JP2012074686A - 太陽電池用前面保護シート及びそれを用いて作製された太陽電池モジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】太陽電池用セルの保護部材として用いられる保護シートであって、柔軟性と耐熱性および透明性との良好なバランスが図られた樹脂層を有することによって、落下物などによる前面保護シートの防湿性能の劣下を防ぎ、透明性及び長期の高い防湿性と耐候性を兼備し、かつ太陽電池の軽量化、耐久性の向上に有効な太陽電池用前面保護シートを提供する。
【解決手段】耐候層(A)と防湿層(B)とを、下記(1)の条件を満足するエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(C−1)と下記(2)の条件を満足するエチレン−α−オレフィンブロック共重合体(C−2)とを含有する柔軟層(C)を介して積層してなることを特徴とする太陽電池用前面保護シート。
(1)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解熱量が0〜70J/g
(2)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解ピーク温度が100℃以上であり、かつ、結晶融解熱量が5〜70J/g
【選択図】なし

Description

本発明は、太陽電池用セルの前面保護部材として用いられる前面保護シートに関し,特に、柔軟性と防湿性と耐候性を兼備する樹脂層よりなり,太陽電池の軽量化、耐久性の向上に有効な太陽電池用前面保護シート及びこの太陽電池用前面保護シートを用いた軽量、高耐久性の太陽電池に関する。
近年、資源の有効利用や環境汚染の防止等の面から、太陽光を直接電気エネルギーに変換する太陽電池が注目され、開発が進められている。太陽電池は受光面側より前面保護シートと裏面保護シートとの間にエチレン− 酢酸ビニル共重合体やポリエチレン、ポリプロピレンフィルムなどの封止膜により太陽電池用セルを封止した構成とされている。
このような太陽電池は、通常、前面保護シート、封止膜 、発電素子、封止膜及び裏面保護シートをこの順で積層し、加熱溶融させることにより接着一体化することで製造される。太陽電池の前面保護シートとしては、紫外線に対する耐久性に優れることが要求されるが、加えて、湿気ないし水の透過による内部の導線や電極の発錆を防止するために、防湿性に優れることが極めて重要な要件となる。このため、従来は、表面側透明保護部材としてガラス板が用いられている。しかし、ガラス板は耐光性、防湿性に優れる反面、重量が重く、また、衝撃に弱く割れ易いという欠点がある。この問題に対して、たとえば特許文献1では透明樹脂フィルムを用いることにより、重さ及び衝撃による破損の問題を解決し、また耐候性、防湿性が良好な樹脂フィルムを組み合わせることにより太陽電池の耐久性の向上に有効な太陽電池用前面保護シートが提案されている。
しかしながら、特許文献1記載の太陽電池用前面保護シートにおいて、接着剤を用いて耐候層と防湿層を張り合わせる場合,接着剤を厚くすることは生産性の観点から難しく,太陽電池受光面への落下物により防湿層が破損し防湿機能を劣下させてしまうことがあった。
一方、接着剤を用いず、太陽電子用封止材に一般に用いるエチレン− 酢酸ビニル共重合体を耐候層と防湿層を張り合わせるフィルムとして使用し,太陽電池への落下物による防湿機能の劣下を防ぐ方法が提案されている(特許文献2)。
しかしながら,エチレン− 酢酸ビニル共重合体を使用する場合、通常、これに耐熱性を付与することを主な目的として有機過酸化物などの架橋剤を用いた架橋が行われるため,架橋にともなう表面外観悪化や防湿層の劣下が生じる。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体には、長期間における使用に際して、エチレン−酢酸ビニル共重合体の加水分解等により発生する酢酸、架橋剤、架橋助剤などに起因して、前面保護シート内の樹脂層や接着剤を劣下させ層内界面での剥離が発生する問題があった。
また架橋を必要とせず、酢酸の発生がないα−オレフィン重合体からなる太陽電池封止材(特許文献3)や、少なくとも一種のポリオレフィン系共重合体と、少なくとも一種の結晶性ポリオレフィンからなるポリマーブレンドまたはポリマーアロイからなることを特徴とする太陽電池封止材(特許文献4)が開示されている。特に上記特許文献4には、具体的に、低融点のエチレン− 酢酸ビニル共重合体と高融点のエチレン−酢酸ビニル共重合体とのポリマーブレンド(実施例1参照)、エチレン−メタクリル酸共重合体と汎用の結晶性ポリエチレンとのポリマーブレンド(実施例2参照)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体と汎用の結晶性ポリプロピレンとのポリマーブレンド(実施例3参照)が開示されている。
しかし、上記特許文献3で具体的に用いられているプロピレンを主成分とする重合体からなる樹脂組成物では、透明性が不十分であり(全光線透過率:83.2%(実施例参照))、前面保護シート内の張り合わせフィルムとして使用した場合,前面保護シート全体の光線透過率が低下し太陽電池の発電効率が低下する。また、特許文献4で用いられている各ポリマーブレンドは、必ずしも透明性に優れたものではなく、柔軟性と耐熱性および透明性とのバランス化においては未だ問題があった。
尚、上記特許文献3、4のいずれにおいても、前面保護シートにおける防湿層の劣化を防ぎ、これにより長期の高い防湿性と耐候性を兼備し、かつ太陽電池の耐久性の向上を図ると言う着眼はない。このように、従来の太陽電池用全面保護シートに関する技術において、前面保護シートにおける防湿層の劣化に対する有用な解決手段は提案されてなかった。
特許第3978911号公報 特許第3978912号公報 特開2006−210905号公報 特開2001−332750号公報
すなわち、本発明の課題は、太陽電池用セルの透明保護部材として用いられる保護シートにおいて、前記従来の問題を解決し、該シートの一部を構成する防湿性能を有する樹脂層の劣化を防ぐために、柔軟性と耐熱性および透明性との良好なバランスが図られた樹脂層を有することによって、落下物などによる前面保護シートの防湿性能の劣下を防ぎ、透明性及び長期の高い防湿性と耐候性を兼備し、かつ太陽電池の軽量化、耐久性の向上に有効な太陽電池用前面保護シートを提供することにある。
また、本発明の課題は、この太陽電池用前面保護シートを用いた、軽量、高耐久性の太陽電池モジュール及び太陽電池を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、特定の熱特性を有するエチレン−α−オレフィンランダム共重合体と特定の熱特性を有するエチレン−α−オレフィンブロック共重合体を含有する樹脂層を太陽電池用前面保護シートに用いることにより、柔軟性、耐熱性および透明性を同時に満足できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
耐候層(A)と防湿層(B)とを、下記(1)の条件を満足するエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(C−1)と下記(2)の条件を満足するエチレン−α−オレフィンブロック共重合体(C−2)とを含有する柔軟層(C)を介して積層してなることを特徴とする太陽電池用前面保護シートに関する。
(1)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解熱量が0〜70J/g
(2)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解ピーク温度が100℃以上であり、かつ、結晶融解熱量が5〜70J/g
また、本発明は、前記本発明の太陽電池用前面保護シートを用いて作製された太陽電池モジュール及び太陽電池に関する。
