JP2012091559A - エアバッグ - Google Patents
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Abstract
【課題】安価に製造できるとともに安定的で迅速な展開が可能で、乗員の車外放出を効果的に防止できるエアバッグを提供する。
【解決手段】インフレータ接続部33から流入した膨張ガスGにより下方向に向けてそれぞれ展開可能な複数の縦セル37を設ける。縦セル37と直交する方向に沿って長手方向を有する横セル53を縦セル37に重ねて設ける。縦セル37と横セル53とをそれぞれ通気口59により連通して、各縦セル37に流入した膨張ガスGの一部を横セル53へと導く。膨張ガスGのピーク圧力を抑制して、圧力集中に対する補強などを施すことなく安価に製造できる。各縦セル37から横セル53へと膨張ガスGを導くので、安定的で迅速に展開可能となり、縦セル37と横セル53とのそれぞれの展開によって形状を安定して保持し、乗員の車外放出を効果的に防止できる。
【選択図】図1
【解決手段】インフレータ接続部33から流入した膨張ガスGにより下方向に向けてそれぞれ展開可能な複数の縦セル37を設ける。縦セル37と直交する方向に沿って長手方向を有する横セル53を縦セル37に重ねて設ける。縦セル37と横セル53とをそれぞれ通気口59により連通して、各縦セル37に流入した膨張ガスGの一部を横セル53へと導く。膨張ガスGのピーク圧力を抑制して、圧力集中に対する補強などを施すことなく安価に製造できる。各縦セル37から横セル53へと膨張ガスGを導くので、安定的で迅速に展開可能となり、縦セル37と横セル53とのそれぞれの展開によって形状を安定して保持し、乗員の車外放出を効果的に防止できる。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば、自動車の側部の窓部に沿って展開するエアバッグに関する。
従来、膨張ガスを導入して膨張展開するエアバッグを備えたエアバッグ装置について、自動車の車室の側方のドアの窓部などに沿ってエアバッグを展開する、いわゆるカーテンエアバッグ装置が知られている。このようなエアバッグは、通常時は、細長く折り畳まれるように圧縮された状態で、車室側面の窓部の上縁部に沿って収容されている。そして、側面衝突や横転(ロールオーバー)などの衝撃を受けた際に、インフレータから膨張ガスが供給されてエアバッグが展開し、側部の窓部などに沿って下方に向かって膨張展開することで、乗員の車外放出などを防止するように構成されている。
このようなエアバッグ装置において、乗員保護の観点から、展開したエアバッグに対して乗員が衝突した際にも、このエアバッグの形状を保持する構成が考えられる。この点、上下方向に沿って長手状に形成された複数の第1の気室としての縦セルに対して、これら縦セルと直交する水平方向に沿って長手状に形成された複数の第2の気室としての横セルを設け、縦セルと横セルとを連結セルにより接続した構成が知られている。そして、この構成では、供給された膨張ガスにより縦セルが順次垂直下方へと展開するとともに、これら縦セルに遅れて膨張ガスが連結セルに充填され、この連結セルから各横セルへと膨張ガスが供給されて各横セルが展開することにより、これら横セルによって各縦セルを車室内へと突出した弓状に湾曲させて、エアバッグの下部が車外へと抜けないようにしている(例えば、特許文献1参照)。
上記従来の構成の場合、インフレータから供給された膨張ガスが一つの縦セルにほぼ充填された後、隣接する次の縦セルに膨張ガスが順次供給され、また、連結セルに膨張ガスが充填された後に横セルに膨張ガスが供給される。そのため、インフレータに直近の縦セル、あるいは連結セルが、インフレータの出力が最大となるときに一気に高圧を受けて膨らみ、圧力が集中するので、破裂(バースト)が生じないように補強が必要となり、エアバッグを安価に製造することが容易でない。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、安価に製造できるとともに安定的で迅速な展開が可能で、乗員の車外放出を効果的に防止できるエアバッグを提供することを目的とする。
