JP2012074686A - 太陽電池用前面保護シート及びそれを用いて作製された太陽電池モジュール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】耐候層(A)と防湿層(B)とを、下記(1)の条件を満足するエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(C−1)と下記(2)の条件を満足するエチレン−α−オレフィンブロック共重合体(C−2)とを含有する柔軟層(C)を介して積層してなることを特徴とする太陽電池用前面保護シート。
(1)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解熱量が0〜70J/g
(2)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解ピーク温度が100℃以上であり、かつ、結晶融解熱量が5〜70J/g
【選択図】なし
Description
このような太陽電池は、通常、前面保護シート、封止膜 、発電素子、封止膜及び裏面保護シートをこの順で積層し、加熱溶融させることにより接着一体化することで製造される。太陽電池の前面保護シートとしては、紫外線に対する耐久性に優れることが要求されるが、加えて、湿気ないし水の透過による内部の導線や電極の発錆を防止するために、防湿性に優れることが極めて重要な要件となる。このため、従来は、表面側透明保護部材としてガラス板が用いられている。しかし、ガラス板は耐光性、防湿性に優れる反面、重量が重く、また、衝撃に弱く割れ易いという欠点がある。この問題に対して、たとえば特許文献1では透明樹脂フィルムを用いることにより、重さ及び衝撃による破損の問題を解決し、また耐候性、防湿性が良好な樹脂フィルムを組み合わせることにより太陽電池の耐久性の向上に有効な太陽電池用前面保護シートが提案されている。
しかしながら、特許文献1記載の太陽電池用前面保護シートにおいて、接着剤を用いて耐候層と防湿層を張り合わせる場合,接着剤を厚くすることは生産性の観点から難しく,太陽電池受光面への落下物により防湿層が破損し防湿機能を劣下させてしまうことがあった。
しかしながら,エチレン− 酢酸ビニル共重合体を使用する場合、通常、これに耐熱性を付与することを主な目的として有機過酸化物などの架橋剤を用いた架橋が行われるため,架橋にともなう表面外観悪化や防湿層の劣下が生じる。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体には、長期間における使用に際して、エチレン−酢酸ビニル共重合体の加水分解等により発生する酢酸、架橋剤、架橋助剤などに起因して、前面保護シート内の樹脂層や接着剤を劣下させ層内界面での剥離が発生する問題があった。
また架橋を必要とせず、酢酸の発生がないα−オレフィン重合体からなる太陽電池封止材(特許文献3)や、少なくとも一種のポリオレフィン系共重合体と、少なくとも一種の結晶性ポリオレフィンからなるポリマーブレンドまたはポリマーアロイからなることを特徴とする太陽電池封止材(特許文献4)が開示されている。特に上記特許文献4には、具体的に、低融点のエチレン− 酢酸ビニル共重合体と高融点のエチレン−酢酸ビニル共重合体とのポリマーブレンド(実施例1参照)、エチレン−メタクリル酸共重合体と汎用の結晶性ポリエチレンとのポリマーブレンド(実施例2参照)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体と汎用の結晶性ポリプロピレンとのポリマーブレンド(実施例3参照)が開示されている。
しかし、上記特許文献3で具体的に用いられているプロピレンを主成分とする重合体からなる樹脂組成物では、透明性が不十分であり(全光線透過率:83.2%(実施例参照))、前面保護シート内の張り合わせフィルムとして使用した場合,前面保護シート全体の光線透過率が低下し太陽電池の発電効率が低下する。また、特許文献4で用いられている各ポリマーブレンドは、必ずしも透明性に優れたものではなく、柔軟性と耐熱性および透明性とのバランス化においては未だ問題があった。
尚、上記特許文献3、4のいずれにおいても、前面保護シートにおける防湿層の劣化を防ぎ、これにより長期の高い防湿性と耐候性を兼備し、かつ太陽電池の耐久性の向上を図ると言う着眼はない。このように、従来の太陽電池用全面保護シートに関する技術において、前面保護シートにおける防湿層の劣化に対する有用な解決手段は提案されてなかった。
また、本発明の課題は、この太陽電池用前面保護シートを用いた、軽量、高耐久性の太陽電池モジュール及び太陽電池を提供することにある。
