JP2012071313A - カム装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本来の強制復元機能を保持しつつ、カムスライダの動作の異常を検知しうる強制復元機構を得ることを目的とする。
【解決手段】本発明は、下型2と上型3とを備えたプレス型1に設けられたカム装置5であって、上型3の下降に伴って加工前位置から加工位置まで変位するカムスライダ10と、カムスライダ10を加工前位置に付勢する付勢部材15と、カムスライダ10を加工位置から加工前位置に復元させる強制復元機構12と、を備え、強制復元機構12は、強制復元部37と、強制復元部37に係脱可能に連結された異常発生検知部38と、異常発生検知部38と当接するマイクロスイッチ40と、強制復元部37及び異常発生検知部38と係合可能に設けられた係合部41と、を備えていることを特徴とする。
【選択図】図2
【解決手段】本発明は、下型2と上型3とを備えたプレス型1に設けられたカム装置5であって、上型3の下降に伴って加工前位置から加工位置まで変位するカムスライダ10と、カムスライダ10を加工前位置に付勢する付勢部材15と、カムスライダ10を加工位置から加工前位置に復元させる強制復元機構12と、を備え、強制復元機構12は、強制復元部37と、強制復元部37に係脱可能に連結された異常発生検知部38と、異常発生検知部38と当接するマイクロスイッチ40と、強制復元部37及び異常発生検知部38と係合可能に設けられた係合部41と、を備えていることを特徴とする。
【選択図】図2
Description
本発明は、プレス型の所定位置に固定されて成形品に対して加工処理を行うカム装置に関する。
従来、下型とこの下型に対して上下動可能な上型とを備えたプレス型を用いて、例えば板金等の成形品を製造する際、この成形品の側面に対して加工処理を行うために、カム装置が用いられている。このようなプレス型に用いられるカム装置として、上型に固定されて上下動可能な取付ベースと、この取付ベースの下降に伴って取付ベースに押圧され、成形品の加工の準備をする位置(以下、「加工前位置」と称す。)から成形品の加工を行う位置(以下、「加工位置」と称す。)まで成形品の加工方向に沿って変位するカムスライダと、カムスライダを摺動可能に支持して下型に固定されるカムドライバと、カムスライダを加工前位置に付勢する弾性部材と、を備えたものが知られている(特許文献1参照)。
このような構成のカム装置には、カムスライダを加工前位置に復元させる目的で、又は、カムスライダの保持・摺動に問題が生じた場合であっても、カム装置またはプレス型を破損させない位置までカムスライダを復元させる目的で、設計製作品・市販完成品を問わず強制復元機構が取り付けられる。
この強制復元機構は、例えば、カムスライダに設けられた強制復元部と、カムドライバに設けられた係合部とで構成され、カムスライダが加工前位置にある時には強制復元部と係合部が係合せず、カムスライダが加工方向に前進すると、両者が係合し始める。加工後、上型が上昇し始め、弾性部材の付勢力によってカムスライダが正常に加工前位置に復元すれば、強制復元部と係合部は互いに接触することなく係合しない位置関係に戻り、カムドライバとカムスライダは離れる。一方、カムスライダの動作に問題があり、カムスライダがスムーズに加工前位置に復元しない場合は、強制復元部が係合部に接触することで復元力を生じさせ、強制的にカムスライダを加工前位置に復元させる。
しかしながら、上記のような構成では、カムスライダの動作に問題が生じているにも関わらず、強制復元機構が機能することによりカム装置は正常に動作するため、逆に問題を発見しにくくなる。また、型の設計ミスにより弾性部材の付勢力が不足していても、強制復元機構によりカム装置が正常に動作するため、上記した型の設計ミスに気付かない可能性もある。そして、強制復元機構は本来量産での継続使用を前提に設計されてはいないため、いずれは機能しなくなり、その際は、より甚大な破損に至ることがある。
そこで、本発明は上記の事情を考慮し、本来の強制復元機能を保持しつつ、カムスライダの動作の異常を検知しうる強制復元機構を得ることを目的とする。
本発明は、上記した目的を達成するため、所定位置に固定された下型と該下型に対して上下動可能な上型とを備えたプレス型に設けられて、成形品に対して加工処理を行うカム装置であって、前記上型の下降に伴って前記成形品への加工前位置から加工位置まで前記成形品の加工方向に沿って変位するカムスライダと、該カムスライダを前記加工前位置に付勢する付勢部材と、前記カムスライダを前記加工位置から前記加工前位置に復元させる強制復元機構と、を備え、該強制復元機構は、前記上型の上下動に対応して上下動する強制復元部と、該強制復元部に係脱可能に連結された異常発生検知部と、該異常発生検知部と当接して設けられたマイクロスイッチと、前記強制復元部及び前記異常発生検知部と係合可能に設けられた係合部と、を備え、前記上型の上昇に伴って前記カムスライダが前記加工位置から前記加工前位置まで復元する正常作動状態においては、前記強制復元部及び前記異常発生検知部が前記係合部と接触せずに上昇して前記強制復元部に対する前記異常発生検知部の連結姿勢が一定に保持され、前記上型が上昇しても前記カムスライダが前記加工位置から前記加工前位置まで復元しない異常作動状態においては、前記強制復元部及び前記異常発生検知部が上昇して前記係合部と当接し、この当接によって生じる復元力により前記カムスライダを前記加工位置から前記加工前位置へと強制的に復元させるとともに、前記強制復元部と前記係合部との当接状態が解除された後においても前記異常発生検知部と前記係合部の当接状態を継続させることにより前記異常発生検知部に分離力を生じさせ、この分離力により生じる前記異常発生検知部の変位又は脱落を前記マイクロスイッチが検知し、電気信号化することを特徴とする。
