JP2010181223A - デテント脱進機とそれを組み込んだ時計 - Google Patents

デテント脱進機とそれを組み込んだ時計 Download PDF

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Abstract

【課題】てんぷの自由振動を阻害する区間を非常に小さく設定して、脱進機誤差が非常に小さく、かつ、外乱による影響を低減させたデテント脱進機を提供する。
【解決手段】本発明のデテント脱進機100は、がんぎ車110と、振り石122および外し石124を有するてんぷ120と、止め石132を有する作動レバー130とを含む。外し石124と接触可能な片作動ばね140が作動レバー130に設けられる。作動レバー130は、2方向に回転可能なように構成される。止め石132ががんぎ車110に近づく方向に作動レバー130を回転させる力を作動レバー130に加えるための復帰ばね150が設けられる。片作動ばね140と、復帰ばね150は、作動レバー130の回転中心130Aに対して対称方向の位置に配置される。
【選択図】図1

Description

本発明は、デテント脱進機と、デテント脱進機を組み込んだ時計に関するものである。特に、本発明は、てんぷの自由振動を阻害する区間を非常に小さくなり、かつ、外乱による調速機(てんぷ)への影響を低減させるように構成したデテント脱進機と、それを組み込んだ機械式時計に関する。
古くから機械式時計の脱進機の1つのタイプとして「デテント脱進機」(クロノメータ脱進機)が知られている。デテント脱進機の代表的な機構形態として、スプリング型デテント脱進機(Spring Detent Escapement)と、ピボット型デテント脱進機(Pivoted Detent Escapement)とが従来から広く知られている(例えば、非特許文献1参照)。
図18を参照すると、従来のスプリング型デテント脱進機800は、がんぎ車810と、てんぷ820と、デテントレバー840と、板状ばねで構成された復帰ばね830とを備えている。振り石812が、てんぷ820の大つばに固定されている。止め石832が、デテントレバー840に固定されている。
図19を参照すると、従来のピボット型デテント脱進機900は、がんぎ車910と、てんぷ920と、デテントレバー930と、螺旋ばね(渦巻きばね)で構成された復帰ばね940とを備えている。振り石912が、てんぷ920の大つばに固定されている。止め石932が、デテントレバー930に固定されている。
これらの2つのタイプの脱進機に共通する特徴として、現在広く普及しているクラブツースレバー型脱進機と異なり、がんぎ車から直接的に、てんぷに動力を伝達するため、脱進機における動力(伝達トルク)の損失を小さくすることができるという利点を挙げることができる。
従来の第一タイプのデテント脱進機は、デテントレバーと、螺旋ばね(渦巻きばね)と、板状ばねとを備えている(例えば、特許文献1参照)。
従来の第二タイプのデテント脱進機は、第1フィンガ(14)を担持する大ローラ(4)と、第2フィンガ(11)と停止ツメ石(7)を担持する制止部材(6)と、制止部材(6)の位置制御を行う小ローラ(23)とを備えている。このデテント脱進機は戻しばねを備えていない(例えば、特許文献2参照)。
スイス特許第CH3299号公報(第1〜2頁、図1、図2) 特開2005−181318号公報(第4〜7頁、図1〜図3)
ジョージ・ダニエル著、「The Practical Watch Escapement」、Premier Print Limited、1994年(第1版発行)、第39〜47頁
従来のピボット型デテント脱進機においては、復帰ばね(パッシングスプリング:渦巻きばね)が渦巻き形状であるため、復帰ばねの減衰に要する時間が長くかかり、衝撃終了後にデテントレバーを元の位置に戻す効果に安定性がない課題があった。また、このピボット型デテント脱進機は、外乱に弱く、時計の携帯精度が悪い課題があった。また、このピボット型デテント脱進機は、脱進機の構造が大きく、厚くなる課題があった。また、このピボット型デテント脱進機は、外乱などで復帰ばねのピッチにむらが生じた場合、デテントレバーを元の位置に戻す精度が不安定になり、時計の精度に悪影響を及ぼすおそれがあった。さらに、復帰ばねのピッチを均一に調整するのが非常に困難であった。
従来のスプリング型デテント脱進機においては、がんぎ車の力が止め石(ロッキングストーン)に対して垂直に加えられるため、がんぎ車の歯むらや、平衡ばね(バランススプリング)の組み込みのばらつきや、関連する部品の製造誤差等によりデテントレバーに座屈が生じるおそれがあった。デテントレバーに座屈が生じると、がんぎ車の停止状態が安定せず、がんぎ車がてんぷに与えるエネルギーにばらつきが生じ、安定した瞬間歩度をえることができない課題があった。
さらに、従来のピボット型デテント脱進機とスプリング型デテント脱進機における共通の課題として、ブレードの先端に片作動ばねを接触させる際に、片作動ばねがブレードの先端に接触しすぎたときにも、片作動ばねがブレードの先端から離れたときにも、てんぷに与える影響が大きくなり、すなわち、てんぷに与える抵抗が大きくなり、好ましくないことが挙げられる。そのため、片作動ばねを調整することが必要になるが、この調整は困難であった。また、復帰ばねがデテントレバーに強く作用して、てんぷの抵抗になり、てんぷの振り角が上がらず、時計の精度に悪影響を及ぼすおそれがあった。このような場合、復帰ばね(渦巻きばね)の調整が不可能となるか、或いは、復帰ばねの調整が困難になる課題があった。
