JP5924630B1 - 固定砥粒ワイヤーソーの製造方法 - Google Patents

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【課題】 芯線外周面に砥粒を確実に固着保持して被切削材の切断時における砥粒の剥離を生じさせないで切削面を円滑にし、かつ被切断材縁部のチッピング発生を防止できる機能を発揮するワイヤーソーを得るとともに、製造設備をコンパクトにして製品のコストダウンが図れる固定砥粒ワイヤーソーの製造方法を提供する。【解決手段】 芯線1の外周面に電気メッキにてSnによるベース層2を形成し、次いでメッキ槽内を一対の回転ドラム間に所定回数巻掛け循環移動させながら前記ベース層2上にNiメッキによる下地層3を形成し、複合メッキ槽25内で滞留時間を長める状態でNi被膜処理された砥粒5を前記下地層3上に形成されるNiメッキ4層上に分布電着し、かつNiメッキによって付着砥粒を定着させるとともに、切削機能を高めた固定砥粒ワイヤーソー10を得る。【選択図】図3

Description

本発明は、加工精度に優れて耐久性を備えた固定砥粒ワイヤーソーの製造を合理的に実施でき、コストダウンが図れる固定砥粒ワイヤーソーの製造方法に関するものである。
従来、シリコンやセラミックなどの硬質脆性材料の切断のために、ワイヤーソーを用いる切断装置が知られている。この切断装置に用いられるワイヤーソーとしては、近時、芯線となる高張力な線状材の外周面に超硬粒(主に、ダイヤモンド粒にてなる砥粒)を多数固着したものが提案されている。
前記ワイヤーソーでは、芯線の外周面に金属の溶着または電気メッキを施して、その金属の溶着層または電気メッキ層によって砥粒を固着させた構成のものが知られている。ところで、この種ワイヤーソーは、被処理材料の切断効率を向上させるとともに切削代損失を少なくするために、高張力鋼にてなる線径のごく細い芯線の表面に砥粒を安定して固着させる必要があることから、その砥粒の保持力が大きくないと切削加工時に脱落し、切断面を損傷させることのみならず切断効率も著しく低下する。
このようなことから、芯線に固着分布させる砥粒の保持力を高める手段としては、例えばレジンボンドを結合材とするもののほかに、芯線周面に低融点の金属溶着層を形成して、この金属溶着層に付着させた砥粒を、さらにその外側から高融点金属層を形成して砥粒を固着し、砥粒の保持力を高めるようにした構成のものが特許文献1によって開示されている。
また、芯線の表面に一次メッキ層としてニッケルメッキまたは黄銅メッキによる被膜層を形成し、そののちダイスを通して外形を規定内寸法に揃え、その後において一次メッキ層の表面に組成の異なる二次メッキ層として銅メッキ層を形成して砥粒を固着する構成のワイヤーソーが特許文献2によって開示されている。こうすると、芯線と一次メッキ層との接合強度が高まり、二次メッキ層と砥粒との接合強度も高まり長寿命で切れ味のよいワイヤーソーが得られると記載されている。
また、芯材の外周面に第1層として銅被膜層を形成し、この第1層の表面にニッケルの被膜層を形成して砥粒を固着し、さらにダイスを通過させて砥粒の高さを揃えるようにしたワイヤーソーが特許文献3によって開示されている。
前記特許文献1によって知られる固定砥粒ワイヤーソーでは、芯線の周面に低融点金属層として「Sn系はんだ」を用いることが記載されている。しかしながら、「Sn系はんだ」による場合、添加材による影響を受けて「はんだ」自体が脆くなり、砥粒の芯線に対する固着力が十分に得られないという問題点がある。