このような構成を採用することにより、本来の強制復元機能を保持しつつ、カムスライダの動作の異常を検知しうる強制復元機構を得ることが可能となる。また、異常発生検知部とマイクロスイッチを組み合わせることで、カム装置の異常を電気信号化することができる。
また、前記マイクロスイッチを前記プレス型の非常停止回路と接続し、前記異常作動状態において、前記マイクロスイッチからの電気信号により前記非常停止回路が作動し、前記上型の上下動を非常停止させるものであっても良い。
このような構成を採用することにより、異常発生時に必然的に上型の上下動が停止されるため、異常発生状態においてプレス型の運転が継続されてカム装置やプレス型の破損に繋がるのを一層効果的に防止することができる。
また、前記マイクロスイッチを異常表示灯と接続し、前記異常作動状態において、前記マイクロスイッチからの電気信号により前記異常表示灯を点灯させるものであっても良い。
このような構成を採用することにより、プレス型の操作者は、一層確実に異常作動状態の発生を視認することが可能となる。
本発明のカム装置によれば、本来の強制復元機能を保持しつつ、カムスライダの動作の異常を検知しうる強制復元機構を得ることが可能となる。また、異常発生検知部とマイクロスイッチを組み合わせることで、カム装置の異常を電気信号化することができる。
<第1の実施形態>
まず、図1〜図11を用いて、本発明の第1の実施形態に係るカム装置5を備えたプレス型1について説明する。以下、図1、図2における右側を前側とした場合について説明する。
まず、図1〜図11を用いて、本発明の第1の実施形態に係るカム装置5を備えたプレス型1について説明する。以下、図1、図2における右側を前側とした場合について説明する。
プレス型1は、板金成形用であって、図1に最も良く示されるように、所定の位置に固定された下型2と、この下型2の上方に設けられた上型3と、下型2と上型3の間の空間内において成形品4の後方に配置されたカム装置5と、を備えている。
上型3は、昇降シリンダ等の昇降手段(図示せず)と接続されており、下型2に対して上下動可能となっている。上型3の下面の後部には取付座6が設けられ、下型2の上面の後部には取付座7が設けられている。
本実施形態のカム装置5は、いわゆる上吊りカムであって、図2に最も良く示されるように、上型3の取付座6の下面に上面が固定されるホルダ8と、ホルダ8の下端に保持されるカムスライダ10と、カムスライダ10の下方に配置されて下型2の取付座7の上面に下面が固定されるカムドライバ11と、カムスライダ10とカムドライバ11に設けられる強制復元機構12と、を主体として構成されている。
ホルダ8の下端には、上前方に傾斜するカムスライダ10との摺動面13が形成され、この摺動面13の前端部には、前下方に向かって突片14が設けられている。突片14の後面には、付勢部材としてのコイルスプリング15の前端部がバネ受け(図示せず)を介して摺動面13と平行に固定されている。摺動面13には、その左右方向両端部から下方に向けて両端板16が突設されており、各両端板16の下端部には、内側に向かって嵌合突起17が設けられている(図3参照)。両端板16の後面には、係止片18が取り付けられている。
カムスライダ10は、上前方に傾斜する姿勢で設けられており、カムスライダ10の前面には、支持台20を介して工具21が固定されている。カムスライダ10の後上部には、ホルダ8の摺動面13と平行な傾斜面22が設けられており、この傾斜面22の前部から後端部には、突当部23が後上方に向かって突設されている。突当部23の下端両側には、嵌合溝24が内側に向かって凹設されており、この嵌合溝24にホルダ8の嵌合突起17を嵌合させることで、ホルダ8の下端にカムスライダ10がスライド可能に保持されている(図3参照)。
突当部23の前部には、上端部から下部にかけて断面L字状の切欠部25が設けられており、カムスライダ10とホルダ8とを連結した状態で、切欠部25にコイルスプリング15の後端部が接触している。また、突当部23の後面は、ホルダ8の係止片18に当接しており、これにより、カムスライダ10のホルダ8からの脱落が防止されている。
カムスライダ10の右側面には、取り付け溝26が凹設されている。図4に最も良く示されるように、この取り付け溝26は、前下方に傾斜して設けられた下側部分27と、この下側部分27の前端部から前上方に略垂直に屈曲されて傾斜面22まで設けられた上側部分28とを備え、側面視略L字状を成している。
下側部分27の下面30の外側部には、連通溝31がカムスライダ10の底面まで設けられており、下側部分27の下面30は平面視コ字状を成している。下側部分27の側面の中央には固定ねじ穴32が水平方向に設けられ、下側部分27の後部上端には、傾斜面22まで連通開口33が設けられている。上側部分28の後上部と前下部には、それぞれ接続穴34が水平方向に設けられている。図5に示されるように、カムスライダ10の底面の幅方向中央には、上方に向かって縮径するガイド面35が凹設されている。
カムドライバ11の上面には、上方に向かって縮径するスライド面36が、前方に向かって僅かに下方に傾斜するように設けられており、このスライド面36にカムスライダ10のガイド面35を当接させることにより、カムスライダ10がカムドライバ11に摺動可能に支持されるように構成されている。
強制復元機構12は、ガイド面35に垂直な姿勢でカムスライダ10に固定される強制復元部37と、この強制復元部37の前側に連結される異常発生検知部38と、この異常発生検知部38の前面に当接して取り付け溝26の上側部分28に固定されるマイクロスイッチ40と、カムドライバ11に設けられた係合部としての係合突起41と、を備えている。
