JP2012081525A - 超砥粒固定式ワイヤソー - Google Patents

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努 冨吉
Kenji Kubo
憲司 久保
Yasuhito Hagiwara
康仁 萩原
Hiroaki Inoue
絋章 井上
Toshihide Takagi
俊秀 高木
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Abstract

【課題】レジンボンド法で問題とされている寿命が短い点、電着法で問題とされている生産性が悪くコスト高であるという点、ろう付け法で問題とされている高炭素鋼が使えずコスト的に優位でないという点、ろう付け後に超砥粒に内部応力が発生して砥粒が割れたり欠けやすくなるという点をいずれも解決でき、長寿命で生産性が高く、切断加工能力に優れた固定超砥粒式ワイヤソーを提供せんとする。
【解決手段】超砥粒14を仮固定するろう材層13、及び超砥粒14を保持するための金属めっき層16の二層を備え、ろう材層13の厚みを超砥粒14の平均粒径の10%以下とした。
【選択図】図1

Description

本発明は、シリコンやセラミック、サファイヤなどの硬質材料の切断工具として好適なワイヤソーに関する。
現在、シリコンやセラミック、サファイヤなどの硬質材料のマルチワイヤソーによるスライス加工において、ワイヤ表面にダイヤモンド超砥粒を固着させたダイヤモンドワイヤ工具が一般化している。これらのダイヤモンドワイヤ工具において、ダイヤモンド超砥粒をワイヤに固着する方法には現在、大きく分けて3種類の方法が存在している。レジンボンドによる方法、電着による方法、ろう付けによる方法の3つである。
レジンボンドによる方法は、例えばフェノール樹脂とダイヤモンドの混合物をピアノ線であるワイヤの表面にコーティングして焼付け、ダイヤモンドがフェノール樹脂の硬化によってワイヤに固着される。この方法は生産性がよく、超砥粒の量の多寡の調整はでき、安価で長尺のワイヤソーを製作することができる。しかしながら、レジンによる保持力は弱いため、使用中にダイヤモンドが次々脱落する。このため切れ味の低下やワイヤ径の細りなどが生じ、寿命が短いという欠点がある。これに対し、レジンボンドワイヤソーの超砥粒保持力を高めるために、表面に金属層をめっきによって形成したワイヤソーが示されている(特許文献1参照)。しかしながら、基本的にワイヤの表面とレジンの接合力が超砥粒の保持力に影響すること、更に金属層も基本的にはレジンの表面に形成されるので、金属層とレジン層の剥離強度にも限界があり,硬質物質の切断に適した保持力を十分に確保することはできない。
電着による方法は、ダイヤモンドの固定をニッケルめっき法により行うものであり、たとえばダイヤモンドを布袋に満たしてニッケルめっき液中に沈め、ピアノ線であるワイヤをこの布袋に貫通させ陰極とし、めっき液中に設けたニッケル陽極間に通電する。ワイヤはダイヤモンドとめっき液中でニッケルを析出し次第に太る。このときダイヤモンドはニッケル膜中に取り込まれて、ワイヤの表面に軽く固着される。このめっきはワイヤをゆっくり巻き取りながら連続で行う。前記の布袋から出たワイヤは、析出したニッケルの厚みが所定の厚みになるまで引き続きめっき液中でめっきされる。この電着法で固着されたダイヤモンドの保持力は比較的強い。しかし、この方法においては、ダイヤモンドの固着がめっきの析出速度で決まるため生産が非常に遅く、生産性が悪くコスト高である。また、超砥粒の付着量を多くすることなど調整が難しい。
