第1の発明の空気調和機は、左右方向に駆動する人体検知センサを備え、人体検知センサが駆動して検知可能な領域の角度Xに対して、人体検知センサの配光角度Yは、角度Xの2分の1未満に設定されることにより、少数の人体検知センサで熱源の位置を特定することができる。
第2の発明の空気調和機は、特に第1の発明において、人体検知センサの配光角度Yは、角度Xの3分の1未満に設定されることで、検知方向を3分割することができ、左、真ん中、右の3方向の熱源を特定することができる。
第3の発明の空気調和機は、特に第1または第2の発明において、人体検知センサの配光角度Yを18/π以上に設定することで、5メートル離れた場所(12畳相当の部屋をカバー)の人体を確実に検知することができる。
第4の発明の空気調和機は、特に第1から第3の発明において、人体検知センサの配光角度Yを12/π以上に設定することで、7.5メートル離れた場所(23畳相当の部屋をカバー)の人体を確実に検知することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態における空気調和機の室内ユニットの正面斜視図、図2は室内ユニット1の縦断面図である。図1および図2に示すように室内ユニット1は、内部に室内空気と冷媒とが熱交換を行なう室内熱交換器2を備え、略V字形状の室内熱交換器2の内方に加熱または冷却された空気を室内へ送風する室内送風機3を有している。
また、室内ユニット1の吹出し口には、室内送風機3にて左右方向に吹出される風の吹出し方向を変更する左右風向羽根4(本実施の形態では、第1左右風向羽根4Aと第2左右風向羽根4B)を有しており、それぞれが独立して左右方向に動作する。また、室内ユニット1の吹出し口には、上下方向に吹出し方向を変更する上下風向羽根5(本実施の形態では、第1上下風向羽根5Aと第2上下風向羽根5B)を有して下り、それぞれが独立して上下方向に動作する。
また、吹出し口の上部には、室内ユニット1の筐体内部に赤外線の変化を検出する人体
検知センサユニット6を配置している。
図3は、人体検知センサユニット6の構成図である。図3において、本実施の形態の人体検知センサユニットは、被空調エリア(屋内)の遠方エリアの赤外線変化を検知する遠距離用人体検知センサ7Aおよび近傍エリアの赤外線変化を検知する近距離用人体検知センサ7Bを有している。なお、本実施の形態では遠距離用人体検知センサ7Aと近距離用人体検知センサ7Bとを有しているが、これに限定されることはなく、能力の小さいサイズの空気調和機であれば、大きな部屋での空調を想定していないため、近距離用人体検知センサ7Bのみを設けて構成してもよい。
そして、遠距離用人体検知センサ7Aと近距離用人体検知センサ7Bとを同期させて同じ方向に駆動するステッピングモータ8、ステッピングモータ8の回転を伝達する為の伝達ロッド9A、伝達ロッドを介して伝わったステッピングモータ8の回転を遠距離用人体検知センサ7Aおよび近距離用人体検知センサ7Bに伝達する為の連結レバーアーム9Bを有する。
そして、連結レバーアーム9Bの作用により、遠距離用人体検知センサ7Aと近距離用人体検知センサ7Bとが、ステッピングモータ8の回転に対し、同一量の回転となるため、遠距離用人体検知センサ7Aと近距離用人体検知センサ7Bとを同時に同一左右方向に向かせることが可能である。
なお、人体検知センサユニット6は図1に示される通り、室内送風機3によって吹出される風の吹出し口上部に設置し、室内送風機3によって吹出される加熱又は冷却された空気によって遠距離用人体検知センサ7Aおよび近距離用人体検知センサ7Bが誤検知しないような取付け構成としている。例えば、温風や冷風が直接当たる箇所に設けてしまうと、その風の影響を受けてしまい、誤検知をしてしまう。
特に、空気調和機の停止時には前面パネルが閉じており、人体検知センサユニットが隠れるような構成となっており、空気調和機の運転時には前面パネルが開き、人体検知センサユニットが現れる構成となっている。そのためデザイン性がよく、また、前面パネルに人体検知センサユニットを取り付ける必要がないため、人体検知センサユニットから出ているリード線等の引き回しも容易である。なお、図1は、前面パネルが開いた状態の斜視図を示している。
次に、本実施の形態における人体検知の制御について説明する。
まず、空調エリアの考え方から説明する。図4aは遠距離用人体検知センサ7Aの検知角度を示した模式図であり、図4bは近距離用人体検知センサ7Bの検知角度を示した模式図である。図4aおよび図4bに示すように、本実施の形態では遠距離用人体検知センサ7Aの検知角度は35度としており、室内ユニット1を中心に約3m程度から約10mを超える程度までのエリアを検知可能としている。また、近距離用人体検知センサ7Bの検知角度は55度としており、室内ユニット1から約5m程度までのエリアを検知可能としている。なお、上述した検知エリアは上記数値に限定されることなく、適宜変更可能であるし、室内ユニット1の取り付け位置(高さ方向)によっても異なる。
また、本実施の形態では、遠距離用人体検知センサ7Aと近距離用人体検知センサ7Bの2つを設けているため、近距離用人体検知センサ7Bのみで検知可能な場所をn領域、遠距離用人体検知センサ7Aおよび近距離用人体検知センサ7Bとで検知可能な場所をm領域、遠距離用人体検知センサ7Aのみで検知可能な場所をf領域としている。なお、本実施の形態では、2つの人体検知センサを左右方向に配置して設けたが、これに限定され
ることはなく、上下方向もしくは斜め方向に配置しても問題はない。
図5は、2つの人体検知センサを用いて検知可能なエリアを示した図である。図5に示すように、上述したように室内ユニット1から奥行き方向に向かってn領域、m領域、f領域の3つの領域に分割できる。本実施の形態では、近距離域をn領域、中距離域をm領域、遠距離域をf領域として称する。また、図5に示すように、左右方向に大きく9つの領域に分割しており、A領域からI領域としている。
つまり、一つの室内に対して、奥行き方向に3分割、左右方向に9分割しているため、詳細には27領域の空調エリアに分割され、近距離域ではAn領域からIn領域、中距離域ではAm領域からIm領域、遠距離域ではAf領域からIf領域のエリアに分割される。
次に、上述された空調エリアにおいて人体検知センサに基づいて人体を特定する方法について説明する。図6は、運転開始から人体検出に基づく空調までの一連のフローを示した図である。なお、本実施の形態では人体検知センサ7という標記方法を用い、人体検知センサ7と記載することによって、大能力タイプの室内ユニットの場合は、遠距離用人体検知センサ7Aおよび近距離用人体検知センサ7Bの両方を指し、小能力タイプの室内ユニットの場合は、近距離用人体検知センサ7Bのみを指すこととする。
まず、本実施の形態の室内ユニット1の動作について、図6を用いて説明する。図6に示すように、リモコン等により室内ユニット1へ空調運転を開始する指示がなされると、まずステップSP1にて左側端部から右側端部(もしくは右側端部から左側端部)へ向けて、所定の駆動速度で人体検知センサ7を駆動させ、室内に存在する熱源の位置を検出する走査モードを実施する。このときは未だ人体と人体以外の熱源との区別は行なっておらず、あくまでも熱源の位置を特定している。なお、本実施の形態における走査モードとは左右方向に駆動して熱源を特定するモードである。
そして、ステップSP1の走査モードにて検出された熱源に対して、人体であるのか障害物(例えば、家具やテレビ等)であるのかを判別するために、熱源に対して人体検知センサ7の向きを固定して、人体か人体以外の熱源かを判断する固定モードへと移る。このとき、走査モードにて検出される熱源が複数の場合は、いずれの熱源に対してまず固定モードへ移るのかという固定順序決定(ステップSP2)と、その熱源に対してどのような方向に固定するかという固定位置決定(ステップSP3)とを経て、ステップSP4にて固定モードにて人体と人体以外の熱源とを判断している。
そして、固定モードにて熱源が人体か人体以外の熱源かを特定した後、その人体検出結果に基づいて、どの空調エリアへ対して空調を行なえばよいのかを判断し、空調を行なう(ステップSP5)。そして、ステップSP6では、リモコン等で室内ユニット1へ運転の停止を指示するか、設定したタイマーによって所定の時間が来たときに自動で室内ユニット1の運転が停止することによって、室内ユニット1の運転が停止するが、室内ユニット1の運転が継続される場合は、ステップSP1に戻って、再び走査モードで熱源を検出する。このように、室内ユニット1の運転が停止するまでは、走査モードと固定モードとを繰り返し行なうことによって、時々刻々と変化する室内の状況を正しく検知し、空調に反映させることができるので、最適な空調環境を実現することができる。