請求項1記載のエアバッグは、車室の所定面を覆い前記車室の乗員に対して面状に展開可能なエアバッグであって、膨張ガスが供給されるガス供給部と、このガス供給部に対して並列に接続され、このガス供給部から流入した膨張ガスにより第1の方向を長手方向としてそれぞれ展開可能な複数の第1の気室と、これら第1の気室の長手方向と交差する第2の方向を長手方向として前記第1の気室に重ねて配置された第2の気室と、これら第1の気室と第2の気室とを連通し、前記各第1の気室に流入した膨張ガスの一部を前記第2の気室へと導く通気口とを具備したものである。
請求項2記載のエアバッグは、請求項1記載のエアバッグにおいて、通気口は、各第1の気室に対応して複数ずつ設けられているものである。
請求項3記載のエアバッグは、請求項2記載のエアバッグにおいて、第2の気室は、第1の方向に沿って複数設けられ、それぞれ少なくとも1つの通気口により各室内側気室と連通しているものである。
請求項4記載のエアバッグは、請求項3記載のエアバッグにおいて、通気口は、前記各第1の気室に対してガス供給部から離間する側に位置するものほど開口面積が大きく設定されているものである。
請求項1記載のエアバッグによれば、ガス供給部から流入した膨張ガスにより第1の方向に向けてそれぞれ展開可能な複数の第1の気室と、これら第1の気室と交差する方向に沿って長手方向を有し第1の気室に重ねて配置された第2の気室とを通気口により連通して、各第1の気室に流入した膨張ガスの一部を第2の気室へと導くことにより、膨張ガスのピーク圧力を抑制して、圧力集中に対する補強などを施すことなく安価に製造できる。また、各第1の気室から第2の気室へと膨張ガスを導くので、安定的で迅速に展開可能となり、第1の気室と第2の気室とのそれぞれの展開によって形状を安定して保持し、乗員の車外放出を効果的に防止できる。
請求項2記載のエアバッグによれば、請求項1記載のエアバッグの効果に加え、通気口を各第1の気室に対応して複数ずつ設けることにより、各第1の気室に流入した膨張ガスを第2の気室へと多点で導くことができ、第2の気室のより迅速な展開が可能になる。
請求項3記載のエアバッグによれば、請求項2記載のエアバッグの効果に加え、第1の方向に沿って複数設けた第2の気室に対して、各第1の気室をそれぞれ少なくとも1つの通気口により連通することにより、複数の第2の気室のより迅速な展開が可能になる。
請求項4記載のエアバッグによれば、請求項3記載のエアバッグの効果に加え、ガス供給部から離間する側に位置する通気口ほど開口面積を大きくすることにより、ガス供給部から各第1の気室に流入した膨張ガスの流速が相対的に遅くなる通気口ほど第2の側気室への膨張ガスの通気量を増加させて、第1の方向に沿って複数設けた第2の気室のより平均的で均等な展開が可能になる。
以下、本発明の一実施の形態の構成を図面を参照して説明する。
図1及び図2において、10はエアバッグで、このエアバッグ10を備えたエアバッグ装置12は、カーテンエアバッグ装置とも呼ばれるもので、車両としての自動車を構成する車体13の車室14の被設置部であるルーフサイド部15に配置されている。そして、このエアバッグ10は、カーテンエアバッグ、側突用エアバッグ、インフレータブルカーテン、あるいは頭部保護エアバッグなどとも呼ばれるもので、側面衝突の衝撃を受けた際や横転(ロールオーバー)の際などに、被保護物としての座席に着席した乗員の側方にほぼ面状に展開し、乗員を保護するようになっている。
なお、以下、車幅方向である両側方向、第1の方向としての上下方向、及び、第2の方向としての前後方向などの方向は、車体13の直進方向を基準とし、下方(図1などに示す矢印D方向)、上方(図1などに示す矢印U方向)、前側方向(図1に示す矢印F方向)、後側方向(図1に示す矢印R方向)、外方(図2に示す矢印W方向)などを説明する。
そして、この自動車の車体13は、車室14内に乗員が着座可能な前席及び後席などの座席を備え、これら前席及び後席に対応して、開口可能な窓部(サイドウィンドウ)18を備えたドアが設けられている。また、車室14の両側の側部には、複数のピラーが設けられている。そして、これら窓部18、ドア及び各ピラーなどにより、車室の両側の側部に所定面である側壁部19が構成されている。また、これらピラーの上側、すなわち窓部18の一縁部である上縁部に、図示しない天井部の天井パネルが支持されている。