本発明によれば、前面保護シートにおいて、該シートを構成する柔軟層を特定の構成とすることによって、該柔軟層の柔軟性と耐熱性および透明性とのバランスを図ることができる。これにより、落下物などによる防湿層の劣化が引き起こす前面シートの防湿性能の劣下を防ぐことができ、透明性及び長期の高防湿性と耐候性を兼備し、かつ太陽電池の軽量化、耐久性の向上に有効な太陽電池用前面保護シート、及びこの太陽電池用前面保護シートを用いた、軽量、高耐久性の太陽電池モジュールならびに太陽電池を提供することができる。
本発明の太陽電池用前面保護シートの実施の形態の一例を示す概略断面図である 本発明の太陽電池モジュールの一例を示す概略断面図である。
以下、本発明を更に詳細に説明する。なお、本明細書において、「層」の語は「フィルム」の意を包含することがあるものとする。
<耐候層(A)>
本発明における耐候層(A)とは高透明で可撓性に富み、耐熱性、防湿性、紫外線耐久性に優れる性能を有する樹脂層をいい、太陽電池前面保護シートと表面外観の維持を目的として用いられる。
耐候層の耐候性は、JIS K7350に準じてなされるサンシャインウェザーメーターによる耐候性試験において、力学物性や全光線透過率の低下が少ないものが好ましく、5000時間経過後の力学物性や全光線透過率の低下がないものがより好ましく、10000時間経過後の力学物性や全光線透過率の低下がないものが特に好ましい。
耐候層(A)の材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、4−フッ化エチレン−パークロロアルコキシ共重合体(PFA)、4−フッ化エチレン−6−フッ化プロピレン共重合体(FEP)、2−エチレン−4−フッ化エチレン共重合体(ETFE)、ポリ3−フッ化塩化エチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂層、或いは、アクリル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の樹脂に紫外線吸収剤を練り込んだ樹脂組成物を成膜したものが好ましく用いられ、長期耐久性と高光線透過率の観点から、2−エチレン−4−フッ化エチレン共重合体(ETFE)、4−フッ化エチレン−6−フッ化プロピレン共重合体(FEP)がより好ましく用いられる。なお、上記紫外線吸収剤としては、柔軟層に含有されうる後述の紫外線吸収剤と同様のものが使用できる。上記樹脂は、1種で用いることもできるが2種以上組合せて使用することもできる。
上記耐候層(A)の厚さは、一般に20〜200μm程度であり、フィルムの取り扱いやすさとコストの点から30〜120μmが好ましく、40〜80μmがより好ましい。
<防湿層(B)>
本発明における防湿層(B)とは、湿気、水の透過による内部の導線、電極の発錆等を防止するために用いられ、好ましくは高透明であり、防湿性に優れた樹脂層であれば特に制限はないが、基材層の少なくとも一方の面に無機酸化物のコーティング膜を少なくとも1層有するものが好ましく用いられる。
上記基材層としては、熱可塑性高分子フィルムが好ましく、好ましくは高透明であり、その材料としては、通常の包装材料に使用しうる樹脂であれば特に制限なく用いることができる。具体的には、エチレン、プロピレン、ブテン等の単独重合体または共重合体などのポリオレフィン、環状ポリオレフィン等の非晶質ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体部分加水分解物(EVOH)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、フッ素樹脂、アクリレート樹脂、生分解性樹脂などが挙げられる。これらの中では、フィルム物性、コストなどの点から、ポリエステル、ポリアミド、およびポリオレフィンから選ばれる少なくとも一つの樹脂が好ましい。中でも、フィルム物性の点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)が特に好ましい。
また、上記基材層は、公知の添加剤、例えば、帯電防止剤、光線遮断剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、フィラー、着色剤、安定剤、潤滑剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤等を含有することができる。
上記基材層としての熱可塑性高分子フィルムは、上記の原料を用いて成形してなるものであるが、基材として用いる際は、未延伸であってもよいし延伸したものであってもよい。また、他のプラスチック基材と積層されていてもよい。
かかる基材層は、従来公知の方法により製造することができ、例えば、原料樹脂を押出機により溶融し、環状ダイやTダイにより押出して、急冷することにより実質的に無定型で配向していない未延伸フィルムを製造することができる。また、多層ダイを用いることにより、1種の樹脂からなる単層フィルム、1種の樹脂からなる多層フィルム、多種の樹脂からなる多層フィルム等を製造することができる。
この未延伸フィルムを一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸などの公知の方法により、フィルムの流れ(縦軸)方向又はフィルムの流れ方向とそれに直角な(横軸)方向に延伸することにより、少なくとも一軸方向に延伸したフィルムを製造することができる。延伸倍率は任意に設定できるが、150℃熱収縮率が、0.01〜5%、更には0.01〜2%であることが好ましい。中でもフィルム物性の点から、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムや、ポリエチレンテレフタレート及び/又はポリエチレンナフタレートと他のプラスチックの共押出二軸延伸フィルムが好ましい。
なお、上記基材層には、無機薄膜との密着性向上のため、アンカーコート剤を塗布することが好ましい。アンカーコート剤としては、溶剤性又は水性のポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニル変性樹脂、ビニルアルコール樹脂、ビニルブチラール樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ニトロセルロース樹脂、オキサゾリン基含有樹脂、カルボジイミド基含有樹脂、メチレン基含有樹脂、エポキシ基含有樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂及びアルキルチタネート等を単独、あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。また、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、光線遮断剤、紫外線吸収剤、安定剤、潤滑剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤等を含有したり、それらを上記樹脂と共重合させたものを使用することができる。
アンカーコート層の形成方法としては、公知のコーティング方法が適宜採択される。例えば、リバースロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドクタコーター、スプレイあるいは刷毛を用いたコーティング方法等の方法がいずれも使用できる。また、蒸着層を樹脂液に浸漬して行ってもよい。塗布後は、80〜200℃程度の温度での熱風乾燥、熱ロール乾燥などの加熱乾燥や、赤外線乾燥などの公知の乾燥方法を用いて溶媒を蒸発させることができる。また、耐水性、耐久性を高めるために、電子線照射による架橋処理を行う事もできる。また、アンカーコート層の形成は、基材層の製造ラインの途中で行う方法(インライン)でも、基材層製造後に行う(オフライン)方法でも良い。
防湿層としては、該基材層にアルミニウム等の金属のコーティング膜を形成したものも知られているが、アルミニウム等の金属では、太陽電池に適用した場合、電流がリークする等の恐れがあるため、シリカ・アルミナ等の無機酸化物のコーティング膜が好ましく用いられる。
