[第一実施形態]
図1において、医療情報システム2は、病院等の医療施設に構築され、診療科10に設置される診療科端末11、放射線検査科(以下、単に検査科という)12に設置されるレポート作成端末13、データベース(以下、DBと略す)サーバ14、およびこれらを通信可能に接続するネットワーク15を備える。ネットワーク15は、例えば、院内に敷設されたLAN(Local Area Network)である。
診療科端末11は、検査や読影を依頼する診療科10の医師(以下、依頼医という)によって操作される。診療科端末11は、カルテ16の閲覧や入力の他、検査科12に対して検査を依頼するためのオーダを発行する際に利用される。診療科端末11は、検査科12から提供される検査画像17やレポート18を表示して、依頼医の閲覧に供する。
レポート作成端末13は、読影を専門とする検査科12の医師(以下、読影医という)によって操作される。レポート作成端末13は、読影医がオーダを確認したり、レポート18を作成したりするときに利用される。レポート作成端末13は、画像表示画面やレポート編集画面44(図3参照)を表示して、レポート18の作成を支援する。
DBサーバ14には、カルテDB19、画像DB20、レポートDB21等の複数のDBが構築されている。カルテDB19は、患者毎のカルテ16のデータ等を格納する。画像DB20は、CR装置、CT装置、MRI装置といった検査科12のモダリティ22によって撮影された検査画像17のデータを格納する。レポートDB21は、レポート作成端末13によって作成されたレポート18のデータを格納する。
DBサーバ14は、ネットワーク15を通じて、モダリティ22から検査画像17のデータを受信して、受信した検査画像17のデータを画像DB20に格納する。つまり、DBサーバ14は、いわゆるPACS(Picture Archiving and Communication Systems)サーバとして機能し、モダリティ22とともにPACSを構成する。
検査画像17のデータは、個々の検査画像17を識別するための画像IDを有する。検査画像17のデータは、例えば、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)に準拠したファイル形式で、画像DB20に格納される。検査画像17のファイルには、患者ID、検査ID、検査日、検査種等の項目を含む付帯情報を記録したDICOMタグが付与される。画像DB20に格納された検査画像17のデータは、DICOMタグの各種項目を検索キーとして、検索が可能である。
DBサーバ14は、診療科端末11およびカルテDB19とともにカルテシステムを構成する。また、DBサーバ14は、レポート作成端末13、画像DB20、並びにレポートDB21とともにレポート作成支援システムを構成する。レポート18のデータは、検査画像17のデータと同様、検査ID、患者ID、患者名等の検索キーによって検索が可能である。なお、本例では、各DB19〜21を一つのDBサーバ14に構築した例で説明しているが、各DB19〜21を別々のDBサーバに構築してもよい。
診療科端末11が発行するオーダは、患者ID、患者名、依頼日、依頼元、検査種(CTやMRI等)、検査目的、読影の要否等の情報を記録する各種項目を有する。依頼元の項目には、内科、脳外科等の依頼医の所属、氏名、医師IDといった情報が記録される。検査目的の項目には、治療中の病巣に対する治療効果を判定する治療効果判定、転移巣の有無を調べる転移検索等の情報が記録される。
診療科端末11が発行したオーダは、検査科12に設置されたオーダ受付端末(図示せず)に送信されて、検査科12に受け付けられる。オーダ受付端末は、受信したオーダに検査IDを付与して、オーダのデータを管理する。検査IDは、受付完了通知とともにオーダ受付端末から診療科端末11に送信される。検査科12のスタッフ(検査技師)は、オーダ受付端末で受信したオーダに基づいて、モダリティ22による撮影を行う。
読影が必要な場合(オーダの読影の要否の項目が要の場合)には、検査IDが付与されたオーダが、オーダ受付端末からレポート作成端末13に送信される。読影医は、レポート作成端末13を介してオーダを確認し、画像DB20から読影の対象となる検査画像17のデータを読み出す。そして、読み出した検査画像17の読影結果をレポート18にまとめる。
レポート18の作成が完了すると、読影医は、オーダ発行元の診療科端末11に対して、レポート作成端末13を通じて作成完了通知を送信する。作成完了通知には、検査画像17やレポート18が格納される各DB20、21内のアドレスが含まれている。依頼医は、診療科端末11を通じて作成完了通知に含まれるアドレスにアクセスして、検査画像17やレポート18を閲覧する。
各端末11、13およびDBサーバ14は、それぞれ、パーソナルコンピュータ、サーバ用コンピュータ、ワークステーションといったコンピュータをベースに、オペレーティングシステム等の制御プログラムや、クライアントプログラム又はサーバプログラムといったアプリケーションプログラムをインストールして構成される。
図2において、各端末11、13およびDBサーバ14を構成するコンピュータは、基本的な構成は略同じであり、それぞれ、CPU30、メモリ31、ストレージデバイス32、LANポート33、およびコンソール34を備えている。これらはデータバス35を介して相互接続されている。
ストレージデバイス32は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)である。ストレージデバイス32には、制御プログラムやアプリケーションプログラム(以下、APという)36が格納される。また、レポート作成端末13のストレージデバイス32には、第一、第二所見文作成用定義62、63(図3〜図5参照)と評価基準テーブル64(図3、図6参照)が格納される。
さらに、DBサーバ14には、プログラムを格納するHDDとは別に、DB用のストレージデバイス32として、例えば、HDDを複数台連装したディスクアレイが設けられる。ディスクアレイは、DBサーバ14の本体に内蔵されるものでもよいし、本体とは別に設けられ、本体にケーブルやネットワークを通じて接続されるものでもよい。
メモリ31は、CPU30が処理を実行するためのワークメモリである。CPU30は、ストレージデバイス32に格納された制御プログラムをメモリ31へロードして、プログラムに従った処理を実行することにより、コンピュータの各部を統括的に制御する。
LANポート33は、ネットワーク15との間の伝送制御を行うネットワークインタフェースである。コンソール34は、ディスプレイ37と、キーボードやマウス等の入力デバイス38とからなる。
診療科端末11には、AP36として、カルテ16の閲覧や編集を行うカルテ用ソフトウエア、検査画像17やレポート18の閲覧を行うビューアソフトウエアといったクライアントプログラムがインストールされる。クライアントプログラムが起動されると、診療科端末11のディスプレイ37には、GUI(Graphical User Interface)による操作画面が表示される。操作画面には、カルテDB19、画像DB20、レポートDB21からそれぞれ読み出されたカルテ16、検査画像17、レポート18を表示する表示画面が含まれる。
診療科端末11には、入力デバイス38を通じて、カルテ16の入力・編集の指示や、オーダの入力・発行の指示といった操作指示が入力される。入力されたカルテ16やオーダのデータは、カルテDB19に格納される。
レポート作成端末13には、AP36として、レポート作成支援を行うレポート編集用のクライアントプログラムがインストールされている。レポート作成端末13は、レポート編集用のクライアントプログラムによって、検査画像17の表示処理と、レポート18の編集処理とを行う。DBサーバ14には、AP36として、クライアントである各端末11、13からの要求に応じて処理を実行し、処理結果を応答するサーバプログラムがインストールされている。
