JP2012079722A - Iii族窒化物半導体発光素子の製造方法 - Google Patents

Iii族窒化物半導体発光素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】凹凸加工されたサファイア基板を用いたIII 族窒化物半導体発光素子において、光取り出し効率をさらに向上させつつ、ピットの発生を抑制すること。
【解決手段】まず、c面を主面とするサファイア基板10表面に凹凸加工を施す。凹凸の深さは1.2〜2.5μm、凹凸側面の傾斜角度は40〜80°とする。次に、水素雰囲気中1000〜1200℃の温度で熱処理を行う。次に、サファイア基板10上に、AlNからなるバッファ層11を形成し、バッファ層11上に、埋め込み層12、n型層13、発光層14、p型層15を順に積層する。ここで、バッファ層11としてAlNを用いているため、凹凸の深さ1.2〜2.5μm、凹凸側面の傾斜角度が40〜80°の場合であっても、結晶にピットが発生せず、結晶方位のばらつきが小さい。
【選択図】図1

Description

本発明は、凹凸加工されたサファイア基板を用いて光取り出し効率を向上させたIII 族窒化物半導体発光素子の製造方法に関する。
近年、III 族窒化物半導体発光素子は一般照明用途に利用され始めており、光取り出し効率の改善が強く求められている。光取り出し効率を向上させる方法の1つとして、サファイア基板に凹凸加工を施す方法が知られている(特許文献1、2など)。凹凸を設けずに平坦とした場合、素子内部においてサファイア基板に水平な方向へ伝搬する光は、半導体層内に閉じ込められ、多重反射を繰り返すなどして減衰していたが、サファイア基板に凹凸を設けることでこの水平方向に伝搬する光を垂直な方向に反射・散乱させて外部に取り出すことができ、光取り出し効率を向上させることができる。
特開2003−318441 特開2007−19318
さらなる光取り出し効率の向上のためには、サファイア基板の凹凸の深さをより深くし、凹凸側面の傾斜角度(凹部側面ないし凸部側面がサファイア基板主面に対して成す角度)を40〜80°とすることが考えられる。しかし、このような凹凸加工では、半導体結晶にピットが発生してしまったり、結晶方位のばらつきが大きくなってしまう。
そこで本発明の目的は、凹凸加工基板を用いたIII 族窒化物半導体発光素子の製造方法において、さらなる光取り出し効率の向上を図るとともに、ピットの発生を抑制し、結晶方位のばらつきを小さくすることである。
第1の発明は、凹凸加工されたc面を主面とするサファイア基板上にバッファ層を介してIII 族窒化物半導体からなる積層構造を形成するIII 族窒化物半導体発光素子の製造方法において、サファイア基板の凹凸は、凹凸の深さを1.2〜2.5μm、凹凸側面の傾斜角度を40〜80°に形成し、バッファ層は、Alを含むIII 族窒化物半導体とする、ことを特徴とするIII 族窒化物半導体発光素子の製造方法である。
ここでIII 族窒化物半導体とは、一般式Alx Gay Inz N(x+y+z=1、0≦x、y、z≦1)で表される半導体であり、Al、Ga、Inの一部を他の第13族元素であるBやTlで置換したもの、Nの一部を他の第15族元素であるP、As、Sb、Biで置換したものをも含むものとする。より一般的には、Gaを少なくとも含むGaN、InGaN、AlGaN、AlGaInNを示す。n型不純物としてはSi、p型不純物としてはMgが通常用いられる。
サファイア基板に設けられる凹凸のパターンは、ドット状の凸部または凹部をマトリクス状など周期的に配列したパターンや、ストライプ状のパターンなどである。ドット状の凸部または凹部は、たとえば、角錐台、円錐台、角柱、円柱、角錐、円錐、半球状、などの形状である。凹凸の深さ(凹部の深さまたは凸部の高さ)を1.2〜2.5μmとするのは、1.2μmよりも浅いと光取り出し効率向上の効果が十分でなく、2.5μmよりも深いと凹凸を埋め込んで平坦化することが難しくなるためである。より望ましくは1.4〜2.0μmである。凹凸側面の傾斜角度(凹部の側面あるいは凸部の側面がサファイア基板主面に対して成す角度)を40〜80°とするのは、この範囲であればより光取り出し効率を向上させることができるためである。より光取り出し効率を向上させるためにさらに望ましいのは50〜70°である。
