JP6016652B2 - 部材の二段接合方法、及び、該方法に用いる部材一段接合用ナット - Google Patents

部材の二段接合方法、及び、該方法に用いる部材一段接合用ナット Download PDF

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本発明は、重ねて配置した複数の板状部材の一段階目の接合を行った後、更に別の板状部材を重ねて二段階目の接合を行って、積層した部材全体を摩擦接合するために用いる部材の二段接合方法と、該方法の一段階目の接合に用いる部材一段接合用ナットに関するものである。
鋼構造物を構築する際には、3枚以上の板状部材を重ねて摩擦接合した構造を採る場合がある。
ところで、たとえば、3枚の板状部材を重ねて摩擦接合を行う場合には、施工手順の都合上、第1と第2の板状部材を重ねて接合する工程を先に行い、その後、上記第1と第2の板状部材の接合体に対して、第3の板状部材を重ねて更に接合することがある。
このような手順で接合を行う場合の一般的な手法は、先ず、第1と第2の板状部材を、該各板状部材同士に対応する配置で穿設してあるボルト挿通孔に挿通配置した高力ボルトと、該高力ボルトに螺着させたナットを用いて一段階目の摩擦接合を行う。
次に、上記第2の板状部材における上記第1の板状部材との接合面とは逆側の面に、上記一段階目の摩擦接合に用いた高力ボルトのボルト頭、又は、ナットを収容可能なサイズの開口部を予め設けた上記第3の板状部材を重ねて配置する。
次いで、上記第1及び第2の各板状部材と、上記第3の板状部材に対応する配置で設けてある別のボルト挿通孔に、上記一段階目の摩擦接合に用いた高力ボルトとは別の高力ボルトを挿通配置し、この別の高力ボルトにナットを締め付けることで、上記3枚の板状部材の摩擦接合を行うようにしてある。
又、別の接合手法としては、予め上記第1と第2の板状部材に、互いに対応する配置でボルト挿通孔を穿設する一方、第3の板状部材には、該ボルト挿通孔に対応する個所に、高力ボルトのボルト頭、又は、ナットを収容可能なサイズの開口部を設けておく。更に、上記第2と第3の板状部材には、互いに対応する配置で別のボルト挿通孔を穿設する一方、第1の板状部材には、該別のボルト挿通孔に対応する個所に、高力ボルトのボルト頭、又は、締結用のナットを収容可能なサイズの開口部を設けておく。
この状態で、先ず、第1と第2の板状部材を、互いに対応するボルト孔に挿通配置した高力ボルトとナットを用いて摩擦接合する。
次に、この第1と第2の摩擦接合に用いた高力ボルトのボルト頭、又は、ナットを第3の板状部材の開口部に収容させるようにして、該第3の板状部材を、上記第2の板状部材における第1の板状部材の接合側とは逆側に重ねて配置する。
次いで、上記第1の板状部材の開口部の内側で、上記第2と第3の板状部材に設けてある別のボルト挿通孔に挿通配置させた別の高力ボルトとナットにより、該第2と第3の板状部材同士の摩擦接合を行うようにする。これにより、上記第1と第3の板状部材を、上記第2の板状部材を介して一体に接合するようにしてある。
ところで、ロックナットの1つとしては、内周面にボルトに螺合させるための雌ねじ部を備えたロックナット本体の軸心方向の一端側(後端側)に、工具(治具)により回転操作するための回転操作部を備え、且つロックナット本体と、回転操作部との間に、所定の捩じり荷重で破断するノッチを備え、更に、上記ロックナット本体の外側面に設けたリング受け部に、空回りリングを回転自在に外装させた構成のものが、従来提案されている。
かかる構成としてあるロックナットは、工具により回転操作部を回転させてロックナット本体をボルトに螺着させた後、該回転操作部に、上記所定の捩じり荷重以上の捩じり荷重を付与することで、ノッチを破断させて、上記空回りリングを回転自在に外装させたロックナット本体を、上記ボルトに残すことができるとされている(たとえば、特許文献1参照)。
又、板状部材のボルト挿通孔に挿通配置させたボルトを該板状部材のボルト挿通孔に脱落しないように仮固定するための仮固定ナットの1つとしては、防錆キャップ一体式のボルト仮固定ナットが従来提案されている。
