JP2012083333A - 時計用デテント脱進機、および機械式時計 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】がんぎ車2と、このがんぎ車2の歯部2aと接触可能な振り石3、および外し石4を有し、てん真9を中心に自由振動するてんぷ5と、がんぎ車2の歯部2aと接触可能な止め石6を有し、がんぎ車2に対して接離可能に支持されている作動レバー23と、外し石4と接触可能、かつ作動レバー23に対して接離方向に沿って弾性変形可能な片作動ばね24とを備え、作動レバー23は、レバー本体51と、このレバー本体51と別体のレバー調整部52とにより構成されている。
【選択図】図2
Description
以下、各デテント脱進機の基本的構成について説明する。
同図に示すように、スプリングデテント脱進機300は、がんぎ車301と、回転軸であるてん真302を中心に自由振動するてんぷ303と、デテントレバー304とを備えている。てんぷ303は、がんぎ車301の歯部301aと接触可能な振り石305、およびデテントレバー304に取り付けられている片作動ばね309と接触可能な外し石306を有している。
がんぎ車301が1歯分回転する間に、デテントレバー304に復帰ばね307の付勢力が作用し、デテントレバー304が原位置に戻る。これにより、がんぎ車301の歯部301aに止め石308が再び接触する。すなわち、がんぎ車301とデテントレバー304とが係合し、がんぎ車301の回転が停止される。
そして、この動作が繰り返し行われることにより、機械式時計の輪列が一定速度で駆動する。
同図に示すように、ピボットデテント脱進機400は、がんぎ車301と、てん真302を中心に自由振動するてんぷ403と、デテントレバー404とを備えている。ここで、ピボットデテント脱進機400とスプリングデテント脱進機300との相違点は、デテントレバーを原位置に復帰させる付勢手段が異なる点にある。
このように、調整機構を設けることにより、作動レバーのレバー先端部、および片作動ばねのばね先端部の位置を容易、かつ高精度に調整することが可能になる。このため、外し石に対する作動レバーのレバー先端部、および片作動ばねのばね先端部の相対位置を高精度に決めることができる。よって、外し石と作動レバー、および片作動ばねとを所望の接触状態とし、これら作動レバー、および片作動ばねを動作させることができるので、がんぎ車を確実に正常動作させることができる。
このように構成することで、レバー本体に対し、レバー調整部を相対移動させるだけでレバー先端部の位置を調整することができる。これにより、確実に外し石を片作動ばねに確実に接触させつつ、外し石と作動レバーとの接触を回避できる。よって、がんぎ車を確実に正常動作させることができる。
また、調整機構を簡素な構造とすることができるので、製造コストの増大を抑制することが可能になる。
このように構成することで、互いに別体となるレバー本体とレバー調整部とを容易に連結することができる。また、レバー本体に対するレバー調整部の位置調整を容易に行うことができる。
このように構成することで、レバー本体に対するレバー調整部の位置調整をさらに容易に行うことができる。
このように構成することで、簡素な構造で作動レバーに対して片作動ばねを移動させたり、片作動ばねに対して作動レバーを移動させたりして両者の相対位置を調整することができる。このため、外し石を片作動ばねに確実に接触させつつ、外し石と作動レバーとの接触を回避できる。よって、がんぎ車を確実に正常動作させることが可能になると共に、製造コストの増大を抑制することが可能になる。
このように構成することで、外し石を片作動ばねに確実に接触させつつ、外し石と作動レバーとの接触を回避するように、より容易に調整することができる。
このように構成することで、互いに別体となる作動レバーと片作動ばねとを容易に連結することができる。また、作動レバーと片作動ばねとの相対位置を容易に調整することができる。
このように構成することで、作動レバーと片作動ばねとの相対位置をさらに容易に調整することができる。このため、容易に外し石と作動レバー、および片作動ばねとを所望の接触状態とすることができる。
