JP2012069362A - 絶縁被覆導電性微粒子、異方性導電接着剤組成物、および異方性導電成形体 - Google Patents

絶縁被覆導電性微粒子、異方性導電接着剤組成物、および異方性導電成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】異方性導電接着剤やこれを用いた異方性導電成形体の耐湿性をより一層させうる絶縁被覆導電性微粒子を提供する。
【解決手段】本発明の絶縁被覆導電性微粒子は、導電性微粒子と、導電性微粒子の表面に存在するアミノ樹脂架橋微粒子とを有する。そして、当該アミノ樹脂架橋微粒子がフェノール化合物由来のフェノール縮合単位を含む点に特徴を有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、絶縁被覆導電性微粒子に関する。より詳細には、本発明は、導電性微粒子の表面にアミノ樹脂架橋微粒子を含む絶縁層を有し、前記アミノ樹脂架橋微粒子が、フェノール化合物由来のフェノール縮合単位を含む絶縁被覆導電性微粒子に関する。また本発明は、このような絶縁被覆導電性微粒子を含む異方性導電接着剤組成物に関する。さらに本発明は、このような異方性導電接着剤組成物から得られる異方性導電成形体に関する。
導電性粒子の表面を絶縁層で被覆した絶縁被覆導電性粒子は、電気接続用異方導電材料として電極間に配置させた場合、該電極間に圧力または熱および圧力を作用させることで、電極間を結ぶ方向に導電性を生じさせる。さらに、このような絶縁被覆導電性粒子においては、該粒子間には必ず絶縁層が存在するので、目的としない横方向の導通の発生に起因する横方向の短絡を効果的に抑制することができる。
例えば、導電性材料からなる微粒子を電気絶縁性物質の皮膜で被覆した電気接続用異方導電性粒子が提案されている(特許文献1、特に、図2参照)。また、特許文献1に記載の発明の応用として、導電性微粒子の表面に圧力により破れる絶縁性樹脂被覆層が形成された絶縁被覆導電性微粒子(特許文献2)、導電性微粒子の表面に加熱により流動性が増加する絶縁性樹脂被覆層が形成された絶縁被覆導電性微粒子(特許文献3)、導電性微粒子の表面に少なくとも2層の絶縁性樹脂被覆層が形成された絶縁被覆導電性微粒子(特許文献4)、導電性微粒子の表面に所定の被覆状態に制御した絶縁性樹脂被覆層が形成された絶縁被覆導電性微粒子(特許文献5)、導電性粒子の表面に特定の表面処理を施した絶縁性樹脂被覆層が形成された絶縁被覆導電粒子(特許文献6、7)が提案されている。
他方、導電性微粒子の外周に絶縁性材料を微粒子の形で設けて絶縁被覆導電性微粒子とする形態が知られている。このような形態で用いられる絶縁性微粒子としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂等を材質とする絶縁性微粒子(特許文献8、特に、実施例では架橋アクリル樹脂を使用)、水酸基を表面に有する無機酸化物微粒子(特許文献9、特に、実施例ではシリカ微粒子を使用)、無機酸化物(特許文献10、特に実施例ではシリカ微粒子)が報告されている。
しかし、従来公知の絶縁性微粒子(例えば、架橋アクリル樹脂微粒子、架橋アクリルスチレン樹脂微粒子、シリカ微粒子など)を導電性微粒子の外周に設けた場合、絶縁性微粒子の導電性微粒子に対する密着性が不十分であるため、異方性導電接着剤組成物を作製する際に、絶縁性微粒子が導電性微粒子表面から脱落しやすいという問題がある。そのため、最終的に異方性導電成形体として使用した場合に、導通性は問題ないものの、絶縁信頼性に劣るという問題がある。
特許第2794009号公報 特開2000−67647号公報 特開2000−100249号公報 特開2000−129157号公報 特開2004−146261号公報 特開2005−63904号公報 特開2006−236759号公報 特開2006−59721号公報 特開2009−170414号公報 特開2009−102731号公報
本発明者らは、上述した従来技術における課題に鑑み、鋭意研究を行なった。その結果、金属層との密着性に優れるアミノ樹脂架橋微粒子を絶縁被覆材料に用いることで、導電層からの絶縁性微粒子の脱落が防止され、導通性と絶縁性とがバランスよく両立されうることを見出し、本願に先行して特許出願を行なっている(特願2010−008868)。
上記先願に記載の技術によれば、絶縁性微粒子が導電性微粒子の表面から脱落し難い絶縁被覆導電性微粒子が提供されるという当業者には予測できない顕著な効果を達成できるため、この技術それ自体は、その出願時において明らかに進歩性を有する優れた発明であるといえる。
しかしその一方で、本発明者らによるその後の検討により、上記先願に具体的に開示された技術では、必ずしもあらゆる環境条件下において常に優れた特性が発揮されるわけではないことも判明してきた。具体的には、上記先願に記載の絶縁被覆導電性微粒子を用いた導電接続構造体を湿度の高い環境に長時間曝すと、電極間の導通抵抗の値が上昇することが判明したのである。
本発明のような絶縁被覆導電性微粒子は、典型的には異方性導電接着剤の構成材料として用いられ、最終的には、半導体素子やプリント回路基板;液晶ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネルといった各種ディスプレイ;などの電子・電機製品に用いられる。そして、これらの電子・電機製品の製造時の環境や、これらの製品の使用される環境(季節・地域)によっては、湿度の高い条件に曝されることも十分に想定される。
そこで本発明は、本発明者らが提案した上記先願による技術のさらなる改良技術として、異方性導電接着剤やこれを用いた異方性導電成形体の耐湿性をより一層させうる絶縁被覆導電性微粒子を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した課題に鑑みさらに検討を行なった。その結果、上記先願において導電性微粒子を被覆するのに用いられているアミノ樹脂架橋微粒子(絶縁性微粒子)に、フェノール化合物由来のフェノール縮合単位を含ませることで、当該課題が解決されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の一形態に係る絶縁被覆導電性微粒子は、導電性微粒子と、導電性微粒子の表面に存在するアミノ樹脂架橋微粒子とを有する。そして、当該アミノ樹脂架橋微粒子がフェノール縮合単位を含む点に特徴を有する。この際、当該形態の好ましい実施形態として、アミノ樹脂架橋微粒子におけるフェノール縮合単位の含有量が、当該フェノール縮合単位を構成するフェノール化合物の量と当該アミノ樹脂架橋微粒子を構成するアミノ化合物との合計100質量%に対して1〜60質量%であると好ましいことも判明した。
なお、アミノ樹脂架橋微粒子の平均粒子径は、好ましくは1μm以下である。そして、アミノ樹脂架橋微粒子の平均粒子径の変動係数(CV)は、好ましくは50%以下である。
また、本発明の他の形態によれば、上記絶縁被覆導電性微粒子がバインダー樹脂中に分散してなる、異方性導電接着剤組成物が提供される。
さらに、本発明のさらに他の形態によれば、上記異方性導電接着剤組成物から得られる、異方性導電成形体が提供される。
本発明の絶縁被覆導電性微粒子を用いて構成される異方性導電接着剤や異方性導電成形体は、耐湿性に優れる。したがって、これら接着剤や成形体は高湿環境に(しかも長期間)曝された場合であっても、電極間の導通抵抗値の上昇が最小限に抑制されるという優れた効果を発揮しうる。
≪A.絶縁被覆導電性微粒子≫
本発明の一形態は、導電性微粒子と、前記導電性微粒子の表面に存在する、アミノ樹脂架橋微粒子とを有し、前記アミノ樹脂架橋微粒子が、フェノール化合物由来のフェノール縮合単位を含む、絶縁被覆導電性微粒子である。
<A−1.導電性微粒子>
まず、本形態の絶縁被覆導電性微粒子の中心部(コア)を構成する「導電性微粒子」について説明する。本形態の絶縁被覆導電性微粒子においては、導電性微粒子の具体的な形態については何ら制限がなく、従来公知の知見が適宜参照されうる。また、将来新たに開発される材料が導電性微粒子を構成するのに用いられてもよい。なお、導電性微粒子は通常、核材と当該核材の表面を被覆する導電性金属層とを有する。以下、かような形態について、簡単に説明する。
