JP2012075574A - 自動腹膜透析装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電磁開閉弁としてのバルブの可動鉄心のメンテナンス作業を軽減して、エアリークが発生するのを防ぐことができる自動腹膜透析装置を提供する。
【解決手段】腹膜透析液を送液するポンプ103を有するカセット100と、カセット100を挿入方向SSに沿って着脱可能に装着させるカセット装着部20と、を有する自動腹膜透析装置1は、固定鉄心601と、ポンプ103を往復動作させるために陽圧と陰圧を切り換えてポンプ103側に供給するために固定鉄心601に対して往復移動する可動鉄心602と、を有するバルブ454を備え、バルブ454の可動鉄心602には、グリス650が塗布されている。
【選択図】図19

Description

本発明は、自動腹膜透析装置に関する。カセットのポンプ部であるダイアフラムを加圧・減圧して、腹膜透析液を患者の腹腔に注入し、患者の腹腔から腹膜透析液を排液する自動腹膜透析装置に関する。
例えば、腎臓の機能の低下により血液透析を受ける必要がある患者は、週に3,4回通院して、血液透析装置により4,5時間も拘束されながら血液透析を受けている。
これに対して、患者の利便性の観点から自動腹膜透析装置を患者の自宅に配置して、患者自らが操作して腹膜透析を行う自動腹膜透析装置が利用されつつある(特許文献1を参照)。
このような自動腹膜透析装置では、患者の病気の程度や進行状態を医師が診察し、その診察結果である処方に基づいた透析内容としなければならない。
そこで、病院では、医師が処方内容を記載した書面を患者に渡し、患者は自宅に帰って、自宅に備えてある自動腹膜透析装置に対して処方どおりの内容を設定し、透析を受けるようにしている。
従来の自動腹膜透析装置では、その主要な動作部として、腹膜透析液バッグからの送液のためのチューブや、クランプ等送液の切換部、および送液の駆動力を与えるためのダイヤフラムポンプ、腹膜透析液の加温部などをひとまとめにセットし、チューブ一式を付帯するカセット及びチューブ一式を用いている。
このカセットは、使用する毎に取替えられ、使用済みのカセット体及びチューブ一式は廃棄されていた。このような自動腹膜透析装置を用いての透析治療は、患者の腹腔内に透析液を所定量注液し、腹腔内に所定時間貯留して、腹膜を介して透析処理を受け、その後腹腔から排液を行うようにしており、この透析液の注液、貯留、排液により1サイクルの腹膜透析処理としている。
特許第3113886号公報
ところで、自動腹膜透析装置は、空気圧の加減圧を発生させる空気圧回路を備えており、空気圧回路には陽圧と陰圧を切り換えるための電磁開閉弁としてのバルブを有している。このバルブは、患者が腹膜透析を行う際に、患者の腹腔内に透析液を所定量注液し、腹腔内に所定時間貯留して、その後腹腔から排液を行うために、陽圧と陰圧を交互に、例えばダイヤフラムで供給するようになっている。
しかし、この種のバルブは、固定鉄心と可動鉄心を有しており、可動鉄心側には所定ストローク分往復移動する際に可動鉄心の周囲からエアリークが生じないように劣化対策をするために、可動鉄心にはタービン油が塗布されている。しかし、タービン油は、バルブ内が陰圧になると、可動鉄心に塗布されているタービン油が、この陰圧によりバルブ内から引かれて可動鉄心から除去されてしまう。
このため、バルブの可動鉄心からエアリークが生じるので、可動鉄心にタービン油を塗布するか、タービン油を塗布した可動鉄心に取り換えるメンテナンス作業が必要になってしまう。もし、可動鉄心のメンテナンス作業を行わないと、可動鉄心が往復移動することで磨耗して、エアリークが発生してしまい、陽圧と陰圧の所定通りに供給ができなくなってしまう。
そこで、本発明は、電磁開閉弁としてのバルブの可動鉄心のメンテナンス作業を軽減して、エアリークが発生するのを防ぐことができ、カセットのポンプ部であるダイアフラムを所定通りに加圧・減圧して、透析液を腹腔MMB側に所定の流速(mL/h)で送液したり、いったん腹腔MMBに貯留された透析液を腹腔MMB側から所定の流速(mL/h)で排液することができる自動腹膜透析装置を提供することを目的とする。
本発明の自動腹膜透析装置は、腹膜透析液を送液するポンプと前記腹膜透析液を加温する加温部と透析液流路を有するカセットと、前記カセットを挿入方向に沿って着脱可能に装着させるカセット装着部と、を有する自動腹膜透析装置であって、固定鉄心と、前記ポンプを往復動作させるために陽圧と陰圧を切り換えて前記ポンプ側に供給するために前記固定鉄心に対して往復移動する可動鉄心と、を有するバルブを備え、前記バルブの前記可動鉄心には、グリスが塗布されていることを特徴とする。
上記構成によれば、グリスは、タービン油に比べて粘性が高いので、陰圧に引かれて可動鉄心〜取れてしまうことがなく、電磁開閉弁としてのバルブの可動鉄心のメンテナンス作業を軽減して、エアリークが発生するのを防ぐことができる。
好ましくは、前記グリスの塗布の範囲は、前記固定鉄心に対面する側の磁極面から2mmプラスマイナス1mmであることを特徴とする。
上記構成によれば、グリスの塗布の範囲が、固定鉄心に対面する側の磁極面から1mmよりも狭いと、エアーが漏れやすくなり、3mmよりも広いとコスト高になってしまうので好ましくはない。
好ましくは、前記グリスは、前記フッ素グリスであることを特徴とする。
上記構成によれば、フッ素グリスは、タービン油に比べて陰圧により引かれることが無い。
好ましくは、前記バルブを含む加減圧回路には、ポンプ駆動部を有し、前記ポンプ駆動部の空気出口には、異物を除去するフィルタが配置されていることを特徴とする。
上記構成によれば、加減圧回路のポンプ駆動部から発生する異物が加減圧回路中に回ることが無く、加減圧回路のつまりを防止できる。
本発明は、電磁開閉弁としてのバルブの可動鉄心のメンテナンス作業を軽減して、エアリークが発生するのを防ぐことができる自動腹膜透析装置を提供することができる。
本発明の自動腹膜透析装置の好ましい実施形態のカセット装着部の蓋部材を閉じた状態を示す斜視図。 本発明の自動腹膜透析装置の好ましい実施形態のカセット装着部の蓋部材を開いた状態を示す斜視図。 下筐体部とカセットの好ましい例を示す斜視図。 図2と図3に示す下筐体部の一部を拡大して示す斜視図。 図2に示すカセット装着部の構造を拡大して示す斜視図。 カセット装着部の構造を別の角度から見た斜視図。 カセット装着部の構造例を示す中間部を省略した正面図。 第1ラッチと第2ラッチの形状例を示す図。 第1ラッチと第2ラッチの動作機構部の構造例と動作を示す図。 カセットの上面図。 カセットの背面図。 カセットの内部構造を示す斜視図。 自動腹膜透析装置の機能を示すブロック図。 自動腹膜透析装置の電気的な接続例を示すブロック図。 図15は、本発明の実施形態の自動腹膜透析装置に設けられたカセット装着部を示す正面図。 カセットがカセット装着部内に装着される様子を示す斜視図。 カセットの一方のフィルム状の加温部と他方のフィルム状の加温部の構造例と、カセット使用済検出部を示す図。 自動腹膜透析装置の空気圧回路を示す図。 図18のバルブの構造例を示す断面図。 フィルタの構造例を示す図。 開始スイッチと停止スイッチを示す斜視図。 図21のA−A線おける開始スイッチと停止スイッチの断面図。 開始スイッチと停止スイッチの組み立て例を示す図。 開始スイッチと停止スイッチにおいて設定されている隙間寸法と、クリック感との関係例を示す図。
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
