(発明の詳細な説明)
本発明は、透析システムおよび透析を実施するための方法に関する。特に、本発明は、患者に腹膜透析治療を自動的に提供するシステムおよび方法に関する。本発明は、患者の腹膜腔への、およびそれからの透析流体の自動的な複数の交換を提供する。この透析液の自動的な交換は、排出期間、充填期間、および滞留期間を含み、これらは、通常、患者が寝ている間に生じる。代表的な治療は、透析流体の3〜5度の交換を含み得る。本発明は、1つの実施形態では、単一パスシステムを提供し、そこでは、透析液は、配置される前に一度だけ腹膜腔を通過する。本発明は、腹膜透析を実施するが、その他のタイプの透析およびその他の医療流体輸送操作にもまた適切である。
(I.システム一般)
ここで、図面を、そして特に図1を参照して、本発明のシステム10によって実施される代表的な治療は、患者の腹膜腔12中に既にある透析溶液を排出することにより始まる。システム10は、複数の供給バッグ14の1つから、インラインヒーター16を通って、患者または腹膜腔12に新鮮透析液をポンプ輸送する。腹膜腔12中の滞留期間の後、腔中の消費された透析液は、患者または腔12から、ドレイン18またはその他の処分手段にポンプで排出される。次に、システム10は、供給バッグ14から患者または腹膜腔12に新鮮透析液をポンプ輸送し、そしてこの手順は、治療プロトコール中で規定されるように繰り返される。1つの実施形態におけるシステム10は、最後のバッグの透析液(通常、その他の供給バッグ中の透析液とは異なる処方物を有する)を、昼間の滞留のような延長された滞留のために、腹膜腔12にポンプ輸送する。
1つの実施形態では、システム10は、機械的に操作されるダイヤフラムポンプ20を含む。この機械的に操作されるダイヤフラムポンプ20は、ポンプモーター22およびリニアポンプアクチュエーター24を採用する。以下にさらに詳細に記載されるように、減圧がまた、ダイヤフラムポンプ20のための機械的アクチュエーターとともに用いられ得る。図2に示される別の実施形態では、ポンプは、完全に流体により能動化される。
図1では、システム10はまた、バルブアクチュエーター26を含み、これは、バルブV1〜V5を機械的に作動させる。コントーラー30は、必要に応じてバルブアクチュエーター26を制御し、バルブV1〜V5を開き、透析流体流れの所望の方向を達成する。1つの実施形態では、バルブアクチュエーター26は、バルブモーター28およびカムシャフトを含み(以下に説明される)、これは、バルブV1〜V5の1つ以上を開き、所望の透析液流れを達成する。
コントローラー30は、複数のプロセッサー、および各プロセッサーのためのメモリーデバイスを含む。これらプロセッサーは、メインプロセッサーおよび多くのデリゲイトプロセッサーを含む。この主プロセッサーは、以下に記載されるグラフィカルユーザーインターフェース(「GUI」)のような特定のより高いレベルのタスクを行う。デリゲイトプロセッサーは、バルブを移動する、センサーを読み取る、ヒーターデューティーサイクルなどを制御するなどのようなより低いレベルのタスクを遂行する。さらなるプロセッサーが、単に、ヒータープレートおよび医療流体温度のような安全パラメーターを追跡する目的のために提供される。本発明の目的には、その他に特定される場合以外は、用語「プロセッサー34」は、集合的にすべてのプロセッサーをいい、そして用語「メモリーデバイス32」は、集合的にすべての対応するメモリーデバイスをいう。
コントローラー30はまた、入力/出力(「I/O」)モジュール36を含む。メモリーデバイス32は、システム10のためのシークエンスをステップ毎に含むコンピュータープログラムを記憶し、そして特定の入力に際して特定の出力をする形態をとる。プロセッサー34は、メモリー32中のプログラムを実行する。I/Oモジュール36は、種々のセンサーからの信号ラインを受ける。このI/Oモジュール36はまた、入力電力ライン(バッテリー電力である場合を含む)および種々の電気コンポーネントに出力される電力ラインを含む電力ラインに接続される。
コントローラー30は、1つの実施形態では、ビデオカードであり得るビデオコントローラー38を含む。コントローラー30はまた、患者またはオペレーターに、医療処置または透析情報を表示するディスプレイデバイスまたはビデオモニター40を含む。1つの実施形態では、コントローラー30は、さらに、ビデオモニター40とインターフェースするタッチスクリーン42を含み、そしてI/Oモジュール36と電気的に通信する。このタッチスクリーン42は、患者またはオペレーターが、コントローラー30中に医療処置または透析情報を入力することを可能にする。
コントローラー30は、ヒーター16、ポンプ20およびバルブアクチュエーター26を、単一の医療処置または透析処置を構成する多くの異なる相で制御する。第1のポンプ充填相では、コントローラー30は、ポンプ20を能動化し、医療流体または透析液を供給バッグ14の1つからポンプ輸送する。図1では、コントローラー30は、ポンプモーター46を含む減圧供給源44に指令し、第1の減圧ライン48および第2の減圧ライン50を通じて、ポンプ20の両側から減圧する。減圧ライン48および50は、第1および第2のポンプチャンバー壁を通じて個々に減圧し、このポンプチャンバー内側の対向する一対の膜の1つをポンプチャンバーの内側に対して吸引する。他方の膜は、ポンプ20中のピストンヘッドに対して保持される。この他方の膜は、それに代わって、ピストンヘッドに、一時的または永久的に、機械的に付着され、ポンプ20のピストン側の減圧を不必要にする。
膜をポンプチャンバーおよびピストンヘッドの内側に対して維持して、コントローラー30は、リニアアクチュエーター24に、ポンプ20内に退くよう指令する。この退却は、ポンプチャンバー内側の膜を、さらに引き離す。この時点で、コントローラー30は、バルブアクチュエーター26を、バルブV1のみが開くように制御する。膜を引き離すことは、充填ライン52中を負圧にし、ここで、この負圧が、医療流体または透析液を、供給バッグ14から、充填ライン52を通じ、ポンプ20のポンプチャンバー内側の開放された膜によって作製された容器中に引き込む。
患者充填相では、ポンプチャンバー壁を通じ、内側膜上でなお維持される減圧供給源による負圧を使用して、コントローラー30が、リニアポンプアクチュエーター24を、ポンプ20内で上方に移動させる。このアクチュエーター24および付着したピストンヘッドの上方移動は、膜容器を閉じる機械的陽圧を提供し、そしてそれによって、医療流体をポンプ20からポンプ輸送する。この時点で、コントローラー30は、バルブアクチュエーター26を、バルブV2およびV3だけが開くように制御する。結果として、ポンプ20を出る流体のすべてが、ヒーターライン54を通り、インラインヒーター16を超えて、カテーテルライン56を通り、そして患者、例えば、患者の腹膜腔12中にポンプ輸送される。1つの実施形態のカテーテルライン56は、患者12中に移植されている、単一管腔カテーテルに接続される。しかし、その他の実施形態では、システム10は、多管腔カテーテルを採用し得る。
1つの実施形態におけるヒーター16は、医療流体をほぼ体温まで加温する1つ以上の電気加熱プレートを含む。コントローラー30は、必要に応じて、このヒーター16にエネルギーを与え、またはエネルギーを与えることを止め、適正な流体温度を得る。コントローラー30は、医療流体が熱過ぎるか、または冷た過ぎる場合に、ヒーターライン54中のヒーター16の対抗する側面上に位置決めされたバルブV2およびV3を閉じ得る。不適正に加熱された透析液は、腹膜腔12に侵入しない。
コントローラー20は、ポンプ充填相およびヒーター充填相を、患者の腹膜腔12が治療プロトコールに従って流体で充填されるようになるまで繰り返す。1つの実施形態では、ポンプ内側の容量は、約30〜50ミリリットルであり、そして成人患者は、代表的には、約2リットルの透析流体を用いる。従って、このポンプ充填相およびヒーター充填相は、50回のオーダーで繰り返され得る。1つの実施形態では、ポンプアクチュエーター24は、ポンプ20で、1平方インチあたり(「psi」)約3ポンドの流体圧力を維持する。
システム10は、流体容量センサー60を提供し、これは、ポンプ20を通じて押された医療流体の実際の容量を測定する。複数の個々のポンプ容量を合計することにより、このコントローラーは、患者12に送達された医療流体または透析液の量を正確に知る。1つの実施形態におけるシステム10は、ポンプ充填相およびヒーター充填相を、ポンプ20が、所定の容量の医療流体を送達するまで繰り返す。この所定の容量は、タッチスクリーン42を経由して患者またはオペレーターによってコントローラー30中に入力され得る。
滞留相では、コントローラー30は、医療流体または透析液を、患者12内に、所定時間滞在させ、これは、コントローラー30、患者12またはオペレーターによって制御され得る。1つの実施形態では、コントローラー30は、滞留時間を決定するが、患者12またはオペレーターは、システム10を無効にし得、そしてシステム10に、患者12から医療流体を除去することを指令する。
第2のポンプ充填相では、医療流体は、患者12から除去される。コントローラー30およびアクチュエーター26は、残りのバルブを閉鎖しながら、バルブV4を開く。減圧供給源は、ポンプ20内側の膜に対して負圧をなお維持し、リニアアクチュエーター24は、ポンプ20のチャンバー内のポンプピストンを引き、そして膜間の容器を再び開く。開いた容器によって生成された負圧は、医療流体を、患者12から、カテーテルライン56を通じ、そしてポンプ20の内側に形成された膜容器中に引き付ける。
排液相では、減圧供給源44による負圧を、ポンプチャンバー壁を通じ、内側膜に対してなお維持し、コントローラー30は、リニアポンプアクチュエーター24を、ポンプ20内を上方に移動させる。このアクチュエーター24の上方移動は、機械的陽圧を引き起こして膜容器を閉じ、そしてそれによって医療流体をポンプ20からポンプ輸送する。この時点で、コントローラー30は、バルブアクチュエーター26を、バルブV5のみが開くように制御する。その結果、ポンプ20を出る流体のすべてが、排液ライン58を通じ、そしてドレイン18中にポンプ輸送される。ドレイン18は、家庭、病院その他内の排液バッグまたは排液パイプであり得る。
流体容量センサー60の1つの実施形態は、ダイヤフラムポンプ20の説明とともに以下により詳細に記載される。流体容量センサー60に加え、システム10は、種々のその他の所望のタイプのセンサーを含む。
システム10は、センサーT1〜T4のような温度センサー62を含み、これらは、システム10内の相当する場所で温度を測定する。1つの実施形態では、これらセンサー62は、非侵襲性であるが、任意のその他のタイプの温度センサーが採用され得る。図1に示されるように、センサーT1およびT2は、コントローラー30に流体温度の重複するヒーター後フィードバックを提供する。センサーT3は、加熱前の医療流体の温度を提供する。センサーT4は、周囲温度を提供する。
システム10はまた、ヒーター16の温度をモニターする温度センサー62を提供する。1つの実施形態では、このヒーター16は、インラインプレートヒーターである。このインラインプレートヒーター16は、1つ以上のヒータープレート、例えば、それらの間に配置された使い捨て可能なユニットを有する2つのヒータープレートを有し得る。別個の温度センサーPT1およびPT2が、プレートヒーターのプレートの各々の温度をモニターするために提供される。システム10は、それによって、各プレートヒーターを個々に制御し得る。
システム10は、センサーAS1のような、ポンプ20の入口および出口の喉部に直接配置される1つ以上の空気センサー64を含む。別の空気センサーAS2は、医療流体がヒーター16を去った後、そしてカテーテルライン56に至る最終の閉鎖バルブV3の直前の医療流体中の空気をモニターする。コントローラー30は、空気センサー64によって感知された空気含量をモニターし、そしてそれによって、システム10が任意の必要な空気パージを実施するよう制御する。システム10は、この流体から空気を分離かつ放出し得るか、または空気をドレイン18に単に運搬する。システム10はまた、空気排出口ソレノイド66を含み、これは、コントローラー30によって操作される。この空気排出口ソレノイド66は、システム10を、ポンプ20中の膜の1つまたは両方に付与される減圧を和らげることを可能にする。
システム10は、種々の理由のために空気を蓄積し得る。例えば、バルブV1〜V5、および52、54、56および58のような流体ラインは、システム10を準備する前に空気を含み得る。供給バッグ14もまた、ポンプ20内に空気を導入し得る。患者12もまた、特定のガスを生成し得、これらは、透析液内に入るようになり、そしてポンプ20に侵入する。さらに、供給バッグ14への流体ディスポ(disposable)または接続、患者12におけるカテーテル、または排液バック中に少量の漏れから存在する場合、ポンプ20はこれらの漏れを通じて空気を引き込み得る。
システム10は、種々の流体圧力センサー68を提供する。流体圧力センサーFP1およびFP2は、ポンプ60へと導く充填ライン52内の流体の重複した圧力読み取りを提供する。流体圧力センサー68は、その位置におけるそれぞれの流体圧力を示す信号をコントローラー30に提供する。圧力センサーFP1およびFP2からの信号に基づいて、コントローラー30は、所望の流体圧力を得るためおよび維持するために、流体ポンプおよびバルブを作動させる。上記のように、システム10は、ポンプ圧力を例えば、約3psiに維持する。
システム10はまた、種々のバルブ圧力センサー70を提供する。バルブ圧力センサーVP1〜VP5は、バルブV1〜V5において流体圧力を検出する。システム10は、例えば、減圧供給源44において、1つ以上の減圧圧力センサー72をさらに提供して、適切な減圧が、ポンプ20内の膜レセプタクルにおいて維持されることを確実にする。
別の実施形態において、流体圧力センサー68、バルブ圧力センサー70および減圧センサー72は、それぞれ、非侵襲性センサーである。すなわち、センサーは、医療流体または透析液と物理的に接触しない(そしておそらく、汚染しない)。もちろん、システム10は、他の流れおよび圧力デバイス(例えば、流速センサー、圧力ゲージ、フローメーター、または圧力レギュレーター)を任意の適切な量および任意の所望の位置で備え得る。
システム10はまた、種々の位置決めセンサーを備える。1つの実施形態において、位置決めセンサーは、リニアポンプアクチュエーター24の位置をモニターするリニアエンコーダー74およびバルブアクチュエーター26またはカムシャフトの角度位置をモニターする回転エンコーダー76を備える。エンコーダーは、使用され得る1つの型の位置決めフィードバックデバイスである。他の型の位置決めフィードバックシステムは、近位センサーおよび磁気ピックアップ(パルス(例えば、カムシャフトに取り付けられたギアの歯形)を感知し、このパルスをカウンターまたはマイクロプロセッサに出力する)を備える。
エンコーダー74および76はまた、代表的に、パルス状出力を提供し、このパルス状出力は、コントローラー30に送られる。パルス状出力は、コントローラー30に、リニアポンプアクチュエーター24またはバルブアクチュエーター26が、ホーム位置またはホーム指数78からどれだけ多くのステップがあるかまたはどれだけ遠くにあるかを伝える。例えば、ホーム位置78は、リニアエンコーダー74についてはポンプが完全に開いた位置またはポンプが完全に閉じた位置であり得、回転エンコーダー76については、0°の位置であり得る。
1つの実施形態において、エンコーダー74および76は、出力が減少した後でさえ、ホーム位置78の位置を知る絶対的な型のエンコーダーである。別の実施形態において、エンコーダー74および76は、増分エンコーダーであり、そしてバッテリーバックアップは、たとえ外部電力が印加されなくても、システム10がホーム位置78の位置を維持し得るようにコントローラーに提供される。さらに代替として、システム10は、ホーム位置が感知される(ここで、システム10は、主要シーケンスを実行し得る)まで、電源投入のときに、ポンプアクチュエーター24およびバルブアクチュエーター26を自動的に移動させるようにプログラムされ得る。
ここで、図2を参照して、代替のシステム100が図示される。システム100は、先に記載したものと同じ機能(および同じ参照番号)を有する多くの同じ構成要素を備える。従って、これらの構成要素は、システム100の新たな構成要素の機能が異なることを除いて、再び記載する必要はない。システム100とシステム10との間の第1の差異は、システム100のポンプ120が完全に流体的に作動し、システム10のリニアポンプアクチュエーター24を使用しないことである。
上記のポンプ充填相において、コントローラー30は、供給バッグ14の1つから医療流体または透析液をポンプ送りするために、ポンプ120を作動させる。このようにするために、コントローラー30は、減圧ライン148および149を介して、ポンプ120の両側(すなわち、両方のポンプ膜)で減圧を引くために、減圧ポンプモーター46を備える減圧供給源44(図2においてモーター46とは別で示される)に指令する。この実施形態において、減圧ポンプモーター46は、回転エンコーダー76およびホーム位置またはホーム指数78を備える。回転エンコーダー76は、減圧供給源44内に膜150の位置的なフィードバックを提供する。従って、システム100は、減圧供給源44が任意のさらなる吸引を提供し得るか、または膜150が減圧供給源44内で底に達しているかを知る。
医療流体で引き出すために、減圧ライン148は、ポンプチャンバの内側で、第1ポンプチャンバ壁および第2ポンプチャンバ壁を介して対の対向する膜へと減圧を引く。減圧は、ポンプチャンバの内側に対して膜を引く。このとき、コントローラー30は、バルブV1のみが開くように、バルブアクチュエーター26を制御する。膜を引っ張って離すことによって、充填ライン52において負圧が生じ、ここで、負圧は、医療流体または透析液を、供給バッグ14から、充填ライン52を通して、ポンプ120のポンプチャンバの内側の膜の間の容積によって作り出されるレセプタクル内に引く。
代替の実施形態において、ポンプ120は、膜の1つにおいて一定の減圧を維持し、ここで、対向する膜は、ポンプ作動を行う。流体をポンプで送り出すために、膜の一方または両方での減圧が開放される。膜(伸びて離れている)は、閉位置に跳ね戻る。この作動は、以下に詳細に記載される。
システム100はまた、システム10とはわずかに異なるバルブマニホルドを備える。システム100は、システム10よりも1つ少ないバルブを備える。システム100は、流体ヒーター16の直後に外部バルブ(システム10においてV3)を提供しない。明らかに、当業者は、システム10および100のバルブおよび流体流れラインを構成するために多くの方法を見出し得る。結果として、示されるシステム10および100のバルブおよび流体流れラインの構成は、単に実際的な例を表し、本発明はこれに限定されない。
(II.ハードウェアユニットおよび使い捨てユニット)
図3A、3B、4Aおよび4Bをここで参照して、システム10および100の両方が、ハードウェアユニット110および使い捨てユニット160を備える。1つの実施形態においてハードウェアユニット110は、携帯可能であり、人の家へおよび人の家から運ぶことが可能である。ハードウェアユニット110は、基部114および蓋116を備えるハウジング112を備える。1つの実施形態において、蓋116は、基部114に蝶番で取り付けられる。あるいは、蓋116は、基部から完全に取り外し可能である。いずれかのケースにおいて、蓋116は、ハウジング112の内側にアクセスを提供するために開かれて、患者または操作者が、ハードウェアユニット110内に使い捨てユニット160を配置し得、およびハードウェアユニット110から使い捨てユニット160を取り出し得る。ハードウェアユニット110は、任意の保護性、堅い、弾性および/または可撓性の材料(例えば、プラスチックまたは金属シート)から作製され得、装飾表面および/または仕上げ表面を有し得る。
一旦、使い捨てユニット160がハードウェアユニット110の内側に配置されると、操作者は、蓋116を閉じ、そしてハードウェアユニット110内に使い捨てユニット160を安全に収容するために1つ以上のロッキング機構またはラッチング機構118を使用する(図3B)。図4Aは、蓋116のラッチング機構118が取り付けられたハウジング112の膜119を図示する。ハードウェアユニット110は、ビデオモニター40を示し、これは、上記のように指令を入力するために関連するタッチスクリーン42を有し得る。タッチスクリーン42の代わりに、またはタッチスクリーン42に加えて、ハードウェアユニット110は、1つ以上の電気機械的スイッチまたはプッシュボタン43、124、125および127、アナログコントロール122ならびに/あるいは点灯したディスプレーを提供し得る。プッシュボタンまたはスイッチ43、124、125および127ならびにノブ122によって、患者または操作者は、指令および情報をシステム10および100に入力し得る。ビデオモニター40は、患者または操作者に処置情報126を提供する。
図3Bは、本発明のハードウェアユニット110についての寸法の1つのセットを示す。本発明のサイズおよび重量は、先の自動化透析システムより小さい。この特徴は、本発明のシステムの携帯性および使用の容易さに反する。このサイズおよび重量によって、このハードウェアユニット110は、標準的な宅配便(overnight courier service)によって経済的に輸送し得る。本発明のシステム10、100が故障した場合、置換ユニットは、次の治療のために時間に合わせて患者に経済的に輸送され得る。
1つの実施形態においてハードウェアユニット110は、約23〜30cmの高さおよび深さであり、示されるような1つの好ましい実施形態において、約25cmの高さおよび深さである。1つの実施形態においてハードウェアユニット110は、約32〜40cmの幅であり、示されるような1つの好ましい実施形態において、約34cmの幅である。従って、ユニット110の内部容積は、約17,000cm3〜約36,000cm3であり、1つの好ましい実施形態において、約21,250cm3(1310in3)である。断面図4Bは、このコンパクトな空間内に維持される多くの構成要素およびこれらの効率的な使用を適切に示す。全てのこれらの構成要素およびハードウェアユニット110は、約6〜9キログラム(kg)の合計質量を有し、1つの好ましい実施形態において、約7キログラムを有する。
図3A〜4Bはまた、ハードウェアユニット110の構造、構成およびレイアウトが、使用に対して簡便である自動化システムを提供することを示す。患者が相互作用しなければならないシステム10、100の構成要素は、ユニット110の頂部、正面および側面に配置される。流れ制御構成要素は、ヒーター116の下に配置され、これは、使い捨てユニットローディングステーションの下に配置される。モニター40およびコントロール43、122、124、125、および127は、ユニット110の正面に配置される。
