JP2012083113A - 制御装置および制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】原子炉補給水制御系の設定作業を行う作業員の負荷を軽減すること。
【解決手段】原子力発電プラントの原子炉冷却系統で用いられる1次冷却材を貯蔵する体積制御タンクへ補給される1次冷却材の流量およびほう素濃度を制御する制御装置12は、指定された1次冷却材の目標ほう素濃度に基づいて、所定のほう素濃度のほう酸水と当該ほう酸水を希釈して1次冷却材とする希釈液との混合比率を算出する混合比率算出部125と、指定された1次冷却材の流量と、混合比率算出部125によって算出された混合比率とに基づいて、体積制御タンクへ補給されるほう酸水の流量と希釈液の流量とを算出するほう酸水流量算出部126および純水流量算出部128と、流量の算出結果に基づいて、体積制御タンクへ補給されるほう酸水の流量と希釈液の流量とを制御するほう酸水流量制御部127および純水流量制御部129とを備える。
【選択図】図2
【解決手段】原子力発電プラントの原子炉冷却系統で用いられる1次冷却材を貯蔵する体積制御タンクへ補給される1次冷却材の流量およびほう素濃度を制御する制御装置12は、指定された1次冷却材の目標ほう素濃度に基づいて、所定のほう素濃度のほう酸水と当該ほう酸水を希釈して1次冷却材とする希釈液との混合比率を算出する混合比率算出部125と、指定された1次冷却材の流量と、混合比率算出部125によって算出された混合比率とに基づいて、体積制御タンクへ補給されるほう酸水の流量と希釈液の流量とを算出するほう酸水流量算出部126および純水流量算出部128と、流量の算出結果に基づいて、体積制御タンクへ補給されるほう酸水の流量と希釈液の流量とを制御するほう酸水流量制御部127および純水流量制御部129とを備える。
【選択図】図2
Description
本発明は、原子炉補給水制御系の設定作業を行う作業員の負荷を軽減することができる制御装置および制御方法に関する。
ほう素を含む1次冷却材によって原子炉の出力を制御する加圧水型の原子力発電プラントは、原子炉冷却系統(RCS:Reactor Coolant System)に補給される1次冷却材のほう素濃度と流量を制御する原子炉補給水制御系を備える。原子炉補給水制御系には、原子力発電プラントの運転に十分な量の1次冷却材を貯蔵するための体積制御タンク等が設けられる(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
原子炉冷却系統では、運転状況に応じて、1次冷却材の必要量や適切なほう素濃度が変動する。このため、原子力発電プラントでは、運転状況に応じて、原子炉補給水制御系が補給する1次冷却材の量やほう素濃度を変更する必要があるが、これらを調整するには、原子炉補給水制御系に含まれる弁の開度等を個別に設定する必要があり、設定作業を行う作業員に大きな負荷がかかっていた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、原子炉補給水制御系の設定作業を行う作業員の負荷を軽減することができる制御装置および制御方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、原子力発電プラントの原子炉冷却系統で用いられる1次冷却材を貯蔵する体積制御タンクへ補給される1次冷却材の流量およびほう素濃度を制御する制御装置であって、指定された1次冷却材の目標ほう素濃度に基づいて、所定のほう素濃度のほう酸水と当該ほう酸水を希釈して1次冷却材とする希釈液との混合比率を算出する混合比率算出部と、指定された1次冷却材の流量と、前記混合比率算出部によって算出された混合比率とに基づいて、前記体積制御タンクへ補給される前記ほう酸水の流量と前記希釈液の流量とを算出する水流量算出部と、前記水流量算出部の算出結果に基づいて、前記体積制御タンクへ補給される前記ほう酸水の流量と前記希釈液の流量とを制御する流量制御部とを備えることを特徴とする。
この制御装置では、指定したほう素濃度と流量とで1次冷却材が補給されるように、制御装置が混合比率等を算出してほう酸水の流量と希釈液の流量とを制御するので、原子炉補給水制御系の設定作業を行う作業員の負荷を軽減することができる。
また、本発明の望ましい態様としては、前記混合比率算出部は、前記原子炉冷却系統で用いられている1次冷却水のほう素濃度を検出する検出器によって検出されたほう素濃度を前記目標ほう素濃度として、前記混合比率を算出することが好ましい。