図1と図2は、本発明の自動腹膜透析装置の好ましい実施形態を示す斜視図であり、図1は、自動腹膜透析装置のカセット装着部の蓋部材を閉じた状態を示し、図2は、自動腹膜透析装置のカセット装着部の蓋部材を開けた状態を示す斜視図である。図3は、下筐体部3と、カセット100の好ましい例を示す斜視図である。
図1と図2に示す自動腹膜透析装置1は、上筐体部2と下筐体部3を有していて、カセット100を未装着の場合に重量が9kgの軽量である。上筐体部2と下筐体部3は、それぞれ例えばプラスチックにより作られている箱型の部材である。上筐体部2は、前面部4と、上面部5と、左右の側面部6,7と、背面部8を有し、下筐体部3の上部を覆っている。前面部4は、透析患者の使用を考慮して、表示部10が見やすいようにするためと、開始スイッチ11と停止スイッチ12が操作し易いように、角度θで斜めに傾斜して形成されている。前面部4の中間部分には、表示部10が配置されている。透析患者は、この自動腹膜透析装置1を使用する者の例である。
この表示部10は、透析患者等のユーザに情報を視覚的に報知したり必要な透析条件を入力したり、確認するためのものであり、例えば、自動腹膜透析装置1の動作状態を報知したり、各種腹膜透析条件を入力するタッチパネル式の設定入力部としても作用する。ここで、動作状態とは、例えば、腹腔に腹膜透析液を注入する注入処理や、逆に腹腔から腹膜透析液を排液する排液処理の実施中の様子や、透析処理の終了などの状態を意味する。
表示部10は、例えば透析患者が指でタッチ操作して各種の操作が可能な液晶表示装置や有機EL表示装置等を採用でき、表示部10の画面上には、例えば比較的サイズの大きく操作し易い複数のタッチ操作式のアイコン10A〜10Fが設けられている。アイコン10Aは例えば操作を前の状態に戻すための「戻る」アイコン10Aや、「確認」アイコン10B、透析条件設定用のアイコン10C〜10F等が設けられている。これらのアイコンの大きさや数は、任意に設定できる。
図1と図2に示す前面部4は傾斜部分4A〜4Dを有し、傾斜部分4A〜4Dは表意部10の周囲に形成されている。従って、表示部10は、前面部4の表面からやや窪んだ位置に配置されている。図1と図2の例では、上側の傾斜部分4Aには、アイコン10D〜10Fに対応する位置に、指標突起部9D〜9Fが形成されている。同様にして、下側の傾斜部分4Cには、アイコンでありタッチパネル機能を有する10A〜10Cに対応する位置に、指標突起部9A〜9Cが形成されている。これらの指標突起部9A〜9Fは、アイコン10A〜10Fがそれぞれ表示部10の画面上のどの位置にあるかを示すもので、例えば透析患者が弱視や目が見えない状態であっても、透析患者はこれらの指標突起部9A〜9Fに触れることで、表示部10の画面上のアイコン10A〜10Fの位置を確認できるようになっている。
なお、図1と図2に示す指標突起部9A〜9Fは、例えば直方体形状の突起であるが、これに限らず他の形状を採用しても良い。また、指標突起部9A〜9Fは、このような単純な形状に代えて、各アイコン10A〜10Fの内容を示す「点字」を採用しても良い。
図1と図2に示すように、前面部4には、表示部10の(向かって)右の位置に、開始スイッチ11が配置され、表示部10の(向かって)左の位置に、停止スイッチ12が配置されている。これらの開始スイッチ11と停止スイッチ12は、特に重要なスイッチであるので、表示部10の画面には設けずに、後で説明するように、透析患者が直接機械的に操作してクリック感を感じ取ることができるように、別途大きいサイズに形成している。開始スイッチ11はパイロットランプ11Lを有し、停止スイッチ12はパイロットランプ12Lを有している。
図2に示す下筐体部3は、図3に示す平板状のカセット100を手動で着脱自在に装着できるカセット装着部20を備えている。下筐体部3は、左側面部22と、右側面部23と、背面部24と、底面部25を有する。カセット装着部20は、前面側にはほぼ長方形状の開閉可能な蓋部材21を有している。この蓋部材21は、両側のヒンジ26を用いてR方向に開閉することで、カセット装着部20を露出させることができる。図3に示すカセット100の詳しい構造は、後で説明する。
図4は、図2に示す下筐体部3の部分3Pを拡大して示す斜視図である。
図4に示すように、長方形の開口部27が、下筐体部3の右側面部23において、上筐体部2の右側面部7の下端部の位置に、奥行き方向Yに沿って形成されている。図2に示すようにカセット100がカセット装着部20内に装着されていない時には、この開口部27は、図2と図3の状態ではシャッタ28により閉鎖されている。このシャッタ28は、奥行き方向Yに沿ってスライド可能に、右側面部23の内側に保持されており、図4に例示するように、例えば指Fにより図示しないスプリングの力に抗してY1方向にスライドして後退させて、開口部27を形成できる。しかし、実際カセット100をカセット装着部20内に装着する時に、このシャッタ28は、図3に示すカセット100の延長部109,113に端部により図4のY1方向に押されることで、Y1方向にスライドして後退させて、開口部27を形成させるようになっている。
図4と図3に示すように、このシャッタ28は突き当て面部28Aを有し、この突き当て面部28Aは、図5に示すように幅方向XのX1方向に沿ってカセット挿入用の空間部SP内へ突出して、突き当て面部28Aは、右側面部23にほぼ直角に設けられ、カセット挿入用の空間部SPの右側部分であるシャッタ28寄りの位置PRを視覚的に覆っている。
このようにシャッタ28がシャッタ28寄りの位置PRを視覚的に覆う突き当て面部28Aを備えることで、図3と図5に例示するように、透析患者がカセット100を挿入方向SSに沿ってカセット装着部20のカセット挿入用の空間部SP内に装着しようとする際に、突き当て面部28Aの存在により、透析患者がカセット100をカセット挿入用の空間部SPの右側部分であるシャッタ28寄りの位置、すなわち図3と図4に示す予め予定されていない右側寄りの位置PR、すなわち意図しない右側寄りの位置PRへ挿入しないように、視覚的に防ぐことができるメリットがある。
次に、カセット装着部20の構造例を、図2〜図6を参照して説明する。
図5は、図2に示すカセット装着部20の構造を拡大して示す斜視図であり、図6は、このカセット装着部20の構造を別の角度から見た斜視図である。図7は、カセット装着部20の構造を示す正面図である。
図2と図6に示すように、蓋部材21をR方向に開閉するために、蓋部材21は切欠き状の手掛け部分29を有している。
図3と図5及び図6に示すように、カセット装着部20は、カセット挿入用の空間部SP内に、図3に示す構造のカセット100をスムーズに挿入して予め定めた意図するセット位置に固定する機能を有している。
図5と図6に示すように、カセット装着部20は、本体30と、第1ラッチ31と、第2ラッチ32と、シェード33を有している。本体30とシェード33は例えば金属製の部材であり、本体3は板状の金属板を曲げて形成した部材である。第1ラッチ31と第2ラッチ32は、例えばプラスチック製であり、これらの第1ラッチ31と第2ラッチ32は図3に示すプラスチック製のカセット100に直接接触してカセット100の動きをガイドする機能を有しているので、カセット100側に傷を付けないようにするために、プラスチックにより作られている。
図5と図6に示すように、第1ラッチ31は、本体30の左端部位置に配置され、第1ラッチ31は、本体30の上部穴部30GからZ1方向に突出するようにしている。また、第2ラッチ32は、本体30の右端部位置に配置され、第2ラッチ32は、本体30の上部穴部30HからZ1方向に突出している。本体30におけるこれらの左右の上部孔部30G、30Hの間の部分は、図3に示すカセット100の底面部を案内するための案内平面部34となっている。本体30の左側の前面には、操作部材としての操作ツマミ35が突出して設けられている。