ハードウェアユニット110は、ポンプ20または120およびリニアポンプアクチュエーター24(システム10が使用される場合)を備える。ハードウェアユニット110はまた、バルブモーター28、インラインヒーター16、種々のセンサー、減圧供給源44(空気ポンプモーター46およびコントローラー30を備える)、ならびに上記の他のハードウェアを備える、バルブアクチュエーター26を備える。図4Bは、ポンプ20または120のポンプチャンバ壁の1つが、ハウジングの蓋116に配置されることを示す。図4Bにおいて、ヒーター16は、ハウジング112の基部114に配置される。代替的にまたは追加的に、ヒーターは、蓋116に配置され得る。基部114はまた、対向するポンプチャンバ壁を備える。
図3A、4A、4B、5および6をここで参照して、使い捨てユニット160の種々の実施形態が図示される。実施形態の各々において、使い捨てユニット160は、一対の可撓性膜(上側可撓性膜162および下側可撓性膜164を含む)を備える。図6の使い捨てユニット160は、2対の可撓性膜(すなわち、膜対166および膜対168)を備える。膜対166および168の各々はまた、上側可撓性膜162および下側可撓性膜164を備える。
可撓性膜162および164は、任意の適切な滅菌性不活性材料(例えば、滅菌性不活性プラスチックまたはゴム)から作製され得る。例えば、膜162および164は、ブナ(buna)−N、ブチル、ハイパロン(hypalon)、kel−F、キナール(kynar)、ネオプレン、ナイロン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、シリコーン、ビニル、ビトン(viton)、またはこれの任意の組合せであり得る。可撓性膜のための1つの好ましい材料は、図13および14とともに以下に記載される。
膜162および164は、種々の配置で一緒にシールされて、流体通路および膜162と164との間のレセプタクルを作り出す。シールは、熱シール、接着剤シールまたは両方の組合せである。図3A、4A、5および6は、ほぼ円形のシール170が、膜162と164と間で実質的に円形の流体ポンプレセプタクル172を作り出すことを示す。ポンプレセプタクル172は、流体ポンプとともに作動する。シール170の代わりに、1つの代替的な実施形態は、膜を一緒に押してシールを形成するための基部114および蓋116についてである。図4Aおよび5は、1つの実施形態において、使い捨てユニット160は、使用の間に、一次シール170が漏れるかまたは分解する場合に、システム10および100を保護するための二次シール174を提供する。
図3A、4Aおよび4Bは、流体ポンプレセプタクル172が、蓋116においてポンプ20および120のクラムシェル形状の間で適合することを示す。流体ポンプレセプタクル172とともにハードウェアユニット110の基部114および蓋116によって規定されるクラムシェル形状は、本発明のポンプ20および120のポンプチャンバを形成する。基部114および蓋116のクラムシェル形状は、膜162および164において減圧を引くための1つ以上のポートを備える。この様式において、膜162および164は、基部114および蓋116のクラムシェル形状に向かって引かれ、このクラムシェル形状に一致し、それによって、レセプタクル172の内側に負圧を作り出し、この負圧は、ハードウェアユニット110の外側に配置される供給バッグ14からレセプタクル172内へと医療流体を引く。
図3A、4A、5および6は、ほぼ矩形の螺旋シール178が膜164と164との間に螺旋加熱通路180を作り出すことを示す。流体加熱通路180は、バルブマニホルド190から、螺旋部分を通って、バルブマニホルド190に戻る。図4Aは、流体加熱通路180が、ヒーター16の加熱プレートの間で一致し、これがハードウェアユニット110の基部114および蓋116内に存在することを示す。流体加熱通路180のいずれかの側に加熱供給源を提供することによって、医療流体が、迅速かつ効率的に加熱され得る。しかし、代替の実施形態において、ヒーター16は、使い捨てユニット160によって規定される流体加熱通路180の1つの側面に唯1つのヒーターを備え得るか、または使い捨てユニット160の各側面に複数のヒーターを備え得る。
上部膜および下部膜162、164は、本明細書中に記載されるように、加熱シーリング技術を使用して、使い捨てユニット160に取り付けられる。膜162および164は、使い捨てユニット160がヒーター160の上側プレートおよび下側プレートの間の予め規定された隙間の間に配置される場合、膜162および164が、拡大し、ヒータープレートに接触するように、拡大可能である。これによって、ヒーター16と膜162、164との間、および膜と医療流体との間で、伝導性加熱が行われる。予め決められた隙間は、使い捨てユニット160の厚みよりもわずかに大きい。詳細には、透析液が使い捨てユニット160の流体加熱通路180を通って移動する場合、螺旋に巻かれた流体加熱通路180の膜162、164が、螺旋シール178の間で拡大し、そしてヒーター16のプレートに接触する。
(A.膜の別々のセット)
図6の使い捨てユニット160は、図3A〜5の使い捨てユニット160と類似する。しかし、インライン流体加熱通路180は、流体ポンプレセプタクル172から別々の膜対166内に、およびバルブマニホルド190(別々の膜対168内に配置される)に配置される。一対の可撓性チューブ182および184(任意の適切な医療用等級のチュービングであり得る)は、バルブマニホルド190を流体加熱通路180に流体接続する。チューブ182および184は、任意の所望の手段(例えば、加熱シール、ボンディング、圧力嵌め)によって、または任意の他の永久的または除去可能な流体接続によって膜対166、168に接続され得る。ハードウェアユニット110内に配置される場合、ヒーター16は、他の実施形態におけるように、ヒーター膜対166の各側面を加熱する。
流体加熱通路180を流体ポンプレセプタクル172およびバルブマニホルド190から分離することによって、それぞれの対の膜が、異なる材料から作製され得る。加熱対166の膜162および164は、効率的に熱を伝導または放射することが望ましい。他方、流体通路対166の膜162および164が吸引力および機械的作動に耐えることが望ましい。従って、膜対166および膜対168について異なる材料を使用することが望ましくあり得る。
膜対166(ヒーター流体通路180を規定する)は、さらに、ハードウェアユニット110の基部114または蓋116から突出するペグと整列する整列穴176を規定する。本明細書中に開示される使い捨てユニット160の実施形態の各々は、整列穴176を備えるように構成され得、これは、ハードウェアユニット110のハウジング112内に使い捨てユニット160を適切に配置する際に患者または操作者を補助する。
(B.剛性フレームおよび曲がった側面)
図3A、4Aおよび5に示されるように、本明細書中に開示される使い捨てユニット160の実施形態の各々はまた、剛性または半剛性部材またはフレーム186を提供するように構成され得、これは、1つの実施形態において、使い捨てユニット160の膜162および164を囲むかまたは実質的に取り囲む。1つの実施形態において、剛性膜またはフレーム186は、滅菌性、不活性、剛性または半剛性のプラスチック、例えば、膜162および164について上に列挙されたプラスチックのうちの1つまたは組合せから作製される。フレーム186は、ハードウェアユニット110のハウジング112内に使い捨てユニット160を適切に配置する際に、患者または操作者を補助する。
1つの実施形態において、ハウジング112は、使い捨てユニット160のフレーム186がぴったり一致するピンまたはガイドを規定する。図5は、フレーム186が、ハウジング112のピンまたはガイド上に一致する開口部161を規定することを示す。フレーム186は、複数の開口部(例えば、161)を提供し、これは、ハウジング112によって提供される同じ数のピンまたはガイドに上に一致する。図5はまた、フレーム186が非対称な部材または食いつき部163を備えることを示す。食いつき部163は、フレーム186の他の側面に関してある角度(例えば、45°)を形成する。ハウジング112は、使い捨てユニット160を配置するための領域を規定または提供する。この領域は、フレーム186の非対称な形状を有するか、またはそれ以外で、単一の方向からハウジング112内にユニット160が配置され得るのみであるガイドを提供する。食いつき部163および協働するハウジング112は、患者がハウジング112内に使い捨てユニット160を配置する場合に、使い捨てユニット160の底がハウジング112内に配置され、そして流体入口/出口196が、適切な方向に面することを確実にする。
上で議論されるように、使い捨てユニット160は、バルブマニホルド190を備える。1つの実施形態において、バルブマニホルド190は、剛性または半剛性のプラスチック(例えば、膜162および164について上で列挙されるプラスチックのうちの1つまたは組合せ)から作製される。バルブマニホルド190は、上側および下部膜162および164によっていずれかの側面で覆われて、それによって、システム10および100のためのシールされた不活性な論理流れ経路を作り出す。
図5において、マニホルド190は、穴192およびスロット194を規定する。穴192は、バルブ(例えば、システム10のバルブV1〜V5)の位置を規定する。スロット194は、バルブから流体ポンプレセプタクル172、流体加熱通路180または流体入口/出口196へと流体通路を規定する。流体入口/出口196は、個々に、供給バッグ14、カテーテルライン56、患者121およびドレイン18に導かれる。流体入口/出口196は、図3Aによって対照されるように、種々の構成および配向を有し得る。ドレイン196はまた、当業者に公知の方法を介して、外部可撓性チューブに接続されるように構成され得る。
1つの実施形態において、剛性または半剛性のフレーム186は、図5に示されるように、曲がった側面187および189を備える。曲がった側面187および189は、膜162および164がフレーム186およびマニホルド190を熱シールまたは接着シールする前に、フレーム186とともに形成される。フレーム186および曲がった側面187および189は、押し出されたプラスチックまたは射出成型されたプラスチックであり得る。フレーム186は、1つの曲がった側面、全部より少ない任意の数を含み得るか、または全ての曲がった側面を有し得る。
示される実施形態において、側面187および189は、内向きに曲がり得るが、外向きに曲がっている。好ましい実施形態において、側面は、使い捨てユニット160のフレーム186の面の方向に曲がる。曲がった側面187および189は、フレーム186および使い捨てユニット160の剛性を増加する。従って、使い捨てユニットは、ハードウェアユニット110のハウジング112内により容易に配置される。曲がった側面187および189は、膜162および164をフレーム186およびマニホルド190上に熱シールするかまたは機械的に押すことに起因する、フレーム186の曲げまたは歪みの量を減少させる。
(C.熱シールインターフェース)
ここで、図7を参照して、膜162および164をマニホルド190に熱シールするための実施形態を示す。1つの実施形態において、マニホルド190は、上記のような剛性または半剛性のプラスチックから作製される。膜162および164を半剛性マニホルド190(1つの実施形態において、射出成型された構成要素である)に熱シールすることは、例えば、流体ポンプレセプタクル172のシール170において、個々の膜162および164を一緒に熱シールするよりも、異なる処理パラメーターを必要とする。特に、膜162および164をマニホルド190に熱シールすることは、より多くの熱、より多くの圧力およびより多くの加熱時間を必要とし得る。半剛性または剛性のマニホルド190は、個々の膜162および164よりもかなり厚い。結果として、薄い膜に対して、より厚いマニホルド190は、ヒートシンクとして働く。従って、薄い膜と厚いマニホルド190との間の結合は、薄い膜162と164との間の熱シール結合よりも多くの熱またはエネルギーを必要とする。
図3A、4A、5および6に示されるように、使い捨てユニット160は、膜からマニホルドへのシールおよび膜から膜へのシールの両方を必要とする。明らかな理由のために、1つの工程またはプロセスで使い捨てユニット160全体を熱シールすることが望ましい。薄い膜162または164の1つが燃焼または融解することを避けるように、熱シールプロセスを行うべきであることがまた明らかである。
図7は、種々の材料の間のヒートシンクの不均衡を解決するための1つの実施形態を示す。図7は、図5においてその全体が示されるマニホルド190の一部を示す。図5において、マニホルド190は、流体ポンプレセプタクル172に接続するポートを示す。このポートは、図7においてポート205として示される。図5はまた、流体加熱通路180に流体接続するマニホルド190から延びる2つのポートを示す。これらのポートは、図7においてポート201および203として示される。図5および図7の両方は、射出成型されたマニホルド190が複数の穴192およびスロット194を規定することを示す。穴192は、膜162および164によって囲まれる場合、流体経路を形成するように、バルブアクチュエーターおよびスロット194とともに作動する。
膜162および164をマニホルド190に対してシールするために必要な熱の量を減少するために、マニホルド190は、マニホルド190の残りの部分より薄い厚さを有する側面193を含む。このより薄い側面193は、より少ない質量を有し、そしてそれ故、一定厚さのマニホルドであり得るより局在化されない熱を吸収する。この側面193はまた、テーパー状の部分195を規定または含む。このテーパー状の部分195は、その上に膜162および164をシールするための平坦な表面を提供し、そしてまた膜162と164とを一緒に、1つの実施形態において、膜に対する膜のシールがまた、マニホルド190に対する膜シールに加えて作製され得るように位置決めする。
テーパー状のエッジ195は、膜162および164のための界面を形成し、マニホルド190に対してシールし、これは、シールすることを必要とするか、またはそうでなければ医療流体と接触し得るマニホルド190の側面193の連続ストレッチに沿って生じる。従って、図5に示されるように、入力/出力ポート196を規定するマニホルド190の側面は、図7に示されるようなテーパー状である必要はない。また、図7に示されるように、薄い側面193のテーパー状エッジ195は、ポート201、203、および205がマニホルド190から伸びる場所で不連続である。
ポート201、203、および205はまた、テーパー状エッジ207を形成する。テーパー状エッジ207は、膜162および164に対する部分を熱シールするための界面を形成する。上記で説明されるように、ポート201、203、および205のテーパー状エッジ207はまた、テーパー状エッジ207に対する膜のシールのすぐ次に膜に対する膜のシールが生じることを可能にする。好適な実施形態におけるテーパー状エッジ195および207は、ナイフ様エッジに向かって段階的にテーパー状になる。その他の実施形態では、テーパー状エッジ195および207は、丸みのあるエッジ、より鈍いエッジのような異なる形態または形状をとり得るか、または単に、マニホルド190の側面193から厚さがさらに減少され得る。図示されるように、1つの実施形態におけるポート201、203および205は、卵形開口を形成する。このテーパー状卵形開口は、円形外径であり得る場合よりも平滑な遷移角度を提供し得る。この卵形開口は、内側楕円の開口領域が適切な円形ポートの開口領域より小さくない限り、流体流れの観点からは、丸い開口と同様に挙動する。
これらポート201、203および205はまた、高くなった部分209を形成する。この高くなった部分209は、ポート201、203および205ならびにテーパー状エッジ207の上部に沿ってポリマー材料のベッドを形成する。これらベッドは、テーパー状エッジ195および/または側面193に沿ってさらに、またはそれらに代わり配置され得る。この高められた部分またはベッド209は、溶融または変形して膜162と164がマニホルド190に対してシールすることを可能にするフラックス様シーラントを提供するプラスチックの特別の薄い領域を提供する。これらベッドは、マニホルド190の周囲プラスチックより高い温度のプラスチックの集中ストリップを生成する。膜162および164は、マニホルド190のより大きな領域を加熱する必要なくして、このマニホルド190にシールする。上記高められた部分またはベッド209は、マニホルド190によって生成されるカーブした部分およびコーナーをシールすることを支援する。
(D.ワンピースチッププロテクターオーガナイザーおよび排出口をもつチッププロテクター)
ここで図8を参照して、ワンピースチッププロテクターオーガナイザー270の1つの実施形態が図示される。本発明の譲受人によって提供されるHOMECHOICE(登録商標)腹膜透析システムでは、使い捨てセットが予備梱包され、そして患者に提供される。患者は、パッケージを開け、ここで、各々のコンポーネントは、滅菌されており、そして使い捨てセット内に維持されている。この使い捨てセットは、使い捨てユニットおよびこの使い捨てユニットから出る多くのチューブを含む。本発明のように、このHOMECHOICE(登録商標)使い捨てユニットは、1つ以上の充填バッグチューブに接続する排液排出ライン、および患者移入セットに接続するチューブを含む。これらチューブの各々は、別個のチッププロテクターを必要とする。すなわち、例えば、エチレンオキサイドを用い、使い捨てユニットおよびチューブ類の内側を滅菌した後、これらチューブの端部は、システムの内側の滅菌が維持されるように、キャップをして離さなければならない。このHOMECHOICE(登録商標)システムは、各チューブのための別個のチッププロテクターを提供する。
本発明のワンピースチッププロテクターオーガナイザー270は、複数のチッププロテクター274、276、278および280を規定または提供する単一の本体272(これは、実際、複数ピースから作製され得る)を提供する。排出口をもつチッププロテクター270は、使い捨て可能なユニット160から発するチューブの末端でコネクターを収容および保護するのみならず、このワンピースチッププロテクター270はまた、透析治療のステップに従ってこれらチューブを組織化および並べる。図示される実施形態では、チッププロテクター274は、使い捨てユニット160の適切なポートに至る排液ライン285に接続される排液ラインコネクター284のためのチッププロテクターである。チッププロテクター276および278は、「Y」接続287/289に走るチューブ287および289の端部を接続するコネクター286および288を保護する供給バッグプロテクターであり、ここで、この「Y」接続287/289の脚は、使い捨てユニット160の適切なポートに走っている。チッププロテクター280は、患者液体ラインプロテクターである。チッププロテクター280は、使い捨てユニット160の適切なポートに走る患者チューブ292に接続されるコネクター290を収容し、かつ保護する。
1つの実施形態における、各チューブ285、上記「Y」接続287および289およびこの患者流体チューブ292は、4mmの内径および5mmの外径を有する塩化ポリビニル(「PVC」)から作製されている。図示されるように、ワンピースチッププロテクターオーガナイザー270は、種々のタイプの流体コネクターを受容および保護するよう適合可能である。使い捨てユニット160の排液ラインポートにチューブ285を経由して走る流体コネクター284は、1つの実施形態では、供給バッグ14から発するポートと大部分は同じである。供給バッグ14から発するポートはまた、供給バッグ286および288の鋭いステムにより穿孔される膜を含む。排液ラインコネクター284は、必要でない場合、供給バッグ14の膜を含まない。患者流体チューブ292の端部に接続するチッププロテクター290は、以下により詳細に論議される。
1つの好適な実施形態では、本発明のシステム10、100は、2つの6リットルの供給バッグ14を提供する。この2つの6リットルの供給バッグ14は、患者が眠っている間に、充填、滞留および排液サイクルを提供するために十分な流体である、経済的な量の腹膜透析流体を提供する。このワンピースオーガナイザー270は、従って、2つのチッププロテクター276および278を提供し、これらは、供給コネクター286および288を収容かつ保護する。代替の実施形態では、このワンピースオーガナイザー270は、任意の数の供給バッグチッププロテクターを規定または提供し得る。任意の数の供給バッグが、「Y」または「T」型管材リンクを経由してさらに接続され得る。
ワンチップオーガナイザー270は、最終バッグプロテクターのようなさらなるチッププロテクターを提供し得、これは、昼間の間に患者を充填するための最終充填のために十分な腹腔流体、例えば、2リットルを保持するバッグに走るラインを保護する。この場合、図示されていない、さらなる最終バッグチューブが、コネクターに接続され得、これは、充填バッグコネクター286および288と同じか、または類似であるバッグ穿孔コネクターであり得る。
チッププロテクターオーガナイザー270の本体272はまた、1つの実施形態では、PVCから作製される。あるいは、チッププロテクター274、276、278および280は、射出成形されるか、またはブロー成形され得る。あるいは、これらチッププロテクターは、本体272に別個に付与され得る。図8に見られるように、1つ以上のチッププロテクターは、個々のチューブコネクターを握り、かつ保持する際に補助するフルート、ねじ山またはその他の突出物を含み得る。さらに、オーガナイザー270は、本明細書では一般に「ワンピース」オーガナイザーと称されるが、このオーガナイザー270は、それ自身、任意の数のピースから構成され得る。「ワンピース」は、単一のユニットが多数のチッププロテクターを収容する特徴をいい得る。
ワンピースオーガナイザー270はまた、本体272の主要部分から外側方向に伸び、そして本体272の主要部分を取り囲むリム294を含む。ここで図9を参照して、ワンピースオーガナイザー270の断面は、患者流体チッププロテクター280に向かって排液ラインチッププロテクター274から下方にテーパー状になるリム294を示す。すなわち、リム294は、それが患者流体ライン端部にあるより、排液ラインでより高いか、またはより厚い。これは、ただ1つの配向で、ハードウェアユニット110にワンピースチッププロテクターオーガナイザー270が取り付けられることを可能にする。
図3Aは、1つの実施形態における、ワンピースチッププロテクターオーガナイザー270が、ハードウェアユニット110中に垂直にスライドすることを示す。このハードウェアユニット110は、ハードウェアユニット110の側壁から外側方向に伸びる一対の部材296を含み、かつ提供する。図3Bおよび4Aは、別の実施形態を示し、ここでは、オーガナイザー270のリム294が、ハードウェアユニット110のハウジング112のベース114によって規定または提供されるノッチ297中に垂直にスライドする。オーガナイザー270のリム294は、部材296と、ハードウェアユニット110の側壁との間でスライドする。これら部材296は、これらがハードウェアユニット110の上部に向かって伸びるとき、さらに外側方向に伸びる。これら部材296のテーパーは、オーガナイザー270のリム294のテーパーに対応し、その結果、オーガナイザー270は、1つの方向から垂直にハードウェアユニット110中にスライドし得る。
