以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1、図2及び図3において、本実施の形態におけるスクリーン印刷機1は、基板2の流れの上流側に位置する他の装置(図示せず)から投入された基板2を搬入して所定の印刷作業実行位置に位置決めし、基板2の表面の電極3上に半田ペーストや導電性ペースト等のペーストPt(図3参照)を転写するスクリーン印刷を行って下流側に搬出する動作を連続実行する。以下、説明の便宜上、スクリーン印刷機1において基板2を搬送する水平面内方向をX軸方向とし、X軸方向と直交する水平面内方向をY軸方向、上下方向をZ軸とする。更に、Y軸方向をスクリーン印刷機1の前後方向、X軸方向を横(左右)方向とし、前後方向のうち、スクリーン印刷機1に対してオペレータOP(図1)が作業を行う側(図1の紙面下方)をスクリーン印刷機1の前方、その反対側(図1の紙面上方)を後方とする。
図1、図2及び図3において、スクリーン印刷機1は、基台11上に設けられた基板保持移動手段である基板保持移動ユニット12のほか、基板保持移動ユニット12の上方に設けられた金属製の薄板材料から成り、基板2の電極3の配置に応じた多数(複数)の開口部13a(パターン孔)を有するプレート状のマスク13、X軸方向に延びて設けられた前後一対のスキージ14、カメラユニット15及びスキージ14の延びる方向(X軸方向)に移動自在に設けられ、空気圧の供給を受けてペーストPtを吐出するシリンジ16を備えている。
図2及び図3において、基板保持移動ユニット12は、水平移動部21、昇降部22、コンベア部23及び基板保持部24から成る。
図2及び図3において、水平移動部21は、Yテーブル駆動モータMyの作動によって基台11に対してY軸方向に移動するYテーブル21a、Xテーブル駆動モータMxの作動によってYテーブル21aに対してX軸方向に移動するXテーブル21b、Xテーブル21bに対してZ軸回りに回転するθテーブル21c、θテーブル21cの上面に固定されたベーステーブル21d及びベーステーブル21dの上面から上方に延びて設けられた複数の昇降テーブルガイド21eから成る。
図2及び図3において、昇降部22は、水平移動部21の複数の昇降テーブルガイド21eにガイドされてベーステーブル21dに対して昇降する昇降テーブル22a及び昇降テーブル22aの上面から上方に延びて設けられた複数の下受けユニット昇降ガイド22bから成る。
図2及び図3において、コンベア部23は下受けユニット昇降ガイド22bの上端に取り付けられて昇降テーブル22aとともにベーステーブル21dに対して昇降する前後一対のベルトコンベア支持部材23aと、各ベルトコンベア支持部材23aに支持された前後一対のベルトコンベア23bから成っており、これら前後のベルトコンベア23bが同期して作動することにより、基板2のX軸方向への搬送がなされる。
図2及び図3において、基板保持部24は、コンベア部23の下方に設けられた下受けユニット25及び前後のベルトコンベア支持部材23aそれぞれの上部にY軸方向に移動自在に設けられた前後一対のクランプ部材26(図1も参照)から成る。
図2及び図3において、下受けユニット25は下受けユニット昇降ガイド22bにガイドされて昇降自在であり、水平移動部21の昇降テーブル22aに対して上昇することによって、上方に延びた複数の下受けピン25aの上端を、前後のベルトコンベア23bによって両端部が支持された基板2の下面に下方から接触させてその基板2を支持する。
図2及び図3において、前後のクランプ部材26は、図示しない開閉機構を介して互いに反対の方向に(すなわちY軸方向に開閉する方向に)移動されることにより、前後のベルトコンベア23bによって両端部が支持された基板2のY軸方向の両側部(両端面)を基板2の外方から挟んでクランプする。
基板保持移動ユニット12は、後述するように、一対のクランプ部材26により基板2をクランプした状態で基板2を上昇させ、基板2上の電極3とマスク13の開口部13aとが合致するように基板2の上面をマスク13の下面に接触させる基板保持移動手段として機能する。
図1及び図2において、基板保持移動ユニット12を構成するコンベア部23の上流側には前後一対のベルトコンベア27aから成る基板搬入コンベア27が設けられており、コンベア部23の下流側には前後一対のベルトコンベア28aから成る基板搬出コンベア28が設けられている。基板搬入コンベア27は、スクリーン印刷機1の外部(上流側)から投入された基板2を搬入して基板保持移動ユニット12のコンベア部23に受け渡し、基板搬出コンベア28は、基板保持移動ユニット12のコンベア部23から受け渡された基板2をスクリーン印刷機1の外部に搬出する。このように、基板搬入コンベア27、基板保持移動ユニット12のコンベア部23及び基板搬出コンベア28は基板2の搬送を行う基板搬送路29(図1)として機能する。
図1及び図2において、基台11上には基板搬入コンベア27及び基板搬出コンベア28をそれぞれY軸方向に跨ぐ一対の門型フレーム31が設けられており、これら一対の門型フレーム31によってマスクホルダ32が支持されている。
図2、図3及び図4において、マスクホルダ32は、門型フレーム31に両端が取り付けられて基板保持移動ユニット12の上方をX軸方向に延びて配置された前後一対のガイド部材33と、一対のガイド部材33上をY軸方向に延びて設けられた左右一対のマスク支持レール34とから成る。マスク13はマスクホルダ32が備える左右一対のマスク支持レール34によって左右両端部が支持されて基板保持移動ユニット12の上方に水平姿勢に保持される。
図1及び図4において、マスク13は平面視において矩形の枠状部材から成るマスク枠13wによって四辺が支持されており、マスク枠13wによって囲まれた矩形の領域には、前述の多数の開口部13aが設けられている。
図1において、基板2の対角位置には2つ一組の基板側位置合わせ用マークmkが設けられている。一方、図4において、マスク13には、基板側位置合わせ用マークmkに対応して配置された2つ一組のマスク側位置合わせ用マークMKが設けられている。これら基板側位置合わせ用マークmkとマスク側位置合わせ用マークMKとが平面視において一致する状態で基板2をマスク13に接触させると、基板2の電極3とマスク13の開口部13aが合致した状態となる。