ここで、図7と図8を参照して、第1ラッチ31と第2ラッチ32の形状例を説明する。図7は、カセット装着部20の構造例を示す中間部を省略した正面図であり、図8は、第1ラッチ31と第2ラッチ32の形状例を示す図である。
図8(A)と図7において実線で示す第1ラッチ31は、本体30の左端部に位置し、図8(A)に示すように、ラッチ部材41と、連結部43を有する。ラッチ部材41は、ほぼ山形に形成されており、天頂部41Aと左右の斜面部41B、41Cと正面部41Dと背面部41Eを有する。左右の斜面部41B、41Cは、例えば45度の角度θ1で傾斜している。
斜面部41Cは、後で説明するカセット100のガイド対象部分が案内されるようになっている。
正面部41Dは、図3のカセット100が挿入方向SS(Y1方向に平行)に挿入し易いように、図7に示すように傾斜角度θ3により傾斜して形成されている。図8(A)に示す連結部43は、金属の連結軸45に連結されている。
図8(B)と図7において実線で示す第2ラッチ32は、本体30の右端部に位置し、図8(B)に示すように、ラッチ部材42と、連結部44を有する。ラッチ部材42は、第1凸部46と第2凸部47と谷部48を有している。第1凸部46は、天頂部46Aと左右の斜面部46B、46Cと正面部46Dと背面部46Eを有する。第2凸部47は、天頂部47Aと、カセット側の壁部または枠部に対して外側から当接する当接部としてのほぼ垂直な起立部斜面部47Bと、傾斜面47Cとを備え、さらに正面部47Dと背面部47Eを有する。
斜面部46Cと起立部47Bは、凹状の谷部48を形成しており、この谷部48には、後で説明するカセット100のガイド対象部分が案内されるようになっている。
正面部46D、47Dは、図3のカセット100が挿入方向SS(Y1方向に平行)に挿入し易いように、図7に示すようにそれぞれ傾斜角度θ5、θ6により傾斜して形成されている。図8(B)に示す連結部44は、金属の連結軸45に連結されている。
このように、第1ラッチ31の正面部41Dと、第2ラッチ32の正面部46D、47Dは、カセット100をカセット装着部20に挿入する際に、カセット100の枠部の挿入先端部を押し当てて第1ラッチ31と第2ラッチ32を押し下げる動作を容易に行うことができるように形成されており、図7に示す傾斜角度θ3、θ5、θ6は同じ角度であり、これらの角度の始まり位置は、ラインBLからスタートしている。
図9は、第1ラッチ31と第2ラッチ32の動作機構部50の構造例と動作を示している。図9を参照して、第1ラッチ31と第2ラッチ32の動作機構部50の構造を説明する。
図9に示す動作機構部50は、操作ツマミ35と、スライド部材51と、連結軸45と、スプリング52と、ガイド板53を有する。操作ツマミ35はスライド部材51の一端部に固定され、スプリング52はスライド部材51の他端部に配置されている。連結軸45は、図7と図8に示すように、第1ラッチ31と第2ラッチ32を連結しており、連結軸45にはスライド部材51の中間位置に連結する連結部材54を有している。連結部材54は、スライド部材51の固定部材55に連結されている。スライド部材51は、カセット100の挿入方向SS(Y1方向)に平行に配置されている。ガイド板53は、カセット100を乗せた状態で、挿入方向SS(Y1方向)にガイドする水平のカセット搭載部材である。
図9(A)に示す状態では、新しいカセット100が挿入される前の状態であり、第1ラッチ31と第2ラッチ32はガイド板53と本体30の位置よりもZ1方向に突出している。
図9(B)に示す状態では、透析患者がカセット100をガイド板53側に向けて挿入方向SSに押し込むことで、第1ラッチ31と第2ラッチ32は、カセット100の挿入先端部100Mと底部により押されて連結軸45を回転中心としてZ2方向に、スプリング52の力に抗して押し下げられる。
そして、図9(C)に示すように、カセット100が挿入されてガイド板53の上に完全に乗ると、第1ラッチ31と第2ラッチ32がカセット100の底部から開放されて、スプリング52の力によりZ1方向に押し上げられることにより、カセット100の挿入後端部100Nが第1ラッチ31と第2ラッチ32により当接されて、カセット100が挿入方向SSとは反対の方向に戻らないようにしている。
次に、図9(D)に示す状態では、透析患者が操作ツマミ35をY1方向に押しながら、使用済みのカセット100を取り外し方向SSRに取り外そうとすると、第1ラッチ31と第2ラッチ32を、スプリング52の力に抗して強制的に押し下げられる。このため、この使用済みのカセット100は、第1ラッチ31と第2ラッチ32の存在に邪魔されずに、図9(E)に示すようにカセット装着部20内のガイド板53上から取り外すことができるようになっている。この場合には、操作ツマミ35の位置は、スプリング52の力により、Y2方向に戻り、図9(A)に示す初期状態に戻すことができる。
次に、図10〜図12を参照して、カセット100の構造例を説明する。
図10は、カセット100の上面図であり、図11は、カセット100の背面図である。図12は、カセット100の内部構造を示す斜視図である。なお、図12では、第1筐体部101は全体を図示しているが、第2筐体部102は紙面の都合上、下部しか図示していない。
図10に示すように、カセット100は、プラスチック製の第1筐体部101と第2筐体部102と、ポンプ部103と、加温部104A,104Bと、チューブ流路の切換部105とを有している。
図11と図12に示すように、第1筐体部101は、パネル部106と枠部107と開口部108と延長部109を有している。同様にして、図10に示すように、第2筐体部102は、パネル部110と枠部111と開口部112と延長部113を有している。パネル部106とパネル部110は重なり合う部分であり、枠部107と枠部111は重なり合う部分であり、延長部109と延長部113は重なり合う部分である。
枠部107は、図3で説明したカセット100がカセット装着部20内に挿入される際には、下向きに突出する垂下された壁部107Aとなる。
図10に示すように、第1筐体部101と第2筐体部102は、4か所の連結部分114と、3か所の連結部分115により、着脱可能に相互に固定でき、第1筐体部101と第2筐体部102は、必要に応じて繰り返して再利用可能である。4か所の連結部分114は、枠部107と枠部111に設けられ、3か所の連結部分115は、カセット100の挿入後端部100N側に設けられている。
図11と図12に示す3か所の連結部分115は、図12に示すようにはめ込み突起115Aとはめ込み凹部115Bを有しており、第2筐体部102側にははめ込み突起115Aが形成され、第1筐体部101側にははめ込み凹部115Bが形成され、はめ込み突起115Aがはめ込み凹部115Bに対して着脱可能にはめ込まれるようになっている。
また、図10に示す4か所の連結部分114は、はめ込み突起114Aとはめ込み凹部114Bを有しており、第2筐体部102側にははめ込み突起114Aが形成され、第1体部101にははめ込み凹部114Bが形成され、はめ込み突起114Aがはめ込み凹部114Bに対して着脱可能にはめ込まれるようになっている。
図12に示すように、ポンプ部103が、第1筐体部101のパネル部106と、第2筐体部102のパネル部110との間に、挟まれるようにして固定されている。ポンプ部103は、後述するように腹膜透析液を送液するための駆動力を発揮するもので、後述するようにダイヤフラムポンプや間欠ポンプ等が使用される。ダイヤフラムポンプとは、フランジ部材により密閉状態で収容され、空気圧で加圧又は減圧される構造のものを指す。これにより、ダイヤフラムポンプは、腹膜透析液を送液するために、加圧すると収縮し、減圧すると膨張する。