核材としては、導電性微粒子の基材粒子として用いられうるものであれば、任意の適切な材料が採用されうる。このような核材の構成材料としては、例えば、シリカなどの無機材料;シリコーン樹脂(ポリメチルシルセスキオキサン、フェニルシルセスキオキサン)、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリブタジエンなど)、ビニル重合体樹脂((メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、(メタ)アクリル−スチレン樹脂など)、ポリスルホン、ポリカーボネート、フェノール樹脂、アミノ樹脂(メラミン樹脂、メラミン−ベンゾグアナミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂など)、尿素樹脂などの有機材料;有機無機複合材料;などが挙げられる。これらの中でも、適度な弾性率や回復特性を有する点で、ビニル重合体樹脂((メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、(メタ)アクリル−スチレン樹脂など)、アミノ樹脂(メラミン樹脂、メラミン−ベンゾグアナミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂など)、有機無機複合材料が好ましい。有機無機複合材料としては、任意の適切な有機無機複合材料が採用されうる。
核材の平均粒子径は、好ましくは0.5〜30μmである。平均粒子径の上限値について、より好ましくは10μm以下であり、さらに好ましくは3.4μm以下であり、特に好ましくは3.0μm以下である。一方、平均粒子径の下限値について、より好ましくは1.0μm以上であり、さらに好ましくは1.5μm以上である。平均粒子径が0.5μmより小さいと、無電解めっきなどで導電性金属層を被覆する際に、粒子が凝集し易くなり、均一な導電性金属層を形成できない虞がある。一方、平均粒子径が30μmより大きいと、隣接する電極間の間隔が狭い場合には適用しにくいなど適用用途が限られて、工業上の利用分野が少なくなる傾向がある。なお、核材の平均粒子径の値は、後述する実施例に記載の手法により測定される値を採用するものとする。
また、核材の粒子径の変動係数(CV値)は、10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは4%以下、特に好ましくは3%以下である。この変動係数(CV値)が10%以下であると、絶縁被覆導電性微粒子の粒子径が均一なものが得られるため、多数の電極間を均一に導通させる点で有利になるという利点がある。なお、核材の粒子径の変動係数(CV値)の値は、後述する実施例に記載の手法により測定される値を採用するものとする。
[導電性金属層]
導電性金属層は、金属から構成される導電性の層である。導電性金属層を構成する金属としては、任意の適切な金属が採用され、例えば、金、銀、銅、白金、鉄、鉛、アルミニウム、クロム、パラジウム、ニッケル、ロジウム、ルテニウム、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム、スズ、コバルト、インジウム、ニッケル−リン、ニッケル−ホウ素などの金属や金属化合物、および、これらの合金などが挙げられる。これらの中でも、導電性に優れ、工業的に安価である点で、金、銀、銅、ニッケル、パラジウムが好ましい。
導電性金属層の厚みは、好ましくは10〜500nm、より好ましくは20〜400nm、さらに好ましくは50〜300nmである。導電性金属層の厚みが10nm未満であると、絶縁化導電性粒子としたときに安定した電気的接続を発現しにくくなる虞がある。導電性金属層の厚みが500nmを超えると、導電性粒子としたときの表面の硬度が高くなりすぎ、回復率等の機械的特性が低下する虞がある。
導電性金属層は、その表面に、実質的な割れや、導電性金属層が形成されていない面が存在しないものであることが好ましい。ここで、「実質的な割れや、導電性金属層が形成されていない面」とは、電子顕微鏡(倍率2000倍)を用いて任意の10000個の導電性粒子の表面を観察したときに、導電性金属層の割れまたは基材粒子表面の露出が認められる割合が全体の5%以下であることを意味する。
核材の表面に導電性金属層を被覆する方法は、任意の適切な方法が採用され、特に制限はない。例えば、無電解めっき法、置換めっき法などによるめっき方法;金属微粉を単独またはバインダーに混ぜ合わせて得られるペーストを基材粒子にコーティングする方法;真空蒸着、イオンプレーティング、イオンスパッタリングなどの物理的蒸着方法;などが挙げられる。これらの中でも、大掛かりな装置を必要とせず、容易に導電性金属層を形成できる点で、無電解めっき法が好ましい。
通常、無電解めっき法は、(1)親水化工程(エッチング)、(2)触媒化工程、(3)無電解めっき工程、の3工程からなる。親水化工程(エッチング)は、基材粒子の種類に応じて、省略することができる。
親水化工程(エッチング工程)では、基材粒子をクロム酸、無水クロム酸−硫酸混合液、過マンガン酸などの酸化剤;塩酸、硫酸、フッ酸、硝酸などの強酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの強アルカリ溶液等を用いて基材粒子の表面に微小な凹凸を形成させ、その凹凸のアンカー効果によって、後述する無電解めっき後の基材粒子と導電性金属層の密着性の向上を図る目的で行なわれる。
触媒化工程では、基材粒子の表面に、次工程で行う無電解めっきの基点となる触媒層を形成する。触媒層を形成する方法は特に限定されず、無電解めっき用として市販されている触媒化試薬を用いて行えばよい。例えば、塩化パラジウムと塩化第一スズとを含む溶液を触媒化試薬とし、これに基材粒子を浸漬することにより基材粒子表面に触媒金属を吸着させ、その後、硫酸や塩酸などの酸や水酸化ナトリウムなどのアルカリ溶液で前記パラジウムイオンを還元することにより、基材粒子表面にパラジウムを析出させる方法(キャタリスト−アクセレレーション法)や、基材粒子を塩化第一スズと接触させることによりスズイオンを基材粒子表面に吸着させた後、塩化パラジウム溶液に浸漬させることにより、基材粒子表面にパラジウムを析出させる方法(センシタイジング−アクチベーション法)等が挙げられる。
無電解めっき工程においては、好ましくは、核材を水性媒体に十分に分散させ、水性スラリーを調製する。ここで、核材は水性媒体に十分に分散させておくことが好ましい。核材が凝集した状態で導電性金属層の形成を行なうと、未処理面が露出する虞がある。水性媒体への核材の分散には、任意の適切な分散方法が採用されうる。例えば、通常撹拌、高速撹拌、コロイドミルやホモジナイザーのようなせん断分散装置を用いた分散、などが挙げられる。分散の際に、超音波照射を併用してもよい。また、分散の際に、界面活性剤などの分散剤を用いてもよい。
次いで、金属塩、還元剤、錯化剤などを含んだ無電解めっき浴に、上記で分散処理した核材スラリーを添加し、無電解めっきを行なう。
金属塩としては、例えば、導電性金属層を構成する金属として上述した金属の塩が挙げられる。例えば、ニッケル塩を用いる場合、塩化ニッケル、硫酸ニッケル、酢酸ニッケル等が挙げられる。無電解めっき浴中における上記金属塩の濃度は、所望の厚みの導電性金属層が形成されるように、核材のサイズ(表面積)に応じて適宜設定すればよい。
還元剤としては、次亜燐酸ナトリウム、ジメチルアミンボラン、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、ヒドラジンなどが挙げられる。
錯化剤としては、例えば、クエン酸、ヒドロキシ酢酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、またはそれらのアルカリ金属塩やアンモニウム塩などのカルボン酸塩、グリシンなどのアミノ酸、エチレンジアミン、アルキルアミンなどのアミン酸、アンモニウム化合物、EDTA、ピロリン酸(塩)などが挙げられる。上記錯化剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
無電解めっき法における無電解めっき浴のpHは、好ましくは4〜14である。