また、前記特許文献2に開示されているワイヤーソーでは、砥粒を固着するためのメッキ層に銅を用いていることから、砥粒の固着力を確保できるとしても、被切断材を切断加工する際にワイヤーソーの表面にメッキされている銅材が加工面(被切断材)と接触することから転移することがあり、スライスされた半導体用ワークをそのまま使用するには転移した銅イオンが製品に影響を及ぼすことになる懼れがあり、実用面で問題がある。
前記特許文献3により知られるワイヤーソーの製造方法では、芯線上に形成された軟質金属(銅)のメッキ層(一次メッキ層)上に二次メッキ層によって保持された砥粒の一部を、ダイスを通して一次メッキ層に押し込むような操作を行って砥粒の外端を揃えるということは、硬質金属にてなる二次メッキ層(ニッケル層)と砥粒との接着部に強制的な剪断力を付勢することになるので、電着完成している部分に破断面を発生させることとなり、切断加工時において砥粒に作用する抵抗力で、砥粒が脱落する原因となる。しかも、砥粒の付着性を高める目的が返って阻害することになるという問題点がある。
そして、従来のワイヤーソーにおける砥粒を芯材の周面にメッキ技術を用いて付着分布させるためには、芯材(芯線)の前処理工程から一次被膜層の形成、二次被膜層の形成と砥粒の付着処理などを、複数の各処理槽(酸洗槽や脱脂槽、水洗槽、そしてメッキ槽など)を一連に並べて、各槽に被処理材(芯材)を一旦槽外に移行させた後次の槽で液中に潜らせるという手段を順次繰り返して最終仕上げ工程まで移動させるようにしているので、全工程を一連に並べると非常に長い設備を必要としていた。このような事例が特許文献4などによって開示されている。
しかしながら、固定砥粒ワイヤーソーの製造工程は、各処理工程を中断することなく一連の設備によって行われるので、前記特許文献4などで知られるように、芯線の前処理工程から一次メッキ層を形成して二次メッキ層と砥粒の付着処理を経過し、最後の仕上げ処理までの多くの工程を順次移動するには、非常に長くなる設備を必要とする。そのために、設備が大型化して高価なものとなり、しかもその設備を設置するために大きな工場建屋やそれに見合う用地が必要となるなど、経済的に多くの問題点がある。また、メッキ槽では芯線(ワイヤー)をほぼ直線的に移動させて処理することから、ワイヤーに対する被膜層(メッキ層)を有効に形成するには、容量の大きい槽を必要とし、電解液の使用量も多くなり、これに付随する経費も増大することから工費が嵩むという問題点もある。
特許第5516420号公報 特開2014−46375号公報 特開2012−236255号公報 特開平9−150314号公報
本発明は、芯線外周面に付着した金属被膜層と二次被膜層とで砥粒を確実に固着保持させるとともに、砥粒に大きな外力が作用したとき前記金属皮膜層が緩衝機能を発揮して被切削材の切断時における砥粒による切削力が高められ、いわゆる切れ味をよくして切削面を円滑にし、かつ低粒の剥離を生じさせないとともに、被切断材縁部のチッピング発生を防止できる機能を発揮し、しかも製造設備をコンパクトにまとめて製品のコストダウンが図れる固定砥粒ワイヤーソーの製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明による固定砥粒ワイヤーソーの製造方法は、
金属芯線の外周面に形成される金属皮膜により砥粒が固着された固定砥粒ワイヤーソーの製造方法であって、前記芯線はその外周面に電気メッキにてSnによるベース層を形成し、次いで所定の間隔で配置された一対の水平回転する回転ドラム間に前記芯線を複数回巻き巡らせてメッキ槽内を浸漬状態で循環移動させながら前記ベース層上にNiメッキによる被膜層を形成するとともに、Ni被膜処理された砥粒を前記Ni被膜層上に分布電着させ、さらに、仕上げ処理工程で前記電着砥粒を薄いNi被膜で定着させることを特徴とする。
