すると、圧電素子積層体40への電圧の印加が停止したときに圧縮バネ42の付勢力でアッパピストン31を上動させることができる。
動作部材43は、圧電素子積層体40が伸長したときに圧電素子積層体40との接触部が圧縮変形しない剛性の高い素材(セラミックス、金属等)で構成されることが好ましく、この構成によって、圧電素子積層体40がアッパピストン31と直接接触しているのと同等の効果を得ることができる。
つまり、圧電素子積層体40とアッパピストン31が直接接触していなくても、剛性の高い素材を介在しての接触であれば、圧電素子積層体40が伸長するときに、アッパピストン31を直接押しているのと同等の効果を得ることができる。
そして、本実施形態においては、圧電素子積層体40が伸長時に、直接アッパピストン31に接触して押す構成のほか、剛性の高い素材を介在してアッパピストン31に接触して押す構成を含んで、圧電素子積層体40がアッパピストン31を直接的に押すと称する。
つまり、圧電素子積層体40とアッパピストン31が直接接触していなくても、剛性の高い素材を介在しての接触であれば、圧電素子積層体40が伸長するときに、アッパピストン31を直接押しているのと同等の効果を得ることができる。
そして、本実施形態においては、圧電素子積層体40が伸長時に、直接アッパピストン31に接触して押す構成のほか、剛性の高い素材を介在してアッパピストン31に接触して押す構成を含んで、圧電素子積層体40がアッパピストン31を直接的に押すと称する。
もちろん、動作部材43を備えることなく、圧電素子積層体40がアッパピストン31と直接接触して伸長時に直接押す構成としてもよい。
また、動作部材43をアッパピストン31と一体に形成し、圧電素子積層体40がアッパピストン31と直接接触して伸長時に直接押す構成としてもよい。
また、動作部材43をアッパピストン31と一体に形成し、圧電素子積層体40がアッパピストン31と直接接触して伸長時に直接押す構成としてもよい。
そして、本実施形態に係る減衰力可変ダンパ1(図1参照)には、図2の(a)に示すように、圧電素子積層体40が定常状態でアッパピストン31が最上位置にあるときに、液密部を貫通して、最上位置にあるロアピストン32の第2平面32cと当接する接触部(プッシュロッド31b)が備わっている。
なお、最上位置とは、アッパピストン31およびロアピストン32が上方の限界まで上動した位置(上方限界の位置)を示すものとする。
プッシュロッド31bは、例えばアッパピストン31の第1平面31aから下方に向かって延びるように形成され、ピストン作動部32bの第2平面32cの投影面積より小さい接触面積で第2平面32cに当接するように構成される。そして、ロアピストン32がアッパピストン31の動作量より大きな動作量で下動したときに第2平面32cから離反するように構成される。
なお、最上位置とは、アッパピストン31およびロアピストン32が上方の限界まで上動した位置(上方限界の位置)を示すものとする。
プッシュロッド31bは、例えばアッパピストン31の第1平面31aから下方に向かって延びるように形成され、ピストン作動部32bの第2平面32cの投影面積より小さい接触面積で第2平面32cに当接するように構成される。そして、ロアピストン32がアッパピストン31の動作量より大きな動作量で下動したときに第2平面32cから離反するように構成される。
例えば、図5の(a)に示すようにプッシュロッド31b(図2の(a)参照)が備わらない場合、最上位置にあるアッパピストン31と最上位置にあるロアピストン32は、上部機構室30U(液密部)に充填される作動油Oilを介して接続される。
この状態で圧電素子積層体40に電圧が印加されて圧電素子積層体40が伸長するとアッパピストン31が下動する。
前記したように上部機構室30Uの径方向の断面積がSupであり、アッパピストン31が動作量ΔLupで下動する場合、上部機構室30Uの容積がΔVup(=ΔLup×Sup)だけ減少する。このとき作動油OilはΔVupに相当する容積を流路部30aに確保するため、ロアピストン32を下動させる。
この状態で圧電素子積層体40に電圧が印加されて圧電素子積層体40が伸長するとアッパピストン31が下動する。
前記したように上部機構室30Uの径方向の断面積がSupであり、アッパピストン31が動作量ΔLupで下動する場合、上部機構室30Uの容積がΔVup(=ΔLup×Sup)だけ減少する。このとき作動油OilはΔVupに相当する容積を流路部30aに確保するため、ロアピストン32を下動させる。
しかしながら、ロアピストン32は停止した状態であって静摩擦力が作用している。そして、この静摩擦力に打ち勝ってロアピストン32を動作させる圧力が作動油Oilに発生するまで作動油Oilはわずかに圧縮し、ロアピストン32は停止した状態を維持する。