上記無機酸化物コーティング膜の形成方法としては、蒸着法、コーティング法などの方法がいずれも使用できるが、ガスバリア性の高い均一な薄膜が得られるという点で蒸着法が好ましい。この蒸着法には、物理気相蒸着(PVD)、あるいは化学気相蒸着(CVD)などの方法が含まれる。物理気相蒸着法には、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリングなどが挙げられ、化学気相蒸着法には、プラズマを利用したプラズマCVD、加熱触媒体を用いて材料ガスを接触熱分解する触媒化学気相成長法(Cat−CVD)等が挙げられる。
無機酸化物コーティング膜を構成する無機物質としては、珪素、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、錫、ニッケル、チタン、非晶質炭素等、あるいはこれらの酸化物、炭化物、窒化物またはそれらの混合物が挙げられるが、好ましくは酸化珪素、酸化アルミニウム、非晶質炭素を主体としたダイアモンドライクカーボンである。特に、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化アルミニウムは、高いガスバリア性が安定に維持できる点で好ましい。
上記コーティング膜の厚さは、安定な防湿性能の発現の点から、40〜1000nmであることが好ましく、80〜800nmがより好ましく、160〜600nmが更に好ましい。また、上記基材層の厚さは、一般に5〜100μm程度であり、生産性や取り扱いやすさの点から8〜50μmが好ましく、12〜25μmが更に好ましい。従って、上記防湿層(A)の厚さは、一般に6〜100μm程度であり、生産性や取り扱いやすさの点から9〜50μmが好ましく、12〜25μmが更に好ましい。
<柔軟層(C)>
本発明における柔軟層(C)とは、前記耐候層(A)と防湿層(B)とを、これを介して積層することを目的として使用されるものである。柔軟層(C)としては、具体的には、高透明で可撓性に富み、耐熱性、加水分解性に優れることから、エチレン−α−オレフィン共重合体からなるフィルムが用いられ、さらに、特定の熱特性を有するエチレン−α−オレフィンランダム共重合体と特定の熱特性を有するエチレン−α−オレフィンブロック共重合体を含有する樹脂組成物を使用することが高光線透過率,耐熱性,柔軟性の発現の観点から必要となる。
ここで特定の熱特性を有するエチレン−α−オレフィンランダム共重合体とは下記(1)の条件を満足するエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(C−1)であり、特定の熱特性を有するエチレン−α−オレフィンブロック共重合体とは下記(2)の条件を満足するエチレン−α−オレフィンブロック共重合体(C−2)である。
(1)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解熱量が0〜70J/g
(2)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解ピーク温度が100℃以上であり、かつ、結晶融解熱量が5〜70J/g
太陽電池用前面保護シートの耐熱性は柔軟層(C)を構成するエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(C−1)の諸特性(結晶融解ピーク温度、結晶融解熱量、MFR、分子量など)およびエチレン−α−オレフィンブロック共重合体(C−2)の諸特性(結晶融解ピーク温度、結晶融解熱量、MFR、分子量など)により影響されるが、とくに、エチレン−α−オレフィンブロック共重合体(C−2)の結晶融解ピーク温度が強く影響する。
一般に、太陽電池モジュールは発電時の発熱や太陽光の輻射熱などで、その温度が85〜90℃程度まで昇温するが、柔軟層(C)におけるエチレン−α−オレフィンブロック共重合体(C−2)の結晶融解ピーク温度が100℃以上であれば、本発明の太陽電池用前面保護シートの耐熱性を確保することが出来る。一方、エチレン−α−オレフィンブロック共重合体(C−2)の結晶融解ピーク温度の上限温度が145℃であれば、太陽電池素子の封止工程であまり高温にすることなく封止することができるため好ましい。また柔軟層(C)におけるエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(C−1)及びエチレン−α−オレフィンブロック共重合体(C−2)の各々の結晶融解熱量が規定の範囲内であれば、本発明の太陽電池用前面保護シートの柔軟性や透明性(全光線透過率)などが確保され、また、原料ペレットのブロッキングなどの不具合も起こり難いため好ましい。
本発明における柔軟層(C)を構成するエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(C−1)及びエチレン−α−オレフィンブロック共重合体(C−2)の各々に用いられるα−オレフィンの種類は、同一であってもよいし、異なっていてもよいが、本発明においては、同一である方が、混合した際の相溶性や太陽電池用前面保護シートの透明性、すなわち、太陽電池の光電変換効率が向上するため好ましい。
次に、柔軟層(C)におけるこれらの共重合体の混合(含有)質量比は、特に制限されるものではないが、好ましくは(C−1)/(C−2)=99〜50/1〜50、より好ましくは、98〜60/2〜40、さらに好ましくは、97〜70/3〜30である。但し、(C−1)と(C−2)の合計を100質量部とする。ここで、混合(含有)質量比が上記範囲内であれば、柔軟性、耐熱性、透明性等のバランスに優れた柔軟層(C)が得られやすいため好ましい。
本発明における柔軟層(C)の柔軟性は、適用される太陽電池の形状や厚み、設置場所などを考慮して適宜調整すれば良いが、例えば、動的粘弾性測定における振動周波数10Hz、温度20℃の貯蔵弾性率(E´)が1〜2000MPaであることが好ましい。太陽電池素子の保護の観点からは貯蔵弾性率(E´)は、より低い方が好ましいが、シート形状などで本発明の柔軟層(C)を採取した場合のハンドリング性やシート表面同士のブロッキング防止などを考慮すると、3〜1000MPaであることがより好ましく、5〜500MPaであることがさらに好ましく、10〜100MPaであることが特に好ましい。
本発明における柔軟層(C)の耐熱性は、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(C−1)の諸特性(結晶融解ピーク温度、結晶融解熱量、MFR、分子量など)およびエチレン−α−オレフィンブロック共重合体(C−2)の諸特性(結晶融解ピーク温度、結晶融解熱量、MFR、分子量など)により影響されるが、とくに、エチレン−α−オレフィンブロック共重合体(C−2)の結晶融解ピーク温度が強く影響する。
前述の通り、柔軟層(C)におけるエチレン−α−オレフィンブロック共重合体(C−2)の結晶融解ピーク温度が100℃以上であれば、本発明における柔軟層(C)の耐熱性を確保することが出来る。そして、本発明の太陽電池前面保護シートは柔軟層(C)の耐熱性と弾性率が部材を構成する層において最も低いことから,本発明の太陽電池前面保護シートの耐熱性については柔軟層(C)がその性能を決定する。
本発明においては、柔軟層(C)の耐熱性は、厚み3mmの白板ガラス(サイズ;縦75mm、横25mm)と厚み5mmのアルミ板(サイズ;縦120mm、横60mm)の間に厚みが0.5mmのシート状の柔軟層(C)を重ね、真空プレス機を用いて150℃、15分の条件で積層プレスした試料を作製し、該試料を100℃の恒温槽内で60度に傾斜して設置し500時間経過後の状態を観察し、ガラスが初期の基準位置からずれなかったものを○、ガラスが初期の基準位置からずれたり、シートが溶融したものを×として評価した。
本発明における柔軟層(C)の全光線透過率は、適用する太陽電池の種類、例えばアモルファスの薄膜系シリコン型などや太陽電子素子に届く太陽光を遮らない部位に適用する場合には、あまり重視されないこともあるが、太陽電池の光電変換効率や各種部材を重ね合わせる時のハンドリング性などを考慮し、通常、85%以上であることが好ましく、87%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