図4に最も良く示されるように、強制復元部37の内面には、中央部上方から下部にかけて、側面視で縦長な長方形状の一方摺接溝42が設けられており、この一方摺接溝42の上方には、取り付け溝26の固定ねじ穴32と対応する位置に、強制復元部37の外面から内面まで取付ねじ穴43が水平方向に穿設されている。そして、取り付け溝26の下面30に一方摺接溝42の上端面44を当接させた状態で、固定ねじ穴32及び取付ねじ穴43に固定ボルト45を貫挿させることで、取り付け溝26の下側部分27に対して強制復元部37が固定されるようになっている。
強制復元部37の取付ねじ穴43の後上方には、上前方に傾斜する上方傾斜面46が設けられている。強制復元部37の前面の外側部分には上端から下端まで突条47が設けられ、この突条47の上部には連結凹部48が設けられている。
異常発生検知部38の後面の外側部分には、強制復元部37の突条47と対応する位置に、凹溝50が上端から下端まで設けられ、この凹溝50の上部には、突条47の連結凹部48と対応する位置に、連結突起51が突設されている。そして、突条47と凹溝50の位置を合わせた状態で、連結突起51を連結凹部48に嵌合させることにより、強制復元部37に対して異常発生検知部38が係脱可能に連結されるようになっている。
異常発生検知部38の内面には、上部から下部にかけて、側面視で縦長な長方形状の他方摺接溝55が設けられている。他方摺接溝55の下端面56は、一方摺接溝42の下端面57と略同一高さに設定され、他方摺接溝55の上端面58は、一方摺接溝42の上端面44よりも高い位置に設定されている。そのため、強制復元部37に対して異常発生検知部38を係合させると、一方摺接溝42の下端面57と他方摺接溝55の下端面56は同一平面状を成し、一方摺接溝42の上端面44と他方摺接溝55の上端面58は段差状を成すようになっている。
マイクロスイッチ40は、略直方体形状のスイッチ本体60と、スイッチ本体60の後面の上下方向中央部に上端部が固定された支持片61と、この支持片61の下端に揺動可能に軸支されて異常発生検知部38の前面52に当接するローラ62と、を備えている。
スイッチ本体60の後上隅及び前下隅には、取り付け溝26の上側部分28に設けられた接続穴34と対応する位置に、貫通穴63が水平方向に穿設されている。そして、接続穴34と貫通穴63の位置を合わせた状態で、接続穴34及び貫通穴63に接続ボルト(図示せず)を貫挿することにより、マイクロスイッチ40が取り付け溝26の上側部分28に固定されるようになっている。
図6に示されるように、マイクロスイッチ40は、プレス型1の非常停止回路64が組み込まれた制御部65と接続されている。制御部65には、プレス型1の運転状況等を表示する表示部66と、プレス型1を操作するための操作部67と、電源部68と、上型3を上下動させるプレス機等の昇降手段70と、が接続されている。
図2に示されるように、係合突起41は、カムドライバ11の右側面の前部から中央部後方に亘って、スライド面36と略平行に設けられている。また、後述の如く強制復元部37及び異常発生検知部38を係合突起41に係合させた際に、係合突起41の下面71が、一方摺接溝42の下端面57及び他方摺接溝55の下端面56と、所定のクリアランスαを介して対向するように、係合突起41の設定位置が調整されている(図8(c)参照)。なお、上記クリアランスαの大きさは、カム形式等により異なる。
上述の如く構成されたカム装置5を用いて、成形品4に穿孔等の加工処理を行う方法について、図7を用いて、以下に説明する。
図7(a)は、加工処理開始前の段階において、上型3が最上点に配置された状態を示している。この状態から、昇降手段70により上型3を下降させると、図7(b)に示されるように、カムスライダ10のガイド面35がカムドライバ11のスライド面36に当接し、カムスライダ10がカムドライバ11に摺動可能に支持される。なお、この状態では、カムスライダ10は加工前位置に配置されている。
更に、上型3を最下点まで下降させると、ホルダ8がカムスライダ10を傾斜面22に沿って押圧する。この押圧により、図7(c)に示されるように、カムスライダ10が、コイルスプリング15を収縮させながら成形品4への加工前位置から加工位置まで成形品4の加工方向に沿って前進する。このカムスライダ10の前進に伴って、カムスライダ10の前面に取り付けられた工具21の先端が成形品4に当接し、成形品4に対して加工処理が行われる。
次に、上記したカムスライダ10の前進に伴う強制復元部37及び異常発生検知部38と係合突起41との位置関係の変化について、図8を用いて説明する。
カムスライダ10が加工前位置に配置されている際には、図8(a)に示されるように、強制復元部37及び異常発生検知部38が係合突起41の後方に配置されており、係合突起41と係合していない。そして、カムスライダ10が加工方向に前進していくと、図8(b)に示されるように、まず異常発生検知部38が係合突起41と係合する。更に、カムスライダ10が前進して加工位置に配置されると、図8(c)に示されるように、異常発生検知部38だけでなく強制復元部37も、係合突起41と係合する。なお、この係合過程において、係合突起41の下面71は、強制復元部37の一方摺接溝42の下端面57及び異常発生検知部38の他方摺接溝55の下端面56と所定のクリアランスαを保持したまま変位し、一方摺接溝42の下端面57及び他方摺接溝55の下端面56と接触しない。
上述のように成形品4への加工処理が完了したら、上型3を最下点から最上点まで上昇させるとともにカムスライダ10を加工位置から加工前位置まで復元させて、次の加工処理作業に備える。この復元動作について説明する前に、上型3が最下点から上昇を開始する際に、カムスライダ10に作用する力について、図9を用いて説明する。