かかる防錆キャップ一体式ボルト仮固定ナットは、ボルトを仮固定すべき板状部材のボルト挿通孔よりも軸心方向の一端側が小径としてあるボルト仮固定ナット本体の軸心方向他端側に、ボルトの軸部を覆うことができるようにした防錆キャップ部の開口側端部を一体に取り付け、且つ上記ボルト仮固定ナット本体と、防錆キャップ部との境界部分に、両者を切り離すことができるようにした切断機構を備えた構成としてある。
更に、上記防錆キャップ部における開口側端部とは逆側の非開口側端部の軸心位置に、レンチ嵌着部を設けた構成とすることも提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
特開2000−240632号公報 特開2010−78074号公報
ところが、上記従来の3枚の板状部材を二段階のボルト締結により接合する手法では、一段階目の接合工程と二段階目の接合工程で別々のボルトを使用するため、接合に用いるボルトの本数が多くなってしまう。
又、上記接合に用いるボルトの本数が多くなることに伴い、接合対象とする各板状部材に穿設するボルト挿通孔の数が多くなる。更に、各板状部材には、必要に応じてボルト頭やナットを収容するための開口部を設ける必要が生じることから、接合対象の板状部材に対する上記ボルト挿通孔の穿設作業や開口部を設ける加工作業に要する手間及び時間が嵩むという問題がある。
なお、特許文献1に示されたものは、ボルトに螺着させて所定の部材の締結に用いたナットの緩みを防止するためのロックナットであって、3枚以上の板状部材を摩擦接合するときに、そのうちのいくつかの板状部材を積層配置して予め接合し、その後、すべての板状部材を接合するようにする接合手法に関する考えは、特許文献1には全く示されていない。
又、特許文献1に示されたロックナットは、ロックナット本体をボルトに螺着させた後、ノッチの部分で回転操作部を破断させて取り除くことができるものであるが、上記ロックナット本体は、外装した空回りリングの脱落を防止する必要上、該ロックナット本体の後端側に、上記空回りリングを係止させるために外周に張り出したフランジ状の部分を備える必要がある。更に、該フランジ状の部分より大きな外径の空回りリングが必須の構成要件となっている。そのため、上記ロックナットは、上記回転操作部の破断後にボルトに螺着した状態で残る上記ロックナット本体の外径寸法を、小径にすることができるものではない。
特許文献2に示されたものは、板状部材のボルト挿通孔に挿通配置させたボルトを脱落しないようにボルト挿通孔に仮固定するための機能を備えた防錆キャップ一体式ボルト仮固定ナットであって、3枚以上の板状部材を摩擦接合するときに、そのうちのいくつかの板状部材を積層配置して予め接合し、その後、すべての板状部材を接合するようにする接合手法に関する考えは、特許文献2には全く示されていない。
又、上記防錆キャップ一体式ボルト仮固定ナットは、防錆キャップ部における開口側端部とは逆側の非開口側端部の軸心位置にレンチ嵌着部を設けた構成は示されているが、該レンチ嵌着部は、ボルトに螺着させるためのボルト仮固定ナット本体よりも径が小さい。しかも、該レンチ嵌着部は、ボルトの軸部を覆うための防錆キャップ部の非開口側端部に設けてあるため、ボルト仮固定ナット本体より離れた位置に設けられている。そのために、たとえ上記レンチ嵌着部が設けてあるとしても、上記ボルト仮固定ナット本体に板状部材同士を予め接合する場合のような大きな軸力をかけることは難しい。
そこで、本発明は、重ねて配置した複数の板状部材同士の一段階目の接合工程を行った後、更に、別の板状部材を重ねて二段階目の接合工程を行って、積層した部材全体を摩擦接合する際に、使用する高力ボルトの数を削減することができると共に、上記複数の板状部材に対するボルト挿通孔の穿設等の加工作業に要する手間及び時間を低減させることが可能な部材の二段接合方法、及び、該方法における上記一段階目の接合工程で用いる部材一段接合用ナットを提供しようとするものである。