バッファ層は、Al組成比が高いほど結晶のピットの発生を抑制する効果が高く、結晶方位のばらつきが小さくなるため望ましい。特にAl組成比が50%以上のAlGaNとするのが望ましく、最も望ましいのはAlNとすることである。
サファイア基板に凹凸加工を施した後、バッファ層を形成する前に、水素を含む雰囲気中1000〜1200℃の温度で熱処理を行うことが望ましい。結晶成長の初期において凹凸側面に結晶核が発生するのを抑制し、結晶方位のばらつきを小さくすることができる。
第2の発明は、第1の発明において、バッファ層は、Al組成比が50%以上のAlGaNである、ことを特徴とするIII 族窒化物半導体発光素子の製造方法である。
第3の発明は、第2の発明において、バッファ層はAlNであることを特徴とするIII 族窒化物半導体発光素子の製造方法である。
第4の発明は、第1の発明から第3の発明において、凹凸の形成後、バッファ層の形成前に、水素雰囲気中1000〜1200℃の温度で熱処理を行うことを特徴とするIII 族窒化物半導体発光素子の製造方法である。
本発明によれば、サファイア基板の凹凸を、深さ1.2〜2.5μm、凹凸側面の傾斜角度40〜80°に形成して光取り出し効率の向上を図った場合であっても、結晶にピットが発生するのを抑制することができ、結晶方位のばらつきを抑制することができる。
実施例1のIII 族窒化物半導体発光素子の製造工程について示した図。 実施例1のIII 族窒化物半導体発光素子の構造について示した図。 結晶表面を撮影した写真。 結晶成長の様子を模式的に示した図。 XRC半値幅のサーマルクリーニング温度依存性を示したグラフ。
以下、本発明の具体的な実施例について図を参照に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
図2は、実施例1のIII 族窒化物半導体発光素子の構成を示した図である。実施例1のIII 族窒化物半導体発光素子は、凹凸加工されたサファイア基板10を用いることで、光取り出し効率を向上させた構造である。サファイア基板10は主面をc面とし、サファイア基板10上には、AlNからなるバッファ層11を介して埋め込み層12、n型層13、発光層14、p型層15が順に積層されている。サファイア基板10に設けられた凹凸は、高さ1.2〜2.5μmのドット状(正六角推台)の凸部19を、所定間隔で周期的に配列したパターンである。凸部19側面19aの、サファイア基板10の主面に対する傾斜角度θは、40〜80°である。この範囲であれば光取り出し効率をより向上させることができる。
バッファ層11は、AlNに限るものではなく、Alを含むIII 族窒化物半導体であればよい。しかし、Al組成比が高いほど結晶にピットが発生するのを抑制する効果が高く、結晶方位のばらつきを小さくすることができるため、Al組成比が50%以上のAlGaNを用いることが望ましい。最も望ましいのは、本実施例のようにAlNを用いることである。
サファイア基板10に設ける凹凸のパターンは、上記のようなドット状の凸部19を周期的に配列したパターンに限るものではなく、凹凸の深さ(凹部の深さまたは凸部の高さ)が1.2〜2.5μmであって、凹凸側面の傾斜角度(凹部側面ないし凸部側面がサファイア基板主面に対して成す角度)θが40〜80°であれば任意のパターンでよい。たとえば、ドット状の凹部を周期的に配列したパターンや、凹部または凸部をストライプ状に配列したパターンでもよい。また、必ずしも周期的なパターンである必要はない。ドット状の凸部または凹部は、角錐台、円錐台、角錐、円錐、半球状などである。ただし、半球状の場合、サファイア基板10に接続する部分の接線の角度が40〜80°とする。凹凸の深さを1.2〜2.5μmとするのは、凹凸の深さが1.2μmよりも小さいと、その凹凸による光取り出し効率向上効果が十分でなく、2.5μmよりも大きいと、凹凸を埋め込んで結晶表面を平坦化することが難しくなるためである。より望ましい凹凸の深さは、1.4〜2μmである。ドット状の凸部を周期的に配列したパターンや凸部をストライプ状に周期的に配列したパターンとする場合、凹凸の埋め込みを容易とするために凸部の間隔を2μm以上とすることが好ましく、光取り出し効率向上のために凸部の間隔を8μm以下とするのが好ましい。
埋め込み層12は、凹凸を埋め込んで結晶表面を平坦化するための層である。GaNからなる埋め込み層12を形成する場合、成長温度はn型層13の成長温度(1050〜1200℃)よりも30〜70℃低い温度がよい。ピットの発生を抑制することができる。また、埋め込み層12にSiをドープすることで、より凹凸の埋め込みが容易となる。