図2及び図3において、一対の門型フレーム31には、X軸方向に延びたX軸ステージ35の両端部がY軸方向にスライド自在に支持されている。X軸ステージ35上にはカメラ支持ステージ36がX軸方向に移動自在に設けられており、カメラ支持ステージ36には前述のカメラユニット15が取り付けられている。カメラユニット15は、撮像視野を下方に向けた第1カメラ15aと撮像視野を上方に向けた第2カメラ15bを備えている。
図1及び図2において、一対の門型フレーム31にはX軸方向に延びたスキージベース37の両端部が支持されており、スキージベース37は門型フレーム31に沿って、マスク13の上方で水平面内方向(Y軸方向)に往復移動自在となっている。
図2及び図3において、スキージベース37の上面中央部のY軸方向に対向する位置には2つのスキージ昇降シリンダ38が設けられている。これら2つのスキージ昇降シリンダ38からはそのピストンロッドから成るスキージ昇降軸38aがスキージベース37を上下方向に貫通して延びている。
図2及び図3において、各スキージ昇降シリンダ38が備えるスキージ昇降軸38aの下端にはX軸方向に延びたスキージホルダ39が取り付けられており、各スキージホルダ39には前述のスキージ14が保持されている。各スキージ14は、スキージホルダ39に沿ってX軸方向に延びた「へら」状の部材から成る。
各スキージ昇降シリンダ38によりスキージ昇降軸38aが下方に突没されると、スキージ昇降軸38aの下端にスキージホルダ39を介して取り付けられたスキージ14がスキージベース37に対して昇降する。ここで、マスク13とスキージベース37の上下方向の間隔は変化しないので、スキージ14はマスク13に対して昇降することになる。
このようにシリンジ16は、スキージベース37の移動方向であるY軸方向と直交する水平面内方向(X軸方向)に延びており、スキージベース37の下方で昇降される構成となっている。
シリンジ16は、図5及び図6に示すように、スキージベース37の前部(図6の紙面左側)にシリンジ取り付けブラケット41を介して取り付けられており、シリンジ取り付けブラケット41はスキージベース37と対向する後面に設けられたスライダ42が、スキージベース37の前面をX軸に延びて設けられたスライドガイド43に噛み合ってスキージ14の延びる方向(X軸方向)に移動自在になっている。
図5及び図7において、スキージベース37の上面前端部のX軸方向の両端部には一対のブラケット(モータ取り付けブラケット44及び従動プーリ取り付けブラケット45)が取り付けられており、モータ取り付けブラケット44にはシリンジ移動モータ46が取り付けられている。シリンジ移動モータ46の駆動軸46a(図6)はモータ取り付けブラケット44を水平に貫通して前方に延びており、その先端部には駆動プーリ47が取り付けられている。一方、従動プーリ取り付けブラケット45から水平前方に延びたプーリ軸(図示せず)には従動プーリ48が取り付けられている。
図5及び図7において、駆動プーリ47と従動プーリ48には歯付ベルト49が掛け渡されており、歯付ベルト49の下面にはシリンジ取り付けブラケット41の上部の上面が固定されている。このためシリンジ移動モータ46の駆動軸46aが駆動されて駆動プーリ47が回転すると、駆動プーリ47及び従動プーリ48と噛合した歯付ベルト49がX軸方向に走行し、これに伴ってシリンジ取り付けブラケット41が(したがってシリンジ16が)、スキージベース37の前方の領域を、スキージベース37に対して、スキージベース37の往復移動する方向(Y軸方向)と直交する水平面内方向(X軸方向)に移動する。
図6において、シリンジ16は、スキージベース37の前方に設けられたシリンジ取り付けブラケット41の前面に、鉛直線VLに対して角度φだけ下方が後方に傾いて延びる軸線Jに沿って延びて設けられている。このシリンジ16は、下端にペースト供給口16pを有したノズル部16aが軸線Jに沿って移動自在になっており、ノズル部16aを(すなわちペースト供給口16pを)下動させて前方のスキージ14の直下に位置させる張り出し位置(図6中、一点鎖線で示すノズル部16a参照)と、ノズル部16aの下端のペースト供給口16pを上動させた格納位置(図6中、実線で示すノズル部16a参照)との間で移動させることができる。ここで、上記角度φは、シリンジ16のノズル部16aが張り出し位置に位置している状態で、前方のスキージ14の直下にペーストPtを供給できるような角度として任意に設定される。
シリンジ16はノズル部16aを張り出し位置に張り出させた状態において、内部に空気圧が供給されると、内蔵したペーストPtを吐出する。なお、シリンジ16のX軸方向への移動範囲(移動ストローク)は、少なくとも、スクリーン印刷機1によって取り扱う基板2のX軸方向(スキージ14の延びる方向)の寸法をカバーできる(基板2の両端を含む)範囲を有する。
基板2の搬送を行う基板搬送路29としての基板搬入コンベア27、基板保持移動ユニット12のコンベア部23及び基板搬出コンベア28の各動作は、基台11内に設けられた制御装置50(図8)が図示しないアクチュエータ等から成る基板搬送路作動機構51(図8)の作動制御を行うことによってなされる。
基板保持移動ユニット12の基板保持部24が備える下受けユニット25の昇降動作は、制御装置50が図示しないアクチュエータ等から成る下受けユニット昇降機構52(図8)の作動制御を行うことによってなされる。また、基板保持移動ユニット12の基板保持部24が備える前後のクランプ部材26の開閉動作(基板2のクランプ及びその解除動作)は、制御装置50が図示しないアクチュエータ等からクランプ部材開閉機構53(図8)の作動制御を行うことによってなされる。制御装置50は、下受けユニット25を上昇させて下受けピン25aを基板2の下面に当接させ、かつ前後のクランプ部材26により基板2の両側から挟んでクランプすることにより基板2を保持する。
カメラユニット15の水平面内での移動動作、すなわち一対の門型フレーム31に対するX軸ステージ35のY軸方向への移動動作及びX軸ステージ35に対するカメラ支持ステージ36のX軸方向への移動動作の各制御は、制御装置50が図示しないアクチュエータから成るカメラ移動機構54(図8)の作動制御を行うことによってなされる。また、カメラユニット15を構成する第1カメラ15a及び第2カメラ15bはそれぞれ、制御装置50に制御されて撮像動作を行い、取得した画像データはともに制御装置50に入力される(図8)。
