JP2012082892A - ブラインドボルト - Google Patents

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Abstract

【課題】締結後経時等により緩みが生じた場合に増し締めを行うことができるブラインドナットを提供する。
【解決手段】ブラインドボルト1は、締結部材2、ボルト部材3及び拡径部材4で構成される。締結部材は、略円柱状の円筒状部11と、円筒状部の一端において径方向に拡がる頭部12と、円筒状部および頭部をその軸方向に貫通するボルト用孔16と、を有する。ボルト部材は、ボルト用孔に挿入可能であって雄ネジが設けられた軸部15と、ボルト用孔に挿入不能であって軸部の一端に一体化され軸部を回転させる工具等に連結可能な頭部13と、を有する。拡径部材は、全体として形状が円柱状であってその軸心を雄ネジに螺合する雌ネジ23が貫通し、軸心方向の一方の端がボルト用孔に進入可能であり、その外径が、軸心方向の他方の側に向かうに伴い増加して他方の端においてボルト用孔の内径よりも大きい。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば板状の複数の部材を重ね合わせて締結する作業を、片側から行うことができるブラインドボルトに関する。
2つの板材を締結する手段として、六角柱の頭部を有するボルトと六角柱の形状のナットとの組合せが一般的である。しかし、ボルトとナットとの組合せは、締結する際に供回りを防止する必要があることから、板材の一方の側からのみ作業が可能な場合には、ブラインドボルトが使用される。
ブラインドボルトは、一端に六角柱の頭部を有し他端側の一部に雌ネジが設けられた円筒状のリベット部材と、雌ネジに螺合するボルト部材で構成され、重ね合わせた板材の孔を貫通させ一端側でボルト部材を締め付けることにより、板材の他方の側においてリベット部材の他端側中途部分を屈曲させて外方に拡げ、複数の板材を締結する(特許文献1)。
ブラインドボルトには、ボルト部材の頭部が所定のトルクを超えると破断して雄ネジ部分と切り離されることにより、施工時にトルクレンチを不要とし、かつその後の操作を不要としたブラインドボルトも提案されている(特許文献2)。
実公平2−39052号公報 特開2004−100837号公報
特許文献1,2に開示されたブラインドボルトは、リベット部材が屈曲可能な程度に塑性変形し易く形成されており、半端な屈曲では締結後容易に緩みが生ずる。そのため、施工時に、リベット部材はそれ以上変形しない限界にまで屈曲される。
ところで、例えばモーター等の動力源を備えた機器および設備等では、動力源からの振動等によって、ブラインドボルトによる締結部分に緩みが生ずるおそれがある。
しかし、ブラインドボルトによる締結部分に緩みが生じた場合、特許文献1,2に開示されたブラインドボルトには、その締結に関わる構造から、増し締めを行うことができないという問題がある。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、締結後経時等により緩みが生じた場合に増し締めを行うことができるブラインドナットを提供することを目的とする。
本発明に係るブラインドボルトは、締結部材、ボルト部材および拡径部材で構成され、前記締結部材は、外形が略円柱状の円筒状部と、前記円筒状部の一端において前記円筒状部から径方向に拡がる頭部と、前記円筒状部および前記頭部をその軸方向に貫通するボルト用孔と、を有し、前記ボルト部材は、前記ボルト用孔に挿入可能であって雄ネジが設けられた軸部と、前記ボルト用孔に挿入不能であって前記軸部の一端に一体化され前記軸部を回転させる工具または装置に連結可能または係合可能な頭部と、を有し、前記拡径部材は、全体として形状が断面円形の柱状であってその軸心を前記雄ネジに螺合する雌ネジが貫通し、軸心方向の一方の端が前記ボルト用孔に進入可能であり、その外径が、軸心方向の他方の側に向かうに伴い増加して他方の端において前記ボルト用孔の内径よりも大きい。