無電解めっき法においては、核材のスラリーを添加すると、速やかに反応が始まり、水素ガスの発生を伴う。無電解めっき法における、無電解めっき工程の終了は、その水素ガスの発生が完全に認められなくなった時点をもって判定することができる。反応終了後、反応系内から導電性微粒子を取り出し、必要に応じて洗浄、乾燥を行なう。
無電解めっき工程は、複数回繰り返してもよい。このようにすることで、核材に複層の導電性金属層を被覆することができる。例えば、核材にニッケルめっきを施してニッケル被覆粒子を得た後に、無電解金めっき浴に該ニッケル被覆粒子を投入して金めっきを施すことにより、最外層に金の被覆層を有する導電性微粒子が得られる。
<A−2.絶縁層>
続いて、絶縁層について、説明する。絶縁層は、本発明の絶縁被覆導電性微粒子において、上述した導電性微粒子の表面に存在する層である。
本発明では、絶縁層を構成する材料に特徴がある。具体的には、本発明の絶縁被覆導電性微粒子において導電性微粒子の表面に存在する絶縁層は、絶縁性材料(絶縁性微粒子)としてアミノ樹脂架橋微粒子を含むことを特徴とする。以下、絶縁層に含まれる絶縁性材料(絶縁性微粒子)としてのアミノ樹脂架橋微粒子について、詳細に説明する。
アミノ樹脂架橋微粒子は、アミノ化合物とホルムアルデヒドとの縮合単位を含み、架橋(網目状)構造を有する粒子である。そして、本形態において、アミノ樹脂架橋微粒子は、フェノール化合物由来のフェノール縮合単位を含む。
ここで、アミノ樹脂架橋微粒子がフェノール縮合単位を含む形態としては、以下のようにいくつかの形態が存在する。
(1)アミノ樹脂架橋微粒子がアミノ化合物−フェノール化合物−ホルムアルデヒド共縮合物からなる均一組成を有する形態;
(2)アミノ樹脂架橋微粒子がコアシェル構造(コアの外周に当該コアと異なる組成のシェル層が配置されてなる構造)を有し、
(2−1)コアがアミノ化合物−ホルムアルデヒド縮合物からなり、シェル層がアミノ化合物−フェノール化合物−ホルムアルデヒド共縮合物からなる形態;
(2−2)コアがアミノ化合物−フェノール化合物−ホルムアルデヒド共縮合物からなり、シェル層がアミノ化合物−ホルムアルデヒド縮合物からなる形態;
(2−3)コアおよびシェル層のそれぞれが、組成の異なるアミノ化合物−フェノール化合物−ホルムアルデヒド共縮合物からなる形態;
(2−4)コアがアミノ化合物−ホルムアルデヒド縮合物からなり、シェル層がフェノール化合物−ホルムアルデヒド共縮合物からなる形態;
(3)上述した(1)および(2−1)〜(2−3)のそれぞれの形態において、最表層にフェノール化合物−ホルムアルデヒド縮合物(フェノール樹脂)からなる層(フェノール樹脂層)が配置されてなる形態;
(4)コアおよびシェル層のそれぞれが組成の異なるアミノ化合物−ホルムアルデヒド縮合物からなるコアシェル構造を有するアミノ樹脂架橋微粒子の最表層に、フェノール化合物−ホルムアルデヒド縮合物(フェノール樹脂)からなる層が配置されてなる形態。
なお、本発明者らの検討によれば、アミノ樹脂架橋微粒子を構成するフェノール化合物の好ましい量が判明している。すなわち、本形態で用いられるアミノ樹脂架橋微粒子において、これを構成するアミノ化合物とフェノール化合物との合計100質量%に対するフェノール化合物の量の下限値は、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上であり、さらに好ましくは10質量%以上である。フェノール化合物の量がこれらの下限値以上の値であると、フェノール縮合単位を含ませることによる耐湿性の向上という本発明の作用効果が十分に発揮されうるという利点がある。一方、同様の基準でフェノール化合物の量の上限値は、好ましくは60質量%以下であり、より好ましくは50質量%以下であり、さらに好ましくは40質量%以下である。フェノール化合物の量がこれらの上限値以下の値であると、アミノ樹脂架橋微粒子(またはコアとしてのアミノ樹脂粒子)を製造する際の粒子間での凝集の発生が防止され、粒度分布や耐湿性等の物性に優れるアミノ樹脂架橋微粒子が製造されうるという利点がある。ただし、上記の数値範囲は本発明における必須要件ではなく、これらの範囲を外れる量のフェノール化合物が用いられる場合であっても、本発明の技術的範囲に包含されうる。
アミノ樹脂架橋微粒子を構成するアミノ化合物としては、特に限定はされないが、例えば、メラミンまたは下記一般式(1):
(式中、Rは、水素原子または置換基を有してもよいアルキル基を表すが、それらの少なくとも1つが置換基を有してもよいアルキル基である。Rはそれぞれ、同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるメラミン化合物;ベンゾグアナミン(2,4−ジアミノ−6−フェニル−sym.−トリアジン)、シクロヘキサンカルボグアナミン、シクロヘキセンカルボグアナミン、アセトグアナミン、ノルボルネンカルボグアナミン、スピログアナミンなどのグアナミン化合物;下記一般式(2):
(式中、Rは、直鎖構造または側鎖を有する構造である炭素数1〜2の炭化水素基を表す。)
で表されるジアミノトリアジン化合物や、下記一般式(3):
(式中、Rは、直鎖構造、側鎖を有する構造、芳香環を有する構造および脂環を有する構造の何れかである炭素数1〜8の炭化水素基を表す。なお、芳香環を有する構造および脂環を有する構造は、側鎖を有する構造および/または置換基を有する構造であってもよい。)
で表されるジアミノトリアジン化合物などが挙げられる。これらアミノ化合物は、単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
ここで、一般式(1)で表されるメラミン化合物において、非置換のR(つまり、アルキル基)の炭素数は、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1〜12であり、さらに好ましくは1〜8であり、特に好ましくは1〜4であり、最も好ましくは1〜2である。また、Rが置換基を有するアルキル基である場合、アルキル基を置換する置換基としては、例えば、アミノ基、ヒドロキシ基、チオール基、エポキシ基が挙げられる。
上述したアミノ化合物のなかでも、トリアジン環を有するアミノ化合物がより好ましい。なお、原料として用いられるアミノ化合物の全量に占めるトリアジン環を有するアミノ化合物の量(複数の場合には合計量)は、好ましくは40質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上であり、さらに好ましくは80質量%以上であり、いっそう好ましくは90質量%以上であり、特に好ましくは95質量%以上であり、最も好ましくは100質量%である。かような形態によれば、耐熱性、耐溶剤性の優れたアミノ樹脂架橋微粒子が得られるといった効果がある。
また、アミノ樹脂架橋微粒子を構成する「フェノール化合物」とは、フェノール性水酸基を有する化合物を意味する。フェノール化合物の具体的な形態について特に制限はないが、例えば、フェノール、o−エチルフェノール、p−エチルフェノール、混合クレゾール、p−n−プロピルフェノール、o−イソプロピルフェノール、p−イソプロピルフェノール、混合イソプロピルフェノール、o−sec−ブチルフェノール、m−tert−ブチルフェノ−ル、p−tert−ブチルフェノール、ペンチルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、2,3−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、2,4−ジ−s−ブチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、2,6−ジ−s−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、3−メチル−4−イソプロピルフェノール、3−メチル−5−イソプロピルフェノール、3−メチル−6−イソプロピルフェノール、2−t−ブチル−4−メチルフェノール、3−メチル−6−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−4−エチルフェノール、o−フェニルフェノール、m−フェニルフェノール、p−フェニルフェノール等のフェノール性水酸基を有する化合物;カテコール、レゾルシン、ビフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF等の分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物が挙げられる。特に好ましくはフェノールまたはo−フェニルフェノールである。これらのフェノール化合物は、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