図3において、レポート作成端末13のCPU30は、レポート編集用のクライアントプログラムを起動すると、コンソール制御部(操作入力制御手段に相当)40、DBアクセス部41、編集処理部(作成手段、判定手段に相当)42、オーダ取得部43として機能する。オーダ取得部43は、オーダ受付端末からネットワーク15を介してオーダを取得する。取得したオーダは、例えば、レポート作成端末13のストレージデバイス32に設けられたオーダテーブル(図示せず)に登録される。
レポート作成端末13は、CPU30が設けられた端末本体に、二台のディスプレイ37a、37bを接続した構成である。一台のディスプレイ37aには、検査画像17の観察用に使用される画像表示画面が出力される。もう一台のディスプレイ37bには、レポート18の作成に使用されるレポート編集画面44が出力される。
画像表示画面およびレポート編集画面44は、GUIによる操作画面を構成する。コンソール制御部40は、これらの操作画面を各ディスプレイ37a、37bに出力し、操作画面を通じて、入力デバイス38からの操作指示の入力を受け付ける。
画像表示画面およびレポート編集画面44は、連動して起動する。レポート編集画面44から、読影対象の検査画像17が含まれる検査IDが入力されると、コンソール制御部40は、DBアクセス部41を通じて、検査IDに対応する検査画像17のデータを画像DB20から取得する。コンソール制御部40は、取得した検査画像17をディスプレイ37aに出力する際に、画像表示画面を起動する。
画像表示画面には、CR装置で撮影された放射線による透視画像や、CT装置やMRI装置で撮影された断層画像、断層画像に基づいて生成される三次元画像といった各種の検査画像17が表示される。画像表示画面は、一画面に六コマの断層画像を配列して表示するというように、複数の検査画像17を同時に表示することが可能である。画像表示画面には、操作ボタン、リストボックス、アイコンといった、GUIを構成する各種の操作ツールが設けられている。こうした操作ツールを通じて、入力デバイス38からの各種の操作指示が入力される。
レポート編集画面44には、基本情報表示領域45、所見文入力領域46、診断名表示領域47、用語選択入力領域48、診断名入力領域49、および操作ボタン領域50が設けられている。これら各領域は、GUIを構成する各種の操作ツールである。こうした操作ツールを通じて、入力デバイス38からの各種の操作指示が入力される。操作指示には、レポートDB21からレポート18のデータを読み出す指示、レポートDB21へレポート18のデータを保存する指示、所見文入力領域46を選択してアクティブ(入力が可能な状態)にする指示等が含まれる。
基本情報表示領域45には、患者名(「富永士郎」)、検査ID(「CT0803」)、検査画像17の撮影日(「10/7/30(2010年7月30日)」)といった基本情報が表示される。これらの基本情報は、オーダから読み出される。
所見文入力領域46には、読影医が検査画像17を観察して認識した、病変の状態等の観察記録、すなわち所見を表す文(以下、所見文という)が入力される。図においては、所見文入力領域46は一つだけ表示されているが、所見文入力領域46は追加することも可能である。所見文入力領域46を追加する際には、病変が複数有る場合に、病変毎に所見を分けて入力したり、検査目的が複数ある場合(例えば、治療効果判定と転移検索等)に、検査目的毎に所見を分けて入力したりといった使い方がされる。また、研修医と指導医、一次読影を行う読影医と二次読影を行う読影医等、複数の読影医が所見をそれぞれ入力するという使い方も可能である。
用語選択入力領域48は、マウスのクリック操作によって、所見文入力領域46へ所見文を入力するための操作ツールであり、テンプレート式操作ツールとも呼ばれる。用語選択入力領域48は、「肝臓」、「胆管」といった臓器別の大分類パネル51と、小分類パネル52とを有する。小分類パネル52は、「肝臓の形態」、「腫瘤性病変」といった、臓器毎に所見として記入されるべき項目を類型化した所見項目を有する。各パネル51、52は、タブによって切り替え選択が可能である。大分類パネル51として選択された臓器名は、所見文入力領域46の横に表示される。本例では、大分類パネル51として「肝臓」が、小分類パネル52として「肝臓の形態」がそれぞれ選択されている。
小分類パネル52には、さらに、複数の用語選択ボタン53が設けられている。用語選択ボタン53は、所見項目をさらに細分化した、「辺縁」、「表面」、「腫大」、「萎縮」等々の観察項目毎に、横並びに配列されている。例えば、「辺縁」の観察項目には、「鋭」、「やや鈍」、「鈍」、「表面」の観察項目には、「平滑」、「やや凹凸」、「凹凸」といった入力語句がある。「腫大」および「萎縮」の観察項目には、さらに「腫大程度」、「腫大部位」、「萎縮程度」、「萎縮部位」という従属項目がある。以下の説明では、特に区別する必要がない限り、観察項目と従属項目をまとめて観察項目という。用語選択ボタン53の入力語句には、各観察項目で使用される頻度が高い医療用語が使用されている。また、用語選択ボタン53の入力語句は全て、観察項目の程度や形状を表し、観察項目を修飾する語句である。
用語選択ボタン53は、各観察項目について一つだけ選択することが可能である。このため、例えば「辺縁−鋭」が選択されていて、「辺縁−鈍」を選択し直した場合は、「辺縁−鋭」の選択が自動的に解除される。
所見文入力領域46をアクティブにした状態で、所望の用語選択ボタン53にポインタ54を合わせて、マウスでクリック操作を行うと、選択された用語に基づいた所見文が所見文入力領域46に表示される。所見文入力領域46に入力された所見文には、キーボードを操作することで、修正加筆することも可能である。
所見文は、一個以上の用語選択ボタン53を選択したときに表示される。所見文は、用語選択ボタン53が追加選択される毎に表示が更新される。追加選択は、例えば、二つの観察項目の用語選択ボタン53が選択されていて、三つ目の観察項目の用語選択ボタン53を選択する場合と、同一の観察項目で用語選択ボタン53の選択をし直す場合とを含む。
本例では、用語選択ボタン53として、斜線で示すように「辺縁−鈍」、「表面−凹凸」、「腫大程度−軽度」、「腫大部位−左葉」、「萎縮程度−高度」、「萎縮部位−右葉」、「実質均一度−不均一」、「実質濃度−低い」がそれぞれ選択されている。また、所見文として、「肝は辺縁鈍、表面凹凸、左葉の腫大は軽度、右葉の萎縮は高度、実質は不均一で低濃度です。」が所見文入力領域46に表示された状態を図示している。
診断名入力領域49には、確信度入力用のプルダウンメニュー55と診断名入力用の入力ボックス56とが設けられている。プルダウンメニュー55の横の逆三角の印をクリックすると、例えば高、中、低、あるいは確定、疑い等の確信度の度合いを示す選択肢がプルダウン表示される。入力ボックス56には、読影の結果導かれる診断名が読影医により入力される。入力ボックス56に入力された診断名は、診断名表示領域47に転載される。本例では診断名「肝硬変」が入力・表示された状態を示している。
操作ボタン領域50には、各種操作ボタン57〜61が設けられている。所見追加ボタン57は、所見文入力領域46を追加するためのものである。所見追加ボタン57にポインタ54を合わせてマウスをクリック操作すると、レポート編集画面44に所見文入力領域46が追加表示される。
所見文入力領域46に入力された所見文のデータ(以下、所見データという)は、個々を識別する所見IDを有する。所見IDは、検査画像17やレポート18と所見文との対応をとるためのものであり、所見文入力領域46の追加された順に付された番号を含む。N個目(Nは1以上の自然数)の所見文入力領域46に入力される所見文には、「F−N」の所見IDが割り当てられる。所見IDは、診断名表示領域47に表示された診断名のデータについても適用される。本例では、一個目の所見文入力領域46に所見文を入力する際を示しており、所見文入力領域46の上部に所見IDの「F−1」が表示されている。
終了ボタン58は、レポート18の編集を終了するためのものである。終了ボタン58が選択されると、レポート18のデータが確定保存される。確定保存されたレポート18は、不正な改ざんを防止するために、編集が禁止される。中断ボタン59は、レポート18の作成を一時中断するためのものである。中断ボタン59が選択されると、作成途中のレポート18のデータが一時保存される。キャンセルボタン60は、レポート編集画面44を閉じる際に選択される。