制御装置50は、第1カメラ15a、第2カメラ15b及びカメラ移動機構54を作動させることにより、第1カメラ15aによる基板側位置合わせ用マークmkの撮像と第2カメラ15bによるマスク側位置合わせ用マークMKの撮像を行って、基板2及びマスク13それぞれの位置を検出する。
基板保持移動ユニット12が備える水平移動部21による基板保持部24の水平面内方向への移動動作は、制御装置50が、Yテーブル21aの基台11に対するY軸方向への移動、Yテーブル21aに対するXテーブル21bのX軸方向への移動及びXテーブル21bに対するθテーブル21cの(すなわちベーステーブル21dの)Z軸回りの回転動作を行わせる、前述のYテーブル駆動モータMy及びXテーブル駆動モータMxを含む複数のアクチュエータ等から成る水平移動機構55(図8)の作動制御を行うことによってなされる。制御装置50は、カメラユニット15の作動を行って検出した基板2及びマスク13それぞれの位置に基づいて水平移動機構55を作動させることにより、基板保持部24により保持した基板2のマスク13に対する水平面内方向の位置合わせを行う。
基板保持移動ユニット12が備える昇降部22による基板保持部24の昇降動作は、制御装置50が、昇降テーブル22aのベーステーブル21dに対する昇降動作を行わせる図示しないアクチュエータ等から成る昇降機構56(図8)の作動制御を行うことによってなされる。制御装置50は、昇降機構56を作動させることにより、基板保持部24により保持し、マスク13に対して水平面内方向の位置合わせを行った基板2の上面(及び前後のクランプ部材26の上面)をマスク13の下面に下方から接触させる。
シリンジ16をX軸方向へ移動させるシリンジ16の移動動作は、制御装置50が前述のシリンジ移動モータ46の作動制御を行うことによってなされ、シリンジ16のノズル部16aの突没動作(下動及び上動動作)は、制御装置50が図示しないアクチュエータ等から成るノズル部突没機構57(図8)の作動制御を行うことによってなされる。また、シリンジ16への空気圧の供給及びその停止動作は、制御装置50が図示しないアクチュエータ等から成る空気圧供給機構58(図8)の作動制御を行うことによってなされる。制御装置50は、シリンジ移動モータ46、ノズル部突没機構57及び空気圧供給機構58を作動させることにより、基板2と接触されたマスク13上へのペーストPtの供給を行う。
各スキージ14のスキージベース37に対する昇降動作は、制御装置50がスキージベース37の上部に取り付けられた前述の2つのスキージ昇降シリンダ38(図8も参照)の作動制御を行うことによってなされる。また、前後のスキージ14をY軸方向に往復移動させるスキージベース37の作動制御は、制御装置50が図示しないアクチュエータ等から成るスキージベース移動機構59(図8)の制御を行うことによってなされる。
制御装置50は、スキージベース移動機構59を作動させてスキージベース37を前後のクランプ部材26の一方の上方に位置させ、そのうえで2つのスキージ昇降シリンダ38のうちの一方を作動させてそのスキージ昇降シリンダ38によって昇降されるスキージ14をクランプ部材26の上面(クランプ部材26が接触しているマスク13の上面)に上方から当接させる。具体的には、前方のスキージ14は前方のクランプ部材26の上面に当接させ、後方のスキージ14は後方のクランプ部材26の上面に当接させる。そして、スキージベース移動機構59を作動させ、スキージベース37を前後方向(Y軸方向)に移動させることによってマスク13上でスキージ14を摺動させ、シリンジ16によって予めマスク13上に供給したおいたペーストPtをスキージ14で掻き寄せて、マスク13の開口部13aを介して基板2の電極3にペーストPtを転写させる。
前方のスキージ14は前方のクランプ部材26の上面から後方のクランプ部材26の上面までの間のマスク13上を前方から後方に向かって摺動され、後方のスキージ14は、後方のクランプ部材26の上面から前方のクランプ部材26の上面までの間のマスク13上を後方から前方に向かって摺動される。これら前方スキージ14によるペーストPtの転写動作と、後方のスキージ14によるペーストPtの転写動作とは交互に実行される。
図9(a),(b)において、後方のスキージ14(図6における紙面右側のスキージ14)のペースト掻き寄せ面(後方のスキージ14では前方に向く面)には、ペースト高さ検出センサ60が設けられている。このペースト高さ検出センサ60は、後方のスキージ14の幅方向(X軸方向)の一端側に設けられてX軸方向に検査光Lの投光を行う投光器60aと、後方のスキージ14の幅方向の他端側に設けられて投光器60aが投光する検査光Lの受光を行う受光器60bから成る。
制御装置50がスキージベース移動機構59を作動させて後方のスキージ14によってマスク13上のペーストPtをマスク13の前方に掻き寄せている間、ペースト高さ検出センサ60の投光器60aが投光する検査光Lを受光器60bが受光しなかった場合には、そのペーストPtの高さh(図9(b))が、マスク13の上面から測った検査光Lの高さに相当する所定高さH(図9(b))を下回っていることになる。
制御装置50に繋がるペースト高さ記憶部61(図8)には、ペースト高さ検出センサ60によって検出されたマスク13上のペーストPtの高さhが所定高さHを下回っているかどうかの情報が記憶される。制御装置50は、後方のスキージ14によるペーストPtの転写動作が行われ、ペースト高さ検出センサ60によるペーストPtの高さhの検出が行われるごとにマスク13上のペーストPtの高さhが所定高さHを下回っているかどうかの判定を行い、その判定結果をペースト高さ記憶部61に書き込んで更新する。このためペースト高さ記憶部61には、マスク13上のペーストPtの高さhが所定高さHを下回っているかどうかの最新の情報が記憶される。なお、実装基板生産開始時には、ペースト高さ記憶部61には、ペースト高さhが所定高さHを下回っている旨の情報が記憶されている。
シリンジ移動モータ46の駆動により、スライドガイド43に沿ってX軸方向にシリンジ16を移動させ得る範囲内には往復移動領域R(図7及び図10)が定められている。この往復移動領域Rは、基板保持移動ユニット12によってマスク13に接触される基板2のうち、X軸方向の寸法が最大の基板2(以下、「最大寸法の基板2」と称する)を印刷作業実行位置に位置決めした場合において、その基板2のX軸方向(スキージ14の延びる方向)の両端を含み、かつ、往復移動領域Rの中心位置が、印刷作業実行位置に位置決めされる基板2の中心位置とX軸方向において一致するように定められている。