アミノ樹脂架橋微粒子を構成するアミノ化合物およびフェノール化合物の合計量とホルムアルデヒドとのモル比(アミノ化合物およびフェノール化合物(合計モル)/ホルムアルデヒド(モル))は、1/3.5〜1/1.5であることが好ましく、1/3.5〜1/1.8であることがより好ましく、1/3.2〜1/2であることがさらにより好ましい。
絶縁層に含まれる絶縁性微粒子としてのアミノ樹脂架橋微粒子の平均粒子径は、500nm以下であることが好ましい。より好ましくは350nm以下、さらに好ましくは250nm以下、特に好ましくは180nm以下である。導電性微粒子の粒子径が小さいほど、そのままでは凝集しやすくなるため、本発明の樹脂粒子を用いて凝集を抑制する必要性が高くなる。粒子径の小さい導電性微粒子の表面に存在させるには、アミノ樹脂架橋微粒子の粒子径も前記範囲のように小さいことが好ましい。一方、アミノ樹脂架橋微粒子の平均粒子径があまりに小さすぎると、絶縁被覆導電性粒子として用いた場合に隣接する電極間の横導通の抑制が不十分となる虞があるので、アミノ樹脂架橋微粒子の平均粒子径は10nm以上が好ましく、30nm以上がより好ましく、50nm以上がさらに好ましい。
また、絶縁層に含まれる絶縁性微粒子としてのアミノ樹脂架橋微粒子の粒子径の変動係数(CV値)は、50%以下であることが好ましく、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは30%以下、特に好ましくは20%以下である。この変動係数(CV値)が50%以下であれば、絶縁被覆導電性微粒子の表面のアミノ樹脂架橋微粒子による被覆状態にバラツキが生じにくくなり、十分な絶縁性が確保されうるため、好ましい。なお、アミノ樹脂架橋微粒子の粒子径の変動係数(CV値)の値は、後述する実施例に記載の手法により測定される値を採用するものとする。
さらに、絶縁層に含まれる絶縁性微粒子としてのアミノ樹脂架橋微粒子の水分含有量は、好ましくは0.1〜3質量%である。さらに好ましくは2.5質量%以下、特に好ましくは1質量%以下である。なお、アミノ樹脂架橋微粒子の水分含有量は、解砕後の粉体(アミノ樹脂架橋微粒子)1gをカールフィッシャー法にて定量し、得られた水分量の百分率(%)として算出される。
絶縁層に含まれる絶縁性微粒子としてのアミノ樹脂架橋微粒子の飽和吸湿量は、好ましくは10%未満であり、より好ましくは7%以下である。さらに好ましくは6%以下、特に好ましくは5%以下である。また下限値は1%以上であることが好ましい。アミノ樹脂架橋微粒子の飽和吸湿量がこれらの範囲内の値であると、得られる導電性微粒子を用いて構成される異方性導電接着剤や異方性導電成形体が耐湿性に優れたものになるという利点がある。なお、アミノ樹脂架橋微粒子の飽和吸湿量は、解砕後の粉体(アミノ樹脂架橋微粒子)を温度30℃、湿度90%RHの雰囲気下で1日放置した後、上述した水分含有量と同様にして水分測定を行い、得られた水分量の百分率(%)として算出される。
絶縁層に含まれる絶縁性微粒子としてのアミノ樹脂架橋微粒子がコアシェル構造を有する場合(つまり、上述した(2−1)〜(2−4)の形態(およびこれらを受けた(3)の形態)並びに(4)の形態)におけるコアシェル構造の好ましい実施形態は、以下のとおりである。
アミノ樹脂架橋粒子の有するコアシェル構造におけるシェル層の厚み(平均値)tは、0.01μm以上であることが好ましい。上記厚み(平均値)tが0.01μm以上であると、吸湿性の抑制された粒子となりやすい。アミノ樹脂架橋粒子のシェル層の厚み(平均値)tとしては、吸湿性が特に低くなる観点から、好ましくは0.02μm以上、より好ましくは0.03μm以上、特に好ましくは0.04μm以上である。一方、吸湿性抑制の観点からは厚みは大きいほど好ましいが、分散性に優れる観点からは本形態に係るアミノ樹脂架橋粒子のシェル層の厚み(平均値)tは、好ましくは5μm以下である。なお、アミノ樹脂架橋粒子のシェル層の厚み(平均値)tは、シェル層形成後のアミノ樹脂架橋粒子の平均粒子径D(μm)、コアの平均粒子径d(μm)より、式:t=(D−d)/2により算出されうる。
また、アミノ樹脂架橋粒子の有するコアシェル構造における、コアの平均粒子径d(μm)に対するシェル層の厚み(平均値)t(μm)の比(t(μm)/d(μm);「シェル層比」ともいう。)は、好ましくは0.1〜1.5の範囲である。シェル層比が0.1〜1.5の範囲内であると、吸湿性が低くかつ分散性に優れる。シェル層比の値としては、吸湿性が低いという観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、特に好ましくは0.3以上である。
さらに、絶縁層に含まれる絶縁性微粒子としてのアミノ樹脂架橋微粒子が最表層にフェノール樹脂層を有する場合(つまり、上述した(2−4)、(3)および(4)の形態)において、フェノール樹脂層の厚みは、好ましくは0.01〜1μmであり、より好ましくは0.02〜0.1μmである。
以上、絶縁層に含まれる絶縁性微粒子としてのアミノ樹脂架橋微粒子の好ましい形態について説明したが、上述した形態のみには制限されず、その他の形態も適宜採用されうる。
[絶縁性微粒子(アミノ樹脂架橋微粒子)の製造方法]
絶縁層に含まれる絶縁性微粒子としてのアミノ樹脂架橋微粒子を製造する方法についても、特に制限はない。一例としては、例えば、アミノ化合物(および/またはフェノール化合物)をホルムアルデヒドによりメチロール化して初期縮合物を得た後、この初期縮合物を縮合硬化させるという手法が採用されうる。この手法を用いたアミノ樹脂架橋微粒子の製造は通常、水系媒体中において行なわれるが、より詳細には以下の2つの手法が用いられうる(例えば、特開2004−99878号公報を参照)。
第1の手法では、まず、アミノ化合物(および/またはフェノール化合物)とホルムアルデヒドとを縮合反応させて、初期縮合物(アミノ樹脂前駆体)を得る。次いで、得られた初期縮合物(アミノ樹脂前駆体)を水系媒体中で界面活性剤と混合し、得られた混合液に触媒を添加して、アミノ樹脂前駆体を硬化および粒子化させて析出させる。なお、この手法は、アミノ樹脂前駆体の組成が比較的親水性である場合に適した手法である。
第2の手法においても、まず、アミノ化合物(および/またはフェノール化合物)とホルムアルデヒドとを縮合反応させて、初期縮合物(アミノ樹脂前駆体)を得るが、その後の工程が第1の手法とは異なる。すなわち、第2の手法では、得られた初期縮合物(アミノ樹脂前駆体)を水系媒体中で乳化し、得られた乳濁液に触媒を添加して、アミノ樹脂前駆体を硬化および粒子化させる。なお、この手法は、アミノ樹脂前駆体の組成が比較的疎水性である場合に適した手法である。
なお、上述した第1の手法によれば、サブミクロンサイズの大きさを有するアミノ樹脂架橋微粒子が製造されうる。このため、本発明において絶縁層に含まれる絶縁性微粒子としてのアミノ樹脂架橋微粒子を製造する好ましい手法は、上述した第1の手法である。ただし、第2の手法によっても所望のサイズのアミノ樹脂架橋微粒子が製造されうる限り、かような形態もまた、本発明の技術的範囲に包含されうる。
上述した2つの手法のいずれかを経て得られるアミノ樹脂架橋微粒子は、均一組成を有する。したがって、上記(1)の形態では、この段階で得られたアミノ樹脂架橋微粒子がそのまま絶縁層に含まれる絶縁性微粒子として用いられうる。また、(1)+(3)の形態では、後述するように表層へのフェノール樹脂層の形成を経て、絶縁層に含まれる絶縁性微粒子としてのアミノ樹脂架橋微粒子が得られる。
[コアシェル構造(シェル層)の形成]