本発明における柔軟層(C)の柔軟性、耐熱性および透明性については背反特性になり易い。具体的には、柔軟性を向上させるために用いる樹脂組成物の結晶性を低下させ過ぎると、耐熱性が低下し不十分となる。一方、耐熱性を向上させるために用いる樹脂組成物の結晶性を向上させ過ぎると、透明性が低下し不十分となる。本発明においては、これらのバランスを柔軟性の指標として動的粘弾性測定における振動周波数10Hz、温度20℃の貯蔵弾性率(E´)、耐熱性の指標として示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解ピーク温度および透明性の指標として全光線透過率を用いた場合、3つの指標が、貯蔵弾性率(E´)が1〜2000MPa、結晶融解ピーク温度が100℃以上、全光線透過率85%以上であることが好ましく、貯蔵弾性率(E´)が5〜500MPa、結晶融解ピーク温度が105〜145℃、全光線透過率85%以上であることがさらに好ましく、貯蔵弾性率(E´)が10〜100MPa、結晶融解ピーク温度が110〜145℃、全光線透過率87%以上であることが特に好ましい。
上記柔軟層(C)の厚さは、50〜100μm程度であり、取り扱いの点から、150〜750μmが好ましく、300〜500μmが更に好ましい。
本発明に用いられるエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(C−1)のメルトフローレート(MFR)は、特に制限されるものではないが、通常、MFR(JIS K7210、温度:190℃、荷重:21.18N)が、0.5〜100g/10min程度、好ましくは2〜50g/10min、さらに好ましくは3〜30g/10minであるものが用いられる。ここで、MFRは、シートを成形する際の成形加工性などを考慮して選択すればよい。例えば、シートをカレンダー成形する場合には、シートを成形ロールから引き剥がす際のハンドリング性からMFRは、比較的低い値、具体的には0.5〜5g/10min程度が好ましく、また、Tダイを用いて押出成形する場合には、押出負荷を低減させ押出量を増大させる観点からMFRは、2〜50g/10minが好ましく、さらに好ましくは3〜30g/10minであるものを用いればよい。
本発明に用いられるエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(C−1)は、条件(1)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解熱量が0〜70J/gを満足することが重要であり、好ましくは、5〜70J/g、さらに好ましくは、10〜65J/gである。該範囲内であれば、本発明の太陽電池封止材の柔軟性や透明性(全光線透過率)などが確保されるため好ましい。また、結晶融解熱量が0J/g以上であれば、原料ペレットのブロッキングなどの不具合も起こり難い為好ましい。ここで、該結晶融解熱量の参考値としては、汎用の高密度ポリエチレン(HDPE)が170〜220J/g程度、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)や直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)が100〜160J/g程度である。
また、本発明に用いられるエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(C−1)の結晶融解ピーク温度は、特に限定されるものではないが、通常、100℃未満であり、好ましくは30〜90℃である。ここで、該結晶融解ピーク温度の参考値としては、汎用の高密度ポリエチレン(HDPE)が130〜145℃程度、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)や直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)が100〜125℃程度である。すなわち、本発明に用いられるエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(C−1)単独では、示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解ピーク温度が100℃以上であり、かつ、結晶融解熱量が5〜70J/gを達成することは困難である。
本発明に用いられるエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(C−1)の具体例としては、ダウ・ケミカル(株)製の商品名「エンゲージ(Engage)」、「アフィニティー(Affinity)」、三井化学(株)製の商品名「タフマーA(TAFMER A)」、「タフマーP(TAFMER P)」、日本ポリエチレン(株)製の商品名「カーネル(Karnel)」等を例示することができる。
本発明に用いられるエチレン−α−オレフィンブロック共重合体(C−2)のメルトフローレート(MFR)は、特に制限されるものではないが、通常、MFR(JIS K7210、温度:190℃、荷重:21.18N)が、0.5〜100g/10min程度、より好ましくは1〜50g/10min、さらに好ましくは1〜30g/10min、特に好ましくは1〜10g/10minであるものが用いられる。
本発明に用いられるエチレン−α−オレフィンブロック共重合体(C−2)は、示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解ピーク温度が100℃以上であり、かつ、結晶融解熱量が5〜70J/g(条件(2))を満足することが重要である。該結晶融解ピーク温度は好ましくは105℃以上、さらに好ましくは110℃以上であり、上限は通常145℃である。また、結晶融解熱量は好ましくは10〜60J/g、さらに好ましくは15〜55J/gである。
本発明に用いられるエチレン−α−オレフィンブロック共重合体(C−2)のブロック構造は、既述の条件(2)を満足すれば特に限定されるものではないが、柔軟性、耐熱性、透明性等のバランス化の観点から、コモノマー含有率、結晶性、密度、結晶融解ピーク温度(融点Tm)、又はガラス転移温度(Tg)の異なる2つ以上、好ましくは3つ以上のセグメント又はブロックを含有するマルチブロック構造であることが好ましい。具体的には、完全対称ブロック、非対称ブロック、テ−パ−ドブロック構造(ブロック構造の比率が主鎖内で漸増する構造)などが挙げられる。該マルチブロック構造を有する共重合体の構造や製造方法については、国際公開第2005/090425号パンフレット(WO2005/090425)、国際公開第2005/090426号パンフレット(WO2005/090426)、および国際公開第2005/090427号パンフレット(WO2005/090427)などで詳細に開示されているものを採用することができる。
本発明においては、前記マルチブロック構造を有するエチレン−α−オレフィンブロック共重合体について、以下、詳細に説明する。
該マルチブロック構造を有するエチレン−α−オレフィンブロック共重合体は、本発明において好適に使用でき、α−オレフィンとして1−オクテンを共重合成分とするエチレン−オクテンマルチブロック共重合体が好ましい。該ブロック共重合体としては、エチレンに対してオクテン成分が多く(約15〜20モル%)共重合されたほぼ非晶性のソフトセグメントと、エチレンに対してオクテン成分が少なく(約2モル%未満)共重合された結晶融解ピーク温度が110〜145℃である高結晶性のハードセグメントが、各々2つ以上存在するマルチブロック共重合体が好ましい。これらのソフトセグメントとハードセグメントの連鎖長や比率を制御することにより、柔軟性と耐熱性の両立を達成することができる。
該マルチブロック構造を有する共重合体の具体例としては、ダウ・ケミカル(株)製の商品名「インフューズ(Infuse)」が挙げられる。
本発明に用いられるエチレン−α−オレフィンブロック共重合体(C−2)のメルトフローレート(MFR)は、特に制限されるものではないが、通常、MFR(JIS K7210、温度:190℃、荷重:21.18N)が、0.5〜100g/10min程度、より好ましくは1〜50g/10min、さらに好ましくは1〜30g/10min、特に好ましくは1〜10g/10minであるものが用いられる。