前記特許文献2に開示されているデテント脱進機においては、復帰ばねが存在せず、静止部材6の位置制御を小ローラ23と、第1フィンガ14と、第2フィンガ11で行っている。しかしながら、このデテント脱進機では、復帰ばねを用いる制御と比較すると、てんぷの振り幅(振り角)に対する摺動による、てんぷの自由振動を阻害する区間(角度の範囲)が非常に大きく設定されている。したがって、この構造は、時計の計時精度上、不利であるものと考えられる。また、前記特許文献1に開示されている脱進機においては、てんぷが1往復作動する間に(1ヘルツ振動の時計において、てんぷが2振動する間に)、2度の退却が生じている。この退却は、てんぷの慣性力を用いて、本来1つの方向に回転しようとする、がんぎ車を逆転させるものであって、てんぷに与えるストレスが大きいものである。この点においても、前記特許文献1に開示されている脱進機は、デテント脱進機が本来持っている利点を損なうおそれがある構造のものである。
本発明の目的は、てんぷの自由振動を阻害する区間(角度の範囲)を非常に小さく設定して、脱進機誤差が非常に小さいメリットを生かしつつ、復帰ばねの調整機構による作動レバーの押さえ加圧の調整により、従来技術でウィークポイントとされていた外乱による精度不良を低減させることができるように構成したデテント脱進機を提供することにある。すなわち、本発明の目的は、てんぷの自由振動を阻害する区間(角度の範囲)が、現在広く普及しているクラブツースレバー型脱進機よりも小さく、従来技術のデテント脱進機よりも外乱に強いデテント脱進機を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、てんぷが1往復作動する間に(1ヘルツ振動の時計において、てんぷが2振動する間に)、退却が1度しか生じないように構成したデテント脱進機を提供することにある。
本発明は、がんぎ車と、がんぎ車の歯部と接触可能な振り石および外し石を有するてんぷと、がんぎ車の歯部と接触可能な止め石を有する作動レバーとを含む時計用のデテント脱進機において、外し石と接触可能な片作動ばねが作動レバーに設けられる。片作動ばねは板ばねで構成されている。作動レバーは、止め石が、がんぎ車に近づく方向と、止め石が、がんぎ車から遠ざかる方向の2方向に回転可能なように構成されている。止め石ががんぎ車に近づく方向に作動レバーを回転させる力を作動レバーに加えるための復帰ばねが設けられる。復帰ばねは板ばねで構成されている。復帰ばねは、がんぎ車の回転中心軸線に対して垂直な平面内で、作動レバーに力を加えるように構成されている。片作動ばねと、復帰ばねは、作動レバーの回転中心に対して対称方向の位置に配置されている。
この構成により、復帰ばねが常に作動レバーに力を加えるので、作動レバーはすぐに初期位置に戻ることができる。すなわち、この構成では、作動レバーの回転は、すぐに減衰することができる。したがって、本発明のデテント脱進機により、渦巻きばねを含む従来のデテント脱進機における精度の不安定さを解消することができる。
本発明のデテント脱進機は、渦巻きばねを含まないので、渦巻きばねを調整する必要はない。また、本発明のデテント脱進機においては、作動レバーに力を加える向きが、従来技術と比較して一定の方向に構成することが可能であり、精度を安定させることが容易である。また、従来のデテント脱進機における渦巻きばねの個体差による精度のばらつきを防止することができる。また、本発明のデテント脱進機は、平衡ばね(バランススプリング)を含まないので、平衡ばねが座屈する危険性はなく、精度を向上させることができる。さらに、また、本発明のデテント脱進機においては、クラブツースレバー型脱進機における「引き」の作用に相当する初期位置に戻る力を復帰ばねにより作動レバーに加えるので、従来のデテント脱進機と比較すると、外乱の影響を受けにくい構造とすることができる。
本発明のデテント脱進機において、片作動ばねと、復帰ばねは、がんぎ車の回転中心軸線に対して垂直な1つの平面内に位置する部分を含むように構成するのがよい。この構成により、薄型のデテント脱進機を実現することができる。
本発明のデテント脱進機において、片作動ばねの先端部の位置を調整するための片作動ばね偏心ピンが作動レバーに設けられるのがよい。或いは、前記片作動ばねの先端部の位置を調整するための片作動ばね横ねじが、前記作動レバーに設けられるように構成してもよい。この構成により、片作動ばねを作動レバーの先端部に当てる力の調整を容易に調整することができる。
本発明のデテント脱進機において、前記復帰ばねの先端部の位置を調整するための復帰ばね偏心ピンが設けられるのがよい。或いは、前記復帰ばねの先端部の位置を調整するための復帰ばね横ねじが設けられるように構成してもよい。この構成により、作動レバーに加えられる力の大きさを容易に調整することができる。また、この構成により、てんぷに付加される抵抗を制御することができるので、てんぷの振り角の制御が可能になる。したがって、従来のデテント脱進機と比較すると、てんぷの慣性モーメントを安定させ、歩度の変動を防ぐことができるような構造とすることができる。これに対して、従来のデテント脱進機においては、てんぷに対する影響を平衡ばね(バランススプリング)で調整することが困難となり、あるいは、その調整は不可能であった。