ろう付け法による方法としては、金属ワイヤとろう付け金属接合材或いははんだ付け金属接合材により超砥粒をワイヤに固着したワイヤソーが提案されている(例えば、特許文献2、3参照。)。特許文献2記載のろう付け法においてろう付け金属接合材を使った場合、800〜950℃の熱処理が必要であり、安価な高強度炭素鋼などのワイヤでは強度が大きく劣化するためワイヤソーとして使えない。実施例ではワイヤに高炭素鋼を使いつつ880℃、30分間の真空下でろう付けした例が示されているが、強度面で実用に耐えるとは思われない。また、同じく特許文献2の他の実施例には、はんだ付け金属接合材を使ったものとして、はんだ組成の金属(96%Sn/4%Ag粉末99gとCu粉末1g)にダイヤモンド粉末が適量混合されたペーストを通って250μm径のInconel 718ワイヤが350℃の管状炉を引っ張られ、ダイヤモンド被覆ワイヤを得た例が示されているが、ダイヤモンド超砥粒の保持力は基本的にSnの強度に影響され、ニッケル電着に及ばない。
また特許文献3では、レジンボンド法と電着法の欠点・課題を解決するためとしてろう付けによる方法が提案され、この場合も固着強度を確保するためにろう材による固着を採用している。ろう材としてたとえば、Cu−Ag−Ti合金(溶融温度700℃以上)の採用が望ましいとあり、そのために高温下にさらされても強度が低下しないタングステンワイヤを線材に使うことが望ましいとされている。線材として広く使われているピアノ線、高炭素鋼が使えないことはコスト面で優位性を減じる原因になっている。また高温下でのろう付けのために真空中或いは不活性ガス雰囲気でのろう付けが必要であり、設備面或いは操業面で煩雑になるという面も課題となっている。この課題を克服するために、500〜600℃で溶融するろう材を採用し、熱処理時に20%以上の強度低下をきたさないステンレス鋼材のワイヤを採用することも提案されているが(特許文献4参照)、ピアノ線や高炭素鋼よりなるワイヤには強度面、コスト的には及ばず、依然として課題が残っている。つまりろう付け法においては、超砥粒の多寡の調整ができるが、超砥粒保持力を電着並みに高めようとすると、高温ろう材が必要となり、タングステンなどの耐熱芯線が必要となり、コスト的に高くなる。
また、超砥粒とろう材との熱膨張率の差から、ろう付け後に超砥粒に内部応力が発生し、砥粒が割れたり欠けやすくなるという問題がある。これを解決するものとしてワイヤ表面に超砥粒をロウ付けにより固定した後、さらに超砥粒をめっきで埋め込んだものが提案されている(特許文献5参照)。より具体的にはワイヤ表面にダイヤモンド砥粒を接着剤で仮固定し、これら仮固定されたダイヤモンド砥粒の間にろう材粉末を充填して真空炉中で溶融・固化することによりダイヤモンド砥粒を平均粒径の35%ほど埋め込んだ状態で保持させ、更にその上からニッケルめっきにより平均粒径の70%まで埋め込んだものである。しかしながら、特許文献5のようにダイヤモンド砥粒がろう材層によって平均粒径の35%まで埋まってしまうと、切粉の排出が悪くなり、これにより加工精度が悪くなる。また、加工中、超砥粒がろう材層に入り込んで沈んでしまい、ダイヤモンド砥粒の突き出し量が小さくなって切断加工能力が低下する原因となる。また、ワイヤ上に仮固定されたダイヤモンド砥粒の間にろう材粉末を充填して溶融・固化する方法では、このような作業は非常に煩雑で手間やコストがかかるうえ、ダイヤモンド砥粒とろう材層の間に空隙が生じることが避けられず、加工中にダイヤモンド砥粒が動いてしまい加工能力の低下や砥粒の脱落の原因となる。また、ニッケルめっきについてもダイヤモンド砥粒とろう材層と金属めっき層の境界付近に空隙が形成されやすく、同じく加工能力の低下や砥粒脱落の原因となる。
特開2007−253268号公報 特許第4008660号公報 特開2006−123024号公報 特開2008−221406号公報 特開2002−205272号公報