すなわち、本発明は、
耐候層(A)と防湿層(B)とを、下記(1)の条件を満足するエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(C−1)と下記(2)の条件を満足するエチレン−α−オレフィンブロック共重合体(C−2)とを含有する柔軟層(C)を介して積層してなることを特徴とする太陽電池用前面保護シートに関する。
(1)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解熱量が0〜70J/g
(2)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解ピーク温度が100℃以上であり、かつ、結晶融解熱量が5〜70J/g
<耐候層(A)>
本発明における耐候層(A)とは高透明で可撓性に富み、耐熱性、防湿性、紫外線耐久性に優れる性能を有する樹脂層をいい、太陽電池前面保護シートと表面外観の維持を目的として用いられる。
耐候層の耐候性は、JIS K7350に準じてなされるサンシャインウェザーメーターによる耐候性試験において、力学物性や全光線透過率の低下が少ないものが好ましく、5000時間経過後の力学物性や全光線透過率の低下がないものがより好ましく、10000時間経過後の力学物性や全光線透過率の低下がないものが特に好ましい。
耐候層(A)の材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、4−フッ化エチレン−パークロロアルコキシ共重合体(PFA)、4−フッ化エチレン−6−フッ化プロピレン共重合体(FEP)、2−エチレン−4−フッ化エチレン共重合体(ETFE)、ポリ3−フッ化塩化エチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂層、或いは、アクリル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の樹脂に紫外線吸収剤を練り込んだ樹脂組成物を成膜したものが好ましく用いられ、長期耐久性と高光線透過率の観点から、2−エチレン−4−フッ化エチレン共重合体(ETFE)、4−フッ化エチレン−6−フッ化プロピレン共重合体(FEP)がより好ましく用いられる。なお、上記紫外線吸収剤としては、柔軟層に含有されうる後述の紫外線吸収剤と同様のものが使用できる。上記樹脂は、1種で用いることもできるが2種以上組合せて使用することもできる。
本発明における防湿層(B)とは、湿気、水の透過による内部の導線、電極の発錆等を防止するために用いられ、好ましくは高透明であり、防湿性に優れた樹脂層であれば特に制限はないが、基材層の少なくとも一方の面に無機酸化物のコーティング膜を少なくとも1層有するものが好ましく用いられる。
上記基材層としては、熱可塑性高分子フィルムが好ましく、好ましくは高透明であり、その材料としては、通常の包装材料に使用しうる樹脂であれば特に制限なく用いることができる。具体的には、エチレン、プロピレン、ブテン等の単独重合体または共重合体などのポリオレフィン、環状ポリオレフィン等の非晶質ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体部分加水分解物(EVOH)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、フッ素樹脂、アクリレート樹脂、生分解性樹脂などが挙げられる。これらの中では、フィルム物性、コストなどの点から、ポリエステル、ポリアミド、およびポリオレフィンから選ばれる少なくとも一つの樹脂が好ましい。中でも、フィルム物性の点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)が特に好ましい。
上記基材層としての熱可塑性高分子フィルムは、上記の原料を用いて成形してなるものであるが、基材として用いる際は、未延伸であってもよいし延伸したものであってもよい。また、他のプラスチック基材と積層されていてもよい。
本発明における柔軟層(C)とは、前記耐候層(A)と防湿層(B)とを、これを介して積層することを目的として使用されるものである。柔軟層(C)としては、具体的には、高透明で可撓性に富み、耐熱性、加水分解性に優れることから、エチレン−α−オレフィン共重合体からなるフィルムが用いられ、さらに、特定の熱特性を有するエチレン−α−オレフィンランダム共重合体と特定の熱特性を有するエチレン−α−オレフィンブロック共重合体を含有する樹脂組成物を使用することが高光線透過率,耐熱性,柔軟性の発現の観点から必要となる。