本発明のデテント脱進機において、復帰ばねを受入れるための受入れ凹部が作動レバーに設けられ、復帰ばねの作動レバー接触部は、受入れ凹部の中に受入れられるのがよい。この構成により、復帰ばねが基板表面から上下方向に大きく動いたときでも、復帰ばねが作動レバーから外れることを効果的に阻止することができる。
本発明のデテント脱進機において、前記作動レバーの初期位置を調整するための調整偏心ピンが設けられるのが好ましい。この構成により、作動レバーの初期位置を容易に調整することができる。
本発明のデテント脱進機において、前記作動レバーの外れを防止するための外れ防止偏心ピンが設けられるのが好ましい。この構成により、外乱により作動レバーが基板表面と平行に大きく動いたときでも、復帰ばねが作動レバーから外れることを効果的に阻止することができる。また、外れ防止偏心ピンを設けることにより、作動レバーの移動範囲を容易に調整することができる。
本発明のデテント脱進機において、前記復帰ばねは、前記作動レバーに一体に設けられ、直線状の形状又は曲線を含む形状に形成されることができる。この構成により、部品点数を減らして、部品製造と組立作業を簡単にすることができる。また、本発明のデテント脱進機において、前記作動レバーの初期位置を調整し、かつ、前記作動レバーの外れを防止するための偏心ピンを設けることができる。この構成により、部品点数を減らして、部品製造と組立作業を簡単にすることができる。
さらに、本発明は、機械式時計の動力源を構成するぜんまいと、前記ぜんまいが巻き戻されるときの回転力により回転する表輪列と、前記表輪列の回転を制御するための脱進機とを備えるように構成された機械式時計において、前記脱進機が、上記のデテント脱進機で構成されることを特徴としている。この構成により、薄型で調整が容易な機械式時計を実現することができる。また、本発明の機械式時計は、脱進機の力の伝達効率がよいので、ぜんまいを小さくすることができ、或いは、同じサイズの香箱を用いて長時間持続の時計を達成することができる。
本発明のデテント脱進機は、てんぷの自由振動を阻害する区間(角度の範囲)が非常に小さく、脱進機誤差は非常に小さい。すなわち、本発明のデテント脱進機は、てんぷの自由振動を阻害する区間(角度の範囲)が、現在広く普及しているクラブツースレバー型脱進機よりも小さくなるように構成されている。また、本発明のデテント脱進機は、てんぷが1往復作動する間に(1ヘルツ振動の時計において、てんぷが2振動する間に)、退却が1度しか生じないようになっている。
また、本発明のデテント脱進機は、てんぷの振り角調整機構を備えているので、従来技術と比較して、てんぷの振り角を容易に調整することができる。また、本発明のデテント脱進機は、作動レバーに常に力が加えられているので、作動レバーの回転運動の減衰時間を短くすることができ、作動レバーを初期位置に確実に保持することができる。また、従来技術において、作動レバーが初期位置にあるときに、復帰ばねは変位しやすい。これに対して、本発明のデテント脱進機においては、作動レバーが初期位置にあるときに、作動レバーに一定の力を付加する構成であるので、外乱に強い構造である。
本発明のデテント脱進機は、作動レバーの回転中心に対して、片作動ばねと、復帰ばねを対照的に配置し、かつ、基板に対して両者を同じ高さに配置しているので、衝撃時に作動レバーねじれの負荷がかかることはない。また、作動レバーの回転中心と片作動ばねとの間の距離と、作動レバーの回転中心と復帰ばねの間の距離の比率を変えることにより、てんぷにかかる負荷を容易に変更することができる。
本発明のデテント脱進機においては、片作動ばね偏心ピン、復帰ばね偏心ピン、調整偏心ピン、外れ防止偏心ピンなどの種々の偏心ピンを用いているので、片作動ばねや復帰ばねの初期位置の調整が容易であり、脱進機の小型化を図ることができる。また、本発明のデテント脱進機においては、平衡ばね(バランススプリング)や渦巻きばねが破損するおそれがないので、従来技術と比較すると、部品の交換が容易であり、部品の調速が容易である。
本発明のデテント脱進機の実施形態において、脱進機の構造を示す平面図である。 本発明のデテント脱進機の実施形態において、片作動ばね固定ピン、片作動ばね偏心ピンを示す断面図である。 本発明のデテント脱進機の実施形態において、復帰ばね固定ピン、復帰ばね偏心ピンを示す断面図である。 本発明のデテント脱進機の実施形態において、復帰ばね固定ピン、復帰ばね横ねじを示す断面図である。 本発明のデテント脱進機の実施形態において、調整偏心ピンを示す断面図である。 本発明のデテント脱進機の実施形態において、復帰ばねを受入れるための受入れ凹部を示す部分断面図である。 本発明のデテント脱進機の実施形態において、脱進機の作動状態を示す平面図(その1)である。 本発明のデテント脱進機の実施形態において、脱進機の作動状態を示す平面図(その2)である。 本発明のデテント脱進機の実施形態において、脱進機の作動状態を示す平面図(その3)である。 