制御装置50は、マスク13上にペーストPtを供給するときには、往復移動領域Rでシリンジ16をX軸方向に往復移動させつつ、シリンジ16に空気圧を供給してシリンジ16からペーストPtを吐出させる。これによりマスク13上のペーストPtを供給すべき領域として基板2の種類ごとに定められたペースト供給領域Q(図7及び図10)内に、ペーストPtが供給される。
このようにシリンジ16は、基板保持移動ユニット12によりマスク13に接触された基板2のスキージ14の延びる方向(X軸方向)の両端を含むように設定された往復移動領域Rで移動自在に設けられ、空気圧の供給を受けてマスク13上のペースト供給領域Q内にペーストPtの吐出を行う構成となっている。
図7において、スキージベース37の前部の上記往復移動領域Rの両端の位置には第1リミットスイッチLS1と第2リミットスイッチLS2が設けられている。これら第1リミットスイッチLS1と第2リミットスイッチLS2は、シリンジ16の一部分によって図示しない操作片が操作されたときにオンとなって制御装置50にシリンジ16の検出信号を出力する(図8)。
ここで、第1リミットスイッチLS1は、往復移動領域Rの一方側(ここでは左方側とする)の端部に相当する位置である「基準位置P1」に設けられており、第2リミットスイッチLS2は、往復移動領域Rの他方側の位置(ここでは右方側とする)の端部に相当する位置である「折り返し位置P2」に設けられている(図7)。このため、シリンジ16が往復移動領域Rの基準位置P1に位置しているときには第1リミットスイッチLS1がオンとなってシリンジ16の検出信号を制御装置50に出力し(第2リミットスイッチLS2はオフ)、シリンジ16が往復移動領域Rの折り返し位置P2に位置しているときには第2リミットスイッチLS2がオンとなってシリンジ16の検出信号を制御装置50に出力する(第1リミットスイッチLS1はオフ)。
制御装置50は、シリンジ16を往復移動領域Rの基準位置P1から折り返し位置P2に向けて出発させた後、シリンジ16がペースト供給領域QのX軸方向の両端部のうち、基準位置P1側の端部であり、基準位置P1から距離W1だけ離れた位置にある往路側空気圧供給開始位置Q1(図7及び図10)に到達したときにシリンジ16への空気圧の供給を開始し、シリンジ16が往路側空気圧供給開始位置Q1から所定距離W2だけ折り返し位置P2側に離れた位置である往路側空気圧供給停止位置Q2(図10)に到達したときにシリンジ16への空気圧の供給を停止する。
また、制御装置50は、シリンジ16を往復移動領域Rの折り返し位置P2から基準位置P1に向けて出発させた後、シリンジ16がペースト供給領域QのX軸方向の両端部の位置のうち、折り返し位置P2側の端部であり、折り返し位置P2から距離W1だけ離れた位置にある復路側空気圧供給開始位置Q3(図7及び図10)に到達したときにシリンジ16への空気圧の供給を開始し、シリンジ16が復路側空気圧供給開始位置Q3から所定距離W2だけ基準位置P1側に離れた位置である復路側空気圧供給停止位置Q4(図10)に到達したときにシリンジ16への空気圧の供給を停止する。
制御装置50は、シリンジ16の往復移動領域Rの往路移動において、シリンジ16が基準位置P1から折り返し位置P2に向けて出発した後、シリンジ16が往路側空気圧供給開始位置Q1に到達したことを、シリンジ16が基準位置P1を出発したときからの経過時間によって判断する。具体的には、制御装置50は、シリンジ16が基準位置P1を出発することによって第1リミットスイッチLS1がオンからオフに切り替わったときからの経過時間をタイマー62(図8)によって計測し、そのタイマー62によって計測される経過時間が、シリンジ16が基準位置P1と往路側空気圧供給開始位置Q1との間の距離W1(図10)をシリンジ移動モータ46の回転数によって定まる移動速度(v)で進むのに要する時間(所定時間T1)に達したことを検知したときに、シリンジ16が往路側空気圧供給開始位置Q1に到達したと判断する。
また制御装置50は、シリンジ16の往復移動領域Rの往路移動において、シリンジ16が往路側空気圧供給開始位置Q1を通過した後、往路側空気圧供給停止位置Q2に到達したことを、シリンジ16が往路側空気圧供給開始位置Q1に到達したときからの経過時間によって判断する。具体的には、制御装置50は、タイマー62によって計測されるシリンジ16が基準位置P1を出発したときからの経過時間から、シリンジ16が基準位置P1を出発してから往路側空気圧供給開始位置Q1に到達するのに要した時間(すなわち所定時間T1)を差し引いて得られる時間が、往路側空気圧供給開始位置Q1と往路側空気圧供給停止位置Q2との間の距離W2を進むのに要する時間(所定時間T2)に達したことを検知したときに、シリンジ16が往路側空気圧供給停止位置Q2に到達したと判断する。
また、制御装置50は、シリンジ16の往復移動領域Rの復路移動において、シリンジ16が折り返し位置P2から基準位置P1に向けて出発した後、シリンジ16が復路側空気圧供給開始位置Q3に到達したことを、シリンジ16が折り返し位置P2を出発したときからの経過時間によって判断する。具体的には、制御装置50は、シリンジ16が折り返し位置P2を出発することによって第2リミットスイッチLS2がオンからオフに切り替わったときからの経過時間をタイマー62によって計測し、そのタイマー62によって計測される経過時間が、折り返し位置P2と復路側空気圧供給開始位置Q3との間の距離W1(図10)を上記移動速度(v)で進むのに要する時間(所定時間T1)に達したことを検知したときに、シリンジ16が復路側空気圧供給開始位置Q3に到達したと判断する。
また、制御装置50は、シリンジ16の往復移動領域Rの復路移動において、シリンジ16が復路側空気圧供給開始位置Q3を通過した後、復路側空気圧供給停止位置Q4に到達したことを、シリンジ16が復路側空気圧供給開始位置Q3に到達したときからの経過時間によって判断する。具体的には、制御装置50は、タイマー62によって計測されるシリンジ16が折り返し位置P2を出発したときからの経過時間から、シリンジ16が折り返し位置P2を出発してから復路側空気圧供給開始位置Q3に到達するのに要した時間(すなわち所定時間T1)を差し引いて得られる時間が、復路側空気圧供給開始位置Q3と復路側空気圧供給停止位置Q4との間の距離W2を進むのに要する時間(所定時間T2)に達したことを検知したときに、シリンジ16が復路側空気圧供給停止位置Q4に到達したと判断する。