図9はまた、チッププロテクター274、276、278および280が、種々の断面形状を有し得ることを示す。チッププロテクターの各々は、個々のコネクター284、286、288および290の周囲をシールする一致する(solid)底および側面を含み、その結果、ワンピースオーガナイザー270は、患者がシールされた滅菌コンテナーから使い捨てセットを取り出した後でさえ、システムの滅菌度を維持する。図8および9中に示されるワンピースオーガナイザー270は、ハードウェアユニット110の側面に頑丈な様式でマウントされる。この一致接続を経由して、患者は、多くの場合で片手のみを用いてチューブ285、287、289および292を除去し得る。ハードウェアユニット110とオーガナイザー270との間のインターフェースは患者のための手順を単純化し、そして使用されるまで、チューブおよび関連するコネクターの一致した滅菌環境を提供する。
図3Aはまた、別の可能な実施形態を示し、ここでは、代替のワンピースオーガナイザー298が、使い捨てユニット160のフレーム186と一体であるか、またはそれによって提供される。ここで、示されるチューブ196は、一般に、ハウジング112中のチッププロテクター270の垂直配列に対向するとき、水平方向に組織化される。この水平のワンピースオーガナイザー298は、使用前にチューブを保護し、かつ組織する概念が、システム10の種々の場所および配向で提供され得ることを示す。
1つの実施形態では、チッププロテクターおよびオーガナイザー270は、チューブ285、287、289および292を下方に垂直順に構造化し、その結果、透析治療を開始するとき患者が引くことになっている最初のチューブが上部に提供され、患者が引くことになっている次のチューブが真ん中に提供され、そして最終のチューブが垂直方向に配向されたワンピースオーガナイザー270上で最も低く提供される。1つの好適なプロトコールによれば、患者は、最初、チッププロテクター274から排液コネクター284を除去し、そして排液ライン285を、トイレ、排液バッグまたはその他のドレインに走らせる。患者は、次に、供給コネクター286および288を取り出し、そして供給バッグ14を穿孔する(図1および2)。この時点で、透析液は、使い捨てユニット160に、およびシステム10全体にポンプ輸送され得る。システム10、100のコントローラー30は、サイクルのプライミングを開始し、これは、以下により詳細に論議される。
一旦プライミングが終了すると、システム10、100は、患者に、プライムされた患者ライン292を取外し、そしてそれを患者に移植された移入セットに接続することを促す。この移入セット(図示せず)は、患者の腹腔中に配置されたカテーテル、およびこのカテーテルに走るチューブを含む。このチューブはまた、コネクター290に接続されるコネクターを含む。この時点で、システム10、100は、患者12から消耗した腹腔流体をドレイン18に排液するか、または供給バッグ14の1つまたは両方から新たな流体を引き、そして患者の腹腔12を充填するかのいずれかを開始し得る。
ここで、図10〜12を参照して、本発明の患者ラインチッププロテクター280の1つの実施形態が示される。本発明の譲受人により生産されるHOMECHOICE(登録商標)システムは、患者コネクターが供給バッグと垂直方向にほぼ同じレベルで保持されることを可能にすることにより、患者流体ラインをプライムする。この様式では、HOMECHOICE(登録商標)システムが使い捨てユニットをプライムするとき、重力が、腹腔液を、患者流体コネクターの端部まで患者流体ライン中に腹腔流体を供給する。この患者流体コネクターは、腹腔流体が重力により患者ラインを通って供給されるとき、空気が自由に逃れるように開放されている。HOMECHOICE(登録商標)システムは、患者流体ラインが、複雑であり、かつ失敗しがちである、ポンプストロークをカウントすることなく、または既知容量の透析液を計測する必要なくして患者流体ラインがプライムされることを可能にする。
本発明のシステム10、100は、患者流体ラインの患者コネクターに丁度到達するが、それを超えないために必要である流体の量を算出する必要なくプライムする異なる装置および方法を提供する。図10は、排出口を有するチッププロテクター280中に挿入された患者流体コネクター290の断面を示す。図11は、患者流体コネクター290のみの断面を示す。図12は、チッププロテクター280のみの断面を示す。疎水性膜300は、チッププロテクター280の外側エッジ上に配置される。このチッププロテクター280は、チッププロテクター280の全長を通って走る流体管腔302を規定する。この疎水性膜300は、流体管腔302を覆う。この疎水性膜300は、患者流体ライン内側から空気をパージすることを可能にするが、水または腹腔流体がそれを通過して流れることは可能にしない。
疎水性膜300を含む、排出口を有するチッププロテクター280は、ワンピースチッププロテクターオーガナイザー270中に配置されているとは限らないことが理解されるべきである。図9は、ワンピースオーガナイザー270が、疎水性膜300および流体管腔302を有する患者チッププロテクター280をまさに含むことを示す。しかし、代替の実施形態における排出口を有するチッププロテクター280は、本発明の譲受人により提供されるHOMECHOICE(登録商標)システム上で用いられるものと同様に、別個の、または単独形のチッププロテクターとして提供され得る。
本明細書で採用される疎水性膜300のような疎水性膜は、市販され入手可能である。1つの適切な疎水性膜は、Millipore、80 Ashby Road,Beford,MA 01730により生産されている。図12は、疎水性膜が、チッププロテクター280に熱シールされるか、または音波によりシールされることを最も良く示す。1つの実施形態における流体管腔302は、直径が相対的に小さく、例えば、約50〜700ミリインチ(1.25〜1.75mm)である。
排出口をもつチッププロテクター280および患者流体コネクター290はまた、システム10、100が完全にプライムされるとき、チッププロテクター280およびコネクター290が、患者がチッププロテクター280から患者流体コネクター290を取外すとき漏れる流体の量を最小にするように協働する。このコネクター290は、図10に最も良く観察される雌ルアー306と対合する雄ルアー304を含むか、または提供する。この対合するルアー304および306は、腹腔流体が、チッププロテクター280の腔を満たすことを防ぎ、これらは、患者流体コネクター290のフランジ308を収容するに十分広くなければならない。図12は、コネクター290の雄ルアー304と、排出口のあるチッププロテクター280の雌ルアー306との間のシール界面が、雄ルアー304の周りに存在する内部容量310から容量を有意に、管腔302の直径の50000〜70000分の1に減少することを示す。
システム10、100をプライムするために、患者は、チッププロテクター274から排液ライン285を取外し、そしてそれをタッブ、トイレまたは排液バッグ18中に配置する。患者は、2つ以上の供給バッグコネクター286および288を取外し、そして供給バッグ14のシール膜(図示せず)を穿孔する。システム10、100は、次に、自動的にポンププライミングを開始し得るか、または患者入力に際し、ポンププライミングを開始し得る。いずれの場合でも、システム10、100は、供給バッグ14の1つまたは両方から、コネクター286および288ならびにチューブ287および289を通じて、使い捨て可能なディスポーザルユニット160中に、患者流体ライン292から、そしてなおワンピースオーガナイザー270の排出口をもつチッププロテクター280内に収容されている、患者流体コネクター290中にポンプ輸送する。オーガナイザー270は、図3Aおよび3B中に見られるように、ハードウェアユニット110中で垂直方向に収容されている。
腹腔流体が患者流体コネクター290に到達するとき、システム10内のほとんどすべての空気は、ワンピースチッププロテクター270内に収容されたチッププロテクター280の端部に取り付けられた疎水性膜300を通じて押され得る。この疎水性膜300の性質は、それが空気を通過させるが濾過せず、または水または腹腔流体をそれを通じて通過させないことである。従って、流体が最終的にその疎水性膜300に到達するとき、流体が流れる任意のさらなるスペースの欠如は、システム10、100内で圧力を増加させる。システム10、100は、例えば、圧力センサー68(図1および2において、FP1、FP2およびFPTとマークされる)のような、1つ以上の圧力センサーを提供する。
1つ以上の圧力センサー68は、疎水性フィルター300に対して逆流する腹腔流体に起因する圧力の増加も感知する。この圧力センサー(単数または複数)は、コントローラー30のI/Oモジュール36に信号を送る。コントローラー30は、信号を受け、そしてメモリーデバイス32にプログラム化されてダイヤフラムポンプ20、120をシャットダウンする。このようにして、システム10は、充填ライン287および289の各々、使い捨てユニット160および患者流体ライン292を、制御された容量算出または重力供給なくして自動的に自己プライムする。
システム10、100はまた、容量算出に基づき得る1つ以上の安全特徴を含む。すなわち、通常操作の下では、システム10、100は、容量算出を用いてプライミングを制御しない。しかし、例えば、患者が、システム10、100が圧力増加を感知してポンプ10、100を停止する前に、ワンピースチップオーガナイザー270の排出口を有するチッププロテクター280から患者流体コネクター290を取外す場合には、システム10、100は、アラーム算出を採用し得、ここで、システム10、100は、それが多すぎる腹腔流体をポンプ輸送したことを知り(例えば、システムの内部容量より多い所定量)、そしてそれ故、ポンプ20、120をシャットダウンする。
(III.使い捨てユニットのための膜材料)
ここで、図13および14を参照して、上部膜および下部膜162、164は、単層膜構造312(図13)または多層膜312(図14)から製作され得る。膜312は、PVC非含有ポリマー材料から構築され、そして多くの物理的性質要求を満足しなければならない。この膜312は、それがポンプ輸送要素として機能するために低圧力で変形され得るように、低い弾性率を有さなければならない。低い弾性率によって意味されることは、膜312が、ASTM D822に従って測定されるとき、約10,000psiよりイ少ない、より好ましくは約8,000psiより少ない、そしてなおより好ましくは約5,000psiより少ない、そして最後に、約3,000psiより少ない、またはこれらの数字によって規定される任意の範囲または範囲の組み合わせの弾性率を有することである。膜312は、インライン加熱を可能にする適切な熱伝導率を有さなければならない。膜は、Mathis Instrument Ltd.によって販売されるHot Disk(登録商標)を用いて測定されるとき、0.13W/m9−゜Kより大きい熱伝導度を有する。膜312は、カセット160に熱シールされ得るようでなければならない。膜312は、膜の有意な分解なくして、または透析溶液に対する悪影響を有することなく、γ線にさらすことにより、所定の時間の間(代表的には1時間)スチームに曝すことにより、およびエチレンオキシドに曝すことにより滅菌され得るようでなければならない。最後に、膜312は、50ft/分より大きい速度の高速度で成形され得るようでなければならない。
単層構造312は、約90重量%〜99重量%のスチレンおよび炭化水素コポリマーを含む第1の成分、および約10%〜約1%の溶融強度増強ポリマーそしてより好ましくは高融点強化ポリプロピレンのブレンドから形成される。
用語「スチレン」は、スチレン、およびアルキル置換スチレンおよびハロゲン置換スチレンを含む種々の置換スチレンを含む。アルキル基は、1〜約6の炭素原子を含み得る。置換スチレンの特定の例は、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、ビニルトルエン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−イソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、o−クロロスチレン、p−クロロスチレン、o−ブロモスチレン、2−クロロ−4−メチルスチレンなどを含む。スチレンが最も好適である。
スチレンおよび炭化水素コポリマーの炭化水素部分は、共役ジエンを含む。利用され得る共役ジエンは、4〜約10の炭素原子、そしてより詳細には、4〜6の炭素原子を含むような共役ジエンであり得る。例は、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン),2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、クロロプレン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどを含む。ブタジエンとイソプレンの混合物のような、これら共役ジエンの混合物もまた、用いられ得る。好適な共役ジエンは、イソプレンおよび1,3−ブタジエンである。
スチレンおよび炭化水素コポリマーは、ジブロック、トリブロック、マルチブロック、およびスターブロックを含むコポリマーであり得る。ジブロックコポリマーの特定の例は、スチレン−ブタジエン、スチレン−イソプレン、およびそれらの選択的に水素化された誘導体を含む。トリブロックポリマーの例は、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−イソプレン−スチレン、α−メチルスチレン−ブタジエン−α−メチルスチレン、およびα−メチルスチレン−イソプレン−α−メチルスチレンおよびそれらの選択的に水素化された誘導体を含む。
上記ブロックコポリマーの選択的水素化は、Raneyニッケル、白金、パラジウムなどのような貴金属、および可溶性遷移金属触媒のような触媒の存在下の水素化を含む、種々の周知のプロセスによって実施され得る。使用され得る適切な水素化プロセスは、ジエン含有ポリマーまたはコポリマーが、シクロヘキサンのような不活性炭化水素希釈剤中に溶解され、そして可溶性水素化触媒の存在下の水素との反応により水素化されるようなプロセスである。このような手順は、米国特許第3,113,986号および同第4,226,952号に記載され、これらの全体は、参考として本明細書中に援用され、そして本明細書の一部となる。
特に有用な水素化ブロックコポリマーは、ポリスチレン−(エチレン/プロピレン)−ポリスチレンブロックポリマーのようなスチレン−イソプレン−スチレンの水素化ブロックコポリマーである。ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンブロックコポリマーが水素化される場合、得られる生成物は、エチレンおよび1−ブテン(EB)の規則性コポリマーブロックに似ている。この水素化したブロックコポリマーは、しばしば、SEBSと呼ばれる。使用される共役ジエンがイソプレンである場合、得られる水素化生成物は、エチレンおよびプロピレン(EP)の規則性コポリマーブロックに似ている。この水素化したブロックコポリマーは、しばしば、SEPSと呼ばれる。共役したジエンがイソプレンとブタジエンとの混合物である場合、選択的に水素化した生成物は、SEEPSと呼ばれる。適切なSEBS、SEPSおよびSEEPSコポリマーは、Shell Oilによって、商品名KRATON下で、Kuraryによって、商品名SEPTON(登録商標)およびHYBRAR(登録商標)下で販売される。
共役ジエンおよびビニル芳香族化合物のブロックコポリマーは、α,β−不飽和モノカルボン酸試薬またはα,β−不飽和ジカルボン酸試薬とグラフト化され得る。このカルボン酸試薬には、カルボン酸それ自体、および無水物、イミド、金属塩、エステルなどのようなそれらの官能性誘導体が挙げられ、これらは選択的に水素化したブロックコポリマー上にグラフト化され得る。このグラフト化ポリマーは、通常、ブロックコポリマーとグラフト化カルボン酸のカルボン酸試薬との総重量に基づき、約0.1〜約20重量%、好ましくは約0.1〜約10重量%を含む。有用なモノ塩基性カルボン酸の具体的として、アクリル酸、メタクリル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、無水アクリル酸、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カルシウムおよびアクリル酸マグネシウムなどが挙げられる。ジカルボン酸およびその有用な誘導体の例として、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、メサコン酸(mesaconic acid)、イタコン酸、シトラコン酸(citraconic acid)、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノナトリウムなどが挙げられる。
スチレンおよび炭化水素のブロックコポリマーを含む第1の成分は、鉱油、パラフィン油、ポリブテン油などのような油を加えることによって改変され得る。このスチレンおよび炭化水素のブロックコポリマーに加えられる油の量は、約5%〜約40%である。この第1の成分はまた、第1の成分の重量に基づき、約20重量%までのポリプロピレンを含み得る。1つの特に適切な第1の成分は、Shell Chemical Companyによって、商品名KRATON G2705下で販売される油改変したSEBSである。
溶融強度向上ポリマーは、好ましくは、高融点強化ポリプロピレンである。適切な高融点強化ポリプロピレンは、ポリプロピレンのホモポリマーまたはコポリマーであり得、自由末端長鎖分岐を有しても有さなくてもよい。本発明の1つの好ましい形態において、高融点強化ポリプロピレンは、10グラム/10分〜800グラム/10分、より好ましくは10グラム/10分〜200グラム/10分の範囲内、または任意の範囲もしくはその範囲の組み合わせの溶融流動指数を有する。高融点強化ポリプロピレンは、プロピレン単位の自由末端長鎖分岐を有することが知られている。高融点強化特性を示すポリプロピレンを調製する方法は、米国特許第4,916,198号;同第5,047,485号;および同第5,605,936号に記載されており、これらは本明細書中において、参考として援用され、本明細書の一部を形成する。1つのこのような方法として、所定の環境において直鎖プロピレンポリマーを照射すること挙げられ、ここで、活性酸素濃度は、直鎖プロピレンポリマーの実質的な量の鎖切断が生じるのに十分であるが物質のゲル化を引き起こすのに不十分である時間(分)あたりの1×104メガラドの線量での高エネルギーイオン化照射した場合に、約15体積%である。この照射は、鎖切断を生じる。鎖フラグメントの後の組換えは、新しい鎖の形成を生じ、および鎖フラグメントが鎖に結合し分岐を形成する。これは、さらに、所望される自由末端長鎖分岐であり、高分子量の、非直鎖の、プロピレンポリマー材料を生じる。照射は、有意な量の長鎖分岐が形成されるまで維持される。次いで、この材料は、照射された材料に存在する全ての遊離ラジカルを実質的に不活化するために処理される。
高融点強化ポリプロピレンはまた、米国特許第5,416,169号(これは、本明細書中で全体を通して参考として援用され、そして本明細書の一部を形成する)に記載されるように、特定の有機パーオキシド(ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート)が特定の条件下でポリプロピレンと反応され、続いて溶融練り(melt−kneading)を行う場合に、得られ得る。このようなポリプロピレンは、実質的に1の分岐係数を有する直鎖の結晶性ポリプロピレンであり、それゆえに、自由末端長鎖分岐を有さず、約2.5dl/g〜10dl/gの固有粘度を有する。
適切なプロピレンのコポリマーは、プロピレンモノマーと、2〜20個の炭素を有するα−オレフィンとを重合させることによって得られる。本発明のより好ましい形態において、プロピレンは、コポリマーの重量を基準にして、約1重量%〜約20重量%、より好ましくは約1重量%〜約10重量%および最も好ましくは2重量%〜約5重量%の量で、エチレンと共重合される。プロピレンおよびエチレンコポリマーは、ランダムコポリマーまたはブロックコポリマーであり得る。本発明の好ましい形態において、プロピレンコポリマーは、単一部位触媒を使用して得られる。
このブレンドの成分は、当該分野で周知の標準技術を使用してブレンドされ得るか、または押出し成形され得る。フィルム312は、約3ミル〜約12ミル、より好ましくは5ミル〜約9ミルの厚みを有する。
図14は、第1の層314および第2の層316を有する多層フィルムを示す。図14は、二層の使用を示すが、本発明は、前述した材料特性要件が満たされる場合、二層より多くの使用を企図する。この第1の層314は、単層構造を作製するために使用される同じポリマーからなり得、本発明のより好ましい形態では、フィルムとカセット160とを結合するためのシール層を規定する。第2の層316は、非PVC含有材料から作製され得、好ましくは、ポリオレフィン、ポリブタジエン、ポリエステル、ポリエステルエーテル、ポリエステルエラストマー、ポリアミドなどおよびそれらのブレンドから選択される。連絡層(単数または複数)(示さず)は、第1の層314に追加の層を接着するために必要とされ得る。
適切なポリオレフィンとして、2〜20個の炭素原子、より好ましくは2〜10個の炭素原子を含むα−オレフィンを重合させることによって得られるホモポリマーおよびコポリマーが挙げられる。従って、適切なポリオレフィンとして、プロピレン、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチル−1−ペンテン、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1およびデセン−1のポリマーおよびコポリマーが挙げられる。最も好ましくは、ポリオレフィンは、プロピレンのホモポリマーまたはコポリマーあるいはポリエチレンのホモポリマーまたはコポリマーである。
ポリプロピレンの適切なホモポリマーは、アモルファス、イソタクチック、シンジオタクチック、アタクチック、ヘミイソタクチックまたはステレオブロックの立体化学を有し得る。本発明の1つの好ましい形態において、ポリプロピレンのホモポリマーは、単一部位の触媒を使用して得られる。
ポリプロピレンおよびα−オレフィンコポリマーのブレンドを使用することもまた、可能であり、ここで、プロピレンコポリマーは、α−オレフィンにおける炭素の数によって変動し得る。例えば、本発明は、プロピレンおよびα−オレフィンのコポリマーのブレンドを企図し、ここで、1つのコポリマーは、2個の炭素のα−オレフィンを有し、別のコポリマーは、4個の炭素のα−オレフィンを有する。2〜20個の炭素、より好ましくは2〜8個の炭素のα−オレフィンの任意の組み合わせを使用することもまた、可能である。従って、本発明は、プロピレンおよびα−オレフィンのコポリマーのブレンドを企図し、ここで、第1および第2のα−オレフィンは、以下の組み合わせの炭素数:2および6、2および8、4および6、4および8を有する。ブレンド中に、2個より多くのポリプロピレンおよびα−オレフィンコポリマーを使用することもまた、企図される。適切なポリマーは、catalloy手順を使用して得られ得る。