次に、図6に示すそれぞれのステップについて詳しく説明する。
図7は、人体検知センサ7が熱源位置を特定する走査モードの分割領域を示した図である。図5においては空調エリアを27エリアに分割しているが、走査モードにおける熱源
特定位置の分割領域は、左右方向に25エリアを分割して細かく熱源の位置を特定している。以降、本明細書ではA0〜I1までの25分割されたエリアを小領域と称し、近距離域、中距離域、遠距離域の区別を行なわない。また、小領域と空調エリアとは対応しており、A0とA1はAn〜Af領域をカバーし、以下、B0〜B2はBn〜Bf領域、C0〜C2はCn〜Cf領域、D0〜D2はDn〜Df領域、E0〜E2はEn〜Ef領域、F0〜F2はFn〜Ff領域、G0〜G2はGn〜Gf領域、H0〜H2はHn〜Hf領域、I0〜I1はIn〜If領域をそれぞれカバーしている。
図7に示したA0からI1までの小領域は、ステッピングモータ8のパルス位置と連動しており、夫々の小領域A0からI1までの幅領域(つまり、ステッピングモータ8のパルス幅)は略等しい。但し、A0およびI1の両端部の小領域は、他の小領域の半分のパルス幅としている。これは人体検知センサ7の向きとステッピングモータ8のパルス位置とを連動させているため、両端部においては左側半分もしくは右側半分のデータを検出することができないためである。本実施の形態では、小領域A0はステッピングモータの1パルスから25パルスに該当し、小領域A1は26パルス〜75パルス、・・・(途中は全て50パルスきざみで小領域を形成)・・、小領域I1は1176パルスから1200パルスとしている。
図7における網掛け部分は、人体検知センサの検出領域を概念的に示している部分である。まず、室内ユニット1へ空調運転開始の指示がされると、ステッピングモータ8の駆動によって所定速度Vdで人体検知センサ7が左右方向に駆動する。本実施の形態では、初期の所定速度Vdは2deg/secとしている。そして、左側端部ZLから右側端部ZR(もしくは右側端部ZRから左側端部ZL)に到達するまで、人体検知センサ7が駆動する。なお、駆動方向は前回の走査モード時に人体検知センサ7がどちらの方向で停止したかにより、人体検知センサ7が停止している側の端部を、次回の走査モードの人体検知センサ7が駆動する起点としている。
そして、左側端部ZLから右側端部ZRに到達するまで、人体検知センサ7で赤外線の変動を検出し、人体検知センサの出力値がある一定の閾値Vpp(例えば、1[V])を超えたときに、(人体相当の)熱源が存在すると判断する。この熱源の判定は、ステッピングモータ8のパルス位置と連動しており、1パルス駆動する毎に熱源の在否を判定している。
次に、ステッピングモータ8が1パルス動く毎に熱源の在否を判定した結果、小領域毎に所定値(例えば、3回)以上のパルス位置で熱源が存在すると判定された場合は、その小領域内に熱源が存在すると判定される。なお、所定値は3回に限定されることはなく、人体検知センサの仕様やシステムの構成に応じて適宜変更しても構わない。
また、小領域毎に所定値未満のパルス位置でしか熱源が存在しないと判断された場合には、その小領域内には熱源が存在しないと判定される。これは人体検知センサ7がノイズもしくは人体よりも非常に小さいものを検知してしまっている可能性があるからである。
例えば、A1における小領域を例にとって説明する。ステッピングモータ8が26パルスから75パルスまで動く間に、人体検知センサ7である一定の閾値Vpp以上の赤外線変動を検出した回数が4回であった場合には、所定値(ここでは3回とする)を超えているので、小領域A1には熱源が存在すると判定される。しかしながら、人体検知センサ7がA1を検知している間に赤外線変動を検出した回数が2回であった場合には、所定値未満であると判断し、小領域A1には熱源が存在しないと判定される。
このような走査モード時において、熱源を検出しすぎてしまう、もしくは熱源を殆ど検
出しないという場合が発生してしまうことがある。本実施の形態に記載の人体検知センサ7は、焦電型赤外線センサを用いており、放射される赤外線量の変化(温度変動)を検出するものである。このような焦電型赤外線センサを用いた場合、空調される領域と熱源との温度差があまり無い場合や、人体検知センサから熱源までの距離が遠い場合、人体検知センサ自体の仕上がりのばらつきによって出力値に差が生じてしまう場合、人体検知センサ自体の劣化等によって、上記のような問題が発生してしまうことが考えられる。
そこで、本実施の形態では、熱源が存在すると判定された小領域が、ある一定の個数N1未満(例えば、5個)であるときは、人体が検出できていないと判断し、速度Vdを一定の速度だけ上昇させて、再び人体検知センサ7を左右方向に駆動させる(例えば、本実施の形態では、初期速度をVd=2deg/seccとしているので、0.5deg/sec上昇させて、Vd=2.5deg/secとする)。
そして再び、走査モードで熱源の判定を行なったとしても、小領域にある熱源の個数が一定の個数N1に達しない場合は、さらに一定の速度だけ速度Vdを上昇させて、さらに走査モードを継続させる。このように、熱源が存在すると判定された小領域が一定の個数N1に達するまで走査モードを続ける。
但し、人体相当の熱源が実際に無い場合もあるので、速度Vdに上限(例えば、4deg/sec)を設け、上限を超えた速度には加速しないものとする。なお、この上限値は上記に限定されることはなく、最も人体を検出するのが困難な条件(熱源までの距離が遠い場合や、熱源と周りとの温度差が少ない場合等)においても検出できる程度の速度であえれば問題ない。
一方、熱源が存在すると判定された小領域が、ある一定の個数N2以上であるときは、人体以外の熱源を多数検出してしまっていると判断し、速度Vdを一定の速度だけ減速させて、再び人体検知センサ7を左右方向に駆動させる(例えば、本実施の形態では、初期速度をVd=2deg/seccとしているので、0.5deg/sec減少させて、Vd=1.5deg/secとする)。
そして再び、走査モードで熱源の判定を行なったとしても、小領域にある熱源の個数が一定の個数N2以上である場合は、さらに一定の速度だけ速度Vdを減少させて、さらに走査モードを継続させる。このように、熱源が存在すると判定された小領域が一定の個数N2未満となるまで走査モードを続ける。
但し、熱源が実際に多数存在し、小領域の多くで熱源を検出している場合も考えられる。そこで速度Vdに下限(例えば、1deg/sec)を設け、下限よりも低い速度にはしないものとする。なお、この下限値は上記に限定されることはなく、最も人体を検出するのに容易な条件において検出できる程度の速度であれば問題はない。
以上のように、本実施の形態ではN1およびN2という閾値を設けることで、正確な熱源位置を検出することができる。これは、本実施の形態が人体検知センサ7に採用している焦電型赤外線センサは、人体相当の熱源を検出させようとすると、駆動速度をある一定の速度までは上昇させることで出力値が高くなり、駆動速度をある一定の速度まで減じることによって出力値が低くなるという傾向を有しているためであり、このような性質を人体検知と紐付けることによって正確に人体相当の熱源を特定することができる。
また、走査モードにおいて人体検知センサ7の駆動速度を加減速させながら熱源位置の特定を行なうが、人体検知センサ7の駆動速度を加速したことによって熱源の位置が一定の個数N2以上となり、その結果、人体検知センサ7の駆動速度を減速すると、今度は熱
源の特定位置が一定の個数N1未満となり、再度、人体検知センサ7の駆動速度を加速させる必要がでてくる。この場合、人体検知センサ7の加速と減速とを繰り返す状況に陥ってしまい、走査モードが終了せず、いつまで経っても熱源の特定が終了しないという問題がでてくる。
そこで、本実施の形態では走査モードの回数に上限(例えば、7回)を設け、強制的に走査モードを終了するようにしている。このときの上限回数は走査モードの繰り返しを規制するために設けるものであるので、適宜状況に応じて設定可能であるが、例えば、下限速度から上限速度へ、もしくは上限速度から下限速度へ到達する回数を設定することで、確実に熱源走査を行うことができる(本実施の形態では下限速度を1deg/sec、上限速度を4deg/sec、加減速度を0.5deg/secとしているので、走査モードの上限回数を7回に設定しておけば、すべての駆動速度において走査モードを実行することができる)。