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、レジンボンド法で問題とされている寿命が短い点、電着法で問題とされている生産性が悪くコスト高であるという点、ろう付け法で問題とされている高炭素鋼が使えずコスト的に優位でないという点、ろう付け後に超砥粒に内部応力が発生して砥粒が割れたり欠けやすくなるという点をいずれも解決でき、長寿命で生産性が高く、切断加工能力に優れた固定超砥粒式ワイヤソーを提供する点にある。
本発明は、前述の課題解決のために、超砥粒を仮固定するろう材層、及び前記超砥粒を保持するための金属めっき層の二層を備え、前記ろう材層の厚みを、前記超砥粒の平均粒径の10%以下としたことを特徴とする超砥粒固定式ワイヤソーを提供する。ここに平均粒径とは一般的なレーザー回折・散乱法により測定したものとする。
ここで、ワイヤの表面に前記ろう材層を形成し、該ろう材層上に前記超砥粒を分散・付着させたうえで、該ろう材層の表面を溶融・固化することにより前記超砥粒がその付着面に仮固定され、更に金属めっき処理して金属めっき層を形成することにより超砥粒がワイヤ表面に保持されるものが好ましい。
また、前記ろう材層の厚みを、前記超砥粒の平均粒径の1%以上5%未満としたものが好ましい。
さらに、前記金属めっき層が、ニッケルめっき層又はニッケル合金めっき層であるものが好ましい。
また、前記ろう材層が、Sn系、Sn−Cu合金系、Sn−Ag合金系又はSn−Sb合金系のはんだよりなるものが好ましい。
以上にしてなる本願発明の超砥粒固定式ワイヤソーによれば、超砥粒を仮固定するろう材層、及び前記超砥粒を保持するための金属めっき層の二層を備え、ダイヤモンド等の超砥粒がろう材層によりワイヤに仮付けされ、更にその超砥粒が仮付けされたワイヤを金属めっきして該超砥粒を固着するので、レジンボンド法によるものに比べて超砥粒を保持する力がきわめて強固である。また電着法と比較して、超砥粒がろう材層により仮固定されるので、生産速度を高くすることができ、超砥粒の多寡の調整も容易である。特に、ろう材層の厚みを超砥粒の平均粒径の10%以下としたので、超砥粒とろう材との熱膨張率の差からろう付け後に超砥粒に内部応力が発生し砥粒が割れたり欠けやすくなるという問題も生じなく、切粉の排出も良好で優れた加工精度を維持できるとともに、加工中に超砥粒がろう材層に沈んでしまうといったことも回避でき、超砥粒の突き出し量を維持して切断加工能力も維持できる。
また、ワイヤの表面に前記ろう材層を形成し、該ろう材層上に前記超砥粒を分散・付着させたうえで、該ろう材層の表面を溶融・固化することにより前記超砥粒がその付着面に仮固定され、更に金属めっき処理して金属めっき層を形成することにより超砥粒がワイヤ表面に保持されるので、超砥粒をろう材層により仮固定した際にろう材層と超砥粒との間にフィレットが形成され、ろう材及び金属めっきによる隙間のない強固な接合となって超砥粒の付着部への応力集中を防止することができる。したがって、ろう材層の厚みが超砥粒の平均粒径の10%以下であっても、超砥粒の間にろう材層を35%ほど埋め込んだうえで金属めっきしたものに比べてより強固な超砥粒保持力を有し、またダイヤモンド砥粒の間にろう材粉末を充填するといった煩雑な作業が不要であり生産性に優れる。更に、電着法よりも耐久性(超砥粒保持力)に優れたワイヤソーを提供できる。また、上記フィレットが大きすぎて切粉の排出が悪くなるといった弊害も回避できる。
また、ろう材層の厚みを、前記超砥粒の平均粒径の1%以上5%未満としたので、加工精度がさらに向上し、スライス加工時の被加工物の厚みのばらつきも小さく抑えることができる。
本発明の代表的実施形態に係るワイヤソーを示す断面図。 (a)〜(d)は同じくワイヤソーを製造する手順を示す説明図。 第1の工程の製造プロセスを示す模式図。 第2ないし第3の工程の製造プロセスを示す模式図。 第4の工程の製造プロセスを示す模式図。 (a)はワイヤソーの変形例を示す断面図、(b)はA部拡大断面図。 (a)は加工前の実施例1のワイヤソーの写真、(b)はその拡大写真。 (a)は加工前の実施例2のワイヤソーの写真、(b)はその拡大写真。 実施例1のワイヤソーによる加工試験の結果を示すグラフ。 実施例2のワイヤソーによる加工試験の結果を示すグラフ。