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に対応して、摩擦接合対象の複数の板状部材を重ね合わせて、該各板状部材に互いに対応させて穿設してあるボルト挿通孔に挿通配置させたボルトの軸部に部材一段接合用ナットを螺着させて締め付けて、該複数の板状部材を一段接合する一段階目の接合工程を行い、次に、上記複数の板状部材の接合体に、上記一段階目の接合工程で用いたボルトの配置に応じた個所にボルト挿通孔を穿設した摩擦接合対象の板状部材を、該板状部材のボルト挿通孔に上記ボルトと部材一段接合用ナットを挿通させるようにして重ねて、該後から重ねた板状部材の外側から、上記ボルトにナットを本締めする二段階目の接合工程を行い、積層したすべての板状部材を、上記ボルトとナットにより摩擦接合するようにする部材の二段接合方法とする。
更に、上記構成において、上記部材一段接合用ナットとして、軸心方向の一端側に上記ボルトの軸部に螺合させるための雌ねじを内周面に刻設した筒状部を備え、軸心方向の他端側に上記ボルトの軸部の外径よりも大きな内径を有する環状として外周部に工具を嵌合できるようにした工具嵌合部を備え、且つ上記筒状部と上記工具嵌合部との間を、径方向の肉厚が該工具嵌合部及び上記筒状部のいずれの肉厚よりも小さい環状の破断部を介して一体に接続してなる構成のものを用いるようにする。
更に又、上記構成において、上記ボルトとしてトルシア形高力ボルトを用いるようにし、且つ上記部材一段接合用ナットとして、上記工具嵌合部を上記トルシア形高力ボルトに本締めを行うナットと同様の六角形状とし、且つ上記破断部の破断トルクを上記トルシア形高力ボルトのピンテールの破断トルクよりも小さく設定してなる部材一段接合用ナットを用いるようにする。
又、請求項4に対応して、軸心方向の一端側にボルトの軸部に螺合させるための雌ねじを内周面に刻設した筒状部を備え、且つ該筒状部の外径は、上記ボルトに本締めを行うナットの外径よりも細い径とされ、軸心方向の他端側に上記ボルトの軸部の外径よりも大きな内径を有する環状として外周部に工具を嵌合できるようにした工具嵌合部を備え、且つ上記筒状部と上記工具嵌合部との間を、径方向の肉厚が該工具嵌合部及び上記筒状部のいずれの肉厚よりも小さい環状の破断部を介して一体に接続してなる構成を有する部材一段接合用ナットとする。
更に、上記構成において、上記工具嵌合部は、トルシア形高力ボルトに本締めを行うナットと同様の六角形状とし、且つ上記破断部は、該破断部の破断トルクを上記トルシア形高力ボルトのピンテールの破断トルクよりも小さく設定するようにした構成とする。
本発明によれば、以下のような優れた効果を発揮する。
(1)摩擦接合対象の複数の板状部材を一段階目の接合工程で一段接合した後、更に別の摩擦接合対象の板状部材を重ねて二段階目の接合工程を行うときに、一段階目の接合工程で用いたボルトと同じボルトを使用することができるため、積層配置した板状部材全体を摩擦接合するために使用するボルトの数を削減することができる。
(2)上記ボルトの数の低減に伴って、上記各板状部材に設けるボルト挿通孔の数を削減することができる。又、上記各板状部材には、ボルト頭やナットの収容を目的とする開口部を設ける必要をなくすことができる。したがって、上記各板状部材に対するボルト挿通孔の穿設等の加工作業に要する手間及び時間を低減させることができる。
(3)上記部材一段接合用ナットを、軸心方向の一端側に上記ボルトの軸部に螺合させるための雌ねじを内周面に刻設した筒状部を備え、軸心方向の他端側に上記ボルトの軸部の外径よりも大きな内径を有する環状として外周部に工具を嵌合できるようにした工具嵌合部を備え、且つ上記筒状部と上記工具嵌合部との間を、径方向の肉厚が該工具嵌合部及び上記筒状部のいずれよりも小さい環状の破断部を介して一体に接続してなる構成とすることにより、二段階目の接合工程で接合する板状部材に穿設するボルト挿通孔の径を、上記部材一段接合用ナットの筒状部のみを受け入れ可能な寸法で形成することができる。
(4)更に、一段階目の接合工程で板状部材同士を一段接合するときの締め付けトルクを、破断部の破断トルクにより容易に且つ正確に管理することができる。