また、ルーフサイド部15は、車体13のドア開口部の上縁に沿った車室14の側部上縁部であり、天井パネルの両側の縁部の部分から、この縁部の部分と交差する方向に伸びる最前部のピラー及び最後部のピラーのほぼ全長にかかる部分にまで設定され、これら天井パネルの縁部の部分と最前部のピラー及び最後部のピラーとで仮想的に構成される弧の内側に、エアバッグ10が展開する側壁部19が設定される。さらに、図示しないが、天井パネルの下面すなわち車室14側には、ルーフライニングあるいはヘッドライニングなどと呼ばれる軟質のパネルであるルーフトリムが配置され、このルーフトリムにより、ルーフサイド部15の車室14側が覆われるようになっている。
そして、エアバッグ装置12は、前席及び後席の乗員を保護可能な、いわゆる前後席用エアバッグであり、ルーフサイド部15に沿って細長く折り畳んで収納されたエアバッグ10に加え、後席の後部上側に位置してエアバッグ10に膨張のための膨張ガスGを供給するガス発生器である図示しないインフレータ、エアバッグ10を取り付けるブラケット、折り畳んだエアバッグ10に沿って取り付けられた樹脂製のカバー体、折り畳んだエアバッグ10の形状を保持する形状保持部材及び制御装置などが備えられ、モジュールが構成されている。
エアバッグ10は、扁平な袋状に形成されたエアバッグ本体部21と、このエアバッグ本体部21の上縁部に形成された取付部22と、エアバッグ本体部21の下端部に取り付けられたテザー部23となどを備え、前後方向を長手方向として細長く折り畳んでルーフサイド部15に収納される。
エアバッグ本体部21は、例えば車室14側に配置される内側の第1の基布部としての室内側基布部25と、車外側に配置される外側の第2の基布部としての室外側基布部26と、これら基布部25,26の間に位置する中間基布部27とを厚さ方向に重ねて接合することにより、膨張ガスGが流入して膨張展開する袋状の室内側膨張部31及び室外側膨張部32とが厚さ方向に重ねて層状に形成されているとともに、これら膨張部31,32に連通するガス供給部としてのインフレータ接続部33とが形成されている。なお、本実施の形態のエアバッグ10は、例えばインフレータ接続部33が後部上側に形成された、リアマウント型となっている。
室内側基布部25は、前後方向に長手状の略四角形状に形成されており、インフレータ接続部33に相当する例えば後部上側を除く周縁部において、中間基布部27に対して例えば縫製されて接合された内側周辺接合部35が形成されているとともに、下端側から垂直上方へと上下方向に沿って、前後方向に複数箇所で中間基布部27に対して例えば縫製されて接合された内側接合部36が形成されている。この結果、室内側膨張部31には、前後方向に複数に分割された第1の気室としての室内側気室である縦セル37が上下方向に沿って長手状に区画形成されているとともに、これら縦セル37の上端部に連通する導管部である連通路38が前後方向に沿って長手状に形成されている。
縦セル37は、縦チャンバーとも呼ばれるもので、略気密あるいは高度な気密に構成され、前側から順に、例えば略同形状の第1ないし第5の縦セル41,42,43,44,45が互いに独立して設定されている。
また、連通路38は、インフレータ接続部33の前端部に直線状に連通している。したがって、第1ないし第5の縦セル41,42,43,44,45は、この連通路38を介して、インフレータ接続部33に対してそれぞれ互いに並列に接続されている。さらに、連通路38は、縦セル37の第1ないし第5の縦セル41,42,43,44,45に対して上側に位置している。換言すれば、縦セル37は、連通路38及びインフレータ接続部33に対して下側に位置している。
室外側基布部26は、室内側基布部25と同様に、前後方向に長手状に略四角形状に形成されており、室内側基布部25と略同形状となっている。また、この室外側基布部26は、周縁部において、中間基布部27に対して例えば接着剤により接合された外側周辺接合部51が形成されているとともに、前端側から後端側に亘って前後方向(水平方向)に沿って、上下方向に複数箇所で中間基布部27に対して例えば接着剤などにより接合された外側接合部52が形成されている。この結果、室外側膨張部32には、上下方向に複数に分割された第2の気室としての室外側気室である横セル53が前後方向に沿って長手状に区画形成されている。