語順変更ボタン61は、所見文の閲覧性を高めるため、所見文中で医学的に重要な語句の順番を、第一所見文作成用定義62(図4も参照)で所見文を作成するデフォルト設定から変更する際にクリック操作される。語順変更ボタン61の詳細な機能については後述する。
DBアクセス部41は、コンソール制御部40や編集処理部42からの指令に基づいて、DBサーバ14に対する処理要求の送信と処理結果の受信とを行う。画像DB20に対する処理要求には、検査IDや画像IDといった情報を検索キーとして、検査画像17を検索するための検索要求がある。レポートDB21に対する処理要求には、作成したレポート18のデータを格納するための格納要求と、作成したレポート18のデータや、作成途中のレポート18のデータの検索要求とがある。
DBアクセス部41は、格納要求の対象となるデータを、編集処理部42から受け取り、DBサーバ14へ送信する。また、検索要求の対象となるデータを、DBサーバ14から受信して、コンソール制御部40に引き渡す。
DBサーバ14のCPU30は、サーバプログラムを実行することにより、検査画像17、およびレポート18のデータの格納処理部および検索処理部として機能する。格納処理部は、レポート作成端末13やモダリティ22といったクライアントからの各データの格納要求に応じて、各DB20、21へのデータの格納処理を実行する。検索処理部は、診療科端末11、レポート作成端末13からの各データの配信要求に応答して、要求されたデータを各DB20、21から検索して、検索したデータを要求元へ配信する。
編集処理部42は、レポート編集画面44の所見文入力領域46に入力された所見データ、および各パネル51、52、用語選択ボタン53の選択状態を、コンソール制御部40を通じて受け付ける。編集処理部42は、受け付けた所見データを、所見文入力領域46毎に区別してブロック化する。
編集処理部42は、ブロック化した所見データのそれぞれに「F−1」、「F−2」等の所見IDを付加して、これらをレポート18のデータに記録する。編集処理部42は、所見データの他に、オーダから読み出された検査ID、患者ID、患者名、診断名といった情報を、レポート18のデータに付加する。
編集処理部42は、所見IDに加えて、各所見データに対して、その所見文を入力した読影医を識別するための医師IDを付加する。医師IDは、レポート作成端末13の起動時のユーザ認証の際等に読影医によって入力される。所見データは、所見IDや医師IDによって検索することが可能である。
編集処理部42は、ストレージデバイス32に格納された第一、または第二所見文作成用定義62、63に基づいて、各パネル51、52、用語選択ボタン53の選択状態に応じた所見文を作成する。また、編集処理部42は、前述の語順変更ボタン61の操作に応じて、ストレージデバイス32に格納された評価基準テーブル64を参照して所見文の語順を変更する。
図4の左側上部において、第一所見文作成用定義62は、臓器の項目を最上層として、所見項目、観察項目の順に下層となる階層構造を有する。臓器と所見項目、所見項目と観察項目は、それぞれ親子関係にあり、臓器、所見項目、観察項目、及び従属項目の各々は、兄弟関係にある。臓器の項目には、大分類パネル51の「肝臓」、「胆管」等が、所見項目には、小分類パネル52の「肝臓の形態」、「腫瘤性病変」等が、観察項目には、「辺縁」、「表面」、「腫大」、「萎縮」等がそれぞれ登録されている。観察項目の「腫大」、「萎縮」、「実質」の下層には、それぞれ、「腫大部位」、「腫大程度」、「萎縮部位」、「萎縮程度」、「実質均一度」、「実質濃度」の従属項目が繋げられている。図示は省略したが、臓器の項目の「胆管」や「胆嚢」、あるいは所見項目の「腫瘤性病変」等も、それぞれ複数の所見項目および観察項目を下の階層に有する。
図4の右側および左側下部において、各観察項目の第一所見文作成用定義62には、その観察項目に関する節を構成する語句が登録されている。語句には、その観察項目に関する節の主部の修飾部および本体部、述部の修飾部および本体部がある。主部の本体部のとり得る文要素は主語、または目的語があり、述部の本体部はすなわち述語である。主部の修飾部は本体部である主語または目的語、述部の修飾部は述語をそれぞれ修飾する。観察項目には、これら全ての種類の語句が登録されているものもあれば、いずれかが登録されているものもある。
日本語の文法からすれば、文には述部が一つ必ず存在しなければならない。但し主部はなくてもよく、主部、述部の修飾部もなくても文は成り立つ。述部の本体部は文または節の語尾となり、文の途中、末尾、否定、肯定に応じて活用が変化する。
主部の本体部は、「辺縁」、「表面」、「腫大」等であり、第一所見文作成用定義62では観察項目と同一である。また、主部の本体部は、第一所見文作成用定義62では全て文要素が主語となっている。主部の本体部は、その観察項目に属する用語選択ボタン53が選択されたときに必ず所見文に入る。
主部の修飾部は、「肝全体の」、「右葉の」、「左葉の」である。各修飾部は、用語選択ボタン53の用語の表示と同一である。各修飾部は、「腫大−なし」、「萎縮−なし」が選択された場合を除いて、対応する用語選択ボタン53が選択されたときに必ず所見文に入る。
述部の本体部は、「軽度、」、「高濃度です。」「なく、」、「ありません。」「均一で、」等であり、用語選択ボタン53の選択状態に応じて可変する。述部の本体部には、属性として使用位置、および使用形式が定義されている。使用位置には「途中」、「末尾」、使用形式には「肯定」、「否定」のそれぞれ二種類がある。使用位置が「途中」の述部の本体部(「軽度、」、「なく、」等)は、その観察項目に関する節が、所見文の途中の節である場合に使用する。使用位置が「末尾」の述部の本体部(「高濃度です。」、「ありません。」等)は、その観察項目に関する節が、所見文の末尾の節である場合に使用する。
使用形式が「肯定」の述部の本体部(「軽度、」、「高濃度です。」等)は、その観察項目に関する節が、肯定形である場合に使用する。使用形式が「否定」の述部の本体部(「なく、」、「ありません。」)は、その観察項目に関する節が、否定形である場合に使用する。否定形である場合とは、本例では、観察項目「腫大程度」、「萎縮程度」において、用語選択ボタン53で「なし」を選択した場合である。それ以外は全て肯定を表す。
図5において、第二所見文作成用定義63は、語順変更ボタン61が操作されたときに使用されるもので、階層構造は第一所見文作成用定義62と同一であるが、各観察項目に登録される語句、およびその語句の登録順が第一所見文作成用定義62と異なる。
具体的には、観察項目「辺縁」は、第一所見文作成用定義62では、主部の本体部が「辺縁」、述部の本体部が「○○、」、または「○○です。」であるが、第二所見文作成用定義63では、主部の修飾部に助詞「の」付きで「鋭の」、「やや鈍の」、「鈍の」が登録され、主部の本体部に助詞「を」付きで「辺縁を」が登録されている。また、述部の本体部は「もち、」、「もちます。」となっている。観察項目「表面」も略同様の構成である。
観察項目「腫大」は述部のみで構成され、修飾部(部位)が先に登録される第一所見文作成用定義62とは逆に、修飾部(程度)の「軽度に」、「中等度に」、「高度に」が助詞「に」付きで先に登録されている。その後に修飾部(部位)の「肝全体が」、「右葉が」、「左葉が」が助詞「が」付きで登録されている。そして、述部の本体部には、「腫大」をサ変動詞化した「腫大し、」、「腫大しています。」が登録されている。使用形式が「否定」の場合の述部の本体部は第一所見文作成用定義62と同じであるため登録されていない。観察項目「萎縮」も略同様の構成である。
観察項目「実質」は、第一所見文作成用定義62では述部の本体部であった「均一」、「不均一」が主部の修飾部となり、助詞「な」付きで登録(「均一な」、「不均一な」)されている。主部の本体部は、第一所見文作成用定義62の助詞「は」を「を」にした「実質を」が登録されている。述部の本体部は「有し、」、「有します。」が登録されている。従属項目の「実質濃度」は第一所見文作成用定義62と同一であるため登録されていない。