上で定義されるような高融点強化ポリプロピレンを使用することもまた、所望され得る。
適切なエチレンのホモポリマーとして、0.915g/ccより大きい密度を有するものが挙げられ、これには、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)および高密度ポリエチレン(HDPE)が挙げられる。
適切なエチレンのコポリマーは、エチレンモノマーを、3〜20個の炭素原子、より好ましくは3〜10個の炭素および最も好ましくは4〜8個の炭素を有するα−オレフィンと重合させることによって得られる。エチレンのコポリマーの場合には、約0.915g/cc未満、より好ましくは約0.910g/cc未満およびなおより好ましくは約0.900g/cc未満の、ASTM D−792によって測定された密度を有することが所望される。このようなポリマーは、しばしばVLDPE(非常に低密度のポリエチレン)またはULDPE(超低密度のポリエチレン)と呼ばれる。好ましくは、このエチレンα−オレフィンコポリマーは、単一部位の触媒を使用して、およびなおより好ましくはメタロセン触媒系を使用して、製造される。単一部位の触媒は、触媒部位の混合物を有することが知られているZiegler−Natta型触媒とは対照的に、単一の、立体的かつ電気的に等価な触媒位置を有すると考えられている。このような単一部位触媒したエチレンα−オレフィンは、Dowによって商品名AFFINITY下で、DuPont Dowによって商品名ENGAGE(登録商標)下で、およびExxonによって商品名EXACT下で販売される。これらのコポリマーは、しばしば本明細書中において、m−ULDPEと呼ばれる。
適切なエチレンのコポリマーにはまた、エチレンおよび低級アルキルアクリレートコポリマー、エチレンおよび低級アルキル置換アルキルアクリレートコポリマー、およびコポリマーの約5重量%〜約40重量%のビニルアセテート含量を有するエチレンビニルアセテートが挙げられる。用語「低級アルキルアクリレート」は、以下:
の図式1に記載の式を有するコモノマーをいう。
このR基は、1〜17個の炭素を有するアルキルをいう。従って、用語「低級アルキルアクリレート」には、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレートなどが挙げられるが、これらに限定されない。
用語「アルキル置換アルキルアクリレート」は、以下:
の図式2に記載の式を有するコモノマーをいう。
R1およびR2は、1〜17個の炭素を有するアルキルであり、同じ数の炭素を有し得るか、または異なる数の炭素を有し得る。従って、用語「アルキル置換アルキルアクリレート」は、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルエタクリレート、エチルエタクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルエタクリレートなどが挙げられるが、これらに限定されない。
適切なポリブタジエンには、1,3−ブタジエンの1,2−および1,4−付加生成物(これらは、集約的にポリブタジエンと呼ばれる)が挙げられる。本発明のより好ましい形態において、ポリマーは、1,3ブタジエンの1,2−付加生成物(これらは、1,2ポリブタジエンと呼ばれる)である。本発明のなおより好ましい形態において、対象のポリマーは、シンジタクチック1,2−ポリブタジエンであり、なおより好ましくは、低結晶性のシンジオタクチック1,2ポリブタジエンである。本発明の好ましい形態において、低結晶性のシンジオタクチック1,2ポリブタジエンは、50%未満、より好ましくは約45%未満、なおより好ましくは40%未満の結晶性を有し、なおより好ましくは、この結晶性は約13%〜約40%であり、最も好ましくは約15%〜約30%である。本発明の好ましい形態において、低結晶性のシンジオタクチック1,2ポリブタジエンは、約70℃〜約120℃の、ASTM D3418に従って測定した融点を有する。適切な樹脂として、等級表示:JSR RB810、JSR RB820、およびJSR RB830下で、JSR(日本合成ゴム)によって販売された樹脂が挙げられる。
適切なポリエステルとして、ジカルボン酸もしくはポリカルボン酸と、ジヒドロキシアルコールもしくはポリヒドロキシアルコールまたはジヒドロキシアルキレンオキシドもしくはポリヒドロキシアルキレンオキシドとの重縮合生成物が挙げられる。本発明の好ましい形態において、ポリエステルは、ポリエステルエーテルである。適切なポリエステルエーテルは、1,4シクロヘキサンジメタノール、1,4シクロヘキサンジカルボン酸およびポリテトラメチレングリコールエーテルを反応させることから得られ、一般にPCCEと呼ばれる。適切なPCCEは、Eastmanによって商品名ECDEL下で販売される。適切なポリエステルには、さらに、ポリブチレンテレフタレートのハード結晶セグメントよおびソフト(アモルファス)なポリエーテルグリコールの第2のセグメントのブロックコポリマーであるポリエステルエラストマーが挙げられる。このようなポリエステルエラストマーは、Du Pont Chemical Companyによって、商品名HYTREL(登録商標)下で販売される。
適切なポリアミドとして、4〜12個の炭素を有するラクタムの開環反応から生じるポリアミドが挙げられる。従って、この群のポリアミドとして、ナイロン6、ナイロン10およびナイロン12が挙げられる。受容可能なポリアミドとしてはまた、2〜13個の範囲内の炭素数を有するジアミンの縮合反応から生じる脂肪族ポリアミド、2〜13個の範囲内の炭素数を有する二酸の縮合反応から生じる脂肪族ポリアミド、二量体脂肪酸の縮合反応から生じるポリアミド、およびアミド含有コポリマーが挙げられる。従って、適切な脂肪族ポリアミドとして、例えば、ナイロン66、ナイロン6,10および二量体脂肪酸ポリアミドが挙げられる。
本発明の好ましい形態において、カセット160は、上部膜162および下部膜164と接着適合性である材料から作製される。接着適合性とは、膜が標準熱シーリング技術を使用してカセットに取り付けられ得ることを意味する。1つの特に適切な材料は、ポリオレフィンおよびスチレンおよび炭化水素コポリマーのポリマーブレンドである。より具体的には、このポリマーブレンドのポリオレフィンは、ポリプロピレンであり、なおより好ましくは、エチレンを有するポリプロピレンコポリマーであり、エチレン含量は、コポリマーの約1重量%〜約6重量%である。このスチレンおよび炭化水素コポリマーは、より好ましくは、上で定義されるようなSEBSトリ−ブロックコポリマーである。このポリプロピレンコポリマーは、ブレンドの約70%〜約95%、より好ましくは約80%〜約90%を構成し、SEBSは、約5%〜約30%、より好ましくは約10%〜約20%のSEBSを構成する。本発明の好ましい形態において、カセットを作製するために使用されるポリプロピレンは、膜を作製するために使用される高融点強化ポリプロピレンより低い融点を有する。本発明の好ましい形態において、カセット160のポリプロピレンは、約120℃〜140℃の融点を有し、フィルムの場合には約145℃〜160℃の融点を有する。このカセット160は、これらのポリマーブレンドから射出成形され得る。
上部膜162および下部膜164は、熱シーリング技術を使用してカセット160に取り付けられる。このフィルムは、フィルム欠陥または接着欠陥まで引張り器具を用いて試験した場合、5.0lbf/インチより高い剥離強度を有する。また、フィルムがカセットに取り付けられる場合、それは5psiの圧力下で変形され得る。このフィルムは、滅菌後でさえも、ポンピング要件を満たし続けるように、低いモジュラスおよび変形能特性を維持する。このフィルムは、延長した貯蔵期間を有する。このフィルムは、2年の貯蔵後でさえも、そのポンピング能力を維持する。
(IV.バルブアクチュエータ)
ここで、図15を参照すると、バルブアクチュエータ26とバルブマニフォルド190との間のインターフェースの1実施形態が例示される。バルブアクチュエータ26のバルブモータ28(例示せず)は、当業者に決定可能な機械的連結を介してカムシャフト200を駆動する。1実施形態において、単一のカムシャフト200は、一連のカム202、例えば、システム10または100におけるバルブの各々の1つに結合する。カム202は、カムシャフト200に固定され、カムシャフトと1対1の関係で回転する。
カム202はピストン204を駆動し、このピストン204は、例えば、ローラー206を介して、カムと摩擦減少した様式で係合する。このカム202は、ピストン204を上下に駆動する(5つのカムのうち2つのみが、アクチュエータ26の他の特徴を示すように結合したピストンを有するように示されている)。カム202は、その結合したピストン204を上に駆動する場合、このピストン204は、膜162または164(代表的には、下部膜164であり、これは図15において明瞭さのために示していない)のうちの1つと係合し、強固なマニホルド190によって規定された各ホール192内に膜を押し上げる。この作用は、各バルブを通して、医療流体または透析液の流れを停止する。
ピストン204はまた、各ハウジング208の内側にバネ装填されている。下方カムプロファイルがピストン204のうちの1つの下に現れるようにカムシャフト200が回転する場合には、ハウジング208の内側のバネは、ローラー206が各カム202との接触を維持するようにピストン204を押し出す。結果として、ピストン204は、強固なマニホルド190によって規定された各ホール192から離れ、ここで、ピストン204によって上向きに伸びている膜162または164は、その通常の形状に跳ね戻る。この作用は、各バルブを通して医療流体または透析液の流れを開始する。
モーター28は、1つの型、例えば、任意の所定の時間の間、僅かに回転、および停止および休止し得るステッパまたはサーボモータである。従って、モータ28は、必要な時間にわたりバルブを開放または閉鎖し続けることができる。カム202は、全ての流動状態において、隆起および谷の独特の組み合わせを提供するような形状にされている。例えばシステム10のバルブV2およびV3を用いた特定の状況において、このバルブは常に一緒に開放および閉鎖し、その結果、両方のバルブがカムシャフト200上で同じ様式で配向した同じカム202を使用する。
ここで、図16Aおよび図16Bを参照すると、カムシャフト200およびカム202は、比喩的に例示されている。図16Aは、複合カムプロファイル370、すなわち図16Bに例示されたカム202a〜202fの各々の組み合わせを例示する。図16Bは、カム202a〜202fがハブ384を介してカムシャフト200に載ることを例示する。ハブ384は、周知であるようなセットスクリーンを使用し得る。カムシャフト200はまた、ハブ384を整列するためのくぼみなどを有し得る。代替の実施形態において、カム202a〜202fの1個以上が、他のカムシャフト200と一体的に形成され得る。1実施形態において、カムシャフト200は、単一の成形片であり、これは、互いに対してカム202a〜202fが回転するのを防止する。この単一の成形されたカムシャフト200は、カム202a〜202fの複数または全てを支持するかまたは取り付ける。
図15において上で例示されるように、図16Bのカム202a〜202fの各々は、強固なマニホルド190の単一バルブヘッド192を作動するように、単一のピストン204およびローラー206を駆動する。カム202a〜202fは、各カムの形状に従って、バルブヘッド192を開放または閉塞する。図16Bは、カムシャフト200が6個のカム202a〜202fを支持することを例示する。図15は、5個のカム200を例示する。図16Bの実施形態において提供されるカムは、「ラストバッグバルブ開放」位置382によって例示されるラストバッグを開放するためにあり得る。システム10または100のいずれかは、ラストバッグを備え得る。このラストバッグは、患者がシステムからの連絡を切断し、通常の日常活動を再開する前に患者に約2リットルの最終透析液充填物である。
バルブモーター28およびバルブアクチュエータ26(図1および2)は、カムシャフト200を回転し、バルブヘッド192を開放または閉鎖し、所望の溶液通路を形成する。カムシャフト200上のカム202a〜202fの配置は、治療の間の任意の時間において、任意の所定の時間に1つより多くの通路は開かないように作製される。さらに、バルブアクチュエータ26が1つの通路開放位置から次の位置までカムシャフト200を回転する際に、一連のカム202a〜202fが、所定の時間、全てのバルブを閉鎖する。バルブの各々の閉鎖は、透析液が誤った方向に逆流または移動するのを防止する。なおさらに、カム202a〜202fは、使い捨てユニット160のバルブマニホルド190の1個のみのバルブヘッド192が任意の所定の時間に開放し得るように配置される。それ故に、システム故障または不慮の出力低下の場合には開放した通路は無い。この安全機能は、透析液が患者12内にフリーフローするのを防止するか、患者12に過剰充填するのを防止する。
ハードウェアユニット110のハウジング112のための蓋116は、使い捨て可能なユニット160をハードウエアユニット内に装填するために、操作者または患者によって自由に開放され得る。これが起こる場合には、コントローラ30は、複合プロファイル370によって例示される「全てのバルブ開放」位置372がローラー206およびピストン204の下に存在するように、カムシャフトが回転するように自動的に命令する。「全てのバルブ開放」位置372において、カムシャフト200は、くぼみがピストン204および結合したローラー206の各々の下に存在するように回転される。従って、ピストン204は、操作者または患者が使い捨て可能なユニット160およびバルブマニホルド190をハードウェアユニット110内に装填する際には、比較的低い位置に、すなわち常道を離れて位置する。これは、障害物に出くわしたりピストン206の1個以上による力に対向することなく、患者または操作者が使い捨て可能なユニット160をユニット110に配置するのを可能にする。
患者または操作者が、ハードウェアユニット110中に使い捨て可能ユニットを装填し、リッド116を閉める後、コントローラー30は、自動的にカムシャフト200を回転し、その結果「全てのバルブが閉じた」位置386aは、ピストン204およびローラー206の下にある。例示されるように、「全てのバルブが閉じた」386aは、「全てのバルブが開いた」位置372に隣接してある。カムシャフト200が、「全てのバルブが閉じた位置」386aに回転される場合、流体は、システム10、100を介して流れ得ない。カムシャフト200が、「全てのバルブが開いた」位置372から第1の「全てのバルブが閉じた」位置386aに回転する場合、機械的インターロック(示さず)はカムシャフト200中に移動され、これは、「全てのバルブが開いた」位置372へのカムシャフト200の逆回転を妨げる。これは、透析物の制御されない流れを妨げる。この制御されない流れは、操作者が治療の間にリッド116を開こうとするとき、各々のバルブヘッド192が開いている場合に生じ得る。
代替的な実施形態において、インターロックは、ソフトウェアを介して提供され得る。エンコーダは、コントローラー30に対する位置および速度フィードバックを提供する。従って、コントローラー30は、カムシャフト200の位置を知る。従って、コントローラー30は、「全てのバルブが開いた」位置372へのカムシャフト200の逆回転を妨げ得る。
患者がリッド116を閉じる場合、第2の機械的インターロック(示さず)が、リッドを適所にロックし、その結果患者は、治療の間リッド116を開くことが出来ない。システム10、100は、患者が患者12に埋め込まれたトランスファーセットから患者流体ライン292およびコネクタ290を取り除く場合、それを感知する。その後にのみ、システム10、100は、患者がリッド11bを開けるのを許容する。機械的インターロックは、空になること、溢れることを妨げ、患者が作動中のシステムに下手に手を加えることを妨げる。このバルブ形状は、誤りまたは電源が切れた場合、流体の流れを妨げるフェイルセーフシステムを提供する。
多くの場合において、患者が透析治療を始めるとき、患者は既に透析物で満たされている。従って、図16Aの例示される実施形態において、複合体プロファイル370は、「患者由来のバルブが開いた」位置374の隣の「全てのバルブが開いた」位置372を提供する。「患者由来のバルブが開いた」位置は、「排出バルブが開いた」位置376の隣にある。この様式において、治療開始の際、カムシャフト200は、ポンプ20、120と協同して患者から使用した透析物を排出し得るように直ちに配置される。カム202a〜202fのいずれかが、「患者由来のバルブが開いた」位置374、「排出バルブが開いた」位置376などを提供するカムであり得ることが、理解される。
第2の「全てのバルブが閉じた」位置386bは、「患者由来のバルブが開いた」位置374と「排出バルブが開いた」位置376との間にある。新しいバルブが開き、以前に開いたバルブが閉じる毎に、それぞれのバルブは直ちに閉まる。コントローラー30は、モーター(例えば、ステッパー、サーボモーターまたはDCモーターなど)およびアクチュエーター26に、カムシャフト200を、「患者由来のバルブが開いた」位置374の間に、「全てのバルブが閉じた」位置386bを過ぎて、「排出バルブが開いた」位置376へ、前後にカムシャフト200をトグルで止め得る。この様式において、ポンプ20、120は、患者12から流体を連続的に引き出し、ドレイン18中に排出し得る。
システム10、100が、最初の患者排出サイクルを完了するとき、コントローラー30は、モーター28のアクチュエーター26にカムシャフト200を「全てのバルブが閉じた」位置386cを過ぎて「供給バルブが開いた位置」378に回転させる。患者を新鮮な透析物で一杯に満たすために、コントローラー30は、カムシャフト200を、「供給バルブが開いた」位置378と「患者へのバルブが開いた」位置380との間の前後にトグルで留め、各々の場合、「全てのバルブが閉じた」位置386dを通過する。再び、排出サイクルおよび充填サイクルについて、1つのバルブヘッド192のみが、所定の期間開く。トグルで留めることは、常に1つのバルブヘッド192の閉鎖と別のバルブヘッドの開放との間の「全てのバルブが開いた」位置を含む。単一のポンプは、流体を使い捨てユニット160中に連続的に引っ張り、そしてこのユニットから流体を押す。
最初の充填後、カムシャフト200が配置され、その結果カムシャフト200は、「患者由来のバルブが開いた」位置374の間で、中間の「全てのバルブが閉じた」位置386bを過ぎて、「排出バルブが開いた」位置376まで、もう一度トグルで留め得る。患者がもう一度空になる場合、カムシャフト200は、配置されて、その結果カムシャフトは、「供給バルブが開いた」位置378と「患者へのバルブが開いた」位置380との間で前後にトグルで留められ得る。システム10、100は、必要な数だけこの一連のサイクルを繰り返す。代表的に、患者は、1回の充填サイクルにおいておよそ2〜2.5リットルの透析物を受け取る。2つの供給バッグ14は、各々一つの実施形態において6リットルの透析物を有する。これは、システム10、100に4回から6回の完全な充填、休止および排出サイクルを提供し、これは、例えば、患者が眠っている夜の間に提供される。
多くの場合において、患者は、治療の最後に最後のバッグ充填を受け、これを患者は1日間有する。この手順を行なうために、カムシャフト200は、「患者由来のバルブが開いた」位置374の間に、「排出バルブが開いた」位置376へ、前後でトグルで留められ、前に充填された腹膜流体をドレイン18に排出する。その後、カムシャフト200が配置されて、「最後のバッグバルブが開いた」位置382と「患者へのバルブが開いた」位置380との間の前後でトグルで留める。これを行なう際に、カムシャフト200は、全てのバルブが閉められた位置の1つ、すなわち、「全てのバルブが閉められた位置」386eを過ぎて回転する。
このシステムの用意をするために、カムシャフト200は、多くの異なる方法で配置され得、トグルで留められ得る。1つの実施形態において、カムシャフト200は、「供給バルブが開いた」位置378と「排出バルブが開いた」位置376との間の前後でトグルで留められ、「全てのバルブが閉じた」位置386cを通過する。ポンプ20またはポンプ120と協同されるこのトグル止めは、透析物が供給バッグ14から使い捨てユニット160を介して、ドレイン18に流れさせる。別の実施形態において、図8〜12と関連されて例示される排気口のあるチッププロテクタ280を使用して、カムシャフト200は、「供給バルブが開いた」位置378と「患者へのバルブが開いた」位置380との間の前後でトグルで留める。これは、透析物を、バッグ14から、使い捨てユニット160を通って、排気口のあるチッププロテクタ280の末端への患者流体ライン292中へ、流させる。透析物が排気口のあるチッププロテクション28に到達すると、システム10、100中の圧力は上昇し、シグナルがコントローラー30により受けられ、これはポンプ20、120にポンプ作動を止めさせ、カムシャフト200のトグル留めを外させる。
(V.医療流体ポンプ)
(A.ポンプハードウェアおよび操作)
図17Aおよび図17Bを参照して、ポンプ20の一つの実施形態が、例示される。ハードウェアユニット110のリッド116は、上部チャンバー壁216を規定する。下部チャンバー壁218が、ハードウェアユニット110のハウジング112中に配置される(図3A〜4B)。チャンバー壁216および218は、内部チャンバー210を規定する。チャンバー210は、任意の所望される形状(例えば、図17Aおよび図17Bに例示される様なクラムシェル形状)を有し得る。
下部チャンバー壁218は、密封された開口部219を規定または提供し、この開口部は、ポンプ位置212がチャンバー210中で前後に移動することを可能にする。ピストン212は、ピストンヘッド214に取りつけられ、または完全に一緒に形成されている。1つの実施形態におけるピストンヘッド214は、上部チャンバー壁216の内部形状と類似のまたは同一の外部形状を有する。
ポンプピストン212は、リニアアクチュエーター24に接続され、または完全に一緒に形成される。1つの実施形態におけるリニアアクチュエーター24は、ボールスクリューのようなデバイスであり、これはモーター22の回転運動をピストン212の並行運動に変換する。1つの好ましい実施形態において、モーター22は、並進して移動するシャフトを出力するリニアステッパーモーターである。ここで、アクチュエーター24は、モーターシャフトをピストン212に簡単に結合し得る。リニアステッパーモーターまたは回転ステッパーモーターは、静かな直線的移動を提供し、非常に高度な位置解像度、精度および反復性を提供する。ステッパーモーターは、例えば、Hayden Switch and Instrument Inc.,Waterbury,CTから市販されている。