前記ベース層として被覆する金属としては、Sn単一材を用いるのが芯線との密着性を良好にし、かつNiによる被膜層形成時の濡れ性を良くして製品として砥粒に作用する切削抵抗に対しての緩衝効果を確保でき砥粒の脱落を防止できる。
本発明において、前記Niメッキ処理の工程メッキ槽は、複数の槽を直列に配置して、芯線の移動方向の槽の前後に付設した漏液を受ける補助槽を介して槽壁に設けたスリットを通じ、処理される芯線が槽間を引き上げて移動させることなく、前記各メッキ槽で前記一対の回転ドラム に複数回巻掛けて槽内を浸漬状態で順次移動させ、先に被覆されているSnのベース層上にNi被膜が形成されるようにするのがよい。
前記Niメッキ槽の少なくとも1槽においては、被処理芯線の移動方向に対してメッキ槽本体の前後に補助槽を連結配置して、前記両補助槽内にそれぞれ配される前記回転ドラム間を、前記被処理芯線が複数回ループ状に巻掛けられてその巻掛け中間部がメッキ槽本体内を移動するようにし、前記メッキ槽本体内での被処理芯線の滞留時間を長めるようにして被膜形成処理するのがよい。
また、前記発明において、被処理芯線に対する砥粒の付着工程では、槽内で被処理芯線の移動方向に沿ってメッキ液を攪拌し、被処理芯線に対するメッキ液中浮遊の砥粒の付着を促進させるようにするのがよい。
前記回転ドラムは、周面にらせん状に複数段の被処理芯線の案内溝が形成され、前記メッキ浴槽に隣接する補助槽内で浸漬されることなく配されて、被処理芯線の巻掛け準備時には被処理芯線の処理走行線より上側に引き上げられるように吊下げられて作動するものであるのが好ましい。
本発明の製造方法によれば、金属芯線の外周面にSn単一材の電気メッキによりベース層を形成することにより、二次層となるNiメッキ層の付着を確実とし、前記ベース層上に砥粒が受け止められて前記Niメッキ層によって砥粒の定着性を容易にしたことで、得られた製品の固定砥粒ワイヤーソーは、シリコンやセラミックなどの硬質脆性材料の切削加工に供して砥粒の脱落などの発生をなくし、切削効果の著しいものが得られるのである。
また、本発明の製造方法によれば、Sn単一材のメッキによるベース層の形成後、Niメッキの工程でワイヤー(Snメッキ済みの芯線)を一対の水平回転する回転ドラム間で複数回巻き巡らせて卷回中間をメッキ液に潜らせてメッキ液中での滞留時間が長くなるようにしてメッキする効率を向上させることができる。
そして、そのメッキ過程でのベース層上に形成されるNiの鍍着薄膜がSnベース層より硬質であることから、芯線が回転ドラムに沿って湾曲する際、軟質であるSnベース層は芯線の変位に追従するも前記ベース層表面に形成される薄膜状のNiメッキ層がベース層上で変位に追従できず、微値的なクラックが生じる。この現象が複数回回転ドラムに沿って湾曲動作を繰り返すことにより、全般的に極めて小さいクラックの繰り返し発生で、Niメッキ層がうろこ状に形成されると推定される。
したがって、得られた製品(固定砥粒ワイヤーソー)は、目的とする硬質脆性材料の切断加工に使用されるとき、砥粒が被加工材に接触すると、うろこ状になっているNiメッキ層で支持された状態で切削抵抗に応じSnのベース層上で砥粒尖端部が移動方向と逆の方向に傾動すると推定される。そのため、砥粒は尖端を被切削材に押し付けて削るのではなく、被切削材に尖端を滑らせるような挙動で切削することで、切れ味を有効に発揮して切削加工することになる。もちろん、砥粒はNiメッキ層によって保持され離脱することなく被切削材の切削面(切断面)を正常に保って加工できるのである。その結果、得られた製品の固定砥粒ワイヤーソーは、切れ味がよく、シリコンやセラミックなどの硬質脆性材料の切断加工に供して砥粒の脱落などの発生をなくし、切削効果の著しく優れたものが得られるのである。