上記したカムスライダ10の前進により、コイルスプリング15が収縮し、カムスライダ10を加工前位置に向かって付勢する。換言すれば、カムスライダ10に対して、カムスライダ10のホルダ8に対するスライド方向Xに沿って、コイルスプリング15の弾性力<1>が働く。また、このコイルスプリング15の弾性力<1>と正反対の方向に、ホルダ8とカムスライダ10の間の静止摩擦力<2>が働く。この<1>と<2>の合力を<3>とすると、この合力<3>は、成形品4に対する加工方向Yと水平な分力<4>と、加工方向Yと垂直な分力<5>に分解される。
一方で、工具21と成形品4との間、カムスライダ10とカムドライバ11の間にはそれぞれ、静止摩擦力<2>とは別の静止摩擦力が生じている。上記した工具21と成型品4との間の静止摩擦力及びカムスライダ10とカムドライバ11との間の静止摩擦力の合力を、静止摩擦力<6>とする。この静止摩擦力<6>よりも分力<4>が大きい状態を通常作動状態とし、静止摩擦力<6>よりも分力<4>が小さい状態を異常作動状態とする。この異常作動状態は、例えば、静止摩擦力<6>の見積もりにミスがあり、静止摩擦力<6>の実際の大きさが設計上の大きさよりも大きい場合、何らかのトラブルにより静止摩擦力<6>や静止摩擦力<2>が上昇した場合、又は、何らかのトラブルによりコイルスプリング15の弾性力<1>が低下した場合等に発生する。
まず、上記した正常作動状態におけるカムスライダ10の復元動作について、図7、図8を用いて説明する。
図7(c)に示されるように上型3が最下点に配置された状態から、昇降手段70により上型3を上昇させる。その際、正常作動状態においては、コイルスプリング15の付勢力によって生じる分力<4>が静止摩擦力<6>よりも大きいから、カムスライダ10は分力<4>の方向に付勢されている。そのため、上型3の上昇に伴ってカムスライダ10が後退し、図7(b)に示されるように、加工前位置まで復元する。
このカムスライダ10の後退に伴い、図8(c)に示す如く係合突起41と係合していた強制復元部37及び異常発生検知部38が、図8(b)に示す如く係合突起41に対して後退していき、図8(a)に示す如く強制復元部37及び異常発生検知部38と係合突起41との係合が解除される。その際、カムスライダ10は、前記した分力<5>によってカムドライバ11側に押し付けられながら後退するため、強制復元部37及び異常発生検知部38は、前述した前進時と同様に、係合突起41との間のクリアランスαを保ちつつ後退する。従って、強制復元部37及び異常発生検知部38が係合突起41と接触せずに上昇するため、強制復元部37に対する異常発生検知部38の連結姿勢は一定に保持される。
このように強制復元部37及び異常発生検知部38と係合突起41との係合が解除された状態で、更に上型3を上昇させると、上型3に連結されたホルダ8及びカムスライダ10がカムドライバ11と分離され、図7(a)に示されるように、加工処理開始前の状態に復元する。
次に、異常作動状態におけるカムスライダ10の復元動作について、主に図10を用いて説明する。
前述の如く、上型3が最下点に配置された状態では、強制復元部37及び異常発生検知部38と係合突起41との間には、クリアランスαが形成されている(図8(c)参照)。この状態から、昇降手段70により上型3を上昇させる。その際、異常作動状態においては、コイルスプリング15の弾性力によって生じる分力<4>が静止摩擦力<6>よりも小さいから、上型3を上昇させても、カムスライダ10は加工位置から加工前位置まで復元せず、加工位置に止まる。そのため、カムスライダ10に固定された強制復元部37及び異常発生検知部38も後退せず、係合突起41との係合状態を維持したまま係合突起41に対して上昇する。これにより、強制復元部37及び異常発生検知部38と係合突起41との間のクリアランスαが減少していき、図10(a)に示されるように、強制復元部37の一方摺接溝42の下端面57及び異常発生検知部38の他方摺接溝55の下端面56が、係合突起41の下面71と当接する。
更に上型3を上昇させると、強制復元部37及び異常発生検知部38が係合突起41を上方に押圧し、この押圧力に対する抗力Fが生じる。この抗力Fは、カムスライダ10のホルダ8に対するスライド方向に水平な分力F1と上記スライド方向に垂直な分力F2に分解される。上記分力F1がホルダ8とカムスライダ10の当接面に伝達され、カムスライダ10をホルダ8に対するスライド方向に沿って復元させる力(以下、単に「復元力」という。)が生じる。
この復元力によってカムスライダ10が後退し始めると、前記した静止摩擦力<6>は動摩擦力に移行するため、摩擦抵抗が小さくなる。以下、静止摩擦力<6>から移行した動摩擦力よりも前記した合力<4>が小さい場合を重度の異常作動状態とし、大きい場合を軽度の異常作動状態とする。
まず、重度の異常作動状態について説明する。重度の異常作動状態においては、強制復元部37及び異常発生検知部38と係合突起41との当接状態は解除されず、図10(b)に示されるように、強制復元部37及び異常発生検知部38が係合突起41と摺接しながら徐々に後退していき、図10(c)に示されるように、異常発生検知部38のみが係合突起41と接触する位置まで、強制復元部37及び異常発生検知部38が後退する。その間、前記した復元力が継続的に発生するため、カムスライダ10が、加工位置から加工前位置まで強制的に後退させられる。なお、この場合の「加工前位置」には、完全に加工前と同一の位置だけでなく、カム装置5及びプレス型1を破損させない程度に、カムスライダ10が後退した位置が含まれる。
また、この重度の異常作動状態においては、以下のようにして、異常の発生が顕示される。