ここで、MFRは、シートを成形する際の成形加工性などを考慮して選択すればよい。具体的には、シートをカレンダー成形する場合には、シートを成形ロールから引き剥がす際のハンドリング性からMFRは、比較的低い方、具体的には0.5〜5g/10min程度が好ましく、また、Tダイを用いて押出成形する場合には、押出負荷を低減させ押出量を増大させる観点からMFRは、1〜30g/10minであるものが好適に用いられる。さらに、太陽電池素子(セル)を封止する時の密着性や回り込み易さの観点からは、MFRは、3〜50g/10minであるものが好適に用いられる。
次に、柔軟層(C)中におけるエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(C−1)とエチレン−α−オレフィンブロック共重合体(C−2)の含有量は、柔軟性、耐熱性、透明性等の優れたバランスを有する観点から、それぞれ、好ましくは、50〜99質量%、1〜50質量%であり、より好ましくは、60〜98質量%、2〜40質量%であり、更に好ましくは、70〜97質量%、3〜30質量%である。
<太陽電池用前面保護シート及びその製造方法>
本発明の太陽電池用前面保護シートには、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、諸物性(柔軟性、耐熱性、透明性、接着性など)や成形加工性あるいは経済性などをさらに向上させる目的で上述したエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(C−1)やエチレン−α−オレフィンブロック共重合体(C−2)以外の樹脂を混合することができる。該樹脂としては、例えば、他のポリオレフィン系樹脂や各種エラストマー(オレフィン系、スチレン系など)、カルボキシル基、アミノ基、イミド基、水酸基、エポキシ基、オキサゾリン基、チオール基、シラノール基などの極性基で変性された樹脂および粘着付与樹脂などが挙げられる。
該粘着付与樹脂としては、石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン− インデン樹脂、ロジン系樹脂、またはそれらの水素添加誘導体などが挙げられる。具体的には、石油樹脂としては、シクロペンタジエンまたはその二量体からの脂環式石油樹脂やC9成分からの芳香族石油樹脂があり、テルペン樹脂としてはβ−ピネンからのテルペン樹脂やテルペン−フェノール樹脂が、また、ロジン系樹脂としては、ガムロジン、ウッドロジン等のロジン樹脂、グリセリンやペンタエリスリトール等で変性したエステル化ロジン樹脂などを例示することができる。また、該粘着付与樹脂は主に分子量により種々の軟化温度を有するものが得られるが、既述の共重合体(C−1)、共重合体(C−2)と混合した場合の相溶性、色調や熱安定性などの点から軟化温度が100〜150℃、好ましくは120〜140℃の脂環式石油樹脂の水素添加誘導体が特に好ましい。上述した共重合体(C−1)や共重合体(C−2)以外の樹脂を混合する場合は、通常、樹脂組成物を100質量部とした場合、20質量部以下が好ましく、10質量部以下がさらに好ましい。
また、本発明の太陽電池用前面保護シートには、必要に応じて、種々の添加剤を添加することができる。該添加剤としては、例えば、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤、光拡散剤、造核剤、顔料(例えば白色顔料)、難燃剤、変色防止剤などが挙げられる。本発明においては、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤から選ばれる少なくとも一種の添加剤が添加されていることが後述する理由等から好ましい。また、本発明においては、例えば、高度の耐熱性を要求される場合は架橋剤および/または架橋助剤を配合してもよい。
シランカップリング剤の例としては、ビニル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基のような不飽和基、アミノ基、エポキシ基などとともに、アルコキシ基のような加水分解可能な基を有する化合物を挙げることができる。シランカップリング剤の具体例としては、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどを例示することができる。本発明においては、接着性が良好であり、黄変などの変色が少ないこと等からγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランやγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが好ましく用いられる。該シランカップリング剤の添加量は、太陽電池用前面保護シート中、通常、0.1〜5質量%程度であり、0.2〜3質量%添加することが好ましい。また、シランカップリング剤と同様に、有機チタネート化合物などのカップリング剤も有効に活用できる。
酸化防止剤としては、種々の市販品が適用でき、モノフェノール系、ビスフェノール系、高分子型フェノール系、硫黄系、ホスファイト系など各種タイプのものを挙げることができる。モノフェノール系としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノールなどを挙げることができる。ビスフェノール系としては、2,2′−メチレン−ビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2′−メチレン−ビス−(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−チオビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス〔{1,1−ジメチル−2−{β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル}2,4,9,10−テトラオキサスピロ〕5,5−ウンデカンなどを挙げることができる。
高分子フェノール系としては、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ビドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−{メチレン−3−(3′,5′−ジ−tert−ブチル−4′−ヒドロキスフェニル)プロピオネート}メタン、ビス{(3,3′−ビス−4′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチルフェニル)ブチリックアシッド}グルコールエステル、1,3,5−トリス(3′,5′−ジ−tert−ブチル−4′−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、トリフェノール(ビタミンE)などを挙げることができる。
硫黄系としては、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオプロピオネートなどを挙げることができる。
ホスファイト系としては、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、4,4′−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、トリス(モノおよび/またはジ)フェニルホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナスレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−tert−メチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイトなどを挙げることができる。