上記のように、可撓性の流体容器172(図17Aに見られるが、図17Bに見られない)が、使い捨てユニット160の伸張可能な上部膜162および下部膜164それぞれにより規定される。図17Aにおいて、ポンプ20が、医療流体で満たされる場合、ポンプチャンバー210および膜容器172は、実質的に同じ形状を有する。図17Bにおいて、ポンプ20が、医療流体の全てまたはほとんど全てを置き換える場合、ポンプチャンバー210は、同じ容積を保つが、流体容器172の膜162および164は崩壊して、上部チャンバー壁216の内部表面に沿って実質的にゼロ体積になる。
ポンプ20のための真空供給源44は、図1に関連して上に記載される。真空供給源44は、開口部またはポート222を介して上部膜162上に真空を及ぼす。開口部またはポート222は、上部チャンバー壁216を介して延びる。真空供給源44は、ハウジング223により規定または提供される開口部221を介して、そしてポートまたは開口部220を介して、下部膜164上に真空を及ぼす。ポートまたは開口部220は、ピストン212を介して延び、ピストン212は、ピストンヘッド214を備える。真空が適用される場合、下部膜164は、ピストンヘッド214を密封する。上部膜162は、上部チャンバー壁216を密封する。
ポート222は、上部チャンバー壁216の内部壁により規定されるチャネル(示さず)に流体で接続する。チャネルは、種々の方向でポート222から外部へ放射状に延びる。チャネルは、ポート222を介して適用される負の圧力を分散し、上部膜162が上部チャンバー壁216の内部形状に実質的に適合することをさらに可能にする。同様の様式において、ピストンヘッド214の外部表面が、放射状に延びるチャネルを備え、下部膜164が、真空の適用の際にピストンヘッド214の外部表面に実質的に適合することをさらに可能にし得る。
ポンプ20がまた、上部チャンバー壁216と下部チャンバー壁218それぞれとの間に張ったダイヤフラム232を備える。ダイヤフラム232は、上部チャンバー壁218と一緒に、既知の予測可能かつ反復可能な透析物の最大体積を規定し、これは、1つ以上の供給バッグ14から引っ張られ得、患者12に輸送され得る。ダイヤフラム232はまた、部分的ストロークの容積が特徴付けられることを可能にし、これはまた、正確かつ反復可能な容積測定を可能にする。
ダイヤフラム232は、ピストンヘッド214の下に、およびピストン212の周りに配置される。真空がポートまたは開口部220に適用される場合、ダイヤフラム232および下部膜164が、ピストンヘッド214に対して引っ張られる。ピストンヘッド214が、開口部220を介して適用される真空を有して、下部チャンバー壁218から離れて上部に作動される場合、膜164およびダイヤフラム232は、ピストンヘッド214に引き寄せられるままである。膜164の内部部分は、ピストンヘッド214の外部表面の形状に適合する。膜164の残っている外部部分は、ダイヤフラム232の曝露された表面の形状に適合する。
1つの実施形態においてダイヤフラム232は、可撓性の成形されたカップ形状のエラストマーおよび布地補強材(例えば、布地補強されたエチレンプロピレンジエンメチレン(「EPDM」))を含む。布地は、エラストマーで完全に成型され得る。布地は、圧力下でのダイヤフラムの所望されない変形を妨げる。ピストン212およびヘッド214が下部チャンバー壁218に向かって下に延びて動き、ダイヤフラム232を上部チャンバー壁216および下部チャンバー壁218のクリンプされた端に沿って引っ張る場合、ダイヤフラム232は、伸張し得る。ピストン212およびピストンヘッド214が上部チャンバー壁216に向かって上側に移動する場合、ダイヤフラム232はまた、移動し、ピストンヘッド214に密封されたままである。
ポンプ20を操作する際に、負の圧力は、ポート222を介して一定に適用され、上部チャンバー壁216に対して上部膜162を支える。使い捨てユニット160のマニフォールド190(図3Aおよび5を参照のこと)は、膜容器172に対する流体ポート開口部230を規定する。流体ポート開口部230は、医療流体または透析物が、膜容器172に入りおよび出ることを可能にする。膜容器172は、上部チャンバー壁216および下部チャンバー壁218のクリンプされた端とともに適所に置かれる。容器172のシール170は、上部チャンバー壁216および下部チャンバー壁218のクリンプされた端のわずかに内側に、実際には備えられる(図4Aを参照のこと)。
ポンプ充填ストロークの間に、上部チャンバー壁216に対して真空プレスされた上部膜162ならびにピストンヘッド214に対して真空プレスされた下部膜164およびダイヤフラム232を有して、モーター22/アクチュエーター24が、ピストンヘッド214を下部チャンバー壁218に向かって下に移動させ、可撓性容器172内の容積を増大させ、容器中の負の圧力を作製する。この負の圧力は、現在のバルブ配置により決まるように、供給バッグ14または患者12から透析物を引っ張る。開いた容器172は、流体で満ちる。この過程は、ポンプが図17Bの位置から図17Aの位置に移動する場合に起こる。図17Aは、容器172が完全に開いた(すなわち、流体で満たされた)ストロークの終わりでのポンプ20を示す。
患者充填ストロークまたは排出ストロークの間に、上部チャンバー壁216に対して真空プレスされた上部膜162ならびにピストンヘッド214に対して真空プレスされた下部膜164およびダイヤフラム232を再び有して、モーター22/アクチュエーター24が、ピストンヘッド214を上部チャンバー壁216に向かって上に移動させ、可撓性容器172内の容積を減少させ、容器中の正の圧力を作製する。この正の圧力は、現在のバルブ配置により決まるように、容器172から患者12またはドレイン18へ透析物を押す。容器172は、下部膜164が上部膜162に向かって上に動く場合に、閉じる。このプロセスは、ポンプが図17Aの位置から図17Bの位置に移動する場合に起こる。図17Bは、容器172が空または実質的に空である、ストロークの終わりでのポンプ20を示す。
気体(本発明の目的のための「気体」は、空気および存在し得る他の気体(特に患者の腹腔から漏れたもの)を含む)が、流体容器172内に入り、これは精度を保つためにパージされなければならない。気体が膜162と膜164との間に入る場合、現在好ましいシステム10、100は、膜162と膜164との間の真空を引っ張る能力を有さない。しかし、膜162と膜164との間の伸縮性が、自然にそこから気体をパージする傾向がある。代替的な実施形態において、システム10、100は、膜162と膜164との間の真空を引っ張って、そこから気体をパージする真空供給源を提供するように適合され得る。
膜の間から気体をパージするために、システム10、100はまた、正の圧力源を提供する。例えば、システム10、100において、ポンププロモーター46は、通常の操作の逆に用いて、真空供給源44を生じる代わりに(図1および2)、正の圧力を生じる。システム10は、気体が膜162と膜164との間、または使い捨てユニット160もしくはチュ−ビングにおける他の所で検出される場合に、上部チャンバー壁216中の開口部またはポート222を介して正の圧力を適用する。1つのパージ手順において、コントローラー30は、モーター22/アクチュエーター24にピストンヘッド214を正のストロークまたは負のストロークのいずれかでおよそ中間点まで移動させる。上部チャンバー壁216に対して真空プレスされた上部膜162、ならびに中間点にて保たれたピストンヘッド214に対して真空プレスされた下部膜164およびダイヤフラム232と共に、コントローラーは、開口部222を介して負の圧力源を正の圧力源に変化させ、これは、上部膜162を下部膜164に対して適合して押し、これは、ピストンヘッド214とダイヤフラム232により支持される。容器172中にある気体または流体は、パージされて容器172とドレイン18との間の任意の気体として排出される。
(B.静電容量容積センサー)
図17Aおよび図17Bはまた、ポンプ20がシステム10の静電容量流体容積センサー60の実施形態と協同することを例示する。静電容量センサー60の1つの実施形態は、参考として本明細書中で援用される特許出願表題「Capacitance Fluid Volume Measurement」シリアル番号10/054,487(2002年1月22日出願)により詳細に開示される。静電容量センサー60は、静電容量測定技術を使用してチャンバー内の流体の容積を決定する。流体の容積が変わるにつれて、静電容量の変化に比例する感知される電圧が、変化する。従って、センサー60は、チャンバーが、例えば、空であるか、8分の1充填か、4分の1充填か、半分充填か、充填かまたは任意の他の割り合いで充填されているかを決定し得る。これらの測定の各々は正確に、例えば、少なくとも既知の重量測定目盛りまたは圧力/体積測定により達成される精度の桁で、行われ得る。しかし、本発明は、より単純で、非侵襲性で、安価であり、一群の操作である医療操作を必要としない。
一般に、2つのコンデンサー板の間の静電容量Cは、関数C=kx(S/d)に従って変化し、ここでkは、誘電関数であり、Sは、個々のプレートの表面領域であり、そしてdは、プレートの間の距離であるプレートの間の静電容量は、関数1/(RxV)に従って比例して変化し、ここでRは、既知の抵抗であり、そしてVは、コンデンサー板の間で測定される。
医療流体または透析物の誘電定数kは、気体の誘電定数よりもはるかに大きく、ピストンヘッド214が図17Bに例示されるように上部チャンバー壁216に対して底につけられる場合、この医療流体または透析物が代表的にポンプチャンバー210を満たす。従って、拡張および収縮する容器172の間の低誘電率置換流体ならびに下部チャンバー壁218は、基底コンデンサープレート224と活性コンデンサープレート226との間の静電容量にいくらかの効果を有し得る。コンデンサープレートおよび移動する膜164の表面領域S等が、静電容量にいくらかの効果を有し得る。確かに、高誘電率の透析物から低誘電率の気体を置換すること(またはその逆)で全体の誘電率を変えることが、プレート224とプレート226との間の全体の静電容量に作用する。
膜162および膜164が、拡張し、医療流体で満たされるので、全体の静電容量は変化する(すなわち、増加する)。センサー60は、基底コンデンサープレートおよび活性コンデンサープレートを横切る高インピーダンス電位を生成する。高インピーダンス電位は、容器172中の流体の量を指示する。電位が変化すると予測されるとき、電位が経時的に変化しない場合、センサー60はまた、容器172中で気体の量または部分を示し得る。
静電容量感知回路は、高インピーダンスシグナルを増幅し、低インピーダンス電位を生じる。低インピーダンス電位はまた、ガードプレート228にフィードバックされ、これは感受性シグナルが、外部の電気的影響から作用されることを防ぐ。増幅した電位は、デジタルシグナルに変換され、そしてプロセッサ34に供給され、ここでこれは濾過され、そして/または合計される。次いで、ビデオモニター40が使用されて、患者または操作者に対して容積指示および/または流速指示を視覚的に提供し得る。さらに、プロセッサ34が、合計した出力を使用してシステム10のポンプ20を制御し得る、例えば、所定の全体の体積に達する際に透析流を止め得る。
ここで図18を参照して、システム100のポンプ120が、本発明の静電容量センサー60との操作において例示される。ポンプ120は、第1の部分246および第2の部分248とクラムシェルを形成し、これらは一緒になってポンプチャンバー250を形成する。部分246および248は、ハードウェアユニット110のベース114およびリッド116における堅く、固定された容積の、ディスク形状の刻み目である。クラムシェル第1部分246および第2部分248は、使い捨てユニット110のポンプ容器部分上で閉められ、かつ密封される。これは、拡張可能な膜162および164を備える。
開口部(openingまたはaparture)252は、第1のクラムシェル部分246および第2のクラムシェル部分248と可撓性の膜162および164との間に規定される。開口部252は、医療流体、例えば、透析物が、容器部分172中の膜162と164との間にチャンバー250を入れ、および出すことを可能にする。容器部分172は、バルブマニフォールド190と流体で連絡している。
図18は、緩んだ状態での膜162および164の両方を有する空の状態でのポンプチャンバー250を示し、その結果、可撓性の容器部分172が閉められる。空の容積状態が、膜162および164が崩壊した場合に達成され、その結果実質的に全ての流体が、滅菌した容器172および同様なポンプチャンバー250から取り除かれる。
空の容積状態が、例えば、弾性の膜162、164が、図18に示されるような緩和した、緊張のない状態に戻らせることにより、達成され得る。また、膜162および164の両方が、お互いに対してまたはポンプチャンバー250の内部部分246および248のいずれか1つに対して一緒にされ得る。ポンプチャンバー250が、満ちた状態になると、医療流体が、膜162と膜164との間にあり、ここで膜は、部分246と248の内部壁に対して吸引された。
膜162および164の一方または両方のいずれかが、任意の適切な流体活性化デバイスによって、クラムシェル部分246および248に向かってまたはこれらのクラムシェル部分から移動し得ることが理解されるべきである。種々の実施形態において、ダイアフラムポンプは空気圧または水圧で作動される。
システム100のダイアフラムポンプ120は、システム10のポンプ20がそうであるように、別個のピストンも機械式アクチュエータも必要としない。これらのクラムシェル部分246および248は、それぞれ、ポート254および256を規定して、移動流体(例えば、空気流体または水流体)をレセプタクル172の外側のチャンバ領域へのまたはこのチャンバ領域から移動させて、このダイアフラムポンプを作動する。
一実施形態において、医療流体(例えば、透析液)は、チャンバ250中のレセプタクル172に吸引される。レセプタクル172(膜162および164によって規定される)は、負圧をチャンバポート254および256の一方または両方に付与することによって、医療流体で満たされ得る。この医療流体は、正圧をポート254および256の少なくとも1つに付与することによって、または膜162および164をある形状にもどすことによって、レセプタクル172から空になり得る。代替の実施形態において、医療流体(例えば、透析液)は、外部源から加圧されて、膜162と164との間のポンプチャンバ250内におよびこのポンプチャンバから移動する。
クラムシェル部分246および248は、静電容量センサ60のキャパシタープレートを形成しそして保持する。一実施形態において、上側クラムシェル部分246は、電気絶縁層またはプラスチック層の間に、活性金属を含むか、またはそうなければ、伝導性キャパシタンスプレート258を含む。金属ガードプレート260は、この上側クラムシェル部分246の外側プラスチック層上に設けられる。このガードプレート260は、活性キャパシタープレート258から伝わる高インピーダンスシグナルに対してノイズ保護を提供する。
システム10のポンプ20と同様に、システム100のポンプ120の上側クラムシェル部分246の活性キャパシタープレート258は、静電容量感知回路に電気的に連結される。ガードプレート260も同様に、上記のように、静電容量感知回路のフィードバックループに電気的に連結される。
一実施形態において、下側クラムシェル部分248はまた、不活性プラスチックから製造され、ここで、金属キャパシタープレート262が、この下側クラムシェル部分248の外側表面に取り付けられる。このクラムシェル部分248の外側に配置された金属キャパシタープレート262は、電気的に接地される。
一実施形態において、負圧は、下側ポート256で一定に維持され、その結果、下部膜164が押されて、多数の充填および排出サイクルの間、接地されたクラムシェル部分248の内側表面と一致する。この実施において、上部膜162は、ポンピング作業を実施する。すなわち、負圧が上側クラムシェル246の上側ポート254に付与された場合、上部膜162は、上側クラムシェル246に吸い上げられ、そしてこの上側クラムシェル246の内側表面と一致する。この作用は、流体を、供給バッグ14からマニホルド190を通ってレセプタクル172まで汲み上げる。流体を排出するために、負圧が上側ポート254から放出され、ここで上部膜162は圧潰して、この流体をレセプタクル172から押し出す。あるいは、正圧が、ポートの1つまたは両方を通して付与される。
作動中、静電容量センサ60は、実質的に図17Aおよび17Bに記載されるように作動する。レセプタクル172は、部分246と248との間で膨張する。膨張および収縮レセプタクル172と部分246および248との間の低誘電性移動流体の可変距離(Δd)は、接地板262と活性プレート258との間の静電容量に対するいくらかの影響を有し得る。同様に、接地プレートおよび活性キャパシタンスプレート、ならびに膨張膜によって規定される表面積(S)は、全静電容量に対するいくらかの影響を有し得る。確実に、高誘電性透析液から低誘電性の空気へ(またはその逆)全誘電性を変化させることは、プレート258と262との間の全静電容量に影響を与える。
膜162および164が膨張し、そして医療流体で満たされると、静電容量は、変化する(すなわち、増加する)。チャンバ250内の医療流体の各異なる量は、固有の全静電容量を有する。従って、固有の静電容量値は、チャンバ内の各流体比容量(例えば、実質的に空、部分的に充填または実質的に充填)に関連し得る。
上記の静電容量体積センサ60の代替として、自動化システム10および100を通って流れる透析液流体の容量は、電子天秤のような他の方法を使用して決定され得る。このような場合、この電子天秤は、このシステムのプライミングの間にこのシステムに供給される透析液の量の軌道を維持する。この電子天秤はまた、透析処置の間にこのシステムに加えられる任意の追加の透析液をモニタリングする。
他の代替の実施形態に置いて、本明細書中に記載される任意のシステムが、ボイルの法則(これは当業者に公知である)を用いて、他のタイプのフローメータまたはデバイスを使用して検出され得る。さらに、種々の他のタイプの流体容量測定デバイスまたは流速デバイス(例えば、オリフィスプレート、マスフローメータまたは当業者に公知の他のフロー測定デバイス)が、自動化システム10および100と共に使用され得る。
(VI.精密な圧力制御)
上記のように、システム10は、バルブアクチュエータ24およびポンプモーター22を用いる。一実施形態において、このポンプモーター22は、ステッパーモーターである。別の実施形態において、モーター22は、DCモーターまたは他のタイプの交換可能かつ正確に位置決め可能なモーターであり得る。これらのタイプのモーターの各々によって、システム10はピストン212およびピストンヘッド214をポンプチャンバ210内に非常に正確に位置決めし得る。高制度のロータリーモーター22の場合、アクチュエータ24は、回転運動を並進移動に正確に変換し、そしてシステムの精度および再現性の要件内でピストン212をチャンバ210内で前後に動かす。一実施形態において、リニアステッパーモーターの分解能は、約0.0012インチ/ステップ〜約0.00192/ステップである。
ポンプモーター22はまた、プログラム可能である。このポンプモーター22のプログラム可能な性質は、加速度データ速度データおよび位置データをコントローラ30に入力し得、ここでこのコントローラ30は、この情報を使用して、ピストン212およびピストンヘッド214をポンプチャンバ210内に、適切な時間内で位置決めして、所望の量の力または流体圧を生成する。ピストンヘッド214の加速度、速度および位置を予め設定する能力は、空圧シグナルに対して比較的緩慢に応答する純空圧式システムを越える利点を提供する。
例えば、図8と関連して記載されるPVC医療チューブ、および図13と関連して記載される膜材料の可撓性により、システム10は、「コンプライアンス」として知られるものを有し得る。コンプライアンスは、例えば、ポンプピストン212およびポンプヘッド214を動かすことによって、システム10が流体圧を生成しようとする場合に生じるが、その代わり、可撓性チューブおよび膜を膨張させる。可撓性チューブおよび膜を用いて、コンプライアンスは不可避である。最終的に、チューブおよび膜がそれらの弾性限度まで膨張した場合、ポンプチャンバ210内(すなわち、レセプタクル172内)およびこのチューブ全体にわたる圧力は急激に上昇する。これらのチューブならびに膜162および164のコンプライアンスに可能な限り迅速に打ち勝ち、その結果、圧力が流体を駆動するように生成され得ることが所望される。
本発明は、ハイブリッド圧力制御システムを使用し、これはポンプピストンの加速度および速度を予め設定する能力と適応圧力制御スキームを組み合わせ、このことにより、圧力は、任意の所定のストロークのために所望の圧力設定点に到達し得、そしてこの圧力は、長時間に渡って、すなわち、繰り返しストロークにわたって微調整され得る。すなわち、本発明は、このシステム内の圧力を制御する方法を使用し、これは第1にシステムコンプライアンスに打ち勝つことを必要とし、次いで、所望の圧力設定点に達することを必要とする。ポンプチャンバ210内の圧力を制御する本発明の方法のアウトプットは、図19の速度および圧力曲線によって例示される。
一般的に、システム10は、ピストン212およびピストンヘッド214の速度を制御することによって、ポンプチャンバ210内のレセプタクル172の中の圧力を制御する。図19の速度プロフィール390は、ストローク位置392の開始で始まる時間「t」にわたって生じる1回のポンプストロークを示す。ストロークの開始時に、速度は、予め設定された加速度394を増加させる。予め設定された加速度394は、コントローラ30にプログラミングされる。予め設定された加速度394に起因する速度が最大速度396に達した場合、この加速度394はゼロの加速度に変化し、そしてピストン212は一定の最大速度396で移動する。
加速度394および最大速度395の時点(これは垂直の波線398で示される)の間、圧力曲線401により例示される圧力プロフィール400の対応する圧力は、最初は非常にゆっくりと上昇し、そして時間が波線398の時間に達すると、指数関数的に上昇する。圧力曲線の初期部分、すなわち、ストローク位置の開始直後において、このシステムのコンプライアンスがとられると、この圧力はゆっくりと上昇する。コンプライアンスが採られると、圧力は徐々に速い速度で上昇する。
圧力が、閾値402(ソフトウエアで設定)に近い圧力に達する場合、コントローラ30内のソフトウエアは、先の運動(加速度、速度、位置)制御から適応性制御に変換する。従って、本発明の流体ポンプ内の圧力を制御する方法は、技術の組合せを用いる混合型制御方法であることが理解されるべきである。
運動制御部分(加速度394および最大速度396によって強調される)は、この制御方法がこのシステムを圧力コンプライアンスに勝るようにする場合、期間(時間)を表す。閾値402に近い圧力に達すると、コントローラ30は、速度を、減速度404で急激に減速させる。減速度404は、ピストン212およびピストンヘッド214の速度を速度406(これは圧力制御システムの適応制御部分が圧力設定点408に達する能力を助ける速度である)まで減少させる。すなわち、プログラミングされた減速度404を用いることなく、適応制御部分は、圧力設定点408に達するかまたは実質的に達する圧力を生じる速度を制御するより困難な(すなわち、より長い)時間を有する。