この態様では、1次冷却水のほう素濃度の設定が不要となるので、原子炉補給水制御系の設定作業を行う作業員の負荷をさらに軽減することができる。
また、本発明の望ましい態様としては、前記体積制御タンク内の1次冷却材の貯蔵量の検出値と目標値との偏差に基づいて、前記体積制御タンクへ補給される1次冷却材の流量を前記水流量算出部に指定する補給流量指定部をさらに備えることが好ましい。
この態様では、1次冷却水の流量の設定が不要となるので、原子炉補給水制御系の設定作業を行う作業員の負荷をさらに軽減することができる。
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、原子力発電プラントの原子炉冷却系統で用いられる1次冷却材を貯蔵する体積制御タンクへ補給される1次冷却材の流量およびほう素濃度を制御する制御装置によって実行される制御方法であって、指定された1次冷却材の目標ほう素濃度に基づいて、所定のほう素濃度のほう酸水と当該ほう酸水を希釈して1次冷却材とする希釈液との混合比率を算出する混合比率算出ステップと、指定された1次冷却材の流量と、前記混合比率算出ステップにおいて算出された混合比率とに基づいて、前記体積制御タンクへ補給される前記ほう酸水の流量と前記希釈液の流量とを算出する水流量算出ステップと、前記水流量算出ステップでの算出結果に基づいて、前記体積制御タンクへ補給される前記ほう酸水の流量と前記希釈液の流量とを制御する流量制御ステップとを含むことを特徴とする。
この制御方法では、指定したほう素濃度と流量とで1次冷却材が補給されるように、制御装置が混合比率等を算出してほう酸水の流量と希釈液の流量とを制御するので、原子炉補給水制御系の設定作業を行う作業員の負荷を軽減することができる。
本発明に係る制御装置および制御方法は、原子炉補給水制御系の設定作業を行う作業員の負荷を軽減することができるという効果を奏する。
以下に、本発明に係る制御装置および制御方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、これらの実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。また、以下の説明では、既に説明した部分と同様の部分については、既に説明した部分と同一の符号を付して重複する説明を省略する。
まず、図1を参照しながら、原子炉冷却系統への1次冷却材の補給に関連する構成について説明する。図1に示す原子炉冷却系統40は、炉心部から熱をとる1次冷却系と、蒸気発生器を介して1次冷却系から熱をとって蒸気を作る2次冷却系とを含む。原子炉冷却系統40には、1次冷却系で用いられる1次冷却材のほう素濃度を検出するほう素濃度検出器41が設けられる。
図1に示す1次系純水タンク21と、1次系純水ポンプ22と、1次系純水流量制御弁23と、1次系純水流量検出器24と、ほう酸水タンク25と、ほう酸水ポンプ26と、ほう酸水流量制御弁27と、ほう酸水流量検出器28と、混合器29と、体積制御タンク30と、貯水量検出器31と、タンク上流側弁32と、タンク下流側弁33と、充てんポンプ34とは、原子炉補給水制御系を構成する。原子炉補給水制御系は、体積制御タンク30に1次冷却材を貯蔵することによって原子炉冷却系統40で用いられる1次冷却材の量を十分に確保する。また、原子炉補給水制御系は、主として、体積制御タンク30に補給する1次冷却材のほう素濃度を調整することにより、原子炉冷却系統40で用いられる1次冷却材のほう素濃度を制御する。
1次系純水タンク21は、1次冷却材に用いられる純水を蓄える。1次系純水ポンプ22は、1次系純水タンク21に蓄えられた純水を1次系純水流量制御弁23へ送る。1次系純水流量制御弁23は、1次系純水タンク21から体積制御タンク30へ送られる純水の流量を弁の開閉によって調整する。1次系純水流量検出器24は、1次系純水タンク21から体積制御タンク30へ送られる純水の流量を検出する。
ほう酸水タンク25は、1次冷却材に用いられる高濃度のほう酸水を蓄える。ほう酸水ポンプ26は、ほう酸水タンク25に蓄えられたほう酸水をほう酸水流量制御弁27へ送る。ほう酸水流量制御弁27は、ほう酸水タンク25から体積制御タンク30へ送られるほう酸水の流量を弁の開閉によって調整する。ほう酸水流量検出器28は、ほう酸水タンク25から体積制御タンク30へ送られるほう酸水の流量を検出する。
混合器29は、1次系純水タンク21から体積制御タンク30へ送られる純水と、ほう酸水タンク25から体積制御タンク30へ送られるほう酸水とを混合して1次冷却材とする。