強制復元部37と異常発生検知部38が後退を開始した直後は、図10(b)に示されるように、強制復元部37と異常発生検知部38の両方が係合突起41と当接している。この間、抗力Fは主に強制復元部37にかかっている。
一方で、強制復元部37及び異常発生検知部38が係合突起41に対して更に後退していくと、図10(c)に示す如く、強制復元部37と係合突起41との当接状態が解除され、異常発生検知部38のみが係合突起41との接触状態を継続する。この状態においては、強制復元部37と係合突起41の間にはもはや抗力Fが生じていないのに対して、異常発生検知部38には継続的に抗力Fが生じている。そのため、異常発生検知部38を引き下げる方向に分離力が生じる。
この分離力により、強制復元部37の連結凹部48と異常発生検知部38の連結突起51との係合が連結突起51の変形・破損などで解除されて異常発生検知部38が強制復元部37から分離し、異常発生検知部38が下方に落下する。この異常発生検知部38の落下を、異常発生検知部38に当接して設けられたマイクロスイッチ40が感知し、制御部65に対して電気信号を送る(図6参照)。この電気信号により、制御部65に組み込まれた非常停止回路64が作動し、上型3を上下動させていた昇降手段70を非常停止させる。
本実施形態ではこのように、本来の強制復元機能を備えた強制復元部37と分離可能で、異常発生の有無を検知する機能に特化した異常発生検知部38を、強制復元機構12に設けている。そのため、異常発生の有無を機械的に増幅して顕示することが可能となる。
また、強制復元部37によりカムスライダ10の強制的な復元動作を行うことができ、加工位置から加工前位置に復元されないままカムスライダ10が持ち上げられることに起因するカム装置4やプレス型1の破損を抑制することができる。このように、本来の強制復元機能を損なわないまま、異常検知の機能を強制復元機構12に付与することが可能となる。
また、異常発生検知部38とマイクロスイッチ40を組み合わせることで、カム装置5の異常を電気信号化することができる。更に、本実施形態では、マイクロスイッチ40を非常停止回路64と接続しており、重度の異常作動状態の発生時には、必然的に上型3の上下動を停止させるようになっている。そのため、重度の異常作動状態においてプレス型1の運転が継続されてカム装置4やプレス型1の破損に繋がるのを一層効果的に防止することができる。
次に、上記した軽度の異常作動状態について説明する。この軽度の異常作動状態においては、強制復元部37及び異常発生検知部38と係合突起41との接触状態(図10(a)参照)は一瞬で解消され、クリアランスαが再び生じる。そのため、重度の異常作動状態のような異常発生検知部38のみが係合突起41と当接する状態(図10(c)参照)は発生せず、上記した分離力も生じない。従って、強制復元部37に対する異常発生検知部38の連結姿勢は一定に保たれ、マイクロスイッチ40が作動することもない。本実施形態ではこのように、軽度の異常作動状態では異常発生検知部38が脱落せず、重度の異常作動状態が生じた場合にのみ異常発生検知部38が脱落してマイクロスイッチ40を作動させ、上型3の上下動を停止させる構成となっている。
また、本実施形態では図4に示されるように、強制復元部37と異常発生検知部38の連結について、強制復元部37の前面の外側部分に設けた突条47と、異常発生検知部38の後面の外側部分に設けた凹溝50を密接させるとともに、突条47に設けられた連結凹部48と凹溝50に設けられた連結突起51を嵌合させている。このような構成を採用することにより、分離力以外の力では、強制復元部37と異常発生検知部38とが外れにくくなる。そのため、強制復元部37及び異常発生検知部38が係合突起41と当接しない正常作動状態において、強制復元部37と異常発生検知部38との連結状態が外れてしまう不具合を抑制することが可能となる。
なお、本実施形態では図11(a)、図11(b)に示されるように、強制復元部37の前面の外側部分に設けた突条47と、異常発生検知部38の後面の外側部分に設けた凹溝50を密接させているが、他の異なる実施形態においては、図11(c)に示されるように、強制復元部37の前面に内向きテーパ面72を設け、異常発生検知部38の後面に外向きテーパ面73を設け、内向きテーパ面72と外向きテーパ面73を接合する構成としても良い。また、他の異なる実施形態では、図11(d)に示されるように、カムスライダ10の側面にワッシャー74を介して固定されたボルト75を異常発生検知部38の前面に当接させる構成としても良い。
また、本実施形態では、カムスライダ10に強制復元部37、異常発生検知部38及びマイクロスイッチ40を設けるとともにカムドライバ11に係合突起41を設ける場合について説明したが、他の異なる実施形態では、カムスライダ10に係合突起41を設けるとともにカムドライバ11に強制復元部37、異常発生検知部38及びマイクロスイッチ40を設けることも可能である。
<第2の実施形態>
次に、図12〜図17を用いて、本発明の第2の実施形態に係るカム装置5を備えたプレス型1について説明する。以下、図12における右側を前側とした場合について説明する。
次に、図12〜図17を用いて、本発明の第2の実施形態に係るカム装置5を備えたプレス型1について説明する。以下、図12における右側を前側とした場合について説明する。
プレス型1は、所定の位置に固定された下型2と、この下型2の上方に設けられた上型3と、下型2と上型3の間の空間内において成形品4の後方に配置されたカム装置5と、を備えている。下型2及び上型3の構成については、第1の実施形態と同様であるため、記載を省略する。