上記所定時間T1及び所定時間T2から成る時間データは、基板2の種類ごとに定められて制御装置50の時間データ記憶部63(図8)に記憶されている。ここで、上記所定時間T1,T2のデータが基板2の種類ごとに定められているのは、スクリーン印刷の対象とする基板2のX軸方向の寸法によってペースト供給領域Qの大きさが異なり、したがってシリンジ16への空気圧の供給開始と供給停止のタイミングが基板2によって異なるからである。
上記時間データは、オペレータOPが制御装置50に繋がるタッチパネル等の入出力装置64(図8)から直接入力することによって制御装置50が得られるようにするほか、基板2を基板搬送路29の基板搬入コンベア27によって搬入した際、図示しないバーコードリーダによって、基板2に設けられたバーコードより基板2の情報を読み取る構成になっている場合には、そのとき読み取った情報から得られるようにしてもよい。
制御装置50は、第1リミットスイッチLS1がオンからオフに切り替わった後、タイマー62によって計測される経過時間に基づいてシリンジ16が往路側空気圧供給開始位置Q1に達したと判断したときにはシリンジ16への空気圧の供給を開始し、更にシリンジ16が往路側空気圧供給停止位置Q2に達したと判断したときにはシリンジ16への空気圧の供給を停止する。このためマスク13上のペースト供給領域Q内には、シリンジ16による往復移動領域Rの往路移動時、往路側空気圧供給開始位置Q1から往路側空気圧供給停止位置Q2までの間にシリンジ16から吐出されたペーストPtと、シリンジ16が往路側空気圧供給停止位置Q2を通過した後、シリンジ16内の圧力が空気圧の供給停止によって低圧に戻るまでの間にシリンジ16から出続けるペーストPtとが供給される。
また、制御装置50は、第2リミットスイッチLS2がオンからオフに切り替わった後、タイマー62によって計測される経過時間に基づいてシリンジ16が復路側空気圧供給開始位置Q3に達したと判断したときにはシリンジ16への空気圧の供給を開始し、更にシリンジ16が復路側空気圧供給停止位置Q4に達したと判断したときにはシリンジ16への空気圧の供給を停止する。このためマスク13上のペースト供給領域Q内には、シリンジ16による往復移動領域Rの復路移動時、復路側空気圧供給開始位置Q3から復路側空気圧供給停止位置Q4までの間にシリンジ16から吐出されたペーストPtと、シリンジ16が復路側空気圧供給停止位置Q4を通過した後、シリンジ16内の圧力が空気圧の供給停止によって低圧に戻るまでの間にシリンジ16から出続けるペーストPtとが供給される。
このように、シリンジ16は往復移動領域Rの往復移動の往路と復路の2回、マスク13上のペースト供給領域Q内にペーストPtを吐出し、重ね合わせる。
図11(a)は、シリンジ16の往路移動時にシリンジ16からペースト供給領域Q内に供給されたペーストPtの量のX軸方向(ペースト供給領域Qの延びる方向)に沿った分布を示しており、図11(b)は、シリンジ16の復路移動時にシリンジ16からペースト供給領域Qに供給されたペーストPtのX軸方向に沿った分布を示している。また、図11(c)は、往復移動領域Rを往復移動したシリンジ16からペースト供給領域Qに供給されたペーストPtの量のX軸方向に沿った分布を示している。
これらの図11(a),(b),(c)から分かるように、シリンジ16の往路移動時及び復路移動時のいずれにおいても、マスク13上のペースト供給領域QにおいてペーストPtの量が局部的に多くなるところはない。また、シリンジ16が往復移動領域Rの移動の往路においてペーストPtを吐出する吐出動作のプロファイルと、往復移動領域Rの復路においてペーストPtをと吐出する吐出動作のプロファイルとは同一であるので、シリンジ16によってペースト供給領域Qに供給されるペーストPtのX軸方向の分布は、ペースト供給領域QのX軸方向の中心位置CTに対して対称なものとなる。よって、ペースト供給領域Q内のペーストPtは全体として均一化し易く、マスク13上のペースト供給領域Qには、供給量がX軸方向に全体として均一化されたペースト供給体PB(図10)が形成される。
次に、図12と図13のフローチャート及び図14〜図18の説明図を加えてスクリーン印刷機1によるスクリーン印刷作業の実行手順を説明する。ここで、図12はスクリーン印刷機1が実行するスクリーン印刷工程の流れを示すメインルーチンのフローチャートであり、図13はメインルーチンの中の一工程のサブルーチンのフローチャートである。
スクリーン印刷機1の制御装置50は、スクリーン印刷作業を行う場合、先ず、基板搬入コンベア27とコンベア部23を連動作動させ、スクリーン印刷機1の上流側に設置された他の装置から送られてきた基板2をスクリーン印刷機1内に搬入したうえで、基板2をコンベア部23上の印刷作業実行位置に静止させる(図14(a)。図12に示すステップST1の基板搬入工程)。
制御装置50は、ステップST1の基板搬入工程が終了したら、前後のクランプ部材26を閉作動させて、コンベア部23上の基板2をY軸方向からクランプする(図14(b)。図中に示す矢印A1)。そして、昇降テーブル22aをベーステーブル21dに対する下降位置に位置させたまま、下受けユニット25を上昇させる(図14(c)中に示す矢印B1)。
制御装置50は、下受けユニット25を上昇させることによって、下受けユニット25の下受けピン25aを基板2中央部の下面に下方から当接させて基板2を上方に押し上げ、基板2の両端部を前後のベルトコンベア23bから上方に離間させつつ、基板2の両端部(両端面)を前後のクランプ部材26に対して摺動させながら基板2を上方に移動させる。そして、基板2の上面の高さがクランプ部材26の上面と同じ高さになったところで下受けユニット25の上昇を停止させる。これにより基板2は基板保持部24によって保持された状態となる(図14(c)。図12に示すステップST2の基板保持工程)。