なお、走査モードにおいて人体検知センサが熱源を検出し、出力値が一定の閾値Vppを超え、熱源が存在すると判定し確定するまでには時間が掛かってしまい、実際のパルス位置と熱源が確定した位置にズレが生じることが考えられる。例えば、ステッピングモータ8が10パルスの位置に居る時に検出したデータが、ステッピングモータ8が40パルスの位置になった時に熱源位置として取得してしまう場合がある。その場合、実際の熱源位置はステッピングモータ8が10パルスのときのデータであるので、駆動方向とは逆方向に所定のパルス値だけ補正して正確なデータを取得するようにしている。
そこで、本実施の形態では、実際のパルス位置と熱源が確定した位置とのズレを補正するため、左側端部ZLから走査がスタートした場合は左方向へ、右側端部ZRからスタートした場合は右方向へ一定のパルス値(例えば、30パルス)だけ判定結果の位置をずらし、熱源位置とパルス位置を略一致させる。このときにずらすパルス値(上記では30パルスとした)は、温度条件等により可変としてもよいし、適宜状況に応じた値に変更可能である。
以上、図6に示すステップSP1の走査モードについて説明した。次に、ステップSP2について説明する。
ステップSP1の走査モードにて小領域に熱源があるかどうかを特定すると、次に熱源が人体であるかどうかを判定するために、固定モードへと移行する。しかしながらステップSP1では熱源が複数検出されている場合があるので、どの熱源から順番に固定モードで人体かどうかを判断するかを決定している。なお、本実施の形態における固定モードとは人体検知センサ7を固定して熱源を特定するモードである。以下、固定モードについて説明するが、固定モードでは空調エリアのブロックという考え方を用いている。
図8は空調エリアを3つのブロックに分けた図である。まずブロックの定義について説明する。図5に示される27の領域(左右に9方向)を、図8に示すように3つのブロックに分割する。つまりAn〜Af、Bn〜Bf、Cn〜Cf領域をブロックLとし、Dn〜Df、En〜Ef、Fn〜Ff領域をブロックCとし、Gn〜Gf、Hn〜Hf、In〜If領域をブロックRとする。
本実施の形態では、走査モードにて25方向の熱源を特定したが、25方向全ての熱源に対して人体かどうかを判断せずとも、空調エリアが左右に9方向であるので、人体を特定する時間を短時間で行なわなければならないということを鑑みれば、9方向の固定モードを実施すればよい。
また、本実施の形態においては、熱源の位置よりも優先してブロックの順序が決定される。なぜならば、走査モードにて熱源を複数検出した場合、次に複数の熱源の固定モードの順番を決定する時に、同一ブロックの熱源ばかりが上位の順番に来てしまうと、他のブロックへの人体判定がなかなかされず、他のブロックに人体が居た場合、そのブロックにいる人へ不快感を与えてしまいかねない。
図5に示すように、本実施の形態では空調エリアが27の領域に分割される。そして、27の領域を生活領域(よく人が居る領域)、移動領域(人が移動する領域)、非生活領域(人が殆ど存在しない領域)の3つの領域に分別されている。27の領域がこれらの3つの領域のいずれに該当するかは人体検知センサ7の検出結果に基づいて判定されるが、室内ユニット1の初回起動時などは全く検出が行なわれていないため、全ての領域を非生活領域と設定している。
また、生活頻度の考え方について説明する。空調エリアである3つのブロックのそれぞれに含まれる領域のうち、1つの領域でも生活領域が存在する場合は、生活頻度が最も高いブロックとする。また、3つのブロックのそれぞれに含まれる領域のうち、1つも生活領域は存在しないが移動領域は存在する場合は、生活頻度が2番目に高いブロックとする。また、3つのブロックのそれぞれに含まれる領域のうち、1つも生活領域も移動領域も存在しない場合は、非生活ブロックとし生活頻度が最も低いブロックとする。
図9は、ブロックの順序決定を示したフロー図である。まず、ブロックの順序決定について説明する。
図9のステップSP11では、3つのブロックのそれぞれにおいて生活頻度が異なるかどうかを判断する。3つのブロックの生活頻度が全て異なる場合は、ステップSP27へ進む。3つのブロックのうち生活頻度が同じものがある場合は、ステップSP12へ進む。例えば、ブロックLは生活頻度が最も高いブロック、ブロックCは生活頻度が2番目に高いブロック、ブロックRは生活頻度が最も低いブロックとなった場合は、SP27へ進むことになる。
ステップSP12では、3つのブロックの生活頻度を比較し、3つのブロックのうち2つのブロックの生活頻度が同じである場合は、ステップSP20へ進み、3つのブロックのうち全てのブロックの生活頻度が同じである場合は、ステップSP13へ進む。例えば、ブロックLは生活頻度が最も高いブロック、ブロックCは生活頻度が最も高いブロック、ブロックRは生活頻度が2番目に高いブロックとなった場合は、ステップSP20へ進むことになる。
ステップSP13では、走査モードにおいてステッピングモータ8が1パルス駆動する毎に検出した熱源のカウントが3つのブロック全てで異なるかどうかを判断し、全てのブロックにおいて熱源のカウントが異なる場合は、ステップSP19へ進み、3つのブロックのうち2つでも熱源のカウント数が同じであれば、ステップSP14へ進む。
ステップSP14では、3つのブロックのうち、全てのブロックにおいて熱源のカウント数が同じであれば、ステップSP15へ進み、1つでも熱源のカウント数が他のブロックと異なる場合は、ステップSP16へ進む。
ステップSP15では、全てのブロックにおいて、生活頻度が同じであり、熱源のカウント数も同じであるため、固定モード時における各ブロック間の順位を、ブロックCを1番目、ブロックRを2番目、ブロックLを3番目としている。この場合には、全てのブロックにおいて条件は等しいので、順位付けにおいてはどのような順位であっても構わない
が、本実施の形態のように、ブロックCを1番目に持ってくることで、まず空調エリアの真ん中のブロックで熱源が人体かどうかを最初に判定するので、他のブロックにもし人体があったとしても、他のブロックの人体への不快感を最小限に抑えることができる(もしブロックR、ブロックC、ブロックLのそれぞれに人が居た場合、ブロックRもしくはブロックLを1番に持ってくると、ブロックCを挟んで反対側のブロックへの空調効果は小さく、人体への不快感の影響度合いが大きい)。
ステップSP16では、各ブロックの熱源のカウント数において、2つのブロックの熱源のカウント数が同数で、1つのブロックの熱源のカウント数が、他の2つのブロックの熱源のカウント数よりも小さい場合はステップSP17へ進む。また、2つのブロックの熱源のカウント数が同数で、1つのブロックの熱源のカウント数が、他の2つのブロックの熱源のカウント数よりも大きい場合はステップSP18へ進む。
ステップSP17では、2つのブロックのカウント数が、他の1つのブロックのカウント数よりも大きいので、2つのブロックの順位付けはブロックC(1位)<ブロックR(2位)<ブロックL(3位)という規則にしたがって1番と2番の順位付けがされ、他の1つのブロックは3番の順位付けがされる。例えば、熱源のカウント数がブロックLとブロックCとで同数で、かつ、ブロックRの熱源のカウント数が他のブロックよりも低い場合は、ブロックCが1番、ブロックLが2番、ブロックRが3番という順位付けとなる。
ステップSP18では、2つのブロックのカウント数が、他の1つのブロックのカウント数よりも小さいので、最もカウント数が大きいブロックが1番となり、同数の2つのブロックの順位付けは、ブロックC(1位)<ブロックR(2位)<ブロックL(3位)という規則にしたがって2番と3番の順位付けがされる。例えば、熱源のカウント数がブロックLとブロックCとで同数で、かつ、ブロックRの熱源のカウント数が他のブロックよりも高い場合は、ブロックRが1番、ブロックCが2番、ブロックLが3番という順位付けとなる。
ステップSP19では、全てのブロックにおいて熱源のカウント数が異なるため、熱源のカウント数に応じて、ブロック毎の順位が決定される。例えば、ブロックRの熱源のカウント数が1番大きく、ブロックCの熱源のカウント数が1番小さい場合は、ブロックRが1番、ブロックLが2番、ブロックCが3番という順位付けとなる。
ステップSP20では、生活頻度が1つのみ異なるブロックが存在するが、その1つのみ異なるブロックが、他の2つのブロックの生活頻度よりも低い場合は、ステップSP21へ進み、他の2つのブロックの生活頻度よりも高い場合は、ステップSP24へ進む。例えば、ブロックRとブロックCの生活頻度が最も高いブロックであり、ブロックLの生活頻度が最も低いブロックである場合は、ステップSP21へ進み、ブロックRとブロックCの生活頻度が最も低いブロックであり、ブロックLの生活頻度が最も高いブロックである場合は、ステップSP24へ進む。