次に、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。図1は、本発明に係る超砥粒固定式ワイヤソーを示す断面図であり、図2はその製造工程を示す説明図である。図中符号1はワイヤソー、10はワイヤ、13はろう材層、14は超砥粒、16は金属めっき層をそれぞれ示している。
本発明のワイヤソー1は、図1に示すように、ワイヤ10の表面に超砥粒14を分散固定したものであり、ワイヤ10の表面にろう材層13が形成され、該ろう材層13の上に超砥粒14が単層に仮固定されるとともに、その上から金属めっきすることにより超砥粒14をワイヤ表面に固着保持させた構造である。尚、本例では表面が導電性を有する超砥粒14を用いたことから金属めっき層16が超砥粒14の上にも被覆されているが、本発明はこれに限定されず、表面が導電性を有さない超砥粒を用いることもでき、その場合、図6(a),(b)に示すように、超砥粒14間のろう材層13の上に金属めっき層16が成長し、超砥粒14の間隙を隙間なく埋めて各超砥粒14を囲い込み、結果として超砥粒14が強固に固着されるのである。
ワイヤ10は、はんだの溶融温度により強度が劣化しない種々の金属ワイヤを用いることができ、鉄、ニッケル、コバルト、クロム、タングステン、モリブデン、銅、チタン、アルミニウム及びそれらの合金のいずれかからなるものが好適に用いられる。特に、ピアノ線を含む高炭素鋼からなるものが安価且つ安定して入手でき、コスト低減できる点で好ましい。
ろう材層13は、Sn系、Sn−Cu合金系、Sn−Ag合金系又はSn−Sb合金系のはんだを用いることが好ましい。これらのはんだ成分が好ましい理由は、次のとおりである。すなわち、450℃以下の金属接合材を一般的にはんだと称するが、本発明における狙いは、比較的安価で、かつ高強度のピアノ線を含む高炭素鋼からなるワイヤに超砥粒を固定したワイヤソーの提供である。ピアノ線などの高炭素鋼は300℃近辺を超える熱環境に一定時間以上さらされると強度が低下するため、本発明に適用すべきはんだは、300℃以下、望ましくは270℃以下の融点を持つはんだが望ましく、上述のはんだの成分により、300℃以下の融点のはんだが設計・製造できるからである。ろう材層13の厚みは、超砥粒14の平均粒径の10%以下とされる。より好ましくは、超砥粒の平均粒径の1%以上5%未満とされる。
超砥粒14は、従来からのワイヤソーに用いられている種々の超砥粒を用いることができるが、本発明の狙いである高硬質のシリコン、セラミック、サファイヤなどを切断するには超砥粒で硬度の高いダイヤモンド、CBN、SiCのいずれか、或いはこれらの混合物を用いることが好ましい。
超砥粒14には、はんだへの接合性を良好とするべく、ニッケル、銅、又はチタンの金属で被覆されている。特にニッケルや銅をコーティングした超砥粒はろう材とのヌレ性を確保でき、付着強度を維持できる点で好ましい。
金属めっき層16は、好ましくは相互付着性を高められる点で超砥粒14又はその被覆金属と同種の金属からなるめっきが好ましく、例えばニッケルコートしたダイヤモンド超砥粒14に対してニッケルめっき層又はニッケル合金めっき層を電気めっきで形成することが好ましい。
以下、製造手順に沿ってワイヤソー1の詳細を説明する。ワイヤソー1の製造は、大きく分けて4つの工程からなる。
(第1の工程)