以下でより詳細に説明されるように、一実施形態において、加速度394は、初期オーバーシュート量を減少させるように、適応制御される。加速度394に対する適応制御は、長時間にわたって微調整されて、初期オーバーシュート量をさらに減少させる。これらの測定値の各々は、必要とされる制御された減速度404の量に影響を与える。
制御された減速度404が速度406に達した後、第2の破線410の時間まで、システム10は適応モードで作動する。第2の垂直線410は、このストロークの終点付近で生じる。例示されるように、このストロークの適応部分は、多数の領域、すなわち、領域412および領域414に崩壊する。領域412は、プログラムされた加速度394によって生じるオーバーシュートおよびアンダーシュートによって特徴付けられる。適応技術の適用において、領域414の誤差を克服する調整またはパラメーターが、ソフトウエアで条件に合わせられて、オーバーシュートまたはアンダーシュートの除去を試みる。領域414は、実際の圧力曲線401と圧力設定点408との間の誤差を最小限にする試みに焦点を当てる。領域414の間、パラメーターおよび適応測定値は、ソフトウエアで条件に合わせられ、圧力曲線401の振動を減少して、圧力設定点408に可能な限り多くかつ可能な限り迅速に達する。
破線410によって示された時間に達すると、圧力制御法は、もう一度、運動制御を再開し、そして制御され予め決定された減速度416で速度を最終移動速度418(これはストローク392の開始時における初期速度でもある)まで減速する。代替の実施形態において、この方法は、単に、適応制御をタイムライン410に連続的に通過させ得、かつ最終移動速度418を達成することを試み得る。タイムライン410の後、圧力曲線410に沿った圧力は、圧力プロフィール400によって示されるように、ゼロの圧力に向かって低下する。圧力プロフィール400と速度プロフィール390とを比較すると、ストロークが時間「t」で終了した後でさえも、圧力はポンプチャンバ210のレセプタクル172内で維持されることが理解されるはずである。いくつかの場合において、ピストン212が急に停止すると、圧力はオーバーシュートし、ここで液体の運動量が、時間「t」後に圧力スパイクを生成する。
ここで図20を参照すると、圧力プロフィール400の領域412および414の間に適応圧力制御を用いるためのアルゴリズム420が示される。一実施形態において、圧力制御法の適応制御部分は、比例−積分−微分(proportional、integral and derivative(「PID」))適応パラメーターを用いる。この方法において、アルゴリズム420によって示されるように、ポンプチャンバ210のレセプタクル172の内側の圧力を感知し、圧力センサ入力422をコントローラ30に提供する圧力センサからの圧力の読み取りが行われる。圧力センサ入力422は、デジタルフィルター424を通して送られ、実測変数426を生成する。この実測変数426は、所望の変数(すなわち、図19で示される圧力設定点408)と比較され、ここで、誤差428が、この実測変数426と所望の圧力設定点408との間で生じる。
次いで、誤差428がPID計算430に入力され、このPID計算430は、比例係数432、積分係数434および微分係数436を使用する。PID計算430の出力は、適応圧力変化438である。次いで、コントローラ30は、速度を上下に変化させて、圧力変化438を生じる。
図19の圧力プロフィール400において、図20のアルゴリズム420が、適応領域412および414の間に絶えず実施される。以下で考察されるように、補正パラメーター(例えば、係数432、434および436)が、領域412および414の間に別々に使用される。なぜなら、領域412の補正はオーバーシュートおよびアンダーシュートを最小限にすることに焦点をあてるが、領域414の補正は、誤差を圧力設定点408の付近でゼロに減少させることに焦点を当てるからである。
上記のように、シングルポンプ20がシステム10で使用される。このシングルポンプ20は、患者充填ストロークおよびポンプ排出ストロークの間、正圧を提供する。ポンプ20はまた、供給バッグ14からの引き出しストロークおよび患者12からの引き出しストロークの間、負圧を提供する。4回のストロークのうち、最も重要なのは、患者充填ストロークおよび患者排出ストロークの間に圧力を正確に制御することである。供給バッグ14から流体をポンピングする場合、またはポンプチャンバ210のレセプタクル172からドレイン18まで流体をポンピングする場合、圧力を制御することはそれほど重要ではない。2回の正圧ストロークにおいて、一回のストローク(すなわち、患者充填ストローク)は、圧力を正確に制御するために重要である。2回の負圧ストロークにおいて、これらのストロークの1回(すなわち、患者からの引き出しストローク)は、圧力を正確に制御するために重要である。他の2回のストロークにおいて、圧力は、コントローラ、モーター22および使い捨てユニット160を不必要にタキシングすることなく制御される。
ここで図21を参照すると、圧力および速度曲線が、患者充填サイクルの間、多数のストロークについて示される。上側のプロフィール440は、実際の圧力444 対 所望の圧力442(ミリポンド/平方インチ(「mPSI」))を示す。下側のプロフィール450は、対応する速度曲線を示す。圧力プロフィール440において、黒線442は、所望の圧力(mPSI)に対応する。この曲線444は、実際の圧力(mPSI)を示す。速度プロフィール450における曲線452a、452bおよび452cは、圧力プロフィール440の圧力曲線444に沿った圧力変動を生じるピストン速度を示す。この速度は、用いられるモーター22がステッパーモーターである場合、1秒あたりのあるステップ増分(例えば、ミリステップ/秒、またはマイクロステップ/秒)で測定される。本発明で使用するための異なるステッパーモーターが、ステップの異なる増分でプログラミングされ得る。従って、実際の速度は、このステッパーモーターの分解能の関数である。
時間ゼロにおいて、所望の圧力442は、実質的に即座に2000mPSIまで変化する。所望の圧力曲線442は、約1.6秒に達するまで、この一定の200mPSIを維持し、この時点で、所望の圧力442は実質的に即座にゼロに戻る。所望の圧力曲線442によるこのステップは、1回の完全な患者充填ストロークを表し、ここでポンプチャンバ220内のピストン212およびピストンヘッド214の1回の完全な正の上向きのストロークが生じる。この工程において、圧力を制御することが重要である。なぜなら、透析液は、患者の腹腔12までポンピングされるからである。正確な圧力曲線444は、指数関数的に上昇し、そして図19と関連して記載された様式で、2000mPSIの設定点の周りで振動する。速度曲線452aは、図19に示されるのと類似のパターンに従うこともまた注意すべきである。
約1.6秒において、すなわち、ピストンヘッドがバルブチャンバ210の上側チャンバ216に達した場合、コントローラ30は、ピストン212の移動を止める。ピストンヘッドの速度は、約3.4秒まで、ゼロで維持される。この期間において、図16Aと関連して示される「全てのバルブが閉じた」位置の1つによって、バルブは全て閉じる。圧力曲線444によって示されるように、ピストンヘッド214が動いていない場合でさえも、残留流体圧力は、ポンプチャンバ210内に残る。
時間約3.4秒において、所望の圧力曲線442は、−2000mPSIまで有効かつ即座に変わる。ここで、ポンプ20は、流体を供給バッグ14から押し出す負圧を拡げそして形成するかを問われる。このストロークの間、正確に圧力を制御することは、患者充填ストロークにおけるほど重要ではない。従って、この方法は、圧力制御法の運動制御部分をバイパスし、そして単に、ライン442に沿った圧力設定点を見出すために適応して検索するようにプログラミングされ得る。透析液は、患者充填ストロークの間、使い捨てユニット160の流体加熱通路180を通って移動する(図3Aおよび5などを参照のこと)。コンプライアンスの多く(すなわちこのシステムの伸長)は、流体が通路180を通過した場合に生じる。しかし、供給バッグ14から流体をポンピングすることは、この流体が加熱通路180を通過することを必要としない。システム10は、このストロークの間、同じレベルのコンプライアンスを受けない。図19に関連して示される運動制御部分を使用することなく、バッグ14からポンピングすることが可能である。なぜなら、減少したコンプライアンスは、制御された加速度によって供給される「過酷な力(brute force)」を必要とし得ないからである。
図21において、ポンプは、約5秒で供給バッグから透析液を押し出すストロークを完了する。従って、曲線442に沿う需要圧力は、ゼロに戻る。次いで、バルブは、全て閉じた位置に変わり、コントローラ30は、ピストン速度をゼロに設定し、そしてピストンヘッドは、下側チャンバ壁218に実質的に沿って残り、レセプタクル172は、約6.8秒が経過するまで流体で満たされ、ここで、システム10は、上記のように、患者充填ストロークを繰り返す。
ここで図22を参照すると、圧力プロフィール452および速度プロフィール460が、患者排出ストロークおよび患者排出サイクルのストロークのポンプ〜排出ストロークについて示される。圧力プロフィール452において、需要圧力曲線454は、コントローラが、患者から透析液を吸引するために−2500mPISを必要とすることを示す。コントローラ30は、ポンプチャンバ210のレセプタクル172からドレインバッグ18に流体を押し出すために2500mPSIの正圧を必要とする。圧力プロフィール452の下に示される速度プロフィール460において、ある増分(ステップ/秒)の実際の速度462が示される。図21および22の速度プロフィール450および460の両方が、絶対速度であり、ポンプピストン212が正および負の方向で移動することは示されないことが理解されるべきである。
プロフィール452の実際の圧力曲線456は、圧力が、プロフィール452のポンプ〜ドレイン部分の間より、患者部分からの吸引の間に、より密接に需要圧力ライン454に一致するように制御されることを示す。一実施形態においてコントローラ30は、患者からの吸引ストロークの部分に、運動制御された速度464を提供し、時間「tadapt」の間、適応制御を使用するようにプログラミングされる。この方法はまた、一実施形態において、患者からの吸引ストロークの終了時において、制御された減速度466を使用する。あるいは、この方法は、PID制御がゼロの圧力を見つけ出すようにする。同様に、ポンプ〜排出ストロークの間、コントローラ30は、PIDコントロールのみに変わり得る。
ここで図23を参照すると、本発明の圧力制御法のPID部分の「微調整」適応制御を示すアルゴリズム470の一実施形態が示される。図23は、図20と同様に、実測圧力変数426および所望の圧力設定点408を含む。圧力誤差472は、オーバーシュート領域412、または図19の圧力速度プロフィール400において示される振動領域414のいずれかにおける誤差をあらわす。各領域について、アルゴリズム470は、2つの誤差成分、すなわち、現在のストロークにおいて決定される誤差474および先のストロークについて保存された誤差476を見つける。コントローラ30は、これらの2つの誤差476および478を比較し、決定ブロック478において示されるように、判断を行う。
ブロック476において、現在のストロークエラー474が、前回までのストロークエラー476未満である場合、この方法は、前回の係数を使用する。なぜならば、前回の係数が、現在の時点で、所望の結果を有しているからである。現在のストロークエラー474が、前回のストロークエラー476よりも大きい場合、2つの可能性が存在する。第1に、その係数、すなわち、用いられた事後保存的対策は、そのエラー増大を克服するのにはそれ程大きくない。ここで、この係数、すなわち、事後保存的設定は、増大されるか、または別の手段が用いられ得る。第2に、前回までの事後保全的手順は、悪影響有し得、この場合、このパラメータコネクションは、置換され得るか、または別の手段が用いられ得る。明らかに、アルゴリズム470を利用すると、本方法は、コントローラー30が前回までの事後保全的試みの様式およびその結果を記憶する。前回までに起こったことに基づいて、このコントローラーは、1以上のパラメーターを増すのか、または減じるのかを決定する。次いで、この増減の量が、増分テーブル480中に記憶される1以上の係数に適用される。次いで、この調整増分または非調整増分は、現在使用されている1以上の係数482と一緒に合計され、調整された1以上の係数484を生成する。
ここで、図24を参照すると、テーブル500は、本発明の圧力制御方法のための、種々の異なる、係数および適応限界を例示する。これらの係数およびパラメーターのあるものは、上で例示したプロファイルの運動制御部分(すなわち、そのプロファイルの、設定した加速度、減速度、および速度部分)に対して、より多くのものが適応される。しかし、この運動制御パラメータは、エラーを与え、このエラーは、圧力制御のPID部分において適応パラメータに影響を与える。他のパラメーターが、そのプロファイルの適応制御部分に適応される。開始ストローク加速度パラメーター486(これは、図19の速度プロファイル390における加速度394によって例示される)を調節することは、本発明の方法の運動制御部分に影響を与える。例示される加速度は、ストローク時間の行き過ぎ量および効率的な使用に影響を与える。すなわち、コンプライアンスを迅速に克服するように大きな加速度を有することが所望されるが、この犠牲は、行き過ぎ量が増加するということであり得る。一方、小さな加速度は、行き過ぎ量を低減させるが、このシステムでのコンプライアンスを克服するために、より多くの時間が必要とされ得る。
近似閾値パラメータ488(これは、図19の圧力プロファイル400の圧力線402によって例示される)はまた、行き過ぎ量(overshoot)および負の行き過ぎ量(undershoot)を与える。ここで、この圧力閾値488の設定が低すぎると、負の行き過ぎ量が生じ得、他方、このパラメータ488の設定が高すぎると、行き過ぎ量が生じ得る。DP/dtパラメータ490は、所定の時間における圧力の変化である。このパラメータは、例えば、図19において、ある傾きの圧力曲線401を達成することが求められる。
図19の速度プロファイル390における線396に例示されるような、最大行程速度パラメータ492はまた、行き過ぎ量およびそれに続く共鳴を与える。別の補正因子が、図19の線410に対応する圧力減速力494への変換である。この方法は、運動制御に戻ることなしにそのシステムを稼動させる工程、およびそのシステムを適応型PID制御状態にする工程を包含する。減速への転換は、バルブが閉じた後にポンプチャンバ210中の半径方向の圧力に対して大きな影響を与え得る。
PID因子 Kp、KdおよびKiは、それぞれ、496、498、および502として標識され、本発明の方法の適応制御部分に影響を与えるが、ストロークの末端での制御された減速に、より低い程度で影響を与える。このPID因子またはパラメータの各々は、中間のストロークで変化されそして適合され得る。図23においてまた示されているように、これらの因子は、経時的に、そのシステムを最適化するように変化され得る。
上述の因子の各々は、システム10の外側の環境の変化から生じる流体圧力を例示するために使用され得る。例えば、これらの因子は患者の腹部における生理学的変化および化学的変化に起因する変化を克服し得る。また、患者用供給バック14の高さは、流体ポンプ20の初期負荷に影響を与える。図24で例示されるパラメータは、このバックの高さに起因する変化を自動的に克服する。さらに、夜間、患者が就寝しているときに、この供給バック14は、次第に非充填状態となり、他方、排出バック18は、さらに充填され、これらの両方ともがポンプ圧に影響を与える。図24に例示されるパラメーターは、これらの変化を補完するように自動的調節可能であり、そして、このシステムが難なく稼動することを維持する。
上述の因子のあるものは、図19の圧力プロファイル400において例示されるような行き過ぎ量領域412の間においてさらに変化され、かつさらに使用される。他の因子およびパラメーターが、プロファイル400の振動部分414の間においてさらに使用されかつ変化される。
(VII.インラインヒーター)
1実施形態において、インラインヒーター16は、2つの電気プレートヒーターを備え、この電気プレートヒーターは当業者にとって周知である。ヒーター16のプレートヒーターは、滑らかで平坦な表面を有し、この平面は、使い捨てユニット160に面している。代替的な実施形態において、自動システム10および100は、赤外線ヒーターまたは他の対流式ヒーターと併用されるプレートヒーターを有するインラインヒーター16を提供する。
代替的なデュアルモード型ヒーターにおいて、プレートヒーターおよび、例えば、赤外線ヒーターの両方が、廃棄可能ユニット160の流体加熱通路180中を流れる医療流体を加熱するインラインヒーターである。この赤外線ヒーターの放射エネルギーは、流体加熱通路180中の流体に指向されかつその流体に吸収される。1実施形態における、放射エネルギーまたは赤外線ヒーターは、一次ヒーター、すなわち高容量ヒーターであり、このヒーターは、短時間で所望の温度まで比較的に高い容量の冷流体を加熱し得る。
1実施形態における代替的なデュアルモード型ヒーターのプレートヒーターは、二次ヒーター、すなわち、維持管理用ヒーターであり、このヒーターは、赤外線ヒーターと比較して比較的低いヒーター容量を有する。上述のように、このプレートヒーターは、そのプレートに隣接して通路180中を流れる流体を、順次、加熱するプレートの温度を上昇させるために電気抵抗を使用する。
デュアルモード型ヒーターは、供給バック14のうちの1つから自動システム10または100へと供給される低温の透析物を素早く昇温(高熱エネルギーを必要とする)するのに特に有用である。初期システムフィル(initial system fill)は、その後のフィルよりも低温であり得、そして、このシステムは、滞留期の間に熱を消失させ得る。従って、初期システムフィルにおける透析物の温度は、この供給バック14が低い周囲温度中で貯蔵される場合に、極めて低くなり得る(例えば、5℃〜10℃)。
ヒーター16におけるデュアルモード型ヒーターの実施形態における、プレートヒーターおよび赤外線ヒーターは、互いに対して種々の配置で配列され得る。1実施形態におけるデュアルモード型ヒーターは、流体が連続的にそれらのヒーターの傍を通過するように(例えば、はじめに、プレートヒーター、そして、その後、放射型ヒーターまたは赤外線ヒーターのように)配置される。別の実施形態において、この流体は、そのヒーターの傍を同時に(両方のヒーターを同時に)通過する。このヒーターの通過する流体の通路は、両方のヒーターにとって(例えば、流体加熱通路180のような)共通の通路であり得るか、または、各々のヒーターにとって独立した通路を備える。
(VIII.ヒーター制御のためのファジー論理)
流体圧力の制御と同様に、このプレートヒーター16の制御はまた、多くの環境変数に供される。例えば、患者の家屋内の周囲温度は、医療流体の温度を所望の温度まで上げるのに必要とされる熱量に影響を与える。明らかに、供給バック14中の透析物の温度は、流体を所望の温度まで上げるのに必要とされる熱量に影響を与える。プレートヒーター効率はまた、必要とされる加熱量に影響を与える。さらに、患者の家屋で提供される電圧は、別の因子である。代表的に、医師または介助者は、患者のための透析物の温度が37℃あたりまで制御されるように指定する。従って、適切な患者用流体の温度を維持するために、ヒーター16を制御して、外気の温度勾配に対して補正する方法を有することが所望される。
図25を参照すると、加熱制御法510の1実施形態が、例示されている。この方法510は、2つの別個に実施されるアルゴリズム(520および530)を包含し、これらのアルゴリズムは、並列に作動して、全体としての出力544を生成する。このアルゴリズム520は、「知識ベース型(knowledge−based)」制御アルゴリズムと称される。この知識ベース型制御アルゴリズムは、知識(例えば、経験的データ、流体力学、物理法則および実験データなど)に基づく。
知識ベース型アルゴリズム520は、多くの入力ともに多くの定数設定を必要とする。例えば、この制御アルゴリズム520は、入力拍動流量を必要とする。以下で例示するように、拍動流量は、多くの入力変数から実際に計算される。本発明のシステム(10、100)は、連続的というよりは、律動的に、患者12に対して流体を提供する。使い捨てユニット中の全てのバルブヘッドが閉められたときに、流体が、流体加熱通路を介して患者に流れ得ないことは、図16Aおよび図16Bに基づいた議論から容易に明らかとなる。従って、患者へ向かう流体の流量が、拍動流量であり、ここで、この患者は、噴出または拍動した透析物を受け取る。この型の流量を用いて流体温度を制御することは困難である。この目的のために、本方法510は、デュアルアルゴリズム(520および530)を提供する。
拍動流量の他にも、知識ベース型制御アルゴリズム520はまた、測定された(すなわち、実際の)流体入口温度の信号を受信する。さらに、このアルゴリズム520は、プレートヒーター効率(これは、経験的データに基づく)を記憶する。1実施形態において、プレートヒーター16の上部プレートおよび下部プレートは、およそ95%有効である。アルゴリズム520はまた、ヒーターの総電力を入力とし、この電力は、システム(10、100)に入り込む電圧投入量をから誘導される。住居用の電圧は、所定の日時または数日の期間に亘って、あるいは場所ごとに変化し得る。
アルゴリズム520はまた、所望の出口の流体温度を入力とし、この温度は、一定の設定であるが、患者の医師または介助者によって、改変され得る。図25に例示されるように、所望の出口の流体温度は、知識ベース型制御アルゴリズム520およびファジー論理ベース型制御アルゴリズム530の両方に対して入力される。以下により詳細に議論されるように、知識ベース型制御アルゴリズム520は、合流点544への知識ベースのデューティーサイクルを出力する。
ファジー論理ベース型制御アルゴリズム530に関して、所望の流体温度は、比較点514に入力される。この比較点514では、所望の流体温度と実際の加熱システム548を出る流体の実際に測定した温度との差が出力される。従って、このファジー論理ベース型制御アルゴリズム530は、インプットとして温度変化ΔTを受ける。以下に記述されるように、このファジー論理ベース型制御アルゴリズム530は、ファジー論理制御の概念および戦略を使用して、ファジー論理デューティーサイクルを出力する。
方法510において、知識ベース型デューティーサイクルは、ファジー論理デューティーサイクルに対して適応するように重み付けされる。代替的な実施形態において、このシステムは、相対質量を予め決定する。方法510において、ファジー論理デューティーサイクルは重み付けされる。すなわち、ブロック542に例示されるように重み付け因子が提供される。例えば、ファジー論理ベースデューティーサイクルが、重み付け因子1を与えられると、そのファジー論理デューティーサイクルは、知識ベースデューティーサイクルを用いるのと同等に重み付けされる。ファジー論理デューティーサイクルに重み付け因子2が与えられると、そのファジー論理デューティーサイクルは、知識ベースデューティーサイクルの2倍重み付けされる。ブロック542における重み付け因子は、時間に沿って変化し得、そして/または、時間に沿って最適化され得る。