(5)上記ボルトとしてトルシア形高力ボルトを用いるようにし、上記部材一段接合用ナットを、上記工具嵌合部を上記トルシア形高力ボルトに本締めを行うナットと同様の六角形状とし、且つ上記破断部の破断トルクを上記トルシア形高力ボルトのピンテールの破断トルクよりも小さく設定してなる構成とすることにより、該部材一段接合用ナットを、上記トルシア形高力ボルトに、破断部の破断トルクに対応する締め付けトルクで締め込む作業を、シャーレンチを用いて容易に実施することができる。

本発明の部材の二段接合方法の実施の一形態における手順を示すもので、(a)は高力ボルトと部材一段接合用ナットを用いて2枚の板状部材を接合した状態を示す切断側面図、(b)は部材一段接合用ナットの工具嵌合部を破断させて高力ボルトより取り外した状態を示す切断側面図、(c)は2枚の板状部材の接合体に、3枚目の板状部材を更に接合した状態を示す切断側面図である。 図1の部材の二段接合方法の実施に用いる部材一段接合用ナットを示すもので、(a)は概略切断側面図、(b)はトルシア形高力ボルトに螺着させた状態を示す概略側面図である。 本発明の実施の更に他の形態として、図2の部材一段接合用ナットの応用例を示すもので、(a)は破断部の外周面に周方向に連続して延びるノッチを設けた構成を、(b)は破断部の外周面に周方向に断続的に延びるノッチを設けた構成を、(c)は破断部の内周面に周方向に連続して延びるノッチを設けた構成を、それぞれ示す一部切断概略側面図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
図1(a)(b)(c)及び図2(a)(b)は本発明の部材の二段接合方法の実施の一形態を示すものである。
ここで、先ず、本発明の部材の二段接合方法の実施に用いる図2(a)(b)に示す如き部材一段接合用ナット1の構成について説明する。
上記部材一段接合用ナット1は、軸心方向の一端側に、高力ボルト6の軸部7に螺合させるための雌ねじ3を内周面に刻設した筒状部2を備え、軸心方向の他端側に、高力ボルト6の軸部7の外径よりも大きな内径を有する環状として外周部に図示しない工具を嵌合させることができるようにした工具嵌合部4を備え、且つ上記筒状部2と工具嵌合部4との間を、高力ボルト6の軸部7の外径よりも大きな内径を有し、径方向の肉厚tが該工具嵌合部4及び筒状部2のいずれの肉厚よりも小さい(薄い)環状の破断部5を介して一体に接続してなる構成とする。
上記工具嵌合部4は、たとえば、外形を六角形として、レンチや、ボックスレンチ型のソケット等の図示しない工具を嵌合させることができるようにしてある。これにより、上記部材一段接合用ナット1は、上記工具嵌合部4に嵌合させた図示しない工具より付与される回転力により、上記筒状部2の雌ねじ3を、高力ボルト6の軸部7に対して締め込むことができるようにしてある。
更に、上記部材一段接合用ナット1は、上記したように筒状部2の雌ねじ3を高力ボルト6の軸部7に締め込んだ状態から、上記工具嵌合部4に対して図示しない工具により更に締め付け方向に回転させるように荷重をかけると、上記破断部5に作用するトルクが該破断部5に予め設定してある所定の破断トルクに達する時点で、該破断部5が破断して上記筒状部2より上記工具嵌合部4を切り離すことができるようにしてある。
したがって、上記部材一段接合用ナット1は、上記のようにして破断部5を破断させた状態では、上記筒状部2を、該破断部5の破断トルクに対応する締め付けトルクで上記高力ボルト6の軸部7に対して締め込むことができるようにしてある。一方、上記破断部5の破断に伴って上記筒状部2より切り離された工具嵌合部4は、上記高力ボルト6の軸部7の周りで空回りするようになるから、該高力ボルト6の軸部7の外周より簡単に取り外すことができるようにしてある。