ステップSP21では、生活頻度が同じ2つのブロックのうち、熱源のカウント数が同じであるかどうかを判断し、2つのブロックのうち熱源のカウント数が同じであれば、ステップSP22へ進み、2つのブロックのうち熱源のカウント数が異なれば、ステップSP23へ進む。
ステップSP22では、生活頻度が同じ2つのブロックを、ブロックC(1位)<ブロックR(2位)<ブロックL(3位)という規則にしたがって順位付けを行なう。例えば、ブロックRとブロックLの生活頻度が同じで、かつ、熱源のカウント数が同じであり、ブロックCの生活頻度が最も低い場合は、ブロックRが1番、ブロックLが2番、ブロッ
クCが3番という順位付けとなる。
ステップSP23では、生活頻度が同じ2つのブロックにおいて、熱源のカウント数が多い方を1番目とし、少ないほうを2番目とする。そして生活頻度が最も低いブロックを3番目とする。
ステップSP24では、生活頻度が同じで低い2つのブロックにおいて、熱源のカウント数が同じであるかどうかを判断し、熱源のカウント数が同じであればステップSP25へ進み、熱源のカウント数が異なればステップSP26へ進む。
ステップSP25では、生活頻度が最も高いブロックが1つしかないので、そのブロックを1番目とし、生活頻度が同じで低い2つのブロックにおいて、熱源のカウント数が同じであるため、ブロックC(1位)<ブロックR(2位)<ブロックL(3位)という規則にしたがって順位付けを行なう。例えば、ブロックRとブロックLの生活頻度が同じで、かつ、熱源のカウント数が同じであり、ブロックCの生活頻度が最も高い場合は、ブロックCが1番、ブロックRが2番、ブロックLが3番という順位付けとなる。
ステップSP26では、生活頻度が最も高いブロックが1つしかないので、そのブロックを1番目とし、生活頻度が同じで低い2つのブロックにおいて、熱源のカウント数が異なるため、熱源のカウント数が多い方を2番目とし、熱源のカウント数が少ない方を3番目とする。例えば、ブロックRとブロックLの生活頻度が同じで、かつ、熱源のカウント数はブロックRよりもブロックLの方が多く、ブロックCの生活頻度が最も高い場合は、ブロックCが1番、ブロックLが2番、ブロックRが3番という順位付けとなる。
ステップSP27では、生活頻度が全て異なるため、生活頻度が高い順から順位付けされる。例えば、ブロックRの生活頻度が最も高く、ブロックCの生活頻度が次に高く、ブロックLの生活頻度が最も低い場合、ブロックRが1番、ブロックCが2番、ブロックLが3番となる。
なお、ブロック毎の順位付けを行なうにあたり、上述したように、走査モードにおいて実際のパルス位置と熱源が確定した位置に生じるズレを、所定のパルス値だけ位置を戻して補正している。その結果、左側端部ZLから右側端部ZRへ人体検知センサ7が駆動した時は、右側端部ZR付近の熱源データを取得できず、右側端部ZRから左側端部ZLへ人体検知センサ7が駆動した時は、左側端部ZL付近の熱源データを取得することができない。
そこで、左側端部ZLから走査モードが開始したときは、領域I方向での熱源のカウント数をゼロとし、ある所定の熱源のカウント数を改めて入力する。右側端部ZRから走査モードが開始したときも同様で、領域A方向での熱源のカウント数はゼロとし、ある所定の熱源のカウント数を改めて入力する。つまり左側端部ZLから右側端部ZRへ駆動するときはI領域(I0、I1)の熱源のカウント(右側端部ZRから左側端部ZLへ駆動するときはA領域(A0、A1)の熱源のカウント)は、人体検知センサ7の反応如何によらず、固定値とする(例えば、3)。
このように行なうことによって、A領域およびI領域での熱源特定ができないという不具合を解消することができ、空調エリア全体の熱源特定を確実に行なうことができる。なお、本実施の形態においては熱源のカウントの固定値を3としたが、これに限定されることはない。
以上、各ブロックの順位付けについて説明した。次に、各ブロック内の領域の順位付け
について説明する。
まず、各ブロックの順位付けと同様に、9つの左右方向(AからI方向)において、生活領域方向(よく人が居る領域方向)、移動領域方向(人が移動する領域方向)、非生活領域(殆ど人が存在しない領域方向)の3つの領域方向に分別する。そして、図5に示す空調エリアの領域において、9つの左右方向の領域の中で奥行き方向の領域(それぞれn、m、f領域)に、1つでも生活領域が存在する場合は、その左右方向の領域を生活領域方向とし、生活頻度が最も高い領域方向とする。
また、9つの左右方向の領域の中で奥行き方向の領域(それぞれn、m、f領域)に、1つも生活領域が存在せず、移動領域が存在する場合は、その左右方向の領域を移動領域方向とし、生活頻度が2番目に高い領域方向とする。
また、9つの左右方向の領域の中で奥行き方向の領域(それぞれn、m、f領域)に、1つも生活領域と移動領域が存在しない場合は、その左右方向の領域を非生活領域方向とし、生活頻度が最も低い領域方向とする。
図10は、ブロック内の領域の順序決定を示したフロー図である。なお、図10においてはある1つのブロック内における3つの領域の順位付けについて示しており、ブロックL、ブロックC、ブロックRのいずれのブロックにおいても、領域の順位付けについては同じ考え方を用いて行なう。
図10のステップSP31では、9つの左右方向の領域において、人体検知センサ7の走査モード時における熱源のカウント回数が所定値(例えば、5回)を超えるかどうかを検出し、カウント回数が所定値を超えない場合は、非固定領域とし、固定モードによって人体検知センサ7が固定する領域から除外される。例えば、図5に示すB方向領域は、図7に示すようにB0からB2までの小領域で構成されているが、B0からB2までの熱源のカウント回数が所定値に達しなければ、B方向領域には熱源がないと判断され、熱源のカウント回数が所定値以上であれば、B方向領域に熱源があると判断される。
図10のステップSP32では、1つのブロック内の3つの領域のそれぞれにおいて生活頻度が異なるかどうかを判断する。例えば、ブロックL内であれば、A領域、B領域、C領域のそれぞれにおいて生活頻度が異なるかどうかを判断する。そして3つの領域の生活頻度が全て異なる場合は、ステップSP48へ進む。3つの領域のうち生活頻度が同じものがある場合は、ステップSP33へ進む。例えば、ブロックL内において、領域Aは生活頻度が最も高い領域、領域Cは生活頻度が2番目に高い領域、領域Bは生活頻度が最も低い領域となった場合は、SP33へ進むことになる。
ステップSP33では、1つのブロック内の3つの領域の生活頻度を比較し、3つの領域のうち2つの領域の生活頻度が同じである場合は、ステップSP41へ進み、3つの領域のうち全ての領域の生活頻度が同じである場合は、ステップSP34へ進む。例えば、領域Aは生活頻度が最も高い領域、領域Cは生活頻度が最も高い領域、領域Bは生活頻度が2番目に高い領域となった場合は、ステップSP41へ進むことになる。
ステップSP34では、走査モードにおいてステッピングモータ8が1パルス駆動する毎に検出した熱源のカウントが1つの同一ブロック内にある3つの領域全てで異なるかどうかを判断し、全ての領域において熱源のカウントが異なる場合は、ステップSP40へ進み、3つの領域のうち2つでも熱源のカウント数が同じであれば、ステップSP35へ進む。
ステップSP35では、3つの領域のうち、全ての領域において熱源のカウント数が同じであれば、ステップSP36へ進み、1つでも熱源のカウント数が他の領域と異なる場合は、ステップSP37へ進む。
ステップSP36では、全ての領域において、生活頻度が同じであり、熱源のカウント数も同じであるため、固定モード時における各領域間の順位を、中央領域を1番目、右領域を2番目、左領域を3番目としている。例えば、ブロックL内において、A領域からC領域まで全ての領域で、生活頻度と熱源のカウント数が同じであれば、B領域を1番目、C領域を2番目、A領域を3番目としている。
ステップSP37では、各領域の熱源のカウント数において、2つの領域の熱源のカウント数が同数で、1つの領域の熱源のカウント数が、他の2つの領域の熱源のカウント数よりも小さい場合はステップSP38へ進む。また、2つの領域の熱源のカウント数が同数で、1つの領域の熱源のカウント数が、他の2つの領域の熱源のカウント数よりも大きい場合はステップSP39へ進む。
ステップSP38では、2つの領域のカウント数が、他の1つの領域のカウント数よりも大きいので、2つの領域の順位付けは中央領域(1位)<右領域(2位)<左領域(3位)という規則にしたがって1番と2番の順位付けがされ、他の1つの領域は3番の順位付けがされる。例えば、ブロックLにおいて、熱源のカウント数が領域Aと領域Bとで同数で、かつ、領域Cの熱源のカウント数が他の領域よりも低い場合は、領域Bが1番、領域Aが2番、領域Cが3番という順位付けとなる。