本発明のデテント脱進機の実施形態において、脱進機の作動状態を示す平面図(その4)である。 本発明のデテント脱進機の実施形態において、脱進機の作動状態を示す平面図(その5)である。 本発明のデテント脱進機の実施形態において、脱進機の作動状態を示す平面図(その6)である。 本発明のデテント脱進機の実施形態において、脱進機の作動状態を示す平面図(その7)である。 本発明のデテント脱進機の実施形態において、脱進機の作動状態を示す平面図(その8)である。 本発明のデテント脱進機の実施形態において、脱進機の作動状態を示す平面図(その9)である。 本発明のデテント脱進機の実施形態において、脱進機の作動状態を示す平面図(その10)である。 本発明のデテント脱進機を用いた機械式時計の実施形態において、ムーブメントを裏蓋側から見たときの表輪列、脱進機などの概略構造を示す平面図である。 本発明のデテント脱進機を用いた機械式時計の実施形態において、表輪列、脱進機などの概略構造を示す斜視図である。 従来のスプリング型デテント脱進機の構造を示す斜視図である。 従来のピボット型デテント脱進機の構造を示す斜視図である。 本発明のデテント脱進機の実施形態において、変形例の脱進機の構造を示す平面図(その1)である。 本発明のデテント脱進機の実施形態において、変形例の脱進機の構造を示す平面図(その2)である。 本発明のデテント脱進機の実施形態において、変形例の脱進機の構造を示す平面図(その3)である。
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。一般に、時計の駆動部分を含む機械体を「ムーブメント」と称する。ムーブメントに文字板、針を取り付けて、時計ケースの中に入れて完成品にした状態を時計の「コンプリート」と称する。時計の基板を構成する地板の両側のうちで、時計ケースのガラスのある方の側、すなわち、文字板のある方の側をムーブメントの「裏側」又は「ガラス側」又は「文字板側」と称する。地板の両側のうちで、時計ケースの裏蓋のある方の側、すなわち、文字板と反対の側をムーブメントの「表側」又は「裏蓋側」と称する。ムーブメントの「表側」に組み込まれる輪列を「表輪列」と称する。ムーブメントの「裏側」に組み込まれる輪列を「裏輪列」と称する。
(1)本発明のデテント脱進機の構成:
図1を参照すると、本発明のデテント脱進機100は、がんぎ車110と、がんぎ車110の歯部112と接触可能な振り石122および外し石124を有するてんぷ120と、がんぎ車110の歯部112と接触可能な接触平面132Bを含む止め石132を有する作動レバー130とを含む。外し石124と接触可能な片作動ばね140が作動レバー130に設けられる。片作動ばね140は、ステンレス鋼などの弾性材料の板ばねで構成されるのがよい。片作動ばね140は、ベース部140Bと、変形ばね部140Dと、外し石接触部140Gとを含む。片作動ばね140の変形ばね部140Dの板厚方向は、作動レバー130の回転中心軸線130Aに対して垂直な方向であるのが好ましい。
がんぎ車110は、がんぎ歯車109と、がんぎかな111とを含む。歯部112は、がんぎ歯車109の外周部に形成される。例えば、図1に示すように、15個の歯部112が、がんぎ歯車109の外周部に形成される。がんぎ車110は、地板170と輪列受(図示せず)に対して回転可能なようにムーブメントに組み込まれる。がんぎかな111の上軸部は、輪列受(図示せず)に対して回転可能なように支持される。がんぎかな111の下軸部は、地板170に対して回転可能なように支持される。
てんぷ120は、てん真114と、てん輪115と、大つば116と、ひげぜんまい(図示せず)とを含む。振り石122は、大つば116に固定される。てんぷ120は、地板170とてんぷ受(図示せず)に対して回転可能なようにムーブメントに組み込まれる。てん真114の上軸部は、てんぷ受(図示せず)に対して回転可能なように支持される。てん真114の下軸部は、地板170に対して回転可能なように支持される。
作動レバー130は、地板170と輪列受(図示せず)に対して回転可能なようにムーブメントに組み込まれる。作動レバー130は、作動レバー体134と、作動レバー真136とを含む。作動レバー真136の上軸部は、輪列受(図示せず)に対して回転可能なように支持される。作動レバー真136の下軸部は、地板170に対して回転可能なように支持される。或いは、作動レバー130は、地板170と作動レバー受(図示せず)に対して回転可能なようにムーブメントに組み込むこともできる。この構成では、作動レバー真136の上軸部は、作動レバー受(図示せず)に対して回転可能なように支持される。作動レバー130のてんぷ120に近い方の先端には、ばね受突起部130Dが設けられる。片作動ばね140の外し石接触部140Gは、ばね受突起部130Dに接触可能なように配置される。
作動レバー130は、止め石132が、がんぎ車110に近づく方向と、止め石132が、がんぎ車110から遠ざかる方向の2つの方向に回転可能なように構成されている。止め石132ががんぎ車110に近づく方向に作動レバー130を回転させる力を作動レバー130に加えるための復帰ばね150が設けられる。復帰ばね150は、ステンレス鋼などの弾性材料の板ばねで構成されるのがよい。復帰ばね150は、ベース部150Bと、変形ばね部150Dとを含む。復帰ばね150の変形ばね部150Dの板厚方向は、作動レバー130の回転中心軸線130Aに対して垂直な方向であるのが好ましい。