好ましくは、前記拡径部材は、略円錐台形の拡径部と、前記拡径部の下底をその底面として前記拡径部に一体となった外形が略円柱状の本体と、からなる。
前記拡径部材は、前記拡径部の周面に、前記周面の母線に沿って線状に凸となった凸帯が設けられたものとしてもよい。
ここでいう「略円柱状」とは、完全な円柱のほかに、いずれかの形状に例えるとすれば
円柱といえる形状を含み、また周面が円滑でなく例えば周面に軸心方向の溝を多数有する形状も含まれる。
本発明によると、締結後経時等により緩みが生じた場合に増し締めを行うことができるブラインドナットを提供することができる。
図1はブラインドボルトの正面半断面図である。 図2はブラインドボルトの平面図である。 図3はブラインドボルトの下面図である。 図4は締結状態のブラインドボルトの正面半断面図である。 図5は他の形態の拡径部材の平面図である。 図6は他の形態の拡径部材の上面図である。 図7は他の形態の頭部を有するボルト部材を示す図である。 図8は他の形態の頭部を有するボルト部材を示す図である。
図1はブラインドボルト1の正面半断面図、図2はブラインドボルト1の平面図、図3はブラインドボルト1の下面図、図4は締結状態のブラインドボルト1の正面半断面図である。
ブラインドボルト1は、締結部材2、ボルト部材3および拡径部材4で構成される。
締結部材2は、円筒状部11および頭部12からなる。円筒状部11は、軸心を通り断面が円形の孔を有する円筒である。頭部12は、形状が六角柱であって、その軸心を円筒状部11の軸心に一致させて円筒状部11と一体になり、円筒状部11の孔に連続し同じ内径の孔が貫通している。円筒状部11の孔およびこれに連続する頭部12の孔を併せてボルト用孔16という。頭部12は、円筒状部11の径方向外方にフランジ状(鍔状)に拡がる。締結部材2は、適度な強度と組成変形性とを有する金属材料、例えば炭素鋼で形成される。
ボルト部材3は、頭部13に六角レンチ用の孔14を有する六角穴付きボルトである。雄ネジが設けられた軸部15の軸径は、締結部材2の孔の内径より僅かに小さい。軸部15の長さは、締結部材2の孔を貫通しさらに外部に露出する程度である。ボルト部材3は、全ネジが好ましいが、ネジ部分が締結に十分な長さを有すれば半ネジでもよい。
拡径部材4は、外形が略円錐台状の拡径部21、および外形が円柱状の本体22からなる。拡径部21は、上底(径が小さい方の底)側近傍において、周面の母線の軸心に対する傾斜が一段と大きくなっている。拡径部21は、上底側外径がボルト用孔16の内径よりも小さい。
本体22は、その軸心を拡径部21の軸心と一致させその一方の底(面)が拡径部21の下底に連続する。本体22の外径は、締結部材2の円筒状部11の外径と同じまたはそれ以下であり、かつボルト用孔16の内径より大きい。拡径部材4は、拡径部21および本体22の軸心を通りボルト部材3の雄ネジに螺合する雌ネジ23を備える。
拡径部材4は、拡径部21の形状を球または楕円球とすることができ、拡径部材4全体の形状を砲弾形とすることができる。
次に、ブラインドボルト1による板材の締結について説明する。
図1を参照して、ブラインドボルト1は、ボルト部材3の軸部15が、締結部材2の頭部12側からボルト用孔16内に挿入される。締結部材2の他端から飛び出た軸部15には、拡径部材4が拡径部21側から螺合される。ボルト部材3は、拡径部21の端部がボルト用孔16内に進入し拡径部材4の供回りが阻止される程度にまで回転される。ブラインドボルト1は、このように一体化された後、締結する板材に共通に設けられた貫通孔25に拡径部21側から差し入れられる。
板材の締結に使用されるブラインドボルト1は、本体22の外径に締結部材2の円筒状部11の厚さの2倍を加えた数値が貫通孔25の内径より大きな拡径部材4を有するものが使用される。つまり、目的とする締結強度を得るために選択されたブラインドボルト1