このように構成することで、レバー調整部と片作動ばねとの相対位置関係を固定しつつ、これらレバー調整部、および片作動ばねの位置調整を同時に行うことができる。このため、より容易に、外し石を片作動ばねに確実に接触させつつ、外し石とレバー調整部との接触を回避することができる。
このように構成することで、外し石を片作動ばねに確実に接触させつつ、外し石と作動レバーとの接触を回避するように、さらに容易、かつ確実に調整することができる。
このように構成することで、デテント固定部を介し、作動レバーのレバー先端部、および片作動ばねのばね先端部の位置をデテント固定部の回転方向に調整することができる。このため、外し石に対する作動レバーのレバー先端部、および片作動ばねのばね先端部の位置をさらに容易、かつ高精度に調整することができる。
このように構成することで、部品の位置調整作業を容易化し、がんぎ車を確実に正常動作させることができる機械式時計を提供できる。
(機械式時計)
次に、この発明の第一実施形態を図1〜図8に基づいて説明する。
図1は、機械式時計のムーブメントを裏蓋側からみた平面図である。
同図に示すように、機械式時計100は、ムーブメント101を備えている。ムーブメント101は、このムーブメント101の基板を構成する地板102を有している。地板102には巻真案内孔103が形成されており、ここに巻真104が回転可能に組み込まれている。
一方、ムーブメント101の表側(図1における紙面手前側)には、表輪列105を構成する四番車106、三番車107、二番車108、および香箱車110が配置されていると共に、表輪列105の回転を制御するデテント脱進機1が配置されている。
二番車108は、香箱車110の不図示の香箱歯車に噛合う二番かなと、二番歯車(何れも不図示)とを有している。二番車108が回転すると、三番車107が回転するように構成されている。
四番車106は、三番車107の三番歯車に噛合う不図示の四番かなと、四番歯車(何れも不図示)とを有している。四番車106が回転することによりデテント脱進機1が駆動する。このデテント脱進機1が駆動することにより、四番車106が1分間に1回転するように制御されると共に、二番車108が1時間に1回転するように制御される。
図2は、デテント脱進機の平面図である。
図1、図2に示すように、デテント脱進機1は、四番車106が回転することにより回転するがんぎ車2と、がんぎ車2の歯部2aと接触可能な止め石6を有するデテント7と、
がんぎ車2の歯部2aと接触可能な振り石3、およびデテント7と接触可能な外し石4を有するてんぷ5とを備えている。
外し石4は、デテント7に設けられている後述の片作動ばね24と接触可能になっている。デテント7は、地板102に角度調整機構19を介して固定されており、外し石4によって作動するようになっている。
図3は、角度調整機構の斜視図、図4は、図3のA−A線に沿う断面図である。
図3、図4に示すように、角度調整機構19は、デテント7の取付け角度を調整するためのものであって、地板102に形成された貫通孔102aに、回転可能に嵌合されているジョイント部16と、地板102の表側(図3における紙面手前側、図4における上側)に配置された固定ワッシャ12と、ジョイント部16の裏側(図3における紙面奥側、図4における下側)の端部に取り付けられている回転レバー14と、ジョイント部16、および固定ワッシャ12を地板102に締結固定するための調整ボルト15とを備えている。
また、一対の固定ピン13a,13bは、ジョイント部16と一体化されており、ジョイント部16を回転させることにより、調整ボルト15を中心にして回転移動する。すなわち、一対の固定ピン13a,13bを介し、ジョイント部16、固定ワッシャ12、およびデテント7が調整ボルト15を中心にして一体的に回転するようになっている。
図5は、デテントの平面図である。
図2、図5に示すように、デテント7は、固定ワッシャ12の大径ワッシャ12aと小径ワッシャ12bとにより挟持されている円板状のデテント固定部21と、デテント固定部21に復帰ばね22を介して支持されている作動レバー23と、外し石4と接触可能な片作動ばね24とが一体成形されたものである。
ここで、一体成形を行う方法として、電鋳加工によりデテント7を形成したり、フォトリソグラフィーのような光学的な手法を取り入れたLIGA(Lithographie Galvanoformung Abformung)プロセスによりデテント7を形成したりすることが可能である。