ステップSP39では、2つの領域のカウント数が、他の1つの領域のカウント数よりも小さいので、最もカウント数が大きい領域が1番となり、同数の2つの領域の順位付けは、中央領域(1位)<右領域(2位)<左領域(3位)という規則にしたがって2番と3番の順位付けがされる。例えば、ブロックLにおいて、熱源のカウント数が領域Aと領域Bとで同数で、かつ、領域Cの熱源のカウント数が他の領域よりも高い場合は、領域Cが1番、領域Bが2番、領域Aが3番という順位付けとなる。
ステップSP40では、全ての領域において熱源のカウント数が異なるため、熱源のカウント数に応じて、領域毎の順位が決定される。例えば、ブロックLにおいて領域Aの熱源のカウント数が1番大きく、領域Bの熱源のカウント数が1番小さい場合は、領域Aが1番、領域Cが2番、領域Bが3番という順位付けとなる。
ステップSP41では、生活頻度が1つのみ異なる領域が存在するが、その1つのみ異なる領域が、他の2つの領域の生活頻度よりも低い場合は、ステップSP42へ進み、他の2つの領域の生活頻度よりも高い場合は、ステップSP45へ進む。例えば、ブロックLにおいて領域Aと領域Bの生活頻度が最も高い領域であり、領域Cの生活頻度が最も低い領域である場合は、ステップSP42へ進み、領域Aと領域Bの生活頻度が最も低い領域であり、領域Cの生活頻度が最も高い領域である場合は、ステップSP45へ進む。
ステップSP42では、生活頻度が同じ2つの領域のうち、熱源のカウント数が同じであるかどうかを判断し、2つの領域のうち熱源のカウント数が同じであれば、ステップSP43へ進み、2つの領域のうち熱源のカウント数が異なれば、ステップSP44へ進む。
ステップSP43では、生活頻度が同じ2つの領域を、中央領域(1位)<右領域(2位)<左領域(3位)という規則にしたがって順位付けを行なう。例えば、領域Aと領域Bの生活頻度が同じで、かつ、熱源のカウント数が同じであり、領域Cの生活頻度が最も
低い場合は、領域Bが1番、領域Aが2番、領域Cが3番という順位付けとなる。
ステップSP44では、生活頻度が同じ2つの領域において、熱源のカウント数が多い方を1番目とし、少ないほうを2番目とする。そして生活頻度が最も低い領域を3番目とする。
ステップSP45では、生活頻度が同じで低い2つの領域において、熱源のカウント数が同じであるかどうかを判断し、熱源のカウント数が同じであればステップSP46へ進み、熱源のカウント数が異なればステップSP47へ進む。
ステップSP46では、生活頻度が最も高い領域が1つしかないので、その領域を1番目とし、生活頻度が同じで低い2つの領域において、熱源のカウント数が同じであるため、中央領域(1位)<右領域(2位)<左領域(3位)という規則にしたがって順位付けを行なう。例えば、領域Aと領域Bの生活頻度が同じで、かつ、熱源のカウント数が同じであり、領域Cの生活頻度が最も高い場合は、領域Cが1番、領域Bが2番、領域Aが3番という順位付けとなる。
ステップSP47では、生活頻度が最も高い領域が1つしかないので、その領域を1番目とし、生活頻度が同じで低い2つの領域において、熱源のカウント数が異なるため、熱源のカウント数が多い方を2番目とし、熱源のカウント数が少ない方を3番目とする。例えば、領域Aと領域Bの生活頻度が同じで、かつ、熱源のカウント数は領域Aよりも領域Bの方が多く、領域Cの生活頻度が最も高い場合は、領域Cが1番、領域Bが2番、領域Aが3番という順位付けとなる。
ステップSP48では、生活頻度が全て異なるため、生活頻度が高い順から順位付けされる。例えば、領域Aの生活頻度が最も高く、領域Bの生活頻度が次に高く、領域Cの生活頻度が最も低い場合、領域Aが1番、領域Bが2番、領域Cが3番となる。
以上のように、まずはブロック毎の優先順位を決定し、その後、ブロック内の領域毎の優先順位を決定する。そして、ブロック毎の優先順位と、ブロック内の領域毎の優先順位とを組み合わせて、左右方向の全ての領域(A〜I)の優先順位が決定される。
図11は固定モードの領域の順序を表した図である。上記のようなブロック毎、領域毎の順位付けがなされた上で、図11に示すように9領域(A〜I)の順位付けがなされる。ここでは具体的な例を挙げて説明する。
図9に示すように、まずブロック毎の順位付けが行なわれる。その結果、ブロックRとブロックCとブロックLとの順位付けがなされる。例えば、ブロックRが1番目、ブロックCが2番目、ブロックLが3番目と判断されたとする。
次に、図10に示すように、各ブロック内の領域毎の優先順位が決定される。例えば、ブロックR内において、領域Gが1番目、領域Hが2番目、領域Iが3番目となり、ブロックC内において、領域Dが1番目、領域Eが2番目、領域Fが3番目となり、ブロックL内において、領域Aが1番目、領域Bが2番目、領域Cが3番目となったとする。
まず、図11のステップSP51では、最も固定モードの優先順位が高いブロックに含まれる領域のうちで、最も固定モードの優先順位が高い領域が、全方向の領域内で1番目に決定される。例えば、本実施の形態の場合は、1番優先順位が高いブロックRの中の1番優先順位が高い領域Gが、全9方向内の1番目となる。
次に、ステップSP52では、2番目に固定モードの優先順位が高いブロックに含まれる領域のうちで、最も固定モードの優先順位が高い領域が、全方向の領域内で2番目に決定される。例えば、本実施の形態の場合は、2番目に優先順位が高いブロックCの中の1番優先順位が高い領域Dが、全9方向内の2番目となる。
次に、ステップSP53では、3番目に固定モードの優先順位が高いブロックに含まれる領域のうちで、最も固定モードの優先順位が高い領域が、全方向の領域内で3番目に決定される。例えば、本実施の形態の場合は、3番目に優先順位が高いブロックLの中の1番優先順位が高い領域Aが、全9方向内の3番目となる。
次に、ステップSP54では、一旦すべてのブロック内のどこかの領域は、1番目から3番目に割り振られたので、ステップSP51からステップSP53と同じ要領で、最も固定モードの優先順位が高いブロックに含まれる領域のうちで、2番目に固定モードの優先順位が高い領域が、全方向の領域内で4番目に決定される。例えば、本実施の形態の場合は、1番優先順位が高いブロックRの中の2番目に優先順位が高い領域Hが、全9方向内の4番目となる。
次に、ステップSP55では、2番目に固定モードの優先順位が高いブロックに含まれる領域のうちで、2番目に固定モードの優先順位が高い領域が、全方向の領域内で5番目に決定される。例えば、本実施の形態の場合は、2番目に優先順位が高いブロックCの中の2番目に優先順位が高い領域Eが、全9方向内の5番目となる。
次に、ステップSP56では、3番目に固定モードの優先順位が高いブロックに含まれる領域のうちで、2番目に固定モードの優先順位が高い領域が、全方向の領域内で6番目に決定される。例えば、本実施の形態の場合は、3番目に優先順位が高いブロックLの中の2番目に優先順位が高い領域Bが、全9方向内の6番目となる。
次に、ステップSP57では、最も固定モードの優先順位が高いブロックに含まれる領域のうちで、3番目に固定モードの優先順位が高い領域が、全方向の領域内で7番目に決定される。例えば、本実施の形態の場合は、1番優先順位が高いブロックRの中の3番目に優先順位が高い領域Iが、全9方向内の7番目となる。
次に、ステップSP58では、2番目に固定モードの優先順位が高いブロックに含まれる領域のうちで、3番目に固定モードの優先順位が高い領域が、全方向の領域内で8番目に決定される。例えば、本実施の形態の場合は、2番目に優先順位が高いブロックCの中の3番目に優先順位が高い領域Fが、全9方向内の8番目となる。
次に、ステップSP59では、3番目に固定モードの優先順位が高いブロックに含まれる領域のうちで、3番目に固定モードの優先順位が高い領域が、全方向の領域内で9番目に決定される。例えば、本実施の形態の場合は、3番目に優先順位が高いブロックLの中の3番目に優先順位が高い領域Cが、全9方向内の9番目となる。
以上のように、全ての領域について固定順序が決定される。そして、固定モードにおいては、決定された順序毎にその領域に人体検知センサ7の中心位置を向けて、走査モードにおいて検知された熱源が、人体なのか人体以外なのかを判断する。ただし、一旦9方向すべての順位付けは行なうものの、熱源が存在しなければ、熱源の存在を確認できない領域も当然発生する。その場合は、熱源が存在しない領域に固定モードの順番が回ってくると、熱源が存在しないとして固定モードの順番を飛ばし、次の領域へと固定モードの順番が移る。