横セル53は、横チャンバーとも呼ばれるもので、略気密あるいは高度な気密に構成され、上側から順に、例えば略同形状の第1ないし第3の横セル55,56,57が互いに独立して設定されている。これら第1ないし第3の横セル55,56,57は、第1ないし第5の縦セル41,42,43,44,45を横切るように配置されており、これら第1ないし第5の縦セル41,42,43,44,45と略垂直、ここでは垂直に交差して車外側に重ねられている。
また、中間基布部27は、基布部25,26と同様に、前後方向に長手状に略四角形状に形成されており、基布部25,26と略同形状となっている。また、この中間基布部27には、縦セル37の第1ないし第5の縦セル41,42,43,44,45に対応する位置に、複数の通気口59が形成されている。そして、通気口59は、インターナルベントホールとも呼ばれるもので、各縦セル37について、それぞれ第1ないし第3の横セル55,56,57に対応して第1ないし第3の通気口61,62,63が設定されている。
第1ないし第3の通気口61,62,63は、それぞれ例えば円形状に形成されている。また、各第1の通気口61は、第1ないし第5の縦セル41,42,43,44,45と第1の横セル55とを直接連通し、各第2の通気口62は、第1ないし第5の縦セル41,42,43,44,45と第2の横セル56とを直接連通し、各第3の通気口63は、第1ないし第5の縦セル41,42,43,44,45と第3の横セル57とを直接連通している。さらに、第2の通気口62は、第1の通気口61よりも開口径が大きく、第3の通気口63は、第2の通気口62よりも開口径が大きい。すなわち、通気口59は、縦セル37の下側に位置するものほど、換言すれば連通路38及びインフレータ接続部33に対して離間されているほど、開口面積が大きく、換言すれば通気抵抗が小さくなるように形成されている。したがって、この通気口59は、連通路38を介して各縦セル37に導入された膨張ガスGの流速が相対的に遅くなる下流側ほど通気量を増加させることで、膨張ガスGの流れを一定にするチューニング効果を有している。
また、エアバッグ10の取付部22は、エアバッグ本体部21の上縁部に例えば複数形成されている。そして、各取付部22は、例えばエアバッグ本体部21を構成する各基布部25,26,27の少なくともいずれかと一体に形成されている。
さらに、テザー部23は、吊り紐、テザー、テザーベルト、あるいはストラップなどとも呼ばれるもので、テザー本体部65と、このテザー本体部65の先端部に取り付けられたテザーブラケット66とを備えている。なお、本実施の形態では、テザー部23は、エアバッグ10の前部下側に位置するフロント側ストラップとなっている。
テザー本体部65は、基布などにて紐状に形成され、エアバッグ本体部21の下端部の例えば前部に連結されている。
テザーブラケット66は、例えば金属製の板状の取付金具であり、先端側に円孔67が形成されている。
そして、このテザー部23は、エアバッグ本体部21が折り畳まれた状態では、前側のピラーに沿って配置され、エアバッグ10が展開した状態では、窓部18の下端部に沿うように配置されている。
また、カバー体は、ガーニッシュあるいはピラーガーニッシュとも呼ばれるもので、ルーフサイド部15の最前部のピラー及び最後部のピラーのほぼ全長に配置され、テザー部23を覆うとともに、折り畳んだエアバッグ10の一部を覆うようになっている。そして、このカバー体は、エアバッグ10の展開時に一部が屈曲することによりエアバッグ10を膨張展開可能としている。
一方、インフレータは、円柱状のインフレータ本体部を備え、このインフレータ本体部に、薬剤を燃焼させる燃焼式(パイロテクニックタイプ)、膨張ガスGを高圧で貯蔵する貯蔵式(ストレージタイプ)、あるいはこれら燃焼式と貯蔵式とを組み合わせたハイブリッド式などのガス発生手段が内蔵されている。そして、このインフレータ本体部の長手方向の一端部である前端部には、膨張ガスGを噴射するガス噴射部が設けられ、このガス噴射部が接続管によりインフレータ接続部33に接続されている。また、インフレータ本体部の後端部には、ハーネスと呼ばれる電線が接続されるコネクタ部が設けられている。