(1)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解熱量が0〜70J/g
(2)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解ピーク温度が100℃以上であり、かつ、結晶融解熱量が5〜70J/g
次に、柔軟層(C)におけるこれらの共重合体の混合(含有)質量比は、特に制限されるものではないが、好ましくは(C−1)/(C−2)=99〜50/1〜50、より好ましくは、98〜60/2〜40、さらに好ましくは、97〜70/3〜30である。但し、(C−1)と(C−2)の合計を100質量部とする。ここで、混合(含有)質量比が上記範囲内であれば、柔軟性、耐熱性、透明性等のバランスに優れた柔軟層(C)が得られやすいため好ましい。
前述の通り、柔軟層(C)におけるエチレン−α−オレフィンブロック共重合体(C−2)の結晶融解ピーク温度が100℃以上であれば、本発明における柔軟層(C)の耐熱性を確保することが出来る。そして、本発明の太陽電池前面保護シートは柔軟層(C)の耐熱性と弾性率が部材を構成する層において最も低いことから,本発明の太陽電池前面保護シートの耐熱性については柔軟層(C)がその性能を決定する。
本発明においては、柔軟層(C)の耐熱性は、厚み3mmの白板ガラス(サイズ;縦75mm、横25mm)と厚み5mmのアルミ板(サイズ;縦120mm、横60mm)の間に厚みが0.5mmのシート状の柔軟層(C)を重ね、真空プレス機を用いて150℃、15分の条件で積層プレスした試料を作製し、該試料を100℃の恒温槽内で60度に傾斜して設置し500時間経過後の状態を観察し、ガラスが初期の基準位置からずれなかったものを○、ガラスが初期の基準位置からずれたり、シートが溶融したものを×として評価した。
また、本発明に用いられるエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(C−1)の結晶融解ピーク温度は、特に限定されるものではないが、通常、100℃未満であり、好ましくは30〜90℃である。ここで、該結晶融解ピーク温度の参考値としては、汎用の高密度ポリエチレン(HDPE)が130〜145℃程度、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)や直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)が100〜125℃程度である。すなわち、本発明に用いられるエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(C−1)単独では、示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解ピーク温度が100℃以上であり、かつ、結晶融解熱量が5〜70J/gを達成することは困難である。
該マルチブロック構造を有するエチレン−α−オレフィンブロック共重合体は、本発明において好適に使用でき、α−オレフィンとして1−オクテンを共重合成分とするエチレン−オクテンマルチブロック共重合体が好ましい。該ブロック共重合体としては、エチレンに対してオクテン成分が多く(約15〜20モル%)共重合されたほぼ非晶性のソフトセグメントと、エチレンに対してオクテン成分が少なく(約2モル%未満)共重合された結晶融解ピーク温度が110〜145℃である高結晶性のハードセグメントが、各々2つ以上存在するマルチブロック共重合体が好ましい。これらのソフトセグメントとハードセグメントの連鎖長や比率を制御することにより、柔軟性と耐熱性の両立を達成することができる。
該マルチブロック構造を有する共重合体の具体例としては、ダウ・ケミカル(株)製の商品名「インフューズ(Infuse)」が挙げられる。
本発明の太陽電池用前面保護シートには、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、諸物性(柔軟性、耐熱性、透明性、接着性など)や成形加工性あるいは経済性などをさらに向上させる目的で上述したエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(C−1)やエチレン−α−オレフィンブロック共重合体(C−2)以外の樹脂を混合することができる。該樹脂としては、例えば、他のポリオレフィン系樹脂や各種エラストマー(オレフィン系、スチレン系など)、カルボキシル基、アミノ基、イミド基、水酸基、エポキシ基、オキサゾリン基、チオール基、シラノール基などの極性基で変性された樹脂および粘着付与樹脂などが挙げられる。