また、固定モード時に、ある領域に人体検知センサ7を向けて熱源が人体か否かの判断を開始する際は、人体検知センサ7の移動時の波形の乱れの影響を排除して誤検知を回避するため、固定モードで検知する領域に人体検知センサ7の向きを向けてから一定の時間(例えば、5秒)が経過してから、固定検出を開始する。以下、固定モード時に人体検知センサ7の向きを向けて熱源が人か否かを判断する領域(AからIの9方向)のことを「固定領域」、走査モード時に熱源が検出されなかった領域(AからIの9方向)のことを「非固定領域」と称して説明する。
本実施の形態では、固定領域に対して人体検知センサ7を固定する固定時間を状況に応じて変更している。次に固定時間の決定について説明する。図12は固定時間を決定する制御フロー図である。
図12に示すように、まずステップSP61では、固定領域が生活領域かどうかを判断している。そして固定領域が生活領域であると判断されている場合はステップSP67へ進み、生活領域でなければステップSP62へ進む。ステップSP67へ進むと、その他の領域(AからIの9方向の領域)の状況に関係なく、固定時間をT1(例えば、120秒)としている。
そして、ステップSP62では、AからIの9方向の領域のうち、非固定領域と判断された領域がどれくらいあるかを判断し、非固定領域がある一定の値M1(例えば、3領域)に満たなければステップSP66へ進み、非固定領域がある一定の値M1以上であれば、ステップSP63へ進む。ステップSP66へ進むと、その他の領域にも固定領域が多数存在していると判断し、固定時間T1よりも短めの固定時間T2(例えば、60秒)としている。
そして、ステップSP63では、AからIの9方向の領域のうち、非固定領域と判断された領域がどれくらいあるかを判断し、非固定領域がある一定の値M2(例えば、7領域)に満たなければステップSP65へ進み、非固定領域がある一定の値M2以上であれば、ステップSP64へ進む。ステップSP65へ進むと、その他の領域に固定領域がある程度ありと判断し。固定時間T1よりも短く、固定時間T2よりも長い固定時間T3(例えば、90秒)としている。
そして、ステップSP64では、AからIの9方向の領域のうち、非固定領域が多数存在するとして、固定領域と判断された領域の固定モードの時間を長くし、固定時間T4(例えば、120秒)としている。なお、固定時間T4は、固定時間T2およびT3よりも長くしている。また、本実施の形態では固定時間T4と固定時間T1とを同じとしているが、これに限定されることはない。
以上のように、AからIの9方向の領域のうち、非固定領域がどれくらい存在するのかで固定モードの固定時間を変更しており、9方向の領域の中に固定領域が少なければ、固定領域と判定された領域に対しては、長めに人体検知センサ7を固定して人体か否かの判断精度を上げ、非固定領域が少なければ固定モードの固定時間を短くして、室内全体に対して、熱源が人体か否かの判断スピードを上げることができ、迅速に快適な空調環境を実現することができる。
次に、走査モードで特定された熱源が人体か否かを判断する具体的な制御について説明する。
まず、固定領域と判断された箇所が、上述した順番で固定順序が回ってくると、その固定領域の方向へ人体検知センサ7が駆動する。そしてこれから人体か否かの判断を行なう
固定領域へ人体検知センサ7が向いた後、誤検知を回避するために所定時間を経過した後、人体検知センサ7で熱源が人体か否かの判断を行なう。
固定モードでは、ある領域に人体検知センサ7を向けて、所定時間固定したまま反応があるかどうかを検知している。このとき、人体であれば動く可能性が大きいので人体検知センサ7で温度変動を検出することができ、動くことの無い熱源(例えば、テレビ等)であれば、人体検知センサ7で温度変動を検出することができない。
そして固定領域で固定検知を開始後、一定の時間L1(例えば3秒)毎に、人体検知センサ7の出力を判定し、人体検知センサ7の反応の組合せに応じて人体位置を判定する。この時、動きがない熱源であれば人体検知センサに反応は入らず、人体のように動く熱源に対しては人体検知センサに反応があることとなる為、人体とそれ以外の熱源との判断が可能となる。
本実施の形態では人体検知センサ7は、遠距離用人体検知センサ7Aと近距離用人体検知センサ7Bで構成されており、遠距離用人体検知センサ7Aのみ反応した場合は、遠距離のf領域に所定値(例えば、1)を加算し、それ以外の領域(m領域、n領域)はゼロとする。例えば、固定領域がA領域であった場合は、Afのみに1を加算することになる。
近距離用人体検知センサ7Bのみ反応した場合は、近距離のn領域に所定値(例えば、1)を加算し、それ以外の領域(f領域、m領域)はゼロとする。例えば、固定領域がA領域であった場合は、Anのみに1を加算することになる。
遠距離用人体検知センサ7Aと近距離用人体検知センサ7Bの両方に反応がある場合は、中距離のm領域に所定値(例えば、1)を加算し、それ以外の領域(例えば、f領域、n領域)はゼロとする。例えば、固定領域がA領域であった場合は、Amのみに1を加算することになる。
そして、人体位置の判定結果は、所定時間毎(例えば、30秒毎)に累積加算され、近距離(n領域)・中距離(m領域)・遠距離(f領域)のそれぞれの累積加算回数を人体位置の検出履歴として保存していく。そして、人体位置の検出履歴を元に、領域毎の人の在・不在を判定する。また、所定時間(本実施の形態では30秒毎としている)の間に人体検知センサ7の反応が複数回検出されたとしても、1回でも検出されれば検出履歴に加算される値は「1」である。
また、本実施の形態では、生活領域・移動領域・非生活領域はこの検出履歴を基に判断される。つまり全領域の検出履歴の総和を算出し、各領域の検出履歴が、その全領域の検出履歴の総和のどれくらいを占めているかによって生活区分を決定する。
まず、全領域(本実施の形態では、左右9方向、奥行3領域の計27領域)の検出履歴の総和を算出し、その1つの領域がどれくらいの割合かを算出している。その後、その割合が所定割合A(例えば、3%)未満であれば非生活領域とし、所定割合A以上、所定割合B(例えば、20%)未満であれば移動領域とし、所定割合B以上であれば生活領域としている。なお、本実施の形態における所定割合Aおよび所定割合Bは、本実施の形態に記載の値に限定されることはない。
なお、累積加算を行なう所定時間を下記では「セット」という表現を用いて説明し、本実施の形態では1セットを30秒とするが、これに限定されるものではない。
図13は、人体の在・不在判定を示した制御フロー図である。図13に示すように、まずステップSP71で現在の固定領域が生活領域かどうかを判断する。生活領域である場合はステップSP79へ進み、生活領域で無い場合はステップSP72へ進む。
ステップSP79では、ある固定領域に対して人体検知センサ7を固定している間、1セット毎(本実施の形態では、30秒毎)に人体位置の検出履歴を累積加算するが、固定モードで固定している間(例えば、固定時間T1であれば120秒間)のセット毎(本実施の形態では、30秒毎)の検出履歴のうち、1回でも人体検知センサ7で反応を検知した場合、ステップSP81へ進み人体が存在していることを確定する。また、ステップSP79で1回も人体検知センサ7で反応を検知しなかった場合は、ステップSP80へ進み、人体が不在であることを確定する。
ステップSP72では、固定領域が移動領域かどうかを判断する。その結果、移動領域である場合はステップSP76へ進み、移動領域で無い場合はステップSP73へ進む。
ステップSP63では、ある固定領域に対して人体検知センサ7を固定している間、1セット毎(本実施の形態では、30秒毎)に人体位置の検出履歴を累積加算するが、固定モードで固定している間(例えば、固定時間T2であれば60秒間)のセット毎(本実施の形態では、30秒毎)の検出履歴のうち、人体検知センサ7で反応を検知した回数が2回以上のセットが、2セット以上存在する場合は、ステップSP78へ進み人体が存在していることを確定し、2セット以上存在しない場合は、ステップSP77へ進み人体が不在であることを確定する。
ステップSP73では、ある固定領域に対して人体検知センサ7を固定している間、1セット毎(本実施の形態では、30秒毎)に人体位置の検出履歴を累積加算するが、固定モードで固定している間(例えば、固定時間T3であれば90秒間)のセット毎(本実施の形態では、30秒毎)の検出履歴のうち、人体検知センサ7で反応を検知した回数が3回以上のセットが、2セット以上存在する場合は、ステップSP75へ進み人体が存在していることを確定し、2セット以上存在しない場合は、ステップSP74へ進み人体が不在であることを確定する。
以上のように、走査モードで特定された熱源に対して、固定モードにて熱源が人体であるか否かを判断している。なお、ステップSP73、ステップSP76、ステップSP79において人体と判断するために用いた人体検知センサ7の反応回数やセット数等は、上記数値に限定されることはなく、適宜変更することが可能である。