第1の工程は、図2(a)に示すようにワイヤ10の表面にろう材層13を設ける工程である。ろう材層13は、例えばるつぼ内ではんだを溶融し、ワイヤを溶融したはんだの中を通して形成される。図3は、第1の工程の製造プロセスを示す模式図である。本プロセスは、ワイヤの繰り出しリール20から繰り出されたワイヤ10が、フラックス塗布装置21を経て、溶融はんだ槽22を通過して、その表面にろう材層(はんだ層)を形成し、冷却ゾーン23を通ってろう材層を固化し、プリコートワイヤ11として巻取りリール24に巻き取られるようにしたプロセスである。
フラックス塗布装置21は、フラックスをノズルから吹き付ける方法のものや、フラックスの貯槽を通過させる方法のものなどがある。溶融はんだ槽22には、はんだを溶融させるに十分な加熱装置が設けられているものとする。また、溶融はんだ槽にワイヤが通せるように案内装置が設けられていて、ワイヤ10が溶融はんだ内を通過する。同時にワイヤ10の表面にろう材層13(はんだ層)が形成される。溶融はんだ槽22を離れたときにほとんど溶融はんだは固化しているが、固化をより確実にするため、巻取りリール24に巻き取られる前に冷却ゾーン23を設けてある。前述したように、図2(a)がこの第1の工程を終えて製造されたワイヤの断面を示すもので、ワイヤ10の表面にろう材層13が形成されている様子を示している。これをプリコートワイヤ11と称す。
この第1の工程で形成されるろう材層13(はんだ層)の厚さは、はんだの溶融時の粘性・表面張力及び線の走行速度により変化するが、上述のとおり、超砥粒14の平均粒径の10%以下、より好ましくは1%以上5%未満が好ましい厚さとなる。具体的な厚さの数値は、超砥粒の平均粒径が40〜60μmのとき2μm以下、超砥粒の平均粒径が10〜20μmのとき1μm以下が好ましい。本例では溶融めっきとしているが、例えばスズの電気めっきによって金属めっき層を形成することもできるのは勿論である。
(第2の工程)
第2の工程は、図2(b)に示すように、第1の工程で形成されたろう材層13に超砥粒14を単層に分散・付着させる工程である。例えば、はんだの溶融する温度以下で分解或いは蒸発する液体で第1の工程で製作したプリコートワイヤ11の表面を濡らし、その濡れたワイヤを超砥粒の入った容器内を通過せしめ、ワイヤ表面にその濡れにより超砥粒を付着させる。この場合、図2(b)には示していないが実際には、超砥粒相互の凝集力で、超砥粒の上に超砥粒が乗った状態がみられる。
より具体的には、図4の模式図に示すように、繰り出しリール30から繰り出されたプリコートワイヤ11が液体塗布装置31にて表面が濡らされる。そして表面がぬれたプリコートワイヤ11が、超砥粒付着ゾーン32内の超砥粒散布装置32aを通過するときに表面に超砥粒14が付着する。ここまでが第2の工程である。これにより図2(b)に示すようにプリコートワイヤ11のろう材層13表面に液体層15が形成され、その液体の濡れにより超砥粒14がプリコートワイヤ11の表面に張り付いた状況となる。ここで、ワイヤの走行スピード等を調整することで超砥粒の付着密度をコントロールする機能を備えることが好ましい。
尚、第2の工程を実施する方法は本例以外にも考えられる。例えば、表面を同じように濡らしたプリコートワイヤを超砥粒粉末の貯槽を通過させることでも行うことができるし、静電塗装の原理を使って超砥粒をプリコートワイヤに付着させることもできる。また、単なるファンデルワールス力や帯電により付着させることも可能である。いずれもワイヤの走行スピードや吹きつけ量のコントロールにより、超砥粒の付着量をコントロールできるのも特徴である。
(第3の工程)
第3の工程は、第2の工程で超砥粒14を仮付着したワイヤのろう材層13を加熱溶融した後、冷却固化して超砥粒14をろう材層13表面に接合させ、仮付け(仮固定)する工程である。具体的には、図4の模式図に示すように、第2の工程に連続して行なわれ、超砥粒散布装置32を通過した超砥粒付着プリコートワイヤワイヤは加熱炉33に導かれて加熱される。この加熱炉33は、プリコートのろう材層13を溶融させるに十分な温度に過熱できるようになっており、加熱炉33内では、付着している液体層15の液体が蒸発し、同時にろう材層13のはんだが溶融し、蒸発した液体層15の液体に代わってろう材層13により超砥粒14がその接触面でワイヤに濡れた状況になる。このワイヤが加熱炉33を出て冷却ゾーン34を通ると、ろう材層13が固化され、超砥粒14はワイヤに接合されることとなる。