n型層13、発光層14、p型層15は、従来より知られる任意の構造でよい。たとえばn型層13は、埋め込み層12側から順に、GaNからなる高濃度にSiがドープされたn型コンタクト層、GaNからなるnクラッド層が順に積層された構造である。また、たとえば発光層14は、GaNからなる障壁層とInGaNからなる井戸層が繰り返し積層されたMQW構造である。また、たとえばp型層15は、発光層14側から順に、AlGaNからなるMgがドープされたpクラッド層、GaNからなるMgがドープされたpコンタクト層が積層された構造である。
p型層15上の一部領域には、ITOからなる透明電極16が形成されている。また、発光層14、p型層15の一部は除去されてn型層13が露出している。その露出したn型層13上にはn電極17、透明電極16上にはp電極18が形成されている。
次に、実施例1のIII 族窒化物半導体発光素子の製造工程について、図1を参照に説明する。
まず、フォトリソグラフィとドライエッチングによって、サファイア基板10表面に所定のパターンの凹凸加工を施す(図1(a))。凹凸は、上記のようにドット状の凸部19を周期的に配列したパターンであり、凸部19の高さは1.2〜2.5μm、凸部19側面19aの傾斜角度θは40〜80°である。凸部19の高さはエッチング時間によって制御することができ、凸部19側面19aの傾斜角度θは、レジストマスクの形状などによって制御可能である。
次に、水素雰囲気中1000〜1200℃の温度で熱処理を行い、サファイア基板10表面の不純物等を除去する。このサーマルクリーニングによって、後の埋め込み層12形成時に、成長初期において結晶成長核がに凸部19側面19aに発生するのを抑制することができる。
次に、凹凸加工されたサファイア基板10上に、その凹凸に沿って、AlNからなるバッファ層11を300〜600℃でMOCVD法によって形成する(図1(b))。
次に、バッファ層11上に、埋め込み層12をMOCVD法によって形成する。埋め込み層12の厚さは3〜6μmとし、凹凸を埋め込んで埋め込み層12の表面が平坦になるように形成する(図1(c))。ここで、バッファ層11としてAlNを用いているため、埋め込み層12の成長初期において、結晶核はサファイア基板10表面のc面にのみ発生し、c面ではない凸部19側面19aに結晶核が発生するのが抑制される。このバッファ層11としてAlNを用いたことと、バッファ層11形成前のサーマルクリーニングを行ったことによる凸部19側面19aでの結晶核発生を抑制する効果のため、側面19aの傾斜角度θが40〜80°の凸部19の高さを1.2〜2.5μmと高くし、凸部19側面19aの面積が広くなる場合であっても、埋め込み層12は結晶にピットが発生せず、結晶方位のばらつきが少ない高品質な結晶となる。
次に、埋め込み層12上に、続いてn型層13、発光層14、p型層15を順にMOCVD法によって形成し(図1(d))、p型層15上の一部領域にITOからなる透明電極16を形成する。そして、発光層14とp型層15を一部エッチングし、n型層13を露出させる。露出させたn型層13上にはn電極17、透明電極16上にはp電極18を形成する。以上により実施例1のIII 族窒化物半導体発光素子が製造される。
図3は、n型層13の表面を撮影した写真である。図3(a)は、実施例1において以下の条件で作製した場合(以下、実施例1の試料)のn型層13表面である。凸部19の高さを1.5μm、凸部19側面19aの傾斜角度θを60°とし、サーマルクリーニングの温度を1150℃、バッファ層11は380℃でAlNを60秒堆積、埋め込み層12は1125℃でSiをドープして成長させた。また、図3(b)は、バッファ層11として520℃でGaNを240秒堆積した以外は図3(a)と同様にして作製した場合(以下、比較例1の試料)のn型層13表面である。図3のように、バッファ層11としてGaNを用いた場合には結晶表面に大きなピットが多数生じてしまったのに対して、バッファ層11としてAlNを用いた場合には、ピットが全く生じていないことがわかる。