更に、図2(b)に示すように、上記高力ボルト6として、トルシア形の高力ボルト6を使用する場合は、上記部材一段接合用ナット1は、上記破断部5の破断トルクを、上記トルシア形高力ボルト6におけるピンテール8の破断トルクよりも小さく設定し、更に、上記工具嵌合部4の外形を、上記トルシア形高力ボルト6に対して本締めするナット9の外形と同じ六角形状とすることが望ましい。かかる構成としてある部材一段接合用ナット1は、上記工具嵌合部4を、トルシア形高力ボルト6に対して上記ナット9を本締めする際に用いる電動工具としての図示しないシャーレンチを用いて回転させることで、トルシア形高力ボルト6の軸部7に対する上記筒状部2の雌ねじ3の締め付けを行うことができ、この際、該トルシア形高力ボルト6のピンテール8が破断する前に、上記破断部5を破断させて、上記工具嵌合部4を上記筒状部2より切り離すことができるようになる。
次に、以上の構成としてある部材一段接合用ナット1を用いて実施する本発明の部材の二段接合方法について説明する。
本発明の部材の二段接合方法では、先ず、図1(a)に示すように、一段階目の接合工程として、第1の板状部材10と、第2の板状部材11を重ね合わせ、該各板状部材10と11に互いに対応させて穿設してあるボルト挿通孔10a,11aに、上記第1の板状部材10の外側から挿通配置させたトルシア形高力ボルト6の軸部7に、上記部材一段接合用ナット1を、筒状部2側から螺合させる。
この際、上記筒状部2の上記第2の板状部材11のボルト挿通孔11aの周縁に対する接触状態を安定させるために、上記トルシア形高力ボルト6の軸部7には、該筒状部2と同様の外径を有する座金13を嵌めてから、上記部材一段接合用ナット1を螺合させるようにすることが望ましい。
次に、上記部材一段接合用ナット1の工具嵌合部4を、図示しないシャーレンチで回転させる。これにより、上記筒状部2は、上記トルシア形高力ボルト6の軸部7に締め付けられるようになる。
次いで、上記図示しないシャーレンチによる部材一段接合用ナット1の締め付けを継続すると、図1(b)に示すように、破断部5に上記所定の破断トルクが作用するようになった時点で、該破断部5が破断されて、上記工具嵌合部4が上記筒状部2より切り離されて空廻りするようになる。よって、この状態では、上記筒状部2が、上記破断部5の破断トルクに対応する締め付けトルクで上記トルシア形高力ボルト6の軸部7に対して締め込まれているため、上記締め付けトルクに対応する軸力で、上記第1の板状部材10と第2の板状部材11が予め摩擦接合されるようになる。
上記筒状部2より切り離された上記工具嵌合部4は、図1(b)に示すように、上記トルシア形高力ボルト6の軸部7の外周より取り外す。
その後は、二段階目の接合工程として、図1(c)に示すように、一段階目の接合工程、すなわち、上記第1と第2の板状部材10と11の一段接合に用いたトルシア形高力ボルト6の配置に応じた個所に、上記筒状部2の外径よりもやや大きな内径のボルト挿通孔12aを予め穿設した第3の板状部材12を、上記第2の板状部材11の外側に重ねて配置する。これにより、該第3の板状部材12のボルト挿通孔12aの内側に、上記トルシア形高力ボルト6の軸部7に残った上記筒状部2が収容されるようになる。なお、この際、上記筒状部2の軸心方向寸法は、後述するように上記トルシア形高力ボルト6の軸部7に上記第3の板状部材12の外側から嵌める座金14の内径が該筒状部2の外径よりも小さい場合は、該第3の板状部材12の板厚寸法よりも小さくなるように予め設定しておけばよい。一方、上記座金14の内径が筒状部2の外径よりも大きい場合は、上記筒状部2の軸心方向寸法は、上記第3の板状部材12の板厚寸法と、上記座金14の厚み寸法の和よりも小さくなるように設定しておけばよい。
しかる後、上記トルシア形高力ボルト6の軸部7に、座金14を嵌めてから、本締めを行うためのナット9を螺合させ、該ナット9を、図示しないシャーレンチを用いて、上記トルシア形高力ボルト6の軸部7に締め付ける。これにより、図1(c)に示すように、上記トルシア形高力ボルトの6のピンテール8が折れた時点で、該ピンテール8の破断トルクに応じた締め付けトルクで上記ナット9の本締めが実施されるようになる。
これにより、上記3枚の板状部材10と11と12は、上記トルシア形高力ボルト6に対する上記ナット9の本締めに伴って作用する軸力により、一体に摩擦接合されるようになる。