体積制御タンク30は、原子炉冷却系統40から還流してきた1次冷却材と、混合器29から送られた1次冷却材とを貯蔵する。体積制御タンク30に貯蔵された1次冷却材は、原子力発電プラントの運転状況に応じて、原子炉冷却系統40へ補給される。貯水量検出器31は、体積制御タンク30に貯蔵されている1次冷却材の量を測定する。
タンク上流側弁32は、混合器29から体積制御タンク30へ送られる1次冷却材の流量を弁の開閉によって調整する。タンク下流側弁33は、体積制御タンク30を経由することなく混合器29から原子炉冷却系統40へ送られる1次冷却材の流量を弁の開閉によって調整する。充てんポンプ34は、原子炉補給水制御系から原子炉冷却系統40へ向けて1次冷却材を送り出す。
また、図1に示す原子力発電プラント制御システム10は、流量積算装置11aと、流量積算装置11bと、制御装置12と、操作端末13とを含む。流量積算装置11aは、1次系純水流量検出器24によって検出された純水の流量を積算する。流量積算装置11bは、ほう酸水流量検出器28によって検出されたほう酸水の流量を積算する。操作端末13は、作業員等の入力を受け付け、受け付けた入力に応じた指示を制御装置12に対して行う。
制御装置12は、原子力発電プラントの各所に設けられた検出器の検出結果や運転担当者の操作等に応じて、原子力発電プラントの各部を制御する。制御装置12は、原子炉補給水制御系の制御に関して、希釈モード、急釈モード、濃縮モード、自動補給モードといったモードを使い分ける。
希釈モードは、原子炉冷却系統40内の1次冷却材のほう素濃度を低下させることが必要になった場合に設定されるモードである。希釈モードにおいては、制御装置12は、タンク上流側弁32を開いた状態で、流量積算装置11aによって積算される純水の流量が指定された量になるまで1次系純水流量制御弁23を開ける。
急釈モードは、原子炉冷却系統40内の1次冷却材のほう素濃度を急速に低下させることが必要になった場合に設定されるモードである。急釈モードにおいては、制御装置12は、タンク下流側弁33を開いた状態で、流量積算装置11aによって積算される純水の流量が指定された量になるまで1次系純水流量制御弁23を開ける。この制御により、指定された量の純水が体積制御タンク30内の1次冷却材と混合されることなく原子炉冷却系統40へ補給され、原子炉冷却系統40内の1次冷却材のほう素濃度が、希釈モードの場合よりも急速に低下する。
濃縮モードは、原子炉冷却系統40内の1次冷却材のほう素濃度を上昇させることが必要になった場合に設定されるモードである。濃縮モードにおいては、制御装置12は、タンク上流側弁32を開いた状態で、流量積算装置11bによって積算されるほう酸水の流量が指定された量になるまでほう酸水流量制御弁27を開ける。
自動補給モードは、通常の運転時に設定されるモードである。自動補給モードにおいては、制御装置12は、原子力発電プラントの運転状況に応じて、適切なほう素濃度の1次冷却材が適切な量だけ体積制御タンク30に蓄えられるように、体積制御タンク30に補給される1次冷却材のほう素濃度と流量とを制御する。
具体的には、制御装置12は、自動補給モードにおいては、ほう素濃度検出器41によって検出された原子炉冷却系統40内の1次冷却材のほう素濃度と同等のほう素濃度の1次冷却材が、指定された適切な流量で体積制御タンク30へ補給されるように原子炉補給水制御系の各部を制御する。なお、自動補給モードにおいては、体積制御タンク30へ補給される1次冷却材のほう素濃度を明示的に指定することもできる。
次に、図2を参照しながら、図1に示した制御装置12の詳細な構成について説明する。図2は、制御装置12の構成を示す機能ブロック図である。図2に示すように、制御装置12は、記憶部120と、設定値更新部121と、ほう酸水タンク内ほう素濃度取得部122と、目標ほう素濃度取得部123と、補給流量取得部124と、混合比率算出部125と、ほう酸水流量算出部126と、ほう酸水流量制御部127と、純水流量算出部128と、純水流量制御部129とを有する。
記憶部120は、制御装置12の動作に関する各種設定値を記憶する記憶装置であり、例えば、フラッシュメモリ等の半導体記憶装置やハードディスク装置に相当する。記憶部120が記憶する設定値には、補給流量設定値120aと、目標ほう素濃度設定値120bと、ほう酸水タンク内ほう素濃度設定値120cと、ほう酸水補給量設定値120dと、純水補給量設定値120eとが含まれる。
補給流量設定値120aは、自動補給モードにおいて体積制御タンク30へ補給される1次冷却材の流量であり、原子力発電プラントの運転状況に応じて設定される。