復帰ばね150は、がんぎ車の回転中心軸線110Aに対して垂直な平面内で、作動レバー130に力を加えるように構成されている。片作動ばね140と、復帰ばね150は、作動レバー130の回転中心130Aに対して対称方向の位置に配置されている。復帰ばね150が作動レバー130に力を加える方向は、作動レバー130の止め石132を設けた部分が、がんぎ車110に近づく方向に回転するような方向となるように構成されている。
この構成により、復帰ばね150が常に作動レバー130に力を加えるので、作動レバー130は、すぐに、図1に示す初期位置に戻ることができる。また、本発明のデテント脱進機においては、クラブツースレバー型脱進機における「引き」の作用に相当する初期位置に戻る力を復帰ばね150により作動レバー130に加えるので、従来のデテント脱進機と比較すると、外乱の影響を受けにくい特徴がある。
本発明のデテント脱進機において、片作動ばね140と、復帰ばね150は、がんぎ車110の回転中心軸線110Aに対して垂直な1つの平面内に位置する部分を含むように構成するのがよい。この構成により、薄型のデテント脱進機を実現することができる。
図1および図2を参照すると、片作動ばね140は、片作動ばね固定ピン137により作動レバー体134に固定される。片作動ばね140の先端部の位置を調整するための片作動ばね偏心ピン138が、作動レバー体134に固定される。片作動ばね偏心ピン138は、偏心軸部138Fと、ヘッド部138Hと、固定部138Kとを含む。固定部138Kは地板170の固定孔に回転可能なように挿入される。偏心軸部138Fの偏心量は、例えば、0.1mmから2mm程度に設定することができる。ドライバ溝138Mがヘッド部138Hに設けられる。片作動ばね偏心ピン138の偏心軸部138Fは、片作動ばね140の窓部140Jの中に配置される。片作動ばね偏心ピン138の偏心軸部138Fを回転させることにより、片作動ばね140は、片作動ばね固定ピン137の中心軸線を回転中心として、作動レバー体134の上面にそって回転することができる。
変形例として、図4を参照すると、片作動ばね140の先端部の位置を調整するための片作動ばね横ねじ146を設けるように構成してもよい。片作動ばね140の支持孔部140Eは、片作動ばね横ねじ146と、片作動ばね保持ナット147との間に支持される。片作動ばね横ねじ146のねじ部は、作動レバー130の垂直壁部130Vに設けられた雌ねじ部にねじ込まれるように構成される。この構成により、片作動ばね140を作動レバー130の先端部に当てる力の調整を容易に調整することができる。
図1および図3を参照すると、復帰ばね150は、復帰ばね固定ピン157により地板170に固定される。復帰ばね150の先端部の位置を調整するための復帰ばね偏心ピン158が、地板170(すなわち、基板)に固定される。復帰ばね偏心ピン158は、偏心軸部158Fと、ヘッド部158Hと、固定部158Kとを含む。固定部158Kは地板170の固定孔に挿入固定される。偏心軸部158Fの偏心量は、例えば、0.1mmから2mm程度に設定することができる。ドライバ溝158Mがヘッド部158Hに設けられる。復帰ばね偏心ピン158の偏心軸部158Fは、復帰ばね150の窓部150Jの中に配置される。復帰ばね偏心ピン158の偏心軸部158Fを回転させることにより、復帰ばね150は、復帰ばね固定ピン157の中心軸線を回転中心として、地板170の上面にそって回転することができる。
変形例として、復帰ばね固定横ねじ(図示せず)を用いて、復帰ばね150は地板170(すなわち、基板)に対して固定されるように構成してもよい。復帰ばね固定横ねじは、図4に示す片作動ばね横ねじ146の構造と同様に構成することができる。この構成により、作動レバー130に加えられる力の大きさを容易に調整することができる。また、この構成により、てんぷ120に付加される抵抗を制御することができるので、てんぷ120の振り角の制御が可能になる。
図1および図5を参照すると、作動レバー130の初期位置を調整するための調整偏心ピン162が地板170(すなわち、基板)に回転可能なように設けられる。調整偏心ピン162は、偏心軸部162Fと、ヘッド部162Hと、固定部162Kとを含む。固定部162Kは地板170の固定孔に回転可能なように挿入される。偏心軸部162Fの偏心量は、例えば、0.1mmから2mm程度に設定することができる。ドライバ溝158Mがヘッド部162Hに設けられる。調整偏心ピン162の偏心軸部162Fは、作動レバー130の側面部に接触するように配置される。調整偏心ピン162の偏心軸部162Fを回転させることにより、作動レバー130の初期位置を容易に調整することができる。