さらに、制御装置は、インフレータに電気的に接続されている。
また、形状保持部材は、所定の形状に折り畳まれたエアバッグ10の形状を保持して折り崩れを防止するもので、破断可能なスリットを設けた筒状部材や、破断可能な粘着テープなどが用いられる。なお、エアバッグ10の折り畳み形状は、種々の構成とすることが可能であるが、例えば縦セル37の部分を下側からロール状に折り畳み、連通路38の部分を蛇腹状に折り畳んだ形状とすることができる。
次に、エアバッグ装置12の車体13への取付作業を説明する。
この取付作業は、まず、エアバッグ装置12のモジュールを車室14内に持ち込み、エアバッグ10をルーフサイド部15に沿って曲げながら配置するとともに、取付部22をブラケットを介し固定具を用いてルーフサイド部15の上部固定点に固定する。
そして、エアバッグ10のテザー部23を最前部のピラーに沿わせ、このテザー部23のテザーブラケット66を、円孔67に挿入した図示しないボルトなどによりピラーに取り付ける。また、インフレータを図示しないリテーナを用いて車体13に取り付け、このインフレータから導出されたハーネスを車体13に備えた制御装置に接続する。
さらに、ルーフサイド部15の各ピラーにカバー体を取り付けるとともに、車体13の天井パネルにルーフトリムを取り付け、これらカバー体及びルーフトリムでエアバッグ装置12を覆うことにより、エアバッグ装置12の車体13のルーフサイド部15への取付作業が完了する。
次に、エアバッグ10の展開動作を説明する。
車両の側面衝突あるいは横転などの際には、制御装置によりインフレータを作動させる。そして、インフレータから噴射される膨張ガスGがインフレータ接続部33からエアバッグ本体部21内に導入されると、まず、連通路38に膨張ガスGが導入され、この連通路38が展開して形状保持部材が開裂し、ルーフトリムを下方に押し開いて、エアバッグ10のエアバッグ本体部21がルーフサイド部15から下方に迅速に突出する。次いで、各縦セル37(第1ないし第5の縦セル41,42,43,44,45)がほぼ同時に下方に向けて展開し、各縦セル37に導入された膨張ガスGは、通気口59の第1ないし第3の通気口61,62,63を介して、横セル53の第1ないし第3の横セル55,56,57へと順次導かれ、縦セル37の第1ないし第5の縦セル41,42,43,44,45の下方へと展開してゆくに従って、第1ないし第3の横セル55,56,57が順次展開してゆく。この結果、エアバッグ10が、窓部18を含む側壁部19を覆って迅速にカーテン状に膨張展開する。
このように、エアバッグ10は、縦セル37と横セル57とが交差して展開し、すなわち、第1ないし第5の縦セル41,42,43,44,45と第1ないし第3の横セル55,56,57とが互いに長手方向を交差さらには直交させて層状に組み合わされた状態となる。そこで、乗員が車室側である側方からエアバッグ10に対して当接した場合にも、エアバッグ10の形状が平面状に保持され、乗員を車室内に留めることができる。
そして、インフレータ接続部33から流入した膨張ガスGにより下方向に向けてそれぞれ展開可能な複数の縦セル37と、これら縦セル37と交差(直交)する方向に沿って設けた横セル53とを通気口59により連通して、各縦セル37に流入した膨張ガスGの一部を横セル53へと導くことにより、膨張ガスGのピーク圧力を抑制して、圧力集中に対する補強などを施すことなく安価に製造できる。すなわち、上記一実施の形態のエアバッグ10は、インフレータの直近の気室に膨張ガスGが充填されてから次の気室に膨張ガスGが供給される構造でないため、膨張時に一気に高圧を受ける気室が存在せず、エアバッグ10の補強などが不要となり、安価に製造できる。
また、縦セル37と横セル53とは、1枚の基布である中間基布部27のみで区画され、この中間基布部27に形成した通気口59を介して各縦セル37から横セル53へと直接膨張ガスGを導くので、エアバッグ10が安定的で迅速に展開可能となり、縦セル37と横セル53とのそれぞれの展開によってエアバッグ10の形状を安定して保持し、乗員の車外放出を効果的に防止できる。