ここで、2つのピン挿通孔26a,26bのうちの一方のピン挿通孔26b、および各ワッシャ12a,12bに形成されている2つの挿通孔12e,12fのうちの一方の挿通孔12fは、各部品の製作誤差を吸収できるように長円形状に形成されている。
レバー本体51は、直線L1上に沿う直方体状のアーム部28と、このアーム部28の先端に配置され、アーム部28よりも幅広の止め石取付部29とが一体成形されたものである。止め石取付部29には、がんぎ車2の歯部2aと接触可能な止め石6が設けられている。止め石6は、この断面形状が作動レバー23を構成するレバー調整部52の先端部58に向かうに従って漸次幅広となるように略台形状に形成されている。そして、止め石6の下面(図2、図5における上側の面)ががんぎ車2の歯部2aと接触する接触面6aに設定されている。
ここで、レバー本体51のアーム部28には、凹部55に対応する位置に凸部28aが2箇所形成されている。これら凸部28aにより、レバー調整部52と係合片62とが確実にスナップフィットする。
先端部58は、このがんぎ車2側の当接面58aが直線L1方向に沿うように、かつ、がんぎ車2とは反対側(図2、図5における右側)に向かって僅かにオフセットするように形成されている。このように形成された先端部58の当接面58aに、片作動ばね24の先端が当接されている。
片作動ばね24は、平面視略6字状に形成されたものであって、スナップフィット機構60のベース部61から延出する円弧部31と、円弧部31の先端からレバー調整部52の先端部58に向かって延出する直線部32とにより構成されている。そして、直線部32が作動レバー23に対する接離方向に沿って弾性変形するようになっている。
また、舌片部32cは、この先端が作動レバー23を構成するレバー調整部52の先端部58から僅かに突出するように延出形成されている。この舌片部32cの先端部58から突出した部位に、てんぷ5の外し石4が接触するようになっている。
さらに、片作動ばね24が円弧部31と直線部32とからなる平面視略6字状に形成されていることから、デテント7全体の重心位置J1が作動レバー23の支点23aとほぼ一致する。
また、ストッパアーム41は、固定ピン43を中心にして回転可能に設けられており、これによってストッパピン42の位置が調整できるようになっている。このストッパピン42の位置を調整することにより、作動レバー23の移動規制位置が、がんぎ車2の歯部2aに止め石6が接触可能、かつアーム部28の長手方向が直線L1上となる位置に設定される。
次に、図2、図6〜図8に基づいて、デテント脱進機1の動作について説明する。
図6〜図8は、デテント脱進機の動作説明図である。
図2に示すように、デテント7の作動レバー23を構成するレバー本体51が直線L1に沿う位置に存在している状態では、がんぎ車2の歯部2aと作動レバー23に設けられている止め石6の接触面6aとが接触し、両者2,6が係合した状態になっている。
ここで、がんぎ車2は表輪列105より回転力が付与されているが、止め石6と係合している状態にあっては、がんぎ車2が停止した状態になっている。
また、大つば11が矢印CCW1方向に向かって回転することにより、がんぎ車2が矢印CW1方向に向かって回転し始めるのとほぼ同時に、がんぎ車2の歯部2aに振り石3の接触面3aが接触する(図6における2点鎖線参照)。そして、がんぎ車2の回転力が振り石3を介しててんぷ5に伝達される。このとき、てんぷ5は、矢印CCW1方向に向かって回転力が付与される。
一方、がんぎ車2によって矢印CCW1方向に向かう回転力が付与されたてんぷ5は、このてんぷ5に設けられているひげぜんまいが巻き上げられる。そして、ひげぜんまいが所定量巻き上げられると、ひげぜんまいの復元力とてんぷ5の回転力とが逆転し、大つば11の回転方向が矢印CW2方向(図7における時計回り方向)に転じる。
さらに、大つば11が矢印CW2方向に向かって回転し、所定角度に達すると、片作動ばね24の舌片部32cから外し石4が離反する。すると、片作動ばね24の復元力により、舌片部32cが作動レバー23側に向かって変位し(図8における矢印Y4参照)、原位置に戻る。