図12に示すように、チューブ流路の切換部105は、第1筐体部101のパネル部106と、第2筐体部102のパネル部110との間であって、ポンプ部103の横の位置に、挟まれるようにして固定されている。
チューブ流路の切換部105は、カセット100内に配置された透析液流路の途中部分を、図1に示す自動腹膜透析装置1の上筐体部2内に配置されたクランプにより押さえることにより、腹膜透析液の流路を切替えて、注液処理用又は排液処理用の流路を切替える。その内容については後で詳しく説明する。
上述したポンプ部103と、透析液流路やチューブ等の構成材料としては、それぞれ、軟質の樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリ−(4−メチルペンテンー1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の各種熱可塑性エラストマー、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば2層以上の積層体として)用いることができる。
図12に示すチューブ流路の切換部105は、フィルム状に薄く形成され、流路105A〜105Gを有している。一方と他方の透析液の加温部104A,104Bは、フィルム状に形成され、開口部108,112内において着脱可能に配置されている。一方と他方の透析液の加温部104A,104Bには、それぞれ透析液を通すための流路120がほぼS字型に連続して形成されている。
図11に示すように、一方のフィルム状の加温部104Aは、第1筐体部101の枠部107の複数の突起107N、107Mを用いて、開口部108に対応して着脱可能に保持されている。同様にして、図10に示すように、他方のフィルム状の加温部104Bは、第2筐体部102の枠部111の複数の突起111N、111Mを用いて、開口部112に対応して着脱可能に保持されている。
一方と他方の加温部104A,104Bは、互いに重ねるようにして開口部108,112内において固定されて、一方と他方の加温部104A,104Bの流路120内を通る腹膜透析液は、後で説明する電気ヒータと伝熱部材(例えばアルミニウム部材)を用いて加温できるようになっている。ヒータは、注液処理用の流路120を挟み込むように上面ヒータ及び下面ヒータを含むことで、効率的に患者の腹腔の温度に透析液を加温することができる。
図12に示すように、一方の加温部104Aの注入液処理用の流路120は、接続部120R,120Tを有し、他方の加温部104Bの排液処理用の流路120は、接続部120F,102Vを有している。接続部120Fと接続部120Tは、パイプ120Kにより接続されている。接続部120Rは、流路105F、105Gに接続されている。接続部120Vは、流路105E,105Gに接続されている。流路105A〜105Dは、流路105G、105Eに接続されている。各流路105A〜105Dは、チューブ131〜134にそれぞれ接続されている。また流路105Gはポンプ部103に接続されている。
その他に、図10に示すように、第2筐体部102のパネル部110には、複数の開口105Sと溝部120Cが形成されている、図1に示す上筐体部2の内部の下部には、複数のクランプ部材(図示せず)が設けられており、これらのクランプ部材は、開口105Sや溝部120Cを通じて対応する流路105A〜105Dを適宜押すことで、腹膜透析液が通る流路の切り換えが行える。
チューブ131〜134が接続される接続対象例を、図10を参照して説明すると、例えば、チューブ131は、透析患者MMの腹腔MMRに対して接続され、透析患者MMの腹腔MMRに対して腹膜透析液を注液したり、透析患者MMの腹腔MMRから腹膜透析液を排液するのに用いられる。チューブ132は、腹膜透析液の追加注液用の注液バッグ138に接続され、チューブ133は、複数の腹膜透析液の注液用の注液バッグ139に接続されている。チューブ134は、排液タンク140に接続されている。
次に、図13と図14を参照して、図1と図2に示す自動腹膜透析装置1の機能ブロックを説明する。図13は、自動腹膜透析装置1の機能を示すブロック図であり、図14は、自動腹膜透析装置1の電気的な接続例を示すブロック図である。
図13を参照すると、自動腹膜透析装置1は、マイクロコンピュータなどのCPU(中央処理装置)とCPUにより実行される装置全体の制御プログラムや各種データを記憶するROMとワークエリアとして測定データや各種データを一時的に記憶するRAMなどを備えるCPUのような制御部200と、ポンプ駆動部201と、クランプ制御部202と、加温制御部203と、クランプ部204を有している。
カセット100は、自動腹膜透析装置1のカセット装着部20(図2を参照)内に着脱可能に装着されるのであるが、カセット100内には、既に図10〜図12を参照して説明したように、チューブ流路の切換部105と、ポンプ部103と、注液の加温部104A,104Bを内蔵している。
自動腹膜透析装置1に設けられたクランプ部204は、カセット100側のチューブ流路の切換部105に配置されている各チューブ131〜134の流路105A〜105D(図12を参照)を選択的に押さえることで、透析液の流れる流路を切り換えることができるので、透析液を腹腔MMB側に所定の流速(mL/h)で送液したり、いったん腹腔MMBに貯留された透析液を腹腔MMB側から所定の流速(mL/h)で排液することになる。
カセット100がカセット装着部20内に装着されると、ポンプ駆動部201は、制御部200の指令によりポンプ部103の動作を制御し、クランプ制御部202は、制御部200の指令によりクランプ部204の各クランプ部材の動作を制御し、加温制御部203は、制御部200の指令により注液の加温部104A,104Bの動作を制御するようになっている。
さらに、図14を参照すると、制御部200は、操作部210と、表示部10と、ポンプ制御部201と、クランプ制御部202と、加温制御部203と、記録部211と、カセット使用済検出部220に電気的に接続され、これらの各要素は、電源回路部213から電源供給を受ける。操作部210は、例えば図1と図2に示す開始スイッチ11と停止スイッチ12等を含む操作スイッチを含んでおり、記録部211は、透析患者に関する情報や透析動作の情報等を記録するメモリである。カセット使用済検出部220については、後で説明する。
ここで、図15を参照して、本発明の実施形態の自動腹膜透析装置1に設けられたカセット装着部20の構造を、説明する。
図15に示す本発明の実施形態におけるカセット装着部20は、図5〜図7を参照して説明したカセット装着部20の構造を正面から示している。この構造は自動腹膜装置の筐体に形成されており、カセット装着部に装着させる際にカセットの第1端部側の壁部17Aよりも内側に配置され、該壁部107Aに対して内側から弾性的に当接する当接部としての傾斜面41Bを有する第1ラッチ31と、カセット装着部に装着させる際にカセットの第2端部側の壁部107Aよりも内側に配置され、該壁部107Aに対して外側から弾性的に当接する当接部としての起立部47Bを有する第2ラッチ32とを有している。
本発明の実施形態の第1ラッチ31と第2ラッチ32を用いることにより、次のようなメリットがある。
図15に示す本発明の実施形態では、カセット100が挿入方向SS(図15の紙面垂直下方向)に沿ってカセット装着部20内に挿入される際には、第1ラッチ31の当接部である外側の斜面部41Bはカセット100の枠部107の壁部17A、すなわち、第1端部側の内側部分99Dを接触させることで、カセット100を挿入方向SSに沿ってカセット装着部20内にガイドできる。これと同時に、第2ラッチ32の凹部である谷部48内には、カセット100の枠部107の第2端部側の内側部分99Fをはめ込んだ状態で、当接部である起立部47Bが壁部107A当接することで、カセット100を水平方向の弾性的に保持し、カセット100を挿入方向SSに沿ってカセット装着部20内にガイドできる。