また、本発明においては、Niメッキ槽内を移動させるワイヤー(Snメッキ済の芯線)を複数回にわたり水平状態で循環させて、この間にメッキ処理を行うことにより、高速で移動するにも拘らず一つの槽でワイヤーがメッキ液と接する時間を長くして被膜層の形成並びに砥粒の付着を有効にし、使用するメッキ液の使用量も少なくできる。したがって、結果的にメッキ槽を小型化して設備全体を短い長さに纏めることが可能になり、ワイヤーソーの製造を経済的に合理化して実施できるという効果を奏するのである。もちろん、ワイヤーの移動はメッキ槽内を複数回循環させることで高速処理が行えて生産性の向上が図れるという利点がある。
図1(a)は本発明の固定砥粒ワイヤーソーの製造方法によって得られるワイヤーソーの構成を模式的に表す斜視図、(b)は砥粒付着部分を拡大して表わす模式図、(c)は砥粒付着部分におけるNi被膜層の一態様を拡大して表わす模式図である。 図2は製造方法の一態様を表すフローシートである。 図3は本発明に係る製造過程の一実施形態を表す図である。 図4は複合メッキ槽におけるワイヤーのメッキ処理態様を模式的に示す断面図である。
次に、本発明に係る固定砥粒ワイヤーソー及びその製造方法について一実施形態に基づき、図面を参照して説明する。
本発明に係るワイヤーソー10は、図1に示されるように、芯線(以下「ワイヤー1」という)の外周面にSnメッキ層2(本発明のベース層に対応)が形成され、そのSnメッキ層2の外面に、まずNiメッキ層による下地層3が形成され、この下地層3に続いて形成されるNiメッキ層4上にNi被膜を施された砥粒5(主としてダイヤモンド砥粒、以下同様)が分布付着され、その後に砥粒5が付着した状態でその外表面に薄いNiメッキ層6を形成することによって分布した砥粒5を固定したものである。
このようなワイヤーソー10は、ワイヤー1として例えば高張力鋼にてなる線材を用い、図2で示されるような手順で製造する。まず、素線の表面を清浄にするために、防錆のため水洗・脱脂・酸洗の各処理を行う表面処理工程21(ステップS1)を経て、Snのメッキ槽22に導入し、ワイヤー1の外周面にSnの電気メッキを施してベース層2を形成するメッキ工程を行う(ステップS2)。ここでのSnメッキとしては2〜15μm程度の膜厚とするのが好ましい。Snメッキを施したワイヤー1a(Snによるベース層2を施したワイヤー1について符号1aを付す。)は、水洗処理および防錆処理23(ステップS3)を終えて前記Snメッキによるベース層2上に砥粒5を分布付着するための工程へ移行させる。
前記Snメッキを施されたワイヤー1aの表面に砥粒5を分布付着するための工程に移行するには、複数のメッキ槽(24,25,26)をワイヤー1aの移動方向(図3に表す矢印a参照)に直列に配置して、これらメッキ槽をワイヤー1aが移動する間に、下地メッキ槽24でまずNiの下地層3を形成する(ステップS4)。その後に砥粒5を分散浮遊させた複合メッキ槽25において前工程で形成された下地層3上にさらなるNiメッキ層4の形成と同時に砥粒5を分布状態で付着させる(ステップS5)。この複合メッキ槽25に投入されている砥粒5は、予め表面にNi被膜を形成されたものが使用される。
このNiメッキの工程(ステップS4、ステップS5及びステップS6)におけるメッキ槽24、25,26は、メッキ液を満たした槽本体の前後(ワイヤーの移動方向で)に何れも補助槽24a・24b,25a・25b,26a・26bが連結されている。そして、槽本体を挟んで設けられた各補助槽にはそれぞれ水平回転する回転ドラム27が一対配置されている。具体的には、各メッキ槽24,25,26における補助槽の上側で外部支持体(図示せず)にて昇降可能に吊設された支持軸27aの下部で回転ドラム27が水平回転自在に支持され、所定の高さ位置から補助槽24a・24b,25a・25b,26a・26b内までの範囲で昇降可能に設けてある。そして、メッキ作業時には最下位位置にて支持される(図3参照)。