一方、上記(2)の形態(および(2)+(3)の形態)並びに(4)の形態では、上述した2つの手法のいずれかを経て得られるアミノ樹脂架橋微粒子(均一組成を有する)は、コアシェル構造のコアを構成することになる。以下、これらの形態において、上記で得られたコアの外周にシェル層を形成する工程(シェル層形成工程)について、説明する。
[アミノ化合物−ホルムアルデヒド縮合物またはアミノ化合物−フェノール化合物−ホルムアルデヒド共縮合物からなるシェル層の形成]
シェル層形成工程は、上記で得られたアミノ樹脂架橋微粒子を分散させた水系媒体を、加熱・保持しながら、アミノ化合物(場合によっては、さらにフェノール化合物)をホルムアルデヒドとともに添加混合する。これにより、アミノ化合物(場合によっては、さらにフェノール化合物)とホルムアルデヒドとを縮合・硬化させ、アミノ化合物−ホルムアルデヒド縮合物(または、アミノ化合物−フェノール化合物−ホルムアルデヒド共縮合物)をコア(アミノ樹脂架橋微粒子)の表面に成長させて、当該(共)縮合物からなるシェル層を形成させる工程である。
本工程の好ましい実施形態では、上記で得られたコア(アミノ樹脂架橋微粒子)を分散させた水系媒体中に、アミノ化合物(場合によっては、さらにフェノール化合物)、ホルムアルデヒド(ホルマリン)、硬化触媒、界面活性剤等を適時、適量添加する。ただし、かような形態のみには限定されず、所望のシェル層を形成しうるものであれば、そうした製造方法も十分に適用可能である。
本工程で用いられる水系媒体としては、特に制限されるものではなく、水、アルコール類等が挙げられ、好ましくは水である。
水系媒体中に分散させるコアの濃度(つまり、固形分濃度)は、特に制限されないが、3〜25質量%の範囲内となるように調整するのが好ましい。コアの濃度を3質量%以上とすることで、得られるアミノ樹脂架橋微粒子の生産性を向上することができる点で優れている。一方、コアの濃度を25質量%以下とすることで、得られるアミノ樹脂架橋微粒子の肥大化、粒子同士の凝集を効果的に防止でき、粒度分布の狭いアミノ樹脂架橋微粒子とすることができる。
なお、コアを製造する段階で水系媒体を用い、当該コアが水系媒体中に分散した形態で得られる場合には、水系媒体中のアミノ樹脂粒子の濃度(固形分濃度)を上記範囲内になるように、必要があれば、水系媒体をさらに追加すればよい。コアを水系媒体中に混合、分散させるには、一般的な撹拌手段を用いて混合、分散させればよく、例えば、ディスクタービン、ファンタービン、ファウドラー型、プロペラ型および多段翼などの撹拌翼を使用して撹拌する方法等が挙げられる。これらの撹拌方法は、後述する硬化(架橋)反応の際の反応液の撹拌にそのまま適用することもできる。
本工程において、シェル層を形成するのに添加混合されるアミノ化合物としては、上述したアミノ化合物が同様に用いられうるため、ここでは詳細な説明を省略する。なお、得られるアミノ樹脂架橋微粒子がコアシェル構造を有する上記(2)の形態(および(2)+(3)の形態)並びに(4)の形態のうち、(2−1)、および(2−3)の形態(並びに、これらを受けた(3)の形態)、さらに(2−4)の形態では、シェル層がフェノール縮合単位を含む。かような形態においてシェル層を形成するのに添加混合されるフェノール化合物の具体的な形態についても、上述した形態が同様に採用されうるため、ここでは詳細な説明を省略する。
アミノ化合物の使用量(シェル層がフェノール縮合単位を含む場合には、アミノ化合物とフェノール化合物との合計使用量)は、コア100質量部に対して、10〜1000質量部の範囲が好ましく、より好ましくは25〜700質量部、さらに好ましくは50〜500質量部の範囲である。10質量部以上では、吸湿性を抑制する効果に優れるシェル層を形成しやすく、1000質量部以下であれば、粒度分布の特にシャープな粒子が得られやすい。
なお、シェル層形成工程においてアミノ化合物と併せてフェノール化合物を用いる場合には、最終的に得られるアミノ樹脂架橋微粒子におけるフェノール化合物の含有量が上述した好ましい形態(数値範囲)を満たすこととなるように、フェノール化合物の添加量を設計するとよい。
本工程にて必要なホルムアルデヒドの含有量は、ホルムアルデヒド/アミノ化合物のモル比で、1.5〜6、より好ましくは2〜4の範囲である。かかる範囲内とすることで、モノマー架橋反応の促進ができるほか、粒度分布の狭いアミノ樹脂架橋微粒子を得ることができる。なお、シェル層が「アミノ化合物−フェノール化合物−ホルムアルデヒド縮合物」の組成を有する場合には、「ホルムアルデヒド/アミノ化合物のモル比」を「ホルムアルデヒド/(アミノ化合物およびフェノール化合物の合計量)のモル比」と置き換えた上で、上記と同様の好ましい形態(数値範囲)が採用されうる。
なお、場合によっては、コアを製造する段階で水系媒体中にホルムアルデヒドを過剰に添加しておくことで、得られるコアを分散させた水系媒体中に、予めホルムアルデヒドを含有させることができる。
シェル層形成工程において用いられる界面活性剤、触媒(硬化触媒)等の具体的な形態についても、上述した形態が同様に採用されうるため、ここでは詳細な説明を省略する。
シェル層形成工程において、水系媒体に添加されるアミノ化合物(およびフェノール化合物)、硬化触媒、ホルムアルデヒド、界面活性剤の好適な添加混合形態につき、以下に例示する。ただし、本発明では、縮合・硬化反応により所望のシェル層を形成しうるものであればよく、以下に例示する添加混合形態に何ら制限されるものではない。
具体的には、ホルムアルデヒド、界面活性剤、硬化触媒は、(i)アミノ化合物(およびフェノール化合物)を含む添加液を添加するに先立ち、予め、コアが分散した水系媒体に共存させておいてもよいし、(ii)アミノ化合物(およびフェノール化合物)を添加する際に添加してもよい。添加する場合は、(ii−1)アミノ化合物(およびフェノール化合物)を含む添加液に共存させた混合状態で添加してもよいし、(ii−2)アミノ化合物(およびフェノール化合物)を含む添加液とは異なる経路で添加してもよい。
好ましい形態は、ホルムアルデヒド、硬化触媒、界面活性剤いずれも、上記(ii)の形態が好ましく、上記(ii−1)の形態が特に好ましい。これは、所定濃度のアミノ化合物(およびフェノール化合物)、ホルムアルデヒド、硬化触媒、界面活性剤を水系媒体中に素早く溶解または分散させることができ、縮合反応、硬化反応のコントロールが容易であるためである。
上記(i)(ii)いずれの形態であっても、コアが分散した水系媒体へのアミノ化合物(およびフェノール化合物)を含む添加液の添加は、連続して行なってもよく、断続的に所定量を分割して添加してもよい。好ましくは、連続的に滴下する方が好ましい。連続的の方が系内で均一になり、分布がシャープになりやすいためである。なお、分割して添加する場合には、添加液を2等分〜10等分し、それぞれの画分を10〜60分毎にそれぞれ一括添加することが好ましい。
上記(ii−2)の場合、アミノ化合物(およびフェノール化合物)を含む添加液とは異なる経路で添加されるホルムアルデヒド、界面活性剤、硬化触媒の添加も、連続して行なってもよく、断続的に所定量を分割して添加してもよい。好ましくは、ホルムアルデヒド、界面活性剤、硬化触媒を含む添加液を連続的に滴下する方が好ましい。この際、ホルムアルデヒド、界面活性剤、硬化触媒は、それぞれ別々の添加液を作製して添加してもよいし、これらの2以上を含む添加液を作製して添加してもよい。特に好ましくは2以上含む添加液の形態である。
上記「同様に添加する」場合の硬化触媒と前記アミノ化合物(およびフェノール化合物)の添加は、上記アミノ化合物(およびフェノール化合物)の速度と同じ範囲内で添加するのが好適である。
なお、上記アミノ化合物(およびフェノール化合物)、ホルムアルデヒド、界面活性剤、硬化触媒は、いずれの添加混合形態であっても、そのまま添加してもよいが、好ましくは上記したように予めアミノ化合物(およびフェノール化合物)やホルムアルデヒド、界面活性剤、硬化触媒を含む添加液を作製しておき、かかるアミノ化合物(およびフェノール化合物)、および/または、ホルムアルデヒド、界面活性剤および硬化触媒の少なくとも1種、好ましくは全部を含む添加液を用いることが好ましい。より好ましくは、添加後に均一に拡散されやすいことから、かかるアミノ化合物(およびフェノール化合物)等を含む添加液として、該アミノ化合物(およびフェノール化合物)等を水系媒体に分散または溶解した液状添加液を用いるのが好ましい。また、該添加液において、アミノ化合物(およびフェノール化合物)は、界面活性剤で微分散させてなるのが好ましい。