図5の(b)に示すように、時刻T1でアッパピストン31が下動を開始すると、時刻T2まではロアピストン32は停止した状態であり、作動油Oilがわずかに圧縮して液密部の圧力が増大する(ロアピストン32にかかる荷重が増大する)。そして、時刻T2において、ロアピストン32にかかる荷重が静摩擦力を超えたときにロアピストン32が下動を開始し、ロアピストン32にかかる荷重は減少する。時刻T3でロアピストン32が下部機構室30Lの底部に着地した後は、アッパピストン31の下動にともなって時刻T4までロアピストン32にかかる荷重が増大する。
このように、時刻T1から時刻T2までの間はアッパピストン31の下動に応じてロアピストン32が下動せず、いわゆる不感帯が形成される。そして、不感帯では減衰力可変ダンパ1(図1参照)の減衰力が変化せず減衰力の変化に遅れが発生する。
これに対し、図2の(a)に示すようにプッシュロッド31bが形成されて、最上位置にあるアッパピストン31と最上位置にあるロアピストン32がプッシュロッド31bを介して接続した状態の場合、圧電素子積層体40が伸長するときに発生する荷重をアッパピストン31、プッシュロッド31bを介して、ロアピストン32に直接伝達できる。
そして、アッパピストン31が下動(摺動)を開始するのと同時に、ロアピストン32のピストン作動部32bはプッシュロッド31bに押されて下動(摺動)を開始する。つまり、圧電素子積層体40が伸長を開始するのと同時にロアピストン32の下動を開始することができる。
また、下動を開始したロアピストン32には動摩擦力が作用する。一般的に動摩擦係数は静止摩擦係数より小さく、ロアピストン32は下動されやすい状態になる。そして、プッシュロッド31bによって下動を開始したロアピストン32は、上部機構室30Uの容積が小さくなって押し出された作動油Oilで容易に下動する。
また、下動を開始したロアピストン32には動摩擦力が作用する。一般的に動摩擦係数は静止摩擦係数より小さく、ロアピストン32は下動されやすい状態になる。そして、プッシュロッド31bによって下動を開始したロアピストン32は、上部機構室30Uの容積が小さくなって押し出された作動油Oilで容易に下動する。
このように、本実施形態に係るロアピストン32は、圧電素子積層体40の伸長に対応してアッパピストン31が下動(摺動)を開始するのと同時に、最初はプッシュロッド31bに押されて下動(摺動)を開始する。
前記したように、ロアピストン32の動作量はアッパピストン31の動作量より大きいことから、アッパピストン31の第1平面31aとピストン作動部32bの第2平面32cの距離は次第に大きくなり、ロアピストン32の下動が開始した後、プッシュロッド31bはロアピストン32の第2平面32cから離反する。そして、ロアピストン32は上部機構室30Uから流路部30aに押し出された作動油Oilによって下動が継続する。
前記したように、ロアピストン32の動作量はアッパピストン31の動作量より大きいことから、アッパピストン31の第1平面31aとピストン作動部32bの第2平面32cの距離は次第に大きくなり、ロアピストン32の下動が開始した後、プッシュロッド31bはロアピストン32の第2平面32cから離反する。そして、ロアピストン32は上部機構室30Uから流路部30aに押し出された作動油Oilによって下動が継続する。
その結果、ロアピストン32はアッパピストン31の下動(摺動)に応じて不感帯が形成されることなく連続的に下動(摺動)して減衰力調節孔35(図2の(b)参照)を閉じることができる。
以上のように、本実施形態に係る減衰力可変ダンパ1(図1参照)は、圧電素子積層体40(図2参照)の伸長に対応して不感帯を形成することなく速やかにロアピストン32(図2参照)を下動させて減衰力調節孔35(図2の(b)参照)を閉じることができ、減衰力を速やかに変化させることができる。換言すると、減衰力可変ダンパ1の減衰力の変化の応答性を向上できる。
また、アッパピストン31が下動を開始したとき、ロアピストン32のピストン作動部32bはプッシュロッド31bに押されて下動を開始することから、作動油Oilが圧縮性液体であっても圧縮の影響を受けることなくロアピストン32の下動を開始できる。したがって、作動油Oilとして圧縮性液体と非圧縮性液体のいずれも利用可能となる。例えば、圧縮性液体、非圧縮性液体を選択することなく安価な作動油Oilを利用することも可能であり、減衰力可変ダンパ1の製造コストを低下できる。
また、アッパピストン31が下動を開始したとき、ロアピストン32のピストン作動部32bはプッシュロッド31bに押されて下動を開始することから、作動油Oilが圧縮性液体であっても圧縮の影響を受けることなくロアピストン32の下動を開始できる。したがって、作動油Oilとして圧縮性液体と非圧縮性液体のいずれも利用可能となる。例えば、圧縮性液体、非圧縮性液体を選択することなく安価な作動油Oilを利用することも可能であり、減衰力可変ダンパ1の製造コストを低下できる。