図2(c)は、この工程を終えたワイヤの断面で、溶融したろう材層13のはんだが超砥粒14の周囲に表面張力で引き寄せられた後に固まりフィレット13aを形成している様子を示している。すなわち、この方法の特長は、超砥粒14の接着面の周辺にフィレット13aが形成された形となり、超砥粒14が安定した形で接合されることである。このフィレット13aが存在することにより、後工程の金属めっきも滑らかに超砥粒14を囲うこととなり、フィレット13aが形成されない電着による超砥粒の接合状態と異なり超砥粒保持力の大きなワイヤソーが得られるのである。
第2の工程で超砥粒相互の凝集力により超砥粒14上に余分に付着した超砥粒は、ろう材層13と接触していないので第3の工程においてもワイヤに接合されることはなく、たとえば冷却ゾーン34で空気の流れを当てることにより除去されてワイヤ上の超砥粒14は単層をなすこととなる。以下、第3の工程で作製されたワイヤを超砥粒仮付けワイヤ12という。この超砥粒のワイヤに対する接着力は、ろう材層13のはんだと超砥粒、はんだとワイヤの接着力により決まってくるが、ほとんど超砥粒の一面だけで接着される状況なので、接着力が不十分で、このままワイヤソーになるものではない。したがって、ワイヤソーに使う場合は、後述の第4の工程により超砥粒を更に強固にワイヤに固着させる必要がある。
(第4の工程)
第4の工程は、図2(d)に示すように超砥粒仮付けワイヤ12に金属めっきを施し、超砥粒14をワイヤに強固に固着する工程である。図5は、第4の工程の製造プロセスを示す模式図である。本装置において、第3の工程で製作された超砥粒仮付けワイヤ12が繰り出しリール40から繰り出され、、脱脂槽42、酸洗い槽43、水洗い槽44、めっき槽45、水洗い槽46を経て巻取りリール47に巻き取られる。
めっき槽45には、アノード45cとワイヤをカソードとするための給電ロール45bが設置され、直流電源45aが設置されている。このめっき槽45を通過する間に超砥粒仮付けワイヤ12の表面に金属めっき層が形成される。超砥粒表面が導電性である場合、ワイヤのろう材層の上のみならず超砥粒上にも金属めっき層が形成され、超砥粒はきわめて強固にワイヤに固着される。図2(d)及び図1の断面の固定超砥粒ワイヤが得られる。金属めっきの厚さは、ワイヤの走行速度、めっき電流によってコントロールされる。この第4の工程で形成される金属めっきの厚さは、本例のように導電性の被覆をした超砥粒14の場合、この超砥粒14表面にも金属めっきが乗るため、厚すぎるとワイヤ使用前のドレッシング(めだて)に時間がかかり効率が落ちる。したがって、好ましくは3〜10μm、より好ましくは3〜5μmである。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
次に、本発明の実施例として2種類のワイヤソー(実施例1及び実施例2)を作製し、加工試験を行なった結果について説明する。
(実施例1)
ワイヤ素材:真鍮めっきピアノ線
ワイヤ径:179μm
ろう材組成:Sn−0.7Cu−0.05Ni−Ge
ダイヤ平均粒径:約50μm
金属めっき組成:ニッケル
金属めっき厚:7μm
ろう材層の厚み:約1μm
ろう材層の厚みの割合(ダイヤ平均粒径に対する割合):約2%
(実施例2)
ワイヤ素材:真鍮めっきピアノ線
ワイヤ径:179μm
ろう材組成:Sn−0.7Cu−0.05Ni−Ge
ダイヤ平均粒径:約50μm
金属めっき組成:ニッケル
金属めっき厚:7μm
ろう材層の厚み:約2.5μm