なお、アミノ化合物(およびフェノール化合物)等を含む添加液の総添加時間(添加工程の時間、断続の場合は添加開始から添加が全て終了するまでの時間)t(hr)は、以下の関係を満足することが好ましい。
式中、Wxは、添加するアミノ化合物(およびフェノール化合物)の質量(kg)であり、Wyは、コアの質量(kg)である。
アミノ化合物(およびフェノール化合物)等を含む添加液の総添加時間tを上記範囲内とすることで、水系媒体(反応液)中に分散されてなるアミノ樹脂架橋微粒子(コア)表面に所望のシェル層を選択的(優先的)に成長させることができ、個々の粒子間で成長厚みにバラツキが少なく、所望の厚さ(平均値)を有するシェル層を形成させることができる。さらに、アミノ化合物(およびフェノール化合物)等を含む添加液の総添加時間tを上記範囲内とすることで、アミノ樹脂架橋微粒子(コア)の持つ粒度分布のシャープな特性を損なうことなく、粒子径の変動係数CV値を小さい値とすることができる。アミノ化合物(およびフェノール化合物)の添加によって、コア表面だけでなく、水系媒体(反応液)中でも、アミノ化合物(またはフェノール化合物)とホルムアルデヒドとの縮合反応が進行して新たにアミノ樹脂前駆体からアミノ樹脂架橋微粒子が形成される可能性がある。その一方で多くのアミノ化合物(およびフェノール化合物)はその近傍に存在するコアの表面で成長するシェル層に吸着・結合して取り込まれていくものであるが、とりわけアミノ化合物(およびフェノール化合物)等を含む添加液の総添加時間tを上記範囲内にコントロールすることで、新たなアミノ樹脂粒子の生成を抑えることができるのである。また、tを上記範囲内とすることで、残留未反応モノマーを抑制しうる点でも有利である。一方、前記アミノ化合物(およびフェノール化合物)等を含む添加液の総添加時間tが(Wx/Wy)×0.5(hr)未満の場合には、前述した新たなアミノ樹脂粒子の生成や粒子の2次凝集を起こす虞がある。(Wx/Wy)×5.0t(hr)を超える場合には生産効率が悪くなる虞がある。なお、Wx/Wyの具体的な値について特に制限はなく、得られるシェル層の厚みや、アミノ樹脂架橋微粒子のシェル層比が所望の値となるように適宜調節すればよい。一例として、Wx/Wyの値は、好ましくは0.1〜10であり、より好ましくは0.25〜7であり、さらに好ましくは0.5〜5である。また、本工程では、上記反応液を常に適当な温度域に保持し、適当な撹拌力にて撹拌・混合しながら縮合・硬化反応を進めていくのがよい。
本工程では、シェル層形成工程は、上記で得られたアミノ樹脂架橋微粒子を分散させた水系媒体を、加熱・保持しながら、アミノ化合物(場合によっては、さらにフェノール化合物)をホルムアルデヒドとともに添加混合する。これにより、アミノ化合物(およびフェノール化合物)とホルムアルデヒドを縮合反応、硬化反応させて、コアの表面にアミノ化合物−ホルムアルデヒド縮合物(フェノール化合物が用いられる場合には、アミノ化合物−フェノール化合物−ホルムアルデヒド共縮合物)を成長させて、当該縮合物からなるシェル層を形成せしめ、コアシェル構造を形成する。
縮合・硬化反応の際の反応条件について特に制限はないが、一例として、反応(硬化)温度は、好ましくは50〜98℃であり、より好ましくは60〜95℃であり、さらに好ましくは70〜90℃である。また、反応(硬化)時間は、好ましくは1〜12時間であり、好ましくは1〜10時間であり、さらに好ましくは2〜5時間である。硬化反応の反応温度が50℃以上であれば、硬化が十分に進行しうる。一方、硬化反応の反応温度が98℃以下であれば、強固な加圧反応器などを必要とせず、経済的である。なお、硬化反応の終点は、サンプリングまたは目視によって判断すればよい。
上述したように、縮合・硬化反応の際の反応系の圧力は、特に制限されるものではなく、大気圧下でも、減圧下でも、加圧下でもよい。安全性や経済性(生産コスト)の観点からは大気圧下で行うのが好ましい。
また、縮合・硬化反応の際の反応液は、撹拌下に保持するのが好ましい。かかる撹拌方法としては、通常公知の撹拌装置などを用いて行なうことが好ましい。
縮合・硬化反応を行なう際には、上述したのと同様の目的で、無機粒子を添加してもよい。添加されうる無機粒子の具体的な形態については上述したとおりである。
シェル層形成工程においては、上述した縮合・硬化反応の終了後に、上述したのと同様の中和工程や粉砕工程、分級工程などを実施してもよい。これらの具体的な形態についても、上述したとおりである。その他、架橋度を高めるための熱処理工程をさらに行なってもよい。
[フェノール樹脂層の形成]
一方、(1)+(3)の形態、(2−4)の形態、(2)+(3)の形態、および(4)の形態では、上記で得られたアミノ樹脂架橋微粒子(均一組成またはコアシェル構造を有する)の表層にフェノール樹脂層を形成することで、絶縁層に含まれる絶縁性微粒子としてのアミノ樹脂架橋微粒子が得られる。
これらの形態におけるフェノール樹脂層の形成は、上述したシェル層形成工程と同様にして行なうことができ、この際、層形成のためにホルムアルデヒドと縮合させるための化合物として、アミノ化合物(およびフェノール化合物)に代えてフェノール化合物を用いるように変更すればよい。
絶縁層の具体的な形態について特に制限はなく、略均一な厚みを有する層の形態であってもよいし、上記絶縁性材料が微粒子の形態で多数集合することで、粒子全体を絶縁性とできる程度に層をなしている形態であってもよい。
<A−3.絶縁被覆導電性微粒子>
本発明の絶縁被覆導電性微粒子は、上記導電性微粒子の表面に絶縁層が存在してなる。
導電性微粒子の表面に絶縁層を形成する方法としては、任意の適切な形成方法が採用されうる。例えば、無電解めっき処理後の導電性微粒子および絶縁性材料(つまり、アミノ樹脂架橋微粒子)を有機溶媒または水性媒体などの液体中に分散させた後にスプレードライを行なう方法、有機溶媒または水性媒体などの液体中で導電性微粒子の表面に絶縁性材料(アミノ樹脂架橋微粒子)を付着させた後に導電性微粒子と絶縁性材料とを化学結合させる方法、導電性微粒子の粉体と絶縁性材料(アミノ樹脂架橋微粒子)の粉体とが共存する状態で高速撹拌機による撹拌やハイブリダイゼーション処理を行なう方法、などが挙げられる。
本発明の絶縁被覆導電性微粒子において、絶縁層は導電性粒子の表面の少なくとも一部に存在していればよく、導電性微粒子の全表面に占める絶縁性材料の存在比率(換言すれば、アミノ樹脂架橋微粒子による導電性微粒子の被覆率)は、好ましくは1%以上70%以下、より好ましくは5%以上60%以下、さらに好ましくは10%以上50%以下である。アミノ樹脂架橋微粒子による導電性微粒子の被覆率が前記範囲であることにより、充分な導通性を確保しつつ、隣接する絶縁被覆導電性微粒子間を確実に絶縁することができる。なお、上記被覆率は、例えば電子顕微鏡(倍率5000倍)を用いて任意の100個の絶縁被覆導電性微粒子の表面を観察したときに、絶縁被覆導電性微粒子の正投影面における絶縁性材料で被覆されている部分と絶縁性材料で被覆されていない部分との面積比率を測定することにより評価できる。
本発明の絶縁被覆導電性微粒子は、異方性導電材料の構成材料として好適である。異方性導電材料とは、さまざまな形態により相対向する基板同士や電極端子同士を電気的に接続するものである。
異方性導電材料を用いて電極同士を電気的に接続する方法としては、任意の適切な方法が採用されうる。例えば、絶縁性のバインダー樹脂中に本発明の絶縁被覆導電性微粒子を分散させて異方性導電接着剤組成物を作製した上で、この異方性導電接着剤組成物により接続する方法;絶縁性のバインダー樹脂と本発明の絶縁被覆導電性微粒子とを別々に使用して接続する方法;等が挙げられる。
≪B.異方性導電接着剤組成物≫
本発明の異方性導電接着剤組成物は、本発明の絶縁被覆導電性微粒子がバインダー樹脂中に分散してなる。
バインダー樹脂としては、任意の適切なバインダー樹脂が採用されうる。例えば、アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、スチレン−ブタジエンブロック共重合体等の熱可塑性樹脂;グリシジル基を有するモノマーやオリゴマーおよびイソシアネート等の硬化剤との反応により得られる硬化性樹脂組成物等の光や熱による硬化性樹脂組成物;等が挙げられる。