これを繰り返すことにより、てんぷ5がてん真9を中心にして自由振動すると共に、デテント7が図2、図6〜図8に示す状態を繰り返す。このため、がんぎ車2が常に一定速度で回転する。
次に、図3〜図5に基づいて、デテント7の取付調整方法について説明する。
ここで、上述のように、デテント7は、てんぷ5の自由振動時における外し石4の先端の軌跡上に片作動ばね24の舌片部32cが位置し、かつ外し石4の先端の軌跡を避けるように作動レバー23を構成するレバー調整部52の先端部58が位置するように調整する必要がある。このように、外し石4、作動レバー23、および片作動ばね24を所望の位置に配置するためには、以下のように調整すればよい。
すなわち、外し石4と片作動ばね24の舌片部32cとの相対位置、およびこの舌片部32cとレバー調整部52の先端部58との相対位置を調整することにより、外し石4、作動レバー23、および片作動ばね24を所望の位置に配置することができる。
同図に示すように、角度調整機構19の調整ボルト15を予め若干緩めておき、ジョイント部16を地板102に回転可能な状態にする。この状態で、回転レバー14を回転させると、ジョイント部16と一体となってデテント7が調整ボルト15を中心にして回転する。
同図に示すように、レバー調整部52は、この取付部56が作動レバー23の凹部55に挿入され、係合片62によりスナップフィット固定されている。このため、凹部55からレバー調整部52を挿脱方向に沿ってスライド移動させることができる。凹部55からレバー調整部52を抜き出す方向に向かってスライド移動させると、この先端部58からの片作動ばね24の舌片部32cの突出量が減少する。
したがって、上述の第一実施形態によれば、地板102に角度調整機構19を介してデテント7を固定することにより、外し石4と片作動ばね24の舌片部32cとの相対位置の調整を容易、かつ高精度に行うことができる。また、デテント7の作動レバー23を、レバー本体51とレバー調整部52との別体構造とすることにより、片作動ばね24の舌片部32cとレバー調整部52の先端部58との相対位置の調整を容易、かつ高精度に行うことができる。この結果、外し石4と作動レバー23とを接触不能にしつつ、外し石4と片作動ばね24とを所望の接触状態とし、これら作動レバー23、および片作動ばね24を適正に動作させることができるので、がんぎ車2を確実に正常動作させることができる。
さらに、レバー本体51とレバー調整部52とをスナップフィット機構60を介して連結しているので、レバー調整部52の位置調整、および固定を容易に行うことができる。また、レバー本体51に対するレバー調整部52の位置調整を容易に行うことができる。
さらに、凹部56aを取付部56の幅方向に沿って形成することにより、レバー本体51に対してレバー調整部52を幅方向にスライド移動させることも可能になる。幅方向にスライド移動させてレバー調整部52の位置を調整することにより、レバー調整部52の先端部58と片作動ばね24の舌片部32cとを確実に接触させることも可能になる。
次に、この発明の第二実施形態を図9に基づいて説明する。なお、第一実施形態と同一態様には、同一符号を付して説明を省略する(以下の実施形態についても同様)。
図9は、第二実施形態におけるデテントの要部平面図である。
この第二実施形態において、機械式時計100は、ムーブメント101を備えている点、ムーブメント101の表側に、表輪列105の回転を制御するデテント脱進機1が配置されている点、デテント脱進機1は、四番車106が回転することにより回転するがんぎ車2と、がんぎ車2の歯部2aと接触可能な止め石6を有するデテント72と、がんぎ車2の歯部2aと接触可能な振り石3、およびデテント72と接触可能な外し石4を有するてんぷ5とを備えている点、地板102に角度調整機構19を介してデテント72が固定されている点、デテント72の作動レバー23が直線L1に沿うように延出されている点等の基本的構成は、前述した第一実施形態と同様である(以下の実施形態についても同様)。
より詳しくは、スナップフィット機構260のベース部61には、位置決め用ボルト81を螺入可能な雌ネジ部61aが刻設されている。この雌ネジ部61aに、デテント固定部21側(図9における下側)から位置決め用ボルト81が螺入されている。位置決め用ボルト81の長さは、この先端がベース部61凹部55側に向かって十分突出できる長さに設定されている。