前記回転ドラム27は、いずれも外周面に上下方向(支持軸の軸線方向)に所定のピッチでワイヤー1aを案内する案内溝(図示省略)がらせん状に複数段で形成されていて、各メッキ槽24,25,26で両回転ドラム27,27間にワイヤー1aが案内溝に沿って複数回巻掛けられ槽本体内でメッキ液中を循環移動して、前記回転ドラムのらせん状案内溝の最終段を通って次の工程に送り出されるように関係付けられている。
また、前記メッキ槽(24,25,26)の槽本体内と前後の補助槽(24a・24b,25a・25b,26a・26b)との間には仕切板で区画される液切り空間部24c・25c・26cがそれぞれ設けられており、その仕切板及び補助槽との境界壁には、メッキ操作時に回転ドラム間に複数回巻き掛けられたワイヤー1aが進入・退出できるようにする縦方向のスリット28がそれぞれ設けてある。そのスリット28から移動するワイヤー1aに付着して槽外に持ち出される液は、前記液切り空間部24c・25c・26cに繋がる配管でもって回収し、ポンプにより槽本体内に還流させる。
特に、前記砥粒を付着させるための複合メッキ槽25では、図4で示すように、メッキ液を湛える槽本体25Aからオーバーフロー25dする液と前記液切り空間部25cからの液とを外側部に設けた貯槽40に配管43,43′でもって液を還流させ、ポンプ41によって配管44を通じて槽本体内25Aに設けた噴流管25fに送り、槽本体25A内下部から噴流させ、メッキ液を攪拌すると同時に投入されている砥粒を上部で分布浮遊させて移動するワイヤー1aに対する付着を促進させるようにする。また、メッキ槽内でのメッキ液の濃度を常に定常に維持してワイヤー1aに対する電着効果を高めることができる。
前述したワイヤー1aに対する砥粒の固着処理を実施するにあたり処理ラインで各処理工程を移動するにあたり、当該ワイヤー1aは、準備処理として各メッキ槽に配設された回転ドラム27を支持する外部支持体によって処理ラインより上側に引き上げて、各対の回転ドラム27に所定回巻掛けて順次移動できるようにした後、ワイヤー1aをメッキ液に浸漬させて作業を実施する。
Snメッキ処理によるベース層2を形成されて水洗および防錆処理処理(ステップS3)されたワイヤー1aは、まず下地メッキ槽24に送られる。この下地メッキ槽24では、前述のように一対の回転ドラム27,27に所定回数巻掛けられてメッキ槽24内を繰り返し移動する間にNiメッキによる下地層3が形成される(ステップS4)。要するに、一つのメッキ槽内を直進して一通過するのではなく、所定回数繰返しメッキ槽内を循環してワイヤー1a表面にNiの被膜層(下地層3)が次第に厚くなるように形成される。
Niメッキの下地層3が形成されたワイヤー1aは、次に複合メッキ槽25に移動して前述のように槽本体25Aの前後に位置する補助槽25a,25b内の回転ドラム27,27間に所定回数巻き掛けられて槽本体25A内のメッキ液中を所定回数循環移動する。この複合メッキ槽25では、槽本体25Aの内下部に噴流管25fが配置され、オーバーフロー25dや液切り空間部25cからの戻り液を貯槽40に集めてポンプ41により前記噴流管25fに送り込まれ、槽下部からメッキ液中に噴出されるので、メッキ液は槽内で常時攪拌され、液中に投入されている砥粒5が槽内を移動するワイヤー1aの周辺に多く吹き上げられて浮遊するので、下地層3上にNiメッキ層4が造成されると同時に砥粒5もワイヤー1aの周面に分布して付着されることになる。