制御装置50は、ステップST2の基板保持工程が終了したら、カメラ移動機構54の作動制御を行い、X軸ステージ35をY軸方向に移動させるとともに、カメラ支持ステージ36をX軸方向に移動させることによって、第1カメラ15aを基板2に設けられた基板側位置合わせ用マークmkの直上に位置させる。そして、第1カメラ15aに基板側位置合わせ用マークmkの撮像を行わせてその画像データを取得し、基板2の位置を検出する(図15(a)。図12に示すステップST3の基板位置検出工程)。また制御装置50は、第2カメラ15bをマスク13に設けられたマスク側位置合わせ用マークMKの直下に位置させ、第2カメラ15bにマスク側位置合わせ用マークMKの撮像を行わせることによってその画像データを取得し、マスク13の位置を検出する(図15(b)。図12に示すステップST4のマスク位置検出工程)。
制御装置50は、ステップST4のマスク位置検出工程が終了したら、基板保持移動ユニット12が備える水平移動部21の作動制御を行って基板保持部24により保持した基板2を水平面内方向に移動させ、基板側位置合わせ用マークmkとマスク側位置合わせ用マークMKが上下に対向するようにして、マスク13に対する基板2の水平面内方向の位置合わせを行う(図12に示すステップST5の位置合わせ工程)。
制御装置50は、ステップST5の位置合わせ工程が終了したら、昇降テーブル22aをベーステーブル21dに対して上昇させることにより(図15(c)中に示す矢印C1)、基板2の上面(被印刷面)と両クランプ部材26の上面をマスク13の下方に接触させる(図15(c)。図12に示すステップST6の接触工程)。これにより基板2の電極3とマスク13の開口部13aとが合致し、基板2はスキージ14によるペーストPtの転写作業が行われる位置に位置した状態となる。
制御装置50は、上記の接触工程が終了したら、これから前方のスキージ14により摺動を行うのか否かの判断を行う(図12に示すステップST7の摺動スキージ判断工程)。制御装置50はこの摺動スキージ判断工程で、これから前方のスキージ14による摺動を行うと判断した場合には、現在ペースト高さ記憶部61に記憶されている、マスク13上のペーストPtの高さhが所定高さHを下回っているか否かの情報に基づいて、現在のマスク13上のペーストPtの量(以下、ペースト量と称する)が十分であるか否かの判断を行う(図12に示すステップST8のペースト量判断工程)。
このペースト量判断工程では、現在ペースト高さ記憶部61にペーストPtの高さhが所定高さHを下回っている旨の情報が記憶されているときにはペースト量が十分でない(不足している)と判断し、現在ペースト高さ記憶部61に記憶されているペーストPtの高さhが所定高さH以上である旨の情報が記憶されているときにはペースト量が十分であると判断する。
制御装置50は、上記ペースト量判断工程においてペースト量が十分でない判断したときには、シリンジ16によるマスク13上へのペーストPtの供給を行う(図16(a)。図12に示すステップST9のペースト供給工程)。
ステップST9のペースト供給工程では、制御装置50は、図13のサブルーチンに示すように、先ず、時間データ記憶部63から、現在スクリーン印刷を行っている基板2の種類に応じた時間データ(所定時間T1及び所定時間T2のデータ)を取得する(図13に示すステップST21の時間データ取得工程)。
制御装置50は、ステップST21で時間データを取得したら、シリンジ16のノズル部16aを張り出し位置に張り出させる(図13に示すステップST22のノズル部張り出し工程)。そして、現在、第1リミットスイッチLS1がオンになっているかどうかの判定を行う(図13に示すステップST23の第1リミットスイッチ判定工程)。これは、現在、シリンジ16が往復移動領域Rの基準位置P1に位置した状態となっているかどうかを調べるものであり、第1リミットスイッチLS1がオンになっていないことを検知した場合には、制御装置50は入出力装置64を介してオペレータOPにエラー報知を行う(図13に示すステップST24のエラー報知工程)。一方、制御装置50は、ステップST23で、現在、第1リミットスイッチLS1がオンになっていることを検知した場合には、シリンジ移動モータ46の作動制御を行って、シリンジ16の折り返し位置P2へ向けての移動を開始させる(図13に示すステップST25のシリンジ移動開始工程)。
制御装置50は、ステップST25でシリンジ16の移動を開始させたら、微小時間(例えば数マイクロ秒)間隔で、第1リミットスイッチLS1がオンからオフになったかどうかの判定を行う(図13に示すステップST26の第1リミットスイッチ判定工程)。そして、第1リミットスイッチLS1がオンからオフになったと判定したら、制御装置50は、タイマー62により、第1リミットスイッチLS1がオフになったと判定したときからの経過時間の計測を開始する(図13に示すステップST27の経過時間計測開始工程)。
制御装置50は、ステップST27で経過時間の計測を開始した後、微小時間間隔で、経過時間の計測開始から所定時間T1が経過したか(経過時間が所定時間T1に到達したか)否かの判定を行う(図13に示すステップST28の時間経過判定工程)。
制御装置50は、ステップST28で経過時間の計測開始から所定時間T1が経過したと判定し、シリンジ16が往路側空気圧供給開始位置Q1に達したことを検知したら、シリンジ16への空気圧の供給を開始する(図13に示すステップST29の空気圧供給開始工程)。これによりシリンジ16によるペーストPtの吐出が開始される。
制御装置50は、ステップST29でシリンジ16への空気圧の供給を開始したら、タイマー62により、シリンジ16への空気圧の供給を開始したときからの経過時間の計測を開始する(図13に示すステップST30の経過時間計測開始工程)。
制御装置50は、ステップST30で経過時間の計測を開始したら、微小時間間隔で、経過時間の計測開始から所定時間T2が経過したか(経過時間が所定時間T2に到達したか)否かの判定を行う(図13に示すステップST31の時間経過判定工程)。
制御装置50は、ステップST31で経過時間の計測開始から所定時間T2が経過したと判定したら、シリンジ16への空気圧の供給を停止する(図13に示すステップST32の空気圧供給停止工程)。これによりシリンジ16からのペーストPtの吐出は終了するが、シリンジ16からペーストPtは出続ける。