さらに、通気口59を各縦セル37に対応して複数ずつ設けることにより、各縦セル37に流入した膨張ガスGを横セル53へと多点で導くことができ、横セル53のより迅速な展開が可能になる。
また、上下方向に複数設けた横セル53に対して、各縦セル37をそれぞれ第1ないし第3の通気口61,62,63により連通することにより、複数の横セル53のより迅速な展開が可能になる。
そして、インフレータ接続部33に対して下側に設けられた各縦セル37の下側に位置する通気口59ほど開口面積を大きくすることにより、インフレータ接続部33から各縦セル37に流入した膨張ガスGの流速が相対的に遅くなる下側の通気口59ほど横セル53への膨張ガスGの通気量を増加させて、上下方向に複数設けた横セル53(第1ないし第3の横セル55,56,57)のより平均的で均等な展開が可能になる。
そして、このエアバッグ10は、平均的かつ均等に縦セル37及び横セル53が膨張する作動構造となり、乗員拘束性能面で安定した展開順序となるので、乗員の着座位置により性能が異なることがない。
なお、上記の一実施の形態において、通気口59の形状、位置及び大きさは、各縦セル37と各横セル53とを連通させることができれば、任意に変えることができる。特に、各縦セル37と各横セル53とは、それぞれ1つの通気口59だけでなく、複数の通気口により連通するように構成してもよい。
また、各基布部25,26,27は、それぞれ縫製により接合しても良く、それぞれ接着して接合しても良い。すなわち、縦セル37と横セル53との気密性を確保できれば、各基布部25,26,27の接合には任意の方法を用いることが可能である。
さらに、各基布部25,26,27を縫製により接合した箇所には、シリコーン系のシーリング剤を用いて気密性を向上しても良い。
また、インフレータ接続部33は、エアバッグ装置12のインフレータの配置に対応させて、例えばエアバッグ10の前後方向の中間位置、あるいは前側などに形成してもよい。
さらに、縦セル37は、複数設けられていればその個数は5つに限定されるものではない。同様に、横セル53は、少なくとも1つ設けられていればその個数は3つに限定されるものではない。
そして、エアバッグ10は、上側から下側に向かって展開して自動車の側方の窓部18を覆う構成に限られず、例えばドアの上部から上側に向かって展開する、いわゆるドアマウントエアバッグ、あるいは、シートの背部の側部から前側に向かって展開する、いわゆるサイドエアバッグなど、所定面に沿って面状に膨張展開する必要がある適宜のエアバッグ装置に適用できる。
本発明は、自動車の側部の窓部に沿って取り付けられ展開することで乗員を保護するエアバッグに適用できる。
10 エアバッグ
14 車室
19 所定面である側壁部
33 ガス供給部としてのインフレータ接続部
37 第1の気室としての縦セル
53 第2の気室としての横セル
59 通気口
G 膨張ガス
14 車室
19 所定面である側壁部
33 ガス供給部としてのインフレータ接続部
37 第1の気室としての縦セル
53 第2の気室としての横セル
59 通気口
G 膨張ガス
Claims (4)
- 車室の所定面を覆い前記車室の乗員に対して面状に展開可能なエアバッグであって、
膨張ガスが供給されるガス供給部と、
このガス供給部に対して並列に接続され、このガス供給部から流入した膨張ガスにより第1の方向を長手方向としてそれぞれ展開可能な複数の第1の気室と、
これら第1の気室の長手方向と交差する第2の方向を長手方向として前記第1の気室に重ねて配置された第2の気室と、
これら第1の気室と第2の気室とを連通し、前記各第1の気室に流入した膨張ガスの一部を前記第2の気室へと導く通気口と
を具備したことを特徴とするエアバッグ。 - 通気口は、各第1の気室に対応して複数ずつ設けられている
ことを特徴とする請求項1記載のエアバッグ。 - 第2の気室は、第1の方向に沿って複数設けられ、それぞれ少なくとも1つの通気口により各室内側気室と連通している
ことを特徴とする請求項2記載のエアバッグ。 - 通気口は、前記各第1の気室に対してガス供給部から離間する側に位置するものほど開口面積が大きく設定されている
ことを特徴とする請求項3記載のエアバッグ。
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