目標ほう素濃度設定値120bは、自動補給モードにおいて体積制御タンク30へ補給される1次冷却材の目標ほう素濃度であり、目標ほう素濃度を明示的に指定する場合に設定される。原子炉冷却系統40内の1次冷却材のほう素濃度と同等のほう素濃度の1次冷却材を体積制御タンク30へ補給する場合には、目標ほう素濃度設定値120bには、明示的な指定がないことを示す特定の値(例えば、「0」)が設定される。目標ほう素濃度設定値120bには、例えば、ほう素濃度検出器41が故障した場合や、意図的に目標ほう素濃度を高めや低めに設定した場合に、目標ほう素濃度が明示的に設定される。
ほう酸水タンク内ほう素濃度設定値120cは、ほう酸水タンク25に蓄えられているほう酸水のほう素濃度である。ほう酸水補給量設定値120dは、濃縮モードにおいてほう酸水タンク25から補給されるほう酸水の補給量である。純水補給量設定値120eは、希釈モードまたは急釈モードにおいて1次系純水タンク21から補給される純水の補給量である。
設定値更新部121は、操作端末13からの指示に従って、記憶部120に記憶されている各種設定値を更新する。すなわち、記憶部120に記憶されている各種設定値は、操作端末13を操作する作業員等によって変更される。
ほう酸水タンク内ほう素濃度取得部122は、記憶部120に記憶されているほう酸水タンク内ほう素濃度設定値120cを、ほう酸水タンク25に蓄えられているほう酸水のほう素濃度として取得する。なお、ほう酸水タンク25に蓄えられているほう酸水のほう素濃度を検出する検出器が設けられている場合、ほう酸水タンク内ほう素濃度取得部122が、その検出器からほう酸水タンク25に蓄えられているほう酸水のほう素濃度を取得することとしてもよい。
目標ほう素濃度取得部123は、自動補給モードにおいて体積制御タンク30へ補給される1次冷却材の目標ほう素濃度を取得する。具体的には、目標ほう素濃度設定値120bが、明示的な指定がないことを示す特定の値である場合、目標ほう素濃度取得部123は、ほう素濃度検出器41が検出した原子炉冷却系統40内の1次冷却材のほう素濃度を、体積制御タンク30へ補給される1次冷却材の目標ほう素濃度として取得する。
一方、目標ほう素濃度設定値120bが、明示的な指定がないことを示す特定の値でない場合、目標ほう素濃度取得部123は、目標ほう素濃度設定値120bを、体積制御タンク30へ補給される1次冷却材の目標ほう素濃度として取得する。なお、目標ほう素濃度取得部123が目標ほう素濃度設定値120bを目標ほう素濃度として取得するか否かについては、目標ほう素濃度設定値120bとは別に設けられたフラグ値を参照して判定することとしてもよい。
補給流量取得部124は、記憶部120に記憶されている補給流量設定値120aを、自動補給モードにおいて体積制御タンク30へ補給される1次冷却材の補給流量として取得する。
混合比率算出部125は、自動補給モードにおいて、1次系純水タンク21に蓄えられている純水と、ほう酸水タンク25に蓄えられているほう酸水とを混合する混合比率を算出する。具体的には、混合比率算出部125は、ほう酸水タンク25内のほう酸水のほう素濃度がほう酸水タンク内ほう素濃度取得部122によって取得されたほう素濃度である場合に、目標ほう素濃度取得部123によって取得された目標ほう素濃度の1次冷却材を体積制御タンク30へ補給するための混合比率を算出する。
例えば、ほう酸水タンク25内のほう酸水のほう素濃度をDb、1次系純水タンク21内の純水のほう素濃度をDw、目標ほう素濃度をDtとした場合、ほう酸水タンク25内のほう酸水の混合比率Rb(0≦Rb≦1)と1次系純水タンク21内の純水の混合比率Rw(0≦Rw≦1)は、以下のように算出される。
Rw = (Db−Dt)/(Db−Dw)
Rb = 1−Rw
Rw = (Db−Dt)/(Db−Dw)
Rb = 1−Rw
ほう酸水流量算出部126は、補給流量取得部124によって取得された補給流量と、混合比率算出部125によって算出されたほう酸水の混合比率とに基づいて、自動補給モードにおいてほう酸水タンク25内のほう酸水を体積制御タンク30へ向けて送り出す流量を算出する。例えば、補給流量取得部124によって取得された補給流量をFtotalとした場合、ほう酸水の流量Fbは、以下のように算出される。
Fb = Ftotal*Rb
Fb = Ftotal*Rb
ほう酸水流量制御部127は、原子炉補給水制御系のモードに応じて、ほう酸水流量制御弁27の開度を制御する。濃縮モードにおいては、ほう酸水流量制御部127は、ほう酸水流量制御弁27を開いてほう酸水タンク25内のほう酸水を体積制御タンク30へ補給する。そして、流量積算装置11bによって積算されるほう酸水の流量を監視し、積算流量がほう酸水補給量設定値120dに達した段階でほう酸水流量制御弁27を閉じてほう酸水の補給を停止させる。