また、走査モードの段階でAからI方向の9方向に対して非固定領域と判断された場合は、その方向領域に含まれる遠距離領域・中距離領域・近距離領域の全ての領域に対して人体が不在であると判定する。
以上のように判定された人体の在・不在の判定に基づいて空調領域を決定していく。なお、図5に示すように27領域に細分化されている空調エリアにおいて、一つの人体が複数の領域にまたがっていることを想定し、複数の領域をまとめた大領域という考え方を用いている。本実施の形態では、図14に示すように9つの大領域にまとめている。
すなわち本実施の形態では、領域An、Bn、Cnを大領域Lnとし、領域Dn、En、Fnを大領域Cnとし、領域Gn、Hn、Inを大領域Rnとし、領域Am、Bm、Cmを大領域Lmとし、領域Dm、Em、Fmを大領域Cmとし、領域Gm、Hm、Imを大領域Rmとし、領域Af、Bf、Cfを大領域Lfとし、領域Df、Ef、Ffを大領域Cfとし、領域Gf、Hf、Ifを大領域Rfとしている。
ここで、人体検知センサの配光角度について説明する。なお、配光については近距離用人体検知センサ7Bを例にとって説明するが、遠距離用人体検知センサ7Aについても同様の考え方である。
図15は、近距離用人体検知センサ7Bが検知可能な全領域と、近距離用人体検知センサ7Bが固定されている時に検知可能な領域とを示した図である。図15に示すように近距離用人体検知センサ7Bは、左端ZLから右端ZRへと回転駆動して走査可能に構成されている。ここで近距離用人体検知センサ7Bが検知可能な全領域の角度をXとする。
一方、近距離用人体検知センサ7Bが固定されている時に、一度に検知可能な領域の配光角度をYとする。図15に斜線で示す領域に熱源が入ると、近距離用人体検知センサ7Bからの出力が熱源検知閾値以上となる。
ここで、焦電型の赤外線センサで構成される近距離用人体検知センサ7Bが、熱源を特定する流れについて図16を用いて説明する。図16(a)(b)に示すように、左端ZLから右端ZRへ向かって近距離用人体検知センサ7Bが駆動したとする。このとき、一度に検知可能な配光角度Yの領域が左端ZLから右端ZRへ動くので、配光角度Yの領域の右端YRが熱源αを検知してから、左端YLが熱源αを過ぎるまで検知され続ける。
このような近距離用人体検知センサ7Bにおいて、例えば、図17のように検出領域の真ん中に熱源αがあり、配光角度YがX/2以上とした場合は、近距離用人体検知センサ7Bが左端ZLから右端ZRへ動くまでの間、常に熱源αを検知していることになってしまう。
そのため、人体検知センサを駆動させて熱源を特定する場合の人体検知センサの配光角度Yは、検知可能な全領域の角度Xの半分未満であることが望ましい。つまり、Y<X/2を満たすように、配光角度Yを設定するようにすることで、人体検知センサが走査している間、常に熱源が常に検知される問題を解決することができる。
さらに、空気調和機の室内ユニットに人体検知センサを搭載し、人体検知センサの結果に基づいた空調運転を行うことを考えれば、左、真ん中、右の3方向に吹き分けられることが望ましく、少なくとも3方向に吹き分けられるようにすることで、使用者の快適性を向上させることができる。
つまり、固定モードにおいて少なくとも3方向に固定して、人体か否かを判別するためには、配光角度Yは、検知可能な全領域の角度Xの3分の1未満であることが望ましい。つまり、Y<X/3を満たすように、配光角度Yを設定することで、固定モードにおいて3方向で熱源を特定することができるので、使用者の快適性を向上させることができる。
一方、固定モードにおいて人体を検知できるように配光角度Yを設定する必要がある。部屋の形によって異なるが、12畳相当の部屋をカバーしようとすると、5メートル先の人体を検知できる程度の配光角度Yが必要となってくる。人体の幅を約50センチメートルとすると、図18に示すような配光角度Yが必要となる。すなわち、配光角度Yは、次のような式を満たす。つまり、5m×2×π×(配光角度Y/360)=0.5mを満たす。
この式から配光角度Yは、配光角度Y=18/πとなり、これ以上の配光角度があれば、5m先であっても約50センチメートルの熱源を特定することができる。つまり、配光角度Y>18/πを満たすように設定される必要がある。
また、遠距離用人体検知センサ7Aでは、23畳相当の部屋をカバーしようとすると、7.5メートル先の人体を検知できる程度の配光角度Yが必要となってくる。すなわち、遠距離用人体検知センサ7Aの配光角度Yは、7.5m×2×π×(配光角度Y/360)=0.5mを満たす。
この式から配光角度Yは、配光角度Y=12/πとなり、これ以上の配光角度があれば、7.5m先であっても約50センチメートルの熱源を特定することができる。つまり、配光角度Y>12/πを満たすように設定される必要がある。
以上のように、駆動型の人体検知センサを用いた空気調和機において、上記のように人体検知センサの配光角度を設定することによって、精度よく人体を検知することができ、快適な空調運転を行うことができる。
次に空調領域の決定方法について説明する。図19は、空調領域の決定フロー図である。図19に示すように、ステップSP91では、27の領域の何れかに人体が存在すると判定された領域が1つでもあるかどうかを判断し、人体が存在する領域が存在する場合は、ステップSP95へ進み、人体が存在する領域を含む大領域を空調領域と決定し、人体が存在する領域が存在しない場合は、ステップSP92へ進む。
ステップSP92では、人体の存在が確認された領域がないため、生活領域が存在するかどうかを判断する。その結果、生活領域が存在する場合はステップSP94へ進み、生活領域を含む大領域を空調領域と決定し、生活領域が存在しない場合はステップSP93へ進む。
ステップSP93では、人体の存在が確認された領域、生活領域ともに存在しないため、空調最適化の観点から中央の大領域、すなわち大領域Cmを空調領域とする。
以上のように決定された空調領域に対して、以下、空調制御について説明する。
まず、一つの大領域(本実施の形態では、大領域Lfを例にとって説明する)内の3つの領域(本実施の形態では、大領域Lfを構成する領域Af、Bf、Cfを例にとって説明する)のどの位置に人体が検出されるかによって風向制御が異なる。
図20は、空調領域が1つのみの場合の風向制御を決定するフロー図である。まず、図19のフロー図に従って、空調領域にLfのみが選定されたとする。その場合、ステップSP101において、3つの領域のうち人体の在判定が1つのみの場合は、ステップSP107へ進み、人体の在判定が2つ以上の場合は、ステップSP102へと進む。
まずステップSP107の状況について、図21を用いて説明する。ステップSP107の状況は、図21に示すとおり、在判定が1つのみである(図21では、領域Afにおいて在判定がなされたとする)。その場合、在判定とされている領域Afの中央に風向が向くように左右風向羽根、上下はねを駆動させる(以下、第1の風向制御と称する)。これによって、検知している人体に向かって直接風向が向くので、快適な空調を実現することができる。
次に、ステップSP102では、在判定が3つの領域全てでなされているかを判断する。そして、全ての領域(領域Af、Bf、Cf)で人体の在判定となった場合はステップSP106へ進み、全ての領域で人体の在判定とならない場合はステップSP103へ進む。
ステップSP106の状況について、図22を用いて説明する。ステップSP106の状況は、図22に示すとおり、在判定が3つある(図22では、領域Af、Bf、Cf全ての領域で在判定がなされたとする)。その場合、在判定とされている領域Bfの中央に風向が向くように左右風向羽根、上下風向羽根を駆動して空調を行なう(以下、第2の風向制御と称する)。これによって、大領域Lf全体へ快適な空調を実現することができる。
次に、ステップSP103では、在判定が隣接しているかどうかを判断する。そして隣接していると判断されるとステップSP105へ進み、隣接していないと判断されるとステップSP104へ進む。
ステップSP104の状況について、図23を用いて説明する。ステップSP104では人体の在判定されている領域同士が離れて存在している(本実施の形態では、領域Afおよび領域Cfが在判定とされている)。その場合、在判定とされていない領域Bfの中央に風向が向くように左右風向羽根、上下風向羽根を駆動させる(以下、第3の風向制御と称する)。これによって、領域Afと領域Cfのいずれかに風向が偏ることはなく、均等に快適な空調を実現することができる。