このように、本発明の部材の二段接合方法によれば、3枚の板状部材10,11,12のうち、2枚の板状部材10と11を一段階目の接合工程で一段接合するときに用いる高力ボルト6と同じ高力ボルト6を、第3の板状部材12を更に摩擦接合するための高力ボルト6として使用することができるため、積層配置した3枚の板状部材10,11,12全体を摩擦接合する際に、使用する高力ボルト6の数を増加させることはなく、従来方式に比して削減することができる。
これにより、上記各板状部材10,11,12に設けるボルト挿通孔10a,11a,12aの数を削減することができる。又、上記ボルト挿通孔10a,11a,12a以外に、ボルト頭やナットの収容を目的とする開口部を設ける必要はない。したがって、上記各板状部材10,11,12に対するボルト挿通孔10a,11a,12aの穿設等の加工作業に要する手間及び時間を低減させることができる。
又、上記部材一段接合用ナット1は、上記トルシア形高力ボルト6に対して、破断部5の破断トルクに対応する締め付けトルクで締め込む作業を、上記シャーレンチを用いて容易に実施することができる。
更に、上記部材一段接合用ナット1は、破断部5の破断トルクの設定により、筒状部2の高力ボルト6の軸部7に対する締め付けトルクを容易に且つ正確に管理することができる。よって、上記第1と第2の板状部材10と11の一段接合時に所望される摩擦接合の強度に対応する軸力が得られるように、上記破断部5の破断トルクを適宜設定しておけばよい。
次いで、図3(a)(b)(c)は本発明の実施の他の形態として、部材一段接合用ナットの応用例をそれぞれ示すものである。
すなわち、本実施の形態における部材一段接合用ナットは、図3(a)(b)に符号1aで示すように、図2(a)(b)に示した部材一段接合用ナット1と同様の構成において、破断部5の外周面に、図3(a)に示す如き周方向に連続して延びるノッチ15、又は、図3(b)に示す如き周方向に断続して延びるノッチ15を設けてなる構成としたものである。
又、本実施の形態における部材一段接合用ナットは、図3(c)に符号1aで示すように、図2(a)(b)に示した部材一段接合用ナット1と同様の構成において、破断部5の内周面に、周方向に連続又は断続して延びるノッチ15を設けてなる構成としてもよい。なお、図3(c)では、周方向に連続して延びるノッチ15を設けた場合が示してある。
その他の構成は図2(a)(b)に示したものと同様であり、同一のものには同一の符号が付してある。
図3(a)(b)(c)の構成の部材一段接合用ナット1aは、破断部5を破断させるときに、上記ノッチ15の位置で破断させることができるため、該破断部5の破断を安定して行わせることができる。又、この破断部5の破断が安定することで、個々の部材一段接合用ナット1aの破断トルクのばらつきを抑えることができる。
更に、上記破断部5の肉厚t(図2(a)参照)が一定であっても、該破断部5に設けるノッチ15の深さを変化させることで、該破断部5の破断トルクを調整することが可能になる。このため、一段階目の板状部材10と11の摩擦接合(図1(a)(b)(c)参照)に所望される強度が変化する場合であっても、部材一段接合用ナット1aについて、破断部5の肉厚を変化させるという設計変更を行わなくても、破断部5の破断トルクが異なる部材一段接合用ナット1aを容易に製造することができる。
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、板状部材10と11と12の摩擦接合は、トルシア形以外の高力ボルト6とナット9により行うようにしてもよい。
接合対象となる各板状部材10,11,12の板厚寸法は任意に変更してもよく、不均一であってもよい。又、高力ボルト6は、接合対象となる各板状部材10,11,12の板厚寸法の和と、本締め用のナット9の螺着分を足した寸法よりも長い軸部7を要するように適宜選定すればよい。
部材一段接合用ナット1,1aの工具嵌合部4は、筒状部2の雌ねじ3を高力ボルト6の軸部7に締め込むための回転力を付与する工具を嵌合させることができるようにしてあれば、該工具の形式に応じて、該工具嵌合部4の外形を六角形以外の形状としてもよい。