制御装置50は、ステップST32でシリンジ16への空気圧の供給を停止したら、微小時間間隔で、第2リミットスイッチLS2がオフからオンになったかどうかの判定を行う(図13に示すステップST33の第2リミットスイッチ判定工程)。そして、制御装置50は、第2リミットスイッチLS2がオフからオンになったと判定し、シリンジ16が往復移動領域Rの折り返し位置P2に達したことを検知したら、シリンジ16の移動を停止させる(図13に示すステップST34のシリンジ移動停止工程)。
制御装置50は、ステップST34でシリンジ16の移動を停止させたら、今度はシリンジ16をそれまでとは逆向き、すなわち、折り返し位置P2から基準位置P1の側へ向けての移動を開始させる(図13に示すステップST35のシリンジ移動開始工程)。
制御装置50は、ステップST35でシリンジ16の移動を開始させたら、微小時間間隔で、第2リミットスイッチLS2がオンからオフになったかどうかの判定を行う(図13に示すステップST36の第2リミットスイッチ判定工程)。そして、制御装置50は、第2リミットスイッチLS2がオンからオフになったと判定したら、タイマー62により、第2リミットスイッチLS2がオフになったと判定したときからの経過時間の計測を開始する(図13に示すステップST37の経過時間計測開始工程)。
制御装置50は、ステップST37で経過時間の計測を開始した後、微小時間間隔で、経過時間の計測開始から所定時間T1が経過したか(経過時間が所定時間T1に到達したか)否かの判定を行う(図13に示すステップST38の時間経過判定工程)。
制御装置50は、ステップST38で経過時間の計測開始から所定時間T1が経過したと判定し、シリンジ16が復路側空気圧供給開始位置Q3に達したことを検知したら、シリンジ16への空気圧の供給を開始する(図13に示すステップST39の空気圧供給開始工程)。これによりシリンジ16によるペーストPtの吐出が開始される。
制御装置50は、ステップST39でシリンジ16への空気圧の供給を開始したら、タイマー62により、シリンジ16への空気圧の供給を開始したときからの経過時間の計測を開始する(図13に示すステップST40の経過時間計測開始工程)。
制御装置50は、ステップST40で経過時間の計測を開始したら、微小時間間隔で、経過時間の計測開始から所定時間T2が経過したか(経過時間が所定時間T2に到達したか)否かの判定を行う(図13に示すステップST41の時間経過判定工程)
制御装置50は、ステップST41で経過時間の計測開始から所定時間T2が経過したと判定したら、シリンジ16への空気圧の供給を停止する(図13に示すステップST42の空気圧供給停止工程)。これによりシリンジ16からのペーストPtの吐出は終了するが、シリンジ16からペーストPtは出続ける。
制御装置50は、ステップST42でシリンジ16への空気圧の供給を停止したら、微小時間間隔で、第1リミットスイッチLS1がオフからオンになったかどうかの判定を行う(図13に示すステップST43の第1リミットスイッチ判定工程)。そして、制御装置50は、第1リミットスイッチLS1がオフからオンになったと判定し、シリンジ16が往復移動領域Rの基準位置P1に達したことを検知したら、シリンジ16の移動を停止させる(図13に示すステップST44のシリンジ移動停止工程)。これにより、マスク13上のペースト供給領域Qには、供給量がX軸方向に全体として均一化されたペースト供給体PBが形成される。
制御装置50は、ステップST44でシリンジ16の移動を停止させたら、シリンジ16のノズル部16aを格納する(図13に示すステップST45のノズル部格納工程)。これによりシリンジ16によるペースト供給工程は終了し、不十分な状態となっていたペースト量の回復がなされる。制御装置50は、ステップST45でシリンジ16のノズル部16aを格納したら、メインルーチンに戻る。
制御装置50は、ステップST9においてペースト供給工程を実行し終わったとき、ステップST7でこれから後方のスキージ14による摺動を行うと判断したとき、或いはステップST8でペースト量が十分であると判断したときには、前後のスキージ14のうちの一方を下降させて、そのスキージ14の下端をマスク13のクランプ部材26(2つのクランプ部材26のうちの一方)と接触している部分に上方から当接させる(図16(b)。図12に示すステップST10のスキージ当接工程)。
このときマスク13に当接させるスキージ14は、スキージベース37が前方のクランプ部材26の上方に位置しているときには(図16(a))、前方のスキージ14(図16(a),(b)における紙面左側のスキージ14)とし、スキージベース37が後方のクランプ部材26の上方に位置しているときには、後方のスキージ14(図16(a),(b)における紙面右側のスキージ14)とする。
制御装置50は、スキージ14をマスク13の上面に当接させたら、スキージベース37を移動させる。ここで、マスク13に当接させたスキージ14が前方のスキージ14であればスキージベース37を後方に移動させ(図17(a)中に示す矢印D1)、マスク13に当接させたスキージ14が後方のスキージ14であればスキージベース37を前方に移動させる(図17(b)中に示す矢印D2)。
これによりスキージ14はマスク13に対して相対移動(摺動)し、マスク13上のペーストPtはスキージ14のペースト掻き寄せ面で掻き寄せられてマスク13の開口部13a内に押し込まれるので、基板2の電極3上にペーストPtが転写された状態となる(図12に示すステップST11のペースト転写工程)。
制御装置50は、ステップST11のペースト転写工程において、後方のスキージ14によってマスク13の前方にペーストPtを掻き寄せ終わったときには、ペースト高さ検出センサ60からの検出情報に基づいて、後方のスキージ14の前方のペーストPtの高さhが所定高さHを下回っているか否かの判断を行い、その結果をペースト高さ記憶部61に書き込んで(ペースト高さ記憶部61に記憶させて)、次にスクリーン印刷を行う基板2について行うステップST8のときに用いるようにする。
制御装置50は、ステップST11のペースト転写工程が終了したら、スキージ14を上昇させて、スキージ14をマスク13から離間させる(図12に示すステップST12のスキージ離間工程)。