第一所見文作成用定義62では主部の本体部は全て文要素が主語となっているが、第二所見文作成用定義63では観察項目「辺縁」、「表面」、「実質均一度」の文要素は目的語、観察項目「腫大」、「萎縮」の文要素は述語となっている。また、第一所見文作成用定義62では、観察項目、または観察項目の部位を表す入力語句(「肝全体」等)が先に登録されているが、第二所見文作成用定義63では、観察項目の程度を表す入力語句(「鋭」、「高度」、「不均一」等)が先に登録されている。
用語選択ボタン53のいずれかが選択された場合、編集処理部42は、まず、各パネル51、52の選択状態に対応する、第一または第二所見文作成用定義62、63の臓器の項目、所見項目の階層を辿る。そして、選択された用語選択ボタン53に対応する観察項目(以下、アクティブな観察項目という)の語句を、第一または第二所見文作成用定義62、63から読み出す。下層(子)の従属項目、本例では「腫大程度」、「腫大部位」、「萎縮程度」、「萎縮部位」、「実質均一度」、「実質濃度」の用語選択ボタン53が選択された場合は、その上層(親)の観察項目である「腫大」、「萎縮」、「実質」も自動的にアクティブとなる。
続いて、編集処理部42は、アクティブな観察項目の述部の本体部を決定する。編集処理部42は、アクティブな観察項目に関する節の使用位置、および使用形式を調べる。編集処理部42は、アクティブな観察項目と同じ階層レベル(兄弟関係)にある観察項目がアクティブであるか否かを、第一または第二所見文作成用定義62、63の登録順に見ていく。使用位置、および使用形式の判定対象となるアクティブな観察項目の後に、別のアクティブな観察項目がある場合は、使用位置は「途中」、そうでなければ「末尾」となる。
選択された用語選択ボタン53に対応する語句の使用形式が「否定」であった場合、すなわち本例で「腫大程度−なし」、「萎縮程度−なし」が選択された場合、編集処理部42は、「腫大」、「萎縮」の使用形式を「否定」と断じる。それ以外は全て「肯定」と断じる。編集処理部42は、以上のようにして第一または第二所見文作成用定義62、63から読み出した各部の語句を、主部の修飾部、本体部、述部の修飾部、本体部の順(第一、第二所見文作成用定義62、63の並び(登録)順)に従って連結し、所見文を作成する。
図3の各パネル51、52、用語選択ボタン53の選択状態を例に挙げて、編集処理部42の所見文の作成処理を説明する。各パネル51、52として「肝臓」、「肝臓の形態」が選択されているので、編集処理部42は、各所見文作成用定義62、63の「肝臓」、その下層の「肝臓の形態」を辿る。デフォルト設定の第一所見文作成用定義62を用いた場合、アクティブな観察項目(この場合は「辺縁」〜「実質」まで全て)の主部の本体部である「辺縁」、「腫大は」、「実質は」等、および主部の修飾部である「左葉の」、「右葉の」等を、第一所見文作成用定義62から読み出す。
この場合、全ての観察項目がアクティブであるため、観察項目「辺縁」〜「実質均一度」までは、使用位置が「途中」である。また、「腫大程度−なし」、「萎縮程度−なし」が選択されていないため、観察項目の使用形式は全て「肯定」である。従って、編集処理部42は、述部の本体部として「軽度、」、「不均一で」、「低濃度です。」等を第一所見文作成用定義62から選択的に読み出す。このようにして読み出した各種語句を、予め定められた順序に従って連結すると、図3および段落[0060]に記載した所見文となる。
他の例を挙げると、「辺縁−鈍」のみが選択された場合、所見文は「辺縁鈍です。」となる。また、「腫大程度−なし」のみが選択された場合は述部3が採用され、所見文は「腫大はありません。」、「萎縮程度−中等度」、「萎縮部位−肝全体」のみが選択された場合は述部2が採用され、所見文は「肝全体の萎縮は中等度です。」となる。「実質−不均一」のみが選択された場合は述部2が採用され、所見文は「実質は不均一です。」である。アクティブな観察項目が一つである場合は、所見文は単文となり、アクティブな観察項目が複数である場合は、所見文は各観察項目に関する節からなる重文となる。
観察項目の並び(登録)順は、所見文における各観察項目に関する節の位置と対応している。すなわち、図3に示す例のように、全ての観察項目がアクティブであった場合、観察項目「辺縁」に関する節が所見文の先頭に割り当てられ、順次「表面」、「腫大」、・・・の節がその後に続く。そして、「実質」に関する節が、所見文の末尾に位置する。下層に従属項目が繋げられた観察項目「腫大」、「萎縮」、「実質」に関する節も、下層の従属項目の並び順が、所見文に反映される。例えば、観察項目「腫大」は、「腫大部位」、「腫大程度」の順に節が組み立てられる。
また、各観察項目の各語句の並び(登録)順も、その観察項目に関する節における語句の位置と対応している。例えば、観察項目「辺縁」に関する節は、主部の本体部「辺縁」が先頭で、その後に述部の本体部が続く。観察項目「実質」に関する節は、主部の本体部「実質は」が先頭で、その後に観察項目「実質均一度」の述部の本体部が続き、さらにその後に観察項目「実質濃度」の述部の本体部で締め括られる。
従って、第二所見文作成用定義63を用いた場合は、「辺縁○○です。」は「○○の辺縁をもちます。」、「肝全体の萎縮は○○です。」は「○○に肝全体が萎縮しています。」、「実質は○○です。」は「○○な実質を有します。」となる。つまり「○○」の語順が文の途中から文の先頭に変更される。
なお、観察項目「実質」は、所見文の末尾にくる節を構成するため、述部の本体部は登録せず、「実質濃度」の末尾を「○○です。」としておけばよさそうなものだが、使用位置が「末尾」の「○○です。」に加えて、使用位置が「途中」の「○○、」をも登録している。本例では観察項目「実質」の節が途中となることはないので、「○○、」は使用しないが、観察項目「実質」の後に、新たな観察項目を追加登録する場合は、観察項目「実質」の節が途中となることも有り得る。従って、新たな観察項目を追加登録する場合を想定して、「○○です。」や「○○、」を登録している。なお、実際は所見文の作成に用いない、使用位置が「途中」、使用形式が「否定」の「○○でなく、」や、使用位置が「末尾」、使用形式が「否定」の「○○でなし。」を登録しておいてもよい。
ここで、観察項目「腫大」と「萎縮」に関する節は、どの部位(肝全体、右葉、または左葉)に、どの程度(軽度、中等度、または高度)の腫大、または萎縮があり、選択した部位以外に腫大、または萎縮がないこと、もしくは、肝のどの部位にも腫大、または萎縮がないこと、のいずれかの意味の記述を想定している。
ところが、本例では、「腫大程度」と「腫大部位」、および「萎縮程度」と「萎縮部位」の用語選択ボタン53を、レポート編集画面44に同時に表示している。この場合、使用形式が「否定」である「程度−なし」を選択して、使用形式が「肯定」である「部位−右葉、または左葉」を選択することも可能である。もしこのような選択状態となると、右葉、または左葉の一方に腫大、または萎縮がないことは分かるが、右葉、または左葉の他方の腫大、または萎縮の有無が不明確になってしまう。
そこで、上記の如くアクティブな観察項目に「否定」、「肯定」の使用形式が混在する場合は、所見文が不明確とならないように予め所見文作成のルールを決めておく。例えば、第一所見文作成用定義62の登録順が後の観察項目の使用形式を採用する。上記の例でいくと、第一所見文作成用定義62の登録順は「部位」、「程度」であるので、登録順が後の「程度」の使用形式(「なし」であるため「否定」)を採用して述部の本体部を決定する。従って、「程度−なし」が選択されていた場合は、「部位」に何が選択されていても、所見文は、「腫大(萎縮)はなく、」、もしくは「腫大(萎縮)はありません。」となる。