図4(a)は、バッファ層11としてAlNを用いた場合、図4(b)は、バッファ層11としてGaNを用いた場合の、結晶成長の様子を模式的に示した図である。図4(a)のように、バッファ層11としてAlNを用いた場合には、成長初期ではサファイア基板10のc面の領域にのみ選択的にGaNが成長し、c面ではない凸部19側面19aにはGaNが成長しない。そして、c面から成長したGaNのみによって埋め込み層12が形成されるため、面方位が均一で高品質な結晶となる。一方、図4(b)のように、バッファ層11としてGaNを用いた場合には、サファイア基板10のc面の領域だけでなく、凸部19側面19aにもGaNが成長する。この凸部19側面19aから成長したGaNは多結晶となってしまったり、c面から成長したGaNとは面方位が異なるため、埋め込み層12は多結晶や面方位が異なる結晶が混在した品質の低い結晶となる。
図5(a)は、(0002)面XRC(X線ロッキングカーブ)の半値幅、図5(b)は、(10−10)面XRCの半値幅のサーマルクリーニング温度依存性を示したグラフである。測定に用いた試料は、実施例1、比較例1の試料のほか、サファイア基板10に凹凸加工をせずにバッファ層11とGaNを用いた以外は同様にして作製した試料(比較例2の試料)、凸部19の高さを0.7μm、側面の傾斜角度を75°とし、バッファ層11としてGaNを用い、それ以外は同様にして作製した試料(比較例3の試料)である。
図5(a)、(b)のように、バッファ層11としてAlNを用いた場合には、XRCの半値幅にサーマルクリーニング温度の依存性はほとんど見られないことがわかる。また、サーマルクリーニング温度によらずピットは発生しなかった。一方、バッファ層11としてGaNを用いた場合には、比較例2、3ではXRCの半値幅にサーマルクリーニング温度の依存性はほとんど見られなかったが、サーマルクリーニング温度が1125℃よりも高いとピットの発生が見られた。また、比較例1では、サーマルクリーニング温度が1100℃以下ではXRC半値幅が増大し、結晶性が悪化してしまうことがわかる。また、比較例1では、サーマルクリーニング温度が1125℃よりも高いとピットの発生が見られた。このように、比較例1のように凸部19を高くしてしまうと、バッファ層11としてGaNを用いている場合には、ピットの発生の抑制と、結晶性の改善とを、サーマルクリーニング温度による制御で両立させることが困難となっている。これに対し、実施例1のようにバッファ層11としてAlNを用いている場合には、凸部19が高くとも、ピットの発生の抑制と、結晶性の改善とを両立させることが可能となっている。
また、図5から、バッファ層11のAl組成比が高いほど、サーマルクリーニング温度低下によるXRC半値幅の増加割合は小さくなっていくものと推察される。したがって、バッファ層11にAlN以外を用いる場合には、Al組成比がなるべく高いIII 族窒化物半導体を用いるのがよく、特にAl組成比が50%以上のAlGaNが望ましいと考えられる。
なお、実施例1のIII 族窒化物半導体発光素子はフェイスアップ型であるが、本発明はフリップチップ型にも採用することができる。
本発明のIII 族窒化物半導体発光素子は、照明装置などに用いることができる。
10:サファイア基板
11:バッファ層
12:埋め込み層
13:n型層
14:発光層
15:p型層
16:透明電極
17:n電極
18:p電極
19:凸部

Claims (4)

  1. 凹凸加工されたc面を主面とするサファイア基板上にバッファ層を介してIII 族窒化物半導体からなる積層構造を形成するIII 族窒化物半導体発光素子の製造方法において、
    前記サファイア基板の前記凹凸は、凹凸の深さを1.2〜2.5μm、凹凸側面の傾斜角度を40〜80°に形成し、
    前記バッファ層は、Alを含むIII 族窒化物半導体とする、
    ことを特徴とするIII 族窒化物半導体発光素子の製造方法。
  2. 前記バッファ層は、Al組成比が50%以上のAlGaNである、ことを特徴とする請求項1に記載のIII 族窒化物半導体発光素子の製造方法。
  3. 前記バッファ層は、AlNである、ことを特徴とする請求項2に記載のIII 族窒化物半導体発光素子の製造方法。
  4. 前記凹凸の形成後、前記バッファ層の形成前に、水素を含む雰囲気中1000〜1200℃の温度で熱処理を行うことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のIII 族窒化物半導体発光素子の製造方法。
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