図1を参照すると、作動レバー130の外れを防止するための外れ防止偏心ピン164が地板170(すなわち、基板)に設けられる。外れ防止偏心ピン164は、図5に示す調整偏心ピン162の構造と同様に構成することができる。外れ防止偏心ピン164の偏心軸部の偏心量は、例えば、0.1mmから2mm程度に設定することができる。この構成により、外乱により作動レバーが基板表面と平行に大きく動いたときでも、復帰ばねが作動レバーから外れることを効果的に阻止することができる。外れ防止偏心ピン164の偏心軸部を回転させることにより、作動レバー130の移動範囲を容易に調整することができる。
図1および図2を参照すると、復帰ばね150を受入れるための受入れ凹部130Gが作動レバー130の側面に設けられる。復帰ばね150の作動レバー接触部は、受入れ凹部130Gの中に受入れられる。この構成により、復帰ばね150が地板170(すなわち、基板)の表面から上下方向に大きく動いたときでも、復帰ばね150が作動レバー130から外れることを効果的に阻止することができる。
図20を参照すると、本発明のデテント脱進機100の変形例において、作動レバー230は作動レバー体234を含む。作動レバーばね部236が、作動レバー体234のてんぷ120から遠い方の端部に設けられる。作動レバーばね部236は、直線状の板ばねとして形成することができる。ばね位置調整ピン238が、地板170(すなわち、基板)に設けられる。ばね位置調整ピン238は、偏心ピンで構成される。ばね位置調整ピン238は、偏心軸部と、ヘッド部と、固定部とを含む。ばね位置調整ピン238を回転させることにより、作動レバーばね部236が作動レバー体234に加える弾性力を調整することができる。作動レバー230の初期位置を調整するための調整偏心ピン232が地板170(すなわち、基板)に回転可能なように設けられる。調整偏心ピン232は、偏心軸部と、ヘッド部と、固定部とを含む。復帰ばねは、作動レバー(130)に一体に設けられ、直線状の形状又は曲線を含む形状に形成されるのがよい。
図21を参照すると、本発明のデテント脱進機100の更なる変形例において、作動レバー250は作動レバー体254を含む。作動レバーばね部256が、作動レバー体254のてんぷ120から遠い方の端部に設けられる。作動レバーばね部256は、曲線状の部分を含む板ばねとして形成することができる。例えば、作動レバーばね部256は、U字状の部分を含む板ばねとして形成されている。ばね位置調整ピン258が、地板170(すなわち、基板)に設けられる。ばね位置調整ピン258は、偏心ピンで構成される。ばね位置調整ピン258は、偏心軸部と、ヘッド部と、固定部とを含む。ばね位置調整ピン238を回転させることにより、作動レバーばね部256が作動レバー体234に加える弾性力を調整することができる。作動レバー230の初期位置を調整するための調整偏心ピン252が地板170(すなわち、基板)に回転可能なように設けられる。調整偏心ピン232は、偏心軸部と、ヘッド部と、固定部とを含む。この構成では、作動レバーばね部256の弾性力が、直線状の形状のばね部よりも強くないので、弾性力の微調整が可能となる。
図22を参照すると、本発明のデテント脱進機100のなお更なる変形例において、作動レバー270は作動レバー体274を含む。作動レバー穴部276が、作動レバー体274のてんぷ120から遠い方の端部に設けられる。作動レバー穴部276は、直線状の部分を含む変形穴として形成することができる。作動レバー位置調整ピン272が、地板170(すなわち、基板)に設けられる。作動レバー位置調整ピン272は、偏心ピンで構成される。ばね位置調整ピン258は、偏心軸部と、ヘッド部と、固定部とを含む。作動レバー位置調整ピン272を回転させることにより、作動レバー270の初期位置を調整することができる。作動レバー位置調整ピン272は、外れ防止偏心ピンの機能を果たすように構成することができる。すなわち、この構成では、作動レバー270の初期位置を調整と、外れ防止とを、作動レバー位置調整ピン272のみで達成することが可能となる。
(2)本発明のデテント脱進機の作動:
(2・1)作動その1:
図7を参照すると、てんぷ120が自由振動することにより、大つば116が矢印A1の方向(反時計回り方向)に回転する。
(2・2)作動その2:
図8を参照すると、大つば116に固定された外し石124が矢印A1の方向(反時計回り方向)に回転して、片作動ばね140の外し石接触部140Gに接触する。
(2・3)作動その3:
図9を参照すると、外し石124が矢印A1の方向(反時計回り方向)に回転し、片作動ばね140が、外し石124に押されて、ばね受突起部130Dを押す。すると、作動レバー130は、矢印A2の方向(時計回り方向)に回転する。がんぎ車110の歯部112の先端部は、止め石132の接触平面132Bの上を摺動する。作動レバー130が矢印A2の方向(時計回り方向)に回転する作動に伴い、作動レバー体134は調整偏心ピン162から離れる。
(2・4)作動その4:
図10を参照すると、がんぎ車110の歯部112の先端部は、止め石132の接触平面132Bに接触している。ぜんまいが巻き戻されるときの回転力により回転する表輪列により、がんぎ車110は回転され、がんぎ車110は駆動される。がんぎ車110が矢印A4の方向(時計回り方向)に回転することにより、がんぎ車110の歯部112の先端部は振り石122に接触し、てんぷ120に回転力を伝える。大つば116が矢印A1の方向(反時計回り方向)に所定の角度まで回転すると、外し石124は、片作動ばね140の外し石接触部140Gから離れる。復帰ばね150のばね力により、作動レバー130は、矢印A3の方向(反時計回り方向)に回転して、当初の位置に戻ろうとする。止め石132の接触平面132Bに接触していた、がんぎ車110の歯部112の先端部は止め石132から外れる(がんぎ車110は解除される)。復帰ばね150のばね力により、作動レバー130は、矢印A3の方向(反時計回り方向)に回転して、作動レバー体134は調整偏心ピン162に向かって押し戻される。