もちろん、アクティブな観察項目に「否定」、「肯定」の使用形式が混在しないような対策を講じてもよい。例えば、「部位」と「程度」の用語選択ボタン53を、レポート編集画面44に同時に表示せずに、最初は「程度」の用語選択ボタン53のみを表示しておく。そして、「なし」以外の、使用形式が「肯定」の「軽度」、「中等度」、「高度」のいずれかが選択された場合に、「部位」の用語選択ボタン53を表示する。但し、「部位」の用語選択ボタン53の表示・非表示が切り替わると、煩わしさを感じる読影医もいるため、「部位」と「程度」の用語選択ボタン53を同時に表示する本例を採用することが好ましく、これらの態様を読影医が選択可能に構成することが、さらに好ましい。
図6において、評価基準テーブル64は、観察項目毎に用語選択ボタン53の入力語句に対する選択回数を記憶したものである。評価基準テーブル64には、デフォルト設定の第一所見文作成用定義62で文の先頭にならず、語順の変更が可能な入力語句を有する観察項目が記憶される。「腫大部位」、「萎縮部位」は、第一所見文作成用定義62で文の先頭になるため、また、「腫大程度−なし」、「萎縮程度−なし」、「実質濃度」は語順の変更が不可能であるため、いずれも評価基準テーブル64には記憶されない。
コンソール制御部40は、終了ボタン58が選択されてレポート18のデータが確定保存されたときの用語選択ボタン53の選択状態を編集処理部42に受け渡す。編集処理部42は、受け渡された用語選択ボタン53の選択状態に基づいて、評価基準テーブル64の該当する入力語句の選択回数をインクリメントし、評価基準テーブル64を更新する。
各観察項目で評価基準テーブル64の選択回数が最多の用語選択ボタン53の入力語句が選択されていて、且つ語順変更ボタン61が操作された際、編集処理部42は、第二所見文作成用定義63を用いてその観察項目の所見文を作成する。選択回数が最多ではないその他の入力語句が選択されていた場合、および「腫大程度−なし」、「萎縮程度−なし」、「実質濃度」が選択されていた場合、編集処理部42は、語順変更ボタン61が操作されても第一所見文作成用定義62に則って所見文を作成する。
図6に示す例では、観察項目「辺縁」の各入力語句のうち「鈍」の選択回数が「35回」で最多である。従って、用語選択ボタン53の「鈍」が選択され、且つ語順変更ボタン61が操作された際には、編集処理部42は、第二所見文作成用定義63の観察項目「辺縁」から「鈍の辺縁をもち、」あるいは「鈍の辺縁をもちます。」という所見文を作成する。
観察項目「腫大程度」では、「高度」の選択回数が「28回」と最多である。このため、観察項目「腫大程度」の用語選択ボタン53の「高度」が選択され、且つ語順変更ボタン61が操作された際には、「高度に○○が腫大しています。」という所見文が作成される。
検査は異常が疑われる部位に対して行われるので、医学的な見地で異常な状態を示す入力語句が選択される確率が高い。従って、選択回数が最多の入力語句は、比較的異常な状態を示すものとなる傾向があり、診断を決定する際の根拠となるケースも多い。
第一所見文作成用定義62を用いた場合、選択回数が最多の入力語句でも節の途中に配置されるため、診断を決定する際の根拠となり得る語句でありながら他の語句に埋もれてしまう。選択回数が最多の入力語句が節の先頭にあれば読む順序が最初になり、その節で何を言わんとしているかを読み手に即座に把握させることができる。こうした理由から、選択回数が最多の入力語句が選択された場合に、第二所見文作成用定義63を用いて選択回数が最多の入力語句の語順をその観察項目の節の先頭に変更している。なお、選択回数が最多の入力語句ではなく、選択回数が最多と次点の入力語句や、他の入力語句の選択回数との比率が予め決められた閾値以上の入力語句が選択された場合に、第二所見文作成用定義63を用いて所見文を作成してもよい。
語順変更ボタン61が操作されると、図7(1)に示すように、コンソール制御部40は、その旨を表す信号(語順変更指示信号)を編集処理部42に受け渡す。また、コンソール制御部40は、用語選択ボタン53が選択されたときに、逐次その選択状態も編集処理部42に受け渡す。(2)に示すように、編集処理部42は、コンソール制御部40から語順変更指示信号を受けると評価基準テーブル64にアクセスし、各観察項目の用語選択ボタン53の入力語句のうち、選択回数が最多の入力語句のデータ(評価基準データ)を抽出する。この抽出は、語順変更ボタン61をクリックしたときに各パネル51、52で選択されているタブの観察項目に対して行われる。図3の例では大分類「肝臓」、小分類「肝臓の形態」の観察項目「辺縁」、「腫大」等である。なお、語順変更指示信号を受けたときに評価基準データを抽出するのではなく、レポート編集画面44をディスプレイ37bに表示させてレポート18を新規作成するときに評価基準データを抽出してもよい。
(3)に示すように、編集処理部42は、第一、第二所見文作成用定義62、63のいずれかから、用語選択ボタン53の選択状態に応じた語句を抽出する。編集処理部42は、評価基準データで選択回数が最多とされた入力語句が選択された場合は第二所見文作成用定義63を用い、それ以外は第一所見文作成用定義62を用いる。編集処理部42は、第一、第二所見文作成用定義62、63のいずれかから抽出した語句で所見文を作成し、(4)に示すように、作成した所見文のデータをコンソール制御部40に受け渡す。コンソール制御部40は、受け取った所見文のデータを所見文入力領域46に表示させる。
語順変更は、所見文の作成前、作成中、作成後のいずれの状況においても可能である。作成中、または作成後に行う場合は、既に所見文入力領域46に書き込まれている所見文の表現が語順変更の指示に対応して表示変更される。
なお、本例では読影医が語順変更を指示するとしたが、依頼医が診療科端末11でレポート18を閲覧する際に語順変更を指示してもよい。この場合、診療科端末11のストレージデバイス32、またはDBサーバ14に、レポート作成端末13と同じ第一、第二所見文作成用定義62、63および評価基準テーブル64を記憶しておく。そして、診療科端末11を通じて依頼医が語順変更を指示したときに、上述したレポート作成端末13と同様の処理を行って、選択回数が最多の入力語句の語順を変更する。
以下、上記構成による作用について、図8に示すフローチャートを参照して説明する。依頼医は、診療科端末11を使用してオーダを発行する。レポート作成端末13は、診療科端末11から発行されたオーダを、検査科12のオーダ受付端末を経由して受信する。
読影医は、レポート作成端末13にアクセスしてオーダを確認し、レポート18の作成を開始する。レポート編集画面44がディスプレイ37bに表示されると、これと連動して画像表示画面がディスプレイ37aに表示される。読影医は、画像表示画面で検査画像17を観察しながら、レポート編集画面44の所見文入力領域46に、それぞれ臓器別の所見文を入力する。
所見文の入力は、用語選択ボタン53を選択することにより行われる。図8において、用語選択ボタン53が選択されると(ステップ(以下、Sと略す)10でyes)、コンソール制御部40から編集処理部42に、各パネル51、52、用語選択ボタン53の選択状態が通知される(S11)。
語順変更ボタン61が操作されていない場合(S12でno)は、編集処理部42によって、各パネル51、52、用語選択ボタン53の選択状態を元にした第一所見文作成用定義62の検索が編集処理部42で実行され、アクティブな観察項目の語句が第一所見文作成用定義62から読み出される(S13、S14)。
続いて、アクティブな観察項目に関する節の使用位置、使用形式が編集処理部42で判定される(S14)。具体的には、判定対象のアクティブな観察項目と同じ階層レベルで、且つ判定対象の観察項目の後に、別のアクティブな観察項目がある場合、使用位置が「途中」と判定され、そうでなければ「末尾」と判定される。また、選択された用語選択ボタン53に対応する入力語句の使用形式が「否定」であった場合、アクティブな観察項目の使用形式が「否定」と判定される。それ以外は全て「肯定」と判定される。この使用位置、使用形式の判定結果に基づいた述部の本体部の語句が第一所見文作成用定義62から読み出される。