このため、透析患者はカセット100の挿入後端部を挿入方向SSに押すだけで、カセット100は左右方向や上方向にずれることなく、スムーズに挿入方向SSに沿ってカセット装着部20内に装着できる。
しかも、図7に比較して示すように、本発明の実施形態の第1ラッチ31の正面部41Dの傾斜角度θ3は、比較例の一方のラッチ531の正面部531Dの傾斜角度θ2に比べて小さく設定されている。同様にして、本発明の実施形態の第2ラッチ32の正面部46Dの傾斜角度θ5と正面部47Dの傾斜角度θ6は、比較例の他方のラッチ532の正面部532Dの傾斜角度θ4に比べて小さく設定されている。
これにより、本発明の実施形態の第1ラッチ31と第2ラッチ32を用いる方が、比較例の一方のラッチ531と他方のラッチ532を用いるのに比べて、図15においてカセット100を挿入方向SS(紙面垂直下方向)に沿ってカセット装着部20内に装着する場合に、カセット100自体が上方向に持ち上がることなく、カセット100の挿入先端部100Mはより容易に挿入できる。
以上のことから、本発明の実施形態の第1ラッチ31と第2ラッチ32を用いることにより、図7に示すように、第1ラッチ31と第2ラッチ32の高さは、比較例の一方のラッチ531と他方のラッチ532に高さと同じにでき、第1ラッチ31と第2ラッチ32の形状変更と配置位置を変えることで、カセット100が挿入される際の阻害箇所の解消を図って、カセット100の挿入性を改善することができる。
図16は、カセット100がカセット装着部20のカセット挿入用の空間部SP内に装着される様子を示す斜視図である。
図16(A)に示すように、蓋部材21を開けて、カセット装着部20を開放し、カセット100を透析患者の指Fにより挿入方向SSに押し始める。この状態では、シャッタ28はY1方向には移動しておらず、開口部27を閉じている。また、突き当て面部28Aは、カセット挿入部20の最も右側の空間を閉鎖しているので、透析患者は、カセット挿入部20の最も右側の空間が視覚的に塞がれたように感じるので、カセット100をカセット挿入部20の最も右側の空間寄りの位置に挿入しようとする動作を起こさない。
図16(B)から図16(C)では、さらにカセット100が挿入方向SSに押されると、カセット100の延長部109,113がシャッタ28の突き当て面部28AをY1方向に押すことにより、シャッタ28はY1方向に押されて開口部27が開く。これにより、カセット100の延長部109,113からチューブ131〜134は、この開口部27から自動腹膜透析装置1の側方に導出できる。
次に、図17を参照して、カセット100の一方のフィルム状の加温部104Aと他方のフィルム状の加温部104Bの構造例と、カセット使用済検出部220としてのバーコードリーダ401について説明する。
図17に示すように、他方のフィルム状の加温部104Bの上には、識別用の感熱印刷紙400が貼り付けられている。この感熱印刷紙400は、好ましくはバーコードが印刷されており、このバーコードは、治療する透析患者の透析処方情報等を含んでいる。
感熱印刷紙400は、カセット100において、特に注液加温部近傍に貼り付けられている。具体的には、例えば感熱印刷紙400は、カセット100の一方のフィルム状の加温部104Aと他方のフィルム状の加温部104B上に貼り付けられている。カセット100が図16に示すようにカセット装着部20内に装着された状態では、感熱印刷紙400が、自動腹膜透析装置1の上筐体部2側に配置されたバーコードリーダ401に対面するようになっている。
バーコードリーダ401は、感熱印刷紙400のバーコードを非接触式で読み取ることができ、制御部200に電気的に接続されている。カセット100が図16に示すようにカセット装着部20内に装着されると、バーコードリーダ401は、感熱印刷紙400のバーコードを読み取って、制御部200は透析患者の処方情報等を得て、その処方情報から透析患者に透析制御を行うようになっている。
このように、制御部200は、感熱印刷紙400を用いて透析患者の処方情報を得ることができるので、透析患者が通常必要となる図1に示す表示部10における画面情報と、開始スイッチ11や停止スイッチ12等の操作部を使っての透析患者の処方情報の入力作業が省略できるメリットがある。
制御部200が透析制御を開始後に、加温部104A,104Bからの一定時間以上の加温により、カセット100上の感熱印刷紙400が黒色に変色する。この感熱印刷紙400の変色により、バーコードリーダ401は、感熱印刷紙400のバーコードを検知できなくなる。
このように、バーコードリーダ401が感熱印刷紙400のバーコードを検知できなくなると、制御部200は、この使用中のカセット100はすでに腹膜透析処置治療に使用済み(加温済み)であると判断する。
さらに、制御部200は、バーコードリーダ401からの信号により、加温済のカセット100の透析液回路900は、透析治療に1回使用したと判断する。この透析液回路900は、一方のフィルム状の加温部104Aと他方のフィルム状の加温部104Bとチューブ流路の切換部105とチューブ131〜134の組み立てユニットにより構成されている。
そして、この加温済のカセット100が再び自動腹膜透析装置1のカセット装着部20内に誤って装着された場合であっても、バーコードリーダ401は感熱印刷紙400のバーコードを検知できないので、制御部200は、このカセット100は使用済み(加温済み)と判断し、加温済のカセット100の透析液回路は、透析治療に1回以上使用したと判断する。これにより、制御部200は、自動腹膜透析装置1は透析制御を開始することはなく、このカセット100が使用済み(加温済み)であることを、透析患者に対して音声や表示部10における表示により通知する。
このようにして、カセット100の透析液回路の使用回数を1回のみに制限することが、確実に行え、既に使用されたカセット100を誤って再使用してしまうことを確実に防止できる。
また、図12に示すように、使用済みの一方のフィルム状の加温部104Aと他方のフィルム状の加温部104Bとチューブ流路の切換部105とチューブ131〜134の組み立てユニットは、透析液回路900を構成している。
この透析液回路900は、カセット100の第1筐体部101と第2筐体部102とは、別体となっている。このため、透析液回路900の再使用は衛生管理上できないが、新しい透析液回路900を第1筐体部101と第2筐体部102に取り付けることで、第1筐体部101と第2筐体部102は、必要に応じて繰り返して使用できるメリットがある。
なお、バーコードリーダ401は、光学読み取り方式であっても、磁気読み取り方式であっても良い。また、感熱印刷紙400を用いるのではなく、他の形式の識別ラベルであっても良く、その場合の識別ラベル読取器は、光学読み取り方式や磁気読み取り方式を採用できる。
一方、図17に示すように、一方のフィルム状の加温部104Aと他方のフィルム状の加温部104Bは、透析液を透析患者の体温に近づけるために、複数枚のシートヒータ300により加温できるようになっている。このシートヒータ300は加温制御部203により加熱制御され、一方のフィルム状の加温部104Aと他方のフィルム状の加温部104Bは所定の温度になるように加温されると、感熱印刷紙400も加熱されることで積極的に黒く変色して、バーコードリーダ401は感熱印刷紙400の情報を読めなくなる。バーコードリーダ401は感熱印刷紙400の情報を読めなくなったことは、制御部200はバーコードリーダ401からの信号により認識できる。