に応じて、上記の要件を満たす内径の貫通孔25が板材に設けられる。
また、使用されるブラインドボルト1は、締結部材2の円筒状部11の長さが、貫通孔25の長さに拡径部材4の長さを加えた以上のものが好ましい。
ブラインドボルト1による締結作業には、締結装置TDが使用される。図4を参照して、締結装置TDは、回転六角レンチ51および締結部材押さえ52を有する。回転六角レンチ51は、断面六角形のレンチがその軸心回りに回転するものである。締結装置TDは、回転六角レンチ51と駆動源とが空転クラッチで連結され、所定のトルク以上で駆動源が空転する。回転六角レンチ51は、ボルト部材3の頭部13に設けられた孔14に嵌め入れられ、ボルト部材3を一方向(締まる方向)に回転させる。締結部材押さえ52は、締結部材2の六角形の頭部12を嵌め入れてその軸心回りの回転を制限する。
さて、ブラインドボルト1は、締結部材2の頭部12が締結部材押さえ52により供回りを制限された状態でボルト部材3が回転すると、螺合する拡径部材4が円筒状部11におけるボルト用孔16内に進入する。拡径部材4は、形状が円錐台の拡径部21が、円筒状部11を径方向に押し拡げながらボルト用孔16内を進入する。このとき、ボルト部材3の頭部13は、締結部材2の頭部12に係止されて、拡径部材4をボルト用孔16内に引き寄せる。
拡径部材4が貫通孔25の内方に入り込むと、回転六角レンチ51の回転トルクが増加し、押し拡げられた円筒状部11は、強く貫通孔25の内面を押圧する。やがて回転トルクが所定の値になると空転クラッチによって回転六角レンチ51の回転が停止し、ブラインドボルト1による板材の締結が終了する。
ブラインドボルト1は、拡径部材4の拡径部21が、締結作業時に円筒状部11を押しひろげるとともに、締結後にはくさびの役割を果たす。
ブラインドボルト1は、板材等の締結後、ボルト部材3を逆回転させ、締結部分から取り除くことができる。また、ブラインドボルト1は、振動等により締結部分に緩みが生じたときには、ボルト部材3を(螺合部分が進行する方向に)正回転させ、さらに円筒状部11を押し拡げることにより、緩みを解消させることができる。
締結部分からボルト部材3が取り外された場合でも、ボルト部材3を締結部材2の頭部12側からボルト用孔16に挿入して拡径部材4に螺合させ拡径部材4をボルト用孔16内に進入させることにより、円筒状部11を押し拡げて緩みを解消し、強い締結状態に回復させることができる。
図5は他の形態の拡径部材4Bの平面図、図6は拡径部材4Bの上面図である。
拡径部材4Bは、上記した拡径部材4と同様に、外形が略円錐台状の拡径部21B、および外形が円柱状の本体22からなる。拡径部21Bは、その周面に、母線に沿って線状に凸となった凸帯26Bが、周方向に等間隔に4本設けられている。凸帯26Bの隆起幅は、母線に沿って線状に伸びると認められる任意とすることができる。拡径部材4Bにおける拡径部21Bは、本体22に連続する部分から上底に相当する部分までの周面の母線(軸を含む断面の輪郭)が、不連続点を有しない曲線となっている。
拡径部材4Bにおける他の部分の形状等は、拡径部材4におけるものと同じであり、図5および図6において拡径部材4におけると同じ符合を付し、説明を省略する。
拡径部材4Bに組み合わされる締結部材2は、ボルト用孔16の内面に、凸帯26Bの隆起幅と同じまたはそれ以下の幅、および凸帯の隆起高さと同じまたはそれ以下の深さであり、軸方向に伸びた4本の凹溝27B,27B,27Bが周方向に等間隔に設けられていることが好ましい。
凸帯26Bを有する拡径部材4Bは、板材等の締結時に回転されるボルト部材3に供回りし難く、確実に強く板材等を締結することができる。
凸帯26Bの数は4に限られず他の数としてもよい。また、凸帯26Bは、周方向に等間隔ではなく、不規則な間隔としてもよい。そのような拡径部材に組み合わされる締結部材に設けられる凹溝27Bは、全ての凸帯26Bがいずれかの凹溝27Bに嵌り込むように配される。