また、自動補給モードにおいては、ほう酸水流量制御部127は、ほう酸水流量算出部126によって算出された流量でほう酸水タンク25内のほう酸水が体積制御タンク30へ補給され続けるように、ほう酸水流量制御弁27の開度を設定する。
純水流量算出部128は、補給流量取得部124によって取得された補給流量と、混合比率算出部125によって算出された純水の混合比率とに基づいて、自動補給モードにおいて1次系純水タンク21内の純水を体積制御タンク30へ向けて送り出す流量を算出する。例えば、純水の流量Fwは、以下のように算出される。
Fw = Ftotal*Rw
Fw = Ftotal*Rw
純水流量制御部129は、原子炉補給水制御系のモードに応じて、1次系純水流量制御弁23の開度を制御する。希釈モードまたは急釈モードにおいては、純水流量制御部129は、1次系純水流量制御弁23を開いて1次系純水タンク21内の純水を体積制御タンク30へ補給する。そして、流量積算装置11aによって積算される純水の流量を監視し、積算流量が純水補給量設定値120eに達した段階で1次系純水流量制御弁23を閉じて純水の補給を停止させる。
また、自動補給モードにおいては、純水流量制御部129は、純水流量算出部128によって算出された流量で1次系純水タンク21内の純水が体積制御タンク30へ補給され続けるように、1次系純水流量制御弁23の開度を設定する。
上述してきたように、制御装置12は、濃縮モードにおいては、ほう酸水タンク25内のほう酸水が、ほう酸水補給量設定値120dとして設定された量だけ体積制御タンク30へ補給されるように制御する。また、制御装置12は、希釈モードにおいては、1次系純水タンク21内の純水が、純水補給量設定値120eとして設定された量だけ体積制御タンク30へ補給されるように制御する。
さらに、制御装置12は、自動補給モードにおいては、目標ほう素濃度の1次冷却材が補給流量設定値120aとして設定された流量で体積制御タンク30へ補給されるように制御する。目標ほう素濃度については、原子炉冷却系統40内の1次冷却材のほう素濃度を目標ほう素濃度とすることもできるし、明示的に指定した値を目標ほう素濃度とすることもできる。
このように、制御装置12は、原子炉補給水制御系の各部の弁の開度等を個別に設定することなく、体積制御タンク30へ補給される1次冷却材のほう素濃度や流量を制御できるように構成されているので、原子炉補給水制御系の設定作業を行う作業員の負荷を軽減することができる。
次に、図3を参照しながら、図1に示した流量積算装置11aおよび流量積算装置11bの詳細な構成について説明する。なお、流量積算装置11aおよび流量積算装置11bの構成は同様であり、以下の説明では、流量積算装置11aおよび流量積算装置11bを流量積算装置11と総称することとする。
図3は、流量積算装置11の概要構成を示すブロック図である。図3に示すように、流量積算装置11は、記憶部111と、換算部112と、除算部113と、商積算部114と、剰余積算部115と、積算流量算出部116とを有する。
記憶部111は、流量積算装置11の動作に必要な各種情報を記憶する記憶装置であり、例えば、フラッシュメモリ等の半導体記憶装置やハードディスク装置に相当する。記憶部111が記憶する情報には、換算係数111aと、設定値111bとが含まれる。換算係数111aは、流量を体積へ換算するための係数であり、換算部112によって用いられる。設定値111bは、除算部113での除算の除数となる。
換算部112は、1次系純水流量検出器24またはほう酸水流量検出器28によって検出された流量を、換算係数111aを用いて、原子力発電プラント制御システム10の演算周期当たりの体積へ換算する。1次系純水流量検出器24またはほう酸水流量検出器28によって検出される流量の単位がm3/分であり、原子力発電プラント制御システム10の演算周期が100ミリ秒であり、演算周期当たりの体積の単位がm3であるとする。この場合、例えば、換算係数111aは、予め「600」に設定され、換算部112は、入力された流量を換算係数111aで割ることによって、演算周期当たりの体積を算出する。
除算部113は、換算部112が算出した演算周期当たりの体積を設定値111bで割って商と余りとを算出する。除算部113によって算出された商は、商積算部114で積算され、除算部113によって算出された余りは、剰余積算部115で積算される。