これにより、一度加温されて使用された一方のフィルム状の加温部104Aと他方のフィルム状の加温部104Bと図12に示すよう一体となっているチューブ流路の切換部105とチューブ131〜134が、使用されたことを制御部200が認識することができる。従って、使用済みの一方のフィルム状の加温部104Aと他方のフィルム状の加温部104Bとチューブ流路の切換部105とチューブ131〜134の組み立てユニットが再度誤って使用されてしまうことが無くなる。
次に、図18を参照して、自動腹膜透析装置1の加減圧回路450について説明する。
図18に示す加減圧回路450は、ポンプ駆動部201、第1フィルタ451、バルブ452、陽圧タンク453、バルブ454、陰圧タンク455、バルブ456、第2フィルタ457、バルブ458、圧力センサ459〜462、ポンプチャンバー部463を有している。各バルブ453,456,458は、大気開放部464を有する。圧力センサ459,461は加減圧回路450の保護用のセンサであり、圧力センサ460,462は加減圧回路450の制御用のセンサである。
図18に示すポンプ駆動部201の出口部には、フィルタ451が接続され、このフィルタ451にはバルブ452を介して陽圧タンク453に接続されている。陽圧タンク453はバルブ454を介して陰圧タンク455に接続され、陰圧タンク455はバルブ456を介してポンプ駆動部201の入り口側に接続されている。
バルブ454には、別のフィルタ457が接続されており、バルブ454はこのフィルタ457を通じて、ポンプチャンバー部463に接続されている。ポンプチャンバー部463は、固定部470と可動部471とスプリング472を有しており、スプリング472は固定部470と可動部471の間に配置され、可動部471はスプリング472の力に抗して固定部470に対して動くことができる。可動部471はカセット100側のポンプ部103のダイヤフラム103Dに密着される。
ポンプ駆動部201が動作すると、陽圧タンク453からの陽圧と陰圧タンク456からの陰圧により、ポンプチャンバー部463の可動部471はスプリング472の力に抗して固定部470に対して移動することで、カセット100側のポンプ部103のダイヤフラム103Dを矢印Z方向に移動して、透析液を腹腔MMBに足して吐き出したり、吸引することができる。
図18に示すバルブ454は、ポンプチャンバー部463を陽圧タンク453と陰圧タンク455に対して交互に切り換えるための切り換え用のバルブである。図19は、図18のバルブ454の構造例を示す断面図である。
図19に示すバルブ454は、コイル600と、固定鉄心601と可動鉄心602と、スプリング603と、スプール604と、流路切換部605と、ボビン606を有する。固定鉄心601はボビン606に固定され、ボビン606の内側にはコイル600が配置されている。固定鉄心601と可動鉄心602は、コイル600の内側において直列に配列されている。固定鉄心601の端面601Aと可動鉄心602の端面602Aの間には、間隔が形成されている。可動鉄心602の反対側の端面602Bにはスプール604が連結されている。スプリング603は、スプール604を矢印V1方向に引っ張るための付勢部材である。
図19に示す流路切換部605には、陽圧タンク453に接続されているポート611と、陰圧タンク455に接続されているポート612と、図18に示すポンプチャンバー部463に接続されるポート613,614と、バルブ458に接続されている大気開放用のポート615を有する。
図19のコイル600に通電されと、可動鉄心602が矢印V2方向にスプール604をスプリング603の力に抗して移動させて、スプール604の各ポペット620が対応する壁部621にそれぞれ突き当てられることにより、陽圧タンク453からの陽圧がポート611からポート614側に供給され、ポート613からポート612にかけて陰圧がかかることにより、図18のポンプチャンバー部463には陽圧が供給されるので、ダイヤフラム103Dは押されて、透析液は腹腔MMB側に吐き出されることになる。
逆に、コイル600への通電を停止すると、可動鉄心602とスプール604をスプリング603の力により矢印V1方向に移動させて、スプール604の各ポペット620が対応する壁部622にそれぞれ突き当てられることにより、陽圧タンク453からの陽圧がポート611からポート613側に供給され、陰圧タンク455からの陰圧がポート612とポート614側に供給され、図18のポンプチャンバー部463には陰圧が供給されるので、ダイヤフラム103Dは引かれて、透析液は腹腔MMB側からカセット100側に吸引されることになる。
このため、制御部200の制御により、自動腹膜透析装置1に設けられたクランプ部204をカセット100側のチューブ流路の切換部105に配置されている各チューブ131〜134の流路105A〜105D(図12を参照)をプログラムされた順序で選択的に押さえることで、透析液の流れる流路を切り換えることができるので、透析液を腹腔MMB側に送液したり、いったん腹腔MMBに貯留された透析液を腹腔MMB側から排液させることができることになる。
ところで、可動鉄心602の端面602A寄り部分には、フッ素グリス650が塗布されている。このフッ素グリス650の成分は、例えば、パーフルオロポリエーテル・ポリテトラフルオロエチレン・添加剤からなるフッ素油、フッ素樹脂粉末、潤滑油添加剤であり、フッ素グリス650のちょう度は、325〜330、好ましくは327である。ちょう度が325より小さいと陰圧により引かれやすく、330を越えると軸方向の幅に所定の長さを塗布するのが難しくなる。このフッ素グリス650が塗布されている軸方向の幅DSは、図19に示す例では例えば端面(磁極面として機能する面)602Aから2mmである。このフッ素グリス650が塗布されている軸方向の幅は、好ましくは、2mmプラスマイナス1mmの範囲であるので、塗布されている範囲は幅DSよりもさらに大きい幅DT(3mm)まで塗布しても良い。
なお、フッ素グリス650が塗布されている軸方向の幅が1mmよりも小さいと、可動鉄心602の磨耗によるエアー漏れの劣化対策が十分ではなくなり、フッ素グリス650が塗布されている軸方向の幅が3mmよりも大きいと、コスト削減が図りにくくなる。すなわち、グリスの塗布の範囲が、1mmよりも狭いと、エアーが漏れやすくなり、3mmよりも広いとコスト高になってしまうので好ましくはない。
可動鉄心602の端面602A寄り部分には、フッ素グリス650が塗布されているが、タービン油を使用する場合に比べて、次のようなメリットがある。すなわち、タービン油が塗布されていると、このタービン油は陰圧により引かれてしまいので、フッ素グリス650を使用する場合よりも、可動鉄心602の劣化が進んでしまう。つまり、フッ素グリス650は、タービン油に比べて陰圧により引かれにくく可動鉄心602にとどまりやすく、可動鉄心602の劣化を防ぐことができ、タービン油が可動鉄心602から剥がれてしまうことによるエアリークを、確実に防ぐことができる。
すなわち、可動鉄心602の磨耗による劣化対策として、タービン油を使用するのに代えてフッ素グリスを採用したことにより耐久性が向上し、しかもフッ素グリスはタービン油に比べて粘性が高いので、可動鉄心602の付近が陰圧になった時に、タービン油が陰圧により引かれてしまって、可動鉄心602から剥がれてしまうことを防ぐことができる。これにより、タービン油が可動鉄心602から剥がれてしまうことによるエアリークを、確実に防ぐことができる。
このように、加減圧回路450には陽圧と陰圧を切り換えるための電磁開閉弁としてのバルブ454を有しているが、バルブ454は、患者が腹膜透析を行う際に、患者の腹腔内に透析液を所定量注液し、腹腔内に所定時間貯留して、その後腹腔から排液を行うために、陽圧と陰圧を交互に、例えばダイヤフラムに供給する。