あるいは、重み付けブロック542は、知識ベースデューティーサイクル出力中に位置づけられ得る。しかし、以下に議論されるように、ファジー論理制御ループの更新速度は、実質的に、知識ベース型制御アルゴリズム520に入る入力信号の更新速度よりも速い。従って、ファジー論理デューティーサイクルを重み付けることは、知識ベース型デューティーサイクルに対して、有利であることが理解されるべきである。
ファジー論理ベースデューティーサイクルおよび知識ベースデューティーサイクルは、合流点544で一緒にまとめられ、全体のヒーターデューティーサイクルが生成される。デューティーサイクルは、電力入力を制御する方法、したがって、ヒーターのプレート温度を制御する方法である。デューティーサイクルを制御することは、総電力がヒーター、例えば、プレートヒーター16に適用された時間のパーセンテージを制御することを意味する。代替的な実施形態において、並列制御アルゴリズム(520および530)の出力は、全ての時間で提供される全電力のパーセンテージである。なおさらに、並列制御アルゴリズム(520およぼ530)の出力は、時間のパーセンテージに対して適用される全電力のパーセンテージであり得る。例示の目的ために、方法510は、デューティーサイクル出力を使用して記載され、このデューティーサイクル出力は、説明されるように、全電力がそのヒーターに適用される時間のパーセンテージである。
本明細書に記載されるように、1つの好ましい実施形態における加熱システム548(すなわち、ヒーター16)は、プレートヒーターであり、ここで、上部プレートおよび下部プレートは、廃棄可能ユニット160の流体加熱通路のまわりに配置される。しかし、この方法510は、上述した赤外線ヒーターに同等に適用可能であることが理解されるべきである。さらに、本方法510は、異なる型のヒーターの組み合わせ(例えば、プレートヒーターおよび赤外線ヒーターの組み合わせ)に対して等しく適用される。
方法510は、複数の温度センサ(例えば、図1および図2に例示されるセンサ62)を使用し、このセンサは、方法510における様々な時点、およびシステム(10、100)中の場所での温度を感知する。1つのセンサは、流体の出口温度を感知し、この温度は、この加熱システム548から比較点514にフィードバックされる。別の2つの温度センサは、頂部プレート(top plate)および底部プレート(bottom plate)の温度を感知し、そして、ソフトウェア内に位置づけられる、温度限界制御装置546にフィードバックする。
例示されるように、まとめられたヒーターデューティーサイクルが加熱システム548へと入力され、このシステムは、この頂部加熱プレートおよび底部加熱プレートが最大許容温度であるか否かを決定する。その温度を超えると、プレートヒーターのプレートを維持することが確実とはならない温度が存在する。そのプレートの1つまたは両方が、目下、温度限界にある状況において、方法510は、知識ベース型制御システム520およびファジー論理型制御アルゴリズム530の計算にかかわらず、ゼロデューティーサイクルを出力する。この目的のために、頂部プレートおよび底部プレートの温度は、ブロック546にフィードバックされ、ここで、頂部プレートおよび底部プレートの現在の温度が温度限界よりも低い場合に、そのソフトウェアは、ヒーターデューティーサイクルが加熱システム548に対して適用されることを可能にするのみである。
1実施形態において、それらのプレートのうちの1つが限界温度にある場合に、本方法510は、プレートヒーターのうちの1つが温度限界未満であり得たとしても、両方のプレートヒーターにゼロデューティーサイクルを提供する。さらに、プレートヒーターの実際の温度が限界温度に非常に「近い場合に、方法510がデューティーサイクルが予め決められた設定点以下にあることのみを可能にするように、そのソフトウェアは適用され得る。この様式において、実際の温度が限界温度に極めて近い場合に、方法510は、フォールトタイプコンディション)に入り、そして、セーフデューティーサイクルを利用する。
実際のプレート温度が安全な温度限界未満であるとすると、方法510は、合流点544で並列制御アルゴリズムから、組み合わせたヒーターデューティーサイクルを適用する。このヒーターデューティーサイクルは、所定量の時間の特定のパーセンテージに対する最大限の電力を利用する。所定量の時間は、ファジー論理制御ループの更新速度である。このファジー論理制御ループ(ファジー制御アルゴリズム530を含む)は、1つの好ましい実施形態において1秒間当たり約9回更新する。ファジー論理制御ループの更新速度は、重要パラメータであり、そして、特定の値までその更新速度を単純増加させることは、そのシステムの精度を悪化させ得ることが理解されるべきである。良好な結果を提供する更新速度の1つの範囲は、約8.5回/秒から約9.5回/秒である。
更新速度は、入力電力の周波数へと一様に分解されるべきではない。例えば、AC周波数が50ヘルツまたは60ヘルツで安定に保たれるときに、9回/秒の更新速度は機能する。しかし、幾つかの国における場合にように、この周波数は、63ヘルツであり得る。このような場合において、9ヘルツの更新速度は、不正確さを招く。従って、1つの好ましい実施形態において、1ヘルツの数分の1の更新速度(例えば、9.1ヘルツ)が、好ましい。更新速度が9回/秒であると想定すると、更新当たりの時間は、およそ110ミリ秒である。従って、このデューティーサイクルが0.5、すなわち、半分がオン状態、半分がオフ状態であると、その総電力が印加される時間は、55ミリ秒である。その他の55ミリ秒の間に、電力は、一切、印加されない。このデューティーサイクルが90%であると、総電力は、110ミリ秒の90%に対して印加される。
知識ベース型制御アルゴリズム520の更新速度は、ファジー論理制御ループの更新速度ほど重要でない。1つの理由として、アルゴリズム520に対する信号入力は、一般に、経時的に変化し、その結果、それらの信号が所望の流体温度と実際の流体温度との間の比較ほど頻繁に評価される必要がない。約2秒という更新速度は、信号入力について十分である。制御アルゴリズム520の入力は、約0.5秒に1回から約4秒に1回で、更新され得る。知識ベース型制御アルゴリズム520は、システム(10、100)のメインプロセッサ(例えば、Intel StrongARMTM Processer)上で動作し得る。ファジー論理制御ループの更新速度を促進するために、高速プロセッサ(例えば、Motorola Digital Signal Processor)が使用される。このファジー論理ベース型制御アルゴリズム530は、1つの実施形態において、delegateプロセッサ(例えば、Motorola Digital Signal Processor)上で動作する。
ここで、図26を参照すると、知識ベース型制御アルゴリズム520は、より詳細に例示される。上で議論されるように、第1の工程で、この知識ベース型制御アルゴリズムは、ブロック522によって示されるような、多くの信号入力を受ける。これらの入力のうちのいくつかは、約2秒間に1回のメインプロセッサレベルで更新される。他のインプットは、定数としてソフトウェア上で設定されている。経時的に変化する入力信号のうちの1つは、1ミリ秒毎のストローク間隔の数(「N」)である。ポンプピストンは、特定の時間に亘って運動し、停止および休止し、そして、次いで、特定の時間に亘って再び運動する。このポンプは、1ミリ秒当たりN回のストロークを生じ、これは、このNは、知識ベース型制御アルゴリズムに入力される。
経時的に変化する別の入力信号は、入力電圧(「Vac」)である。この入力電圧Vacは、単一のハウス中で経時的に、または様々な位置で、変化する。経時的に変化する別の入力信号は、流体の入口温度(「Tin」)である。流体温度Tinは、上述した方法510の多くのセンサのうちの1つによって測定される。経時的に変化する可能性のない入力は、プレートヒーター効率(「E」)である。このヒーター効率Eは、経験的に決定される。このヒーター効率Eは、加熱している間の使い捨てユニットの中の圧力、その使い捨てユニットの物質および頂部プレートと底部プレートとの間のギャップ許容量に依存して、変化し得る。従って、特定の透析デバイスに対するヒーター効率Eは、実質的に一定のままである。上述のように、所望の流体温度(「Tdesired」)は、医師の命令に依存して変化し得る。しかし、所定の治療期間にとって、Tdesiredは、一定である。
知識ベース型制御アルゴリズム520は、ブロック524の式に従ってミリメートル/分で拍動流量(「Q」)を計算する。Qについての式は、その流量に対する所望の単位に基づいて変化し得る。例示される実施形態において、Qについての式は、60,000×(チャンバ容積[ミリリットル])÷T[ミリ秒]である。再度、チャンバ容積は、ポンプチャンバ壁の形状の関数である一定量である。
知識ベース型制御アルゴリズム520はまた、ブロック526によって示されるように、ワット単位で全ヒーター電力を計算する。例示される実施形態において、方法510は、プレートヒーター抵抗でVac 2を除算することによって、ヒーター電力を計算する。次いで、知識ベース型制御アルゴリズム520は、ブロック528によって示されるように、上記の計算値を使用して、知識ベースデューティーサイクルを計算する。知識ベースデューティーサイクルは、1実施形態において、係数(例えば、0.07)と温度を積算したものに等しく、これは、Tdesired−Tinに等しい。次いで、この積と、流量Qとの積が求められる。次いで、この後者の積は、全ヒーター電力Wとヒーター効率Eとの積によって除算される。次いで、知識ベースデューティーサイクルは、図26によって例示されるように、ファジー論理ベースデューティーサイクル出力と合わせて、合流点544へと供給される。
ここで、図27を参照すると、ファジー論理制御アルゴリズム530の1つの実施形態が、例示される。ファジー論理は、システムエンジニアによって一般に知られているものであり、そして、システムおよびプロセス制御の分野において、一般に知られているものであると理解されるべきである。本明細書中に記載のファジー論理アルゴリズムは、単にファジー論理を実装して、エラーインプット(これは、所望の流体温度と実際の流体温度との間の差異である)を受信するタスクを実行し、そして、このエラーインプットを0に向かって最小化する1つの方法である。ファジー論理が用いられる方法にかかわらず、この方法は、温度を入力とし、そして電力リミッター(例えば、デューティーサイクル)を出力する。従って、ファジー論理制御アルゴリズム530における第1の工程は、ブロック532に示されるように、TdesiredとTinとの間の差を計算する。
次に、ブロック534によって示されるように、多数のメンバーシップ関数が実行される。この実施形態において、アルゴリズム530は、5つの測定関数を実行する。これらの測定関数のうちの2つ、すなわち、nlargeおよびplargeは、不等辺四辺形メンバーシップ関数である。ファジー論理の分野において公知であるように、不等辺四辺形メンバーシップ関数は、4つの節からなる。他の3つのメンバーシップ関数、すなわち、nsmall、neutralおよびpsmallは、三角形メンバーシップ関数として設定され、これは、3つの節からなる。ブロック534によって示されるように、メンバーシップ関数を設定した後に、ファジー論理制御アルゴリズム530は、ブロック536によって示されるように、ファジー処理インターフェースを実施する。ファジー処理インターフェースにおいて、制御アルゴリズム530は、TdesiredとTinとの間の温度差ΔTを、ブロック534に示されるように設定されたメンバーシップ関数に基づいて、多数のファジーセットに変換する。
次に、制御アルゴリズム530は、ブロック538によって示されるように、多数のファジー論理加熱規則を適用する。1つの実施形態において、制御アルゴリズム530は、5つのファジー論理規則を使用する。1つの規則によれば、ΔTがnlargeである場合、その出力は、大きい幅で減少するはずである。別の規則によれば、ΔTがnsmallである場合、その出力は、小さい幅で減少するはずである。第三の規則によれば、ΔTがneutralである場合、その出力は、0であるはずである。さらなる規則によれば、ΔTがpsmallである場合、その出力は、小さい幅で増加するはずである。最後の規則によれば、ΔTがplargeである場合、その出力は、大きい幅で増加するはずである。
ファジー論理制御アルゴリズム530の次の工程は、ブロック540によって示されるように、脱ファジー処理インターフェースを実行することである。脱ファジー処理インターフェースにおいて、規則の出力は、実際の出力または「収縮」出力に変換され、これは次いで、デューティーサイクルに翻訳される。ブロック590によって示される脱ファジー処理工程において、ファジー論理規則の出力は、「収縮」数または正確な数に変換される。次いで、この数は、ヒータの適切な出力(これは、この実施形態においては、ファジーヒータデューティーサイクルである)に変換される。
ブロック542によって示されるように、次の工程は、どのくらいの重みが、知識に基づくデューティーサイクルに対してファジー論理デューティーサイクルに置かれるかを決定することである。重み付け因子は、ファジー論理規則によって決定され、そして知識に基づく制御アルゴリズムとファジー論理に基づく制御アルゴリズムとの両方の速度を更新する。次いで、重み付けされたファジー論理デューティーサイクルは、和の点544において、知識に基づく制御アルゴリズム520によって得られた、知識に基づくデューティーサイクルと合計される。
(IX.システムに対する絶縁)
医療設備、および特に、患者と密接に接触する設備は、漏れ電流に対して適切に絶縁される必要がある。クラスI型の設備は、基本的な絶縁材、およびその設備が存在する建物内の保護的な接地導体に接続するための手段(これは、この設備の絶縁材が故障する場合に、危険な電圧を消散させる)を提供する。しかし、本発明のシステム10、100についての1つの主要な使用は、患者の家庭においてである。これは、クラスIのデバイス、および特に、透析機械に対して、2つの問題を提示する。第一に、多くの国およびより古い家屋において、接地アース線が不完全であるか、信頼性がないか、または全く存在しない。第二に、多くの人々は、実際に存在する接地システムを無視する。本発明は、接地アース線を必要としない自動化透析システム10、100を提供することによって、この問題を克服する。システム10、100は、クラスIのデバイスによって提供される基本的な絶縁材に単に依存するのではなく、二重の絶縁または強化された絶縁のいずれかを提供する。
二重の絶縁は、2層の絶縁材を備える。1層の絶縁材は、基本低な絶縁材であり得る。240VACにおいて、基本的な絶縁材は、代表的に、4ミリメートルの「クリーページ」または2.5ミリメートルの「エアクリアランス」を必要とする。クリーページとは、2つの導電性部品の両方が絶縁材の表面に沿って配置される場合の、これらの部品の間の最短距離である。クリーページとはまた、導電性部品と設備の部品の境界表面との間の最短距離であり、ここで、導電性部品および設備は、絶縁材片と接触する。エアクリアランスとは、空気を通して測定された、2つの導電性部品の間、または導電性部品と設備の部品との間の最短距離である。
絶縁材のさらなる層は、補助絶縁材と称される。補助絶縁材は、基本的な絶縁材に加えて適用されて、基本的な絶縁材が故障した場合に電気ショックに対する保護を確実にする、独立した絶縁材である。補助絶縁材もまた、クリーページおよびクリアランスの形態であり得る。
強化された絶縁は、他方で、二重絶縁と同程度の保護を与える、単一層の絶縁材である。強化された絶縁材は、二重絶縁材の定格電圧に対する二重絶縁と等価な電気的保護を提供する。240 VAC(システム10、100の商用電圧として使用される)について、基本的な絶縁材は、1500 VACに耐え得、そして補助絶縁材は、2500 VACに耐え得る。従って、単一層の強化絶縁材は、少なくとも4000 VACに耐えなければならない。
ここで図28を参照すると、本発明の絶縁されたシステム550の1つの実施形態が図示されている。システム550は、概略的に図示されているが、システム550の特定の構成要素は、上で議論されたハードウェアの図において図示された構成要素と同一とみなされ得る。例えば、システム550は、ハウジングまたはエンクロージャー112(上で図3A〜4Bにおいて図示された)を備え、これは、ハードウェアユニット110の基部114および蓋116を備える。システム550はまた、ヒータ16を備え、これは、1つの実施形態において、図3Aにおいて図示され、そして図25〜27に関して議論された、上方加熱プレートおよび下方加熱プレートを備える。さらに、システム550は、図1および2に関して図示および議論された、ディスプレイデバイス40および温度センサ62を備える。
図28において、括弧内の数字は、それぞれの構成要素の使用電圧または作動電圧を示す。図示されるように、線552およびニュートラル554は、単一位相の240 VACの商用電圧を供給し、これは、1つの実施形態において、世界中の主要な国々において住居用に使用される標準的な電圧である。あるいは、線552およびニュートラル554は、単一位相の120 VACの米国の住居用標準を供給し得、そして実際に、90〜260 VACの範囲のいずれかの電圧を供給し得る。線552およびニュートラル554は、商用部分556に240 VACを供給する。システム550は、保護的な設置導体を備えも提供もしないことに注目することは、価値がある。
商用部分556は、240 VACを、電源プリント回路基板(「PCB」)558に供給する。電源PCB 558は、商用部分562およびライブ部分564を備える。本発明の目的で、「商用部分」とは、供給商用電圧との伝導性接続を有することが意図された、設備の部品の全ての部分の全体である。「ライブ部分」とは、その部分に接続がなされる場合に、その部分から接地へ、またはその部分から同じ設備のアクセス可能な部分への流れに接続された部分に対して認容可能な漏れ電流を超える電流をその部分が生じ得る任意の部分である。
図示されるように、ライブ部分560および564は、電圧が、それぞれ、商用部分556および562から24 VDCに逓降する。明らかに、この電圧は、他の所望のレベルに逓降し得る。ライブ部分560は、ライブ部分566に供給する。ライブ部分566は、1200Vpeakの電圧を出力する逓昇変圧器を有する反転器である。反転器566は、多数の陰極蛍光光に電力を供給し、これは、ディスプレイデバイス40に対するバックライトを提供する。
ライブ部分560はまた、適用される部分568から絶縁され、これは、0の電位に維持される。「適用される部分」とは、本発明の目的で、システム550の、以下の任意の部分である:(i)透析処置を実施する患者または操作者に物理的に接触する部分;(ii)患者または操作者に接触され得る部分;あるいは(iii)患者によって触れられることを必要とする部分。例えば、患者がプレートヒータ16の上方プレートおよび下方プレート、温度センサ62ならびにエンクロージャーまたはハウジング112に触れることが可能である。適用される部分658は、温度センサ62の周りのケーシングまたは絶縁材を概略的に代表する。
ディスプレイデバイス40のみを備え、タッチスクリーン42(図1および2において議論される)を備えない1つの実施形態において、ハウジング112は、ウィンドウ570(例えば、ガラスまたは透明なプラスチックのウィンドウ)を備える。ガラスまたはプラスチックのウィンドウは、例えば、プラスチックのハウジングまたはエンクロージャー112の残りの部分と同じレベルの絶縁を提供する。タッチスクリーン42を備える実施形態において、このタッチスクリーンは、好ましくは、上記のものの製造によって、適切に絶縁される。あるいは、以下に議論される1層以上の絶縁材が、システム550に追加されて、タッチスクリーン42を適切に絶縁し得る。
システム550は、入力/出力ポート572を利用可能にする。この入力/出力ポートは、システム550を外部コンピュータ、ローカルエリアネットワーク、広域ネットワーク、インターネットなどに接続するための、シリアルポートまたはイーサネット(登録商標)ポートであり得る。入力/出力ポート572を絶縁するために、このシステムは、保護的なカバリングまたはケーシング574を提供する。
商用ポート556は、ヒータ要素576に電力を与え、このヒータ要素は、プレートヒータ16の上方プレートと下方プレートとの両方を加熱するために、位置付けおよび配置される。代替の実施形態(図示せず)において、商用ポート556は、上で議論された赤外ヒータに電力を供給する。図示されるように、二重絶縁が、ヒータ要素576とヒータプレート16との間で維持される。この二重絶縁材は、基本的な絶縁材B(240)(240 VACで定格される)および補助絶縁材S(240)(240 VACで定格される)を備える。
少なくとも、ヒータプレート16および要素576について、基本的絶縁材および補助絶縁材は、絶縁されるが熱的に伝導性であることを必要とする。ポリイミド(例えば、Kapton(登録商標))が、非常に良好に作用する。従って、1つの実施形態において、B(240)およびS(240)の層は、各々、約0.3ミリメートルの厚さのKapton(登録商標)のテープまたはシートを備える。さらに図示されるように、基本的絶縁材の別の層B(240)(240 VACで定格される)および補助絶縁材の別の層S(240)(240 VACで定格される)が、温度センサ62とヒータプレート16との間に配置される。従って、ヒータプレート16は、システム550の残り部分から、二重に完全に絶縁される。あるいは、二重の層の絶縁材のいずれかが、強化された絶縁材の単一の層によって置き換えられ得る。
線552およびニュートラル554は、基本的な作動絶縁BOP(240)(240 VACで定格される)によって絶縁され、このBOPは、それぞれの配線の周りに巻かれるかまたは押出された絶縁材である。基本的な絶縁B(240)(240 VACで定格される)は、商用部分556とエンクロージャー112との間、かつ電源PCB 558とエンクロージャーとの間に提供される。基本的な絶縁材B(240)は、適切に分離されたエアギャップの形態であり得る。エンクロージャー112自体は、240 VACについて、補助絶縁材S(240)を提供する。従って、商用部分556は、エンクロージャー112の外側から二重に絶縁される。
適用される部分568は、0の作動電圧に維持されるので、適用される部分568とハウジング112との間にさらなる絶縁材が配置される必要がない。従って、適用される部分568とハウジング112との間のOPとして図式的に表示される、作動的分離が単に存在する。しかし、24 VDCについての二重の絶縁または強化された絶縁D/R(24)が、ライブ部分560と適用される部分568との間に提供され、その結果、適用される部分568は、その0電位に維持される。基本的な絶縁B(24)(24 VDCで定格される)が、ライブ部分560とエンクロージャー112との間に提供される。基本的な絶縁B(24)は、適切に分離されたエアギャップの形態であり得る。上で言及されたように、エンクロージャー112自体は、240 VACに対する補助絶縁S(240)を提供する。従って、ライブ部分560は、エンクロージャー112の外側から二重に絶縁される。