なお、本実施形態においては図2の(a)に示すように、プッシュロッド31bがアッパピストン31の第1平面31aから下方に向かって形成されているが、この構成に限定されない。
例えば、図示はしないが、ロアピストン32の第2平面32cから上方に向かって延びるように形成され、アッパピストン31の第1平面31aに接触するプッシュロッドであってもよい。
この場合、プッシュロッドは、ロアピストン32がアッパピストン31の動作量より大きな動作量で下動したときに第1平面31aから離反するように構成される。
また、プッシュロッドが第2平面32cに形成される部分の面積は、第2平面32cの投影面積より小さいことが好ましい。
例えば、図示はしないが、ロアピストン32の第2平面32cから上方に向かって延びるように形成され、アッパピストン31の第1平面31aに接触するプッシュロッドであってもよい。
この場合、プッシュロッドは、ロアピストン32がアッパピストン31の動作量より大きな動作量で下動したときに第1平面31aから離反するように構成される。
また、プッシュロッドが第2平面32cに形成される部分の面積は、第2平面32cの投影面積より小さいことが好ましい。
さらに、アッパピストン31の第1平面31aから下方に向かって延びるように形成されて第2平面32cと接触するプッシュロッド31bと、ロアピストン32の第2平面32cから上方に向かって延びるように形成されて第1平面31aと接触するプッシュロッドと、をともに備える構成であってもよい。
また、例えばアッパピストン31の第1平面31aから下方に向かって円錐状に形成されるプッシュロッドや、ロアピストン32の第2平面32cから上方に向かって円錐状に形成されるプッシュロッドであってもよい。
1 減衰力可変ダンパ
2 シリンダ
2a 第1流体室
2b 第2流体室
3 ピストン組立体
30a 流路部(液密部)
30U 上部機構室(第1空間、液密部)
30L 下部機構室(第2空間)
31 アッパピストン(第1ピストン)
31a 第1平面(液密部)
31b プッシュロッド(接触部)
32 ロアピストン(第2ピストン)
32b ピストン作動部
32c 第2平面(液密部)
34 流通孔(流体通路)
35 減衰力調節孔(流体通路)
36 作動油流路(流体通路)
40 圧電素子積層体(圧電体)
2 シリンダ
2a 第1流体室
2b 第2流体室
3 ピストン組立体
30a 流路部(液密部)
30U 上部機構室(第1空間、液密部)
30L 下部機構室(第2空間)
31 アッパピストン(第1ピストン)
31a 第1平面(液密部)
31b プッシュロッド(接触部)
32 ロアピストン(第2ピストン)
32b ピストン作動部
32c 第2平面(液密部)
34 流通孔(流体通路)
35 減衰力調節孔(流体通路)
36 作動油流路(流体通路)
40 圧電素子積層体(圧電体)
Claims (2)
- 作動油が充填されたシリンダと、
前記シリンダに摺動可能に収納されて当該シリンダを第1流体室と第2流体室とに区画するピストン組立体と、
前記ピストン組立体内に形成されて前記作動油が充填される第2空間を経由して前記第1流体室と前記第2流体室とを連通する流体通路と、
前記第2空間内を摺動して前記流体通路を開閉する第2ピストンと、
前記ピストン組立体内に形成されて前記作動油が充填される第1空間内を摺動する第1ピストンと、
電圧が印加されたときに、収縮した定常状態から伸長し、前記第1ピストンを直接的に押して当該第1ピストンを摺動させる圧電体と、
前記第1空間と前記第2空間を連通する流路部と、
前記流路部内を摺動して前記第2ピストンを摺動させるピストン作動部と、
を備え、
前記第1ピストンに形成されて前記第1空間内で前記作動油に接する第1平面と、前記ピストン作動部に形成されて前記流路部内で前記作動油に接する第2平面と、前記第1空間と、前記流路部と、で囲まれて前記作動油で満たされ、前記第1ピストンの摺動方向への前記第1平面の投影面積が、前記ピストン作動部の摺動方向への前記第2平面の投影面積より大きい液密部が形成される減衰力可変ダンパにおいて、
前記第1ピストンと前記ピストン作動部の少なくとも一方には、前記圧電体が前記定常状態のときに、前記液密部を貫通して他方と当接する接触部を備えることを特徴とする減衰力可変ダンパ。 - 前記圧電体が前記定常状態のときに電圧が印加されて伸長した場合、前記ピストン作動部は前記第1ピストンが摺動を開始するのと同時に摺動を開始し、
その後、前記接触部が前記第1ピストン又は前記ピストン作動部から離反することを特徴とする請求項1に記載の減衰力可変ダンパ。
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