商積算部114は、加算器114aと、スイッチ114bとを有する。加算器114aは、除算部113が算出した商と、スイッチ114bが出力した値とを加算し、演算結果をスイッチ114bへ出力する。スイッチ114bは、制御装置12からリセット信号が送信されると、0を加算器114aおよび積算流量算出部116へ出力し、さもなければ、加算器114aが出力した値を加算器114aおよび積算流量算出部116へ出力する。
すなわち、商積算部114は、通常は、除算部113が算出した商と前回の演算周期で算出した積算値とを加算器114aで加算する処理を演算周期ごとに行うことによって商を積算し、制御装置12からリセット信号が送信されると積算値をリセットする。
剰余積算部115は、加算器115aと、スイッチ115bとを有する。加算器115aは、除算部113が算出した余りと、スイッチ115bが出力した値とを加算し、演算結果をスイッチ115bへ出力する。スイッチ115bは、制御装置12からリセット信号が送信されると、0を加算器115aおよび積算流量算出部116へ出力し、さもなければ、加算器115aが出力した値を加算器115aおよび積算流量算出部116へ出力する。
すなわち、剰余積算部115は、通常は、除算部113が算出した余りと前回の演算周期で算出した積算値とを加算器115aで加算する処理を演算周期ごとに行うことによって余りを積算し、制御装置12からリセット信号が送信されると積算値をリセットする。
積算流量算出部116は、乗算器116aと、加算器116bとを有する。乗算器116aは、商積算部114の積算値に設定値111bを乗じる。加算器116bは、乗算器116aの演算結果と、剰余積算部115の積算値とを加算し、演算結果を積算流量として出力する。
上述してきたように、流量積算装置11は、演算周期当たりの体積を設定値111bで割って商と余りとを算出し、商と余りとを別々に積算する。そして、流量積算装置11は、商の積算値に設定値111bを乗じた値と、余りの積算値とを加算することによって積算流量を再現して出力する。このように商と余りとを別々に積算することにより、流量積算装置11が扱える有効桁数を擬似的に拡張して、桁落ちが生じることを防止することができる。
極めて高い信頼性が必要とされる原子力発電プラントでは、演算処理は、バグ等の不具合を内在するおそれが高い複雑なものよりも、簡易なものの方が好ましいとされている。流量積算装置11は、商と余りとを別々に積算するという簡易な構成によって桁落ちを防止するため、原子力発電プラントにおける積算流量の取得に好適である。
なお、流量積算装置11を図4に示す流量積算装置51のように構成することもできる。図4は、流量積算装置51の概要構成を示すブロック図である。図4に示すように、流量積算装置51は、記憶部111と、換算部112と、除算部113と、商積算部114と、積算流量算出部116と、スイッチ517と、加算部518とを有する。
スイッチ517は、制御装置12からリセット信号が送信されると、0を加算部518および積算流量算出部116へ出力し、さもなければ、除算部113が出力した値を加算部518および積算流量算出部116へ出力する。加算部518は、加算器518aを有する。加算器518aは、換算部112が算出した演算周期当たりの体積と、スイッチ517が出力した値とを加算し、演算結果を除算部113へ出力する。
また、流量積算装置51においては、除算部113は、換算部112が出力した値ではなく、加算器518aが出力した値を設定値111bで割って商と余りを算出する。そして、除算部113によって算出された商は、商積算部114へ出力され、除算部113によって算出された余りは、スイッチ517へ出力される。加算器116bは、乗算器116aの演算結果と、スイッチ517が出力した値とを加算し、演算結果を積算流量として出力する。
すなわち、流量積算装置51においては、演算周期当たりの体積と商の余りの積算値とが加算され、加算結果を設定値111bで割った商と余りが別々に積算される。このように構成することにより、演算周期当たりの体積と余りの積算値の和が設定値111bよりも大きくなると、設定値111bよりも大きくなった分の値が商の積算値へ移動し、余りの積算値は設定値111bよりも小さい状態を保つこととなる。
このため、流量積算装置51では、余りの積算値が桁あふれ(オーバーフロー)を起こして積算流量の演算結果の精度が低下することを抑止することができる。また、図3と図4を比較すれば明らかなように、流量積算装置51は、流量積算装置11と同様に簡易な構成となっており、極めて高い信頼性が必要とされる原子力発電プラントにおける積算流量の取得に好適である。