したがって、上述の第二実施形態によれば、前述の第一実施形態と同様の効果に加え、レバー調整部52の位置調整をより容易に行うことが可能になる。
次に、この発明の第三実施形態を図10に基づいて説明する。
図10は、第三実施形態におけるデテントの要部平面図である。
同図に示すように、この第三実施形態と第一実施形態との相違点は、以下の点にある。すなわち、第三実施形態のデテント73には、レバー調整部52の取付部356に、係合片62の鉤部63と係合可能な複数の溝82が形成されている。そして、複数の溝82に応じ、段階的にレバー調整部52をレバー本体51に対してスライド移動させることができる。
このように、溝82と鉤部63とにより、レバー調整部52の位置決め機構としての機能を果たしている。したがって、上述の第三実施形態によれば、前述の第二実施形態と同様の効果を奏することができる。
次に、この発明の第四実施形態を図11に基づいて説明する。
図11は、第四実施形態におけるデテントの要部平面図である。
同図に示すように、この第四実施形態と第一実施形態との相違点は、以下の点にある。すなわち、第四実施形態のデテント74には、レバー本体51の凹部55に対応する位置に、固定用ボルト83が設けられている。
より詳しくは、レバー本体51には、先端がレバー調整部52の取付部56に向かって突出するように固定用ボルト83が螺入されている。
次に、この発明の第五実施形態を図12に基づいて説明する。
図12は、第五実施形態におけるデテントの要部平面図である。
同図に示すように、この第五実施形態と第一実施形態との相違点は、以下の点にある。すなわち、第五実施形態のデテント75には、スナップフィット機構60の係合片62に、鉤部63に代わって固定用ボルト84が設けられている。
したがって、第五実施形態によれば、前述の第一実施形態と同様の効果に加え、レバー調整部52をより確実に固定することができる。
次に、この発明の第六実施形態を図13に基づいて説明する。
図13は、第六実施形態におけるデテントの要部平面図である。
同図に示すように、この第六実施形態と第一実施形態との相違点は、以下の点にある。すなわち、第六実施形態のデテント76のスナップフィット機構60には、凹部55の底部に位置調整カム85が設けられている。
したがって、上述の第六実施形態によれば、前述の第一実施形態と同様の効果に加え、レバー調整部52の位置調整をより容易に行うことが可能になる。
次に、この発明の第七実施形態を図14に基づいて説明する。
図14は、第七実施形態におけるデテントの平面図である。
同図に示すように、この第七実施形態と第一実施形態との相違点は、第一実施形態におけるデテント7の作動レバー23が、レバー本体51とレバー調整部52との別体構造とされ、レバー本体51に片作動ばね24が一体成形されているのに対し、第七実施形態におけるデテント77の作動レバー123は別体構造とされておらず、この作動レバー123と片作動ばね124とが別体構造とされている点にある。
そして、アーム部28、ベース部361、および係合片362により形成される凹部155に、片作動ばね124における円弧部31の端末部(基端)に一体形成されている取付部86が挿入されるようになっている。これにより、作動レバー123と片作動ばね124とがスナップフィット固定される。
また、上述の第七実施形態では、片作動ばね124全体の取付位置を調整することにより、作動レバー123の先端部30と、片作動ばね124の舌片部32cとの相対位置を調整する場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、片作動ばね124は、少なくとも舌片部32cが作動レバー123に対して移動可能に構成されていればよい。
次に、この発明の第八実施形態を図15に基づいて説明する。
図15は、第八実施形態におけるデテントの平面図である。
同図に示すように、この第八実施形態と第一実施形態との相違点は、第一実施形態におけるデテント7の作動レバー23が、レバー本体51とレバー調整部52との別体構造とされているのに対し、第八実施形態におけるデテント78の作動レバー223が、先端のみが別体構造とされている点にある。