異方性導電接着剤組成物は、任意の適切な用途に適用されうる。例えば、異方性導電ペースト、異方性導電インク、異方性導電接着剤、液晶表示素子(LCD)のシール剤に含有される導電性スペーサ等が挙げられる。
異方性導電ペーストは、例えば、異方性導電接着剤組成物をペースト状にすることにより得られる。得られた異方性導電ペーストは、例えば、適当なディスペンサーに入れられ、接続すべき電極上に所望の厚さに塗工され、塗工された異方性導電ペースト上に対向電極を重ね合わせ、加熱するとともに加圧して樹脂を硬化させることにより、電極間の接続に使用される。
異方性導電インクは、例えば、異方性導電接着剤組成物に溶媒を加えて印刷に適した粘度にすることにより得られる。得られた異方性導電インクは、例えば、接着すべき電極上にスクリーン印刷し、その溶媒を蒸発させた後、印刷された異方性導電インクの上に対向電極を重ね合わせ、加熱圧縮することにより電極間の接続に使用される。
≪C.異方性導電成形体≫
本発明の異方性導電成形体は、本発明の異方性導電接着剤組成物から得られる。本発明の異方性導電成形体の具体例としては、例えば、異方性導電膜、異方性導電フィルム、異方性導電シートなどが挙げられる。
本発明の異方性導電成形体は、例えば、本発明の異方性導電接着剤組成物に溶媒を加えて溶液状にし、この溶液を離型フィルム上に流し込んだ後、溶媒を蒸発させて異方性導電接着剤組成物を被膜状にすることにより得られる。
本発明の異方性導電成形体は、例えば、接着すべき電極上に配置され、配置された異方性導電成形体上に対向電極を重ね合わせ、加熱圧縮することにより電極間の接続に使用される。
異方性導電成形体における膜厚、塗工膜厚および印刷膜厚は、含有する絶縁性微粒子被覆導電性微粒子の平均粒子径と接続すべき電極の仕様とから計算し、接続すべき電極間に絶縁性微粒子被覆導電性微粒子が挟持され、接続すべき電極が形成された接合基板同士の空隙がバインダー樹脂層により充分に満たされるよう設定することが好ましい。
本発明の絶縁被覆導電性微粒子を用いた異方性導電成形体は、高い導電性を示すばかりでなく、高湿条件下に曝された場合であっても、水分によって受ける悪影響が最小限に抑制され、相対向する電極基板間の電気的な接続を十分に確保することができる。
以下に、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されない。なお、以下では、特記しない限り、「部」は「質量部」を意味する。
〔ノギス法によるアミノ樹脂架橋微粒子の平均粒子径および変動係数(CV値)の測定〕
粒子総個数が200個前後になるようにSEM写真を撮影し、その写真より無作為に選んだ100個の粒子の直径(撮影された粒子(断面)の最大長)をノギスにて計測し、その算術平均径を平均粒子径Dとした。また、平均粒子径Dに対する粒子径の標準偏差の百分率(%)として、平均粒子径Dの変動係数(CV値)を算出した。
〔合成例1:導電性微粒子(1)の合成〕
冷却管、温度計および滴下口を備えた四つ口フラスコに、界面活性剤としてポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬社製、ハイテノール(登録商標)NF−08)2部をイオン交換水で溶解した水溶液150部を仕込んだ。そこへ、予め準備しておいた、スチレン50部、ジビニルベンゼン960(新日鉄化学社製)45部、メタクリル酸5部、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製、V−65)2部を仕込み、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)により8000rpmで5分間乳化分散させて、懸濁液を調製した。この懸濁液に、イオン交換水250部を加え、窒素雰囲気下で65℃に昇温し、65℃で2時間保持し、ラジカル重合を行った。ラジカル重合の後、生成した乳濁液を固液分離し、得られたケーキをイオン交換水、次いで、メタノールで洗浄した。その後、分級を行ない、窒素雰囲気下、40℃で2時間真空乾燥を行ない、重合体微粒子(1)を得た。重合体微粒子(1)の粒子径をコールターマルチサイザーIII型(ベックマンコールター社製)により測定したところ、平均粒子径は2.9μm、変動係数(CV値)は2.8%であった。
ビーカーに「ピンクシューマー」(日本カニゼン株式会社製)50部とイオン交換水400部を入れ、混合して混合液を得た。別途、イオン交換水50部に重合体微粒子(1)10部を加えて超音波分散を行なったものを準備し、これを上記混合液に投入し、30℃で10分間撹拌して懸濁液とし、この懸濁液を固液分離し、得られたケーキを、イオン交換水、メタノールの順で洗浄した後、窒素雰囲気下100℃で2時間真空乾燥して乾燥粒子を得た。次に、「レッドシューマー」(日本カニゼン株式会社製)100部とイオン交換水350部を入れ、混合して混合液を得た。別途、イオン交換水50部に上記で得られた乾燥粒子10部を加えて超音波分散を行なったものを準備し、これを上記混合液に投入し、30℃で10分間撹拌して懸濁液とした後、この懸濁液を固液分離し、得られたケーキを、イオン交換水、メタノールの順で洗浄した後、窒素雰囲気下、100℃で2時間真空乾燥した。以上の操作により、重合体微粒子(1)の表面にパラジウムが吸着されたパラジウム活性重合体微粒子(1)を得た。パラジウム活性重合体微粒子(1)10部をイオン交換水500部に添加し、超音波分散処理を30分な間行い、粒子を十分に分散させて微粒子懸濁液を得た。この微粒子懸濁液を50℃で撹拌しながら、そこへ硫酸ニッケル6水和物50g/L、次亜リン酸ナトリウム1水和物20g/L、ジメチルアミンボラン2.5g/L、クエン酸50g/Lからなる無電解めっき液(pH=7.5)を徐々に添加して、無電解ニッケルめっきを行った。得られた微粒子を濾別し、イオン交換水で洗浄した後、さらにメタノールで洗浄し、60℃で12時間真空乾燥を行ない、導電性微粒子(1)を得た。
〔実施例1:絶縁被覆導電性微粒子(1)〕
攪拌機、還流冷却管および温度計を備えた四つ口フラスコに、メラミン100部、37%ホルマリン193部、25%アンモニア水3.5部を仕込み、攪拌しながら70℃に昇温し、70℃で30分間保持した。かかる操作によりアミノ樹脂前駆体含有液(1)296.5部を得た。
別に、攪拌機、還流冷却管および温度計を備えたフラスコに、固形分濃度65質量%ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ(花王株式会社製、ネオペレックスG65)(65質量%DBSNa)13部と純水1400部を攪拌しながら入れ、90℃に昇温し、均一な界面活性剤水溶液を調製した。
上記の界面活性剤水溶液を90℃で攪拌した状態で、そこにアミノ樹脂前駆体含有液(1)296.5部を投入して、90℃で5分間保持し、次いで10質量%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液50部を加えた。この状態で90℃にて5時間保持して、メラミン樹脂架橋粒子を含有する液1759.5部を得た。
ベンゾグアナミン100部、37%ホルマリン130部、65%DBSNa6.2部、ドデシルベンゼンスルホン酸5.0部、イオン交換水350部を均一に分散混合し、ベンゾグアナミン分散液を得た。上記の90℃に保持されたメラミン樹脂架橋粒子含有液1752部中に上記のベンゾグアナミン分散液を2時間かけて滴下した。滴下後、さらに90℃で5時間保持し、その後30℃まで冷却して、メラミン樹脂架橋粒子の表面がベンゾグアナミンとホルムアルデヒドとの縮合物により被覆されてなるコアシェル構造を有するメラミン−ベンゾグアナミン樹脂架橋微粒子を含有する分散液を得た。
予め60℃以上で加熱溶解したフェノール20部、37質量%ホルマリン51.9部、65質量%DBSNa1.3部、DBS2.0部、イオン交換水326部を均一に分散混合し、フェノール分散水溶液を得た。上記の90℃に保持された前記メラミン−ベンゾグアナミン樹脂架橋微粒子を含有する分散液に上記のフェノール分散水溶液の全量を滴下し、滴下終了後さらに90℃にて5時間保持し、その後室温まで冷却して、表層にフェノール樹脂層が形成されてなるアミノ樹脂架橋微粒子(1)を含有する分散液を得た。上記アミノ樹脂架橋微粒子(1)の分散液を遠心分離機により固液分離し、得られたケーキをメタノールで洗浄後、180℃で2時間真空乾燥を行ない、アミノ樹脂架橋微粒子(1)の粉体を得た。得られたアミノ樹脂架橋微粒子(1)の平均粒子径をノギス法により測定したところ、平均粒子径は0.18μm、変動係数(CV値)は8.6%であった。