第2の実施形態のカム装置5は、いわゆる下置きカムであって、下型2の取付座7の上面に下面が固定されるホルダ8と、ホルダ8に摺動可能に支持されるカムスライダ10と、カムスライダ10と分離可能に設けられて上型3の取付座6の下面に上面が固定されるカムドライバ11と、カムスライダ10とカムドライバ11の間に設けられた強制復元機構12と、を主体として構成されている。
ホルダ8の上端には、上面が開口されるとともに後上方に向かって傾斜する摺接面86が下面に設けられた断面コ字状の挿入溝81が設けられている。そして、この挿入溝81にカムスライダ10を挿入し、カムスライダ10の下面を摺接面86に当接させることにより、カムスライダ10がホルダ8にスライド可能に支持されている。挿入溝81の前部壁82には、バネ受け(図示せず)を介して、コイルスプリング15の前端部が摺接面86と平行に固定されている。
カムスライダ10は、上前方に僅かに傾斜する姿勢で設けられている。カムスライダ10の後上部には、被押圧面77が設けられている。カムスライダ10の前面の上部には、前方に向かって突出する固定部78が設けられ、この固定部78に、支持台20を介して工具21が固定されている。カムスライダ10の前面の下部には、後上方に向かって装着穴80が凹設されている。装着穴80の後面83には、コイルスプリング15の後端部が接触している。
カムドライバ11の下端には、カムスライダ10の被押圧面77と平行に押圧面76が形成されている。カムドライバ11の右側面には、取り付け溝26が凹設されている。この取り付け溝26は、後下方に傾斜して設けられた下側部分27と、この下側部分27の後端部から後上方に略垂直に屈曲されて設けられた上側部分28とを備え、側面視で略L字状を成している。下側部分27の下面には、側面視で長方形状の連通溝31が、前下方に向かって押圧面76まで凹設されている。
強制復元機構12は、カムドライバ11に固定されて上型3の上下動に対応して上下動する強制復元部37と、この強制復元部37の後側に連結される異常発生検知部38と、この異常発生検知部38の後面に当接して取り付け溝26の上側部分28に固定されるマイクロスイッチ40と、カムスライダ10に設けられた係合部としての係合溝84と、を備えている。
図13に示されるように、マイクロスイッチ40は、制御部65と接続されている。制御部65には、プレス型1の運転状態等を表示する表示部66と、プレス型1を操作するための操作部67と、電源部68と、上型3を上下動させる昇降手段70と、異常表示灯87と、が接続されている。
係合溝84は、カムスライダ10の前部の上端から中央部上方に亘って、被押圧面77と平行に凹設されている。取り付け溝26の下側部分27への強制復元部37の固定方法及び強制復元部37への異常発生検知部38の連結方法、取り付け溝26の上側部分28へのマイクロスイッチ40の固定方法については、第1の実施形態と同様であるため、記載を省略する。
上述の如く構成されたカム装置5を用いて、成形品4に穿孔等の加工処理を行う方法について、図14を用いて、以下に説明する。
図14(a)は、加工処理開始前の段階において、上型3が最上点に配置された状態を示している。この状態から、昇降手段70により上型3を下降させると、図14(b)に示されるように、カムドライバ11の押圧面76がカムスライダ10の被押圧面77に当接する。なお、この状態では、カムスライダ10は加工前位置に配置されている。
更に、上型3を最下点まで下降させると、カムドライバ11の押圧面76がカムスライダ10の被押圧面77を下方に押圧する。この押圧により、図14(c)に示されるように、カムスライダ10が、コイルスプリング15を収縮させながら、加工前位置から加工位置まで成形品4の加工方向に沿って前進する。このカムスライダ10の前進に伴って、カムスライダ10に取り付けられた工具21の先端が成形品4に当接し、成形品4に対して加工処理が行われる。
次に、上記したカムスライダ10の前進に伴う強制復元部37及び異常発生検知部38と係合溝84との位置関係の変化について、図15を用いて説明する。
カムスライダ10が加工前位置に配置されている際には、図15(a)に示されるように、係合溝84が強制復元部37及び異常発生検知部38の後方に配置されており、強制復元部37及び異常発生検知部38に係合していない。そして、カムスライダ10が加工方向に前進していくと、図15(b)に示されるように、まず係合溝84が異常発生検知部38と係合する。更に、カムスライダ10が前進して加工位置に配置されると、図15(c)に示されるように、係合溝84が強制復元部37及び異常発生検知部38に係合する。なお、この係合過程において、係合溝84の上面85は、強制復元部37の一方摺接溝42の下端面57及び異常発生検知部38の他方摺接溝55の下端面56との間に所定のクリアランスαを保持しつつ前進するため、強制復元部37及び異常発生検知部38と係合溝84とは接触しない。
上述のように成形品4への加工処理が完了したら、上型3を最下点から最上点まで上昇させるとともにカムスライダ10を加工位置から加工前位置まで復元させて、次の加工処理作業に備える。この復元動作について説明する前に、上型3が最下点から上昇を開始する際に、カムスライダ10に作用する力について、図16を用いて説明する。
上記したカムスライダ10の前進により、コイルスプリング15が収縮し、カムスライダ10を加工前位置に向かって付勢する。換言すれば、ホルダ8に対するカムスライダ10の摺動方向と平行な方向Xに、コイルスプリング15の弾性力<1>が働く。また、このコイルスプリング15の弾性力と正反対の方向に、ホルダ8とカムスライダ10の間の静止摩擦力<2>が働く。この<1>と<2>の合力を<3>とする。そして、工具21と成形品4との間に生じる静止摩擦力<4>よりも合力<3>が大きい状態を通常作動状態とし、静止摩擦力<4>よりも合力<3>が小さい状態を異常作動状態とする。この異常作動状態は、例えば、静止摩擦力<4>の見積もりにミスがあり、静止摩擦力<4>の実際の大きさが設計上の大きさよりも大きくなった場合、何らかのトラブルにより静止摩擦力<2>や静止摩擦力<4>が上昇した場合、又は、何らかのトラブルによりコイルスプリング15による弾性力<1>が低下した場合等に発生する。