レバー本体151は、復帰ばね22側のアーム部28と、このアーム部28の先端側に配置され、アーム部28よりも幅広の止め石取付部29とが一体成形されたものである。
止め石取付部29の先端には、スナップフィット機構460が一体成形されており、このスナップフィット機構460を介して先端部130が連結されている。
このような構成のもと、2つの爪部461a,461b間に先端部130を挿入すると、各爪部461a,461bと先端部130とがスナップフィット固定される。また、先端部130は、爪部461a,461bの挿脱方向にスライド移動可能、つまり、レバー本体151の長手方向に沿ってスライド可能に設けられている。
なお、上述の第八実施形態において、スナップフィット機構460、および先端部130を、先端部130の基端側、つまり、レバー本体151の止め石取付部29側を中心にして揺動可能となるように構成してもよい。このように構成することで、先端部130と片作動ばね24の舌片部32cとを確実に接触させることができる。また、先端部130の幅を片作動ばね24の舌片部32cの幅よりも幅広に設定することが望ましい。このように設定することで、先端部130と片作動ばね24の舌片部32cとを確実に接触させることができる。
次に、この発明の第九実施形態を図18に基づいて説明する。
図18は、第九実施形態におけるデテントの平面図である。
同図に示すように、この第九実施形態と第七実施形態との相違点は、第七実施形態のデテント77における片作動ばね124の取付位置を調整するための構造と、第九実施形態のデテント79における片作動ばね324の取付位置を調整するための構造とが異なる点にある。
また、一対の係合片562,563のうちの他方の係合片563は、アーム部328の長手方向略中央よりもやや止め石取付部29側から立ち上がり部562aと略平行となるように突出する立ち上がり部563aと、この立ち上がり部563aの先端からアーム部328の基端側に向かって屈曲延出する爪部563bとが一体成形されたものである。
ここで、アーム部328には、収納部335に対応する位置に凸部328aが2箇所形成されている。これら凸部328aにより、スナップフィット機構560にスライドプレート386が確実にスナップフィットする。
一方、片作動ばね324の円弧部331は、この一部が直線L1に沿うように、かつ作動レバー323の先端部30に向かって延出形成されている。そして、スライドプレート386の凸部386aに、円弧部331の端末部が接続されている。
次に、この発明の第十実施形態を図19に基づいて説明する。
図19は、第十実施形態におけるデテントの平面図である。
同図に示すように、この第十実施形態と第一実施形態との相違点は、第一実施形態のデテント7における片作動ばね24は、この片作動ばね24の円弧部31の端末部が、アーム部28の基端に接続されているのに対し、第十実施形態のデテント80における片作動ばね424における円弧部431の端末部が、作動レバー423のレバー調整部452に接続されている点にある。
なお、一対の係合片562,563、収納部335、およびスライドプレート386の基本的構成は、前述の第九実施形態と同様であるので説明を省略する。
例えば、上述の実施形態では、地板102にデテント7,72〜80を角度調整機構19を介して固定した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、地板102に直接デテント7,72〜80を固定するように構成してもよい。
そして、デテント固定部21や作動レバー23,123,223,323,423を樹脂成形とし、復帰ばね22や片作動ばね24,124,324,424を金属製の板ばねや線ばねとする場合、デテント固定部21や作動レバー23,123,223,323,423に、復帰ばね22、および片作動ばね24,124,324,424をインサート成型する構成としてもよい。
2 がんぎ車
2a 歯部
3 振り石
4 外し石
5 てんぷ
6 止め石
7,72〜80 デテント
9 てん真
12 固定ワッシャ(ワッシャ)
12a 大径ワッシャ(ワッシャ)
12b 小径ワッシャ(ワッシャ)
14 回転レバー
19 角度調整機構(調整機構)
21 デテント固定部
23,123,223,323,423 作動レバー
24,124,324,424 片作動ばね
30 先端部(レバー先端部)