そして、読み出された各種語句が第一所見文作成用定義62の並び順に連結され、所見文が作成される(S15)。作成された所見文は、編集処理部42からコンソール制御部40に引き渡され、コンソール制御部40の制御の下、所見文入力領域46に表示される(S16)。
一方、語順変更ボタン61が操作された場合(S12でyes)は、コンソール制御部40から編集処理部42に語順変更指示信号が送信され、編集処理部42により評価基準テーブル64の選択回数が最多の入力語句(評価基準データ)が抽出される(S17)。そして、S11で通知された用語選択ボタン53の選択状態に、選択回数が最多の入力語句があった場合(S18でyes)は、第二所見文作成用定義63から当該入力語句を含む観察項目の語句が検索・抽出される(S19、S14)。選択回数が最多の入力語句がない場合(S18でno)、および「腫大程度−なし」、「萎縮程度−なし」、「実質濃度」が選択されていた場合は、第一所見文作成用定義62を用いて所見文が作成される(S13〜15)。このように、読影医は、用語選択ボタン53を選択しながら、所見文の入力を行う。これら一連の処理は、用語選択ボタン53が追加選択される度に繰り返し実行される。
第二所見文作成用定義63を使用して作成した所見文は、「鈍」、「不均一」といった程度を表し、選択回数が最多の入力語句が先頭に配置されている。その他の所見文は観察項目、または部位を表す語句が先頭に配置される。このため、程度を表す入力語句が文または節の先頭に配置されていた場合、その所見文が医学的に異常な状態を示すものであることを視覚的に認識させることができ、その他の所見文と区別することができる。
読影医は、所見文の入力を終えると、終了ボタン58を選択する(S20でyes)。終了ボタン58が選択されると、レポート18のデータの格納要求がDBアクセス部41からDBサーバ14に送信される。レポート作成端末13から格納要求を受信すると、DBサーバ14では、格納処理部によって、レポート18のデータの格納処理が実行される。レポート18のデータは、レポートDB21に格納される。以上をもって、一回のレポート18の作成処理を終了する。
レポート18の作成が完了すると、レポート作成端末13から、依頼医の診療科端末11に対して、作成完了通知が送信される。依頼医は、診療科端末11を通じてレポートDB21にアクセスして、作成完了通知に含まれるレポート18のアドレスに基づいて、レポート18を読み出す。診療科端末11のディスプレイ37には、レポート表示画面と、レポート18に関連する検査画像17を表示する画像表示画面が出力される。依頼医は、これらの画面を閲覧して、レポート18の内容を確認する。
以上説明したように、本発明は、選択回数が最多の入力語句が選択された場合に、その語句が節の途中に配置される第一所見文作成用定義62ではなく、先頭に配置される第二所見文作成用定義63を用いて所見文を作成するので、レポート18を閲覧する際に、診断のポイントとなる節中の語句を即座に把握することができる。
そのうえ、所見文の作成は用語選択ボタン53を半ば機械的に選択するだけでよく、語順変更の指示もワンタッチででき、第一、第二所見文作成用定義62、63によって語句の助詞や並び順が決まっているため文章表現や助詞を手直しする必要もないので、読影医に掛かる負担を軽微にすることができる。
[第二実施形態]
上記実施形態では、語順変更のための評価基準として入力語句の選択回数を例示したが、本発明はこれに限定されない。診断名入力領域49の入力ボックス56に記入される診断名と選択回数を関連付けて記憶し、これを評価基準として用いてもよい。
図9において、本実施形態の評価基準テーブル70は、第一実施形態の評価基準テーブル64に「B型肝炎」、「肝硬変」等の診断名の項目を追加したもので、診断名に対応付けて用語選択ボタン53の入力語句の選択回数を管理する。選択回数の更新等は第一実施形態と同じく編集処理部42で行う。評価基準テーブル70には登録されていない診断名が診断名入力領域49の入力ボックス56に記入された場合、編集処理部42は、その診断名の欄を評価基準テーブル70に新規追加する。
観察項目「辺縁」の場合、いずれの診断名でも入力語句「鈍」の選択回数が最多である。診断名「B型肝炎」、「C型肝炎」では、「やや鈍」は「鈍」の約半分の選択回数である。一方、診断名「肝硬変」、「肝癌」では、「鈍」の選択回数が「やや鈍」の約7倍あるいは200倍であり、「鈍」の選択回数が突出している。
このように、入力語句の選択回数は診断名に依存する。このため、選択回数が多い入力語句は、診断名を決定付ける重要なファクターとなる。従って、入力語句の選択回数を診断名で分類すれば、結果としてその診断名に特有の重要な語句を導き出すことができる。
編集処理部42は、診断名入力領域49の入力ボックス56に記入された診断名に対応する評価基準データを抽出する。そして、編集処理部42は、第一実施形態と同様に選択回数が最多、選択回数が最多と次点、もしくは選択回数の比率が予め決められた閾値以上の入力語句が選択された場合に、第二所見文作成用定義63を用いて所見文を作成する。診断名に応じた重要な語句が節の先頭に配置されるので、レポート18の閲覧性をより高めることができる。
[第三実施形態]
図10に示すように、本実施形態の評価基準テーブル75は、選択回数の代わりに、重要度と用語選択ボタン53の入力語句を関連付けて記憶している。重要度は、医学的な見地で正常な状態を示す入力語句、すなわち観察項目「辺縁」の「鋭」、「表面」の「平滑」、「実質均一度」の「均一」には付されておらず、医学的な見地で異常な状態を示す入力語句に付されている。また、重要度は中、高の二段階あり、医学的な見地で異常な状態を示すが、その程度が比較的軽微なもの、例えば観察項目「辺縁」の「やや鈍」、「腫大程度」の「軽度」、「中等度」等には重要度中が、異常な状態の程度が比較的重篤なもの、観察項目「辺縁」の「鈍」、「腫大程度」の「高度」、「実質均一度」の「不均一」等には重要度高がそれぞれ付されている。
重要度は、第一、第二実施形態の選択回数と同様に、診断の根拠となる確率が高い入力語句を表している。選択回数は読影医の操作に依拠するため、必ずしも医学的な見地で異常な状態を示す入力語句が最多となるとは限らない。一方、重要度は医学的な見地と一致するので、これを評価基準として語順変更を行えば、略確実に医学的に重要な語句が節の先頭に配置されることとなる。また、第一、第二実施形態では選択回数をカウントして評価基準テーブル64、70を更新する手間が掛かるが、重要度は固定であるため更新の手間は掛からない。
本実施形態では、重要度が付されていない観察項目「辺縁」の「鋭」、「表面」の「平滑」、「実質均一度」の「均一」は、第一所見文作成用定義62を用いて所見文を作成する。第二所見文作成用定義は、図5に示す第二所見文作成用定義63をそのまま用いてもよいし、上記重要度が付されていない入力語句を第二所見文作成用定義63から削除したものを用いてもよい。
また、図11に示すように、操作ボタン領域50の語順変更ボタン61の横に、語順変更する入力語句の重要度を絞り込むためのプルダウンメニュー76を表示させる。プルダウンメニュー76は、重要度高、重要度中、重要度中高の三通りの選択肢をもつ。重要度高または重要度中を選択して語順変更ボタン61を操作した場合は、重要度高または重要度中の入力語句のみを語順変更する。重要度中高の場合は両方の入力語句を語順変更する。
編集処理部42は、評価基準テーブル75から入力語句に対応する重要度を抽出する。編集処理部42は、プルダウンメニュー76で選択された重要度をもつ入力語句が選択された場合に、第二所見文作成用定義63を用いて所見文を作成する。評価基準テーブル75に代えて、第一所見文作成用定義62の入力語句に重要度を対応付けて記憶してもよい。
第一〜第三実施形態は、それぞれ独立または複合して実施することができる。例えば第二実施形態の診断名と第三実施形態の重要度を併せて、診断名毎に重要度を管理した評価基準テーブルを用いてもよい。複合して実施する場合は、図12に示すように、第一実施形態の選択回数、第二実施形態の選択回数(診断名)、または第三実施形態の重要度のいずれを評価基準とするかをプルダウンメニュー80で選ばせる。読影医の嗜好やレポート作成時の状況等に合った評価基準で語順変更することができる。