なお、前記複合メッキ槽25は、その槽本体25Aを上層部より底層部の面積が狭小になるような構造(いわゆる舟形構造)にしておくことで、前記噴流管25fから液の噴流による槽内メッキ液の攪拌効果を高めて、液中に混在浮遊する砥粒5が槽内を移動するワイヤー1aに対して積極的に付着させ得ることができ、かつ付着する砥粒5の配分を均等化させることができる。
このようにして複合メッキ槽25では、移動方向の前後で一対配置されている回転ドラム27,27に巻掛け循環するワイヤー1aは、両回転ドラム27間での直線区間がメッキ液中で移動することになるから、メッキ槽内での滞留時間が長くなり、Niメッキの膜厚を比較的短時間で厚くでき、同時に砥粒5の付着に要する処理時間も確保できる。したがって、寸法的に短いメッキ槽であっても通過時間を長めてメッキ処理できるので、砥粒もワイヤー1a周面に均等に分布して付着させることができる。
前記ワイヤー1aをメッキ槽内で一対の回転ドラム27間をループ状に巻巡らせるに際し、ワイヤー1aには、前処理工程で表層にSnメッキ層(ベース層2)が施してあるので、ループ状にして巡回させるとき、そのベース層2と鍍着されるNiメッキ層4(3)とは、Snベース層のもつ濡れ性のよさによって容易にNiが鍍着されるが、回転ドラム27の案内溝に沿って巻き巡らされる時点で芯線1の変位に追従するベース層2に対して、二重に鍍着されるNiメッキ層3,4は膜厚も厚くなるとともにSnに比べて硬度が高いことから、湾曲する際硬度差で微値的なクラック7(図1参照)が多く生じやすくなる。ただ、この事象が生じてもベース層2とNiメッキ層3(4)とは一体的に付着して被膜層を形成するのに支障を与えることなく移動させることができる。もちろん、ワイヤー1aはSnによるベース層2で被覆されているので、メッキ液による浸食はない。
複合メッキ層25においてワイヤー1a周面に砥粒5が分布して付着されると、次の工程に移動する。仕上げメッキ槽26では、ワイヤー1aの表面にNiメッキが施される(ステップS6)。この工程でのNiメッキ層形成は、先のメッキ処理工程と同様に1対の回転ドラム27間に所定回数巻き掛けて砥粒5が付着されたワイヤー1aの表面にさらにNiメッキ処理を行う仕上げメッキ処理6で、砥粒5をより強固に付着固定させることができる。なお、この仕上げメッキ処理にあってNiメッキ層4で付着された砥粒5は保持されるが、先に発生したクラック7部分は縁が微値的に浮いた状態となって完全に被覆固定できないが、製品となって砥粒5が被切削物を切削する際に切削抵抗で尖端が傾くような挙動を容易にする。
こうしてワイヤー1aに砥粒5が付着固定された後は、次の処理工程水洗・脱脂処理29を行い(ステップS7)、かつ緩衝処理30させ(ステップS8)、その後にリール50に巻取られて製品(固定砥粒ワイヤーソー10)となる。
以上の説明において、メッキ槽にてメッキ槽本体の前後に配された補助槽内に回転ドラムを配置することにより、その回転ドラムが直接メッキ液に浸たされないから巻き掛けられるワイヤーの移動案内に支障を与えず円滑にワイヤーを案内させることができる。
得られた製品(固定砥粒ワイヤーソー10)は、別工程でワイヤー1a表面に固着されている砥粒5の尖端を研磨して覆っているNi被膜を剥がし、完成品となる。
本発明の固定砥粒ワイヤーソーの製造方法によれば、Niメッキ処理を行うメッキ槽をワイヤーの移動方向に短い寸法で構成できるので、メッキ処理設備全体の設置スペースを小さくすることが可能になり、ワイヤーのメッキ処理速度を低下させることなく目的を達成することができる。また、メッキ装置を小型化できることから使用するメッキ液の使用量も従来の設備に比べて削減でき、特に複合メッキ層では少ない容量のメッキ液内で砥粒を浮遊させるので、砥粒が槽底に滞積せず攪拌効果を高めてワイヤーへの付着効果を向上させることができるなど、製品作成の効率を高め、ランニングコストの低減を図ることができる。