又、上記工具嵌合部4の外形のサイズは自在に設定してよい。この際、上記工具嵌合部4の外形のサイズと、筒状部2の外形のサイズとの差が小さい場合は、部材一段接合用ナット1は、該工具嵌合部4と筒状部2との間の破断部5を省略した構成としてもよい。この場合は、本発明の部材の二段接合方法における二段階目の接合工程で接合する板状部材12のボルト挿通孔12a(図1(a)(b)(c)参照)を、上記部材一段接合用ナット1の筒状部2と一緒に工具嵌合部4を受け入れ可能なサイズで穿設するようにすればよい。
本発明の部材の二段接合方法は、複数の板状部材を一段階目の接合工程で摩擦接合した後、二段階目の接合工程で、更に、別の板状部材を重ねて接合することが必要とされる場合であれば、一段階目の接合工程で接合する板状部材の数が3枚以上である場合や、二段階目の接合工程で、複数枚の板状部材を後から接合する場合に適用してもよい。
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
1,1a 部材一段接合用ナット
2 筒状部
3 雌ねじ
4 工具嵌合部
5 破断部
6 トルシア形高力ボルト(ボルト)
7 軸部
8 ピンテール
9 ナット
10 板状部材
10a ボルト挿通孔
11 板状部材
11a ボルト挿通孔
12 板状部材
12a ボルト挿通孔

Claims (5)

  1. 摩擦接合対象の複数の板状部材を重ね合わせて、該各板状部材に互いに対応させて穿設してあるボルト挿通孔に挿通配置させたボルトの軸部に部材一段接合用ナットを螺着させて締め付けて、該複数の板状部材を一段接合する一段階目の接合工程を行い、
    次に、上記複数の板状部材の接合体に、上記一段階目の接合工程で用いたボルトの配置に応じた個所にボルト挿通孔を穿設した摩擦接合対象の板状部材を、該板状部材のボルト挿通孔に上記ボルトと部材一段接合用ナットを挿通させるようにして重ねて、該後から重ねた板状部材の外側から、上記ボルトにナットを本締めする二段階目の接合工程を行い、
    積層したすべての板状部材を、上記ボルトとナットにより摩擦接合する
    ことを特徴とする部材の二段接合方法。
  2. 上記部材一段接合用ナットとして、軸心方向の一端側に上記ボルトの軸部に螺合させるための雌ねじを内周面に刻設した筒状部を備え、軸心方向の他端側に上記ボルトの軸部の外径よりも大きな内径を有する環状として外周部に工具を嵌合できるようにした工具嵌合部を備え、且つ上記筒状部と上記工具嵌合部との間を、径方向の肉厚が該工具嵌合部及び上記筒状部のいずれの肉厚よりも小さい環状の破断部を介して一体に接続してなる構成のものを用いるようにする請求項1記載の部材の二段接合方法。
  3. 上記ボルトとしてトルシア形高力ボルトを用いるようにし、且つ上記部材一段接合用ナットとして、上記工具嵌合部を上記トルシア形高力ボルトに本締めを行うナットと同様の六角形状とし、且つ上記破断部の破断トルクを上記トルシア形高力ボルトのピンテールの破断トルクよりも小さく設定してなる部材一段接合用ナットを用いるようにする請求項2記載の部材の二段接合方法。
  4. 軸心方向の一端側にボルトの軸部に螺合させるための雌ねじを内周面に刻設した筒状部を備え、且つ該筒状部の外径は、上記ボルトに本締めを行うナットの外径よりも細い径とされ、
    軸心方向の他端側に上記ボルトの軸部の外径よりも大きな内径を有する環状として外周部に工具を嵌合できるようにした工具嵌合部を備え、
    且つ上記筒状部と上記工具嵌合部との間を、径方向の肉厚が該工具嵌合部及び上記筒状部のいずれの肉厚よりも小さい環状の破断部を介して一体に接続してなる構成
    を有することを特徴とする部材一段接合用ナット。
  5. 上記工具嵌合部は、トルシア形高力ボルトに本締めを行うナットと同様の六角形状とし、且つ上記破断部は、該破断部の破断トルクを上記トルシア形高力ボルトのピンテールの破断トルクよりも小さく設定するようにした請求項4記載の部材一段接合用ナット。
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