本発明においては、酸化防止剤の効果、熱安定性、経済性等からフェノール系およびホスファイト系の酸化防止剤が好ましく用いられ、両者を組み合わせて用いることがさらに好ましい。該酸化防止剤の添加量は、太陽電池用前面保護シート中、通常、0.1〜1質量%程度であり、0.2〜0.5質量%添加することが好ましい。
紫外線吸収剤としては、種々の市販品が適用でき、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、サリチル酸エステル系など各種タイプのものを挙げることができる。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクタデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5− クロロベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどを挙げることができる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、ヒドロキシフェニル置換ベンゾトリアゾール化合物であって、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−メチル−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2− ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどを挙げることができる。またトリアジン系紫外線吸収剤としては、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシルオキシ)フェノールなどを挙げることができる。サリチル酸エステル系としては、フェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレートなどを挙げることができる。
該紫外線吸収剤の添加量は、太陽電池用前面保護シート中、通常、0.01〜2.0質量%程度であり、0.05〜0.5質量%添加することが好ましい。
上記の紫外線吸収剤以外に耐候性を付与する耐候安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定化剤が好適に用いられる。ヒンダードアミン系光安定化剤は、紫外線吸収剤のようには紫外線を吸収しないが、紫外線吸収剤と併用することによって著しい相乗効果を示す。
ヒンダードアミン系光安定化剤としては、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル}イミノ}]、N,N′−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、2−(3,5−ジ−tert−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)などを挙げることができる。該ヒンダードアミン系光安定化剤の添加量は、太陽電池用前面保護シート中、通常、0.01〜0.5質量%程度であり、0.05〜0.3質量%添加することが好ましい。
本発明に用いられる耐候層(A)、防湿層(B)及び柔軟層(C)の製膜方法としては、公知の方法、例えば単軸押出機、多軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーなどの溶融混合設備を有し、Tダイを用いる押出キャスト法やカレンダー法等を採用することができ、特に限定されるものではないが、本発明においては、ハンドリング性や生産性等の面からTダイを用いる押出キャスト法が好適に用いられる。Tダイを用いる押出キャスト法での成形温度は、用いる樹脂組成物の流動特性や製膜性等によって適宜調整されるが、概ね130〜300℃、好ましくは、150〜250℃である。シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤等の各種添加剤は、予め樹脂とともにドライブレンドしてからホッパーに供給しても良いし、予め全ての材料を溶融混合してペレットを作製してから供給しても良いし、添加剤のみを予め樹脂に濃縮したマスターバッチを作製し供給してもかまわない。
本発明の太陽電池用前面保護シートの厚みは、特に限定されるものではないが、通常、0.05〜1mm程度であり、好ましくは0.1〜0.7mmのシート状で用いられる。
本発明の太陽電池用前面保護シートは、上述の製膜された耐候層(A)、防湿層(B)及び柔軟層(C)を、常法に従って、真空ラミネーターで温度120〜150℃、脱気時間2〜15分、プレス圧力0.5〜1atm、プレス時間8〜45分で加熱加圧圧着することにより製造することができる。
なお、本発明においては、本発明の前面保護シートは、耐候層(A)をその表面側として、また防湿層(B)をその内面側として、すなわち、前面(上部)から、耐候層(A)、柔軟層(C)、防湿層(B)の順に配置されるのが好ましい。本発明においては、このような構成により、防湿層の劣化を防止し、長期の高い防湿性と耐候性を達成することができる。
図1に示す太陽電池用前面保護シートの例は、耐候層1と防湿層2とを柔軟層3を介して積層し、接着一体化したものである。
本発明における太陽電池用前面保護シートは透明性が高いことが好ましく、その全光線透過率は、適用する太陽電池の種類、例えばアモルファスの薄膜系シリコン型などや太陽電子素子に届く太陽光を遮らない部位に適用する場合には、あまり重視されないこともあるが、太陽電池の光電変換効率や各種部材を重ね合わせる時のハンドリング性などを考慮し、84%以上であることが好ましく、85%以上であることがさらに好ましい。全光線透過率は、後述するように、JIS K7105に準じて測定することができる。
また、太陽電池用前面保護シートの防湿性能については、該前面保護シートの構成、特に、柔軟性と耐熱性および透明性とが良好にバランスされた柔軟層(C)を防湿層(B)の外側(前面)に設けることにより、前面保護シートの柔軟性の確保により防湿層の劣化を防止し、長期の高い防湿性と耐候性を達成することができる。防湿性能はJIS Z0222「防湿包装容器の透湿度試験方法」、JIS Z0208「防湿包装材量の透湿度試験方法(カップ法)」の諸条件に準じ、具体的には後述の方法で評価することができる。
<太陽電池モジュール、太陽電池の製造方法>
このような太陽電池用前面保護シートを用いて本発明の太陽電池モジュール及び/又は太陽電池を製造するには、従来の太陽電池のガラス板の代りに本発明の前面保護シートを用いて公知の方法により作製すれば良い。
本発明の太陽電池用前面保護シートを用い、太陽電池素子をバックシートとともに固定することにより太陽電池モジュールを製作することができる。このような太陽電池モジュールとしては、種々のタイプのものを例示することができ、好ましくは、本発明の太陽電池用前面保護シートと、封止材と、太陽電池素子と、下部保護材とを用いて作製された太陽電池モジュールが挙げられ、具体的には、上部保護材(本発明の太陽電池用前面保護シート)/封止材(封止樹脂層)/太陽電池素子/封止材(封止樹脂層)/下部保護材の構成のもの(図2参照)、下部保護材の内周面上に形成させた太陽電池素子上に封止材と上部保護材(本発明の太陽電池用前面保護シート)を形成させるような構成のもの、上部保護材(本発明の太陽電池用前面保護シート)の内周面上に形成させた太陽電池素子、例えばフッ素樹脂系透明保護材上にアモルファス太陽電池素子をスパッタリング等で作製したものの上に封止材と下部保護材を形成させるような構成のものなどを挙げることができる。
太陽電池素子としては、例えば、単結晶シリコン型、多結晶シリコン型、アモルファスシリコン型、ガリウム−砒素、銅−インジウム−セレン、カドミウム−テルルなどのIII−V族やII−VI族化合物半導体型、色素増感型、有機薄膜型等が挙げられる。