次に、図5を参照しながら自動補給モードにおける制御装置12の動作について説明する。図5は、自動補給モードにおける制御装置12の動作を示すフロー図である。制御装置12は、自動補給モードにおいては、図5に示す動作を繰り返して実行する。
図5に示すように、自動補給モードにおいては、ステップS10として、混合比率算出部125が、1次系純水タンク21に蓄えられている純水と、ほう酸水タンク25に蓄えられているほう酸水とを混合する混合比率を算出する。また、ステップS11として、補給流量取得部124が、体積制御タンク30へ補給される1次冷却材の補給流量を取得する。
そして、ほう酸水流量算出部126が、ステップS12として、混合比率と1次冷却材の補給流量とに基づいて、ほう酸水タンク25から補給するほう酸水の流量を算出する。また、純水流量算出部128が、ステップS13として、混合比率と1次冷却材の補給流量とに基づいて、1次系純水タンク21から補給する純水の流量を算出する。
そして、ほう酸水流量制御部127が、ステップS14として、算出されたほう酸水の流量に応じてほう酸水流量制御弁27の開度を制御する。また、純水流量制御部129が、ステップS15として、算出された純水の流量に応じて1次系純水流量制御弁23の開度を制御する。
実施例1では、自動補給モードにおいて体積制御タンク30へ補給される1次冷却材の補給流量を予め設定することとしたが、1次冷却材の補給流量を自律的に決定するように構成することもできる。そこで、実施例2では、1次冷却材の補給流量を自律的に決定する例について説明する。
図6は、実施例2に係る制御装置62の構成を示す機能ブロック図である。図6に示すように、制御装置62は、補給流量指定部620をさらに備える点において、図2に示した制御装置12と相違する。
補給流量指定部620は、貯水量検出器31が検出する体積制御タンク30内の1次冷却材の量に基づいて、体積制御タンク30内の1次冷却材の量が予め決められた目標値を保つように体積制御タンク30へ補給される1次冷却材の補給流量を決定し、補給流量取得部124に指定する。
具体的には、補給流量指定部620は、貯水量検出器31が検出する体積制御タンク30内の1次冷却材の量と目標値との偏差に基づいて、PID制御等のフィードバック制御により、体積制御タンク30へ補給される1次冷却材の補給流量を決定する。
制御装置62における補給流量取得部124は、補給流量設定値120aが、明示的な指定がないことを示す特定の値(例えば、「0」)である場合、補給流量指定部620から指定された補給流量を自動補給モードにおいて体積制御タンク30へ補給される1次冷却材の流量として取得する。一方、補給流量設定値120aが、明示的な指定がないことを示す特定の値でない場合、補給流量取得部124は、補給流量設定値120aを自動補給モードにおいて体積制御タンク30へ補給される1次冷却材の流量として取得する。
補給流量設定値120aには、例えば、貯水量検出器31が故障した場合や、意図的に体積制御タンク30内の1次冷却材の量を多めや少なめに設定した場合に、補給流量が明示的に設定される。なお、補給流量取得部124が補給流量設定値120aを1次冷却材の流量として取得するか否かについては、補給流量設定値120aとは別に設けられたフラグ値を参照して判定することとしてもよい。
上述したように、実施例では、自動補給モードにおいて体積制御タンク30へ補給される1次冷却材の補給流量を制御装置62が自律的に決定することとしたので、原子炉補給水制御系の設定作業を行う作業員の負荷をさらに軽減することができる。
なお、上記の各実施例で示した各システムおよび各装置の構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で任意に変更することができる。例えば、上記の各実施例では、ほう酸水タンク25内の高濃度のほう酸水を1次系純水タンク21内の純水で希釈して1次冷却材とする例を示したが、ほう酸水タンク25内の高濃度のほう酸水を希釈する希釈液は、純水である必要はなく、ほう素濃度が十分に低い液体であれば、水以外の成分を含む液体であってもよい。
以上のように、本発明に係る制御装置および制御方法は、原子炉補給水制御系の設定作業を行う作業員の負荷を軽減するために有用である。
10 原子力発電プラント制御システム
11a、11b、51 流量積算装置
12、62 制御装置
13 操作端末
21 1次系純水タンク
22 1次系純水ポンプ
23 1次系純水流量制御弁
24 1次系純水流量検出器
25 ほう酸水タンク
26 ほう酸水ポンプ