(2・5)作動その5:
図11を参照すると、引き続き、がんぎ車110の歯部112の先端部は振り石122に接触し、てんぷ120に回転力を伝える。復帰ばね150のばね力により、作動レバー130の作動レバー体134は調整偏心ピン162に接触する。
(2・6)作動その6:
図12を参照すると、てんぷ120が矢印A1の方向(反時計回り方向)に自由振動することにより、がんぎ車110の次の歯部112の先端部は止め石132の接触平面132Bに落下する。
(2・7)作動その7:
図13を参照すると、てんぷ120が自由振動することにより、大つば116が矢印A5の方向(時計回り方向)に回転する。
(2・8)作動その8:
図14を参照すると、大つば116に固定された外し石124が矢印A5の方向(時計回り方向)に回転して、片作動ばね140の外し石接触部140Gに接触する。
(2・9)作動その9:
図15を参照すると、外し石124が矢印A5の方向(時計回り方向)に回転し、片作動ばね140が、外し石124に押される。このとき、作動ばね140は、作動レバー130のばね受突起部130Dから離れる。したがって、作動レバー130が静止した状態で、片作動ばね140のみが、外し石124により矢印A6の方向(反時計回り方向)に押しだされる。
(2・10)作動その10:
図16を参照すると、大つば116が矢印A5の方向(時計回り方向)に所定の角度まで回転すると、外し石124は、片作動ばね140の外し石接触部140Gから離れる。すると、片作動ばね140は、当初の位置に戻り、てんぷ120は自由振動する。
(2・11)作動の繰り返し:
以下同様に、図7に示す状態から図16に示す状態に至る作動を繰り返すことができる。図1を参照すると、外れ防止偏心ピン164を設けることにより、外乱により作動レバー130が地板170(基板)の表面と平行に大きく動いたときでも、復帰ばね150が作動レバー130から外れることを効果的に阻止することができる。
(3)本発明のデテント脱進機を備えた機械式時計:
さらに、本発明は、機械式時計の動力源を構成するぜんまいと、前記ぜんまいが巻き戻されるときの回転力により回転する表輪列と、前記表輪列の回転を制御するための脱進機とを備えるように構成された機械式時計において、前記脱進機が、上記のデテント脱進機で構成されることを特徴としている。この構成により、薄型で調整が容易な機械式時計を実現することができる。また、本発明の機械式時計は、脱進機の力の伝達効率がよいので、ぜんまいを小さくすることができ、或いは、同じサイズの香箱を用いて長時間持続の時計を達成することができる。
図17および図17Aを参照すると、ムーブメント(機械体)300は、ムーブメントの基板を構成する地板170を有する。ムーブメントの「3時方向」には、巻真310が配置されている。巻真110が、地板170の巻真案内穴に回転可能に組み込まれる。てんぷ120、がんぎ車110、作動レバー130を含むデテント脱進機と、四番車327、三番車326、二番車325、香箱車320を含む表輪列は、ムーブメント100の「表側」に配置される。おしどり、かんぬき、かんぬき押さえを含む切換装置(図示せず)は、ムーブメント300の「裏側」に配置される。さらに、香箱車320の上軸部を回転可能なように支持する香箱受(図示せず)と、三番車326の上軸部、四番車327の上軸部、がんぎ車110の上軸部を回転可能なように支持する輪列受(図示せず)と、作動レバー130の上軸部を回転可能なように支持する作動レバー受(図示せず)と、てんぷ120の上軸部を回転可能なように支持するてんぷ受(図示せず)とが、ムーブメント300の「表側」に配置される。
二番車325が、香箱車320の回転により回転するように構成される。二番車325は二番歯車と、二番かなとを含む。香箱歯車は二番かなと噛み合うように構成される。三番車326が二番車325の回転により回転するように構成される。三番車326は三番歯車と、三番かなとを含む。四番車327が、三番車326の回転により1分間に1回転するように構成される。四番車327は四番歯車と、四番かなとを含む。三番歯車は四番かなと噛み合うように構成される。四番車327の回転により、がんぎ車110は、作動レバー130に制御されながら回転するように構成される。がんぎ車110は、がんぎ歯車と、がんぎかなとを含む。四番歯車は、がんぎかなと噛み合うように構成される。分車329が、香箱車320の回転により回転するように構成される。香箱車320、二番車325、三番車326、四番車327、分車329は表輪列を構成する。