本発明の太陽電池用前面保護シートを用いて作製された太陽電池モジュールを構成する各部材については、特に限定されるものではないが、封止材としては、例えば、エチレン− 酢酸ビニル共重合体を挙げることができる。封止材は、前面保護シートへの密着性確保の観点から、その少なくとも一方の面にコロナ処理等の表面処理を施すことが好ましい。下部保護材としては、金属や各種熱可塑性樹脂層などの単層もしくは多層のシートであり、例えば、錫、アルミ、ステンレスなどの金属、ガラス等の無機材料、ポリエステル、無機物蒸着ポリエステル、フッ素含有樹脂、ポリオレフィンなどの単層もしくは多層の保護材を挙げることができる。上部および/又は下部の保護材の表面には、封止材や他の部材との接着性を向上させるためにプライマー処理やコロナ処理など公知の表面処理を施すことができる。
本発明の太陽電池用前面保護シートを用いて作製された太陽電池モジュールを既述した上部保護材(本発明の太陽電池用前面保護シート)/封止材/太陽電池素子/封止材/下部保護材のような構成のものを例として説明する。図2に示すように、太陽光受光側から順に、本発明の太陽電池用前面保護シート10、封止樹脂層12A、太陽電池素子14A,14B、封止樹脂層12B、バックシート16が積層されてなり、さらに、バックシート16の下面にジャンクションボックス18(太陽電池素子から発電した電気を外部へ取り出すための配線を接続する端子ボックス)が接着されてなる。太陽電池素子14A及び14Bは、発電電流を外部へ電導するために配線20により連結されている。配線20は、バックシート16に設けられた貫通孔(不図示)を通じて外部へ取り出され、ジャンクションボックス18に接続されている。
太陽電池モジュールの製造方法としては、公知の製造方法が適用でき、特に限定されるものではないが、一般的には、本発明の太陽電池用前面保護シート、封止樹脂層、太陽電池素子、封止樹脂層、下部保護材の順に積層する工程と、それらを真空吸引し加熱圧着する工程を有する。また、バッチ式の製造設備やロール・ツー・ロール式の製造設備なども適用することができる。
本発明の太陽電池用前面保護シートを用いて作製された太陽電池モジュールは、適用される太陽電池のタイプとモジュール形状により、モバイル機器に代表される小型太陽電池、屋根や屋上に設置される大型太陽電池など屋内、屋外に関わらず各種用途に適用することができる。
本発明の太陽電池モジュール及び/又は太陽電池は、この太陽電池用保護シート,封止材,発電素子,封止材,裏面保護シートを、常法に従って、真空ラミネーターで温度120〜150℃、脱気時間2〜15分、プレス圧力0.5〜1atm、プレス時間8〜45分で加熱加圧圧着することにより容易に製造することができる。
以下に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、これらの実施例及び比較例により本発明は何ら制限を受けるものではない。なお、本明細書中に表示されるシートについての種々の測定値および評価は次のようにして行った。
(物性測定)
(1)結晶融解ピーク温度(Tm)
(株)パーキンエルマー製の示差走査熱量計、商品名「Pyris1 DSC」を用いて、JIS K7121に準じて、試料約10mgを加熱速度10℃/分で−40℃から200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、冷却速度10℃/分で−40℃まで降温し、再度、加熱速度10℃/分で200℃まで昇温した時に測定されたサーモグラムから結晶融解ピーク温度(Tm)(℃)を求めた。
(2)結晶融解熱量(ΔHm)
(株)パーキンエルマー製の示差走査熱量計、商品名「Pyris1 DSC」を用いて、JIS K7122に準じて、試料約10mgを加熱速度10℃/分で−40℃から200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、冷却速度10℃/分で−40℃まで降温し、再度、加熱速度10℃/分で200℃まで昇温した時に測定されたサーモグラムから結晶融解熱量(ΔHm)(J/g)を求めた。
(3)貯蔵弾性率測定
アイティ計測(株)製の粘弾性測定装置、商品名「粘弾性スペクトロメーターDVA−200」を用いて、試料(縦4mm、横60mm)を振動周波数10Hz、ひずみ0.1%、昇温速度3℃/分、チャック間25mmで横方向について、−150℃から150℃まで測定し、得られたデータから20℃における貯蔵弾性率(E´)(MPa)を求めた。
(4)全光線透過率
厚み3mmの白板ガラス(サイズ;縦75mm、横25mm)2枚の間に耐候層,各柔軟層、防湿層を重ね、真空プレス機を用いて、150℃、15分の条件で積層プレスした試料を作製し、JIS K7105に準じて全光線透過率を測定し、その値を記載するとともに、下記の基準で評価した結果も併記した。
(◎)全光線透過率が90%以上
(○)全光線透過率が85%以上、90%未満
(×)全光線透過率が85%未満、あるいは、明らかに白濁している場合(未測定)
(5)耐熱性
厚み3mmの白板ガラス(サイズ;縦75mm、横25mm)2枚の間に柔軟層を重ね、真空プレス機を用いて、150℃、15分の条件で積層プレスした試料を作製し、該試料を100℃の恒温槽内で60度に傾斜して設置し500時間経過後の状態を観察し、下記の基準で評価した。
(○)ガラスが初期の基準位置からずれなかったもの
(×)ガラスが初期の基準位置からずれたり、シートが溶融したもの
(構成層)
(1)耐候層
旭硝子社製50μETFEアフレックス50N1250Dを使用した,本ETFEの全光線透過率は95%であった。
(2)防湿層
12μmポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムにシリカを蒸着した三菱樹脂製テックバリアLxを使用した.本防湿層の全光線透過率は86%であった。
(3)柔軟層1
エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(C−1)として、エチレン−オクテンランダム共重合体(ダウ・ケミカル(株)製、商品名:エンゲージ(ENGAGE)8200、オクテン含有量:7.3モル%(24質量%)、MFR:5、Tm:65℃、ΔHm:53J/g)(以下、α−1と略する)を95質量部とエチレン−α−オレフィンブロック共重合体(C−2)として、エチレン−オクテンブロック共重合体(ダウ・ケミカル(株)製、商品名:インフューズ(INFUSE)D9100.05、オクテン含有量:12.8モル%(37質量%)、MFR:1、Tm:119℃、ΔHm:38J/g)(以下、β−1と略する)とを5質量部の割合で混合した樹脂組成物をTダイを備えた40mmφ 単軸押出機を用いて設定温度200℃で溶融混練し、20℃のキャストロールで急冷製膜することにより厚みが0.5mmの柔軟層1を得た。
(4)柔軟層2
柔軟層1の調製において、シートを構成する樹脂組成物を表1に示すように、(α−1)80質量部とエチレン−オクテンブロック共重合体(ダウ・ケミカル(株)製、商品名:インフューズD9507.15、オクテン含有量:16.4モル%(44質量%)、MFR:5、Tm:123℃、ΔHm:21J/g)(以下、β−2と略する)20質量部との樹脂組成物に変更した以外は、柔軟層1と同様にして、厚みが0.5mmの柔軟層2を得た
(5)柔軟層3
柔軟層1の調製において、シートを構成する樹脂組成物を表1に示すように、(α−1)をエチレン−プロピレン−ヘキセン3元ランダム共重合体(日本ポリエチレン(株)製、商品名:カーネル(Karnel)KJ640T、プロピレン含有量:7.4モル%(10質量%)、ヘキセン含有量:4.4モル%(10質量%)、MFR:30、Tm:53℃、ΔHm:58J/g)(以下、α−2と略する)に変更した以外は、柔軟層1と同様にして、厚みが0.5mmの柔軟層3を得た。
(6)柔軟層4
柔軟層1の調製において、シートを構成する樹脂組成物を表1に示すように、(α−1)100質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚みが0.5mmの柔軟層4を得た。
(7)柔軟層5
柔軟層1の調製において、シートを構成する樹脂組成物を表1に示すように、(β−1)を汎用の結晶性ポリエチレン樹脂であるエチレン−オクテンランダム共重合体((株)プライムポリマー製、商品名:モアテック0238CN、オクテン含有量:1モル%(4質量%)、MFR:2.1、Tm:121℃、ΔHm:127J/g)(以下、P−1と略する)に変更した以外は、柔軟層1と同様にして、厚みが0.5mmの柔軟層5を得た。