ろう材層の厚みの割合:約5%
図7(a)は実施例1のワイヤソーの加工前の写真、(b)はその拡大写真である。図8(a)は実施例2のワイヤソーの加工前の写真、(b)はその拡大写真である。実施例1のようにろう材層の厚みを約2%に抑えた場合、図7からわかるように、ダイヤの根元部の金属めっき表面のRが小さくなっている。これに対し、実施例2のようにろう材層の厚みが約5%の場合、図8からわかるように実施例1のワイヤソーよりもRが大きくなっている。これは、ダイヤをろう材層に仮固定した際のフィレットがろう材層が厚いほど大きくなり、したがってこれに積層される金属めっきの表面のRもその分大きくなるためである。
(加工条件)
実施例1、実施例2とも、ワイヤーの走行速度(線速)を500m/minとし、長さ49mmサファイアインゴットをスライス加工してウェハを作製した。
(ソリ測定)
東京精密製表面粗さ測定器「SURFCOM−1500−SD3」を用いて測定した。
図9及び図10に、それぞれ実施例1、実施例2のワイヤソーによる加工試験の結果(ソリとTTV)のグラフを示す。実施例1のワイヤソーではスライス加工により34枚作製した各ウエハのソリの平均値が8.178μmとなり、非常に小さな値であり、且つばらつきが少なく安定しており、加工精度が非常に優れていることが分かる。TTVは、一枚のウエハ内での厚みのばらつき量(μm)であり、3箇所の厚みの最大と最小の値の差で求めたものである。TTVの平均も9.529μmと小さく、均一な厚みに加工できていることがわかる。実施例2のワイヤソーでは、50枚の各ウエハのソリの平均値が12.099μmであり、実施例1と比べて加工精度が劣るものの優れた加工精度である。実施例1に劣った理由としては、ダイヤの根元部の金属めっき表面のRが比較的大きくなり、ダイヤの脱落もなく切粉の排出が悪くなり、線の細りも少なく、切れ味が悪くなってソリが大きくなったと考えられる。TTVの平均は9.020μmと小さく、均一な厚みに加工できていることがわかる。
1 ワイヤソー
10 ワイヤ
11 プリコートワイヤ
12 超砥粒仮付けワイヤ
13 ろう材層
13a フィレット
14 超砥粒
15 液体層
16 金属めっき層
20 繰り出しリール
21 フラックス塗布装置
22 溶融はんだ槽
23 冷却ゾーン
24 巻取りリール
30 繰り出しリール
31 液体塗布装置
32 超砥粒付着ゾーン
32a 超砥粒散布装置
33 加熱炉
34 冷却ゾーン
40 繰り出しリール
42 脱脂槽
43 酸洗い槽
44 水洗い槽
45 めっき槽
45a 直流電源
45b 給電ロール
45c アノード
46 水洗い槽
47 巻取りリール

Claims (5)

  1. 超砥粒を仮固定するろう材層、及び前記超砥粒を保持するための金属めっき層の二層を備え、前記ろう材層の厚みを前記超砥粒の平均粒径の10%以下としたことを特徴とする超砥粒固定式ワイヤソー。
  2. ワイヤの表面に前記ろう材層を形成し、該ろう材層上に前記超砥粒を分散・付着させたうえで、該ろう材層の表面を溶融・固化することにより前記超砥粒がその付着面に仮固定され、更にめっき処理して前記金属めっき層を形成することにより超砥粒がワイヤ表面に保持された請求項1記載の超砥粒固定式ワイヤソー。
  3. 前記ろう材層の厚みを、前記超砥粒の平均粒径の1%以上5%未満とした請求項1又は2記載の超砥粒固定式ワイヤソー。
  4. 前記金属めっき層が、ニッケルめっき層又はニッケル合金めっき層である請求項1〜3の何れか1項に記載の超砥粒固定式ワイヤソー。
  5. 前記ろう材層が、Sn系、Sn−Cu合金系、Sn−Ag合金系又はSn−Sb合金系のはんだよりなる請求項1〜4の何れか1項に記載の超砥粒固定式ワイヤソー。
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