しかも、得られるワイヤーソーは、芯線周面にSn単一のメッキ層が電着され、このSnメッキ層によって砥粒を定着させるためのNiメッキ層が密着形成されて砥粒を安定固着できるとともに、Niメッキ層に比べて軟質のSnベース層が、ワイヤーソーとして使用される際の砥粒に作用する切削抵抗を緩衝し、砥粒が固定層(Sn+Ni)によって保持され、脱落するのを防止し、切削効果を発揮することができるのである。したがって、砥粒の切れ味の高まりで被加工面の仕上がりが良好であるという効果も合わせ得られるのである。
以上の実施形態の説明においては、芯線にSnメッキによるベース層の形成工程から以後のNiメッキの工程まで一連にした設備について記載したが、芯線に対するSn単体のメッキ工程を別途に切り離して処理することもできる。この場合は一旦Snメッキしたワイヤーをリールに巻取り別設のNiメッキ処理の設備に供給するような方式を採用してもよい。このような方式であっても本発明に技術範囲に属することは言うまでもない。
1 芯線
1a ワイヤー(表面処理済み芯線)
2 Snメッキ層(ベース層)
3 Niメッキの下地層
4 Niメッキ層
5 砥粒
7 クラック
10 固定砥粒ワイヤーソー
22 Snメッキ槽
24 Niメッキの下地メッキ槽
24a,24b,25a,25b,26a,26b 補助槽
25 複合メッキ槽
25f 液の噴流管
26 仕上げメッキ槽
27 回転ドラム

Claims (4)

  1. 金属芯線の外周面に形成される金属皮膜により砥粒が固着された固定砥粒ワイヤーソーの製造方法であって、前記芯線はその外周面に電気メッキにてSnによるベース層を形成し、次いで所定の間隔で配置された一対の水平回転する回転ドラム間に前記芯線を複数回巻き巡らせてメッキ槽内を浸漬状態で循環移動させながら前記ベース層上にNiメッキによる被膜層を形成するとともに、Ni被膜処理された砥粒を前記Ni被膜層上に分布電着させ、さらに、仕上げ処理工程で前記電着砥粒を薄いNi被膜で定着させることを特徴とする固定砥粒ワイヤーソーの製造方法。
  2. 前記Niメッキ処理の工程メッキ槽は、複数の槽を直列に配置して、芯線の移動方向の槽の前後に付設した漏液を受ける補助槽を介して槽壁に設けたスリットを通じ、処理される芯線が槽間を引き上げて移動させることなく、前記各メッキ槽で前記一対の回転ドラムに複数回巻掛けて槽内を浸漬状態で順次移動させ、先に被覆されているSnのベース層上にNi被膜が形成されるようにする請求項1に記載の固定砥粒ワイヤーソーの製造方法。
  3. 前記Niメッキ槽の少なくとも1槽においては、被処理芯線の移動方向に対してメッキ槽本体の前後に補助槽を連結配置して、前記両補助槽内にそれぞれ配される前記回転ドラム間を、前記被処理芯線が複数回ループ状に巻掛けられてその巻掛け中間部がメッキ槽本体内を移動するようにし、前記メッキ槽本体内での被処理芯線の滞留時間を長めるようにして被膜形成処理する請求項1または2に記載の固定砥粒ワイヤーソーの製造方法。
  4. 前記被処理芯線に対する砥粒の付着工程では、槽内で被処理芯線の移動方向に沿ってメッキ液を攪拌し、被処理芯線に対するメッキ液中浮遊の砥粒の付着を促進させるようにする請求項1〜3のいずれかに記載の固定砥粒ワイヤーソーの製造方法。
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