ライブ部分560とライブ部分566との間に、さらなる絶縁は必要とされず、そして作動分離OPのみが提供される。ライブ部分566は、1200Vpeakまで逓昇されるので、エンクロージャー112のほんの240 VACで定格される補助絶縁材S(240)には依存しないはずである。従って、1200Vpeakに対する二重の絶縁または強化された絶縁D/R(1200)が、ライブ部分566とハウジング122との間に提供される。
240 VACに対する二重の絶縁または強化された絶縁D/R(240)が、商用部分556とライブ部分560との間に提供される。240 VACに対する二重の絶縁または強化された絶縁D/R(240)はまた、線とニュートラル線554との間、およびプレートヒータ16の上方プレートと下方プレートとの間に提供される。なおさらに、240 VACに対する二重の絶縁または強化された絶縁D/R(240)は、電源PCB 558の商用部分562とライブ部分564との間に提供される。ここで、二重の絶縁の場合、基本的な絶縁材または補助絶縁材のいずれかが、PCB 558上で適切に分離されたクリーページ距離であり得る。
24 VACに対する二重の絶縁または強化された絶縁D/R(24)が、ハウジング112とディスプレイデバイス40との間に提供される。ディスプレイデバイス40(24 VSVに維持される)と反転器(1200Vpeakに維持される)との間の分離は、作動的であるためにのみ必要とされる。ライブ部分566は、D/R(1200)によって、ハウジング112の外側から分離されなければならないが、LP(24)から分離さてはならない。この理由は、LP(1200)が、ライブ部分566の第二の面にあり、そして作業絶縁の故障に起因してLP(24)に短絡される場合、LP(1200)は、最大24 VDCになり、安全性の危険信号(safety hazard)を提供しないからである。
(X.グラフィカルユーザインターフェース)
ここで図29を参照すると、グラフィカルユーザインターフェース(「GUI」)システム600の1つの実施形態が図示されている。GUIシステム600は、1つの実施形態において、ウェブベースのソフトウェアおよび他の型のソフトウェアを使用する。図28に関して先に議論されたように、本発明のシステム10、100は、入力/出力ポート(例えば、シリアルポートまたはイーサネット(登録商標)ポート)572を備え、これは通常、カバー574によって患者から絶縁される。ポート572は、システム10、100の制御装置30が、インターネットおよび他の種々のネットワークにアクセスすることを可能にする。本発明のGUIシステム600は、制御装置30がインターネットまたは他のネットワークと相互作用することを可能にすることによって、この能力利用する。
GUIシステム600は、患者が自分の家にインターネットまたはネットワークのアクセスを有することを必要としないことが理解されるべきである。むしろ、ポート572は、保守人員または実装者が、ハードウェアユニット110内の制御装置30へのアクセスを得るためのものである。この様式で、患者は、自分のユニットを、インターネットまたはネットワークのアクセスを有する場所に運び得、ここで、患者のソフトウェアの質が向上され得る。次いで、患者は、このユニットを家に運び得、そしてインターネットまたはネットワークのアクセスを得る必要なしに操作し得る。
ウェブベースのソフトウェアを使用することは有利である。なぜなら、これは、十分に確立された標準に基づき、その結果、インターフェーススクリーンが、手で作られるのではなく、既存のソフトウェア構成要素を使用して構築され得るからである。ウェブベースのソフトウェアは、外部通信および複数のアクセス点を可能にする。このソフトウェアは、可搬型である。これらの理由の各々により、既存のソフトウェア構成要素を使用して構築されるソフトウェアは、開発の時間および費用を減少させる。
本発明は、埋め込まれたウェブブラウザ602を使用する、GUIの構築を包含する。1つの実施形態において、埋め込まれたウェブブラウザ602は、第三者ソフトウェアである。埋め込まれたウェブブラウザ602は、標的プラットフォーム上で実行され、そして進歩した特徴(例えば、HTML 4.0、ECMAScript、およびアニメーション化GIF)に対するサポートを含む、任意の第三者ブラウザを含み得る。ウェブブラウザ602は、種々のGUIスクリーンを、ビデオモニタ40に与え、そして供給する。ウェブブラウザ602はまた、患者によってなされる入力を取り扱う。操作者がこのシステムと相互作用する(例えば、図3Bに示されるボタン43、124、125および127を押すか、またはノブ122を回す)場合、ウェブブラウザ602は、この相互作用に関する情報を、埋め込まれたウェブサーバ604に転送する。
ウェブサーバ604は、次に、ウェブサーバ拡張ソフトウェア606を使用して、この相互作用を処理する。埋め込まれたウェブサーバ604もまた、標的プラットフォーム上で実行され、そしてウェブサーバ拡張ソフトウェア606のためのサポートを備え、そして埋め込まれたウェブブラウザ602に送信されるべき情報の動的決定を可能にする、任意の第三者ウェブサーバであり得る。
ウェブサーバの拡張は、ウェブサーバ拡張ソフトウェア606を使用して内部で開発され、そして選択された埋め込まれたウェブサーバ604に関連して作動する機構の仕様(例えば、Servlet)に適合する。ウェブサーバ拡張ソフトウェア606は、ウェブサーバ604が、バックエンドおよび実時間の情報を、器具アクセスおよび制御ソフトウェア608から検索することを可能にする。埋め込まれたウェブブラウザ602、埋め込まれたウェブサーバ604、およびウェブサーバ拡張ソフトウェア606のために使用され得る、多数の異なる既存のウェブサーバ拡張技術(例えば、CGI、ASP、ServletsまたはJava(登録商標) Server Pages(「JSP」))が存在する。
ウェブサーバ拡張ソフトウェア606は、器具アクセスおよび制御ソフトウェア608と相互作用する。器具アクセスおよび制御ソフトウェア608は、システム10、100におけるより低レベルの種々の構成要素(例えば、値モニタ/アクチュエータ、ポンプモータ/アクチュエータおよびヒータ)を制御するための、内部で開発される作動環境である。
操作者の入力、および自動化透析システム10、100の状態に依存して、ウェブサーバ拡張ソフトウェア606は、器具アクセスおよび制御ソフトウェア608と相互作用して、このソフトウェアから情報を獲得し得、そしてシステム10、100のデバイスの1つを作動させ得る。次いで、ウェブサーバ拡張ソフトウェア606は、情報を、埋め込まれたウェブブラウザ602に送信し、この情報は、次いで、ディスプレイデバイス40上に表示され得る。ウェブサーバ拡張ソフトウェア606は、インターネットアクセスおよび制御ソフトウェア608と、1つの実施形態において、CORBA標準を使用して通信する。しかし、この通信は、当業者に公知である種々の異なるプロトコルを使用して起こり得る。
システム10、100の作動の間に、操作者に表示されるべき高優先度の情報を必要とする事象(例えば、ディスプレイデバイス40または別個の専用警告ディスプレー上のいずれかへの、警告および対応するメッセージ)が起こり得る。高優先度の事象が起こる場合、器具アクセスおよび制御ソフトウェア608は、事象取り扱いソフトウェア610によって取り扱われる事象を発生させ、これは、内部で開発され得る。事象取り扱いソフトウェア610は、次に、ウェブサーバ604からの割り込みまたはリフレッシュ要求刺激を使用して、ウェブブラウザが現在ディスプレイデバイス40に表示させている全ての表示をリフレッシュするように、埋め込まれたウェブブラウザ602に通知する。
事象取り扱いソフトウェア610は、情報が器具アクセスおよび制御ソフトウェア608から埋め込まれたウェブブラウザ602へと、埋め込まれたウェブブラウザ602による要求なしで流れることを可能にし、ここで、ウェブブラウザは、その後、リフレッシュを要求する。次いで、ウェブサーバ604は、この要求を、ウェブサーバ拡張ソフトウェア606に転送する。ウェブサーバ拡張ソフトウェア606は、どの情報がディスプレイデバイス40に表示されるべきかを、システム10、100の状態に基づいて決定する。次いで、ウェブサーバ拡張ソフトウェア606は、その情報を、埋め込まれたウェブブラウザ602に戻して中継し、これは、このディスプレイデバイスを更新し、例えば、警告状態を示す。
GUIシステム600の1つの実施形態において、ウェブクライアントは、システム10、100のハードウェアユニット110に対して内部である。図1に関して上で記載されたように、制御装置10は、複数のプロセッサ(本明細書中では、包括してプロセッサ34と称される)を備える。多数の代表プロセッサに属するメインマイクロプロセッサが提供される。埋め込まれたウェブブラウザ602、ウェブサーバ604、ウェブサーバ拡張ソフトウェア606、および事象取り扱いソフトウェア610の各々は、メインマイクロプロセッサで実行される。器具アクセスおよび制御ソフトウェア608は、メインマイクロプロセッサおよび1つ以上の代表プロセッサ上で実行される。
あるいは、多数の異なる外部ウェブクライアントが、システム10、100に含まれる情報にアクセスし得ることを必要とすることが、可能である。従って、埋め込まれたウェブサーバ604に対するHTTP命令が、予め決定されたパスワードを必要とせず、より強くかつより可撓性のセキュリティシステムを使用することが好ましい。
ここで図30A〜30Mを参照すると、操作者または患者によって見られる、システム10、100の全体の外観および感触を示す、GUI600の多数のスクリーンショットが図示されている。さらに、これらの図は、GUIシステム600によって提供される種々の特徴を図示する。本発明の自動化透析システムの目的は、単純でありかつ十分に作動するシステムを作製することである。このデバイスは、2つのみの供給バッグ14(10kg未満の重量)を必要とし、そして患者に対する電気ショックの危険性なしに、事実上世界中のどこででも電力を供給され得る。同様に、GUIシステム600は、単純であり、直感的であり、効果的であり、再現性があり、そして信頼性があるように設計される。
図3Bに図示されるように、システム10、100は、ディスプレイデバイス40、ノブ122(これは、使用者がGUIシステム600と相互作用することを可能にする)、および多数の専用押しボタン43(これは、患者が3つの異なるスクリーン(すなわち、パラメータ変更スクリーン、ログスクリーンおよび治療スクリーン)の間をナビゲートすることを可能にする)を備える。1つの実施形態において、入力デバイス43、122、124、125および127が各々電気機械的である、ディスプレイデバイス40が提供される。代替の実施形態において、1つ以上の入力デバイスが、ディスプレイデバイス40およびビデオ制御装置38と共に作動するタッチスクリーン42によって提供される。
シミュレートされるか、または電気機械的な「停止」入力124、「OK」ボタン125および「戻る」ボタン127もまた、提供される。OKボタン125により操作者は、セットアップ手順の特定の部分が完了したことを表示し得、そして、GUI600を作動させて、セットアップ段階または治療段階の次の工程に移り得る。停止ボタン124により、操作者または患者は、セットアップ手順または治療手順を停止し得る。システム600は、ハンドシェーク型の応答(例えば、「本当にセットアップを停止していいですか」)を含み得る。全体の手順の他の部分(例えば、患者充填または排出サイクル)は、操作者からのさらなる入力を必要とすることなく即座に停止する。手順における特定のポイントにおいて、システムにより、操作者は、戻るボタン127を使用して1つ以上前のスクリーンに戻り得る。
ここで、図30Aを参照して、ディスプレイデバイス40およびビデオコントローラー38は、動画を表示するように適合され、これらは、快適な形式で情報および指示612を患者に提供する。スクリーンショット全体に示されるように、GUIシステム600は、ディスプレイデバイス40上に何が表示されているのかを患者が読み取りそして理解するまで待機し、その後、次の工程または段階に移る。図30Aは、GUIシステム600が、患者が治療を開始する前の準備が整うまで待機しているところを示す。システム600は、使用者に「OK」入力を押して、治療を開始するように促す。図30Aはまた、治療スクリーンが、614において単語「治療」を強調することによって、現在表示されていることを示す。
図30Bにおいて、GUIシステム600のディスプレイシステム40は、患者に、治療に必要な供給物(例えば、供給バッグ14)を集めるように促す。図30Bおよび30Cは、システム600が静止画(例えば、静止画616)および動画(例えば、動画618)を使用するところを示し、これらは、実際の対応する供給物または一部に似ており、患者が容易に、効率的に、かつ安全にシステム10、100に接続することを補助する。例えば、図30Cの動画は、システム10、100の実際のホースクランプに似ており、これは、患者が機器の適切な部品を見つけて治療を進める際に補助となる。動画168の矢印はまた、患者が実施することを支持される動作を示し、これは、患者が、クランプを不適切に操作するか、または、ことによるとクランプを破損する危険性を低減させる。
図30Dおよび30Eは、GUIシステム600が、患者に以下のことを促すことによって、システム10、100の衛生的な操作を促進するところを示す:(i)患者の口および鼻を適切な時間に覆う工程を取らせること;および(ii)臨床流体コネクター(例えば、患者流体コネクターおよび供給バッグコネクター)と接触する前に患者の手を洗浄させること。GUIシステム600は、患者が、各工程を完了し、そこでOK入力を押し、その後、次の工程に進むまで待機する。図30Dおよび30Eに示されるように、ディスプレイデバイス40の頂部に位置するソフトウェアLED620は、使用者がセットアップ手順のどこにいるかを示す。
図30A〜30Eおよび30H〜30Mのスクリーンショットは各々、治療の手順的なセットアップ工程を表す。従って、図30A〜30Eおよび30H〜30Mのスクリーンショットの色は、それらが日中または明かりがついた場合により鮮明であるように選択される。1つの実施形態において、これらのスクリーンは、青色の異なる濃淡であり、ここで、静止画および動画および文字の内側は、白色であり、文字の外側および境界は黒色である。しかし、図30Fおよび30Gに示されるように、治療の有効な段階を示すスクリーンショットは、それらが夜間または明かりが消えた場合により鮮明であるように選択される。1つの実施形態において、図30A〜30Fのスクリーンショットは、黒色であり、文字、図表および挿絵などは真紅である。赤色の文字は、眠っている患者にとって邪魔ではないが、約10〜25フィート(3〜7.6メートル)の距離でなお視認できるように構成される。
図30Fおよび30Gは、治療の有効な段階の間に、治療状態情報が、図表622および数値データ624の両方の形態でスクリーンショットに表示されているところを示す。治療状態情報は、リアルタイムか、またはわずかな時間遅延でもって実質的にリアルタイムで表示される。図30Fは、治療の重点部分の間のスクリーンショットを示す。特に、図30Fは、合計3回の充填の1回目の充填を示す。図表時計622は、充填サイクル時間が約1/8経過したことを示す。ダイヤグラム622は、治療が重点サイクルにあることを示す。また、本体622の図表表示は、透析物が非常に低い%であることを示す。数値データ624は、システム10、100が150mlの透析物を患者にポンプ送りするところを示す。
図3Gは、患者が一晩に3回生じる排出サイクルの1回目のサイクルを現在受けているところを示す。時計の図表表示は、排出サイクル時間が約1/8経過していることを示す。図表矢印が下向きである場合は、排出サイクルを示す。本体は、実質的に透析物が一杯になっているところを示す。数値データ624は、50mlの透析物が患者から除去されたことを示す。
図30Hおよび30Iは、治療がいつ完了するかをモニタリングする際に、スクリーンが、日中色または明かりのついた部屋においてより見られる色に戻るところを示す。図30Hは、患者にシステム10,100を外すように促す情報および指示612を含む。このシステムは、患者がOKボタン125(図3B)を選択し、その後に進むまで待機する。図30Iは、動画618を示し、これは、患者がシステムを外している間の動作および機器を示す。取り外し順序における各動作について、システム600は、患者が患者がOKボタン125(図3B)を選択し、その後に進むまで待機する。
図30Jおよび30Mは、1つの実施形態において、治療の間に、使用者が、図3Bに示される指示された入力43のうちの1つを選択することによって、パラメータ変化およびログ情報を案内するところを示す。図30Jは、患者が、パラメータ変化情報に関連する入力43を選択したことを示す。ここで、図30Jにおけるスクリーン40は、単語「治療」の代わりに、単語「変化」を強調する。
パラメータスクリーンは、階層形式で患者にパラメータ情報を提供する。まず、図30Jにおいて、システム600は、パラメータのカテゴリ625(例えば、患者選好(patient preference)、毎日の患者のデータ、治療パラメータ、看護士パラメータおよびサービスパラメータ)を表示する。患者は、図3Bの調節ノブ122を使用して、種々のカテゴリ625にわたってスクロールさせ得、その結果、所望のカテゴリ625が、強調されたディスプレイ領域626に表示される。図30Hは、現在、患者選好カテゴリ625が、強調されたディスプレイ領域626に表示されているところを示す。
一旦、使用者が、OKボタン125(図3B)を押すことで強調された領域625を選択すると、図30Kのスクリーン40によって示されるように、第1の扉628がスライドして開き、選択されたカテゴリ625(例えば、患者選好カテゴリ)についての情報のリストを表示する。図30Kは、患者選好カテゴリ625が、扉628の上に表示されているところを示し、その結果、患者は、いずれのカテゴリ625のパラメータ627が表示されているかを知る。同時に、ここで、強調された表示領域626は、患者選好カテゴリ625に属するパラメータ627の選択グループのうちの1つを表示する。
患者選好カテゴリ625に属するように図30Kに示されるパラメータ627は、ディスプレイ明度%、スピーカー音量%および透析物温度(℃)を含む。明らかに、患者選好カテゴリ625は、他のパラメータ627を含み得る。図30Jに示される他のカテゴリ625は、図30Kに示されるパラメータ以外の異なるパラメータ627を含む。
患者は、回転ノブ122を回転させることによって、患者選好パラメータ625についてのパラメータ627をスクロールさせ得、そしてそれらのうちの1つを選択し得る。このようにして、信号ノブ122が度々使用されることが理解されるはずである。この特徴は、単純なシステムを提供する目的に従っており、ここで、患者は、複数のノブから何れのノブを特定の特徴に適用したかを覚えておく代わりに、1つのノブを切り換えるだけでよい。また、ノブ122により、文字がより大きくなり得る。なぜなら、患者は、スクロールさせて、扉628が最初に表示される場合に表示されていないさらなるパラメータ選択を見ることができるからである。すなわち、ノブ122の機能は、GUI600が全ての可能なパラメータを一度に表示する必要がないという自由度を提供する。この利益はまた、図30Jのカテゴリ選択スクリーンに適用されることが理解されるはずであり、ここで、カテゴリ625の各々は、同時に表示される必要はない。
一旦、患者が、例えば、OKボタン125を押すことによって患者選好カテゴリのパラメータのうちの1つを選択すると、第2の扉630がスライドして開き、ここで、ディスプレイデバイス40は、患者が、患者選好カテゴリ625(これは、図30Lの第1の扉628によってなお表示されている)のディスプレイ明度パラメータ627を選択したことを示す。ここで、強調された領域626は、選択されたカテゴリの選択されたパラメータ627についての可能な値632の範囲のうちの1つを表示する。
図30Lにおいて、ディスプレイデバイス40は、強調されたディスプレイ領域626が、現在、患者選好カテゴリのディスプレイ明度パラメータ627について80という値632を示しているところを示す。再び、患者は、ノブ122を回転させることによって、選択されたパラメータ627の値632を変化させる。患者が、選択したカテゴリのパラメータについての値632(所望の値が表示されている間に、図3Bに示されるOK入力125を押すことによって)を選択すると、GUIシステム600は、図30Mにおけるディスプレイデバイス40によって示される値を保存する。図30Mは、システム600が、選択された値が保存されたというフィードバックメッセージを患者に提供する。
1つの実施形態において、システム600は、上述の種々の視覚的機器を介して操作者に情報および指示を提供する。代替の実施形態において、視覚情報および指示612、静止画616、動画618、パラメータ情報などに加えて、1つ以上または全ての上に開示された通信方法が、スピーカー129(図3B)およびシステム10、100のコントローラーと協働する音響カード(図示せず)を介して、患者または操作者に聞き取れるように提供される。
メインマイクロプロセッサ上で実行される種々のプログラムはまた、治療の間の特定の時間に、またはシステム600によって開始される特定の事象(例えば、アラーム)の際に、または患者もしくは操作者の入力の際に、特定の音響ファイルを作動させる1つ以上のプログラムを含み得る。音響ファイルは、ヒトの声の音または任意の他の型の音を含み得る。音響ファイルは、1つの実施形態において、治療のセットアップ部分にわたって患者を案内する。音響ファイルは、不適切な入力をGUI600などになした患者に警告し得る。好ましい実施形態において、システムは、例えば、患者が眠っている間などのサイクルの間、音響を作動させない。
操作者が、ログ情報(図示せず)に対応する専用入力43を選択する場合、GUI600は、治療データを示すスクリーンを表示する。1つの実施形態において、治療データは、多くの操作者が選択可能なログにおいて提供される。ログの1つは、最初に表示されるデフォルトログ(default log)であり得、ここで、操作者は、例えば、ノブ122を介して別のログに切り換え得る。ログは、最も最近の治療データに関し得るか、かつ/または多数の日数および多数の治療にわたるデータを保存し得る。ログは、任意の型の操作パラメータ情報(例えば、サイクル時間、サイクル数、送達された流体容量、流体温度情報、流体圧力情報、透析物成分の濃度、任意の通常の事象または任意の警報型の事象など)を保存し得る。
本明細書中に記載された現在好ましい実施形態に対して種々の変化および改変は、当業者に明らかであることは理解されるべきである。このような変化および改変は、本発明の精神および範囲から逸脱せず、かつその意図する利点を失うことなくなされ得る。従って、このような変化および改変は、添付の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。