まず、上記した正常作動状態におけるカムスライダ10の復元動作について、図14及び図15を用いて説明する。
図14(c)に示されるように上型3が最下点に配置された状態から、昇降手段70により上型3を上昇させる。その際、正常作動状態においては、合力<3>が静止摩擦力<4>よりも大きいため、カムスライダ10は、合力<3>の方向に付勢されている。そのため、上型3の上昇に伴って、カムスライダ10が後退し、図14(b)に示されるように、加工前位置まで復元する。
このカムスライダ10の後退に伴い、図15(c)に示されるように強制復元部37及び異常発生検知部38と係合していた係合溝84が、図15(b)に示されるように強制復元部37及び異常発生検知部38に対して後退していき、図15(a)に示されるように、強制復元部37及び異常発生検知部38と係合溝84との係合が解除される。その際、カムスライダ10が合力<3>によりカムドライバ11に押しつけられるため、係合溝84は、前述した前進時と同様に、強制復元部37及び異常発生検知部38との間のクリアランスαを保ちつつ後退する。従って、係合溝84は強制復元部37及び異常発生検知部38と接触することがなく、強制復元部37に対する異常発生検知部38の連結姿勢は一定に保持される。更に、上型3を上昇させると、図14(a)に示されるように、上型3に連結されたカムドライバ11がカムスライダ10と分離され、加工処理開始前の状態に復元する。
次に、異常作動状態におけるカムスライダ10の復元動作について、主に図17を用いて説明する。
前述の如く、上型3が最下点に配置された状態では、強制復元部37及び異常発生検知部38と係合溝84との間には、クリアランスαが形成されている(図15(c)参照)。この状態から、昇降手段70により上型3を上昇させる。その際、異常作動状態においては、コイルスプリング15の弾性力によって生じる合力<3>が静止摩擦力<4>よりも小さいから、上型3を上昇させても、カムスライダ10は加工位置から加工前位置まで復元せず、加工位置に止まる。従って、カムスライダ10に設けられた係合溝84も後退せず、強制復元部37及び異常発生検知部38との係合状態を維持する。そのため、上型3の上昇に伴って、強制復元部37及び異常発生検知部38が係合溝84に対して上昇する。これにより、係合溝84と強制復元部37及び異常発生検知部38との間のクリアランスαが減少していき、図17(a)に示されるように、強制復元部37の一方摺接溝42の下端面57及び異常発生検知部38の他方摺接溝55の下端面56が係合溝84の上面85と当接する。
更に上型3を上昇させると、強制復元部37の一方摺接溝42の下端面57及び異常発生検知部38の他方摺接溝55の下端面56が、係合溝84の上面85を押圧力Fで押圧する。この押圧力Fは、加工方向Xに水平な分力F1と加工方向に垂直な分力F2に分解される。上記分力F1がカムスライダ10とホルダ8の当接面に伝達され、加工方向に沿って復元力が生じる。
この復元力によってカムスライダ10が後退し始めると、前記した静止摩擦力<4>は動摩擦力に移行するため、摩擦抵抗が小さくなる。以下、静止摩擦力<4>から移行した動摩擦力よりも前記した合力<3>が小さい場合を重度の異常作動状態とし、大きい場合を軽度の異常作動状態とする。
まず、重度の異常作動状態について説明する。重度の異常作動状態においては、係合溝84と強制復元部37及び異常発生検知部38との当接状態は解除されず、図17(b)に示されるように、係合溝84が強制復元部37及び異常発生検知部38と摺接しながら徐々に後退していき、図17(c)に示されるように、異常発生検知部38のみが係合溝84と接触する位置まで、係合溝84が後退する。その間、前記した復元力が継続的に発生するため、カムスライダ10が加工位置から加工前位置まで強制的に後退させられる。なお、この場合の「加工前位置」には、完全に加工前と同一の位置だけでなく、カム装置5及びプレス型1を破損させない程度に、カムスライダ10が後退した位置が含まれる。
また、この重度の異常作動状態においては、以下のようにして、異常の発生が顕示される。
係合溝84が後退を開始した直後は、図17(b)に示されるように、係合溝84が強制復元部37と異常発生検知部38の両方と当接している。この間、抗力Fは主に強制復元部37にかかっている。
一方で、係合溝84が強制復元部37及び異常発生検知部38に対して更に後退していくと、図17(c)に示す如く、強制復元部37と係合溝84との当接状態が解除され、異常発生検知部38のみが係合溝84との接触を継続する。この状態においては、強制復元部37と係合溝84の間にはもはや抗力Fが生じていないのに対して、異常発生検知部38には継続的に抗力Fが生じている。そのため、異常発生検知部38を引き下げるように分離力が生じる。
この分離力により、強制復元部37の連結凹部48と異常発生検知部38の連結突起51との係合が連結突起51の変形・破損などで解除されて、異常発生検知部38が強制復元部37から分離し、異常発生検知部38が下方に脱落する。この異常発生検知部38の脱落を、マイクロスイッチ40が検知し、制御部65に対して電気信号を送る。この電気信号により、制御部65が異常表示灯87を点灯させる。このように異常表示灯87の点灯させることで、プレス型1の操作者は、単に異常発生検知部38を落下させるのみの場合よりも、より確実に異常作動状態の発生を視認することができる。