二番車325に取り付けられた筒かな329の回転に基づいて日の裏車340が回転するように構成される。日の裏車340の回転に基づいて筒車(図示せず)が回転するように構成される。二番車325の回転により、三番車326が回転するように構成される。三番車326の回転により、四番車327は1分間に1回転するように構成される。筒車は12時間に1回転するように構成される。スリップ機構が二番車325と筒かな329との間に設けられる。二番車325は1時間に1回転するように構成される。
本発明のデテント脱進機は、従来技術のてんぷの自由振動を阻害する区間(角度の範囲)が非常に小さく、脱進機誤差は非常に小さくなるように構成することができるメリットを生かしつつ、復帰ばねの調整機構による作動レバーの押さえ加圧の調整により、従来技術でウィークポイントとされていた外乱による精度不良を低減させることができるように構成されている。したがって、本発明のデテント脱進機は、機械式の腕時計、マリンクロノメータ、機械式の置時計、機械式の壁掛け時計、大型の機械式の街頭時計、及び、本発明を搭載したトゥールビヨン脱進機及びそれを有する腕時計などに広く適用することができる。本発明の機械式時計は、ぜんまいを小さくすることができ、或いは、同じサイズの香箱を用いて長時間持続の時計を達成することができる。
100 デテント脱進機
110 がんぎ車
120 てんぷ
122 振り石
124 外し石
130 作動レバー
132 止め石
138 片作動ばね偏心ピン
140 片作動ばね
146 片作動ばね横ねじ
150 復帰ばね
158 復帰ばね偏心ピン
170 地板
300 ムーブメント(機械体)
320 香箱車
325 二番車
326 三番車
327 四番車

Claims (12)

  1. がんぎ車(110)と、がんぎ車(110)の歯部と接触可能な振り石(122)および外し石(124)を有するてんぷ(120)と、がんぎ車(110)の歯部と接触可能な止め石(132)を有する作動レバー(130)とを含む時計用のデテント脱進機(100)において、
    前記外し石(124)と接触可能な片作動ばね(140)が前記作動レバー(130)に設けられ、前記片作動ばね(140)は板ばねで構成され、
    前記作動レバー(130)は、前記止め石(132)が、前記がんぎ車(110)に近づく方向と、前記止め石(132)が、前記がんぎ車(110)から遠ざかる方向の2方向に回転可能なように構成されており、
    前記止め石(132)が前記がんぎ車(110)に近づく方向に前記作動レバー(130)を回転させる力を前記作動レバー(130)に加えるための復帰ばね(150)を備え、前記復帰ばね(150)は板ばねで構成され、前記復帰ばね(150)は、前記がんぎ車(110)の回転中心軸線に対して垂直な平面内で、前記作動レバー(130)に力を加えるように構成され、
    前記片作動ばね(140)と、前記復帰ばね(150)は、前記作動レバー(130)の回転中心に対して対称方向の位置に配置される、
    ことを特徴とするデテント脱進機。
  2. 前記片作動ばね(140)と、前記復帰ばね(150)は、前記がんぎ車(110)の回転中心軸線に対して垂直な1つの平面内に位置する部分を含むことを特徴とする、請求項1に記載のデテント脱進機。
  3. 前記片作動ばね(140)の先端部の位置を調整するための片作動ばね偏心ピン(138)が、前記作動レバー(130)に設けられることを特徴とする、請求項1に記載のデテント脱進機。
  4. 前記片作動ばね(140)の先端部の位置を調整するための片作動ばね横ねじ(146)が、前記作動レバー(130)に設けられることを特徴とする、請求項1に記載のデテント脱進機。
  5. 前記復帰ばね(150)の先端部の位置を調整するための復帰ばね偏心ピン(158)が設けられることを特徴とする、請求項1に記載のデテント脱進機。
  6. 前記復帰ばね(150)の先端部の位置を調整するための復帰ばね横ねじが設けられることを特徴とする、請求項1に記載のデテント脱進機。
  7. 前記復帰ばね(150)を受入れるための受入れ凹部(130G)が前記作動レバー(130)に設けられ、前記復帰ばね(150)の作動レバー接触部は、前記受入れ凹部(130G)の中に受入れられることを特徴とする、請求項1に記載のデテント脱進機。
  8. 前記作動レバー(130)の初期位置を調整するための調整偏心ピン(162)が設けられることを特徴とする、請求項1に記載のデテント脱進機。
  9. 前記作動レバー(130)の外れを防止するための外れ防止偏心ピン(164)が設けられることを特徴とする、請求項1に記載のデテント脱進機。
  10. 前記復帰ばねは、前記作動レバー(130)に一体に設けられ、直線状の形状又は曲線を含む形状に形成されることを特徴とする、請求項1に記載のデテント脱進機。
  11. 前記作動レバーの初期位置を調整し、かつ、前記作動レバーの外れを防止するための偏心ピン(272)が設けられることを特徴とする、請求項1に記載のデテント脱進機。
  12. 機械式時計の動力源を構成するぜんまいと、前記ぜんまいが巻き戻されるときの回転力により回転する表輪列と、前記表輪列の回転を制御するための脱進機とを備えるように構成された機械式時計において、前記脱進機が、請求項1から11のいずれか1項に記載のデテント脱進機で構成されることを特徴とする機械式時計。
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