制御装置50は、ステップST12のスキージ離間工程が終了したら、昇降テーブル22aをベーステーブル21dに対して下降させ(図18(a)中に示す矢印C2)、マスク13から基板2を離間させる(図18(a))。これにより版離れが行われる(図12に示すステップST13の版離れ工程)。
制御装置50は、ステップST13の版離れ工程が終了したら、クランプ部材26を作動させて基板2のクランプを解除したうえで(図18(b)中に示す矢印A2)、下受けユニット25を昇降テーブル22aに対して下降させる(図18(c)中に示す矢印B2)。これにより基板2はコンベア部23上に降ろされて基板保持部24による基板2の保持が解除される(図18(c)。図12に示すステップST14の基板保持解除工程)。
制御装置50は、ステップST14の基板保持解除工程が終了したら、基板保持移動ユニット12が備える水平移動部21を作動させ、基板搬出コンベア28に対するコンベア部23の位置調整を行ったうえで、コンベア部23と基板搬出コンベア28を連動作動させ、コンベア部23上の基板2を基板搬出コンベア28に受け渡してそのまま基板2をスクリーン印刷機1の外部に搬出する(図12に示すステップST15の基板搬出工程)。
制御装置50は、ステップST15の基板搬出工程が終了したら、他にスクリーン印刷を施す基板2があるかどうかの判断を行う(図12に示すステップST16の基板有無判断工程)。その結果、他にスクリーン印刷を施す基板2があった場合にはステップST1に戻って新たな基板2の搬入を行い、他にスクリーン印刷を施す基板2がなかった場合には一連のスクリーン印刷作業を終了する。
スクリーン印刷機1から搬出された基板2は、スクリーン印刷機1の下流側に位置する部品装着機等の他の部品実装用装置(図示せず)に受け渡される。
以上説明したように、本実施の形態におけるスクリーン印刷機1は、シリンジ16を往復移動領域Rで往復移動させながらシリンジ16に空気圧を供給することにより、往復移動領域Rの往路及び復路のそれぞれにおいて、マスク13上に設定されたペースト供給領域QにペーストPtを供給させるシリンジ作動制御手段としての制御装置50と、スキージベース37に対してスキージ14を下降させ、シリンジ16によりペーストPtが供給されたマスク13上にスキージ14を当接させるスキージ下降手段としてのスキージ昇降シリンダ38と、マスク13上にスキージ14が当接された状態でスキージベース37を水平面内方向(Y軸方向)に移動させてスキージ14をマスク13上で摺動させるスキージベース移動手段としてのスキージベース移動機構59を備え、制御装置50は、シリンジ16の往復移動領域Rでの移動の往路及び復路のそれぞれにおいて、シリンジ16がペースト供給領域Qの一端側(往路側空気圧供給開始位置Q1及び復路側空気圧供給開始位置Q3)に達したときにシリンジ16への空気圧の供給を開始し、シリンジ16がペースト供給領域Qの他端側(往路側空気圧供給停止位置Q2及び復路側空気圧供給停止位置Q4)に達する前にシリンジ16への空気圧の供給を停止するようになっている。
また、本実施の形態におけるスクリーン印刷方法は、上記本実施の形態におけるスクリーン印刷機1によるスクリーン印刷方法であり、シリンジ16を往復移動領域Rで往復移動させながらシリンジ16に空気圧を供給することにより、往復移動領域Rの往路及び復路のそれぞれにおいて、マスク13上に設定されたペースト供給領域QにペーストPtを供給させる工程(ステップST9のペースト供給工程)と、スキージベース37に対してスキージ14を下降させ、シリンジ16によりペーストPtが供給されたマスク13上にスキージ14を当接させる工程(ステップST10のスキージ当接工程)と、マスク13上にスキージ14が当接された状態でスキージベース37を水平面内方向(Y軸方向)に移動させてスキージ14をマスク13上で摺動させる工程(ステップST11のペースト転写工程)を含み、シリンジ16によりペースト供給領域QにペーストPtを供給させる工程(ステップST9のペースト供給工程)の実行時、シリンジ16の往復移動領域Rでの移動の往路及び復路のそれぞれにおいて、シリンジ16がペースト供給領域Qの一端側(往路側空気圧供給開始位置Q1及び復路側空気圧供給開始位置Q3)に達したときにシリンジ16への空気圧の供給を開始し、シリンジ16がペースト供給領域Qの他端側(往路側空気圧供給停止位置Q2及び復路側空気圧供給停止位置Q4)に達する前にシリンジ16への空気圧の供給を停止するようになっている。
本実施の形態におけるスクリーン印刷機1及びスクリーン印刷方法では、シリンジ16の往復移動領域Rでの移動の往路及び復路のそれぞれにおいて、シリンジ16がペースト供給領域Qの一端側に達したときにシリンジ16への空気圧の供給を開始し、シリンジ16がペースト供給領域Qの他端側に達する前にシリンジへの空気圧の供給を停止するようになっており、ペースト供給領域Qのうち、上記一端側から空気圧の供給停止の地点まではシリンジ16から吐出されるペーストPtが供給されるが、空気圧の供給停止の地点から上記他端側に至るまでの間の部分には、空気圧が供給されて高圧になったシリンジ16内の圧力が空気圧の供給停止によって低圧(大気圧レベル)に戻るまでの間、シリンジから出続ける分のペーストPtが供給される。このため、シリンジ16への空気圧の供給停止後、シリンジ16から出続ける分のペーストPtがペースト供給領域Qの一部に集中的に供給されてしまう不都合がない。そして、このようなペーストの供給はシリンジの往復移動領域Rの移動の往路及び復路のそれぞれについて行われるので、ペースト供給領域Q内のペーストPtはシリンジ16の往路移動時の供給によるものとシリンジ16の復路移動時の供給によるものとで全体として均一化し易く、マスク13上にペーストPtが不均一に供給されることによる印刷不良の発生を抑えることができる。
また、本実施の形態では、シリンジ作動制御手段である制御装置50は、シリンジ16への空気圧の供給を停止するタイミングを、シリンジ16への空気圧の供給開始からの経過時間に基づいて決定するようになっており、マスク13に対するシリンジ16の位置を検出する必要がないので、ペーストPtの供給システムを安価に構成することができる。もっとも、このようにシリンジ16への空気圧の供給を停止するタイミングを、シリンジ16への空気圧の供給開始からの経過時間に基づいて決定する方法は一例であり、マスク13に対するシリンジ16の位置を検出して上記タイミングを決定するようにしても構わない。