バルブ454の可動鉄心602にはエアリークが発生しないようにする劣化対策のために、タービン油に代えてグリス、好ましくはフッ素グリスが塗布されている。このため、バルブ454の可動鉄心602からエアリークが生じないので、可動鉄心602のメンテナンス作業を軽減でき、エアリークが発生するのを防ぐことができる。
なお、このグリスは、フッ素グリスに代えて他の種類のグリスを用いても良い。
また、スプール604がV1、V2方向に直線移動できるストローク範囲は、例えば0.22mmである。このように、本発明の実施形態における0.22mmに短縮することできる。このため、コイル600に通電する駆動電圧を下げることができ、バルブ454を駆動するための駆動電圧に余裕を持たせることができる。
次に、図18に示すフィルタ451とフィルタ457の構造例を、図20を参照して説明する。フィルタ451とフィルタ457は同様の構造を有している。
図20は、フィルタ451とフィルタ457を有する加減圧回路450の構造例を示している。加減圧回路450の各要素は、金属製の基板480に搭載されている。
フィルタ451とフィルタ457は、例えば透明のプラスチックの容器631と、蓋部材632と、O−リング633と、フィルタ材634を有している。容器631には配管631Hが接続され、蓋部材632には配管632Hが接続されている。フィルタ材634は、開口部635と底部636を有する円筒状の部材であり、ポンプ駆動部201から発生した空気中の塵埃を除去するために、好ましくはメッシュ粗さが5μm(例えばSMC製のFGZG220A−B−5μm)のものを用いることができる。フィルタ材634は、容器631内に収容して、蓋部材632はO−リング633を介して容器631にねじ込むことにより。フィルタ451とフィルタ457を組み立てることができる。
これにより、空気回路450においては、2か所にフィルタ451とフィルタ457が配置され、配管631Hと配管632Hを用いてフィルタ材634に空気を通過させることで、フィルタ451のフィルタ材634とフィルタ457のフィルタ材634は、例えばブロンズ焼結フィルタ材であり、空気中の5μm以上の塵埃を除去することができるので、加減圧回路450において塵埃による詰まり現象を防ぐことができる。
特に、フィルタ451は、ポンプ駆動部201の出口側に接続され、ポンプ駆動部201で発生した塵埃が、バルブ452とバルブ454に入る前に除去できるので、バルブ452とバルブ454のつまり現象を防ぐことができる。また、別のフィルタ457は、バルブ454とポンプチャンバー部463の間に配置されているので、ポンプチャンバー部463側で発生した塵埃がバルブ454内に入る前に除去できるので、バルブ454のつまり現象を防ぐことができる。
次に、図21〜図24を参照して、図1と図2に示す開始スイッチ11と停止スイッチ12の構造例を説明する。
図21は、開始スイッチ11と停止スイッチ12を示す斜視図であり、図22は、図21のA−A線おける開始スイッチ11と停止スイッチ12の断面図である。図23は、開始スイッチ11と停止スイッチ12の組み立て例を示す図である。
図21と図22に示すように、開始スイッチ11と停止スイッチ12は同じ構造を有している。開始スイッチ11と停止スイッチ12は、それぞれゴム成型品の表面カバー700と、プラスチック製の中間部材701と、スイッチ素子としてのオンオフ型のタクトスイッチ702と、金属製の基板703とを有している。押圧部材790は、中間部材701と、表面カバー700により構成されている。中間部材701は、スイッチ素子であるタクトスイッチ702の操作部材720に対して隙間寸法LKを有するように連結される連結部715を有する。表面カバー700は、中間部材701を覆っており、弾性部材により作られている。
図22に示す表面カバー700は、透析患者が指Fで押すための押圧部711と、ベース部712と、中空部713を有している。押圧部711には指Fで触ってスイッチであることを認識させるために小さな突起711Rが設けられている。ベース部712は、上筐体部2の前面部4(図1を参照)により押さえつけることで固定されている。
中間部材701は、この中空部713内に位置されており、中間部材714と、連結部715を有している。この中間部材714は表面カバー700の中空部713内において、表面カバー700の押圧部711の内面に密着されている。連結部715は、孔部716を有しており、この孔部716内には、タクトスイッチ702の操作部材720がはまり込んでいる。この孔部716の底面721と操作部材720の先端面722の間には、予め隙間寸法LKが確保されている。
図22において、透析患者が指Fで表面カバー700をG1方向に押す際に、中間部材701を介してタクトスイッチ702の操作部材720をG1方向に押すことができるが、この隙間寸法LKは、この場合にクリック感を得るようにするために確保されている。すなわち、中間部材714がG1方向に押されると、隙間寸法LKの分が無くなって孔部716の底面721と操作部材720の先端面722が当接して後に、タクトスイッチ702の操作部材720がG1方向に押されることで、透析患者は指Fを通じてクリック感を得ることができる。
そして、指Fを離せば、タクトスイッチ702の操作部材720はG2方向に復帰するとともに、表面カバー700の押圧部711の弾性力により、孔部716の底面721と操作部材720の先端面722とが離れて、隙間寸法LKが形成されて、開始スイッチ11あるいは停止スイッチ12は、元の状態に戻る。
図23(A)に示すように、開始スイッチ11あるいは停止スイッチ12を上筐体部2の前面部4の内側に固定する場合には、予め表面カバー700を前面部4の穴部分4Hに裏側から差し込み、基板703側に配置されたタクトスイッチ702の操作部材720を、中間部材714の孔部716に差し込む。そして、図23(B)と図22に示すように、4つのネジ770を用いて、基板703を上筐体部2の前面部4の内側に固定する。
図24は、開始スイッチ11と停止スイッチ12において設定されている隙間寸法LKと、クリック感との関係例を示す図である。
図24において、開始スイッチ11あるいは停止スイッチ12のいずれにおいても、従来のように隙間寸法LKがマイナスの値(ゼロ未満の値)に設定されている場合、すなわち隙間寸法LKがゼロ未満であるということは、連結部715の孔部716の底面721と操作部材720の先端面722とが強く押し付けられた状態で組み付けられて全く隙間が形成されていない場合では、クリック感を感じることは全く無いか非常に乏しい。
これに対して、本発明の実施形態の開始スイッチ11あるいは停止スイッチ12では、図22に示すように、連結部715の孔部716の底面721と操作部材720の先端面722との間には、ゼロmm以上、好ましくはゼロmmを僅かに超える隙間寸法LKを確保できるように組み付けられているので、図22に示すように、透析患者が指Fにより開始スイッチ11あるいは停止スイッチ12を押したときに、クリック感を感じながらスイッチ操作したことを確認できる。
ここで、上述した自動腹膜透析装置1による透析治療の手順例を説明する。
図3に示すように、透析患者は自動腹膜透析装置1の蓋部材21を開けてカセット装着部20を開放して、カセット100を挿入方向SSに沿ってカセット装着部20内に装着する。これにより、図17に示すバーコードリーダ401は、感熱印刷紙400のバーコードを読み取って、制御部200は透析患者の処方情報を得て、その処方情報から透析患者に透析制御を開始することができる。従って、図1と図2に示す透析患者が通常必要となる図1に示す表示部10における画面情報と、開始スイッチ11や停止スイッチ12等の操作部を使っての透析患者の処方情報の入力作業を行うことを省略できる。透析患者の処方情報は、医師による透析治療の処方である。