次に、上記した軽度の異常作動状態について説明する。この軽度の異常作動状態においては、係合溝84と強制復元部37及び異常発生検知部38との接触は一瞬で解消され、クリアランスαが再び生じる。そのため、重度の異常作動状態のような異常発生検知部38のみが係合溝84と当接する状態は発生せず、上記した分離力も生じない。従って、強制復元部37に対する異常発生検知部38の連結姿勢は一定に保たれ、マイクロスイッチ40が作動することもない。この点に関しては、前記第1の実施形態における軽度の異常作動状態と同様である。
なお、前記第1の実施形態及び本実施形態では、異常発生検知部38の脱落をマイクロスイッチ40で検知する構成としたが、他の異なる実施形態では、異常発生検知部38を変位させ、この変位をマイクロスイッチ40で検知することで、異常作動状態の発生を顕示する構成としても良い。なお、異常発生検知部38の変位には、強制復元部37に対する異常発生検知部38の連結姿勢が変化する場合だけでなく、係合部との接触により、異常発生検知部38の形状に、何らかの変形又は破損が生じる場合も含まれる。
また、前記第1の実施形態及び本実施形態では、ユニット化されたカム装置5に対して本発明のカム装置5を適用する場合に付いて説明したが、他の異なる実施形態では、個別に設計製作されるカム装置5に本発明のカム装置5を適用することも可能である。
また、本実施形態では、カムスライダ10に係合溝84を設けるとともにカムドライバ11に強制復元部37、異常発生検知部38及びマイクロスイッチ40を設ける場合について説明したが、他の異なる実施形態では、カムスライダ10に強制復元部37、異常発生検知部38及びマイクロスイッチ40を設けるとともにカムドライバ11に係合溝84を設けることも可能である。
1 プレス型
2 下型
3 上型
4 成形品
5 カム装置
8 ホルダ
10 カムスライダ
11 カムドライバ
12 強制復元機構
15 コイルスプリング(付勢部材)
36 スライド面
37 強制復元部
38 異常発生検知部
40 マイクロスイッチ
41 係合突起(係合部)
64 非常停止回路
84 係合溝(係合部)
87 異常表示灯
2 下型
3 上型
4 成形品
5 カム装置
8 ホルダ
10 カムスライダ
11 カムドライバ
12 強制復元機構
15 コイルスプリング(付勢部材)
36 スライド面
37 強制復元部
38 異常発生検知部
40 マイクロスイッチ
41 係合突起(係合部)
64 非常停止回路
84 係合溝(係合部)
87 異常表示灯
Claims (3)
- 所定位置に固定された下型と該下型に対して上下動可能な上型とを備えたプレス型に設けられて、成形品に対して加工処理を行うカム装置であって、
前記上型の下降に伴って前記成形品への加工前位置から加工位置まで前記成形品の加工方向に沿って変位するカムスライダと、該カムスライダを前記加工前位置に付勢する付勢部材と、前記カムスライダを前記加工位置から前記加工前位置に復元させる強制復元機構と、を備え、
該強制復元機構は、前記上型の上下動に対応して上下動する強制復元部と、該強制復元部に係脱可能に連結された異常発生検知部と、該異常発生検知部と当接して設けられたマイクロスイッチと、前記強制復元部及び前記異常発生検知部と係合可能に設けられた係合部と、を備え、
前記上型の上昇に伴って前記カムスライダが前記加工位置から前記加工前位置まで復元する正常作動状態においては、前記強制復元部及び前記異常発生検知部が前記係合部と接触せずに上昇して前記強制復元部に対する前記異常発生検知部の連結姿勢が一定に保持され、
前記上型が上昇しても前記カムスライダが前記加工位置から前記加工前位置まで復元しない異常作動状態においては、前記強制復元部及び前記異常発生検知部が上昇して前記係合部と当接し、この当接によって生じる復元力により前記カムスライダを前記加工位置から前記加工前位置へと強制的に復元させるとともに、前記強制復元部と前記係合部との当接状態が解除された後においても前記異常発生検知部と前記係合部の当接状態を継続させることにより前記異常発生検知部に分離力を生じさせ、この分離力により生じる前記異常発生検知部の変位又は脱落を前記マイクロスイッチが検知し、電気信号化することを特徴とするカム装置。 - 前記マイクロスイッチを前記プレス型の非常停止回路と接続し、
前記異常作動状態において、前記マイクロスイッチからの電気信号により前記非常停止回路が作動し、前記上型の上下動を非常停止させることを特徴とする請求項1に記載のカム装置。 - 前記マイクロスイッチを異常表示灯と接続し、
前記異常作動状態において、前記マイクロスイッチからの電気信号により前記異常表示灯を点灯させることを特徴とする請求項1又は2に記載のカム装置。
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---|---|---|---|---|
JP2014046342A (ja) * | 2012-08-31 | 2014-03-17 | Wanzu:Kk | パンチ強制戻し機構およびパンチ加工装置 |
JP6321313B1 (ja) * | 2018-01-05 | 2018-05-09 | 三協オイルレス工業株式会社 | カム装置 |
KR102331832B1 (ko) * | 2020-06-15 | 2021-11-29 | 주식회사 예안 | 슬라이드 파손을 감지하기 위한 구조 |
-
2010
- 2010-09-27 JP JP2010215815A patent/JP2012071313A/ja active Pending
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