図7および図8はそれぞれ他の形態の頭部13C,13Dを有するボルト部材3C,3
Dを示す図である。図7および図8において(a)は平面図、(b)は正面図である。
ボルト部材3Cは、スパナ等で締結を行うことができるように、形状が六角柱の頭部13Cを有する。
ボルト部材3Dは、プラスドライバーで締結を行うことができるように、十字型の孔が設けられた頭部13Dを有する。
ボルト部材3Cおよびボルト部材3Dは、頭部13C,13Dの形状を除く他の部分は、ボルト部材3におけるものと同じである。ボルト部材3Cおよびボルト部材3Dは、上述した締結部材2および拡径部材4,4Bと組み合わされて、ブラインドボルトを構成する。
上述の実施形態において、締結部材2の頭部12は、円筒状部11の一端の全周において径方向に鍔状に拡がり、円筒状部11が板材の貫通孔25に挿入されたときに板材の作業側表面に係止されたものであれば、その形状を任意のものとすることができる。締結部材2は、その頭部12に、ボルト部材15との供回り防止のためになんらかの工夫が施されるのが好ましい。
頭部12におけるボルト部材15との供回り防止のための工夫とは、上記した形状を六角柱とする方策のほかに、スパナに保持等に保持可能なように平行な2つの側面(側面=軸心に平行な面)を設ける、または円筒状部11側を向く面に目荒らしを行うもしくは小さな三角錐状の突起を設ける等である。
拡径部材4は、拡径部21の先端の端縁が、軸心方向から見たときに本体22の輪郭内に収まれば、拡径部21の形状を任意のものとすることができる。
その他、ブラインドボルト1の各構成または全体の構造、形状、寸法、個数、材質などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
本発明に係るブラインドボルトは、施工後経時により緩みが発生しやすく増し締めが求められる板材等の締結に利用することができる。
1 ブラインドボルト
2 締結部材
3,3C,3D ボルト部材
4,4B 拡径部材
11 (締結部材の)円筒状部
12 (締結部材の)頭部
13,13C,13D (ボルト部材の)頭部
15 (ボルト部材の)軸部
16 ボルト用孔
21 (拡径部材の)拡径部
22 (拡径部材の)本体
23 (拡径部材の)雌ネジ
26B 凸帯

Claims (3)

  1. 締結部材、ボルト部材および拡径部材で構成され、
    前記締結部材は、
    外形が略円柱状の円筒状部と、
    前記円筒状部の一端において前記円筒状部から径方向に拡がる頭部と、
    前記円筒状部および前記頭部をその軸方向に貫通するボルト用孔と、を有し、
    前記ボルト部材は、
    前記ボルト用孔に挿入可能であって雄ネジが設けられた軸部と、
    前記ボルト用孔に挿入不能であって前記軸部の一端に一体化され前記軸部を回転させる工具または装置に連結可能または係合可能な頭部と、を有し、
    前記拡径部材は、
    全体として形状が断面円形の柱状であってその軸心を前記雄ネジに螺合する雌ネジが貫通し、
    軸心方向の一方の端が前記ボルト用孔に進入可能であり、
    その外径が、軸心方向の他方の側に向かうに伴い増加して他方の端において前記ボルト用孔の内径よりも大きい
    ことを特徴とするブラインドボルト。
  2. 前記拡径部材は、
    略円錐台形の拡径部と、
    前記拡径部の下底をその底面として前記拡径部に一体となった外形が略円柱状の本体と、からなる
    請求項1に記載のブラインドボルト。
  3. 前記拡径部材は、
    前記拡径部の周面に、前記周面の母線に沿って線状に凸となった凸帯が設けられた
    請求項2に記載のブラインドボルト。
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