なお、図17に示すように、カセット100の各チューブ131〜134は、透析患者の腹腔MMB、バッグ138,139、そして排液バッグ140に予め接続されている。
透析患者は、図3に示す蓋部材21を閉めて、開始スイッチ11を押して、透析動作を開始する。開始スイッチ11を押すと開始スイッチ11はクリック感を発生することができるので、透析患者は開始操作を行ったことを確実に認識できる。
透析液は、透析患者の体内に注液する前に体温付近の温度に上げるために、透析液は図17に示す加温部300に面した状態で加熱して加温する。透析中は、図13に示す制御部200は透析制御により、クランプ制御、加温度制御、ポンプ駆動部201の制御を行う。
透析患者が図1に示す停止スイッチ12を押すか、透析制御が自動的に終了すれば、これが1回の透析治療とみなす。すなわち、カセット100は、衛生上の観点から、1回の透析治療のみで廃棄する。透析患者が停止スイッチ12を押したときにもクリック感を発揮できるので、透析患者は停止操作を行ったことを確実に認識できる。
ただし、図12に示すカセット100の第1筐体部101と第2筐体部10だけは、透析回路部を取り外した後に、環境への配慮から必要に応じて再利用することは可能であり、透析回路部は完全に廃棄して再使用はしない。
本発明の実施形態の自動腹膜透析装置1では、図13に示すバッグ138,139内の腹膜透析液は、通常、主成分として電解液を含むぶどう糖液が使用される。自動腹膜透析装置1では、所定温度に加温された腹膜透析液が透析患者の腹腔へ送られる。腹腔内に貯留された腹膜透析液は、腹膜の浸透圧を利用して体内の老廃物を腹膜液内に取り込み、水分とともに排液として排液タンク140に廃棄される。
このような腹膜透析治療は、腹腔内に腹膜透析液を所定量注液し、所定時間貯留し、その後排液を行うようにしており、この注液、貯留、排液で1サイクルとしている。このような手法を前提として、腹膜透析治療を行う処方には、大きく分けて2つのタイプがある。
その1つは、腹膜透析液の腹腔内での1サイクル内の各貯留時間を固定時間とし、透析時間で調整するもの(Aタイプ)である。他のひとつは、透析時間全体(例えば4サイクル)を固定時間として、それに合うように、各サイクルにおける貯留期間を調整するもの(Bタイプ)である。
加えて、上記の手法をどのような治療パターンで行うかにより、次の治療パターンがある。
(NPD)
夜間連続で透析液交換を行い、昼間は腹腔内を空とする処方。
(CCPD)
夜間連続の透析液交換と最終注液を行い、昼間は透析液交換を行わず腹腔内に貯留のままとする、又は必要に応じ昼間透析液交換を行う処方。
タイダール(TPD)
初期注液量の約半分の量を頻回交換する処方。
コンディショニング
Aタイプの手法のみ可能。導入初期のコンディショニングのため、腹膜透析液の注液、排液のみを行う処方。
本発明の自動腹膜透析装置1は、いずれのタイプの腹膜透析治療処方にも使用することができる。
本発明の実施形態の自動腹膜透析装置は、腹膜透析液を送液するポンプと腹膜透析液を加温する加温部と透析液流路を有するカセットと、カセットを挿入方向に沿って着脱可能に装着させるカセット装着部と、を有する自動腹膜透析装置であって、固定鉄心と、ポンプを往復動作させるために陽圧と陰圧を切り換えてポンプ側に供給するために固定鉄心に対して往復移動する可動鉄心と、を有するバルブを備え、バルブの可動鉄心には、グリスが塗布されている。これにより、グリスは、タービン油に比べて粘性が高いから、陰圧に引かれて可動鉄心から取れてしまうことがなく、電磁開閉弁としてのバルブの可動鉄心のメンテナンス作業を軽減して、エアリークが発生するのを防ぐことができる。
グリスの塗布の範囲は、固定鉄心に対面する側の磁極面から2mmプラスマイナス1mmである。これにより、グリスの塗布の範囲が、固定鉄心に対面する側の磁極面から1mmよりも狭いと、エアーが漏れやすくなり、3mmよりも広いとコスト高になってしまうので好ましくはない。
また、グリスは、フッ素グリスである。これにより、フッ素グリスは、タービン油に比べて陰圧により引かれることが無い。
さらに、バルブを含む加減圧回路には、ポンプ駆動部を有し、ポンプ駆動部の空気出口には、異物を除去するフィルタが配置されている。これにより、加減圧回路のポンプ駆動部から発生する異物が加減圧回路中に回ることが無く、加減圧回路のつまりを防止できる。
ところで、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明は様々な修正と変更が可能であり、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変形が可能である。
本発明の自動腹膜透析装置は、図示例に限らず、任意の形状を採用できる。例えば、図3に示すカセット100は、延長部109,113がカセット100の挿入方向SSに関して右側に突出して形成されているが、逆に左側に突出して形成されていても良い。この場合には、カセット装着部20の第1ラッチ31と第2ラッチ32は左右が逆の位置に配置され、シャッタ28と開口部27も下筐体部3の右側側面部ではなく、左側側面部に配置することになる。腹膜透析液の流路の配置形状は、図12に示す例に限らず任意の形状を採用できる。
1・・・自動腹膜透析装置、2・・・上筐体部、3・・・下筐体部、10・・・表示部、9A〜9F・・・指標突起部、11・・・開始スイッチ、12・・・停止スイッチ、20・・・カセット装着部、21・・・蓋部材、30・・・本体、31・・・第1ラッチ、32・・・第2ラッチ、35・・・操作部材としての操作ツマミ、50・・・第1ラッチと第2ラッチの動作機構部、100・・・カセット、100M・・・カセットの挿入先端部、100N・・・カセットの挿入後端部、101・・・カセットの第1筐体部、102・・・カセットの第2筐体部、103・・・ポンプ部、104A,104B・・・加温部、105・・・チューブ流路の切換部、105A〜105G・・・透析液の流路、200・・・制御部、220・・・カセット使用済み検出部、401・・・バーコードリーダ、900・・・透析液回路、SS・・・カセットの挿入方向、SP・・・カセット挿入用の空間部

Claims (4)

  1. 腹膜透析液を送液するポンプ部と前記腹膜透析液を加温する加温部と透析液流路を有するカセットと、前記カセットを挿入方向に沿って着脱可能に装着させるカセット装着部と、を有する自動腹膜透析装置であって、
    固定鉄心と、前記ポンプ部を加圧/減圧させるために陽圧と陰圧を切り換えて前記ポンプ部側に供給するために前記固定鉄心に対して往復移動する可動鉄心と、を有するバルブを備え、
    前記バルブの前記可動鉄心には、グリスが塗布されていることを特徴とする自動腹膜透析装置。
  2. 前記グリスの塗布の範囲は、前記固定鉄心に対面する側の磁極面から2mmプラスマイナス1mmであることを特徴とする請求項1に記載の自動腹膜透析装置。
  3. 前記グリスは、前記フッ素グリスであることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の自動腹膜透析装置。
  4. 前記バルブを含む加減圧回路には、ポンプ駆動部を有し、前記ポンプ駆動部の空気出口には、異物を除去するフィルタが配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の自動腹膜透析装置。
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