(絶縁被覆導電性微粒子の製造)
上記で得られたアミノ樹脂架橋微粒子(1)を、粒子濃度が5.0質量%になるようにメタノールに分散させた。得られたアミノ樹脂架橋微粒子(1)の分散液100部に、上記の合成例1で得られた導電性微粒子(1)50部を加えて均一に分散させた後、エバポレーターでメタノールを留去し、導電性微粒子(1)の表面をアミノ樹脂架橋微粒子(1)で被覆し、絶縁被覆導電性微粒子(1)を得た。
(異方性導電接着剤組成物(1)の製造)
エポキシ樹脂(YL980、ジャパンエポキシレジン社製)65部、エポキシ硬化剤(ノバキュアHX3941HP、旭化成工業社製)35部、絶縁被覆導電性微粒子(1)20部、1mmφのジルコニアビーズ200部を混合し、30分間ビーズミル分散を行ない、異方性導電接着剤組成物(1)を得た。
(異方性導電成形体(1)の製造)
剥離処理済みポリエチレンテレフタレートフィルムに、乾燥厚みで25μmとなるように異方性導電接着剤組成物(1)を塗布して接着層を形成し、異方性導電シートである異方性導電成形体(1)を作製した。
(導通性、絶縁性の評価)
異方性導電成形体(1)を、150μm幅のパターンを有するITO付きガラス基板2枚の間に挟み、180℃で15秒間加熱加圧して、導電接続構造体を得た。得られた導電接続構造体について、下記の基準にしたがい、導通性および絶縁性の評価を行なった。結果を下記の表1に示す:
導通性の評価基準:得られた導電接続構造体について、まず、対向する電極間の導通抵抗値(初期抵抗値)を測定した。次いで導電接続構造体を50℃−90%RHで500時間静置した後の抵抗値(高湿処理後抵抗値)を測定した。いずれの場合においても抵抗値が20Ω以下の場合を「○」とし、少なくとも一方の場合において抵抗値が20Ωを超える場合を「×」とした;
絶縁性の評価基準:対向する電極間の絶縁抵抗を測定し、抵抗値が100MΩ以上の場合を「○」とし、抵抗値が100MΩ未満の場合を「×」とした。
(アミノ樹脂架橋微粒子(絶縁性微粒子)の被覆状態の評価)
異方性導電接着剤組成物を酢酸エチルに希釈し、得られた希釈液を濾過して、絶縁被覆導電性微粒子を取り出し、下記の基準にしたがい、SEMにてアミノ樹脂架橋微粒子(絶縁性微粒子)の被覆状態を評価した。結果を下記の表1に示す。
○:均一な被覆状態を保持している。
×:アミノ樹脂架橋微粒子が剥離し、導電性微粒子表面の被覆が不均一である。
〔実施例2:絶縁被覆導電性微粒子(2)〕
攪拌機、還流冷却管および温度計を備えた四つ口フラスコに、メラミン100部、37%ホルマリン193部、25%アンモニア水3.5部を仕込み、攪拌しながら70℃に昇温し、70℃で30分間保持した。かかる操作によりアミノ樹脂前駆体含有液(1)296.5部を得た。
別に、攪拌機、還流冷却管および温度計を備えたフラスコに、固形分濃度65質量%ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ(花王株式会社製、ネオペレックスG65)(65質量%DBSNa)9.2部と純水1400部を攪拌しながら入れ、90℃に昇温し、均一な界面活性剤水溶液を調製した。
上記の界面活性剤水溶液を90℃で攪拌した状態で、そこにアミノ樹脂前駆体含有液(1)296.5部を投入して、90℃で5分間保持し、次いで10質量%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液50部を加えた。この状態で90℃にて5時間保持して、メラミン樹脂架橋粒子を含有する液1755.7部を得た。
予め60℃以上で加熱溶解したフェノール20部、37質量%ホルマリン51.9部、65質量%DBSNa1.3部、DBS2.0部、イオン交換水326部を均一に分散混合し、フェノール分散水溶液を得た。上記の90℃に保持された前記メラミン樹脂架橋微粒子を含有する分散液に上記のフェノール分散水溶液の全量を滴下し、滴下終了後さらに90℃にて5時間保持し、その後室温まで冷却して、表面がフェノール樹脂により被覆されたアミノ樹脂架橋微粒子(2)を含有する分散液を得た。上記アミノ樹脂架橋微粒子の分散液を遠心分離機により固液分離し、得られたケーキをメタノールで洗浄後、180℃で2時間真空乾燥を行ない、アミノ樹脂架橋微粒子(2)の粉体を得た。得られたアミノ樹脂架橋微粒子(2)の平均粒子径をノギス法により測定したところ、平均粒子径は0.18μm、変動係数(CV値)は9.6%であった。得られたアミノ樹脂架橋微粒子(2)を用い、実施例1と同様の手法により絶縁被覆導電性微粒子(2)を得た。得られた絶縁被覆導電性微粒子(2)を用いて、実施例1と同様の手法により、異方性導電接着剤組成物(2)および異方性導電成形体(2)をそれぞれ製造し、導通性、絶縁性および被覆状態を評価した。結果を下記の表1に示す。
〔比較例1:比較絶縁被覆導電性微粒子(1)〕
実施例1において、アミノ樹脂架橋微粒子(絶縁性微粒子)としてメラミンとホルムアルデヒドとの縮合物からなるアミノ樹脂架橋微粒子(日本触媒社製、「エポスターS」、ノギス法による平均粒子径=0.20μm、変動係数(CV)=8.0%)を使用したこと以外は、上記の実施例1と同様の手法により、比較絶縁被覆導電性微粒子(1)を得た。得られた比較絶縁被覆導電性微粒子(1)を用いて、実施例1と同様の手法により、比較異方性導電接着剤組成物(1)および比較異方性導電成形体(1)をそれぞれ製造し、導通性、絶縁性および被覆状態を評価した。結果を下記の表1に示す。
表1に示すように、本発明の絶縁被覆導電性微粒子を用いた実施例1および2においては、異方性導電成形体における導通性および絶縁性が優れていることがわかる。また、本発明の絶縁被覆導電性微粒子を用いた実施例1および2においては、絶縁性微粒子であるアミノ樹脂架橋微粒子の被覆状態も良好であることがわかる。さらに、本発明の絶縁被覆導電性微粒子を用いた実施例1および2においては、高湿処理後における電極間の導通抵抗値の上昇も防止されうることが示された。これに対し、従来公知の絶縁被覆導電性微粒子を用いた比較例1では、高湿処理後における電極間の導通抵抗値の上昇がみられた。これは、本発明が従来の技術に対して、「異方性導電接着剤やこれを用いた異方性導電成形体の耐湿性をより一層向上させうる」という有利な効果であって、当業者でも予測することができない顕著な効果を奏するものであることを示している。
本発明の絶縁被覆導電性微粒子は、電気接続用異方導電材料として好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. 導電性微粒子と、
    前記導電性微粒子の表面に存在する、アミノ樹脂架橋微粒子を含む絶縁層と、
    を有し、
    前記アミノ樹脂架橋微粒子が、フェノール化合物由来のフェノール縮合単位を含む、絶縁被覆導電性微粒子。
  2. 前記アミノ樹脂架橋微粒子における前記フェノール縮合単位の含有量が、当該フェノール縮合単位を構成するフェノール化合物の量と当該アミノ樹脂架橋微粒子を構成するアミノ化合物との合計100質量%に対して1〜60質量%である、請求項1に記載の絶縁被覆導電性微粒子。
  3. 前記アミノ樹脂架橋微粒子の平均粒子径が1μm以下である、請求項1または2に記載の絶縁被覆導電性微粒子。
  4. 前記アミノ樹脂架橋微粒子の平均粒子径の変動係数(CV)が50%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の絶縁被覆導電性微粒子。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の絶縁被覆導電性微粒子がバインダー樹脂中に分散してなる、異方性導電接着剤組成物。
  6. 請求項5に記載の異方性導電接着剤組成物から得られる、異方性導電成形体。
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