(8)柔軟層6
柔軟層1の調製において、シートを構成する樹脂組成物を表1に示すように、(P−1)100質量部に変更した以外は、柔軟層1と同様にして、厚みが0.5mmの柔軟層6を得た。
(9)柔軟層7
Etimex社製EVA封止材496を用いた。なお,本EVA封止材単体を下記実施例に示す方法で真空ラミネートし,その後,EVA封止材のみを取り出し,全光線透過率を前記の方法で測定した。
(10)柔軟層8
東洋インク製ウレタン系接着剤(PU)IS801と硬化剤CR001を10:1の比で配合し固形分塗工量10g/m2となるようにシリコーン離型PETフィルムに塗布し,40℃,4日間養生した。その後,接着剤層のみを取り出し,全光線透過率を上記の方法で測定した。

得られた柔軟層1〜8の各々について、その厚み、組成及び全光線透過率、耐熱性及び柔軟性(貯蔵弾性率)を測定した結果を、以下の表1にまとめて示す。
Figure 2012074686
実施例1
前記調製した耐候層,柔軟層1,防湿層を株式会社エヌ・ピー・シー社製真空ラミネート装置LM−30x30を用い150℃,15分の条件で定法により積層し前面保護シート1を作製した。その後、作製した前面保護シート1を使用して上記に示した柔軟層と同様の方法で全光線透過率を測定し、その結果を表2に示す。さらに、以下の方法で防湿性を測定したところ、その値は0.24g/(m2・day)であった。
(防湿性)
JIS Z0222「防湿包装容器の透湿度試験方法」、JIS Z0208「防湿包装材量の透湿度試験方法(カップ法)」の諸条件に準じて行った。すなわち、透湿面積10.0cm×10.0cm角の各積層フィルム又は積層体を2枚用い、吸湿剤として無水塩化カルシウム約20gを入れ四辺を封じた袋を作製し、その袋を温度40℃相対湿度90%の恒温恒湿装置に入れ、48時間以上間隔で質量増加がほぼ一定になる目安として14日間まで、質量測定(0.1mg単位)し、水蒸気透過率を下記式から算出する。
水蒸気透過率(g/m2/24h)=(m/s)/t
m; 試験期間最後2回の秤量間隔の増加質量(g)
s; 透湿面積(m2)
t; 試験期間最後2回の秤量間隔の時間(h)/24(h)
実施例2
耐候層,柔軟層2,防湿層を実施例1と同様に真空ラミを行い積層し前面保護シート2を作製し同様に全光線透過率を測定した。その結果を表2に示す。また、実施例1と同様に防湿性を測定したところ、その値は0.24g/(m2・day)であった。
実施例3
耐候層,柔軟層3,防湿層を実施例1と同様に真空ラミを行い積層し前面保護シート3を作製し全光線透過率を測定した。その結果を表2に示す。また、実施例1と同様に防湿性を測定したところ、その値は0.21g/(m2・day)であった。
比較例1
耐候層,柔軟層4,防湿層を実施例1と同様に真空ラミを行い積層し前面保護シート4を作製し全光線透過率を測定した。その結果を表2に示す。
比較例2
耐候層,柔軟層5,防湿層を実施例1と同様に真空ラミを行い積層し前面保護シート5を作製し全光線透過率を測定した。その結果を表2に示す。
比較例3
耐候層,柔軟層6,防湿層を実施例1と同様に真空ラミを行い積層し前面保護シート6作製し全光線透過率を測定した。その結果を表2に示す。
比較例4
耐候層,柔軟層7,防湿層を実施例1と同様に真空ラミを行い積層し前面保護シート7作製し全光線透過率を測定した。その結果を表2に示す。
比較例5
耐候層,柔軟層8,防湿層を実施例1と同様に真空ラミを行い積層し前面保護シート8を作製し全光線透過率を測定した。その結果を表2に示す。
Figure 2012074686
以上のようにして得られた本発明の前面保護シートは、高防湿性と耐候性を兼備し、透明性にも優れるものであった。尚、表中の「ETFE」は、旭硝子製ETFEを、「BF」は三菱樹脂製テックバリアLXを意味するものとする。
表1及び表2から明らかなように、本発明の前面保護シートに用いられた柔軟層1〜3は防湿層を保護するために必要な柔軟性と耐熱性および透明性との良好なバランスが図られた、十分な厚みを有したものであった。したがって、柔軟層1〜3を用いて作製された実施例1〜3の前面保護シートは、高防湿性と耐候性を兼備し、透明性にも優れるのみならず、その防湿層が、長期における高温・傾斜条件下での使用に耐え、落下物等からの衝撃からの保護が図られるものである。
一方、柔軟層4,8は、耐熱性に劣り、高温下・傾斜条件で使用されることによれば、基準値からずれたりシートが溶融したりすることが明らかとなった。したがって、柔軟層4,8を用いて作製された比較例1,5の前面保護シートにおいては、柔軟層がその役割を果たしきれず、防湿層の保護が十分ではないと考えられる。すなわち、高温下・傾斜条件での使用が見込まれる太陽電池用部材の素材としては好ましくない。また、柔軟層5〜7は、柔軟性(貯蔵弾性率)に劣り、防湿層の保護が不十分であることが示された。したがって、柔軟層5〜7を用いて作製された比較例2〜4の前面保護シートにおいても、柔軟層がその役割を果たしきれず、防湿層の保護が十分ではないと考えられる。
1・・・・耐候層
2・・・・防湿層
3・・・・柔軟層
10・・・前面保護シート
12A,12B・・・封止樹脂層
14A,14B・・・太陽電池素子
16・・・バックシート
18・・・ジャンクションボックス
20・・・配線

Claims (8)

  1. 耐候層(A)と防湿層(B)とを、下記(1)の条件を満足するエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(C−1)と下記(2)の条件を満足するエチレン−α−オレフィンブロック共重合体(C−2)とを含有する柔軟層(C)を介して積層してなることを特徴とする太陽電池用前面保護シート。
    (1)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解熱量が0〜70J/g
    (2)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解ピーク温度が100℃以上であり、かつ、結晶融解熱量が5〜70J/g
  2. 前記エチレン−α−オレフィンブロック共重合体(C−2)におけるα−オレフィンが、プロピレン、1−ブテン、1−へキセン及び1−オクテンからなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項1に記載の太陽電池用前面保護シート。
  3. 前記防湿層(B)が、基材層の少なくとも一方の面に、無機酸化物コーティング膜を有するものである請求項1又は2に記載の太陽電池用前面保護シート。
  4. 前記基材層がポリエステル、ポリアミド、及びポリオレフィンより選ばれる少なくとも1つの樹脂を有するものである請求項3に記載の太陽電池用前面保護シート。
  5. 前記耐候層(A)が、アクリル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びポリエチレンナフタレート(PEN)より選ばれる少なくとも1つの樹脂に紫外線吸収剤を含有する樹脂組成物を成膜したもの、又はフッ素系樹脂層である請求項1〜4のいずれかに記載の太陽電池用前面保護シート。
  6. 前記エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(C−1)と前記エチレン−α−オレフィンブロック共重合体(C−2)を構成するα−オレフィンの種類が同一である請求項1〜5のいずれかに記載の太陽電池用前面保護シート。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の太陽電池用前面保護シートを用いて作製された太陽電池モジュール。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の太陽電池用前面保護シート又は請求項7に記載の太陽電池モジュールを用いて作製された太陽電池。
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