レポートに記述する所見文は、一般的に「部位」を最初に記述し、続いて「大きさ」、「形」、「個数」、「その他所見」について記述していく。例えば「右葉(部位)に50×30mm大(大きさ)、円形(形)の腫瘤を4個(個数)認めます。境界明瞭粗ぞうで、境界部高エコーを伴います。内部は低エコー、不均質、微細点状高エコースポットを伴います(その他所見)。」といった具合である。ここで「微細点状高エコースポット」が医学的に重要な語句であった場合、全体的な文の並びは「部位」、「大きさ」、「形」、「個数」、「その他所見」のままで、上記のその他所見の文「内部は低エコー、不均質、微細点状高エコースポットを伴います。」を「微細点状高エコースポットを伴い、内部は低エコー、不均質です。」とすれば、「微細点状高エコースポット」であることが内部エコーや内部均質度よりも医学的に重要であると表現することができる。つまり、病変別または患者別に医学的に重要な語句は異なるため、上記各実施形態のように適切に語順を変更することは極めて有効である。
第一〜第三実施形態以外に語順変更の評価基準に適用可能な例として、用語選択ボタン53の選択順が挙げられる。従属項目がない観察項目は当然一回しか選択の操作がないので、この例は従属項目が二つ以上の観察項目のみ有効である。この場合は各従属項目が先頭に配置される所見文作成用定義をもてばよい。所見文作成用定義のバリエーションは従属項目の数と同数となる。例えば従属項目が三つなら、所見文作成用定義も各従属項目の入力語句が先頭に配置される三通りが用意され、用語選択ボタン53の選択順に応じて使用する所見文作成用定義が変更される。これは第一〜第三実施形態にも言えることで、語順変更可能な語句が同じ観察項目(同じ節)に複数ある場合、先頭に配置される語句が異なる同数の所見文作成用定義を用意すればよい。
なお、所見文作成用定義を考え得る並び順のパターン別に複数事前に用意するのではなく、以下に説明する方法で語順の異なる複数の所見文作成用定義を自動作成することも可能である。
図13および図14に示す文法辞書85は、所見文作成用定義の基礎となるデータが収集された辞書であり、例えばストレージデバイス32に記憶される。文法辞書85には、各観察項目の主部、述部の修飾部、本体部に現在採用されている語句とともに、所見文を作成するにあたって使用する可能性が高い他の医療用語も多数登録されている。
文法辞書85は、語句を複数のタイプに分類し、各タイプに応じた助詞、語尾の活用を定義したものである。語句のタイプには、図13に示す本体部、図14に示す修飾部がある。本体部は、前述の主部の本体部、または述部の本体部になる語句、一方修飾部は主部の修飾部、または述部の修飾部になる語句である。なお、前述のように、主部の本体部となり得る語句の文要素は主語、または目的語である。述部の本体部となる得る語句の文要素は述語そのものである。
本体部には、「腫大」、「萎縮」、・・・といったいわゆる動詞性名詞(当該名詞の後に「する」を加えるとサ変動詞になるもの)で、文要素が主語、目的語(種別が主部の本体部)、述語(種別が述部の本体部)になり得るもの(本体部A)、「辺縁」、「表面」、・・・、あるいは「実質」、「境界」、・・・のように、主語、目的語にはなるが、述語にはなり得ないもの(本体部B、C、種別はともに主部の本体部)等のタイプがある。本体部B、Cは、主語になった場合に助詞を付けないでそのまま用いるか(本体部B)、助詞を付けるかの違いがある。
本体部Dには、「○○、」「○○です。」等のデフォルト設定で採用されている本体部E、F以外で述部の本体部を構成し得る語句、例えば「認めます」、「認められます」、「存在します」、「もちます」等が登録されている。本体部Dの語句は、主部の本体部の文要素を目的語に指定した場合に、読影医により指定される可能性が高いものが登録されている。
本体部Aは、主語になった場合の助詞は「は」、使用位置が「途中」、使用形式が「否定」の場合の語尾の活用は「なく、」、使用位置が「末尾」、使用形式が「否定」の場合の語尾の活用は「ありません。」である。使用位置が「途中」、使用形式が「肯定」の場合、使用位置が「末尾」、使用形式が「肯定」の場合は語尾の活用は登録されていない。その理由は、例えば観察項目「腫大」の場合は述部に「軽度」等が必ず入り、該述部に語尾の活用が登録されているためである。
一方、述語になった場合は当該語句が動詞となるので助詞は登録されておらず、語尾の活用(「し、」「しておらず、」、「しています。」、「していません。」)のみが登録されている。また、目的語になった場合の助詞は「を」が登録され、語尾の活用は登録されていない。本体部B、Cは、文要素に対応する助詞は登録されているが、語尾の活用は登録されていない。デフォルト設定では主部の本体部の文要素は全て主語であるため、図中太枠で囲んだ網掛け部分が第一所見文作成用定義62として採用されている。次に説明する修飾部A〜D等も同様である。
本体部Dの語句は主部の本体部にはなり得ず、観察項目の語句の文要素が主語または目的語の場合に適用可能である。また、本体部Aの文要素が述語の場合と同様に助詞は登録されておらず、語尾の活用(「認め、」、「認めず、」「認めます。」、「認めません。」等)のみが登録されている。
本体部E、Fは、述部の本体部になるもので、観察項目の語句の文要素が主語の場合に適用可能である。本体部Eの語尾の活用には「、」、「でなく、」「です。」、「でなし。」が登録され、本体部Fには、本体部Eの「、」の代わりに「で、」が登録されている。述部の本体部として用いる場合は、これらの語尾の活用に語句「軽度」、「均一」等をつける。
図14において、修飾部には、「肝全体」、「右葉」、「左葉」、・・・等、主として部位を表し、主語、目的語(種別が主部の修飾部)、述語(種別が述部の修飾部)を修飾するもの(修飾部A)と、主部の修飾部か述部の修飾部かによって語尾の活用が決まるもの(修飾部B〜D)等のタイプがある。修飾部B、Cのタイプは、「軽度」、「中等度」、「やや鈍」、・・・等であり、修飾部Dは、「均一」、「明瞭」、・・・等である。修飾部B〜Dの語句は、主として大きさや程度を表すものである。主部の修飾部として使用される場合は連体修飾(主に名詞を修飾)、述部の修飾部の場合は連用修飾(主に動詞を修飾)である。
修飾部Aは、主語の場合の助詞は「の」、目的語では「に」、述語では「が」が登録されている。語尾の活用は登録されていない。修飾部Aは、主に部位を表す語句であるので、助詞「に」をつけて「○○に」とした場合は述部の修飾部となるが、ここでは主部の修飾部として扱う。また、助詞「が」をつけて「○○が」とすると主部の本体部となるが、ここでは述部の修飾部として扱う。修飾部B、Cには、主部の修飾部の場合(連体修飾)の語尾の活用「の」、述部の修飾部の場合(連用修飾)の「に」が登録されている。語尾の活用は登録されていない。なお、修飾部Cの語尾の活用の連用修飾「に」は、語句の性格からいって実際は所見文の作成には用いないが、修飾部Cの語句を連用修飾で使う場合を考えて一応登録してある。
修飾部Dは、主部の修飾部(連体修飾)の場合の語尾の活用に「な」、述部の修飾部(連用修飾)の場合の「に」が登録されている。語尾の活用は登録されていない。
本例では助詞、語尾の活用が同じタイプ別に語句を分類したが、助詞等をより細かく設定するため、タイプに分類せずに語句毎に助詞、語尾の活用を登録してもよい。但し、タイプで分類したほうが同じ助詞や語尾の活用を何個も登録する必要がないため、文法辞書85のボリュームを減らすことができる。
第二所見文作成用定義63は、本体部B、Cの「辺縁」、「表面」、「実質」の目的語の欄(助詞「を」)、本体部Aの「腫大」、「萎縮」の述語の欄(語尾の活用「し、」「しています」。)、本体部Dの「もちます」の欄(語尾の活用「もち、」、「もちます。」)、修飾部Bの「軽度」等の連用修飾の欄(助詞「に」)、修飾部Cの「鋭」等の連体修飾の欄(助詞「の」)、修飾部Dの連体修飾の欄(助詞「な」)をそれぞれ採用して編集部42により作成される。