該紫外線吸収剤の添加量は、太陽電池用前面保護シート中、通常、0.01〜2.0質量%程度であり、0.05〜0.5質量%添加することが好ましい。
本発明の太陽電池用前面保護シートは、上述の製膜された耐候層(A)、防湿層(B)及び柔軟層(C)を、常法に従って、真空ラミネーターで温度120〜150℃、脱気時間2〜15分、プレス圧力0.5〜1atm、プレス時間8〜45分で加熱加圧圧着することにより製造することができる。
なお、本発明においては、本発明の前面保護シートは、耐候層(A)をその表面側として、また防湿層(B)をその内面側として、すなわち、前面(上部)から、耐候層(A)、柔軟層(C)、防湿層(B)の順に配置されるのが好ましい。本発明においては、このような構成により、防湿層の劣化を防止し、長期の高い防湿性と耐候性を達成することができる。
図1に示す太陽電池用前面保護シートの例は、耐候層1と防湿層2とを柔軟層3を介して積層し、接着一体化したものである。
このような太陽電池用前面保護シートを用いて本発明の太陽電池モジュール及び/又は太陽電池を製造するには、従来の太陽電池のガラス板の代りに本発明の前面保護シートを用いて公知の方法により作製すれば良い。
(1)結晶融解ピーク温度(Tm)
(株)パーキンエルマー製の示差走査熱量計、商品名「Pyris1 DSC」を用いて、JIS K7121に準じて、試料約10mgを加熱速度10℃/分で−40℃から200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、冷却速度10℃/分で−40℃まで降温し、再度、加熱速度10℃/分で200℃まで昇温した時に測定されたサーモグラムから結晶融解ピーク温度(Tm)(℃)を求めた。
(株)パーキンエルマー製の示差走査熱量計、商品名「Pyris1 DSC」を用いて、JIS K7122に準じて、試料約10mgを加熱速度10℃/分で−40℃から200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、冷却速度10℃/分で−40℃まで降温し、再度、加熱速度10℃/分で200℃まで昇温した時に測定されたサーモグラムから結晶融解熱量(ΔHm)(J/g)を求めた。
アイティ計測(株)製の粘弾性測定装置、商品名「粘弾性スペクトロメーターDVA−200」を用いて、試料(縦4mm、横60mm)を振動周波数10Hz、ひずみ0.1%、昇温速度3℃/分、チャック間25mmで横方向について、−150℃から150℃まで測定し、得られたデータから20℃における貯蔵弾性率(E´)(MPa)を求めた。
厚み3mmの白板ガラス(サイズ;縦75mm、横25mm)2枚の間に耐候層,各柔軟層、防湿層を重ね、真空プレス機を用いて、150℃、15分の条件で積層プレスした試料を作製し、JIS K7105に準じて全光線透過率を測定し、その値を記載するとともに、下記の基準で評価した結果も併記した。
(◎)全光線透過率が90%以上
(○)全光線透過率が85%以上、90%未満
(×)全光線透過率が85%未満、あるいは、明らかに白濁している場合(未測定)
厚み3mmの白板ガラス(サイズ;縦75mm、横25mm)2枚の間に柔軟層を重ね、真空プレス機を用いて、150℃、15分の条件で積層プレスした試料を作製し、該試料を100℃の恒温槽内で60度に傾斜して設置し500時間経過後の状態を観察し、下記の基準で評価した。
(○)ガラスが初期の基準位置からずれなかったもの
(×)ガラスが初期の基準位置からずれたり、シートが溶融したもの
(1)耐候層
旭硝子社製50μETFEアフレックス50N1250Dを使用した,本ETFEの全光線透過率は95%であった。
12μmポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムにシリカを蒸着した三菱樹脂製テックバリアLxを使用した.本防湿層の全光線透過率は86%であった。
エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(C−1)として、エチレン−オクテンランダム共重合体(ダウ・ケミカル(株)製、商品名:エンゲージ(ENGAGE)8200、オクテン含有量:7.3モル%(24質量%)、MFR:5、Tm:65℃、ΔHm:53J/g)(以下、α−1と略する)を95質量部とエチレン−α−オレフィンブロック共重合体(C−2)として、エチレン−オクテンブロック共重合体(ダウ・ケミカル(株)製、商品名:インフューズ(INFUSE)D9100.05、オクテン含有量:12.8モル%(37質量%)、MFR:1、Tm:119℃、ΔHm:38J/g)(以下、β−1と略する)とを5質量部の割合で混合した樹脂組成物をTダイを備えた40mmφ 単軸押出機を用いて設定温度200℃で溶融混練し、20℃のキャストロールで急冷製膜することにより厚みが0.5mmの柔軟層1を得た。