32c 舌片部(ばね先端部)
52,452 レバー調整部
58 先端部(レバー先端部)
60,260,560,660 スナップフィット機構(第1スナップフィット機構)
81 位置決め用ボルト(第1位置決め機構)
82 溝(第1位置決め機構)
83,84 固定用ボルト
85 位置調整カム(第1位置決め機構)
100 機械式時計
102 地板
105 表輪列
111 ぜんまい
181 位置決め用ボルト(第2位置決め機構)
185 位置調整カム(第2位置決め機構)
360 スナップフィット機構(第2スナップフィット機構)
460 スナップフィット機構(調整機構)
Claims (12)
- がんぎ車と、
このがんぎ車の歯部と接触可能な振り石、および外し石を有し、てん真を中心に自由振動するてんぷと、
前記がんぎ車の歯部と接触可能な止め石を有し、前記がんぎ車に対して接離可能に支持されている作動レバーと、
前記外し石と接触可能、かつ前記作動レバーに対して接離方向に沿って弾性変形可能な片作動ばねと、
前記作動レバーのレバー先端部、および前記片作動ばねのばね先端部の少なくとも何れか一方の前記外し石との相対位置を調整可能な調整機構とを備えたことを特徴とする時計用デテント脱進機。 - 前記作動レバーは、レバー本体と、このレバー本体と別体で、かつ少なくとも前記レバー先端部を有するレバー調整部とにより構成され、
このレバー調整部が前記調整機構として機能することを特徴とする請求項1に記載の時計用デテント脱進機。 - 前記レバー本体と前記レバー調整部とを第1スナップフィット機構を介して連結したことを特徴とする請求項2に記載の時計用デテント脱進機。
- 前記レバー本体に対する前記レバー調整部の位置決めを行うための第1位置決め機構を備えたことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の時計用デテント脱進機。
- 前記作動レバーと前記片作動ばねとを別体構造とし、前記作動レバー、および前記片作動ばねの少なくとも何れか一方に前記調整機構としての機能をもたせることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載の時計用デテント脱進機。
- 前記片作動ばねを、少なくとも前記ばね先端部が前記てんぷに対する接離方向に沿ってスライド移動可能となるように設けたことを特徴とする請求項5に記載の時計用デテント脱進機。
- 前記作動レバーと前記片作動ばねとを第2スナップフィット機構を介して連結したことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の時計用デテント脱進機。
- 前記作動レバーに対する前記片作動ばねの位置決めを行うための第2位置決め機構を備えたことを特徴とする請求項5〜請求項7の何れかに記載の時計用デテント脱進機。
- 前記作動レバーを、レバー本体と、このレバー本体と別体で、かつ少なくとも前記レバー先端部を有するレバー調整部とにより構成すると共に、前記作動レバーと前記片作動ばねとを別体構造とし、
前記レバー調整部と前記片作動ばねとを一体成形し、これらレバー調整部、および片作動ばねを、前記調整機構として機能させたことを特徴とする請求項1に記載の時計用デテント脱進機。 - 少なくとも、前記レバー調整部の前記レバー先端部、及び前記片作動ばねの前記ばね先端部を、前記てんぷに対する接離方向に沿ってスライド移動可能に設けたことを特徴とする請求項9に記載の時計用デテント脱進機。
- 前記作動レバー、および前記片作動ばねを支持可能なデテント固定部と、
このデテント固定部を地板に固定可能、かつ前記地板に対して相対回転可能なワッシャと、
このワッシャに着脱可能に設けられた回転レバーとを設け、
これらワッシャ、および回転レバーを、前記調整機構として機能させることを特徴とする請求項1〜請求項10の何れかに記載の時計用デテント脱進機。 - 請求項1〜請求項11の何れかに記載の時計用デテント脱進機と、
動力源を構成するぜんまいと、
このぜんまいが巻き戻されるときの回転力により回転する表輪列とを備え、
この表輪列の回転を前記時計用デテント脱進機により制御することを特徴とする機械式時計。
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