このように、文法辞書85を用いてあらゆる並び順のパターンの所見文作成用定義を自動的に作成することができるので、所見文作成用定義を考え得る並び順のパターン別に複数事前に用意する必要がなく、その分の手間を省く事ができる。
なお、用語選択ボタン53の入力語句の語順変更だけでなく、用語選択ボタン53の表示順も同様に変更してよい。この場合、編集処理部42からコンソール制御部40に評価基準データを受け渡し、コンソール制御部40により評価基準データに従って用語選択ボタン53の表示順を変更させる。評価基準が第一実施形態の選択回数であった場合は、選択回数が多い順に用語選択ボタン53を図3の左側から並べる。第二実施形態の選択回数(診断名)であった場合は、入力ボックス56に診断名が入力されたら、その診断名に対応する用語選択ボタン53の選択回数を読み出し、用語選択ボタン53を選択回数が多い順に並べ替える。第三実施形態の重要度の場合は重要度が高い順に並べる。こうすれば、観察項目の表示と近い位置に最も選択される確率が高い用語選択ボタン53が配置されるため、用語選択ボタン53の選択入力をスムーズに行わせることができる。
なお、観察項目としては、上記実施形態で例示した用語選択ボタン53が割り当てられたものに限らず、キーボードからの入力を受け付けるものであってもよい。例えば、所見項目「腫瘤性病変」の観察項目として、腫瘤性病変の「部位」、「大きさ」、「個数」、「境界」、「辺縁」、「濃度」を用意する。観察項目「部位」には、「右葉」、「左葉」、「S1」〜「S8」等の腫瘤性病変の場所を示す語句、「大きさ」、「個数」には、「15」、「10」、「3」等の数値が、キーボード操作により入力可能である。「部位−右葉」、「大きさ−長径15mm、短径10mm」、「個数−3個」がそれぞれ入力され、「境界−明瞭」、「辺縁−不整」、「濃度−高濃度」が選択された場合、所見文は、例えば「肝右葉に大きさ15×10mmの、境界明瞭、辺縁不整、高濃度の腫瘤性病変を3個認めます。」となる。この場合、所見文作成用定義は、キーボード入力される箇所を空欄として登録する。
上記例文では、所見項目「腫瘤性病変」が主部の本体部をなし、その文要素は目的語である。このように、上記実施形態の観察項目に限らず、所見項目も所見文の主部の本体部となり得る。
なお、語順変更可能な語句、および語順変更後の語句を所見文入力領域46内で色分けして表示したり吹き出し等で報せてもよい。
また、観察項目同士には、同時に起こり得る確率が低く、もし同時に起こった場合は特異な例として所見文中で目立たせたいものがある。そこで、こうした相互に関連する観察項目同士の節を繋げる場合は、通常の語尾の活用を採用せずに専用の語尾を採用することが好ましい。
これを実現するため、特異な例となる語句の組み合わせを所見文作成用定義に予め登録しておく。そして、その語句の使用形式がいずれも「肯定」、すなわち特異な例となる語句で表される観察項目が同時に起こった場合に、前の節に使用されている語句の語尾を「ですが」、「していますが」、「認めますが」等の強調表現にする。各観察項目の節の使用形式の組み合わせが「肯定」−「否定」、「否定」−「否定」、「否定」−「肯定」の場合は通常の語尾の活用を採用する。
所見文の例としては、「肯定」−「肯定」の場合が「○○ですが、××です。」、「肯定」−「否定」の場合は「○○で、××はありません。」、「否定」−「否定」では「○○はなく、××はありません」、「否定」−「肯定」の場合は「○○はなく、××です」となる。つまり、○○の節の通常の肯定形は「で、」であるが、「肯定」−「肯定」の場合には「ですが、」を採用する。依頼医が所見文を閲覧したときに特異な例であることが一目で分かるので、診断に役立てることができる。なお、「肯定」−「肯定」の場合の所見文を太字等にして強調表示してもよい。
レポート作成端末13の起動時のユーザ認証の際等に読影医によって入力される医師IDを用いて、評価基準テーブルを読影医毎に管理してもよい。各読影医に特化した形で所見文を作成することができる。
上記実施形態では、語順変更ボタン57が操作されたときに入力語句の語順を変更しているが、語順変更ボタン57を設けなくともよい。常に上記実施形態の語順変更ボタン57が操作された場合と同じ状態にしておき、評価基準により語順を変更するとされた入力語句が用語選択ボタン53で選択入力されたら、自動的に当該入力語句を節の先頭に配置する。
上記実施形態では、入力デバイスとして、キーボードやマウスを例に説明したが、入力デバイスとしてマイクを用いて、用語選択ボタン53の選択を音声によって受け付けてもよい。
上記実施形態では、検査科12で実施される検査を例示して説明したが、検査種はこれらに限定されるものではなく、PET(Positron Emission Tomography)検査、超音波検査、内視鏡検査等でもよい。また、レポート18として、検査画像17の読影結果をまとめたレポートを例示したが、検査画像以外の検査データに対する所見をまとめたレポートでもよい。検査画像以外の検査データとしては、例えば、病理検査といった検体検査や生理検査等で得られる数値データ、あるいは心電図等の波形図がある。また、異なる検査種の検査データ等、種々のデータに関する所見が記入されるレポートでもよい。
また、検査に関するレポートでなくともよく、患者の診療に関する所見をまとめたレポートであればよい。レポートの作成者についても、読影医に限定されるものではなく、さらに、医師にも限定されない。例えば、リハビリテーションの指導に携わる理学療法士が作成するレポートのように、医師以外が作成するレポートについても、本発明の適用が可能である。さらに、医用レポートの所見文の作成支援に限らず、カルテに記入される文の作成支援でもよい。
上記実施形態では、本発明の医用文書作成支援装置を構成する、レポート作成端末が一台の例で説明したが、レポート作成端末は複数台でもよい。また、レポート作成端末のストレージデバイスに各所見文作成用定義および評価基準テーブルを格納する態様を例示したが、これらの格納先は上記に限らず、DBサーバに格納しておいてもよい。この場合、レポート作成端末のDBアクセス部がDBサーバにアクセスして、語句および評価基準データの検索要求の送信とその検索結果の受信とを行う。
また、上記実施形態のように、クライアント(レポート作成端末)と、サーバ(DBサーバ)とからなるクライアントサーバ型の情報システムの場合には、レポート編集用のクライアントプログラムは、専用のプログラムを使用してもよいし、HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)といった、WWW(World Wide Web)のプロトコルに対応した汎用的なブラウザを使用してもよい。
専用のプログラムを使用する場合には、レポート編集画面は、専用のプログラムで定義された画面データに基づいて生成される。汎用的なブラウザを使用する場合には、例えば、Webサーバにレポート編集画面のデータを格納しておき、クライアントはWebサーバにアクセスして、Webページの形式に加工されたレポート編集画面のデータをダウンロードする。クライアントのブラウザは、受信したWebページのソースコードを解釈してレポート編集画面を生成する。Webサーバは、DBサーバ14が兼用してもよいし、DBサーバとは別のサーバでもよい。汎用的なブラウザを使用する場合には、WebサーバのCPUが、クライアントのCPUと協働して、または単独で、編集処理部、コンソール制御部等を構成する。
また、DBが構築されるデータ格納装置としては、DBサーバ以外でもよく、例えば、NAS(Network Attached Storage)、SAN(Storage Area Network)といったネットワークを介して接続するストレージデバイスを使用してもよい。このように、コンピュータシステムの物理構成は適宜変更が可能である。
上記実施形態では、ネットワークとしてLANを例に説明しているが、診療科と検査科が複数の拠点に分散しているような場合には、ネットワークとしてLANとWAN(Wide Area Network)を組み合わせて使用してもよい。
なお、上記実施形態で示したとおり、本発明は、プログラムの形態、さらにはプログラムを記憶する記憶媒体にもおよぶことはもちろんである。