柔軟層1の調製において、シートを構成する樹脂組成物を表1に示すように、(α−1)80質量部とエチレン−オクテンブロック共重合体(ダウ・ケミカル(株)製、商品名:インフューズD9507.15、オクテン含有量:16.4モル%(44質量%)、MFR:5、Tm:123℃、ΔHm:21J/g)(以下、β−2と略する)20質量部との樹脂組成物に変更した以外は、柔軟層1と同様にして、厚みが0.5mmの柔軟層2を得た
柔軟層1の調製において、シートを構成する樹脂組成物を表1に示すように、(α−1)をエチレン−プロピレン−ヘキセン3元ランダム共重合体(日本ポリエチレン(株)製、商品名:カーネル(Karnel)KJ640T、プロピレン含有量:7.4モル%(10質量%)、ヘキセン含有量:4.4モル%(10質量%)、MFR:30、Tm:53℃、ΔHm:58J/g)(以下、α−2と略する)に変更した以外は、柔軟層1と同様にして、厚みが0.5mmの柔軟層3を得た。
柔軟層1の調製において、シートを構成する樹脂組成物を表1に示すように、(α−1)100質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚みが0.5mmの柔軟層4を得た。
柔軟層1の調製において、シートを構成する樹脂組成物を表1に示すように、(β−1)を汎用の結晶性ポリエチレン樹脂であるエチレン−オクテンランダム共重合体((株)プライムポリマー製、商品名:モアテック0238CN、オクテン含有量:1モル%(4質量%)、MFR:2.1、Tm:121℃、ΔHm:127J/g)(以下、P−1と略する)に変更した以外は、柔軟層1と同様にして、厚みが0.5mmの柔軟層5を得た。
柔軟層1の調製において、シートを構成する樹脂組成物を表1に示すように、(P−1)100質量部に変更した以外は、柔軟層1と同様にして、厚みが0.5mmの柔軟層6を得た。
Etimex社製EVA封止材496を用いた。なお,本EVA封止材単体を下記実施例に示す方法で真空ラミネートし,その後,EVA封止材のみを取り出し,全光線透過率を前記の方法で測定した。
東洋インク製ウレタン系接着剤(PU)IS801と硬化剤CR001を10:1の比で配合し固形分塗工量10g/m2となるようにシリコーン離型PETフィルムに塗布し,40℃,4日間養生した。その後,接着剤層のみを取り出し,全光線透過率を上記の方法で測定した。
得られた柔軟層1〜8の各々について、その厚み、組成及び全光線透過率、耐熱性及び柔軟性(貯蔵弾性率)を測定した結果を、以下の表1にまとめて示す。
前記調製した耐候層,柔軟層1,防湿層を株式会社エヌ・ピー・シー社製真空ラミネート装置LM−30x30を用い150℃,15分の条件で定法により積層し前面保護シート1を作製した。その後、作製した前面保護シート1を使用して上記に示した柔軟層と同様の方法で全光線透過率を測定し、その結果を表2に示す。さらに、以下の方法で防湿性を測定したところ、その値は0.24g/(m2・day)であった。
JIS Z0222「防湿包装容器の透湿度試験方法」、JIS Z0208「防湿包装材量の透湿度試験方法(カップ法)」の諸条件に準じて行った。すなわち、透湿面積10.0cm×10.0cm角の各積層フィルム又は積層体を2枚用い、吸湿剤として無水塩化カルシウム約20gを入れ四辺を封じた袋を作製し、その袋を温度40℃相対湿度90%の恒温恒湿装置に入れ、48時間以上間隔で質量増加がほぼ一定になる目安として14日間まで、質量測定(0.1mg単位)し、水蒸気透過率を下記式から算出する。
水蒸気透過率(g/m2/24h)=(m/s)/t
m; 試験期間最後2回の秤量間隔の増加質量(g)
s; 透湿面積(m2)
t; 試験期間最後2回の秤量間隔の時間(h)/24(h)
耐候層,柔軟層2,防湿層を実施例1と同様に真空ラミを行い積層し前面保護シート2を作製し同様に全光線透過率を測定した。その結果を表2に示す。また、実施例1と同様に防湿性を測定したところ、その値は0.24g/(m2・day)であった。
耐候層,柔軟層3,防湿層を実施例1と同様に真空ラミを行い積層し前面保護シート3を作製し全光線透過率を測定した。その結果を表2に示す。また、実施例1と同様に防湿性を測定したところ、その値は0.21g/(m2・day)であった。
耐候層,柔軟層4,防湿層を実施例1と同様に真空ラミを行い積層し前面保護シート4を作製し全光線透過率を測定した。その結果を表2に示す。