27 ほう酸水流量制御弁
28 ほう酸水流量検出器
29 混合器
30 体積制御タンク
31 貯水量検出器
32 タンク上流側弁
33 タンク下流側弁
34 充てんポンプ
40 原子炉冷却系統
41 ほう素濃度検出器
120 記憶部
120a 補給流量設定値
120b 目標ほう素濃度設定値
120c ほう酸水タンク内ほう素濃度設定値
120d ほう酸水補給量設定値
120e 純水補給量設定値
121 設定値更新部
122 ほう酸水タンク内ほう素濃度取得部
123 目標ほう素濃度取得部
124 補給流量取得部
125 混合比率算出部
126 ほう酸水流量算出部
127 ほう酸水流量制御部
128 純水流量算出部
129 純水流量制御部
620 補給流量指定部
11a、11b、51 流量積算装置
12、62 制御装置
13 操作端末
21 1次系純水タンク
22 1次系純水ポンプ
23 1次系純水流量制御弁
24 1次系純水流量検出器
25 ほう酸水タンク
26 ほう酸水ポンプ
27 ほう酸水流量制御弁
28 ほう酸水流量検出器
29 混合器
30 体積制御タンク
31 貯水量検出器
32 タンク上流側弁
33 タンク下流側弁
34 充てんポンプ
40 原子炉冷却系統
41 ほう素濃度検出器
120 記憶部
120a 補給流量設定値
120b 目標ほう素濃度設定値
120c ほう酸水タンク内ほう素濃度設定値
120d ほう酸水補給量設定値
120e 純水補給量設定値
121 設定値更新部
122 ほう酸水タンク内ほう素濃度取得部
123 目標ほう素濃度取得部
124 補給流量取得部
125 混合比率算出部
126 ほう酸水流量算出部
127 ほう酸水流量制御部
128 純水流量算出部
129 純水流量制御部
620 補給流量指定部
Claims (4)
- 原子力発電プラントの原子炉冷却系統で用いられる1次冷却材を貯蔵する体積制御タンクへ補給される1次冷却材の流量およびほう素濃度を制御する制御装置であって、
指定された1次冷却材の目標ほう素濃度に基づいて、所定のほう素濃度のほう酸水と当該ほう酸水を希釈して1次冷却材とする希釈液との混合比率を算出する混合比率算出部と、
指定された1次冷却材の流量と、前記混合比率算出部によって算出された混合比率とに基づいて、前記体積制御タンクへ補給される前記ほう酸水の流量と前記希釈液の流量とを算出する水流量算出部と、
前記水流量算出部の算出結果に基づいて、前記体積制御タンクへ補給される前記ほう酸水の流量と前記希釈液の流量とを制御する流量制御部と
を備えることを特徴とする制御装置。 - 前記混合比率算出部は、前記原子炉冷却系統で用いられている1次冷却水のほう素濃度を検出する検出器によって検出されたほう素濃度を前記目標ほう素濃度として、前記混合比率を算出することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
- 前記体積制御タンク内の1次冷却材の貯蔵量の検出値と目標値との偏差に基づいて、前記体積制御タンクへ補給される1次冷却材の流量を前記水流量算出部に指定する補給流量指定部をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の制御装置。
- 原子力発電プラントの原子炉冷却系統で用いられる1次冷却材を貯蔵する体積制御タンクへ補給される1次冷却材の流量およびほう素濃度を制御する制御装置によって実行される制御方法であって、
指定された1次冷却材の目標ほう素濃度に基づいて、所定のほう素濃度のほう酸水と当該ほう酸水を希釈して1次冷却材とする希釈液との混合比率を算出する混合比率算出ステップと、
指定された1次冷却材の流量と、前記混合比率算出ステップにおいて算出された混合比率とに基づいて、前記体積制御タンクへ補給される前記ほう酸水の流量と前記希釈液の流量とを算出する水流量算出ステップと、
前記水流量算出ステップでの算出結果に基づいて、前記体積制御タンクへ補給される前記ほう酸水の流量と前記希釈液の流量とを制御する流量制御ステップと
を含むことを特徴とする制御方法。
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-
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- 2010-10-06 JP JP2010226961A patent/JP2012083113A/ja not_active Withdrawn
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