ステップSP105の状況について、図24を用いて説明する。ステップSP105では人体の在判定されている領域同士が隣接して存在している(本実施の形態では、領域Afと領域Bfが在判定とされている)。その場合、在判定とされている領域同士の中央に風向が向くように左右風向羽根、上下風向羽根を駆動して空調を行なう(以下、第4の風向制御と称する)。これによって、領域Afと領域Bfのいずれかに風向が偏ることはなく、均等に快適な空調を実現することができる。
以上、1つのみの大領域が空調エリアとなった場合の風向制御について説明した。しかしながら、図25に示すように、1つのブロックエリア内(本実施の形態では、ブロックL)に、複数の大領域が空調領域として決定される場合がある。図25に示す例は、大領域Lfと大領域Lmの2つの大領域にまたがって人体が検出された場合である。なお、これは1つの実施例であり、これに限定されるものではない。
図25のように、1つのブロックエリア内に、複数の大領域が空調領域と決定されると、左右風向羽根をスイングさせてブロックエリア内全体の空調を行なう。このとき、本実施の形態のように大領域Lfと大領域Lmの2つの大領域にまたがって空調を行なう必要がある。そこでこのような場合においては、左右風向羽根はブロックエリア内をスイングして空調を行い、所定時間毎に上下風向羽根を駆動させて交互に大領域へ風向を向けて空調を行なうようにしている(本実施の形態では、所定時間毎に上下風向羽根を駆動させて、大領域Lfと大領域Lmへ交互に風向を向けている。以下、第5の風向制御と称する)。その結果、ブロックエリア内の空調を快適に行なうことができる。
また、図26に示すように、複数のブロックエリアで人体が検知される場合がある。図26に示す例は、ブロックL(大領域Lfと大領域Lm)とブロックR(大領域Rf)に人体が検出された場合である。なお、これは1つの実施例であり、これに限定されるものではない。
基本的には風向制御は第1の風向制御から第5の風向制御を組み合わせて行う。例えば、図26に示すように、異なるブロックエリアに人体を検知した場合は、ブロックLにおいては第5の風向制御を行い、ブロックRにおいては第1の風向制御を行う。そして、所定時間毎に左右風向羽根を駆動して該当するブロックエリア方向に風向を向けて、第1の
風向制御と第5の風向制御を交互に行うことで、快適な室内空調を実現している。
ただし、同一ブロックエリア内に複数の大領域が空調領域と判定された場合は、第5の風向制御において上下風向羽根を交互に駆動させたが、図26に示すような異なるブロックエリアが空調領域として複数検出された場合は、上下風向羽根を交互に駆動させない。
本実施の形態では、異なるブロックエリアが空調領域として複数検出された場合であって、ブロックエリア内を左右風向羽根でスイング制御を行う場合は、冷房運転時には、室内ユニット1から一番遠い空調領域と判断された大領域(図26においては、大領域Lf)に向かって上下風向羽根の風向が向けられ、暖房運転時には室内ユニット1から一番近い空調領域と判断された大領域(図26においては、大領域Lm)に向かって上下風向羽根の風向が向けられる。これは、冷たい空気は重たいため下降し、暖かい空気は軽いため上昇するという性質によるものであり、ブロックエリア内全体を快適に空調することができる。
また、図27に示すように、全てのブロックエリアで人体が検知される場合がある。図27に示す例は、ブロックL(大領域Lfと大領域Lm)とブロックC(大領域Cf)とブロックR(大領域Rf)に人体が検出された場合である。なお、これは1つの実施例であり、これに限定されるものではない。
全てのブロックエリアにおいて人体が検知されると、すべてのブロックに固定して空調を行なっていると時間が長くなってしまい、いずれかのブロックエリアにおいて快適な空調を実現できない可能性がある。
よって、3つのブロックエリアで人体が検出されると、左右両端のブロックエリア(ブロックRとブロックL)方向へ交互に風向を向け、なおかつ、ブロックエリア内では左右風向羽根をスイングさせて空調を行なう。また、冷房運転時には、室内ユニット1から一番遠い空調領域と判断された大領域(図27においては、大領域Lfもしくは大領域Rf)に向かって上下風向羽根の風向が向けられ、暖房運転時には室内ユニット1から一番近い空調領域と判断された大領域(図27おいては、大領域Lmもしくは大領域Rf)に向かって上下風向羽根の風向が向けられる。
また、真ん中のブロックエリア(ブロックC)には風向を固定させて空調することはなく、ブロックLからブロックR(もしくはブロックRからブロックL)へ移動するときに風向が向けられるだけである。しかしながら、両端部において左右風向羽根をスイングさせて空調を行なっているので、快適性が損なわれることはなく、快適かつ省エネな空調を実現することができる。
また、走査モード中は熱源が特定されていないので、その間の空調運転時には、吹出し風を所定の方向へ向けて空調を行なっている。熱源を特定するまでは、左右風向羽根および上下風向羽根を駆動させて中央方向に吹出すようにしてもいいし、スイングするようにしてもよい。本実施の形態では、部屋全体への快適性を考慮し、均一に空調できるように中央方向へ風向を向けて空調運転を行っている。
そして、走査モードにおいて、人体検知センサ7が左右方向に駆動する間に熱源を特定した場合、走査モードにおいては未だ人体か否かは判断されていない。しかしながら一刻も早く効率的な空調運転を実施するために、固定モードにおいて熱源が人体か否かが判断される前に、走査モードで特定された熱源方向に向けて空調運転を行っている。
具体的には、走査モードにおいて図8に示すブロックL、ブロックC、ブロックRでの
熱源があったか否かによって風向を変更している。
まず、単独ブロックのみの場合は熱源が特定されたブロックの中央方向へ風向を制御して空調運転を行う。すなわち、ブロックLのみの範囲内に熱源が存在していた場合は、ブロックLの中央方向へ風向を向けて空調運転を行い、ブロックCのみの範囲内に熱源が存在していた場合は、ブロックCの中央方向へ風向を向けて空調運転を行い、ブロックRのみの範囲内に熱源が存在していた場合は、ブロックRの中央方向へ風向を向けて空調運転を行う。
次に、複数ブロックで熱源が特定された場合は、特定されるブロックによって風向が異なる。すなわち、ブロックLとブロックCのいずれにも熱源が存在していた場合は、ブロックLの中央方向とブロックCの中央方向との間をスイングして空調運転を行い、ブロックRとブロックCのいずれにも熱源が存在していた場合は、ブロックRの中央方向とブロックCの中央方向との間をスイングして空調運転を行う。
また、ブロックLとブロックRのいずれにも熱源が存在していた場合は、ブロックCの中央方向へ風向を制御して空調運転を行い、ブロックLとブロックCとブロックRのいずれにも熱源が存在していた場合は、ブロックCの中央方向へ風向を制御して空調運転を行う。ブロックLとブロックRとで熱源が特定された場合にスイングではなく、ブロックCの中央方向へ風向を制御して空調運転を行うのは、もし特定された熱源が人ではなくテレビ等の熱源であった場合に、スイングして空調運転をしていると、人体とは反対方向へ風向が向いている間は、室内にいる人に対して不快感を与えてしまいかねない。そのため、ブロックRとブロックLのように離れているブロックで熱源が特定された場合は、スイングで空調運転をするのではなく、真ん中のブロックCの中央方向へ風向を制御して空調運転をすることで、快適性を維持するようにしている。
また、走査モード・固定モードのいずれの場合においても人体を特定できなかった場合の風向は、これまでの学習制御を基に空調を行ってもよい。
また本実施の形態では、走査モードで熱源を特定できなかった場合は、固定モードにおいては、9領域方向全ての固定方向に対して人体検知センサ7を止めることにしている。このようにすることで、走査モード時には熱源を特定できなかった場合であっても、固定モードにおいて再度熱源を確認することができるので、熱源の状況に応じた空調制御を行うことができ、快適性を損なうことがない。
また、異なるブロックに人体が検知されると、迅速に快適な空調運転を行うために、先に検知された人体が存在するブロックから空調運転を開始する。つまり、当初は図25のような状況と判断されるが、人体検知のフローが進むにつれて、図26のような状況に変化するかもしれない。この場合は、最後まで人体検知のフローを待って、人体に応じた空調運転を行うのではなくて、人体が検知されるとすぐに人体の位置に応じた空調運転を行うことで、迅速に快適な空調運転を実現することができる。
以上のように、本実施の形態では駆動型の人体検知センサを用いることによって、人体と熱源とを区別し、快適な空調制御を行うことができる。