耐候層,柔軟層5,防湿層を実施例1と同様に真空ラミを行い積層し前面保護シート5を作製し全光線透過率を測定した。その結果を表2に示す。
耐候層,柔軟層6,防湿層を実施例1と同様に真空ラミを行い積層し前面保護シート6作製し全光線透過率を測定した。その結果を表2に示す。
耐候層,柔軟層7,防湿層を実施例1と同様に真空ラミを行い積層し前面保護シート7作製し全光線透過率を測定した。その結果を表2に示す。
耐候層,柔軟層8,防湿層を実施例1と同様に真空ラミを行い積層し前面保護シート8を作製し全光線透過率を測定した。その結果を表2に示す。
一方、柔軟層4,8は、耐熱性に劣り、高温下・傾斜条件で使用されることによれば、基準値からずれたりシートが溶融したりすることが明らかとなった。したがって、柔軟層4,8を用いて作製された比較例1,5の前面保護シートにおいては、柔軟層がその役割を果たしきれず、防湿層の保護が十分ではないと考えられる。すなわち、高温下・傾斜条件での使用が見込まれる太陽電池用部材の素材としては好ましくない。また、柔軟層5〜7は、柔軟性(貯蔵弾性率)に劣り、防湿層の保護が不十分であることが示された。したがって、柔軟層5〜7を用いて作製された比較例2〜4の前面保護シートにおいても、柔軟層がその役割を果たしきれず、防湿層の保護が十分ではないと考えられる。
2・・・・防湿層
3・・・・柔軟層
10・・・前面保護シート
12A,12B・・・封止樹脂層
14A,14B・・・太陽電池素子
16・・・バックシート
18・・・ジャンクションボックス
20・・・配線
Claims (8)
- 耐候層(A)と防湿層(B)とを、下記(1)の条件を満足するエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(C−1)と下記(2)の条件を満足するエチレン−α−オレフィンブロック共重合体(C−2)とを含有する柔軟層(C)を介して積層してなることを特徴とする太陽電池用前面保護シート。
(1)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解熱量が0〜70J/g
(2)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解ピーク温度が100℃以上であり、かつ、結晶融解熱量が5〜70J/g - 前記エチレン−α−オレフィンブロック共重合体(C−2)におけるα−オレフィンが、プロピレン、1−ブテン、1−へキセン及び1−オクテンからなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項1に記載の太陽電池用前面保護シート。
- 前記防湿層(B)が、基材層の少なくとも一方の面に、無機酸化物コーティング膜を有するものである請求項1又は2に記載の太陽電池用前面保護シート。
- 前記基材層がポリエステル、ポリアミド、及びポリオレフィンより選ばれる少なくとも1つの樹脂を有するものである請求項3に記載の太陽電池用前面保護シート。
- 前記耐候層(A)が、アクリル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びポリエチレンナフタレート(PEN)より選ばれる少なくとも1つの樹脂に紫外線吸収剤を含有する樹脂組成物を成膜したもの、又はフッ素系樹脂層である請求項1〜4のいずれかに記載の太陽電池用前面保護シート。
- 前記エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(C−1)と前記エチレン−α−オレフィンブロック共重合体(C−2)を構成するα−オレフィンの種類が同一である請求項1〜5のいずれかに記載の太陽電池用前面保護シート。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の太陽電池用前面保護シートを用いて作製された太陽電池モジュール。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の太陽電池用前面保護シート又は請求項7に記載の太陽電池モジュールを用いて作製された太陽電池。
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JP2011187145A JP5719726B2 (ja) | 2010-08-31 | 2011-08-30 | 太陽電池用前面保護シート及びそれを用いて作製された太陽電池モジュール |
Applications Claiming Priority (3)
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